(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-08
(45)【発行日】2024-05-16
(54)【発明の名称】シート搬送装置
(51)【国際特許分類】
B65H 9/00 20060101AFI20240509BHJP
B65H 7/14 20060101ALI20240509BHJP
B65H 5/06 20060101ALI20240509BHJP
【FI】
B65H9/00 B
B65H7/14
B65H5/06 F
(21)【出願番号】P 2020048136
(22)【出願日】2020-03-18
【審査請求日】2023-02-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小川 浩太郎
(72)【発明者】
【氏名】石堂 紘平
【審査官】杉山 豊博
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-119551(JP,A)
【文献】特開2018-107545(JP,A)
【文献】特開2015-124046(JP,A)
【文献】特開2006-312512(JP,A)
【文献】特開2018-199572(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 9/00
B65H 7/14
B65H 5/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートを搬送する矯正用ローラー対を含み、第1矯正モードのとき、前記矯正用ローラー対によるシートの搬送を止めずに、前記矯正用ローラー対がシートをニップしているときに前記矯正用ローラー対の軸線方向の傾きを変化させることにより、シートの斜行を矯正するレジストレスユニットと、
前記第1矯正モードのとき、前記矯正用ローラー対の設置位置よりもシート搬送方向上流側の読取位置を通過するシートを読み取る読取ユニットと、
前記第1矯正モードのとき、前記読取ユニットによるシートの読み取りで得られる画像データに基づきシートの傾き方向および傾き角度を検知し、前記傾き方向および前記傾き角度に基づき前記軸線方向の傾きを変化させる制御部と、を備え、
前記読取ユニットを用いない第2矯正モードのとき、前記制御部は、前記矯正用ローラー対を前記軸線方向がシート搬送方向と直交する位置で保持し、回転停止中の前記矯正用ローラー対にシートの前端を突き当てることにより、シートの斜行を矯正
し、
搬送するシートが特定種類のシートであるとき、前記制御部は、前記第2矯正モードでシートの斜行を矯正することを特徴とするシート搬送装置。
【請求項2】
前記読取ユニットは、シートを読み取るラインセンサーを含み、
前記制御部は、前記読取位置にシートが無い状態での前記読取ユニットによる読み取りで得られる確認用画像データに基づき、前記ラインセンサーに異物が付着しているか否かを検知する異物検知処理を行い、前記異物検知処理で前記ラインセンサーに異物が付着していることを検知した場合、前記第2矯正モードでシートの斜行を矯正することを特徴とする請求項1に記載のシート搬送装置。
【請求項3】
操作パネルを備え、
前記制御部は、前記異物検知処理で前記ラインセンサーに異物が付着していることを検知した場合、前記読取ユニットの清掃を要求するメッセージを前記操作パネルに表示させることを特徴とする請求項2に記載のシート搬送装置。
【請求項4】
前記特定種類のシートは、透明シートを含むことを特徴とする請求項
1~3のいずれか1項に記載のシート搬送装置。
【請求項5】
シートを搬送する矯正用ローラー対を含み、第1矯正モードのとき、前記矯正用ローラー対によるシートの搬送を止めずに、前記矯正用ローラー対がシートをニップしているときに前記矯正用ローラー対の軸線方向の傾きを変化させることにより、シートの斜行を矯正するレジストレスユニットと、
前記第1矯正モードのとき、前記矯正用ローラー対の設置位置よりもシート搬送方向上流側の読取位置を通過するシートを読み取る読取ユニットと、
前記第1矯正モードのとき、前記読取ユニットによるシートの読み取りで得られる画像データに基づきシートの傾き方向および傾き角度を検知し、前記傾き方向および前記傾き角度に基づき前記軸線方向の傾きを変化させる制御部と、を備え、
前記読取ユニットを用いない第2矯正モードのとき、前記制御部は、前記矯正用ローラー対を前記軸線方向がシート搬送方向と直交する位置で保持し、回転停止中の前記矯正用ローラー対にシートの前端を突き当てることにより、シートの斜行を矯正し、
画像を形成し、前記矯正用ローラー対の設置位置よりもシート搬送方向下流側の印刷位置を通過するシートに画像を印刷する画像形成部と、
前記矯正用ローラー対の設置位置よりもシート搬送方向上流側の検知位置においてシートの前端到達を検知する中間搬送センサーと、を備え、
前記第1矯正モードのとき、前記制御部は、前記読取ユニットの出力に基づき前記読取位置にシートの前端が到達したことを検知してからの時間に基づき、前記画像形成部による画像の形成開始タイミングを制御し、
前記第2矯正モードのとき、前記制御部は、前記中間搬送センサーの出力に基づき前記検知位置にシートの前端が到達したことを検知してからの時間に基づき、前記画像形成部による画像の形成開始タイミングを制御することを特徴とす
るシート搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートを搬送するシート搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置は、シートを搬送し、搬送中のシートに画像を印刷する。シートを搬送するため、レジストローラー対を含む複数の搬送ローラー対が搬送経路上に設けられる。各搬送ローラー対は、シートをニップし、回転することにより、シートを搬送する。
【0003】
搬送中のシートの斜行は、レジストローラー対によって矯正される(たとえば、特許文献1参照)。レジストローラー対は、搬送経路上のレジスト位置に設置される。レジスト位置にシートの前端が到達した時点では、レジストローラー対は回転を停止している。このため、レジストローラー対に突き当たったシートが撓む。このとき、シートの弾性によって、シートの斜行が矯正される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
シートの斜行矯正方法は種々ある。たとえば、レジスト位置よりもシート搬送方向上流側の位置でシートを読み取る読取ユニットが画像形成装置に搭載されている場合には、読取ユニットによるシートの読み取りで得られた画像データに基づき、シートの傾き角度を検知することができる。斜行矯正前にシートの傾き角度を検知することができれば、検知した傾き角度に基づきシートの傾きを補正するという構成をとることができる。
【0006】
ここで、読取ユニットによるシートの読み取りが正常に行われない場合がある。たとえば、読取ユニットに異物が付着していれば、読取ユニットによるシートの読み取りが正常に行われない。読取ユニットによるシートの読み取りが正常に行われない場合には、シートの斜行を矯正できないという不都合が生じる。また、読取ユニットによるシートの読み取りが正常に行われない状態で斜行矯正処理を行うと、シートの斜行がより悪化する恐れがある。
