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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-08
(45)【発行日】2024-05-16
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/16 20060101AFI20240509BHJP
【FI】
G03G21/16 133
G03G21/16 109
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020047656
(22)【出願日】2020-03-18
(65)【公開番号】P2021148905
(43)【公開日】2021-09-27
【審査請求日】2023-02-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137752
【弁理士】
【氏名又は名称】亀井 岳行
(74)【代理人】
【識別番号】100085040
【弁理士】
【氏名又は名称】小泉 雅裕
(74)【代理人】
【識別番号】100108925
【弁理士】
【氏名又は名称】青谷 一雄
(74)【代理人】
【識別番号】100087343
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 智廣
(72)【発明者】
【氏名】上垣外 直也
(72)【発明者】
【氏名】宮川 正平
(72)【発明者】
【氏名】黒田 光昭
(72)【発明者】
【氏名】斎木 厚名
【審査官】小池 俊次
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-113929(JP,A)
【文献】特開2002-372889(JP,A)
【文献】特開2019-200305(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/16
G03G 15/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の側面を有する筐体と、
前記筐体内に設置され、一方向に長い現像装置筐体を有する複数の現像装置から個別に供給される現像剤からなる像を形成して記録媒体に転写する像形成部と、
前記筐体内に着脱可能に装着され、前記複数の現像装置に個別に補給される現像剤を収納する複数の現像剤容器と、
を備え、
前記像形成部を構成する少なくとも一部は、前記筐体における前記複数の側面のうちの1つである第1側面から前記現像装置筐体の前記一方向に沿う方向に引き出され、
前記複数の現像剤容器は、前記筐体における前記複数の側面のうち前記第1側面と対向する第2側面から前記現像装置筐体の前記一方向に沿う方向に挿抜して着脱される画像形成装置。
【請求項2】
背面を有する筐体と、
前記筐体内に設置され、一方向に長い現像装置筐体を有する複数の現像装置から個別に供給される現像剤からなる像を形成して記録媒体に転写する像形成部と、
前記筐体内に着脱可能に装着され、前記複数の現像装置に個別に補給される現像剤を収納する複数の現像剤容器と、
を備え、
前記像形成部を構成する少なくとも一部は、前記筐体における前記背面と対向する正面から前記現像装置筐体の前記一方向に沿う方向に引き出され、
前記複数の現像剤容器は、前記筐体における前記背面から前記現像装置筐体の前記一方向に沿う方向に挿抜して着脱される画像形成装置。
【請求項3】
前記複数の現像剤容器が装着される各装着位置は、前記複数の現像装置よりも前記第2側面に近い位置である請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記複数の現像剤容器が装着される各装着位置は、前記複数の現像装置よりも前記背面に近い位置である請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記像形成部が前記現像剤からなる像を中継して記録媒体に転写する位置まで搬送する中間転写体を有しており、
前記複数の現像剤容器が装着される各装着位置は、前記中間転写体と前記挿抜する方向において重ならない位置である請求項1乃至4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記複数の現像剤容器が装着される各装着位置は、前記現像剤容器の最上部が前記像形成部の最上部の位置よりも下方の位置である請求項1乃至5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の現像装置に個別に補給される現像剤を収納する複数の現像剤容器を備えた画像形成装置としては、例えば、以下の特許文献1、2に記載されたものが知られている。
【0003】
特許文献1には、4つの現像剤容器が、箱型形状の本体のうち画像形成部や中間転写ベルトよりも上方の部位に対して着脱可能にかつ横並び状態で装着される画像形成装置が記載されている。
特許文献2には、4つの現像剤容器であるトナーカートリッジが、装置本体のうち4色のトナー像が専用に形成される複数のプロセスカートリッジの斜め上方で書き込み部よりも側方の部位(トナー補給部)に交換自在に設置される画像形成装置が記載されている。また特許文献2には、装置本体のうちトナー補給部の近くにあるキャリア補給部に、キャリアを収納するキャリアカートリッジが設置されることも記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2014-106473号公報(段落0038、図1など)
【文献】特開2007-101598号公報(段落0064、0077、図1図4など)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この発明は、複数の現像剤容器を、筐体における像形成部を構成する少なくとも一部が引き出される筐体の第1側面と対向する第2側面(例えば背面)から挿抜して装着しない場合に比べて、少なくとも像形成部が設置される筐体の高さが複数の現像剤容器を装着するスペースを確保する影響により増大することを抑制できる画像形成装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明(1)は、
複数の側面を有する筐体と、
前記筐体内に設置され、一方向に長い現像装置筐体を有する複数の現像装置から個別に供給される現像剤からなる像を形成して記録媒体に転写する像形成部と、
前記筐体内に着脱可能に装着され、前記複数の現像装置に個別に補給される現像剤を収納する複数の現像剤容器と、
を備え、
