(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-08
(45)【発行日】2024-05-16
(54)【発明の名称】照明器具
(51)【国際特許分類】
F21V 31/03 20060101AFI20240509BHJP
F21V 31/00 20060101ALI20240509BHJP
F21S 2/00 20160101ALI20240509BHJP
F21V 15/01 20060101ALI20240509BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20240509BHJP
F21W 131/101 20060101ALN20240509BHJP
【FI】
F21V31/03 100
F21V31/00 100
F21S2/00 630
F21V15/01 380
F21Y115:10
F21W131:101
(21)【出願番号】P 2020062325
(22)【出願日】2020-03-31
【審査請求日】2022-10-13
(73)【特許権者】
【識別番号】723014807
【氏名又は名称】岩崎電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】弁理士法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】北原 隆之
【審査官】土谷 秀人
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-114829(JP,A)
【文献】実開平7-41822(JP,U)
【文献】実開昭61-144501(JP,U)
【文献】特開2007-186189(JP,A)
【文献】特開2018-37239(JP,A)
【文献】米国特許第5904414(US,A)
【文献】特開平5-298904(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21K 9/00 - 9/90
F21S 2/00 - 45/70
F21V 1/00 - 15/04
F21V 23/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
通気口が形成された器具本体を有する照明器具において、
前記通気口を覆う防水通気膜と、前記器具本体に固定される押さえ部材と前記器具本体とに挟み込まれるパッキンとを備え、
前記パッキンには、
前記防水通気膜を通して前記器具本体内部の気体を外部に通気させる通気路
と、
前記器具本体側に位置する第一の面と、
前記押さえ部材側に位置する第二の面と、
前記第一の面と前記第二の面とを繋げる貫通孔と、
が設けられ、
前記パッキンは、前記貫通孔を含む当該パッキンの全体で、前記防水通気膜で覆われる前記通気口を覆い、
前記パッキンの前記第一の面及び前記第二の面の少なくとも一面には、前記貫通孔に連結された通気溝が形成され、前記通気溝の少なくとも一部が前記器具本体もしくは前記押さえ部材に覆われて前記通気路の一部が形成されている
ことを特徴とする照明器具。
【請求項2】
前記パッキンは、複数の前記貫通孔と、複数の前記通気路を有し、複数の前記防水通気膜を覆っている
ことを特徴とする
請求項1に記載の照明器具。
【請求項3】
前記器具本体に前記押さえ部材が固定された状態において、前記通気路は、前記器具本体の上下方向に対して直交する方向に開口する
ことを特徴とする請求項1
または請求項2に記載の照明器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、筐体と、当該筐体の内部に収められた光源とを備え、屋外に設置される照明器具が知られている。このような照明器具には、筐体の内部に雨等の水が入り込むことを抑制しつつ、光源の点灯、及び消灯による筐体内部における圧力変動の緩和や、結露の防止等のために、筐体に通気孔を設け、当該通気孔を防水通気膜で覆ったものが知られている(例えば、特許文献1参照)。この防水通気膜は、空気を通し、水を通さない部材であり、この照明器具は、当該防水通気膜が設けられることによって、筐体の通気性と、防水性とを得ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の照明器具では、防水通気膜が外部に露出しているため、雨や洗浄水等にさらされることで、劣化や脱落する虞があった。
