(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-08
(45)【発行日】2024-05-16
(54)【発明の名称】移動型ロボット、移動型ロボットの制御方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 21/32 20130101AFI20240509BHJP
B25J 5/00 20060101ALI20240509BHJP
E05B 49/00 20060101ALI20240509BHJP
G05D 1/222 20240101ALI20240509BHJP
G05D 1/648 20240101ALI20240509BHJP
G05D 1/667 20240101ALI20240509BHJP
G06Q 20/08 20120101ALI20240509BHJP
G06Q 50/10 20120101ALI20240509BHJP
G05D 1/43 20240101ALN20240509BHJP
G05D 1/46 20240101ALN20240509BHJP
G05D 105/20 20240101ALN20240509BHJP
G05D 109/10 20240101ALN20240509BHJP
G05D 109/20 20240101ALN20240509BHJP
【FI】
G06F21/32
B25J5/00 A
E05B49/00 K
G05D1/222
G05D1/648
G05D1/667
G06Q20/08 300
G06Q50/10
G05D1/43
G05D1/46
G05D105:20
G05D109:10
G05D109:20
(21)【出願番号】P 2020035555
(22)【出願日】2020-03-03
【審査請求日】2023-02-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080816
【氏名又は名称】加藤 朝道
(74)【代理人】
【識別番号】100098648
【氏名又は名称】内田 潔人
(72)【発明者】
【氏名】中石 浩志
【審査官】松本 泰典
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/023626(WO,A1)
【文献】特開2010-12529(JP,A)
【文献】特開2005-161470(JP,A)
【文献】特開2018-5653(JP,A)
【文献】特開平05-127595(JP,A)
【文献】特開2006-64672(JP,A)
【文献】特開2019-128801(JP,A)
【文献】特開2017-49739(JP,A)
【文献】特開2012-56001(JP,A)
【文献】特開2015-21836(JP,A)
【文献】特開2002-206943(JP,A)
【文献】特開2017-144834(JP,A)
【文献】特開2012-127909(JP,A)
【文献】特表2015-518188(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0364091(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0290111(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05D 1/00-87
G06Q 50/10
G06F 21/32
B25J 5/00
E05B 49/00
G06Q 20/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯端末を搭載する手段と、
ユーザからの作業指示に基づいて、前記携帯端末に記憶されている情報を用いて移動先を特定する手段と、
前記移動先に移動して前記作業指示を実行する手段と、
を備え、
前記携帯端末を搭載する手段は、引き出し型のロック付きの機構を備え、パスワード入力又は生体認証により、前記引き出しへの前記携帯端末の収納、及び、前記引き出しからの前記携帯端末の取り出しを行えるように構成されている移動型ロボット。
【請求項2】
さらに、前記携帯端末と有線で接続するコネクタを有し、
前記コネクタを介して、前記作業指示の完了まで前記携帯端末への給電を実施可能な請求項1の移動型ロボット。
【請求項3】
前記携帯端末に、前記移動先への経路情報が記憶されている場合、前記経路情報を用いて前記移動先へ移動する請求項1又は2の移動型ロボット。
【請求項4】
前記ユーザからの作業指示の受け付け後、第1の作業指示の完了までの間に、前記携帯端末に記憶されている情報を用いた第2の移動先への移動を伴う第2の作業指示を受け付け可能な請求項1から3いずれか一の移動型ロボット。
