(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-08
(45)【発行日】2024-05-16
(54)【発明の名称】用紙搬送装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
B65H 31/26 20060101AFI20240509BHJP
G03G 21/16 20060101ALI20240509BHJP
【FI】
B65H31/26
G03G21/16 195
(21)【出願番号】P 2020013239
(22)【出願日】2020-01-30
【審査請求日】2022-12-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤枝 元幸
【審査官】鵜飼 博人
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-047019(JP,A)
【文献】特開2000-095421(JP,A)
【文献】特開2019-131303(JP,A)
【文献】特開2000-272811(JP,A)
【文献】特開2005-140806(JP,A)
【文献】特開2014-048530(JP,A)
【文献】特開2009-091094(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 31/00- 31/40
G03G 13/00
G03G 15/00
G03G 21/16- 21/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙を搬送する搬送部と、
前記搬送部により搬送された用紙を排出する排紙部と、
前記排紙部
に対して前記搬送部による前記用紙の搬送方向の下流側の下方に設けられ、前記排紙部により排出された用紙を積載する用紙積載部と、
を備え、
前記用紙積載部に
対して、前記用紙の幅方向を規制する規制部材
が前記幅方向に複数
配置され、
前記規制部材同士の対向する面には、
上下方向に延在する複数のリブが
前記搬送方向における所定領域に設けられ、
前記搬送方向に対して前記所定領域より下流側の領域には前記リブが設けられておらず、
前記複数のリブの上端部が前記排紙部より下方に位置することを特徴とする用紙搬送装置。
【請求項2】
前記規制部材に対する前記リブ
の上端部が
上方に向けて鋭角で形成されていることを特徴とする請求項
1に記載の用紙搬送装置。
【請求項3】
前記リブは、前記規制部材の上端部よりも低い位置から形成されていることを特徴とする請求項1
又は2に記載の用紙搬送装置。
【請求項4】
前記リブは、前記搬送方向の最下流のリブの上端部が最も低く、最上流のリブの上端部が最も高いことを特徴とする請求項1~
3のいずれか一項に記載の用紙搬送装置。
【請求項5】
前記規制部材は、上端部が鋭角で形成されていることを特徴とする請求項1~
4のいずれか一項に記載の用紙搬送装置。
【請求項6】
前記排紙部よりも前記搬送方向の上流側には、前記用紙を断裁する断裁部が設けられていることを特徴とする請求項1~
5のいずれか一項に記載の用紙搬送装置。
【請求項7】
前記断裁部は、複数設けられ、
前記排紙部は、前記搬送方向の最下流の断裁部の直後に配置されていることを特徴とする請求項
6に記載の用紙搬送装置。
【請求項8】
前記排紙部の直後に設けられ、前記排紙部により排出された用紙を前記用紙積載部に向けてガイドするガイド部材と、
前記用紙の条件に基づいて、前記ガイド部材を回動させる回動制御部と、
を備えることを特徴とする請求項1~
7のいずれか一項に記載の用紙搬送装置。
【請求項9】
前記条件は、坪量を含むことを特徴とする請求項
8に記載の用紙搬送装置。
【請求項10】
前記回動制御部は、前記坪量が大きいほど前記ガイド部材
の上流端側を下方に向けて回動させることを特徴とする請求項
9に記載の用紙搬送装置。
【請求項11】
前記条件は、カール方向及びカール量を含むことを特徴とする請求項
8~
10のいずれか一項に記載の用紙搬送装置。
【請求項12】
前記回動制御部は、上凸方向に前記カール量が大きいほど前記ガイド部材
の上流端側を下方に向けて回動させることを特徴とする請求項
11に記載の用紙搬送装置。
【請求項13】
前記規制部材は、前記幅方向に3つ以上設けられていることを特徴とする請求項1~
12のいずれか一項に記載の用紙搬送装置。
【請求項14】