【0007】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、シートの読み取りで得られる画像データに基づきシートの斜行を矯正する構成において、シートの読み取りを正常に行えない場合であっても、シートの斜行を矯正することが可能なシート搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の一局面によるシート搬送装置は、シートを搬送する矯正用ローラー対を含み、第1矯正モードのとき、矯正用ローラー対によるシートの搬送を止めずに、矯正用ローラー対がシートをニップしているときに矯正用ローラー対の軸線方向の傾きを変化させることにより、シートの斜行を矯正するレジストレスユニットと、第1矯正モードのとき、矯正用ローラー対の設置位置よりもシート搬送方向上流側の読取位置を通過するシートを読み取る読取ユニットと、第1矯正モードのとき、読取ユニットによるシートの読み取りで得られる画像データに基づきシートの傾き方向および傾き角度を検知し、傾き方向および傾き角度に基づき軸線方向の傾きを変化させる制御部と、を備える。読取ユニットを用いない第2矯正モードのとき、制御部は、矯正用ローラー対をその軸線方向がシート搬送方向と直交する位置で保持し、回転停止中の矯正用ローラー対にシートの前端を突き当てることにより、シートの斜行を矯正する。
【発明の効果】
【0009】
本発明では、シートの読み取りで得られる画像データに基づきシートの斜行を矯正する構成において、シートの読み取りを正常に行えない場合であっても、シートの斜行を矯正することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施形態に係る複合機の一例を示す図である。
【
図2】実施形態に係る複合機の一例を示す図である。
【
図3】実施形態に係る画像形成部の一例を示す図である。
【
図4】実施形態に係る複合機の一例を示す図である。
【
図5】実施形態に係る読取ユニットの一例を示す図である。
【
図6】実施形態に係る読取ユニットとレジストレスユニットの一例を示す図である。
【
図7】実施形態に係るレジストレスユニットの一例を示す図である。
【
図8】実施形態に係る複合機での斜行矯正と位置ずれ補正の一例を示す図である。
【
図9】実施形態に係る複合機でジョブ開始前に行われる処理の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態によるシート搬送装置について、複合機を例にとって説明する。複合機は、画像を形成して印刷する画像形成装置である。なお、プリンターなど複合機以外の画像形成装置に本発明を適用してもよい。
【0012】
<複合機の構成>
図1に示すように、本実施形態の複合機100(「シート搬送装置」に相当)は、メイン制御部1、記憶部2、原稿読取部3、操作パネル4およびプリンター部5を含む。
【0013】
メイン制御部1は、印刷ジョブの実行時に各部の動作を制御する。メイン制御部1は、CPU11、画像データ生成回路12、画像処理回路13および通信回路部14を含む。CPU11は、印刷ジョブに関する処理および演算を行う。画像データ生成回路12は、A/D変換回路を含む。画像データ生成回路12は、原稿読取部3が原稿を読み取って出力したアナログの画像信号に基づき画像データを生成する。画像処理回路13は、画像処理用の集積回路(たとえば、ASIC)である。画像処理回路13は、画像データに対して画像処理を行う。メイン制御部1は、原稿の読み取りで得られた画像データに基づく印刷をプリンター部5に行わせる。
【0014】
通信回路部14は、通信制御回路および通信メモリーを含む。通信制御回路は、通信を制御する。通信メモリーは、通信用ソフトウェアを記憶する。通信回路部14は、コンピューター200と通信する。コンピューター200は、たとえば、パーソナルコンピューターおよびサーバーなどである。通信回路部14は、コンピューター200から印刷用データを受信する。印刷用データに基づく画像データの生成が画像データ生成回路12によって行われ、当該画像データに対する画像処理が画像処理回路13によって行われる。メイン制御部1は、印刷用データから生成された画像データに基づく印刷をプリンター部5に行わせる。
【0015】
記憶部2は、RAMおよびROMを含む。また、記憶部2は、HDDおよびSSDなどのストレージを含む。記憶部2は、制御プログラムおよび制御データを記憶する。メイン制御部1は、制御プログラムおよび制御データに基づき制御処理を行う。
【0016】
原稿読取部3は、光源およびイメージセンサーを含む。原稿読取部3は、原稿を光学的に読み取る。
【0017】
操作パネル4は、ユーザーから操作を受け付ける。操作パネル4は、表示パネル41、タッチパネル42およびハードキー43を含む。メイン制御部1は、メッセージを表示パネル41に表示させる。また、メイン制御部1は、操作用画像を表示パネル41に表示させる。操作用画像は、ボタン、キーおよびタブなどである。メイン制御部1は、タッチパネル42の出力に基づき、操作された操作用画像を認識する。ハードキー43は、スタートキーおよびテンキーなどを含む。ユーザーは、タッチパネル42およびハードキー43を操作することにより、印刷ジョブに関する設定を行う。メイン制御部1は、操作パネル4の出力に基づき、ユーザーにより設定された印刷ジョブの設定内容を認識する。
【0018】
プリンター部5は、エンジン制御部50、給紙部5a、搬送部5b、画像形成部5cおよび定着部5dを含む。エンジン制御部50は「制御部」に相当する。エンジン制御部50は、エンジン制御回路50a(
図4参照)およびエンジンメモリー50b(
図4参照)を含む。エンジンメモリー50bは、印刷用プログラムおよび印刷用データを記憶する。エンジン制御部50は、メイン制御部1の印刷指示に基づき、プリンター部5による印刷動作を制御する。
【0019】
以下、
図1~
図3を参照し、プリンター部5の構成を詳細に説明する。プリンター部5は、搬送路Pに沿ってシートSを搬送する、そして、プリンター部5は、搬送中のシートSに対し、画像データに基づく画像を印刷する。以下の説明では、プリンター部5によるシートSの搬送方向をシート搬送方向と称し、シート搬送方向と直交する方向を幅方向と称する。
【0020】
給紙部5aは、給紙ローラーを含む。給紙ローラーは、カセットCAに収容されたシートSに当接し、その状態で回転することにより、カセットCAから搬送路PにシートSを給紙する。エンジン制御部50は、給紙部5aによる給紙動作を制御する(給紙ローラーに連結されるモーターを制御する)。
【0021】
搬送部5bは、搬送ローラー対を含む。搬送ローラー対は、回転することにより、搬送ローラー対のニップに進入したシートSを搬送路Pに沿って搬送する。エンジン制御部50は、搬送部5bによる搬送動作を制御する(搬送ローラー対に連結されるモーターを制御する)。
【0022】
搬送部5bは、複数の搬送ローラー対を含む。複数の搬送ローラー対の1つは、搬送路Pのうち、後述する読取位置RPよりもシート搬送方向上流側の位置であって給紙ローラーの設置位置よりもシート搬送方向下流側の位置に設置される。以下の説明では、当該搬送ローラー対に符号501を付し、中間搬送ローラー対501と称して他の搬送ローラー対と区別する。
【0023】
画像形成部5cは、画像(トナー像)を形成する。そして、画像形成部5cは、搬送中のシートSに画像を印刷(転写)する。エンジン制御部50は、画像形成部5cによる画像形成動作を制御する。
【0024】
画像形成部5cは、4色分の画像形成ユニット51を含む。また、画像形成部5cは、露光装置52を含む。画像形成ユニット51には、ブラックの画像を形成する画像形成ユニット51Bk、イエローの画像を形成する画像形成ユニット51Y、シアンの画像を形成する画像形成ユニット51C、および、マゼンタの画像を形成する画像形成ユニット51Mがある。画像形成ユニット51Bk、51Y、51Cおよび51Mの各構成は基本的には互いに同じである。以下の説明では、特に区別する必要の無い場合、各画像形成ユニット51のBk、Y、CおよびMの符号を省略する。
【0025】
各画像形成ユニット51は、感光体ドラム53、帯電装置54および現像装置55を含む。印刷ジョブの実行中、感光体ドラム53は、回転する。帯電装置54は、感光体ドラム53の周面を帯電させる。感光体ドラム53の周面上には、画像データに基づく静電潜像が形成される。静電潜像の形成は露光装置52が行う。現像装置55は、静電潜像をトナー像に現像する。