【請求項5】
前記ユーザからの作業指示が移動先での支払いを伴う場合、前記携帯端末に記憶された情報を用いて支払いを行う請求項1から4いずれか一の移動型ロボット。
【請求項6】
携帯端末を搭載する手段を備えた移動型ロボットが、
ユーザからの作業指示に基づいて、前記携帯端末に記憶されている情報を用いて移動先を特定し、
前記移動先に移動して前記作業指示を実行し、
前記携帯端末を搭載する手段は、引き出し型のロック付きの機構を備え、パスワード入力又は生体認証により、前記引き出しへの前記携帯端末の収納、及び、前記引き出しからの前記携帯端末の取り出しを行う、移動型ロボットの制御方法。
【請求項7】
携帯端末を搭載する手段を備えた移動型ロボットに搭載されたコンピュータに、
ユーザからの作業指示に基づいて、前記携帯端末に記憶されている情報を用いて移動先を特定する処理と、
前記移動先に移動して前記作業指示を実行する処理と、
を実行させ、
前記携帯端末を搭載する手段は、引き出し型のロック付きの機構を備え、パスワード入力又は生体認証により、前記引き出しへの前記携帯端末の収納、及び、前記引き出しからの前記携帯端末の取り出しを行う、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動型ロボット、移動型ロボットの制御方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年のロボット技術の進展、センサー技術の進展に伴い、各種センサーを搭載した自律移動可能ロボットの実社会での活用が始まっている。例えば、特許文献1には、病院施設内の移動、利用者の自宅までの移動、サービス提供に伴う移動が可能なサービス提供ロボットが開示されている。
【0003】
一方で、ロボットと人間が対話を行うようになると、ロボットがその対話内容を第三者に直接的又は間接的に開示することにより、ユーザの意図しない情報の共有がされる可能性が懸念される。特許文献2には、メッセージまたは音声情報の少なくともいずれか一つの開示範囲の指定を受け付け、その開示範囲で個人情報の出力を制御する機能を備えたロボットが開示されている。
【0004】
特許文献3には、買物支援機能を備えたネットワークロボット装置において、各種のカードを読み取り可能なカードリーダを備えて支払い等を行いうるようにした構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2017-010179号公報
【文献】特開2017-119337号公報
【文献】特開2019-212326号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
以下の分析は、本発明者によって与えられたものである。上記ロボットの普及とは別に、複数のユーザがモノやサービスを共有して利用するシェアリングエコノミーという考えが普及している。今後は、複数のユーザが1台のロボットを共有するようなサービスも出現することが予想される。その際に問題となるのは、移動型ロボットに与えた作業指示に含まれる個人情報の取り扱いである。例えば、あるユーザがロボットに、ある施設に行って物を受け取り、自宅に届けることを指示した場合、その指示そのものや履歴がロボットに残ってしまうと、ほかのユーザに、ユーザ、施設、物、自宅の関係が知られてしまう可能性がある。同様に、企業ユーザが移動型ロボットになんらかの指示を与えた場合、その指示そのものが企業秘密に属するケースも起こり得る。
【0007】
この点、特許文献1、3では、一のユーザによってロボットが専有されていることを前提にしているため、上記のような問題は想定されていない。また、特許文献2においても、保護される個人情報は、メッセージまたは音声情報として入力された情報に限られてしまう。
【0008】
本発明は、複数のユーザが安心して利用することのできる移動型ロボット、移動型ロボットの制御方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の視点によれば、携帯端末を搭載する手段と、ユーザからの作業指示に基づいて、前記携帯端末に記憶されている情報を用いて移動先を特定する手段と、前記移動先に移動して前記作業指示を実行する手段と、を備え、前記携帯端末を搭載する手段は、引き出し型のロック付きの機構を備え、パスワード入力又は生体認証により、前記引き出しへの前記携帯端末の収納、及び、前記引き出しからの前記携帯端末の取り出しを行えるように構成されている移動型ロボットが提供される。
【0010】
