(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-08
(45)【発行日】2024-05-16
(54)【発明の名称】清掃体、清掃装置、帯電装置、組立体及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 15/02 20060101AFI20240509BHJP
【FI】
G03G15/02 103
(21)【出願番号】P 2020056879
(22)【出願日】2020-03-26
【審査請求日】2023-02-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】加納 富由樹
(72)【発明者】
【氏名】衣田 康彦
【審査官】飯野 修司
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-184914(JP,A)
【文献】特開2016-045238(JP,A)
【文献】特開2012-014011(JP,A)
【文献】特開2011-164568(JP,A)
【文献】特開2011-203594(JP,A)
【文献】特開2019-061164(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
芯体と、
前記芯体の外周面に、前記芯体の一端から他端にかけて、螺旋状に巻き回されて配置された発泡弾性層と、
を有し、
前記発泡弾性層の表面に突出したセル骨格の先端部の円相当径が50μm以下であり、
前記発泡弾性層の螺旋ピッチR2が5mm以下、且つ、螺旋角度θが15°以下である清掃体。
【請求項2】
前記発泡弾性層の表面に突出したセル骨格の先端部の円相当径が35μm以上45μm以下であり、
前記発泡弾性層の螺旋ピッチR2が3mm以上4mm以下、且つ、螺旋角度θが5°以上10°以下である請求項1に記載の清掃体。
【請求項3】
前記発泡弾性層のセル数が80個/25mm以上105個/25mm以下である請求項2に記載の清掃体。
【請求項4】
前記発泡弾性層の厚みが1.0mm以上3.0mm以下である請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の清掃体。
【請求項5】
芯体と、
前記芯体の外周面に、前記芯体の一端から他端にかけて、螺旋状に巻き回されて配置された発泡弾性層と、
を有し、
前記発泡弾性層の表面に突出したセル骨格の先端部の円相当径が50μm以下であり、
前記発泡弾性層の螺旋ピッチR2
(単位mm)及び螺旋角度θ
(単位°)が0.2≦R2
(単位mm)/θ
(単位°)≦1.0の関係を満足する清掃体。
【請求項6】
被清掃体と、
回転する前記被清掃体に接触して回転しつつ、前記被清掃体を清掃する請求項1~請求項5のいずれか1項に記載の清掃体と、
を有する清掃装置。
【請求項7】
前記清掃体は、前記発泡弾性層の変位率が15%以下で、前記被清掃体に接触している請求項6に記載の清掃装置。
【請求項8】
回転する帯電体と、
回転する前記帯電体に接触して回転しつつ、前記帯電体を清掃する請求項1~請求項5のいずれか1項に記載の清掃体と、
を有する帯電装置。
【請求項9】
前記清掃体は、前記発泡弾性層の変位率が15%以下で、前記帯電体に接触している請求項8に記載の帯電装置。
【請求項10】
被帯電体と、
前記被帯電体を帯電させ、回転する帯電体と、
回転する前記帯電体に接触して回転しつつ、前記帯電体を清掃する請求項1~請求項5のいずれか1項に記載の清掃体と、
を有し、
かつ前記被帯電体、前記帯電体および前記清掃体が装置本体に一体に着脱可能に組み立てられている組立体。
【請求項11】
前記清掃体は、前記発泡弾性層の変位率が15%以下で、前記帯電体に接触している請求項10に記載の組立体。
【請求項12】
画像を保持可能な像保持体と、
前記像保持体を帯電させ、回転する帯電体と、
前記帯電体によって帯電した前記像保持体を露光し、静電潜像を形成する露光装置と、
前記露光装置によって前記像保持体に形成された静電潜像を現像する現像装置と、
回転する前記帯電体に接触して回転しつつ、前記帯電体を清掃する請求項1~請求項5のいずれか1項に記載の清掃体と、
を有する画像形成装置。
【請求項13】
前記清掃体は、前記発泡弾性層の変位率が15%以下で、前記帯電体に接触している請求項12に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、清掃体、清掃装置、帯電装置、組立体及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、「像担持体と、これに圧接して該像担持体および(または)転写材にバイアス電圧を印加する接触型の弾性帯電手段とをそなえた画像形成装置において、前記弾性帯電手段にスポンジ材からなるクリーニング手段を当接してなる画像形成装置。」が提案されている。
【0003】
特許文献2には、「芯体と、前記芯体の外周面に、短冊状の弾性部材を螺旋状に巻き付けて配置された弾性層と、を有し、前記芯体の外周面に巻き付けられた状態における前記弾性層の螺旋幅方向中央部での厚みをt(mm)、前記芯体の外周面に巻き付ける前の前記短冊状の弾性部材の幅方向中央部での厚みをT(mm)としたとき、0.7<t/T<1.0の関係を満たす画像形成装置用の清掃部材。」が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平02-272594号公報
【文献】特開2012-014011号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、芯体と、前記芯体の外周面に、前記芯体の一端から他端にかけて、螺旋状に巻き回されて配置された発泡弾性層と、を有する清掃体において、前記発泡弾性層の表面に突出したセル骨格の先端部の円相当径が50μm超過である、前記発泡弾性層の螺旋ピッチR2が5mm超過、若しくは、螺旋角度θが15°超過である場合、又は、螺旋ピッチR2及び螺旋角度θが0.2≦R2/θ≦1.0の関係を満たさない場合と比較して、被清掃体に対する清掃維持性が高い清掃体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題は、以下の手段により解決される。即ち、
<1>
芯体と、
前記芯体の外周面に、前記芯体の一端から他端にかけて、螺旋状に巻き回されて配置された発泡弾性層と、
を有し、
前記発泡弾性層の表面に突出したセル骨格の先端部の円相当径が50μm以下であり、
前記発泡弾性層の螺旋ピッチR2が5mm以下、且つ、螺旋角度θが15°以下である清掃体。
<2>
前記発泡弾性層の表面に突出したセル骨格の先端部の円相当径が35μm以上45μm以下であり、
前記発泡弾性層の螺旋ピッチR2が3mm以上4mm以下、且つ、螺旋角度θが5°以上10°以下である前記<1>に記載の清掃体。
<3>
前記発泡弾性層のセル数が80個/25mm以上105個/25mm以下である前記<2>に記載の清掃体。
<4>
前記発泡弾性層の厚みが1.0mm以上3.0mm以下である前記<1>~<3>のいずれか1つに記載の清掃体。
<5>
芯体と、
前記芯体の外周面に、前記芯体の一端から他端にかけて、螺旋状に巻き回されて配置された発泡弾性層と、
を有し、
前記発泡弾性層の表面に突出したセル骨格の先端部の円相当径が50μm以下であり、
前記発泡弾性層の螺旋ピッチR2及び螺旋角度θが0.2≦R2/θ≦1.0の関係を満足する清掃体。
<6>
被清掃体と、
回転する前記被清掃体に接触して回転しつつ、前記被清掃体を清掃する前記<1>~<5>のいずれか1つに記載の清掃体と、
を有する清掃装置。
<7>
前記清掃体は、前記発泡弾性層の変位率が15%以下で、前記被清掃体に接触している前記<6>に記載の清掃装置。
<8>
回転する帯電体と、
回転する前記帯電体に接触して回転しつつ、前記帯電体を清掃する前記<1>~<5>のいずれか1つに記載の清掃体と、
を有する帯電装置。
<9>
前記清掃体は、前記発泡弾性層の変位率が15%以下で、前記帯電体に接触している前記<8>に記載の帯電装置。
<10>
被帯電体と、
前記被帯電体を帯電させ、回転する帯電体と、
回転する前記帯電体に接触して回転しつつ、前記帯電体を清掃する前記<1>~<5>のいずれか1つに記載の清掃体と、
を有し、
かつ前記被帯電体、前記帯電体および前記清掃体が装置本体に一体に着脱可能に組み立てられている組立体。
<11>
