(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-08
(45)【発行日】2024-05-16
(54)【発明の名称】トナー収容容器および画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 15/08 20060101AFI20240509BHJP
G03G 21/16 20060101ALI20240509BHJP
【FI】
G03G15/08 343
G03G21/16 109
G03G21/16 147
(21)【出願番号】P 2020011961
(22)【出願日】2020-01-28
【審査請求日】2022-11-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108523
【氏名又は名称】中川 雅博
(72)【発明者】
【氏名】水野 浩
(72)【発明者】
【氏名】東村 英史
(72)【発明者】
【氏名】井本 富子
【審査官】稲荷 宗良
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-156511(JP,A)
【文献】特開平11-119530(JP,A)
【文献】特開2011-215473(JP,A)
【文献】特開平08-211720(JP,A)
【文献】特開2009-237142(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/08
G03G 21/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置に着脱可能なトナー収容容器であって、
外部に開放される排出口が形成されており、トナーを収容する収容部と、
トナーの搬送経路に沿って配置され、前記搬送経路の方向の一端に設けられた回転軸が前記収容部に軸支された搬送部材と、
前記収容部の内壁から前記搬送部材に向かって延びる複数の規制部材と、を備え、
前記搬送部材は、前記搬送経路の方向の他端が自由端であり、
複数の前記規制部材は、前記搬送経路の方向に並んで配置される、トナー収容容器。
【請求項2】
画像形成装置に着脱可能なトナー収容容器であって、
外部に開放される排出口が形成されており、トナーを収容する収容部と、
トナーの搬送経路に沿って配置され、前記搬送経路の方向の一端に設けられた回転軸が前記収容部に軸支された搬送部材と、
前記収容部の内壁から前記搬送部材に向かって延びる規制部材と、を備え、
前記搬送部材は、前記搬送経路の方向の他端が自由端であり、
前記搬送部材は、前記回転軸から延びる中心線の周りに螺旋状に巻かれたコイル形状であり、
前記規制部材の前記搬送経路と平行な方向の長さは、前記搬送部材のピッチより短い、トナー収容容器。
【請求項3】
前記規制部材の複数が前記搬送経路の方向に並んで配置される、請求項2に記載のトナー収容容器。
【請求項4】
複数の前記規制部材が配置される間隔は、前記回転軸から延びる中心線から前記収容部の内壁までの距離の4倍以下である、請求項1または3に記載のトナー収容容器。
【請求項5】
前記搬送部材は、前記回転軸から延びる中心線の周りに螺旋状に巻かれたコイル形状である、請求項1~4のいずれかに記載のトナー収容容器。
【請求項6】
前記収容部の内壁は、トナーの前記搬送経路と交わる傾斜面を含み、
前記搬送部材は、前記傾斜面に対応する部分の外径が他の部分の外径と異なる、請求項1~5のいずれかに記載のトナー収容容器。
【請求項7】
前記搬送部材の半径は、前記
回転軸から延びる中心線から前記収容部の内壁までの距離以下である、請求項6に記載のトナー収容容器。
【請求項8】
前記排出口は、前記傾斜面に形成される、請求項6または7に記載のトナー収容容器。
【請求項9】
前記収容部の内壁は、トナーの前記搬送経路と交わる傾斜面を含み、
前記排出口は、前記傾斜面に形成される、請求項1~5のいずれかに記載のトナー収容容器。
【請求項10】
前記傾斜面は、前記収容部の底部に形成され、前記底部の前記傾斜面とは別の部分から上方または下方に傾斜する、請求項6~8のいずれかに記載のトナー収容容器。
【請求項11】
前記傾斜面の傾斜角度は安息角より大きい、請求項6~10のいずれかに記載のトナー収容容器。
【請求項12】
前記搬送部材のピッチは、前記排出口の近傍のピッチが他の部分のピッチよりも小さい、請求項1~11のいずれかに記載のトナー収容容器。
【請求項13】
