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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-08
(45)【発行日】2024-05-16
(54)【発明の名称】電力制御装置及び電力制御システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 3/38 20060101AFI20240509BHJP
   H02J 3/32 20060101ALI20240509BHJP
   H02J 3/46 20060101ALI20240509BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20240509BHJP
   H02J 7/35 20060101ALI20240509BHJP
【FI】
H02J3/38 130
H02J3/32
H02J3/46
H02J7/00 B
H02J7/35 K
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020044209
(22)【出願日】2020-03-13
(65)【公開番号】P2021145525
(43)【公開日】2021-09-24
【審査請求日】2023-01-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】牧 直輝
(72)【発明者】
【氏名】山田 潤一郎
(72)【発明者】
【氏名】猿渡 直人
(72)【発明者】
【氏名】入江 知也
【審査官】早川 卓哉
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-161881(JP,A)
【文献】特開2018-057239(JP,A)
【文献】国際公開第2014/080599(WO,A1)
【文献】特開2014-131413(JP,A)
【文献】特開2019-103198(JP,A)
【文献】特開2014-161199(JP,A)
【文献】特開2012-060761(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J3/00-5/00
H02J1/00-1/16
H02J7/00-7/12
H02J7/34-7/36
H02J13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
直流電力が入力される入力部と、
直流電力の電圧を変圧する第1変圧部と、
前記第1変圧部によって変圧された直流電力を蓄電池ユニットに出力し、かつ、該蓄電池ユニットから直流電力が入力される第1入出力部と、
直流電力を交流電力に変換する変換部と、
前記変換部によって変換された交流電力を電力系統又は負荷に出力し、かつ、該電力系統から交流電力が入力される第2入出力部と、
前記第1変圧部及び前記変換部を制御する第1制御部と、
前記蓄電池ユニットとの間で通信を行う第1通信部と、
を備え、
前記第1変圧部には、前記入力部に入力された直流電力、及び、前記第2入出力部に入力され、前記変換部によって変換された直流電力が入力され、
前記変換部には、前記第1変圧部から出力された直流電力及び前記入力部に入力された直流電力が入力される電力制御装置であって、
前記第1制御部は、
前記電力制御装置に接続され、該電力制御装置との間で、電力の入力及び出力の少なくともいずれか一方を行うことが可能な装置であって、前記蓄電池ユニットを含む接続候補装置に関する情報である接続候補装置情報を取得する接続候補装置情報取得部と、
前記接続候補装置情報取得部によって取得された前記接続候補装置情報に基づいて、前記電力制御装置及び該電力制御装置に接続された前記接続候補装置を含むシステムの構成に関するシステム構成基本情報を生成するシステム構成基本情報生成部と、
前記システム構成基本情報に基づいて、制御用システム構成情報を導出する制御用情報導出部と、
前記蓄電池ユニット、及び、前記入力部又は前記第2入出力部に接続可能な前記接続候補装置に関する前記システム構成基本情報に基づいて導出される、該電力制御装置及び該入力部に接続可能な該接続候補装置の少なくとも一方に対する制御モードを含む、前記制御用システム構成情報に基づいて、制御内容を決定する制御内容決定部と、
を有することを特徴とする電力制御装置。
【請求項2】
前記制御用システム構成情報は、前記電力制御装置の起動中は変更されないことを特徴とする請求項に記載の電力制御装置。
【請求項3】
前記接続候補装置は、発電装置によって発電された直流電力を変圧する第2変圧部と、前記第2変圧部から出力された直流電力を前記入力部に出力する第2出力部と、該第2変圧部を制御する第2制御部と、前記電力制御装置との間で通信する第2通信部とを有する変圧装置を含み、
前記第1制御部は、前記制御用システム構成情報を出力する制御用情報出力部を有し、
前記第1通信部は、前記蓄電池ユニットを含む前記接続候補装置との間で通信を行い、
前記第2制御部は、前記第1制御部から前記第1通信部を介して送信された前記制御用システム構成情報を、前記第2通信部を介して受信し、該制御用システム構成情報に基づいて前記第2変圧部を制御することを特徴とする請求項又はに記載の電力制御装置。
【請求項4】
前記接続候補装置情報取得部は、前記蓄電池ユニットの特性に対応する応答が定められたコマンドを、前記第1通信部を介して該蓄電池ユニットに送信し、該コマンドに対する該蓄電池ユニットの応答に基づいて、前記接続候補装置情報として前記特性を取得し、
前記制御内容決定部は、前記蓄電池ユニットの前記特性を含む前記制御用システム構成情報に基づいて、前記第1変圧部又は前記変換部の出力を制御することを特徴とする請求項乃至のいずれか1項に記載の電力制御装置。
【請求項5】
前記特性は、前記蓄電池ユニットの定格容量であることを特徴とする請求項に記載の電力制御装置。
【請求項6】
前記第2入出力部は、該第2入出力部に入力される交流電力を前記電力制御装置外部に出力するための複数の第1出力部と、該第2入出力部に入力された交流電力を出力すべき前記第1出力部を選択する出力選択部とを有し、
前記接続候補装置情報取得部は、前記第1出力部に接続された前記接続候補装置を検知することによって、該接続候補装置に関する前記接続候補装置情報を取得し、
前記第1制御部は、前記接続候補装置情報から導出された前記制御用システム構成情報に基づいて、前記出力選択部を制御することを特徴とする請求項乃至のいずれか1項に記載の電力制御装置。
【請求項7】
前記第1制御部は、前記接続候補装置情報に基づいて、前記変換部から前記接続候補装置に出力される交流電力の電圧を変更することを特徴とする請求項に記載の電力制御装置。
【請求項8】
前記接続候補装置は、出力された交流電力の電圧を変更して、前記負荷に供給するトランスユニットであることを特徴とする請求項又はに記載の電力制御装置。
【請求項9】
前記トランスユニットが接続される前記第1出力部には、該トランスユニットと、予め特定された特定負荷に交流電力を供給するための前記接続候補装置である特定負荷分電盤のいずれか一方が接続されることを特徴とする請求項に記載の電力制御装置。
【請求項10】
請求項1乃至のいずれか1項に記載の電力制御装置と、
前記電力制御装置に接続された前記接続候補装置と、
を備えたことを特徴とする電力制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力制御装置及び電力制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、PV(太陽光発電)ユニットを電力系統と連系して運転するPVパワーコンディショナや、蓄電池ユニットを電力系統と連系して運転する蓄電パワーコンディショナを含む分散型電源システムがある。このような分散型電源システムにおいて、既存のPVパワーコンディショナに蓄電パワーコンディショナを後付けしたり、既存の蓄電パワーコンディショナにPVパワーコンディショナを後付けしたりするニーズがある。
【0003】
PVパワーコンディショナと蓄電パワーコンディショナとを併設すると蓄電パワーコンディショナのDC/ACインバータとPVパワーコンディショナのDC/ACインバータとが重複するため、コストが高くなるともに、設置領域が大きくなる。このような観点から、PVユニットによって発電された直流電力を変圧する変圧装置を、PVユニットに接続して、この変圧装置から出力される直流電力を蓄電パワーコンディショナに入力し、蓄電パワーコンディショナのDC/ACインバータで交流電力に変換し、電力系統又は負荷に供給するシステム接続することが提案されている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。
【0004】
ここで、上述のように、パワーコンディショナに例示される既存の電力制御装置を含んで分散型電源システムのような電力制御システムを拡張したり変更したりする場合に、分散電源を含む複数種類の機器の組み合わせへの対応は十分考慮されていなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2019-103197号公報
【文献】特開2019-103198号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記のような問題に鑑みてなされたものであり、電力制御装置を含むシステムの構成の自由度を向上させることが可能な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するための本発明は、
直流電力が入力される入力部と、
直流電力の電圧を変圧する第1変圧部と、
前記第1変圧部によって変圧された直流電力を蓄電池ユニットに出力し、かつ、該蓄電池ユニットから直流電力が入力される第1入出力部と、
直流電力を交流電力に変換する変換部と、
前記変換部によって変換された交流電力を電力系統又は負荷に出力し、かつ、該電力系統から交流電力が入力される第2入出力部と、
前記第1変圧部及び前記変換部を制御する第1制御部と、
前記蓄電池ユニットをとの間で通信を行う第1通信部と、
を備え、
前記第1変圧部には、前記入力部に入力された直流電力、及び、前記第2入出力部に入力され、前記変換部によって変換された直流電力が入力され、
前記変換部には、前記第1変圧部から出力された直流電力及び前記入力部に入力された直流電力が入力される電力制御装置であって、
前記第1制御部は、
前記電力制御装置に接続され、該電力制御装置との間で、電力の入力及び出力の少なくともいずれか一方を行うことが可能な装置であって、前記蓄電池ユニットを含む接続候補装置に関する情報である接続候補装置情報を取得する接続候補装置情報取得部と、
前記接続候補装置情報に基づいて、制御内容を決定する制御内容決定部と、
を有することを特徴とする。
【0008】
