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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-08
(45)【発行日】2024-05-16
(54)【発明の名称】現像装置および画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/08 20060101AFI20240509BHJP
   G03G 21/16 20060101ALI20240509BHJP
【FI】
G03G15/08 390Z
G03G21/16 176
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020032882
(22)【出願日】2020-02-28
(65)【公開番号】P2021135431
(43)【公開日】2021-09-13
【審査請求日】2023-01-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137752
【弁理士】
【氏名又は名称】亀井 岳行
(74)【代理人】
【識別番号】100085040
【弁理士】
【氏名又は名称】小泉 雅裕
(74)【代理人】
【識別番号】100108925
【弁理士】
【氏名又は名称】青谷 一雄
(74)【代理人】
【識別番号】100087343
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 智廣
(72)【発明者】
【氏名】田中 有周
【審査官】早川 貴之
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-107040(JP,A)
【文献】特開平11-258907(JP,A)
【文献】特開2002-244428(JP,A)
【文献】特開2014-164107(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 13/00
13/08
13/095
15/00
15/08
15/095
21/16-21/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
現像剤を収容する収容部と、前記収容部に収容された現像剤を長手方向に搬送するよう回転する回転部と、前記回転部により搬送された現像剤を保持する現像ロールとを有するハウジングを備え、
前記収容部のうち、少なくとも一部が前記長手方向において前記現像ロールの現像剤保持領域と重なる領域に亘って金属で成形されており、
前記ハウジングのうち前記収容部と接合され、前記現像ロールの軸部を少なくとも支持する支持部が、電気絶縁性を有する材料で成形されており、
前記支持部のうち前記金属で成形される部分と接合する面に、ねじを通す通し孔が中央部に形成された凸部が設けられているとともに前記凸部の突出量を超える厚さの弾性部材が取り付けられており、
前記支持部は、前記凸部を前記金属で成形される部分の接合する面に接触させた状態でかつ前記弾性部材を前記金属で成形される部分との間に介在させた状態で、ねじにより前記凸部を前記金属で成形される部分に結合されている現像装置。
【請求項2】
前記収容部の前記金属で成形される部分は、前記長手方向と直交する方向の断面が同一の形状で構成されている請求項1に記載の現像装置。
【請求項3】
前記収容部の前記金属で成形される部分は、前記長手方向に沿う面を境にして分割された複数の分割部分を結合して構成されている請求項に記載の現像装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の現像装置を備えている画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、現像装置および画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、現像装置としては、以下の特許文献1に記載されたものが知られている。
【0003】
特許文献1には、ハウジングが上下方向に2分割された下部ハウジングと上部ハウジングを接合させて組み立てる構造からなり、その下部ハウジングと上部ハウジングを合成樹脂で形成する現像装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第3982212号公報(段落0052、図10など)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この発明は、ハウジングの収容部のうち少なくとも一部が長手方向において前記現像ロールの現像剤保持領域と重なる領域に亘って金属で構成されていない場合に比べて、剛性を高めることができる現像装置および画像形成装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明(1)は、現像剤を収容する収容部と、前記収容部に収容された現像剤を長手方向に搬送するよう回転する回転部と、前記回転部により搬送された現像剤を保持する現像ロールとを有するハウジングを備え、
