IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 凸版印刷株式会社の特許一覧

特許7484197取出検知機能付包装体、取出検知方法及びプログラム
<>
  • 特許-取出検知機能付包装体、取出検知方法及びプログラム 図1
  • 特許-取出検知機能付包装体、取出検知方法及びプログラム 図2
  • 特許-取出検知機能付包装体、取出検知方法及びプログラム 図3
  • 特許-取出検知機能付包装体、取出検知方法及びプログラム 図4
  • 特許-取出検知機能付包装体、取出検知方法及びプログラム 図5
  • 特許-取出検知機能付包装体、取出検知方法及びプログラム 図6
  • 特許-取出検知機能付包装体、取出検知方法及びプログラム 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-08
(45)【発行日】2024-05-16
(54)【発明の名称】取出検知機能付包装体、取出検知方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06K 19/07 20060101AFI20240509BHJP
   H04W 4/35 20180101ALI20240509BHJP
   G06K 19/073 20060101ALI20240509BHJP
【FI】
G06K19/07 160
H04W4/35
G06K19/073
G06K19/07 230
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020016559
(22)【出願日】2020-02-03
(65)【公開番号】P2021124838
(43)【公開日】2021-08-30
【審査請求日】2023-01-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100139686
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 史朗
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【弁理士】
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(72)【発明者】
【氏名】山田 航平
(72)【発明者】
【氏名】道 浩之
【審査官】田中 啓介
(56)【参考文献】
【文献】特開平02-257960(JP,A)
【文献】国際公開第2019/064244(WO,A1)
【文献】特開2018-050759(JP,A)
【文献】特開2019-108222(JP,A)
【文献】特開昭62-197876(JP,A)
【文献】特開2017-191104(JP,A)
【文献】特開2010-035789(JP,A)
【文献】特開2016-216113(JP,A)
【文献】特開2006-329676(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06K19/00-19/18
H04B7/24-7/26
H04W4/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に内容物を収容する包装体と、
前記包装体に取り付けられ、前記包装体における前記内容物の有無の検知情報を出力するセンサ部と、
前記包装体と通信可能に接続され、前記センサ部から信号を受信する取出検出装置と
を備え、
前記取出検出装置は、
前記検知情報により前記内容物が前記包装体から取り出された否かを検知する取出検知部と、
当該取出検知部が前記内容物が取り出されたと判定した場合、取り出されたことを示す取出情報を送信する送信部と
を備え、
前記取出検出装置は、複数のアクセスポイントを介して取出検知サーバと通信する
取出検知機能付包装体であって、
前記複数のアクセスポイントのそれぞれは、前記取出検出装置と信号の通信を行い、前記信号の到達時間を計測し、
前記取出検知サーバは、前記信号の到達時間に基づき、前記包装体の位置の候補を抽出する
ことを特徴とする取出検知機能付包装体。
【請求項2】
前記センサ部が、
前記包装体の内部に前記内容物が収容される領域に配置された静電容量センサ
であることを特徴とする請求項1に記載の取出検知機能付包装体。
【請求項3】
前記静電容量センサが、
前記内容物が収容される前記包装体の内部の第1内面に配置された第1電極と、
前記第1内面と対向する前記包装体の内部の第2内面に配置された第2電極と
を有し、
前記第1電極と前記第2電極との各々の間に前記内容物が挿入される
ことを特徴とする請求項2に記載の取出検知機能付包装体。
【請求項4】
前記センサ部が、
前記包装体が収容される前記包装体の内部の第1内面に配置された第1電極と、
前記第1内面と対向する第2内面において、前記第1電極に対して平面視で重なる位置に配置された第2電極と
を有する接触スイッチであり、
前記第1電極と第2電極との間に前記内容物が挿入される
ことを特徴とする請求項1に記載の取出検知機能付包装体。
【請求項5】
前記センサ部が、前記包装体内に前記内容物を内包した状態で挿入されるホルダに配置されている照度センサである
ことを特徴とする請求項1に記載の取出検知機能付包装体。
【請求項6】
前記センサ部が、
前記包装体における前記包装体の内部の第1内面に配置された磁性体と、
前記第1内面と対向する第2内面に配置された磁気検知器と
を有する近接センサであり、
前記磁性体と前記磁気検知器との間に前記内容物が挿入される
ことを特徴とする請求項1に記載の取出検知機能付包装体。
【請求項7】
前記センサ部が、前記包装体内面と前記内容物が固定された固定板との間に設けられた配線の導通状態を検出する断線センサである
ことを特徴とする請求項1に記載の取出検知機能付包装体。
【請求項8】
前記送信部が、LPWA(Low Power Wide Area)規格に対応した通信を行う
ことを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の取出検知機能付包装体。
【請求項9】
前記センサ部、前記取出検知部及び前記送信部の各々に対して電力を供給する電池をさらに備え、
当該電池が紙電池であることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の取出検知機能付包装体。
【請求項10】
内部に内容物を収容する包装体から、前記内容物が取り出されたことを検知する取出検知方法であり、
前記包装体に取り付けられたセンサ部が、前記包装体における前記内容物の有無の検知情報を出力する過程と、
前記センサ部から信号を受信する取出検出装置が備える取出検知部が、前記検知情報により前記内容物が前記包装体から取り出された否かを検知する過程と、
前記取出検出装置が備える送信部が、前記取出検知部により前記内容物が取り出されたと判定された場合、取り出されたことを示す取出情報を送信する過程と
前記送信部が通信する複数のアクセスポイントのそれぞれが、前記取出検出装置と信号の通信を行い、前記信号の到達時間を計測する過程と、
前記送信部が前記複数のアクセスポイントを介して通信する取出検知サーバが、前記信号の到達時間に基づき、前記包装体の位置の候補を抽出する過程と
を含むことを特徴とする取出検知方法。
【請求項11】
前記送信部が、LPWA(Low Power Wide Area)規格に対応した通信を行い、当該LPWA規格に対応したネットワークにおけるアクセスポイントあるいは中継器において、前記取出情報を受信した時刻情報を、当該取出情報に付加される過程を
含むことを特徴とする請求項10に記載の取出検知方法。
【請求項12】
内部に内容物を収容する包装体と通信可能に接続され、前記包装体から前記内容物が取り出されたことを検知する取出検出装置としてコンピュータを動作させるプログラムであり、
前記コンピュータを、
前記包装体に取り付けられたセンサ部から供給される、前記包装体における前記内容物の有無の検知情報により、前記内容物が前記包装体から取り出された否かを検知する取出検知手段、
当該取出検知手段が前記内容物が取り出されたと判定した場合、取り出されたことを示す取出情報を送信部から送信する送信手段