請求項1~12のいずれかに記載のトナー収容容器を備えた画像形成装置であって、前記搬送部材の駆動源を備えた、画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、トナー収容容器および画像形成装置に関し、特に、画像形成装置に着脱可能なトナー収容容器、そのトナー収容容器を備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
MFP(Multi Function Peripheral)で代表される画像形成装置は、トナーを用いて用紙に画像を形成する。この画像形成装置は、感光体ドラムに形成された静電潜像をトナーにて現像する現像器と、現像器にトナーを補給するトナー収容容器とを備えている。
【0003】
一方、トナー収容容器の交換頻度の減少させるために、トナー収容容器におけるトナーの収容量の増加が望まれる。トナー収容容器は現像器の上側に配置され、MFPのサイズは、幅方向には各色の感光体ドラム間隔から、奥行き方向には対応用紙幅から制約を受け、幅方向および奥行き方向に制限されるので、トナー収容容器の容量を増加させるためには、高さ方向のサイズを増大させることが考えられる。このため、トナー収容容器の内部にスクリューを設け、スクリューを回転させることによりトナーを現像器に供給する技術が知られている。しかしながら、トナーがスクリューやトナー収容容器の内面に付着したりする場合があった。
【0004】
特開2018-180156号公報には、磁性を有する粒子を含む現像剤を収容する容器本体、および前記容器本体の内部で軸周りに回転して前記現像剤を軸方向一方に開口した排出口に向けて搬送する搬送スクリューを含む現像剤容器と、前記容器本体の外面の軸方向一部または軸方向全域に対向して設けられ、前記容器本体に収容された前記現像剤との間に引き合う磁力を作用させる磁界形成部と、を備えていることを特徴とする現像剤補給装置が記載されている。
【0005】
しかしながら、特開2018-180156号公報に記載の現像剤補給装置においては、トナー収容容器にトナーとは別に磁性を有する粒子が収納されなければならず、磁界形成部を備えなければならず、装置が複雑になるといった問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この発明は上述した問題点を解決するためになされたもので、この発明の目的の1つは、排出されずに残存するトナーを少なくしたトナー収容容器を提供することである。
【0008】
この発明の他の目的は、排出されずに残存するトナーを少なくした画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明のある局面によれば、トナー収容容器は、画像形成装置に着脱可能なトナー収容容器であって、外部に開放される排出口が形成されており、トナーを収容する収容部と、トナーの搬送経路に沿って配置され、搬送経路の方向の一端に設けられた回転軸が収容部に軸支された搬送部材と、収容部の内壁から搬送部材に向かって延びる複数の規制部材と、を備え、搬送部材は、搬送経路の方向の他端が自由端であり、複数の規制部材は、搬送経路の方向に並んで配置される。
【0010】
この局面に従えば、搬送部材が、トナーの搬送経路に沿って配置され、搬送経路の方向の一端に設けられた回転軸が収容部に軸支されており、搬送経路の方向の他端が自由端である。このため、回転軸に回転力が加わると搬送部材が回転するが、他端が自由端なので搬送部材が収容部の内部で移動する。このため、搬送部材が収容部に衝突する衝撃で搬送部材に付着したトナーが離脱する。その結果、簡単な構成で排出されずに残るトナーを減少させることが可能なトナー収容容器を提供することができる。また、規制部材のサイズを小さくして、トナーが付着する面積を小さくすることができる。
【0011】
この発明の他の局面によれば、トナー収容容器は、画像形成装置に着脱可能なトナー収容容器であって、外部に開放される排出口が形成されており、トナーを収容する収容部と、トナーの搬送経路に沿って配置され、搬送経路の方向の一端に設けられた回転軸が収容部に軸支された搬送部材と、収容部の内壁から搬送部材に向かって延びる規制部材と、を備え、搬送部材は、搬送経路の方向の他端が自由端であり、搬送部材は、回転軸から延びる中心線の周りに螺旋状に巻かれたコイル形状であり、規制部材の搬送経路と平行な方向の長さは、搬送部材のピッチより短い。
この局面に従えば、規制部材の面積を小さくして付着するトナーの量を少なくできる。