前記収容部のうち、少なくとも一部が前記長手方向において前記現像ロールの現像剤保持領域と重なる領域に亘って金属で成形されており、
前記ハウジングのうち前記収容部と接合され、前記現像ロールの軸部を少なくとも支持する支持部が、電気絶縁性を有する材料で成形されており、
前記支持部のうち前記金属で成形される部分と接合する面に、ねじを通す通し孔が中央部に形成された凸部が設けられているとともに前記凸部の突出量を超える厚さの弾性部材が取り付けられており、
前記支持部は、前記凸部を前記金属で成形される部分の接合する面に接触させた状態でかつ前記弾性部材を前記金属で成形される部分との間に介在させた状態で、ねじにより前記凸部を前記金属で成形される部分に結合されている現像装置である。
【0008】
この発明()は、上記発明(1)の現像装置において、前記収容部の前記金属で成形される部分は、前記長手方向と直交する方向の断面が同一の形状で構成されている現像装置である。
【0014】
この発明()は、上記発明()の現像装置において、前記収容部の前記金属で成形される部分は、前記長手方向に沿う面を境にして分割された複数の分割部分を結合して構成されている現像装置である。
【0015】
また、この発明()は、上記発明(1)から()のいずれかの現像装置を備えている画像形成装置である。
【発明の効果】
【0016】
上記発明(1)の現像装置によれば、ハウジングの収容部のうち少なくとも一部が長手方向において前記現像ロールの現像剤保持領域と重なる領域に亘って金属で構成されていない場合に比べて、剛性を高めることができる。
また上記発明(1)の現像装置によれば、現像ロールの軸部に現像バイアスが供給されたときでも、その現像ロールの軸部を支持する支持部の電気絶縁性が確保され、収容部の金属で成形された部分に電気が流れることがない。
また上記発明(1)の現像装置によれば、収容部の金属で成形される部分と支持部が凸部のない面どうしを接合させた状態でねじにより結合される場合に比べて、その双方を凸部の介在により容易に位置決めして結合させることができる。
また上記発明(1)の現像装置によれば、凸部を収容部の金属で成形される部分の側に設ける場合に比べて、凸部を設ける部分を確保しやすくなり、また収容部の金属で成形される部分の接合する面を同一の形状の面にすることが可能になる。
また上記発明(1)の現像装置によれば、凸部としてねじを通す通し孔が中央部に形成された凸部を設けない場合に比べて、収容部の金属で成形される部分と支持部をより確実に位置決めして結合させることができる。
また上記発明(1)の現像装置によれば、凸部の突出量を超えない厚さの弾性部材を介在させて結合する場合に比べて、収容部の金属で成形される部分と支持部のうち弾性部材が介在して接合する面に隙間が生じることが抑制される。
さらに上記発明(1)の現像装置によれば、弾性部材が収容部の金属で成形される部分の側に取り付けられる場合に比べて、弾性部材を容易に取り付けることができる。
【0018】
上記発明()によれば、収容部の金属で成形される部分は金属の押出し成形法または引抜き成形法を利用して効率よく得ることができる。
【0024】
上記発明()によれば、収容部の金属で成形される部分が複数に分割されて構成されていない場合に比べて、その金属で成形される部分をより正確に製作することができる。
【0025】
上記発明()の画像形成装置によれば、現像装置におけるハウジングの収容部のうち少なくとも一部が長手方向において前記現像ロールの現像剤保持領域と重なる領域に亘って金属で構成されていない場合に比べて、剛性が高められた現像装置を備えた画像形成装置にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】実施の形態1に係る画像形成装置を示す概要図である。
図2】実施の形態1に係る現像装置を示す概略断面図である。
図3図2の現像装置の一部(上面部を外した後の部分)を示す上面図である。
図4図3の現像装置の一部の構成を示す概略分解図である。
図5図2の現像装置のハウジングにおける収容部の構成を示す概略断面図である。
図6図5の収容部の一部の構成を示す概略斜視図である。
図7】(A)は図6の収容部の一部である下部の重なる部分の断面形状を示す説明図、(B)はその下部の重なる部分の接合する面の構成を示す概要図である。
図8図2の現像装置のハウジングにおける一方の支持部を示す概要図である。
図9】ハウジングにおける下部の重なる部分と支持部との結合に関する構成を示す概念図であり、(A)はその結合する前の状態を示す概念図、(B)はその結合した状態を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、この発明を実施するための形態について図面を参照しながら説明する。
【0028】
実施の形態1.