第2の視点によれば、携帯端末を搭載する手段を備えた移動型ロボットが、ユーザからの作業指示に基づいて、前記携帯端末に記憶されている情報を用いて移動先を特定し、前記移動先に移動して前記作業指示を実行し、前記携帯端末を搭載する手段は、引き出し型のロック付きの機構を備え、パスワード入力又は生体認証により、前記引き出しへの前記携帯端末の収納、及び、前記引き出しからの前記携帯端末の取り出しを行う、移動型ロボットの制御方法が提供される。本方法は、複数のユーザが利用する可能性のある移動型ロボットという、特定の機械に結びつけられている。
【0011】
第3の視点によれば、上記した移動型ロボットの機能を実現するためのコンピュータプログラムが提供される。このプログラムは、コンピュータ装置に入力装置又は外部から通信インターフェースを介して入力され、記憶装置に記憶されて、プロセッサを所定のステップないし処理に従って駆動させる。また、このプログラムは、必要に応じ中間状態を含めその処理結果を段階毎に表示装置を介して表示することができ、あるいは通信インターフェースを介して、外部と通信することができる。そのためのコンピュータ装置は、一例として、典型的には互いにバスによって接続可能なプロセッサ、記憶装置、入力装置、通信インターフェース、及び必要に応じ表示装置を備える。また、このプログラムは、コンピュータが読み取り可能な(非トランジトリーな)記憶媒体に記録することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、複数のユーザが安心して移動型ロボットを利用することができる環境を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図2】本発明の第1の実施形態を説明するための図である。
【
図3】本発明の第1の実施形態の移動型ロボットの構成を表したブロック図である。
【
図4】本発明の第1の実施形態の移動型ロボットの動作を表したシーケンス図である。
【
図5】本発明の第2の実施形態を説明するための図である。
【
図6】本発明の第2の実施形態の移動型ロボットの動作を表したシーケンス図である。
【
図7】本発明の第2の実施形態の移動型ロボットの具体的な動作を表したシーケンス図である。
【
図8】本発明の第2の実施形態の移動型ロボットの具体的な別の動作を表したシーケンス図である。
【
図9】本発明の第2の実施形態の移動型ロボットの別の動作を説明するための図である。る。
【
図10】本発明の第3の実施形態を説明するための図である。
【
図11】本発明の第3の実施形態の移動型ロボットの動作を表したシーケンス図である。
【
図12】本発明の移動型ロボットに搭載されるコンピュータの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
はじめに本発明の一実施形態の概要について図面を参照して説明する。なお、この概要に付記した図面参照符号は、理解を助けるための一例として各要素に便宜上付記したものであり、本発明を図示の態様に限定することを意図するものではない。また、以降の説明で参照する図面等のブロック間の接続線は、双方向及び単方向の双方を含む。一方向矢印については、主たる信号(データ)の流れを模式的に示すものであり、双方向性を排除するものではない。プログラムはコンピュータ装置を介して実行され、コンピュータ装置は、例えば、プロセッサ、記憶装置、入力装置、通信インターフェース、及び必要に応じ表示装置を備える。また、このコンピュータ装置は、通信インターフェースを介して装置内又は外部の機器(コンピュータを含む)と、有線、無線を問わず、通信可能に構成される。また、図中の各ブロックの入出力の接続点には、ポート乃至インターフェースがあるが図示を省略する。また、以下の説明において、「A及び/又はB」は、A又はB、若しくは、A及びBという意味で用いる。
【0015】
本発明は、その一実施形態において、
図1に示す、携帯端末を搭載する手段(端末搭載部11)を備える移動型ロボット10にて実現できる。より具体的には、この移動型ロボット10は、さらに、ユーザからの作業指示に基づいて、前記携帯端末に記憶されている情報を用いて移動先を特定する手段(移動先特定部12)と、前記移動先に移動して前記作業指示を実行する手段(指示実行部13)と、を備える。
【0016】
上記移動型ロボット10に携帯端末を搭載すると、移動先特定部12が、ユーザからの作業指示に基づいて、前記携帯端末に記憶されている情報を用いて移動先を特定する。そして、指示実行部13が、前記移動先に移動して前記作業指示を実行する。
【0017】