【0026】
画像形成部5cは、中間転写ユニットを含む。中間転写ユニットは、中間転写ベルト56、2次転写ローラー57および中間駆動ローラー58を含む。また、中間転写ユニットは、1次転写ローラー59Bk、59Y、59Cおよび59Mを含む。また、中間転写ユニットは、中間従動ローラー510および511を含む。中間転写ベルト56は、無端状である。中間転写ベルト56は、中間転写ユニットの各ローラー(2次転写ローラー57以外のローラー)にかけ回される。中間転写ベルト56は、感光体ドラム53からトナー像の1次転写を受ける。そして、2次転写ローラー57は、シートSにトナー像を2次転写する。
【0027】
シートSへのトナー像の転写は、印刷位置PPで行われる。中間転写ベルト56と2次転写ローラー57との間に形成されるニップの位置が印刷位置PPとなる。
【0028】
定着部5dは、シートSにトナー像を定着させる。エンジン制御部50は、定着部5dによる定着動作を制御する。定着部5dは、定着ローラー対を含む。定着ローラー対の一方のローラーには、ヒーターが設置される。定着ローラー対は、回転することにより、定着ローラー対のニップに進入したシートSを搬送路Pに沿って搬送する。定着ローラー対のニップに進入したシートSは、加熱および加圧される。これにより、シートSにトナー像が定着される。
【0029】
また、プリンター部5は、複数の搬送センサーを含む。複数の搬送センサーは、それぞれ、搬送路Pの互いに異なる位置を検知位置とする。複数の搬送センサーは、それぞれ、対応する検知位置におけるシートSの有無に応じて出力を変化させる。
【0030】
各搬送センサーは、発光素子および受光素子を有する透過型光センサーである。各搬送センサーは、アクチュエーターを検知対象とする。アクチュエーターは、対応する搬送センサーの検知位置にシートSの前端(シート搬送方向下流側の端)が到達するとシートSに押圧されて一方側に回動し、発光素子と受光素子との間の光路を遮蔽(または開放)する。アクチュエーターは、対応する搬送センサーの検知位置をシートSの後端(シート搬送方向上流側の端)が通過すると一方側とは逆の他方側に回動して元の位置に戻り、発光素子と受光素子との間の光路を開放(または遮蔽)する。これにより、各搬送センサーの出力信号のレベルは、対応する検知位置におけるシートSの有無に応じて変化する。
【0031】
複数の搬送センサーの1つは、搬送路Pのうち、中間搬送ローラー対501の設置位置よりもシート搬送方向上流側の位置であって給紙ローラーの設置位置よりもシート搬送方向下流側の位置を検知位置とする。当該位置を検知位置とする搬送センサーは「中間搬送センサー」に相当する。以下の説明では、当該搬送センサーに符号502を付し、中間搬送センサー502と称して他の搬送センサーと区別する。また、中間搬送センサー502の検知位置に符号DPを付して説明する。
【0032】
中間搬送センサー502を含む複数の搬送センサーは、エンジン制御部50に接続される。エンジン制御部50は、各搬送センサーの出力信号のレベルに基づき、搬送路PでのシートSの搬送状態(各搬送センサーの検知位置におけるシートSの前端到達および後端通過)を検知する。
【0033】
<読取ユニット・レジストレスユニット>
図4に示すように、複合機100は、読取ユニット6およびレジストレスユニット7を備える。また、エンジン制御部50は、ユニット制御回路8をさらに含む。ユニット制御回路8は、たとえば、CPUである。ユニット制御回路8は、エンジン制御回路50aからの指示に基づき処理を行う。ユニット制御回路8は、読取ユニット6およびレジストレスユニット7を制御する。なお、読取ユニット6およびレジストレスユニット7の制御をエンジン制御回路50aが行ってもよい(ユニット制御回路8が省略されてもよい)。読取ユニット6およびレジストレスユニット7のうち、一方の制御をエンジン制御回路50aが行い、他方の制御をユニット制御回路8が行ってもよい。
【0034】
読取ユニット6は、CIS(Contact Image Sensor)方式のユニットである。読取ユニット6による読み取りの主走査方向は、幅方向(シート搬送方向と直交する方向)である。読取ユニット6は、搬送路Pの予め定められた読取位置RP(
図2参照)で搬送中のシートSを読み取る。読取ユニット6の読取位置RPは、画像形成部5cの印刷位置PPよりもシート搬送方向上流側の位置である。
【0035】
読取ユニット6は、
図5に示すように、筐体6aおよび透光板6bを含む。透光板6bは、ガラス板または透光性樹脂板である。透光板6bは、筐体6aと共に密閉空間を形成する。当該密閉空間には、ランプ6cおよびラインセンサー60が設置される。
【0036】
ランプ6cは、たとえば、LEDランプである。ランプ6cの設置数は2本である。ランプ6cは、主走査方向(幅方向)に沿って光を照射する。読取位置RPをシートSが通過しているときには、ランプ6cの光がシートSで反射される。シートSの搬送中(印刷ジョブの実行中)、ユニット制御回路8は、ランプ6cに電流を供給し、ランプ6cを点灯させる。
【0037】
ラインセンサー60は、画素(光電変換素子)を複数含む。ラインセンサー60の複数の画素は、主走査方向(幅方向)に配列される。ランプ6cの光がシートで反射された場合には、反射光はレンズ6dを介して、ラインセンサー60の各画素に入射する。シートSの搬送中(印刷ジョブの実行中)、ユニット制御回路8は、ラインセンサー60に読み取りを行わせる。
【0038】
ラインセンサー60は、
図6に示すように、3ブロックに分割される。各ブロックは複数の画素を含む。便宜上、主走査方向(幅方向)の一方側(
図6の右側であり支点軸側)から順に、第1ブロック61、第2ブロック62および第3ブロック63と称する。
【0039】
ここで、複合機100の搬送方式は中央通紙方式である。したがって、搬送路Pの幅方向の中央とシートSの幅方向の中央とが一致するようシートSの幅方向の位置が規制される。
図6では、搬送路Pの幅方向の中央を破線で示す。
【0040】
ラインセンサー60の第1ブロック61は、幅方向のサイズが最大のシートSを用いる印刷ジョブにおいて、搬送中のシートSの幅方向の一方側の端を読み取ることが可能な位置に設置される。ラインセンサー60の第3ブロック63は、搬送中のシートSの幅方向の中央を読み取ることが可能な位置に設置される。
【0041】
図4に戻り、ユニット制御回路8は、ラインセンサー60に対し、トリガー信号TRおよび読取クロック信号CLKを入力する。ラインセンサー60は、電荷転送回路を含む。ラインセンサー60の各画素に蓄積された電荷は、トリガー信号TRにあわせて電荷転送回路に移される。電荷転送回路は、電荷を電圧に変換する。電荷転送回路は、1つの読取クロック信号CLKにつき、1画素分のアナログ画像信号A1を出力する。
【0042】
レジストレスユニット7は、シートSの斜行矯正およびシートSの幅方向の位置ずれ補正を行うユニットである。レジストレスユニット7は、搬送路Pのうち、印刷位置PPよりもシート搬送方向上流側の位置であって読取位置RPよりもシート搬送方法下流側の位置に設置される(
図2参照)。当該位置において、レジストレスユニット7によるシートSの斜行矯正およびシートSの位置ずれ補正が行われる。
【0043】
レジストレスユニット7は、
図7に示すように、ケース7aおよびキャリッジ板7bを含む。ケース7aとキャリッジ板7bとの間には隙間が設けられる。ケース7aは箱型である。キャリッジ板7bは板状である。ケース7aおよびキャリッジ板7bはいずれも、幅方向を長手方向とする。ケース7aの底面(キャリッジ板7bと対向する面)に対してキャリッジ板7bは平行に設置される。
【0044】
ケース7aは、矯正用ローラー対7cおよびレジストレスモーター7dを収容する。矯正用ローラー対7cは、駆動ローラー7eおよび従動ローラー7fを含む。駆動ローラー7eおよび従動ローラー7fの各軸線は互いに平行である。駆動ローラー7eの周面に対して従動ローラー7fの周面が圧接する。