前記像形成部を構成する少なくとも一部は、前記筐体における前記複数の側面のうちの1つである第1側面から前記現像装置筐体の前記一方向に沿う方向に引き出され、
前記複数の現像剤容器は、前記筐体における前記複数の側面のうち前記第1側面と対向する第2側面から前記現像装置筐体の前記一方向に沿う方向に挿抜して着脱される画像形成装置である。
【0007】
また、この発明(2)は、
背面を有する筐体と、
前記筐体内に設置され、一方向に長い現像装置筐体を有する複数の現像装置から個別に供給される現像剤からなる像を形成して記録媒体に転写する像形成部と、
前記筐体内に着脱可能に装着され、前記複数の現像装置に個別に補給される現像剤を収納する複数の現像剤容器と、
を備え、
前記像形成部を構成する少なくとも一部は、前記筐体における前記背面と対向する正面から前記現像装置筐体の前記一方向に沿う方向に引き出され、
前記複数の現像剤容器は、前記筐体における前記背面から前記現像装置筐体の前記一方向に沿う方向に挿抜して着脱される画像形成装置である。
【0008】
この発明(3)は、上記発明(1)の画像形成装置において、前記複数の現像剤容器が装着される各装着位置は、前記複数の現像装置よりも前記第2側面に近い位置であるものである。
【0009】
この発明(4)は、上記発明(2)の画像形成装置において、前記複数の現像剤容器が装着される各装着位置は、前記複数の現像装置よりも前記背面に近い位置であるものである。
【0010】
この発明(5)は、上記発明(1)から(4)のいずれかの画像形成装置において、前記像形成部が前記現像剤からなる像を中継して記録媒体に転写する位置まで搬送する中間転写体を有しており、前記複数の現像剤容器が装着される各装着位置は、前記中間転写体と前記挿抜する方向において重ならない位置であるものである。
【0011】
この発明(6)は、上記発明(1)から(5)のいずれかの画像形成装置において、前記複数の現像剤容器が装着される各装着位置は、前記現像剤容器の最上部が前記像形成部の最上部の位置よりも下方の位置であるものである。
【発明の効果】
【0012】
上記発明(1)の画像形成装置によれば、複数の現像剤容器を、像形成部を構成する少なくとも一部が現像装置筐体の一方向に沿う方向に引き出される筐体の第1側面と対向する第2側面から現像装置筐体の一方向に沿う方向に挿抜して装着しない場合に比べて、少なくとも像形成部が設置される筐体の高さが複数の現像剤容器を装着するスペースを確保する影響により増大することを抑制できる。
【0013】
上記発明(2)の画像形成装置によれば、複数の現像剤容器を、像形成部を構成する少なくとも一部が現像装置筐体の一方向に沿う方向に引き出される筐体の前面と対向する背面から現像装置筐体の一方向に沿う方向に挿抜して装着しない場合に比べて、少なくとも像形成部が設置される筐体の高さが複数の現像剤容器を装着するスペースを確保する影響により増大することを抑制できる。
【0014】
上記発明(3)によれば、複数の現像剤容器が装着される各装着位置が複数の現像装置よりも第2側面に近い位置でない場合に比べて、筐体の高さが複数の現像剤容器を装着するスペースを確保する影響により増大することを確実に抑制するよう構成することができる。
【0015】
上記発明(4)によれば、複数の現像剤容器が装着される各装着位置が複数の現像装置よりも背面に近い位置でない場合に比べて、筐体の高さが複数の現像剤容器を装着するスペースを確保する影響により増大することを確実に抑制するよう構成することができる。
【0016】
上記発明(5)によれば、複数の現像剤容器が装着される各装着位置が中間転写体と現像剤容器の挿抜する方向において重なる位置になる場合に比べて、筐体の高さが複数の現像剤容器を装着するスペースを確保する影響により増大することを確実に抑制するよう構成することができる。
【0017】
上記発明(6)によれば、複数の現像剤容器が装着される各装着位置が、現像剤容器の最上部が像形成部の最上部の位置よりも上方の位置になる場合に比べて、筐体の高さが複数の現像剤容器を装着するスペースを確保する影響により増大することを確実に抑制することができ、また複数の現像剤容器の各装着位置を低くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】実施の形態1に係る画像形成装置を正面側から見たときの状態で示す概要図である。
図2図1の画像形成装置における像形成部を示す概要図である。
図3図1の画像形成装置を背面側から見たときの状態で示す概要図である。
図4図1の画像形成装置を上方から見たときの状態で示す概要図である。
図5図1の画像形成装置を右側面側から見たときの状態で示す概要図である。
図6】(A)はトナー容器と現像剤の補給装置と現像装置の構成を示す概要図、(B)は(A)の補給装置にトナー容器を装着したときの状態を示す概要図、(C)は(B)の補給装置から現像装置を離したときの状態を示す概要図である。
図7】(A)は現像剤の補給装置の背面側からの状態を示す概要図、(B)は(A)の補給装置にトナー容器を装着してトナーの補給状態等を示す概要図である。
図8】画像形成装置の変形例を上方から見たときの状態で示す概要図である。
図9】比較例の画像形成装置の構成を示す概要図である。
図10】他の比較対象の画像形成装置の構成例を右側面側から見たときの状態で示す概要図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、この発明を実施するための形態について図面を参照しながら説明する。
【0020】
実施の形態1.
図1図2は、この発明の実施の形態1を示す図面である。図1には実施の形態1に係る画像形成装置1の全体が示され、図2にはその画像形成装置1における像形成部が示されている。
図1図2等の各図面中に符号X,Y,Zで示す矢印は、左右の方向(水平方向)、上下の方向(垂直方向)および前後の方向(水平方向)をそれぞれ示す。また図面中においてX,Yの方向の矢印が交わる部分の丸印は、Zの方向が図面の鉛直下方に向いていることを示している。
【0021】
<画像形成装置>
画像形成装置1は、図1に示されるように、所要の外観形状からなる筐体10を有しており、その筐体10の内部空間に、像形成部2、給紙部4、定着部5、図示しない給電部、制御部等を備えている。
【0022】
まず筐体10は、各種の支持部材、外装材等を組み合わせて所要の構造および形状に形成された構造物である。実施の形態1における筐体10は、高さおよび幅が相対的に大きい第1筐体部10Aと、その第1筐体部10Aよりも高さおよび幅が相対的に小さい第2筐体部10Bを組み合わせた外観形状になっている。第1筐体部10Aと第2筐体部10Bは、別体の構造物で構成されていて着脱可能に連結させることで一体にした複合型の構造物であるが、当初より一体の構造物として構成したものであってもよい。