本発明に係る電力制御装置は、直流電力が入力される入力部と、直流電力の電圧を変圧する第1変圧部と、前記第1変圧部によって変圧された直流電力を蓄電池ユニットに出力し、かつ、該蓄電池ユニットから直流電力が入力される第1入出力部と、直流電力を交流電力に変換する変換部と、前記変換部によって変換された交流電力を電力系統又は負荷に出力し、かつ、該電力系統から交流電力が入力される第2入出力部と、前記第1変圧部及び前記変換部を制御する第1制御部と、前記蓄電池ユニットをとの間で通信を行う第1通信部と、を備え、前記第1変圧部には、前記入力部に入力された直流電力、及び、前記第2入出力部に入力され、前記変換部によって変換された直流電力が入力され、前記変換部には、前記第1変圧部から出力された直流電力及び前記入力部に入力された直流電力が入力される。
【0009】
接続候補装置は、この電力制御装置との間で、電力の入力及び出力の少なくともいずれか一方を行う装置であって、電力制御装置に接続可能な装置であり、電力制御装置を含むシステムを構成する候補となる装置である。ここでは、蓄電池ユニットも接続候補装置に含まれる。接続候補装置が実際に電力制御装置に接続され、電力制御装置との間で電力の入力及び出力の少なくともいずれか一方を行うように制御されることによって、電力制御装置を含むシステムが構成される。電力制御装置を含むシステムを構成する際の、電力制御装置と接続候補装置との組み合わせとしては、種々の組み合わせが可能である。すべての接続候補装置を実際に電力制御装置に接続する場合に限られず、いずれかの接続候補装置、又は、複数の接続候補装置を組み合わせて、電力制御装置に接続してシステムを構成することができる。また、接続候補装置が選択的に、すなわち、いずれか一方のみが電力制御装置に接続されるシステムも可能である。さらに、電力制御装置に同時に接続されるが、いずれかの接続可能装置を動作させる場合には、いずれかの接続可能装置を動作させないように制御することも可能である。
【0010】
また、接続候補装置情報は、接続候補装置に関する情報であり、例えば、当該接続候補装置が接続されているか、接続されていないかという接続の有無の情報や、接続候補装置の定格容量等の特性の情報を含む。接続候補装置情報が、接続候補装置の特性の情報を含むことにより、同種の接続候補装置ではあるが特性が異なる接続候補装置がある場合に、機能のみならず特性まで含めてシステムを構成することができる。接続候補装置情報は、ユーザ等が操作指示を入力する操作部のような、電力制御装置外部の機器等によって設定された情報であってもよいし、接続候補装置との間で信号の送受信を行ったり、所定部位の電圧変化等の状態変化を検出したりすることによって取得される情報であってもよい。
【0011】
本発明の電力制御装置の第1制御部は、接続候補装置情報を取得する接続候補装置情報取得部と、接続候補装置情報取得部によって取得された接続候補装置情報に基づいて、第1変圧部及び変換部を制御する制御内容決定部を有する。これによれば、接続候補装置情報によって特定される、電力制御装置を含むシステムの構成に基づいて、第1変圧部及び変換部、すなわち電力制御装置の制御内容が決定される。このため、種々の組み合わせの接続候補装置と電力制御装置とを含んでシステムを構成することができるので、電力制御装置を含むシステムの構成の自由度が向上する。
【0012】
また、本発明においては、
前記接続候補装置情報取得部によって取得された前記接続候補装置情報に基づいて、前記電力制御装置及び該電力制御装置に接続された前記接続候補装置を含むシステムの構成に関するシステム構成基本情報を生成するシステム構成基本情報生成部と、
前記システム構成基本情報に基づいて、前記電力制御装置及び該電力制御装置に接続された前記接続候補装置の少なくとも一方に対する制御モードを含む、制御用システム構成情報を導出する制御用情報導出部と、
を有し、
前記制御内容決定部は、前記制御用システム構成情報に基づいて、制御内容を決定するようにしてもよい。
【0013】
これに、接続候補装置情報に基づいて、電力制御装置及び該電力制御装置に接続された接続候補装置を含むシステムの構成に関するシステム構成基本情報を生成することにより、電力制御装置を含むシステムの構成に関する基本的な情報をシステム構成基本情報として管理することができる。システム構成基本情報を、接続候補装置と当該接続候補装置に関する情報とを関連付けたテーブルのような形式で、記憶手段に記憶させておくことにより、効率的に管理することができる。
【0014】
また、システム構成基本情報に含まれる、電力制御装置と接続候補装置との特定の組み合わせに対しては、予め準備された制御方法としての制御モードを準備することができる。従って、システム構成基本情報に基づいて、電力制御装置及び該電力制御装置に接続された接続候補装置の少なくとも一方に対する制御モードを含む、制御用システム構成情報を導出する制御用情報導出部を、第1制御部が有することにより、電力制御装置と接続候補装置との間で、整合した制御が可能となる。このようにして導出された制御用システム構成情報は、必要に応じて接続候補装置に送信され、共有される。
【0015】
また、本発明においては、
前記制御用システム構成情報は、前記電力制御装置の起動中は変更されないようにしてもよい。
【0016】
このように、制御用システム構成情報が、電力制御装置の起動中は変更されないようにすることにより、電力制御装置の起動中に制御用システム構成が動的に変更されることを防止することができる。制御用システム構成情報の変更が許容される、電力制御装置の再起動は、電源の再投入に限らず、第1制御部のリセットも含む。
【0017】
また、本発明においては、
前記接続候補装置は、発電装置によって発電された直流電力を変圧する第2変圧部と、前記第2変圧部から出力された直流電力を前記入力部に出力する第2出力部と、該第2変圧部を制御する第2制御部と、前記電力制御装置との間で通信する第2通信部とを有する変圧装置を含み、
前記第1制御部は、前記制御用システム構成情報を出力する制御用情報出力部を有し、
前記第1通信部は、前記蓄電池ユニットを含む前記接続候補装置との間で通信を行い、
前記第2制御部は、前記第1制御部から前記第1通信部を介して送信された前記制御用システム構成情報を、前記第2通信部を介して受信し、該制御用システム構成情報に基づいて前記第2変圧部を制御するようにしてもよい。
【0018】
このように本発明では、電力制御装置の制御用情報出力部から、第1通信部を介して送信した制御用システム構成情報を、変圧装置の第2制御部が、第2通信部を介して受信し、この制御用システム構成情報に基づいて第2変圧部を制御する。このようにすれば、電
力制御装置と、発電装置に接続された変圧装置とを含むシステムを整合的に制御することができるので、電力制御装置を含むシステムの構成の自由度が向上する。
【0019】
また、本発明においては、
前記接続候補装置情報取得部は、前記蓄電池ユニットの特性に対応する応答が定められたコマンドを、前記第1通信部を介して該蓄電池ユニットに送信し、該コマンドに対する該蓄電池ユニットの応答に基づいて、前記接続候補装置情報として前記特性を取得し、
前記制御内容決定部は、前記蓄電池ユニットの前記特性を含む前記制御用システム構成情報に基づいて、前記第1変圧部又は前記変換部の出力を制御するようにしてもよい。
【0020】
これによれば、電力制御装置の第1制御部は、蓄電池ユニットの特性に対応する応答が定められたコマンドを、第1通信部を介して該蓄電池ユニットに送信し、該コマンドに対する該蓄電池ユニットの応答を受信することにより、蓄電池ユニットの特性を認識することができる。このようにして認識された蓄電池ユニットの特性に応じて、電力制御装置の第1変圧部の出力を制御することにより、電力制御装置に種々の特性を有する蓄電池ユニットを接続してシステムを構成することができる。従って、電力制御装置を含むシステムの構成の自由度を向上させることが可能である。
また、第1制御部は、蓄電池ユニットに送信したいずれのコマンドに対しても、第1通信部が、該蓄電池ユニットから、所定時間内に前記応答を受信しない場合に、異常と判断するようにしてもよい。これによれば、予め設定された特性を有しない蓄電池ユニットが接続された場合に、蓄電パワーコンディショナの第1制御部が異常と判断することにより、予め設定された特性を有しない蓄電池ユニットにも対応することできる。
【0021】
また、本発明においては、
前記特性は、前記蓄電池ユニットの定格容量であるとしてもよい。
【0022】
これによれば、認識された蓄電池ユニットの定格容量に応じて、電力制御装置の第1変圧部の出力を制御することにより、電力制御装置に種々の定格容量を有する蓄電池ユニットを接続してシステムを構成することができる。従って、電力制御装置を含むシステムの構成の自由度を向上させることが可能である。
【0023】
また、本発明においては、
前記第2入出力部は、該第2入出力部に入力される交流電力を前記電力制御装置外部に出力するための複数の第1出力部と、該第2入出力部に入力された交流電力を出力すべき前記第1出力部を選択する出力選択部とを有し、
前記接続候補装置情報取得部は、前記第1出力部に接続された前記接続候補装置を検知することによって、該接続候補装置に関する前記接続候補装置情報を取得し、
前記第1制御部は、前記接続候補装置情報から導出された前記制御用システム構成情報に基づいて、前記出力選択部を制御するようにしてもよい。
【0024】
これによれば、第2入出力部には、第2入出力部に入力される交流電力を装置外部に出力するための出力部が複数設けられているので、複数の出力部に複数の接続候補装置を接続することができる。また、第2入出力部に、第2入出力部に入力された交流電力を出力すべき出力部を選択する出力選択部を設けている。そして、接続候補装置情報取得部は、第1出力部に接続された前記接続候補装置を検知することによって、該接続候補装置に関する接続候補装置情報を取得する。さらに、第1制御部が、このようにして取得された接続候補装置情報から導出された制御用システム構成情報に基づいて、この出力選択部を制御部によって制御するので、電力制御装置から出力される交流電力が供給される接続候補装置を電力制御装置と様々に組み合わせて、電力制御装置を含むシステムを構成することができ、システム構成の自由度が向上する。
このとき、第1制御部は、電力系統と連系する連系運転を行う場合と、該電力系統と独立した自立運転を行う場合に応じて、出力選択部を制御するようにしてもよい。これによれば、電力系統と連系する連系運転を行う場合と、電力系統と独立した自立運転を行う場合に応じて、第1制御部が出力選択部を制御するので、連系運転を行う場合に交流電力を出力する接続候補装置と、自立運転を行う場合に交流電力を出力する接続候補装置とを組み合わせて、電力制御装置を含むシステムを構成することでき、システム構成の自由度が向上する。
【0025】
また、本発明においては、
前記第1制御部は、前記接続候補装置情報に基づいて、前記変換部から前記接続候補装置に出力される交流電力の電圧を変更するようにしてもよい。
【0026】
これによれば、出力すべき交流電力の電圧が異なる接続候補装置と、電力制御装置とを組み合わせて、電力制御装置を含むシステムを構成することができるので、システム構成の自由度が向上する。
【0027】
また、本発明においては、
前記接続候補装置は、出力された交流電力の電圧を変更して、前記負荷に供給するトランスユニットであるようにしてもよい。
