(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-08
(45)【発行日】2024-05-16
(54)【発明の名称】プリンターおよびプリンターの制御方法
(51)【国際特許分類】
B41J 2/01 20060101AFI20240509BHJP
B41J 3/60 20060101ALI20240509BHJP
B41J 11/70 20060101ALI20240509BHJP
B65H 5/06 20060101ALI20240509BHJP
【FI】
B41J2/01 305
B41J2/01 401
B41J2/01 501
B41J2/01 103
B41J3/60
B41J11/70
B65H5/06 F
(21)【出願番号】P 2020060132
(22)【出願日】2020-03-30
【審査請求日】2023-02-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】矢島 康司
【審査官】長田 守夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-80145(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0008317(US,A1)
【文献】中国実用新案第203004543(CN,U)
【文献】特開2021-30655(JP,A)
【文献】特開2015-196324(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
B41J 3/60
B41J 11/00-11/70
B41J 15/00-15/24
B65H 5/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロール状に巻き回された状態から繰り出された媒体を搬送方向に搬送する搬送部と、
前記搬送部に搬送される前記媒体にノズル面が対向しない位置に移動可能な印刷部と、
前記媒体を切断する切断部と、
前記搬送部
、前記印刷部
及び前記切断部を制御する制御部と、を備え、
前記ロール状に巻き回された状態のときに
外側に位置する前記媒体の外周面が第1面であり、内側に位置する前記媒体の内周面が
第2面である場合、
前記制御部は、前記第2面が印刷される内周面印刷
において、
前記印刷部が前記搬送部に搬送される前記媒体に
前記ノズル面が対向しない位置にある状態で、前記搬送部に、前記媒体の先端を前記搬送方向における前記ノズル面の最下流ノズルと対向する位置よりも下流の位置である印刷開始位置に位置させ、
前記先端が
前記印刷開始位置に位置する前記媒体に、前記印刷部に印刷領域の形成を開始させ
、
前記制御部は、前記印刷部によって前記媒体の前記第1面と、前記第1面が印刷された前記媒体の前記第2面と、を印刷する両面印刷において、
前記切断部に、前記印刷部によって前記第1面に形成された第1印刷領域の上流端である第1端よりも上流の被切断位置で、前記媒体を切断させ、
前記第1端と前記被切断位置との距離は、前記印刷部の最上流ノズルと最下流ノズルとの距離よりも大きいことを特徴とするプリンター。
【請求項2】
ロール状に巻き回された状態から繰り出された媒体を搬送方向に搬送する搬送部と、
前記搬送部に搬送される前記媒体にノズル面が対向しない位置に移動可能な印刷部と、
前記媒体を切断する切断部と、
前記搬送部
、前記印刷部
及び前記切断部を制御する制御部と、を備え、
前記ロール状に巻き回された状態のときに内側に位置する前記媒体の内周面が
第1面であり、外側に位置する前記媒体の外周面が第2面である場合、
前記制御部は、前記第1面が印刷される内周面印刷
において、
前記印刷部が前記搬送部に搬送される前記媒体に
前記ノズル面が対向しない位置にある状態で、前記搬送部に、前記媒体の先端を前記搬送方向における前記ノズル面の最下流ノズルと対向する位置よりも下流の位置である印刷開始位置に位置させ、
前記先端が
前記印刷開始位置に位置する前記媒体に、前記印刷部に印刷領域の形成を開始させ
、
前記制御部は、前記印刷部によって前記媒体の前記第1面と、前記第1面が印刷された前記媒体の前記第2面と、を印刷する両面印刷において、
下流端である第2端が前記媒体の端部から離間した位置にある第1印刷領域を、前記第1面の印刷として前記印刷部に形成させ、
前記第1印刷領域よりも上流の位置で、前記媒体を前記切断部に切断させ、
前記印刷部に前記媒体の前記第2面を印刷させた後に、前記第2端で、前記媒体を前記切断部に切断させる、ことを特徴とするプリンター。
【請求項3】
前記媒体は、前記第1面および前記第2面にインク受容層を有する媒体であることを特徴とする請求項
1又は請求項
2に記載のプリンター。
【請求項4】
前記搬送部は、前記印刷部よりも下流の挟持位置で前記媒体を挟持する挟持ローラーを有し、
前記印刷開始位置が前記挟持位置よりも下流であることを特徴とする請求項1
から請求項3のうち何れか一項に記載のプリンター。
【請求項5】
前記媒体は、前記内周面にインク受容層を有する媒体であることを特徴とする請求項1から請求項4のうち何れか一項に記載のプリンター。
【請求項6】
ロール状に巻き回された状態から繰り出された媒体を搬送方向に搬送する搬送部と、
前記搬送部に搬送される前記媒体にノズル面が対向しない位置に移動可能な印刷部と、
前記媒体を切断する切断部と、
前記搬送部
、前記印刷部
及び前記切断部を制御する制御部と、を備えるプリンターの制御方法であって、
前記ロール状に巻き回された状態のときに
外側に位置する前記媒体の外周面が第1面であり、内側に位置する前記媒体の内周面が
第2面である場合、
前記第2面が印刷される内周面印刷において、
前記印刷部が前記搬送部に搬送される前記媒体に
前記ノズル面が対向しない位置にある状態で、前記媒体の先端を前記搬送方向における前記ノズル面の最下流ノズルと対向する位置よりも下流の位置である印刷開始位置に位置させることと、
前記先端が前記印刷開始位置に位置する前記媒体に、前記印刷部による印刷領域の形成を開始することと、を含
み、
前記印刷部によって前記媒体の前記第1面と、前記第1面が印刷された前記媒体の前記第2面と、を印刷する両面印刷において、
前記切断部に、前記印刷部によって前記第1面に形成された第1印刷領域の上流端である第1端よりも上流の被切断位置で、前記媒体を切断させることを含み、
前記第1端と前記被切断位置との距離は、前記印刷部の最上流ノズルと最下流ノズルとの距離よりも大きいことを特徴とするプリンターの制御方法。
【請求項7】
ロール状に巻き回された状態から繰り出された媒体を搬送方向に搬送する搬送部と、
前記搬送部に搬送される前記媒体にノズル面が対向しない位置に移動可能な印刷部と、
前記媒体を切断する切断部と、
前記搬送部
、前記印刷部
及び前記切断部を制御する制御部と、を備えるプリンターの制御方法であって、
前記ロール状に巻き回された状態のときに内側に位置する前記媒体の内周面が
第1面であり、外側に位置する前記媒体の外周面が第2面である場合、
前記第1面が印刷される内周面印刷において、
前記印刷部が前記搬送部に搬送される前記媒体に
前記ノズル面が対向しない位置にある状態で、前記媒体の先端を前記搬送方向における前記ノズル面の最下流ノズルと対向する位置よりも下流の位置である印刷開始位置に位置させることと、
前記先端が前記印刷開始位置に位置する前記媒体に、前記印刷部による印刷領域の形成を開始することと、を含
み、
前記印刷部によって前記媒体の前記第1面と、前記第1面が印刷された前記媒体の前記第2面と、を印刷する両面印刷において、
下流端である第2端が前記媒体の端部から離間した位置にある第1印刷領域を、前記第1面の印刷として前記印刷部に形成させ、
前記第1印刷領域よりも上流の位置で、前記媒体を前記切断部に切断させ、
前記印刷部に前記媒体の前記第2面を印刷させた後に、前記第2端で、前記媒体を前記切断部に切断させる、ことを含むことを特徴とするプリンターの制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、媒体に液体を噴射して印刷を行うプリンターおよびプリンターの制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ロール紙に対して印刷と切断とを行う装置としてロール体の内側面を印刷する構成が知られている。特許文献1に記載されたプリンターにおいては、両面印刷において、ロール状に巻き回された長尺状の媒体の内側にある面を裏面として印刷する構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されるプリンターにおいては、媒体がロール状に巻き回された長尺状であるため、内側面が印刷部側に位置するときに、ロール状に巻き回されたときの巻き癖によって、媒体の先端に印刷部側に近づく方向のカールが発生する。インクジェット方式のプリンターにおいては、印刷部と媒体との間にギャップがあることを前提とする。そのため、印刷部の一例としての液体噴射ヘッドを搭載するキャリッジが媒体上を走査するときに、液体噴射ヘッドが備える液体噴射部のノズル面と、印刷部側に近づいた媒体の先端とが接触することによって、印刷品質が低下する虞がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するプリンターは、ロール状に巻き回された状態から繰り出された媒体を搬送方向に搬送する搬送部と、前記搬送部に搬送される前記媒体にノズル面が対向しない位置に移動可能な印刷部と、前記搬送部と前記印刷部とを制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記ロール状に巻き回された状態のときに内側に位置する前記媒体の内周面が印刷される内周面印刷のときに、前記印刷部が前記搬送部に搬送される前記媒体にノズル面が対向しない位置にある状態で、前記搬送部に、前記媒体の先端を前記搬送方向における前記ノズル面の最下流ノズルと対向する位置よりも下流の位置である印刷開始位置に位置させ、前記先端が印刷開始位置に位置する前記媒体に、前記印刷部に印刷領域の形成を開始させる。
【0006】
上記課題を解決するプリンターの制御方法は、ロール状に巻き回された状態から繰り出された媒体を搬送方向に搬送する搬送部と、前記搬送部に搬送される前記媒体にノズル面が対向しない位置に移動可能な印刷部と、前記搬送部と前記印刷部とを制御する制御部と、を備えるプリンターの制御方法であって、前記ロール状に巻き回された状態のときに内側に位置する前記媒体の内周面が印刷される内周面印刷において、前記印刷部が前記搬送部に搬送される前記媒体にノズル面が対向しない位置にある状態で、前記媒体の先端を前記搬送方向における前記ノズル面の最下流ノズルと対向する位置よりも下流の位置である印刷開始位置に位置させることと、前記先端が前記印刷開始位置に位置する前記媒体に、前記印刷部による印刷領域の形成を開始することと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】第1実施形態におけるプリンターを示す外観図。
【
図2】第1実施形態におけるプリンターが動作を開始する前の媒体の待機状態を示す模式断面図。
【
図3】第1実施形態における両面印刷の第1面において媒体の挟持状態を示す模式断面図。
【
図4】媒体における両面印刷の第1面印刷後の先端余白と印刷領域を示す模式図。
【
図5】第1実施形態における両面印刷の第1面において媒体の後端の切断状態を示す模式断面図。
【
図6】媒体における両面印刷の第1面の後端切断後の先端余白と印刷領域と後端余白とを示す模式図。
【
図7】第1実施形態における両面印刷の第1面において媒体の後端の切断後にロール体の先端が待機位置に戻った状態を示す模式断面図。
【
図8】両面印刷の第2面において媒体の挟持状態を示す模式断面図。
【
図9】媒体における両面印刷の第2面印刷後の先端余白と印刷領域と後端余白とを示す模式図。
【
図10】両面印刷の第2面において媒体の先端余白の切断状態を示す模式断面図。
【
図11】プリンターから出力された印刷物と収容部に収納された切断片とを示す模式図。
【
図12】両面印刷の第2面において媒体の切断片が細断する細断位置に停止した示す模式断面図。
【
図13】両面印刷の第2面において媒体の先端余白の細断後に下流側の細断片が落下する状態を示す模式断面図。
【
図14】両面印刷の第2面において媒体の先端余白の細断後に上流側の細断片が落下する状態を示す模式断面図。
【
図15】両面印刷の第2面において媒体の後端の切断状態を示す模式断面図。
【
図16】両面印刷の第2面において媒体の後端余白の細断後に下流側の細断片が落下する状態を示す模式断面図。
【
図17】両面印刷の第2面において媒体の後端余白の細断後に上流側の細断片が落下する状態を示す模式断面図。
【
図18】印刷物が筐体部の外に出力された状態を示す模式断面図。
【
図19】両面印刷における制御の流れを示すフローチャート。
【
図20】第2実施形態におけるプリンターが動作を開始する前の媒体の待機状態を示す模式断面図。
【
図21】第2実施形態における両面印刷の第1面において媒体の挟持状態を示す模式断面図。
【
図22】第2実施形態における両面印刷の第1面において媒体の後端の切断後にロール体の先端が待機位置に戻った状態を示す模式断面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図面では、プリンター11が水平面上に置かれるものとして重力の方向をZ軸で示し、Z軸と交差する面に沿う方向をX軸及びY軸で示す。X軸、Y軸、及びZ軸は、好ましくは互いに直交し、X軸とY軸は、水平面に沿う。以下の説明では、X軸方向を幅方向X、Y軸方向を奥行き方向Y、Z軸方向を鉛直方向Zともいう。
【0009】
(第1実施形態)
以下、プリンターの第1実施形態について図面を参照して説明する。
図1に示すように、本実施形態のプリンター11は、略矩形箱状の筐体部12を備えている。筐体部12は、第1収容部13と、第1収容部13の鉛直方向Zにおける-Z側に配置された第2収容部14と、第1収容部13の後側に配置された第3収容部15とを備える。
【0010】
筐体部12には、第1収容部13の幅方向Xにおける中央付近に形成された開口部25を通じて、引き出しユニット16が引き出し可能に収容される。引き出しユニット16は、筐体部12への収容時に、本実施形態では前面である外面が露出する前板部35を有する。
【0011】
筐体部12に収容された引き出しユニット16の前板部35の鉛直方向Zにおける-Z方向に、前板部35と並ぶ位置であって、前板部35の上方となる位置には、収容容器17が着脱可能に取り付けられる。収容容器17は、筐体部12への取り付け時に開口部25を覆う外壁部26と、外壁部26との間に収容部28を形成する内壁部27とを有する。収容容器17の筐体部12への取り付け時に、内壁部27は筐体部12内に配置される。
【0012】
引き出しユニット16は、筐体部12からの引き出し時に手を掛けることができるように、前板部35の内面側に配置された手掛部38を有する。手掛部38は、例えば前板部35の幅方向Xにおける-X側に形成された凹部である。
【0013】
収容容器17は、筐体部12への取り付け時に、筐体部12に収容された引き出しユニット16の手掛部38を覆う一方、筐体部12から取り外されることで筐体部12に収容された引き出しユニット16の手掛部38を露出させる。
【0014】
収容容器17の取り付け時に、開口部25は外壁部26及び前板部35によって覆われる。収容容器17の外壁部26及び引き出しユニット16の前板部35は、プリンター11の筐体として機能する。
【0015】
外壁部26と前板部35とは、鉛直方向Z及び引き出しユニット16の奥行き方向Yにおける-Y側である引き出し方向D1の双方と交差する幅方向Xにおける長さが等しい。また、外壁部26は、前板部35よりも鉛直方向Zにおける長さが長い。
【0016】
図1に示すように、収容容器17の内壁部27は、幅方向Xの両端側において外壁部26と接合される一対の側壁30と、外壁部26の上端部との間に受容口29を形成する略矩形板状の内壁31と、内壁31の下端側から下方に向けて外壁部26に近接する方向に湾曲する湾曲壁32と、外壁部26の下端部と接合される底壁39とを有する。また、収容容器17は、内壁31の幅方向Xにおける両端側に取り付けられた一対の金属片34を有する。
【0017】
収容容器17は、底壁39の幅方向Xにおける両端側に、下方に向けて突出する一対の係合凸部33を有する。一方、引き出しユニット16の前板部35は、幅方向Xの両端側となる位置に、上方に向けて開口する一対の支持凹部36を有する。収容容器17は、筐体部12への取り付け時に、係合凸部33が支持凹部36に係合した状態で、前板部35に支持される。
【0018】
引き出しユニット16は、前板部35との間に挿入口44を形成する経路形成部材45を支持する。経路形成部材45は、幅方向Xにおける+X側から-X側に向けて延びるガイド孔46を有する。挿入口44の奥にある搬送ローラー対51の手前には、媒体Pの先端を検知すると、搬送ローラー対51を微小量回転させることによって、搬送ローラー対51によって媒体Pの先端を引き込んで媒体Pの先端がニップされるための第1センサー71を有する。
