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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-08
(45)【発行日】2024-05-16
(54)【発明の名称】画像読取装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03B 27/62 20060101AFI20240509BHJP
   H04N 1/10 20060101ALI20240509BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20240509BHJP
   G03G 21/16 20060101ALI20240509BHJP
   G03G 15/04 20060101ALI20240509BHJP
【FI】
G03B27/62
H04N1/10
H04N1/00 519
G03G21/16 119
G03G21/16 161
G03G15/04
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2020035294
(22)【出願日】2020-03-02
(65)【公開番号】P2021139964
(43)【公開日】2021-09-16
【審査請求日】2023-02-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137752
【弁理士】
【氏名又は名称】亀井 岳行
(74)【代理人】
【識別番号】100085040
【弁理士】
【氏名又は名称】小泉 雅裕
(74)【代理人】
【識別番号】100108925
【弁理士】
【氏名又は名称】青谷 一雄
(74)【代理人】
【識別番号】100087343
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 智廣
(72)【発明者】
【氏名】真原 毅
(72)【発明者】
【氏名】小林 健
【審査官】菅原 拓路
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-141146(JP,A)
【文献】特開2008-191197(JP,A)
【文献】実開昭55-111232(JP,U)
【文献】実開昭55-167236(JP,U)
【文献】実開昭57-041348(JP,U)
【文献】特開2011-041034(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 27/62
H04N 1/00
G03G 13/00
15/00
21/16
E05F
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体に開閉可能に装着され、原稿を押さえる原稿押さえ手段と、
前記原稿押さえ手段を開くとき駆動源の駆動力を前記原稿押さえ手段に開力として一時的にのみ作用させる開力作用手段と、
を備える画像読取装置。
【請求項2】
前記原稿押さえ手段の開閉を検知する検知手段と、
前記検知手段が前記原稿押さえ手段の開状態を検知すると、前記駆動源を一定時間のみ駆動する駆動手段と、
を備える請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項3】
前記駆動手段は、前記検知手段が前記原稿押さえ手段の開状態を検知してから、前記原稿押さえ手段の開き角度が予め定められた角度となるまで前記駆動源を駆動する請求項2に記載の画像読取装置。
【請求項4】
前記原稿押さえ手段に対して開く方向の力を作用させるカウンターバランスを備え、
前記駆動手段は、前記原稿押さえ手段を開くのに要する回転モーメントが前記カウンターバランスの開く方向の力による回転モーメント以下となるまで前記駆動源を駆動させ、前記回転モーメント以下となった後に前記駆動源を停止させる請求項2に記載の画像読取装置。
【請求項5】
前記駆動手段は、前記一時的な駆動をした後逆回転し、前記開力作用手段への力を解除する請求項2に記載の画像読取装置。
【請求項6】
前記開力作用手段は、前記原稿押さえ手段を開閉可能に支持する支点より手前側であって前記原稿の読取位置より奥側に開力を作用させる請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項7】
前記開力作用手段は、前記原稿押さえ手段に押上げ力を作用させる請求項5に記載の画像読取装置。
【請求項8】
前記開力作用手段に予め定められた値を超える過剰な力が作用したとき前記過剰な力を吸収する吸収手段を備える請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項9】
前記吸収手段は、前記開力作用手段に前記過剰な力が作用したとき弾性変形することにより前記過剰な力を吸収する弾性部材からなる請求項8に記載の画像読取装置。
【請求項10】
前記開力作用手段は、下端を水平方向に沿って移動させることにより、中間に位置する支点を中心にして上端が前記原稿押さえ手段を押し上げるように回転するリンク機構と、
前記駆動源の駆動力によって前記リンク機構の下端を移動させるワイヤ部材と、
を有する請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項11】
前記リンク機構は、上端が前記原稿押さえ手段に当接し、下端が水平方向に沿って移動可能に支持された第1のリンク部材と、
上端が前記第1のリンク部材の中間に回転可能に連結され、下端が水平方向に沿って移動可能に支持された第2のリンク部材と、
を有する請求項10に記載の画像読取装置。
【請求項12】
前記原稿押さえ手段により読取位置へ搬送された前記原稿の画像を読み取る画像読取手段を備え、
前記駆動源は、前記画像読取手段の駆動源からなる請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項13】
前記原稿押さえ手段は、開いている時に前記駆動源への通電が遮断される請求項12に記載の画像読取装置。
【請求項14】
前記原稿の画像を読み取る画像読取手段と、
前記画像読取手段で読み取られた前記原稿の画像を形成する画像形成手段と、
を備え、
前記画像読取手段として請求項1乃至13のいずれかに記載の画像読取装置を用いた画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、画像読取装置及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像読取装置に関する技術としては、例えば、特許文献1等に開示されたものが既に提案されている。
【0003】
特許文献1は、シートが載置される載置台ガラスと、載置台ガラスに載置されたシートを上方より押える開閉自在なシート押圧部と、シート押圧部によりシートが上方より押えられた状態でシートの画像を読み取る画像読取部と、シート押圧部の手動による開閉を補助する電動開閉部と、シート押圧部を手動開閉させる際、シート押圧部に加わる外力に応じて電動開閉部によるシート押圧部の開閉速度を変更する速度変更部と、シート押圧部の開閉角度を検出する開閉角度検出部と、開閉角度検出部からの検知信号に基づき、シート押圧部が外力に応じて開閉速度を変更する第1領域にあるか、シート押圧部が閉まり切る直前の第2領域にあるか、シート押圧部が開き切る直前の第3領域にあるかを判断し、シート押圧部が第1領域にあると判断したときには外力に応じて開閉速度を変更し、シート押圧部が第2領域又は第3領域に移動したと判断したときには外力にかかわらず開閉速度を予め設定された開閉速度に設定する開閉速度設定部と、を備えるように構成したものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2008-191197号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この発明の目的は、原稿押さえ手段の開閉角度のすべてにわたり開閉駆動を行う場合に比べて、操作性を損なうことなく原稿押さえ手段を開くときの操作力を低減することが可能な画像読取装置及び画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載された発明は、装置本体に開閉可能に装着され、原稿を押さえる原稿押さえ手段と、
前記原稿押さえ手段を開くとき駆動源の駆動力を前記原稿押さえ手段に開力として一時的にのみ作用させる開力作用手段と、
を備える画像読取装置である。
【0007】
請求項2に記載された発明は、前記原稿押さえ手段の開閉を検知する検知手段と、
前記検知手段が前記原稿押さえ手段の開状態を検知すると、前記駆動源を一定時間のみ駆動する駆動手段と、
を備える請求項1に記載の画像読取装置である。
【0008】
請求項3に記載された発明は、前記駆動手段は、前記検知手段が前記原稿押さえ手段の開状態を検知してから、前記原稿押さえ手段の開き角度が予め定められた角度となるまで前記駆動源を駆動する請求項2に記載の画像読取装置である。