【0023】
実施の形態1における筐体10の第1筐体部10Aは、左右の方向Xに対して相対的に長い横長の箱のような外観形状になる形成されており、内部空間11Aを有している。また第1筐体部10Aは、大別すると、計4つの側面10a,10b,10c,10dと1つの上面10eおよび下面(底面)10fとを有している。4つの側面10a,10b,10c,10dは、実施の形態1では例えば、前後の方向Xの前側に向ける側面10aを正面(前面)として扱い、残り3つの側面10b,10c,10dを背面(後面),左側面および右側面としてそれぞれ扱う(図1図4等を参照)。
また筐体10の第2筐体部10Bは、第1筐体部10Aよりも左右の方向Xに対して相対的に短い横長の箱のような外観形状になる形成されており、内部空間11Bを有している。
【0024】
また第1筐体部10Aは、開閉扉の開閉により内部空間11Aの一部を露出させた状態にして、内部空間11Aに配置した像形成部2の点検等の必要な作業が行える構造になっている。また第1筐体部10Aおよび第2筐体部10Bは、その内部空間11A、11Bが必要に応じてそれぞれ仕切られている。図1等における符号12は高さ調節等の機能を有する脚部、符号95は画像形成装置1が設置される設置面を示す。
【0025】
次に、像形成部2は、複数の現像装置24から個別に供給される現像剤からなる像を形成して記録媒体の一例である用紙9に転写する部分である。現像剤からなる像は、現像剤として例えばトナーとキャリアを含む二成分現像剤が使用される場合は、その二成分現像剤におけるトナーからなるトナー像となる。
【0026】
実施の形態1における像形成部2は、図1に示されるように、筐体10の第1筐体部10Aの内部空間11Aのうち右側の約半分の空間を占める位置に配置されている。また、この像形成部2は、図1図2に示されるように、現像剤としてのトナーからなるトナー像を形成する4つの像形成装置20A,20B,20C,20Dと、4つの像形成装置20(A,B,C,D)で形成される各トナー像を中継して用紙9に転写する位置まで搬送する中間転写体を有する中間転写装置30とで構成されている。
【0027】
像形成装置20(A,B,C,D)は、色又は種類が異なる4つのトナー(A,B,C,D)からなるトナー像を個別専用に形成する装置であることを示している。色や種類が異なるトナーからなるトナー像としては、例えば、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)等の有彩色又は無彩色のトナーからなる通常のトナー像が挙げられるが、これに限定されない。
【0028】
また、像形成装置20(A,B,C,D)はいずれも、使用する4つのトナー(A,B,C,D)が互いに異なる以外はほぼ同様に構成されている。4つのトナー(A,B,C,D)としては、例えば、上記したイエロー、マゼンタ、シアンおよびブラックの4色のトナーを適用することができる。
【0029】
すなわち、像形成装置20(A,B,C,D)は、図2等に示されるように、矢印で示す方向に回転駆動する感光ドラム21を有しており、その感光ドラム21の周囲に、感光ドラム21の外周面の像形成面を所要の電位に帯電させる帯電装置22と、感光ドラム21の帯電後の像形成面に外部から入力される画像情報に応じて処理された光を露光して静電潜像を形成する露光装置23と、静電潜像を対応する色又は種類のトナーで現像してトナー像にする現像装置24A,24B,24C,24Dと、感光ドラム21の像形成面から不要な付着物を除去してその像形成面を清掃するドラム清掃装置26等の機器を配置して構成されている。
図2では、符号21から24,26を像形成装置20A,20Dのみに全部記載し、他の像形成装置20B,20Cにはその一部を記載している。
【0030】
このうち現像装置24(A,B,C,D)は、4つのトナー(A,B,C,D)のいずれか1つをそれぞれ収容して現像を行う4つの現像装置であることを示している。例えば、現像装置24AはトナーAを収容して現像を行うものであることを示し、現像装置24BはトナーBを収容して現像を行うものであることを示す。
【0031】
また、現像装置24(A,B,C,D)は、その収容する現像剤(二成分現像剤であればトナー)が異なるのみで他はほぼ同じ構成になっている。
現像装置24(A,B,C,D)は、現像剤の収容部や現像開口部が形成された一方向に長い形状からなる筐体(ケーシング)240の内部に、現像剤を保持して感光ドラム21に供給して現像を行う現像ロール241、現像剤を撹拌しながら搬送する搬送部材242、現像ロール241に保持される現像剤の量(層厚等)を調整する調整部材243等の部品を配置して構成されている(図6等を参照)。筐体240の長手方向の一端部には、その一端部から突出した形態の現像剤補給部245が設けられている。
【0032】
さらに、現像装置24(A,B,C,D)は、図3から図5等に示されるように、その消費に応じて個別に補給される現像剤としてのトナー(A,B,C,D)を収納する4つの現像剤容器の一例であるトナー容器6A,6B,6C,6Dを備えている。トナー容器6(A,B,C,D)は、図4図5等に示されるように、第1筐体部10A内に対して着脱可能に装着されて使用される。
トナー容器6(A,B,C,D)の装着等の詳細については後述する。
【0033】
中間転写装置30は、図1図2に示されるように、中間転写体の一例である中間転写ベルト31、一次転写装置33、二次転写装置35、ベルト清掃装置36等を配置して構成されている。
【0034】
中間転写ベルト31は、所要の幅および長さからなる無端状のベルトであり、外周面にトナー像を保持することができるよう構成されている。中間転写ベルト31は、その内周面側に配置される複数の支持ロール32a~32cにより、像形成装置20(A,B,C,D)の各感光ドラム21と向き合う一次転写位置を順次通過してかつ用紙9と向き合う二次転写位置も通過して、矢印Bで示す方向に回転(循環移動)する状態に保たれるよう支持されている。複数の支持ロール32a~32cのうち例えば支持ロール32aは駆動ロールとして、支持ロール32cは二次転写バックアップロールとして構成されている。
【0035】
一次転写装置33は、像形成装置20(A,B,C,D)の各感光ドラム21に形成される各トナー像を静電作用等により中間転写ベルト31の外周面に一次転写させる装置である。この一次転写装置33としては、例えば、一次転写位置において中間転写ベルト31を各感光ドラム21に押し付けて回転するとともに一次転写バイアスが給電される一次転写ロールを有するものが適用されている。
【0036】
