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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-08
(45)【発行日】2024-05-16
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/16 20060101AFI20240509BHJP
   G03G 15/08 20060101ALI20240509BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20240509BHJP
【FI】
G03G21/16 176
G03G21/16 171
G03G15/08 229
G03G15/00 651
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020033151
(22)【出願日】2020-02-28
(65)【公開番号】P2021135441
(43)【公開日】2021-09-13
【審査請求日】2023-01-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137752
【弁理士】
【氏名又は名称】亀井 岳行
(74)【代理人】
【識別番号】100085040
【弁理士】
【氏名又は名称】小泉 雅裕
(74)【代理人】
【識別番号】100108925
【弁理士】
【氏名又は名称】青谷 一雄
(74)【代理人】
【識別番号】100087343
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 智廣
(72)【発明者】
【氏名】田中 有周
【審査官】早川 貴之
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-120251(JP,A)
【文献】特開2013-020233(JP,A)
【文献】特開2018-155913(JP,A)
【文献】特開2006-308624(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 13/00
13/045
13/08
13/095
15/00
15/045
15/08
15/095
21/00
21/06-21/08
21/16-21/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
感光体を有する感光体ユニットと、
現像ロールを有する現像装置と、
前記感光体ユニット又は前記現像装置に設けられ、一部分を前記現像装置又は前記感光体ユニットの一部に突き当て前記現像ロールの前記感光体との間隔を保持する間隔保持手段と、
前記現像装置を前記感光体ユニットに向けて押し付ける押付け手段と、
前記感光体ユニットと前記現像装置を、取り外し可能な固定手段で固定して連結する連結手段と、
を備え
前記連結手段は、その一端部に設ける取付孔が前記現像装置に設ける取付軸に回動可能に取り付けられ、その他端部が前記感光体ユニットの被固定部に前記固定手段により固定されるよう構成されており、
前記取付孔が前記連結手段の固定のときの傾き状態を解消する方向に変位し得る長い長孔で構成されている画像形成装置。
【請求項2】
前記固定手段は、前記連結手段を固定する方向が前記押付け手段の押付け方向と交差している請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記固定手段は、前記連結手段を固定する方向が前記感光体の軸方向と交差している請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記連結手段は、前記長孔の長い方向が前記固定手段の固定する方向と平行になる請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記被固定部は前記感光体の軸部を支持する支持手段である請求項1乃至4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記固定手段は、突起と嵌合孔を取り外し可能に嵌合させる嵌合手段であり、
前記嵌合孔又は突起は、前記現像装置が前記押付け手段により前記感光体ユニットに向けて押し付けられているときに前記突起又は嵌合孔と向き合って嵌合が可能な位置に存在する請求項1乃至5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記間隔保持手段は、間隔を調整する調整手段を有している請求項乃至6のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記現像装置を前記感光体ユニットから離れる方向に移動可能に支持する移動支持手段を備えており、
前記連結手段は、前記現像装置に取り付けられる部分の中心と前記被固定部に固定される部分の中心とを結ぶ線が、前記移動支持手段による移動して離れる方向と平行な状態になっている請求項1乃至7のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記連結手段は、前記感光体ユニットの長手方向における左右の端部と前記現像装置の長手方向における左右の端部との間をそれぞれ連結している請求項1乃至8のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項10】
感光体を有する感光体ユニットと、
前記感光体ユニットを保持して引き出されるフレームと、
現像ロールを有する現像装置と、
前記感光体ユニット又は前記現像装置に設けられ、一部分を前記感光体ユニット又は前記現像装置の一部に接触させて前記現像ロールの前記感光体との間隔を保持する間隔保持手段と、
前記現像装置を前記感光体ユニットに向けて押し付ける押付け手段と、
前記フレームと前記現像装置を、取り外し可能な固定手段で固定して連結する連結手段と、
を備え、
前記連結手段は、その一端部に設ける取付孔が前記現像装置に設ける取付軸に回動可能に取り付けられ、その他端部が前記フレームに前記固定手段により固定されるよう構成されており、
前記取付孔が前記連結手段の固定のときの傾き状態を解消する方向に変位し得る長い長孔で構成されている画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、画像形成装置としては、例えば以下の特許文献1に記載されたものが知られている。
特許文献1には、現像装置の凸状部がバネ部材の荷重により押されることにより、現像装置が位置決め軸を中心に像保持体(感光体)の方向に回転して像保持体に押し付けられた画像形成装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-206607号公報(段落0072-0073、図1図6など)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この発明は、現像装置と感光体ユニットを取り外し可能に固定される連結部材により連結しない場合に比べて、振動による現像ロールの感光体との間隔の変動を抑制することができる画像形成装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明(1)は、
感光体を有する感光体ユニットと、
現像ロールを有する現像装置と、
前記感光体ユニット又は前記現像装置に設けられ、一部分を前記現像装置又は前記感光体ユニットの一部に突き当て前記現像ロールの前記感光体との間隔を保持する間隔保持手段と、