【0045】
読取位置RPから搬送されてくるシートSは、矯正用ローラー対7cのニップ(駆動ローラー7eと従動ローラー7fとの間)に進入する。矯正用ローラー対7cは、複数のギアを介してレジストレスモーター7dから動力を受け、回転する。矯正用ローラー対7cは、回転することにより、矯正用ローラー対7cのニップに進入したシートSを印刷位置PPに向けて搬送する。
【0046】
ここで、レジストレスユニット7は、斜行矯正機構71を含む。斜行矯正機構71は、レジストレスユニット7の一方側に設けられた支点軸7gを支点に、レジストレスユニット7の他方側をシート搬送方向に回動させる。レジストレスユニット7は、
図6の実線矢印で示す方向に回動する。
【0047】
支点軸7gは、キャリッジ板7bに設けられる。支点軸7gの一端は、キャリッジ板7bに固定される。支点軸7gは、キャリッジ板7bの表面に対して垂直に立設する。支点軸7gの他端は、ケース7aに差し込まれる。これにより、ケース7aおよびキャリッジ板7bのそれぞれの一方側の端部が支点軸7gを介して連結される。ケース7aは、支点軸7gに対して回転可能である。ケース7aは、一方側に挿入された支点軸7gを支点にして、他方側を振るように回動する。
【0048】
斜行矯正機構71は、矯正用モーター73、矯正用ベルト74および矯正用歯面部材75(ラック)を含む。矯正用モーター73はステッピングモーターである。矯正用モーター73は正逆両方向に回転可能である。矯正用モーター73のモーター軸には、第1矯正用ギア76が設けられる。矯正用ベルト74は、第1矯正用ギア76および第2矯正用ギア77によって張架される。矯正用歯面部材75は、ケース7aのうちキャリッジ板7bと対向する面に固定される。矯正用歯面部材75は、シート搬送方向に配列された複数の歯を有する。矯正用歯面部材75は、第2矯正用ギア77と噛み合う。
【0049】
矯正用モーター73(第1矯正用ギア76)が回転することにより、矯正用ベルト74が駆動して第2矯正用ギア77が回転する。このとき、矯正用歯面部材75が第2矯正用ギア77と噛み合っているので、矯正用歯面部材75がシート搬送方向に移動する。その結果、ケース7aが支点軸7gを支点に回動する。
【0050】
なお、斜行矯正機構71によるレジストレスユニット7の他方側端部の移動量は、第1ホームポジション(第1基準位置)を中心に、シート搬送方向上流側に数mm~5mm程度でよく、シート搬送方向下流側に数mm~5mm程度でよい。第1ホームポジションの詳細は後述する。
【0051】
レジストレスユニット7は、位置ずれ補正機構72を含む。位置ずれ補正機構72は、レジストレスユニット7を幅方向に移動させる。レジストレスユニット7は、幅方向の一方側および他方側に移動可能である。
【0052】
位置ずれ補正機構72は、ずれ補正用モーター78を含む。ずれ補正用モーター78はステッピングモーターである。ずれ補正用モーター78は正逆両方向に回転可能である。ずれ補正用モーター78のモーター軸には、ずれ補正用ギア79が設けられる。ずれ補正用ギア79は、キャリッジ板7bの端縁に形成された補正用歯面部材710(ラック)と噛み合う。
【0053】
矯正用モーター78(ずれ補正用ギア79)が回転すると、補正用歯面部材710がずれ補正用ギア79と噛み合っているので、キャリッジ板7bが幅方向に移動する。すなわち、レジストレスユニット7が幅方向に移動する。
【0054】
なお、位置ずれ補正機構72によるレジストレスユニット7の幅方向での移動範囲は、第2ホームポジション(第2基準位置)を中心に、幅方向の一方側に数mm~5mm程度でよく、幅方向の他方側に数mm~5mm程度でよい。第2ホームポジションの詳細は後述する。
【0055】
ここで、第1ホームポジションおよび第2ホームポジションについて説明する。
【0056】
まず、第1ホームポジションについて説明する。第1ホームポジションは、矯正用ローラー対7cの軸線方向(駆動ローラー7eおよび従動ローラー7fの各回転軸の延伸方向)がシート搬送方向と直交する位置(角度)である。言い換えると、第1ホームポジションは、矯正用ローラー対7cの軸線方向が幅方向と平行となる位置である。
【0057】
レジストレスユニット7を第1ホームポジション(第1基準位置)に移動させるため、複合機100には第1ホームセンサー81が設けられる。第1ホームセンサー81は、レジストレスユニット7の回動方向の位置を第1基準位置に合わせるためのセンサーである。第1ホームセンサー81は、発光素子および受光素子を有する透過型光センサーである。レジストレスユニット7は、検知用の突起711を有する。たとえば、ケース7aのうち幅方向の他方側の端部に突起711が設けられる。
【0058】
第1ホームセンサー81は、突起711と向かい合う位置に配置される。レジストレスユニット7が回動すると、第1ホームセンサー81の光路(発光素子と受光素子との間)を突起711が通過する。このとき、第1ホームセンサー81の光路が突起711によって遮られる。
【0059】
第1ホームセンサー81(受光素子)の出力は、ユニット制御回路8に入力される。ユニット制御回路8は、第1ホームセンサー81の出力レベルを認識する。ユニット制御回路8は、第1ホームセンサー81の出力に基づき、レジストレスユニット7を第1ホームポジションに移動させる。
【0060】
レジストレスユニット7を第1ホームポジションに移動させるとき、ユニット制御回路8は、矯正用モーター73を一方向に回転させる。そして、第1ホームセンサー81の出力が突起711を検知したときのレベルになったとき、ユニット制御回路8は、所定パルス分、矯正用モーター73を他方向に回転させる。その後、ユニット制御回路8は、矯正用モーター73を停止させる。このときのレジストレスユニット7の位置が第1ホームポジションである。
【0061】
次に、第2ホームポジションについて説明する。レジストレスユニット7を第2ホームポジション(第2基準位置)に移動させるため、複合機100には第2ホームセンサー82が設けられる。第2ホームセンサー82は、レジストレスユニット7の幅方向の位置を第2基準位置に合わせるためのセンサーである。第2ホームセンサー81は、発光素子および受光素子を有する透過型光センサーである。
【0062】
第2ホームセンサー82は、レジストレスユニット7が幅方向の最も一方側に移動したとき、第2ホームセンサー82の光路(発光素子と受光素子との間)にキャリッジ7bの幅方向の一方側の端が進入する位置に配置される。レジストレスユニット7が幅方向の一方側に移動しキャリッジ板7bが第2ホームセンサー82の光路に進入すると、第2ホームセンサー82の光路が遮られる。
【0063】
第2ホームセンサー82(受光素子)の出力は、ユニット制御回路8に入力される。ユニット制御回路8は、第2ホームセンサー82の出力レベルを認識する。ユニット制御回路8は、第2ホームセンサー82の出力に基づき、レジストレスユニット7を第2ホームポジションに移動させる。
【0064】
レジストレスユニット7を第2ホームポジションに移動させるとき、ユニット制御回路8は、ずれ補正用モーター78を回転させる。これにより、ユニット制御回路8は、レジストレスユニット7を幅方向の一方側に向けて移動させ、第2ホームセンサー82の光路にキャリッジ板7bを進入させる。第2ホームセンサー82の光路にキャリッジ板7bが既に進入していた場合、ユニット制御回路8は、第2ホームセンサー82の光路からキャリッジ板7bを離脱させてから、第2ホームセンサー82の光路にキャリッジ板7bを進入させる。
【0065】
続いて、ユニット制御回路8は、レジストレスユニット7を幅方向の他方側に移動させる。ここで、ユニット制御回路8は、第2ホームセンサー82の光路をキャリッジ板7bが抜けたことを検知してから、所定パルス分、レジストレスユニット7を幅方向の他方側に移動させる。その後、ユニット制御回路8は、ずれ補正用モーター78を停止させる。このときのレジストレスユニット7の位置が第2ホームポジションである。