【0009】
請求項4に記載された発明は、前記原稿押さえ手段に対して開く方向の力を作用させるカウンターバランスを備え、
前記駆動手段は、前記原稿押さえ手段を開くのに要する回転モーメントが前記カウンターバランスの開く方向の力による回転モーメント以下となるまで前記駆動源を駆動させ、前記回転モーメント以下となった後に前記駆動源を停止させる請求項2に記載の画像読取装置である。
【0010】
請求項5に記載された発明は、前記駆動手段は、前記一時的な駆動をした後逆回転し、前記開力作用手段への力を解除する請求項2に記載の画像読取装置である。
【0011】
請求項6に記載された発明は、前記開力作用手段は、前記原稿押さえ手段を開閉可能に支持する支点より手前側であって前記原稿の読取位置より奥側に開力を作用させる請求項1に記載の画像読取装置である。
【0012】
請求項7に記載された発明は、前記開力作用手段は、前記原稿押さえ手段に押上げ力を作用させる請求項5に記載の画像読取装置である。
【0013】
請求項8に記載された発明は、前記開力作用手段に予め定められた値を超える過剰な力が作用したとき前記過剰な力を吸収する吸収手段を備える請求項1に記載の画像読取装置である。
【0014】
請求項9に記載された発明は、前記吸収手段は、前記開力作用手段に前記過剰な力が作用したとき弾性変形することにより前記過剰な力を吸収する弾性部材からなる請求項8に記載の画像読取装置である。
【0015】
請求項10に記載された発明は、前記開力作用手段は、下端を水平方向に沿って移動させることにより、中間に位置する支点を中心にして上端が前記原稿押さえ手段を押し上げるように回転するリンク機構と、
前記駆動源の駆動力によって前記リンク機構の下端を移動させるワイヤ部材と、
を有する請求項1に記載の画像読取装置である。
【0016】
請求項11に記載された発明は、前記リンク機構は、上端が前記原稿押さえ手段に当接し、下端が水平方向に沿って移動可能に支持された第1のリンク部材と、
上端が前記第1のリンク部材の中間に回転可能に連結され、下端が水平方向に沿って移動可能に支持された第2のリンク部材と、
を有する請求項10に記載の画像読取装置である。
【0017】
請求項12に記載された発明は、前記原稿押さえ手段により読取位置へ搬送された前記原稿の画像を読み取る画像読取手段を備え、
前記駆動源は、前記画像読取手段の駆動源からなる請求項1に記載の画像読取装置である。
【0018】
請求項13に記載された発明は、前記原稿押さえ手段は、開いている時に前記駆動源への通電が遮断される請求項12に記載の画像読取装置である。
【0019】
請求項14に記載された発明は、前記原稿の画像を読み取る画像読取手段と、
前記画像読取手段で読み取られた前記原稿の画像を形成する画像形成手段と、
を備え、
前記画像読取手段として請求項1乃至13のいずれかに記載の画像読取装置を用いた画像形成装置である。
【発明の効果】
【0020】
請求項1に記載された発明によれば、原稿押さえ手段の開閉角度のすべてにわたり開閉駆動を行う場合に比べて、操作性を損なうことなく原稿押さえ手段を開くときの操作力を低減することが可能な画像読取装置及び画像形成装置を提供することができる。
【0021】
請求項2に記載された発明によれば、駆動源をずっと駆動する場合に比べて、操作ができる必要最低限しか開かずにその後のユーザが閉じる動作に転じた場合に対応することができる。
【0022】
請求項3に記載された発明によれば、原稿押さえ手段の開き角度が予め定められた角度となるまで駆動源を駆動しない場合に比べて、原稿押さえ手段が開くまで確実に開閉力を作用させることができる。
【0023】
請求項4に記載された発明によれば、駆動手段は、原稿押さえ手段を開くのに要する回転モーメントがカウンターバランスの開く方向の力による回転モーメント以下となるまで駆動源を駆動しない場合に比べて、原稿押さえ手段を開くのに要する回転モーメントがカウンターバランスの開く方向の力による回転モーメント以下となるまで確実に開閉力を作用させることができる。
【0024】
請求項5に記載された発明によれば、駆動手段は、一時的な駆動をした後も開力作用手段へ継続して力を作用させる場合に比べて、操作者が原稿押さえ手段を一旦開く操作をした直後に閉じる操作をしたときでも、駆動手段に過剰な力が作用するのを回避することができる。
【0025】
請求項6に記載された発明によれば、開力作用手段が、原稿押さえ手段を開閉可能に支持する支点より奥側に開力を作用させる場合に比べて、開力作用手段の開力を原稿押さえ手段に効率良く作用させることができる。
【0026】
請求項7に記載された発明によれば、開力作用手段は、原稿押さえ手段に直接回転力を作用させる場合に比べて、開力作用手段の構成を簡略化することができる。
【0027】
請求項8に記載された発明によれば、過剰な力を吸収する吸収手段を備えない場合に比べて、開力作用手段に過剰な力が作用した場合の誤動作を回避できる。
【0028】
請求項9に記載された発明によれば、吸収手段を弾性部材から構成しない場合に比べて、開力作用手段の構成を簡素化することができる。
【0029】
請求項10に記載された発明によれば、開力作用手段をリンク機構により構成しない場合に比べて、開力作用手段の構成を簡素化することができる。
【0030】
請求項11に記載された発明によれば、リンク機構を第1のリンク部材と第2のリンク部材とから構成しない場合に比べて、リンク機構の高さを低くすることができる。
【0031】
請求項12に記載された発明によれば、駆動源として画像読取手段の駆動源を用いない場合に比べて、部品点数を少なくすることができる。
【0032】
請求項13に記載された発明によれば、原稿押さえ手段は、開いている時に駆動源への通電が遮断されない場合に比べて、原稿押さえ手段を開いたときに誤動作する虞れを回避することができる。
【0033】
請求項14に記載された発明によれば、画像読取手段として請求項1乃至13のいずれかに記載の画像読取装置を用いない場合に比べて、操作性を損なうことなく原稿押さえ手段を開くときの操作力を低減することが可能な画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】この発明の実施の形態1に係る画像読取装置を適用した画像形成装置を示す全体構成図である。
図2】この発明の実施の形態1に係る画像読取装置を示す構成図である。
図3】この発明の実施の形態1に係る自動原稿搬送装置を示す構成図である。
図4】この発明の実施の形態1に係る画像形成装置の自動原稿搬送装置を開いた状態を示す斜視構成図である。
図5】この発明の実施の形態1に係る自動原稿搬送装置を示す構成図である。
図6】この発明の実施の形態1に係る自動原稿搬送装置を開くのに要する回転モーメント示すグラフある。
図7】リードスイッチを示す構成図である。
図8】この発明の実施の形態1に係る自動原稿搬送装置を閉じた状態を示す構成図である。
図9】この発明の実施の形態1に係る自動原稿搬送装置の要部を示す構成図である。
図10】押上装置を示す平面構成図である。
図11】この発明の実施の形態1に係る自動原稿搬送装置の要部を示す構成図である。
図12】押上装置を示す平面構成図である。
図13】制御装置を示すブロック図である。
図14】この発明の実施の形態1に係る自動原稿搬送装置の要部を示す構成図である。
図15】この発明の実施の形態2に係る画像読取装置の要部を示す構成図である。
図16】この発明の実施の形態2に係る画像読取装置の要部を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下に、この発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0036】
[実施の形態1]
図1はこの発明の実施の形態1に係る画像読取装置を適用した画像形成装置の全体の概要を示す構成図である。
【0037】
<画像形成装置の全体の構成>
実施の形態1に係る画像形成装置1は、例えばカラー複写機として構成されたものである。画像形成装置1は、原稿6の画像を読み取る画像読取手段の一例としての画像読取装置3と、画像読取装置3で読み取られた画像データなどに基づいて記録媒体に画像を形成する画像形成手段の一例としての画像形成部2とを備えている。画像読取装置3は、画像形成部2を収容した装置本体1aの上方に支持部4により支持された状態で配置されている。画像読取装置3と装置本体1aとの間には、画像が形成された記録媒体を排出するための空間が形成されている。
【0038】
画像読取装置3には、図1に示されるように、その筐体31の前面に位置する前壁311の上部に、画像形成装置1及び画像読取装置3を操作する操作部としてのコントロールパネル66が設けられている。コントロールパネル66は、操作者(ユーザ)に操作メニューや警告、メッセージ等を表示する表示部を兼ねるとともに表示した操作メニューに対する各種設定等を受け付けるタッチパネル67、及び複数の操作ボタン68を有している。