図1図2は、この発明の実施の形態1を示す図面である。図1には実施の形態1に係る画像形成装置1が示され、図2には実施の形態1に係る現像装置が示されている。
【0029】
画像形成装置1は、図1に示されるように、筐体10の内部に、電子写真方式等により現像剤としてのトナーからなるトナー像を形成して被記録材の一例である記録用紙9に転写する像形成装置2、収容する所要の記録用紙9を像形成装置2の転写位置に供給する給紙装置3、記録用紙9に転写されたトナー像を定着する定着装置4等を備えている。
【0030】
像形成装置2は、図1に示されるように、矢印Aで示す方向に回転する感光ドラム21の周囲に、帯電装置22、露光装置23、現像装置5、転写装置25、清掃装置26、除電装置27等の機器をこの順に配置して構成されている。
【0031】
このうち、感光ドラム21は、周面に感光層を有するドラム形態の感光体であり、図示しない支持フレーム等に回転可能に支持され、図示しない駆動装置からの動力を受けて矢印Aで示す方向に回転駆動する。帯電装置22は、感光ドラム21の周面(像形成領域)を帯電バイアスが供給される帯電部材にて所要の極性および電位に帯電させる。
【0032】
露光装置23は、感光ドラム21の帯電後の周面に、画像形成装置1に種々の方式で入力される画像情報(信号)に対応させた光を露光して静電潜像を形成する。現像装置5は、現像剤としてのトナーを供給することにより感光ドラム21上の静電潜像を現像してトナー像にする。この現像装置5の詳細については後述する。
【0033】
転写装置25は、転写バイアスが供給される転写部材により、感光ドラム21上のトナー像を記録用紙9に静電的に転写させる。清掃装置26は、感光ドラム21の周面に付着して残留するトナー等の不要物を除去して清掃する。除電装置27は、感光ドラム21の清掃後の周面を除電する。
【0034】
給紙装置3は、画像の形成に使用する所要のサイズ、種類等からなる複数枚の記録用紙9を積み重ねた状態で収容する用紙収容体31と、その用紙収容体31に収容される記録用紙9を1枚ずつ送り出す送出装置33等で構成されている。
用紙収容体31は、筐体10に対して引き出した状態にできるよう取り付けられており、その利用する態様に応じて複数装備される。記録用紙9としては、例えば、所定のサイズに裁断された普通紙、コート紙、厚紙、薄紙等の記録媒体が使用される。
【0035】
定着装置4は、記録用紙9の導入口および排出口が設けられた筐体40の内部に、ロール、ベルト等の形態からなる加熱用回転体41および加圧用回転体42等の定着部材を配置して構成されている。
加熱用回転体41と加圧用回転体42は、互いに接触して回転するように支持されており、その接触し合う部分を未定着のトナー像が転写された記録用紙9を挟持して通過させながら所要の定着処理(加熱、加圧など)を行う定着処理部としている。
【0036】
そして、この画像形成装置1による画像形成は、次のようにして行われる。ここでは、記録用紙9の片面に画像を形成するときの基本的な画像形成動作を例にして説明する。
【0037】
画像形成装置1は、図示しない制御部が外部の接続機器から画像形成動作の要求の指令(信号)を受けると、像形成装置2では、感光ドラム21が矢印Aで示す方向に回転始動し、帯電装置22が感光ドラム21の周面を所定の極性および電位(本例ではマイナス極性)に帯電し、しかる後、その感光ドラム21の帯電した周面に対して、露光装置23が入力された画像情報に基づく露光を行って所要のパターンからなる静電潜像を形成する。
【0038】
続いて、像形成装置2では、現像装置5が、感光ドラム21の周面に形成された静電潜像にむけて所要の極性(本例ではマイナス極性)に帯電されたトナーを供給して現像し、その静電潜像をトナー像として顕像化する。これにより、感光ドラム21上にはトナー像が形成される。
【0039】
この後、像形成装置2では、回転駆動する感光ドラム21がトナー像を転写装置25と対向する転写位置まで搬送する。
一方、給紙装置3では、像形成装置2で形成されたトナー像が転写位置に到達するタイミングに間に合うよう、送出装置33が記録用紙9を搬送ロール35,36、用紙案内部材等で構成される供給搬送路に送り出し、最後に記録用紙9が搬送ロール36により像形成装置2の転写位置に送り込まれて供給される。
【0040】
