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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-08
(45)【発行日】2024-05-16
(54)【発明の名称】粉体処理装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/16 20060101AFI20240509BHJP
   G03G 21/18 20060101ALI20240509BHJP
   G03G 15/08 20060101ALI20240509BHJP
   G03G 21/12 20060101ALI20240509BHJP
【FI】
G03G21/16 109
G03G21/16 133
G03G21/18 142
G03G21/16 147
G03G15/08 348B
G03G21/12
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020055416
(22)【出願日】2020-03-26
(65)【公開番号】P2021156988
(43)【公開日】2021-10-07
【審査請求日】2023-02-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137752
【弁理士】
【氏名又は名称】亀井 岳行
(74)【代理人】
【識別番号】100085040
【弁理士】
【氏名又は名称】小泉 雅裕
(74)【代理人】
【識別番号】100108925
【弁理士】
【氏名又は名称】青谷 一雄
(74)【代理人】
【識別番号】100087343
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 智廣
(72)【発明者】
【氏名】安西 尭
(72)【発明者】
【氏名】木村 隆博
(72)【発明者】
【氏名】飯倉 和昭
(72)【発明者】
【氏名】岡本 哲二
【審査官】市川 勝
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-041231(JP,A)
【文献】特開2007-101794(JP,A)
【文献】特開2018-116302(JP,A)
【文献】特開2011-008214(JP,A)
【文献】特開2006-171534(JP,A)
【文献】特開平04-174873(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第02012195(EP,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/16
G03G 21/18
G03G 15/08
G03G 21/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置筐体内に搭載され、粉体を保持する移動可能な粉体保持手段及び前記粉体保持手段に粉体を供給する粉体供給手段が少なくとも含まれる一若しくは複数の処理手段を有する処理エンジンと
前記装置筐体のうち前記粉体保持手段の移動方向に交差する交差方向の一方に位置する側壁に開設された開口を回転支点を中心に開閉する開閉扉と、
前記処理手段にて使用予定若しくは使用済みの粉体を貯留するものであって、前記開閉扉側に設置され、当該開閉扉の開閉に連動して移動する粉体貯留手段と、
を備え、
前記開閉扉は、前記装置筐体の前記開口の下縁部に前記回転支点を有し、
前記処理手段は、前記開閉扉側に突出して設けられる前記粉体の補給又は回収のための搬送管を有し、当該搬送管の開閉扉側端部に接続口を有するものであり、
前記粉体貯留手段は、前記開閉扉の開閉に連動し、前記搬送管の接続口に対して接離可能な被接続口を有し、
前記開閉扉の開閉時には、前記粉体貯留手段の回転挙動を確保するように、前記回転支点と前記被接続口との間の距離を、前記回転支点と前記接続口との間の距離よりも大きく設定し、
前記開閉扉を開放したときに、当該開閉扉の開口のうち、前記開閉扉に連動して移動した前記粉体貯留手段で妨げられた領域以外に前記処理エンジンを挿抜する上で必要な大きさの挿抜経路を確保する
ことを特徴とする粉体処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の粉体処理装置において、
前記処理エンジンは、前記処理手段が略水平方向又は水平に対して斜め方向に複数並設されていることを特徴とする粉体処理装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の粉体処理装置において、
前記処理エンジンは、複数並設された前記処理手段の全部若しくは一部が共通のエンジンフレームで支持されていることを特徴とする粉体処理装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載の粉体処理装置において、
前記粉体貯留手段は、前記処理手段に補給する前記粉体を収容する収容容器と、前記収容容器内に収容された粉体を定量補給する定量補給機構と、を有することを特徴とする粉体処理装置。
【請求項5】
請求項1乃至3のいずれかに記載の粉体処理装置において、
前記粉体貯留手段は、前記粉体供給手段にて使用済みの粉体を回収する回収容器を有することを特徴とする粉体処理装置。
【請求項6】
請求項に記載の粉体処理装置において、
前記接続口は前記搬送管の下側若しくは上側に設けられ、前記被接続口は前記接続口に対向して配置されることを特徴とする粉体処理装置。
【請求項7】
請求項に記載の粉体処理装置において、
前記接続口及び前記被接続口には夫々接続時には開口し、かつ、非接続時には閉塞するシャッタ機構を有することを特徴とする粉体処理装置。
【請求項8】
請求項に記載の粉体処理装置において、
前記処理エンジンの処理手段は、前記粉体の補給又は回収のための前記搬送管を有し、当該搬送管の開閉扉側端部に前記接続口を有するものであり、前記開閉扉の回転支点は前記接続口に対し略鉛直線上に位置することを特徴とする粉体処理装置。
【請求項9】
請求項1乃至のいずれかに記載の粉体処理装置において、
前記処理エンジンは、前記粉体保持手段として画像を保持する像保持手段及び前記像保持手段に保持された画像を前記粉体としての作像剤にて可視化する前記粉体供給手段としての現像手段が少なくとも含まれる一若しくは複数の前記処理手段としての作像手段を有する作像エンジンであることを特徴とする粉体処理装置。
【請求項10】
請求項に記載の粉体処理装置において、
前記作像エンジンの上方に中間転写手段を備え、前記中間転写手段と前記作像エンジンとを前記開閉扉の開口から別々に挿抜可能であることを特徴とする粉体処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉体処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来この種の粉体処理装置としては例えば特許文献1,2に記載のものが既に知られている。
