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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-08
(45)【発行日】2024-05-16
(54)【発明の名称】振れ補正機能付き光学ユニット
(51)【国際特許分類】
   G03B 5/00 20210101AFI20240509BHJP
   H04N 23/55 20230101ALI20240509BHJP
   H04N 23/68 20230101ALI20240509BHJP
【FI】
G03B5/00 J
H04N23/55
H04N23/68
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020013456
(22)【出願日】2020-01-30
(65)【公開番号】P2021120688
(43)【公開日】2021-08-19
【審査請求日】2022-12-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000232302
【氏名又は名称】ニデック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100142619
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100125690
【弁理士】
【氏名又は名称】小平 晋
(74)【代理人】
【識別番号】100153316
【弁理士】
【氏名又は名称】河口 伸子
(72)【発明者】
【氏名】新井 努
(72)【発明者】
【氏名】南澤 伸司
(72)【発明者】
【氏名】須江 猛
(72)【発明者】
【氏名】佐齋 一宏
(72)【発明者】
【氏名】江川 智浩
(72)【発明者】
【氏名】岩瀬 敬之
(72)【発明者】
【氏名】田中 元紀
【審査官】登丸 久寿
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-173756(JP,A)
【文献】特開2008-134329(JP,A)
【文献】特開2010-152220(JP,A)
【文献】特開平09-073112(JP,A)
【文献】特開2013-246416(JP,A)
【文献】特開2013-246414(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 5/00
H04N 23/55
H04N 23/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カメラモジュールおよび当該カメラモジュールを外周側から囲む枠状のホルダを備える可動体と、
前記可動体の内側で前記カメラモジュールの光軸上に予め設定された揺動中心点を中心に前記可動体を揺動可能に支持する揺動支持機構と、
前記揺動支持機構を介して前記可動体を支持する固定体と、を有し、
前記ホルダは、放射状に突出する3以上の複数の突部を備え、
前記固定体は、複数の前記突部のそれぞれに外周側から接触する複数の円弧面、を備え、
前記揺動支持機構は、複数の前記突部と、複数の前記円弧面と、を備え、
前記円弧面は、前記揺動中心点を中心とする仮想の球面の一部を転写した凹曲面であり、
複数の前記突部のそれぞれは、同一の仮想平面に沿って突出するとともに、前記光軸と直交する方向に延びており、
前記固定体は、前記可動体を径方向外側から囲む枠状のケースを備え、
複数の前記円弧面は、前記固定体の径方向内側の面に設けられていることを特徴とする振れ補正機能付き光学ユニット。
【請求項2】
複数の前記突部は、3、または4つであり、前記ホルダの外周面に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の振れ補正機能付き光学ユニット。
【請求項3】
前記可動体を、前記光軸と交差する方向に揺動させる振れ補正用磁気駆動機構を有し、
前記振れ補正用磁気駆動機構は、前記ホルダおよび前記固定体の一方に固定された振れ補正用磁石と、前記ホルダおよび前記固定体の他方に固定されて前記振れ補正用磁石に対向する振れ補正用コイルと、を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の振れ補正機能付き光学ユニット。