複数のアクセスポイントを介して取出検知サーバと通信し、前記複数のアクセスポイントとの間で到達時間を計測するための信号を通信する通信手段
として機能させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、取出検知機能付包装体、取出検知方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、包装体における目的地への配送状況の確認は、包装体を配送する事業者の追跡システムにより行われている。
しかし、包装体が目的地に配送された後に、包装体が開封されたか否かについては、配送した事業者にも確認することが困難である。
そのため、包装体が配送された後、包装体が開封されたことを通知する開封検知機能を備える検出装置がある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-177511号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、開封された後に包装体から内容物が取り出されたことを検知できることが望ましい。
例えば、包装体に内包して送付した書類(内容物)を、所定の期日までに閲覧して欲しい場合、包装体から書類が取り出された否かを確認したい場合がある。
上述した特許文献1の検出装置は、包装体を開封したことの検出を行うことができるが、開封をした後に書類を取り出したか否かを把握できるものではない。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、配送された包装体が開封されて、内包された物品が取り出されたか否かを容易に判定することが可能な取出検知機能付包装体、取出検知方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は上述した課題を解決するためになされたものである。
【0007】
本発明の取出検知機能付包装体は、内部に内容物を収容する包装体と、前記包装体に取り付けられ、前記包装体における前記内容物の有無の検知情報を出力するセンサ部と、前記包装体と通信可能に接続され、前記センサ部から信号を受信する取出検出装置とを備え、前記取出検出装置は、前記検知情報により前記内容物が前記包装体から取り出された否かを検知する取出検知部と、当該取出検知部が前記内容物が取り出されたと判定した場合、取り出されたことを示す取出情報を送信する送信部とを備え、前記取出検出装置は、複数のアクセスポイントを介して取出検知サーバと通信する取出検知機能付包装体であって、前記複数のアクセスポイントのそれぞれは、前記取出検出装置と信号の通信を行い、前記信号の到達時間を計測し、前記取出検知サーバは、前記信号の到達時間に基づき、前記包装体の位置の候補を抽出することを特徴とする。
【0008】
本発明の取出検知機能付包装体は、前記センサ部が、前記包装体の内部に前記内容物が収容される領域に配置された静電容量センサであることを特徴とする。
【0009】
本発明の取出検知機能付包装体は、前記センサ部が、前記静電容量センサが、前記内容物が収容される前記包装体の内部の第1内面に配置された第1電極と、前記第1内面と対向する前記包装体の内部の第2内面に配置された第2電極とを有し、前記第1電極と前記第2電極との各々の間に前記内容物が挿入されることを特徴とする。
【0010】
本発明の取出検知機能付包装体は、前記センサ部が、前記包装体が収容される前記包装体の内部の第1内面に配置された第1電極と、前記第1内面と対向する第2内面において、前記第1電極に対して平面視で重なる位置に配置された第2電極とを有する接触スイッチであり、前記第1電極と第2電極との間に前記内容物が挿入されることを特徴とする。
【0011】
本発明の取出検知機能付包装体は、前記センサ部が、前記包装体内に前記内容物を内包した状態で挿入されるホルダに配置されている照度センサであることを特徴とする。
【0012】
本発明の取出検知機能付包装体は、前記センサ部が、前記包装体における前記包装体の内部の第1内面に配置された磁性体と、前記第1内面と対向する第2内面に配置された磁気検知器とを有する近接センサであり、前記磁性体と前記磁気検知器との間に前記内容物が挿入されることを特徴とする。
【0013】
本発明の取出検知機能付包装体は、前記センサ部が、前記包装体内面と前記内容物が固定された固定板との間に設けられた配線の導通状態を検出する断線センサであることを特徴とする。
【0014】
本発明の取出検知機能付包装体は、前記送信部が、LPWA(Low Power Wide Area)規格に対応した通信を行うことを特徴とする。
【0015】
本発明の取出検知機能付包装体は、前記センサ部、前記取出検知部及び前記送信部の各々に対して電力を供給する電池をさらに備え、当該電池が紙電池であることを特徴とする。
【0016】
本発明の取出検知方法は、内部に内容物を収容する包装体から、前記内容物が取り出されたことを検知する取出検知方法であり、前記包装体に取り付けられたセンサ部が、前記包装体における前記内容物の有無の検知情報を出力する過程と、前記センサ部から信号を受信する取出検出装置が備える取出検知部が、前記検知情報により前記内容物が前記包装体から取り出された否かを検知する過程と、前記取出検出装置が備える送信部が、前記取出検知部により前記内容物が取り出されたと判定された場合、取り出されたことを示す取出情報を送信する過程と、前記送信部が通信する複数のアクセスポイントのそれぞれが、前記取出検出装置と信号の通信を行い、前記信号の到達時間を計測する過程と、前記送信部が前記複数のアクセスポイントを介して通信する取出検知サーバが、前記信号の到達時間に基づき、前記包装体の位置の候補を抽出する過程とを含むことを特徴とする。
【0017】
本発明の取出検知方法は、前記送信部が、LPWA(Low Power Wide Area)規格に対応した通信を行い、当該LPWA規格に対応したネットワークにおけるアクセスポイントあるいは中継器において、前記取出情報を受信した時刻情報を、当該取出情報に付加される過程を含むことを特徴とする。
【0018】
本発明のプログラムは、内部に内容物を収容する包装体と通信可能に接続され、前記包装体から前記内容物が取り出されたことを検知する取出検出装置としてコンピュータを動作させるプログラムであり、前記コンピュータを、前記包装体に取り付けられたセンサ部から供給される、前記包装体における前記内容物の有無の検知情報により、前記内容物が前記包装体から取り出された否かを検知する取出検知手段、当該取出検知手段が前記内容物が取り出されたと判定した場合、取り出されたことを示す取出情報を送信部から送信する送信手段、複数のアクセスポイントを介して取出検知サーバと通信し、前記複数のアクセスポイントとの間で到達時間を計測するための信号を通信する通信手段として機能させるプログラムである。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、配送された包装体が開封されて、内包された内容物(物品)が取り出されたか否かを容易に判定することが可能な取出検知機能付包装体、取出検知方法及びプログラムを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の第1の実施形態による取出検知機能付包装体の構成例を示す図である。
図2】実施形態による取出情報を送信する際に用いられる送信信号のフォーマットの構成の例を示す図である。
図3】本発明の第1の実施形態による取出検知機能付包装体における包装体からの内容物の取出しの処理の動作例を示すフローチャートである。
図4】取出検知(あるいは追跡)サーバが取出検知機能付包装体1の位置を推定する処理を説明する図である。
図5】本発明の第2の実施形態による取出検知機能付包装体の構成例を示す図である。
図6】本発明の第3の実施形態による取出検知機能付包装体の構成例を示す図である。
図7】本発明の第4の実施形態による取出検知機能付包装体の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
<第1の実施形態>