【0019】
経路形成部材45は、ガイド孔46に沿って幅方向Xに移動可能な位置決め部材47を支持する。位置決め部材47は、ガイド孔46よりも引き出し方向D1に突出した突部を有する。なお、引き出しユニット16において、手掛部38は位置決め部材47の突部の可動範囲よりも幅方向Xの-X側に配置される。
【0020】
ユーザーが、収容容器17を筐体部12から取り外して、手掛部38に手を掛けて引き出しユニット16を引き出し方向D1に引き出すと、引き出しユニット16が有する一対の側壁部43が筐体部12の外側に出てくる。側壁部43は、例えば用紙のようなシート状の媒体Pが円筒状に巻き重ねられたロール体RPを回転可能な状態で支持する。なお、前板部35は、筐体部12からの引き出し方向D1においてロール体RP及び側壁部43よりも前方に位置する。また、本実施形態では、円筒状に巻き回された媒体Pをロール体RPと称する。
【0021】
引き出しユニット16には、巻き数や幅方向Xにおける長さである幅が異なる複数のロール体RPのうちの1つが、幅方向Xの-X側に位置合わせされた状態で、交換可能に装填される。そして幅方向Xにおけるガイド孔46の長さ及び位置決め部材47の可動範囲は、引き出しユニット16に装填可能なロール体RPの最小幅に応じて設定される。
【0022】
図1に示すように、第1収容部13の幅方向Xにおける両端側には、開閉カバー18が回動可能に取り付けられる。開閉カバー18は下端側に設けられた回動軸19を中心に上端側が回動することで、
図1に示す閉位置と、上端部が前方へ回動して内部が露出する開位置とに配置される。そして開閉カバー18が開位置に配置されると、液体の一例としてのインクを収容する不図示のインクカートリッジが着脱可能に装着される不図示のカートリッジホルダーが露出する。
【0023】
第2収容部14の前側には、収容容器17及び開閉カバー18の上方となる位置に、筐体部12を構成するフレーム部材20が配置される。フレーム部材20の幅方向Xにおける中央付近には、斜め下方に向けて開口する排出口21が形成される。フレーム部材20において排出口21の下方には、下端側から排出口21側となる上方に向けて内側に凹むように湾曲した案内部22が形成される。また、フレーム部材20には、案内部22の下方であって、案内部22よりも筐体部12の内奥側となる位置に、一対の磁石37が取り付けられる。
【0024】
引き出しユニット16が筐体部12に収容されて、収容容器17が筐体部12へ取り付けられるときは、下端側に形成された係合凸部33が引き出しユニット16の支持凹部36に係合され、その後、係合凸部33を支点として収容容器17の上端側をフレーム部材20側に向けて傾動される。すると、収容容器17は係合凸部33を介して前板部35に支持されると同時に、金属片34が磁石37に引き寄せられることで、受容口29が鉛直方向Zにおける-Z側を向いた自立状態が保持される。
【0025】
案内部22の下端部には、幅方向Xにおける中央付近に、下方及び前方に向けて開口する下端側凹部23が形成される。そして収容容器17が筐体部12に取り付けられた場合には、下端側凹部23を通じて外壁部26の上端部が露出する。
【0026】
フレーム部材20には、幅方向Xにおける両端側に、下端側に向かうほど筐体部12の内側に向けて凹むように、前方及び収容容器17側となる内方に向けて開口する一対の凹み部24が形成される。そして凹み部24を通じて、筐体部12に取り付けられた収容容器17の幅方向Xにおける両端側及び閉位置にある開閉カバー18の上端部が露出する。
【0027】
図2に示すように、プリンター11は第1収容部13内に、収納されるロール状に巻き回された状態から繰り出された媒体Pの先端部を、第2収容部14内へ搬送する繰出部41を有する。繰出部41は、搬送ローラー対51,52,57のローラー群と、ロール体RPから第1収容部13の搬出口42までの搬送路49における複数の搬送面50とを備える。搬送ローラー対51,52,57は、同期して回転し、正逆の両方向に回転が可能な構成となっている。すなわち、長尺状の媒体Pがロール体RPから繰り出されることと、繰り出された長尺状の媒体Pがロール体RPへ巻き戻されることの両方が可能な構成となっている。以下、「長尺状の媒体P」を「媒体P」と記載することもある。
【0028】
第1収容部13が有する引き出しユニット16は、ロール体RPから繰り出された媒体Pを第2収容部14側に向かう搬送方向に搬送する搬送ローラー対51,52,57を保持する。なお、前板部35及び搬送ローラー対51,52は、ロール体RPの回転中心CRよりも鉛直方向Zにおいて下方に配置される。
【0029】
図2に示すように、プリンター11は第2収容部14内に、媒体Pを搬送する搬送部48と、液体の一例であるインクを噴射することで搬送される媒体Pを印刷する印刷部54と、筐体部12内において印刷部54によって印刷された媒体Pを切断する切断部56と、搬送部48と印刷部54と切断部56とを制御する制御部53とを備える。本実施形態における印刷部54はインクジェットヘッドである。
【0030】
搬送部48は、ロール状に巻き回された状態から繰り出された媒体Pを搬送方向D3に搬送する。搬送部48は、第2挟持ローラー対58、第1挟持ローラー対59、搬送ローラー対60、中間ローラー61、ピンチローラー67,68,69、排出ローラー対62のローラー群と、第2収容部14の搬入口40から排出口21までの搬送路49における複数の搬送面50とを備える。
【0031】
第1収容部13内と第2収容部14内において、搬送面50は搬送路49の両側に配置され、搬送面50の角度は搬送路49の位置に応じて変化する。搬送路49に沿う方向であり、媒体Pが印刷されるときに媒体Pが搬送される方向を搬送方向D3ともいう。搬送方向D3は、媒体Pが搬送路49に沿って搬送される方向であり、搬送路49上の位置に応じて変化する。
【0032】
ロール状に巻き回された状態のから繰り出される媒体Pは搬送され、媒体Pが排出される排出口21に向かう。媒体Pが搬送される搬送路49において、排出口21からロール体RPに向かう方向を上流に向かう方向、ロール体RPから排出口21に向かう方向を下流に向かう方向という。
【0033】
第2挟持ローラー対58、第1挟持ローラー対59、搬送ローラー対60は、同期して回転し、正逆の両方向に回転する。すなわち、媒体Pが印刷されるときに媒体Pが下流側に送られることと、印刷された媒体Pが上流側に送られることとの両方が可能な構成となっている。
【0034】
本実施形態において、第2挟持ローラー対58は、第2挟持ローラー58aを有する。第2挟持ローラー58aは、第2挟持ローラー対58を構成する他方のローラーとの間に媒体Pを挟持する。第1挟持ローラー対59は、第1挟持ローラー59aを有する。第1挟持ローラー59aは、第1挟持ローラー59aを構成する他方のローラーとの間に媒体Pを挟持する。搬送ローラー対60は、搬送ローラー60aを有する。搬送ローラー60aは、搬送ローラー対60を構成する他方のローラーとの間に媒体Pを挟持する。なお、本実施形態において、第2挟持ローラー58a、第1挟持ローラー59a、及び搬送ローラー60aは、それぞれローラーとの間に媒体Pを挟持するが、搬送面50との間に媒体Pを挟持する構成であってもよい。
【0035】
一方、中間ローラー61は、第2挟持ローラー対58、第1挟持ローラー対59、搬送ローラー対60とは別に、単独で正逆の両方向に回転する。すなわち、ロール体RPから繰り出された媒体Pや後述する単票紙CPが印刷されるときは、媒体Pや後述する単票紙CPは中間ローラー61の周りを反時計方向に搬送される。そしてロール体RPから繰り出された媒体Pがロール体RPに巻き戻されるときは、媒体Pは中間ローラー61の周りを時計方向に搬送される。そのため、第2挟持ローラー対58上流の分岐路70においては、後述する単票紙CPが下流より搬送されるときにその先端が中間ローラー61の下方側のスイッチバック搬送路55に搬送される形状に、分岐路70の搬送面50の形状が構成される。
【0036】
図2に示すように、プリンター11は、印刷部54と、支持部65と、を備える。印刷部54は、幅方向Xに往復移動可能なキャリッジ63と、キャリッジ63の下部に配置された液体噴射部64とを有する。支持部65は、搬送部48に搬送される媒体Pを支持する。
【0037】
液体噴射部64は液体を噴射する複数のノズルを有し、
図2には複数のノズルのうち、最上流ノズル64aと最下流ノズル64bの位置が示される。ノズル面64cとは液体噴射部64においてノズルが配置される面のうち、最上流ノズル64aから最下流ノズル64bまでの
図2に示すノズル間距離L3の範囲の面をいう。印刷部54は、幅方向Xに往復移動することによって、搬送部48に搬送される媒体Pにノズル面64cが対向しない位置に移動可能な構成となっている。
【0038】
印刷部54は、長尺状の媒体Pが巻き回されたロール体RPから繰り出された長尺状の媒体Pに対して印刷を行う。プリンター11は、媒体Pの第1面だけに印刷を行って第1面だけが印刷された印刷物を出力する片面印刷と、媒体Pの第1面とその反対面の第2面とに印刷を行って第1面と第2面とが印刷された印刷物を出力する両面印刷と、を実行可能に構成される。なお、本実施形態においては、搬送方向D3のうち媒体Pに印刷が行われるときの媒体Pに印刷が行われる部分の搬送方向D3は、Y軸に平行である。
【0039】
媒体Pは基材とインク受容層との複層構造で構成される。本実施形態の媒体Pは第1面および第2面にインク受容層を有する。インク受容層とは、インクジェット記録用媒体において、インクを吸収し、染料、顔料などの色材を定着させるために基材上に形成されるコーティング層である。なお、媒体Pは、片側の面のみにインク受容層を有する構成であってもよい。媒体Pがインク受容層を有する場合、媒体Pが曲げられる方向や当該曲げの程度に一定の制約が生じる。このため、両面印刷が行われる場合であっても、片側の面のみにインク受容層を有する媒体Pが用いられても良い。
【0040】
媒体Pの先端は、下流側の端部である。また、媒体Pの後端は、上流側の端部である。したがって、後述する単票紙CP、切断片WP、細断片SPにおいても、下流側の端部が先端であり、上流側の端部が後端である。
【0041】
図2に示すように、プリンター11は、第2挟持ローラー対58と印刷部54が有する液体噴射部64との間の位置であって、かつ第2挟持ローラー対58の近傍に、媒体Pや後述する単票紙CPの通過を検知する第2センサー73を有する。第2センサー73が第2挟持ローラー対58の近傍に配置されることによって、媒体Pのカールによる影響が少ない状態において、第2センサー73が媒体Pの先端が通過することを検知する。制御部53は第2センサー73の検知結果に応じて搬送部48を制御する。
【0042】
本実施形態においては、制御部53が、媒体Pの第1面を印刷部54に印刷させ、第1面が印刷された媒体Pの第2面を印刷部54に印刷させる両面印刷を行うとき、第1面が外周面であり、第2面が内周面である。すなわち制御部53は、先端が印刷開始位置P1に位置する媒体Pまたは後述する単票紙CPに対して、外周面印刷として、印刷部54に第1面を印刷させ、内周面印刷として、第1面を印刷させる。
【0043】
プリンター11が第1面の印刷を開始するとき、印刷部54は、搬送部48に搬送される媒体Pにノズル面64cが対向しない位置にある。本実施形態においては、第1面の印刷として、ロール体RPの外側に位置する外周面を印刷する。媒体Pが支持部65に支持されるとき、ロール体RPの外周面である媒体Pの第1面は、鉛直方向Zにおいて上方に面する。換言すれば、支持部65に支持される媒体Pの第1面は、印刷部54側に面する。したがって、印刷部54が、ノズル面64cが媒体Pに対向する位置にあるとき、ロール体RPの第1面がノズル面64cに対向する。すなわち、媒体Pの端部はロール体RPの巻き癖によって支持部65側にカールしようとする。
【0044】
図3に示すように、制御部53は、第1面の印刷を開始する前に、媒体Pの先端を印刷開始位置P1に位置させる。印刷開始位置P1は、搬送方向D3においてノズル面64cの最下流ノズル64bと対向する位置より下流にある。なお、
図3に示す搬送路49における実線部分は実際に媒体Pが存在する部分を示し、二点鎖線部分は実際には媒体Pが存在しない、媒体Pが通る経路を示す。
【0045】
より詳細には、第2センサー73が媒体Pの先端の通過を検知する被検出位置と、印刷開始位置P1との間の長さに対応する搬送量Mが予め設定される。制御部53は、第2センサー73が媒体Pの先端の通過を検知してから、設定された搬送量M分、媒体Pを搬送する。これにより、媒体Pの先端が印刷開始位置P1に搬送される。
【0046】
第2センサー73が媒体Pの先端の通過を検知したときの、第2挟持ローラー対58より下流の媒体Pの長さは、媒体Pのカールの向きや媒体Pのカールの量によって、変動する。そのため、制御部53が、第2センサー73により媒体Pの先端の通過が検知されてから、搬送量M分、媒体Pを搬送するとき、媒体Pのカールの向きや媒体Pのカールの量によって、搬送量M分の搬送が完了したときの媒体Pの先端の位置が異なる。したがって、搬送量Mは、媒体Pのカールの向きや媒体Pのカールの量によらず、媒体Pの先端が印刷開始位置P1に位置するような搬送量Mに設定されることが好ましい。
【0047】
なお、制御部53は、媒体Pの先端が印刷開始位置P1に位置した後に印刷部54に媒体を印刷させるように、受信した印刷画像データを展開する。より詳細には、受信した印刷画像データに基づく印刷画像領域内に含まれる余白に応じて、当該印刷画像データを展開する位置を変更することが好ましい。例えば、印刷画像領域内の先端側の余白長が、最上流ノズル64aと印刷開始位置P1との間の長さ以上である場合には、媒体Pの先端を基準にして印刷画像データを展開する。そして、当該余白長が最上流ノズル64aと印刷開始位置P1との間の長さより短い場合には、媒体Pの先端より上流の位置を基準として、印刷画像データを展開する、という制御が可能である。
【0048】
第2挟持ローラー対58は、媒体Pが搬送される搬送方向D3において、印刷部54よりも上流の第2挟持位置で媒体Pを挟持する。そして第1挟持ローラー対59は、媒体Pが搬送される搬送方向D3において、印刷部54よりも下流の第1挟持位置で媒体Pを挟持する。
【0049】
図3に示すように、本実施形態においては、印刷開始位置P1は、搬送方向D3において、第1挟持ローラー対59によって媒体Pが挟持される第1挟持位置よりも下流の位置である。したがって、印刷部54による印刷が開始される前に、媒体Pは第1挟持ローラー対59により挟持され、かつ、第2挟持ローラー対58によって挟持される状態である挟持状態になる。制御部53は媒体Pが挟持状態のときに、印刷部54による媒体Pの第1面の印刷を開始する。なお、本実施形態では、印刷が開始されるときの媒体Pの先端位置である印刷開始位置P1が、第1挟持位置よりも下流の位置であるが、最下流ノズル64bに対向する位置より下流で第1挟持位置よりも上流の位置であってもよい。
【0050】
プリンター11は、印刷部54よりも下流の位置にヒーター72を備えてもよい。ヒーター72は例えば赤外線ヒーターである。プリンター11は、液体がその表面に噴射されることによって印刷されて含水率が上昇した媒体Pの表面を、発熱部材から赤外線等の熱である輻射熱を発する赤外線ヒーターによって乾燥させる。本実施形態においては、ヒーター72は第1挟持ローラー対59と搬送ローラー対60との間に設けられる。
【0051】
図4は、媒体Pの第1面が印刷された後の、媒体P上の印刷領域と余白とを示す。
図4に示すように、媒体Pの第1面には、基準端96から第1印刷領域91までの間の部分に、先端余白86がある。なお、本実施形態において、基準端96は、ロール体RPから巻き解かれた長尺状の媒体Pの先端である。また、基準端96は、前回の、印刷物OPが出力される動作において、ロール体RPから後述する単票紙CPが切断されたときに形成されたロール体RPの先端の端部のことをいう。
【0052】
第1印刷領域91は、第1端81と、第2端82と、を有する。第1端81は、第1面が印刷されるときの上流端である。第2端82は、第1面が印刷されるときの下流端である。制御部53は、第1面の印刷として、印刷部54に、第2端82が媒体Pの基準端96から離間した位置にある第1印刷領域91を形成させる。
【0053】
第1面の印刷における先端である基準端96は、第2面の印刷における媒体Pの後端である。制御部53は、第2端82と基準端96との距離が、ノズル間距離L3より大きくなるように、印刷部54に第1印刷領域91を形成させる。また、制御部53は、第2端82と基準端96との距離が、搬送方向D3における第2挟持ローラー対58の位置と最下流ノズル64bとの距離より大きくなるように、印刷部54に第1印刷領域91を形成させてもよい。
【0054】