前記規制部材は、前記幅方向に移動可能であることを特徴とする請求項1~
13のいずれか一項に記載の用紙搬送装置。
【請求項15】
前記用紙積載部の前記搬送方向の下流側には、前記用紙の先端を規制する先端規制部材が設けられていることを特徴とする請求項1~
14のいずれか一項に記載の用紙搬送装置。
【請求項16】
前記先端規制部材は、前記搬送方向に移動可能であることを特徴とする請求項
15に記載の用紙搬送装置。
【請求項17】
用紙に画像を形成する画像形成部と、
前記画像形成部により前記画像が形成された用紙を搬送する請求項1~
16のいずれか一項に記載の用紙搬送装置と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項18】
前記用紙搬送装置に対して前記搬送方向の下流側に配置されたフィニッシャーを備えることを特徴とする請求項17に記載の画像形成装置。
【請求項19】
前記搬送部が、前記用紙積載部に向けて用紙を搬送する経路1と、前記フィニッシャーに向けて用紙を搬送する経路2とを有することを特徴とする請求項18に記載の画像形成装置。
【請求項20】
前記経路1が前記経路2の下方に位置することを特徴とする請求項19に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、用紙搬送装置及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、用紙上に画像を形成する画像形成装置が知られている。上記の画像形成装置において、排紙トレイ等の用紙積載部上に積載される用紙は、用紙の片寄り等により、揃い性(整列性)が悪化したり、JAMが発生したりすることがある。
【0003】
特に、本体部により画像が形成された用紙PAをFD方向やCD方向にカットして、名刺やカードなどの小さいサイズの成果物(用紙)Pを作成する断裁処理(
図13参照)を施す後処理装置においては、1列につき複数枚(
図13では4枚)の用紙Pが作成されるため、用紙積載部は全ての用紙Pを収容可能である必要がある。また、用紙積載部は、ユーザビリティの観点からある程度の整列性の確保と隣り合う用紙P同士の混合を防止する必要がある。そこで、用紙積載部23に、用紙Pの幅方向を仕切るための仕切り板232が設けられた構成が用いられる(
図14参照)。
しかしながら、上記の仕切り板232を設けた構成では、排紙ローラー22による排紙時の用紙Pの片寄り等により仕切り板232との間で摩擦が発生し、用紙Pの寄りかかりが発生する(
図15参照)ため、用紙Pの不揃いやJAMが発生するという課題がある。
【0004】
そこで、用紙と仕切り板の接触面積を低減して摩擦力を軽減するために、仕切り板にリブを設けた構成が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1記載の構成では、用紙Pがスキューした場合に、用紙Pの先端がリブ233に引っ掛かるため(
図16参照)、用紙Pにダメージや不揃いが発生するという課題がある。
【0007】
本発明は、簡易な構成で排紙品質を向上させることが可能な用紙搬送装置及び画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の発明は、上記目的を達成するためになされたものであり、
用紙を搬送する搬送部と、
前記搬送部により搬送された用紙を排出する排紙部と、
前記排紙部に対して前記搬送部による前記用紙の搬送方向の下流側の下方に設けられ、前記排紙部により排出された用紙を積載する用紙積載部と、
を備え、
前記用紙積載部に対して、前記用紙の幅方向を規制する規制部材が前記幅方向に複数配置され、
前記規制部材同士の対向する面には、上下方向に延在する複数のリブが前記搬送方向における所定領域に設けられ、前記搬送方向に対して前記所定領域より下流側の領域には前記リブが設けられておらず、
前記複数のリブの上端部が前記排紙部より下方に位置することを特徴とする。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の用紙搬送装置において、
前記規制部材に対する前記リブの上端部が上方に向けて鋭角で形成されていることを特徴とする。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の用紙搬送装置において、