好ましくは、収容部の内壁から搬送部材に向かって延びる規制部材を、さらに備える。
【0012】
この局面に従えば、規制部材が収容部の内壁から搬送部材に向かって延びるので、搬送部材が移動する量が制限される。このため、トナーを効率的に搬送することができる。
【0013】
好ましくは、規制部材の複数がトナーの搬送経路の方向に並んで配置される。
【0014】
この局面に従えば、規制部材のサイズを小さくして、トナーが付着する面積を小さくすることができる。
【0015】
好ましくは、複数の規制部材が配置される間隔は、回転軸から延びる中心線から収容部の内壁までの距離の4倍以下である。
【0016】
この局面に従えば、搬送部材が回転する間の搬送部材の移動量を効率的に規制することができる。
【0017】
好ましくは、搬送部材は、回転軸から延びる中心線の周りに螺旋状に巻かれたコイル形状である。
【0018】
この局面に従えば、搬送部材が回転することにより、トナーを搬送経路に沿って搬送することができる。
【0021】
好ましくは、収容部の内壁は、トナーの搬送経路と交わる傾斜面を含み、搬送部材は、傾斜面に対応する部分の外径が他の部分の外径と異なる。
【0022】
この局面に従えば、収容部の内壁がトナーの搬送経路と交わる傾斜面を含むので、収容部の傾斜面にトナーが蓄積しないようにできる。また、搬送部材の傾斜面に対応する部分の外径が他の部分の外径と異なるので、搬送部材が傾斜面に存在するトナーと接触するようにできる。このため、排出されずに収容部に残存するトナーを少なくできる。
【0023】
好ましくは、搬送部材の半径は、回転軸から延びる中心線から収容部の内壁までの距離以下である。
【0024】
この局面に従えば、搬送部材がトナー収容容器と干渉することなく回転させることができる。
【0025】
好ましくは、排出口は、傾斜面に形成される。
【0026】
この局面に従えば、傾斜面に排出口が形成されるので、排出口からトナーが排出されやすくできる。
【0027】
好ましくは、収容部の内壁は、トナーの搬送経路と交わる傾斜面を含み、排出口は、傾斜面に形成される。
【0028】
この局面に従えば、収容部の内壁がトナーの搬送経路と交わる傾斜面を含むので、収容部の傾斜面にトナーが蓄積しないようにできる。また、傾斜面に排出口が形成されるので、排出口からトナーが排出されやすくできる。
【0029】
好ましくは、傾斜面は、収容部の底部に形成され、底部の傾斜面とは別の部分から上方または下方に傾斜する。
【0030】
好ましくは、傾斜面の傾斜角度は安息角より大きい。
【0031】
この局面に従えば、傾斜面にトナーが残留しないようにできる。
【0032】
好ましくは、搬送部材のピッチは、排出口の近傍のピッチが他の部分のピッチよりも小さい。
【0033】
この局面に従えば、排出口の近傍の搬送部材の搬送能力が他の部分よりも高くなる。このため、トナーを効率的に排出口から排出させることができる。
【0034】
この発明の他の局面によれば、上記のトナー収容容器を備えた画像形成装置は、搬送部材の駆動源を備える。
【0035】
この局面に従えば、排出されずに残存するトナーを少なくした画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【
図1】本発明の実施の形態の1つにおけるMFPの外観を示す第1の斜視図である。
【
図2】MFPの内部構成の一例を模式的に示す断面図である。
【
図3】本発明の実施の形態の1つにおけるMFPの外観を示す第2の斜視図である。
【
図4】MFPにおいてトナーボトルを交換する様子を示す図である。
【
図6】MFPに装着される前の状態におけるトナー収容容器の縦断面図である。
【
図8】MFPに装着された状態におけるトナー収容容器の縦断面図である。
【
図10】蓋部が閉塞状態におけるトナー収容容器の一部を示す斜視図である。
【
図11】蓋部が開放状態におけるトナー収容容器の一部を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。以下の説明では同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがってそれらについての詳細な説明は繰返さない。
【0038】
図1は、本発明の実施の形態の1つにおけるMFPの外観を示す第1の斜視図である。
図2は、MFPの内部構成の一例を模式的に示す断面図である。
図1および