【0039】
画像形成部2は、現像剤を構成するトナーで現像されるトナー像を形成する複数の作像装置10と、各作像装置10で形成されるトナー像をそれぞれ保持して最終的に記録媒体の一例としての記録用紙5に二次転写する二次転写位置まで搬送する中間転写装置20と、中間転写装置20の二次転写位置に供給すべき所要の記録用紙5を収容して搬送する給紙装置50と、中間転写装置20で二次転写された記録用紙5上のトナー像を定着させる定着装置40等を備えている。装置本体1aは支持構造部材、外装カバー等で形成されている。なお、画像形成部2は、電子写真方式に限定されるものではなく、記録媒体に画像を形成可能なものであればインクジェット方式やサーマルヘッド方式、あるいはリソグラフ方式など他の方式を採用したものであっても良い。
【0040】
給紙装置50は、作像装置10の下方側の位置に存在するよう配置される。この給紙装置50は、所望のサイズ、種類等の記録用紙5を積載した状態で収容する複数(又は単数)の用紙収容体51~51と、用紙収容体51~51から記録用紙5を1枚ずつ送り出す送出装置52,53とで主に構成されている。用紙収容体51は、例えば、装置本体1aの正面(操作者が操作時に向き合う側面)側に引き出すことができるように取り付けられている。
【0041】
給紙装置50と中間転写装置20との間には、給紙装置50から送り出される記録用紙5を二次転写位置まで搬送する複数の用紙搬送ローラ54,55や図示しない搬送ガイドで構成される給紙搬送路56が設けられている。給紙搬送路56において二次転写位置の直前の位置に配置される用紙搬送ローラ55は、例えば記録用紙5の搬送時期を調整するローラ(レジストローラ)として構成されている。さらに、定着装置40の用紙搬送方向に沿った下流側には、記録用紙5を装置本体1aの上部に設けられた排出収容部57へと排出する搬送ローラ58及び排出ローラ59が配置されている。
【0042】
さらに、画像形成装置1は、記録用紙5の両面に画像を形成するための両面ユニット60を備えている。両面ユニット60は、片面に画像が形成された記録用紙5を排出ローラ59によって排出収容部57へ搬送する際に、排出ローラ59が記録用紙5の後端を保持している間に当該排出ローラ59を逆方向に回転させることで、切替ゲート61を介して記録用紙5を導入する。両面ユニット60は、導入された記録用紙5をその表裏を反転させた状態で搬送する複数の搬送ローラ62~64及び図示しない搬送ガイドから構成される両面用搬送経路65を有している。
【0043】
画像が形成された記録用紙5は、搬送ローラ58及び排出ローラ59により、例えば装置本体1aの上部に配置された排出収容部57に排出される。
【0044】
また、記録用紙5の両面に画像を形成するときは、片面に画像が形成された記録用紙5を排出ローラ59により排出収容部57へ搬送する際、排出ローラ59が記録用紙5の後端を保持している間に当該排出ローラ59の回転方向を逆方向に切り替える。排出ローラ59により逆方向に搬送される記録用紙5は、切替ゲート61によって搬送方向が両面ユニット60側へ切り替えられる。その後、記録用紙5は、搬送ローラ62~64等を備えた両面用搬送経路65を介して表裏が反転された状態で用紙搬送ローラ55へと搬送される。用紙搬送ローラ55は、記録用紙5を転写時期に合わせて二次転写位置に送り出して供給する。記録用紙5は、その裏面(第2面)に中間転写ベルト21からトナー像が二次転写され、定着装置40による定着処理が施されて、排出ローラ59により装置本体1aの上部に設置された排出収容部57に第2面を下にして排出される。
【0045】
<画像読取装置の構成>
図2はこの実施の形態1に係る画像読取装置の構成を示す概略構成図である。
【0046】
画像読取装置3は、大別して、上端面に原稿読取面(支持面)が形成された画像読取装置3の装置本体の一例としての筐体31と、筐体31に対して開閉可能に取り付けられ、原稿6を押さえる原稿押さえ手段の一例としての自動原稿搬送装置(DADF: Duplex Automatic Document Feeder)33を備えている。自動原稿搬送装置33には、原稿押さえカバー32が設けられている。なお、原稿押さえ手段は、自動原稿搬送装置33に限定されるものではなく、自動原稿搬送装置33を備えない原稿押さえカバー32そのものから構成しても良い。
【0047】
自動原稿搬送装置33は、当該自動原稿搬送装置33にセット(載置)された原稿6を当該自動原稿搬送装置33が画像読取装置3に対して閉じられている状態の際に、一枚ずつ分離して読取位置へ搬送するため、原稿6を搬送するための複数の搬送部材や複数の搬送部材を駆動する駆動源としての駆動モータなどを備えている。そのため、自動原稿搬送装置33は、全体として重量が重くなる(重量化する)傾向にある。なお、自動原稿搬送装置33の搬送部材を駆動する駆動源は、自動原稿搬送装置33を閉じられている状態の場合には通電されているが、開いている状態で搬送部材が駆動されないように、開きはじめると通電が遮断されるようになっている。
【0048】
画像読取装置3は、操作者の操作に応じて、自動原稿搬送装置33によって原稿6を一枚ずつ自動的に搬送しながら原稿6の画像を読み取る第1の読取モードと、後述する原稿台83の上に置かれ原稿押さえカバー32により押さえられた原稿6の画像を読み取る第2の読取モードとに自動的に切り替え可能に構成されている。図2は、第1の読取モードにおける原稿読み取り時の各部材の状態を示している。
【0049】
自動原稿搬送装置33は、読取面(第1面)を上にした状態で複数枚の原稿6を積載して収容可能なシート積載部の一例としての原稿収容部70と、原稿収容部70から原稿6を送り出す送り出し手段の一例としてのナジャーローラ71と、ナジャーローラ71によって送り出された原稿6を1枚ずつ捌いて供給する送り出し手段の一例としてのフィードローラ72と、フィードローラ72に押圧されて原稿6を1枚ずつ捌く押圧パッド72aと、原稿6を読取位置へ搬送する第1の搬送ローラ73と、第1の搬送ローラ73によって搬送される原稿6が読取位置を通過するよう搬送する搬送ローラ74,75と、原稿6を排出収容部76へ排出する第2の搬送ローラの一例としての排出ローラ77から構成される原稿搬送機構を有している。これらのナジャーローラ71、フィードローラ72、搬送ローラ73~75及び排出ローラ77は、原稿6の読み取り時に駆動される。第1の搬送ローラ73は、原稿6の読取位置への搬送時期を調整するレジストローラである。尚、この実施の形態1では、特にローラ対として明示的に記載していないが、搬送ローラや排出ローラなる用語は一対のローラを含むものである。
【0050】
また、第1の搬送ローラ73は、搬送方向に対する原稿6の傾きを機械的に補正(以下、「スキュー補正」という。)して原稿6の端縁を搬送方向と同一方向に補正する補正手段としても機能する。第1の搬送ローラ73のうち駆動ローラとしての搬送ローラ73bは、図2に示されるように、駆動モータ等を駆動手段として、停止した状態から予め定められたタイミングで図の正転方向Raに回転するように駆動される。従動ローラである搬送ローラ73aは、搬送ローラ73bに圧接した状態で搬送ローラ73bに従って回転する。
【0051】
第1の搬送ローラ73は、駆動ローラとしての搬送ローラ73bが停止している間に、原稿6の搬送方向に沿った上流側に位置するフィードローラ72により搬送される原稿6の先端が当該搬送ローラ73bと搬送ローラ73aとの圧接部に突き当てられる。そして、第1の搬送ローラ73は、原稿6の先端領域を撓ませることで原稿6の先端を第1の搬送ローラ73の軸方向と一致させた後に原稿6の搬送を開始することによりスキュー補正を行う。
【0052】
また、自動原稿搬送装置33は、原稿6を読取位置に案内するとともに読取位置から排出方向に案内する湾曲形状の読取ガイド78と、読取窓79の上方であって読取ガイド78に設けられ原稿6の背面を支持する背面支持部材80と、原稿収容部70に設けられて原稿6の副走査方向のサイズを検知する第1のサイズ検知センサ81と、同じく原稿収容部70に設けられて原稿6の副走査方向のサイズを検知する第2のサイズ検知センサ82とを有する。
【0053】
画像読取装置3の筐体31は、上端面の一部が開口した直方体状の箱体として形成されている。筐体31は、原稿押さえカバー32に対向する上壁312と、上壁312に対向する底壁313と、底壁313を挟んで副走査方向(図2の左右方向)に対向する側壁314及び側壁315と、上述した前壁311(図1を併せて参照)と、前壁311に対して主走査方向(図2の紙面に直交する方向)に沿って対向する後壁316とを有している。
【0054】
筐体31の上壁312には、第2の読取モード時に読み取られる原稿6の原稿読取位置に対応する部位に平面矩形状の大きな開口部317が形成されている。開口部317には、原稿6を支持する透明な原稿台83(プラテンガラス)が配置されている。また、原稿台83の自動原稿搬送装置33側には、第1の読取モード時に原稿6を読み取るための透明な読取窓79が設けられている。読取窓79と原稿台83との間には、第1の読取モード時に読取位置を通過した原稿6を搬送ローラ75へと案内する上端面が傾斜した案内部材84が設けられている。