前記リブは、前記規制部材の上端部よりも低い位置から形成されていることを特徴とする。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項1~3のいずれか一項に記載の用紙搬送装置において、
前記リブは、前記搬送方向の最下流のリブの上端部が最も低く、最上流のリブの上端部が最も高いことを特徴とする。
【0013】
請求項5に記載の発明は、請求項1~4のいずれか一項に記載の用紙搬送装置において、
前記規制部材は、上端部が鋭角で形成されていることを特徴とする。
【0014】
請求項6に記載の発明は、請求項1~5のいずれか一項に記載の用紙搬送装置において、
前記排紙部よりも前記搬送方向の上流側には、前記用紙を断裁する断裁部が設けられていることを特徴とする。
【0015】
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の用紙搬送装置において、
前記断裁部は、複数設けられ、
前記排紙部は、前記搬送方向の最下流の断裁部の直後に配置されていることを特徴とする。
【0016】
請求項8に記載の発明は、請求項1~7のいずれか一項に記載の用紙搬送装置において、
前記排紙部の直後に設けられ、前記排紙部により排出された用紙を前記用紙積載部に向けてガイドするガイド部材と、
前記用紙の条件に基づいて、前記ガイド部材を回動させる回動制御部と、
を備えることを特徴とする。
【0017】
請求項9に記載の発明は、請求項8に記載の用紙搬送装置において、
前記条件は、坪量を含むことを特徴とする。
【0018】
請求項10に記載の発明は、請求項9に記載の用紙搬送装置において、
前記回動制御部は、前記坪量が大きいほど前記ガイド部材の上流端側を下方に向けて回動させることを特徴とする。
【0019】
請求項11に記載の発明は、請求項8~10のいずれか一項に記載の用紙搬送装置において、
前記条件は、カール方向及びカール量を含むことを特徴とする。
【0020】
請求項12に記載の発明は、請求項11に記載の用紙搬送装置において、
前記回動制御部は、上凸方向に前記カール量が大きいほど前記ガイド部材の上流端側を下方に向けて回動させることを特徴とする。
【0021】
請求項13に記載の発明は、請求項1~12のいずれか一項に記載の用紙搬送装置において、
前記規制部材は、前記幅方向に3つ以上設けられていることを特徴とする。
【0022】
請求項14に記載の発明は、請求項1~13のいずれか一項に記載の用紙搬送装置において、
前記規制部材は、前記幅方向に移動可能であることを特徴とする。
【0023】
請求項15に記載の発明は、請求項1~14のいずれか一項に記載の用紙搬送装置において、
前記用紙積載部の前記搬送方向の下流側には、前記用紙の先端を規制する先端規制部材が設けられていることを特徴とする。
【0024】
請求項16に記載の発明は、請求項15に記載の用紙搬送装置において、
前記先端規制部材は、前記搬送方向に移動可能であることを特徴とする。
【0025】
請求項17に記載の発明は、
画像形成装置において、
用紙に画像を形成する画像形成部と、
前記画像形成部により前記画像が形成された用紙を搬送する請求項1~16のいずれか一項に記載の用紙搬送装置と、
を備えることを特徴とする。
請求項18に記載の発明は、
請求項17に記載の画像形成装置において、
前記用紙搬送装置に対して前記搬送方向の下流側に配置されたフィニッシャーを備えることを特徴とする。
請求項19に記載の発明は、
請求項18に記載の画像形成装置において、
前記搬送部が、前記用紙積載部に向けて用紙を搬送する経路1と、前記フィニッシャーに向けて用紙を搬送する経路2とを有することを特徴とする。
請求項20に記載の発明は、
請求項19に記載の画像形成装置において、
前記経路1が前記経路2の下方に位置することを特徴とする。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、簡易な構成で排紙品質を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本実施形態に係る画像形成装置の概略構成を示す図である。
【
図2】本実施形態に係る画像形成装置の制御構造を示す機能ブロック図である。
【
図5】スキューして排出された用紙がバッファに突入する様子の一例を示す平面図である。
【
図9】ガイド部材を設けた構成を示す側面図である。
【
図10】仕切り板を3つ以上設けた構成を示す平面図である。
【
図11】仕切り板及びエンドフェンスを移動可能にした構成を示す平面図である。
