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  • 特許-浮力発生装置 図1
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  • 特許-浮力発生装置 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-08
(45)【発行日】2024-05-16
(54)【発明の名称】浮力発生装置
(51)【国際特許分類】
   B63C 9/18 20060101AFI20240509BHJP
   B63G 8/14 20060101ALI20240509BHJP
【FI】
B63C9/18 Z
B63G8/14
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2020010707
(22)【出願日】2020-01-27
(65)【公開番号】P2021115965
(43)【公開日】2021-08-10
【審査請求日】2022-09-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000000099
【氏名又は名称】株式会社IHI
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100175802
【弁理士】
【氏名又は名称】寺本 光生
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100167553
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 久典
(72)【発明者】
【氏名】澤田 信一
【審査官】結城 健太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開昭50-52796(JP,A)
【文献】実開昭48-113200(JP,U)
【文献】特開昭55-87680(JP,A)
【文献】米国特許第10173759(US,B1)
【文献】特開昭61-81292(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B63C 9/00, 7/06,
B63G 8/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
体積可変室の容積を可変することによって浮力を調節する浮力発生装置であって、
前記体積可変室の一部を構成する可動子と、
前記体積可変室に収容された火薬と、
該火薬に点火する点火部と、
前記火薬の点火後における前記容積を所定量に保持する容積保持機構とを備え、
前記体積可変室は、シリンダと、該シリンダ内を摺動自在な前記可動子とによって形成され、
前記容積保持機構は、前記火薬の点火によって前記可動子が容積を比較的大とした状態において、前記可動子から突出して前記シリンダに係合する係合突起を備えることを特徴とする浮力発生装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浮力発生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、浮力発生装置が開示されている。この浮力発生装置は、体積可変室と合金収納部との間で水素ガスを往復させることによって体積可変室の体積を変更し、以って発生浮力の調節を行うものである。すなわち、この浮力発生装置は、上記水素ガスを用いて体積可変室のピストンを降下させることで体積可変室の体積を最小化し、以って浮力が発生しない状態を実現し、また水素ガスを用いてピストンを上昇させることで体積可変室の体積を大きくし、以って浮力を発生させる。このような浮力発生装置は、潜水艇あるいは潜水艦に備えられ、姿勢制御に利用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開昭61-81292号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記背景技術は、熱交換室に収容された水素吸蔵合金を加熱することによって水素ガスを水素吸蔵合金から分離させ、また水素吸蔵合金を冷却することによって水素ガスを水素吸蔵合金に吸蔵させる。また、このような水素吸蔵合金の加熱/冷却には、潜水艇あるいは潜水艦のエンジンの排熱が利用される。したがって、背景技術は、ピストンの駆動機構つまり体積可変室の容積(体積)を可変させるための機構が複雑である。
【0005】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、体積可変室の容積を従来よりも簡単な機構で可変することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明では、浮力発生装置に係る第1の解決手段として、体積可変室の容積を可変することによって浮力を調節する浮力発生装置であって、前記体積可変室の一部を構成する可動子と、前記体積可変室に収容された火薬と、該火薬に点火する点火部とを備える、という手段を採用する。
【0007】