以下、図面を参照して、本発明の第1の実施形態による取出検知機能付包装体について説明する。図1は、本発明の第1の実施形態による取出検知機能付包装体の構成例を示す図である。図1において、取出検知機能付包装体1の包装体11に対して内容物200を挿入する深さ方向(縦幅方向)がZ方向であり、包装体11の厚さ方向がY方向であり、包装体11の横幅方向がX方向である。
【0022】
図1(a)は、取出検知機能付包装体に備えられる取出検出装置の構成例を示している。図1(a)における取出検知機能付包装体の断面は、X方向に垂直な断面である。
また、図1(b)は、取出検知機能付包装体の断面(Z方向に垂直な断面)の構成例を示している。
【0023】
図1(a)において、取出検出装置100は、起動部101、データ検出部102、取出検知部103、情報出力部104、送信部105、記憶部106及び電池107の各々を備えている。
起動部101は、包装体11のいずれかに設けられた起動スイッチ(不図示)をオン状態とすることにより、電池107から、取出検出装置100及び、センサ部としての静電容量センサ12の各々に対して、電力を供給させて、取出検出装置100を起動する。
例えば、利用者が取出検知機能付包装体1を購買した時点においては、起動スイッチがオフ状態であり、取出検知機能付包装体1における収容領域に対して内容物を挿入した後に、起動スイッチをオン状態とする。これにより、取出検知機能付包装体が販売されている際には、取出検出装置100及び静電容量センサ12の各々に対して、電池107から電力が供給されていない状態となっており、電力が消費されない。
【0024】
データ検出部102は、後述する静電容量センサ12における容量値を、信号線S1を介して検出(CR発振器による周波数による検出)し、容量値(あるいは周波数)を検出情報として、取出検知部103に対して出力する。
【0025】
取出検知部103は、記憶部106に記憶されている設定値(参照容量値、あるいは参照周波数)と、上記容量値(あるいは参照周波数)との比較を行なう。
そして、取出検知部103は、検出情報が設定値未満である場合、すなわち容量値が参照容量値未満である場合、取出検知機能付包装体1における収容領域から内容物が取り出されたと判定する。
一方、取出検知部103は、検出情報が設定値以上である場合、すなわち容量値が参照容量値以上である場合、取出検知機能付包装体1における収容領域から内容物が取り出されていないと判定する。
【0026】
情報出力部104は、内容物200が包装体11から取り出されたことを取出検知部103において判定された場合、内容物200が包装体11から取り出されたことを示す取出情報として取出済情報を、送信部105を介して送信する。
また、情報出力部104は、内容物200が包装体11から取り出されていないことを取出検知部103において判定された場合、内容物200が包装体11から取り出されていないことを示す取出情報として未取出情報を、送信部105を介して送信する。
【0027】
送信部105は、無線モジュールとして、例えばSigfox(登録商標)やLoRa(登録商標)、ZETA(登録商標)などのLPWA(Low Power Wide Area)モジュールを有している。LPWAは、送受信時の消費電力が極めて少なく、小さいデータサイズの情報を遠距離通信する際に好適な通信方式である。LPWAとしては、複数の方式が知られているが、何れの方式を使用してもよい。好ましくは、データの到達距離が遠くまで通信できる規格(数十kmから~100km程度の距離)が好ましい。なお、通信方式としては、LPWA以外の方式や、異なる波長の方式を使用してもよい。さらに、双方向通信を行う場合では、LPWAと別の波長を受信波として使用してもよい。また、双方向通信を行う必要がある場合には、LPWA方式に対応したデータ受信部を取出検出装置100に設ける。取出検出装置100に設ける。なお、通信しない場合にも待機電力が発生するため、取出検知機能付包装体1を送付者が送付してから受領者が受領するまで電池をもたせる必要がある。その点、LPWAの方式のひとつであるZETAは待機電力が他の方式より少ないという特徴があるため、本発明の取出検知機能付包装体1に採用するにあたりより好ましい通信方式である。
【0028】
また、データの到達距離を広げるために、中継局や基地局の中継器などを経由して通信を行ってもよい。さらに、通信したデータが中継局や基地局を通過した時の時刻を取得し、取出情報と共にサーバ(不図示)に保持していてもよい。例えばZETA(登録商標)の場合には、送信部105が送信した取出情報を基地局や中継局であるAP(access point、アクセスポイント)で受信すると、その受信したときの時刻を包装体11から送信された時刻として取出情報に付加して、所定の取出検知(あるいは追跡)サーバ(不図示)に対して送信してもよい。
また、後述する位置検出方法により取得した位置情報を取出情報に付加し、所定の取出検知(あるいは追跡)サーバ(不図示)に対して送信してもよい。
以上により、取出検知機能付包装体1から内容物200が取り出された時刻(日時)や、取出検知機能付包装体1が存在する位置を、取出情報と合わせて取出検知(あるいは追跡)サーバが取出情報として取得することができる。すなわち、包装体11から内容物200がどの場所で、何時取り出されたかを容易に確認することができる。
【0029】
また、所定の取出検知(あるいは追跡)サーバ(不図示)は、取出情報を受信したときの時刻及び場所を、取出検知機能付包装体1を送付した利用者に対して、電子メールなどを自動送信する等することで通知してもよい。これにより、利用者は、送付した取出検知機能付包装体1が開封されて、内容物200が取出検知機能付包装体1から取り出されたことと、取出検知機能付包装体1が開封された場所とを確認することができる。すなわち、利用者は、取出検知機能付包装体1が送付された先で開封され、送付先の相手が内容物200を手に取ったことを確認することができる。
【0030】
図2は、実施形態による取出情報を送信する際に用いられる送信信号のフォーマットの構成の例を示す図である。送信信号は、例えば、ヘッダHD、データ部DA、フッタFTにより構成される。ヘッダHDは、信号SGの先頭に付される情報であって、例えば、通知元ID、通知先ID、信号種別などで構成される。通知元IDは通知元となる装置の識別情報である。通知先IDは通知先となる装置の識別情報である。データ部DAは、通知する内容を示す情報であって、例えば、通知内容1、…通知内容Kのように、所定のテータ長ごとにブロック化された情報を結合させた情報である。フッタFTは、信号の末尾に付される情報であり、例えば、誤り検出用の巡回冗長符号(CRC(Cyclic Redundancy Code))である。
【0031】
例えば、送信信号には、ヘッダHDに、通知元が取出検知機能付包装体1、通知先が所定の取出検知(あるいは追跡)サーバ(不図示)、信号種別が取出情報である旨の情報がそれぞれ示される。データ部DAには、取出検知機能付包装体1を識別する識別情報、取り出された時刻(日時)、取出検知機能付包装体1が存在する位置、当該位置を推定した時刻(日時)等を示す情報が示される。フッタFTには、例えば、データ部DAのビット列から生成されたCRCビットが示される。また、通知内容1には取出検知機能付包装体1の個体識別情報、通知内容2には取出情報などの情報が記載される。
【0032】
そして、所定の取出検知(あるいは追跡)サーバ(不図示)は、取出検知機能付包装体1を識別する個体識別情報(上記通知元ID)により、送付した利用者を特定し、利用者に対して配送中における取出検知機能付包装体1の位置及び当該位置を検出した時刻や、取出検知機能付包装体1の上記取出情報を送信する。この場合、利用者は、取出検知(あるいは追跡)サーバ(不図示)に対して、例えば、自身の端末(パーソナルコンピュータあるいはスマートフォンなど)からアクセスし、自身のメールアドレスと、利用した取出検知機能付包装体1の個体識別情報(通知元ID)とを対応付ける処理を行なう必要がある。
【0033】
記憶部106には、取出検出装置100の全体が制御されるプログラム、及び検出情報と比較する設定値などが予め書き込まれて記憶されている。
【0034】