図2を参照して、MFP(Multi Function Peripheral)100は、画像形成装置の一例であり、原稿を読み取る原稿読取部130と、画像データに基づいて用紙に画像を形成する画像形成部140と、画像形成部140に用紙を供給する給紙部150と、を含む。
【0039】
原稿読取部130は、原稿ガラス11上にセットされた原稿の画像を、その下方を移動するスライダー12に取付けられた露光ランプ13で露光する。原稿からの反射光は、ミラー14と2枚の反射ミラー15,15Aによりレンズ16に導かれ、CCD(Charge Coupled Devices)センサー18に結像する。
【0040】
CCDセンサー18に結像した反射光は、CCDセンサー18内で電気信号としての画像データに変換される。画像データは、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)の印字用データに変換されて、画像形成部140に出力される。
【0041】
画像形成部140は、イエロー、マゼンタ、シアンおよびブラックそれぞれの画像形成ユニット20Y,20M,20C,20Kを備える。ここで、“Y”、“M”、“C”および“K”は、それぞれイエロー、マゼンタ、シアンおよびブラックを表す。画像形成ユニット20Y,20M,20C,20Kの少なくとも1つが駆動されることにより、画像が形成される。画像形成ユニット20Y,20M,20C,20Kのすべてが駆動されると、フルカラーの画像が形成される。画像形成ユニット20Y,20M,20C,20Kには、イエロー、マゼンタ、シアンおよびブラックの印字用データがそれぞれ入力される。画像形成ユニット20Y,20M,20C,20Kは、取扱うトナーの色彩が異なるのみなので、ここでは、イエローの画像を形成するための画像形成ユニット20Yについて説明する。
【0042】
画像形成ユニット20Yは、イエローの印字用データが入力される露光装置21Yと、像担持体である感光体ドラム23Yと、感光体ドラム23Yの表面を一様に帯電するための帯電ローラー22Yと、現像器24Yと、感光体ドラム23Y上に形成されたトナー像を電界力の作用で像担持体である中間転写ベルト30上に転写するための1次転写ローラー25Yと、感光体ドラム23Y上の転写残トナーを除去するためドラム清掃ブレード27Yと、トナー収容容器41Yと、トナーホッパー42Yと、を備える。
【0043】
トナー収容容器41Yは、イエローのトナーを収容する。トナー収容容器41Yは、本体フレームに設けられたトナー収容容器モーターを駆動源として駆動し、トナーを外部に排出する。トナー収容容器41Yから排出されたトナーは、トナーホッパー42Yに供給される。トナーホッパー42Yは、現像器24Yに収容されたトナーの残量が予め定められた下限値以下になることに応じて現像器24Yにトナーを供給する。
【0044】
感光体ドラム23Yの周辺に、帯電ローラー22Y、露光装置21Y、現像器24Y、1次転写ローラー25Y、ドラム清掃ブレード27Yが、感光体ドラム23Yの回転方向に沿って順に配置される。
【0045】
感光体ドラム23Yは、帯電ローラー22Yによって帯電された後、露光装置21Yが発光するレーザー光が照射される。露光装置21Yは、感光体ドラム23Yの表面の画像対応部を露光する。これにより、感光体ドラム23Yに静電潜像が形成される。続いて、現像器24Yが、感光体ドラム23Yに形成された静電潜像を帯電したトナーで現像する。具体的には、感光体ドラム23Yに形成された静電潜像上に電界力の作用でトナーが載せられることにより、トナー像が感光体ドラム23Yに形成される。感光体ドラム23Y上に形成されたトナー像は、像担持体である中間転写ベルト30上に1次転写ローラー25Yにより電界力の作用で転写される。感光体ドラム23Y上で転写されずに残ったトナーは、ドラム清掃ブレード27Yにより感光体ドラム23Yから除去される。
【0046】
一方、中間転写ベルト30は、駆動ローラー33と従動ローラー34とにより弛まないように懸架されている。駆動ローラー33が
図2中で反時計回りに回転すると、中間転写ベルト30が所定の速度で図中反時計回りに回転する。中間転写ベルト30の回転に伴って、従動ローラー34が、反時計回りに回転する。
【0047】
これにより、画像形成ユニット20Y,20M,20C,20Kが、順に中間転写ベルト30上にトナー像を転写する。画像形成ユニット20Y,20M,20C,20Kそれぞれが、中間転写ベルト30上にトナー像を転写するタイミングは、中間転写ベルト30に付された基準マークの検出に基づいて、調整される。これにより、イエロー、マゼンタ、シアンおよびブラックのトナー像が中間転写ベルト30上に重畳される。