【0055】
画像読取装置3は、筐体31の内部に、原稿6を照明するための光を照射する照明ランプやLED等からなる照明手段の一例としての光源85と、光源85から出射された光の一部を原稿6の方向へ向けて反射するリフレクタ86と、原稿6からの反射光を受ける第1のミラー87と、第1のミラー87からの反射光を受ける第2のミラー88と、第2のミラー88からの反射光を受ける第3のミラー89と、第3のミラー89からの反射光をCCD(Charge-Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等からなる画像読取手段の一例としての画像読取素子90に結像する結像レンズ91などを有する画像読取部を備えている。光源85は、原稿6及びリフレクタ86の方向に向けて光を照射する。第1乃至第3のミラー87~89及び結像レンズ91は、原稿6の画像を画像読取素子90で読み取るための読取光学系を構成している。
【0056】
光源85、リフレクタ86及び第1のミラー87は、画像読取装置3の奥行き方向である主走査方向に沿って配置され、画像読取装置3の幅方向である副走査方向に沿って後述する駆動源により移動可能に構成されたキャリッジからなる第1の移動体92に取り付けられている。第1の移動体92は、第1のレール93によって案内される。第1の移動体92は、副走査方向に沿って移動しながら原稿6の読取対象領域を照明しつつ、第1のミラー87によって原稿6の反射光を第2の移動体94の第2のミラー88に向けて反射する。第1のレール93は、筐体31の後壁316に副走査方向に沿って配置されている。
【0057】
また、第2のミラー88及び第3のミラー89は、主走査方向に沿って配置され、副走査方向に沿って駆動手段により移動可能に設けられたキャリッジからなる第2の移動体94に取り付けられている。第2の移動体94は、第2のレール95により案内されて副走査方向に移動しながら、原稿6の反射光を画像読取部の結像レンズ91に向けて反射する。第2のレール95は、筐体31の底壁313に副走査方向に沿って配置されている。第1のレール93及び第2のレール95は、主走査方向に沿った両端部に対向するようにそれぞれ1つずつ配置されている。
【0058】
第1及び第2の移動体92,94は、図9に示されるように、画像読取装置3の筐体31の内部に配置された駆動源の一例としての駆動モータ34により駆動プーリや図示しない駆動ワイヤ等を介して副走査方向に沿って往復移動が可能となるよう駆動される。
【0059】
画像読取部は、図2に示されるように、画像読取素子90を実装した画像読取基板97を有する。結像レンズ91及び画像読取基板97は、底壁313に支持されたベース板96に取り付けられている。画像読取部は、第3のミラー89からの反射光が結像レンズ91を透過してCCDやCMOS等からなる画像読取素子90に結像し、画像読取素子90によって原稿6の画像を読み取り画像データを出力する。画像読取素子90によって読み取られた画像データは、図示しない画像処理装置により必要に応じてシェーディング補正等の予め定められた画像処理が施され、制御装置100(図1参照)へ送られる。
【0060】
第1の読取モード時には、図2に実線で示されるように、第1及び第2の移動体92,94を筐体31の左側の端部に設定された読取位置に停止させた状態で、自動原稿搬送装置33によって原稿6を自動的に搬送し、読取窓79の上部を通過する原稿6を光源85により照明し、原稿6からの反射光像を第1のミラー87によって第2及び第3のミラー88,89を介して結像レンズ91へと反射する。画像読取部は、第3のミラー89からの反射光像を結像レンズ91によって画像読取素子90に結像し、画像読取素子90により原稿6の画像を読み取って画像読取素子90から画像データを出力する。
【0061】
一方、第2の読取モード時には、第1の移動体92及び第2の移動体94を後述する駆動源によって駆動し、第1の移動体92が副走査方向に沿って移動する間に、原稿6の画像読取位置から画像読取素子90に至る光路長が変化しないように、第2の移動体94の移動量が第1の移動体92の移動量の1/2となるよう構成されている。図2中、二点鎖線は、第1の移動体92が原稿6の副走査方向の端部付近に移動したときの第1の移動体92及び第2の移動体94の位置を示す。
【0062】
画像読取装置3は、図3に示されるように、原稿収容部70に収容されたシートの一例としての原稿6を1枚ずつ捌いて読取位置へと搬送するとともに、読取位置を通過したシートをスイッチバックさせて表裏を反転した状態で読取位置へと再度搬送するシート搬送装置320を備えている。シート搬送装置320は、ナジャーローラ71と、フィードローラ72と、押圧パッド72aと、第1の搬送ローラ73と、搬送ローラ74,75と、排出ローラ77と、これらのローラを駆動する駆動源である駆動モータ321と、第1の搬送ローラ73を駆動モータ321の回転方向にかかわらず一定方向に回転させる一定方向回転機構322と、第1の搬送ローラ73へ駆動力を伝達する状態と伝達しない状態とに切り替える第1の駆動伝達切替手段323と、フィードローラ72及びナジャーローラ71への駆動力を伝達する状態と伝達しない状態とに切り替える第2の駆動伝達切替手段324とを有している。尚、図3中、破線は駆動力の伝達経路を示している。
【0063】
シート搬送装置320は、図3に示されるように、ナジャーローラ71によって搬送される原稿6をフィードローラ72、第1の搬送ローラ73、搬送ローラ74,75、排出ローラ77を通過するように搬送する通常の搬送経路325と、排出ローラ77によって後端が保持された原稿6を当該排出ローラ77の回転方向を逆転させることにより原稿6の表裏を反転させて第1の搬送ローラ73へと再度搬送する反転搬送経路326とを備えている。通常の搬送経路325は、当該通常の搬送経路325に沿って複数に分割され、原稿6の表裏を案内するガイド部材325a,325b、読取ガイド78及び背面支持部材80を有している。反転搬送経路326は、原稿6の表裏を案内するガイド部材326a,326bを有している。また、通常の搬送経路325と反転搬送経路326とが分かれる分岐位置には、原稿6の搬送経路を通常の搬送経路325から反転搬送経路326へと切り替える切替ゲート327が設けられている。この切替ゲート327は、断面形状が略Y字形状に形成された弾性変形自在な合成樹脂製のフィルム等から形成されている。切替ゲート327は、通常、図3に示されるように、その一部が通常の搬送経路325を斜めに横切るように配置されている。切替ゲート327は、原稿6を通常の搬送経路325に沿って排出ローラ77へと搬送する際、原稿6に押されて通常の搬送経路325を開放するように弾性変形し、原稿6の搬送方向を排出ローラ77へと切り替える。一方、切替ゲート327は、排出ローラ77が原稿6の後端を保持している間に当該排出ローラ77の回転方向を逆転させ、原稿6を反転搬送経路326に沿って第1の搬送ローラ73へと搬送する際、排出ローラ77によって搬送される原稿6の搬送経路を通常の搬送経路325から反転搬送経路326へ切り替える。
【0064】
シート搬送装置320は、ナジャーローラ71に対応した位置に原稿6の先端を検出する原稿センサ328を備えている。また、第1の搬送ローラ73の原稿6の搬送方向に沿った上流側には、原稿6の先端を検出するプリレジセンサ329を備えている。さらに、シート搬送装置320は、搬送ローラ74の原稿6の搬送方向に沿った下流側に配置され、原稿6の先端を検出する図示しないレジセンサと、排出ローラ77の原稿6の搬送方向に沿った上流側に配置され、原稿6の後端を検出する図示しないインバータセンサとを備えている。
【0065】
なお、シート搬送装置320は、原稿6を反転搬送経路326へと搬送することにより、原稿6の裏面の画像を読み取るように構成されているが、反転搬送経路326を設けるのではなく、通常の搬送経路325の途中に原稿6の裏面(第2面)の画像を読み取る図示しない第2の画像読取素子を配置することにより、原稿6の搬送方向を反転させることなく原稿6の表裏両面の画像を読み取り可能に構成しても良い。
【0066】
この場合、反転搬送経路326は不要となるが、新たに第2の画像読取素子を配置する必要がある。そのため、画像読取装置3は、第2の画像読取素子自体がある程度の重量を有するので、自動原稿搬送装置33は、更に重量化する可能性がある。
【0067】
<画像読取装置の要部の構成>