前記現像装置を前記感光体ユニットに向けて押し付ける押付け手段と、
前記感光体ユニットと前記現像装置を、取り外し可能な固定手段で固定して連結する連結手段と、
を備え
前記連結手段は、その一端部に設ける取付孔が前記現像装置に設ける取付軸に回動可能に取り付けられ、その他端部が前記感光体ユニットの被固定部に前記固定手段により固定されるよう構成されており、
前記取付孔が前記連結手段の固定のときの傾き状態を解消する方向に変位し得る長い長孔で構成されている画像形成装置である。
【0006】
この発明(2)は、上記発明(1)の画像形成装置において、前記固定手段は、前記連結手段を固定する方向が前記押付け手段の押付け方向と交差している画像形成装置である。
【0007】
この発明(3)は、上記発明(2)の画像形成装置において、前記固定手段は、前記連結手段を固定する方向が前記感光体の軸方向と交差している画像形成装置である。
【0010】
この発明()は、上記発明()の画像形成装置において、前記連結手段は、前記長孔の長い方向が前記固定手段の固定する方向と平行になる画像形成装置である。
【0011】
この発明()は、上記発明()から()のいずれかの画像形成装置において、前記被固定部は前記感光体の軸部を支持する支持手段である画像形成装置である。
【0012】
この発明()は、上記発明(1)から()のいずれかの画像形成装置において、前記固定手段は、突起と嵌合孔を取り外し可能に嵌合させる嵌合手段であり、前記嵌合孔又は突起は、前記現像装置が前記押付け手段により前記感光体ユニットに向けて押し付けられているときに前記突起又は嵌合孔と向き合って嵌合が可能な位置に存在する画像形成装置である。
【0013】
この発明()は、上記発明(1)から()のいずれかの画像形成装置において、前記間隔保持手段は、間隔を調整する調整手段を有している画像形成装置である。
【0014】
この発明()は、上記発明()から()のいずれかの画像形成装置において、前記現像装置を前記感光体ユニットから離れる方向に移動可能に支持する移動支持手段を備えており、前記連結手段は、前記現像装置に取り付けられる部分の中心と前記被固定部に固定される部分の中心とを結ぶ線が、前記移動支持手段による移動して離れる方向と平行な状態になっている画像形成装置である。
【0015】
この発明()は、上記発明(1)から()のいずれかの画像形成装置において、前記連結手段は、前記感光体ユニットの長手方向における左右の端部と前記現像装置の長手方向における左右の端部との間をそれぞれ連結している画像形成装置である。
【0016】
この発明(10)は、
感光体を有する感光体ユニットと、
前記感光体ユニットを保持して引き出されるフレームと、
現像ロールを有する現像装置と、
前記感光体ユニット又は前記現像装置に設けられ、一部分を前記感光体ユニット又は前記現像装置の一部に接触させて前記現像ロールの前記感光体との間隔を保持する間隔保持手段と、
前記現像装置を前記感光体ユニットに向けて押し付ける押付け手段と、
前記フレームと前記現像装置を、取り外し可能な固定手段で固定して連結する連結手段と、
を備え
前記連結手段は、その一端部に設ける取付孔が前記現像装置に設ける取付軸に回動可能に取り付けられ、その他端部が前記フレームに前記固定手段により固定されるよう構成されており、
前記取付孔が前記連結手段の固定のときの傾き状態を解消する方向に変位し得る長い長孔で構成されている画像形成装置である。
【発明の効果】
【0017】
上記発明(1)および(10)の画像形成装置によれば、現像装置と感光体ユニット又は現像装置とフレームを取り外し可能に固定される連結部材により連結しない場合に比べ
て、振動による現像ロールの感光体との間隔の変動を抑制することができる。
また上記(1)および(10)の画像形成装置によれば、連結手段として、その一端部が現像装置に回動可能に取り付けられ、その他端部が感光体ユニットの被固定部に固定手段により固定される連結手段を採用しない場合に比べて、連結手段の他端部を感光体ユニットの被固定部に回動による調整をしながら固定することができる。
さらに上記(1)および(10)の画像形成装置によれば、連結手段の一端部に設ける取付孔が連結手段の固定のときの傾き状態を解消する方向に変位し得る長い長孔で構成されていない場合に比べて、連結手段が固定されたときに感光体ユニットの被固定部に傾いた状態や変形した状態になることを抑制できる。
【0018】
上記発明(2)によれば、固定手段として連結手段を固定する方向が押付け手段の押付け方向と交差していない固定手段を採用した場合に比べて、間隔保持手段により保持される現像ロールと感光体との間隔を固定手段の固定により変動させることなく保つことができる。
【0019】
上記発明(3)によれば、固定手段として連結手段を固定する方向が感光体ユニットの軸方向と平行している固定手段を採用した場合に比べて、感光体が回転するときに生じる感光体の軸方向と直交する方向の振動、又は現像ロールが回転するときに生じる現像ロールの軸方向と直交する方向の振動を抑制することができる。
【0022】
上記発明()によれば、連結手段の長孔の長い方向が固定手段の固定する方向と平行にならない場合に比べて、連結手段を長孔と固定手段により固定される部分との間でねじれた状態になることなく固定することができる。
【0023】
上記発明()によれば、被固定部が感光体の軸部を支持する支持手段でない場合に比べて、被固定部の形成や連結手段の固定作業がしやすい。
【0024】
上記発明()によれば、現像装置が感光体ユニットに押し付けられた状態のときに突起と嵌合孔とが向き合わない場合にくらべて、連結手段を容易に固定することができる。
【0025】
上記発明()によれば、間隔保持手段が調整手段を有していない場合に比べて、現像ロールと感光体との間隔を精度よく保ことができる。
【0026】
上記発明()によれば、現像装置が感光体ユニットから離れる方向に移動可能に支持されている場合でも、振動による現像装置の現像ロールと感光体との間隔の変動を抑制することができる。
【0027】
上記発明()によれば、現像装置の長手方向における左右の端部と感光体ユニットの長手方向における左右の端部とのいずれか一方の間だけ連結部材により連結している場合に比べて、振動による現像ロールの感光体との間隔の変動を軸方向にわたって抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】実施の形態1に係る画像形成装置を示す概要図である。
図2図1の画像形成装置における感光体ユニット、現像装置等を示す概略斜視図である。
図3図2の感光体ユニットと現像装置が連結されたときの状態を示す概略上面図である。
図4図3の連結状態の一部を示す概略側面図である。
図5図2の現像装置のQーQ線に沿う概略断面図である。
図6図2の感光体ユニットと現像装置の連結が解除されたときの状態を示す概略上面図である。
図7図6の連結解除状態の一部を示す概略側面図である。
図8】(A)は連結手段の概略斜視図、(B)は連結手段の構成を示す概要図である。
図9】(A)は連結手段と固定手段の構成を示す概要図、(B)は連結手段が固定手段で固定されたときの状態および構成を示す概要図である。
図10】現像装置に連結手段が取り付けられている状態を示す概略斜視図である。
図11】感光体ユニットと現像装置が連結されているときの状態の一部を示す概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、この発明を実施するための形態について図面を参照しながら説明する。
【0030】
実施の形態1.