図5に示すように、切断部56は、固定刃である下刃と、可動刃である上刃とで構成される。固定刃である下刃は、その先端が搬送路49における+Z側の搬送面50の位置よりも+Z側となる位置に固定される。可動刃である上刃は、その先端が下刃の先端よりも+Z側に位置し、幅方向Xに移動する。幅方向Xにおいて、可動刃が搬送路49から外れた退避位置にあるとき、媒体Pは下刃の-Z側を通過する。制御部53は、媒体Pが下刃の-Z側に位置する状態で、可動刃である上刃を移動させて媒体Pを切断する。
【0055】
より詳細には、制御部53は、
図6に示される媒体P上の被切断位置97を下刃の-Z側に位置させた状態で、可動刃である上刃を幅方向Xに移動する。切断部56は、可動刃が幅方向Xに沿う+X方向に移動するときも、-X方向に移動するときも、前記媒体Pを切断する構成である。なお、本実施形態においては、可動刃である上刃が幅方向Xに走査する構成であるが、可動刃である上刃が媒体Pよりも-Z側の位置から、下刃の先端よりも+Z側の位置に移動する構成であっても良い。
【0056】
排出ローラー対62と排出口21とは、切断部56の下流に配置される。排出ローラー対62は他のローラー対を駆動する駆動源から独立した搬送モーターによって駆動されるため、排出ローラー対62は単独で正逆の両方向に回転し停止する。
【0057】
図6に示す単票紙CPは、印刷部54による印刷が行われた媒体Pが切断部56により切断されたときに、ロール体RPから切り離される部分である。すなわち単票紙CPは媒体Pに含まれる。よって、以下、単票紙CPを「媒体P」と読み替えてもよい。
【0058】
第1面の印刷における先端である基準端96は、第2面の印刷における単票紙CPの後端となる。
制御部53は、印刷部54に媒体Pの第1面を印刷させた後に、印刷部54によって第1面に形成された第1印刷領域91の上流端である第1端81よりも上流に位置する被切断位置97で、切断部56に媒体Pを切断させる。これにより、被切断位置97である単票紙CPの後端と第1端81とが離間するため、単票紙CPに後端余白87が形成される。すなわち、媒体Pの第1面上の、第1端81と被切断位置97との間の領域が後端余白である。
【0059】
より詳細には、本実施形態においては、制御部53が印刷部54に、搬送方向D3において第1印刷領域91と同じ位置に第2印刷領域92を形成させる媒体Pの第2面の印刷を開始させるときに、搬送方向D3において媒体Pの先端が第1挟持位置よりも下流の位置となるように、後端余白87が形成される。
【0060】
なお、本実施形態では、第2面の印刷が開始されるときの媒体Pの先端は、第1挟持位置よりも下流に位置するが、最下流ノズル64bに対向する位置より下流で第1挟持位置よりも上流に位置してもよい。制御部53が印刷部54に媒体Pの第2面の印刷を開始させるときに、搬送方向D3において媒体Pの先端が最下流ノズル64bと対向する位置よりも下流の位置となるように、後端余白87が形成されてもよい。
【0061】
図7は、切断部56による被切断位置97での切断が行われた後の媒体Pの状態を示す。
図7に示すように、切断部56による切断が行われた後の媒体Pのうち、ロール体RPを含む部分は、中間ローラー61の周りを時計方向に搬送され、搬送ローラー対57に挟持される位置であって、その先端が第1収容部13内に収納される位置まで、ロール体RPに巻き戻される。
【0062】
制御部53は、両面印刷において、媒体Pが被切断位置97で切断された後に、ロール体RPから切り離された単票紙CPを、排出ローラー対62により、上流側に搬送する。そして単票紙CPは、搬送ローラー対60と、第1挟持ローラー対59と、第2挟持ローラー対58とによって、単票紙CPの表裏を反転させる中間ローラー61に向かって搬送される。
【0063】
図8は、被切断位置97が、後述する印刷開始位置P2に位置する状態を示す。本実施形態では、第2挟持ローラー対58から中間ローラー61の周りを経由して再度第2挟持ローラー対58まで至る搬送経路の長さよりも、単票紙CPの搬送方向D3の長さが短くなるように、切断部56が媒体Pを切断する。これにより、第2挟持ローラー対58は、単票紙CPを上流側に搬送することと、中間ローラー61で反転された単票紙CPを下流側に搬送することと、が可能である。
【0064】
上流側に搬送された単票紙CPは、スイッチバック搬送路55を搬送され、中間ローラー61とピンチローラー67,68,69とによって挟持されて、中間ローラー61の周りを反時計回りに搬送される。すなわち、中間ローラー61によって単票紙CPは表裏が反転され、第1面が印刷されるときに先端であった基準端96を後端として、被切断位置97を先端として、単票紙CPが搬送される。中間ローラー61によって反転された単票紙CPは、第2面が鉛直方向Zにおいて上方に面する状態で、換言すれば、第2面が印刷部54側に面する状態で搬送される。本実施形態においては、制御部53は、第2面の印刷として、ロール体RPにおいて内側に位置する内周面の印刷を行う。
【0065】
制御部53は、搬送部48を制御して、単票紙CPの先端である被切断位置97を印刷開始位置P2に位置させる。
図8に示すように、印刷開始位置P2は、搬送方向D3において、第1挟持ローラー対59によって媒体Pが挟持される第1挟持位置より下流にある。制御部53は、第1面を印刷するときに、基準端96を印刷開始位置P1に位置させるのと同様の制御で、被切断位置97を印刷開始位置P2に位置させる。より詳細には、第2センサー73が単票紙CPの被切断位置97の通過を検知してから、設定された搬送量分、単票紙CPを搬送することにより、被切断位置97を印刷開始位置P2に位置させる。制御部53は、被切断位置97が印刷開始位置P2に位置する単票紙CPに対して、第2面の印刷を開始する。このとき、単票紙CPは第2挟持ローラー対58に挟持され、第2挟持ローラー対58によって搬送される。したがって、制御部53は、単票紙CPが、第1挟持ローラー対59によって挟持され、かつ、第2挟持ローラー対58によって挟持される挟持状態のときに、第2面の印刷を開始する。単票紙CPの第2面の印刷によって、単票紙CPに
図9に示す第2印刷領域92が形成される。
【0066】
図9に示される後端余白87は、被切断位置97と第1端81との間の領域である。したがって、被切断位置97の位置によって、後端余白87の搬送方向D3における寸法である余白距離87aは、搬送方向D3における第1端81と被切断位置97との距離である。本実施形態においては、余白距離87aが、第1挟持ローラー対59が単票紙CPを挟持する位置と印刷部54の最上流ノズル64aとの搬送方向D3における搬送方向距離である
図8に示す最上流ノズル距離L1よりも大きくなるように、媒体P上の被切断位置97の位置が設定される。
【0067】
図9に示される後端余白87は、被切断位置97と第1端81との間の領域である。したがって、後端余白87の搬送方向D3における寸法である余白距離87aは、搬送方向D3における第1端と被切断位置97との距離である。第2面の印刷において、制御部53は印刷部54に第2印刷領域92を形成させる。第1印刷領域91が形成されてから第2印刷領域が形成されるまでの間に、単票紙CPは、搬送方向D3において反転される。このため、第2面の印刷において単票紙CPの先端である被切断位置97と第2印刷領域92との間の先端余白88は、後端余白87に対応する位置に位置する。同様に、第2面の印刷において単票紙CPの後端である基準端96と第2印刷領域92との間の後端余白89は、先端余白86に対応する位置に位置する。本実施形態においては、余白距離87aが、第1挟持ローラー対59が単票紙CPを挟持する位置と印刷部54の最上流ノズル64aとの搬送方向D3における搬送方向距離である
図8に示す最上流ノズル距離L1よりも大きくなるように、媒体P上の被切断位置97の位置が設定される。
【0068】
なお、本実施形態では、印刷開始位置P2が、第1挟持位置よりも下流の位置であるが、最下流ノズル64bに対向する位置より下流で第1挟持位置よりも上流の位置であってもよい。
【0069】
より詳細には、前述した被切断位置97の設定によって、印刷開始位置P2が設定される範囲が限定される。まず、第1端81の位置と媒体の表裏で対応する位置に第2印刷領域92の第4端84が形成される場合に、余白距離87aと被切断位置97と第4端84との搬送方向D3における距離である余白距離88aとは同じになる。余白距離88aが
図8に示す最上流ノズル距離L1よりも大きい場合、制御部53が被切断位置97を第1挟持位置より下流に搬送しても、第1端81が、搬送方向D3において最上流ノズル64aに対向する位置より上流に位置する。このため、ノズル面64cに設けられるいずれのノズルから、第4端84を形成するための液体が噴射される場合であっても、第1端81の位置と表裏で対応する位置に、第4端84を形成することができる。したがって、ノズル面64cのいずれのノズルによって第4端84を形成するための液体が噴射される場合であっても、印刷開始位置P2を第1挟持位置より下流に設定することができる。
【0070】
また、余白距離88aが、最上流ノズル64aと最下流ノズル64bとの搬送方向距離である
図8に示すノズル間距離L3よりも大きい場合、制御部53が被切断位置97を最下流ノズル64bに対向する位置より下流に搬送しても、第1端81が最上流ノズル64aに対向する位置より上流に位置する。このため、
図8に示す最下流ノズル64bから
図8に示す最上流ノズル64aまでのどのノズルから液体が噴射されて第4端84が形成される場合にも、第1端81の位置と媒体の表裏で対応する位置に、第4端84を形成することができる。したがって、ノズル面64cの何れのノズルによって第4端84を形成するための液体が噴射される場合であっても、印刷開始位置P2を搬送方向D3において最下流ノズル64bに対向する位置よりも下流に設定することができる。
【0071】
そして、単票紙CPの第2印刷領域92の第4端84から第2面の印刷が開始されるときに、制御部53は、余白距離88aと余白距離87aとが同じ距離となるように第2面の印刷開始位置P2を設定する。
【0072】
本実施形態における第2面の印刷においては、媒体Pの端部はロール体RPの巻き癖によって液体噴射部64側にカールしており、Z方向の変形量が最も大きいのは媒体Pの先端と後端である。第2面の印刷における媒体Pの先端は、第1面の印刷における
図9に示す被切断位置97である。
【0073】
プリンター11が第2面の印刷を開始するとき、印刷部54は、搬送部48に搬送される媒体Pにノズル面64cが対向しない位置にある。本実施形態においては、第2面の印刷として、ロール体RPの内側の面である内周面の印刷を行う。媒体Pが支持部65に支持されるとき、ロール体RPの内周面は鉛直方向Zにおいて上方に面する。換言すれば、支持部65に支持される媒体Pの第2面は、印刷部54側に面する。したがって、印刷部54が、ノズル面64cが媒体Pに対向する位置にあるとき、第1面の印刷が行われた後の第2面がノズル面64cに対向する。
【0074】
本実施形態においては、第1面の印刷において、制御部53は、第2端82と基準端96との距離が、搬送方向D3における第2挟持ローラー対58の位置と最下流ノズル64bとの距離よりも大きくなるように、第1印刷領域91を形成する。そして第2面の印刷において、印刷部54より下流で第1挟持ローラー対59によって挟持され、かつ、印刷部54より上流で第2挟持ローラー対58によって挟持された状態の媒体Pに対して、制御部53は印刷部54による第2面の印刷を終了する。
【0075】
また、第2端82と基準端96との距離は、ノズル間距離L3よりも大きい。そのときは、第2面の印刷において、媒体Pの基準端96である後端位置が搬送方向D3において最上流ノズル64aよりも上流に位置する状態で、制御部53が印刷部54に、第2面の印刷を終了させる。
【0076】
図10は、切断部56によって、第1端81で単票紙CPが切断された状態を示す。本実施形態において、
図10で切断される単票紙CPは、第2面の印刷が完了した単票紙CPである。
【0077】
本実施形態においては、単票紙CPの先端余白88と後端余白89はこの順に切り離される。制御部53は、印刷部54に単票紙CPの第2面を印刷させた後に、切断部56に単票紙CPを、第1端81で切断させ、更に第1印刷領域91の第1端81と搬送方向D3に第1印刷領域91を挟んで反対側に位置する第2端82で切断させる。
【0078】
図11は、切断部56による切断が行われた単票紙CPを示す。
図11に示すように、制御部53は、切断部56に、第1端81と第2端82とで、単票紙CPを切断させる。切断された後の単票紙CPを切断片WPと称する。切断部56が第1端81で単票紙CPを切断することで、第1印刷領域91が形成された部分から後端余白87に相当する切断片WPが切り離される。また、切断部56が第2端82で単票紙CPを切断することで、第1印刷領域91が形成された部分から先端余白86に相当する切断片WPが切り離される。
【0079】
本実施形態においては、切断部56によって、単票紙CPの
図11に示す後端余白87に相当する切断片WPは一度に切り離される。後端余白87に相当する切断片WPが切り離された後、当該切断片WPを挟持する排出ローラー対62に対して独立して駆動される搬送ローラー対60によって、第1印刷領域91を含む切断片WPだけが上流に搬送される。これにより、搬送方向D3において、後端余白87に相当する切断片WPに対して、第1印刷領域91を含む切断片WPが離される。後述する切断片WPを切断する動作などで切断片WPが上流に搬送される場合に、後端余白87に相当する切断片WPによって第1印刷領域91を含む切断片WPの端部が変形する虞が低減される。
【0080】
切断片WPがさらに細断されたものを細断片SPという。切断片WPおよび細断片SPは媒体Pに含まれる。よって以下、切断片WPと記載したときは「媒体P」と読み替えてもよいし、細断片SPと記載したときも「媒体P」と読み替えてもよい。
【0081】
図12に示すように、
図11に示す先端余白88はさらに細断されてもよい。本実施形態においては、単票紙CPの
図11に示す先端余白88が切り離された後に、制御部53は、
図11に示す切断片WPとなった先端余白88を、切断部56に細断させる。すなわち、制御部53は、被切断位置97と第1端81との間で、媒体Pを切断させる。被切断位置97は、先端余白88が切断される前の単票紙CPの搬送方向D3の下流側の端部である。制御部53は、切断部56に複数回の切断で切断片WPを細断させてもよい。
【0082】
図11に示す後端余白87は細断されてもよい。
図12に示すように、本実施形態においては、後端余白87に相当する切断片WPが切り離された後に、制御部53は、当該切断片WPの端部である被切断位置97と第1端81との間の位置で、切断部56に、切断片WPを切断させる。このように、第1印刷領域91を含む切断片WPから切り離された後端余白87としての切断片WPが、被切断位置97と第1端81との間の位置で切断されることによって、後端余白87が細断される。なお、被切断位置97と第1端81との間の位置で媒体Pが切断されることにより切り離される部分のうち第1印刷領域91が形成されていない部分を細断片SPと称する。また、後端余白87が細断される時、切断部56は、被切断位置97と第1端81との間の複数の位置で切断片WPを切断してもよい。
【0083】
なお、後端余白87の細断として、第1端81で単票紙CPが切断される前に、切断部56が、被切断位置97と第1端81との間の位置で単票紙CPを切断する構成であってもよい。この場合においても、切断部56は、被切断位置97と第1端81との間の複数の位置で、単票紙CPを切断してもよい。
【0084】
図13に示すように、本実施形態においては、制御部53は、搬送ローラー対60と排出ローラー対62とによって後端余白87に相当する切断片WPが把持された状態で切断部56に切断片WPを切断させることにより、後端余白87を細断する。そして搬送ローラー対60によって細断片SPが、切断部56の上流側から下流側へ搬送される。
【0085】
図13に示すように、プリンター11は、単票紙CPが切断されることによって生じる切断屑としての切断片WPを収容する収容部28を備える。切断部56が、単票紙CPの先端余白86と後端余白87とを切り離すことで、切断片WPが切断屑として下方に落下する。このとき、切断部56の下方には、収容容器17の受容口29及び収容部28が配置されている。そのため、収容容器17は、切断部56による媒体Pの切断に伴って生じる切断片WPの収容が可能な構成となっている。なお、収容容器17に収容される切断屑に、後端余白87や先端余白86が細断される場合に生じる細断片SPが含まれる。
【0086】
