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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-08
(45)【発行日】2024-05-16
(54)【発明の名称】空気調和機
(51)【国際特許分類】
   F25B 47/02 20060101AFI20240509BHJP
   F24F 11/41 20180101ALI20240509BHJP
【FI】
F25B47/02 550R
F24F11/41 100
F24F11/41 220
F24F11/41 120
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020041624
(22)【出願日】2020-03-11
(65)【公開番号】P2021143776
(43)【公開日】2021-09-24
【審査請求日】2023-01-31
(73)【特許権者】
【識別番号】000006611
【氏名又は名称】株式会社富士通ゼネラル
(74)【代理人】
【識別番号】110003339
【氏名又は名称】弁理士法人南青山国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100104215
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100196575
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 満
(74)【代理人】
【識別番号】100144211
【弁理士】
【氏名又は名称】日比野 幸信
(72)【発明者】
【氏名】清水 勇太
【審査官】森山 拓哉
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-138599(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25B 47/02
F24F 11/41
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機、室内熱交換器、減圧器、及び室外熱交換器に冷媒を循環させ、前記圧縮機から吐出される前記冷媒の流れ方向を切り替える流路切替器を含む冷媒回路と、
前記室外熱交換器に空気を送風する室外ファンと、
前記室外熱交換器に着霜が発生した場合に、前記圧縮機から吐出された前記冷媒を前記室外熱交換器に向かうよう前記流路切替器を切り替え、前記室外熱交換器の除霜運転制御を行う制御装置と
を具備し、
前記制御装置は、暖房運転開始から所定時間経過するまでは除霜運転を行わない除霜運転禁止時間を設け、前記除霜運転禁止時間中に前記室外熱交換器に着霜が発生したと判断した場合は、前記除霜運転禁止時間後に前記室外熱交換器の除霜運転制御を行い、
前記除霜運転禁止時間中に前記室外熱交換器に着霜が発生したと判断した場合は、前記室外ファンに供給する電流値に基づいて前記室外ファンに着霜が発生したと判断して、前記室外熱交換器の前記除霜運転制御を行った後に、前記室外ファンを回転させて前記室外ファンの除霜運転制御を行う
空気調和機。
【請求項2】
請求項1に記載された空気調和機であって、
前記制御装置は、前記除霜運転禁止時間中に前記室外熱交換器に着霜が発生したと判断した場合、前記室外熱交換器に着霜が発生したと判断した時点から前記除霜運転禁止時間の終了までの時間が所定値よりも短いときには前記室外ファンの除霜運転制御を行なわず、前記室外熱交換器の除霜運転を行う
空気調和機。
【請求項3】
請求項1に記載された空気調和機であって、
前記制御装置は、前記除霜運転禁止時間中に前記室外熱交換器に着霜が発生したと判断した場合、前記室外熱交換器に着霜が発生したと判断した時点から前記除霜運転禁止時間の終了までの時間が所定値以上のときに前記室外ファンの除霜運転制御を行う
空気調和機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気調和機に関する。
【背景技術】
【0002】
空気調和機の中に室外熱交換器の除霜運転を行った後、室外ファンの除霜を行うものがある。
【0003】