図1から図4は、この発明の実施の形態1を示す図面である。図1には実施の形態1に係る画像形成装置1が示され、図2から図4にはその画像形成装置1における感光体ユニットおよび現像装置が示されている。
【0031】
画像形成装置1は、図1に示されるように、筐体10の内部に、電子写真方式等により現像剤としてのトナーからなるトナー像を形成して被記録材の一例である記録用紙9に転写する像形成装置2、収容する所要の記録用紙9を像形成装置2の転写位置に供給する給紙装置3、記録用紙9に転写されたトナー像を定着する定着装置4等を備えている。
【0032】
像形成装置2は、図1に示されるように、矢印Aで示す方向に回転する感光体の一例である感光ドラム21の周囲に、帯電装置22、露光装置23、現像装置24、転写装置25、清掃装置26、除電装置27等の機器をこの順に配置して構成されている。
【0033】
このうち、感光ドラム21は、周面に感光層を有するドラム形態の感光体であり、図示しない支持フレーム等に回転可能に支持され、図示しない駆動装置からの動力を受けて矢印Aで示す方向に回転駆動する。帯電装置22は、感光ドラム21の周面(像形成領域)を帯電バイアスが供給される帯電部材にて所要の極性および電位に帯電させる。
【0034】
露光装置23は、感光ドラム21の帯電後の周面に、画像形成装置1に種々の方式で入力される画像情報(信号)に対応させた光を露光して静電潜像を形成する。現像装置24は、現像剤としてのトナーを現像ロール57にて供給することにより感光ドラム21上の静電潜像を現像してトナー像にする。この現像装置24の詳細については後述する。
【0035】
転写装置25は、転写バイアスが供給される転写部材により、感光ドラム21上のトナー像を記録用紙9に静電的に転写させる。清掃装置26は、感光ドラム21の周面に付着して残留するトナー等の不要物を除去して清掃する。除電装置27は、感光ドラム21の清掃後の周面を除電する。
【0036】
給紙装置3は、画像の形成に使用する所要のサイズ、種類等からなる複数枚の記録用紙9を積み重ねた状態で収容する用紙収容体31と、その用紙収容体31に収容される記録用紙9を1枚ずつ送り出す送出装置33等で構成されている。
用紙収容体31は、筐体10に対して引き出した状態にできるよう取り付けられており、その利用する態様に応じて複数装備される。記録用紙9としては、例えば、所定のサイズに裁断された普通紙、コート紙、厚紙、薄紙等の記録媒体が使用される。
【0037】
定着装置4は、記録用紙9の導入口および排出口が設けられた筐体40の内部に、ロール、ベルト等の形態からなる加熱用回転体41および加圧用回転体42等の定着部材を配置して構成されている。
加熱用回転体41と加圧用回転体42は、互いに接触して回転するように支持されており、その接触し合う部分を未定着のトナー像が転写された記録用紙9を挟持して通過させながら所要の定着処理(加熱、加圧など)を行う定着処理部としている。
【0038】
そして、この画像形成装置1による画像形成は、次のようにして行われる。ここでは、記録用紙9の片面に画像を形成するときの基本的な画像形成動作を例にして説明する。
【0039】
画像形成装置1は、図示しない制御部が外部の接続機器から画像形成動作の要求の指令(信号)を受けると、像形成装置2では、感光ドラム21が矢印Aで示す方向に回転始動し、帯電装置22が感光ドラム21の周面を所定の極性および電位(本例ではマイナス極性)に帯電し、しかる後、その感光ドラム21の帯電した周面に対して、露光装置23が入力された画像情報に基づく露光を行って所要のパターンからなる静電潜像を形成する。
【0040】
続いて、像形成装置2では、現像装置24が、感光ドラム21の周面に形成された静電潜像にむけて所要の極性(本例ではマイナス極性)に帯電されたトナーを現像ロール57から供給して現像し、その静電潜像を顕像化する。これにより、感光ドラム21上にはトナー像が形成される。
【0041】
この後、像形成装置2では、回転駆動する感光ドラム21がトナー像を転写装置25と対向する転写位置まで搬送する。
一方、給紙装置3では、像形成装置2で形成されたトナー像が転写位置に到達するタイミングに間に合うよう、送出装置33が記録用紙9を搬送ロール35,36、用紙案内部材等で構成される供給搬送路に送り出し、最後に記録用紙9が搬送ロール36により像形成装置2の転写位置に送り込まれて供給される。
【0042】
このとき像形成装置2は、その転写位置において転写装置25の転写部材が感光ドラム21との間に転写電界を形成して感光ドラム21上のトナー像を記録用紙9の片面に静電的に転移させる。また像形成装置2においては、この転写後の時期等を含む画像形成動作の時期に、清掃装置26が感光ドラム21の周面を清掃し続け、また除電装置27がその清掃後の感光ドラム21の周面を除電する。これにより、感光ドラム21は次の像形成の動作工程に備えた状態に保たれる。
【0043】
続いて、トナー像が転写された記録用紙9は、転写位置から送り出されて定着装置4にむけて搬送される。定着装置4では、回転駆動する加熱用回転体41と加圧用回転体42との間の定着処理部に記録用紙9が導入されて通過させられる。この定着処理部を通過する際、記録用紙9の片面にあるトナー像は、そのトナーが加圧下で加熱されて溶融されることにより記録用紙9に定着される。
【0044】
また、定着装置4では、定着が終了した記録用紙9を定着処理部から排出ロール37、用紙案内部材等で構成される排出搬送路に送り出す。最後に、その定着後の記録用紙9は排出搬送路における排出ロール37により筐体10の排出口12から排出されて図示しない排出収容部に収容される。
【0045】
以上により、1枚の記録用紙9の片面に1色のトナーで構成される単色画像が形成され、記録用紙9の片面に対する画像形成動作が終了する。また、複数枚の画像形成動作を実行する指令が出されたときには、上記した一連の動作がその枚数分だけ同様に繰り返されることになる。
【0046】
次に、この画像形成装置1における感光ドラム21と現像装置24について更に説明する。
【0047】
感光ドラム21は、図2から図4等に示されるように、その軸方向Jの両端部から突出する左右の軸部21cを有している。
この感光ドラム21は、その左右の軸部21cをそれぞれ回転可能に支持する支持手段の一例としての左右の軸支持部211A,211B等の他の構成部品と組み合わせて1つのユニットとした感光体ユニット20として構成されている。
左右の軸支持部211A,211Bは、感光ドラム21の左右の軸部21cをそれぞれ嵌め入れて支持する窪んだ形状の支持溝213、位置決め部分や、後述する接触面214および被固定面215等が設けられている。
【0048】