二次転写装置35は、中間転写ベルト31の外周面に一次転写されたトナー像を静電作用等により用紙9に二次転写させる装置である。この二次転写装置35としては、例えば、支持ロール32cで支持される二次転写位置において中間転写ベルト31の外周面に接触して回転するとともに二次転写バイアスが給電される二次転写ロールを有するものが適用されている。
ベルト清掃装置36は、中間転写ベルト31の外周面から不要な付着物を除去してその外周面を清掃する装置である。
【0037】
実施の形態1における中間転写装置30は、図1等に示されるように、筐体10の第1筐体部10Aの内部空間11Aにおいて中間転写ベルト31が複数の支持ロール32a~32cにより水平走行領域、下降傾斜走行領域および上昇傾斜走行領域を有する形態で掛けまわされている。
【0038】
水平走行領域は、筐体10の内部空間の上方側の位置において、支持ロール32aと支持ロール32bによって左右の方向Xにほぼ水平な状態に支持されて走行する領域である。下降傾斜走行領域は、支持ロール32bと支持ロール32cによって右から左下にむけて傾斜しながら下降する状態に支持されて走行する領域である。上昇傾斜走行領域は、支持ロール32cと支持ロール32aによって下から左上にむけて傾斜しながら上昇する状態に支持されて走行する領域である。
【0039】
また、実施の形態1における4つの像形成装置20(A,B,C,D)は、中間転写ベルト31の上記掛けまわし形態の関係により、図1図2に示されるように次の状態で配置されている。
【0040】
2つの像形成装置20(A,B)は、中間転写ベルト31の水平走行領域において左右の方向Xに一定の間隔(一次転写位置の間隔)をあけてほぼ水平の状態に並ぶよう配置されている。また、残り2つの像形成装置20(C,D)は、中間転写ベルト31の下降傾斜走行領域において上記一定の間隔と同じ間隔をあけて斜めの状態に並ぶよう配置されている。上側の水平走行領域と下側の下降傾斜走行領域に分かれて配置される像形成装置20Bと像形成装置20Cについても、その一次転写位置の間隔が上記一定の間隔と同じ間隔になるよう配置されている。
【0041】
さらに、実施の形態1における二次転写装置35は、中間転写ベルト31の上昇傾斜走行領域における中ほどの位置に配置されている。
【0042】
次に、給紙部4は、像形成部2の転写を行う位置に供給すべき用紙9を収容して送り出す部分である。
【0043】
実施の形態1における給紙部4は、図1に示されるように、筐体10の第2筐体部10Bの内部空間11Bに配置されている。また、この給紙部4は、複数枚の用紙9を所要の向きで積載して収容する収容体41と、収容体41に収容されている用紙9を1枚ずつ送り出す送出装置42等で構成されている。
用紙9としては、例えば筐体10(10A,10B)内での搬送が可能であってトナー像の転写および定着が可能な記録媒体であれば適用することができ、その材質、形態等については特に制約されない。
【0044】
また、給紙部4は、像形成部2が中間転写装置30を含む構成になっているため、用紙9を中間転写装置30における二次転写位置に供給するよう構成されている。この給紙部4では、収容体41から送り出す用紙9を、給紙搬送路45を介して二次転写位置まで搬送するようになっている。
【0045】
給紙搬送路45は、給紙部4にある用紙9を二次転写位置に所要のタイミングで供給するよう搬送する用紙搬送路である。この給紙搬送路45は、例えば、用紙9を挟持して搬送する複数の搬送ロール46a~46dや、用紙9の搬送空間を確保して用紙9の搬送を案内する図示しない複数の案内部材等を配置して構成されている。また本実施形態における給紙搬送路45は、第2筐体部10Bの内部空間11Bから第1筐体部10Aの内部空間11Aにわたって第1筐体部10Aの下面10fに近い下方の空間を占める位置に配置されている。
【0046】
次に、定着部5は、像形成部2で転写されたトナー像を用紙9に定着させる部分である。
【0047】
実施の形態1における定着部5は、図1に示されるように、筐体10の第1筐体部10Aの内部空間11Aのうち左側の約半分の空間を占める位置に配置されている。また、この定着部5は、トナーを所要の温度で加熱して溶融させるとともに所要の圧力で加圧する定着処理を行うものである。
【0048】
定着部5は、例えば、用紙9の導入口やその排出口が設けられた筐体50の内部空間に、加熱用回転体51、加圧用回転体52等の機器を配置してなる定着装置で構成される。加熱用回転体51は、図示しない加熱手段で所要の温度に加熱されて回転する、ロール形態、ベルト-パッド形態等の形態からなる回転体である。加圧用回転体52は、加熱用回転体51に所要の圧力で押し当てた状態で回転する、ロール形態、ベルト-パッド形態等の形態からなる回転体である。加圧用回転体52は、加熱手段で加熱されるものであってもよい。
【0049】
この定着部5では、加熱用回転体51と加圧用回転体52が接触し合う部分が、未定着像のトナー像が転写された用紙9を挟持した状態で通過させるとともに、その通過の際にトナー像を用紙9に定着させるための加熱、加圧等の処理を行う定着処理部(ニップ部)となる。
【0050】
また、画像形成装置1においては、図1に示されるように、第1筐体部10Aの内部に中継搬送路47、排出搬送路48等の用紙搬送路が配置されている。
【0051】
中継搬送路47は、像形成部2の二次転写が終了した後の用紙9を定着部5に導入させるよう中継して搬送する用紙搬送路である。この中継搬送路47は、例えば、像形成部2の二次転写位置と定着部5の間に吸引式のベルト搬送装置等を配置して構成される。
排出搬送路48は、定着部5での定着が終了した後の用紙9を第1筐体部10Aの左側面10cにおける用紙9の排出口13まで搬送した後に図示しない収容部に排出させるよう搬送する用紙搬送路である。この排出搬送路48は、搬送ロール49や複数の案内部材等を配置して構成される。
【0052】
また、画像形成装置1においては、図1に示されるように、筐体10における第1筐体部10Aと第2筐体部10Bの接合する側面部分が境界壁15の役割をしており、この境界壁15によって第1筐体部10Aの内部空間11Aと第2筐体部10Bの内部空間11Bとが区切られている。境界壁15は、第1筐体部10Aの右側面10dと第2筐体部10Bの左側面とが連結時に接合する部分で構成されている。また、境界壁15の下部には、例えば、搬送される用紙9を通過させる通過口15a等の開口部が設けられている。
【0053】
さらに、画像形成装置1においては、図4図5等に示されるように、像形成部2の少なくとも一部が筐体10における第1筐体部10Aの外部に引き出されるよう構成されている。
【0054】