この実施の形態1に係る画像読取装置3は、図4に示されるように、原稿押さえ手段の一例としての自動原稿搬送装置33を備えている。自動原稿搬送装置33には、上述したように、原稿押さえカバー32が設けられている。原稿押さえカバー32の下面には、原稿台83上に載置された図示しない原稿を押さえる白色のシート状に形成された押さえ部材32aが設けられている。押さえ部材32aは、原稿台83と略等しい大きさを有する平面矩形状に形成されている。自動原稿搬送装置33は、当該自動原稿搬送装置33にセットされた原稿6を一枚ずつ分離して読取位置へ搬送するものであり、原稿6を搬送するためのナジャーローラ71やフィードローラ72、第1の搬送ローラ73、搬送ローラ74,75、排出ローラ77等の搬送部材やこれらを駆動する駆動源としての駆動モータ321(図3参照)を備えている。そのため、自動原稿搬送装置33は、上述したように、全体の重量が重くなる(重量化する)傾向にある。
【0068】
画像読取装置3は、第2の読取モード時、原稿台83上に原稿6を載置して当該原稿6の画像を読み取る際に、自動原稿搬送装置33を操作者が手で開閉する必要がある。そのため、画像読取装置3は、自動原稿搬送装置33の重量が重くなるとそれに伴って自動原稿搬送装置33を開閉するのに要する操作力も大きくなる。したがって、画像読取装置3は、自動原稿搬送装置33を開閉する際の操作力を低減することにより、操作性を向上させることが望まれている。
【0069】
自動原稿搬送装置33を開閉する際の操作性を向上し得る技術としては、前述した特許文献1に記載されているように、自動原稿搬送装置33の開閉角度を検出し当該自動原稿搬送装置33の開閉角度に応じて自動原稿搬送装置33の開閉速度を制御する技術が既に提案されている。
【0070】
しかしながら、画像読取装置3において自動原稿搬送装置33の開閉角度を検出し、自動原稿搬送装置33の開閉角度に応じて自動原稿搬送装置33の開閉速度を制御するよう構成した場合には、自動原稿搬送装置33の上に本等の重量物が載せられているときなど、自動原稿搬送装置33を開閉させる操作を行うと当該自動原稿搬送装置33を開閉させる駆動手段に過剰な負荷が掛かり、駆動手段のギアなどが破損したり開閉動作に誤作動を生じる虞れがあり、操作性が損なわれるという技術的課題を有している。
【0071】
そこで、この実施の形態1に係る画像読取装置3は、筐体31に開閉可能に装着され、原稿6を読取位置へ搬送する自動原稿搬送装置33と、自動原稿搬送装置33を開くときに駆動モータ34の駆動力を当該自動原稿搬送装置33に開力(開く方向の力)として一時的にのみ作用させる開力作用手段を備えるように構成されている。
【0072】
ここで、「一時的」とは、自動原稿搬送装置33を完全に閉じた状態から自動原稿搬送装置33を開くときに限って長続きしないことを意味し、自動原稿搬送装置33が完全に開ききった以降は開力を作用させないことを意味するものではない。自動原稿搬送装置33への開力の作用は、例えば、自動原稿搬送装置33を閉じた状態から開くときの、開きはじめのある短い時間に限られる。
【0073】
すなわち、この実施の形態1に係る画像読取装置3は、図4に示されるように、自動原稿搬送装置33が画像読取装置3の筐体31に第1及び第2の軸支部材43,43を介して開閉可能に装着されている。第1及び第2の軸支部材43,43は、画像読取装置3の筐体31側に設けられた軸受部44,44と、自動原稿搬送装置33側に設けられた読取回転部45,45とを有している。軸受部44,44と読取回転部45,45は、図5に示されるように、回転軸46,46を中心にして回転可能に連結されている。読取回転部45,45には、自動原稿搬送装置33を開閉する際の荷重を減少させるため、自動原稿搬送装置33に対して開く方向の回転モーメントを作用させる図示しないカウンターバランスが内蔵されている。カウンターバランスは、自動原稿搬送装置33の開閉角度に応じて当該自動原稿搬送装置33に開く方向の回転モーメントを作用させる図示しないコイルバネ等を備えている。なお、カウンターバランスは、軸受部44,44側に配置しても勿論良い。
【0074】
また、画像読取装置3で画像が読み取られる原稿6としては、A4サイズやA3サイズ等の所望のサイズに裁断された原稿6に限らず、複数枚の原稿6を閉じた本のような複数ページにわたる原稿6を有する所謂ブック原稿なども含まれる。画像読取装置3においてブック原稿の画像を読み取るには、図4に示されるように、自動原稿搬送装置33を開いた状態でブック原稿の読み取るページの画像を下にして原稿台83の上に載せ、自動原稿搬送装置33を閉じる操作が行われる。
【0075】
その際、ブック原稿は、ある程度の厚さを有しているため、自動原稿搬送装置33が第1及び第2の軸支部材43,43を支点として単に開閉可能に設けられている場合には、ブック原稿の画像を読み取る際に自動原稿搬送装置33を閉じても、自動原稿搬送装置33がブック原稿の上面に対して傾斜した状態となりブック原稿の全面を押さえることができない。
【0076】
そこで、自動原稿搬送装置33を開閉可能に支持する第1及び第2の軸支部材43,43は、図5(b)(c)に示されるように、画像読取装置3の筐体31側に配置される軸受部44,44に筒状の昇降部44a,44aが設けられている。軸受部44,44の昇降部44a,44aは、筐体31に設けられた孔部31aに挿抜可能に挿入されている。そして、第1及び第2の軸支部材43,43は、ブック原稿などのようにある程度の厚さを有する原稿6の画像を読み取る際、筐体31に設けられた孔部31aに挿入された軸受部44,44の昇降部44a,44aが上方に移動して、自動原稿搬送装置33がブック原稿の上面と略平行となるようブック原稿の全面を押さえることが可能となるよう構成されている。
【0077】
自動原稿搬送装置33は、図4に示されるように、原稿6を自動的に搬送する搬送手段が内蔵される図中左側の端部が右側より重量が大きい。その結果、自動原稿搬送装置33の重心は、幅方向に沿った中央部よりも原稿6を自動的に搬送する搬送手段が内蔵された図中左側に偏った位置に存在している。そのため、第1及び第2の軸支部材43,43に内蔵されるカウンターバランスは、自動原稿搬送装置33の駆動側である図中左側に配置される第1のカウンターバランスの方が、自動原稿搬送装置33の非駆動側である右側に配置される第2のカウンターバランスより自動原稿搬送装置33に与える回転モーメントが大きくなるよう設定されている。
【0078】
図6は、自動原稿搬送装置33を閉じた状態(開き角度=0度)から開くのに必要とされる回転モーメントMと、第1の軸支部材43が自動原稿搬送装置33に与える回転モーメントMと、第2の軸支部材43が自動原稿搬送装置33に与える回転モーメントMと、第1及び第2の軸支部材43,43が自動原稿搬送装置33に与える合成回転モーメントMの各値を、自動原稿搬送装置33の開閉角度に応じて求めた結果を示したグラフである。
【0079】
この実施の形態1に係る画像読取装置3では、自動原稿搬送装置33を開く際の操作者の操作力を可能な限り低減するため、自動原稿搬送装置33を5~25度程度の予め定められた角度θ(例えば10度)に開いたとき、自動原稿搬送装置33を開くのに要する回転モーメントMと、第1及び第2の軸支部材43,43の合成回転モーメントMの値が等しくなるよう設定されている。合成回転モーメントMが回転モーメントMの値を超えるまでの間の期間は、本実施例における一時的のみの一例である。また、自動原稿搬送装置33の開き角度が予め定められた角度θを超えると、自動原稿搬送装置33を開くのに必要とされる回転モーメントMより第1及び第2の軸支部材43,43の合成回転モーメントMの方が大きくなるよう設定されている。その結果、操作者は、予め定められた角度θを超える角度領域では自動原稿搬送装置33を開く操作を容易に行うことが可能となる。ただし、第1及び第2の軸支部材43,43は、自動原稿搬送装置33の開き角度が予め定められた角度θを超えた場合であっても、操作者が自動原稿搬送装置33を開く操作を停止したとき不本意に自動原稿搬送装置33が開くことを回避することが望ましい。そのため、第1及び第2の軸支部材43,43は、自動原稿搬送装置33の開き角度が予め定められた角度θを超えた場合であっても、操作者が自動原稿搬送装置33から手を放したときの開き角度を維持する程度の摩擦力が作用するよう構成されている。
【0080】
また、自動原稿搬送装置33は、完全に閉じられた状態(開き角度=0度)においても、第1及び第2の軸支部材43,43によって開く方向の合成回転モーメントMが作用している。このとき、第1及び第2の軸支部材43,43によって自動原稿搬送装置33に作用する所要の合成回転モーメントMは、図6に示されるように、自動原稿搬送装置33を開くのに必要とされる回転モーメントMより僅かΔMだけ小さい値となっている。
【0081】
なお、駆動力を与える期間は、操作力を少なくという観点では、合成回転モーメントMが回転モーメントM値を確実に超えるまでの期間が望ましく、その場合は装置の個体差等を考慮し、少し多めに駆動力を与えると良い。一方、駆動期間を必要最小限にするには、角度θより少し前を狙っても良いが、その場合でもΔMが十分に小さくなった場合、例えば角度0度の際のΔMの10%以下になった場合までは駆動力を与えた方がよい。
【0082】