切断片WPや細断片SPは、その自重によって落下して収容容器17に収容されることが好ましいが、可動刃と排出ローラー対62とを制御して、切断片WPと細断片SPを収容容器17へ誘導させる構成であっても良い。例えば、可動刃である上刃が、幅方向Xにおいて媒体Pが通過する領域に位置した状態で、排出ローラー対62が逆転することによって、排出ローラー対62に挟持された細断片SPが上流に搬送されるときに、細断片SPが収容容器17内に落下する。排出ローラー対62は鉛直方向Zに対して角度を有してニップする構成となっている。そのため、排出ローラー対62が挟持された細断片SPを上流に搬送して収容容器17内に落下させるときに、細断片SPの上流端が切断位置にある上刃の表面に対して斜め上方より当たる。それによって、細断片SPが上刃の表面に沿って下方に落下する。可動刃より上流に位置する細断片SPについても、可動刃を退避位置に位置させた状態で、当該細断片SPを可動刃より下流に搬送した後に、同様の制御を行うことで、収容容器17に細断片SPを誘導させることができる。
【0087】
制御部53は、切断部56に、被切断位置97と第1端81との間の位置で単票紙CPを切断させた後に、基準端96と第2端82との間の位置で単票紙CPを切断させる。すなわち、後端余白87に相当する切断片WPが切り離された後に、先端余白86に相当する切断片WPが切り離される。
【0088】
図11に示すように、本実施形態においては、単票紙CPの先端余白86に相当する切断片WPは一度に切り離される。先端余白86に相当する切断片WPと、後端余白87に相当する切断片WPが切り離された部分を印刷物OPと称する。印刷物OPは、
図2に示す排出ローラー対62によって、
図2に示す筐体部12外に排出される。
【0089】
図16に示すように、
図11に示す先端余白86は細断されてもよい。本実施形態においては、先端余白86に相当する切断片WPが切り離された後に、制御部53は、当該切断片WPの端部である基準端96と第2端82との間の位置で、切断部56に、切断片WPを切断させる。このように、第1印刷領域91を含む切断片WPから切り離された先端余白86としての切断片WPが、基準端96と第2端82との間の位置で切断されることによって、先端余白86が細断される。なお、基準端96と第2端82との間の位置で媒体Pが切断されることにより切り離される部分のうち第1印刷領域91が形成されていない部分を細断片SPと称する。また、先端余白86が細断される時、切断部56は、基準端96と第2端82との間の複数の位置で切断片WPを切断してもよい。
【0090】
なお、先端余白86の細断として、第2端82で単票紙CPが切断される前に、切断部56が、基準端96と第2端82との間の位置で単票紙CPを切断する構成であってもよい。この場合においても、切断部56は、基準端96と第2端82との間の複数の位置で、単票紙CPを切断してもよい。
【0091】
図17に示すように、本実施形態においては、制御部53は、搬送ローラー対60と排出ローラー対62とによって先端余白86に相当する切断片WPが把持された状態で切断部56に切断片WPを切断させることにより、先端余白86を細断する。
【0092】
なお片面印刷のときには、単票紙CPと媒体Pが
図5に示す状態の後に、媒体Pが
図7に示す位置まで上流に搬送され、その後は制御部53によって、両面印刷のときに単票紙CPの2箇所の
図9に示す先端余白88と後端余白89とが順に切断された動作と同じ動作が行われ、
図6に示す先端余白86と後端余白87とが順に切断された単票紙CPが筐体部12外に排出される。
【0093】
本実施形態においては、切断部56が、単票紙CPの
図6に示す先端余白86と後端余白87とを切り離す構成であるが、プリンター11が切断部56を備えなくてもよい。すなわち、ロール状に巻き回された状態のロール体から繰り出された長尺状の媒体Pの状態で、媒体Pの少なくとも第1面が印刷された部分が筐体部12外に排出されて、排出された媒体Pの後端をユーザーが任意の箇所で切り離して単票紙CPを形成し、その単票紙CPの余白をユーザーが切り離す構成としてもよい。
【0094】
その場合は、プリンター11は、搬送部48に第1面が印刷された単票紙CPを上流側に搬送させて単票紙CPの第2面が印刷部54と対向した状態で印刷部54の下方に搬送する
図2に示すスイッチバック搬送路55を、備えない構成としてもよい。
【0095】
更にその場合は、プリンター11は印刷部54の上流側と、筐体部12とを連通する手差し供給経路を備えてもよい。第1面が印刷されて余白が切断されていない状態の単票紙CPを、
図6に示す基準端96が搬送方向D3の下流側となるように、かつ第1面が印刷された単票紙CPの第2面が印刷部54と対向した状態で印刷部54の下方に搬送されるように、当該手差し供給経路に単票紙CPを供給可能なインサーターにユーザーがセットしてもよい。制御部53が、単票紙CPの第1面の印刷のときに、
図6に示す基準端96から
図6に示す第2端82までの距離を決定するため、制御部53は、単票紙CPの第2面の第3端83の位置を
図9に示す第2端82の位置に合わせることができる。
【0096】
そして
図9に示すように、単票紙CPの先端余白88と後端余白89とを残したままの状態で両面を印刷された単票紙CPが筐体部12外に排出されて、ユーザーが排出された単票紙CPの先端余白88と後端余白89とを切り離すことによって、
図11に示す印刷物OPが出力される構成としてもよい。
【0097】
本実施形態の作用について説明する。
図1に示すように、引き出しユニット16にロール体RPが装填されるときには、引き出しユニット16が引き出され、ロール体RPが側壁部43にセットされる。そしてロール体RPから巻き解いた媒体Pの先端が挿入口44に手差しされる。続いて、位置決め部材47が移動されて、媒体Pが幅方向Xにおける-X側に位置決めされる。
【0098】
図2に示すように、媒体Pの先端が挿入口44のさらに奥まで入り搬送ローラー対51に接触すると、第1センサー71が媒体Pの先端を検知し、搬送ローラー対51が微小量回転されることによって、媒体Pの先端は引き込まれて搬送ローラー対51にニップされる。引き出しユニット16が引き出された状態から
図2に示す元の状態に戻されると、媒体Pは搬送ローラー対51,52,57によって下流側に搬送され、ロール体RPは反時計方向に回転し、媒体Pの先端はプリンター11が動作を開始する前の
図2に示す待機位置まで搬送されて印刷の準備が完了する。
【0099】
以下、
図19のフローチャートを参照し、両面印刷における制御の流れと各動作における作用を説明する。
ステップS501において、制御部53は搬送部48を制御して、ロール状に巻き回された状態から繰り出された媒体Pの下流への搬送を開始させる。
【0100】
ステップS502において、制御部53は、第2センサー73が媒体Pの先端が通過したことを検知したか否かを判定する。
図3に示すように、第2センサー73が媒体Pの先端が通過したことを検知すると、ステップS503として、制御部53は搬送部48に、搬送量M分媒体Pを搬送させ、媒体Pの先端を印刷開始位置P1に位置させる。
【0101】
図3に示すように、媒体Pの先端が第1挟持ローラー対59に挟持された状態で、制御部53は、ステップS504としての媒体Pの第1面の印刷を開始する。ステップS504において、媒体Pの第1面に第1印刷領域91が形成される。本実施形態では、印刷部54による第1印刷領域91の形成が開始することによって、ステップS504における第1面の印刷が開始する。また、本実施形態では、印刷部54による第1印刷領域91の形成が終了することによって、ステップS504の第1面の印刷が終了する。そして、制御部53は、印刷部54により第1端81を媒体P上に形成して、ステップS504としての第1面の印刷を終了する。
【0102】
本実施形態においては、媒体Pの第1面はロール体RPの外周面である。媒体Pが第2挟持ローラー対58に挟持され、媒体Pの先端である基準端96が第1挟持ローラー対59に向かい、支持部65上を通過するときは、媒体Pの内周面は支持部65側に面する。
【0103】
ステップS503によって、媒体Pの先端は第1挟持位置よりも下流の印刷開始位置P1に位置するため、媒体Pが第1挟持ローラー対59に挟持された状態で、ステップS504における第1面の印刷が開始する。したがって、媒体Pにロール体RPでの巻き癖が残っている場合であっても、媒体Pの先端部の変形量が一定の範囲に規制される。しかし、ロール体RPの巻き癖が強く、媒体Pの先端のカールが大きいときには、カールによって媒体Pの先端部が液体噴射部64側に凸状となって支持部65上から浮き上がりやすい。媒体Pが支持部65上から浮き上がっていると、キャリッジ63が幅方向Xへ走査するときに、媒体Pの先端部が液体噴射部64のノズル面64cに接触する場合がある。本実施形態では、媒体Pの先端部が第1挟持ローラー対59に挟持されるため、媒体Pの先端部のカールが抑えられる。したがって、キャリッジ63が幅方向Xへ走査するときに、媒体Pの先端部がノズル面64cに接触する虞が低減する。
【0104】
本実施形態では、後述するステップS511で媒体Pの第2面に形成される第2印刷領域は、第1印刷領域91に対して表裏で対応する位置に形成される。そのため、ステップS504において第1面に形成される第1印刷領域91の第2端82と、基準端96との位置関係によって、第2印刷領域92の形成が終了するときに、媒体Pの後端としての基準端96が位置可能な範囲が変わる。
【0105】
制御部53は、第2端82と基準端96との距離が、搬送方向D3における第2挟持ローラー対58の位置と最下流ノズル64bとの距離よりも大きくなるように、第1面の印刷開始位置P1を設定してもよい。このような設定により、第2面が鉛直上方に面し、かつ、搬送方向D3において第2端82が最下流ノズル64bに対応する位置にあるとき、基準端96が第2挟持ローラー対58より上流に位置する。そのため、最下流ノズル64bから最上流ノズル64aまでのどのノズルから液体が噴射されて第2面の印刷領域の終了位置である第3端83が形成される場合にも、基準端96を第2挟持ローラー対58より上流に位置させた状態で、第2端82の位置に媒体Pの表裏で対応する位置に、第3端83を形成することができる。これによって、第2面の印刷において、キャリッジ63が幅方向Xへ走査するときに、媒体Pの後端部がノズル面64cに接触する虞が低減する。
【0106】
制御部53は、第2端82と基準端96との距離が、
図3に示すノズル間距離L3よりも大きくなるように、第1面の印刷開始位置P1を設定してもよい。このような設定により、第2面が鉛直上方に面し、かつ、搬送方向D3において第2端82が最下流ノズル64bに対応する位置にあるとき、基準端96が最上流ノズル64aに対応する位置より上流に位置する。そのため、最下流ノズル64bから最上流ノズル64aまでのどのノズルから液体が噴射されて第2面の印刷領域の終了位置である第3端83が形成される場合にも、基準端96を最上流ノズル64aより上流に位置させた状態で、第2端82の位置と媒体の表裏で対応する位置に、第3端83を形成することができる。これによって、キャリッジ63が幅方向Xへ走査するときに、媒体Pの後端部がノズル面64cに接触する虞が低減する。
【0107】
ステップS505において、第1面の印刷が終了した後に、制御部53は搬送部48に、被切断位置97が切断部56に至るように媒体Pを搬送させる。
本実施形態では、後述するステップS511で媒体Pの第2面に形成される第2印刷領域92は、第1印刷領域91に対して媒体Pの表裏で対応する位置に形成される。そのため、ステップS504において第1面に形成される第1印刷領域91の第1端81と、ステップS505において切断部56により切断される被切断位置97との位置関係によって、第2印刷領域92の形成が開始するときに、媒体Pの先端としての被切断位置97が位置可能な範囲が変わる。
【0108】
制御部53は、第1端81と被切断位置97との距離が、第1挟持ローラー対59の位置と最上流ノズル64aとの搬送方向D3における距離である最上流ノズル距離L1よりも大きくなるように、被切断位置97を設定する。このような設定により、搬送方向D3において、第1端81が最上流ノズル64aに対応する位置に位置するとき、第2面が鉛直上方に面するときの媒体Pの先端である被切断位置97が第1挟持位置より下流に位置する。すなわち、制御部53は、被切断位置97を第1挟持位置より下流に位置させながら、第1端81を最上流ノズル64aに対応する位置より上流に位置させることができる。そのため、被切断位置97が1挟持位置より下流に位置する状態、換言すれば挟持状態で、第1端81の位置に媒体Pの表裏で対応する位置に第4端84を形成することができる。したがって、制御部53は、挟持状態で、第1印刷領域91に対して媒体Pの表裏で対応する位置に第2印刷領域92を形成する第2面印刷を、開始することができる。これによって、第2面印刷が開始されるときの、媒体Pの端部の変形量が一定の範囲に規制される。
【0109】
制御部53は、第1端81と被切断位置97との距離が、ノズル間距離L3よりも大きくなるように、被切断位置97を設定してもよい。このような設定により、搬送方向D3において、第1端81が最上流ノズル64aに対応する位置に位置するとき、被切断位置97は最下流ノズル64bに対応する位置より下流に位置する。そのため、最下流ノズル64bから最上流ノズル64aまでのどのノズルから液体が噴射されて第2面の印刷領域の開始位置である第4端84が形成される場合にも、被切断位置97が最下流ノズル64bに対応する位置よりも下流に位置する状態で、第1端81の位置と媒体の表裏で対応する位置に、第4端84を形成することができる。これによって、第2面の印刷においてキャリッジ63が幅方向Xへ走査するときに、媒体Pの先端部がノズル面64cに接触する虞が低減する。
【0110】
ステップS506において、
図5に示すように、制御部53は切断部56に、媒体Pを被切断位置97で切断させる。媒体Pから単票紙CPが切り離される。
ステップS507において、
図7に示すように、制御部53は搬送部48に、媒体Pの先端を待機位置に位置させる。
【0111】
ステップS508において、制御部53は搬送部48に、単票紙CPのスイッチバック搬送路55への搬送を開始させる。スイッチバック搬送路55に搬送される単票紙CPは、中間ローラー61を経由して、第2センサー73に向かう。
【0112】
ステップS509において、制御部53は、第2センサー73が単票紙CPの先端が通過することを検知したか否かを判定する。
図8に示すように、第2センサー73が媒体Pの先端が通過したことを検知すると、ステップS510として、制御部53は搬送部48に、単票紙CPを搬送させて、単票紙CPの先端を印刷開始位置P2へ位置させる。印刷開始位置P2は、第1挟持位置よりも下流である。また、本実施形態においては、単票紙CPの先端が印刷開始位置P2に位置するときに、第1端81が最下流ノズル64bより上流に位置するような範囲に、印刷開始位置P2が設定される。このため、挟持状態で、第1端81と媒体Pの表裏で対応する位置に第4端84を形成することができる。
【0113】
本実施形態においては、第2面はロール状に巻き回された状態のロール体RPの内周面である。媒体Pが第2挟持ローラー対58に挟持され、媒体Pの先端が第1挟持ローラー対59に向かい、支持部65上を通過するときは、媒体Pの内周面は液体噴射部64側に面する。すなわちステップS510において、制御部53は、印刷部54が搬送部48に搬送される媒体Pにノズル面64cが対向しない位置にある状態において、媒体Pはロール状に巻き回された状態のときに内側に位置する媒体Pの内周面が上方に面した状態で搬送される。したがって、媒体Pの内周面が印刷される内周面印刷において、印刷部54が、ノズル面64cが媒体に対向する位置にあるとき、当該内周面がノズル面64cに対向する。
【0114】
本実施形態における媒体Pの第2面の印刷においては、媒体Pの端部が支持部65上を通過するとき、媒体Pの端部はロール体RPの巻き癖によって液体噴射部64側にカールしており、Z方向の変形量が最も大きいのは媒体Pの先端と後端である。媒体PのZ方向の変形量は大きく、媒体Pが印刷されるときの媒体Pの姿勢が矯正されない場合には、液体噴射部64の表面と媒体Pとの間に所定の隙間がない場合がある。
【0115】
ステップS510によって、媒体Pの先端としての被切断位置97が位置する印刷開始位置P2は、
図8に示すように、第1挟持位置よりも下流である。このとき、前述したステップS505における被切断位置97の設定によって、第1端81は最下流ノズル64bより上流に位置するため、媒体Pが第1挟持ローラー対59に押さえられた状態で、第1印刷領域91に対応する第2印刷領域92を形成する第2面の印刷を開始することができる。すなわち、制御部53が後述するステップS511としての第2面の印刷を開始するときに、媒体Pの先端のカールが第1挟持ローラー対59によって抑えられる。そのため、キャリッジ63が幅方向Xへ走査するときや、媒体Pが搬送されるときに、媒体Pの先端部がノズル面64cに接触する虞が低減する。
【0116】
ステップS511において、制御部53は印刷部54を制御して、媒体Pの先端が第1挟持ローラー対59に挟持された状態で、媒体Pに第2面の印刷を行う。ステップS511において、媒体Pには第2印刷領域92が形成される。ステップS511における第2面の印刷は、印刷部54による第2印刷領域92の形成の開始によって開始し、第2印刷領域92の形成の終了によって終了する。