特許文献1には、LEDユニット及びLEDユニットを支持する支持部材が、ドア連動で、露光位置と退避位置とを取り、また、LEDユニット又はLEDユニットを支持する支持部材にプロセスカートリッジをガイドするガイドを設けた電子写真画像形成装置が開示されている。
特許文献2には、現像容器の片側に補給路形成部材が支持されている画像形成装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-064598号公報(発明を実施するための形態,図6
【文献】特許第4434309号公報(発明を実施するための最良の形態,図3
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする技術的課題は、粉体の補給又は回収を可能とする処理エンジンを搭載した態様において、装置筐体内に粉体の補給又は回収要素を固定的に設置する場合に比べて、装置筐体の小型化を図りつつ装置筐体に対する処理エンジンの着脱操作を簡易に実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に係る発明は、装置筐体内に搭載され、粉体を保持する移動可能な粉体保持手段及び前記粉体保持手段に粉体を供給する粉体供給手段が少なくとも含まれる一若しくは複数の処理手段を有する処理エンジンと前記装置筐体のうち前記粉体保持手段の移動方向に交差する交差方向の一方に位置する側壁に開設された開口を回転支点を中心に開閉する開閉扉と、前記処理手段にて使用予定若しくは使用済みの粉体を貯留するものであって、前記開閉扉側に設置され、当該開閉扉の開閉に連動して移動する粉体貯留手段と、を備え、前記開閉扉は、前記装置筐体の前記開口の下縁部に前記回転支点を有し、前記処理手段は、前記開閉扉側に突出して設けられる前記粉体の補給又は回収のための搬送管を有し、当該搬送管の開閉扉側端部に接続口を有するものであり、前記粉体貯留手段は、前記開閉扉の開閉に連動し、前記搬送管の接続口に対して接離可能な被接続口を有し、前記開閉扉の開閉時には、前記粉体貯留手段の回転挙動を確保するように、前記回転支点と前記被接続口との間の距離を、前記回転支点と前記接続口との間の距離よりも大きく設定し、前記開閉扉を開放したときに、当該開閉扉の開口のうち、前記開閉扉に連動して移動した前記粉体貯留手段で妨げられた領域以外に前記処理エンジンを挿抜する上で必要な大きさの挿抜経路を確保することを特徴とする粉体処理装置である。
【0006】
請求項2に係る発明は、請求項1に係る粉体処理装置において、前記処理エンジンは、前記処理手段が略水平方向又は水平に対して斜め方向に複数並設されていることを特徴とする粉体処理装置である。
請求項3に係る発明は、請求項1又は2に係る粉体処理装置において、前記処理エンジンは、複数並設された前記処理手段の全部若しくは一部が共通のエンジンフレームで支持されていることを特徴とする粉体処理装置である。
請求項4に係る発明は、請求項1乃至3のいずれかに係る粉体処理装置において、前記粉体貯留手段は、前記処理手段に補給する前記粉体を収容する収容容器と、前記収容容器内に収容された粉体を定量補給する定量補給機構と、を有することを特徴とする粉体処理装置である。
請求項5に係る発明は、請求項1乃至3のいずれかに係る粉体処理装置において、前記粉体貯留手段は、前記粉体供給手段にて使用済みの粉体を回収する回収容器を有することを特徴とする粉体処理装置である
請求項に係る発明は、請求項に係る粉体処理装置において、前記接続口は前記搬送管の下側若しくは上側に設けられ、前記被接続口は前記接続口に対向して配置されることを特徴とする粉体処理装置である。
請求項に係る発明は、請求項に係る粉体処理装置において、前記接続口及び前記被接続口には夫々接続時には開口し、かつ、非接続時には閉塞するシャッタ機構を有することを特徴とする粉体処理装置である
請求項に係る発明は、請求項に係る粉体処理装置において、前記処理エンジンの処理手段は、前記粉体の補給又は回収のための前記搬送管を有し、当該搬送管の開閉扉側端部に前記接続口を有するものであり、前記開閉扉の回転支点は前記接続口に対し略鉛直線上に位置することを特徴とする粉体処理装置である。
【0007】
請求項に係る発明は、請求項1乃至のいずれかに係る粉体処理装置において、前記処理エンジンは、前記粉体保持手段として画像を保持する像保持手段及び前記像保持手段に保持された画像を前記粉体としての作像剤にて可視化する前記粉体供給手段としての現像手段が少なくとも含まれる一若しくは複数の前記処理手段としての作像手段を有する作像エンジンであることを特徴とする粉体処理装置である。
請求項10に係る発明は、請求項に係る粉体処理装置において、前記作像エンジンの上方に中間転写手段を備え、前記中間転写手段と前記作像エンジンとを前記開閉扉の開口から別々に挿抜可能であることを特徴とする粉体処理装置である。
【発明の効果】
【0008】
請求項1に係る発明によれば、粉体の補給又は回収を可能とする処理エンジンを搭載した態様において、装置筐体内に粉体の補給又は回収要素を固定的に設置する場合に比べて、装置筐体の小型化を図りつつ装置筐体に対する処理エンジンの着脱操作を簡易に実現することができるという基本的効果を奏する。
更に、請求項1に係る発明によれば、開閉扉の開閉に連動して、粉体貯留手段と粉体の搬送管との接離動作を容易に実現することができることに加え、開閉扉の開閉操作が容易で、開閉扉開放時に開閉扉上で粉体貯留手段を安定的に支持することができる。
請求項2に係る発明によれば、複数の処理手段が略鉛直方向に並設される場合に比べて、装置の高さ寸法を抑制することができる。
請求項3に係る発明によれば、処理エンジンの各処理手段が個々的に挿抜される場合に比べて、処理エンジンの挿抜作業回数を低減することができる。
請求項4に係る発明によれば、粉体を補給する粉体貯留手段を備えた態様において、処理エンジンの挿抜作業を簡易に行うことができる。
請求項5に係る発明によれば、粉体を回収する粉体貯留手段を備えた態様において、処理エンジンの挿抜作業を簡易に行うことができる
請求項に係る発明によれば、開閉扉の開閉に連動して、接続口と被接続口とを面方向に相対移動させることで粉体貯留手段と粉体の搬送管とを接離動作することができる。
請求項に係る発明によれば、開閉扉の開閉に連動して、粉体貯留手段と粉体の搬送管とを接離するときに、接続口、被接続口からの粉体の漏れを抑制することができる
請求項に係る発明によれば、開閉扉の開閉操作性を維持しつつ、装置筐体及び開閉扉の設置スペースを最小化することができる。
請求項に係る発明によれば、粉体処理装置の一例である画像形成装置に本発明を有効に適用することができる。
請求項10に係る発明によれば、中間転写手段を備えた作像エンジンを挿抜するに当たって、作像エンジン及び中間転写手段を別々に挿抜することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】(a)は本発明が適用された粉体処理装置の実施の形態の概要を示す説明図、(b)は開閉扉開放時における処理エンジンの着脱操作状況を示す説明図である。