実施の形態1では、例えば像形成部2における4つの像形成装置20(A,B,C,D)がそれぞれ引き出す単位としてユニット化されており、個別に第1筐体部10Aの正面10aから外部(手前側:前後方向Zの前側)に引き出すことが可能な構造になっている。具体的には、像形成装置20(A,B,C,D)は、感光ドラム21、帯電装置22、露光装置23、現像装置24、ドラム清掃装置26等の機器がユニット用の支持フレームにそれぞれ取り付けられて一体の構造物にされているとともに、その支持フレームごとガイドレール等の移動手段を介して移動させることが可能に配置されている。その移動手段を利用することにより、像形成装置20(A,B,C,D)は、第1筐体部10Aの正面10aから個別に引き出される。
【0055】
これにより、画像形成装置1では、像形成装置20を構成する感光ドラム21、帯電装置22、露光装置23、現像装置24、ドラム清掃装置26等の機器の点検作業や交換作業を、筐体10の外部に引き出して露出させた状態で行うことができるようになっている。図3図4図5等における矢印J1は装着時に像形成装置20を押し込む方向を示し、矢印J2は像形成装置20を引き出す方向を示す。
【0056】
<現像剤容器の装着等に関する構成>
そして、画像形成装置1は、図3図4図5等に示されるように、4つの現像剤容器としてのトナー容器6(A,B,C,D)を、筐体10の第1筐体部10Aにおける像形成部2を構成する少なくとも一部が引き出される第1側面と対向する第2側面から挿抜して着脱するよう構成されている。
【0057】
ここで、実施の形態1おける第2側面は、上記したように像形成部2を構成する少なくとも像形成装置20(A,B,C,D)が筐体10における第1筐体部10Aの正面10a(第1側面に相当する)から引き出されるようになっているので、第1側面である正面10aと対向する側面としての背面10bとなる。このため、実施の形態1おけるトナー容器6(A,B,C,D)は、筐体10における第1筐体部10Aの背面10bから挿抜して着脱されるものになる。
図3図4図5等における矢印M1はトナー容器6の装着時に挿入する方向を示し、矢印M2はトナー容器6の取外し時に引き抜く方向を示す。両方向の矢印Mはトナー容器6の挿抜する方向になる。
【0058】
また、実施の形態1おけるトナー容器6(A,B,C,D)は、現像装置24(A,B,C,D)の1つにつきそれぞれ装着して使用される2つのトナー容器61(A,B,C,D),62(A,B,C,D)にて構成されている。例えば、トナー容器6Aは現像装置24Aに装着して使用される2つのトナー容器61A,62Aにて構成され、トナー容器6Bは現像装置24Bに装着して使用される2つのトナー容器61B,62Bにて構成される。
【0059】
2つのトナー容器61,62は、互いに同じ構成になっている。例えば、トナー容器61Aとトナー容器62Aは、同じトナーAを同じ量だけ収納することが可能な同じ円筒状の形態からなる容器になっている。
具体的には2つのトナー容器61,62は、図6に示されるように、その容器の所定の部位(例えば装着挿入時における先端側の端部)に開閉シャッタ付きの排出部65が設けられているとともに、容器内においてトナーを排出部65に回転して搬送する搬送部材66が設けられている。またトナー容器61,62には、その着脱の作業時に使用される取っ手部67や、搬送部材66に回転動力を伝達する後述の駆動伝達継手と接続する図示しない受動伝達継手(例えばスプロケット)なども設けられている。
【0060】
また、画像形成装置1は、図6図7に示されるように、トナー容器6(A,B,C,D)を、筐体10の背面10b側に設ける現像剤の補給装置70(A,B,C,D)を介して現像装置24(A,B,C,D)とそれぞれ接続するようになっている。
【0061】
まず、画像形成装置1は図4図5に示されるように、筐体10における第1筐体部10Aの内部空間11A、仮想の境界面16を境にして前方内部空間11Afと後方内部空間11Abとに区分されている。境界面16は、実際に空間を仕切ることができる境界壁にすることも可能である。境界壁を採用する場合は、その境界壁の必要な部分に貫通する開口部を設ければよい。
【0062】
現像剤の補給装置70(A,B,C,D)はいずれも、図6に示されるように、筐体10における第1筐体部10Aの後方内部空間11Abに配置されている。
一方、像形成部2(4つの像形成装置20と中間転写装置30)、給紙部4、定着部5、用紙搬送路等については、図4から図6に示されるように、第1筐体部10Aの前方内部空間11Afに配置されている。
【0063】
この補給装置70(A,B,C,D)はいずれも、図6図7に示されるように、トナー容器6(A,B,C,D)を装着する容器装着部71と、各トナー容器6(A,B,C,D)に収納される現像剤のトナーを搬送する搬送部75を有している。
【0064】
容器装着部71は、2つのトナー容器61,62を着脱可能に保持することが可能な形状および構造になっている。容器装着部71は、背面10bに設けられる図示しない開閉扉を開けることで必要な部分(例えば後述する端部保持部)が背面10b側の外部に露出した状態になる。
【0065】
この容器装着部71は、例えば図6等に示されるように、2つのトナー容器61,62が設置される設置部71aと、トナー容器61,62の長手方向の一端部を保持する端部保持部71bと、トナー容器61,62の長手方向の他端部(装着時に挿入するときの先頭になる端部)を保持して固定する端部固定部71c等で構成されている。
端部保持部71bには、トナー容器61,62の着脱時に案内して通過させる装着孔72が2つ設けられている。また端部固定部71cには、トナー容器61,62の排出部65と対向する図示しない受け口や、搬送部材66に動力を伝える駆動伝達継手(例えばスプロケット)73等が設けられている。
【0066】
搬送部75は、容器装着部71における端部固定部71cから現像装置24における現像剤補給部245までの間を接続してトナーを必要な量だけ搬送することが可能な形状および構造になっている。
【0067】
この搬送部75は、例えば図6等に示されるように、容器装着部71における端部固定部71cから設置部71aに沿って伸びる第1搬送部75aと、現像装置24における現像剤補給部245に必要な量のトナーを搬送する補給搬送路75bと、第1搬送部75aと補給搬送路75bの間を接続する接続搬送路75c等で構成されている。
【0068】
第1搬送部75a、補給搬送路75bおよび接続搬送路75cには、トナーを搬送するよう回転する搬送部材76が設けられている。搬送部材76は、図示しない駆動装置により所要な補給量に応じて回転させられる。補給搬送路75bは、現像装置24の現像剤補給部245における接続受け口246と接続してトナーを排出する接続排出口77が設けられている。接続搬送路75cは、搬送路の長さや配置位置等の条件が、補給装置70と現像装置24における現像剤補給部245との離間距離や位置関係等の違いに応じて調整されている。