例えば、暖房運転時に、空気調和機の冷媒回路では、圧縮機、室内熱交換器、減圧器、及び室外熱交換器の順で冷媒が循環する。切換弁(四方弁)は、冷媒回路に接続され、圧縮機から吐出された冷媒の流れ方向を切り替える。室外ファンは、回転することで室外熱交換器に外気を導入する。制御装置は、除霜運転時に、室外ファンを停止させ、圧縮機から吐出された冷媒を切換弁によって室外熱交換器に向かわせる除霜運転制御を行う。
【0004】
ここで、制御装置は、除霜運転が開始される直前に室外機に導入した外気の温度が所定の温度範囲にあるか否かの判断を行う。そして、制御装置は、外気の温度が当該範囲内のとき、除霜運転終了後に室外ファンを回転しつつ室外ファンの除霜運転制御を行う(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2010-121789号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、室外ファンに着霜が生じるのは、室外機に流入した外気温度が所定の温度範囲にある場合のみとは限らない。例えば、室外熱交換器が霜によって目詰まりすると、室外機の吸入口のほか吹出口からも湿った空気が流入し、この湿った空気が室外ファンに接触することにより、外気温度が所定の温度範囲より高くても、室外ファンに霜が付着する可能性があるからである。
【0007】
室外ファンに霜が付着すると、室外ファンには霜の重量分に応じた負荷がかかり、空気調和機の消費電力が増加したり、室外ファンの故障が起きたりする場合がある。従って、室外ファンの着霜の判定精度を向上させ、より確実に室外ファンを除霜する技術が求められている。
【0008】
以上のような事情に鑑み、本発明の目的は、室外ファンの着霜の判定精度を向上させ、より確実に室外ファンを除霜する空気調和機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係る空気調和機は、冷媒回路と、室外ファンと、制御装置とを具備する。
上記冷媒回路は、暖房運転時において、圧縮機、室内熱交換器、減圧器、室外熱交換器の順に冷媒を循環させ、上記圧縮機から吐出される上記冷媒の流れ方向を切り替える流路切替器を含む。
上記室外ファンは、回転することで上記室外熱交換器に空気を導入する。
上記制御装置は、上記室外熱交換器に着霜が発生した場合に、上記圧縮機から吐出された上記冷媒を上記室外熱交換器に向かうよう上記流路切替器を切り替え、上記室外熱交換器の除霜運転制御を行う。
上記制御装置は、上記暖房運転開始から所定時間経過するまでは除霜運転を行わない除霜運転禁止時間を設け、上記除霜運転禁止時間中に上記室外熱交換器に着霜が発生したと判断した場合は、上記除霜運転禁止時間後に上記室外熱交換器の除霜運転制御を行う。
上記制御装置は、前記除霜運転禁止時間中に前記室外熱交換器に着霜が発生したと判断した場合は、上記室外ファンに着霜が発生したと判断して、前記室外熱交換器の前記除霜運転制御を行った後に、上記室外ファンを回転させて上記室外ファンの除霜運転制御を行う。
【0010】
このような空気調和機によれば、室外ファンの着霜の判定精度を向上させ、より確実に室外ファンの除霜が遂行される。
【0011】
上記の空気調和機においては、上記制御装置は、上記除霜運転禁止時間中に上記室外熱交換器に着霜が発生したと判断した場合に、上記除霜運転禁止時間が終了した時点の上記室外ファンを駆動するモータに供給される電流値に基づいて上記室外ファンの除霜運転制御を開始してもよい。
【0012】
このような空気調和機によれば、上記の判定基準に基づいて室外ファンの着霜有無が判断されることから、室外ファンの着霜の判定精度を向上させ、より確実に室外ファンの除霜が遂行される。
【0013】
上記の空気調和機においては、上記制御装置は、上記除霜運転禁止時間中に上記室外熱交換器に着霜が生じたと判断した場合、上記室外熱交換器に着霜が生じたと判断した時点から上記除霜運転禁止時間の終了までの時間が所定値以上のときに上記室外ファンの除霜運転制御を行ってもよい。
【0014】
このような空気調和機によれば、室外ファンの着霜の判定精度を向上させ、室外ファンの除霜運転が短縮化される。
【発明の効果】
【0015】
以上述べたように、本発明によれば、室外ファンの着霜の判定精度を向上させ、より確実に室外ファンを除霜する空気調和機が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本実施形態の空気調和機を示すブロック構成図である。
図2】図(a)は、本実施形態の室外熱交換器を示す模式的上面図、図(b)は、図(a)のA1-A1断面を示す模式的断面図である。