また、感光体ユニット20は、図2に示されるように、筐体10において外部に引き出し可能に配置された引出しフレーム15A,15Bに、左右の軸支持部211A,211Bを介して位置が固定された状態で装着されるようになっている。引出しフレーム15A,15Bは、例えば複数の連結部材151~155等にて連結されて立体的な引出し移動体になっており、また図示しない移動レール等の移動手段により支持されて筐体10に対して移動可能に配置されている。
ちなみに、感光体ユニット20は、引出しフレーム15A,15B等からなる上記引出し移動体に対して感光ドラム21が基準位置E1に位置決めされる状態で保持されて装着されるようになっている。また引出しフレーム15A,15B等には、筐体10の装着部に格納されたときに、その装着部側に設けられている位置決め孔に嵌め入れて位置決めするための位置決めピン16(図11参照)等が設けられている。
【0049】
一方、現像装置24は、図1から図5等に示されるように、現像剤18が収容されるとともに現像ロール57等が配置されるハウジング50を有している。現像剤18としては、例えば、非磁性トナーと磁性キャリアを含む二成分現像剤が使用される。
【0050】
ハウジング50は、図5に示されるように、その長手方向D(図3等)に沿って平行に延びるとともに長手方向Dの両端部で互いがつながる2つの溝状の通路53A,53Bが収容部51として設けられている。
ハウジング50の収容部51には、その通路53A,53B内でそれぞれ回転して現像剤18を長手方向Dに攪拌しながら搬送するスクリューオーガ等の搬送部材54A,54Bが配置されている。通路53A,53Bは、長手方向Dの両端部を除く部分が長手方向Dに沿って延びる隔壁55で区切られている。
この通路53A,53Bでは、搬送部材54A,54Bが回転して駆動すると、現像剤18が各通路53A,53Bで相反する搬送方向にそれぞれ搬送された後、その各搬送方向の下流側の端部で互いの通路53A,53Bの搬送方向の上流側の端部に送り込まれるよう移動し、これにより全体として現像剤18が循環移動するよう搬送される。
【0051】
またハウジング50は、図5に示されるように、感光ドラム21の軸方向J(図3等)に沿う現像対象部分と向き合う部位に現像開口部56が設けられている。
ハウジング50の現像開口部56を含む内部側には、その現像開口部56を通過して外部に露出しながら回転する現像ロール57が配置されている。
ハウジング50の現像開口部56付近の内部には、通路53B内を搬送部材54Bにより搬送される現像剤18の一部を現像ロール57に受け渡すように回転して供給するパドル、ロール等からなる供給部材58や、現像ロール57に保持された現像剤の層の厚さを調整する板状の層厚調整部材59が配置されている。
【0052】
さらにハウジング50は、図3等に示されるように、上記収容部51の長手方向Dの両端部が左右の支持部52A,52Bとして構成されている。
【0053】
左右の支持部52A,52Bは、搬送部材54A,54B、現像ロール57、供給部材58、層厚調整部材59等の長手方向Dにおける両端部(軸受等を含む)を支持することや、図示しない駆動伝達機構等を配置して格納するための部分として使用される。また左の支持部52Aには、補給される現像剤(トナーなど)を取り入れる受け口521を有する補給路が突出して設けられている。
【0054】
また左右の支持部52A,52Bには、後述する移動支持手段63等を設けるために、図2から図4等に示されるように、その各外面部にハウジング50の上方に突出した状態になる左右の支持板60A,60Bが取り付けられている一方で、その各下端部にハウジング50の下方に突出した形状からなる左右の下部突出部522が設けられている。下部突出部522については、支持部52A,52Bに設けることに代えて、支持部52A,52Bの各外面部に取り付ける支持板にて構成してもよい。
【0055】
現像ロール57は、例えば、図5に示されるように、矢印Bで示す方向に回転する円筒状の(非磁性)スリーブ57aとその中空内に配置されるマグネットロール57bからなるロールが使用される。現像ロール57は、その軸部57cが軸受に支持されている。
また現像ロール57は、図3図4等に示されるように、その軸部57cに取り付ける間隔保持手段の一例である間隔保持部材61の一部分となる接触部62を、感光ドラム21の軸部21cを支持する軸支持部211A,211Bの各接触面214(図3図4等参照)に接触させた状態にすることで、感光ドラム21との間隔Sが一定の距離に保持されている。また間隔保持部材61は、図4図7に示されるように上記間隔Sを調整する調整手段612を有している。調整手段612としては、予め厚さが規定されたシート状のスペーサ部材を適宜選定してその装着部に着脱することで例えば接触部62の突出位置(軸部57cとの距離)を微量に変更できる方式のものが適用されている。
さらに現像ロール57は、画像形成動作等の所定の時期になると、その軸部57cに図示しない給電部から現像バイアスが供給され、感光ドラム21との間で現像電界を形成する。
【0056】
また、現像装置24は、図2から図4図6図7等に示されるように、移動支持手段63により、感光体ユニット20の感光ドラム21から離間する方向Cに移動し得るよう支持されている。
【0057】
移動支持手段63は、図4等に示されるように、ハウジング50の長手方向Dにおける左右の端部側に設ける回転可能な上下の車輪631,632と、引出しフレーム15A,15Bに設けられて上下の車輪631,632を矢印Cで示す離間する方向に案内して移動(転動)させる上下のガイドレール635,636とで構成されている。
【0058】
上の車輪631は、例えば図4等に示されるように、ハウジング50における上記左右の支持板60A,60Bに長手方向Dに沿って貫通させるとともにその各外側に所定量だけ突出させて固定される上支持軸633の両端部に回転可能に取り付けられる。また下の車輪632は、例えば図4等に示されるように、ハウジング50における上記左右の下部突出部522に貫通させてその各外側に所定量だけ突出させて固定される下支持軸634に回転可能に取り付けられる。
一方、上下のガイドレール635,636は、上下の車輪631,632を転動させて離間する方向Cに案内するレール部を設けた部材で構成されている。その離間する方向Cは、例えば、水平方向(画像形成装置1が設置される床面とほぼ平行する方向)に設定される。
【0059】
この移動支持手段63により、現像装置24は、図2等に示されるように、引出しフレーム15A,15B等からなる上記引出し移動体に移動支持手段63を介して搭載された状態で支持される。
これにより、現像装置24は、その引出し移動体が筐体10から引き出されると、その引出し移動体とともに筐体10の外部に引き出された状態にすることが可能になっている。
また現像装置24は、図6図7等に示されるように、移動支持手段63における上下の車輪631,632が上下のガイドレール635,636上をそれぞれ転動して移動することに伴って、その引出し移動体内で矢印する方向Cに移動して感光体ユニット20の感光ドラム21から離間させた状態にすることも可能になっている。