【
図12】複数のリブを搬送方向の下流側に傾いた所定方向のみに延在させるようにした構成を示す断面図である。
【
図13】用紙に断裁処理が施された様子の一例を示す平面図である。
【
図14】用紙積載部に仕切り板が設けられた構成の一例を示す平面図である。
【
図15】用紙積載部において用紙の寄りかかりが発生した様子の一例を示す側面図である。
【
図16】用紙積載部において用紙の先端がリブに引っ掛かった様子の一例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0029】
本実施形態に係る画像形成装置1は、
図1及び
図2に示すように、本体部10と、リレーユニットRUと、用紙搬送装置としての後処理装置20と、フィニッシャーFSと、を備えて構成されている。
【0030】
本体部10は、原稿から画像を読み取って得られた画像データ、又は、外部装置から受信した画像データに基づいて、電子写真方式によりカラー画像を形成する。画像形成された用紙は、排紙ローラーR1によりリレーユニットRUへと排出される。
本体部10は、
図1及び
図2に示すように、操作部11と、表示部12と、原稿読取ユニット13と、画像形成部14と、給紙部15と、画像形成制御部16と、記憶部17と、コントローラーIF(Inter Face)18と、画像処理部19と、を備えて構成されている。
【0031】
操作部11は、表示部12の表示画面上を覆うように形成されたタッチパネルや、数字ボタン、スタートボタン等の各種操作ボタンを備え、ユーザーの操作に基づく操作信号を画像形成制御部16に出力する。
【0032】
表示部12は、LCD(Liquid Crystal Display)により構成され、画像形成制御部16から入力される表示信号の指示に従って各種画面を表示する。
【0033】
原稿読取ユニット13は、ADF(自動原稿給紙装置)、スキャナー等を備え、原稿の画像を読み取って得られた画像データを画像形成制御部16に出力する。
【0034】
画像形成部14は、画像処理部19により画像処理が行われた画像データに基づいて、給紙部15から供給された用紙上に画像を形成する。
画像形成部14は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色に対応する感光体ドラム141Y,141M,141C,141K、中間転写ベルト142、2次転写ローラー143、定着部144等を備えて構成されている。
【0035】
感光体ドラム141Yは、一様に帯電された後、イエロー色の画像データに基づいてレーザービームにより走査露光され、静電潜像が形成される。そして、感光体ドラム141Y上の静電潜像にイエロー色のトナーが付着され、現像が行われる。
感光体ドラム141M,141C,141Kについても、扱う色が異なることを除いて、感光体ドラム141Yと同様であるため、説明を省略する。
【0036】
感光体ドラム141Y,141M,141C,141K上に形成された各色のトナー像は、回転する中間転写ベルト142上に逐次転写される(1次転写)。すなわち、中間転写ベルト142上には、4色のトナー像が重ね合わされたカラートナー像が形成される。
中間転写ベルト142上のカラートナー像は、2次転写ローラー143により、用紙上に一括して転写される(2次転写)。
【0037】
定着部144は、カラートナー像が転写された用紙を加熱する加熱ローラー、当該用紙を加圧する加圧ローラーを備え、加熱・加圧によりカラートナー像を用紙に定着させる。
【0038】
給紙部15は、給紙トレイT11~T13を備え、画像形成部14に用紙を供給する。各給紙トレイT11~T13には、給紙トレイごとに予め定められた紙種やサイズの用紙が収納されている。
【0039】
画像形成制御部16は、CPU、ROM、メモリーを備えて構成される。
CPUは、ROMに記憶されている各種処理プログラムを読み出し、当該プログラムに従って、本体部10の各部の動作を集中制御する。また、CPUは、出力された用紙に対して後処理を行う場合には、後処理装置20に所定の後処理を実行する指示を出す。
ROMは、不揮発性の半導体メモリー等により構成され、各種処理プログラム、当該プログラムの実行に必要なパラメーターやファイル等を記憶している。
メモリーは、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等により構成され、プログラムや各種画像処理に係る画像データ等の各種データを一時的に記憶する。