【請求項4】
前記可動体を、前記光軸回りに揺動させるローリング補正用磁気駆動機構を有し、
前記ローリング補正用磁気駆動機構は、前記ホルダおよび前記固定体の一方に固定されたローリング補正用磁石と、前記ホルダおよび前記固定体の他方に固定されて前記ローリング補正用磁石に対向するローリング補正用コイルと、を備えることを特徴とする請求項
または2に記載の振れ補正機能付き光学ユニット。
【請求項5】
各突部の先端面は、各円弧面と、点で摺接可能であることを特徴とする請求項1からのうちのいずれか一項に記載の振れ補正機能付き光学ユニット。
【請求項6】
各突部の先端面は、各円弧面と、面で摺接可能であることを特徴とする請求項1からのうちのいずれか一項に記載の振れ補正機能付き光学ユニット。
【請求項7】
各突部の先端面または各円弧面は、凹凸を備え、
各突部の先端面および各円弧面の間には、グリスが塗布されていることを特徴とする請求項に記載の振れ補正機能付き光学ユニット。
【請求項8】
各突部の先端面には、各突部よりも硬度が高いコーティング層が設けられていることを特徴とする請求項に記載の振れ補正機能付き光学ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学ユニットの振れを補正する振れ補正機能付き光学ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
携帯端末や移動体に搭載される光学ユニットには、携帯端末や移動体の移動時の撮影画像の乱れを抑制するために、レンズを備える可動体を揺動或いは回転させて振れを補正する機構を備えるものがある。特許文献1には、この種の振れ補正機能付き光学ユニットが開示されている。
【0003】
特許文献1の振れ補正機能付き光学ユニットは、レンズおよび撮像素子を備えるカメラモジュールを備える可動体と、可動体を光軸に交差する方向に揺動可能に支持する支持機構と、支持機構を介して可動体を支持する固定体と、可動体を揺動させる振れ補正用駆動機構と、を備える。可動体は、カメラモジュールを光軸回りで囲む環状のバレルホルダを備える。支持機構は、バレルホルダの外周面に設けられた被支持面と、固定体に転動可能に保持されて被支持面に接触する複数のボールと、を備える。被支持面は、可動体の揺動中心点を中心とする球面の一部からなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-116861号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
可動体を支持する支持機構が、固定体と可動体との間で転動する複数のボールを備える構成では、装置の製造時に複数のボールの取り扱いが容易ではないという問題がある。
【0006】
本発明の課題は、このような点に鑑みて、可動体を複数のボールで支持することなく、可動体を所定の揺動中心点を中心に揺動可能に支持する振れ補正機能付き光学ユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明の振れ補正機能付き光学ユニットは、カメラモジュールおよび当該カメラモジュールを外周側から囲む枠状のホルダを備える可動体と、前記可動体の内側で前記カメラモジュールの光軸上に予め設定された揺動中心点を中心に前記可動体を揺動可能に支持する揺動支持機構と、前記揺動支持機構を介して前記可動体を支持する固定体と、を有し、前記ホルダは、放射状に突出する3以上の複数の突部を備え、前記固定体は、複数の前記突部のそれぞれに外周側から接触する複数の円弧面、を備え、前記揺動支持機構は、複数の前記突部と、複数の前記円弧面と、を備え、前記円弧面は、前記揺動中心点を中心とする仮想の球面の一部を転写した凹曲面であり、複数の前記突部のそれぞれは、同一の仮想平面に沿って突出するとともに、前記光軸と直交する方向に延びており、前記固定体は、前記可動体を径方向外側から囲む枠状のケースを備え、複数の前記円弧面は、前記固定体の径方向内側の面に設けられていることを特徴とする。
【0008】