【0069】
そして、この補給装置70(A,B,C,D)は、図3に示されるように、筐体10の第1筐体部10Aの後方内部空間11Abにおいて、前方内部空間11Afに配置された点線で示す現像装置24(A,B,C,D)の各配置位置にそれぞれほぼ対応した各位置に配置されている。
【0070】
実施の形態1では、図3に示されるように、補給装置70(A,B,C,D)がいずれも、補給対象になる各現像装置24(A,B,C,D)よりも上方の位置に存在するよう配置されている。また、補給装置70(A,B,C,D)は、その各容器装着部71に装着される各トナー容器6(A,B,C,D)がいずれも、その補給対象になる各現像装置24(A,B,C,D)よりもそれぞれ上方の位置に存在するよう構成されている。
【0071】
また、この補給装置70(A,B,C,D)は、図4から図6に示されるように、その各容器装着部71におけるトナー容器6(61,62)が装着される各装着位置がいずれも、4つの現像装置24(A,B,C,D)よりも第2側面である背面10bに近い位置になるよう構成されている。
【0072】
具体的には、現像装置24(A,B,C,D)を備えた各像形成装置20が筐体10における第1筐体部10Aの前方内部空間11Afに配置されているのに対して、トナー容器6(61,62)を装着する各容器装着部71について、筐体10における第1筐体部10Aの背面10bを含む前方内部空間11Afに配置している。また換言すると、トナー容器6(61,62)が装着される各装着位置については、図4から図6に示されるように、各現像装置24(A,B,C,D)の筐体240のうち像形成装置20の押し込み方向J1の先端側になる端部240bよりも背面10bに近い位置に存在するよう設定されている。
【0073】
また、この補給装置70(A,B,C,D)は、図4図5に示されるように、その各容器装着部71におけるトナー容器6(61,62)が装着される各装着位置がいずれも、像形成部2における中間転写装置30の中間転写ベルト31と、トナー容器6(61,62)の挿抜する方向Mにおいて重ならない位置になるようにも構成されている。この場合、挿抜する方向Mについては、例えば、中間転写ベルト31の幅方向又はその支持ロール32の回転軸方向である方向Kに置き換えて扱うことも可能である。
【0074】
さらに、この補給装置70(A,B,C,D)は、図3等に示されるように、その各容器装着部71におけるトナー容器6(61,62)が装着される各装着位置について、トナー容器6(61,62)の最上部が像形成部2の最上部の位置(Ph)よりも下方の位置になるようにも構成されている。
【0075】
図1から図3において符号Phを付した二点鎖線は、像形成部2の最上部となる像形成装置20A,20Bにおける各露光装置23のほぼ共通する最上部分の(高さ)位置を示している。また図3において符号Thを付した二点鎖線は、トナー容器6(61,62)の最上部となるトナー容器6A,6Bのほぼ共通する最上面部の(高さ)位置を示している。
【0076】
以上の構成からなる画像形成装置1では、筐体10の第1筐体部10Aの背面10bにおいて、トナー容器6(61,62)を該当する補給装置70(A,B,C,D)の各容器装着部71に挿抜して装着や取り外しをする作業が行われる。
【0077】
そのときのトナー容器6(61,62)の装着作業は、図6(A),(B)に示されるように、装着すべきトナー容器6(61,62)を、第1筐体部10Aの背面10bから装着対象の補給装置70(A,B,C,D)の各容器装着部71にむけて挿入する方向M1に押し込んで保持・固定させることで行われる。この装着作業に先立っては、第1筐体部10Aの背面10bに設けられる図示しない開閉扉を開けて各容器装着部71の端部保持部71bを背面10b側に露出させた状態にする作業が行われる。
【0078】
各容器装着部71に装着されたトナー容器6(61,62)は、補給対象の現像装置24(A,B,C,D)におけるトナーが現像動作により消費されて補給の時期になると、図示しない制御部からの制御指令により補給が必要な補給装置70(A,B,C,D)が始動することでトナーの補給に使用される。
【0079】
トナーの補給動作は、図6(B)に符号Gtを付した矢付きの一点鎖線に示されるように、トナー容器6(61,62)内におけるトナーが搬送部材66で送り出された後、補給装置70における搬送部75を経由して搬送され、最後に補給対象の現像装置24における現像剤補給部245に送り込まれることにより行われる。
【0080】
また、トナー容器6(61,62)の取り外し作業は、トナーの補給動作により収納されているトナーがほぼ消費されて減少すると、図6(A),(B)に示されるように、交換対象になるトナー容器6(61,62)が、筐体10における第1筐体部10Aの背面10bから補給装置70(A,B,C,D)の各容器装着部71から引き抜き方向M2に引っ張られることで行われる。
【0081】
したがって、この画像形成装置1によれば、複数のトナー容器6(61,62)を筐体10における像形成部2を構成する少なくとも一部の一例である像形成装置20(A,B,C,D)が引き出される筐体10の第1筐体部10Aの第1側面である正面10aと対向する第2側面となる背面10bから挿抜して装着しない場合に比べると、筐体10のうち少なくとも像形成部2が設置される第1筐体部10Aの高さHm(図1)が、複数のトナー容器6(61,62)を装着するスペースを確保する影響により増大することが抑制される。
【0082】
この画像形成装置1における筐体10における第1筐体部10Aの高さHmは、筐体10のうち少なくとも像形成部2が配置されている領域(第1筐体部10A)の上面10eの設置面95からの寸法になる。また同じく筐体10における第1筐体部10Aの幅Wmは、筐体10のうち少なくとも像形成部2が配置されている領域(第1筐体部10A)を囲む左右の側面10c、10d間の寸法になる。
【0083】
ここで、比較例の画像形成装置100として、図9に示されるように、実施の形態1に係る画像形成装置1のような像形成部2(像形成装置20と中間転写装置30)を同様に配置することを前提としたうえで、複数のトナー容器6(61,62)を筐体10の第1筐体部10Aの第1側面である正面10aから挿抜して装着するように構成した画像形成装置を想定する。
【0084】