このとき像形成装置2は、その転写位置において転写装置25の転写部材が感光ドラム21との間に転写電界を形成して感光ドラム21上のトナー像を記録用紙9の片面に静電的に転移させる。また像形成装置2においては、この転写後の時期等を含む画像形成動作の時期に、清掃装置26が感光ドラム21の周面を清掃し続け、また除電装置27がその清掃後の感光ドラム21の周面を除電する。これにより、感光ドラム21は次の像形成の動作工程に備えた状態に保たれる。
【0041】
続いて、トナー像が転写された記録用紙9は、転写位置から送り出されて定着装置4にむけて搬送される。定着装置4では、回転駆動する加熱用回転体41と加圧用回転体42との間の定着処理部に記録用紙9が導入されて通過させられる。この定着処理部を通過する際、記録用紙9の片面にあるトナー像は、そのトナーが加圧下で加熱されて溶融されることにより記録用紙9に定着される。
【0042】
また、定着装置4では、定着が終了した記録用紙9を定着処理部から排出ロール37、用紙案内部材等で構成される排出搬送路に送り出す。最後に、その定着後の記録用紙9は排出搬送路における排出ロール37により筐体10の排出口12から排出されて図示しない排出収容部に収容される。
【0043】
以上により、1枚の記録用紙9の片面に1色のトナーで構成される単色画像が形成され、記録用紙9の片面に対する画像形成動作が終了する。また、複数枚の画像形成動作を実行する指令が出されたときには、上記した一連の動作がその枚数分だけ同様に繰り返されることになる。
【0044】
次に、現像装置5について説明する。
【0045】
現像装置5は、図2図3等に示されるように、現像剤8を収容する収容部51と、収容部51に収容された現像剤8を回転することで長手方向Dに搬送する回転部60の一例である搬送部材61,62と、搬送部材61,62により搬送された現像剤8を保持する現像ロール63と、現像剤8を収容部51から現像ロール63に受け渡すよう回転して供給する回転部60の一例である供給部材64と、現像ロール63に保持された現像剤の層の厚さを調整する層厚調整部材65とを有するハウジング50を備えている。
【0046】
ハウジング50における収容部51は、現像剤8が収容されるとともに搬送部材61,62によりそれぞれ搬送される一方向にほぼ平行して長く延びる2つの溝状の通路53,54と、現像ロール63が収容されるとともにその一部を感光ドラム21の現像対象部に対向させるよう露出させる現像開口55aを有する現像部55とが設けられている。
【0047】
2つの通路53,54は、その隣接する部分が長手方向Dに沿って隔壁56により仕切られている一方で、その長手方向Dの両端部において隔壁56のない連絡部57A,57Bで互いにつながっており、これにより、現像剤8を循環移動させることが可能な通路になっている。現像剤8としては、例えば、(非磁性)トナーと(磁性)キャリアを含む二成分現像剤が使用される。
【0048】
現像ロール63は、例えば、矢印Bで示す方向に回転する円筒状の(非磁性)スリーブ63aとその中空内に配置されるマグネットロール63bからなるロールが使用される。現像ロール63は、その軸部63cが軸受633に回転可能に支持されている。
また現像ロール63は、その軸部63cに取り付けられる間隔保持部材66の一部が感光ドラム21を支持する部分に接触した状態にされることで、感光ドラム21との間隔Sが一定の距離に保たれる。さらに、現像ロール63は、その軸部63cに給電部635から現像バイアスが供給され、感光ドラム21との間で現像電界を形成する。現像バイアスとしては、例えば、直流に交流成分を重畳したものが供給される。
【0049】
供給部材64は、回転するパドル、ロール等の形態からなる部材であり、その軸部が図示しない軸受により回転可能に支持されている。供給部材64は、通路54を移動する現像剤8の一部を現像ロール63にむけて供給する。
搬送部材61,62は、軸部にらせん状の搬送羽が形成されたスクリューオーガ等の部材であり、その軸部が軸受613,623に回転可能に支持されている。搬送部材61,62は、回転することで軸方向にほぼ沿って現像剤8を撹拌しながら搬送する。
層厚調整部材65は、現像ロール63と所定の隙間をあけて現像ロール63の軸方向に沿った状態で配置される板状の部材である。層厚調整部材65は、現像ロール63に保持される現像剤8の層のうち余剰分を収容部51内にかき落として層厚を調整する。
【0050】
また、ハウジング50は、図3に示されるように、収容部51のうち長手方向Dにおいて現像ロール63の現像剤8を保持する領域(現像剤保持領域)Eと位置が重なる部分(以下「重なる部分」と略称することもある)51Aについて、図2図4図5等に示されるように下部の重なる部分51A1と上部の重なる部分51A2に分割されている。