【0040】
記憶部17は、プログラムや画像データ等の各種データを記憶するHDD(Hard Disk Drive)、半導体メモリー等の不揮発性の記憶装置である。記憶部17には、プログラムデータや各種設定データ等のデータを画像形成制御部16から読み書き可能に記憶する。
【0041】
コントローラーIF18は、外部装置から入力される画像データを受信する。
【0042】
画像処理部19は、記憶部17に記憶された画像データ、原稿読取ユニット13により原稿から画像を読み取って得られた画像データ、外部装置から入力された画像データに必要な画像処理を行い、画像処理後の画像データを画像形成部14に送信する。画像処理には、階調処理、中間調処理、色変換処理等が含まれる。階調処理は、画像データの各画素の階調値を、用紙上に形成された画像の濃度特性が目標の濃度特性と一致するように補正された階調値に変換する処理である。中間調処理は、誤差拡散処理、組織的ディザ法を用いたスクリーン処理等である。色変換処理は、RGBの各階調値をCMYKの各階調値に変換する処理である。
【0043】
リレーユニットRUは、本体部10と後処理装置20との間に設置され、本体部10から搬送されてくる用紙の搬送スピードと同期をとる機能を備える。
【0044】
後処理装置20は、リレーユニットRUから出力された用紙に、必要に応じて後処理を行う装置である。後処理としては、例えば、スリッター処理、ドブスリッター処理、CD断裁処理、クリース処理、FD/CDミシン処理等が挙げられる。後処理は必須ではなく、後処理装置20は、本体部10から指示された場合のみ実行する。後処理がない場合、後処理装置20は搬送された用紙をそのままフィニッシャーFSに搬送する。
【0045】
後処理装置20は、
図1及び
図2に示すように、搬送部21と、後処理モジュールM1~M4と、後処理モジュールM1~M4で名刺/カードのサイズに断裁された用紙(成果物)をバッファ23に排出する排紙ローラー(排紙部)22と、排紙ローラー22の下方に設けられ、排紙ローラー22により排出された用紙を一時的に積載するバッファ(用紙積載部)23と、バッファ23の下方に設けられ、バッファ23に一時的に積載された用紙が受け渡されるトレイ24と、後処理装置20からパージする用紙を積載するパージトレイ25と、後処理制御部26と、を備えて構成されている。
【0046】
搬送部21は、リレーユニットRUから搬送された用紙を後処理モジュールM1~M4に搬送し、後処理モジュールM1~M4で後処理が行われた用紙を各種トレイ(トレイ24、パージトレイ25)又はフィニッシャーFSに搬送する。
【0047】
後処理モジュールM1~M4は、搬送されてきた用紙に後処理を行う。
本実施形態において、最上流の後処理モジュールM1は、スリッターであり、後処理モジュールM2は、用紙にクリース(筋付)処理を行うためのクリーサーであり、後処理モジュールM3は、用紙をCD方向(幅方向)中央部で断裁(ドブ断ち)するためのドブスリッターであり、最下流の後処理モジュールM4は、CD断裁用のCDカッターである。
本実施形態では、特に、スリッター(後処理モジュールM1)、ドブスリッター(後処理モジュールM3)及びCDカッター(後処理モジュールM4)が、本発明の断裁部として機能する。排紙ローラー22は、搬送方向の最下流の断裁部(後処理モジュールM4)の直後に配置されている。
【0048】
バッファ23は、後処理装置20で名刺/カードのサイズに断裁された用紙を一時的に積載する。バッファ23の底面には、用紙の搬送方向上流側と下流側に開放される観音開き式のシャッター231(
図4参照)が設けられており、このシャッター231が開放されることで、バッファ23に一時的に積載された用紙が下方に落下して、トレイ24に積載される。なお、バッファ23とトレイ24の間には、用紙落下時の幅方向への移動を規制して、用紙をトレイ24にガイドする規制板G1(
図1参照)が設けられている。
【0049】
バッファ23には、
図3に示すように、用紙の幅方向を規制する仕切り板(規制部材)232が、幅方向に複数設けられている。
【0050】
仕切り板232同士の対向する面には、
図3及び
図4に示すように、鉛直方向に延在する複数のリブ233が設けられている。
【0051】
リブ233は、
図3及び