【0028】
これによれば、負荷に応じた電圧に変圧して交流電力を供給するトランスユニットと、電力制御装置とを組み合わせて、電力制御装置を含むシステムを構成することができるので、システム構成の自由度が向上する。
【0029】
また、本発明においては、
前記トランスユニットが接続される前記第1出力部には、該トランスユニットと、予め特定された特定負荷に交流電力を供給するための前記接続候補装置である特定負荷分電盤のいずれか一方が接続されるようにしてもよい。
【0030】
これによれば、トランスユニットが接続される出力部には、トランスユニットか特定負荷用機器のいずれか一方が選択的に接続されるので、電力制御装置を含むシステムを構成する際に、コストを抑えるとともに設置領域の大きさも抑えることができる。
【0031】
また、本発明は、
前記電力制御装置と、
前記電力制御装置に接続された前記接続候補装置と、
を備えたことを特徴とする電力制御システムである。
【0032】
このよう、上述の電力制御装置と、該電力制御装置に接続された接続候補装置とによって、電力制御システムが構成されるので、電力制御システムの構成の自由度を向上させることができる。
【発明の効果】
【0033】
本発明によれば、電力制御装置を含むシステムの構成の自由度を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】本発明の実施例1に係る蓄電システムの一例を示す全体構成図である。
図2】本発明の実施例1に係る蓄電システムの概略構成を示す図である。
図3】本発明の実施例1に係る制御部の機能ブロック図である。
図4】本発明の実施例1に係るシステム構成テーブルに関する処理手順のフローチャートである。
図5】本発明の実施例1に係るシステム構成テーブルの例を示す図である。
図6】本発明の実施例1に係るシステム構成テーブルの例を示す図及び制御モード説明図である。
図7】本発明の実施例1に係る蓄電システムの構成例を示す図である。
図8】本発明の実施例1に係る蓄電システムの構成例を示す図である。
図9】本発明の実施例1に係る蓄電システムの構成例を示す図である。
図10】本発明の実施例2に係る蓄電システムの概略構成を示すブロック図である。
図11】本発明の実施例2に係る蓄電システムの全体構成を示す図である。
図12】本発明の実施例2に係る定格容量の認識処理の手順を示すフローチャートである。
図13】本発明の実施例2に係るシステム構成テーブルの例を示す図である。
図14】本発明の実施例2に係る充放電制御の手順を示すフローチャートである。
図15】本発明の実施例3に係る蓄電システムの概略構成を示すブロック図である。
図16】本発明の実施例3に係る蓄電システムの全体構成を示す図である。
図17】本発明の実施例3に係るシステム構成テーブルの例を示す図である。
図18】本発明の実施例3に係る他の構成の蓄電システムの概略構成を示すブロック図である。
図19】本発明の実施例3に係る他の構成の蓄電システムの全体構成を示す図である。
図20】本発明の実施例3に係る自立出力の変更処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0035】
〔適用例〕
以下、本発明の適用例について、図面を参照しつつ説明する。
図1は、本発明の電力制御システムの一例である蓄電システム1の全体構成を示す図である。蓄電システム1は、発電装置2と、変圧装置3と、蓄電パワーコンディショナ4と、蓄電池ユニット5と、操作部8と、表示部9と、通信部10と、特定負荷分電盤11、特定負荷71、トランスユニット12、全負荷切替分電盤13、自立入力用太陽電池(PV)パワーコンディショナ16、自立入力用PV17とを備える。蓄電パワーコンディショナ4は、本発明の電力制御装置の一例である。また、変圧装置3、蓄電池ユニット5、特定負荷分電盤11、特定負荷71、トランスユニット12、自立入力用PVパワーコンディショナ16は、本発明の接続候補装置の例である。本発明の接続候補装置は、変圧装置3に接続される発電装置2、トランスユニット12に接続される全負荷切替分電盤13、自立入力用PVパワーコンディショナ16に接続される自立入力用PV17を含んでもよい。
【0036】
図1に示す蓄電システム1は、蓄電パワーコンディショナ4に接続可能な装置を例示したものであり、必ずしもこれらの装置全てを含んで蓄電システム1が構成されるものではなく、また、蓄電システム1を構成する装置がこれらに限定されるわけではない。
【0037】
図2に、蓄電システム1の概略構成を示す。図2では、蓄電パワーコンディショナ4には、蓄電池ユニット5、発電装置2及び変圧装置3が接続されている。
【0038】
蓄電パワーコンディショナ4は、入力部41と、変圧部42と、入出力部43と、変換部44と、入出力部45と、制御部46と、通信部47とを有する。変圧装置3の出力部
33から出力された直流電力が、入力部41に入力される。変圧部42は、入力部41に入力された直流電力を変圧する。入出力部43は、変圧された直流電力を蓄電池ユニット5に入力する。また、蓄電池ユニット5から出力された直流電力が、入出力部43に入力される。変圧部42は、入出力部43に入力された直流電力の電圧を変圧し、出力する。変換部44は、変換部44は、変圧部42から出力された直流電力を交流電力に変換する。制御部46は、変圧部42、変換部44及び入出力部45を制御する。通信部47は、有線又は無線を介して、蓄電池ユニット5、変圧装置3及び自立入力用PVパワーコンディショナ16との間で通信を行う。入力部41、変圧部42、入出力部43、変換部44、入出力部45、制御部46、通信部47は、それぞれ、本発明の入力部、第1変圧部、第1入出力部、変換部、第2入出力部、第1制御部、第1通信部の一例である。
【0039】
発電装置2は、発電可能な装置であり、発電した直流電力を変圧装置3に出力する。変圧装置3は、入力部31と、変圧部32と、出力部33と、制御部34と、通信部35とを有する。発電装置2から出力された直流電力は入力部31に入力される。入力部31に入力された直流電力は変圧部32によって変圧される。変圧された直流電力は、出力部33から蓄電パワーコンディショナ4に出力する。制御部34は、変圧部32を制御する。通信部35は、有線又は無線を介して、蓄電パワーコンディショナ4との間で通信を行う。変圧部32、出力部33、制御部34、通信部35は、本発明の第2変圧部、第2出力部、第2制御部、第2通信部の一例である。
【0040】
図3は、蓄電パワーコンディショナ4の制御部46の機能ブロック図である。ここでは、制御部46は、第1制御ユニット461と第2制御ユニット462とを含むが、このような構成に限定されるわけでない。第1制御ユニット461は、設定取得部4611と、システム構成テーブル管理部4612と、システム構成テーブル変換部4614と、制御用テーブル出力部4615とを含み、第2制御ユニット462は、制御用テーブル取得部4621と制御内容決定部4622とを含む。
【0041】
図4は、取得したシステム構成情報から得られた制御用システム構成テーブルに基づいて制御内容を決定する手順を示すフローチャートである。
システム構成テーブル管理部4612が、システム構成テーブル記憶部4613からシステム構成テーブルTを読み出す(ステップS1)。システム構成テーブルTのデータ構成の例を図5(A)に示す。システム構成テーブルTは、蓄電池ユニット5の接続の有無、変圧装置3の接続の有無、トランスユニット12の接続の有無を含む。ここでは、変圧装置3の接続の有無は、変圧装置3に接続される発電装置2の接続の有無を含んでおり、トランスユニット12の接続の有無は、トランスユニット12に接続される全負荷切替分電盤13及び負荷7の接続の有無を含んでいる。ここでは、蓄電池ユニット5の故障時に縮退運転を行うか否かについても、システム構成に含めて設定している。図5(A)に示すシステム構成テーブル記憶部4613から読み出されたシステム構成テーブルTの各項目には、初期値が設定されているものとする。
【0042】
次に、第1制御ユニット461の設定取得部4611が、システム構成情報を取得する(ステップS2)。システム構成情報とは、上述のシステム構成テーブルの各項目と当該項目の値を含む情報であり、操作部8によってユーザ又は施工事業者等が設定した情報を、通信部47を介して設定取得部4611が取得する。また、システム構成情報は、蓄電パワーコンディショナ4に接続される装置との間で信号の送受信を行ったり、所定部位の電圧変化等の状態変化を検出したりして、所定の装置の接続の有無等を設定取得部4611が検出することによりシステム構成情報を取得するようにしてもよい。システム構成情報は、本発明の接続候補装置情報の一例であり、設定取得部4611は、本発明の接続候補装置情報取得部の一例である。
【0043】
次に、第1制御ユニット461のシステム構成テーブル管理部4612は、ステップS2で取得したシステム構成情報に基づいて、システム構成テーブルTを設定又は更新する(ステップS3)。図5(B)は、設定されたシステム構成テーブルTの例を示す。ここで設定または更新されたシステム構成テーブルTはシステム構成テーブル管理部4612によってシステム構成テーブル記憶部4613に記憶される。システム構成テーブルTは、本発明のシステム構成基本情報の一例であり、システム構成テーブル管理部4612は、本発明のシステム構成基本情報生成部の一例である。また、システム構成テーブル管理部4612によるシステム構成テーブルTの設定又は更新は、本発明のシステム構成基本情報の生成の一例である。
【0044】
次に、第1制御ユニット461のシステム構成テーブル変換部4614が、ステップS3で設定又は更新されシステム構成テーブルTを、制御用システム構成テーブル(以下、「制御用テーブル」という。)Tcに変換する(ステップS4)。図5(B)に示すシステム構成テーブルTから変換された制御用テーブルTcを図6(A)に示す。制御用テーブルTcは、図6(A)に示すように、蓄電池ユニット5の接続の有無等に加えて、蓄電パワーコンディショナ4の動作モードを含む。すなわち、システム構成テーブル変換部4614では、システム構成テーブル管理部4612によって設定又は更新されたシステム構成テーブルに含まれる蓄電パワーコンディショナ4に接続される装置の有無及び/又は縮退運転の有無に基づいて蓄電パワーコンディショナ4の動作モードを導出する。図6(B)は、変圧装置3の接続の有無及び蓄電池ユニット5の故障時の縮退運転の有無と蓄電パワーコンディショナ4の動作モードとの対応関係を示す表である。制御用テーブルTcは、本発明の制御用システム構成情報の一例であり、システム構成テーブル変換部4614は、本発明の制御用情報導出部の一例であり、動作モードは、本発明の制御モードの一例である。
【0045】
次に、第1制御ユニット461の制御用テーブル出力部4615が、ステップS4で得られた制御用テーブルTcを同じ制御部46に含まれる第2制御ユニット462や、蓄電パワーコンディショナ4に接続された変圧装置3等の装置に出力する(ステップS5)。制御用テーブル出力部4615は、本発明の制御用情報出力部の一例である。
【0046】