また、駆動力をずっと与え続けると、不具合が生じる場合がある。例えば、自動原稿搬送装置33を全開させて原稿を入れ替えると開閉に時間がかかってしまうので、全開まで開かずにある程度までしか開かず、その状態で原稿を入れ替えて、再び自動原稿搬送装置33を閉じようとするユーザがいた場合に、駆動がかかっていると、閉じられなくなってしまったり、駆動源やそこから駆動を受けとる部品等に不要な負荷がかかったりする。
【0083】
画像読取装置3は、図5(a)に示されるように、自動原稿搬送装置33の開閉を検知する検知手段の一例としてのリードスイッチ220及び磁性部材221を備えている。画像読取装置3の筐体31には、例えば、読取窓79の手前側にリードスイッチ220が設けられている。リードスイッチ220は、図7に示されるように、一端部がS極に他端部がN極に着磁された強磁性体からなる第1のリード222と、一端部がN極に他端部がS極に着磁された強磁性体からなる第2のリード223が、スイッチ本体224の内部に封止されている。第1のリード222の他端部と第2のリード223の他端部には、第1及び第2の接点部225,226がそれぞれ設けられている。リードスイッチ220は、第2のリード223が筐体31の表面側に位置するよう取り付けられている。
【0084】
一方、自動原稿搬送装置33には、画像読取装置3の筐体31のリードスイッチ220と対応した位置に磁性部材221が取り付けられている。磁性部材221は、両端部にS極とN極がそれぞれ着磁された細長い永久磁石からなる。磁性部材221は、S極の磁極が自動原稿搬送装置33の下面側に位置するよう配置されている。
【0085】
そして、リードスイッチ220は、図7(b)及び図8に示されるように、自動原稿搬送装置33を閉じると、第2のリード223におけるS極の第2の接点部226に磁性部材221のS極が近接し、S極の第2の接点部226が磁気反発力及びN極の第1の接点部225が磁気吸引力によって、第2のリード223におけるS極の第2の接点部226が第1のリード222におけるN極の第1の接点部225に接触してオン状態となる。一方、リードスイッチ220は、図5(a)及び図7(a)に示されるように、自動原稿搬送装置33を開けると、リードスイッチ220から磁性部材221のS極が離間し、N極からなる第1の接点部225及びS極からなる第2の接点部226が有する弾性復元力によって、第2のリード223における第2の接点部226が第1のリード222における第1の接点部225から離間してオフ状態となる。
【0086】
このように、リードスイッチ220は、オン状態かオフ状態かを判別することによって自動原稿搬送装置33の開閉を簡単な構成でしかも高い精度で検知することが可能となっている。
【0087】
なお、自動原稿搬送装置33の開閉を検知する検知手段としては、リードスイッチ220及び磁性部材221の組み合わせに限定されるものではなく、自動原稿搬送装置33の開閉支点の近傍に当該自動原稿搬送装置33の開閉によって出没する接触部材を有する機械的なスイッチや、自動原稿搬送装置33の開閉を光学的に検知する光学式のスイッチなどを用いても良い。
【0088】
この実施の形態1に係る画像読取装置3には、図5に示されるように、操作者が自動原稿搬送装置33を開くとき駆動源の駆動力を当該自動原稿搬送装置33に開力として一時的にのみ作用させる開力作用手段の一例として、自動原稿搬送装置33を上方へ押し上げる押上装置200が画像読取装置3の筐体31内の背面部に設けられている。
【0089】
この実施の形態1では、図9に示されるように、押上装置200が独自の駆動源を備えておらず、画像読取装置3の読取光学系を駆動する駆動モータ34を駆動源として使用している。なお、押上装置200は、独自の駆動源を備えていても勿論良い。
【0090】
駆動モータ34の駆動軸341には、図10に示されるように、読取光学系を駆動するための駆動プーリ201とともに押上装置200を駆動させる駆動ギア202が取り付けられている。駆動プーリ201には、図9に示されるように、画像読取装置3の読取光学系を駆動する従動プーリ203との間にタイミングベルト204が掛け回されている。
【0091】
駆動モータ34は、図10に示されるように、第2の読取モード時、原稿6の画像を読み取る際に正転方向及び逆転方向に回転駆動される。駆動ギア202には、駆動モータ34の回転駆動力を押上装置200に伝達するか否かを切り替える切替手段の一例としての電磁クラッチ205cを内蔵した駆動力伝達ギア205が噛み合わされている。駆動力伝達ギア205は、入力側の相対的に外径が大きい第1の駆動力伝達ギア205aと、出力側の相対的に外径が小さい第2の駆動力伝達ギア205bを有している。第2の駆動力伝達ギア205bには、ワイヤ部材の一例としての駆動ワイヤ206を介してリンク機構207を往復移動させる往復動ギア208が噛み合わされている。
【0092】
往復動ギア208には、その一側面の外周端に係合ピン209が側方へ向けて突出するように設けられている。係合ピン209には、駆動ワイヤ206の一端が回転可能に係合されている。駆動ワイヤ206の他端は、リンク機構207に係合されている。
【0093】
リンク機構207は、図9に示されるように、画像読取装置3の筐体31の底部に起立した状態で設けられた支持プレート210に取り付けられている。リンク機構207は、下端を水平方向に沿って移動させることにより、中間に位置する回転支点215を中心にして上端が自動原稿搬送装置33の下面を押し上げるよう回転する。リンク機構207が自動原稿搬送装置33を押し上げる位置は、図5(a)に示されるように、第1及び第2の軸支部材43,43の回転軸46,46より画像読取装置3のフロント(前面)側であって、且つ原稿6の読取位置である原稿台83よりリア(背面)側に設定されている。リンク機構207が自動原稿搬送装置33を押し上げる位置は、第1及び第2の軸支部材43,43の回転軸46,46から離れている方が、自動原稿搬送装置33に押上力を作用させる作用点と回転軸46,46との距離が長くなり、自動原稿搬送装置33に作用する回転モーメントMは大きくなる。
【0094】
しかし、リンク機構207が自動原稿搬送装置33を押し上げることにより自動原稿搬送装置33に作用させる回転モーメントMは、図6に示されるように、自動原稿搬送装置33を開くのに必要とされる回転モーメントMと、第1及び第2の軸支部材43,43のカウンターバランスが自動原稿搬送装置33に与える合成回転モーメントMとの差ΔM以上であれば良い。そのため、リンク機構207は、自動原稿搬送装置33にそれ程大きな回転モーメントMを作用させる必要がなく、リンク機構207を第1及び第2の軸支部材43,43の回転軸46,46に近接して配置することが可能となる。そのため、リンク機構207は、画像読取装置3の筐体31の背面に近接して配置すれば良く、画像読取装置3の筐体31が大型化することが回避される。
【0095】
リンク機構207は、図9に示されるように、上端211aが閉じた状態における自動原稿搬送装置33の下面に当接し、下端211bが水平方向に沿って移動可能に支持された第1のリンク部材211と、上端212aが第1のリンク部材211の中間に回転可能に連結され、下端212bが水平方向に沿って移動可能に支持された第2のリンク部材212とを有している。
【0096】
第1のリンク部材211は、図9及び図10に示されるように、細長い平板状に形成されている。第1のリンク部材211は、その下端211bが支持プレート210に設けられた第1のガイド溝213に第1の摺動軸214を介して支持プレート210の表面に沿った状態で水平方向に沿って移動可能に取り付けられている。支持プレート210には、第1のガイド溝213が水平方向に沿って所要の長さにわたり設けられている。第1のリンク部材211の上端211aは、自動原稿搬送装置33の下端面に当接した位置で停止している。第1のリンク部材211の下端211bには、第1の摺動軸214を介して駆動ワイヤ206の先端が回転可能に連結されている。
【0097】
一方、第2のリンク部材212は、第1のリンク部材211より長さが短い細長い平板状に形成されている。第2のリンク部材212は、その上端212aが第1のリンク部材211の長手方向に沿った中間に位置する回転支点215に回転可能となるよう連結されている。この第2のリンク部材212の連結位置は、第1のリンク部材211が起立する方向に回転する際の回転支点215となる。第2のリンク部材212は、その下端212bが第1のリンク部材211の下端211bより下方の位置において、支持プレート210に設けられた第2のガイド溝216に第2の摺動軸217を介して支持プレート210の表面に沿った状態で水平方向に沿って移動可能に取り付けられている。支持プレート210には、第2のリンク部材212の下端212bを案内する第2のガイド溝216が水平方向に沿って所要の長さにわたり設けられている。
【0098】