【0048】
中間転写ベルト30に形成されたトナー像は、転写部材である2次転写ローラー26によって電界力の作用で用紙に転写される。タイミングローラー31により搬送される用紙は、中間転写ベルト30と2次転写ローラー26とが接するニップ部に搬送される。トナー像が転写された用紙は、定着ローラー32に搬送され、定着ローラー32により加熱および加圧される。これにより、トナーが溶かされて用紙に定着する。その後、用紙は排紙トレイ39に排出される。
【0049】
中間転写ベルト30の画像形成ユニット20Yの上流に、ベルト清掃ブレード28が設けられている。ベルト清掃ブレード28は、中間転写ベルト30上で用紙に転写されずに残ったトナーを除去する。
【0050】
給紙カセット35,35Aには、それぞれサイズの異なる用紙がセットされている。給紙カセット35,35Aそれぞれに収容された用紙は、給紙カセット35,35Aにそれぞれ取付けられている取出ローラー36,36Aにより、搬送経路へ供給され、給紙ローラー37によりタイミングローラー31へ送られる。
【0051】
MFP100は、フルカラーの画像を形成する場合、画像形成ユニット20Y,20M,20C,20Kのすべてを駆動するが、モノクロの画像を形成する場合、画像形成ユニット20Y,20M,20C,20Kのいずれか1つを駆動する。また、画像形成ユニット20Y,20M,20C,20Kの2以上を組み合わせて画像を形成することもできる。なお、ここでは、MFP100は、用紙に4色のトナーそれぞれを形成する画像形成ユニット20Y,20M,20C,20Kを備えたタンデム方式を採用する例について説明するが、1つの感光体ドラムで4色のトナーを順に用紙に転写する4サイクル方式を採用してもよい。
【0052】
本実施の形態におけるMFP100は、トナー収容容器41Y、41M,41C,41Kそれぞれは、容器格納部41に格納される。
【0053】
図3は、本発明の実施の形態の1つにおけるMFPの外観を示す第2の斜視図である。
図3を参照して、MFP100は、本体ケースの一部を構成し、本体内部を露出するカバー部材50を備える。
図3においては、カバー部材50を開いた全開状態におけるMFP100を示している。カバー部材50は、全開状態において、画像形成部140の容器格納部41を外部に露出させる。カバー部材50は、画像形成ユニット20Y,20M,20C,20Kを外部に露出させない。このため、カバー部材50が全開状態において、画像形成部140は、画像形成動作を実行するように設定されている。したがって、画像形成部140が像形成動作中に、カバー部材50が閉状態から全開状態になっても、画像形成部140が画像形成動作を中断することなく継続する。また、カバー部材50が全開状態において、容器格納部41が露出するので、ユーザーは、トナー収容容器41Y、41M,41C,41Kの少なくとも1つを交換することができる。
【0054】
図4は、MFPにおいてトナー収容容器を交換する様子を示す図である。
図4を参照して、トナー収容容器41Yは、MFP100の容器格納部41から正面方向に引き出されることにより、MFP100から離脱される。その後、新たなトナー収容容器41YがMFP100の容器格納部41に背面方向に押し込まれることにより、MFP100に装着される。正面方向は、背面から正面に向かう水平な方向である。背面方向は、正面から背面に向かう水平な方向である。
【0055】
トナー収容容器41Y,41M,41C,41Kの構成はほぼ同じである。ここでは、一例としてトナー収容容器41Yについて説明する。また、トナー収容容器41YがMFP100に装着された状態でMFP100の正面側となるトナー収容容器41Yの側面を正面といい、MFP100の背面側となるトナー収容容器41Yの側面を背面という。
【0056】
図5は、トナー収容容器の内部を示す図である。
図6は、MFPに装着される前の状態におけるトナー収容容器の縦断面図である。
図7は、
図6のA-A線断面図である。
図8は、MFPに装着された状態におけるトナー収容容器の縦断面図である。
図9は、
図8のA-A線断面図である。
図6および
図8において、図面左側がトナー収容容器41Yの正面であり、図面右側がトナー収容容器41Yの背面である。
【0057】
図5~
図9を参照して、トナー収容容器41Yは、トナーを収容する収容部411と、搬送部材421と、傾斜面425と、排出口427と、蓋部429と、駆動ギア431と、スライド部435と、を含む。
【0058】