図3】本実施形態の除霜運転の流れを示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。各図面には、XYZ軸座標が導入される場合がある。また、同一の部材または同一の機能を有する部材には同一の符号を付す場合があり、その部材を説明した後には適宜説明を省略する場合がある。
【0018】
(空気調和機)
【0019】
図1は、本実施形態の空気調和機を示すブロック構成図である。
【0020】
図1に示すように、空気調和機1は、室内機2と、室外機3とを具備する。室内機2は、室内熱交換器4と、室内ファン21と、室内熱交換器4及び室内ファン21を収容する筐体9Bとを有する。室外機3は、室外熱交換器5と、圧縮機6と、減圧器(膨張弁)7と、流路切替器(四方弁)8と、制御装置10と、室外ファン20とを有する。筐体9Aは、室外熱交換器5、圧縮機6、減圧器7、流路切替器8、制御装置10、及び室外ファン20を収容する。
【0021】
また、筐体9Aには、一方の面に設けられた開口91と、一方の面と対向する他方の面に設けられた開口92を有する。例えば、暖房運転時に室外ファン20によって開口91から空気を流入させ、開口92からこの空気を排気する。同様に、筐体9Bにも室内ファン21によって形成される気流を吸入したり、排気したりする開口が設けられている。図1では筐体9Bの開口は図示されていない。また、制御装置10は、図示されたように室外機3に配置されてもよく、室内機2に配置されてもよく、室内機2及び室外機3のそれぞれに機能を分けて配置してもよい。
【0022】
空気調和機1では、暖房運転時に、圧縮機6、室内熱交換器4、減圧器7、及び室外熱交換器5の順に冷媒を循環させることで、冷媒回路1cが形成される。冷媒回路1cには、圧縮機6から吐出される冷媒の流れ方向を切り替える流路切替器8(例えば、四方弁)が含まれる。室外熱交換器5には、室外ファン20の回転によって空気(室外空気)が導入され、室内熱交換器4には、室内ファン21の回転によって空気(室内空気)が導入される。また、室内熱交換器4及び室外熱交換器5のそれぞれの入口及び出口には、冷媒の温度を検知する温度センサが設けられてよい。
【0023】
次に、空気調和機1における、暖房運転、冷房運転、及び除霜運転を説明する。これらの暖房運転、冷房運転、及び除霜運転は、制御装置10によって制御されている。
【0024】
暖房運転時には、室外機3の圧縮機6から吐出された高温高圧の冷媒(ガス冷媒)が流路切替器8を介して室内機2の室内熱交換器4に流入する。室内熱交換器4(凝縮器)で空気と熱交換した高圧の冷媒は、凝縮して液化する。その後、高圧の液冷媒は、室外機3の減圧器7を通過することによって減圧され、低温低圧の気液二相冷媒となり室外熱交換器5へ流入する。室外熱交換器5(蒸発器)で外気と熱交換した冷媒は気化する。その後、低圧の冷媒は、流路切替器8を介して圧縮機6に吸入される。冷媒回路における、この冷媒の流れを暖房サイクルとする。
【0025】
冷房運転時には、室外機3の圧縮機6から吐出された高温高圧の冷媒が流路切替器8を介して室外熱交換器5に流入する。室外熱交換器5(凝縮器)で外気と熱交換した高圧のガス冷媒は凝縮して液化する。その後、高圧の液冷媒は、室外機3の減圧器7を通過することによって減圧され、低温低圧の気液二相冷媒となり、室内機2の室内熱交換器4へ流入する。室内熱交換器4(蒸発器)では空気と熱交換した冷媒は気化する。その後、低圧のガス冷媒は、流路切替器8を介して圧縮機6に吸入される。冷媒回路における、この冷媒の流れを冷房サイクルとする。
【0026】
さらに、空気調和機1では、暖房運転制御及び冷房運転制御のほかに、室外熱交換器5及び室外ファン20に発生した霜を取り除く除霜運転制御がある。
【0027】
除霜運転時には、冷媒回路1cが冷房サイクルとされ、圧縮機6から吐出される高温の冷媒が室外熱交換器5に向かうように流路切替器8が切り替えられる。室外熱交換器5に高温冷媒が流入すると、室外熱交換器5に付着した霜が溶けて液化する。
【0028】
(室外熱交換器及び室外ファン)
【0029】
次に、室外熱交換器5及び室外ファン20の詳細について説明する。
【0030】
図2(a)は、本実施形態の室外熱交換器を示す模式的上面図、図2(b)は、図2(a)のA1-A1断面を示す模式的断面図である。
【0031】