本発明では、可動体を予め設定された揺動中心点を中心に揺動可能に支持する揺動支持機構は、可動体に外周側から接触する円弧面を備える。すなわち、可動体は固定体に設けられた円弧面によって揺動可能に支持される。従って、揺動支持機構に転動可能な複数のボールを有する必要がない。また、可動体のホルダは、放射状に突出する3以上の突部を備え、円弧面には、各突部の先端が接触する。従って、可動体のホルダの外周面の全体を円弧面に支持させる場合と比較して、可動体のホルダと固定体の円弧面との接触面積を少なくすることができる。これにより、ホルダと円弧面との摺動抵抗を低減できるので、揺動支持機構によって、可動体を揺動可能に支持できる。このようにすれば、揺動支持機構を設けた場合でも、可動体および固定体が光軸方向に大型化することを抑制できる。
【0010】
本発明において、前記揺動支持機構は、3、または4の突起を備えるものとすることができる。このようにすれば、ホルダと円弧面との摺動抵抗を低減することが容易である。
【0011】
本発明において、前記可動体を、前記光軸と交差する方向に揺動させる振れ補正用磁気駆動機構を有し、前記振れ補正用磁気駆動機構は、前記ホルダおよび前記固定体の一方に固定された振れ補正用磁石と、前記ホルダおよび前記固定体の他方に固定されて前記振れ補正用磁石に対向する振れ補正用コイルと、を備えるものとすることができる。このようにすれば、可動体を揺動中心点回りに揺動させることができる。
【0012】
本発明において、前記可動体を、前記光軸回りに揺動させるローリング補正用磁気駆動機構を有し、前記ローリング補正用磁気駆動機構は、前記ホルダおよび前記固定体の一方に固定されたローリング補正用磁石と、前記ホルダおよび前記固定体の他方に固定されて前記ローリング補正用磁石に対向するローリング補正用コイルと、を備えるものとすることができる。このようにすれば、可動体を光軸回りに揺動させることができる。
【0013】
本発明において、各突部の先端面は、各円弧面と、点で摺接可能であるものとすることができる。このようにすれば、ホルダと円弧面との摺動抵抗を、より、低減することができる。
【0014】
本発明において、各突部の先端面は、各円弧面と、面で摺接可能であるものとすることができる。このようにすれば、揺動時に、可動体がガタつくことを抑制しやすい。
【0015】
本発明において、各突部の先端面または各円弧面は、凹凸を備え、各突部の先端面および各円弧面の間には、グリスが塗布されているものとすることができる。このようにすれば、各突部の先端面または各円弧面に、グリスを保持できる。また、グリスによって、ホルダと円弧面との摺動抵抗を、より、低減することができる。
【0016】
本発明において、各突部の先端面には、各突部よりも硬度が高いコーティング層が設けられているものとすることができる。このようにすれば、突部と円弧面とが摺動することにより、突起の先端面が摩耗することを抑制できる。
【発明の効果】
【0017】
本発明では、可動体は固定体に設けられた円弧面によって揺動可能に支持される。従って、揺動支持機構に転動可能な複数のボールを有する必要がない。また、可動体のホルダは、放射状に突出する3以上の突部を備え、円弧面には、各突部の先端が接触する。従って、可動体のホルダと固定体の円弧面との接触面積を少なくすることができる。これにより、ホルダと円弧面との摺動抵抗を低減できるので、揺動支持機構によって、可動体を揺動可能に支持できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明を適用した振れ補正機能付き光学ユニットの斜視図である。
図2】振れ補正機能付き光学ユニットの平面図である。
図3】振れ補正機能付き光学ユニットの分解斜視図である。
図4図2のA-A線断面図である。
図5】変形例1の振れ補正機能付き光学ユニットの説明図である。
図6】変形例2の振れ補正機能付き光学ユニットの説明図である。
図7】変形例3の振れ補正機能付き光学ユニットの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に図面を参照して、本発明を適用した振れ補正機能付き光学ユニットの実施形態を説明する。
【0020】
(全体構成)