前記清掃体は、前記発泡弾性層の変位率が15%以下で、前記帯電体に接触している前記<10>に記載の組立体。
<12>
画像を保持可能な像保持体と、
前記像保持体を帯電させ、回転する帯電体と、
前記帯電体によって帯電した前記像保持体を露光し、静電潜像を形成する露光装置と、
前記露光装置によって前記像保持体に形成された静電潜像を現像する現像装置と、
回転する前記帯電体に接触して回転しつつ、前記帯電体を清掃する前記<1>~<5>のいずれか1つに記載の清掃体と、
を有する画像形成装置。
<13>
前記清掃体は、前記発泡弾性層の変位率が15%以下で、前記帯電体に接触している前記<12>に記載の画像形成装置。
【発明の効果】
【0007】
<1>及び<2>に係る発明によれば、芯体と、前記芯体の外周面に、前記芯体の一端から他端にかけて、螺旋状に巻き回されて配置された発泡弾性層と、を有する清掃体において、前記発泡弾性層の表面に突出したセル骨格の先端部の円相当径が35μm未満若しくは45μm超過である、前記発泡弾性層の螺旋ピッチR2が3mm未満若しくは4mm超過、又は、螺旋角度θが5°未満若しくは10°超過である場合と比較して、被清掃体に対する清掃維持性が高い清掃体が提供される。
【0008】
<3>に係る発明によれば、前記発泡弾性層のセル数が80個/25mm未満又は105個/25mm超過である場合と比較して、被清掃体に対する清掃維持性が高い清掃体が提供される。
【0009】
<4>に係る発明によれば、前記発泡弾性層の厚みが1.0mm未満又は3.0mm超過である場合と比較して、被清掃体に対する清掃維持性が高い清掃体が提供される。
【0010】
<5>に係る発明によれば、芯体と、前記芯体の外周面に、前記芯体の一端から他端にかけて、螺旋状に巻き回されて配置された発泡弾性層と、を有する清掃体において、前記発泡弾性層の表面に突出したセル骨格の先端部の円相当径が50μm超過である場合、又は、螺旋ピッチR2及び螺旋角度θが0.2≦R2/θ≦1.0の関係を満たさない場合と比較して、被清掃体に対する清掃維持性が高い清掃体が提供される。
【0011】
<6>、<8>、<10>又は<11>に係る発明によれば、芯体と、前記芯体の外周面に、前記芯体の一端から他端にかけて、螺旋状に巻き回されて配置された発泡弾性層と、を有し、前記発泡弾性層の表面に突出したセル骨格の先端部の円相当径が50μm超過である、前記発泡弾性層の螺旋ピッチR2が5mm超過、若しくは、螺旋角度θが15°超過である場合、又は、螺旋ピッチR2及び螺旋角度θが0.2≦R2/θ≦1.0の関係を満たさない清掃体を備える場合と比較して、被清掃体に対する清掃維持性が高い清掃体を備えた清掃装置、帯電装置、組立体又は画像形成装置が提供される。
【0012】
<7>、<9>、<11>又は<13>に係る発明によれば、前記清掃体が、前記弾性層の変位率が15%超過で、前記被清掃体又は前記帯電体に接触している清掃装置と比較して、被清掃体に対する清掃維持性が高い清掃体を備えた清掃装置、帯電装置、組立体又は画像形成装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本実施形態に係る電子写真方式の画像形成装置の一例を示す概略構成図である。
【
図2】本実施形態に係るインクジェット方式の画像形成装置の一例を示す概略構成図である。
【
図3】本実施形態に係る発泡弾性層の表面を観察した写真である。
【
図4】本実施形態に係るプロセスカートリッジの一例を示す概略構成図である。
【
図5】
図1及び
図4における帯電部材(帯電装置)周辺部分を拡大した概略構成図である。
【
図6】本実施形態に係る帯電装置の一例を示す概略側面図である。
【
図7】本実施形態に係る清掃部材の一例を示す概略斜視図である。
【
図8】本実施形態に係る清掃部材の一例を示す概略平面図である。
【
図9】本実施形態に係る清掃部材の一例を示す軸方向視における概略断面図である。
【
図10】本実施形態に係る清掃部材の製造方法の一例における一工程を示す工程図である。
【
図11】本実施形態に係る清掃部材の製造方法の一例における一工程を示す工程図である。
【
図12】本実施形態に係る清掃部材の製造方法の一例における一工程を示す工程図である。
【
図13】他の実施形態に係る清掃部材における発泡弾性層を示す拡大断面図である。
【
図14】他の実施形態に係る清掃部材における発泡弾性層を示す拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明に係る実施形態の一例を図面に基づき説明する。これらの説明および実施例は、実施形態を例示するものであり、発明の範囲を制限するものではない。なお、同じ機能及び同じ作用を有する構成部分には、全図面を通して同じ符号を付与し、その説明を省略する場合がある。
本明細書中に段階的に記載されている数値範囲において、一つの数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本明細書中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
【0015】
本明細書において、「工程」との語は、独立した工程だけでなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の所期の目的が達成されれば、本用語に含まれる。
各成分は該当する物質を複数種含んでいてもよい。
組成物中の各成分の量について言及する場合、組成物中に各成分に該当する物質が複数種存在する場合には、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数種の物質の合計量を意味する。
【0016】
第一実施形態に係る清掃体は、芯体と、前記芯体の外周面に、前記芯体の一端から他端にかけて、螺旋状に巻き回されて配置された発泡弾性層(以下、単に「弾性層」と称することがある)と、を備える。
そして、前記発泡弾性層の表面に突出したセル骨格の先端部の円相当径は50μm以下であり、前記発泡弾性層の巻き幅R2が5mm以下、且つ、巻き角度θが15°以下である。
【0017】
第一実施形態に係る清掃体は、上記構成により、清掃維持性が向上する。その理由は、次の通り推測される。
【0018】
発泡弾性層の表面に突出したセル骨格の先端部の円相当径を50μm以下とすることで、被清掃体の表面の粗さが大きい部分、及び、凹部の溝幅の狭い部分に対しても、被清掃体に付着した汚染物を掻き出す作用に優れるため、効果的な汚染物の除去が可能となり、清掃性能が向上する。また、繰り返し清掃しても、発泡弾性層の表面に突出したセル骨格の先端部がへたれにくいため、清掃維持性が向上する。
また、発泡弾性層の巻き幅R2を5mm以下、且つ、巻き角度θを15°以下とすることで、発泡弾性層に対する、巻き変形による負荷が小さくなる。これにより、繰り返し清掃しても、発泡弾性層が変形しにくくなる。
【0019】
そのため、第一実施形態に係る清掃体は清掃維持性が向上すると推測される。
【0020】
一方、第二実施形態に係る清掃体は、芯体と、前記芯体の外周面に、前記芯体の一端から他端にかけて、螺旋状に巻き回されて配置された発泡弾性層(以下、単に「弾性層」と称することがある)と、を備える。
そして、前記発泡弾性層の表面に突出したセル骨格の先端部の円相当径は50μm以下であり、発泡弾性層の螺旋ピッチR2及び螺旋角度θが0.2≦R2/θ≦1.0の関係を満足する。
【0021】
第二実施形態に係る清掃体は、上記構成により、清掃維持性が向上する。その理由は、次の通り推測される。
【0022】
前述したように、発泡弾性層の表面に突出したセル骨格の先端部の円相当径を50μm以下とすることで、効果的な汚染物の除去が可能となり、清掃性能が向上する。また、繰り返し清掃しても、発泡弾性層の表面に突出したセル骨格の先端部がへたれにくいため、清掃維持性が向上する。
また、発泡弾性層の螺旋ピッチR2及び螺旋角度θが0.2≦R2/θ≦1.0の関係を満足することで、発泡弾性層に対する、巻き変形による負荷が小さくなる。これにより、繰り返し清掃しても、発泡弾性層が変形しにくくなる。
【0023】
そのため、第二実施形態に係る清掃体は清掃維持性が向上すると推測される。
【0024】
以下、本実施形態の詳細について、図面を参照しつつ説明する。
(画像形成装置10)
本実施形態に係る画像形成装置について説明する。
図1は、本実施形態に係る画像形成装置の一例を示す概略構成図であり、電子写真方式の画像形成装置である。
図2は、本実施形態に係る画像形成装置の一例を示す概略構成図であり、インクジェット方式の画像形成装置である。