ここで、図2(a)、(b)には、室外熱交換器5及び室外ファン20が示されている。図2(a)においては、暖房運転時の空気の流れ方向が矢印5aで表されている。この矢印5aは、暖房運転時に空気が室外熱交換器5を通過する方向に対応している。図2(b)では、室外ファン20の外形が破線であらわされている。図2(b)では、室外ファン20が室外熱交換器5の奥に位置している。
【0032】
図2(a)、(b)に示すように、室外熱交換器5は、冷媒管の一例として、複数の扁平管51と、複数の扁平管51のそれぞれの両端に取り付けられる一対のヘッダ52と、複数の扁平管51と交差する複数の放熱フィン53とを備える。複数の放熱フィン53は、一対のヘッダ52が延びる方向に延び、扁平管51が延びる方向に並設される。
【0033】
複数の扁平管51は、空気が通過するための隙間を介して上下に並設され、それぞれの両端が一対のヘッダ52に接続・支持される。ここで、ヘッダ52は、筒状であり、室外熱交換器5に冷媒が供給されると、どちらか一方のヘッダ52内に冷媒が流入する。この後、冷媒は、分岐された複数の扁平管51のそれぞれに分流され、複数の扁平管51のそれぞれから流出した後、他方のヘッダ52において合流する。
【0034】
複数の放熱フィン53のそれぞれは、扁平管51と交差する方向に延びる。放熱フィン53は、平板形状を有する。複数の放熱フィン53は、扁平管51が延びる方向に空気が通過するための隙間を介して並設されている。例えば、図2(b)に示すように、複数の扁平管51と複数の放熱フィン53とが網目状に交差する。これにより、上下に隣接する扁平管51と、左右に隣接する放熱フィン53とによって囲まれた隙間が形成され、この隙間に空気が通過する。なお、放熱フィン53と扁平管51とはロウ付け等によって接合されている。本実施形態の室外熱交換器5は、扁平管を備えた熱交換器を用いているが断面形状が円形の伝熱管を備えた熱交換器であっても良い。
【0035】
(作用)
【0036】
暖房運転時に室外熱交換器5に着霜が起きると、霜によって室外熱交換器5が目詰まりし、除湿されていない湿った空気が室外機3の吹出口(開口92)から逆流する場合がある。これにより、湿った空気が室外ファン20に接触し、室外熱交換器5のほか室外ファン20にも着霜が起きる。この現象は、室外熱交換器5の目詰まりが主な起因となるもので、室外機3の周囲の外気温度が直接的な要因とならず起き得る。
【0037】
室外ファン20に霜が付着すると、室外ファン20には霜の重量分の負荷が印加されることになり、室外ファン20を回転させるモータの負荷増加、または室外ファン20が接続されるモータのシャフトの偏心によってモータが破損する場合がある。
【0038】
このような現象を回避するため、制御装置10は、除霜運転禁止時間の経過後に、室外熱交換器5及び室外ファン20の除霜運転制御を行う。ここで、除霜運転制御の前に除霜運転禁止時間を設ける理由の1つに、除霜運転では冷媒回路1cが冷房サイクルになるため室内温度の暖房が停止して室温が降下してしまうため、頻繁に除霜運転を行うと利用者の快適性を損なう。すなわち、使用者にとっての快適性を優先するために、除霜運転制御前に除霜運転禁止時間が設けられる。
【0039】
一方で、除霜運転禁止時間に室外熱交換器5が着霜しても、除霜運転禁止時間が経過するまで除霜運転を実施できず、暖房運転を継続することになる。室外熱交換器5が着霜したまま暖房運転を継続させると、霜によって室外熱交換器5が目詰まりしているので、除湿されていない湿った空気が室外機3の吹出口から逆流する。その結果、湿った空気が室外ファン20に接触し、室外熱交換器5のほか室外ファン20にも着霜が発生してしまう。すなわち、除霜運転禁止時間における、室外熱交換器5または室外ファン20の着霜が看過される場合が起き得る。
【0040】
そこで、本実施形態の空気調和機1においては、制御装置10が除霜運転制御後に除霜運転禁止時間(45分~1時間)を設けるものの、除霜運転禁止時間中に室外熱交換器5に着霜が発生したと判断した場合は、除霜運転禁止時間後、すなわち、除霜禁止時間が終了することを待ってから室外ファン20の回転を停止して室外熱交換器5の除霜運転制御を行う。
【0041】
さらに、制御装置10は、除霜運転禁止時間中に室外熱交換器5に着霜が発生したと判断した場合は、室外ファン20に着霜が発生したと判断して、室外熱交換器5の除霜運転制御を行った後に、室外ファン20を回転させて室外ファン20の除霜運転制御を行う。
【0042】