電池107は、取出検出装置100及び静電容量センサ12に対して電力を供給する電池である。取出検知機能付包装体1全体の厚さを薄くするため、紙と同様の厚さの薄型の電池、あるいは紙の様に曲げられる薄型の電池としての紙電池であることが望ましい。
【0035】
次に、図1(a)及び図1(b)を参照して、包装体11に対する静電容量センサ12の取り付け構成について説明する。
包装体11の内面11S1に、第1電極12_1が配置されている(取り付けられている)。また、包装体11における内面11S1と対向する内面11S2に、第2電極12_2が配置されている。ここで、第1電極12_1及び第2電極12_2の各々は、平面視において、内面11S1、内面11S2それぞれで重なり合う位置に配置されている。
固定治具13により、第1電極12_1及び第2電極12_2の各々が所定の距離に離間されており、この離間された部分が収容領域14となる。なお、包装体11自体が段ボールなど強固な材質の場合や、包装体11自体が立体的に自立した構造となっているなど、第1電極12_1及び第2電極12_2を所定の距離に離間できる場合は、固定冶具13はなくてもよい。
【0036】
静電容量センサ12は、第1電極12_1と、この第1電極12_1に対向して配置される第2電極12_2とによって構成されている。第1電極12_1と第2電極12_2との各々に対応する信号線S1の各々が、それぞれデータ検出部102に接続されている。
また、第1電極12_1と第2電極12_2とは、収容領域14において、対向する内面11S1、内面11S2それぞれに所定の距離にて離間され、平面視で重なる位置に配置されている。
【0037】
このため、収容領域14における第1電極12_1と第2電極12_2との間に、内容物、例えば書類、用紙、物品などが挿入されることになる。すなわち、第1電極12_1と第2電極12_2との間に空気のみの場合と、紙などが挿入されている場合とでは誘電率が異なるため、静電容量センサ12の容量値が変化することになる。一般的に、空気より紙の方が誘電率が高い。
この誘電率の違いに対応した容量値の変化を検出することにより、すなわち静電容量センサ12の容量値が設定値未満か否かを検出することにより、収容領域14における書類や用紙などの内容物200の有無が検出される。
【0038】
上述したように、本実施形態においては、静電容量センサ12が、第1電極12_1と第2電極12_2とを有し、第1電極12_1及び第2電極12_2の各々の間の内容物200の有無による静電容量の変化により、収容領域14における内容物200の有無、すなわち包装体11からの内容物200の取出しが行われたか否かの検出を行っている。
なお、静電容量センサ12が、例えば第1電極12_1の一個のみを収容領域14に配置し、内容物200の有無による浮遊容量の違いよる静電容量の変化を検出し、収容領域14における内容物の有無、すなわち包装体11からの内容物200の取出しが行われたか否かの検出を行う構成としてもよい。
【0039】
図3は、本発明の第1の実施形態による取出検知機能付包装体1における包装体からの内容物の取出しの処理の動作例を示すフローチャートである。
ステップS101:
利用者は、取出検知機能付包装体1を送付(郵送あるいは宅配便による配送など)する処理を行う。
このとき、利用者が取得した取出検知機能付包装体1を利用する際、収容領域14に対して内容物200を挿入した後に包装体11の封を閉じる。
【0040】
ステップS102:
取出検知機能付包装体1を送付する際、包装体11のいずれかに配置されている起動スイッチをオン状態とする。
また、包装体11の封を閉じることにより、起動スイッチをオン状態とする機構を設ける構成としてもよい。
これにより、電池107は、取出検出装置100及び静電容量センサ12に対する電力の供給を開始する。
【0041】
ステップS103:
情報出力部104は、時間をカウントし、所定の時間が経過したか否かの判定を行う。このとき、情報出力部104は、所定の時間が経過した場合、処理をステップS104へ進める。一方、情報出力部104は、所定の時間が経過していない場合、ステップS103の処理を繰返して行う。
【0042】
ステップS104:
情報出力部104は、取出検知部103から、内容物200が取り出されたと判定したか、あるいは取り出されていないと判定したかを示す検知情報を取得、すなわち内容物200の取出確認を行う。
【0043】
ステップS105:
そして、情報出力部104は、取出検知部103からの検知情報を参照し、内容物200が取り出されたことを示しているか否かの判定を行う。
情報出力部104は、内容物200が取り出されたことを示していると判定した場合、処理をステップS106へ進める。
一方、情報出力部104は、内容物200が取り出されていないことを示していると判定した場合、処理をステップS107へ進める。
【0044】
ステップS106:
情報出力部104は、検知情報に対応して内容物200が包装体11から取り出されたと判定した場合、内容物200が包装体11から取り出されたことを示す取出情報として取出済情報を、送信部105を介して取出検知(あるいは追跡)サーバに対して送信する。
また、情報出力部104は、取出検知機能付包装体1における包装体11からの内容物200の取出しの処理を終了する。
取出検知(あるいは追跡)サーバは、取出検知機能付包装体1から内容物200が取り出されたことを検知したときに、取出検知機能付包装体1の位置の検出や時刻の検出を行ってもよい。
これにより、取出検知機能付包装体1から内容物200がいつどこで取り出されたかの情報を取得することができる。
【0045】
送信部105から取出検知(あるいは追跡)サーバと通信する際に、中継器や基地局を中継してもよい。その際に、中継器や基地局を通過した際の中継器や基地局の時刻情報を取出済情報と共に取出検知(あるいは追跡)サーバに送信することで、取出済情報の発信時刻を取得することができる。
送信部105の通信にはLPWA規格の一つであるZETAを用いることが好ましい。ZETAを採用した場合、ZETAはメッシュネットワークを採用しているため、仮に通信予定先の基地局にアクセス集中があった場合は待機することなく他の中継器や基地局への通信を開始する。そのため、送信部105から中継器や基地局へのデータ遅延を低減できるので取出情報を送信したときの時刻をリアルタイムに取得し易くなり、実際の取り出し時の時刻と基地局が受信した際の時刻のずれを低減できる。
【0046】
ステップS107:
情報出力部104は、検知情報に対応して内容物200が包装体11から取り出されていないと判定された場合、内容物200が包装体11から取り出されていないことを示す取出情報として未取出情報を、送信部105を介して取出検知(あるいは追跡)サーバに対して送信する。未取出情報には内容物200が包装体11から取り出されていないことを示す情報のみでもよいし、送信時の取出検知機能付包装体1の位置情報を含めてもよい。
【0047】
また、取出検知(あるいは追跡)サーバは、取出検知機能付包装体1からAP及び基地局を介して取得する取出情報により、取出検知機能付包装体1の現在位置と、包装体11から内容物200が取り出されているか否かの情報を取得する。
すなわち、取出検知機能付包装体1の送信部105に近接した複数のAP(3箇所以上)の各々は、例えば、取出検知機能付包装体1から送信される取出情報を受信し、この取出情報を受信した時刻を付加して基地局に対して転送する。
そして、取出検知(あるいは追跡)サーバは、複数のAPの各々の位置と、これらAPそれぞれから受信する取出情報に付加されている時刻情報の差分とから、3点測位の技術を用いて、取出検知機能付包装体1の現在位置を推定する。
【0048】
また、取出検知機能付包装体1からの取出情報を受信した最寄りのAP(中継器や基地局など)の任意の一か所の位置情報を、取出検知機能付包装体1の位置情報とする構成でもよい。最寄りの中継器や基地局を設置した位置を既知情報とすることで、取出検知機能付包装体1のおおよその位置情報を簡便に推定することが可能となる。
【0049】
また、複数(3箇所以上)のAPの各々は、例えば、取出検知機能付包装体1から送信される取出情報を受信し、この取出情報を受信した際、この取出情報の電波強度を計測し、計測した電波強度の情報(電波強度情報)を取出情報に付加して基地局に対して転送する構成としてもよい。