【0025】
図1に示される画像形成装置10は、電子写真方式の画像形成装置の一例である。具体的には、画像形成装置10は、記録媒体24にトナー像(画像の一例)を形成する電子写真式の画像形成装置である。さらに具体的には、画像形成装置10は、
図1に示されるように、タンデム方式の画像形成装置であり、以下のように構成されている。
【0026】
画像形成装置10は、装置本体10Aを有している。装置本体10Aの内部には、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、及び黒(K)に対応したプロセスカートリッジ18Y、18M、18C、18K(以下、まとめて18と称する)を備えている。
【0027】
各プロセスカートリッジ18は、
図4に示されるように、像を保持可能な感光体12(像保持体の一例、被帯電体の一例)と、帯電部材14(帯電体の一例)を有する帯電装置11と、現像装置19と、を備えている。このプロセスカートリッジ18は、
図1に示される装置本体10Aに着脱可能となっており、装置本体10Aに一体に着脱可能に組み立てられた組立体の一例として機能する。なお、この実施形態の組立体としては、少なくとも、感光体12及び帯電装置11を備えていればよい。また、プロセスカートリッジ18に備えられた帯電装置11の具体的な構成については、後述する。
【0028】
図1に示される感光体12の表面は、帯電部材14によって帯電された後、露光装置16から出射されるレーザビームによって画像露光が施され、画像情報に応じた静電潜像が形成される。感光体12上に形成された静電潜像は、現像装置19によって現像され、トナー像となる。
【0029】
例えば、カラーの画像を形成する場合、各色の感光体12の表面には、帯電、露光、現像の各工程が、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色に対応して行なわれ、各色の感光体12の表面には、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色に対応したトナー像が形成される。
【0030】
感光体12上に順次形成されるイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色のトナー像は、支持ロール40、42で支持された搬送ベルト20を介して感光体12と転写装置22とが対向する位置にて、搬送ベルト20で搬送される記録媒体24へ転写される。さらに、感光体12上からトナー像が転写された記録媒体24は、定着装置64へと搬送され、この定着装置64によって加熱・加圧されてトナー像が記録媒体24上に定着される。その後、片面プリントの場合には、トナー像が定着された記録媒体24は、排出ロール66によって画像形成装置10の上部に設けられた排出部68上に排出される。
【0031】
なお、記録媒体24は、収納容器28から取出ローラ30により取り出され、搬送ロール32、34により搬送ベルト20まで搬送される。
【0032】
一方、両面プリントの場合には、定着装置64により第一面(表面)にトナー像が定着された記録媒体24を、排出ロール66によって排出部68上に排出せずに、排出ロール66によって記録媒体24の後端部を挟持した状態で、排出ロール66を逆転させる。これにより、記録媒体24が両面用の搬送路70に導入され、この両面用の搬送路70に配設された搬送ロール72によって、記録媒体24の表裏を反転した状態で、再度、搬送ベルト20上へ搬送される。そして、記録媒体24の第二面(裏面)に感光体12上からトナー像が転写される。その後、記録媒体24の第二面(裏面)のトナー像を定着装置64によって定着させ、記録媒体24(被転写体)を排出部68上に排出する。
【0033】
なお、トナー像の転写工程が終了した後の感光体12の表面は、感光体12が1回転する毎に、感光体12の表面であって、転写装置22が対向する位置よりも感光体12の回転方向下流側に配置された清掃ブレード80によって、残留トナーや紙粉などが除去され、次の画像形成工程に備えるようになっている。
【0034】
なお、本実施形態に係る画像形成装置10は、上記構成に限られず、中間転写方式の画像形成装置等、周知の画像形成装置を採用してもよい。
【0035】
図2に示される画像形成装置212は、インクジェット方式の画像形成装置(以下、インクジェット記録装置とも称することがある)の一例である。
【0036】
本実施形態に係るインクジェット記録装置212は、例えば、
図2に示すように、筐体214内の下部に、給紙容器216が備えられており、給紙容器216内に積層された用紙200P(記録媒体の一例)を取り出しロール218で1枚ずつ取り出す機構を有している。取り出された用紙200Pは、搬入経路222を構成する複数の搬入ローラ対220で搬送される。
【0037】
給紙容器216の上方には、駆動ロール224及び従動ロール226に張力を付与されつつ支持された無端状の搬送ベルト228が配置されている。搬送ベルト228の上方には記録ヘッド230(吐出装置の一例)が配置されており、搬送ベルト228における平坦部分に対向している。この記録ヘッド230が搬送ベルト228の平坦部分に対向した領域が、記録ヘッド230から用紙200Pにインクの液滴が吐出される吐出領域となっている。搬入ローラ対220を搬送された用紙200Pは、搬送ベルト228で保持されてこの吐出領域に至り、記録ヘッド230に対向した状態となり、記録ヘッド230から画像情報に応じて吐出されたインクの液滴が用紙200Pの表面に付着する。
【0038】
ここで、各色の記録ヘッド230は、それぞれ、インクジェット記録装置212に着脱される各色のインクカートリッジ230Aと供給管(不図示)を通じて連結され、インクカートリッジ230Aにより、各色のインクがそれぞれ記録ヘッド230へ供給される。
【0039】
記録ヘッド230は、例えば、有効な記録領域(インクを吐出するノズルの配置領域)が用紙200Pの幅(用紙200Pの搬送方向と交差(例えば直交)する方向の長さ)以上とされた長尺状の記録ヘッドである。
なお、記録ヘッド230は、これに限られず、用紙200Pの幅よりも短尺状の記録ヘッドであって、用紙200Pの幅方向に移動してインクを吐出する方式(所謂キャリッジ方式)の記録ヘッドであってもよい。
【0040】
記録ヘッド230は、インクの液滴を熱により吐出する、所謂サーマル方式であってもよいし、インクの液滴を圧力により吐出する、所謂圧電方式等、公知のものが適用される。
【0041】
記録ヘッド230としては、例えば、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、及びブラック(K)の4色それぞれに対応した4つの記録ヘッドが搬送方向に沿ってアレイ状に配置されている。無論、記録ヘッド230は、上記4色のそれぞれに対応した4つの記録ヘッド230を配置する形態に限られず、目的に応じて、ブラック(K)に対応した一つの記録ヘッド230を配置した形態であってよいし、他の中間色を加えた4色以上のそれぞれに対応した4つ以上の記録ヘッド230を配置した形態であってもよい。
【0042】
記録ヘッド230の上流側(用紙200Pの搬送方向上流側)には、帯電ロール232が配置されている。帯電ロール232は、従動ロール226との間で搬送ベルト228及び用紙200Pを挟みつつ従動し、接地された従動ロール226との間に電位差を生じさせ、用紙200Pに電荷を与えて搬送ベルト228に静電吸着させる。
【0043】
記録ヘッド230の下流側(用紙200Pの搬送方向下流側)には、搬送ベルト228の上方に、紫外線照射装置250が配置されている。
【0044】
紫外線照射装置250は、搬送ベルト228の上の用紙200Pに付着したインクに対して、紫外線を照射する。
【0045】
紫外線照射装置250は、例えば、有効な紫外線照射領域(紫外線する光源の配置領域)が記録ヘッド230による記録可能領域の幅(用紙200Pの搬送方向と交差(例えば直交)する方向)以上とされた長尺状の紫外線照射装置である。
なお、紫外線照射装置250は、これに限られず、記録ヘッド230による記録可能領域の幅よりも短尺状の紫外線照射装置であって、記録ヘッド230による記録領域の幅方向に移動して紫外線を照射する方式(所謂キャリッジ方式)の紫外線照射装置であってもよい。
【0046】