第1制御ユニット461から出力された制御用テーブルTcは、第2制御ユニット462の制御用テーブル取得部4621によって受信され、メモリの所定領域に記憶される(ステップS11)。そして、第2制御ユニット462では、制御内容決定部4622が制御用テーブルTcを参照し、これに含まれる情報に基づいて、変圧部42、変換部44、入出力部45の制御内容を決定する(ステップS12)。変圧装置3においても、同様に、制御用テーブルTcを、通信部35を介して受信した制御部34が取得して、メモリの所定領域に記憶し(ステップS11)、制御部34は制御用テーブルTcを参照し、これに含まれる情報に基づいて変圧部32の制御内容を決定する(ステップS12)。制御内容決定部4622は、本発明の制御内容決定部の一例である。
【0047】
このように、蓄電パワーコンディショナ4の制御部46は、設定取得部4611と、設定取得部4611によって取得されたシステム構成情報に基づいて、変圧部42及び変換部44を制御する制御内容決定部4622を有する。これによれば、システム構成情報によって特定される、蓄電パワーコンディショナ4を含むシステムの構成に基づいて、蓄電パワーコンディショナ4の制御内容が決定される。このため、蓄電池ユニット5、発電装置2及び変圧装置3等の種々の装置と蓄電パワーコンディショナ4とを含んでシステムを構成することができるので、蓄電パワーコンディショナ4を含むシステムの構成の自由度が向上する。
【0048】
〔実施例1〕
以下では、本発明の実施例1に係る蓄電システム1について、図面を用いて、より詳細に説明する。ただし、この実施の形態に記載されている装置及びシステムの構成は各種条件により適宜変更されるべきものである。すなわち、この発明の範囲を以下の実施の形態に限定する趣旨のものではない。
【0049】
<システム構成>
図1に、実施例1に係る蓄電システム1の全体構成を示す。図1では、蓄電システム1として、蓄電パワーコンディショナ4に対して接続可能な装置を例示するものであり、必ずしもこれらの装置全てを含んで蓄電システム1が構成されるものではなく、また、蓄電システム1を構成する装置がこれらに限定されるわけではない。
【0050】
蓄電システム1は、発電装置2と、変圧装置3と、蓄電パワーコンディショナ4と、蓄電池ユニット5と、操作部8と、表示部9と、通信部10と、特定負荷分電盤11、特定負荷71、トランスユニット12、全負荷切替分電盤13、自立入力用PVパワーコンディショナ16、自立入力用PV17とを備える。
【0051】
発電装置2は、発電可能な装置であり、例えば、PVユニット、燃料電池(FC)ユニット及び風力発電ユニット等である。発電装置2は、発電した直流電力を変圧装置3に入力する。変圧装置3は、発電装置2から入力された直流電力を第1所定電圧の直流電力に変圧し、蓄電パワーコンディショナ4に出力する。
【0052】
蓄電パワーコンディショナ4は、変圧装置3から入力された第1所定電圧の直流電力、及び/又は、電力系統6から入力された交流電力から変換された直流電力を、第2所定電圧に変圧して、蓄電池ユニット5に入力する。また、蓄電パワーコンディショナ4では、蓄電池ユニット5から出力され、第3所定電圧に変圧された直流電力、及び/又は、変圧装置3から入力された直流電力が交流電力に変換され、電力系統6又は負荷7に供給され、特定負荷分電盤11を介して特定負荷71に、若しくはトランスユニット12及び全負荷切替分電盤13を介して負荷7に供給される。また、蓄電パワーコンディショナ4には、自立入力用PV17が接続された自立入力用PVパワーコンディショナ16から交流電力が入力される。
【0053】
蓄電池ユニット5は、充放電可能な二次電池であり、例えば、リチウムイオン電池やその他各種の二次電池を適用可能である。第1所定電圧及び第3所定電圧は、交流電力を電力系統6又は負荷7に出力する際に適した電圧である。第2所定電圧は、直流電力を蓄電池ユニット5に入力する際に適した電圧である。第1所定電圧と第2所定電圧とは異なる値である。第1所定電圧と第3所定電圧とは同じ値であってもよいし、異なる値であってもよい。
【0054】
操作部8は、蓄電パワーコンディショナ4に指示信号を入力し、蓄電パワーコンディショナ4を操作するリモートコントローラである。操作部8は、キーボード、マウス、キーボード及び操作ボタン等の入力機器で構成されてもよい。操作部8は、HEMS(Home Energy Management System)コントローラやVPP(Virtual Power Plant)コントローラを有していてもよい。HEMSは、家庭の消費電力を管理するシステムである。VPPは、複数の小規模発電設備をネットワークにより一括管理するシステムである。表示部9は、各種の情報を表示する。表示部9は、例えば、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等である。通信部10はネットワーク14に接続されたサーバ15との間で通信を行うインターフェースである。通信部10には、例えば、ルータやモデムが含まれる。ネットワーク14には、例えば、インターネット等の公衆ネットワークやLAN(Local Area Network)が含まれる。
【0055】
特定負荷分電盤11は、停電等により電力系統6からの電力供給が停止した場合に、電力系統6とは独立に自立運転を行う場合に、稼働させる負荷として特定された特定負荷71が接続された分電盤であり、蓄電パワーコンディショナ4の自立出力端子に接続される。
【0056】
トランスユニット12は、蓄電パワーコンディショナ4の自立出力端子に接続され、自立出力端子から出力される交流電力を変圧する。トランスユニット12によって変圧された交流電力は、全負荷切替分電盤13を介して負荷7に供給される。ここでは、例えば、蓄電パワーコンディショナ4の自立出力端子から単相二線200Vの交流電力が出力され、トランスユニット12が、この単相二線200Vの交流電力を単相三線200Vの交流電力に変圧して全負荷切替分電盤13に出力する。
【0057】
自立入力用PVパワーコンディショナ16は、蓄電パワーコンディショナ4の自立入力端子に接続され、自立入力用PV17によって発電された直流電力を交流電力に変換して、蓄電パワーコンディショナ4に出力する。
【0058】
図2を参照して、蓄電パワーコンディショナ4を中心とする蓄電システム1の具体的な構成を説明する。
発電装置2は、上述したように、PVユニット等の発電可能な装置であり、発電した直流電力を変圧装置3に出力する。変圧装置3は、入力部31と、変圧部32と、出力部33と、制御部34と、通信部35とを有する。発電装置2から出力された直流電力は入力部31に入力される。変圧部32は、例えば、非絶縁型のDC/DCコンバータ又は絶縁型のDC/DCコンバータである。出力部33は、第1所定電圧に変圧された直流電力を蓄電パワーコンディショナ4に入力する。制御部34は、変圧部32を制御する。制御部34は、CPU、MPU等のプロセッサ及びRAM、ROM等のメモリを有する。制御部34は、1つのCPU又はMPUで構成されてもよいし、複数のCPU又は複数のMPUが組み合わされて構成されてもよい。CPU又はMPUは、単一のプロセッサに限定されるわけではなく、マルチプロセッサ構成であってもよい。制御部34はメモリに実行可能に展開されたプログラムに従って各種の処理を実行する。通信部35は有線又は無線を介して蓄電パワーコンディショナ4との間で通信を行う。蓄電システム1は、複数の発電装置2を備えてもよい。変圧装置3は、複数の発電装置2のそれぞれに接続された複数の入力部31と、複数の変圧部32と、複数の出力部33とを有してもよい。
【0059】
蓄電パワーコンディショナ4は、入力部41と、変圧部42と、入出力部43と、変換部44と、入出力部45と、制御部46と、通信部47とを有する。変圧装置3の出力部33から出力された第1所定電圧の直流電力が、入力部41に入力される。変圧部42は、入力部41に入力された直流電力の第1所定電圧を第2所定電圧に変圧する。変圧部42は、例えば、非絶縁型のDC/DCコンバータ又は絶縁型のDC/DCコンバータである。入出力部43は、第2所定電圧に変圧された直流電力を蓄電池ユニット5に入力する。また、蓄電池ユニット5から出力された直流電力が、入出力部43に入力される。変圧部42は、入出力部43に入力された直流電力の電圧を第1所定電圧に変圧し、直流電力を出力する。変換部44は、例えば、DC/ACインバータである。変換部44は、入力部41又は変圧部42から出力された直流電力を交流電力に変換する。
【0060】
変換部44は、入出力部45に入力された交流電力を直流電力に変換して、直流電力を出力する。変圧部42は、変換部44から出力された直流電力の電圧を第2所定電圧に変圧する。制御部46は、変圧部42、変換部44及び入出力部45を制御する。制御部46は、CPU、MPU等のプロセッサ及びRAM、ROM等のメモリを有する。1つのCPU又はMPUで構成されてもよいし、複数のCPU又は複数のMPUが組み合わされて
構成されてもよい。CPU又はMPUは、単一のプロセッサに限定されるわけではなく、マルチプロセッサ構成であってもよい。制御部46はメモリに実行可能に展開されたプログラムに従って各種の処理を実行する。通信部47は、有線又は無線を介して、蓄電池ユニット5、変圧装置3及び自立入力用PVパワーコンディショナ16との間で通信を行う。蓄電池ユニット5、変圧装置3及び自立入力用PVパワーコンディショナ16から受信した情報は、制御部46に伝えられる。
【0061】
図3は、制御部46の機能ブロック図を示す。ここでは、制御部46は、第1制御ユニット461と第2制御ユニット462とを含む。第1制御ユニット461と第2制御ユニット462は、例えば、それぞれMCU(Micro Controller Unit)で構成することがで
きる。第1制御ユニット461は、設定取得部4611、システム構成テーブル管理部4612、システム構成テーブル記憶部4613、システム構成テーブル変換部4614、制御用テーブル出力部4615を含む。第2制御ユニット462は、制御用テーブル取得部4621と制御内容決定部4622とを含む。制御部46の各部の機能については後述する。
【0062】
図4は、システム構成テーブルに基づく制御内容決定処理の手順を説明するフローチャートである。
まず、第1制御ユニット461のシステム構成テーブル管理部4612が、システム構成テーブル記憶部4613からシステム構成テーブルTを読み出す(ステップS1)。システム構成テーブル記憶部4613は例えば、EEPROMによって構成することができるが、これに限られない。システム構成テーブルTのデータ構成の例を図5(A)に示す。システム構成テーブルTは、蓄電池ユニット5の接続の有無、変圧装置3の接続の有無、トランスユニット12の接続の有無を含む。ここでは、変圧装置3の接続の有無は、変圧装置3に接続される発電装置2の接続の有無を含んでおり、トランスユニット12の接続の有無は、トランスユニット12に接続される全負荷切替分電盤13及び負荷7の接続の有無を含んでいる。蓄電システム1の運転では、蓄電パワーコンディショナ4に接続される蓄電池ユニット5、変圧装置3(発電装置2を含む)、トランスユニット12の少なくともいずれかに故障があり正常に動作しない場合に、蓄電パワーコンディショナ4に接続され、かつ、正常に動作する他の装置と蓄電パワーコンディショナ4とによって運転(縮退運転ともいう。)を行うこともできる。ここでは、蓄電池ユニット5の故障時に縮退運転を行うか否かについても、システム構成に含めて設定している。図5(A)に示すシステム構成テーブル記憶部4613から読み出されたシステム構成テーブルTの各項目には、初期値が設定されているものとする。システム構成テーブルTを更新する場合には、システム構成テーブル記憶部4613には前回設定されたシステム構成テーブルTが記憶されているので、ステップS1では、前回の設定値を含むシステム構成テーブルTが読み出される。