本発明は、より確実に通気性と防水性とを維持できる照明器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、通気口が形成された器具本体を有する照明器具において、前記通気口を覆う防水通気膜と、前記器具本体に固定される押さえ部材と前記器具本体とに挟み込まれるパッキンとを備え、前記パッキンには、前記防水通気膜を通して前記器具本体内部の気体を外部に通気させる通気路と、前記器具本体側に位置する第一の面と、前記押さえ部材側に位置する第二の面と、前記第一の面と前記第二の面とを繋げる貫通孔と、が設けられ、前記パッキンは、前記貫通孔を含む当該パッキンの全体で、前記防水通気膜で覆われる前記通気口を覆い、前記パッキンの前記第一の面及び前記第二の面の少なくとも一面には、前記貫通孔に連結された通気溝が形成され、前記通気溝の少なくとも一部が前記器具本体もしくは前記押さえ部材に覆われて前記通気路の一部が形成されていることを特徴とする。
【0008】
本発明は、上記照明器具において、前記パッキンは、複数の前記貫通孔と、複数の前記通気路を有し、複数の前記防水通気膜を覆っていることを特徴とする。
【0009】
本発明は、上記照明器具において、前記器具本体に前記押さえ部材が固定された状態において、前記通気路は、前記器具本体の上下方向に対して直交する方向に開口することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、より確実に通気性と防水性とを維持できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の実施形態に係る照明器具の構成を示す斜視図である。
【
図3】器具本体と取付板との取付構造を示す分解斜視図である。
【
図4】パッキンの構成を示す図であり、(A)は、第一面側から視た平面図、(B)は、第二面側から視た平面図、(C)は、側面図である。
【
図5】本発明の変形例に係る照明器具の正面図である。
【
図6】変形例の照明器具の連結構造を示す分解斜視図である。
【
図7】本発明の他の変形例に係る照明器具の斜視図である。
【
図8】筐体とパチン錠との取付構造を示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る照明器具1の構成を示す斜視図である。
図2は、照明器具1の背面図である。
照明器具1は、道路が延びるトンネルの天井面や壁面に設置され、道路の路面を照明するトンネル照明器具である。
図1、
図2に示すように、照明器具1は、器具本体10と、一対の取付板50と、一対のパッキン60(
図3)とを備えている。本実施形態では、各取付板50が押さえ部材に相当する。
【0013】
器具本体10は、筐体12を有する。筐体12は、直方体状に成形された箱状の部材であり、本実施形態の筐体12は、アルミニウムなどの高熱伝導性を有する材料で形成されている。この筐体12の前面には、開口部14が設けられている。開口部14は、筐体12の前面が全面に亘って開口することで形成されており、当該開口部14には、前面カバー20が設けられている。前面カバー20は、光を通す透明板材であり、例えばガラス材から形成されている。本実施形態の前面カバー20は、開閉不能な状態、所謂「はめ殺し」の状態で筐体12に設けられている。
【0014】
筐体12の長手方向に位置する一方の側面には、ケーブルグランド22が設けられており、当該ケーブルグランド22には、電力ケーブル24が接続されている。ケーブルグランド22は、電力ケーブル24を筐体12の内部に防水性を確保しつつ引き込む引込口である。電力ケーブル24は、トンネルに既設のケーブルであり、外部電力を照明器具1に供給する。
【0015】
筐体12の長手方向に直交する方向に位置する一方の側面には、側面開口16が設けられている。側面開口16は、筐体12の側面の一部が矩形に開口することで形成され、筐体12の内部と外部とを連通させている。この側面開口16は、側面蓋30によって閉塞されている。
側面蓋30は、矩形に成形された平板状の部材であり、当該側面蓋30の縁部には、全周に亘って蓋部パッキン32が設けられている。蓋部パッキン32は、弾性変形可能な樹脂材等で形成されている。蓋部パッキン32は、側面蓋30の一方の平面から他方の平面にまで回り込んで形成され、側面蓋30の縁部を覆っている。
【0016】
本実施形態の蓋部パッキン32は、複数のねじ部材40によってねじ止めされることで、側面開口16を覆いつつ、筐体12に取り付けられる。このとき、蓋部パッキン32は、筐体12の側面と、側面蓋30によって挟み込まれてつぶれ、これによって、側面開口16と側面蓋30との間を閉塞する。このため、側面開口16と側面蓋30との隙間から塵や水等が侵入することが抑制され、照明器具1の防水性が高められる。
【0017】
側面蓋30の筐体12に接する平面には、バッテリ26が取り付けられている。バッテリ26は、電力ケーブル24からの給電が停止したときに駆動電力を照明器具1に供給する蓄電部として機能する部材であり、本実施形態のバッテリ26は、側面蓋30に保持されている。