紫外線照射装置250の光源としては、エネルギー効率の良い可視域に近い長波長側の波長領域(375nm以上450nm以下の波長領域)の紫外線を照射する光源が適用される。具体的には、発光ダイオード(LED)、半導体レーザ(LD、VCSEL)、レーザ波長変換光源等が挙げられる。
これらの中でも、紫外線照射装置250の光源としては、紫外線発光ダイオード(Ultraviolet Light Emitting Diode;「UV-LED」)がよい。
【0047】
紫外線照射装置250の下流側(用紙200Pの搬送方向下流側)には、剥離板234が配置されており、用紙200Pを搬送ベルト228から剥離させる。剥離された用紙200Pは、剥離板234の下流側(用紙200Pの搬送方向下流側)で排出経路236を構成する複数の排出ローラ対238で搬送され、筐体214の上部に設けられた排紙容器240に排出される。
【0048】
剥離板234の下方には、駆動ロール224との間で搬送ベルト228を挟持可能なクリーニングロール248が配置されており、搬送ベルト228の表面をクリーニングする。
【0049】
次に、本実施形態に係るインクジェット記録装置212の動作について説明する。
本実施形態に係るインクジェット記録装置212では、用紙200Pは、給紙容器216から取り出しロール218で1枚ずつ取り出され、搬入経路222を経由して搬送ベルト228へ搬送される。
次に、用紙200Pは、帯電ロール232により搬送ベルト228に静電吸着され、搬送ベルト228の回転により記録ヘッド230の下方へ搬送される。
次に、用紙200Pは、記録ヘッド230により、インクが吐出され、目的とする画像が記録される。
【0050】
次に、用紙200Pに付着したインクに対して、紫外線照射装置250により紫外線が照射され、インク中の紫外線重合性化合物の硬化反応(重合反応)が進行し、インク(インクによる画像)が硬化して用紙200Pに固定化する。
【0051】
ここで、紫外線照射装置250の紫外線照射条件としては、インク中に含まれる紫外線重合性化合物の種類等により変わるが、例えば、用紙200P上に吐出されたインク中の紫外線重合性化合物の硬化反応(重合反応)が進行して硬化する条件であることがよい。
具体的には、紫外線照射条件としては、例えば、波長領域(中心波長)が375nm以上450nm以下、照射強度が10mW/cm2以上5000mW/cm2以下(好ましくは50mW/cm2以上500mW/cm2以下)、照射時間が0.1ミリ秒以上10秒以下(好ましくは10ミリ秒以上100ミリ秒以下)であることがよい。
【0052】
次に、インク(インクによる画像)が固定化(形成)された用紙200Pは、排出経路236を経由し、排紙容器240に排出される。
【0053】
このようにして、本実施形態に係るインクジェット記録装置212では、インク(インクによる画像)が固定化(形成)された用紙200Pが得られる。
【0054】
なお、本実施形態に係るインクジェット記録装置212では、記録ヘッド230によってインクの液滴を用紙200Pの表面に直接吐出する方式について説明したが、これに限られず、例えば中間転写体にインクの液滴を吐出した後に、中間転写体上のインクの液滴を用紙200Pに転写する方式であってもよい。
【0055】
また、本実施形態に係るインクジェット記録装置212では、用紙200Pとして枚葉紙にインク(インクによる画像)を固定化(形成)する方式について説明したが、連帳機を用いて、用紙200Pとしてロール紙にインク(インクによる画像)を固定化(形成)する方式であってもよい。
【0056】
以下、電子写真方式の画像形成装置の一例である、画像形成装置10に備えられる、帯電装置11について説明する。
【0057】
(帯電装置11)
帯電装置11(帯電ユニット)は、
図5に示されるように、清掃装置13を備えている。清掃装置13は、感光体12を帯電させる前述の帯電部材14(帯電体の一例、被清掃体の一例)と、帯電部材14を清掃する清掃部材100と、を有している。以下、帯電部材14及び清掃部材100の具体的な構成を説明する。
【0058】
(帯電部材14)
図5に示される帯電部材14は、表面に凹凸構造を有する被清掃体の一例である。この帯電部材14は、被帯電体を帯電させる帯電体の一例でもある。具体的には、帯電部材14は、感光体12を帯電させる帯電ロールである。さらに具体的には、帯電部材14は、
図6に示されるように、支持体14Aと、導電性弾性層14Bと、を有している。
【0059】
(支持体14A)
支持体14Aは、具体的には、導電性を有する円筒体又は円柱体で構成された軸部である。支持体14Aの材料としては、例えば、快削鋼、ステンレス鋼等が使用され、摺動性等の必要な機能に応じて、表面処理方法等が適宜選択される。また、支持体14Aの材質として、導電性を有さない材料を用いる場合には、メッキ処理等の一般的な導電化処理によって導電性を付与するようにしてもよい。
【0060】
(導電性弾性層14B)
導電性弾性層14Bは、具体的には、導電性を有する発泡弾性層で構成される。この導電性弾性層14Bは、支持体14Aの外周に積層されており、円筒状に形成されている。
【0061】
導電性弾性層14Bは、例えば弾性を有するゴム等の弾性材に、抵抗の調整を目的として導電剤の他、必要に応じて軟化剤、可塑剤、硬化剤、加硫剤、加硫促進剤、老化防止剤、シリカ又は炭酸カルシウム等の充填剤など、通常のゴムに添加され得る材料を加えてもよい。
【0062】
抵抗値の調整を目的とした導電剤としては、マトリックス材に配合されるカーボンブラックやイオン導電剤等の電子及びイオンの少なくとも一方を電荷キャリアとして電気伝導する材料を分散したものなどが用いられる。
【0063】
導電性弾性層14Bを構成する弾性材は、例えばゴム材中に導電剤を分散させることによって形成される。ゴム材としては、例えばシリコーンゴム、エチレンプロピレンゴム、エピクロルヒドリン-エチレンオキシド共重合ゴム、エピクロルヒドリン-エチレンオキシド-アリルグリシジルエーテル共重合ゴム、アクリロニトリル-ブタジエン共重合ゴム及びこれらのブレンドゴムが挙げられる。これらのゴム材は発泡したものであっても無発泡のものであってもよい。
【0064】
導電剤としては、電子導電剤やイオン導電剤が用いられる。電子導電剤の例としては、ケッチェンブラック、アセチレンブラック等のカーボンブラック;熱分解カーボン、グラファイト;アルミニウム、銅、ニッケル、ステンレス鋼等の各種導電性金属又は合金;酸化スズ、酸化インジウム、酸化チタン、酸化スズ-酸化アンチモン固溶体、酸化スズ-酸化インジウム固溶体等の各種導電性金属酸化物;絶縁物質の表面を導電化処理したもの;などの微粉末が挙げられる。
【0065】
また、イオン導電剤の例としては、テトラエチルアンモニウム、ラウリルトリメチルアンモニウム等のオニウム類の過塩素酸塩、塩素酸塩等;リチウム、マグネシウム等のアルカリ金属、アルカリ土類金属の過塩素酸塩、塩素酸塩;などが挙げられる。なお、これらの導電剤は、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0066】
また、その添加量に特に制限はないが、電子導電剤の場合には、ゴム材の100質量部に対して、1質量部以上60質量部以下の範囲であることが望ましく、イオン導電剤の場合には、ゴム材の100質量部に対して、0.1質量部以上5.0質量部以下の範囲であることが望ましい。このような導電剤によって抵抗値を制御することにより、導電性弾性層14Bは、その抵抗値が環境条件によって変化せず、安定的な特性が得られる。
【0067】
帯電部材14の表面は、表面層14Cを形成させてもよい。表面層14Cの材料としては、樹脂(高分子材料)、ゴム等の高分子材料の何れを用いてもよく、特に限定するものではない。
【0068】
表面層14Cに含まれる高分子材料としては、例えば、ポリフッ化ビニリデン、4フッ化エチレン共重合体、ポリエステル、ポリイミド、共重合ナイロン等が挙げられる。また、表面層14Cに含まれる高分子材料としては、フッ素系又はシリコーン系の樹脂等であってもよい。上記高分子材料は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0069】
表面層14Cには導電性材料を含有させ、抵抗値を調整してもよい。抵抗値の調整を目的とした導電性材料としては、カーボンブラック、導電性金属酸化物粒子、イオン導電剤等が挙げられる。導電性材料は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0070】
表面層14Cは、アルミナやシリカ等の絶縁性粒子を含んでもよい。