上記の過程において、移動型ロボット10は、携帯端末に記憶されている情報を携帯端末から読み出して指示を実行する。そして、指示の実行後、移動型ロボット10から携帯端末を取り出すと、移動先を特定可能な情報は、移動型ロボット10には、残らないことになる。従って、このような移動型ロボットによれば、複数のユーザが安心して利用することが可能となる。
【0018】
[第1の実施形態]
続いて、本発明の第1の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
図2は、本発明の第1の実施形態を説明するための図である。本実施形態では、ユーザ900が移動型ロボット100に、用件先200への移動を指示し、物品やデータの授受を依頼する例を用いて説明する。
【0019】
図3は、本発明の第1の実施形態の移動型ロボットの構成を表したブロック図である。
図3を参照すると、端末収納部101と、情報読出部102と、指示実行部103と、充電装置104と、携帯端末接続用のコネクタ105と、を備えた移動型ロボット100が示されている。
【0020】
端末収納部101は、移動型ロボット100の筐体に配置され、ユーザから預かった携帯端末を収納する。例えば、端末収納部101は、開閉可能な扉と、携帯端末を収納した状態で前記扉をロックするロック機能を備えていることが好ましい。このような端末収納部101を持つことで移動型ロボット100の移動中における携帯端末の抜き取りや盗難を防ぐことが可能となる。以下の実施形態においては、この端末収納部101が、携帯端末を搭載する手段に相当する。
【0021】
または、端末収納部101は、引き出し型等のロック付きの機構で構成してもよい。例えば、移動型ロボット100に備えられたキーボードやタッチパネルからパスワード等を入力することで、移動型ロボット100から引き出しがせり出し、携帯端末を収容した状態でエンターキーを入力することで、移動型ロボット100内に収納される機能を備えていることが望ましい。この場合、携帯端末の取り出しは、キーボードやタッチパネルからパスワード等を入力することによって行うことができる。もちろん、パスワード等の代わりに、生体認証等を用いてもよい。
【0022】
情報読出部102は、ユーザからの作業指示に基づいて、前記携帯端末に記憶されている情報を読み出し、その内容を指示実行部103に伝達する。以下の実施形態においては、この情報読出部102が、前述の移動先を特定する手段としての機能を果たすことになる。なお、ユーザは、移動型ロボット100に対し、作業指示を入力する際に、移動型ロボット100に、携帯端末のどのメモリ領域にアクセスを許可するか指定することができる。このメモリ領域の指定態様としては、任意のフォルダ単位、ファイル単位等が想定される。
【0023】
指示実行部103は、情報読出部102から伝達された携帯端末に記憶されている情報を用いて、ユーザからの作業指示を実行する。
【0024】
携帯端末接続用のコネクタ105は、携帯端末を接続するためのコネクタであり、充電装置104及び情報読出部102と携帯端末を接続する。コネクタ105としては、各種のUSBケーブルのコネクタや、アップル社のライトニング(登録商標)規格のケーブルに適合するコネクタを用いることができる。
【0025】
充電装置104は、コネクタ105を介して携帯端末に充電する機能を備えている。充電装置104は、移動型ロボット100の電源と独立したものであってもよいし、移動型ロボット100の電源から電力の供給を受けるものであってもよい。このような充電装置104を備えることで、移動型ロボット100は、指示実行のための移動中における携帯端末の電源切れを抑止できる構成となっている。
【0026】
携帯端末としては、ユーザの個人のスマートフォン、タブレット端末、スマートウォッチ等を用いることができる。なお、携帯端末は、移動型ロボット100への作業指示に必要な情報を記憶しており、コネクタ105に接続して読み出し可能な機器であればよく、上記に限られない。また、携帯端末は、ユーザが日常使用するものである必要はなく、例えば、移動型ロボット100への作業指示用に購入したサブ端末であってもよい。
【0027】
続いて、本実施形態の動作について図面を参照して詳細に説明する。
図4は、本発明の第1の実施形態の移動型ロボットの動作を表したシーケンス図である。
図4を参照すると、まず、ユーザは、移動型ロボット100のコネクタ105に携帯端末を接続し、移動型ロボット100の端末収納部101に携帯端末を収納する(ステップS001)。
【0028】
次に、ユーザは、移動型ロボット100に対し、セットした携帯端末から情報の読み出しを要求する(ステップS002)。
【0029】
次に、移動型ロボット100は、セットされた携帯端末から情報を読み出し、ユーザからの作業指示の入力に備える(ステップS003)。