【0060】
さらに、現像装置24は、図2から図4等に示されるように、押付け手段65により感光体ユニット20(の感光ドラム21)に向けて押し付けられるようになっている。
【0061】
実施の形態1における押付け手段65は、ハウジング50における上記左右の支持板60A,60Bに設けた加圧受け板64に、引出しフレーム15A,15Bにおける連結部材151に設けられた加圧ばねにより押し出される加圧部材が接触して所要の圧力Fで加圧するものである。また、この押付け手段65は、連結部材151の両端部において垂下して設けられる取付け板66に、上記加圧部材が加圧受け板64に接触可能な状態になるよう取り付けられている。取付け板66は、図11等に示されるように、連結部材151の両端部にねじ68等の固定手法により固定して取り付けられており、また加圧受け板64のうち感光ドラム21とは反対側の位置に所定の距離だけ離れて存在するよう設けられている。
また、この押付け手段65の押付け方向Pは、例えば、図4等に示されるように、移動支持手段63により現像装置24が離間する方向Cと平行する反対向きの方向に設定される。
【0062】
この押付け手段65により、現像装置24は、図3図4に示されるように、その加圧受け板64に押付け手段65から押付け方向Pに沿う圧力Fを受けることで感光体ユニット20に向けて押し付けられた状態に保たれる。
これにより、現像装置24は、現像ロール57における間隔保持部材61の接触部62が、軸支持部211A,211Bにおける各接触面214に圧力Fにもとづく力で押し付けられることになる。この結果、現像装置24は、図3図5に示されるように、現像ロール57の感光ドラム21との間隔Sが間隔保持部材61で設定する所望の距離に保たれるようになる。
【0063】
そして、この画像形成装置1では、図2から図4に示されるように、感光体ユニット20と現像装置24を、取り外し可能に固定される連結手段7により連結させている。
【0064】
実施の形態1では、図3に示されるように、2つの連結手段7A,7Bにより、感光体ユニット20の長手方向D(感光ドラム21の軸方向Jに沿う方向)における左右の端部と現像装置24の長手方向Dにおける左右の端部との間をそれぞれ連結している。
【0065】
2つの連結手段7A,7Bはいずれも、図2から図4図8等に示されるように、一方向に長い板状の形態からなる部材70で構成されており、その長い方向における一端部70aが現像装置24に回動可能に取り付けられ、その他端部70bが感光体ユニット20の被固定部20hに取り外し可能な固定手段8により固定される構成になっている。
連結手段7A,7Bを構成する部材70は、感光体ユニット20と現像装置24の連結した状態を保つことができる強度を有する材料を用いて製作される。
【0066】
連結手段7A,7Bの部材70における一端部70aには、図8等に示されるように、現像装置24に設けられる取付軸67に対して回動可能に取り付けるための取付孔72が設けられている。
【0067】
取付軸67は、現像装置24における左右の支持板60A,60Bに所定の長さで外側にほぼ水平の方向に突出する状態の軸として設けられている。また取付軸67は、少なくとも取付孔72が嵌め入れられて取り付けられる部分が円柱状の形状になっている部材であればよく、例えばスタッドとして設けることができる。
【0068】
取付孔72は、図8(A)に示されるように、板状の部材70の長い方向とほぼ直交する方向にかつ板面とほぼ平行する方向に延びる貫通孔として設けられている。取付孔72は、取付軸67に取り付けるときにはほぼ水平の方向に延びる貫通孔になる。
【0069】
また取付孔72は、図8(B)に示されるように長孔として構成されている。この取付孔72の長孔における長い方向Mは、連結手段7A,7Bを固定するときに感光体ユニット20の被固定部20hとの間で発生する不要な傾き状態を解消する方向に変位し得る方向であればよい(図9(B)参照)。
【0070】
実施の形態1では、取付孔72の長孔における長い方向Mについて、連結手段7A,7Bの部材70の長い方向とほぼ直交する方向になるよう設定している。このため、実施の形態1における取付孔72は、全体として縦方向に長い長孔として形成されている。
具体的には取付孔72は、部材70の長い方向に沿う横方向の直径Laを取付軸67における取り付け部分の断面円形の直径dとほぼ同じ寸法にする一方で、部材70の長い方向とほぼ直交する方向に沿う縦方向の直径Lbを取付軸67の上記直径dより所要の量だけ長い寸法にした長孔としている。
この長孔の長い方の直径になる縦方向の直径Lbは、取付孔72の取付軸67に対する変位を必要以上に許すことによる取り付け状態の不安定さを招くおそれもあるので、取付軸67の直径dに対して必要最低限の長い寸法にされる。このときの長い方の直径になる直径Lbは、取付軸67の直径dに対して例えば0.5~5mm程度長い寸法にされる。
【0071】
固定手段8は、固定した後の取り外し作業が比較的簡単にできる手段であり、例えば、突起81と嵌合孔82を取り外し可能に嵌合させる嵌合手段が採用される。
実施の形態1における嵌合手段からなる固定手段8は、突起81としてねじを、嵌合孔82として突起81のねじが締結されるねじ孔との組み合わせからなるものを適用している。固定手段8は、1組の突起81と嵌合孔82からなる嵌合手段であってもよいが、安定した固定をする等の観点から、複数組の突起81と嵌合孔82からなる嵌合手段を採用するとよい。実施の形態1では、例えば、2組の突起81(ねじ)と嵌合孔82(ねじ孔)からなる嵌合手段を採用している。
【0072】
連結手段7A,7Bの部材70における他端部70bには、図8図10等に示されるように、固定手段8として2組のねじとねじ孔からなるものを採用することから、突起81の2つのねじを通す2つの通し孔73が設けられている。
2つの通し孔73は、部材70の長い方向と直交する方向に間隔をあけた状態で設けているが、この配置の仕方に限定されない。他端部70bは、ほぼ水平の状態で使用される平板の端部になっているが、2つの通し孔73を上記方向に間隔をあけた状態で設けることから、その幅が本体部の幅よりも拡大した形状を採用している(図10参照)。
【0073】
連結手段7A,7Bが取り外し可能に固定される感光体ユニット20の被固定部20hは、図2から図4等に示されるように、左右の軸支持部211A,211Bを採用しており、その軸支持部211A,211Bの一部に形成する被固定面215で構成している。
被固定面215は、図2図4等に示されるように、現像装置24側に設ける取付軸67の中心の位置とほぼ同じ高さ位置になる部位の上面として形成したものである。また被固定面215は、連結手段7A,7Bの他端部70bの平面状の下面と良好に接合させる等の観点から、平面状の平滑な面として構成されている。