【0071】
(帯電部材14の支持構造)
図5に示される帯電部材14では、支持体14Aの軸方向両端部が、軸受等の支持部(図示省略)で回転自在に支持されている。帯電部材14は、当該支持部を介して支持体14Aの軸方向両端部へ荷重F1が加えられることにより感光体12へ押し付けられている。これにより、導電性弾性層14Bが感光体12の表面(外周面)に沿って弾性変形することで、帯電部材14と感光体12との間に、特定の幅を有する接触領域が形成されている。
【0072】
また、帯電部材14は、感光体12が図示しないモータによって矢印X方向に回転駆動されることで、感光体12の回転に従動して矢印Y方向に回転する。すなわち、帯電部材14は、支持体14Aの軸方向を回転軸方向として従動回転する。したがって、帯電部材14の軸方向及び支持体14Aの軸方向は、帯電部材14の回転軸方向に相当する。なお、帯電部材14の回転により清掃部材100が矢印Z方向に従動回転する。
【0073】
(清掃部材100)
図7は、本実施形態に係る清掃部材(清掃体の一例)を示す概略斜視図である。
図8は、本実施形態に係る清掃部材(清掃体の一例)の概略平面図である。
【0074】
図7及び
図8に示される清掃部材100(清掃体の一例)は、芯体100A(軸部の一例)と、芯体100Aの外周面に設けられ、帯電部材14に接触する発泡弾性層100B(弾性層の一例)と、を備える。
清掃部材100は、芯体100A及び発泡弾性層100Bに加えて、芯体100Aと発泡弾性層100Bとを接着するための接着層100Dを有し、ロール状の部材とされている。
【0075】
(芯体100A)
芯体100Aに用いる材質としては、金属(例えば、快削鋼又はステンレス鋼等)、又は樹脂(例えば、ポリアセタール樹脂(POM)等)が挙げられる。なお、材質及び表面処理方法等は必要に応じて選択するのが望ましい。
【0076】
特に、芯体100Aが金属で構成される場合には、メッキ処理を施すのが望ましい。また、樹脂等で導電性を有さない材質の場合、メッキ処理等の一般的な処理により加工して導電化処理を行ってもよいし、そのまま使用してもよい。
【0077】
(接着層100D)
接着層100Dとしては、芯体100Aと発泡弾性層100Bとを接着し得るものであれば、特に制限はないが、例えば、両面テープ、その他接着剤により構成される。
【0078】
(発泡弾性層100B)
発泡弾性層100Bは、気泡を有する材料(いわゆる発泡体)で構成されている。なお、発泡弾性層100Bの具体的な材料については、後述する。
【0079】
発泡弾性層100Bは、
図7及び
図8に示されるように、芯体100Aの外周面に芯体100Aの軸方向一端側から軸方向他端側にかけて、螺旋状に配置されている。具体的には、
図10~
図12に示されるように、発泡弾性層100Bは、例えば、芯体100Aの軸方向一端から軸方向他端にかけて、芯体100Aを螺旋軸とし、短冊状の発泡弾性部材100C(以下、短冊100Cと称する場合がある)が間隔を持って螺旋状に巻き回されて形成されている。
【0080】
図9は、本実施形態における清掃部材(清掃体の一例)を示す軸方向視における概略断面図である。
図9に示されるように、発泡弾性層100Bは、芯体100Aの軸方向視の断面において、4辺(曲線を含む)で囲まれた四辺形状とされており、発泡弾性層100Bの幅方向(K方向)における両端部で中央部120よりも芯体100Aの径方向外側へ突出する突出部122を有している。この突出部122は、発泡弾性層100Bの長さ方向に沿って形成されている。
【0081】
そして、突出部122は、例えば、発泡弾性層100Bに対してその長手方向に張力を付与することにより、発泡弾性層100Bの外周面の幅方向における中央部120と、幅方向両端部とで外径差が生じて形成される。
ここで、本実施形態において、突出部122の範囲は、凹状に湾曲している弾性層の表面に沿って測定されるK方向の距離のうち、一方の端辺から他方の端辺に向かって10%までの範囲を指す。また、中央部120の範囲は、K方向両端の突出部122の範囲を除く部分を指す。
【0082】
発泡弾性層100Bは、螺旋状に配置されている。発泡弾性層100Bは、発泡弾性層の表面に突出したセル骨格の先端部の円相当径が50μm以下であり、螺旋ピッチR2が5mm以下、且つ、螺旋角度θが15°以下である。
【0083】
発泡弾性層の表面に突出したセル骨格の先端部の円相当径の測定は、コンフォーカル顕微鏡(レーザーテック株式会社、OPTELICS HYBRID)を用いて行う。発泡弾性層の表面に突出したセル骨格の先端部Cの端面の観察像(
図3参照)を三箇所撮像し、画像解析にて先端部Cの端面の円相当径を算出し、その平均値を発泡弾性層の表面に突出したセル骨格の先端部の円相当径とする。
【0084】
図3中Aは、発泡弾性層の表面に突出したセルを示す。
図3中Bは、発泡弾性層の表面に突出したセル骨格を示す。
図3中Cは、発泡弾性層の表面に突出したセル骨格の先端部を示す。
また、発泡弾性層の表面に突出したセル骨格の先端部の円相当径とは、前記発泡弾性層の表面に突出したセル骨格の先端部Cの円相当径である。
【0085】
ここで、セル骨格とは、セル(つまり、気泡)を形成する線状又は膜状の構造体を示す。そして、発泡弾性層の表面に突出したセル骨格の先端部とは、発泡弾性層の表面において、当該構造体が突出している部分を示す。
【0086】
発泡弾性層の表面に突出したセル骨格の先端部の円相当径は、清掃体の清掃性能向上の観点から、30μm以上50μm以下であることが好ましく、35μm以上45μm以下であることがより好ましい。
【0087】
螺旋ピッチR2とは、発泡弾性層100Bの清掃部材100の軸方向Q(芯体軸方向)に沿った、隣合う発泡弾性層100B間の長さを意味する(
図8参照)。
【0088】
発泡弾性層100Bの螺旋ピッチR2は、清掃体の清掃維持性向上の観点から、2mm以上5mm以下であることが好ましく、3mm以上4mm以下であることがより好ましい。
【0089】
なお、螺旋角度θとは、発泡弾性層100Bの長手方向P(螺旋方向)と芯体100Aの軸方向Q(芯体軸方向)とが交差する角度(鋭角)を意味する(
図8参照)。
【0090】
発泡弾性層100Bの螺旋角度θは、清掃体の清掃維持性向上の観点から、5°以上15°以下であることが好ましく、8°以上10°以下であることがより好ましい。
【0091】
発泡弾性層の螺旋ピッチR2及び螺旋角度θは、0.2≦R2/θ≦1.0の関係を満足する。
発泡弾性層の螺旋ピッチR2及び螺旋角度θが、上記関係を満足することで、発泡弾性層の螺旋構造が変化しにくくなり、清掃体の清掃維持性が向上する。
【0092】
発泡弾性層の螺旋ピッチR2及び螺旋角度θは、0.4≦R2/θ≦0.8の関係を満足することが好ましい。
【0093】
螺旋幅R1とは、発泡弾性層100Bの清掃部材100の軸方向Q(芯体軸方向)に沿った長さを意味し(
図8参照)、発泡弾性層100B螺旋幅R1は、例えば、3mm以上25mm以下(望ましくは3mm以上10mm以下)であることがよい。
【0094】
発泡弾性層100Bの厚み(幅方向中央部での厚み)は、清掃体の清掃維持性向上の観点から、1.0mm以上3.0mm以下がよく、望ましくは1.4mm以上2.6mm以下であり、より望ましくは1.6mm以上2.4mm以下である。
【0095】
なお、発泡弾性層100Bの厚みは、例えば、次のようにして測定する。
【0096】
レーザ測定機(ミツトヨ社製、レーザスキャンマイクロメータ)を用いて、清掃部材の周方向は固定した状態で、1mm/sのトラバース速度にて清掃部材の長手方向(軸方向)へスキャンさせて発泡弾性層厚み(発泡弾性層肉厚)のプロファイルの測定を行う。その後、周方向位置をずらし同様の測定を行う(周方向位置は120°間隔、3箇所)。このプロファイルを基に発泡弾性層100Bの厚みの算出を行う。
【0097】
発泡弾性層100Bは、被覆率(発泡弾性層100Bの螺旋幅R1/[発泡弾性層100Bの螺旋幅R1+発泡弾性層100Bの螺旋ピッチR2:(R1+R2)])は、20%以上70%以下であることがよく、望ましくは25%以上55%以下である。
【0098】
この被覆率を上記範囲よりも大きいと、発泡弾性層100Bが被清掃体に接触する時間が長くなるため、清掃部材の表面に付着する付着物が被清掃体へ再汚染する傾向が高くなる一方で、被覆率が上記範囲より小さいと、発泡弾性層100Bの厚み(肉厚)が安定し難くなり、清掃能力が低下する傾向となる。
【0099】
