(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-08
(45)【発行日】2024-05-16
(54)【発明の名称】電源装置および照明器具
(51)【国際特許分類】
H05B 47/00 20200101AFI20240509BHJP
F21V 23/00 20150101ALI20240509BHJP
F21V 29/508 20150101ALI20240509BHJP
F21V 29/70 20150101ALI20240509BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20240509BHJP
【FI】
H05B47/00
F21V23/00 120
F21V29/508
F21V29/70
F21Y115:10
(21)【出願番号】P 2020037909
(22)【出願日】2020-03-05
【審査請求日】2023-01-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】390014546
【氏名又は名称】三菱電機照明株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082175
【氏名又は名称】高田 守
(74)【代理人】
【識別番号】100106150
【氏名又は名称】高橋 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100148057
【氏名又は名称】久野 淑己
(72)【発明者】
【氏名】木所 孝元
(72)【発明者】
【氏名】河副 隼
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 庄太
【審査官】土谷 秀人
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-100106(JP,A)
【文献】特開2007-294376(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-0631125(KR,B1)
【文献】特開2004-134152(JP,A)
【文献】特開2019-110145(JP,A)
【文献】特開2018-98393(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 47/00
F21V 23/00
F21V 29/508
F21V 29/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路基板と、
前記回路基板の主面を覆うカバーと、
前記主面と前記カバーとの間に設けられたトランスと、
前記トランスと前記カバーとの間で、前記トランスが有する1次巻き線に取り付けられた第1放熱部材と、2次巻き線に取り付けられた第2放熱部材と、を含む放熱部材と、
を備えることを特徴とする電源装置。
【請求項2】
前記放熱部材は、前記第1放熱部材が前記1次巻き線と接触し、前記第2放熱部材が前記2次巻き線と接触することを特徴とする請求項1に記載の電源装置。
【請求項3】
前記トランスは、前記1次巻き線と前記2次巻き線とを仕切る仕切り部を有し、
前記第2放熱部材は、前記仕切り部により前記第1放熱部材と隔てられることを特徴とする請求項1または2に記載の電源装置。
【請求項4】
前記トランスは、前記1次巻き線と前記2次巻き線とが取り付けられたボビンを有し、
前記ボビンは、前記1次巻き線と前記2次巻き線を露出させ、
前記第1放熱部材は、前記1次巻き線の前記ボビンから露出した部分に設けられ、
前記第2放熱部材は、前記2次巻き線の前記ボビンから露出した部分に設けられることを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の電源装置。
【請求項5】
前記ボビンには、前記1次巻き線を露出させる第1開口部と、前記2次巻き線を露出させる第2開口部と、が形成され、
前記第1放熱部材は、前記第1開口部の内側に設けられ、
前記第2放熱部材は、前記第2開口部の内側に設けられることを特徴とする請求項4に記載の電源装置。
【請求項6】
前記トランスは、LLC共振回路の一部であることを特徴とする請求項1から5の何れか1項に記載の電源装置。
【請求項7】
前記回路基板を収納するケース
を備え、
前記カバーは前記ケースに接続されることを特徴とする請求項1から6の何れか1項に記載の電源装置。
【請求項8】
前記放熱部材と前記カバーとを隔てる絶縁部材を備えることを特徴とする請求項1から7の何れか1項に記載の電源装置。
【請求項9】
前記絶縁部材は、前記放熱部材と前記カバーとの間から前記回路基板の前記主面と反対側に延び、前記回路基板の前記主面と反対側の面を覆うことを特徴とする請求項8に記載の電源装置。
【請求項10】
請求項1から請求項9の何れか1項に記載の電源装置と、
前記電源装置から電力を供給されて点灯する光源と、
を備えることを特徴とする照明器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電源装置および照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、LLC共振コンバータが開示されている。このLLC共振コンバータは、一次巻線及び二次巻線を有するトランスを備える。トランスの一次側には共振コンデンサが接続される。また、LLC共振コンバータは、トランス及び共振コンデンサへの通電を制御するスイッチング回路を備える。トランスの二次側には整流回路と、整流回路による整流後の電圧を平滑化する平滑コンデンサが設けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のようなトランスを備えた電源装置では、インダクタの発熱が大きくなるおそれがある。