以下に、本実施形態の除霜運転の具体的な制御をフロー図を用いて説明する。図3は、本実施形態の除霜運転の流れを示すフロー図である。このフロー図による制御は、制御装置10によって自動的に行われる。
【0043】
まず、制御装置10によって暖房運転の制御が開始されると(ステップS10)、室外機3が第1判定条件を満足しているか否かの判断がなされる(ステップS20)。
【0044】
ここで、第1判定条件としては、室外熱交換器5を通過する前の外気の温度が-10℃~5℃の範囲となった場合、室外熱交換器5の温度(室外熱交換器5の冷媒出口の温度)が-10℃を下回った場合、及び室外熱交換器5を通過する前の外気の温度が5℃~10℃の範囲の状態で室外熱交換器5の温度勾配(室外熱交換器5の冷媒出口の単位時間当たり温度低下)が-3℃/5分を下回った場合の少なくとも1つがあげられる。
【0045】
すなわち、室外熱交換器5を通過する直前の外気の温度が-10℃~5℃の範囲となった場合、室外熱交換器5の温度(室外熱交換器5の冷媒出口の温度)が-10℃を下回った場合、及び室外熱交換器5の温度勾配(室外熱交換器5の冷媒出口の単位時間当たり温度低下)が-3℃/5分を下回った場合の少なくとも1つが満たされた場合、室外熱交換器5が着霜していると判断される。これらの複数の判定条件については、少なくとも2つを組み合わせて、室外熱交換器5が着霜したか否かの判断が行われてもよい。
【0046】
この第1判定条件は、室外ファン20には着霜が生じてなく、室外熱交換器5に着霜が生じている条件であることが実験、シミュレーション等から判明している。
【0047】
次に、第1判定条件が満たされている場合には(YES)、ステップS30に進み、空気調和機1が除霜運転禁止時間内であるか否かが判断される。また、第1判定条件が満たされていない場合には(NO)、ステップS20の判断が繰り返され、空気調和機1は、暖房運転を続ける。
【0048】
従って、ステップS30で空気調和機1が除霜運転禁止時間内でないと判断された場合には(No)、直ちに室外熱交換器5の除霜運転が開始される(ステップS80)。ステップS80では、室外ファン20の回転は停止した状態で、室外熱交換器5の除霜運転が開始される。また、室外ファン20の除霜運転は行われない。これは、ステップS80では、第1判定条件が満たされ、除霜運転禁止時間内でないので、室外熱交換器5のみに着霜した霜を除霜する趣旨に基づく。
【0049】
一方、ステップS30において空気調和機1が除霜運転禁止時間内であると判断された場合(YES)には、ステップS40に進む。
【0050】
ここで、ステップS40の段階では、除霜運転禁止時間中であるにもかかわらず、室外熱交換器5が着霜した状態のままで暖房運転が継続している。このため、室外ファン20が着霜している可能性が高い。
【0051】
従って、ステップS40においては、室外ファン20が着霜しているか否かの判断を行うため、室外機3が第2判定条件を満足しているか否かの判断がなされる。
【0052】
第2判定条件としては、室外ファン20を駆動する回転モータに供給する電流値が定常の暖房運転時の電流値を上回った場合、該電流値の単位時間当たりの上昇量が所定値を上回った場合の少なくとも1つがあげられる。これらの複数の判定条件については、2つを組み合わせて、室外ファン20が着霜したか否かの判断が行われてもよい。第2判定条件は、実験、シミュレーション等から導かれる。
【0053】
第2判定条件を満足していない場合には(NO)、室外熱交換器5が着霜しているものの、室外ファン20は着霜していない可能性が高い。従って、ステップS30に遡り、除霜運転禁止時間内でないならば、ステップS80での室外熱交換器5の除霜運転が開始される。すなわち、室外ファン20の回転は停止した状態で、室外熱交換器5の除霜運転が開始される。また、室外ファン20の除霜運転は行われない。
【0054】
一方、第2判定条件を満足した場合には(YES)、室外熱交換器5のほかに室外ファン20が着霜している可能性が高い。このため、室外ファン20の除霜運転を行うための次のステップに進む。
【0055】
このように、本実施形態では、制御装置10が除霜運転禁止時間中に室外熱交換器5に着霜が発生したと判断した場合に、除霜運転禁止時間が終了するまでの間における室外ファン20を駆動する回転モータに供給する電流値、電流値の勾配に基づいて室外ファン20の除霜運転制御を行うか否かの判断がなされる。
【0056】