【0063】
次に、第1制御ユニット461の設定取得部4611が、システム構成情報を取得する(ステップS2)。システム構成情報とは、上述のシステム構成テーブルの各項目と当該項目の値を含む情報であり、操作部8によってユーザ又は施工事業者等が設定した情報を、通信部47を介して設定取得部4611が取得する。例えば、「変圧装置3の接続の有無」が項目であり、「あり」又は「なし」が当該項目の値である。また、操作部8から取得するシステム構成情報は、サーバ15からネットワーク14及び通信部10を介して操作部8が受信したものであってもよい。また、システム構成情報は、上述のように、操作部8から又は操作部8を介して設定される場合に限られず、蓄電パワーコンディショナ4に接続される装置との間で信号の送受信を行ったり、所定部位の電圧変化等の状態変化を検出したりして、所定の装置の接続の有無等を設定取得部4611が検出することによりシステム構成情報を取得するようにしてもよい。操作部8から又は操作部8を介して設定されたシステム構成情報を被設定システム構成情報といい、設定取得部4611により検
出されたシステム構成情報を被検出システム構成情報という。システム構成情報は、被設定システム構成情報及び被検出システム構成情報の少なくともいずれか一方に分類される。すなわち、システム構成情報は、操作部8から又は操作部8を介した設定か、設定取得部4611による検出かの、いずれか一方のみによって取得されるようにしてもよいし、両方によって取得されるようにしてもよい。システム構成情報の特定の項目について、被設定システム構成情報と被検出システム構成情報の両方が取得される場合の処理は特に限定されないが、異常と判断し、表示部9にその旨のメッセージを表示する等により報知するようにしてもよいし、いずれか一方を優先してシステム構成情報と採用するようにしてもよい。ここでは、システム構成情報として、蓄電池ユニット5の接続は「あり」、蓄電池ユニット5の故障時の縮退運転は「なし」、変圧装置3は「あり」、トランスユニット12は「なし」、自立入力用PVパワーコンディショナ16は「なし」という情報が取得されたとして説明する。なお、ステップS1とステップS2の順序は、上述のものに限られず、設定取得部4611からシステム構成情報を取得した後に、システム構成テーブル管理部4612がシステム構成テーブルTをシステム構成テーブル記憶部4613から読み出すようにしてもよい。
【0064】
次に、第1制御ユニット461のシステム構成テーブル管理部4612は、ステップS2で取得したシステム構成情報に基づいて、システム構成テーブルTを設定又は更新する(ステップS3)。図5(B)は、設定されたシステム構成テーブルTの例を示す。ここで設定または更新されたシステム構成テーブルTはシステム構成テーブル管理部4612によってシステム構成テーブル記憶部4613に記憶される。
【0065】
次に、第1制御ユニット461のシステム構成テーブル変換部4614が、ステップS3で設定又は更新されシステム構成テーブルTを、制御用システム構成テーブル(以下、「制御用テーブル」という。)Tcに変換する(ステップS4)。図5(B)に示すシステム構成テーブルTから変換された制御用テーブルTcを図6(A)に示す。制御用テーブルTcは、図6(A)に示すように、蓄電池ユニット5の接続の有無、変圧装置3の接続の有無、トランスユニット12の接続の有無、自立入力用PVパワーコンディショナ16の接続の有無に加えて、蓄電パワーコンディショナ4の動作モードを含む。蓄電パワーコンディショナ4では、蓄電パワーコンディショナ4に接続される装置の有無及び/又は縮退運転の有無によって複数の動作モードが可能である。このため、システム構成テーブル変換部4614では、システム構成テーブル管理部4612によって設定又は更新されたシステム構成テーブルに含まれる蓄電パワーコンディショナ4に接続される装置の有無及び/又は縮退運転の有無に基づいて蓄電パワーコンディショナ4の動作モードを導出する。上述の変換とは、このように、設定又は更新されたシステム構成テーブルTから制御用テーブルTcを得る処理を指す。図6(B)は、変圧装置3の接続の有無及び蓄電池ユニット5の故障時の縮退運転の有無と蓄電パワーコンディショナ4の動作モードとの対応関係を示す表である。図5(B)に示すシステム構成テーブルTでは、変圧装置3が「あり」、蓄電池ユニット5の故障時の縮退運転が「なし」であるため、このシステム構成テーブルTを変換することによって、動作モードが「ハイブリッドモード」である制御用テーブルTcが得られる。
なお、蓄電システム1の動作中に、制御用テーブルの情報が動的に変化しないように、システム構成テーブル記憶部4613から読み出したシステム構成テーブルTから制御用テーブルTcへの変換は、蓄電パワーコンディショナ4の起動時に1回だけ行う。
【0066】
次に、第1制御ユニット461の制御用テーブル出力部4615が、ステップS4で得られた制御用テーブルTcを同じ制御部46に含まれる第2制御ユニット462や、蓄電パワーコンディショナ4に接続された変圧装置3等の装置に出力する(ステップS5)。
【0067】
第1制御ユニット461から出力された制御用テーブルTcは、第2制御ユニット46
2の制御用テーブル取得部4621によって受信され、メモリの所定領域に記憶される(ステップS11)。そして、第2制御ユニット462では、制御内容決定部4622が制御用テーブルTcを参照し、これに含まれる情報に基づいて、変圧部42、変換部44、入出力部46の制御内容を決定する(ステップS12)。変圧装置3においても、同様に、制御用テーブルTcを、通信部35を介して受信した制御部34が取得して、メモリの所定領域に記憶し(ステップS11)、制御部34は制御用テーブルTcを参照し、これに含まれる情報に基づいて変圧部32の制御内容を決定する(ステップS12)。
【0068】
このように、蓄電パワーコンディショナ4の制御部46は、設定取得部4611と、設定取得部4611によって取得されたシステム構成情報に基づいて、変圧部42及び変換部44を制御する制御内容決定部4622を有する。これによれば、システム構成情報によって特定される、蓄電パワーコンディショナ4を含むシステムの構成に基づいて、蓄電パワーコンディショナ4の制御内容が決定される。このため、蓄電池ユニット5、発電装置2及び変圧装置3等の種々の装置と蓄電パワーコンディショナ4とを含んでシステムを構成することができるので、蓄電パワーコンディショナ4を含むシステムの構成の自由度が向上する。
【0069】
ここで、上述した蓄電パワーコンディショナ4の各動作モードについて説明する。
蓄電パワーコンディショナ4が蓄電専用モードで動作するのは、変圧装置3が接続されておらず、蓄電池ユニット5の故障時の縮退運転が行われない場合である。このように蓄電専用モードで動作する場合の蓄電システム1としては、図7(A)、図7(B)、図7(C)に示す3つのシステム構成がある。図7(A)では、蓄電池ユニット5並びに電力系統6及び負荷7が接続された蓄電パワーコンディショナ4の自立出力端子に、特定負荷71が接続された特定負荷分電盤11が接続されている。ここでは、図2では省略した主分電盤18を明記している(以下も同様である。)。図7(B)では、図(A)のシステム構成に加えて、蓄電パワーコンディショナ4の自立入力端子に、自立入力用PV17が接続された自立入力用PVパワーコンディショナ16が接続されている。図7(C)では、蓄電池ユニット5並びに電力系統6及び負荷7が接続された蓄電パワーコンディショナ4の自立出力端子に、トランスユニット12が接続されている。電力系統6及びトランスユニット12は全負荷切替分電盤13を介して主分電盤18及び負荷7に接続されている。全負荷切替分電盤は、電力系統6からの交流電力の、蓄電パワーコンディショナ4及び主分電盤18を介した負荷7への供給と、蓄電パワーコンディショナ4の自立出力端子から出力された交流電力からトランスユニット12によって変圧された交流電力の主分電盤18を介した負荷7への供給とを切り替える分電盤である。
蓄電専用モードでは、変圧装置3から蓄電パワーコンディショナ4への直流電力の入力がないため、制御部46は、変圧装置3と独立して変圧部42、変換部44及び入出力部45を制御する
【0070】
蓄電パワーコンディショナ4がハイブリッドモードで動作するのは、蓄電池ユニット5及び変圧装置3が接続されており、蓄電池ユニット5の故障時の縮退運転が行われない場合である。このようにハイブリッドモードで動作する場合の蓄電システム1としては、図8(A)、図8(B)に示す2つのシステム構成がある。図8(A)では、蓄電池ユニット5、発電装置2及び変圧装置3、並びに電力系統6及び負荷7が接続された蓄電パワーコンディショナ4の自立出力端子に、特定負荷71が接続された特定負荷分電盤11が接続されている。図8(B)では、蓄電池ユニット5、発電装置2及び変圧装置3、並びに電力系統6及び負荷7が接続された蓄電パワーコンディショナ4の自立出力端子に、トランスユニット12が接続されている。
ハイブリッドモードでは、入力部41に入力される直流電力に応じて変圧部42、変換部44及び入出力部45を制御する。
【0071】
蓄電パワーコンディショナ4が発電装置専用モードで動作するのは、変圧装置3が接続されており、蓄電池ユニット5が故障して縮退運転が行われる場合である。このような発電装置専用モードで動作する場合の蓄電システム1としては、図9(A)、図9(B)、図9(C)に示す3つのシステム構成がある。図9(A)では、発電装置2及び変圧装置3、並びに電力系統6及び負荷7が接続された蓄電パワーコンディショナ4の自立出力端子に、特定負荷71が接続された特定負荷分電盤11が接続されている。ここでは、故障した蓄電池ユニット5及びこれと接続するケーブルは取り外されているので、点線で表記している。図9(B)では、蓄電パワーコンディショナ4には、発電装置2及び変圧装置3、並びに電力系統6及び負荷7が接続されている。ここでは、故障した蓄電池ユニット5及びトランスユニット12並びにこれらと接続するケーブルは取り外されているので、点線で表記している。図9(C)では、発電装置2及び変圧装置3、並びに電力系統6及び負荷7が接続された蓄電パワーコンディショナ4の自立出力端子に、トランスユニット12が接続されている。
発電装置専用モードでは、蓄電パワーコンディショナ4は、発電装置2によって発電された直流電力を変圧する変圧装置3とともに、発電装置2に接続されるパワーコンディショナのように動作する。すなわち、変圧装置3及び蓄電パワーコンディショナ4によって、発電装置2によって発電された直流電力が変圧され、交流電力に変換されて、電力系統6又は負荷7に供給される。