【0117】
なお、第2面印刷が開始される時、単票紙CPは第2挟持ローラー対58によって挟持される。このため、単票紙CPが、第1挟持ローラー対59によって挟持され、且つ、第2挟持ローラー対58によって挟持された挟持状態で、第2面印刷が開始されるため、第2面印刷における単票紙CPの端部の変形量が一定の範囲に規制される。したがって、第1面印刷が行われ、含水率が変化した媒体Pに対して第2面印刷が行われる構成であっても、当該単票紙CPの端部の変形量が一定の範囲に規制されるため、第1印刷領域91に対する所望の位置に第2印刷領域92を形成することができる。
【0118】
なお、本実施形態では、印刷が開始されるときの媒体Pの先端位置である印刷開始位置P2が、第1挟持位置よりも下流の位置であるが、最下流ノズル64bに対向する位置より下流で第1挟持位置よりも上流の位置であってもよい。
【0119】
ステップS510において、
図8に示すように、前述したステップS505における被切断位置97の設定によって、制御部53は、搬送方向D3において媒体Pの被切断位置97である先端の位置が最下流ノズル64bの位置よりも下流に位置する状態で、印刷部54に第2面の印刷を開始させる。そのとき、最下流ノズル64bから最上流ノズル64aまでのどのノズルから液体が噴射された場合にも、液体は媒体Pの表面に到達し、第4端84が媒体P上に形成される。そして制御部53は、最もZ方向の変形量が最も大きい媒体Pの先端が搬送方向D3において最下流ノズル64bの位置よりも下流に位置する状態で、印刷部54に第2面の印刷を開始させるため、キャリッジ63が幅方向Xへ走査するときに、媒体Pの先端部がノズル面64cに接触する虞が低減する。
【0120】
すなわちステップS510において、制御部53は搬送部48に、媒体Pの先端を搬送方向D3においてノズル面64cの最下流ノズル64bと対向する位置よりも下流の位置である印刷開始位置P2に達するまで搬送させる。そしてステップS511において、制御部53は印刷部54に先端が印刷開始位置P2まで搬送された媒体Pに内周面印刷である第2面の印刷を開始させる。そしてステップS511において、制御部53は印刷領域の終了位置である第1端81を媒体P上に形成して第1面の印刷を終了させる。
【0121】
本実施形態における第2面の印刷においては、媒体Pの後端である基準端96が支持部65上を通過するときは、媒体Pの後端はロール体RPの巻き癖によって液体噴射部64側にカールする。
【0122】
ステップS511において、前述したステップS504における第1面の基準端96の位置の設定によって、第2面の印刷が開始されて印刷が終了されるまでの間、搬送方向D3において媒体Pの後端である基準端96が第2挟持ローラー対58の位置よりも上流側に位置するように単票紙CPは制御されてもよい。すなわち、媒体Pの先端のカールが第2挟持ローラー対58によって抑えられる。そのため、キャリッジ63が幅方向Xへ走査するときに、媒体Pの後端である
図9に示す基準端96がノズル面64cに接触する虞が低減する。
【0123】
なお、本実施形態では、印刷が終了されるときの媒体Pの後端位置が、第2挟持位置よりも上流の位置であるが、最上流ノズル64aに対向する位置より上流で第1挟持位置よりも下流の位置であってもよい。
【0124】
ステップS511において、前述したステップS504における第1面の基準端96の位置の設定によって、第2面の印刷が開始されて印刷が終了されるまでの間、搬送方向D3において媒体Pの後端である基準端96が最上流ノズル64aの位置よりも上流側に位置するように単票紙CPは制御されてもよい。それによって、媒体Pの基準端96が搬送方向D3において最上流ノズル64aの位置よりも上流であるため、キャリッジ63が幅方向Xへ走査するときに、媒体Pの後端である
図9に示す基準端96がノズル面64cに接触する虞が低減する。
【0125】
また、制御部53は、挟持状態で、第2面印刷を終了する。このため、第1印刷領域91に対する所望の位置に第2印刷領域92を形成することができる。
ステップS512において、第2面の印刷が終了した後に、
図10に示すように、制御部53は搬送部48に、第2面の第4端84が切断部56に至るように単票紙CPを搬送させる。
【0126】
ステップS513において、制御部53は切断部56に、第2面の第4端84で単票紙CPを切断させる。単票紙CPは搬送ローラー対60と排出ローラー対62に挟持されて動かないように固定された状態で切断されるため、単票紙CPは第4端84で正確に切断される。すなわち、単票紙CPから切断片WPが切り離される。
【0127】
そして
図12に示すように、制御部53は搬送部48に、第2面の先端余白88であり第1面の後端余白87である
図11に示す切断片WPの中央が切断部56に至るように切断片WPを搬送させ、単票紙CPを所定距離だけ上流に搬送させる。単票紙CPが切断片WPから少しでも離れれば、距離は限定されない。
【0128】
ステップS514において、
図13に示すように、制御部53は切断部56に、切断片WPを半分に細断させる。切断片WPは二つの細断片SPに分かれる。排出ローラー対62に挟持されている方の細断片SPは、切断部56の上刃が切断位置にある状態において排出ローラー対62が逆転されることで、その細断片SPの上流端が切断部56の上刃に当たり鉛直方向Zにおいて+Z方向である落下方向D2に落下し、収容容器17に収容される。
【0129】
そして、制御部53は切断部56に上刃を退避位置に位置させた状態で、搬送部48に搬送ローラー対60に挟持されている方の細断片SPを切断部56よりも下流まで搬送させて、その細断片SPを排出ローラー対62に挟持させる。搬送ローラー対60と排出ローラー対62との距離は細断片SPの搬送方向D3の長さである余白距離88aの少なくとも半分よりも小さいため、細断片SPは切断部56の下流側に搬送される。
【0130】
図14に示すように、制御部53は切断部56に上刃を再び切断位置に移動させ、その状態において排出ローラー対62が逆転されることで、その細断片SPの上流端が切断部56の上刃に当たり鉛直方向Zにおいて+Z方向である落下方向D2に落下し、収容容器17に収容される。
【0131】
なお、ステップS514を行わず、ステップS513において、排出ローラー対62に挟持されている切断片WPが、切断部56の上刃が切断位置にある状態において排出ローラー対62が逆転されることで、切断片WPが収容容器17に収容されてもよい。
【0132】
ステップS515,S516において、
図15に示すように、制御部53は搬送部48に、第2面の第3端83が切断部56に至るように単票紙CPを搬送させる。そして制御部53は切断部56に、第2面の第3端83で単票紙CPを切断させる。単票紙CPは搬送ローラー対60と排出ローラー対62に挟持されて動かないように固定された状態で切断されるため、単票紙CPは第3端83で正確に切断される。単票紙CPは印刷物OPと切断片WPとに分かれる。
【0133】
ステップS517において、印刷物OPは排出ローラー対62によって、筐体部12外に排出される。すなわち、印刷物OPが出力される。
ステップS518において、
図16に示すように、制御部53は搬送部48に、第2面の後端余白89であり第1面の先端余白86である切断片WPの中央が切断部56に至るように切断片WPを搬送させる。
【0134】
そして
図17に示すように、制御部53は切断部56に、切断片WPを半分に細断させる。切断片WPは二つの細断片SPに分かれる。排出ローラー対62に挟持されている方の細断片SPは、切断部56の上刃が切断位置にある状態において排出ローラー対62が逆転されることで、その細断片SPの上流端が切断部56の上刃に当たり鉛直方向Zにおいて+Z方向である落下方向D2に落下し、収容容器17に収容される。
【0135】
そして、制御部53は切断部56に上刃を退避位置に位置させた状態で、搬送部48に搬送ローラー対60に挟持されている方の細断片SPを切断部56よりも下流まで搬送させて、その細断片SPを排出ローラー対62に挟持させる。搬送ローラー対60と排出ローラー対62との距離は細断片SPの搬送方向D3の長さである余白距離89aの少なくとも半分よりも小さいため、細断片SPは切断部56の下流側に搬送される。
【0136】
図18に示すように、制御部53は切断部56に上刃を再び切断位置に移動させ、その状態において排出ローラー対62が逆転されることで、その細断片SPの上流端が切断部56の上刃に当たり鉛直方向Zにおいて+Z方向である落下方向D2に落下し、収容容器17に収容される。
【0137】
なお、ステップS518を行わず、ステップS517において、制御部53は切断部56に上刃を退避位置に位置させた状態で、搬送部48に搬送ローラー対60に挟持されている切断片WPを切断部56よりも下流まで搬送させて、その切断片WPを排出ローラー対62に挟持させてもよい。そして、制御部53は切断部56に上刃を切断位置に移動させた状態で、排出ローラー対62に挟持されている切断片WPが、切断部56の上刃が切断位置にある状態において排出ローラー対62が逆転されることで、切断片WPが収容容器17に収容されてもよい。
【0138】
本実施形態においては、ロール体RPの巻き癖による媒体Pのカールを矯正させるデカーラーは、プリンター11の構成に含まれていない。プリンター11においては、カールした状態の媒体Pが使用される。上記で説明したように、本実施形態のプリンター11は、媒体Pにある程度のカールがあってもインクジェット方式の印刷部54によって、印刷できる構成となっている。そのため、本実施形態のプリンター11は、カール矯正のために湾曲の外側になるように押し広げられることによって割れが発生し易いインク受容層を有する媒体においても使用が可能となっている。インク受容層が媒体の表面近くで染料を固定するため発色性に優れた印刷物を出力することができる。なお、インク受容層の割れが発生しない程度の弱いカール矯正力を有するデカーラーは構成に含まれてもよい。
【0139】
以上が、本実施形態における両面印刷のときの制御の流れと各動作における作用の説明である。
本実施形態の効果について説明する。
【0140】
(1)第2面の印刷において、制御部53は搬送部48に、媒体Pの先端を搬送方向D3におけるノズル面64cの最下流ノズル64bと対向する位置よりも下流の位置である印刷開始位置P2に位置させ、先端が印刷開始位置P2に位置する媒体Pに、印刷部54に印刷領域の形成を開始させる。第2面はロール体RPの内周面である。第2面の印刷において、媒体Pの端部はロール体RPの巻き癖によって、媒体Pが支持部65上を通過するときに、液体噴射部64側にカールしており、Z方向の変形量が最も大きいのは媒体Pの先端と後端である。搬送方向D3において媒体Pの先端位置が最下流ノズル64bの位置よりも下流に位置する状態で、印刷部54が第2面の印刷を開始するとき、最下流ノズル64bから最上流ノズル64aまでのどのノズルから液体が噴射された場合にも、液体は媒体Pの表面に到達し、第2面の印刷領域の開始位置である第4端84を媒体P上に形成することができる。そして制御部53は、媒体Pの先端が搬送方向D3において最下流ノズル64bの位置よりも下流に位置する状態で、印刷部54に第2面の印刷を開始させる。そのため、第2面の印刷において、キャリッジ63が幅方向Xへ走査するときに、媒体Pの先端部がノズル面64cに接触しにくいため、印刷品質が低下する虞を少なくすることができる。
【0141】
(2)搬送部48は、印刷部54よりも下流の第1挟持位置で媒体Pを挟持する第1挟持ローラー対59を有し、第2面の印刷において、媒体Pの先端が位置する印刷開始位置P2が挟持位置よりも下流である。第2面の印刷において、媒体Pの端部はロール体RPの巻き癖によって、媒体Pが支持部65上を通過するときに、液体噴射部64側にカールしており、Z方向の変形量が最も大きいのは媒体Pの先端と後端である。制御部53は、搬送部48に媒体Pの先端を第1挟持位置よりも下流の位置である印刷開始位置P2へ位置させた状態で、印刷部54に第2面の印刷を開始させる。すなわち、媒体Pの先端のカールが第1挟持ローラー対59によって抑えられる。そのため、第2面の印刷において、キャリッジ63が幅方向Xへ走査するときに、媒体Pの先端部及び媒体面がノズル面64cに接触しにくいため、印刷品質が低下する虞を少なくすることができる。
【0142】
(3)第1端81と被切断位置97との距離は、ノズル間距離L3よりも大きいため、第2面の印刷において、媒体Pの先端のカールがノズル面64cに接触しない。第2面の印刷において、媒体Pの端部はロール体RPの巻き癖によって、媒体Pが支持部65上を通過するときに、液体噴射部64側にカールしており、Z方向の変形量が最も大きいのは媒体Pの先端と後端である。制御部53は、第1端81と被切断位置97との距離が、ノズル間距離L3よりも大きくなるように、被切断位置97を設定する。このような設定により、搬送方向D3において、第1端81が最上流ノズル64aに対応する位置に位置するとき、被切断位置97は最下流ノズル64bに対応する位置より下流に位置する。そのため、最下流ノズル64bから最上流ノズル64aまでのどのノズルから液体が噴射されて第2面の印刷領域の開始位置である第4端84が形成される場合にも、被切断位置97が最下流ノズル64bに対応する位置よりも下流に位置する状態で、第1面の第1端81の位置に対して、媒体Pの表裏で対応する位置に第4端84を形成することができる。そして、第2面の印刷において、キャリッジ63が幅方向Xへ走査するときに、媒体Pの先端部がノズル面64cに接触しにくいため、印刷品質が低下する虞を少なくすることができる。
【0143】
(4)第1端81と被切断位置97との距離が、最下流ノズル距離L2よりも大きいため、第2面の印刷において、媒体Pの先端のカールが第1挟持ローラー対59によって抑えられる。第2面の印刷において、媒体Pの端部はロール体RPの巻き癖によって、媒体Pが支持部65上を通過するときに、液体噴射部64側にカールしており、Z方向の変形量が最も大きいのは媒体Pの先端と後端である。制御部53は、第1端81と被切断位置97との距離が、最下流ノズル距離L2よりも大きくなるように、被切断位置97を設定する。このような設定により、搬送方向D3において、第1端81が最下流ノズル64bに対応する位置に位置するとき、第2面が鉛直上方に面するときの媒体Pの先端である被切断位置97が第1挟持位置より下流に位置する。そのため、最下流ノズル64bから最上流ノズル64aまでのどのノズルから液体が噴射されて第2面の印刷領域の開始位置である第4端84が形成される場合にも、被切断位置97が第1挟持位置より下流に位置する状態で、第1端81の位置に媒体Pの表裏で対応する位置に第4端84を形成することができる。したがって、第1印刷領域91に対して媒体Pの表裏で対応する位置に第2印刷領域92を形成する場合であっても、媒体Pの先端が第1挟持位置より下流に位置する状態で、第2印刷領域92の形成を開始することができる。すなわち、媒体Pの先端のカールが第1挟持ローラー対59によって抑えられる。そのため、第2面の印刷において、キャリッジ63が幅方向Xへ走査するときに、媒体Pの先端部及び媒体面がノズル面64cに接触しにくいため、印刷品質が低下する虞を少なくすることができる。
【0144】
(5)第2端82と基準端96との距離は、ノズル間距離L3よりも大きいため、第2面の印刷において、媒体Pの後端が媒体Pの後端が搬送方向D3において最上流ノズル64aよりも上流に位置する状態で、第2面の印刷が終了される。第2面の印刷において、媒体Pの端部はロール体RPの巻き癖によって、媒体Pが支持部65上を通過するときに、液体噴射部64側にカールしており、Z方向の変形量が最も大きいのは媒体Pの先端と後端である。第2面の印刷における媒体Pの後端は、第1面の印刷における先端である基準端96である。制御部53は、第2端82と基準端96との距離が、ノズル間距離L3よりも大きくなるように、第1面の印刷開始位置P1を設定する。このような設定により、第2面が鉛直上方に面し、かつ、搬送方向D3において第2端82が最下流ノズル64bに対応する位置にあるとき、基準端96が最上流ノズル64aに対応する位置より上流に位置する。そのため、最下流ノズル64bから最上流ノズル64aまでのどのノズルから液体が噴射されて第2面の印刷領域の終了位置である第3端83が形成される場合にも、基準端96を最上流ノズル64aより上流に位置させた状態で、第2端82の位置と媒体の表裏で対応する位置に、第3端83を形成することができる。そして、第2面の印刷において、キャリッジ63が幅方向Xへ走査するときに、媒体Pの後端部がノズル面64cに接触しにくいため、印刷品質が低下する虞を少なくすることができる。
【0145】