図4に示すように、搬送方向の上流側を含む所定領域E1とその他の領域との間で異なる状態で設けられている。具体的には、リブ233は、所定領域E1のみに設けられている。ここで、所定領域とは、排紙ローラー22により排出された用紙Pがバッファ23に突入する際、用紙Pと接触しない領域のことである。なお、用紙Pと接触しないとの表現は、仮に接触したとしても用紙Pの挙動に影響を与えない程度のごく軽度の接触を含むものである。
これにより、
図5に示すように、用紙Pがスキューして排出された場合であっても、用紙P先端の角がリブ233に引っ掛からないため、用紙Pに角折れや打痕などのダメージがつくことを抑制することができる。また、リブ233への引っ掛かりが原因の整合不良を抑制することができる。また、バッファ23に早く到達する用紙P先端側にリブ233が存在しないため、受け入れ部分の間口を広くすることができる。また、用紙P受け入れ後に用紙P後端側が落下しながらリブ233に沿って移動して対向するリブ233間に収まるため、整列性をよくすることができる。
【0052】
また、リブ233は、
図4に示すように、仕切り板232の上端部232aよりも低い位置(符号S1)から形成されている。
【0053】
また、リブ233は、
図6に示すように、上端部233aが鋭角で形成されている。特に、上端部233aが10°~20°で形成されていることが好ましい。上端部233aが10°未満の場合、リブ233が形成されていない状態と同様の状態となるため、用紙と仕切り板232との接触面積を低減させることができず、用紙と仕切り板232との間に発生する摩擦を低減させることができないからである。一方、上端部233aが20°を超える場合、用紙Pが下方に流れずに滞留してしまうため、寄りかかり等が発生してしまうからである。
【0054】
また、バッファ23の搬送方向の下流側には、
図3及び
図4に示すように、用紙の先端を規制するエンドフェンス(先端規制部材)234が設けられている。
これにより、用紙突入時に用紙とエンドフェンス234とが接触して用紙先端の位置が規制されるため、整列性を向上させることができる。
【0055】
後処理制御部26は、CPU、ROM、メモリーを備えて構成される。
CPUは、ROMに記憶されている各種処理プログラムを読み出し、当該プログラムに従って、後処理装置20の各部の動作を集中制御する。例えば、CPUは、本体部10の画像形成制御部16と情報の伝達を行う。
【0056】
フィニッシャーFSは、画像形成後の用紙に対して、ホチキス留めや紙折り、穴あけ等を行う機能を備えている。
【0057】
以上のように、本実施形態に係る画像形成装置1の用紙搬送装置(後処理装置20)は、用紙を搬送する搬送部21と、搬送部21により搬送された用紙を排出する排紙部(排紙ローラー22)と、排紙部の下方に設けられ、排紙部により排出された用紙を積載する用紙積載部(バッファ23)と、を備える。また、用紙積載部には、用紙の幅方向を規制する規制部材(仕切り板232)が、幅方向に複数設けられ、規制部材同士の対向する面には、鉛直方向に延在する複数のリブ233が設けられ、リブ233は、搬送方向の上流側を含む所定領域とその他の領域との間で異なる状態で設けられている。具体的には、リブ233は、所定領域のみに設けられている。
したがって、本実施形態に係る後処理装置20によれば、用紙がスキューして排出された場合であっても、用紙先端の角がリブ233に引っ掛からないため、用紙に角折れや打痕などのダメージがつくことを抑制することができる。また、バッファ23に早く到達する用紙先端側にリブ233が存在しないため、受け入れ部分の間口を広くすることができる。また、用紙受け入れ後に用紙後端側が落下しながらリブ233に沿って移動して対向するリブ233間に収まるため、整列性をよくすることができる。よって、簡易な構成で排紙品質を向上させることができる。
【0058】
また、本実施形態に係る後処理装置20によれば、リブ233は、上端部233aが鋭角で形成されている。
したがって、本実施形態に係る後処理装置20によれば、用紙後端側を下方にガイドしながら流すことができるので、スムーズに用紙を対向するリブ233間に収めることが可能となり、整列性をさらによくすることができる。
【0059】
また、本実施形態に係る後処理装置20によれば、リブ233は、規制部材の上端部232aよりも低い位置から形成されている。
したがって、本実施形態に係る後処理装置20によれば、バッファ23の上端部分にリブ233が存在しないため、受け入れ部分の間口をさらに広くすることができる。