収容部411は、天井部412、正面部413A、背面部413B、側面部413Cおよび底部414を有する。底部414は、円筒を回転対称軸を含む面で切断した形状である。天井部412、正面部413A、背面部413B、側面部413Cそれぞれは平板の形状である。収容部411は、天井部412、正面部413A、背面部413B、側面部413Cおよび底部414で囲まれた収容空間を形成する。収容部411に形成される収容空間にトナーが収容される。本実施の形態においては、底部414がトナーの搬送経路を定め、トナーの搬送方向は、背面側から正面側としている。したがって、収容部411に収容されるトナーは、底部414に沿って背面側から正面側に移動する。
【0059】
底部414の正面部413Aから所定の距離の間に傾斜面425が形成されている。傾斜面425は、トナーの搬送経路と交わる。このため、収容部411の内壁は、トナーの搬送経路の方向と平行な面と、トナーの搬送経路と交わる傾斜面415とを含む。傾斜面425は、収容部411の底部414に形成され、底部414の傾斜面425とは別の部分から上方に傾斜する。傾斜面425は、水平方向から上方に傾く面である。
【0060】
なお、傾斜面425は、水平方向から下方に傾く面でもよい。また、傾斜面415は、底部414の正面部413Aと背面部413Bとの間の任意の位置に形成されてもよい。例えば、傾斜面415は、底部414の背面部413Bから所定の距離の間に形成されてもよい。さらに、傾斜面415は、底部414の正面部413Aおよび背面部413Bそれぞれから離れた位置に形成されてもよい。この場合は、傾斜面415は、水平方向から下方に傾いた部分と、水平方向から上方に傾いた部分とで構成される。
【0061】
底部414の傾斜面425の一部に外部に開放された排出口427が形成される。トナー収容容器41YがMFP100に装着された状態において、傾斜面425は、正面側が背面側よりも高く、正面側から背面側に向かって下方に傾斜する。傾斜面425の傾斜角度は、安息角より大きくするのが好ましい。これにより、傾斜面425にトナーが残存しないようにできる。安息角は、トナー収容容器41Yに収容されるトナーに対して実験により計測される値である。
【0062】
また、収容部411に形成される収容空間に搬送部材421が配置される。搬送部材421は、トナーの搬送経路に沿って配置される。具体的には、搬送部材421は、底部414の背面部413Bから正面部413Aに至る長さを有する。搬送部材421は、背面側の端部に回転軸422が形成されており、回転軸422は収容部411により軸支される。回転軸422の端部は駆動ギア431と結合される。駆動ギア431は、MFP100にトナー収容容器41Yが装着された状態で、MFP100に設けられたトナー収容容器モーターから回転力が伝達され、回転する。
【0063】
搬送部材421は、回転軸422を延長した中心線の周りに螺旋状に巻かれたコイル状の形状である。搬送部材421は、金属製の線材であり、ここでは、ステンレスとしている。したがって、搬送部材421は、弾性を有する。なお、搬送部材421は、弾性を有すれば、金属製に限らず、他の素材を用いてもよい。例えば、搬送部材421は、樹脂で形成されてもよい。
【0064】
駆動ギア431が回転すると、搬送部材421の回転軸422が回転するので、搬送部材421が回転する。搬送部材421は中心線の周りに螺旋状に巻かれたコイル状の形状なので、収容部411に収容されたトナーが背面から正面に向かう方向の力を搬送部材421から受け、搬送経路に沿って背面から正面に向かう搬送方向に搬送される。背面から正面に搬送されるトナーは、排出口427からトナー収容容器41Yの外部に重力によって排出される。搬送部材421は、収容部411の収容空間の背面から正面に至る長さを有するので、収容部411の収容空間に収容されたトナーを搬送することができる。
【0065】
搬送部材421により搬送されて正面部413A近傍に到達するトナーは傾斜面425に到達する。傾斜面425は、正面から背面に向かって下方に傾斜するので、トナーは重力で搬送方向と逆の正面から背面に向かう方向の力を受ける。このため、傾斜面425にトナーが蓄積されないので、傾斜面415に到達したトナーが収容部411に残存しないようにできる。
【0066】