図2】実施の形態1に係る粉体処理装置の一例である画像形成装置の全体構成を示す説明図である。
図3】実施の形態1に係る画像形成装置の各作像部を模式的に示す説明図である。
図4】実施の形態1において、トナーカートリッジとサイドカバーとの位置関係を示す説明図である。
図5】実施の形態1に係る画像形成装置において、開閉扉開放時の処理エンジンとしての作像エンジンの着脱操作例を示す説明図である。
図6】サイドカバー開放時における作像エンジンの作像部の側方に露呈した部分の要部を示す説明図である。
図7】実施の形態1で用いられるトナーカートリッジの一例を示す説明図である。
図8】(a)は図7中VIII方向から見た矢視図、(b)は(a)中B-B線で切断した断面説明図である。
図9】(a)は作像エンジンの作像部の現像装置とトナーカートリッジのトナー供給部との接続前の状態を示す説明図、(b)は同接続時の状態を示す説明図である。
図10】(a)は作像エンジンの作像部の清掃装置とトナーカートリッジのトナー回収部との接続前の状態を示す説明図、(b)は同接続時の状態を示す説明図である。
図11】(a)は実施の形態1に係る画像形成装置のサイドカバー閉鎖時のトナーカートリッジの搭載状態を模式的に示す説明図、(b)は同サイドカバー開放時のトナーカートリッジの搭載状態を模式的に示す説明図である。
図12】(a)は比較の形態1に係る画像形成装置のサイドカバー閉鎖時のトナーカートリッジの搭載状態を模式的に示す説明図、(b)は同サイドカバー開放時のトナーカートリッジの搭載状態を模式的に示す説明図である。
図13】(a)は作像エンジンの作像部の現像装置への補給接続口がサイドカバーの回転支点の略鉛直線上に位置する態様を示す説明図、(b)はサイドカバー開放時のトナーカートリッジのトナー補給部の挙動を模式的に示す説明図である。
図14】(a)は作像エンジンの作像部の現像装置への補給接続口がサイドカバーの回転支点の略鉛直線よりも装置筐体側に位置する態様を示す説明図、(b)は作像エンジンの作像部の現像装置への補給接続口がサイドカバーの回転支点の略鉛直線よりもサイドカバー側に位置する態様を示す説明図、(c)は(b)に示す態様において、サイドカバー開放時のトナーカートリッジのトナー補給部の挙動を模式的に示す説明図である。
図15】実施の形態2に係る粉体処理装置としての粉体塗装装置の要部を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
◎実施の形態の概要
図1(a)は本発明が適用された粉体処理装置の実施の形態の概要を示す説明図である。
同図において、粉体処理装置は、装置筐体11内に搭載され、粉体を保持する移動可能な粉体保持手段3及び粉体保持手段3に粉体を供給する粉体供給手段4が少なくとも含まれる一若しくは複数の処理手段2を有する処理エンジン1と、粉体保持手段3に対して粉体が保持可能な領域を形成する保持領域形成手段5と、装置筐体11のうち粉体保持手段3の移動方向に直交する方向の一方に位置する側壁に開設された開口11a(図1(b)参照)を回転支点7を中心に開閉する開閉扉6と、処理手段2にて使用予定若しくは使用済みの粉体を貯留するものであって、開閉扉6側に設置され、当該開閉扉6の開閉に連動して移動する粉体貯留手段8と、を備え、図1(b)に示すように、開閉扉6を開放したときに、当該開閉扉6の開口11aのうち、開閉扉6に連動して移動した粉体貯留手段8で妨げられた領域以外に処理エンジン1を挿抜する上で必要な大きさの挿抜経路9を確保するものである。
【0011】
このような技術的手段において、処理エンジン1の処理手段2は一若しくは複数のものを対象とし、処理手段2は粉体保持手段3、粉体供給手段4を備えたものであればよい。
また、保持領域形成手段5は、粉体保持手段3に対して粉体が保持可能な領域を形成するものであれば適宜選定して差し支えなく、粉体が保持可能な領域としては粉体保持手段3の一部でもよいし全域でもよい。
更に、開閉扉6は装置筐体11のうち粉体保持手段3の移動方向に交差する交差方向の一方に位置する側壁に開設された開口11aを開閉するものとする。これは、保持領域形成手段5を退避させずに処理エンジン1を挿抜する上で必要である。
更にまた、粉体貯留手段8としては、粉体供給手段4に対して新規な粉体を補給する要素、あるいは、使用済みの粉体を回収する要素のいずれをも対象とする。
また、開閉扉6を開放したときに、開閉扉6に設置された粉体貯留手段8が開口11aの一部を妨げることになるが、それ以外の領域が挿抜経路9として処理エンジン1の挿抜に必要な大きさ以上あればよい。
【0012】
次に、本実施の形態に係る粉体処理装置の代表的態様又は好ましい態様について説明する。
先ず、処理エンジン1の複数の処理手段2の好ましい設置例としては、装置筐体11の高さ寸法を抑制するという観点から、処理手段2が略水平方向又は水平に対して斜め方向に複数並設されている態様が挙げられる。
また、複数の処理手段2を有する処理エンジン1の好ましい態様としては、複数並設された処理手段2の全部若しくは一部が共通のエンジンフレームで支持されている態様が挙げられる。本例は、共通のエンジンフレームに支持される複数の処理手段2をまとめて挿抜することを可能とする態様である。
更に、粉体貯留手段8の代表的態様としては、図1(a)に示すように、処理手段2に補給する粉体を収容する収容容器8aと、収容容器8a内に収容された粉体を定量補給する定量補給機構8bと、を有する態様がある。これは、粉体を補給するための態様である。
また、粉体貯留手段8の他の代表的態様としては、粉体供給手段4にて使用済みの粉体を回収する回収容器(図1では図示せず)を有する態様がある。これは、粉体を回収する
ための態様である。
【0013】
また、粉体貯留手段8の好ましい態様としては、処理エンジン1の処理手段2は、粉体の補給又は回収のための搬送管12を有し、当該搬送管12の開閉扉6側端部に接続口12aを有するものであり、粉体貯留手段8は、開閉扉6の開閉に連動し、搬送管12の接続口12aに対して接離可能な被接続口(図1では図示せず)を有する態様が挙げられる。
ここで、粉体貯留手段8の接続口12a、被接続口の好ましいレイアウト例としては、接続口12aは搬送管12の下側若しくは上側に設けられ、図示外の被接続口は接続口12aに対向して配置される態様が挙げられる。
また、粉体貯留手段8の好ましい接続部構造としては、接続口12a及び被接続口には夫々接続時には開口し、かつ、非接続時には閉塞するシャッタ機構を有する態様が挙げられる。特に、搬送管12との接続状態を解除する場合には、接続口12aや被接続口から粉体が漏洩する懸念を有効に解消することが可能である。
【0014】
また、開閉扉6の好ましい態様としては、開閉扉6の開閉操作性を踏まえ、粉体貯留手段8を安定的に開閉するという観点からすれば、装置筐体11の開口11aの下縁部に回転支点7を有する態様が挙げられる。