図1は、振れ補正機能付き光学ユニットの斜視図である。図2は、振れ補正機能付き光学ユニットを被写体側から見た場合の平面図である。図3は、振れ補正機能付き光学ユニットの分解斜視図である。図4は、図2のA-A線断面図である。図1図2に示すように、振れ補正機能付き光学ユニット1は、レンズ2などの光学素子を備えたカメラモジュール3を有する。振れ補正機能付き光学ユニット1は、例えば、カメラ付き携帯電話機、ドライブレコーダー等の撮影機器、或いは、ヘルメット、自転車、ラジコンヘリコプター等の移動体に搭載されるアクションカメラやウエアラブルカメラに搭載される。これらの光学機器では、撮影時に光学機器が傾くと、カメラモジュール3が傾いて、撮影画像が乱れる。振れ補正機能付き光学ユニット1は、撮影画像の乱れを回避するために、ジャイロスコープ等の検出手段によって検出された加速度や角速度、振れ量等に基づいて、カメラモジュール3の傾きを補正する。
【0021】
以下の説明では、互いに直交する3軸をX軸、Y軸、Z軸とする。また、X軸に沿った方向をX軸方向、X軸方向の一方側を-X方向、他方側を+X方向とする。Y軸に沿った方向をY軸方向、Y軸方向の一方側を-Y方向、他方側を+Y方向とする。Z軸に沿った方向をZ軸方向、Z軸方向の一方側を-Z方向、他方側を+Z方向とする。Z軸方向は、カメラモジュール3の光軸Lに沿った光軸L方向である。-Z方向は、光軸L方向の一方であり、第1方向である。+Z方向は、光軸L方向の他方であり、第2方向である。また、-Z方向(第1方向)は、カメラモジュール3の像側であり、+Z方向は、カメラモジュール3の被写体側である。-Z方向は、カメラモジュール3の反被写体側である。カメラモジュール3の-Z方向の端部分からは、不図示のフレキシブルプリント基板が引き出される。
【0022】
図1に示すように、振れ補正機能付き光学ユニット1は、カメラモジュール3を備えた可動体4と、可動体4を所定の揺動中心点Pを中心に揺動可能に支持する揺動支持機構5と、揺動支持機構5を介して可動体4を支持する固定体6と、を備える。また、振れ補正機能付き光学ユニット1は、固定体6に対して可動体4を揺動させる振れ補正用磁気駆動機構7を備える。揺動支持機構5が可動体4を揺動可能に支持する揺動中心点Pは、カメラモジュール3の光軸L上に予め設定される。図4に示すように、揺動中心点Pは、カメラモジュール3の内側に位置する。
【0023】
振れ補正機能付き光学ユニット1は、カメラモジュール3の光軸Lと交差し、且つ、互いに交差する2軸回りに可動体4を揺動させて振れ補正を行う。本例では、振れ補正機能付き光学ユニット1は、カメラモジュール3の光軸Lと直交し、且つ、互いに直交するX軸軸回りおよびY軸回りに可動体4を揺動させて振れ補正を行う。すなわち、振れ補正機能付き光学ユニット1では、X軸回りの振れ補正と、Y軸回りの振れ補正と、を行うことにより、ピッチング方向の振れ補正、および、ヨーイング方向の振れ補正を行う。
【0024】
図2に示すように、振れ補正用磁気駆動機構7は、可動体4をX軸回りに回転させる駆動力を発生させる第1振れ補正用磁気駆動機構7Xと、可動体4をY軸回りに回転させる駆動力を発生させる第2振れ補正用磁気駆動機構7Yを備える。第1振れ補正用磁気駆動機構7Xは、可動体4のY軸方向の両側に配置される。第2振れ補正用磁気駆動機構7Yは、可動体4のX軸方向の両側に配置される。図3に示すように、第1振れ補正用磁気駆動機構7Xは、第1磁石25X(振れ補正用磁石)および第1コイル26X(振れ補正用コイル)の組を2セット備える。第2振れ補正用磁気駆動機構7Yは、第2磁石25Y(振れ補正用磁石)および第2コイル26Y(振れ補正用コイル)の組を2セット備える。第1振れ補正用磁気駆動機構7Xの第1磁石25Xおよび第1コイル26Xは、Y軸方向で対向する。第2振れ補正用磁気駆動機構7Yの第2磁石25Yおよび第2コイル26Yは、X軸方向で対向する。本例では、第1磁石25X、第2磁石25Yは可動体4に配置され、第1コイル26Xおよび第2コイル26Yは固定体6に配置される。なお、第1磁石25X、第2磁石25Yを固定体6に配置し、第1コイル26Xおよび第2コイル26Yを可動体4に配置することもできる。
【0025】
(可動体)
図3に示すように、可動体4は、カメラモジュール3と、カメラモジュール3を囲む枠状のホルダ31と、を備える。カメラモジュール3は、全体として、直方体形状をしている。カメラモジュール3は、レンズ2と、撮像素子(不図示)を備える。ホルダ31は、樹脂製である。ホルダ31は、カメラモジュール3を外周側から囲むホルダ側枠板部32を備える。