このときの上部の重なる部分51A2は、図2図5に示されるように、通路53,54および現像部55の一部を上方から覆って閉じる蓋にほぼ相当する蓋部となる。一方、下部の重なる部分51A1は、図2図5図6等に示されるように、通路53,54および現像部55のうち上部の重なる部分51A2が占める上端部分を除いた本体に相当する本体部になる。
【0051】
さらに、ハウジング50は、図3等に示されるように、収容部51の重なる部分51A1,51A2とその長手方向Dの両端部においてそれぞれ接合される左右の支持部52A,52Bを有している。
この左右の支持部52A,52Bは、主に、搬送部材61,62の軸受613,623、現像ロール63の軸受633、供給部材64の図示しない軸部等を支持する部分である。支持部52A,52Bはいずれも、その上下方向において分割されたものでなく一体の構造部分であるが、その上下方向において2分割した構造にしてもよい。但し、一体の構造部分とすることで、ハウジング50を組み立てる際に2分割した構造部を接合して一体にする組み立て作業が必要なくなる。
【0052】
また、支持部52A,52Bは、収容部51と接合する側の部分に、2つの通路53,54の上記重なる部分51A1,51A2における通路53,54の部分を除く端部と連絡部57A,57Bが設けられている。また、一方の支持部52Aは、補給される現像剤を取り入れて通路53に送り込む補給路58が突出した状態で設けられている。搬送部材61は、補給路58にも存在して補給される現像剤を通路53に搬送する補給羽根を有する補給搬送部61dが延長された状態で設けられている。
【0053】
また、支持部52A,52Bは、収容部51と接合する側とは反対側の部分に、上記各軸受613,623,633等をそれぞれ取り付ける軸受取付け部52c(図4)が設けられている。また、一方の支持部52Bは、軸受取付け部52cの外側の部分に、現像ロール63の軸部63cのギヤ634、搬送部材61,62の軸部のギヤ614,624等を含むギヤ列機構を配置して収容する駆動伝達部52dが設けられている。
【0054】
さらに、支持部52A,52Bは、図2に示されるように、現像装置5が感光ドラム21から矢印Cで示す離間する方向に移動可能に支持する2つの移動支持部71,72が設けられている。
【0055】
移動支持部71,72は、現像装置5の上下の2箇所において現像装置5の長手方向(現像ロール63の軸方向に沿う方向)に延びる棒状の部材である。上方の移動支持部71は、その棒状の部材を、支持部52A,52Bの各外面部に上方に突出させた状態で取り付ける左右の支持板70にそれぞれ設けられた各通し孔を貫通させて固定している。下方の移動支持部72は、その棒状の部材を、支持部52A,52Bの下部にそれぞれ突出した状態で形成された下部突出部522に設けてなる各通し孔を貫通させて固定している。
【0056】
また、移動支持部71,72は、その棒状の部材の両端に回転可能に図示しない車輪を設け、その車輪を上記移動する方向Cに案内して支持する図示しない支持ガイド部に支持されている。支持ガイド部は、筐体10の一部等に設けられる。ちなみに現像装置5は、例えば、その支持板70の一部に対して感光ドラム21に接近する方向に作用する押し付け力F(図2)を図示しない押付け部材により受けている。
【0057】
ここで、この現像装置5は、画像形成動作等の所要の時期になると、搬送部材61,62、現像ロール63、供給部材64等の図示しない駆動装置からの回転動力を受けて所定の方向にそれぞれ回転する。またこの際、現像ロール63には現像バイアスが供給される。
【0058】
これにより、ハウジング50の収容部51の通路53,54では、予め定めた方向に回転する搬送部材61,62による搬送力を受けて現像剤8が各通路53,54の長手方向Dにほぼ沿って白抜きの矢印で示す方向にそれぞれ撹拌されながら搬送される。またこのとき現像剤8は、現像ロール63から離れた側の通路53の終端側で連絡部57Bを通して現像ロール63に近い側の通路54に移動させられる一方で、通路54の終端側で連絡部57Aを通して通路53に移動させられる。この結果、収容部51では、全体として現像剤8が通路53,54との間で循環移動するよう搬送される。
【0059】
また、ハウジング50の現像部55では、供給部材64が通路54を搬送される現像剤8の一部を現像ロール63に供給して保持させ、その現像ロール63に保持された現像剤8の層が層厚調整部材65を通過することにより所要の層厚に調整された後、現像ロール63が現像剤8を感光ドラム21と向き合う現像対象部分を通過させるように搬送する。