【0066】
図4に戻り、複合機100は、二値化回路83を含む。二値化回路83は、読取ユニット6(ラインセンサー60)の各画素が出力するアナログ画像信号A1の二値化処理を行い、搬送読取画像データ(二値化信号B1)を生成する。たとえば、二値化回路83は、コンパレーターおよび基準電圧生成回路を含む。基準電圧生成回路は、基準電圧を生成する。コンパレーターの2つの入力端子のうち、一方にアナログ画像信号A1が入力され、他方に基準電圧が入力される。コンパレーターには、所定の周期で1画素分ずつアナログ画像信号A1が入力される。ユニット制御回路8は、所定の周期でコンパレーターの出力をラッチして、搬送読取画像データを生成する。
【0067】
アナログ画像信号A1の電圧値は、受光した光が多いほど大きくなる。アナログ画像信号A1が基準電圧以上のとき、コンパレーターは、低濃度値(Highレベル「1」)を出力する。アナログ画像信号A1が基準電圧未満のとき、コンパレーターは、高濃度値(Lowレベル「0」)を出力する。この場合、搬送読取画像データのうち低濃度値は、シートSを読み取った画素を示す。搬送読取画像データのうち高濃度値は、シートSから外れた領域を読み取った画素を示す。
【0068】
<シートの傾き角度の認識>
以下、搬送読取画像データに基づきシートSの傾き角度を認識する処理について説明する。シートSの傾き角度を求めるため、2点の画素(基準点画素)が予め定められる。基準点画素は、仕様上、印刷ジョブで使用可能な最小サイズのシートSの読取範囲内に設けられる。基準点画素間の主走査方向(幅方向)の距離は、印刷ジョブで使用可能な最小サイズのシートSの幅方向のサイズの1/2よりも大きくてもよい。
【0069】
2つの基準点画素が同じタイミングで低濃度値になったとき、ユニット制御回路8は、搬送中のシートSが傾いていない(傾き角度がゼロ)と認識する。2つの基準点画素のうち、一方が他方よりも早く低濃度値になったとき、ユニット制御回路8は、シートSが傾いていると認識する。主走査方向(幅方向)の一方側の基準点画素の方がより早く低濃度値になったとき、ユニット制御回路8は、シートSの主走査方向(幅方向)の一方側の隅が下流側に突出した状態になっていると認識する。主走査方向(幅方向)の他方側の基準点画素の方がより早く低濃度値になったとき、ユニット制御回路8は、シートSの主走査方向(幅方向)の他方側の隅が下流側に突出した状態になっていると認識する。
【0070】
搬送中のシートSが傾いているとき、ユニット制御回路8は、アークタンジェント(tan-1)の演算を行って傾き角度θを求める。具体的には、ユニット制御回路8は、以下の演算を行う。
傾き角度θ=tan-1(a/b)
【0071】
ここで、「a」は一方の基準点画素が低濃度値になってから他方の基準点画素が低濃度値になるまでのシートSの搬送距離である。一方の基準点画素が低濃度値になってから他方の基準点画素が低濃度値になるまでのライン数と、1ラインの周期と、単位時間あたりのシート搬送速度を乗じることにより、「a」が求められる。「b」は2つの基準点画素間の距離である。一方の基準点画素から他方の基準点画素までの画素数に1画素のピッチを乗じることにより、「b」が求められる。「a」を高さとし「b」を底辺とする直角三角形に基づき、傾き角度θが求められる。
【0072】
<シートの位置ずれ量の認識>
以下、搬送読取画像データに基づきシートSの幅方向(主走査方向)の位置ずれ量を認識する処理について説明する。ここで、シートSは中央通紙方式で搬送されるので、シートSのサイズに応じて、シートSのエッジが通過する位置は決まる。
【0073】
ユニット制御回路8は、搬送読取画像データのうち、主走査方向(幅方向)で最も端の低濃度値の画素の位置を認識する。記憶部2は、印刷ジョブで使用可能なシートSの各サイズについて、シートSが主走査方向(幅方向)にずれていないときのシートSの端に対応する画素の位置を定義したデータ(ずれ量認識用データD)を不揮発的に記憶する(
図1参照)。ユニット制御回路8は、最も端の低濃度画素の位置がずれ量認識用データDで定義された位置に対してどの方向にずれているかを認識する。また、ユニット制御回路8は、最も端の低濃度画素の位置がずれ量認識用データDで定義された位置に対して何画素ずれているかを認識し、当該認識した画素数に搬送読取画像データの1画素のピッチを乗じることにより、シートSの幅方向の位置ずれ量を求める。
【0074】
<斜行矯正・位置ずれ補正>
以下に、
図8に示すフローチャートを参照し、複合機100で行われる斜行矯正および位置ずれ補正の流れについて説明する。
図8に示すフローは、印刷ジョブが開始されるとスタートする。
【0075】
印刷ジョブの実行中、ユニット制御回路8は、読取ユニット6に読み取りを行わせる。たとえば、1枚目のシートSの給紙が開始されると(給紙ローラーの回転が開始されると)、ユニット制御回路8は、ランプ6cの点灯を開始する(ステップ♯11)。また、ユニット制御回路8は、ラインセンサー60に読み取りを開始させる(ステップ♯12)。すなわち、ユニット制御回路8は、ラインセンサー60に対し、トリガー信号TRおよび読取クロック信号CLKを入力する。
【0076】
ユニット制御回路8は、二値化回路83が出力する搬送読取画像データに基づき、読取ユニット6の読取位置RPにおけるシートSの前端到達を認識する(ステップ♯13)。たとえば、ユニット制御回路8は、予め定められた閾値を超える数の低濃度画素を含む主走査画素ライン(主走査方向に延びる画素ライン)が搬送読取画像データに出現すると、シートSの前端が読取ユニット6の読取位置RPに到達したと認識する。
【0077】
ユニット制御回路8は、搬送読取画像データに基づき、読み取り中(搬送中)のシートSの傾き方向および傾き角度を認識する(ステップ♯14)。また、ユニット制御回路8は、搬送読取画像データに基づき、読み取り中(搬送中)のシートSの幅方向の位置ずれ方向および位置ずれ量を認識する(ステップ♯15)。
【0078】
そして、ユニット制御回路8は、レジストレスユニット7をホームポジションから矯正位置に移動させる(ステップ♯16)。なお、ユニット制御回路8は、レジストレスユニット7(矯正用ローラー対7c)にシートSの前端が進入する前にレジストレスユニット7の矯正位置への移動を完了させる。
【0079】
ここで、ステップ#16の処理について具体的に説明する。
【0080】
まず、シートSの幅方向の一方側(支点軸側)の隅がシート搬送方向下流側に突出している場合(第1状態)について説明する。第1状態の場合、ユニット制御回路8は、レジストレスユニット7の幅方向の他方側(支点軸側とは反対側)の端部をシート搬送方向上流側に回動させる。第1ホームポジションから傾き角度と同じ角度だけレジストレスユニット7を回動させた位置が矯正位置である。
【0081】
次に、シートSの幅方向の他方側(支点軸側とは反対側)の隅がシート搬送方向下流側に突出している場合(第2状態)について説明する。第2状態の場合、ユニット制御回路8は、レジストレスユニット7の幅方向の他方側(支点軸側とは反対側)の端部をシート搬送方向下流側に回動させる。第1ホームポジションから傾き角度と同じ角度だけレジストレスユニット7を回動させた位置が矯正位置である。
【0082】
次に、シートSの幅方向の位置が幅方向の一方側(支点軸側)にずれている場合(第3状態)について説明する。第3状態の場合、ユニット制御回路8は、ステップ#15で認識したずれ量だけ、レジストレスユニット7を幅方向の一方側に移動させる。移動後のレジストレスユニット7の位置が矯正位置である。
【0083】
次に、シートSの幅方向の位置が幅方向の他方側(支点軸側とは反対側)にずれている場合(第4状態)について説明する。第4状態の場合、ユニット制御回路8は、ステップ#15で認識したずれ量だけ、レジストレスユニット7を幅方向の他方側に移動させる。移動後のレジストレスユニット7の位置が矯正位置である。