更に、開閉扉6の回転支点7の好ましい態様としては、処理エンジン1の処理手段2は、粉体の補給又は回収のための搬送管12を有し、当該搬送管12の開閉扉6側端部に接続口12aを有するものであり、開閉扉6の回転支点7は接続口12aに対し略鉛直線上に位置する態様が挙げられる。ここで、開閉扉6の回転支点7が搬送管12の接続口12aに対して略鉛直線上から偏位して配置される態様では、粉体貯留手段8と搬送管12との接続状態を確保する上で粉体貯留手段8の搬送管12に沿う方向の寸法を大きくしたり、あるいは、開閉扉6の回転操作に当たって、搬送管12との干渉を防止する上で、粉体貯留手段8の搬送管12周りの構造に工夫を施すことが必要になったりするが、本態様はこれらを有効に解消することが可能である。
【0015】
粉体処理装置の一例として画像形成装置に本発明を適用する場合には、処理エンジン1は、粉体保持手段3として画像を保持する像保持手段及び像保持手段に保持された画像を粉体としての作像剤にて可視化する粉体供給手段4としての現像手段が少なくとも含まれる一若しくは複数の処理手段2としての作像手段を有する作像エンジンであり、保持領域形成手段5は像保持手段に画像を書き込む画像書込具であればよい。
ここで、画像形成装置の代表的態様の好ましい例としては、処理エンジン1としての作像エンジンの上方に中間転写手段10を備え、中間転写手段10と作像エンジンとを開閉扉6の開口11aから別々に挿抜可能である態様が挙げられる。
【0016】
以下、添付図面に示す実施の形態に基づいて本発明をより詳細に説明する。
◎実施の形態1
図2は本発明が適用された粉体処理装置としての画像形成装置の一例を示す。
-画像形成装置の全体構成-
同図において、画像形成装置20は、装置筐体21内に各色成分画像が作製可能な処理エンジンとしての作像エンジン30を搭載し、装置筐体21内の作像エンジン30の下方に記録媒体としての用紙Sを供給する用紙供給装置50を設置し、装置筐体21の一側面、例えば背面側(本例では図2中右側に相当)に用紙供給装置50から供給された用紙Sを略鉛直方向に向けて搬送する搬送経路55を形成し、搬送経路55のうち作像エンジン30に対向する部位には作像エンジン30で作製した画像を用紙Sに転写する転写装置100を設置すると共に、搬送経路55のうち転写装置100よりも用紙Sの搬送方向下流側には用紙Sに転写された画像を定着する定着装置70を設置するようにしたものである。
【0017】
-作像エンジン-
本実施の形態において、作像エンジン30は、例えば電子写真方式にて複数の色成分画像(本例ではイエロ(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の4つ)を作製する複数の作像部31(具体的には31a~31d)と、各作像部31にて作製された各色成分画像を用紙Sに転写する前に一次的に転写して保持する例えばベルト状の中間転写体40とを備えている。
本例では、各作像部31(31a~31d)は、ドラム状の回転可能な感光体32と、感光体32を帯電する帯電装置(本例では帯電ロールを使用)33と、帯電された感光体32上に静電潜像を書き込む潜像書込装置(本例ではLED書込ヘッドを使用)34と、感光体32上に形成された潜像を粉体としてのトナーを用いて現像する現像装置35と、感光体32上に残留したトナー等の残留物を清掃する清掃装置36と、を備えている。
また、本例では、各作像部31(31a~31d)は共通のエンジンフレーム80に搭載され、装置筐体21に対して作像エンジン30がまとめて着脱されるようになっている。
【0018】
また、本例では、中間転写体40は、複数(本例では5つ)の張架ロール41~44に掛け渡され、張架ロール41~44のうちいずれか例えば張架ロール43を駆動ロールとして図中矢印方向に循環回転するようになっている。
そして、本例では、各作像部31は中間転写体40の下方において中間転写体40の回転方向に沿う略水平方向に並設されており、各作像部31の感光体32に対向した中間転写体40の裏面には一次転写装置(本例では転写ロールを使用)46が設置され、各感光体32上の作製された各色成分画像を中間転写体40に順次静電転写するようになっている。
尚、本例では、中間転写体40の張架ロール41に対向した部位に転写装置(本例では中間転写体40から用紙Sに画像を二次転写する二次転写装置に相当)100が設置され、また、張架ロール41に対向した部位には中間転写体40上のトナー、紙粉等の残留物を清掃する中間転写体清掃装置47が設置され、また、張架ロール44は中間転写体40の張力を調整する張力調整ロールとしても利用されている。
【0019】
-現像装置-
本例において、現像装置35は、図3に示すように、感光体32に対向して開口し且つトナー及びキャリアを含む現像剤が収容可能な現像容器35aを有し、この現像容器35aの開口に面して現像ロール35b(例えば周方向に磁極が交互に入れ替わる円筒状又は円柱状の磁石ロールと、磁石ロールの外側に同心円状に配置される導電性スリーブとを有する態様からなるロール部材を採用)を配設し、この現像ロール35bに現像剤を保持して搬送し、感光体32上に形成された静電潜像をトナー現像するものである。また、現像容器35a内には対構成の撹拌搬送部材35c,35d(例えば回転軸の周囲に螺旋状羽根を付した態様のものを使用)を配設し、現像容器35a内の現像剤を撹拌しながら均等に帯電して搬送するようになっており、撹拌搬送部材35cと現像ロール35bとの間には現像ロール35bに現像剤を供給するための供給ロール35eを配設したものである。
-清掃装置-
本例において、清掃装置36は、図3に示すように、感光体32に対向して開口する清掃容器36a(図9参照)を有し、この清掃容器36aの開口縁には板状の清掃部材36bを取り付けると共に、清掃容器36a内には清掃されたトナーを均す均し搬送部材36c(例えば回転軸の周囲に螺旋状羽根を付した態様を使用)を配設したものである。
【0020】
-転写装置(二次転写装置)-
本実施の形態において、転写装置100は二次転写装置として機能し、二次転写装置の基本的構成は、図2に示すように、二次転写ロール102を含んで一体的にユニット化された二次転写ユニット101として構成されている。本例では、装置筐体21の背面側には開閉扉としてのリアカバー23が設けられ、筐体本体22の背面側下部に設けられた回転支点24を中心に回転可能に支持したものである。
そして、二次転写ユニット101は、中間転写体40に対して接離可能なようにリアカバー23側に搭載されており、リアカバー23閉鎖時に二次転写ロール102が中間転写体40に接触して配置され、二次転写ロール102及び当該二次転写ロール102に対向する張架ロール41間に転写電界を形成することで中間転写体40上の画像を用紙Sに転写させるようになっている。尚、リアカバー23開放時には、二次転写ユニット101はリアカバー23に追従して移動し、中間転写体40との接触位置から一時的に退避するようになっている。
本例において、リアカバー23は搬送経路55や後述する両面搬送経路60において用紙Sが詰まった(所謂ジャム)ときやメンテナンス等の必要時に開放され、紙詰まりやメンテナンス作業を実施可能とするものである。