側面蓋30を筐体12に取り付けて側面開口16を閉塞する場合、バッテリ26は、側面開口16を通って筐体12の内部に配置される。側面蓋30を筐体12から取り外して側面蓋30を開放する場合、バッテリ26は、側面開口16を通って筐体12から引き出される。
このように、照明器具1は、筐体12から側面蓋30の開閉に伴って、筐体12からのバッテリ26の出し入れを容易に行うことができ、バッテリ26の交換が容易である。
なお、側面蓋30には、バッテリ26に限らず、例えば制御装置や電源回路、端子台等の他の部材が保持されていてもよい。
【0018】
筐体12の内部には、光源ユニット28が収められている。本実施形態の光源ユニット28は、発光素子の一例であるLEDと、反射鏡とを備えている。
光源ユニット28のLEDが発光すると、当該発光光は、反射鏡によって反射された後に、開口部14から出射して道路を照明する。すなわち、開口部14は、照明器具1の照射光の出射開口として機能する。
なお、光源ユニット28は、LEDに限らず、HIDランプ等の他の光源を備えていてもよい。
【0019】
図3は、器具本体10と取付板50との取付構造を示す分解斜視図である。
図3に示すように、筐体12の背面において、長手方向に位置する各側面に接近した箇所のそれぞれには、通気孔18(通気口)が設けられている。各通気孔18は、筐体12の内部と外部とを連通させる貫通孔であり、これらの通気孔18を介して筐体12の内部に空気が出入りすることで、筐体12の内部の圧力変動の緩和や、結露の防止等が行われる。
【0020】
各通気孔18は、いずれも防水通気膜34によって、筐体12の外側面側が覆われている。
防水通気膜34は、空気の通過を許容し、水分子の透過を抑制する薄い膜体である。この防水通気膜34は、例えばフッ素樹脂やポリエチレン樹脂、あるいは金属といった材料が多孔質化されたものである。
防水通気膜34は、一方の面に粘着材が塗布されており、当該防水通気膜34は、この粘着材によって、通気孔18を覆いつつ、筐体12の外側面に貼り付けられる。
各通気孔18は、これらの防水通気膜34によって、空気の出入りを可能にしつつ、雨等の水の侵入を抑制することが可能である。すなわち、筐体12は、これらの防水通気膜34によって、防水性を低下させることなく、各通気孔18における通気性を維持可能である。
筐体12の背面には、筐体12の長手方向に直交する方向に沿って、各通気孔18のそれぞれの両側に配置された一対のねじ孔19が設けられている。
【0021】
一対の取付板50は、筐体12の背面において、長手方向に位置する各側面に接近した箇所のそれぞれに取り付けられる板状の部材であり、器具本体10は、当該取付板50を介してトンネルの天井面や壁面等といった設置面に設置される。本実施形態の取付板50は、金属材によって形成されている。
取付板50の一方の端部側には、一対の設置面取付孔52が設けられている。これらの設置面取付孔52に挿通された所定の締結部材が設置面に締結されることで取付板50が設置面に固定され、これによって、照明器具1は、設置面に設置される。なお、設置面取付孔52は、形状の異なるものが複数設けられていてもよい。
【0022】
取付板50の他方の端部側には、一対の筐体取付孔54が設けられている。これらの筐体取付孔54は、取付板50が筐体12に取り付けられたときに、ねじ孔19に対応する位置に配置されている。
以下、取付板50の器具本体10側に位置する平面を取付面56とする。
【0023】
各取付板50は、いずれもパッキン60を介して筐体12の背面に取り付けられる。すなわち、これらの平板状のパッキン60は、筐体12の背面と、各取付板50とに挟み込まれるようにして固定される。このため、各取付板50は、各パッキン60を筐体12の背面に押し付ける、押さえ部材として機能する。
【0024】
図4は、パッキン60の構成を示す図であり、
図4(A)は、パッキン60の第一面60A側から視た平面図、
図4(B)は、パッキン60の第二面60B側から視た平面図、
図4(C)は、パッキン60の側面図である。なお、
図4(A)、
図4(B)において、防水通気膜34の位置を一点鎖線で示している。
図4に示すように、パッキン60は、略矩形の平板状に形成されており、当該パッキン60は、弾性変形可能な樹脂材で形成されている。以下、パッキン60が有する一対の平面の内、筐体12の背面に接する面を第一面60Aとし、取付板50に接する面を第二面60Bとする。
【0025】
パッキン60の長手方向に直交する方向における一方の縁部には、第二面60B側が第一面60A側よりもパッキン60の長手方向に直交する方向にそって延びて形成された延長部62が設けられている。また、この縁部において、第一面60Aと延長部62とを繋ぐ傾斜面64が設けられている。この傾斜面64は、パッキン60の側方に位置している。