搬送部材421は、収容部411の収容空間において背面部413Bから正面部413Aに至るトナーの搬送経路に沿って配置される。また、傾斜面425は、水平方向から上方に傾く面なので、搬送部材421の回転軸422から延びる中心線からの距離が底部414の他の部分より短い。搬送部材421において底部414の傾斜面425に対応する部分の外径は、傾斜面425に対応する部分以外の部分の外径よりも小さい。具体的には、搬送部材421の半径は、中心線から収容部411の内壁までの距離以下に設定される。このため、搬送部材421が回転軸422から延びる中心線を中心に回転した場合に、搬送部材421が傾斜面425と干渉しないようにできる。このため、搬送部材421を傾斜面425に積載されたトナーに接触させることができる。
【0067】
また、搬送部材421の排出口427近傍の部分のピッチは、他の部分のピッチよりも小さい。搬送部材421の排出口427近傍の部分のピッチは、他の部分のピッチの67%以下であるのが好ましい。このため、排出口427の近傍におけるトナーの搬送能力が他の部分より高くなるので、トナーを排出口427に効率的に搬送することができる。
【0068】
搬送部材421の回転軸422が設けられる端部と反対側の端部は自由端である。搬送部材421は弾性を有するので、搬送部材421の回転軸422が駆動ギア431から回転力を受けて回転する場合、搬送部材421は回転軸422から延びる中心線を中心に回転しない場合がある。搬送部材421が中心線を中心に回転しない場合、搬送部材421が回転している間に、搬送部材421が上下左右に移動して収容部411の内壁に衝突する。搬送部材421が収容部411の内壁に衝突することにより、搬送部材421に付着したトナーが搬送部材421から離脱する。
【0069】
特に、本実施の形態においては、搬送部材421は、回転軸422と反対側の端部から背面方向に向かって延びる錘部423を有する。このため、搬送部材421の重心が回転軸422から延びる中心線からずれる量が大きくなるので、搬送部材421の移動量を大きくすることができる。
【0070】
3つの規制部材433は、収容部411の天井部412から搬送部材421に向かって延びる平板である。ここでは、3つの規制部材433は、収容部411の天井部412から下方に延びる平板である。3つの規制部材433は、搬送部材421が回転する間、搬送部材421の天井部412側への移動量を規制する。このため、搬送部材421の上方への移動量が制限される。これにより、搬送部材421の回転を妨げる要因が大きくなりすぎないようにできる。また、3つの規制部材433にトナーが付着する場合であっても、搬送部材421が回転する間に、搬送部材421が3つの規制部材433に衝突するので、3つの規制部材433に付着したトナーを3つの規制部材433から離脱させることができる。
【0071】
3つの規制部材433それぞれの搬送部材421の中心線と平行な方向の長さLは、搬送部材421のピッチPより小さい。このため、規制部材433の表面積をできるだけ小さくすることができる。これにより、3つの規制部材433それぞれに付着するトナーの量をできるだけ少なくすることができる。また、3つの規制部材433の間隔Sは、搬送部材421の外径Dの2倍より大きい。換言すれば、3つの規制部材433の間隔Sは、搬送部材421の中心線から収容部411の内壁までの距離の4倍より大きい。これにより、搬送部材421が回転する間の搬送部材421の上下方向に移動する量を適切な値に制限することができる。
【0072】
図10は、蓋部が閉塞状態におけるトナー収容容器の一部を示す斜視図である。
図11は、蓋部が開放状態におけるトナー収容容器の一部を示す斜視図である。
図6、
図8、
図10および
図11を参照して、スライド部435は、トナー収容容器41YがMFP100に装着される前は、バネにより付勢されて、
図6および
図10に示す閉塞位置に位置する。スライド部435が閉塞位置にあるとき、蓋部429がスライド部435により持ち上げられて排出口427を閉塞した閉塞状態となる。
【0073】
トナー収容容器41YがMFP100に装着される途中で、スライド部435がMFP100の本体フレームの一部に引っかかり、ユーザーによりトナー収容容器41Yが押される力がスライド部435がバネから受ける付勢力に打ち勝ってスライド部435が移動を開始する。そして、トナー収容容器41YがMFP100に装着された段階で、
図8および
図11に示す開放位置まで移動する。スライド部435が開放位置にあるとき、蓋部429は、スライド部435により規制されなくなるので、重力により回転して、排出口427を開放した開放状態となる。
【0074】