本発明では、浮力発生装置に係る第2の解決手段として、上記第1の解決手段において、前記火薬の点火後における前記容積を所定量に保持する容積保持機構をさらに備える、という手段を採用する。
【0008】
本発明では、浮力発生装置に係る第3の解決手段として、上記第2の解決手段において、前記体積可変室は、シリンダと、該シリンダ内を摺動自在な前記可動子とによって形成され、前記容積保持機構は、前記火薬の点火によって前記可動子が容積を比較的大とした状態において、前記可動子から突出して前記シリンダに係合する係合突起を備える、という手段を採用する。
【0009】
本発明では、浮力発生装置に係る第4の解決手段として、上記第1の解決手段において、前記可動子は、前記火薬の点火後によって前記体積可変室から離脱し、前記可動子に代わって前記体積可変室の一部を構成する蓋体をさらに備える、という手段を採用する。
【0010】
本発明では、浮力発生装置に係る第5の解決手段として、上記第4の解決手段において、前記体積可変室は、シリンダと、該シリンダ内を摺動自在な前記可動子とによって形成され、前記蓋体は、前記可動子が前記体積可変室から離脱する際に前記可動子によって押されることにより前記シリンダの開放端を開放し、前記可動子が離脱すると前記シリンダの開放端を閉鎖する、という手段を採用する。
【0011】
本発明では、浮力発生装置に係る第6の解決手段として、上記第5の解決手段において、前記蓋体は、前記シリンダに丁番を介して設けられ、前記シリンダには前記蓋体を囲むカバーが設けられる、という手段を採用する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、体積可変室の体積を従来よりも簡単な機構で可変することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の第1実施形態に係る浮力発生装置の構成を示す断面図である。
図2】本発明の第1実施形態に係る浮力発生装置の動作状態を示す断面図である。
図3】本発明の第2実施形態に係る浮力発生装置の構成を示す断面図及び下面図である。
図4】本発明の第2実施形態に係る浮力発生装置の動作状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
〔第1実施形態〕
最初に、図1及び図2を参照して本発明の第1実施形態について説明する。この第1実施形態に係る浮力発生装置Aは、基本的に水中で使用される装置であり、体積可変室Rの体積(容積)を可変することによって浮力を調節する。この浮力発生装置Aは、図1(a)に示すように、シリンダ1、可動子2、火薬3、点火部4及び制御部5を備えている。
【0015】
シリンダ1は、所定径の円筒状容器であり、先端が開放端1a、また後端が閉塞端である。このシリンダ1は、可動子2、火薬3及び点火部4を収容する。すなわち、このシリンダ1は、後端内に点火部4を収容し、後端近傍部位に火薬3を収容し、また当該火薬3の先端側に可動子2を収容する。
【0016】
また、このようなシリンダ1内には、当該シリンダ1及び可動子2によって体積可変室Rが形成されている。すなわち、この体積可変室Rは、シリンダ1の内壁及び可動子2の後端壁によって囲まれた空間である。
【0017】
可動子2は、シリンダ1内に同軸状に収容される円柱体であり、シリンダ1内を当該シリンダ1の中心軸線(図1の上下方向)に沿って摺動自在である。この可動子2には、後端面から所定距離隔てた周面上に、中心軸線周りに所定の角度ピッチでストッパが設けられている。また、この可動子2には、後端面とストッパとの間にシール部材が設けられている。
【0018】
このようなストッパは、本発明の容積保持機構に相当するものであり、火薬3の点火後における体積可変室Rの体積(容積)を所定量に保持する。すなわち、ストッパは、心軸線方向におけるシリンダ1と可動子2との位置関係を所定状態に固定するものである。このようなストッパは、図1(b)に示すように、可動子2の周面に形成された挿入孔6aバネ6b及びピン6cを備えている。
【0019】
挿入孔6aは、可動子2の中心軸線に直交する向き、かつ、可動子2の周面から所定深さまで形成された円柱状の孔である。この挿入孔6aは、バネ6bピン6cとを収容している。すなわち、バネ6b及びピン6cのうち、ピン6cは挿入孔6aの入口側(周面に近い側)に収容され、バネ6bは挿入孔6aの奥側に収容されている。
【0020】
ピン6cは、火薬3の点火によって可動子2が体積可変室Rの体積(容積)を最大容積(比較的大)とした状態において、可動子2から突出してシリンダ1に係合する係合突起である。このピン6cは、挿入孔6aに挿入された円柱状部材であり、所定の長さを備えている。また、バネ6bは、圧縮バネであり、ピン6cを挿入孔6aの入口側に付勢する。
【0021】
このようなバネ6b及びピン6cを備えるストッパは、図1(b)に示すように、ピン6cがシリンダ1の開放端1aに対峙した状態において、ピン6cがバネ6bの付勢力によって挿入孔6aから突出することにより、可動子2がシリンダ1の後端側に移動することを規制する。なお、このストッパの作動については、詳細を動作説明として後述する。
【0022】
シール部材は、可動子2の周面において、ストッパと後端面との間に設けられたリング状部材である。このシール部材は、可動子2の周面とシリンダ1の内周面との間に介在することにより、シリンダ1に対する可動子2の中心軸線方向における摺動を可能とすると共に体積可変室Rの気密性を確保する。