【0030】
次に、ユーザは、移動型ロボット100に依頼する作業指示の内容を入力する(ステップS004)。ここでは、用件先1への移動を指示し、物品を受け取るとの作業指示が入力される。その際に、移動型ロボット100は、携帯端末から読み出した情報を用いて、用件先の候補をユーザに提示し、ユーザから選択を受け付ける。この用件先の候補としては、ユーザが過去に検索を行った店舗や場所の情報を用いることができる。この用件先の候補としては、携帯端末に登録されているユーザのアドレス帳の情報を用いることもできる。例えば、ユーザが過去に「店舗A」及び「B市市役所」を検索している場合、移動型ロボット100は、「店舗A」及び「B市市役所」を用件先の候補として提示することができる。また例えば、ユーザのアドレス帳に「Cさん」及び「会社D」が登録されている場合、移動型ロボット100は、「Cさん」及び「会社D」を用件先の候補として提示することができる。
【0031】
なお、ユーザと移動型ロボット100間の情報のやり取りは、ユーザが、手持ち端末の近距離無線機能を用いて、移動型ロボット100にアクセスし、情報を授受する形態のほか、種々の形態を採ることができる。もちろん、ユーザが、移動型ロボット100のコンソール(操作盤)から作業指示を入力する方法も採ることができる。
【0032】
ユーザから作業指示の内容を受け付けると、移動型ロボット100は、入力された用件先1への移動を開始する(ステップS005)。その後、移動型ロボット100が用件先1に到着すると、移動型ロボット100は、入力された作業内容を実行する(ステップS006)。ここでは、用件先1で物品を受け取るとの作業指示が入力されているため、移動型ロボット100は、用件先1のスタッフやロボットから物品を受け取る動作を行う。また、ここでの物品を受け取る動作に際し、移動型ロボット100がユーザからの依頼であることを証明するために、移動型ロボット100が、携帯端末から読み出したユーザの個人情報を提示するようにしてもよい。例えば、携帯端末に格納された、物品の注文書や用件先1から発行された引換証などを提示することで、確実な物品の引き渡しを実現することができる。
【0033】
その後、移動型ロボット100は、ユーザの元への移動を開始し、ユーザの元へ戻ることになる。ユーザが、移動型ロボット100から携帯端末を取り外すと、一連の依頼が完了する。
【0034】
以上説明したように、本実施形態によれば、移動型ロボット100に用件先の情報を残すことなく、移動型ロボット100に指示を与えることが可能となる。従って、上述のユーザの後に、さらに、別のユーザが移動型ロボット100を利用することになっても、その入力履歴等から、前のユーザが移動型ロボット100に頼んだ内容が漏れることがないという利点がある。
【0035】
なお、上記した動作の説明では、移動型ロボット100が携帯端末の情報を直接読み出し、キャッシュ等が移動型ロボット100に残らないものとして説明している。移動型ロボット100にキャッシュや履歴の保存機能がある場合は、ステップS006以降の任意のタイミングで、移動型ロボット100がこれらのキャッシュや履歴の削除を行う。
【0036】
[第2の実施形態]
続いて、第1の作業指示を実行中の移動型ロボット100に、さらなる作業指示(第2の作業指示)の追加依頼をできるようにした第2の実施形態について説明する。
図5は、本発明の第2の実施形態を説明するための図である。
【0037】
以下の第2の実施形態では、
図5に示すように、第1の作業指示に基づき用件先1(201)に移動中の移動型ロボット100に、用件先2(202)への移動を伴う追加の作業を依頼する例を用いて説明する。移動型ロボット100の構成は第1の実施形態と同様でよいため、以下、その動作上の相違点を中心に説明する。
【0038】
図6は、本発明の第2の実施形態の移動型ロボットの動作を表したシーケンス図である。
図6のステップS001からS004までの動作は第1の実施形態と同様であるため、説明を省略する。用件先へと移動を開始した移動型ロボット100に対し(ステップS005)、依頼内容の追加を要求すると(ステップS105)、移動型ロボット100は、ユーザから依頼内容の追加を受け付ける(ステップS106、S107)。ここでの依頼内容の追加は、第1の実施形態と同様に、携帯端末から読み出した情報を用いて、用件先の候補を提示し、ユーザから選択を受け付ける形態で行う。
【0039】