【0021】
-定着装置-
また、本実施の形態において、定着装置70は、加熱源としてのヒータにより表面温度が予め決められた温度に加熱される回転可能な加熱定着部材(本例では加熱定着ロールを使用)71と、加熱定着部材71の軸方向に沿って所定の接触圧で接触転動する加圧定着部材(本例では加圧定着ベルトを使用)72とを備え、両定着部材71,72の接触域に未定着画像が保持された用紙Sを通過させることで未定着画像を定着するようにしたものである。
【0022】
-用紙搬送系-
本実施の形態では、用紙搬送系は、用紙供給装置50のフィーダ部51から搬送経路55に用紙Sを送出し、搬送経路55の転写装置100の二次転写域よりも用紙Sの搬送方向上流側に設置された位置整合ロール56にて用紙Sの位置を整合した後に転写装置100による転写処理を行い、更に、定着装置70による定着処理を経た用紙Sを、装置筐体21の頂部に形成された用紙収容受け25に向けて排出ロール57にて排出するようにしたものである。尚、符号58は搬送経路55を区画する区画部材(搬送ガイドなど)であり、搬送経路55には必要に応じて適宜数の搬送部材(搬送ロール等)を設けてもよいことは勿論である。
更に、本実施の形態では、搬送経路55のうち定着装置70と排出ロール57との間には、当該搬送経路55から分岐して再び搬送経路55の位置整合ロール56よりも用紙Sとの搬送方向上流側に戻る両面搬送経路60が設けられている。この両面搬送経路60は、画像形成装置20の画像の作製手法としての作像モードで両面作像モード(両面画像の作製手法に相当)を選択したときに用いられるものであって、両面作像モード選択時には、用紙供給装置50から供給された用紙Sの片面に対する作像処理を実施し、排出ロール57により用紙収容受け25に片面作像済みの用紙Sを排出せずに、排出ロール57にて片面作像済みの用紙Sを一旦停止した状態で保持し、排出ロール57の回転方向を逆転させることで両面搬送経路60側へ用紙Sを搬送し、搬送経路55のうち位置整合ロール56前に用紙Sの表裏面を反転させて戻し、片面作像済みの用紙Sの他の片面に対する作像処理を実施し、排出ロール57にて両面作像済みの用紙Sを用紙収容受け25に排出するようになっている。尚、符号61は両面作像モード選択時に排出ロール57に一旦停止した状態で保持された片面作像済みの用紙Sを両面搬送経路60へ導くように切り替える切替ゲート、符号62は両面搬送経路60を区画する区画部材(搬送ガイド)、符号63は両面搬送経路60内で用紙Sを搬送する適宜数の搬送部材(本例では搬送ロールを使用)である。
【0023】
-トナー搬送系-
本実施の形態では、各作像部31(31a~31d)は、図3乃至図6に示すように、現像装置35には新規トナーを補給する補給トナー搬送部200が設けられ、清掃装置36には清掃された廃棄トナーを回収する回収トナー搬送部300が設けられている。
<補給トナー搬送部>
本例において、補給トナー搬送部200は、現像容器35aのうち、現像ロール35bの回転軸方向一端側に筒状の補給搬送管201を連通接続し、補給搬送管201内にはトナー搬送部材205(例えば回転軸206の周囲に螺旋状羽根207を付した態様を使用)を配設したものである。
そして、補給搬送管201の突出端寄りの上部には補給接続口210が開設されており、この補給接続口210の周辺には管側補給シャッタ機構220が設けられている。
【0024】
<管側補給シャッタ機構>
本例において、管側補給シャッタ機構220は、図9(a)(b)に示すように、補給搬送管201の突出端寄りに嵌まった状態で摺動可能に保持される下側筒部221と、この下側筒部221の上部に一体的に形成された上側筒部222とを有している。
ここで、下側筒部221は補給搬送管201の突出端側が端壁で閉塞されており、下側筒部221の内部には補給搬送管201の突出端壁部との間に付勢バネ223が介装され、下側筒部221と上側筒部222との間には上下方向に貫通する連通口224が形成されている。このため、管側補給シャッタ機構220は、付勢バネ223の付勢力に抗して補給搬送管201の長手方向に沿って移動し、補給接続口210と連通口224とが接続される開放位置と、付勢バネ223の付勢力で開放位置よりも現像装置35側に移動して補給接続口210と連通口224とが偏位した状態に配置される閉塞位置との間を移動可能に保持されている。
更に、本例では、上側筒部222は、現像装置35側が端壁で閉塞されており、上側筒部222の内部端壁には、補給搬送管201の突出方向と略平行に突出する作動ピン225が形成されている。
【0025】
<回収トナー搬送部>
また、回収トナー搬送部300は、清掃容器36aのうち、均し搬送部材36cの回転軸方向一端側に円筒状の回収搬送管301を連通接続し、回収搬送管301内には均し搬送部材36cの一端側を延長してトナー搬送部材305(例えば回転軸306の周囲に螺旋状羽根307を付した態様を使用)を配設したものである。
そして、回収搬送管301の突出端寄りの下部には回収接続口310が開設されており、この回収接続口310の周辺には管側回収シャッタ機構320が設けられている。
【0026】
<管側回収シャッタ機構>
ここで、管側回収シャッタ機構320は、回収搬送管301の外周にフランジ322付きの筒状覆い321を摺動可能に嵌め込み、筒状覆い321のフランジ322と清掃容器36aの側壁との間に付勢バネ323を介在させ、付勢バネ323の自然引張時において筒状覆い321で回収接続口310を閉塞するようになっている。
【0027】
-サイドカバー-
本実施の形態では、装置筐体21は、図4及び図5に示すように、各作像部31(31a~31d)の感光体32の回転軸方向の一方に位置する側壁に開口91を有し、この開口91の下縁部を回転支点92(図11参照)とする開閉扉としてのサイドカバー90を開閉可能に設けたものである。
本例において、サイドカバー90は、作像エンジン30の挿抜作業を可能とするために設けたものであり、作像エンジン30の挿抜作業については後述する。
【0028】
-トナーカートリッジ-
本実施の形態では、図4及び図5に示すように、装置筐体21内には各色成分(Y(イエロ)、M(マゼンタ)、C(シアン)、ブラック(K))のトナーを補給すると共に、使用済みの廃棄トナーを回収するためのトナーカートリッジ400(具体的には400a~400d)が内蔵されている。尚、本例では、K用のトナーカートリッジ400dがYMC用のトナーカートリッジ400a~400cよりも大型に成形されているが、基本的構成は略同様である。
本例において、トナーカートリッジ400は、図7及び図8に示すように、新規トナーを補給するトナー補給部401と、廃棄トナーを回収するトナー回収部402とを一体的に備えており、トナー補給部401の補給トナーを定量補給するディスペンスユニット470に組み付けられている。
そして、本例では、トナーカートリッジ400及びディスペンスユニット470は、図4及び図5に示すように、サイドカバー90側に搭載され、サイドカバー90の開閉に連動して移動するようになっている。