この比較例の画像形成装置100においては、トナー容器6(61,62)を正面10aから挿抜して装着するスペースを確保する等の観点からすると、上方側の位置に配置された2つの像形成装置20A,20Bに対応する補給装置70(A,B)については、図9に例示するように、その像形成装置20A,20Bよりも上方の位置にスペースを確保して配置する必要がある。このため、筐体10の上面10eは、そのスペースを確保する分だけ二点鎖線で示すような高さからなる上面10exのように高くしなければならない。
この結果、画像形成装置100では、その筐体10における第1筐体部10Aの高さが、実施の形態1に係る画像形成装置1の筐体10における第1筐体部10Aの高さHmに比べると、新たな上面10exに対応して寸法αだけ増大することになる。
【0085】
また、比較例の画像形成装置100においては、上記同じ観点からすると、下方側の位置に配置された例えば右端の像形成装置20Cに対応する補給装置70Cについては、図9に例示するように、その像形成装置20Cよりも右側の位置にスペースを確保して配置する必要がある。このため、筐体10の右側面10dは、そのスペースを確保する分だけ二点鎖線で示す右側面10dxのように右側にずらした位置に変更しなければならない。
この結果、画像形成装置100では、その筐体10における第1筐体部10Aの幅が、実施の形態1に係る画像形成装置1の筐体10における第1筐体部10Aの幅Wmに比べると、新たな右側面10dxに対応して寸法βだけ増大することになる。
【0086】
なお、比較例の画像形成装置100においては、上記同じ観点からすると、下方側の位置に配置された例えば左下側の像形成装置20Dに対応する補給装置70Dについて、図9に例示するように、その像形成装置20Dよりも下側の位置にスペースを確保して配置する構成も考えられる。そのスペースを像形成装置20Dよりも下側の位置に確保することができれば、右側面10dを右側にずらした位置に変更する必要がなくなり、その結果、筐体10における第1筐体部10Aの少なくとも幅Wmが増大することを回避することができる。
しかし、このように配置した場合は、トナー容器6Dを含む補給装置70Dが、像形成装置20Dにおける現像装置24D(の現像剤補給部245)よりも下方の位置に配置される関係になるため、トナー容器6Dに収容されているトナーを上方側に存在する現像装置24Dにむけて上昇させるように(下から上に)搬送しなければならなくなる。
このため、この配置では、粉体であるトナーを良好に搬送することが難しくなり、また、搬送路等でトナーが詰まりやすくなるという別の不具合が発生するおそれがあり、結果として有効な対策にならない。
【0087】
また、画像形成装置1では、複数のトナー容器6(61,62)が装着される各装着位置が複数の現像装置24(A,B,C,D)よりも第2側面である背面10bに近い位置(背面10b寄りの位置)になるよう構成されているので、その各装着位置が複数の現像装置24(A,B,C,D)よりも第2側面である背面10bに近い位置でない場合に比べると、筐体10のうち少なくとも像形成部2が設置される第1筐体部10Aの高さHmが複数のトナー容器6(61,62)を装着するスペースを確保する影響により増大することが確実に抑制される。
【0088】
例えば、トナー容器6C(61,62)が背面10bから挿抜して装着されるものであっても、図10に例示されるように、そのトナー容器6C(61,62)の装着位置が現像装置24Cと挿抜する方向Mにおいて重なる位置関係になる場合は、現像装置24Cを含む像形成装置20Cよりも上方の位置にスペースを確保して配置する必要がある。このため、筐体10における第1筐体部10Aの上面10eは、そのスペースを確保する分だけ二点鎖線で示すような高さの上面10ezのように高くしなければならなくなり、その影響により第1筐体部10Aの高さHmが増大してしまう。
【0089】
また、画像形成装置1では、複数のトナー容器6(61,62)が装着される各装着位置が、像形成部2における中間転写装置30の中間転写ベルト31とトナー容器6(61,62)の挿抜する方向Mにおいて重ならない位置になるようにも構成されているので、その各装着位置が中間転写ベルト31とトナー容器6(61,62)の挿抜する方向Mにおいて重なる位置になる場合に比べると、筐体10のうち少なくとも像形成部2が設置される第1筐体部10Aの高さHmが複数のトナー容器6(61,62)を装着するスペースを確保する影響により増大することが確実に抑制される。
【0090】
この点は、トナー容器6C(61,62)が背面10bから挿抜して装着されるものであっても、図10に例示されるように、そのトナー容器6C(61,62)の装着位置が中間転写ベルト31とトナー容器6C(61,62)の挿抜する方向Mにおいて重なる位置になる場合は、やはり現像装置24Cを含む像形成装置20Cよりも上方の位置にスペースを確保して配置する必要がある。このため、筐体10における第1筐体部10Aの上面10eは、そのスペースを確保する分だけ二点鎖線で示すような高さの上面10ezのように高くしなければならなくなり、その影響により第1筐体部10Aの高さHmが増大してしまう。
【0091】
さらに、画像形成装置1では、複数のトナー容器6(61,62)が装着される各装着位置について、トナー容器6(61,62)の最上部(の高さTh)が像形成部2の最上部の位置(Ph)よりも下方の位置になるようにも構成されているので、その各装着位置がトナー容器6(61,62)の最上部が像形成部2の最上部の位置(Ph)よりも上方の位置になる場合に比べると、筐体10における第1筐体部10Aの高さHmが複数のトナー容器6(61,62)を装着するスペースを確保する影響により増大することがより確実に抑制され、また複数のトナー容器6(61,62)の各装着位置が低くなる。
特に画像形成装置1では、複数のトナー容器6(61,62)の各装着位置が低くなることにより、そのトナー容器6(61,62)の着脱時の作業するときの持ち上げる高さも低くなるので、その着脱作業を行う際の負担が軽減されて作業が行いやすくなる。
【0092】
さらにまた、画像形成装置1では、複数のトナー容器6が複数の現像装置24の1つにつきそれぞれ装着して使用される2つのトナー容器61,62で構成されているので、複数の現像装置24の1つにつき1つのトナー容器6をそれぞれ装着する場合に比べると、互いに円筒状の容器であってトナーの収納容積と容器の直径がほぼ同じであれば、2つのトナー容器61,62の挿抜する方向Mに対する寸法が1つのトナー容器6のそれよりも短くなる。
この結果、画像形成装置1は、筐体10における第1筐体部10Aの挿抜する方向Mにおける寸法(本例では厳密には第1筐体部10Aの後方内部空間11Abにおける前後方向の寸法)を、1つのトナー容器6をそれぞれ装着する場合に比べて減少させることが可能になる。
【0093】
変形例.