その後、移動型ロボット100が用件先1に到着し、最初に入力された作業内容を実行する(ステップS006)と、次に、移動型ロボット100は、ステップS107にて入力された作業内容を実行すべく、入力された用件先2への移動を開始する。そして、移動型ロボット100は、用件先2に到着すると、ステップS107で入力された作業内容を実行する(ステップS108)。
【0040】
図7は、本発明の第2の実施形態の移動型ロボット100の具体的な動作を表したシーケンス図である。
図7の例では、ステップS003において、作業内容として、公共機関での書類の受け取りが依頼されている。その後、移動型ロボット100が公共機関への移動中に、ユーザが追加要求を行い、携帯端末に登録されている店舗での商品購入を依頼している(ステップS107)。このため、
図7の移動型ロボット100は、公共機関で書類を受け取った後、ユーザの元には戻らずに、指定された店舗に行き、商品を購入している(ステップS108)。
【0041】
なお、上記したように、ユーザからの作業指示が移動先での支払いを伴う場合、移動型ロボット100は、携帯端末に記憶された情報を用いて支払いを行うようにしてもよい。この携帯端末に記憶された情報としては、各種の決済用の電子ICカードの情報を好適に用いることができる。もちろん、移動型ロボット100に現金や商品券を持参させたり、移動型ロボット100に請求書を持ち帰らせたりする形態も採用可能である。
【0042】
本実施形態の移動型ロボット100に依頼可能な作業内容は、物品の授受や商品の購入等に限られない。例えば、駅に向かわせることで、駅にいる家族や知人を家まで案内する動作を行わせることができる。
【0043】
図8は、駅にいる家族を迎えに行くことを指示された移動型ロボット100の具体的な動作を表したシーケンス図である。
図8の例では、
図7と同様、移動型ロボット100が公共機関への移動中に、ユーザが追加要求を行い、駅への移動を依頼している(ステップS107a)。このため、
図8の移動型ロボット100は、公共機関で書類を受け取った後、ユーザの元には戻らずに、駅に行き、家族と待ち合わせをしている(ステップS108a)。
【0044】
以上説明したように、本実施形態の移動型ロボット100によれば、効率よく複数の作業内容を行わせることが可能となる。その理由は、1の作業内容を実行中の移動型ロボット100に追加の依頼をなし得るよう構成したことにある。さらに、本実施形態の移動型ロボット100によれば、追加の作業内容の入力も携帯端末内部の情報を用いて入力することが可能となっている。このため、移動型ロボット100に用件先の情報を残すことなく、別のユーザが移動型ロボット100を利用することになっても、その入力履歴等から、前のユーザが移動型ロボット100に頼んだ内容が漏れることがないという利点がある。
【0045】
なお、上記した
図7、
図8の例では、移動型ロボット100が、用件先1(公共機関)の後に、用件先2(店舗又は駅)に向かうものとして説明したが、行先の順序は、用件先1(公共機関)と、用件先2(店舗又は駅)との位置関係によって変更可能である。例えば、用件先1(公共機関)よりも先に、用件先2(駅)に向かうことで、全体の移動時間を短くできるのであれば、
図9に示すように、移動型ロボット100に、公共機関201よりも駅203に先に向かうよう動作させてもよい。もちろん、
図6のステップS107の追加の依頼内容の入力の際に、ユーザが用件先の優先順位を入力するようにしてもよい。また、一連の作業依頼の完了後に、ユーザが移動型ロボット100の戻る位置を指定できるようにしてもよい。このようにすることで、作業を依頼した移動型ロボット100を別の場所(親類の家、第2のユーザ等)で待機させることができる。この際の変更指示は、第2の実施形態の追加依頼と同様に入力できるようにすればよい。
【0046】
また、携帯端末内部に、ユーザ固有の地図情報やユーザ固有の経路検索結果の履歴(経路情報)が記憶されている場合、移動型ロボット100が、これらの情報を用いて、用件先への経路を作成するようにしてもよい。例えば、ユーザが行きつけの店舗に行く際に、いつも使っている道(経路)がある場合、移動型ロボット100は、その道(経路)を使って当該店舗に行くようにしてもよい。このようにすることで、ユーザとしては、移動型ロボット100が自身と同じ経路で移動していることがわかるようになる。さらには、現在どの位置にいるかを予測しやすくなり、ユーザが、移動型ロボット100と経路上で落ち合うこと等も容易となるという利点がある。
【0047】
[第3の実施形態]
続いて、移動型ロボットとしてドローン(Unmanned Aerial Vehicle)を用いる第3の実施形態について説明する。また、本実施形態では、移動型ロボットが企業の活動に用いられることを想定し、ユーザが企業の担当者であるものとして説明する。