この構成の場合、取出検知(あるいは追跡)サーバは、複数のAPの各々の位置と、これらAPそれぞれから受信する取出情報に付加されている電波強度情報とから、3点測位の技術を用いて、取出検知機能付包装体1の現在位置を推定する。
【0050】
図4は、取出検知(あるいは追跡)サーバが取出検知機能付包装体1の位置を推定する処理を説明する図である。取出検知(あるいは追跡)サーバは、例えば、APそれぞれに、ほぼ同じ時刻に同一の取出検知機能付包装体1と通信させ、それぞれの信号到達時間を計測させる。取出検知(あるいは追跡)サーバは、APそれぞれの信号到達時間に基づき、取出検知機能付包装体1の位置の候補を抽出する。
【0051】
例えば、取出検知(あるいは追跡)サーバは、複数のAPそれぞれの信号到達距離に基づき、信号の速度(光速)との関係から信号到達距離を算出する。信号到達距離は、APの各々から送信された信号が取出検知機能付包装体1に到達するまでの距離であり、APから取出検知機能付包装体1までの距離と同義である。取出検知(あるいは追跡)サーバは、APそれぞれを中心として、それぞれの信号到達距離を半径とする円周上の位置を、取出検知機能付包装体1の位置の候補とする。
【0052】
図4の例では、AP20-1によって計測された信号到達時間は0.2秒であり、円周R1上の位置が、取出検知機能付包装体1の位置の候補である。AP20-2によって計測された信号到達時間は0.1秒であり、円周R2上の位置が、取出検知機能付包装体1の位置の候補である。AP20-3によって計測された信号到達時間は0.5秒であり、円周R3上の位置が、取出検知機能付包装体1の位置の候補である。取出検知(あるいは追跡)サーバは、複数のAPの各々により計測された信号到達距離に基づいて抽出した取出検知機能付包装体1の位置の候補が、交差する位置を、取出検知機能付包装体1の位置と推定する。この例では、円周R1~R3が交差する点が、推定される取出検知機能付包装体1の位置である。
【0053】
上記では、取出検知(あるいは追跡)サーバが3つのAP20-1からAP20-3それぞれにより計測された信号到達時間に基づいて、取出検知機能付包装体1の位置を推定する場合を例に説明した。しかしながら、これに限定されない。取出検知(あるいは追跡)サーバは、4つ以上のAPそれぞれにより計測された信号到達時刻に基づいて、取出検知機能付包装体1の位置を推定してもよい。取出検知(あるいは追跡)サーバは、1つまたは2つの信号到達時間に基づいて、取出検知機能付包装体1の位置を推定してもよい。この場合、例えば、取出検知(あるいは追跡)サーバは、APの各々が計測した信号到達距離に基づいて抽出した取出検知機能付包装体1の位置の候補と、その候補となった位置の周辺の道路地図とを重ね合わせる。取出検知(あるいは追跡)サーバは、信号到達距離に基づいて抽出した取出検知機能付包装体1の位置の候補と、取出検知機能付包装体1が搭載された車両の走行ルートと、が交差する点を取出検知機能付包装体1の位置と推定する。
【0054】
1つの信号到達時間に基づいて、取出検知機能付包装体1の位置を推定する場合、取出検知(あるいは追跡)サーバによる位置推定の処理を省略することも可能である。この場合、取出検知(あるいは追跡)サーバが備える位置推定処理の機能は、APの各々が備え、取出情報を含む送信信号に書き込む構成としてもよい。
【0055】
なお、取出検知(あるいは追跡)サーバでは、APそれぞれの装置内で用いられる時刻が、互いに同期(時刻同期)していることを前提とする。以下では、取出検知(あるいは追跡)サーバが、APそれぞれに時刻を同期させるための信号(時刻情報)を通知して、APの各々を時刻同期させる。しかしながら、これに限定されることはなく、任意の方法を用いて、APの各々を互いに時刻同期させればよい。例えば、APのそれぞれにGPS(Global Positioning System)信号を受信させたり、電波時計の電波を受信させたりすることにより時刻同期を行うようにしてもよい。
【0056】
また、APの各々における、時刻の計測精度は、推定する取出検知機能付包装体1の位置の精度や、各APの処理能力等に応じて任意に決定されてよい。例えば、位置をKm(キロメートル)オーダーで推定したい場合には、ミリ秒オーダーで時刻を計測可能に設計する。あるいは、位置をm(メートル)オーダーで推定したい場合には、ナノ秒オーダーで時刻を計測可能に設計する。APの各々の処理能力により、ナノ秒オーダーで時刻を計測させることが困難である場合には、許容される範囲内で、推定する位置の精度を落とし、各APが可能な処理可能なオーダー(例えば、100ナノ秒オーダー)で時刻を計測させるようにする。
【0057】
上述したように、本実施形態によれば、包装体11の内容物200が挿入される収容領域14に配置された静電容量センサ12により、収容領域14における内容物の有無による静電容量の違いから、収容領域14に内容物200の有無を容易に検知することが可能である。また、静電容量式のため、内容物200の色や形の影響を受けることなく検知することができる。さらに、スイッチ式など内容物200と直接触れることで内容物200の有無を検出する方式は包装体11の輸送時の振動により誤検出が発生しやすいが、本実施形態は非接触式のため振動による誤検出の発生を抑制できる。すなわち、配送された包装体11が開封されて、包装体11の収容領域14に内包されていた内容物200(物品)が取り出されたか否かを容易に判定することができる。
これにより、送付した取出検知機能付包装体1の包装体11から内容物200が取り出されたことが確実に確認できるため、開封検知を行う場合に比較して、送付元が遠方の送付先において取出検知機能付包装体1の受領でなく、送付した内容物200自体が受領されたことの判定の信頼性を向上させることができる。
【0058】
また、本実施形態によれば、取出検知機能付包装体1から送信された取出情報に対して、この取出情報を受信した単一あるいは複数のAPの各々から、時刻情報が付加された取出情報が基地局を介して取出検知(あるいは追跡)サーバに供給される。これにより、取出検知機能付包装体1の位置が所定の時刻情報とともに取得することが可能であり、送付中における取出検知機能付包装体1の追跡処理を容易に行うことができる。
また、取出情報に時刻情報が付加されるため、包装体11から内容物200が取り出された時刻も容易に検知することが可能であり、送付元が遠方の送付先における内容物の受領の時刻(日時)を正確に取得することができる。
【0059】
また、本実施形態によれば、LPWA規格の通信技術を用いており、かつ送付時に取出検出装置100に電力を供給して起動させる省電力構成であるため、低消費電力により取出検知機能付包装体1の包装体11からの内容物200の取出しの有無、及び取出検知機能付包装体1の追跡処理を行うことが可能であるため、到着するまでに長時間を有する送付先に対する内容物200の送付の際にも用いることが可能である。また、従来のRFID(Radio Frequency Identification)タグを読み取るためのRFIDリーダ等が不要となるため、専用の装置を送付先に別途設置する必要がなくなる。
【0060】
<第2の実施形態>
以下、図面を参照して、本発明の第2の実施形態による取出検知機能付包装体について説明する。図5は、本発明の第2の実施形態による取出検知機能付包装体の構成例を示す図である。図5において、取出検知機能付包装体1の包装体11に対して内容物200を挿入する深さ方向(縦幅方向)がZ方向であり、包装体11の厚さ方向がY方向であり、包装体11の横幅方向がX方向である。
【0061】
図5(a)は、取出検知機能付包装体に備えられる取出検出装置の構成例を示している。図5(a)における取出検知機能付包装体の断面は、X方向に垂直な断面である。
また、図5(b)は、取出検知機能付包装体の断面(Z方向に垂直な断面)の構成例を示している。
以下、第2の実施形態における第1の実施形態と異なる構成及び動作のみの説明を行う。
【0062】
図5(a)において、取出検出装置100Aは、起動部101、データ検出部102A、取出検知部103A、情報出力部104、送信部105、記憶部106及び電池107の各々を備えている。