【0072】
〔実施例2〕
以下に、本発明の実施例2に係る蓄電システム1について、図面を用いて、詳細に説明する。実施例1と同様の構成については、同様の符号を付して、詳細な説明を省略する。
【0073】
<システム構成>
図10は、本発明の実施例2に係る蓄電パワーコンディショナを含む蓄電システム1の概略構成を示すブロック図である。蓄電システム1は、発電装置2と、変圧装置3と、蓄電パワーコンディショナ4と、蓄電池ユニット5と、を備える。実施例2では、システム構成情報のうち、蓄電パワーコンディショナ4に対する蓄電池ユニット5の接続の有無のみならず、蓄電池ユニット5の定格容量を、操作部8を介した設定によらずに、蓄電パワーコンディショナ4が取得する。すなわち、実施例2では、被検出システム構成情報としての蓄電池ユニット5の有無及びその定格容量を、設定取得部4611が取得する。
【0074】
図11は、実施例2に係る蓄電システム1の全体構成を示す図である。蓄電システム1は、発電装置2と、変圧装置3と、蓄電パワーコンディショナ4と、蓄電池ユニット5と、操作部8と、表示部9と、通信部10と、特定負荷分電盤11、特定負荷71とを備える。発電装置2と変圧装置3とは、ケーブル等によって相互に接続される。変圧装置3と蓄電パワーコンディショナ4とは、ケーブル等によって相互に接続される。変圧装置3は、蓄電パワーコンディショナ4に着脱可能である。蓄電パワーコンディショナ4に変圧装置3を取り付けていない場合であっても、蓄電パワーコンディショナ4は単独で動作可能である。図11の例では、変圧装置3の個数は1つであるが、これに限定されず、変圧装置3は複数であってもよく、変圧装置3の個数は増減可能である。
【0075】
蓄電パワーコンディショナ4には、特定負荷分電盤11が接続され、停電等により電力系統6からの交流電力の供給が停止した場合に、自立運転に切り替えることにより、特定負荷分電盤11に接続された特定負荷71へ発電装置2及び蓄電池ユニット5の少なくともいずれかから電力を供給できる。
【0076】
<蓄電池ユニットの定格容量の認識処理>
以下に、図12を参照して、制御部46が、蓄電池ユニット5の特性である定格容量を認識する処理について説明する。
【0077】
ここでは、6.5kWh、9.8kWh、16.4kWhの3種類の定格容量の蓄電池ユニットが、蓄電パワーコンディショナ4と接続可能な蓄電池ユニット5の候補として予め設定されているものとして説明する。蓄電パワーコンディショナ4と接続可能な蓄電池ユニット5の候補は、これらの定格容量を有するものに限られず、適宜設定することができる。このような蓄電パワーコンディショナ4と接続可能な蓄電池ユニット5の定格容量については、システム構成の一部として、操作部8により、又は、ネットワークを介して外部装置によって設定され、制御部46に含まれるメモリの所定領域に記憶されている。
【0078】
本実施例では、制御部46が、通信部47を介してInitializeコマンドを蓄電池ユニット5に送信することによって、蓄電池ユニット5の定格容量を認識する。Initializeコマンドには、蓄電池ユニット5の種類ごとに割り当てられたFixed Numberと呼ばれる識別情報が含まれている。例えば、6.5kWh、9.8kWh、16.4kWhの蓄電池ユニット5には、Fixed Numberとして0、1、2がそれぞれ対応する。蓄電池ユニット5は、蓄電パワーコンディショナ4から、Initializeコマンドにより、自身のFixed Numberを受信した場合には、応答として、正常レスポンスを返し、自身のFixed Numberとは異なるFixed Numberを受信した場合には、応答として、異常レスポンスを返すか、又は、応答を返さない。
【0079】
まず、制御部46は、通信部47を介して、6.5kWhのFixed Numberを含むInitializeコマンドを蓄電池ユニット5に送信する(ステップS21)。
これに対して、制御部46は、通信部47が受信した蓄電池ユニット5からの応答が、正常レスポンスか、異常レスポンスか、レスポンスがないかを判断する(ステップS22)。
【0080】
通信部47が、正常レスポンスを受信した場合には、制御部46は、接続されている蓄電池ユニット5の定格容量が6.5kWhであると判断し、蓄電パワーコンディショナ4に接続されている蓄電池ユニット5の情報として、メモリ(EEPROM)の所定領域に記憶する(ステップS23)。
通信部47が、異常レスポンスを受信した場合には、制御部46は、通信部47を介して、9.8kWhのFixed Numberを含むInitializeコマンドを蓄電池ユニット5に送信する(ステップS24)。
通信部47が、蓄電池ユニット5からレスポンスを受信しない場合には、所定時間が経過したか否かを判断し(ステップS25)、所定時間を経過していない場合には、ステップS22に戻る。そして、蓄電池ユニット5からレスポンスを受信することなく所定時間が経過した場合には、ステップS24に進む。
【0081】
ステップS24に続いて、制御部46は、通信部47が受信した蓄電池ユニット5からの応答が、正常レスポンスか、異常レスポンスか、レスポンスがないかを判断する(ステップS26)。
【0082】
通信部47が、正常レスポンスを受信した場合には、制御部46は、接続されている蓄電池ユニット5の定格容量が9.8kWhであると判断し、蓄電パワーコンディショナ4に接続されている蓄電池ユニット5の情報として、メモリの所定領域に記憶する(ステップS27)。
通信部47が、異常レスポンスを受信した場合には、制御部46は、通信部47を介して、16.4kWhのFixed Numberを含むInitializeコマンドを蓄電池ユニット5に送信する(ステップS28)。
通信部47が、蓄電池ユニット5からレスポンスを受信しない場合には、所定時間が経過したか否かを判断し(ステップS29)、所定時間を経過していない場合には、ステッ
プS26に戻る。そして、蓄電池ユニット5からレスポンスを受信することなく所定時間が経過した場合には、ステップS28に進む。
【0083】
ステップS28に続いて、制御部46は、通信部47が受信した蓄電池ユニット5からの応答が、正常レスポンスか、異常レスポンスか、レスポンスがないかを判断する(ステップS30)。
【0084】
通信部47が、正常レスポンスを受信した場合には、制御部46は、接続されている蓄電池ユニット5の定格容量が16.4kWhであると判断し、蓄電パワーコンディショナ4に接続されている蓄電池ユニット5の情報として、メモリの所定領域に記憶する(ステップS31)。
通信部47が、異常レスポンスを受信した場合には、制御部46は、蓄電池接続異常であると判断し(ステップS32)、処理を終了する。
通信部47が、蓄電池ユニット5からレスポンスを受信しない場合には、所定時間が経過したか否かを判断し(ステップS33)、所定時間を経過していない場合には、ステップS30に戻る。そして、蓄電池ユニット5からレスポンスを受信することなく所定時間が経過した場合には、ステップS32に進む。
【0085】
いずれのFixed Numberを含むInitializeコマンドから送信するかは上述の順序に限られないが、接続されている蓄電池ユニット5の定格容量はメモリに記憶されているので、蓄電パワーコンディショナ4がリセットされた場合や電源がOFFされた場合には、メモリに記憶されている定格容量に対応するFixed Numberを含むInitializeコマンドから送信するようにしてもよい。
【0086】
上述の処理により、蓄電パワーコンディショナ4では、接続された蓄電池ユニット5の定格容量を認識することができる。
このようにして認識された蓄電池ユニット5の定格容量に基づいて設定されたシステム構成テーブルTの例を図13に示す。ここでは、蓄電池ユニット5の定格容量は9.8kWhと認識されている。
このようにして認識した定格容量に応じて、変圧部42の出力を制御することにより、蓄電池ユニット5を損傷することなく、適切な充放電制御を行うことができる。すなわち、蓄電パワーコンディショナ4には複数種類の定格容量を有する蓄電池ユニット5を接続することができ、異なる定格容量に応じた運転が可能となり、蓄電パワーコンディショナ4と蓄電池ユニット5とを含む蓄電システム1の構成の自由度を向上させることができる。
【0087】
<自立運転時の充放電制御>
以下に、図14を参照して、自立運転時における蓄電システム1の充放電制御について説明する。図14は、自立運転時における蓄電システム1の充放電制御の手順を示すフローチャートである。ここで説明する充放電制御は、上述した定格容量の自動認識処理で取得した蓄電池ユニット5の定格容量を含むシステム構成テーブルTから変換された制御用テーブルTcを受信した、蓄電パワーコンディショナ4の第2制御ユニット462、変圧装置3の制御部34において、制御用テーブルを参照することにより決定される制御内容の一例である。
【0088】
蓄電システム1は、電力系統6と連系して蓄電池ユニット5及び発電装置2を運転するが、停電等により電力系統6からの電力供給が停止する場合には、電力系統6と解列して、電力系統6とは独立して自立運転を行う。
自立運転時には、発電装置2から入力部41に入力された直流電力、及び/又は蓄電池ユニット5から出力され、変圧部42によって変圧された直流電力が、変換部44によっ
て交流電力に変換され、入出力部45から出力されて、特定負荷分電盤11に接続された特定負荷71に供給される。このとき、入出力部45からは、単相二線100Vの交流電力が出力される。
自立運転時においては、蓄電パワーコンディショナ4にトランスユニットと全負荷切替分電盤とを介して負荷7を接続してもよい。ここでは、負荷7は、特定負荷と対比して一般負荷とも呼ばれ、主分電盤に接続され、連系運転時には電力系統6から交流電力が供給される負荷である。全負荷切替分電盤は、と負荷7とは、種々の態様で接続することができる。蓄電パワーコンディショナ4に設けられた自立出力用のコンセント(Outlet)に接続された負荷7に交流電力を供給することができる。また、入出力部45が、主分電盤を介して、又は、直接に、特定負荷分電盤に接続され、この特定負荷分電盤に接続された負荷(特定負荷)71に交流電力を供給することができる。このとき、入出力部45からは、単相二線100Vの交流電力が出力される。
【0089】
まず、制御部46は、変圧装置3の出力電力値P1を取得する(ステップS41)。上述したように、変圧装置3の制御部34は、CT3411によって計測される、出力部33から出力される直流電力の電流値と、変圧部32の出力電圧値とから、入力部41に出力される直流電力の電力値P1を計測する出力電力計測部341を有する。出力電力計測部341によって計測された電力値P1は、制御部34から、通信部35と通信部47との通信によって、蓄電パワーコンディショナ4の制御部46に送信される。制御部46は、本発明の第1電力値取得部の一例である。
【0090】