【0048】
図10は、本発明の第3の実施形態を説明するための図である。本実施形態では、
図10に示すように、ユーザ900が移動型ロボット(ドローン)100aに、用件先200への移動を指示し、撮影を指示する例を用いて説明する。移動型ロボット(ドローン)100aの構成は、移動手段が異なるのみで、第1の実施形態の移動型ロボット100と同様であるため、以下、その動作上の相違点を中心に説明する。
【0049】
図11は本発明の第3の実施形態の移動型ロボットの動作を表したシーケンス図である。
図11を参照すると、まず、ユーザは、移動型ロボット100aのコネクタ105に携帯端末を接続し、移動型ロボット100aの端末収納部101に携帯端末を収納する(ステップS201)。
【0050】
次に、ユーザは、移動型ロボット100aに対し、セットした携帯端末から情報の読み出しを要求する(ステップS202)。
【0051】
次に、移動型ロボット100aは、セットされた携帯端末から情報を読み出し、ユーザからの作業指示の入力に備える(ステップS203)。
【0052】
次に、ユーザは、移動型ロボット100aに依頼する作業指示の内容を入力する(ステップS204)。ここでは、用件先1として鉄塔1への移動を指示し、鉄塔の写真を撮るとの作業指示が入力される。その際に、移動型ロボット100aは、携帯端末から読み出した情報を用いて、写真を撮る鉄塔の候補をユーザに提示し、ユーザから選択を受け付ける。この用件先の候補としては、ユーザが携帯端末内で管理している鉄塔のリスト情報を用いることができる。鉄塔のリスト情報には、各鉄塔の位置情報、撮影ポイントに関する情報が含まれている。
【0053】
ユーザから作業指示の内容を受け付けると、移動型ロボット100aは、入力された用件先1(鉄塔1)への移動を開始する(ステップS205)。その後、移動型ロボット100aに対し、依頼内容の追加を要求すると(ステップS305)、移動型ロボット100aは、ユーザから依頼内容の追加を受け付ける(ステップS306、S307)。ここでの依頼内容の追加は、第1の実施形態と同様に、携帯端末から読み出した情報を用いて、鉄塔の候補を提示し、ユーザから選択を受け付ける形態で行うことができる。
【0054】
その後、移動型ロボット100aが用件先1(鉄塔1)に到着し、その撮影を実行する(ステップS206)と、次に、移動型ロボット100aは、ステップS307にて入力された作業内容を実行すべく、入力された用件先2(鉄塔2)への移動を開始する。そして、移動型ロボット100aは、用件先2(鉄塔2)に到着すると、鉄塔2の撮影を実行する(ステップS308)。
【0055】
その後、移動型ロボット100aは、ユーザの元への移動を開始し、ユーザの元へ戻ることになる。ユーザが、移動型ロボット100aから携帯端末を取り外すと、一連の依頼が完了する。なお、第2の実施形態でも説明したとおり、移動型ロボット100aが戻る位置を変更することもできる。例えば、鉄塔2の撮影が終えた後、翌日、さらに遠方の鉄塔3、4、・・・の撮影を行う場合には、ユーザの元に戻るよりも、鉄塔3に最寄りの営業所、保守拠点等に移動し、待機した方がよいということが考えられるからである。
【0056】
以上説明したように、本実施形態によれば、企業がロボットを利用する場合においても、第1、第2の実施形態と同様に、移動型ロボット100aに用件先の情報を残すことなく、移動型ロボット100aに指示を与えることが可能となる。従って、上述のユーザの後に、さらに、別のユーザが移動型ロボット100aを利用することになっても、その入力履歴等から、前のユーザが移動型ロボット100aに頼んだ内容が漏れることがないという利点がある。
【0057】
なお、上記した実施形態では、移動型ロボット100aに写真の撮影を依頼するものとして説明したが、必要に応じて動画の撮影を指示できるようにしてもよい。また、上記した実施形態では移動型ロボット100aがドローン(UAV)であるものとして説明したが、移動型ロボット100aは、歩行型のロボットや、爬行型のロボットであってもよい。
【0058】
以上、本発明の各実施形態を説明したが、本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の基本的技術的思想を逸脱しない範囲で、更なる変形・置換・調整を加えることができる。例えば、各図面に示した装置構成、各要素の構成、動作の順序は、本発明の理解を助けるための一例であり、これらの図面に示した構成に限定されるものではない。
【0059】