現像ロール63に保持された現像剤8は、現像対象部分を通過する際、現像バイアスにより感光ドラム21との間に形成される現像電界により感光ドラム21の静電潜像に移行させられて付着する。これにより、静電潜像の現像が行われる。
【0060】
そして、この現像装置5においては、図3から図6等に示されるように、収容部51のうち現像ロール63の現像剤保持領域Eと重なる部分51Aにおける下部の重なる部分51A1がその重なる領域に亘って金属で成形されている。
金属としては、例えば、押出し成形法による製作が容易であるからアルミニウムが使用されるが、これに限定されない。
【0061】
金属で成形される下部の重なる部分51A1は、図7(A)に示されるように、長手方向Dと直交する方向の断面形状がその長手方向Dの全域に亘って同一の形状で構成されている。
このような断面形状からなる下部の重なる部分51A1は、例えば、金属の押出し成形法又は引抜き成形法を利用して製作することができる。なお、下部の重なる部分51A1の上記断面形状が長手方向Dの全域に亘って同一の形状で構成されていない場合は、その下部の重なる部分51A1の金属による製作は、切削加工等の成形法を利用して行うことができる。
【0062】
また、この現像装置5においては、上記重なる部分51Aにおける上部の重なる部分51A2と支持部52A,52Bが電気絶縁性を有する材料で成形されている。また、この現像装置5は、収容部51のうち上部の重なる部分51A2についても電気絶縁性を有する材料で成形されている。
電気絶縁性を有する材料としては、例えば、ABS樹脂、液晶ポリマー、ガラス入り樹脂等が使用される。このときの電気絶縁性は、少なくとも現像ロール63の軸部63cに供給される現像バイアスの電気を通すおそれがない程度の性能である。電気絶縁性を有する材料として合成樹脂を使用する場合、上部の重なる部分51A2と支持部52A,52Bはプラスチックの成型法を利用して製作される。
【0063】
さらに、この現像装置5においては、金属で成形される下部の重なる部分51A1と電気絶縁性を有する材料で成形される支持部52A,52Bとを結合させるために、以下の構成を採用している。
【0064】
すなわち、支持部52A,52Bの下部の重なる部分51A1と接合する面52jには、図8に示されるように、下部の重なる部分51A1の接合する面51jに接触させる複数の凸部75を設けている。凸部75は、例えば、所望の突出量h(図9参照)となる円盤(又は円柱)の形状で形成される。凸部75は、所望の位置に所要の数だけ設けられる。
【0065】
また、凸部75には、そのほぼ中央部に、下部の重なる部分51A1との結合に使用するねじ76を通すための通し孔77を設けている。この場合の凸部75は、ねじの通し孔77(さらにはねじ76)の周囲を囲む部分に設けられているともいえる。一方、下部の重なる部分51A1における接合する面51jには、図7(B)に示されるように、ねじ76を締結するねじ孔(雌ねじ)59が設けられている。ねじ孔59は、通し孔77と対応する位置および数だけ形成されている。
【0066】
また、下部の重なる部分51A1の接合する面51jには、図7(B)に示されるように、支持部52A,52Bとの接合時の位置を決める位置決め突起512を複数設けている。一方、支持部52A,52Bの接合する面52jには、図8に示されるように、複数の位置決め突起512がそれぞれ嵌め入れられる位置決め孔78が複数設けられている。位置決め突起512は、例えば、その金属からなる接合する面51jに取付孔(凹部)を設けた後に突起になる部材を圧入することで設けられる。
【0067】
さらに、支持部52A,52Bのうち下部の重なる部分51A1と接合する面52jの少なくとも一部には、図9に概念的に示されるように、弾性部材81を取り付けている。
弾性部材81は、主に支持部52A,52Bが下部の重なる部分51A1と結合した後に現像剤8が漏れることを防止するためのものであり、その漏れを防止する必要がある部位に最低限取り付けられる。弾性部材81としては、支持部52A,52Bが下部の重なる部分51A1と結合したときに自身が変形する素材であればよく、例えば、ウレタンスポンジ(又はゴム)等の部材が適用される。弾性部材81は、支持部52A,52Bの接合する面の該当部分に、例えば、粘着剤、両面テープ等の粘着手段により貼り付けることで取り付けられる。
【0068】