【0026】
ホルダ側枠板部32は、径方向に厚み方向を向けた板状の枠体である。図3に示すように、ホルダ側枠板部32は、カメラモジュール3の-X方向でカメラモジュール3の側面に沿ってY軸方向に延びるホルダ側第1枠板部分35、およびカメラモジュール3の+X方向でカメラモジュール3の側面に沿ってY軸方向に延びるホルダ側第2枠板部分36を備える。また、ホルダ側枠板部32は、カメラモジュール3の-Y方向でカメラモジュール3の側面に沿ってX軸方向に延びるホルダ側第3枠板部分37、およびカメラモジュール3の+Y方向でカメラモジュール3の側面に沿ってX軸方向に延びるホルダ側第4枠板部分38を備える。
【0027】
また、ホルダ側枠板部32は、ホルダ側第1枠板部分35とホルダ側第3枠板部分37とを接続するホルダ側第5枠板部分39と、ホルダ側第5枠板部分39の第1軸R1方向の対角位置でホルダ側第2枠板部分36とホルダ側第4枠板部分38とを接続するホルダ側第6枠板部分40と、を備える。ホルダ側第5枠板部分39とホルダ側第6枠板部分40とは、平行に延びる。ホルダ側第1枠板部分35とホルダ側第4枠板部分38とを接続するホルダ側第7枠板部分41と、ホルダ側第7枠板部分41に対する第2軸R2方向の対角位置でホルダ側第4枠板部分38とホルダ側第2枠板部分36とを接続するホルダ側第8枠板部分42と、を備える。ホルダ側第7枠板部分41とホルダ側第8枠板部分42とは、平行に延びる。
【0028】
ホルダ側第1枠板部分35、ホルダ側第2枠板部分36、ホルダ側第3枠板部分37、およびホルダ側第4枠板部分38には、それぞれ径方向に貫通する磁石保持穴43が設けられている。ホルダ側第1枠板部分35の磁石保持穴43およびホルダ側第2枠板部分36の磁石保持穴43には、それぞれ第2振れ補正用磁気駆動機構7Yの第2磁石25Yが挿入されて、固定される。ホルダ側第3枠板部分37の磁石保持穴43およびホルダ側第4枠板部分38の磁石保持穴43には、それぞれ第1磁石25Xが固定される。第1磁石25X、第2磁石25Yは、径方向外側を向く面の磁極が、Z軸方向の中央を周方向に延びる着磁分極線を境にして異なるように着磁されている。
【0029】
ここで、ホルダ側第5枠板部分39の外側の端面、ホルダ側第6枠板部分40の外側の端面、ホルダ側第7枠板部分41の外側の端面、およびホルダ側第8枠板部分42の端面には、それぞれ径方向外側に突出する突部44が設けられている。4つの突部44のそれぞれは、光軸Lと直交する方向に延びている。各突部44を径方向外側から見た場合の平面形状は、Z軸方向が周方向よりも長い長方形である。各突部44の先端面44aは、外周側に突出する円弧面である。図2図4に示すように、各突部44の先端面44aは、可動体4の揺動中心点Pを中心とする仮想の球面Sの一部からなる。
【0030】
(固定体)
図3に示すように、固定体6は、枠状のケース45を備える。ケース45は、樹脂製である。ケース45は、ホルダ31を径方向外側から囲む固定体側枠板部46を備える。
【0031】
固定体側枠板部46は、可動体4の-X方向でY軸方向に延びる固定体側第1枠板部分51、可動体4の+X方向でY軸方向に延びる固定体側第2枠板部分52、可動体4の-Y方向でX軸方向に延びる固定体側第3枠板部分53、および可動体4の+Y方向でX軸方向に延びる固定体側第4枠板部分54を備える。固定体側枠板部46において、固定体側第1枠板部分51と固定体側第3枠板部分53との間の角部は、固定体側第5枠板部分55により接続されている。固定体側第2枠板部分52と固定体側第4枠板部分54との間の角部は、固定体側第6枠板部分56により接続されている。固定体側第1枠板部分51と固定体側第4枠板部分54との間の角部は、固定体側第7枠板部分57により接続されている。固定体側第2枠板部分52と固定体側第3枠板部分53との間の角部は、固定体側第8枠板部分58により接続されている。
【0032】
固定体側第1枠板部分51の径方向内側の面、固定体側第2枠板部分52の径方向内側の面、固定体側第3枠板部分53の径方向内側の面、および固定体側第4枠板部分54の径方向内側の面には、それぞれコイル保持穴59が設けられている。固定体側第1枠板部分51のコイル保持穴59および固定体側第2枠板部分52のコイル保持穴59には、それぞれ、第2振れ補正用磁気駆動機構7Yの第2コイル26Yが固定されている。固定体側第3枠板部分53のコイル保持穴59および固定体側第4枠板部分54のコイル保持穴59には、それぞれ第1振れ補正用磁気駆動機構7Xの第1コイル26Xが固定されている。第1コイル26Xおよび第2コイル26Yは、空芯コイルであり、+Z方向側および-Z方向側に位置する2本の長辺が有効辺として利用される。