本例において、トナーカートリッジ400は上下方向に長尺なカートリッジ筐体405を具備し、カートリッジ筐体405は上下方向で分離した二つの区画室406,407を有している。また、カートリッジ筐体405の一側壁には持ち運びするための一対のハンドル408が設けられている。
【0029】
<トナー補給部>
本例において、トナー補給部401は、図7乃至図10に示すように、新規トナーが収容される収容容器410としてカートリッジ筐体405の上側に位置する区画室406を用いたものである。この収容容器410は、略直方体形状の容器本体411の下部に下方に向かって幅狭になる湾曲状凹部412を予め決められた方向(補給トナー搬送部200のトナー搬送方向に相当)に沿って形成し、この湾曲状凹部412の長手方向の一端側(補給トナー搬送部200から離れた奥側)底部には下方に延びる連結筒部413を形成すると共に、この連結筒部413の下部には、補給トナー搬送部200側に向かって湾曲状凹部412と略平行に延びる案内筒部414を形成したものである。
そして、湾曲状凹部412には連結筒部413に向けて収容トナーを送出する送出搬送部材415(本例では回転軸に螺旋状又はパドル状の羽根を付した態様を使用)が設けられ、また、案内筒部414には連結筒部413から供給されたトナーを定量補給する案内搬送部材416(本例では回転軸に螺旋状羽根を付した態様を使用)が設けられている。
更に、案内筒部414の突出端寄りの下部には、補給トナー搬送部200の補給接続口210に接続される補給被接続口420が開設され、この補給被接続口420の周囲にはカートリッジ側補給シャッタ機構430が設けられている。
【0030】
<カートリッジ側補給シャッタ機構>
本例において、カートリッジ側補給シャッタ機構430は、案内筒部414に沿って長手方向に摺動可能な筒状の蓋部材431を有し、この蓋部材431には補給被接続口420に対応する連通口432を形成したものである。そして、蓋部材431は、補給被接続口420よりも更に奥側に位置して補給被接続口420と連通口432とが偏位して補給被接続口420が閉塞される閉塞位置と、管側補給シャッタ機構220の作動ピン225に押されて閉塞位置よりも奥側に移動し、補給被接続口420と連通口432とが一致して当該補給被接続口420が開放される開放位置との間を移動可能に保持されている。
更に、案内筒部414内には、蓋部材431を、奥側の閉塞位置に向けて移動させる力を付与して閉塞位置に保持する保持バネ433が収容されている。本例では、保持バネ433のバネ係数は、管側補給シャッタ機構220の付勢バネ223よりも大きくなっており、力が作用した場合には付勢バネ223の方が先に弾性変形するように選定されている。
【0031】
<トナー回収部>
本例において、トナー回収部402は、図7乃至図10に示すように、トナー補給部401の下方部と一部重なった位置に設けられ、トナー補給部401よりも下方側に広い空間部を確保した回収容器440を有し、回収容器440の上部には、回収搬送管301が挿入可能な挿入受部450が設けられ、この挿入受部450にはカートリッジ側回収シャッタ機構460が設けられている。
<カートリッジ側回収シャッタ機構>
ここで、カートリッジ側回収シャッタ機構460は、図10(a)(b)に示すように、挿入受部450の開口451の周縁に弾性シール材461を設けると共に、挿入受部450内には開口451側が塞がれた筒状の蓋部材462を配設すると共に、挿入受部450の奥側に設けられた保持ピン464と蓋部材462との間に付勢バネ463を介在させ、回収搬送管301が挿入受部450に挿入される前は付勢バネ463で付勢された蓋部材462で回収容器440の挿入受部450の開口451を閉塞するようになっている。
【0032】
-ディスペンスユニット-
ディスペンスユニット470は、図4図7及び図8に示すように、ユニットケース471に夫々トナーカートリッジ400(400a~400d)の下部を保持する保持凹部472を有しており、ユニットケース471内には駆動モータ473及び駆動伝達ギア列などの駆動伝達機構474が内蔵されている。
また、トナーカートリッジ400(400a~400d)には、図9に示すように、トナー補給部401の送出搬送部材415、案内搬送部材416の回転軸方向一端には被駆動伝達ギア417,418が設けられ、また、ディスペンスユニット470の駆動モータ473からの駆動力が駆動伝達機構474からの図示外の中継駆動伝達機構を介して被駆動伝達ギア417,418に伝達され、送出搬送部材415、案内搬送部材416が駆動されるようになっている。
このとき、ディスペンスユニット470の駆動モータ473の回転数、駆動伝達機構474、中継駆動伝達機構及び被駆動伝達ギア417,418のギア比に応じて、送出搬送部材415、案内搬送部材416によりトナーが定量補給されるようになっている。
尚、本例では、ディスペンスユニット470は全てサイドカバー90側に搭載するようにしたが、例えばディスペンスユニット470の全部若しくは一部要素(駆動モータ473や駆動伝達機構474の一部)を装置筐体21側に搭載し、サイドカバー90の閉鎖時にディスペンスユニット470とトナーカートリッジ400(400a~400d)とが駆動伝達可能になるようにしてもよいことは勿論である。
【0033】
-画像形成装置の作動-
本実施の形態においては、画像形成装置20は、図2に示すように、ユーザが図示外のスタートスイッチをオン操作すると、図示外の制御装置からの作像指示に従って作像エンジン30の各作像部31(31a~31d)による各色成分画像の作製処理が行われ、中間転写体40を介して二次転写域にて用紙Sに転写され、定着装置70による定着処理を経た用紙Sを用紙収容受け25に収容するようになっている。
このとき、各作像部31では、現像装置35は感光体32上の静電潜像を粉体であるトナーにて可視化され、また、清掃装置36は感光体32上の残留トナー等を清掃する。そして、現像装置35では、現像容器35a内のトナーが不足すると、図示外の制御装置がトナーの不足状態を検知し、トナーカートリッジ400のトナー補給部401からトナーの補給動作が行われる。
一方、清掃装置36は清掃容器36a内の残留トナー等が増加してくると、図示外の制御装置は清掃容器36a内の残留トナー量が予め決められた値(閾値)を超えたか否かを検知し、残留トナー量が閾値を超えた条件下においてトナーカートリッジ400のトナー回収部402によるトナーの回収動作が行われる。
【0034】
-サイドカバー開閉時におけるトナーカートリッジ周りの挙動-
<トナー補給部周りの挙動>
図9(a)はサイドカバー90閉鎖に至る直前におけるトナー補給部401の周辺の状態を模式的に示すものであり、図9(b)はサイドカバー90閉鎖時におけるトナー補給部401の周辺の状態を模式的に示す。