次に、制御部46は、入出力部45から、負荷(負荷又は特定負荷)7に出力される交流電力の出力電流値P2を取得する(ステップS42)。入出力部45には、変換部44から出力され、入出力部45を介して蓄電パワーコンディショナ4の外部へと出力される交流電力の電力値を計測する出力電力計測部451が設けられている。制御部46は、この出力電力計測部451から、出力電力値P2を取得する。入出力部45に設けられたCT及び電圧計によって計測された電流値及び電圧値を取得した制御部46が電力値を算出するようにしてもよい。
【0091】
制御部46は、電力値P1と電力値P2とを比較して、P1>P2であるか否かを判断する(ステップS43)。
ステップS43において、YesすなわちP1>P2であると判断された場合には、入力部41に入力された直流電力を、負荷7に電力を供給するとともに、蓄電池ユニット5を充電する(ステップS44)。すなわち、入力部41に入力された直流電力の一部は、変圧部42によって変圧され、変圧部42から出力された直流電力が入出力部43を介して蓄電池ユニット5に出力される。
そして、制御部46は、蓄電池ユニット5の電池残量が定格容量に応じた所定の上限値以上であるか否かを判断する(ステップS45)。
ステップS45において、電池残量が上限値より少ないと判断されるとステップS44に戻り、電池残量が上限値以上であると判断されるとステップS46に進む。ここでは、ステップS45において、電池残量が上限値より少ないと判断されるとステップS44に戻っているが、ステップS41に戻るようにしてもよい。
【0092】
ステップS43において、NoすなわちP1≦P2であると判断された場合には、蓄電池ユニット5を放電させる(ステップS47)。蓄電池ユニット5から放電された直流電力は、入出力部43から入力され、変圧部42によって変圧される。変圧部42から出力された直流電力と入力部41から入力された直流電力は変換部44で交流電力に変換され、入出力部45を介して負荷7に供給される。
そして、制御部46は、蓄電池ユニット5の電池残量が定格容量に応じた所定の下限値以下であるか否かを判断する(ステップS48)。
ステップS48において、電池残量が下限値より多いと判断されるとステップS47に戻り、電池残量が下限値以下であると判断されるとステップS46に進む。ここでは、ステップS48において、電池残量が下限値より多いと判断されるとステップS47に戻っているが、ステップS41に戻るようにしてもよい。
【0093】
ステップS46では、制御部46は、蓄電システム1の自立運転を終了するか否かを判断する。
電力系統6からの電力の供給が再開される等の理由により、自立運転を終了する場合には、蓄電池ユニット5の充放電制御を終了する。
自立運転を継続する場合には、ステップS41に戻る。
【0094】
このように蓄電池ユニット5の充放電制御を行うことにより、自立運転時に発電装置2によって発電された電力を優先して負荷7又は特定負荷71に供給し、余剰電力がある場合に蓄電池ユニット5を充電する。そして、発電装置2によって発電された電力のみでは、負荷7又は特定負荷71に供給する電力が不足する場合には、蓄電池ユニット5を放電して負荷7又は特定負荷71に供給する電力を増やす。このようにすれば、自立運転時にも、負荷7又は特定負荷71をより安定的に稼働させることができる。
【0095】
上述の蓄電池ユニット5の充放電制御を行う場合には、発電装置2がPVユニットであれば、変圧装置3の制御部34は、MPPT(Maximum Power Point Tracking)制御を実施し、PVユニットの最大電力に追従するようPVユニットを運転する。そして、蓄電池ユニット5を充電する場合には、充電電力は後述する処理により自動的に設定することができる。蓄電池ユニット5の充電電力は、定格容量に応じてあらかじめ設定しておいてもよいし、操作部8によりユーザが設定してもよい。また、ネットワーク14を通じて、サーバ15が蓄電池ユニット5の充電電力を設定するようにしてもよい。
【0096】
〔実施例3〕
以下に、本発明の実施例3に係る蓄電システム1について、図面を用いて、詳細に説明する。実施例1と同様の構成については、同様の符号を付して、詳細な説明を省略する。
【0097】
<システム構成>
図15は、本発明の実施例に係る蓄電パワーコンディショナ4を含む蓄電システム1の概略構成を示すブロック図である。図16は、本発明の実施例に係る蓄電システム1の全体構成を示す図である。
蓄電システム1は、発電装置2と、変圧装置3と、蓄電パワーコンディショナ4と、蓄電池ユニット5とを備える。
【0098】
入出力部45は、交流電力を電力系統6又は負荷7に出力する。また、電力系統6から出力された交流電力が、入出力部45に入力される。電力系統6からは、単相三線式の交流電力が連系入出力端子452a、452b及び452cを介して入力される。ここでは、連系入出力端子452a、452b及び452cには、電力系統6のU相、O相、W相の電力線がそれぞれ接続される。連系入出力端子452a、452b及び452cと変換部44とを接続する電路4501には、蓄電パワーコンディショナ4を、電力系統6と連系又は解列するために、電路4501を開閉する連系リレー453が設けられている。また、入出力部45には、変換部44と連系リレー453との間の電路4501に一端が接続され、自立出力端子454a、454bに他端が接続される電路4502が設けられている。電路4502は、電路4501を介して変換部44と自立出力端子454a、454bとを接続する。電路4502の変換部44側には、電路4502を開閉する自立リレー455が設けられている。そして、電路4502の自立出力端子454a、454b側には、切替リレー456が設けられている。切替リレー456は、電路4503を介して
、電力系統6のU相に接続される電路4501u及びO相に接続される電路4501oに接続される。切替リレー456は、一端が自立出力端子454a、454b側の電路4502に接続され、他端が、自立リレー455側で電路4502に接続される端子a及びaと、電路4503に接続される端子b及びbとの間で切り替えられるようになっている。また、自立リレー455と切替リレー456との間の電路4502に一端が接続され、自立入力端子457a、457bに他端が接続される電路4504が設けられている。電路4504には、電路4504を開閉する自立入力リレー458が設けられている。そして、自立入力リレー458の他端は自立入力端子457a、457bに接続される。ここでは、自立入力端子457a、457bには、自立入力用PVパワーコンディショナ16及びPV17が接続されている。入出力部45に設けられた連系リレー453、自立リレー455、切替リレー456及び自立入力リレー458は、制御部46によって制御される。連系入出力端子452a、452b及び452c、並びに、自立出力端子454a及び454bは、本発明の第1出力部の一例である。また、連系リレー453、自立リレー455、切替リレー456及び自立入力リレー458は、本発明の出力選択部の一例であり、これらの切り替え又は開閉は、本発明の出力選択部による出力部の選択でもある。また、自立入力用PVパワーコンディショナ16は、本発明の接続候補装置の一例である。
【0099】
図15に示す蓄電システム1では、自立出力端子454a、454bに、特定負荷分電盤11が接続されているが、図18に示すように、自立出力端子454a、454bに、トランスユニット12を接続することができる。このときトランスユニット12には、全負荷切替分電盤13を介して負荷7が接続される。自立入力端子457a、457bには、自立入力用PVパワーコンディショナ16及び自立入力用のPV17を接続することができる。
【0100】
実施例3では、システム構成情報のうち、蓄電パワーコンディショナ4に対するトランスユニット12の接続の有無、自立入力用PVパワーコンディショナ16の接続の有無を、操作部8を介した設定によらずに、蓄電パワーコンディショナ4が取得する。すなわち、実施例3では、被検出システム構成情報としてのトランスユニット12の接続の有無、自立入力用PVパワーコンディショナ16の接続の有無を、設定取得部4611が取得する。
【0101】
自立出力端子454a、454bにトランスユニット12が接続されているか否かを検出する方法は特に限定されない。例えば、トランスユニット12に内蔵されたCT等のセンサ121の信号を取得する、トランスユニット12が自立出力端子454a、454bに接続されることによる蓄電パワーコンディショナ4の所定部位の電位の変化を検出する等により、制御部46がトランスユニット12接続されているか否かを検出することができる。
【0102】
自立入力端子457a、457bに自立入力用PVパワーコンディショナ16に接続されているか否かを検出する方法は特に限定されない。例えば、制御部46から通信部47を介して自立入力用PVパワーコンディショナ16に所定のコマンドを送信し、それに対する自立入力用PVパワーコンディショナ16の応答に基づいて検出することができる。
【0103】
このようにして取得されたトランスユニット12の接続の有無、自立入力用PVパワーコンディショナ16の接続の有無に関する情報に基づいて、システム構成テーブルTが設定される。図17(A)および図17(B)に、検出されたシステム構成情報に基づいて設定されたシステム構成テーブルTの例を示す。図17(A)は、トランスユニット12の接続の有無は「なし」、自立入力用PVパワーコンディショナ16の接続の有無は「あり」と検出された場合の例であり、図17(B)は、トランスユニット12の接続の有無は「あり」、自立入力用パワーコンディショナ16の接続の有無は「あり」と検出された
場合の例である。ここでは、トランスユニット12の接続の有無及び自立入力用PVパワーコンディショナ16の接続の有無は、被検出構成情報として設定取得部4611に取得され、システム構成テーブルTに設定される場合に限られず、被設定情報として操作部8を介して設定され、システム構成テーブルTに設定されてもよい。
【0104】
トランスユニット12の接続の有無及び自立入力用PVパワーコンディショナ16の接続の有無を含むシステム構成テーブルTから変換された制御用テーブルTcは、蓄電パワーコンディショナ4の第2制御ユニット462、変圧装置3の制御部34において、参照されて制御内容が決定される。
【0105】
入出力部45に設けられた連系リレー453、自立リレー455、切替リレー456及び自立入力リレー458は、制御部46によって制御される。電力系統6と連系して蓄電パワーコンディショナ4を含む蓄電システム1を運転する場合には、連系リレー453は閉じられ、変換部44と電力系統6は電路4501によって接続される。図15では省略しているが、詳細には、電力系統6は、連系入出力端子452a、452b、452cに接続される電路と分岐して、後述する全負荷切替分電盤13を介して、主分電盤に接続される。そして、主分電盤には負荷7が接続されており、電力系統6と連系して蓄電パワーコンディショナ4を含む蓄電システム1を運転する場合には、電力系統6から供給される交流電力は、この主分電盤を介して、負荷7に供給される。電力系統6と連系して蓄電パワーコンディショナ4を含む蓄電システム1を運転する場合には、自立リレー455及び自立入力リレー458は開かれ、切替リレー456は、接点b側に接続される。