【0033】
固定体側第5枠板部分55、固定体側第6枠板部分56、固定体側第7枠板部分57および固定体側第8枠板部分58は、それぞれ径方向内側を向く円弧面60を備える。図2図4に示すように、各円弧面60は、揺動中心点Pを中心とする仮想の球面Sの一部を転写した凹曲面である。各円弧面60は、周方向の中央部分が外周側に窪む。また、各円弧面60は、光軸L方向の中央部分が外周側に窪む。
【0034】
(揺動支持機構)
図2図4に示すように、振れ補正機能付き光学ユニット1を組み立てる際には、可動体4を固定体の内側に配置する。可動体4を固定体の内側に配置すると、可動体4のホルダの各突部44の先端面44aと固定体6のケース45の各円弧面60とは対向して、面で摺接可能となる。これにより、可動体4は、揺動中心点P回りに揺動可能な状態で可動体4に支持される。すなわち、可動体4は、各突部44の先端面44aが各円弧面60に沿って案内されて、揺動中心点P回り揺動する。
【0035】
(作用効果)
本例では、可動体4を予め設定された揺動中心点Pを中心に揺動可能に支持する揺動支持機構5は、可動体4に外周側から接触する円弧面60を備える。すなわち、可動体4は
固定体6に設けられた円弧面60によって揺動可能に支持される。従って、揺動支持機構5に転動可能な複数のボールを有する必要がない。また、可動体4のホルダは、放射状に突出する3以上の突部44を備え、円弧面60には、各突部44の先端が接触する。従って、可動体4のホルダ31の外周面の全体を円弧面60に支持させる場合と比較して、可動体4のホルダ31と固定体6の円弧面60との接触面積を少なくすることができる。これにより、ホルダ31と円弧面60との摺動抵抗を低減できるので、揺動支持機構5によって、可動体4を揺動可能に支持できる。
【0036】
また、複数の突部44のそれぞれは、光軸Lと直交する径方向に延びている。固定体6は、可動体4を径方向外側から囲む枠状のケース45を備える。複数の円弧面60は、ケース45の径方向内側の面に設けられている。従って、揺動支持機構5を設けることにより、可動体4および固定体6が光軸L方向に大型化することを抑制できる。
【0037】
さらに、揺動支持機構5は4つの突部44を備える。従って、ホルダ31と円弧面60との摺動抵抗を低減することが容易である。
【0038】
また、各突部44の先端面44aは、各円弧面60と、面で摺接可能である。従って、揺動時に、可動体4がガタつくことを抑制しやすい。
【0039】
さらに、本例では、可動体4を、光軸Lと交差する方向に揺動させる振れ補正用磁気駆動機構7を有し、振れ補正用磁気駆動機構7は、ホルダ31に固定された第1磁石25Xおよび第2磁石25Yと、ケース45に固定された第1コイル26Xおよび第2コイル26Yとを備える。従って、可動体4を揺動中心点P回りに揺動させることができる。
【0040】
(変形例)
上記の例では、各突部44を径方向外側から見た場合の先端面44aの形状は長方形であるが、円形としてもよい。この場合においても、先端面44aは、可動体4の揺動中心点Pを中心とする仮想の球面Sの一部からなる。
【0041】
ここで、各突部44の先端面44aまたは各円弧面60は、凹凸を備えてもよい。この場合、各突部44の先端面44aおよび各円弧面60の間には、グリスが塗布されているものとすることができる。このようにすれば、各突部44の先端面44aまたは各円弧面60に、グリスを保持できる。また、グリスによって、ホルダ31と円弧面60との摺動抵抗を、より、低減することができる。
【0042】
また、各突部44の先端面44aには、各突部44よりも硬度が高いコーティング層が設けられていてもよい。このようにすれば、突部44と円弧面60とが摺動することにより、突部44の先端面44aが摩耗することを抑制できる。
【0043】