また、弾性部材81としては、図9に示されるように、支持部52A,52Bと下部の重なる部分51A1とが結合する前に凸部75の突出量hを超える厚さd(>h)を有するものが取り付けられる。この厚さdについては、弾性部材81の物性や気密性などの観点から適宜選定される。また、弾性部材81は、図9に白抜きで示されるように、凸部75の突出面75aを覆う部分には取り付けられない。弾性部材81は凸部75の突出面75aを覆う部分に取り付けられていても構わないが、その部分に取り付けない場合には、凸部75を下部の重なる部分51A1の接合する面51jに確実に接触させ、結合時の位置を合わせることができる。
【0069】
そして、下部の重なる部分51A1と支持部52A,52Bとの結合は、図9(A)に示されるように、両者の接合する面51j、52jどうしを接近させて、ねじ76を凸部75の通し孔77を通した後にねじ孔59に締結することで行われる。
【0070】
このねじの締結の過程において支持部52A,52Bと下部の重なる部分51A1は、位置決め突起512が位置決め孔78に嵌め入れられて位置決めされた状態になるとともに、図9(B)に示されるように凸部75が下部の重なる部分51A1の接合する面51jに接触した状態になって結合される。
また、このねじの締結による結合に際しては、図9(B)に示されるように、弾性部材81が下部の重なる部分51A1の接合する面51jに接触した後に弾性変形により圧縮されて密着した状態になる。この結果、弾性部材81は、圧縮されることで、その結合完了時における厚さが凸部75の突出量hと同じになる。
【0071】
また現像装置5では、収容部51の重なる部分51Aにおける上部の重なる部分51A2が、下部の重なる部分51A1と支持部52A,52Bに対してねじ等により接合される。このときの結合においても、上記したねじの通し孔77を有する凸部75や位置決め突起512および位置決め孔78を同様に採用してもよい。
【0072】
以上のように実施の形態1に係る現像装置5は、ハウジング50における収容部51の重なる部分51Aのうち下部の重なる部分51A1が金属で成形されているので、ハウジング50の収容部51を金属で構成していない場合に比べると、剛性が高められる。
【0073】
これにより、例えば、現像装置5が全体的に大型化した構成になる場合やその長手方向Dの寸法が長くなる構成になる場合であっても、現像剤8や搬送部材61,62等を収容又は保持するためにかかる荷重に対して十分な剛性(強度)が確保され、ハウジング50における収容部51の重なる部分51Aに反りや撓みが生じるおそれがない。
【0074】
また、この現像装置5は、支持部52A,52Bが電気絶縁性を有する材料で成形されているので、例えば画像形成動作のときに現像ロール63の軸部63cに現像バイアスが供給されたときでも、その現像ロール63の軸部63cを支持する支持部52A,52Bの電気絶縁性が確保されるので、収容部51のうち金属で成形された下部の重なる部分51A1に電気が流れるおそれがない。
【0075】
また、この現像装置5は、金属で成形される下部の重なる部分51A1と電気絶縁性を有する材料で成形される支持部52A,52Bとの結合が凸部75を介在させた状態で行っているので、その凸部75を介在させない結合(広い面どうし)の場合に比べて、その下部の重なる部分51A1と支持部52A,52Bの双方が凸部75の介在により容易に位置決めされて良好に結合される。
【0076】
また、この現像装置5は、凸部75をねじ76の通し孔77又はその締結時のねじ76の周囲を囲む部分に設けられているので、その凸部75を通し孔77又はその締結時のねじ76の周囲を囲む部分に設けない場合(例えば凸部75を、ねじ76の締結を行う箇所と異なる箇所に設ける場合)に比べると、収容部51の金属で成形される下部の重なる部分51A1と支持部52A,52Bとがより確実に位置決めされて強固に結合される。
【0077】
さらに、この現像装置5は、下部の重なる部分51A1と支持部52A,52Bとが結合される前に凸部75の突出量hを超える厚さdを有する弾性部材81を介在させて結合しているので、その結合前に凸部75の突出量hを超えない厚さdの弾性部材81を介在させて結合する場合に比べると、収容部51の金属で成形される下部の重なる部分51A1と支持部52A,52Bのうち弾性部材81が介在して接合する面に隙間が生じることが抑制される。これにより、この現像装置5では、下部の重なる部分51A1と支持部52A,52Bとが弾性部材81を介在させて結合された部分から現像剤8が漏れ出すおそれがほとんどない。
【0078】
他の実施の形態.