本実施形態に係る清掃体は、清掃体の清掃維持性向上の観点から、発泡弾性層のセル数が80個/25mm以上105個/25mm以下であることが好ましく、85個/25mm以上100個/25mm以下であることがより好ましく、90個/25mm以上95個/25mm以下であることが更に好ましい。
【0100】
発泡弾性層100Bのセル数は、JIS K 6400-1:2004(附属書1)に準じて求められる。
【0101】
発泡弾性層100Bとは100Paの外力印加により変形しても、もとの形状に復元する材料から構成される層をいう。
【0102】
(発泡弾性層100Bの材料)
発泡弾性層100Bの材料としては、例えば、発泡性の樹脂(ポリウレタン、ポリエチレン、ポリアミド、又はポリプロピレン等)、ゴム材料(シリコーンゴム、フッ素ゴム、ウレタンゴム、EPDM(エチレン・プロピレン・ジエンゴム)、NBR(アクリロニトリル-ブタジエン共重合ゴム)、CR(クロロプレンゴム)、塩素化ポリイソプレン、イソプレン、アクリロニトリル-ブタジエンゴム、スチレン-ブタジエンゴム、水素添加ポリブタジエン、ブチルゴム等)を1種類、又は2種類以上をブレンドしてなる材料が挙げられる。
【0103】
なお、これらには必要に応じて、発泡助剤、整泡剤、触媒、硬化剤、可塑剤、又は加硫促進剤等の助剤を加えてもよい。
【0104】
発泡弾性層100Bは、特に、擦れによる被清掃体(帯電部材14)の表面に傷を付けない、長期に渡り千切れや破損が生じないようにする観点から、引っ張りに強い発泡ポリウレタンであることが望ましい。
【0105】
ポリウレタンとしては、例えば、ポリオール(例えばポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリエステル、アクリルポリオール等)と、イソシアネート(例えば、2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネートや4,4-ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート等)と、の反応物が挙げられ、鎖延長剤(1,4-ブタンジオール、トリメチロールプロパン)が含まれたものであってもよい。
【0106】
そして、ポリウレタンの発泡は、例えば、水やアゾ化合物(例えばアゾジカルボンアミド、アゾビスイソブチロニトリル等)等の発泡剤を用いて行われるのが一般的である。
【0107】
発泡ポリウレタンには、必要に応じて発泡助剤、整泡剤、触媒などの助剤を加えてもよい。
【0108】
(清掃部材100の支持構造)
清掃部材100は、
図5に示されるように、帯電部材14に対する感光体12とは反対側で、発泡弾性層100Bが帯電部材14に接触している。具体的には、清掃部材100は、芯体100Aの軸方向両端部が帯電部材14に向けて荷重F2で押されることで、発泡弾性層100Bが帯電部材14へ押し付けられ、発泡弾性層100Bが帯電部材14の周面に沿って弾性変形して接触領域を形成している。
【0109】
発泡弾性層100Bが圧縮率は、[(元の発泡弾性層100Bの厚さ-帯電部材14(つまり被清掃体)の接触領域にける発泡弾性層100Bの厚さ)/元の発泡弾性層100Bの厚さ]×100で算出される。
ここで、発泡弾性層100Bの厚さとは、発泡弾性層100Bが芯体100Aに配置された状態での幅方向中央部の厚さを示す。
【0110】
帯電部材14に対する清掃部材100の食い込み量E(
図6参照)は、帯電部材14と清掃部材100との間の軸間距離と、帯電部材14の無負荷状態の半径に清掃部材100の無負荷状態の半径を加算した値と、の差によって求められる。また、食い込み量が清掃部材100の軸方向において異なる場合は、ここでの食い込み量は最小値をいう。
【0111】
また、清掃部材100は、帯電部材14の回転により矢印Z方向に従動回転する。なお、清掃部材100を帯電部材14へ常時接触する場合に限られず、帯電部材14をクリーニングするときのみ接触させ従動回転させる構成でもよい。また、清掃部材100は、帯電部材14をクリーニングするときのみ接触させ、別駆動により帯電部材14に対して周速差を付けて回転させても構わない。
【0112】
清掃部材100は、発泡弾性層100Bの変位率が15%以下で、帯電部材14に接触していることが好ましい。
【0113】
ここで、変位率とは、清掃部材100を帯電部材14に接触させる前後における、中央部120での発泡弾性層100Bの厚さ変化の割合を示す。
具体的には、変位率は、[(清掃部材100を帯電部材14に接触させる前の中央部120での発泡弾性層100Bの厚さ-清掃部材100を帯電部材14に接触させた後の中央部120での発泡弾性層100Bの厚さ)/清掃部材100を帯電部材14に接触させる前の中央部120での発泡弾性層100Bの厚さ]×100で算出される。
【0114】
清掃部材100は、清掃体の清掃維持性向上の観点から発泡弾性層100Bの変位率が12%以下であることが好ましい。
【0115】
(清掃部材100の製造方法)
次に、本実施形態に係る清掃部材100の製造方法について説明する。
図10~
図12は、本実施形態に係る清掃部材100の製造方法の一例を示す工程図である。
【0116】
まず、
図10に示すように、目的の厚みとなるようスライス加工を施したシート状の発泡弾性部材(発泡ポリウレタンシート等)を準備し、打ち抜き型により当該部材を打ち抜いて、目的とする幅、長さのシートを得る。
【0117】
このシート状の発泡弾性部材の片面に、両面テープ100Dを貼り付け、目的とする幅、長さの短冊100C(両面テープ100D付き短冊状の発泡弾性部材)を得る。
【0118】
次に、
図11に示すように、両面テープ100Dが付いた面を上方にして短冊100Cを配置し、この状態で両面テープ100Dの剥離紙の一端を剥がし、当該剥離紙を剥離した両面テープ上に芯体100Aの一端部を載せる。
【0119】
次に、
図12に示すように、両面テープの剥離紙を剥がしながら、目的とする速度で芯体100Aを回転させて、芯体100Aの外周面に短冊100Cを螺旋状に巻き付けていき、芯体100Aの外周面に螺旋状に配置された発泡弾性層100Bを有する清掃部材100を得る。
【0120】
ここで、発泡弾性層100Bとなる短冊100Cを芯体100Aに巻き付ける際、芯体100Aの軸方向に対して、短冊100Cの長手方向が目的の角度(螺旋角度)となるよう、短冊100Cに位置を合わせればよい。また、芯体100Aの外径は、例えば、φ3mm以上φ6mm以下にすることがよい。
【0121】
短冊100Cを芯体100Aに巻き付ける際に付与する張力は、芯体100Aと短冊100Cの両面テープ100Dとの間に隙間が生じない程度であることがよく、過度に張力を付与しないことがよい。張力を付与し過ぎると、引っ張り永久伸びが大きくなり、清掃に必要な発泡弾性層100Bの弾性力が落ちる傾向があるためである。具体的には、例えば、元の短冊100Cの長さに対して0%を超え5%以下の伸びになる張力とすることがよい。
【0122】
一方で、短冊100Cを芯体100Aに巻き付けると、短冊100Cが伸びる傾向がある。この伸びは、短冊100Cの厚み方向で異なり最外郭が最も伸びる傾向があり、弾性力が落ちることがある。そのため、短冊100Cを芯体100Aに巻き付けた後における最外郭の伸びが、元の短冊100Cの最外郭に対して5%程度になることがよい。
【0123】
この伸びは、短冊100Cが芯体100Aに巻き付く曲率半径と短冊100Cの厚みにより制御され、短冊100Cが芯体100Aに巻き付く曲率半径は芯体100Aの外径及び短冊100Cの巻き付け角度(螺旋角度θ)により制御される。
【0124】
短冊100Cが芯体100Aに巻き付く曲率半径は、例えば、((芯体外径/2)+0.2mm)以上((芯体外径/2)+8.5mm)以下にすることがよく、望ましくは((芯体外径/2)+0.5mm)以上((芯体外径/2)+7.0mm)以下である。
【0125】
短冊100Cの厚みとしては、例えば、1.5mm以上4mm以下がよく、望ましくは1.5mm以上3.0mm以下である。また、短冊100Cの幅としては、発泡弾性層100Bの被覆率が上記範囲となるように調整することがよい。また、短冊100Cの長さは、例えば、芯体100Aに巻き付ける領域の軸方向長さと巻き付け角度(螺旋角度θ)と巻き付ける際の張力により決定される。
【0126】
(本実施形態の作用)
次に、本実施形態の作用を説明する。
【0127】