【0106】
電力系統6と解列して蓄電パワーコンディショナ4を含む蓄電システム1を運転する場合には、連系リレー453は開かれ、変換部44と電力系統6を接続する電路4501は遮断される。そして、自立リレー455が閉じられ、切替リレー456は接点a側に切り替えられ、変換部44と、自立出力端子454a、454bとが接続される。ここでは、自立出力端子454a、454bには、特定負荷分電盤11が接続されている。特定負荷分電盤11には、自立運転時に稼働させる予め特定された特定負荷が接続される。このとき、変換部44から、電路4502を通じ、自立出力端子454a、454bを介して、単相二線100Vの交流電力が出力される。
【0107】
入出力部45の自立入力端子457a、457bには、自立入力用PVが接続された自立入力用PVパワーコンディショナ16を接続することができる。自立入力用PVが接続された自立入力用PVパワーコンディショナ16を接続した蓄電パワーコンディショナ4を含む蓄電システム1を、電力系統6と解列して運転する場合には、自立入力リレー458を閉じる。これによって、自立入力用PVパワーコンディショナ16が、変換部44及び特定負荷分電盤11と接続されるので、自立入力用PVパワーコンディショナ16から出力される交流電力が、特定負荷分電盤11を介して、特定負荷71に供給され、または、変換部44によって直流電力に変換され、変圧部42で変圧され、入出力部43から出力され、蓄電池ユニット5を充電する。
【0108】
<他のシステム構成>
図18を参照して、本実施例3に係る蓄電パワーコンディショナ4を含む蓄電システム1において、システム構成が異なる例について説明する。図19は、構成が異なる蓄電システム1の全体構成を示す。
【0109】
蓄電パワーコンディショナ4では、図18に示すように、特定負荷分電盤11に替えて、自立出力端子454a、454bにトランスユニット12を接続することができる。例として、トランスユニット12の定格は単相二線200Vとする。トランスユニット12は全負荷切替分電盤13を介して負荷7が接続される。このとき、変換部44からは、自
立出力端子454a、454bを介して、単相二線200Vの交流電力が出力される。そして、トランスユニット12は、この単相二線200Vの交流電力を単相三線200Vに変圧して全負荷切替分電盤に出力する。図18では省略しているが、図19に示すように、全負荷切替分電盤13と負荷7との間には、主分電盤18が接続される。電力系統6と全負荷切替分電盤13とは、電力系統6と蓄電パワーコンディショナ4の連系入力端子452a、452b、452cとを接続する電力線61から分岐した電力線62によって接続されている。全負荷切替分電盤13には、電力系統6から電力線62を通じて単相三線200Vの交流電力が入力されている。全負荷切替分電盤13は、連系運転時には、電力系統6から入力される交流電力を負荷7に供給し、自立運転時には、トランスユニット12から入力された交流電力を負荷7に供給するよう電路を切り替える。
【0110】
上述したように、蓄電パワーコンディショナ4の自立出力端子454a、454bには、特定負荷分電盤11(図15及び図16参照)と、トランスユニット12(図18及び図19参照)を選択的に接続することができ、特定負荷分電盤11が接続された場合と、トランスユニット12が接続された場合とで、自立運転時における変換部44から自立出力端子454a、454bを介して出力される交流電力の電圧が切り替えられる。
【0111】
<出力電圧変更処理>
以下に、図20を参照して、自立運転時における変換部44から自立出力端子454a、454bを介して出力される交流電力の電圧の変更処理について説明する。ここで説明する出力電圧の変更処理は、上述したように取得されたトランスユニット12の接続の有無及び自立入力用PVパワーコンディショナ16の接続の有無を含む制御用テーブルTcを参照して決定される制御内容の一例である。
図19に示す処理は、自立運転が開始された場合に実施される。自立運転は、停電や設備の異常等により電力系統6からの交流電力の供給の停止を検出した場合に、自動的に連系運転を停止し、自立運転を開始するように運転モードを切り替えてもよいし、ユーザが後述の表示部9によって電力系統6からの交流電力の供給が停止したことを認識した場合に、操作部8によって連系運転を停止し、自立運転を開始するように指示してもよい。また、サーバ15からネットワーク14を経由して、連系運転を停止し、自立運転を開始する旨の指令を、通信部10に送信し、これを受信した操作部8が蓄電パワーコンディショナ4に連系運転を停止し、自立運転を開始するように指示してもよい。
【0112】
まず、制御部46は、連系リレー453を開く(ステップS61)。
次に、制御部46は、自立リレー455を閉じる(ステップS62)。
次に、制御部46は、切替リレー456をb接点側からa接点側に切り替える(ステップS63)。
【0113】
次に、制御部46は、制御用テーブルTcを参照して、自立出力端子454a、454bにトランスユニット12が接続されているかを判断する(ステップS64)。
ステップS64において、自立出力端子454a、454bにトランスユニット12が接続されていないと判断された場合には、制御部46は、変換部44の出力を単相二線100Vに設定し(ステップS65)、処理を終了する。
ステップS64において、自立出力端子454a、454bにトランスユニット12が接続されていると判断された場合には、制御部46は、制御用テーブルTcを参照して、自立入力端子457a、457bに自立入力用PVパワーコンディショナ16が接続さているか否かを判断する(ステップS66)。
【0114】
ステップS66において、自立入力端子457a、457bに自立入力用PVパワーコンディショナ16が接続されていると判断された場合には、制御部46は、自立入力リレー458を開き(ステップS67)、電路4502と自立入力端子457a、457bと
を接続する電路4503を遮断し、ステップS8に進む。
ステップS66において、自立入力端子457a、457bに自立入力用PVパワーコンディショナ16が接続されていないと判断された場合には、ステップS68に進む。
【0115】
ステップS68では、制御部46は、変換部44の出力を切り替えて単相二線200Vに設定し、処理を終了する。
【0116】
このように、蓄電パワーコンディショナ4は、自立運転時に、特定負荷分電盤11に接続された特定負荷71に電力を供給するだけでなく、特定負荷分電盤11に対する自立出力とは異なる交流電力を入力する必要があるトランスユニット12が接続されたことを検知すると、自立出力端子454a、454bからの出力をトランスユニット12に適した交流電力に切り替えることにより、トランスユニット12を含めた蓄電システム1の運転が可能となる。すなわち、本発明によれば、蓄電パワーコンディショナ4を含む蓄電システム1の構成の自由度が向上する。また、特定負荷分電盤11とトランスユニット12を共通の自立出力端子454a、454bに接続するので、設置スペースが抑えることができ、コストも抑えることができる。
【0117】
上述の実施例ではトランスユニット12が自立出力端子454a、454b接続されているか否かを自立運転開始時に行っているが、連系運転時に、トランスユニット12が接続されているか否かを制御部46が判断するようにしてもよい。トランスユニット12が自立出力端子454a、454bが接続されている場合には、連系運転時に切替リレー456を接点b側に接続し、電力系統6から供給された交流電力を、トランスユニット12に接続しないようにする。このとき、出力された交流電力は、トランスユニット12を介さず、電力線62を通じて全負荷切替分電盤13へ至り負荷7に供給される。電力系統6から連系入出力端子452a、452b、452cに入力された交流電力は、電路4501、電路4504、切替リレー456、電路4502、自立出力端子454a、454bを介して、トランスユニット12に出力される。また、変換部44からの出力電力は、電路4501、電力線61、電力線62を通じて全負荷切替分電盤13に至り負荷7に供給される。
【0118】
上述した蓄電システム1では、蓄電パワーコンディショナ4には、発電装置2及び変圧装置3と、自立入力用PV17及び自立入力用PVパワーコンディショナ16とを接続し、自立出力端子454a、454bには特定負荷分電盤11又はトランスユニット12のいずれか一方を接続している。蓄電システム1の構成は、これに限定されない。発電装置2及び変圧装置3と、自立入力用PV17及び自立入力用PVパワーコンディショナ16とを、選択的に蓄電パワーコンディショナ4に接続するようにしてもよい。すなわち、蓄電パワーコンディショナ4に発電装置2及び変圧装置3を接続する場合には、自立入力用PV17及び自立入力用PVパワーコンディショナ16を接続せず、蓄電パワーコンディショナ4に自立入力用PV17及び自立入力用PVパワーコンディショナ16を接続する場合には、発電装置2及び変圧装置3を接続しないようにしてもよい。
【0119】
なお、以下には本発明の構成要件と実施例の構成とを対比可能とするために、本発明の構成要件を図面の符号付きで記載しておく。
<発明1>
直流電力が入力される入力部(41)と、
直流電力の電圧を変圧する第1変圧部(42)と、
前記第1変圧部(42)によって変圧された直流電力を蓄電池ユニット(5)に出力し、かつ、該蓄電池ユニット(5)から直流電力が入力される第1入出力部(43)と、
直流電力を交流電力に変換する変換部(44)と、
前記変換部(44)によって変換された交流電力を電力系統(6)又は負荷(7)に出
力し、かつ、該電力系統(6)から交流電力が入力される第2入出力部(45)と、
前記第1変圧部(42)及び前記変換部(44)を制御する第1制御部(46)と、
前記蓄電池ユニット(5)をとの間で通信を行う第1通信部(47)と、
を備え、
前記第1変圧部(42)には、前記入力部(41)に入力された直流電力、及び、前記第2入出力部(45)に入力され、前記変換部(44)によって変換された直流電力が入力され、
前記変換部(44)には、前記第1変圧部(42)から出力された直流電力及び前記入力部(41)に入力された直流電力が入力される電力制御装置(4)であって、
前記第1制御部(46)は、
前記電力制御装置(4)に接続され、該電力制御装置(4)との間で、電力の入力及び出力の少なくともいずれか一方を行うことが可能な装置であって、前記蓄電池ユニット(5)を含む接続候補装置に関する情報である接続候補装置情報を取得する接続候補装置情報取得部(4611)と、
前記接続候補装置情報に基づいて、制御内容を決定する制御内容決定部(4622)と、
を有することを特徴とする電力制御装置(4)。
【符号の説明】
【0120】
4 :蓄電パワーコンディショナ
5 :蓄電池ユニット
6 :電力系統
7 :負荷
41 :入力部
42 : 変圧部
43 :入出力部
44 :変換部
45 :入出力部
46 :制御部
47 :通信部
4611:設定取得部
4622:制御内容決定部

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