図9(a)において、トナーカートリッジ400側に設けられたトナー補給部401の案内筒部414の補給被接続口420は、現像装置35側に設けられた補給トナー搬送部200の補給搬送管201の補給接続口210と偏位して配置されている。このとき、補給被接続口420は、カートリッジ側補給シャッタ機構430の蓋部材431を閉塞位置に保持することから、補給被接続口420から補給トナーが漏れる懸念はない。また、補給接続口210は、管側補給シャッタ機構220の下側筒部221を閉鎖位置に保持することから、補給接続口210から補給トナーが漏れる懸念はない。
【0035】
そして、サイドカバー90を更に閉鎖方向に移動すると、図9(a)(b)に示すように、管側補給シャッタ機構220の作動ピン225がカートリッジ側補給シャッタ機構430の蓋部材431に突き当たる。この状態において、管側補給シャッタ機構220の付勢バネ223のバネ係数がカートリッジ側補給シャッタ機構430の保持バネ433のバネ係数よりも小さいことから、管側補給シャッタ機構220の作動ピン225が蓋部材431によって図中左方向に押し込まれ、これに伴って、付勢バネ223が圧縮変形した状態で上側筒部222が図中左方向に移動する。この結果、管側補給シャッタ機構220は、上側筒部222と一体的に設けられている下側筒部221が図中左方向に移動し、補給接続口210と連通口224とが一致する開放位置に保持される。
一方、下側筒部221が開放位置に至ると、作動ピン225の位置が固定されることから、カートリッジ側補給シャッタ機構430の蓋部材431が保持バネ433の保持力に抗して保持バネ433を圧縮変形させながら図中右方向に移動し、補給被接続口420と連通口432とが一致した開放位置に保持される。
この状態において、サイドカバー90の閉鎖時には、補給搬送管201の補給接続口210は、トナー補給部401の補給被接続口420と対応した位置に配置され、両者間の接続状態が完了する。
よって、トナーカートリッジ400のトナー補給部401がディスペンスユニット470にてトナーの定量補給動作を実施すると、案内筒部414内のトナーは、補給被接続口420、補給接続口210を介して補給搬送管201へと搬送され、補給搬送管201内のトナー搬送部材205によって現像容器35aへと定量補給される。
【0036】
<トナー回収部周りの挙動>
図10(a)はサイドカバー90閉鎖に至る直前におけるトナー回収部402の周辺の状態を模式的に示すものであり、図10(b)はサイドカバー90閉鎖時におけるトナー回収部402の周辺の状態を模式的に示す。
図10(a)において、トナーカートリッジ400側に設けられたトナー回収部402では、回収容器440の挿入受部450の開口451は、カートリッジ側回収シャッタ機構460の付勢バネ463で付勢された蓋部材462で閉塞されている。このため、回収容器440の挿入受部450から回収トナーが漏れることはない。
また、清掃装置36側では、回収搬送管301の回収接続口310は、管側回収シャッタ機構320の筒状覆い321で閉塞されている。このため、回収搬送管301の回収接続口310から回収トナーが漏れることはない。
【0037】
そして、サイドカバー90を更に閉鎖方向に移動すると、図10(a)(b)に示すように、管側回収シャッタ機構320の筒状覆い321が回収容器440の挿入受部450に挿入される。このとき、筒状覆い321は、カートリッジ側回収シャッタ機構460の蓋部材462に突き当たり、付勢バネ323の付勢力に抗して所定量後退し、更に、付勢バネ463の付勢力に抗して蓋部材462を押し込み、筒状覆い321のフランジ322が弾性シール材461に密接した状態に至る。
この状態において、筒状覆い321は、回収搬送管301の回収接続口310を閉塞する閉塞位置から相対的に後退することから、回収搬送管301の回収接続口310は回収容器440内で開放される。このため、清掃装置36で清掃された残留トナー等は回収搬送管301内のトナー搬送部材305によって搬送され、回収接続口310から回収容器440内に回収される。
このとき、筒状覆い321のフランジ322が弾性シール材461に密接することから、回収容器440の挿入受部450の開口451縁から回収トナーが漏れる懸念はない。
【0038】
-作像エンジンの着脱作業-
次に、作像エンジン30の着脱作業について説明する。
図11(a)はサイドカバー90閉鎖時における装置筐体21内の作像エンジン30、中間転写体40、用紙供給装置50及びトナーカートリッジ400、ディスペンスユニット470のレイアウトを示す。
本例においては、トナーカートリッジ400及びディスペンスユニット470は、サイドカバー90側に搭載されている。
このため、サイドカバー90を開口91の下縁部に位置する回転支点92を中心に略水平姿勢になるように開放すると、図11(b)に示すように、トナーカートリッジ400及びディスペンスユニット470は、サイドカバー90の開放動作に連動して移動する。
この状態において、サイドカバー90開放時には、サイドカバー90上にトナーカートリッジ400及びディスペンスユニット470が配置され、これらを水平配置したときの厚さ寸法hだけ装置筐体21の開口91領域が狭められるが、当該開口91のうち、トナーカートリッジ400及びディスペンスユニット470で遮られない領域は充分に広く確保される。よって、サイドカバー90開放時には、作像エンジン30は勿論、中間転写体40をも装置筐体21の開口91を通じて挿抜することが可能である。
尚、作像エンジン30や中間転写体40の挿抜作業に当たっては、装置筐体21内に予め設けられた図示外の案内レールに沿って挿抜するようにすることが好ましい。また、案内レールについては装置筐体21側に設けることに代えて例えばトナーカートリッジ400のカートリッジ筐体405の一部に案内レール部を設けるようにしてもよい。
【0039】
◎比較の形態1
図12(a)は比較の形態1に係る作像エンジン30等のレイアウトを示す。
同図において、トナーカートリッジ400’及びディスペンスユニット470’は装置筐体21のうち、サイドカバー90に面した底部に設置されている例である。
この例によれば、図12(b)に示すように、サイドカバー90を開放したとしても、装置筐体21の開口91に面した部位にトナーカートリッジ400’及びディスペンスユニット470’がそのまま配置されることから、装置筐体21の開口91を利用して作像エンジン30等の挿抜作業を行うには、装置筐体21からトナーカートリッジ400’、更には、ディスペンスユニット470’を一端取り外してから、作像エンジン30の挿抜作業スペースを確保しなければならないという不具合がある。
【0040】
-サイドカバーの回転支点の設置例-
次に、サイドカバー90の回転支点92の設置例について検討する。
<設置例1>
図13(a)はサイドカバー90の回転支点92の略鉛直線上に現像装置35の補給トナー搬送部200における補給搬送管201の補給接続口210に配置した例である。
本例の場合には、図13(b)に示すように、サイドカバー90の回転支点92と、補給搬送管201の補給接続口210の中心位置と、トナーカートリッジ400のトナー補給部401における案内筒部414の補給被接続口420の中心位置とは略直線上に配置され、サイドカバー90の開閉に伴う案内筒部414の補給被接続口420回転軌跡を踏まえると、サイドカバー90の回転支点92と案内筒部414の補給被接続口420との間の距離r0を、サイドカバー90の回転支点92と補給搬送管201の補給接続口210との間の距離に近い距離で設定したとしても、案内筒部414と補給搬送管201とが干渉する懸念は少ない。