【0005】
本開示は、上述の課題を解決するためになされたもので、効率よく放熱できる電源装置および照明器具を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る電源装置は、回路基板と、該回路基板の主面を覆うカバーと、該主面と該カバーとの間に設けられたトランスと、該トランスと該カバーとの間で、該トランスが有する1次巻き線に取り付けられた第1放熱部材と、2次巻き線に取り付けられた第2放熱部材と、を含む放熱部材と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本開示に係る電源装置では、トランスの1次巻き線または2次巻き線に放熱部材が取り付けられる。従って、電源装置は効率よく放熱できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施の形態1に係る電源装置の斜視図である。
【
図2】実施の形態1に係るトランスの斜視図である。
【
図3】実施の形態1に係るLLC共振回路の回路図である。
【
図4】実施の形態1に係るトランスに第1放熱部材と第2放熱部材を設けた状態を示す図である。
【
図5】電源装置から放熱用金具を取り外した状態を示す図である。
【
図7】電源装置から放熱用金具と絶縁部材を取り外した状態を示す図である。
【
図8】実施の形態1に係る外郭ケースの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態に係る電源装置および照明器具について図面を参照して説明する。同じ又は対応する構成要素には同じ符号を付し、説明の繰り返しを省略する場合がある。
【0010】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る電源装置100の斜視図である。電源装置100は、例えば照明器具の電源である。照明器具は、電源装置100と、電源装置100から電力を供給されて点灯する光源とを備える。光源は例えばLED等の発光素子である。
【0011】
電源装置100は、回路基板1を備える。回路基板1は例えばプリント基板である。回路基板1には、例えばLLC共振回路が形成される。回路基板1の主面にはトランス4が実装されている。トランス4は、LLC共振回路の一部である。回路基板1の主面は実装面とも呼ばれる。
【0012】
回路基板1はケース2に収納されている。ケース2は例えば金属から形成される。ケース2は、回路基板1の主面と反対側の面と側面とを覆う。また、回路基板1の主面の一部は、放熱用金具5で覆われる。放熱用金具5は例えば金属から形成される。放熱用金具5は、回路基板1の主面を覆うカバーである。放熱用金具5はケース2に接続される。放熱用金具5は、ケース2にネジ等で取り付けられる。放熱用金具5はケース2の一部であっても良い。
【0013】
放熱用金具5はトランス4を覆う。トランス4は、回路基板1の主面と放熱用金具5との間に設けられる。放熱用金具5は板材またはブロック状の部材である。放熱用金具5は、外気に放熱させること、あるいは、他の部材へ熱を伝導させることにより、トランス4の熱を放出させる。
【0014】
図2は、実施の形態1に係るトランス4の斜視図である。トランス4は、LLC共振トランスとも呼ばれる。トランス4は、1次巻き線10と2次巻き線11を有する。また、トランス4は、1次巻き線10と2次巻き線11が取り付けられたボビン12を有する。また、トランス4は1次巻き線10と2次巻き線11が巻き付けられたコア13を有する。
【0015】
ボビン12には、1次巻き線10を露出させる第1開口部12aと、2次巻き線11を露出させる第2開口部12bとが形成される。つまり、ボビン12には、1次巻き線10と2次巻き線11を囲う囲み部が形成される。ボビン12は、1次巻き線10の一部と2次巻き線11の一部を、放熱用金具5側に露出させる。
【0016】
ボビン12は、第1開口部12aと第2開口部12bの間に仕切り部12cを有する。仕切り部12cは、1次巻き線10と2次巻き線11を仕切る。
【0017】
図3は、実施の形態1に係るLLC共振回路の回路図である。回路基板1に形成されるLLC共振回路では、1次巻き線10と2次巻き線11は、結合を弱めるようにコア13に巻き付けられる。具体的には、1次巻き線10と2次巻き線11が仕切り部12cにより分離されることで、結合が弱められる。これにより、漏れインダクタンス14が発生する。LLC共振回路では、漏れインダクタンス14を共振インダクタとして利用する。
【0018】
図4は、実施の形態1に係るトランス4に第1放熱部材6と第2放熱部材7を設けた状態を示す図である。電源装置100は、トランス4の巻き線に取り付けられた放熱部材を備える。放熱部材は、1次巻き線10に取り付けられた第1放熱部材6と、2次巻き線11に取り付けられた第2放熱部材7とを含む。第2放熱部材7は、仕切り部12cにより第1放熱部材6と隔てられる。放熱部材は、トランス4と放熱用金具5との間に設けられる。放熱部材は放熱パッドとも呼ばれる。
【0019】
放熱部材は、トランス4の巻き線のうちボビン12から露出している部分に装着される。第1放熱部材6は、1次巻き線10のボビン12から露出した部分に設けられる。第2放熱部材7は、2次巻き線11のボビン12から露出した部分に設けられる。第1放熱部材6と第2放熱部材7は、例えば1次巻き線10と2次巻き線11に貼り付けられる。第1放熱部材6は1次巻き線10と接触する。第2放熱部材7は2次巻き線11と接触する。
【0020】