【0084】
ステップ#16の処理後、レジストレスユニット7の矯正用ローラー対7cがシートSをニップした状態で、ユニット制御回路8は、レジストレスユニット7を矯正位置からホームポジションに移動させる(ステップ♯17)。すなわち、ユニット制御回路8は、レジストレスユニット7を矯正位置から第1ホームポジションに移動させる。また、ユニット制御回路8は、レジストレスユニット7を矯正位置から第2ホームポジションに移動させる。
【0085】
レジストレスユニット7を矯正位置からホームポジションに移動させるとき、ユニット制御回路8は、レジストレスユニット7(矯正用ローラー対7c)によるシートSの搬送を止めない。すなわち、レジストレスユニット7による斜行矯正(位置ずれ補正を含む)は、シートSを搬送しながら行われる。ユニット制御回路8は、シートSの前端が印刷位置PPに到達するまでに、レジストレスユニット7の矯正位置からホームポジションへの移動を完了させる。
【0086】
ステップ♯17の処理後、ユニット制御回路8は、印刷ジョブの最終シートSを読み取ったか否かを判断する(ステップ♯18)。言い換えると、ユニット制御回路8は、最終シートSが読取ユニット6の読取位置RPを通過したか否かを判断する。
【0087】
ステップ♯18の処理で最後シートSではないと判断した場合(ステップ♯18でNoの場合)、ユニット制御回路8は、次シートSについて、ステップ♯13の処理を行う(ステップ♯13に戻る)。なお、先行シートSと次シートSの間には紙間が設けられる。当該紙間では、搬送読取画像データの主走査画像ラインの画像データが全て高濃度値となる。ユニット制御回路8は、2つの基準点画素がHighレベルになったか否かを再び監視する。
【0088】
ステップ♯18の処理で最終シートSであると判断した場合(ステップ♯18でYesの場合)、ユニット制御回路8は、本フローに沿った処理を終了する(エンド)。このとき、ユニット制御回路8は、ランプ6cを消灯し、ラインセンサー60による読み取りを終了させる。
【0089】
ここで、読取ユニット6に読み取りを行わせる場合、エンジン制御部50は、読取ユニット6の出力に基づき読取位置RPにシートSの前端が到達したことを検知してからの時間に基づき、画像形成部5cによる画像の形成開始タイミング(画像形成部5cによる静電潜像の書き出し開始タイミング)を制御する。
【0090】
<第1・第2矯正モード>
レジストレスユニット7による斜行矯正(位置ずれ補正も含む)では、読取ユニット6による読み取りで得られる搬送読取画像データに基づき、シートSの傾き方向、傾き角度、位置ずれ方向および位置ずれ量が判定される。このため、レジストレスユニット7による斜行矯正の精度低下を抑制するには、読取ユニット6によるシートSの読み取りが正常に行われる必要がある。しかし、場合によっては、読取ユニット6によるシートSの読み取りが正常に行われない状態になり得る。
【0091】
そこで、エンジン制御部50は、読取ユニット6によるシートSの読み取りを正常に行うことができるか否かを判断する判断処理を行う。判断処理については後に詳細に説明する。
【0092】
予め定められた正常条件を満たしていない場合、エンジン制御部50は、読取ユニット6によるシートSの読み取りを正常に行えないと判断する。この場合、エンジン制御部50は、読取ユニット6を用いずに印刷ジョブを実行する。すなわち、読取ユニット6は、印刷ジョブの実行中、シートSの読み取りを行わない。
【0093】
読取ユニット6を用いない場合、シートSの傾き方向、傾き角度、位置ずれ方向および位置ずれ量を認識できないので、エンジン制御部50は、シートSの位置ずれ補正は行わない。しかし、読取ユニット6を用いない場合であっても、エンジン制御部50は、シートSの斜行矯正は行う。読取ユニット6を用いない場合、エンジン制御部50は、回転停止中の矯正用ローラー対7cにシートSの前端を突き当てることにより、シートSの斜行を矯正する。
【0094】
読取ユニット6によるシートSの読み取りで得られる搬送読取画像データを用いてシートSの斜行を矯正するモードは第1矯正モードである。読取ユニット6を用いずにシートSの斜行を矯正するモードは第2矯正モードである。第1矯正モードでは、シートSの斜行矯正と共にシートSの位置ずれ補正も行われる。第2矯正モードでは、シートSの斜行矯正は行われるが、シートSの位置ずれ補正は行われない。
【0095】
以下、
図9に示すフローチャート参照し、第1矯正モードおよび第2矯正モードのいずれで斜行矯正を行うかの選択処理の流れについて説明する。
図9に示すフローは、印刷ジョブの実行要求を操作パネル4がユーザーから受け付けたときにスタートする。
【0096】
エンジン制御部50は、読取ユニット6によるシートSの読み取りを正常に行うことができるか否かを判断する判断処理を行う。判断処理には、第1判断処理と第2判断処理とがある。第1判断処理では、第1条件が満たされているか否かの判断が行われる。第2判断処理では、第2条件が満たされているか否かの判断が行われる。第1条件および第2条件の両方が満たされていれば、読取ユニット6によるシートSの読み取りを正常に行える(正常条件が満たされている)と判断される。第1条件および第2条件の少なくとも一方が満たされていなければ、読取ユニット6によるシートSの読み取りを正常に行えない(正常条件が満たされていない)と判断される。
【0097】
まず、エンジン制御部50は、第1判断処理を行う(ステップ#21)。ここで、第1判断処理について説明する。
【0098】
読取ユニット6のラインセンサー60に紙粉などの異物が付着している場合、読取ユニット6によるシートSの読み取りが正常に行われない。そこで、エンジン制御部50は、ラインセンサー60に付着した異物を検知する異物検知処理を行う。
【0099】
なお、異物検知処理の実行タイミングは特に限定されない。異物検知処理が定期的(たとえば、1日~数十日ごと)に行われてもよい。また、複合機100の起動時(再起動時を含む)に異物検知処理が行われてもよいし、複合機100がスリープ状態から通常状態に復帰したときに異物検知処理が行われてもよい。キャリブレーションの実行時に異物検知処理が合わせて行われてもよい。
【0100】
また、印刷ジョブの実行前(シートSの給紙前)に異物検知処理が行われてもよいし、印刷ジョブの終了後に異物検知処理が行われてもよい。ユーザーからの要求を受けて異物検知処理が行われてもよい。この場合、異物検知処理の実行要求は操作パネル4が受け付ける。そして、異物検知処理の実行要求を操作パネル4が受け付けると、メイン制御部1からエンジン制御部50に対し、異物検知処理の実行命令が与えられる。
【0101】
異物検知処理を行うとき、エンジン制御部50は、シートSが搬送されていない状態(読取位置RPにシートSが無い状態)で、読取ユニット6に読み取りを行わせる。エンジン制御部50は、読取位置RPにシートSが無い状態での読取ユニット6による読み取りで得られる画像データ(二値化信号)を確認用画像データとして取得する。そして、エンジン制御部50は、確認用画像データに基づき、ラインセンサー60に異物が付着しているか否かを判断する。
【0102】
ラインセンサー60に異物が付着している場合、読取位置RPにシートSが無いにもかかわらず、所定数を超える数の低濃度画素が確認用画像データに出現する。そこで、所定数を超える数の低濃度画素が確認用画像データに出現した場合、エンジン制御部50は、ラインセンサー60に異物が付着していると判断する。
【0103】
エンジン制御部50は、異物検知処理を行うと、異物検知処理の結果を示す結果情報を記憶部2に記憶させる。記憶部2に結果情報が既に記憶されている場合、エンジン制御部50は、既存の結果情報を最新の結果情報に更新する。
【0104】