次に、ステップS50においては、再び、空気調和機1が除霜運転禁止時間でないか否かが判断される。そして、空気調和機1が除霜運転禁止時間でないならば(YES)、次のステップS60に進む。一方、空気調和機1が除霜運転禁止時間であるならば(NO)、除霜運転禁止が継続される。
【0057】
次に、ステップS60においては、室外機3が第3判定条件を満足しているか否かの判断がなされる。
【0058】
ここで、第3判定条件としては、室外熱交換器5に着霜が生じたと判断した時点から除霜運転禁止時間の終了する時点までの時間(ステップS20からステップS50までの時間)が所定値以上であることがあげられる。この所定値とは、一例で3分とする。
【0059】
例えば、室外熱交換器5に着霜が生じたと判断した時点から除霜運転禁止時間の終了する時点までの時間が所定値以上であるならば(YES)、室外ファン20の除霜運転を行う。
【0060】
一方、室外熱交換器5に着霜が生じたと判断した時点から除霜運転禁止時間の終了する時点までの時間が所定値よりも短いならば(NO)、室外ファン20の除霜運転は行われず、室外熱交換器5の除霜運転が開始される(ステップS80)。
【0061】
これは、室外熱交換器5に着霜が生じたと判定した時点と、除霜運転禁止終了時間が終了する時点との間隔が、例えば3分という短い時間以内ならば、室外熱交換器5の着霜が初期段階であるとし、室外機3内を目視せずに室外ファン20には着霜が生じていないと判断できるからである。この所定時間は、実験、シミュレーション等によって予め求められる。この第3判定条件を設けることで、実際には霜が付着していない室外ファン20の除霜を実行する手間が省け、除霜運転の短縮化を図ることができる。
【0062】
一方、制御装置10は、室外熱交換器5に着霜が生じたと判断した時点から除霜運転禁止時間の終了する時点までの時間が所定値以上のときに室外ファン20の除霜運転制御を行う(ステップS70)。このとき、霜運転禁止時間中に室外熱交換器5に着霜が生じていることが前提となっている。そして、ステップS70においては、制御装置10が室外ファン20の回転を停止した状態で、まずは室外熱交換器5の除霜運転を行う。そして、室外熱交換器5の除霜運転が終了した後、室外ファン20を回転させて、室外ファン20の除霜運転を行う。
【0063】
室外ファン20の除霜運転では、室外ファン20が回転すると、室外機3では矢印5aの方向に温かい空気が流れる。これにより、室外ファン20には、除霜運転中に温かい空気が当たり、室外ファン20は除霜される。
【0064】
次に、ステップS70での除霜運転が終了した後、またはステップS80での除霜運転が終了した後には、暖房運転が再開される(ステップS70)。
【0065】
このように、本実施形態においては、除霜運転禁止時間中において、室外熱交換器5に着霜が生じたか否かの判断がなされ(ステップS30)、除霜運転禁止時間中に室外熱交換器5が着霜しているという判断がなされたら(ステップS40)、室外熱交換器5の除霜運転後に室外ファン20の除霜運転がなされる。
【0066】
本実施形態では、除霜運転禁止時間において、室外熱交換器5への着霜が看過された時に室外ファン20が着霜したと判断する。この結果、室外ファンの着霜の判定精度を向上させ、より確実に室外ファン20の除霜が遂行される。
【0067】
なお、上記の例では、除霜がなされた後の除霜運転禁止時間における室外熱交換器5及び室外ファン20への着霜が看過されたか否かに主眼が置かれていた。本実施形態では、除霜運転禁止時間に関係なく、暖房運転中に、第1~第3判定条件によって室外熱交換器5及び室外ファン20に着霜がなされたか否かを判断され、室外熱交換器5及び室外ファン20の除霜が遂行されてもよい。
【0068】
この場合のフローは、例えば、図3に示すフローからステップS30と、ステップS50とが取り除かれたフローになる。
【0069】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態にのみ限定されるものではなく種々変更を加え得ることは勿論である。各実施形態は、独立の形態とは限らず、技術的に可能な限り複合することができる。
【符号の説明】
【0070】
1…空気調和機
1c…冷媒回路
2…室内機
4…室内熱交換器
5…室外熱交換器
5a…矢印
6…圧縮機
7…減圧器
8…流路切替器
9A、9B…ケース
10…制御装置
20…室外ファン
21…室内ファン
51…扁平管
52…ヘッダ
53…放熱フィン
91、92…開口
図1
図2
図3