【0074】
また、被固定部20hの被固定面215には、固定手段8の嵌合孔82としてのねじ孔が2つ設けられている。2つのねじ孔は、連結手段7A,7Bの他端部70bに設ける2つの通し孔73と位置的に整合する状態で形成されている。
【0075】
固定手段8については、図9に示されるように、連結手段7A,7Bを固定する方向Kが押付け手段65の押付け方向Pと交差するよう設定されている。
このときの交差は、可能な限り直交になることが好ましい。また、その直交とは、例えば交差の角度が90°±5°の範囲内になることである。
【0076】
実施の形態1では、突起81のねじが嵌合孔82のねじ孔に締結されるときの進行方向が押付け方向Pと交差する(好ましくは直交する)状態になるよう、ねじ孔の向きを設定している。実際、嵌合孔82のねじ孔は、図9(A)に示されるように、被固定部20hの被固定面215に対してほぼ直交する方向に延びる孔として設けている。
また、実施の形態1における固定手段8の固定する方向Kは、図9(B)に示されるように、連結手段7A,7Bを固定したときの部材70の長い方向と交差する(好ましくは直交する)関係にもなっている。
【0077】
さらに、実施の形態1における連結手段7A,7Bでは、図9(B)に示されるように、取付孔72の長孔の長い方向Mが固定手段8の連結手段7A,7Bを固定する方向Kと平行になるよう構成されている。
また、実施の形態1における連結手段7A,7Bは、図9(B)に示されるように、現像装置24に取り付けられる部分(取付軸67)の中心Oaと被固定部20hに固定される部分(他端部70b)の中心Obとを結ぶ仮想の線VLが、移動支持手段63による移動して離れる方向Cと平行になるよう構成されている。
【0078】
以上説明した連結手段7A,7Bは、図10等に示されるように、例えば、その一端部70aの取付孔72を現像装置24の長手方向Dの両端側にある取付軸67に対してそれぞれ嵌め入れて取り付けたうえで、その他端部70bをフリーな状態にしておき、連結が必要なときに容易に使用できるよう現像装置24側に予め装着されている。
この場合、連結手段7A,7Bの取付孔72が嵌め込まれた取付軸67の取付部分の前後の一方又はその双方には、例えば図示しないEリング等の止め部材が装着される。これにより、連結手段7A,7Bは、取付軸67に対する取り付け位置が保持され、また取付軸67からの抜け落ちが防止されるようになっている。
【0079】
また、このときの連結手段7A,7Bは、取付軸67に対して回動可能であるので、図9等に示されるように取付軸67を支点にして両方向の矢印Nで示すよう上下の方向に揺動させることができるようになっている。このため、連結手段7A,7Bは、実際には回動のしやすさの違いにもよるが、未使用時にはその他端部70bが下方に少し下がった姿勢になっていることもある。その一方で連結手段7A,7Bは、取付軸67を支点にして上下の方向に任意に揺動させて姿勢の調整を行うことが可能になる。
【0080】
また、このときの連結手段7A,7Bは、取付孔72が長孔であることから、その長孔の長い方向Mに沿って両方向に少し変位させることができるようにもなっている。これにより、連結手段7A,7Bは、長孔の長い方向Mに沿って変位させることで位置の調整を行うことが可能である。
【0081】
そして、この連結手段7A,7Bを用いた感光体ユニット20と現像装置24の連結は、次のようにして行われる。
【0082】
はじめに、上記移動支持手段63に支持されている現像装置24を感光体ユニット20に接近させた状態にした後、その現像装置24の長手方向Dの両端側における取付軸67に取り付けられた連結手段7A,7Bの他端部70bを、感光体ユニット20の被固定部20hの被固定面215に乗せた状態にする(図9(A)参照)。
【0083】
ここで、感光体ユニット20は、現像装置24との連結の有無にかかわらず、上記した通り引出しフレーム15A,15B等で構成される上記引出し移動体に対して感光ドラム21が基準位置E1に位置決めされた状態で装着されている(図4図7参照)。
また、感光体ユニット20に接近させたときの現像装置24は、図11等に示されるように、押付け手段65が作用して押付け方向Pに所定の圧力Fで押し付けられた状態におかれる。
また、連結作業は、感光体ユニット20、現像装置24等が搭載された上記引出し移動体を筐体10から外部に引き出した状態で行われる。
【0084】
このときの連結手段7A,7Bは、前述したように被固定面215が取付軸67の中心の位置の高さとほぼ同じ高さ位置になっているので、被固定面215が水平の状態の平面であれば、その一方向に長い板状の部材70もほぼ水平の状態になる。この際、公差や個体差等の要因により被固定面215の高さと取付軸67の中心の位置の高さに高低差が生じて連結手段7A,7Bが傾いた状態になる場合は、連結手段7A,7Bの一端部を取付軸67に対して取付孔72の長孔における長い方向Mに変位させることで、連結手段7A,7Bの固定のときの傾き状態を解消することが可能である。
【0085】
またこのときの連結手段7A,7Bは、その他端部70bにある2つのねじの通し孔73が、被固定部20hの被固定面215にある固定手段8の嵌合孔82としての2つのねじ孔とほぼ向き合った状態になり(図9(A)参照)、これにより固定手段8の突起81としてのねじが嵌合孔82としてのねじ孔に嵌め入れられる嵌合に相当するねじ止めが可能な位置に存在した状態になる。この際、現像装置24は、上記したように押付け手段65により感光体ユニット20に押し付けられた状態になっている。
このことによって、固定手段8の突起81のねじは嵌合孔82のねじ孔に容易に締結することが可能となり、その結果、連結手段7A,7Bは、現像装置24が感光体ユニット20に押し付けられた状態のときに固定手段8により被固定部20hに対して容易に固定される。
【0086】
続いて、固定手段8の突起81として2つのねじを連結手段7A,7Bにおける2つの通し孔73を通した後に、被固定面215にある嵌合孔82としての2つのねじ孔にそれぞれ嵌め入れて締結する。
これにより、連結手段7A,7Bは、図9(B)に示されるように、その他端部70bが固定手段8によって感光体ユニット20の被固定面215に固定される。
【0087】
以上の作業を行うことにより、現像装置24と感光体ユニット20は、図2から図4に示されるように、連結手段7A,7Bによって連結された状態になる。この連結は、連結手段7A,7Bを固定手段8の突起81としてのねじの締結作業をすることで容易に行われる。
【0088】