この発明は、上記実施の形態1で例示した内容に何ら限定されるものではなく、例えば、以下に挙げるような変形例も含むものである。
【0094】
画像形成装置について、図8に例示されるように、像形成部2を構成する少なくとも一部2a(例えば現像装置、感光ドラム等)が筐体10Cの左側面10c(第1側面に相当する)から引き出される構成の画像形成装置1Bとする場合、第1側面である左側面10cと対向する第2側面は右側面10dになる。この例示する画像形成装置1Bの筐体10Cは、左右の側面10c,10dの前後方向の寸法が正面10aの左右方向の寸法よりも長くなる形状になっている。
このような画像形成装置1Bの場合にあっては、複数のトナー容器6A,6Bは、その筐体10Cにおける第2側面としての右側面10dから挿抜して着脱されるように構成すればよい。
この他にも、第1側面が右側面10dになる画像形成装置にあっては、その第1側面と対向する第2側面は左側面10cになる。
【0095】
像形成部2については、複数の現像装置24を備えるものであれば、中間転写ベルト31を有する中間転写装置30を適用しないもの(例えば直接転写方式のもの)であってもよい。現像装置24の数についても2以上備えていればよい。現像装置24の形式等についても他の形式のものであっても構わない。
また、トナー容器6についても、複数の現像装置24の数と少なくとも同じ数のトナー容器6を備えていればよい。
【0096】
実施の形態1に係る画像形成装置1においては、現像剤容器としては、例えば現像剤がトナーとキャリアを含む二成分現像剤である場合、そのトナーを補給用に収納するトナー容器に加えて、そのキャリアを補給用に収容するキャリア容器を採用してもよい。
【0097】
この場合、キャリア容器68は、例えば、図7(A)に二点鎖線で示されるように、現像剤の補給装置70のトナー容器6(61,62)を装着する部位(容器装着部71)の近くに設けるキャリア容器装着部79に着脱可能に装着して使用するようにすればよい。キャリア容器68としては、例えば円筒状の容器からなり、その内部に収納するキャリアを排出口まで搬送するよう回転する搬送部材等を設けて構成されるものが使用される。
【0098】
このキャリア容器68を適用する場合は、現像装置24における現像剤のキャリアを補給すべき時期になると、補給装置70の始動とともにキャリア容器装着部79における図示しない駆動伝達手段から動力が伝達して搬送部材が回転駆動する。これにより、キャリア容器68からキャリアが送り出され、図7(B)に矢付き点線Gcで示すように補給装置70の搬送部75を介して補給対象の現像装置24における現像剤補給部245へ送り込まれ、キャリアの補給動作が行われる。
そして、このキャリア容器68の着脱作業についても、トナー容器6(61,62)の場合と同様に、筐体10における第1筐体部10Aのうち第2側面である背面10b等から挿抜して装着するように構成すればよい。
【0099】
また実施の形態1に係る画像形成装置1は、図3に二点鎖線で示されるように、像形成部2における清掃装置や現像装置から排出される清掃除去物(紙粉など)や現像剤(トナーなど)等を回収するとともに筐体10における第1筐体部10A内に着脱可能に装着される回収容器81を備えている場合もある。
この場合、その回収容器81についても、トナー容器6(61,62)の場合と同様に、第2側面である背面10b等から挿抜して装着するように構成してもよい。図3に例示する回収容器81は、1つであるが、その数等について特に制約されるものではない。
【0100】
さらに実施の形態1に係る画像形成装置1においては、筐体10における第1筐体部10Aの第2側面である背面10bにおいてトナー容器6等の着脱作業を行うため、その背面10bの後方に作業用のスペースを確保することになる。
このため、この画像形成装置1では、図5に二点鎖線で例示されるように、筐体10における第1筐体部10Aの正面10aからの死角になる背面10b後方にある作業用のスペースに、例えば予備の又は取り外し後のトナー容器6(61,62)等の関係部品などを一時的に置いて保管することが可能である。
【符号の説明】
【0101】
1 …画像形成装置
2 …像形成部
6,61,62…トナー容器(現像剤容器の一例)
9 …用紙(記録媒体の一例)
10,10C…筐体
10a…正面(第1側面の一例)
10b…背面(第2側面の一例)
10a,10b,10c,10d…側面(複数の側面の一例)
24…現像装置
31…中間転写ベルト(中間転写体の一例)
M …挿抜する方向
Ph…像形成部の最上部の位置(一例)
Th…トナー容器の最上部の位置(一例)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10