(6)第2端82と基準端96との距離は、搬送方向D3における第2挟持ローラー対58の位置と最下流ノズル64bとの距離よりも大きいため、第2面の印刷において、媒体Pの後端のカールが第2挟持ローラー対58によって抑えられる。第2面の印刷において、媒体Pの端部はロール体RPの巻き癖によって、媒体Pが支持部65上を通過するときに、液体噴射部64側にカールしており、Z方向の変形量が最も大きいのは媒体Pの先端と後端である。第2面の印刷における媒体Pの後端は、第1面の印刷における先端である基準端96である。制御部53は、第2端82と基準端96との距離が、搬送方向D3における第2挟持ローラー対58の位置と最下流ノズル64bとの距離よりも大きくなるように、第1面の印刷開始位置P1を設定する。このような設定により、第2面が鉛直上方に面し、かつ、搬送方向D3において第2端82が最下流ノズル64bに対応する位置にあるとき、基準端96が第2挟持ローラー対58より上流に位置する。そのため、最下流ノズル64bから最上流ノズル64aまでのどのノズルから液体が噴射されて第2面の印刷領域の終了位置である第3端83が形成される場合にも、基準端96を第2挟持ローラー対58より上流に位置させた状態で、第2端82の位置に媒体Pの表裏で対応する位置に、第3端83を形成することができる。そして、第2面の印刷において、キャリッジ63が幅方向Xへ走査するときに、媒体Pの後端部がノズル面64cに接触しにくいため、印刷品質が低下する虞を少なくすることができる。
【0146】
(7)搬送部48は、印刷部54よりも下流の第1挟持位置で媒体Pを挟持する第1挟持ローラー対59を有し、第1面の印刷において、媒体Pの先端が位置する印刷開始位置P1が挟持位置よりも下流である。第1面の印刷において、媒体Pの先端が支持部65上を通過するとき、媒体Pの先端はロール体RPの巻き癖によって支持部65側にカールしようとするが、支持部65によってカールが抑えられる。しかし、ロール体RPの巻き癖が強く、媒体Pの先端のカールが大きいときには、カールによって媒体Pの先端部が液体噴射部64側に凸状となって支持部65上から浮き上がりやすい。媒体Pが支持部65上から浮き上がっていると、キャリッジ63が幅方向Xへ走査するときに、媒体Pの先端部が液体噴射部64のノズル面64cに接触する場合がある。媒体Pの先端部が第1挟持ローラー対59に挟持されるため、媒体Pの先端部のカールが抑えられる。そのため、第1面の印刷において、キャリッジ63が幅方向Xへ走査するときに、媒体Pの先端部がノズル面64cに接触しにくいため、印刷品質が低下する虞を少なくすることができる。
【0147】
(8)媒体Pは、内周面にインク受容層を有する媒体である。本実施形態は媒体Pにある程度のカールがあっても、インクジェット方式の印刷部54によって媒体Pの内周面を印刷できる構成となっている。そのため、本実施形態のプリンター11は、湾曲を与えることによって割れが発生し易いインク受容層を内周面に有する媒体を使用することができる。インク受容層は媒体の表面近くで染料を固定するため発色性に優れた印刷物を出力することができる。
【0148】
(9)本実施形態は媒体Pにある程度のカールがあっても、インクジェット方式の印刷部54によって媒体Pの第1面および第2面を印刷できる構成となっている。そのため、本実施形態のプリンター11は、湾曲を与えることによって割れが発生し易いインク受容層を両面に有する媒体を使用することができる。インク受容層は媒体の表面近くで染料を固定して発色させるため、プリント直後から鮮やかに発色するため発色性に優れた印刷物を出力することができる。
【0149】
(10)第1実施形態におけるプリンター11の制御方法においても、(1)~(9)に記載したプリンター11の効果と同様の効果が得られる。
(第2実施形態)
以下、プリンターの第2実施形態について図面を参照して説明する。第1実施形態においては
図2に示すように、媒体Pの内周面が第2面であるのに対して、第2実施形態においては
図20に示すように、媒体Pの内周面が第1面である点が、前記第1実施形態と異なる。その他の点では、第2実施形態は第1実施形態とほぼ同じであるため、同一の構成については同一符号を付すことによって重複した説明は省略する。
【0150】
図20に示すように、経路形成部材45は、不図示のガイド孔に沿って幅方向Xに移動可能な位置決め部材47を支持する。位置決め部材47は、不図示のガイド孔よりも引き出し方向D1に突出した突部を有する。なお、前記第1実施形態とは異なり、経路形成部材45と、不図示のガイド孔と、位置決め部材47とは、引き出しユニット16の奥行き方向Yにおいてロール体RPよりも+Y側に配置される。更に搬送ローラー対51,52は、ロール体RPの回転中心CRよりも鉛直方向Zにおいて+Z側、かつロール体RPよりも奥行き方向Yにおいて+Y側に配置される。
【0151】
前記第1実施形態と同様に、プリンター11は第1収容部13内に、収納されるロール状に巻き回された状態から繰り出された媒体Pの先端部を、第2収容部14内へ搬送する繰出部41を有する。繰出部41は、搬送ローラー対51,52,57のローラー群と、ロール体RPから第1収容部13の搬出口42までの搬送路49における複数の搬送面50とを備える。
【0152】
プリンター11が第1面の印刷を開始する。そのとき、印刷部54は、搬送部48に搬送される媒体Pにノズル面64cが対向しない位置にある。本実施形態においては、第1面の印刷として、ロール状に巻き回された状態のときに内側に位置する媒体Pの内周面を印刷する。媒体Pが支持部65に支持されるとき、媒体Pの外周面は鉛直方向Zにおいて上方に面する。したがって、印刷部54が、ノズル面64cが媒体Pに対向する位置にあるとき、媒体Pの外周面がノズル面64cに対向する。すなわち、媒体Pの先端はロール体RPの巻き癖によって液体噴射部64側にカールしようとする。
【0153】
図21に示すように、制御部53は、第1面の印刷を開始する前に、搬送部48に媒体Pの先端を印刷開始位置P1に位置させる。印刷開始位置P1は、搬送方向D3においてノズル面64cの最下流ノズル64bと対向する位置よりも下流の位置である。
【0154】
本実施形態においては、媒体Pの先端が搬送される印刷開始位置P1は、搬送方向D3において、第1挟持ローラー対59によって媒体Pが挟持される第1挟持位置よりも下流の位置である。制御部53は、長尺状の媒体Pが挟持状態のときに、印刷部54に媒体Pの第1面の印刷を開始させ、
図4に示すように、第1面の印刷として、印刷部54に、第2端82が媒体Pの基準端96から離間した位置にある第1印刷領域91を形成させる。
【0155】
なお、本実施形態では、印刷が開始されるときの媒体Pの先端位置である印刷開始位置P1が、第1挟持位置よりも下流の位置であるが、最下流ノズル64bに対向する位置より下流で第1挟持位置よりも上流の位置であってもよい。より詳細には、制御部53は、
図4に示す第2端82と
図4に示す基準端96との距離が、ノズル間距離L3よりも大きくなるように、印刷部54に第1印刷領域91を形成させてもよい。
【0156】
第1面の印刷における先端である基準端96は、第2面の印刷における媒体Pの後端である。制御部53は、第2端82と基準端96との距離が、搬送方向D3における第2挟持ローラー対58の位置と最下流ノズル64bとの距離よりも大きくなるように、第1面の印刷開始位置P1を設定してもよい。このような設定により、第2面が鉛直上方に面し、かつ、搬送方向D3において第2端82が最下流ノズル64bに対応する位置にあるとき、基準端96が第2挟持ローラー対58より上流に位置する。
【0157】
図21に示すように、制御部53は媒体Pが挟持状態のときに、印刷部54に媒体Pの第1面の印刷を開始させる。第1印刷領域91は、第1端81と、第2端82と、を有する。第1端81は、第1面が印刷されるときの上流端である。第2端82は、第1面が印刷されるときの下流端である。制御部53は、第1面の印刷として、印刷部54に、第2端82が媒体Pの基準端96から離間した位置にある第1印刷領域91を形成させる。
【0158】
その後、
図6に示すように、制御部53は、両面印刷において、印刷部54に媒体Pの第1面を印刷させた後に、印刷部54に第1面に形成された第1印刷領域91の上流端である第1端81よりも上流に位置する被切断位置97で切断部56に媒体Pを切断させる。本実施形態においては、余白距離87aが、第1挟持ローラー対59が単票紙CPを挟持する位置と印刷部54の最上流ノズル64aとの搬送方向D3における搬送方向距離である
図21に示す最上流ノズル距離L1よりも大きくなるように、媒体P上の被切断位置97の位置が設定される。
【0159】
図22に示すように、切断部56による切断が行われた後の媒体Pのうち、ロール体RPを含む部分は、中間ローラー61の周りを時計方向に搬送され、搬送ローラー対57の挟持位置から外れない位置であって、その先端が第1収容部13内に収納される位置まで、ロール体RPに巻き戻される。
【0160】
図8に示すように、両面印刷のときには、切断部56により、第1面が印刷された媒体Pが被切断位置97で切断された後に、制御部53は、単票紙CPを、排出ローラー対62によって上流側に搬送させる。そして、制御部53は、搬送方向D3においてノズル面64cの最下流ノズル64bと対向する位置よりも下流の位置まで、搬送部48に単票紙CPの先端を搬送させる。制御部53は、第2面の印刷を開始する前に、搬送部に媒体Pの先端を印刷開始位置P2に位置させる。印刷開始位置P2は、搬送方向D3においてノズル面64cの最下流ノズル64bと対向する位置よりも下流の位置である。
【0161】
図8に示すように、本実施形態においては、印刷開始位置P2は、搬送方向D3において、第1挟持ローラー対59によって媒体Pが挟持される第1挟持位置よりも下流の位置である。制御部53は媒体Pが第2挟持ローラー対58と第1挟持ローラー対59とによって挟持された状態である挟持状態のときに、印刷部54に媒体Pの第2面の印刷を開始させる。
【0162】
プリンター11が第2面の印刷を開始する。そのとき、印刷部54は、搬送部48に搬送される媒体Pにノズル面64cが対向しない位置にある。本実施形態においては、第2面の印刷として、ロール体RPの外側の面である外周面を印刷する。媒体Pが支持部65に支持されるとき、ロール体RPの外周面は鉛直方向Zにおいて上方に面する。したがって、印刷部54が、ノズル面64cが媒体Pに対向する位置にあるとき、ロール体RPの内周面がノズル面64cに対向する。すなわち、媒体Pの端部はロール体RPの巻き癖によって支持部65側にカールしようとする。
【0163】
本実施形態においては、制御部53は、媒体Pの第1面を印刷部54に印刷させ、第1面が印刷された媒体Pの第2面を印刷部54に印刷させる両面印刷を行うとき、第1面が内周面であり、第2面が外周面である。すなわち制御部53は、先端を印刷開始位置P1まで搬送された媒体Pまたは単票紙CPに対して、印刷部54によって、第1面が印刷されるときは外周面印刷を、第2面が印刷されるときは内周面印刷を開始させる。
【0164】
本実施形態においては、第1面の印刷において、制御部53は、第2端82と基準端96との距離が、搬送方向D3における第2挟持ローラー対58の位置と最下流ノズル64bとの距離よりも大きくなるように、第1印刷領域91を形成する。そして第2面の印刷において、印刷部54より下流で第1挟持ローラー対59によって挟持され、かつ、印刷部54より上流で第2挟持ローラー対58によって挟持された状態の媒体Pに対して、制御部53は印刷部54による第2面の印刷を終了する。
【0165】
そして制御部53は、制御部53は、印刷部54に単票紙CPの第2面を印刷させた後に、切断部56に単票紙CPを、第1端81で切断させ、更に第1印刷領域91の第1端81と搬送方向D3に第1印刷領域91を挟んで反対側に位置する第2端82で切断させる。
【0166】
前記第1実施形態と同様に、
図11に示す印刷物OPが
図20に示す排出ローラー対62によって、筐体部12の外に排出され、切断屑としての切断片WPや細断片SPが、収容部28に収容される。
【0167】
本実施形態の作用について説明する。
図20に示すように、引き出しユニット16にロール体RPが装填されるときには、引き出しユニット16が引き出され、ロール体RPが側壁部43にセットされる。そしてロール体RPから巻き解いた媒体Pの先端が挿入口44に手差しされる。続いて、位置決め部材47が移動されて、媒体Pが幅方向Xにおける-X側に位置決めされる。
【0168】
媒体Pの先端が挿入口44のさらに奥まで入り搬送ローラー対51に接触すると、第1センサー71が媒体Pの先端を検知し、搬送ローラー対51が微小量回転されることによって、媒体Pの先端は引き込まれて搬送ローラー対51にニップされる。引き出しユニット16が引き出された状態から
図2に示す元の状態に戻されると、媒体Pは搬送ローラー対51,52,57によって下流側に搬送され、ロール体RPは時計方向に回転し、媒体Pの先端はプリンター11が動作を開始する前の
図2に示す待機位置まで搬送されて印刷の準備が完了する。
【0169】
以下、
図19のフローチャートを参照し、両面印刷における制御の流れと各動作における作用を説明する。なお作用の説明においても、前記第1実施形態と重複した説明は省略する。
【0170】
ステップS501において、制御部53は搬送部48を制御して、ロール状に巻き回された状態から繰り出された媒体Pの下流への搬送を開始させる。
ステップS502において、制御部53は、第2センサー73が媒体Pの先端が通過したことを検知したか否かを判定する。
図21に示すように、第2センサー73が媒体Pの先端が通過したことを検知すると、ステップS503として、制御部53は搬送部48に、搬送量M分媒体Pを搬送させ、媒体Pの先端を印刷開始位置P1に位置させる。
【0171】
図21に示すように、媒体Pの先端が第1挟持ローラー対59に挟持された状態で、制御部53は、ステップS504としての媒体Pの第1面の印刷を開始する。ステップS504において、媒体Pの第1面に第1印刷領域91が形成される。本実施形態では、印刷部54による第1印刷領域91の形成が開始することによって、ステップS504における第1面の印刷が開始する。また、本実施形態では、印刷部54による第1印刷領域91の形成が終了することによって、ステップS504の第1面の印刷が終了する。そして、制御部53は、印刷部54により第1端81を媒体P上に形成して、ステップS504としての第1面の印刷を終了する。
【0172】
本実施形態においては、媒体Pの第1面はロール体RPの内周面である。媒体Pが第2挟持ローラー対58に挟持され、媒体Pの先端である基準端96が第1挟持ローラー対59に向かい、支持部65上を通過するときは、媒体Pの内周面は液体噴射部64側に面する。
【0173】
本実施形態における媒体Pの第1面の印刷においては、媒体Pの先端が支持部65上を通過するとき、媒体Pの先端はロール体RPの巻き癖によって液体噴射部64側にカールしており、Z方向の変形量が最も大きいのは媒体Pの先端である。媒体PのZ方向の変形量は大きく、媒体Pが印刷されるときの媒体Pの姿勢が矯正されない場合には、液体噴射部64の表面と媒体Pとの間に所定の隙間がない場合がある。
【0174】
図21に示すように、媒体Pの先端としての基準端96が位置する印刷開始位置P1は、第1挟持位置よりも下流である。このとき、媒体Pが第1挟持ローラー対59に押さえられた状態で、第1印刷領域91を形成する第1面の印刷を開始することができる。すなわち、制御部53が第1面の印刷を開始するときに、媒体Pの先端のカールが第1挟持ローラー対59によって抑えられる。そのため、キャリッジ63が幅方向Xへ走査するときに、媒体Pの先端部がノズル面64cに接触する虞が低減する。
【0175】
図21に示すように、制御部53は、搬送方向D3において媒体Pの先端としての基準端96の位置が最下流ノズル64bの位置よりも下流に位置する状態で、印刷部54に第1面の印刷を開始させる。そのとき、最下流ノズル64bから最上流ノズル64aまでのどのノズルから液体が噴射された場合にも、液体は媒体Pの表面に到達し、第2端82が媒体P上に形成される。そして制御部53は、最もZ方向の変形量が最も大きい媒体Pの先端が搬送方向D3において最下流ノズル64bの位置よりも下流に位置する状態で、印刷部54に第1面の印刷を開始させるため、キャリッジ63が幅方向Xへ走査するときに、媒体Pの先端部がノズル面64cに接触する虞が低減する。
【0176】
すなわちステップS503において、制御部53は搬送部48に、媒体Pの先端を搬送方向D3においてノズル面64cの最下流ノズル64bと対向する位置よりも下流の位置である印刷開始位置P1に達するまで搬送させる。そしてステップS504において、制御部53は印刷部54に先端を印刷開始位置P1まで搬送された媒体Pに内周面印刷である第1面の印刷を開始させる。そしてステップS504において、制御部53は印刷領域の終了位置である第1端81を媒体P上に形成して第1面の印刷を終了させる。
【0177】
ステップS505において、第1面の印刷が終了した後に、制御部53は搬送部48に、被切断位置97が切断部56に至るように媒体Pを搬送させる。