データ検出部102Aは、センサ部としての接触スイッチ12A(後述)がオン状態かオフ状態であるかを、信号線S1Aを介して検出し、オン状態あるいはオフ状態を示す検出情報を、取出検知部103Aに対して出力する。
【0063】
取出検知部103Aは、検出情報がオン状態を示す場合、接触スイッチ12Aの間に内容物200が存在しない、すなわち包装体11の収容領域14から内容物200が取り出されたと判定する。
一方、取出検知部103Aは、検出情報がオフ状態を示す場合、接触スイッチ12Aの間に内容物200が存在する、包装体11の収容領域14から内容物200が取り出されていないと判定する。
【0064】
次に、図5(a)及び図5(b)を参照して、包装体11に対する接触スイッチ12Aの取り付け構成について説明する。
包装体11の内面11S1に、第1電極12_1Aが配置されている(取り付けられている)。また、包装体11における内面11S1と対向する内面11S2に、第2電極12_2Aが配置されている。ここで、第1電極12_1A及び第2電極12_2Aの各々は、平面視において、内面11S1、内面11S2それぞれで重なり合う位置に配置されている。
【0065】
接触スイッチ12Aは、第1電極12_1Aと、この第1電極12_1Aに対向して配置される第2電極12_2Aとによって構成されている。第1電極12_1Aと第2電極12_2Aとの各々に対応する信号線S1Aの各々が、それぞれデータ検出部102Aに接続されている。
この構成において、収容領域14における第1電極12_1Aと第2電極12_2Aとの間に、内容物200、例えば書類、用紙、物品などが挿入される。
【0066】
接触スイッチ12Aは、第1電極12_1Aと第2電極12_2Aとの間に内容物200が存在する場合、第1電極12_1Aと第2電極12_2Aとが接触(ショート)しないためオフ状態となる。
一方、接触スイッチ12Aは、第1電極12_1Aと第2電極12_2Aとの間に内容物200が存在しない場合、第1電極12_1AがQ1方向に、第2電極12_2AがQ2方向に移動することにより、第1電極12_1Aと第2電極12_2Aとが接触するためオン状態となる。
【0067】
これにより、接触スイッチ12Aがオン状態であるか、あるいはオフ状態であるかを検出することにより、第1電極12_1Aと第2電極12_2Aとの間における内容物200の有無の判定を行うことができる。すなわち、包装体11から内容物200(書類や用紙など)が取り出されたか否かの判定を行うことができる。
また、本実施形態における取出検知機能付包装体1Aにおける包装体11からの内容物200の取出しの処理の動作例は、図3に示すフローチャートと同様である。
【0068】
上述したように、本実施形態においては、接触スイッチ12Aがオン状態あるいはオフ状態であるかにより、第1電極12_1Aと第2電極12_2Aとの各々の間における内容物200の有無、すなわち包装体11の収容領域14からの内容物200の取出しが行われたか否かの検出を行っている。
なお、接触スイッチ12Aを磁気センサと磁性体とを備える近接スイッチとし、例えば第1電極12_1Aの位置に磁気センサを配置し、第2電極12_2Aの位置に磁性体を配置する構成としてもよい。
【0069】
この場合、近接スイッチは、磁気センサと磁性体との各々の間に内容物が挿入されている場合、磁気センサと磁性体との離間距離が離れるために磁気センサの出力値(例えば、電圧信号)が内容物が挿入されていない場合に比較して小さくなる。一方、磁気センサと磁性体との各々の間に内容物が挿入されていない場合、磁気センサと磁性体との離間距離が近づくために磁気センサの出力値が内容物が挿入されている場合に比較して大きくなる。
このため、データ検出部102Aは、磁気センサの出力値と予め設定されている所定値とを比較し、出力値が所定値を超える場合にオフ状態と判定する。一方、データ検出部102Aは、磁気センサの出力値が所定値以下の場合にオン状態と判定する。
【0070】
ここで、所定値は、内容物200に対応して任意に設定することができ、例えば、実際に磁気センサ及び磁性体の各々の間に内容物200を挿入し、内容物200が挿入されている場合の近接スイッチの出力値より若干高めに設定する。
また、上記所定値は記憶部106に予め書き込まれて記憶されている。
そして、データ検出部102Aは、記憶部106から所定値を読み込み、この所定値と近接スイッチの出力値とを比較し、近接スイッチがオン状態かオフ状態かの検出を行う。
【0071】
取出検知部103Aは、データ検出部102Aからオフ状態の情報が供給された場合、包装体11から内容物200が取り出されていないと判定する。一方、取出検知部103Aは、データ検出部102Aからオン状態の情報が供給された場合、と包装体11から内容物200が取り出されていると判定する。
【0072】
本実施形態によれば、包装体11の内容物200が挿入される収容領域14に配置された接触スイッチ12A(あるいは近接スイッチ)がオン状態かオフ状態のいずれの状態であるかにより、収容領域14における内容物200の有無を容易に検知することが可能である。また、近接スイッチを用いているため、内容物200の色や形の影響を受けることなく検知することができる。さらに、スイッチ式など内容物200と直接触れることで内容物200の有無を検出する方式は包装体11の輸送時の振動により誤検出が発生しやすいが、本実施形態は非接触式のため振動による誤検出の発生を抑制できる。すなわち、配送された包装体11が開封されて、包装体11の収容領域14に内包されていた内容物200(物品)が取り出されたか否かを容易に判定することができる。
これにより、第1の実施形態と同様に、送付した取出検知機能付包装体1Aの包装体11から内容物200が取り出されたことが確実に確認できるため、開封検知を行う場合に比較して、送付元が遠方の送付先において取出検知機能付包装体1Aの受領でなく、送付した内容物200自体が受領されたことの判定の信頼性を向上させることができる。
【0073】
また、本実施形態によれば、取出検知機能付包装体1Aから送信された取出情報に対して、この取出情報を受信した単一あるいは複数のAPの各々から、時刻情報が付加された取出情報が基地局を介して取出検知(あるいは追跡)サーバに供給されるため、取出検知機能付包装体1Aの位置が所定の時刻情報とともに取得することが可能であるため、送付中における取出検知機能付包装体1Aの追跡処理を容易に行うことができる。
また、取出情報に時刻情報が付加されるため、包装体11から内容物200が取り出された時刻も容易に検知することが可能であり、送付元が遠方の送付先における内容物の受領の時刻(日時)を正確に取得することができる。
【0074】
また、本実施形態によれば、LPWA規格の通信技術を用いており、かつ送付時に取出検出装置100に電力を供給して起動させる省電力構成であるため、低消費電力により取出検知機能付包装体1Aの包装体11からの内容物200の取出しの有無、及び取出検知機能付包装体1Aの追跡処理を行うことが可能であるため、到着するまでに長時間を有する送付先に対する内容物200の送付の際にも用いることが可能である。また、従来のRFID(Radio Frequency Identification)タグを読み取るためのRFIDリーダ等が不要となるため、専用の装置を送付先に別途設置する必要がなくなる。
【0075】
<第3の実施形態>
以下、図面を参照して、本発明の第3の実施形態による取出検知機能付包装体について説明する。図6は、本発明の第3の実施形態による取出検知機能付包装体の構成例を示す図である。図6において、取出検知機能付包装体1Bの包装体11に対して内容物200を挿入する深さ方向(縦幅方向)がZ方向であり、包装体11の厚さ方向がY方向であり、包装体11の横幅方向がX方向である。
【0076】
図6(a)は、取出検知機能付包装体1Bと、取出検知機能付包装体1Bに挿入される取出検出装置100B及び照度センサ12Bが配置された、内容物200が内包されるホルダ10(例えば、半透明のクリアファイル)との構成例を示している。図6(a)における取出検知機能付包装体の断面は、Z方向に垂直な断面である。