さらに、トナー収容容器41YがMFP100から離脱される場合、スライド部435とMFP100の本体フレームの一部との引っかかりが解除される。このため、スライド部435は、バネにより付勢されて
図6および
図10に示す閉塞位置に位置する。スライド部435が閉塞位置にあるとき、蓋部429がスライド部435により持ち上げられて排出口427を閉塞した閉塞状態となる。このため、トナー収容容器41YがMFP100から離脱させても、トナーがトナー収容容器41Yからこぼれないようにできる。このように、トナー収容容器41YのMFP100への着脱に連動して、蓋部429を開放状態と閉塞状態とに状態を変化させることができる。
【0075】
以上説明したように本実施の形態におけるトナー収容容器41Yは、外部に開放される排出口427が形成されており、トナーを収容する収容部411と、トナーの搬送経路に沿って配置され、搬送経路の方向の一端に設けられた回転軸422が収容部411に軸支された搬送部材421と、を備え、搬送部材421は、搬送経路の方向の他端が自由端である。このため、回転軸422に回転力が加わると搬送部材421が回転するが、他端が自由端なので搬送部材421が収容部411の内部で移動する。このため、搬送部材421が収容部411に衝突する衝撃で搬送部材421に付着したトナーが離脱する。その結果、簡単な構成で排出されずに残るトナーを減少させることができる。
【0076】
また、収容部411の内壁から搬送部材421に向かって延びる規制部材433を、さらに備える。規制部材433が収容部411の天井部412から下方に延びるので、搬送部材421が移動する量が制限される。このため、トナーを効率的に搬送することができる。
【0077】
また、3つの規制部材433がトナーの搬送経路の方向に並んで配置される。このため、規制部材433のサイズを小さくして、トナーが付着する面積を小さくすることができる。
【0078】
また、3つの規制部材433が配置される間隔は、回転軸422から延びる中心線から収容部411の内壁までの距離の4倍以下である。このため、搬送部材421が回転する間の搬送部材421の移動量を効率的に規制することができる。
【0079】
また、搬送部材421は、回転軸422から延びる中心線の周りに螺旋状に巻かれたコイル形状である。このため、搬送部材421が回転することにより、トナーを搬送経路に沿って搬送することができる。
【0080】
3つの規制部材433のトナーの搬送経路と平行な方向の長さLは、搬送部材421のピッチより短い。このため、3つの規制部材433の面積を小さくして、3つの規制部材433それぞれに付着するトナーの量を少なくすることができる。
【0081】
また、収容部411の内壁は、トナーの搬送経路と交わる傾斜面425を含み、搬送部材421は、傾斜面425に対応する部分の外径が他の部分の外径と異なる。また、傾斜面425は、収容部411の底部414に形成され、底部414の傾斜面425とは別の部分から上方に傾斜する。このため、収容部411の内壁が傾斜面425を含むので、収容部411の傾斜面425にトナーが残留しないようにできる。また、搬送部材421の傾斜面425に対応する部分の外径が他の部分の外径と異なるので、搬送部材421が傾斜面425に存在するトナーと接触するようにできる。
【0082】
また、搬送部材421の外径は、搬送部材421の回転軸422から延びる中心線から収容部411の内壁までの距離以下である。このため、搬送部材421を収容部411と干渉することなく回転させることができる。
【0083】
また、排出口427が、傾斜面425に形成されるので、排出口427からトナーが排出されやすくできる。
【0084】
また、搬送部材421のピッチは、排出口427の近傍のピッチが他の部分のピッチよりも小さい。このため、排出口427の近傍の搬送部材421の搬送能力が他の部分よりも高くなるので、効率的にトナーを排出口427から排出させることができる。
【0085】
また、傾斜面425の傾斜角度は安息角より大きいので、傾斜面425にトナーが滞留しないようにできる。
【0086】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0087】
100 MFP、41Y,41M,41C,41K トナー収容容器、411 収容部、412 天井部、413A 正面部、413B 背面部、413C 側面部、414 底部、421 搬送部材、422 回転軸、423 錘部、425 傾斜面、427 排出口、429 蓋部、431 駆動ギア、433 規制部材、435 スライド部。