【0023】
火薬3は、着火によって急激な燃焼反応(爆燃)を起こす物質である。この火薬3は、急激な燃焼反応によって体積可変室R内に高圧の燃焼ガスを発生させる。すなわち、この火薬3は、シリンダ1内において可動子2を中心軸線方向における開放端1a側に移動させるために推進力を発生させる原料である。
【0024】
点火部4は、制御部5による制御の下で上記火薬3を着火させる電子装置である。すなわち、この点火部4は、電気的な手段によって火薬3に急激な燃焼反応を起こさせるものであり、制御部5から点火信号が入力されると、当該点火信号に基づいて火薬3を着火させる。このような点火部4は、例えば放電回路であり、放電によって火薬3を着火させる。
【0025】
制御部5は、外部から受信した制御指令に基づいて点火部4を制御する。すなわち、この制御部5は、外部と無線通信する通信機能を備えており、外部から受信した制御指令に基づいて点火信号を生成し、この点火信号を点火部4に出力することにより点火部4を制御する。なお、上記通信機能は、本第1実施形態に係る浮力発生装置Aが水中で使用されることを考慮して、外部の指令装置との間で音響通信を行うものである。
【0026】
続いて、本第1実施形態に係る浮力発生装置Aの動作について詳しく説明する。
この浮力発生装置Aは、例えば海底資源を海上に輸送するために動力を浮力として提供する。
【0027】
すなわち、この浮力発生装置Aは、海底資源が収容された容器に1あるいは複数備えられ、初期的に図1(a)の位置(初期位置)にある可動子2を図2の位置(最終位置)に移動させることによって、最小浮力状態から最大浮力状態に移行する。このような浮力発生装置Aによれば、上述した浮力の増大によって、海底の海底資源を海上に輸送することができる。
【0028】
ここで、この浮力発生装置Aでは、可動子2を初期位置から最終位置に移動させるための手段として、火薬3の急激な燃焼反応によって発生する燃焼ガスの圧力を用いる。すなわち、この浮力発生装置Aでは、制御部5及び点火部4を介して外部から火薬3に着火させることによって、体積可変室Rの体積を従来よりも簡単な機構で最小体積から最大体積に可変することが可能であり、この結果として従来よりも簡単な機構で浮力を最小浮力から最大浮力に可変することが可能である。
【0029】
また、可動子2の初期位置では、ストッパにおけるピン6cの先端がシリンダ1の内周壁に当接しているので、ストッパは機能していない。しかしながら、火薬3の急激な燃焼反応によって可動子2が最終位置に移動すると、ピン6cの先端がシリンダ1の内周壁から外れるので、ストッパが作動して可動子2のシリンダ1の後端側への移動が規制される。すなわち、体積可変室Rの体積は最大体積に保持され、よって浮力は最大浮力に保持される。
【0030】
すなわち、可動子2にはシリンダ1の後端側へ押し戻す水圧が作用するので、ストッパがない場合に火薬3の急激な燃焼反応から時間が経過すると、可動子2は、初期位置に向けて移動する。しかしながら、この浮力発生装置Aでは、可動子2が最終位置に移動した段階でストッパが作動するので、体積可変室Rの最大体積つまり浮力の最大浮力が容易に保持される。
【0031】
なお、この浮力発生装置Aでは、火薬3の量が極端に多い場合、可動子2を開放端1a側に移動させる推力が大き過ぎて可動子2がシリンダ1から飛び出し、結果的に体積可変室Rが分解される虞がある。このような懸念を防止するためには、可動子2がシリンダ1から飛び出さない程度に可動子2の最大移動量を制限する必要がある。
【0032】
このような移動制限機構として、例えばシリンダ1の底部と可動子2の底部とをワイヤー等の線条材で連結することが考えられる。また、他の移動制限機構として、可動子2内に燃焼ガスを外部に逃がす連通孔を設けることが考えられる。この連通孔は、一端が例えば可動子2の底部に開口し、他端が可動子2の周面においてストッパ近傍に開口するものである。このような連通孔によれば、可動子2が最終位置に移動した段階で体積可変室Rの燃焼ガスを外部に逃げるので、可動子2のさらなる移動を防止することが可能である。
【0033】
〔第2実施形態〕
次に、図3及び図4を参照して本発明の第2実施形態について説明する。この第2実施形態に係る浮力発生装置Bは、上述した浮力発生装置Aと同様に基本的に水中で使用される装置であり、体積可変室Rの体積(容積)を可変することによって浮力を調節する。この浮力発生装置Bは、図3(a)、(b)に示すように、シリンダ1、可動子、火薬3、点火部4、制御部5、蓋体、丁番及びカバー10を備えている。
【0034】
この第2実施形態では、第1実施形態の構成要素と同一の構成要素には同一符号を付している。以下では、第1実施形態の構成要素とは異なる構成要素、つまり可動子、蓋体、丁番(ヒンジ)及びカバー10について説明する。なお、図3(b)は、シリンダ1の先端側(開放端1aの側)から浮力発生装置Bを見た図(下面図)である。
【0035】
可動子は、シリンダ1内に同軸状に収容される円柱体であり、シリンダ1内を当該シリンダ1の中心軸線(図1の上下方向)に沿って摺動自在である。この可動子は、先端部が図示するようにドーム状に形成されており、第1実施形態の可動子2のようにストッパ及びシール部材は設けられていない。