また、図6(b)は、ホルダ10の構成例をY方向から見た平面視の図である。
また、図6(c)は、取出検出装置100Bの構成例を示している。
以下、第3の実施形態における第1の実施形態と異なる構成及び動作のみの説明を行う。
【0077】
図6(a)において、取出検出装置100B及び照度センサ12Bの各々が配置されたホルダ10が示されている。
ホルダ10は、内容物200を内包して、包装体11の収容領域14に挿入される。すなわち、ホルダ10は、取出検知機能付包装体1Bの一部として、内容物200とともに送付先に対して送付される。
この構成において、ホルダ10は、収容領域14において、照度センサ12Bを遮光する位置に配置される。このホルダ10には、例えば書類、用紙、物品などが挿入される。
送付先において、包装体11から内容物200を取り出す場合、ホルダ10を一旦取出し、ホルダ10から内容物200を取り出す必要がある。
【0078】
包装体11からホルダ10を取り出すことにより、照度センサ12Bが包装体11により遮光されず、ホルダ10に配置された照度センサ12Bに対して環境光が照射される状態となる。
そして、照度センサ12Bは、環境光の強度に対応した出力値を、取出検出装置100Bに対して信号線S1Bを介して出力する。
【0079】
図6(b)に示すように、ホルダ10には、配置領域10Sにおいて、取出検出装置100B及び照度センサ12Bの各々が配置されている。
ここで、配置量行き10Sは、内容物200の挿入の邪魔にならないように、ホルダ10の角に設けられていることが望ましい。
照度センサ12Bは、ホルダ10が包装体11に挿入されている場合、環境光が入射されないため、出力値(例えば、電圧信号)が包装体11に挿入されていない場合に比較して小さくなる。一方、ホルダ10が包装体11に挿入されていない場合、環境光が入射されるため、出力値が包装体11に挿入されている場合に比較して大きくなる。
【0080】
照度センサ12Bはホルダ10の内部および外部のいずれに設置されていてもよいが、ホルダ10の内部に設置することがより好ましい。照度センサ12Bはホルダ10を包装体11に封入した際に包装体11により遮光された状態となるが、包装体11の材質によっては遮光が十分ではなく、ホルダ10の挿入時とホルダ10の取り出し時の差分が少なくなる場合がある。この場合であっても所定値(後述)の設定により取り出し検知は可能であるが、計測誤差がよりシビアになるため誤検出が発生しうる。しかし、照度センサ12Bをホルダ10内部に設置することで、包装体11に加えてホルダ10による遮光も行うことができるため、取り出し時と遮光時の光検出差を広くとることができる。結果、誤検出を低減できる。
ホルダ10は、包装体11を透過した環境光が照度センサ12Bの出力値(例えば、電圧値)が所定値(後述)を超えない程度の透明度とされる。ここで、ホルダ10の透明度は、例えば、包装体11の素材や包装の厚さに対応して、適宜、実験により設定される。
【0081】
図6(c)において、取出検出装置100Bは、起動部101、データ検出部102B、取出検知部103B、情報出力部104、送信部105、記憶部106及び電池107の各々を備えている。
データ検出部102Bは、センサ部としての照度センサ12B(後述)がオン状態かオフ状態であるかを、信号線S1Bを介して検出し、オン状態あるいはオフ状態を示す検出情報を、取出検知部103Bに対して出力する。
すなわち、データ検出部102Bは、照度センサ12Bの出力値と予め設定されている所定値とを比較し、出力値が所定値を超える場合にオン状態と判定する。一方、データ検出部102Bは、照度センサ12Bの出力値が所定値以下の場合にオフ状態と判定する。
【0082】
ここで、所定値は、包装体11を透過して照度センサ12Bに入射する環境光の強度に対応して任意に設定することができる。例えば、包装体11にホルダ10を挿入したり、包装体11からホルダ10を取り出したりする実験を行い、包装体11にホルダ10を挿入した際の照度センサ12Bの出力値より若干高めに設定する。
また、上記所定値は記憶部106に予め書き込まれて記憶されている。
そして、データ検出部102Bは、記憶部106から所定値を読み込み、この所定値と照度センサ12Bの出力値とを比較し、照度センサ12Bがオン状態かオフ状態かの検出を行う。
【0083】
取出検知部103Bは、データ検出部102Bからオフ状態の情報が供給された場合、包装体11からホルダ10が取り出されていない、すなわち包装体11から内容物200が取り出されていないと判定する。
一方、取出検知部103Bは、データ検出部102Bからオン状態の情報が供給された場合、包装体11からホルダ10が取り出されている、すなわち包装体11から内容物200が取り出されていると判定する。
また、本実施形態における取出検知機能付包装体1Bにおける包装体11からの内容物200の取出しの処理の動作例は、図3に示すフローチャートと同様である。
【0084】
本実施形態によれば、内容物200が内包されたホルダ10に搭載されている照度センサ12Bがオン状態かオフ状態のいずれの状態であるかにより、包装体11の収容領域14におけるホルダ10の有無、すなわち内容物200の有無を容易に検知することが可能である。また、照度センサを用いているため、内容物200の色や形の影響を受けることなく検知することができる。さらに、スイッチ式など内容物200と直接触れることで内容物200の有無を検出する方式は包装体11の輸送時の振動により誤検出が発生しやすいが、本実施形態は非接触式のため振動による誤検出の発生を抑制できる。すなわち、配送された包装体11が開封されて、包装体11の収容領域14に内包されていた内容物200(物品)が取り出されたか否かを容易に判定することができる。
これにより、第1の実施形態と同様に、送付した取出検知機能付包装体1Bの包装体11から内容物200が取り出されたことが確実に確認できるため、開封検知のみを行う場合と比較して、送付元が遠方の送付先において取出検知機能付包装体1Bの受領でなく、送付した内容物200自体が受領されたことの判定の信頼性を向上させることができる。
【0085】
また、本実施形態によれば、取出検知機能付包装体1Bから送信された取出情報に対して、この取出情報を受信した単一あるいは複数のAPの各々から、時刻情報が付加された取出情報が基地局を介して取出検知(あるいは追跡)サーバに供給されるため、取出検知機能付包装体1Bの位置が所定の時刻情報とともに取得することが可能である。そのため、送付中における取出検知機能付包装体1Bの追跡処理を容易に行うことができる。
また、取出情報に時刻情報が付加されるため、包装体11から内容物200が取り出された時刻も容易に検知することが可能であり、送付元が遠方の送付先における内容物の受領の時刻(日時)を正確に取得することができる。
【0086】
また、本実施形態によれば、LPWA規格の通信技術を用いており、かつ送付時に取出検出装置100に電力を供給して起動させる省電力構成であるため、低消費電力により取出検知機能付包装体1Bの包装体11からの内容物200の取出しの有無、及び取出検知機能付包装体1Bの追跡処理を行うことが可能であり、到着するまでに長時間を有する送付先に対する内容物200の送付の際にも用いることが可能である。また、従来のRFID(Radio Frequency Identification)タグを読み取るためのRFIDリーダ等が不要となるため、専用の装置を送付先に別途設置する必要がなくなる。
【0087】
本実施形態においては、照度センサ12Bをホルダ10の内部(内面)に設ける構成としたが、包装体11の包装が環境光のほとんどを遮光できる場合、ホルダ10の外部(外面)に設ける構成としてもよい。
【0088】
<第4の実施形態>
以下、図面を参照して、本発明の第4の実施形態による取出検知機能付包装体について説明する。図7は、本発明の第4の実施形態による取出検知機能付包装体の構成例を示す図である。図7において、取出検知機能付包装体1Cの包装体11に対して内容物200を挿入する深さ方向(縦幅方向)がZ方向であり、包装体11の厚さ方向がY方向であり、包装体11の横幅方向がX方向である。
【0089】