【0060】
また、本実施形態に係る後処理装置20によれば、排紙部よりも搬送方向の上流側には、用紙を断裁する断裁部(後処理モジュールM1、M3、M4)が設けられている。
したがって、本実施形態に係る後処理装置20によれば、不揃いやJAMが発生しやすい、断裁後の用紙に対しても、角折れや打痕などのダメージがつくことを抑制したり、受け入れ部分の間口を広くしたり、整列性をよくしたりすることができるので、断裁後の用紙の排紙品質を向上させることができる。
【0061】
また、本実施形態に係る後処理装置20によれば、断裁部は、複数設けられ、排紙部は、搬送方向の最下流の断裁部(後処理モジュールM4)の直後に配置されている。
したがって、本実施形態に係る後処理装置20によれば、より複雑な断裁処理が施された用紙に対しても、角折れや打痕などのダメージがつくことを抑制したり、受け入れ部分の間口を広くしたり、整列性をよくしたりすることができるので、より確実に断裁後の用紙の排紙品質を向上させることができる。
【0062】
また、本実施形態に係る後処理装置20によれば、用紙積載部の搬送方向の下流側には、用紙の先端を規制する先端規制部材(エンドフェンス234)が設けられている。
したがって、本実施形態に係る後処理装置20によれば、用紙突入時に用紙とエンドフェンス234とが接触して用紙先端の位置を規制することができるので、整列性をさらに向上させることができる。
【0063】
以上、本発明に係る実施形態に基づいて具体的に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
【0064】
(変形例1)
例えば、上記実施形態では、リブ233の高さが等しくなるようにしているが、これに限定されるものではない。例えば、
図7に示すように、リブ233の上端部233aが、搬送方向の下流側から上流側に向かうにつれて徐々に高くなるようにしてもよい。すなわち、リブ233の高さを、搬送方向の最下流のリブ233の上端部233aが最も低く、最上流のリブ233の上端部233aが最も高くなるようにしてもよい。なお、
図7中の符号TR1は実施形態における突入許容範囲(突入時にリブ233と接触しない範囲)の境界付近を通過する用紙の軌跡を、符号TR2は変形例1における突入許容範囲の境界付近を通過する用紙の軌跡を、それぞれ示している。
上記のように、リブ233は、搬送方向の最下流のリブ233の上端部233aが最も低く、最上流のリブ233の上端部233aが最も高いことで、用紙受け入れの許容範囲を広くすることができるので、排紙時にスキューや片寄りがある場合であっても、排紙品質を向上させることができる。
【0065】
(その他の変形例)
また、上記実施形態では、リブ233の上端部233aを鋭角で形成するようにしているが、これに限定されるものではない。例えば、
図8に示すように、仕切り板232の上端部232aを鋭角で形成するようにしてもよい。
上記のように、規制部材は、上端部232aが鋭角で形成されていることで、受け入れ部分の間口(
図8中符号B1)を広くすることができるので、排紙時にスキューや片寄りがある場合であっても、排紙品質を向上させることができる。また、仕切り板232の上端部と用紙側縁部の接触時に、用紙を内側へガイドすることができるので、整列性をよくすることができる。
【0066】
また、
図9に示すように、排紙ローラー22の直後に、排紙ローラー22により排出された用紙をバッファ23に向けてガイドするガイド部材27を設けるようにしてもよい。このガイド部材27は、回動可能に構成されており、後処理装置20の後処理制御部26が、用紙の条件に基づいて、ガイド部材27を回動させることで、リブ233が形成されていない、間口が広い範囲E2へ用紙先端を案内することができる。すなわち、後処理制御部26は、本発明の回動制御部として機能する。
ここで、用紙の条件には、坪量や、カール方向及びカール量が含まれる。例えば、後処理制御部26は、用紙の坪量が大きいほどガイド部材27を時計回り(
図9中-方向)に大きく回動させるとともに、用紙の坪量が小さいほどガイド部材27を反時計回り(
図9中+方向)に大きく回動させる。また、後処理制御部26は、上凸方向にカール量が大きいほどガイド部材27を時計回り(
図9中-方向)に大きく回動させるとともに、下凸方向にカール量が大きいほどガイド部材27を反時計回り(
図9中+方向)に大きく回動させる。すなわち、後処理制御部26は、用紙の直進性が弱い条件のときほど、用紙の経路を妨げないように、ガイド部材27を時計回り(