リンク機構207は、図11及び図12に示されるように、駆動モータ34を所要の方向に回転駆動することにより、往復動ギア208が図中反時計反回り方向に回転し、当該往復動ギア208の係合ピン209に連結された駆動ワイヤ206が図中左方向に移動する。すると、駆動ワイヤ206は、往復動ギア208の回転とともに図中左方向に引っ張られ、第1のリンク部材211の下端211bを水平方向に沿った左方向へと移動させる。
【0099】
第1のリンク部材211の中間には、第2のリンク部材212が回転支点215を支点として回転可能に連結されている。そのため、第1のリンク部材211の上端211aは、図11に示されるように、回転支点215を支点として図中時計回り方向に回転する。また、第2のリンク部材212は、第1のリンク部材211の時計回り方向に沿った回転に伴って、第1のリンク部材211との連結位置である回転支点215が上方へ移動する。そのため、第2のリンク部材212の上端212aは、第1のリンク部材211の時計回り方向に沿った回転に伴って図中右方向へ移動するとともに、その下端212bも図中右方向へ移動する。
【0100】
そして、第1のリンク部材211は、その下端211bに作用する駆動ワイヤ206の張力によって第2のリンク部材212との回転支点215を支点として図中時計回り方向に回転する。これと同時に、第1のリンク部材211は、その上端211aが画像読取装置3の筐体31の上端面から上方へ突出して自動原稿搬送装置33を押し上げ、操作者が自動原稿搬送装置33を開く動作を補助する。
【0101】
なお、画像読取装置3の筐体31の上壁312には、図4に示されるように、第1のリンク部材211が出没するスリット状の開口部312aが設けられている。
【0102】
駆動モータ34は、操作者が自動原稿搬送装置33を開くとき、予め定められた時間Tだけ一時的にのみ駆動されリンク機構207を介して自動原稿搬送装置33を押し上げ、当該自動原稿搬送装置33を予め定められた角度θより数度(1~2度)だけ大きな設定角度だけ開いた後に停止し、直ちに逆方向に回転駆動されて自動原稿搬送装置33の押上動作を終了する。
【0103】
ここで、駆動モータ34を回転駆動する予め定められた時間T、すなわち一定時間Tは、上述した「一時的」と同様の意味であり、自動原稿搬送装置33を完全に閉じた状態から自動原稿搬送装置33を開くときに限って長続きしないことを意味し、自動原稿搬送装置33が完全に開ききった以降は開力を作用させないことを意味するものではない。
【0104】
また、予め定められた角度θとは、例えば、自動原稿搬送装置33を開くのに必要とされる回転モーメントMが第1及び第2の軸支部材43,43の合成回転モーメントMと等しくなる角度である。
【0105】
なお、駆動ワイヤ206は、往復動ギア208に係合ピン209を介して回転可能に連結するのではなく、往復動ギア208の代わりに図示しない巻取リールを備え、駆動ワイヤ206の一端を当該巻取リールに固定して、巻取リールによって駆動ワイヤ206を巻き取るように構成しても良い。
【0106】
ところで、この実施の形態1に係る画像読取装置3は、自動原稿搬送装置33を閉じた状態において、自動原稿搬送装置33の上に本等の重量物が載せられたような状態にあると、リンク機構207を駆動させても自動原稿搬送装置33が開かず、リンク機構207を駆動させる駆動モータ34に過剰な負荷が掛かる虞れを有している。
【0107】
また、この実施の形態1に係る画像読取装置3では、操作者が自動原稿搬送装置33を一旦開く操作をした後、自動原稿搬送装置33が予め定められた角度θだけ開く以前に自動原稿搬送装置33を閉じる操作を行う場合がある。すると、画像読取装置3は、リンク機構207を駆動させて自動原稿搬送装置33を予め定められた角度θだけ開く動作を行う途中で自動原稿搬送装置33が強制的に閉じられ、リンク機構207を駆動させる駆動モータ34に過剰な負荷が掛かる虞れがある。
【0108】
そこで、この実施の形態1に係る画像読取装置3は、押上装置200に予め定められた値を超える過剰な力が作用したとき当該過剰な力を吸収する吸収手段240を備えている。吸収手段240は、押上装置200に過剰な力が作用したとき弾性変形することにより過剰な力を吸収する弾性部材の一例である。
【0109】
更に説明すると、画像読取装置3では、駆動モータ34の駆動力をリンク機構207に伝達する駆動ワイヤ206の途中に吸収手段240の一例としてのコイルスプリング241が介在されている。コイルスプリング241は、所要のバネ定数を有している。コイルスプリング241のバネ定数は、リンク機構207が自動原稿搬送装置33を押し上げる際に駆動ワイヤ206に作用する張力より大きく、自動原稿搬送装置33の上に重量物が載せられている場合のように、押上装置200に予め定められた値を超える荷重が作用した場合の張力より小さな値に設定されている。したがって、コイルスプリング241は、リンク機構207が自動原稿搬送装置33を押し上げる際にある程度の長さL2に伸張するが、当該コイルスプリング241の長さL2は、図14に示されるように、押上装置200に予め定められた値を超える荷重が作用したときの長さL3より短い。なお、コイルスプリング241は、駆動ワイヤ206に張力が作用する以前の状態ではL1の長さを有している。
【0110】
この実施の形態1では、駆動モータ34に過剰な負荷が掛かると、コイルスプリング241が伸張されて駆動モータ34に作用する過剰な負荷が吸収される。そのため、駆動モータ34が過負荷により発熱して断線したり、駆動力を伝達する往復動ギア208の歯が欠けたり脱調することが回避される。
【0111】
図13はこの実施の形態1に係る画像形成装置1の制御装置100を示すブロック図である。
【0112】
制御装置100は、図13に示されるように、制御手段の一例としての制御部101と、時間を計測する計時部102と、記憶手段の一例としての記憶部103とを備えている。
【0113】
制御部101は、記憶部103に記憶されたプログラムを実行することにより画像読取装置3による画像読取動作を含む画像形成装置1の動作を統括的に制御する。制御部101は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の各作像装置10(Y,M,C,K)において、図示しない帯電装置、露光装置、現像装置、一次転写装置等からなる画像形成部2を駆動することにより、カラー画像等の形成動作を実行する。
【0114】
また、制御部101は、計時部102、記憶部103等を介して画像読取装置3の読取動作を制御する。
【0115】
その際、制御部101は、リードスイッチ220から入力される自動原稿搬送装置33の開閉信号に基づいて、自動原稿搬送装置33が閉じた状態から開かれた状態に移行したことを検知すると駆動モータ34を予め定められた時間Tだけ(一時的にのみ)駆動する。ここで、予め定められた時間Tは、例えば、駆動モータ34が自動原稿搬送装置33を予め定められた角度θより数度(1~2度)だけ大きな設定角度だけ開くのに要する時間に設定される。
【0116】
同時に、計時部102は、リードスイッチ220から入力される自動原稿搬送装置33の開閉信号に基づいて、自動原稿搬送装置33が閉じた状態から開かれた状態に移行したことを検知すると経過時間を計測する。そして、計時部102は、予め定められた時間Tだけ経過したことを計測すると、制御部101へ経過信号を出力する。
【0117】
制御部101は、計時部102から出力される経過信号を受け取ると、駆動モータ34を停止させた後、当該駆動モータ34を予め定められた時間Tだけ逆方向に回転駆動して停止させるよう制御する。
【0118】
また、制御部101は、電磁クラッチ205cを所要のタイミングでオンオフ駆動する。制御部101が電磁クラッチ205cをオン状態とするタイミングは、リードスイッチ220から入力される自動原稿搬送装置33の開閉信号に基づいて、自動原稿搬送装置33が開かれたことを検知した時に設定される。また、制御部101が電磁クラッチ205cをオフ状態とするタイミングは、電磁クラッチ205cがオン状態とされてから予め定められた時間Tだけ経過した時に設定される。
【0119】
<画像読取装置の動作>
この実施の形態1に係る画像読取装置3が適用された画像形成装置1では、次のようにして、原稿6の画像をコピーしたり、原稿6の画像を読み取ってファクリミリ機能等より送信する際など、画像読取装置3における自動原稿搬送装置33をすべての開閉角度にわたり開閉駆動する場合に比べて、操作性を損なうことなく自動原稿搬送装置33を開くときの操作力を低減することが可能となっている。
【0120】
すなわち、画像形成装置1の画像読取装置3では、図4に示されるように、第2の読取りモードにおいて原稿6の画像を読み取る際、原稿押さえ手段として機能する自動原稿搬送装置33を開き、画像読取装置3の筐体31の上端面に設けられた原稿台(プラテンガラス)83上に原稿6を載置し、自動原稿搬送装置33を閉じた後に画像形成装置1のコントロールパネル66によって所望のコピー動作等を実行する。
【0121】