上記実施の形態1では、現像装置5のハウジング50における収容部51のうち下部の重なる部分51A1のみを金属で成形する場合を説明したが、その収容部51における上部の重なる部分51A2についても金属で成形するように構成してもよい。
この場合は、下部の重なる部分51A1のみを金属で成形する場合に比べると、現像装置5の剛性がさらに高められる。
【0079】
また上記実施の形態1では、金属で成形される下部の重なる部分51A1を押出し成形法などを利用して一度で製作する場合を説明したが、金属で成形される下部の重なる部分51A1等については、例えば、図6に示されるように長手方向Dに沿う面(分割面)51Dを境にして分割された複数の分割部分を結合して構成するようにしてもよい。図6に例示する下部の重なる部分51A1は、長手方向Dに沿う面51Dを境にして第1の下部の重なる部分51A1aと第2の下部の重なる部分51A1bの2つの分割部分で構成されている。
この場合は、収容部51の金属で成形される部分51A1が複数に分割されて構成されていない場合に比べると、その金属で成形される部分51A1がより正確に製作される。
【0080】
また上記実施の形態1では、凸部75を支持部52A,52Bの接合する面52jに設ける場合を説明したが、その凸部75については金属で成形される下部の重なる部分51Aの接合する面51jに設けても構わない。また、凸部75については、締結時におけるねじ76(又はその通し孔77)の周囲を囲む部分に設ける構成に限らず、それ以外の箇所に設ける構成や、その囲む部分に合わせて他の箇所に設ける構成を採用してもよい。
【0081】
また上記実施の形態1では、左右の支持部52A,52Bについて、例えば現像ロール63の軸受633を支持する左右の第1支持部と、搬送部材61,62の軸受613,623、供給部材64の図示しない軸部等を支持する左右の第2支持部とに分けて構成してもよい。
この場合は、第1支持部と第2支持部を同じ材料(例えば電気絶縁性を有する材料)で成形するようにすれば、現像ロール63の軸受633のみならず、搬送部材61,62、供給部材64等の回転部の軸部も支持する支持部を一体で成形することが可能になる。また電気絶縁性を有する材料で成形したときには、現像ロール63の軸受633のみならず、搬送部材61,62、供給部材64等の回転部の軸部も支持する支持部を一体で成形することと電気絶縁性を確保することも可能になる。
【0082】
さらに上記実施の形態1では、上記現像装置5を備えた画像形成装置1として単色の画像を形成する形式のものを例示したが、この発明の現像装置5を適用することが可能であれば、他の形式等からなる画像形成装置(例えば多色画像を形成する形式のもの)を採用することができる。
多色画像を形成する画像形成装置の場合は、現像装置5として多色画像の色の再現に必要な複数の現像装置が適用される。またこの場合、像形成装置2は、転写方式として直接転写方式に限らず、中間転写方式(中間転写装置)を採用するよう構成してもよい。
また、この発明が適用される現像装置5についても、現像ロール63や収容部51を有するハウジング50を備えたものであれば、他の形式の現像装置であってもよい。
【符号の説明】
【0083】
1 …画像形成装置
5 …現像装置
8 …現像剤
50…ハウジング
51…収容部
51j…接合する面
51A…重なる部分
51A1…下部の重なる部分(金属で成形される重なる部分の一例)
51D…長手方向に沿う面
52A,52B…支持部(支持部の一例)
52j…接合する面
61,62…搬送部材(回転部の一例)
75…凸部(凸部の一例)
76…ねじ
77…ねじの通し孔
81…弾性部材
D …長手方向
E …現像剤保持領域
d …厚さ
h …突出量
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9