本実施形態では、記録媒体24に転写されずに感光体12に残留した現像剤等の異物は、清掃ブレード80によって感光体12から除去される。清掃ブレード80で除去されずに清掃ブレード80をすり抜けた一部の現像剤等の異物は、帯電部材14の表面に付着する(
図1参照)。
【0128】
帯電部材14の表面に付着した異物は、突出部122及び外周面(
図9における上面)が帯電部材14に接触して、帯電部材14の外周面を払拭することにより除去される。
【0129】
(変形例)
発泡弾性層100Bは、1本の短冊100Cからなる態様に限られない。例えば、
図13及び
図14に示すように、発泡弾性層100Bは、少なくとも2本以上の短冊100C(短冊状の発泡弾性部材)からなり、2本以上の短冊100Cが芯体100Aに螺旋状に巻き回されて配置されたもので構成されていてもよい。
【0130】
また、2本以上の短冊100C(短冊状の発泡弾性部材)が芯体100Aに螺旋状に巻き付けて構成される発泡弾性層100Bは、短冊100Cの接着面(短冊100Cにおける芯体100Aの外周面と対向する側の面)の長手方向の辺を互いに接触させた状態で螺旋状に巻き回されて配置された構成(
図13参照)であってもよいし、接触させない状態で螺旋状に巻き回されて配置された構成(
図14参照)であってもよい。
【0131】
(他の変形例)
また、本実施形態に係る画像形成装置10では、帯電装置11として、帯電部材14と清掃部材100とのユニットで構成した形態を説明したが、つまり、被清掃体として帯電部材14を採用した形態を説明したが、これに限られない。例えば、被清掃体としては、感光体(像保持体)、転写装置(転写部材;転写ロール)、中間転写体(中間転写ベルト)が挙げられる。そして、これら被清掃体とこれに接触して配置される清掃部材とのユニットを、画像形成装置に直接配置してもよいし、上記同様にプロセスカートリッジのようにカートリッジ化して画像形成装置に配置してもよい。
【0132】
本発明は、上記の実施形態に限るものではなく、その主旨を逸脱しない範囲内において種々の変形、変更、改良が可能である。例えば、上記に示した変形例は、適宜、複数を組み合わせて構成してもよい。
【0133】
また、電子写真方式以外の画像形成装置としてインクジェット記録装置にも適用可能である。例えば、インクジェット記録装置の一例である
図2に示される画像形成装置212に備えられるクリーニングロール248として、本実施形態に係る清掃体を用いてもよい。また、例えば、インクジェット記録ヘッドに特定のタイミングで接触させてインクジェット記録ヘッドのインク吐出口の清掃や、インクジェット記録用の用紙搬送ベルト表面、裏面の清掃に用いてもよい。
【実施例】
【0134】
以下に実施例について説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。なお、以下の説明において、特に断りのない限り、「部」及び「%」はすべて質量基準である。
【0135】
<帯電ロールの調製>
(弾性層の形成)
下記混合物を、オープンロールで混練し、SUS416からなる直径9mm、長さ370mmの導電性の支持体の外周面に、厚さ1.5mmとなるように円筒状に被覆し、内径12.0mmの円筒型の金型に入れ、170℃で30分間加硫させ、金型から取り出した後、研磨した。これにより、円筒状の導電性の弾性層を得た。
【0136】
・ゴム材(エピクロルヒドリン-エチレンオキシド-アリルグリシジルエーテル共重合ゴム、GECHRON3106:日本ゼオン社製)・・・・・・・・・・・・100質量部
・導電剤(カーボンブラック アサヒサーマル:旭カーボン社製)・・・・・25質量部
・導電剤(ケッチェンブラックEC:ライオン社製)・・・・・・・・・・・・8質量部
・イオン導電剤(過塩素酸リチウム)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1質量部
・加硫剤(硫黄、200メッシュ:鶴見化学工業社製)・・・・・・・・・・・1質量部
・加硫促進剤(ノクセラーDM:大内新興化学工業社製)・・・・・・・・2.0質量部
・加硫促進剤(ノクセラーTT:大内新興化学工業社製)・・・・・・・・0.5質量部
【0137】
(表面層の形成)
下記混合物を、ビーズミルにて分散し、得られた分散液を、メタノールで希釈し、導電性の弾性層の表面(外周面)に浸漬塗布した後、140℃で15分間加熱乾燥した。これにより、厚さ4μmの表面層を有する帯電ロール1を得た。
【0138】
・高分子材料(共重合ナイロン、アミランCM8000:東レ社製)・・・・20質量部
・導電剤(アンチモンドープ酸化スズ、SN-100P:石原産業社製)・・30質量部
・溶剤(メタノール)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・500質量部
・溶剤(ブタノール)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・240質量部
【0139】
<実施例1>
(クリーニングロール1)
厚さ2.4mmの発泡ウレタンシート(FHS;株式会社イノアックコーポレーション社製)を幅4mm、長さ360mmの短冊になるように切り出し、4本の幅4mm、長さ360mmの短冊を得た。切り出した4本の短冊に対して、それぞれ厚み0.05mmの両面テープ(日東電工社製、No.5605)を、短冊全面に貼り付け、両面テープ付き短冊を得た。
【0140】
得られた4本の両面テープ付き短冊を束ね、その両面テープに貼り付けられている剥離紙が下方を向くように水平な台上に置き、短冊の長手方向先端部から長手方向における長さ1mmの範囲の厚みが他の部位の厚みの15%となるように、その長手方向先端部を加熱したステンレス鋼によって上部から圧縮した。
【0141】
得られた4本の両面テープ付き短冊を、その両面テープに貼り付けられている剥離紙が上方を向き、水平な台上に置き、金属製の芯体(材質=SUM24EZ、外径=φ5.0mm、全長=360mm)へ、短冊を接着面の長手方向の辺を互いに接触させた状態で、螺旋ピッチR2が4mmであり、螺旋角度θが10°となるように、かつ短冊全長が0%~5%までの範囲で伸びるように張力を付与しつつ巻き付け、クリーニングロール1を得た。
【0142】
<実施例2>
(クリーニングロール2)
両面テープ付き短冊を芯体に巻き付ける螺旋角度θを15°とした以外は、実施例1と同様にして、クリーニングロール2を得た。
【0143】
<実施例3>
(クリーニングロール3)
両面テープ付き短冊を芯体に巻き付ける螺旋角度θを5°とした以外は、実施例1と同様にして、クリーニングロール3を得た。
【0144】
<実施例4>
(クリーニングロール4)
厚さ2.4mmの発泡ウレタンシートから2本の短冊を得て、得られた2本の両面テープ付き短冊を、接着面の長手方向の辺を互いに接触させた状態で螺旋ピッチR2が5mmとなるように芯体に巻き付けることとした以外は、実施例1と同様にして、クリーニングロール4を得た。
【0145】
<実施例5>
(クリーニングロール5)
先端径を、50μmとし、角度θを15°とした以外は、実施例1と同様にして、クリーニングロール5を得た。
【0146】
<実施例6>
(クリーニングロール6)
螺旋ピッチR2を、3mmとした以外は、実施例1と同様にして、クリーニングロール6を得た。
【0147】
<実施例7>
(クリーニングロール7)
螺旋ピッチR2を、2mmとした以外は、実施例1と同様にして、クリーニングロール7を得た。
【0148】
<実施例8>
(クリーニングロール8)
両面テープ付き短冊を芯体に巻き付ける螺旋角度θを5°とした以外は、実施例1と同様にして、クリーニングロール8を得た。
【0149】
<実施例9>
(クリーニングロール9)
両面テープ付き短冊を芯体に巻き付ける螺旋角度θを4°とした以外は、実施例1と同様にして、クリーニングロール9を得た。
【0150】
<実施例10>
(クリーニングロール10)
両面テープ付き短冊を芯体に巻き付ける螺旋角度θを12°とした以外は、実施例1と同様にして、クリーニングロール10を得た。
【0151】
<実施例11>
(クリーニングロール11)
セル数を70とした以外は、実施例1と同様にして、クリーニングロール11を得た。
【0152】
<実施例12>
(クリーニングロール12)
セル数を80とした以外は、実施例1と同様にして、クリーニングロール12を得た。
【0153】
<実施例13>
(クリーニングロール13)
セル数を103とした以外は、実施例1と同様にして、クリーニングロール13を得た。
【0154】
<実施例14>