【0041】
<設置例2>
図14(a)はサイドカバー90の回転支点92の略鉛直線よりも装置筐体21側にm1だけ偏位して現像装置35の補給トナー搬送部200における補給搬送管201の補給接続口210を配置した例である。
本例においては、トナーカートリッジ400のトナー補給部401と現像装置35側の補給搬送管201との係わりを持たせる上で、トナーカートリッジ400の図中左右方向の厚さ寸法dを大きく設定することが必要になり、その分、トナーカートリッジ400を大型にしなければならない。
<設置例3>
図14(b)はサイドカバー90の回転支点92の略鉛直線よりもサイドカバー90側にm2だけ偏位して現像装置35の補給トナー搬送部200における補給搬送管201の補給接続口210を配置した例である。
本例においては、図14(c)に示すように、サイドカバー90の回転支点92と、補給搬送管201の補給接続口210の中心位置と、トナーカートリッジ400のトナー補給部401における案内筒部414の補給被接続口420の中心位置とは略直線上には配置できないことから、サイドカバー90の開閉に伴う案内筒部414の補給被接続口420回転軌跡を踏まえると、案内筒部414と補給搬送管201との干渉を回避するには、サイドカバー90の回転支点92と案内筒部414の補給被接続口420との間の距離r1を、サイドカバー90の回転支点92と補給搬送管201の補給接続口210との間の距離に比べて大きく設定することが必要になる。
尚、設置例1~3において、サイドカバー90の回転支点92と回収搬送管301の回収接続口310との間のレイアウトについても同様である。
【0042】
◎変形の形態例
本例では、トナーカートリッジ400はトナー補給部401とトナー回収部402とを両方備えている態様であるが、必ずしもこれに限られるものではなく、いずれか一方の機能部を備えたものでもよい。
また、本例では、作像エンジン30は複数の作像部31(31a~31d)を略水平方向に沿って横配列したものであるが、これに限られるものではなく、複数の作像部31を略鉛直方向に沿って縦配列したものであってもよい。この場合、作像エンジン30の高さ寸法が横配列の作像部31を備えた態様に比べて嵩むことから、サイドカバー90の回転支点92を開口91の下縁部とすると、装置筐体21の高さ寸法が嵩む懸念がある。このため、縦配列の作像部31を備えた作像エンジン30にあっては、開口91の上下方向に沿う一側縁を回転支点92とするサイドカバー90とし、当該サイドカバー90にトナーカートリッジ400、ディスペンスユニット470を搭載するようにすればよい。
【0043】
◎実施の形態2
図15は粉体処理装置の一例として粉体塗装装置に本発明を適用したものである。
同図において、粉体塗装装置500は、被塗装体として例えば金属シート510を搬送する搬送装置520と、搬送される金属シート510の被塗布面511に対向して配置され、帯電された熱硬化性の粉体塗料512を金属シート510の被塗布面511に塗布する一若しくは複数(本例では二つ)の塗布ユニット530(530A,530B)と、夫々の塗布ユニット530(530A,530B)に対して金属シート510の搬送方向側に設けられ、金属シート510の被塗布面511上に塗布された粉体塗料512の粉体粒子層512aを加熱し、熱硬化させる一若しくは複数(本例では二つ)の加熱装置540(540A,540B)と、を備えている。
本例において、粉体塗料512としては同色でもよいし、異なる色のものを重ね塗装するようにしてもよい。
また、塗布ユニット530(530A,530B)内の粉体塗料が不足した状況が図示外の検知要素にて検知された場合には、粉体補給装置550から粉体塗料が供給されるようになっている。
ここで、粉体補給装置550としては、粉体塗料を補給する粉体カートリッジと、粉体カートリッジ内の粉体塗料を定量補給するためのディスペンスユニットとを含むもので構成されている。
【0044】
本例では、被塗装体として金属シート510が用いられており、この金属シート510の被塗布面511に粉体塗料512を静電的に付着させるために、例えば金属シート510を接地(アース)する、あるいは、帯電した粉体塗料512の極性とは逆極性となるように金属シート510に電圧を印加するようにすればよい。
また、搬送装置520としては、金属シート510を挟持搬送する対構成の搬送ロール521や図示外の搬送ベルトが用いられる。
更に、本例では、塗布ユニット530は、金属シート510の被塗布面511に対向して開口するユニットケース531を有し、このユニットケース531内には粉体塗料512及び粉体塗料512を帯電するための磁性キャリア(図示せず)を収納すると共に、ユニットケース531の開口に面して一若しくは複数(本例では二つ)の供給ロール532を配設し、各供給ロール532には電源533を接続することで、各供給ロール532と接地された金属シート510との間に塗布電界を形成する塗布電圧を印加するようになっている。尚、本例の供給ロール532としては、周方向に磁極が交互に入れ替わる円筒状又は円柱状の磁石ロールと、磁石ロールの外側に同心円状に配置される導電性スリーブとを有する態様が用いられている。
また、加熱装置540は、ハロゲンランプ、セラミックヒータ、赤外線ランプ等の公知の熱源を使用するものであれば適宜選定して差し支えない。
【0045】
本実施の形態によれば、金属シート510の被塗布面511には塗布ユニット530(530A,530B)からの粉体塗料512が塗布され、加熱装置540にて粉体塗料512の粉体粒子層512aを加熱して熱硬化させることで、粉体塗布を完了するものである。
また、粉体塗装装置500は、図示外の装置筐体内に必要な処理要素が含まれる処理エンジンを着脱可能に搭載することになるが、本例では、粉体塗装装置500の装置筐体(図示せず)のうち、サイドカバーで側方開口を開閉可能とする構成になっており、粉体補給装置550がサイドカバーに搭載され、サイドカバーの開閉に連動して粉体補給装置550が移動するようになっている。
このため、粉体補給装置550と塗布ユニット530との間の粉体補給経路について実施の形態1と同様な接離可能な接続構造を採用するようにすれば、サイドカバー開放時にサイドカバーの開口から処理エンジンの挿抜操作を実施することが可能である。
【符号の説明】
【0046】
1…処理エンジン,2…処理手段,3…粉体保持手段,4…粉体供給手段,5…保持領域形成手段,6…開閉扉,7…回転支点,8…粉体貯留手段,8a…収容容器,8b…定量補給機構,9…挿抜経路,10…中間転写手段,11…装置筐体,11a…開口,12…搬送管,12a…接続口
図1
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図15