画像読取装置3は、コントロールパネル66で指定された動作に応じて、画像読取装置3によって原稿6の画像を読み取り、画像形成装置1の画像形成部2によって原稿6の画像を記録用紙5に形成したり、画像読取装置3によって読み取られた原稿6の画像を図示しないパーソナルコンピュータへと送信したり、画像読取装置3によって読み取られた原稿6の画像をファクシミリ機能により送信する動作を実行する。
【0122】
原稿6の画像を読み取る画像読取装置3は、自動原稿搬送装置33が、第1の読取りモード時に原稿6を自動的に搬送するための搬送部材や駆動モータ321等を備えており、相対的に重量が大きなものとなっている。そのため、画像読取装置3では、第2の読取りモードにおいて、原稿6を原稿台83の上に載せた状態で当該原稿6を自動原稿搬送装置33によって押さえ原稿6の画像を読み取る際に、相対的に重量が大きな自動原稿搬送装置33を操作者が開閉する操作を行う必要がある。
【0123】
画像読取装置3は、操作者が自動原稿搬送装置33を開くと、当該自動原稿搬送装置33が開かれたことをリードスイッチ220により検知する。
【0124】
制御装置100の制御部101は、図13に示されるように、リードスイッチ220からの信号がオン状態からオフ状態に移行することにより自動原稿搬送装置33が開かれたことを検知すると、駆動力伝達ギア205の電磁クラッチ205cをオン状態とすると同時に、駆動モータ34を予め定められた時間Tだけ(一時的にのみ)回転駆動する。
【0125】
画像読取装置3は、図9に示されるように、駆動モータ34が回転駆動されると、当該駆動モータ34によって駆動力伝達ギア205が回転駆動される。駆動力伝達ギア205は、電磁クラッチ205cがオン状態とされているため、駆動モータ34からの回転駆動力が第2の駆動力伝達ギア205bへと伝達され、往復動ギア208が図中反時計回り方向に所要の角度だけ回転駆動される。
【0126】
すると、往復動ギア208に一端が連結された駆動ワイヤ206には、図中左方向に引っ張る張力が作用しコイルスプリング241を介してリンク機構207の第1のリンク部材211の下端211bを図中左方向に移動させる。
【0127】
第1のリンク部材211は、図11に示されるように、その下端211bが図中左方向に移動すると、中間に位置する回転支点215を中心にして上端211aが時計回り方向に回転し、自動原稿搬送装置33の下面を上方へ押し上げて当該自動原稿搬送装置33を開く。
【0128】
したがって、操作者は、自動原稿搬送装置33を開くとき、第1のリンク部材211の押上動作によって当該自動原稿搬送装置33を開く操作が補助されるため、自動原稿搬送装置33の重量にかかわらず自動原稿搬送装置33を開く操作を容易に行うことができる。
【0129】
また、第1のリンク部材211が自動原稿搬送装置33を開く角度は、図6に示されるように、予め定められた角度θより数度(1~2度)だけ大きな設定角度に設定されている。よって、操作者は、第1のリンク部材211によって自動原稿搬送装置33を開く操作が補助された後、第1及び第2の軸支部材43,43に内蔵されたカウンターバランスにより作用する合成回転モーメントMによって自動原稿搬送装置33を全開位置へと容易に開くことが可能となる。
【0130】
制御装置100の制御部101は、計時部102によって予め定められた時間Tだけ経過したことが計時されると、駆動モータ34を停止させた後に直ちに逆方向へ予め定められた時間Tだけ回転駆動させる。また、制御部101は、駆動モータ34を停止させると同時に電磁クラッチ205cをオフ状態とする。
【0131】
すると、駆動モータ34の逆方向への回転に伴って、図9に示されるように、往復動ギア208に一端が連結された駆動ワイヤ206は、図中右方向に移動してリンク機構207の第1のリンク部材211の下端211bを図中右方向に移動させる。
【0132】
第1のリンク部材211は、その下端211bが図中右方向に移動すると、中間に位置する回転支点215を中心にして上端211aが反時計回り方向に回転して下方へ移動し、自動原稿搬送装置33の下面から離間する。
【0133】
また、この実施の形態1では、電磁クラッチ205cがオフ状態とされることにより、駆動力伝達ギア205の第2の駆動力伝達ギア205bが自由に回転可能となり、駆動ワイヤ206を引っ張る動作が解除される。
【0134】
このように、上記実施の形態1に係る画像読取装置3では、操作者が自動原稿搬送装置33を開く操作をリードスイッチ220により検知して、駆動モータ34を駆動させることにより駆動ワイヤ206及びリンク機構207により自動原稿搬送装置33が一時的にのみ押し上げられる。そのため、自動原稿搬送装置33が相対的にある程度大きな重量を有する場合であっても、操作者の自動原稿搬送装置33を開く動作が駆動モータ34によって補助され、自動原稿搬送装置33を開く操作を容易に行うことができる。
【0135】
また、上記実施の形態1に係る画像読取装置3では、自動原稿搬送装置33に図示しない本などの重量物が載せられている場合や、操作者が自動原稿搬送装置33を開く操作の途中に閉じる動作を行った場合などにおいても、図14に示されるように、駆動ワイヤ206の途中にコイルスプリング241が介在されているため、コイルスプリング241が長さL3だけ伸張することにより過剰な負荷を吸収し、過剰な負荷が駆動モータ34に作用することが回避される。
【0136】
よって、この実施の形態1に係る画像読取装置3によれば、自動原稿搬送装置33をすべての開閉角度にわたり開閉駆動する場合に比べて、操作性を損なうことなく自動原稿搬送装置33を開くときの操作力を低減することが可能となる。
【0137】
[実施の形態2]
図15及び図16はこの発明の実施の形態2に係る画像読取装置を示す構成図である。
【0138】
この実施の形態2に係る画像読取装置3は、図15に示されるように、リンク機構207によって自動原稿搬送装置33を直接押し上げるのではなく、画像読取装置3の筐体31の背面側に配置され、筐体31の上壁312から原稿6が背面側に落下するのを防止する平板状の落下防止部材300を介して自動原稿搬送装置33を押し上げるように構成されている。
【0139】
画像読取装置3の筐体31には、落下防止部材300を上下方向(鉛直方向)に沿って昇降可能に案内する案内部材301が設けられている。落下防止部材300は、その幅方向に沿った両端部に案内部材301によって上下方向に案内される案内部300aを有している。案内部材301は、落下防止部材300をある程度の摩擦力をもって支持しており、落下防止部材300が上方へ移動した際に当該上昇した位置を保持可能に構成されている。
【0140】
落下防止部材300の下端には、前記実施の形態1と同様、リンク機構207の第1のリンク部材211の上端211aが当接するように配置されている。リンク機構207は、駆動モータ34によって駆動される。
【0141】
この実施の形態2では、図16に示されるように、操作者が自動原稿搬送装置33を開くと、駆動モータ34が回転駆動されてリンク機構207を介して落下防止部材300が上方へ移動し、落下防止部材300によって自動原稿搬送装置33が押し上げられて開くように構成されている。
【0142】
このように、落下防止部材300は、その上端面で自動原稿搬送装置33を押し上げるため、自動原稿搬送装置33をリンク機構207の第1のリンク部材211の上端211aで押し上げる場合に比較して、自動原稿搬送装置33に押上力を一様に作用させて押上動作を円滑に行うことができる。
【0143】
その後、駆動モータ34は、停止された後に逆方向に回転駆動されてリンク機構207が下降するが、落下防止部材300は案内部材301の摩擦力によって上昇した位置を維持する。そのため、この実施の形態2に係る画像読取装置3では、自動原稿搬送装置33を開いた状態においても、第1及び第2の軸支部材43,43の間から原稿6が背面側に落下することが防止される。なお、上昇した落下防止部材300は、自動原稿搬送装置33を閉じる際に当該自動原稿搬送装置33によって押し下げられる。
【0144】
その他の構成及び作用は、前記実施の形態1と同様であるので、その説明を省略する。
【0145】
なお、前記実施の形態では、画像読取装置を画像形成装置の一例としてのカラー複写機に適用した場合について説明したが、これに限定されるものではなく、画像読取装置をスキャナーやファックスなどとして用いても良いことは勿論である。
【0146】
また、前記実施の形態では、吸収手段としてコイルスプリングを用いた場合について説明したが、吸収手段としては、駆動力伝達ギア205などに駆動トルクを制限するトルクリミッタを設けるように構成しても良い。
【符号の説明】
【0147】
1…画像形成装置
1a…画像形成装置本体
3…画像読取装置
31…画像読取装置の筐体
33…自動原稿搬送装置
34…駆動モータ
206…駆動ワイヤ
207…リンク機構
211…第1のリンク部材
212…第2のリンク部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16