例えば、上記した移動型ロボットが携帯端末から読み出す情報は上記した各実施形態の例に限られない。例えば、携帯端末に格納された、行きつけのスーパーマーケットの情報、自宅の住所、最寄り駅出入口及び位置情報、献立食材情報、緊急連絡先情報、ロボット取り扱い店情報等、地理的な位置を含むものを利用することができる。
【0060】
また、上記した実施形態では、移動型ロボットで携帯端末内部の情報を読み出してから、ユーザがそれを参照して依頼内容を入力するものとして説明したが、依頼内容の入力の形態は種々の変形が可能である。例えば、ユーザが先に依頼内容を入力し、その後に、移動型ロボットが、携帯端末内部の情報のうちユーザの依頼内容に合致したデータを参照する形態も採ることができる。この場合、移動型ロボットは、ユーザから、例えば、「行きつけのスーパーマーケットで注文したものを受け取る」との指示を受け付け、その後、携帯端末から、行きつけのスーパーマーケットの情報を読み出すことになる。
【0061】
また、上記した第1~第3の実施形態に示した手順は、移動型ロボット100、100aとして機能するコンピュータ(
図12の9000)に、移動型ロボット100、100aとしての機能を実現させるプログラムにより実現可能である。このようなコンピュータは、
図12のCPU(Central Processing Unit)9010、通信インターフェース9020、メモリ9030、補助記憶装置9040を備える構成に例示される。すなわち、
図12のCPU9010にて、指示内容入力受付プログラムや端末情報読み出しプログラムを実行し、その結果に従い、自律移動等を実施させればよい。
【0062】
即ち、上記した第1~第3の実施形態に示した移動型ロボット100、100aの各部(処理手段、機能)は、これらの装置に搭載されたプロセッサに、そのハードウェアを用いて、上記した各処理を実行させるコンピュータプログラムにより実現することができる。
【0063】
最後に、本発明の好ましい形態を要約する。
[第1の形態]
(上記第1の視点による移動型ロボット参照)
[第2の形態]
上記した移動型ロボットは、
前記携帯端末と有線で接続するコネクタを有し、
前記コネクタを介して、前記作業指示の完了まで前記携帯端末への給電を実施可能な構成を採ることができる。
[第3の形態]
上記した移動型ロボットは、
前記携帯端末に、前記移動先への経路情報が記憶されている場合、前記経路情報を用いて前記移動先へ移動する構成を採ることができる。
[第4の形態]
上記した移動型ロボットは、
前記ユーザからの作業指示の受け付け後、第1の作業指示の完了までの間に、前記携帯端末に記憶されている情報を用いた第2の移動先への移動を伴う第2の作業指示を受け付け可能な構成を採ることができる。
[第5の形態]
上記した移動型ロボットは、
前記ユーザからの作業指示が移動先での支払いを伴う場合、前記携帯端末に記憶された情報を用いて支払いを行う構成を採ることができる。
[第6の形態]
(上記第2の視点による移動型ロボットの制御方法参照)
[第7の形態]
(上記第3の視点によるプログラム参照)
なお、上記第6~第7の形態は、第1の形態と同様に、第2~第5の形態に展開することが可能である。
【0064】
なお、上記の特許文献の各開示は、本書に引用をもって繰り込み記載されているものとし、必要に応じて本発明の基礎ないし一部として用いることが出来るものとする。本発明の全開示(請求の範囲を含む)の枠内において、さらにその基本的技術思想に基づいて、実施形態ないし実施例の変更・調整が可能である。また、本発明の開示の枠内において種々の開示要素(各請求項の各要素、各実施形態ないし実施例の各要素、各図面の各要素等を含む)の多様な組み合わせ、ないし選択(部分的削除を含む)が可能である。すなわち、本発明は、請求の範囲を含む全開示、技術的思想にしたがって当業者であればなし得るであろう各種変形、修正を含むことは勿論である。特に、本書に記載した数値範囲については、当該範囲内に含まれる任意の数値ないし小範囲が、別段の記載のない場合でも具体的に記載されているものと解釈されるべきである。さらに、上記引用した文献の各開示事項は、必要に応じ、本発明の趣旨に則り、本発明の開示の一部として、その一部又は全部を、本書の記載事項と組み合わせて用いることも、本願の開示事項に含まれるものと、みなされる。
【符号の説明】
【0065】
10、100、100a 移動型ロボット
11 端末搭載部
12 移動先特定部
13 指示実行部
101 端末収納部
102 情報読出部
103 指示実行部
104 充電装置
105 コネクタ
200 用件先
201 用件先1(公共機関)
202 用件先2(店舗)
203 用件先2(駅)
900 ユーザ
9000 コンピュータ
9010 CPU
9020 通信インターフェース
9030 メモリ
9040 補助記憶装置