本実施形態では、後述するステップS511で媒体Pの第2面に形成される第2印刷領域92は、第1印刷領域91に対して媒体Pの表裏で対応する位置に形成される。そのため、ステップS504において第1面に形成される第1印刷領域91の第1端81と、ステップS505において切断部56により切断される被切断位置97との位置関係によって、第2印刷領域92の形成が開始するときに、媒体Pの先端としての被切断位置97が位置可能な範囲が変わる。
【0178】
制御部53は、第1端81と被切断位置97との距離が、最下流ノズル距離L2よりも大きくなるように、被切断位置97を設定する。このような設定により、搬送方向D3において、第1端81が最下流ノズル64bに対応する位置に位置するとき、第2面が鉛直上方に面するときの媒体Pの先端である被切断位置97が第1挟持位置より下流に位置する。そのため、被切断位置97が第1挟持位置より下流に位置する状態で、第1端81の位置に媒体Pの表裏で対応する位置に第4端84を形成することができる。したがって、第1印刷領域91に対して媒体Pの表裏で対応する位置に第2印刷領域92を形成する場合であっても、媒体Pの先端が第1挟持位置より下流に位置する状態で、第2印刷領域92の形成を開始することができる。これによって、第2面の印刷において、キャリッジ63が幅方向Xへ走査するときに、媒体Pの先端部がノズル面64cに接触する虞が低減する。
【0179】
ステップS506において、
図5に示すように、制御部53は切断部56に、媒体Pを被切断位置97で切断させる。媒体Pから単票紙CPが切り離される。
ステップS507において、
図7に示すように、制御部53は搬送部48に、媒体Pの先端を待機位置に位置させる。
【0180】
ステップS508において、制御部53は搬送部48に、単票紙CPのスイッチバック搬送路55への搬送を開始させる。スイッチバック搬送路55に搬送される単票紙CPは、中間ローラー61を経由して、第2センサー73に向かう。
【0181】
ステップS509において、制御部53は、第2センサー73が単票紙CPの先端が通過することを検知したか否かを判定する。
図8に示すように、第2センサー73が媒体Pの先端が通過したことを検知すると、ステップS510として、制御部53は搬送部48に、単票紙CPを搬送して、単票紙CPの先端を印刷開始位置P2へ位置させる。本実施形態においては、単票紙CPの先端が印刷開始位置P2に位置するときに、第1端81が最下流ノズル64bより上流に位置するような範囲に、印刷開始位置P2が設定される。このため、第1端81と媒体Pの表裏で対応する位置に第4端84を形成することができる。
【0182】
本実施形態においては、第2面はロール状に巻き回された状態のロール体RPの外周面である。媒体Pが第2挟持ローラー対58に挟持され、媒体Pの先端が第1挟持ローラー対59に向かい、支持部65上を通過するときは、媒体Pの内周面は支持部65側に面する。すなわちステップS510において、制御部53は、印刷部54が搬送部48に搬送される媒体Pにノズル面64cが対向しない位置にある状態において、媒体Pはロール状に巻き回された状態のときに外側に位置する媒体Pの外周面が上方に面した状態で搬送される。したがって、媒体Pの外周面が印刷される外周面印刷において、印刷部54が、ノズル面64cが媒体に対向する位置にあるとき、当該外周面がノズル面64cに対向する。
【0183】
第2面の印刷において、媒体Pの先端が支持部65上を通過するとき、媒体Pの先端はロール体RPの巻き癖によって支持部65側にカールしようとするが、支持部65によってカールが抑えられる。しかし、ロール体RPの巻き癖が強く、媒体Pの先端のカールが大きいときには、カールによって媒体Pの先端部が液体噴射部64側に凸状となって支持部65上から浮き上がりやすい。媒体Pが支持部65上から浮き上がっていると、キャリッジ63が幅方向Xへ走査するときに、媒体Pの先端部が液体噴射部64のノズル面64cに接触する場合がある。
【0184】
ステップS510によって、媒体Pの先端としての被切断位置97が位置する印刷開始位置P2は、
図8に示すように、第1挟持位置よりも下流である。このとき、前述したステップS505における被切断位置97の設定によって、第1端81は最下流ノズル64bより上流に位置するため、媒体Pが第1挟持ローラー対59に押さえられた状態で、第1印刷領域91に対応する第2印刷領域92を形成する第2面の印刷を開始することができる。すなわち、制御部53が後述するステップS511としての第2面の印刷を開始するときに、媒体Pの先端のカールが第1挟持ローラー対59によって抑えられる。したがって、キャリッジ63が幅方向Xへ走査するときに、媒体Pの先端部がノズル面64cに接触する虞が低減する。
【0185】
そして、前述したステップS504における第1面の基準端96の位置の設定によって、第2面の印刷が開始されて印刷が終了されるまでの間、搬送方向D3において媒体Pの後端である基準端96が第2挟持ローラー対58の位置よりも上流側に位置するように単票紙CPは制御される。すなわち、媒体Pの先端のカールが第2挟持ローラー対58によって抑えられる。そのため、キャリッジ63が幅方向Xへ走査するときに、媒体Pの後端である
図9に示す基準端96がノズル面64cに接触する虞が低減する。
【0186】
制御部53は、搬送部48に第4端84が第1端81に対応する位置に形成されるように、媒体Pを搬送させ、媒体Pが第1挟持ローラー対59と第2挟持ローラー対58とに挟持された状態で、印刷部54に第2面の印刷を開始させて、媒体Pに第2印刷領域92を形成させる。そして制御部53は、媒体Pが第1挟持ローラー対59と第2挟持ローラー対58とに挟持された状態で、第2面の印刷を終了させる。この制御によって、単票紙CPの支持部65上での姿勢が真っすぐになって印刷中の単票紙CPの搬送量が正確になり、かつ単票紙CPの第3端83が第2端82に対応する位置に形成されやすくなるため、第1印刷領域91と第2印刷領域92とのずれが低減する。
【0187】
制御部53は、両面印刷において、下流端である第2端82が媒体Pの端部から離間した位置にある第1印刷領域91を、第1面の印刷として印刷部54に形成させる。そして、第1印刷領域91よりも上流の位置で、媒体Pを切断部56に切断させ、印刷部54に媒体Pの第2面を印刷させた後に、第2端82で、媒体Pを切断部56に切断させる。下流端である第2端82とは、第1印刷領域91の開始位置である。第1面の印刷において、内周面が印刷されるときは、媒体Pの端部はロール体RPの巻き癖によって、媒体Pが支持部65上を通過するときに、液体噴射部64側にカールしており、Z方向の変形量が最も大きいのは媒体Pの先端である。制御部53が、第1面の第1印刷領域91が形成されるときに、印刷部54に媒体Pの先端に先端余白86を形成させることによって、最も変形量が大きい媒体Pの先端が、搬送方向D3において最下流ノズル64bの位置よりも下流に位置する状態で、第1面の印刷を開始することができる。そして、キャリッジ63が幅方向Xへ走査するときに、媒体Pの先端部がノズル面64cに接触する虞が低減する。
【0188】
以降のステップS512~ステップS518において、第2面の印刷が終了した後に、前記第1実施形態と同様に、
図11に示す印刷物OPが
図20に示す排出ローラー対62によって、筐体部12の外に排出され、切断屑としての切断片WPや細断片SPが、収容部28に収容される。
【0189】
以上が、本実施形態における両面印刷のときの制御の流れと各動作における作用の説明である。
以下は、
図19のフローチャートを参照し、本実施形態における片面印刷のときの制御の流れと各動作における作用を説明する。なお前記両面印刷の説明と重複した説明は省略する。
【0190】
片面印刷においては、制御部53はステップS501~ステップS504を実行する。そしてステップS504において、制御部53は印刷部54に第1面の印刷を終了させた後、制御部53は切断部56に
図4に示す第2端82で媒体Pを切断させて、媒体Pの先端余白86が切断片WPとして切り離される。さらに、制御部53は切断部56に第2端82と搬送方向D3に第1印刷領域91を挟んで反対側に位置する第1端81で媒体Pを切断させて、単票紙CPが媒体Pから切り離された後に、搬送部48に単票紙CPを筐体部12外に排出させる。すなわち、印刷物OPが出力される。
【0191】
ステップS504において、
図3に示すように、制御部53は印刷部54に、媒体Pの先端が第1挟持ローラー対59に挟持された状態で片面印刷を開始させる。
本実施形態における媒体Pの片面印刷においては、媒体Pの端部はロール体RPの巻き癖によって、媒体Pが支持部65上を通過するときに、液体噴射部64側にカールしており、Z方向の変形量が最も大きいのは媒体Pの先端である。そのため、搬送部48に媒体Pの先端を第1挟持位置よりも下流の位置である印刷開始位置P1へ位置させた状態で、印刷部54に第1面の印刷を開始させる。すなわち、媒体Pの先端のカールが第1挟持ローラー対59によって抑えられる。そのため、キャリッジ63が幅方向Xへ走査するときに、媒体Pの先端部がノズル面64cに接触する虞が低減する。
【0192】
また、制御部53は、搬送方向D3において媒体Pの先端位置が最下流ノズル64bの位置よりも下流に位置する状態で、印刷部54に片面印刷を開始する。そのとき、最下流ノズル64bから最上流ノズル64aまでのどのノズルから液体が噴射された場合にも、液体は媒体Pの表面に到達し、第1面の印刷領域の開始位置である第2端82を媒体P上に形成される。そして制御部53は、最もZ方向の変形量が最も大きい媒体Pの先端が搬送方向D3において最下流ノズル64bの位置よりも下流に位置する状態で、印刷部54に印刷を開始させるため、キャリッジ63が幅方向Xへ走査するときに、媒体Pの先端部がノズル面64cに接触する虞が低減する。
【0193】
本実施形態の効果について説明する。
(11)第1面の印刷において、制御部53は搬送部48に、媒体Pの先端を搬送方向D3におけるノズル面64cの最下流ノズル64bと対向する位置よりも下流の位置である印刷開始位置P1に位置させ、先端が印刷開始位置P1に位置する媒体Pに、印刷部54に印刷領域の形成を開始させる。第1面はロール体RPの内周面である。媒体Pの端部はロール体RPの巻き癖によって液体噴射部64側にカールしており、Z方向の変形量が最も大きいのは媒体Pの先端である。搬送方向D3において媒体Pの先端位置が最下流ノズル64bの位置よりも下流に位置する状態で、印刷部54が第1面の印刷を開始するとき、最下流ノズル64bから最上流ノズル64aまでのどのノズルから液体が噴射された場合にも、液体は媒体Pの表面に到達し、第1面の印刷領域の開始位置である第2端82を媒体P上に形成することができる。そして制御部53は、媒体Pの先端が搬送方向D3において最下流ノズル64bの位置よりも下流に位置する状態で、印刷部54に第1面の印刷を開始させる。そのため、第1面の印刷において、キャリッジ63が幅方向Xへ走査するときに、媒体Pの先端部がノズル面64cに接触しにくいため、印刷品質が低下する虞を少なくすることができる。
【0194】
(12)搬送部48は、印刷部54よりも下流の第1挟持位置で媒体Pを挟持する第1挟持ローラー対59を有し、第1面の印刷において、媒体Pの先端が位置する印刷開始位置P1が挟持位置よりも下流である。第1面の印刷において、媒体Pの端部はロール体RPの巻き癖によって、媒体Pが支持部65上を通過するときに、液体噴射部64側にカールしており、Z方向の変形量が最も大きいのは媒体Pの先端である。制御部53は、搬送部48に媒体Pの先端を第1挟持位置よりも下流の位置である印刷開始位置P1へ位置させた状態で、印刷部54に第1面の印刷を開始させる。すなわち、媒体Pの先端のカールが第1挟持ローラー対59によって抑えられる。そのため、第1面の印刷において、キャリッジ63が幅方向Xへ走査するときに、媒体Pの先端部及び媒体面がノズル面64cに接触しにくいため、印刷品質が低下する虞を少なくすることができる。
【0195】
(13)制御部53は、両面印刷において、下流端である第2端82が媒体Pの端部から離間した位置にある第1印刷領域91を、第1面の印刷として印刷部54に形成させる。そして、第1印刷領域91よりも上流の位置で、媒体Pを切断部56に切断させ、印刷部54に媒体Pの第2面を印刷させた後に、第2端82で、媒体Pを切断部56に切断させる。第1面の印刷において、内周面が印刷されるときは、媒体Pの端部はロール体RPの巻き癖によって、媒体Pが支持部65上を通過するときに、液体噴射部64側にカールしており、Z方向の変形量が最も大きいのは媒体Pの先端である。制御部53が、第1面の第1印刷領域91が形成されるときに、印刷部54に媒体Pの先端に先端余白86を形成させることによって、最も変形量が大きい媒体Pの先端が、搬送方向D3において最下流ノズル64bの位置よりも下流に位置する状態で、第1面の印刷を開始することができる。そのため、第1面の印刷において、キャリッジ63が幅方向Xへ走査するときに、媒体Pの先端部がノズル面64cに接触しにくいため、印刷品質が低下する虞を少なくすることができる。
【0196】
(14)第2面の印刷において、制御部53は、搬送部48に媒体Pの先端を第1挟持位置よりも下流の位置である印刷開始位置P2へ位置させた状態で、印刷部54に第2面の印刷を開始させるため、ロール体RPの巻き癖が強いときも、媒体Pの先端のカールが第1挟持ローラー対59によって抑えられる。第2面の印刷において、媒体Pの先端が支持部65上を通過するとき、媒体Pの先端はロール体RPの巻き癖によって支持部65側にカールしようとするが、支持部65によってカールが抑えられる。しかし、ロール体RPの巻き癖が強く、媒体Pの先端のカールが大きいときには、カールによって媒体Pの先端部が液体噴射部64側に凸状となって支持部65上から浮き上がりやすい。媒体Pが支持部65上から浮き上がっていると、キャリッジ63が幅方向Xへ走査するときに、媒体Pの先端部が液体噴射部64のノズル面64cに接触する場合がある。制御部53は、第1端81と被切断位置97との距離が、最下流ノズル距離L2よりも大きくなるように、被切断位置97を設定する。このような設定により、搬送方向D3において、第1端81が最下流ノズル64bに対応する位置に位置するとき、第2面が鉛直上方に面するときの媒体Pの先端である被切断位置97が第1挟持位置より下流に位置する。そのため、被切断位置97が第1挟持位置より下流に位置する状態で、第1端81の位置に媒体Pの表裏で対応する位置に第4端84を形成することができる。したがって、第1印刷領域91に対して媒体Pの表裏で対応する位置に第2印刷領域92を形成する場合であっても、媒体Pの先端が第1挟持位置より下流に位置する状態で、第2印刷領域92の形成を開始することができる。そのため、第2面の印刷において、キャリッジ63が幅方向Xへ走査するときに、媒体Pの先端部及び媒体面がノズル面64cに接触しにくいため、印刷品質が低下する虞を少なくすることができる。
【0197】
(15)第2端82と基準端96との距離は、搬送方向D3における第2挟持ローラー対58の位置と最下流ノズル64bとの距離よりも大きいため、第2面の印刷において、媒体Pの後端のカールが第2挟持ローラー対58によって抑えられる。第2面の印刷において、媒体Pの先端が支持部65上を通過するとき、媒体Pの先端はロール体RPの巻き癖によって支持部65側にカールしようとするが、支持部65によってカールが抑えられる。しかし、ロール体RPの巻き癖が強く、媒体Pの先端のカールが大きいときには、カールによって媒体Pの先端部が液体噴射部64側に凸状となって支持部65上から浮き上がりやすい。媒体Pが支持部65上から浮き上がっていると、キャリッジ63が幅方向Xへ走査するときに、媒体Pの先端部が液体噴射部64のノズル面64cに接触する場合がある。第2面の印刷における媒体Pの後端は、第1面の印刷における先端である基準端96である。制御部53は、第2端82と基準端96との距離が、搬送方向D3における第2挟持ローラー対58の位置と最下流ノズル64bとの距離よりも大きくなるように、第1面の印刷開始位置P1を設定する。このような設定により、第2面が鉛直上方に面し、かつ、搬送方向D3において第2端82が最下流ノズル64bに対応する位置にあるとき、基準端96が第2挟持ローラー対58より上流に位置する。そのため、最下流ノズル64bから最上流ノズル64aまでのどのノズルから液体が噴射されて第2面の印刷領域の終了位置である第3端83が形成される場合にも、基準端96を第2挟持ローラー対58より上流に位置させた状態で、第2端82の位置に媒体Pの表裏で対応する位置に、第3端83を形成することができる。そして、第2面の印刷において、キャリッジ63が幅方向Xへ走査するときに、媒体Pの後端部がノズル面64cに接触しにくいため、印刷品質が低下する虞を少なくすることができる。
【0198】
(16)第1実施形態における(8)に記載したプリンター11の効果と同様の効果が第2実施形態においても得られる。
(17)第1実施形態における(9)に記載したプリンター11の効果と同様の効果が第2実施形態においても得られる。
【0199】
(18)第2実施形態におけるプリンター11の制御方法においても、(11)~(17)に記載したプリンター11の効果と同様の効果が得られる。