第1放熱部材6は、第1開口部12aの内側に設けられる。第2放熱部材7は、第2開口部12bの内側に設けられる。このため、第1放熱部材6と第2放熱部材7は接触しない。
【0021】
図5は、電源装置100から放熱用金具5を取り外した状態を示す図である。
図6は、
図5を別方向から見た図である。
図7は、電源装置100から放熱用金具5と絶縁部材3を取り外した状態を示す図である。
【0022】
電源装置100は、第1放熱部材6および第2放熱部材7と、放熱用金具5とを隔てる絶縁部材3を備える。絶縁部材3は板状である。絶縁部材3は、第1放熱部材6および第2放熱部材7と放熱用金具5との間から、回路基板1の主面と反対側に延びる。絶縁部材3は、回路基板1の主面と反対側の面を覆う。絶縁部材3は、回路基板1の主面と反対側の面と、ケース2とを隔てる。
【0023】
絶縁部材3は、トランス4を覆う第1部分と、回路基板1の主面と反対側の面を覆う第2部分を有する。さらに絶縁部材3は、第1部分と第2部分を繋ぐ第3部分を有する。絶縁部材3の第3部分は、回路基板1の主面と主直に延びる。絶縁部材3の第3部分は、回路基板1に実装された部品とケース2を隔てる。
【0024】
このように、絶縁部材3により、トランス4と放熱用金具5の絶縁性を確保できる。また、回路基板1とケース2の絶縁性を確保できる。従って、1つの絶縁部材3により、トランス4と放熱用金具5間および回路基板1とケース2間の両方を絶縁できる。また、絶縁部材3を一体型の構造とすることで、組立性及び安定性を向上できる。
【0025】
第1放熱部材6および第2放熱部材7と、絶縁部材3とは接触していても良く離れていても良い。また、絶縁部材3と放熱用金具5は接触していても良く離れていても良い。
【0026】
図8は、実施の形態1に係る外郭ケース8の斜視図である。電源装置100は、外郭ケース8に収納される。
【0027】
トランス4は、
図3に示されるように1次巻き線10と2次巻き線11間の電力伝送の機能と、共振用のインダクタとしての機能とを担う。このため、トランス4の発熱が大きくなることが考えられる。発熱への対策として、意図して漏れインダクタンスを発生させないことが考えられる。つまり、伝送用のインダクタと共振用のインダクタを別個に形成する。これにより、熱源を分散させて発熱を抑制できる。また、トランス4のサイズを大きくして発熱を抑制することが考えられる。また、トランス4の周囲を全面ポッティングして放熱することが考えられる。しかし、何れの対策も、製造コストの増大および電源装置100の大型化のおそれがある。
【0028】
これに対し、本実施の形態に係る電源装置100では、トランス4の1次巻き線10および2次巻き線11に直接、放熱部材が取り付けられる。従って、トランス4を効率よく放熱させることができる。本実施の形態では、トランス4の巻き線から、放熱部材および絶縁部材3を介して放熱用金具5に放熱できる。さらに、放熱用金具5からケース2に放熱できる。
【0029】
また、本実施の形態では、
図2、4に示されるようにボビン12により1次巻き線10と2次巻き線11が分離されている構造を利用して、それぞれの巻き線から直接、放熱用金具5へ放熱することができる。
【0030】
また、本実施の形態では、枠を有するボビン12において、ボビン12の開口部に放熱部材を貼り付ける。これにより、放熱部材を固定し易くでき、組み立て性を向上できる。
【0031】
本実施の形態によれば、トランス4の巻き線から直接外部へ放熱することで、放熱性を向上できる。これにより、伝送用のインダクタと共振用のインダクタを別個に形成する必要がなくなり、一体型のLLCトランスを使用できる。従って、トランス4の実装スペースを縮小でき、低コスト化及び小型化が可能になる。
【0032】
また、絶縁部材3により、放熱性と絶縁性を兼ね備えた構造を実現できる。
【0033】
本実施の形態の変形例として、放熱部材は、トランス4と放熱用金具5との間で、1次巻き線10または2次巻き線11の少なくとも一方に取り付けられていれば良い。放熱部材は、1次巻き線10または2次巻き線11の少なくとも一方と接触するように設けられれば良い。この場合も、巻き線から直接外部へ放熱することで、放熱性を向上できる。
【0034】
また、トランス4の構造は、
図2に示されるものに限らない。トランス4は、放熱部材を巻き線に取り付け可能な構造を有すれば良い。
【0035】
また、回路基板1に形成される回路は、LLC共振回路に限らず、トランスを有する回路であれば良い。例えば、回路基板1に形成される回路は、伝送用のインダクタと共振用のインダクタが別個に形成された回路であっても良い。この場合、トランス4は、仕切り部12cを有さなくても良い。
【0036】
また、トランス4から第1放熱部材6および第2放熱部材7を介して、外郭ケース8に放熱されるものとしても良い。この場合、外郭ケース8が、回路基板1の主面を覆うカバーに該当する。この場合、放熱用金具5は設けられなくても良い。
【0037】
また、本実施の形態ではトランス4の上面において1次巻き線10および2次巻き線11がボビン12から露出した。これに限らず、1次巻き線10および2次巻き線11は、トランス4の側面において、ボビン12から露出しても良い。この場合、放熱部材はトランス4の側面に設けられてもよい。この場合も、巻き線から直接ケース2へ放熱することで、放熱性を向上できる。
【0038】
なお、本実施の形態で説明した技術的特徴は適宜に組み合わせて用いてもよい。
【符号の説明】
【0039】
1 回路基板、2 ケース、3 絶縁部材、4 トランス、5 放熱用金具、6 第1放熱部材、7 第2放熱部材、8 外郭ケース、10 1次巻き線、11 2次巻き線、12 ボビン、12a 第1開口部、12b 第2開口部、12c 仕切り部、13 コア、14 漏れインダクタンス、100 電源装置