そして、第1判断処理を行うとき、エンジン制御部50は、記憶部2に記憶されている最新の結果情報(直近に行った異物検知処理の結果を示す情報)を確認する。その結果、最新の結果情報が異物の付着を示す情報ではない場合、エンジン制御部50は、第1条件を満たしていると判断する。
【0105】
第1条件を満たしていると判断した場合(ステップ#21でYesの場合)、エンジン制御部50は、第2判断処理を行う(ステップ#22)。なお、第1判断処理および第2判断処理の実行順は特に限定されない。第2判断処理が先に行われてもよい。この場合、第2条件が満たされていると第1判断処理が行われる。ここで、第2判断処理について説明する。
【0106】
印刷ジョブの実行に際し、操作パネル4はユーザーから、今回の印刷ジョブで使用するシートSの種類を受け付ける。たとえば、定着温度などの設定は、シートSの種類に応じて変わる。シートSの種類設定を事前に行わなければ、定着温度がデフォルト温度(普通紙に適した温度)に設定された状態で印刷ジョブが実行される。このため、印刷ジョブで今回使用するシートSが普通紙ではない場合(たとえば、厚紙である場合およびOHPシートである場合など)には、シートSの種類を設定しておく必要がある。
【0107】
ここで、OHPシートなどの透明シートが印刷ジョブで使用され得る。印刷ジョブで使用するシートSが透明シート(「特定種類のシート」に相当)である場合、ランプ6cの光がシートSを透過する。したがって、読取位置RPにシートSがあるにもかかわらず、ラインセンサー60の受光量が少なくなる。すなわち、印刷ジョブで使用するシートSが透明シートである場合には、読取ニット6によるシートS(透明シート)の読み取りが正常に行われない。
【0108】
そこで、第2判断処理を行うとき、エンジン制御部50は、今回の印刷ジョブで使用するシートSが特定種類のシートであるか否か、すなわち、透明シートであるか否かを判断する。今回の印刷ジョブで使用するシートSの種類(当該シートSが透明シートであるか否か)はメイン制御部1からエンジン制御部50に対して通知される。今回の印刷ジョブで使用するシートSが透明シートでない場合、エンジン制御部50は、第2条件を満たしていると判断する。なお、透明シート以外の種類のシートSを特定種類のシートとして設定してもよい。
【0109】
第2条件を満たしていると判断した場合(ステップ322でYesの場合)、エンジン制御部50は、正常条件が満たされていると判断する。そして、エンジン制御部50は、第1矯正モードを選択する(ステップ#23)。すなわち、エンジン制御部50は、印刷ジョブの実行中、第1矯正モードで斜行矯正を行う。
【0110】
第1条件を満たしていない(正常条件を満たしていない)と判断した場合(ステップ#21でNoの場合)、エンジン制御部50は、読取ユニット6(ラインセンサー60)の清掃をユーザーに要求する清掃要求処理を行う(ステップ#24)。なお、エンジン制御部50は、記憶部2に記憶されている最新の結果情報が異物の付着を示す情報である場合、第1条件を満たしていないと判断する。
【0111】
清掃要求処理を行うとき、エンジン制御部50は、第1条件を満たしていない旨をメイン制御部1に通知する。当該通知を受けたメイン制御部1は、読取ユニット6の清掃を要求する清掃要求メッセージを操作パネル4に表示させる。清掃要求メッセージとして、複合機100(読取ユニット6)のメンテナンスを受けるよう促すメッセージが表示されてもよい。
【0112】
その後、ステップ#25に移行する。第2条件を満たしていない(正常条件を満たしていない)とエンジン制御部50が判断した場合にも(ステップ#22でNoの場合)、ステップ#25に移行する。エンジン制御部50は、今回の印刷ジョブで使用するシートSが透明シートである場合、第2条件を満たしていないと判断する。
【0113】
第2条件を満たしていない場合(正常条件が満たされていない場合)、エンジン制御部50は、第2矯正モードを選択する(ステップ#25)。すなわち、エンジン制御部50は、読取ユニット6を用いずに印刷ジョブを実行する。
【0114】
正常条件が満たされていない場合、印刷ジョブの開始前、エンジン制御部50は、レジストレスユニット7を第1ホームポジションに移動させ、レジストレスユニット7を第1ホームポジションに保持(固定)する。言い換えると、エンジン制御部50は、矯正用ローラー対7cの軸線方向がシート搬送方向と直交する位置で矯正用ローラー対7cを保持(固定)する。エンジン制御部50は、印刷ジョブの実行中、当該位置に矯正用ローラー対7cを保持する。エンジン制御部50は、印刷ジョブの実行中、矯正用ローラー対7cの軸線方向の傾きを変化させない。
【0115】
さらに、正常条件が満たされていない場合、印刷ジョブの開始前、エンジン制御部50は、レジストレスユニット7を第2ホームポジションに移動させ、レジストレスユニット7を第2ホームポジションに保持(固定)する。エンジン制御部50は、印刷ジョブの実行中、レジストレスユニット7を幅方向に移動させない。
【0116】
第2矯正モードのとき、エンジン制御部50は、回転停止中の矯正用ローラー対7cにシートSの前端を突き当てることにより、シートSの斜行を矯正する。具体的には、エンジン制御部50は、印刷ジョブの1枚目のシートSが搬送路Pに給紙された時点では矯正用ローラー対7cを開始させない。このとき、中間搬送センサー501など矯正用ローラー対7cよりもシート搬送方向上流側に設置された搬送ローラー対は回転しているので、搬送路Pに給紙されたシートSは矯正用ローラー対7cに向けて搬送される。
【0117】
エンジン制御部50は、搬送中のシートSの前端が中間搬送センサー502の検知位置DPに到達すると計時を開始する。そして、エンジン制御部50は、シートSの前端が検知位置DPに到達してから予め定められた矯正時間が経過したとき、矯正用ローラー対7cの回転を開始させる。ここで、矯正時間は、検知位置DPに到達したシートSの前端が検知位置DPから矯正用ローラー対7cの設置位置に到達するまでの所要時間よりも長い時間に設定される。これにより、矯正用ローラー対7cの設置位置にシートSの前端が到達した時点では、矯正用ローラー対7cは回転を停止している。
【0118】
搬送中のシートSは、軸線方向がシート搬送方向に対して垂直(軸線方向がシート搬送方向と直交する幅方向に対して平行)な矯正用ローラー対7cのニップに突き当たる。これにより、シートSの斜行が矯正される。シートSの前端が矯正用ローラー対7cに突き当たってから、矯正用ローラー対7cは回転を開始する。その結果、斜行が矯正されたシートSが印刷位置PPに向けて搬送される。
【0119】
印刷ジョブの印刷枚数が複数枚である場合、先行シートS(先に給紙されたシートS)の後端が矯正用ローラー対7cの設置位置を通過すると、エンジン制御部50は、矯正用ローラー対7cの回転を停止させる。なお、エンジン制御部50は、シートSの搬送速度およびシートSのサイズに基づき、先行シートSの後端が矯正用ローラー対7cの設置位置を通過したか否かを判断する。先行シートSが矯正用ローラー対7cの設置位置を通過して以降、同様の制御が繰り返される。すなわち、次シートS(先行シートSの次に給紙されたシートS)の先端が中間搬送センサー502の検知位置DPに到達してからの時間に基づき、矯正用ローラー対7cの回転開始タイミングが制御される。
【0120】
なお、第2矯正モードでの印刷ジョブ(ジョブ開始時点でラインセンサー60に異物が付着していた印刷ジョブ)の終了後、次の印刷ジョブの開始前に清掃作業が行われたことによって異物が除去されたとする。また、次の印刷ジョブの開始前に異物検知処理が再度行われたとする。
【0121】
この場合、エンジン制御部50は、再度行った異物検知処理でラインセンサー60に異物が付着していないと判断する。このため、記憶部2に記憶された結果情報は、異物の付着を示す情報から、異物が付着していないことを示す情報に更新される。これにより、次の印刷ジョブでは、第1矯正モードで斜行矯正が行われる。すなわち、エンジン制御部50は、次の印刷ジョブの実行中、読取ユニット6にシートSの読み取りを行わせ、それによって得られた搬送読取画像データに基づき、シートSの斜行を矯正するとともに、シートSの幅方向の位置ずれを補正する。