また、各突部44の先端面44aは、各円弧面60と、点で摺接可能とすることができる。この場合には、例えば、各突部44の先端を、半球形状とする。図5は、変形例1の振れ補正機能付き光学ユニットの説明図である。図5では、変形例1の振れ補正機能付き光学ユニット1Bの可動体4を取り出して示す。なお、本例の振れ補正機能付き光学ユニット1Bは、各突部44の先端の形状を除き、上記の振れ補正機能付き光学ユニット1と同様の構成を備える。このようにすれば、ホルダ31と円弧面60との摺動抵抗を、より、低減することができる。
【0044】
さらに、振れ補正機能付き光学ユニット1は、可動体4を、光軸L回りに揺動させるローリング補正用磁気駆動機構を有してもよい。図6は、変形例2の振れ補正機能付き光学ユニットの説明図である。図6では、変形例2の振れ補正機能付き光学ユニット1Cの可
動体4を取り出して示す。なお、本例の振れ補正機能付き光学ユニット1Cは、ローリング補正用磁気駆動機構7Zを備える点を除き、上記の振れ補正機能付き光学ユニット1と同様の構成を備える。
【0045】
図6に示す例では、ローリング補正用磁気駆動機構7Zは、ホルダ31に固定されたローリング補正用磁石25Zと、ケース45に固定されてローリング補正用磁石25Zに対向するローリング補正用コイル26Zと、を備える。より具体的には、ホルダ側第3枠板部分37に固定された第1磁石25Xを、ローリング補正用磁石25Zとする。また、固定体6の固定体側第3枠部53に固定された第1コイル26Xを、ローリング補正用コイル26Zとする。ローリング補正用磁石25Zは、径方向外側を向く面の磁極が、周方向の中央をZ軸方向に延びる着磁分極線を境にして異なるように着磁する。また、ローリング補正用コイル26Zは、周方向の一方側および他方側に位置する2本の辺を有効辺として利用するものとする。このようにすれば、可動体4を光軸L回りに揺動させることができる。
【0046】
なお、第2振れ補正用磁気駆動機構7Yは、第2磁石25Y(振れ補正用磁石)および第2コイル26Y(振れ補正用コイル)の組は1つでもよい。また、ローリング補正用磁石25Zをケース45に固定し、ローリング補正用コイル26をホルダ31に固定してもよい。さらに、X軸方向に配列されている2組の第1磁石25Xと第1コイル26Xの一方を、ローリング補正用磁石25Zとローリング補正用コイル26Zとしてもよい。
【0047】
また、振れ補正機能付き光学ユニット1では、可動体4から突出する突部44の数を3以上で増減させることができる。図7は、変形例3の振れ補正機能付き光学ユニットの説明図である。図7では、変形例3の振れ補正機能付き光学ユニット1Dの可動体4および振れ補正用磁気駆動機構7のコイルを取り出して示す。また、図7では、固定体6を部分的に示す。本例の振れ補正機能付き光学ユニット1Dでは、可動体4から3つの突部44が放射状に突出する。また、固定体6は、各突部44が摺接可能な円弧面60を3つ備える。ここで、突部44を3つにすれば、ホルダ31と円弧面60との摺動抵抗を、より、低減できる。
【符号の説明】
【0048】
1,1B,1C,1D…機能付き光学ユニット、2…レンズ、3…カメラモジュール、4…可動体、5…揺動支持機構、6…固定体、7…振れ補正用磁気駆動機構、7X…第1振れ補正用磁気駆動機構、7Y…第2振れ補正用磁気駆動機構、7Z…ローリング補正用磁気駆動機構、25X…第1磁石、25Y…第2磁石、25Z…ローリング補正用磁石、26X…第1コイル、26Y…第2コイル、26Z…ローリング補正用コイル、31…ホルダ、32…ホルダ側枠板部、35…ホルダ側第1枠板部分、36…ホルダ側第2枠板部分、37…ホルダ側第3枠板部分、38…ホルダ側第4枠板部分、39…ホルダ側第5枠板部分、40…ホルダ側第6枠板部分、41…ホルダ側第7枠板部分、42…ホルダ側第8枠板部分、43…磁石保持穴、44…突部、44a…先端面、45…ケース、46…固定体側枠板部、51…固定体側第1枠板部分、52…固定体側第2枠板部分、53…固定体側第3枠板部分、54…固定体側第4枠板部分、55…固定体側第5枠板部分、56…固定体側第6枠板部分、57…固定体側第7枠板部分、58…固定体側第8枠板部分、58…固定体側第7枠板部分、59…コイル保持穴、60…円弧面、R1…第1軸、R2…第2軸
図1
図2
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図4
図5
図6
図7