この連結後の現像装置24は、押付け手段65により感光体ユニット20に所要の圧力Fで押し付けられた状態になるとともに、その圧力Fを受けた状態で間隔保持部材61の接触部62が軸支持部211A,211Bにおける各接触面214に押し付けられた状態になる。この結果、現像装置24においては、連結手段7A,7Bによる連結が完了した段階で、現像ロール57の感光ドラム21との間隔Sが間隔保持部材61で設定された所望の距離に保たれる。
【0089】
またこのときの現像装置24は、連結手段7A,7Bによって感光体ユニット20と連結されているので、その両者の位置関係がほぼ固定された状態になる。このため、画像形成動作時において現像装置24等の動作振動が発生しても、その振動の影響により現像装置24と感光体ユニット20との位置関係が変動することはほとんどない。
【0090】
また、この画像形成装置1では、感光ドラム21や現像装置24等の点検や交換などの作業を行う場合に、感光体ユニット20と現像装置24との連結を解除する必要がある。
【0091】
この場合は、図6図7に示されるように、固定手段8の突起81としてのねじを取り外して連結手段7A,7Bの感光体ユニット20の被固定面215との固定を解除することで、その連結が解除される。この連結の解除作業についても、連結作業の場合と同様に、感光体ユニット20、現像装置24等が搭載された上記引出し移動体を筐体10から外部に引き出した状態で行われる。
【0092】
この連結の解除により、現像装置24は、図6図7に示されるように、上記移動支持手段63に支持された状態で感光体ユニット20から離間させる方向Cに移動させることが可能になり、現像装置24と感光体ユニット20を離間させた状態にすることができる。また、この離間させた状態にした後であれば、例えば感光体ユニット20又は現像装置24を取り外して交換等の作業を行うことが可能になる。
【0093】
ちなみに、連結手段7A,7Bによる連結を解除した場合、押付け手段65による現像装置24の押し付けは、例えば取付け板66の連結部材151の両端部に対する固定状態を解除することで解除することができる。これにより、現像装置24を感光体ユニット20から離間する方向Cに移動させる作業は、押付け手段65による押し付けに抗して行う必要がない。
【0094】
また、感光体ユニット20と現像装置24を再び連結するには、上述した連結手段7A,7Bによる連結作業を同様に繰り返すことで容易に行うことができる。
【0095】
以上説明したように、この画像形成装置1によれば、現像装置24と感光体ユニット20を取り外し可能に固定される連結手段7A,7Bにより連結しない場合に比べると、現像装置24における現像ロール57の感光ドラム21との間隔Sが、画像形成動作等において現像装置24等で発生する動作振動を受けて変動することが抑制される。
したがって、画像形成装置1では、現像ロール57の感光ドラム21との間隔Sが振動に起因して変動することにより画質が低下することも抑制される。また、この画像形成装置1では、現像装置24と感光体ユニット20を連結手段7A,7Bを固定して連結させることにより上記間隔Sが容易に設定される。
【0096】
また、この画像形成装置1では、連結を再度行う場合でも、現像装置24が押付け手段65により押し付けられた状態で連結手段7A,7Bによる連結作業を完了させることで、現像ロール57の感光ドラム21との間隔Sが間隔保持部材61により一定の距離に容易に保たれるようになり、その間隔Sを調整するための作業を行う必要がない。
【0097】
また、この画像形成装置1では、固定手段8の連結手段7A,7Bを固定する方向Kが押付け手段65の押付け方向Pと交差するよう設定されているので(図9(B)参照)、そのように設定していない固定手段8を採用した場合に比べると、間隔保持部材61により保持される現像ロール57の感光ドラム21との間隔Sが、固定手段8の例えば斜め方向への固定等により僅かながらもずらされて変動させられるおそれもなく良好に保たれる。このような作業効果は、固定手段8の上記固定する方向Kが押付け方向Pと直交する状態に近くなるよう設定される程、より一層的確に得られる。
【0098】
また、この画像形成装置1では、連結手段7A,7Bを固定手段8で固定するときに公差等の要因により傾いた状態になることがあっても、連結手段7A,7Bの一端部を取付軸67に対して取付孔72の長孔における長い方向Mに変位させることで、その傾き状態が解消され、また連結手段7A,7Bが傾いた状態で固定手段8により強引に固定されることで変形した状態で固定されることも回避される。
また、この画像形成装置1では、連結手段7A,7Bにおける取付孔72の長孔の長い方向Mが固定手段8の連結手段7A,7Bを固定する方向Kと平行になっているので、現像ロール57の感光ドラム21との間隔Sが、固定手段8による連結手段7A,7Bの固定により例えば現像装置24が変位させられて変動させられるというおそれもなく安定して保持される。
【0099】
また、この画像形成装置1では、連結手段7A,7Bについて現像装置24に取り付けられる部分の中心Oaと被固定部20hに固定される部分(他端部70b)の中心Obとを結ぶ仮想の線VLが、移動支持手段63による移動して離れる方向Cと平行になるよう構成されているので、現像装置24が感光体ユニット20から離れる方向Cに移動可能に支持されているにもかかわらず、その現像装置24の現像ロール57と感光ドラム21との間隔Sが連結手段7A,7Bの連結により容易に設定され、またその間隔Sの振動による変動が抑制される。
【0100】
さらに、この画像形成装置1では、感光体ユニット20の長手方向Dにおける左右の端部と現像装置24の長手方向Dにおける左右の端部との間を2つの連結手段7A,7Bによりそれぞれ連結しているので、その左右の一方の間だけで連結手段7により連結している場合に比べると、現像ロール57の感光ドラム21との間隔が軸方向Jにわたって容易に設定され、またその間隔Sの振動による変動がより確実に抑制される。また、間隔Sについては、間隔保持部材61の調整手段612により間隔Sに関する必要な調整をすることでより精度よく保たれる。
【0101】
この他、画像形成装置1においては、仮に現像装置24が全体的に大型化することやその長手方向Dの寸法を長くする構成を採用することに起因して現像剤18の使用量が増えて搬送部材等の動作振動が増大するおそれがある場合や、ユーザが画像形成装置1から像形成装置2を引き出して着脱等の作業をする際に像形成装置2が振動する場合でも、感光体ユニット20と現像装置24が連結手段7A,7Bで連結されていることにより、現像ロール57の感光ドラム21との間隔Sが動作振動を受けて変動することが抑制される。
またこの場合、間隔Sの動作振動による変動を抑制するために押付け手段65の押し付ける際の圧力を増大させる対策を講じる必要がなく、しかも、その圧力を増大させた押付け手段65による強力な押し付けを受けることで現像装置24等における部品が変形することや破損するおそれもない。
【0102】
他の実施の形態.