図9中-方向)に大きく回動させるようにして、ガイド部材27と用紙が強く接触しない位置(角度)となるようにする。一方、後処理制御部26は、用紙の直進性が強い条件のときほど、用紙の直進を妨げるように、ガイド部材27を反時計回り(
図9中+方向)に大きく回動させるようにして、ガイド部材27と用紙が強く接触する位置(角度)となるようにする。
【0067】
上記のように、排紙部の直後に設けられ、排紙部により排出された用紙を用紙積載部に向けてガイドするガイド部材27と、用紙の条件に基づいて、ガイド部材27を回動させる回動制御部(後処理制御部26)と、を備えることで、リブ233が設けられていない、間口の広い範囲へ用紙先端を案内することができるので、角折れや打痕などのダメージがつくことを抑制したり、整列性をよくしたりすることが可能となり、より確実に排紙品質を向上させることができる。
また、上記のように、条件が、坪量やカール方向及びカール量を含み、回動制御部が、坪量が大きいほど、又は、上凸方向にカール量が大きいほど、ガイド部材27を時計回りに大きく回動させることで、用紙の直進性に応じて用紙の進路を調整することができるので、より確実に間口の広い範囲へ用紙先端を案内することができる。
【0068】
また、
図10に示すように、仕切り板232を、幅方向に3つ以上設けるようにしてもよい。
上記のように、規制部材を、幅方向に3つ以上設けることで、用紙の収容部を増やすことができるので、作成した全ての用紙を収容することができる。
【0069】
また、
図11に示すように、仕切り板232を、幅方向に移動可能に構成してもよいし、エンドフェンス234を、搬送方向に移動可能に構成してもよい。なお、仕切り板232やエンドフェンス234の移動は、手動であってもよいし、後処理制御部26による自動制御であってもよい。
上記のように、規制部材を、幅方向に移動可能に構成したり、先端規制部材を、搬送方向に移動可能に構成したりすることで、用紙のサイズに応じて収容部の広さを調整することができるので、多種多様な用紙に対して排紙品質を向上させることができる。
【0070】
また、上記実施形態では、複数のリブ233が鉛直方向に延在するように構成されているが、これに限定されるものではない。例えば、
図12に示すように、複数のリブ233を、鉛直方向に対して搬送方向の下流側に傾いた所定方向に延在するよう、構成してもよい。ここで、鉛直方向に対して搬送方向の下流側に傾いた所定方向とは、各リブ233の上端部が下端部よりも搬送方向の下流側にあるように構成される方向のことである。なお、この所定方向は、鉛直方向から0°~45°の角度(すなわち、
図12中の符号AN1が示す角度が0°~45°)に収まっていることが好ましい。これは、角度AN1が45°を超えてしまうと、用紙がリブに引っ掛かりやすくなってしまい、用紙にダメージや不揃いが発生してしまうからである。
【0071】
また、上記実施形態では、用紙搬送装置として、後処理装置20を例示して説明しているが、これに限定されるものではない。例えば、画像形成装置1が、本体部10のみ(後処理装置20、リレーユニットRU、フィニッシャーFSを含まない)の構成の場合、排紙ローラーR1を排紙部とし、排紙ローラーR1の下方に実施形態と同様の構成であるバッファ(用紙積載部)を新たに設けることで、画像形成装置1(本体部10)を、本発明の用紙搬送装置とすることも可能である。
【0072】
その他、画像形成装置を構成する各装置の細部構成及び各装置の細部動作に関しても、本発明の趣旨を逸脱することのない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0073】
1 画像形成装置
10 本体部
11 操作部
12 表示部
13 原稿読取ユニット
14 画像形成部
15 給紙部
16 画像形成制御部
17 記憶部
18 コントローラーIF
19 画像処理部
20 後処理装置(用紙搬送装置)
21 搬送部
22 排紙ローラー(排紙部)
23 バッファ(用紙積載部)
231 シャッター
232 仕切り板(規制部材)
232a 上端部
233 リブ
233a 上端部
234 エンドフェンス(先端規制部材)
24 トレイ
25 パージトレイ
26 後処理制御部(回動制御部)
M1、M3、M4 後処理モジュール(断裁部)
M2 後処理モジュール
G1 規制板
RU リレーユニット
FS フィニッシャー