【0036】
蓋体は、シリンダ1の開放端1a(先端部)を開放/閉鎖する部材であり、内表面にシリンダ1内に突出する突部が設けられている。丁番は、シリンダ1の中心軸線に直交する姿勢の回動軸を備えており、このような蓋体を回動自在にシリンダ1に接続する。蓋体は、回動軸周りに回動することによって、シリンダ1の開放端1aを開放/閉鎖する。詳細については後述するが、このような蓋体は、可動子に代わって体積可変室Rの一部を構成する。
【0037】
カバー10は、蓋体の周囲を覆う略円筒状の部材であり、シリンダ1に対して同軸状に固定されている。より詳しくは、このカバー10は、図3(b)に示すように、中心軸線に直交する方向の断面形状が、一部が欠けた円筒状であり、蓋体の外周の殆どを覆っている。詳細については後述するが、このようなカバー10は、蓋体がシリンダ1の開放端1aを開放した後、水圧が効果的に作用して蓋体がより短時間でシリンダ1の開放端1aを閉鎖するように機能する。
【0038】
続いて、第2実施形態に係る浮力発生装置Bの動作について詳しく説明する。
この浮力発生装置Bは、上述した浮力発生装置Aと同様に海底資源を海上に輸送するための動力を浮力として提供する装置である。
【0039】
すなわち、この浮力発生装置Bは、海底資源が収容された容器に1あるいは複数備えられ、火薬3の急激な燃焼反応によって初期的に図3(a)の位置(初期位置)にある可動子図4(a)に示す中間位置を経て、図4(b)に示すようにシリンダ1の開放端1aから離脱させる。
【0040】
すなわち、制御部5が点火信号を点火部4に出力し、この結果として点火部4が火薬3に着火させると、火薬3が急激な燃焼反応を開始する。この急激な燃焼反応によって、可動子にはシリンダ1の開放端1a側に移動させる推力が作用する。そして、この可動子は、中間位置まで移動すると、先端部が蓋体の突部に当接し、蓋体に対して開く方向の押圧力を作用させる。この結果、蓋体は、丁番の回動軸周りに回動することにより、シリンダ1の開放端1aを開放し始める。
【0041】
そして、火薬3の急激な燃焼反応に基づく推力によって可動子が中間位置を越えて移動することにより、蓋体はシリンダ1の開放端1aを完全に開放する。また、可動子は、シリンダ1の開放端1aを通過し、当該開放端1aから外部に離脱する。すなわち、この状態において、シリンダ1内に形成された体積可変室Rは、一部が水中に露出した状態となる。
【0042】
しかしながら、蓋体は、可動子2Aが離脱して当該可動子から押圧力を受けなくなると、水圧等の圧力によってシリンダ1の開放端1aを再び閉鎖する方向に回動する。この際に、蓋体の周囲の殆どがカバー10によって覆われているので、水圧等の圧力が蓋体を押し戻す方向に効果的に作用する。
【0043】
この結果、蓋体は、シリンダ1の開放端1aを再び閉鎖し、よって体積可変室Rは、可動子が離脱することによってシリンダ1と蓋体とによって囲まれた密閉空間となる。すなわち、本第2実施形態の蓋体は、シリンダ1から離脱した可動子に代わって体積可変室Rの一部を構成する。このような浮力発生装置Bでは、シリンダ1内に水が若干浸入するものの、体積可変室Rは、初期の最小体積から所望の最大体積まで変化する。したがって、本第2実施形態に係る浮力発生装置Bによれば、従来よりも簡単な機構で浮力を最小浮力から最大浮力に可変することが可能である。
【0044】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、例えば以下のような変形例が考えられる。
(1)上記各実施形態では、制御部5が外部から受信する制御指令に基づいて火薬3に着火させたが、本発明はこれに限定されない。例えば制御部5内にタイマを設け、当該タイマが所定の時刻を計時したタイミングで火薬3に着火させてもよい。また、このようなタイマを点火部4に設けることにより制御部5を削除してもよい。すなわち、制御部5は、本発明における必須の構成要素ではない。
【0045】
(2)上記各実施形態では、浮力発生装置A、Bの用途として、浮力を利用した海底資源の輸送について説明したが、本発明はこれに限定されない。すなわち、各実施形態に係る浮力発生装置A、Bは、浮力を用いた水中における様々なアプリケーションに適用することが可能である。
【0046】
(3)上記第1実施形態では、ストッパのピン6cをシリンダ1の開放端1aに係合させることにより可動子2を最終位置に保持したが、本発明はこれに限定されない。例えば、シリンダ1の内周面にストッパのピン6cが係合する凹部を形成し、この凹部にピン6cを係合させてもよい。
【0047】
(4)上記第2実施形態では、カバー10を設けることによって蓋体がシリンダ1の開放端1aを再び閉鎖することを補助したが、本発明はこれに限定されない。例えば、カバー10に代えてあるいはカバー10に加えて、丁番の回動軸に戻りバネを装着し、当該戻りバネのバネ力によって蓋体がシリンダ1の開放端1aを再び閉鎖することを補助してもよい。
【符号の説明】
【0048】
A、B 浮力発生装置
R 体積可変室
1 シリンダ
1a 開放端
可動子
3 火薬
4 点火部
5 制御部
6 ストッパ(容積保持機構)
6a 挿入孔
6b バネ
6c ピン
7 シール部材
8 蓋体
9 丁番
10 カバー
図1
図2
図3
図4