(クリーニングロール14)
セル数を110とした以外は、実施例1と同様にして、クリーニングロール14を得た。
【0155】
<実施例15>
(クリーニングロール15)
発泡弾性層の厚みを0.8mmとした以外は、実施例1と同様にして、クリーニングロール15を得た。
【0156】
<実施例16>
(クリーニングロール16)
発泡弾性層の厚みを1.0mmとした以外は、実施例1と同様にして、クリーニングロール16を得た。
【0157】
<実施例17>
(クリーニングロール17)
発泡弾性層の厚みを3.0mmとした以外は、実施例1と同様にして、クリーニングロール17を得た。
【0158】
<実施例18>
(クリーニングロール18)
スポンジ発泡弾性層の厚みを3.3mmとした以外は、実施例1と同様にして、クリーニングロール18を得た。
【0159】
<実施例19>
(クリーニングロール19)
厚さ2.4mmの発泡ウレタンシートから1本の短冊を得て、得られた1本の両面テープ付き短冊を、螺旋ピッチR2が10mmとなるように芯体に巻き付けることとした以外は、実施例1と同様にして、クリーニングロール19を得た。
【0160】
<実施例20>
(クリーニングロール20)
両面テープ付き短冊を芯体に巻き付ける螺旋角度θを25°とした以外は、実施例19と同様にして、クリーニングロール20を得た。
【0161】
<実施例21>
(クリーニングロール21)
螺旋ピッチR2を6mmとした以外は、実施例19と同様にして、クリーニングロール21を得た。
【0162】
<実施例22>
(クリーニングロール22)
両面テープ付き短冊を芯体に巻き付ける螺旋角度θを、20°とし、螺旋ピッチR2を4mmとした以外は、実施例19と同様にして、クリーニングロール22を得た。
【0163】
<実施例23>
(クリーニングロール23)
両面テープ付き短冊を芯体に巻き付ける螺旋角度θを4°、螺旋ピッチR2を5mmとした以外は、実施例19と同様にして、クリーニングロール23を得た。
【0164】
<比較例1>
(クリーニングロールC1)
厚さ2.4mmの発泡ウレタンシート(EP70S;株式会社イノアックコーポレーション社製)を使用した以外は、実施例20と同様にして、クリーニングロールC1を得た。
【0165】
<比較例2>
(クリーニングロールC2)
両面テープ付き短冊を芯体に巻き付ける螺旋角度θを、15°とし、先端径が59μmの発泡ウレタンシートを用いた以外は、比較例1と同様にして、クリーニングロールC2を得た。
【0166】
<比較例3>
(クリーニングロールC3)
両面テープ付き短冊を芯体に巻き付ける螺旋角度θを、20°、螺旋ピッチR2を2mmとした以外は、実施例19と同様にして、クリーニングロールC3を得た。
【0167】
<評価>
(クリーニング性評価)
画像形成装置「DocuCentre-VI C7771:富士ゼロックス社製」のドラムカートリッジに、表1及び表2に示すクリーニングロールと、作製した帯電ロール1を、表1及び表2に示す変位率となるように接触配置した。
次いで、32℃、85%RHの環境下で、A3の記録用紙上に画像濃度100%で、出力方向長さ320mm×幅30mmの帯状の画質パターンを20,000枚印字した後、帯電ロール1の画質パターン印字位置での表面状態の観察により、付着物のクリーニング性評価を行った。
帯電ロールの観察は、共焦点レーザ顕微鏡(OLS1100、OLYMPAS社製)を用いて直接表面を観察し、以下の基準に基づいてクリーニング性を評価した。
【0168】
-クリーニング性評価:判断基準-
G0 :帯電ロール表面に付着物が1μm2当たり10%以下の範囲で見られる。
G0.5:帯電ロール表面に付着物が1μm2当たり10%より大きく20%以下の範囲で見られる。
G1 :帯電ロール表面に付着物が1μm2当たり20%より大きく30%以下の範囲で見られる。
G2 :帯電ロール表面に付着物が1μm2当たり30%より大きく40%以下の範囲で見られる。
G3 :帯電ロール表面に付着物が1μm2当たり40%より大きく50%以下の範囲で見られる。
【0169】
(クリーニング維持性評価)
クリーニング性評価後さらに、同一のクリーニングロールと帯電ロールを使用して、10℃、15%RHの環境下で、同一の画質パターンをさらに50,000枚印字(合計70,000枚印字)した後、同様にして表面状態の観察により、付着物のクリーニング性評価を行った。帯電ロールの観察は、共焦点レーザ顕微鏡(OLS1100、OLYMPAS社製)を用いて直接表面を観察し、以下の基準に基づいてクリーニング維持性を評価した。
【0170】
-クリーニング維持性評価:判断基準-
G0 :帯電ロール表面に付着物が1μm2当たり10%以下の範囲で見られる。
G0.5:帯電ロール表面に付着物が1μm2当たり10%より大きく20%以下の範囲で見られる。
G1 :帯電ロール表面に付着物が1μm2当たり20%より大きく30%以下の範囲で見られる。
G2 :帯電ロール表面に付着物が1μm2当たり30%より大きく40%以下の範囲で見られる。
G3 :帯電ロール表面に付着物が1μm2当たり40%より大きく50%以下の範囲で見られる。
【0171】
以下に表1及び表2に記載された、用語について説明する。
「CLN-R種」は、クリーニングロールの種類を示す。
「先端径」は、発泡弾性層の表面に突出したセル骨格の先端部の円相当径を示し、単位は「μm」である。
「R2」は、螺旋ピッチR2を示し、単位は「mm」である。
「θ」は、螺旋角度θを示し、単位は「°」である。
「R2/θ」は、螺旋ピッチR2及び螺旋角度θの比、R2/θを示す。
「セル数」は、発泡弾性層のセル数を示し、単位は「個/25mm」である。
「厚み」は、発泡弾性層の厚みを示し、単位は「mm」である。
「変位率」は、発泡弾性層の変位率を示し、単位は「%」である。
「CLN性評価」は、クリーニング性評価を示す。
「CLN維持性評価」は、クリーニング維持性評価を示す。
【0172】
【0173】
【0174】
(実施例24)
(クリーニングロール24)
厚さ2.4mmの発泡ウレタンシート(FHS;株式会社イノアックコーポレーション社製)を幅4mm、長さ400mmの短冊になるように切り出し、4本の幅4mm、長さ400mmの短冊を得た。切り出した4本の短冊に対して、それぞれ厚み0.05mmの両面テープ(日東電工社製、No.5605)を、短冊全面に貼り付け、両面テープ付き短冊を得た。
【0175】
得られた4本の両面テープ付き短冊を束ね、その両面テープに貼り付けられている剥離紙が下方を向くように水平な台上に置き、短冊の長手方向先端部から長手方向における長さ1mmの範囲の厚みが他の部位の厚みの15%となるように、その長手方向先端部を加熱したステンレス鋼によって上部から圧縮した。
【0176】
得られた4本の両面テープ付き短冊を、その両面テープに貼り付けられている剥離紙が上方を向き、水平な台上に置き、金属製の芯体(材質=SUM24EZ、外径=φ5.0mm)へ、短冊を接着面の長手方向の辺を互いに接触させた状態で、螺旋ピッチR2が4mmであり、螺旋角度θが10°となるように、かつ短冊全長が0%~5%までの範囲で伸びるように張力を付与しつつ巻き付け、クリーニングロール24を得た。
【0177】
得られたクリーニングロール24を、インクジェット記録装置の用紙搬送ベルトの表面をクリーニングするクリーニングロールとして用いた。
その結果、搬送ベルトの表面を良好にクリーニングすることが出来た。
【0178】
上記評価結果から、各実施例は、各比較例に比べて、クリーニング維持性評価(つまり、清掃維持性)が良好であることがわかる。
【符号の説明】
【0179】
10 画像形成装置、11 帯電装置、12 感光体(像保持体の一例、被帯電体の一例)、13 清掃装置、14 帯電部材(帯電体の一例、被清掃体の一例)、18 プロセスカートリッジ(組立体の一例)、100 清掃部材、100A 芯体(軸部の一例)、100B 発泡弾性層(弾性層の一例)、212 インクジェット記録装置、214 筐体、216 給紙容器、218 取り出しロール、220 搬入ローラ対、222 搬入経路、224 駆動ロール、226 従動ロール、228 搬送ベルト、230 記録ヘッド、230A インクカートリッジ、232 帯電ロール、234 剥離板、236 排出経路、238 排出ローラ対、240 排紙容器、248 クリーニングロール、250紫外線照射装置、200P 用紙、A 発泡弾性層の表面に突出したセル、B 発泡弾性層の表面に突出したセル骨格、C 発泡弾性層の表面に突出したセル骨格の先端部