図7(a)は、取出検知機能付包装体1Cと、取出検知機能付包装体1Cに挿入される取出検出装置100C及び断線センサ12Cが配置された、内容物200が内包される包装体11の構成例を示している。図7(a)における取出検知機能付包装体1Cの断面は、Z方向に垂直な断面である。
内容物200は、例えば書類、用紙、物品などであり、固定部材301によって固定板302に固定されている。
【0090】
厚紙やラップなどの固定部材301によって内容物200が固定板302に固定されているため、内容物200を包装体11から取り出すためには、固定板302とともに取り出す必要がある。
固定板302と包装体11との間には、例えばループ状の導体の配線S1Cが設けられている。この導体の配線S1Cは、固定板302を包装体11から取り外したときに断線するように構成されている。一例としては、固定板302の底部の少なくとも一部が導体となっており、包装体11内面には分離された配線が設けられている。そして、包装体11内面の配線が導通するような位置に、固定板302が接着されて配置される。これにより、固定板302の底部における導体と、包装体11内面の導体の配線とにより、ループ状の配線S1Cが形成される。そのため、内容物200とともに固定板302が除去されると、包装体11の導体の配線が断線状態となる。
【0091】
また、図7(b)は、取出検出装置100Cの構成例を示している。
図7(b)において、取出検出装置100Cは、起動部101、データ検出部102C、取出検知部10C、情報出力部104、送信部105、記憶部106及び電池107の各々を備えている。
以下、第4の実施形態における第1の実施形態と異なる構成及び動作のみの説明を行う。
【0092】
データ検出部102Cには、上述したループ状の配線S1Cの一端S1C-1と他端S1C-2との各々が接続されている。データ検出部102Cは、配線S1Cとともに断線センサを形成している。データ検出部102Cは、例えば、一端S1C-1からパルス信号を配線S1Cに出力し、他端S1C-2でそのパルス信号を検知できるか否かにより、配線S1Cが断線しているか否かの判定を行なう。
【0093】
データ検出部102Cは、他端S1C-2でパルス信号を検知できた場合に配線S1Cが導通状態であることを検出する。一方、データ検出部102Cは、他端S1C-2でパルス信号を検知できない場合に配線S1Cが断線状態であることを検出する。
そして、断線センサ12Cは、包装体11の導体の配線S1Cが導通状態の場合、導通状態であることを示す検出情報を取出検知部103Cに対して出力する。一方、断線センサ12Cは、包装体11の導体の配線S1Cが断線状態となった場合、断線状態であることを示す検出情報S1Cを取出検知部103Cに対して出力する。
【0094】
また、データ検出部102Cは、例えば、一端S1C-1から電流を配線S1Cに流し、他端S1C-2でその電流を検知できるか否かにより、配線S1Cが断線しているか否かの判定を行なう構成としてもよい。
ここで、データ検出部102Cは、消費電力を低減するため、上述したパルス信号や電流を用いた配線S1Cの断線状態か否かの検出処理を、予め設定された所定の時間間隔(例えば、1日に一回、一時間に一回など)で行なってもよい。
【0095】
取出検知部103Cは、データ検出部102Cから導通状態の情報が供給された場合、包装体11から固定板302が取り出されていない、すなわち包装体11から内容物200が取り出されていないと判定する。
一方、取出検知部103Cは、データ検出部102Cから断線状態の情報が供給された場合、包装体11から固定板302が取り出されている、すなわち包装体11から内容物200が取り出されていると判定する。
また、本実施形態における取出検知機能付包装体1Cにおける包装体11からの内容物200の取出しの処理の動作例は、図3に示すフローチャートと同様である。
【0096】
本実施形態によれば、内容物200が固定された固定板302が接着される包装体11内面の配線S1Cが導通状態か断線状態のいずれの状態であるかにより、包装体11の収容領域14における固定板302の有無、すなわち内容物200の有無を容易に検知することが可能である。また、データ検出部102C及び配線S1Cからなる断線センサを用いているため、内容物200の色や形の影響を受けることなく検知することができる。さらに、スイッチ式など内容物200と直接触れることで内容物200の有無を検出する方式は包装体11の輸送時の振動により誤検出が発生しやすいが、本実施形態は固定板302により包装体11に固定された状態のため、振動による誤検出の発生を抑制できる。すなわち、配送された包装体11が開封されて、包装体11の収容領域14に内包されていた内容物200(物品)が取り出されたか否かを容易に判定することができる。
これにより、第1の実施形態と同様に、送付した取出検知機能付包装体1Cの包装体11から内容物200が取り出されたことが確実に確認できるため、開封検知のみを行う場合と比較して、送付元が遠方の送付先において取出検知機能付包装体1Cの受領でなく、送付した内容物200自体が受領されたことの判定の信頼性を向上させることができる。
【0097】
また、本実施形態によれば、取出検知機能付包装体1Cから送信された取出情報に対して、この取出情報を受信した単一あるいは複数のAPの各々から、時刻情報が付加された取出情報が基地局を介して取出検知(あるいは追跡)サーバに供給されるため、取出検知機能付包装体1Cの位置が所定の時刻情報とともに取得することが可能である。そのため、送付中における取出検知機能付包装体1Cの追跡処理を容易に行うことができる。
また、取出情報に時刻情報が付加されるため、包装体11から内容物200が取り出された時刻も容易に検知することが可能であり、送付元が遠方の送付先における内容物の受領の時刻(日時)を正確に取得することができる。
【0098】
また、本実施形態によれば、LPWA規格の通信技術を用いており、かつ送付時に取出検出装置100に電力を供給して起動させる省電力構成であるため、低消費電力により取出検知機能付包装体1Bの包装体11からの内容物200の取出しの有無、及び取出検知機能付包装体1Bの追跡処理を行うことが可能であり、到着するまでに長時間を有する送付先に対する内容物200の送付の際にも用いることが可能である。また、従来のRFID(Radio Frequency Identification)タグを読み取るためのRFIDリーダ等が不要となるため、専用の装置を送付先に別途設置する必要がなくなる。
【0099】
また、本実施形態における図1図5図6及び図7の各々に示す取出検出装置100、100A、100B、100Cの包装体11からの内容物200の取り出されたか否かの判定を行う機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより包装体11から内容物200が取り出されたか否かの検知を行う処理を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
【0100】
また、「コンピュータシステム」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。
【0101】
さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイルであっても良い。
【0102】
以上、この発明の実施形態を図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【符号の説明】
【0103】
1,1A,1B、1C…取出検知機能付包装体
10…ホルダ
10S…配置領域
11…包装体
12…静電容量センサ
12_1,12_1A…第1電極
12_2,12_2A…第2電極
12A…
12B…照度センサ
11S1,11S2…内面
13…固定治具
14…収容領域
100,100A,100B、100C…取出検出装置
101…起動部
102,102A,102B,102C…データ検出部
103…取出検知部
104…情報出力部
105…送信部
106…記憶部
107…電池
200…内容物
301…固定部材
302…固定板
S1C…配線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7