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0200】
・第2センサー73が媒体Pの先端が通過することを検知してから、第2挟持ローラー対58によって、媒体Pの先端が搬送方向D3において最下流ノズル64bの位置よりも下流側の位置に搬送されるための搬送量Mは、使用されるロール体RPの種類によって設定されてもよい。ロール体RPが備える媒体Pの種類や、ロール状に巻き回されたロール体RPがその中心に有する芯部材の直径によって媒体Pのカール量が異なる。すなわち、媒体Pのカールが大きいときは、媒体Pのカールが小さいときよりも搬送量が多く設定されないと、媒体Pの先端が搬送方向D3において最下流ノズル64bの位置よりも下流側の位置まで搬送されない場合がある。使用されるロール体RPの種類によって搬送量Mが設定されることによって、制御部53が、印刷部54に印刷を開始させるときに、搬送部48に媒体Pの先端を搬送方向D3において最下流ノズル64bの位置よりも下流側の位置まで搬送することができる。
【0201】
・第2センサー73が媒体Pの先端が通過することを検知してから、第2挟持ローラー対58によって、媒体Pの先端が搬送方向D3において最下流ノズル64bの位置よりも下流側の位置に搬送されるための搬送量Mは、使用される媒体Pのカール量が検知されることによって、設定されてもよい。第2センサー73の近傍にカール量を測定するセンサーが設けられ、制御部53は、そのセンサーの出力に応じて搬送量Mを決定してもよい。
【0202】
・第2センサー73が媒体Pの先端が通過することを検知してから、第2挟持ローラー対58によって、媒体Pの先端が搬送方向D3において最下流ノズル64bの位置よりも下流側の位置に搬送されるための搬送量Mは、使用されるロール体RPの外径が検知されることによって、設定されてもよい。ロール状に巻き回されたロール体RPの外径によって媒体Pのカール量が異なるため、ロール体RPが使用され、外径が小さくなるに伴ってカール量が大きくなる。そのため、ロール状に巻き回されたロール体RPの外径を検知するセンサーが設けられ、制御部53は、そのセンサーの出力に応じて搬送量Mを決定してもよい。
【0203】
・
図9に示すように、両面印刷においては、第1面の印刷領域の開始位置と第2面の印刷領域の終了位置とが、媒体の表裏で対応する位置となり、第1面の印刷領域の終了位置と第2面の印刷領域の開始位置とが媒体の表裏で対応する位置となる場合だけではない。例えば、第2面は印刷画像領域内の一部の領域しか印刷されず、第2面の印刷画像領域内の先端余白量の上流側には印刷しない領域が続いている場合がある。このとき、第2面の先端余白88はこの印刷しない領域の分だけ余分に確保される。すなわち、制御部53は、この印刷しない領域の分だけ第1端81に近づいた被切断位置97で、媒体Pを切断部56に切断させてもよい。これによって、媒体Pから切断される切断片WPの量が少なくなるため、1枚の印刷における媒体Pの使用量を少なくすることができる。
【0204】
・媒体Pの先端が第1挟持ローラー対59に到達したことを検知するセンサーが設けられてもよい。第1挟持ローラー対59の下流側かつ第1挟持ローラー対59の近傍に、用紙を検知するセンサーを設け、媒体Pの先端が第1挟持ローラー対59の下流に到達したことを、そのセンサーが検知してもよい。また、第1挟持ローラー対59に媒体Pの厚さを検知するセンサーを設け、媒体Pの先端が第1挟持ローラー対59に挟持されたことを、そのセンサーが検知してもよい。そのセンサーが媒体Pの先端が第1挟持ローラー対59に挟持されたことを検知した状態で、印刷を開始することによって、キャリッジが幅方向Xへ走査するときに、媒体Pの先端部及び媒体面がノズル面に接触しにくいため、印刷品質が低下する虞を少なくするとともに、先端の余白の長さを短くすることができる。
【0205】
・本実施形態においては、第1挟持位置や第2挟持位置で媒体Pが挟持されるのはローラー対であるが、媒体Pを挟持する方法はローラー対でなくてもよい。例えば、ローラーと搬送面50との間で媒体Pが挟持されてもよいし、ベルト対によって媒体Pが挟持されてもよいし、ベルトと搬送面50との間で媒体Pが挟持されてもよい。
【0206】
・第1挟持ローラー対59と最下流ノズル64bとの距離である最下流ノズル距離L2と、第2挟持ローラー対58と最上流ノズル64aとの距離が同じになるように設定されてもよい。最下流ノズル64bから噴射される液体によって第1面または第2面の印刷領域の開始位置が決まり、最上流ノズル64aから噴射される液体によって第1面または第2面の印刷領域の終了位置が決まる。そのときに、印刷開始において媒体Pの先端が第1挟持ローラー対59を通過した長さと、第2面の印刷終了において媒体Pの後端が第2挟持ローラー対58を通過していない長さとを同じにできる。
【0207】
・本実施形態においては、排出ローラー対62は単独で正逆の両方向に回転し停止する構成となっているが、排出ローラー対62が単独で回転するのではなく、第2挟持ローラー対58、第1挟持ローラー対59、搬送ローラー対60と、同期して回転してもよい。特に、切断片WPがさらに細断されない場合には、媒体Pの先端から切断片WPを切断して分離した後に、上刃の位置が切断位置の状態で、排出ローラー対62によって切断片WPが上流に搬送されることによって、切断片WP落下して収容容器17に収容される。また、単票紙CPの後端から切断片WPを切断して分離した後も、上刃の位置が切断位置の状態で、排出ローラー対62によって切断片WPが上流に搬送されることによって、切断片WP落下して収容容器17に収容される。そのため、切断片WPの端部と単票紙CPの端部とが当たる虞がない。
【0208】
・本実施形態においては、切断片WPは2つに細断されるが、細断数は2つに限定されない。切断片WPはさらに細かく裁断されてもよい。搬送ローラー対60と切断部56との距離と、排出ローラー対62と切断部56との距離とを小さく設定することによって、切断片WPはさらに細かく裁断されることができる。
【0209】
・本実施形態においては、排出ローラー対62が細断片SPを上刃の表面に沿って下方に落下させるために、排出ローラー対62は鉛直方向Zに対して角度を有してニップする構成となっているが、切断部56の下流側にローラー対を複数設け、確実に下方に細断片SPが搬送される構成としてもよい。また、排出ローラー対62が細断片SPを上刃の表面に沿って下方に落下させるときに、上刃の表面であって排出ローラー対62によって細断片SPの上流端が当たる箇所に斜面を設け、細断片SPの上流端がその斜面に沿うことによって、細断片SPが下方に搬送される構成としてもよい。
【0210】
・本実施形態においては、制御部53は、第1センサー71と第2センサー73の2つのセンサーによって、媒体Pの位置を制御するが、媒体Pを検知するセンサーの位置や数は限定されない。例えば、第2センサー73の位置は、ピンチローラー67,68,69の近傍であってもよい。本実施形態においては、プリンター11は、第2挟持ローラー対58と液体噴射部64との間の位置であって、かつ第2挟持ローラー対58の近傍に、第2センサー73を有するため、印刷位置を正確に制御することができる。また、制御部53が媒体Pの先端を待機位置により正確に停止させるためのセンサーが搬出口42の近傍に設けられてもよいし、制御部53が媒体Pを切断位置により正確に停止させるためのセンサーが切断部56の上流であってかつ切断部56の近傍に設けられてもよい。
【0211】
以下に、上述した実施形態及び変更例から把握される技術的思想及びその作用効果を記載する。
(A)プリンターは、ロール状に巻き回された状態から繰り出された媒体を搬送方向に搬送する搬送部と、前記搬送部に搬送される前記媒体にノズル面が対向しない位置に移動可能な印刷部と、前記搬送部と前記印刷部とを制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記ロール状に巻き回された状態のときに内側に位置する前記媒体の内周面が印刷される内周面印刷のときに、前記印刷部が前記搬送部に搬送される前記媒体にノズル面が対向しない位置にある状態で、前記搬送部に、前記媒体の先端を前記搬送方向における前記ノズル面の最下流ノズルと対向する位置よりも下流の位置である印刷開始位置に位置させ、前記先端が印刷開始位置に位置する前記媒体に、前記印刷部に印刷領域の形成を開始させる。
【0212】
この構成によれば、媒体の先端位置が最下流ノズルよりも下流に位置する状態で印刷部による印刷領域の形成が開始される。内周面が印刷されるときは、媒体の先端はロール体の巻き癖によってノズル面側にカールする。そして、変形量が最も大きいのは媒体の先端である。そのため、変形量が最も大きい部分が、キャリッジが走査するときにノズル面のうちインクが吐出される領域が通過しない位置にある状態で、印刷が開始される。したがって、キャリッジが走査するときに、媒体の先端部がノズル面に接触しにくいため、印刷品質が低下する虞を少なくすることができる。
【0213】
(B)上記プリンターにおいて、前記搬送部は、前記印刷部よりも下流の挟持位置で前記媒体を挟持する挟持ローラーを有し、前記印刷開始位置が前記挟持位置よりも下流であってもよい。
【0214】
この構成によれば、媒体の先端位置が挟持位置よりも下流に位置する状態で、制御部は、印刷を開始する。このため、媒体の先端のカールが挟持ローラーによって抑えられた状態で、印刷部による印刷領域の形成が開始される。したがって、キャリッジが走査するときに、媒体の先端部がノズル面に接触しにくいため、印刷品質が低下する虞を少なくすることができる。
【0215】
(C)上記プリンターにおいて、前記媒体を切断する切断部を備え、前記制御部は、前記印刷部によって前記媒体の第1面と、前記第1面が印刷された前記媒体の第2面と、を印刷する両面印刷を行い、前記内周面は前記第2面であり、前記制御部は、前記両面印刷において、前記切断部に、前記印刷部によって前記第1面に形成された第1印刷領域の上流端である第1端よりも上流の被切断位置で、前記媒体を切断させ、前記第1端と前記被切断位置との距離は、前記印刷部の最上流ノズルと最下流ノズルとの距離よりも大きくてもよい。
【0216】
この構成によれば、第1面の印刷において第1印刷領域の第1端と被切断位置との間に余白が設けられ、第1面の印刷の後に、当該被切断位置を媒体の先端にして、内周面の印刷としての第2面の印刷が行われる。すなわち、この構成において、ノズル面側へのカールの変形量が最も大きいのは、第1面の被切断位置である。したがって、第1端と被切断位置との距離が、最上流ノズルと最下流ノズルとの距離よりも大きくなるように制御されることによって、第2面の印刷において、第1端が最上流ノズルと最下流ノズルとの間に位置するときに、ノズル面側へのカールの変形量が最も大きい非切断位置が搬送方向において最下流ノズルよりも下流に位置する。つまり、第2面の印刷において、第1印刷領域に表裏で対応する位置に印刷領域を形成するとき、最下流ノズルから最上流ノズルまでのどのノズルから液体が噴射されて第2面の印刷が開始される場合にも、媒体先端が最下流ノズルより下流に位置する状態で、印刷を開始することができる。したがって、第2面の印刷において、キャリッジが走査するときに、媒体の先端部がノズル面に接触しにくいため、印刷品質が低下する虞を少なくすることができる。
【0217】
(D)上記プリンターにおいて、前記制御部によって制御され、前記媒体を切断する切断部を備え、前記制御部は、前記印刷部によって前記媒体の第1面と、前記第1面が印刷された前記媒体の第2面と、を印刷する両面印刷を行い、前記内周面は前記第1面であり、前記制御部は、前記両面印刷において、下流端である第2端が前記媒体の端部から離間した位置にある第1印刷領域を、前記第1面の印刷として前記印刷部に形成させ、前記第1印刷領域よりも上流の位置で、前記媒体を前記切断部に切断させ、前記印刷部に前記媒体の前記第2面を印刷させた後に、前記第2端で、前記媒体を前記切断部に切断させてもよい。
【0218】
この構成によれば、第1面の印刷において、ノズル面側へのカールの変形量が最も大きい媒体の先端を最下流ノズルより下流に位置させた状態で印刷を開始することにより、媒体の先端と第1印刷領域との間に形成される余白が、第2面の印刷が行われた後に、切除される。したがって、第1面の印刷においてキャリッジが走査するときに、媒体とノズル面のうちインクが吐出される領域とが接触する虞を低減しながら、余白が切除された印刷物を取得することができる。
【0219】
(E)上記プリンターにおいて、前記媒体は、前記内周面にインク受容層を有する媒体であってもよい。
インク受容層は媒体の表面近くで染料を固定するため発色性に優れた印刷物を出力することができる。しかしながら、インク受容層を外側にして媒体が湾曲されると、インク受容層に割れが発生する虞がある。特にロール体から巻き出される媒体は、ロール体として保持された状態における湾曲方向と逆方向に湾曲させることにより、巻き癖によるカールが矯正される。そのため、ロール体の内周面にインク受容層を有する場合に、インク受容層の割れ発生を防ぎながら、十分にカールを矯正することは困難である。この構成によれば、媒体にある程度のカールがあっても、インクジェット方式の印刷部によって媒体を印刷するときに媒体がノズル面に接触しにくいため、インク受容層を内周面に有する媒体においても、印刷品質が低下する虞を少なくすることができる。
【0220】
(F)上記プリンターにおいて、前記媒体は、前記第1面および前記第2面にインク受容層を有する媒体であってもよい。
媒体が第1面と第2面との両方にインク受容層を有すると、カールを矯正するときに第1面と第2面とのいずれかを外側にして湾曲される。そのため、インク受容層の割れ発生を防ぎながら、十分にカールを矯正することは困難である。この構成によれば、媒体にある程度のカールがあっても、インクジェット方式の印刷部によって媒体の第1面および第2面を印刷するときに媒体がノズル面に接触しにくいため、インク受容層を第1面と第2面とに有する媒体においても、印刷品質が低下する虞を少なくすることができる。
【0221】
(G)プリンターの制御方法は、ロール状に巻き回された状態から繰り出された媒体を搬送方向に搬送する搬送部と、前記搬送部に搬送される前記媒体にノズル面が対向しない位置に移動可能な印刷部と、前記搬送部と前記印刷部とを制御する制御部と、を備えるプリンターの制御方法であって、前記ロール状に巻き回された状態のときに内側に位置する前記媒体の内周面が印刷される内周面印刷において、前記印刷部が前記搬送部に搬送される前記媒体にノズル面が対向しない位置にある状態で、前記媒体の先端を前記搬送方向における前記ノズル面の最下流ノズルと対向する位置よりも下流の位置である印刷開始位置に位置させることと、前記先端が前記印刷開始位置に位置する前記媒体に、前記印刷部による印刷領域の形成を開始することと、を含む。
【0222】
この方法によれば、上記(A)と同様の作用効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0223】
11…プリンター、12…筐体部、13…第1収容部、14…第2収容部、15…第3収容部、16…引き出しユニット、17…収容容器、18…開閉カバー、19…回動軸、20…フレーム部材、21…排出口、22…案内部、23…下端側凹部、24…凹み部、25…開口部、26…外壁部、27…内壁部、28…収容部、29…受容口、30…側壁、31…内壁、32…湾曲壁、33…係合凸部、34…金属片、35…前板部、36…支持凹部、37…磁石、38…手掛部、39…底壁、40…搬入口、41…繰出部、42…搬出口、43…側壁部、44…挿入口、45…経路形成部材、46…ガイド孔、47…位置決め部材、48…搬送部、49…搬送路、50…搬送面、51…搬送ローラー対、52…搬送ローラー対、53…制御部、54…印刷部、55…スイッチバック搬送路、56…切断部、57…搬送ローラー対、58…第2挟持ローラー対、58a…第2挟持ローラー、59…第1挟持ローラー対、59a…第1挟持ローラー、60…搬送ローラー対、60a…搬送ローラー、61…中間ローラー、62…排出ローラー対、63…キャリッジ、64…液体噴射部、64a…最上流ノズル、64b…最下流ノズル、64c…ノズル面、65…支持部、67…ピンチローラー、68…ピンチローラー、69…ピンチローラー、70…分岐路、71…第1センサー、72…ヒーター、73…第2センサー、81…第1端、82…第2端、83…第3端、84…第4端、86…先端余白、86a…余白距離、87…後端余白、87a…余白距離、88…先端余白、88a…余白距離、89…後端余白、89a…余白距離、91…第1印刷領域、92…第2印刷領域、96…基準端、97…被切断位置、CP…単票紙、CR…回転中心、D1…引き出し方向、D2…落下方向、D3…搬送方向、L1…最上流ノズル距離、L2…最下流ノズル距離、L3…ノズル間距離、M…搬送量、OP…印刷物、P…媒体、P1…印刷開始位置、P2…印刷開始位置、RP…ロール体、SP…細断片、WP…切断片、X…幅方向、Y…奥行き方向、Z…鉛直方向。