【0122】
このように、或る印刷ジョブで第2矯正モードの斜行矯正が行われても、以降の印刷ジョブで続けて第2矯正モードの斜行矯正が行われるとは限らない。或る印刷ジョブで第2矯正モードの斜行矯正が行われても、次の印刷ジョブの開始前に清掃作業を行えば、次の印刷ジョブでは第1モードの斜行矯正が行われる。
【0123】
また、或る印刷ジョブの開始時点でラインセンサー60に異物が付着していた(正常条件が満たされていないと判断された)としても、当該印刷ジョブの実行中にラインセンサー60の異物が除去される場合がある。たとえば、ラインセンサー60の異物が搬送中のシートSに転移する場合がある。この場合には、次の印刷ジョブの開始前に清掃作業を行わなくても、次の印刷ジョブでは第1矯正モードの斜行矯正が行われる可能性がある。
【0124】
ここで、読取ユニット6による読み取りが行われる場合(第1矯正モードのとき)、エンジン制御部50は、読取ユニット6の出力に基づき読取位置RPにシートSの前端が到達したことを検知してからの時間に基づき、画像形成部5cによる画像の形成開始タイミング(画像形成部5cによる静電潜像の書き出し開始タイミング)を制御する。
【0125】
しかし、読取ユニット6を用いない場合には、読取位置RPにシートSの前端が到達したか否かをエンジン制御部50に認識させることができない。そこで、読取ユニット6による読み取りを行わせない場合(第2矯正モードのとき)、エンジン制御部50は、中間搬送センサー502の検知位置DPにシートSの前端が到達したことを検知してからの時間に基づき、画像形成部5cによる画像の形成開始タイミングを制御する。
【0126】
本実施形態の複合機100(シート搬送装置)は、上記のように、シートSを搬送する矯正用ローラー対7cを含み、第1矯正モードのとき、矯正用ローラー対7cによるシートSの搬送を止めずに、矯正用ローラー対7cがシートSをニップしているときに矯正用ローラー対7cの軸線方向の傾きを変化させることにより、シートSの斜行を矯正するレジストレスユニット7と、第1矯正モードのとき、矯正用ローラー対7cの設置位置よりもシート搬送方向上流側の読取位置RPを通過するシートSを読み取る読取ユニット6と、第1矯正モードのとき、読取ユニット6によるシートSの読み取りで得られる画像データに基づきシートSの傾き方向および傾き角度を検知し、検知した傾き方向および傾き角度に基づき矯正用ローラー対7cの軸線方向の傾きを変化させるエンジン制御部50(制御部)と、を備える。読取ユニット6を用いない第2矯正モードのとき、エンジン制御部50は、矯正用ローラー対7cをその軸線方向がシート搬送方向と直交する位置で保持すする。そして、エンジン制御部50は、回転停止中の矯正用ローラー対7cにシートSの前端を突き当てることにより、シートSの斜行を矯正する。
【0127】
本実施形態では、斜行矯正処理のモードとして、第1矯正モードと第2矯正モードとがある。第1矯正モードは、読取ユニット6によるシートSの読み取りで得られる搬送読取画像データ(当該画像データで示されるシートSの傾き方向および傾き角度)に基づきシートSの斜行を矯正するモードである。第2矯正モードは、読取ユニット6を用いないモードである。
【0128】
第2矯正モードの斜行矯正処理では、回転停止中の矯正用ローラー対7cにシートSの前端が突き当てられる。このとき、矯正用ローラー対7cはその軸線方向がシート搬送方向と直交する位置に保持される。この状態の矯正用ローラー対7cにシートSの前端が突き当たると、矯正用ローラー対7cのニップに対してシートSの前端が沿う。すなわち、シートSの斜行が矯正される。これにより、読取ユニット6によるシートSの読み取りを正常に行えない場合、読取ユニット6を用いないという方策をとることができる。読取ユニット6を用いなくても(読取ユニット6によるシートSの読み取りを正常に行えなくても)、第2矯正モードの斜行矯正処理を行うことにより、シートSの斜行を矯正することができる。
【0129】
ユーザーからすると、読取ユニット6によるシートSの読み取りが正常に行われない場合であっても、印刷ジョブの実行が可能であるので、利便性が良い。
【0130】
また、本実施形態では、上記のように、エンジン制御部50は、読取位置RPにシートSが無い状態での読取ユニット6による読み取りで得られる確認用画像データに基づき、ラインセンサー60に異物が付着しているか否かを検知する異物検知処理を行う。異物検知処理でラインセンサー60に異物が付着していることを検知した場合、エンジン制御部50は、第2矯正モードでシートSの斜行を矯正する。この構成では、読取ユニット6によるシートSの読み取りを正常に行える(ラインセンサー60に異物が付着していない)にもかかわらず、第2矯正モードの斜行矯正処理が行われるという不都合の発生を抑制することができる。
【0131】
また、本実施形態では、上記のように、エンジン制御部50は、異物検知処理でラインセンサー60に異物が付着していることを検知した場合、読取ユニット6の清掃を要求するメッセージを操作パネル4に表示させる。これにより、ラインセンサー60に異物が付着したまま放置されるという不都合が生じるのを抑制することができる。ラインセンサー60に異物が付着した状態では、第2矯正モードの斜行矯正処理が行われる。すなわち、シートSの斜行矯正は行われるが、シートSの幅方向の位置ずれ補正が行われない。このため、ラインセンサー60に異物が付着している場合には、当該異物を速やかに除去するのが好ましい。
【0132】
また、本実施形態では、上記のように、搬送するシートSが特定種類のシートであるとき、エンジン制御部50は、第2矯正モードでシートSの斜行を矯正する。ここで、ラインセンサー60に異物が付着していなくても、シートSの種類によっては、読取ユニット6によるシートSの読み取りが正常に行われない。たとえば、搬送するシートSが透明シートであれば、読取ユニット6によるシートSの読み取りが正常に行われない。そこで、透明シートなどが特定種類のシートとして設定される。これにより、読取ユニット6によるシートSの読み取りを正常に行えない(搬送するシートSが透明シートである)にもかかわらず、第1矯正モードの斜行矯正処理が行われるという不都合の発生を抑制することができる。
【0133】
また、本実施形態では、上記のように、画像を形成し、矯正用ローラー対7cの設置位置よりもシート搬送方向下流側の印刷位置PPを通過するシートSに画像を印刷する画像形成部5cと、矯正用ローラー対7cの設置位置よりもシート搬送方向上流側の検知位置DPにおいてシートSの前端到達を検知する中間搬送センサー502と、を備える。第1矯正モードのとき、エンジン制御部50は、読取ユニット6の出力に基づき読取位置RPにシートSの前端が到達したことを検知してからの時間に基づき、画像形成部5cによる画像の形成開始タイミングを制御する。一方で、第2矯正モードのとき、エンジン制御部50は、中間搬送センサー502の出力に基づき検知位置DPにシートSの前端が到達したことを検知してからの時間に基づき、画像形成部5cによる画像の形成開始タイミングを制御する。この構成では、読取ユニット6を用いない場合であっても、シートSに対する画像の印刷位置がずれるのを抑制することができる。
【0134】
今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0135】
4 操作パネル
5c 画像形成部
6 読取ユニット
7 レジストレスユニット
7c 矯正用ローラー対
50 エンジン制御部(制御部)
60 ラインセンサー
100 複合機(シート搬送装置)
502 中間搬送センサー
DP 検知位置
RP 読取位置
S シート