上記実施の形態1では、連結手段7として、その他端部70bを感光体ユニット20における軸支持部211の上部にあるほぼ水平な被固定面215に接触させた状態で固定手段8により上から下に向けて固定する構成のものを説明したが、連結手段7はこれに限定されず、以下に例示するような他の構成からなるものであってもよい。
【0103】
例えば、連結手段7は、その他端部70bを感光体ユニット20における軸支持部211の側面部に形成する被固定面に側方から接触させた状態で固定手段8により横から水平等の方向に向けて固定する構成のものでもよい。但し、固定手段8により上から下に向けて固定する構成の連結手段7の方が、感光ドラム21の回転によって生じる感光ドラム21(の軸部21c)の軸方向Jと直交する方向の振動、又は現像ロール57の回転によって生じる現像ロール57(の軸部57c)の軸方向と直交する方向の振動が抑制される。
【0104】
また連結手段7は、その他端部70bを感光体ユニット20における軸支持部211の傾斜面からなる側面部に形成する被固定面に傾斜面に対応する斜め方向から接触させた状態で固定手段8により傾斜した方向に向けて固定する構成のものでもよい。
また連結手段7は、その両端部70a,70bを取り外し可能な固定手段8で固定するものであってもよい。
さらに連結手段7は、その一端部70aが現像装置24のハウジング50の一部に固定して取り付けられるものや、ハウジング50の一部として一体で製作されるものであってもよい。
【0105】
他にも連結手段7は、その使用数、形状等についても変更することが可能である。また、連結手段7における取付孔72も、長孔でなく通常の円形状の孔であってもよい。
また、取付孔72を嵌め入れる取付軸67も、その構成について連結手段7の種類に対応させて変更することが可能であり、例えば、その断面形状、突出する方向等について別の構成を採用しても構わない。
【0106】
固定手段8についても、突起81がねじで、嵌合孔82がねじ孔である組み合わせの嵌合手段に限らず、例えば突起81が文字通りの突起部で、嵌合孔82がその突起部に嵌められる嵌合孔である組み合わせの嵌合手段であってもよい。
【0107】
この場合の突起部からなる突起81は、感光体ユニット20の被固定部20hに設けられるが、連結手段7の他端部70bに設けるようにしてもよい。一方の嵌合孔82についても、連結手段7の他端部70bに設けられるが、感光体ユニット20の被固定部20hに設けるようにしてもよい。また、この場合、突起81と嵌合孔82の抜け防止手段(抜けにくい形状対策、ねじ又はピン止め等)を採用するとよい。
また固定手段8は、嵌合手段以外の形態の手段であっても構わない。
【0108】
また、上記実施の形態1では、間隔保持手段の一例として現像装置24に間隔保持部材61を設けているが、間隔保持部材については、感光体ユニット20に設けておき、その間隔保持部材の自由な端部(他端部)を現像ロール57の軸部57cを支持する軸支持部に接触させて固定手段8により固定するようにしてもよい。この場合、その間隔保持部材は感光体ユニット20に回動可能に設けておくとよい。
【0109】
また、上記実施の形態1では、連結手段7A,7Bを構成する部材70は、一端部70aが現像装置24に回動可能に取り付けられ、他端部70bが感光体ユニット20の被固定部20hに取り外し可能な固定手段8により固定される構成になっている。また、感光体ユニット20は、引出しフレーム15A,15B等からなる引出し移動体に対して感光ドラム21が基準位置E1に位置決めされる状態で保持されて装着されるようになっている。
したがって、連結手段7A,7Bは、それを構成する部材70の一端部70aを、筐体10において外部に引き出し可能に配置された引出しフレーム15A,15Bやそれらを連結する連結部材(フレーム)に、取り外し可能な固定手段8により固定するよう構成したものであってもよい。
【0110】
さらに上記実施の形態1では、画像形成装置1として単色の画像を形成する形式のものを例示したが、感光体ユニット20と現像装置24を連結手段7で連結する構成を適用することが可能であれば、他の形式等からなる画像形成装置(例えば多色画像を形成する形式のもの、中間転写体を適用するものなど)を採用することができる。多色画像を形成する画像形成装置の場合は、感光体ユニット20と現像装置24として多色画像の色の再現に必要な複数の感光体ユニット20および現像装置24を備えることになる。
また、現像装置24についても、感光体ユニット20と連結手段7で連結することが有効なものであれば、他の形式の現像装置であってもよい。
【符号の説明】
【0111】
1 …画像形成装置
7 …連結手段
8 …固定手段
20…感光体ユニット
20h…被固定部
21…感光ドラム(感光体の一例)
21c…軸部
24…現像装置
57…現像ロール
61…間隔保持部材(間隔保持手段の一例)
65…押付け手段
211…軸支持部(軸部の支持手段の一例)
214…接触面
215…固定面(被固定部の一例)
612…調整手段
D …長手方向
K …固定する方向
M …長孔の長い方向
P …押付け方向
S …間隔
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11