【0026】
パッキン60の長手方向における略中央部には、貫通孔70が設けられている。貫通孔70は、第一面60Aと第二面60Bとを繋げるものであり、当該貫通孔70は、パッキン60が筐体12と取付板50とに挟み込まれたときに通気孔18に対応する位置に設けられている。
なお、この貫通孔70は、通気孔18に対応する位置であれば、パッキン60の長手方向における略中央部に限らず、どの位置に設けられていてもよい。
【0027】
パッキン60の第一面60Aには、一対の通気溝72が設けられている。各通気溝72は、第一面60A側が開放されており、各通気溝72の一方の端部は、いずれも貫通孔70に接続されている。各通気溝72は、貫通孔70から、パッキン60の長手方向に沿って、それぞれが逆方向に延びた後、傾斜面64に設けられた開口部74に接続される。すなわち、各通気溝72の他方の端部は、傾斜面64に設けられた開口部74に接続されている。
【0028】
パッキン60の第二面60Bには、通気溝76が設けられている。通気溝76は、第二面60B側が開放されており、通気溝76の一方の端部は、貫通孔70に接続されている。通気溝76は、貫通孔70から、パッキン60の長手方向に直交する方向に沿って、延長部62に向かって延びた後、傾斜面64に設けられた開口部78に接続される。すなわち、通気溝76の他方の端部は、傾斜面64に設けられた開口部78に接続されている。
【0029】
パッキン60には、当該パッキン60の長手方向に沿って、貫通孔70の両側に配置された一対の挿通孔66が設けられている。また、第二面60Bには、各挿通孔66から突出する挿通管68が設けられている。各挿通管68は、内周面が各挿通孔66に連続している管状に形成されている。
【0030】
器具本体10に各取付板50(押さえ部材)を取り付けるときには、まず、各取付板50の筐体取付孔54のそれぞれに、パッキン60の各挿通管68を挿通させ、取付面56と第二面60Bとを密着させる。次いで、各挿通孔66のそれぞれの位置を各ねじ孔19の位置に対応させる。そして、筐体取付孔54と、各挿通孔66と、各ねじ孔19とにねじ部材42を挿通することで、器具本体10と各取付板50とを締結する。
これによって器具本体10に各取付板50(押さえ部材)が取り付けられる。このとき、各開口部74、78は、いずれも器具本体10の長手方向に沿った方向に開口している。
【0031】
本実施形態の照明器具1は、上述の通り、トンネル内の道路を照明するものであり、当該照明器具1は、長手方向に直交する方向に位置する側面が上下に位置するように設置面に固定される。
【0032】
上述の通り、筐体12と、各取付板50との間には、パッキン60が挟み込まれている。これによって、筐体12と各取付板50とが接触することによる塗装の剥離や、腐食の移り等が抑制される。
また、パッキン60は、筐体12と、各取付板50とを締結する各ねじ部材42を覆っている。このため、水等が各ねじ部材42に付着して腐食することが抑制される。すなわち、パッキン60は、各ねじ部材42の防水部材として機能する。
【0033】
パッキン60は、防水通気膜34で覆われた通気孔18を覆っている。これによって、防水通気膜34に直接水が接触することが抑制される。このため、当該防水通気膜34の脱落や劣化が抑制され、照明器具1の防水性(水密性)を向上させつつ、より確実に維持できる。
【0034】
上述の通り、パッキン60には、通気孔18に対応する箇所に貫通孔70が設けられている。そして、この貫通孔70には、一対の通気溝72と、通気溝76が接続されている。これらの通気溝72、76は、それぞれ開口部74、78に接続されている。すなわち、通気孔18は、パッキン60に覆われながら、貫通孔70と、一対の通気溝72と、通気溝76とによって、外部に連通されている。
これによって、筐体12は、通気孔18と、貫通孔70と、一対の通気溝72と、通気溝76とを介して筐体12の内部に空気が出入りすることが可能となっている。このため、照明器具1は、防水性を向上させつつ、通気性を確保することができる。すなわち、各通気溝72、76は、防水通気膜34を外部に連通させる通気路として機能する。
【0035】
上述の通り、各通気溝72、76は、パッキン60に設けられた溝形状であり、これらの通気溝72、76は、筐体12の背面と、取付板50(押さえ部材)とによって、開放されている上面全体が閉塞されることで通気路として機能する。
このように、本実施形態では、筐体12の背面と、一対の取付板50(押さえ部材)とで挟み込まれるパッキン60に溝を設けることで、パッキン60に複雑な加工を施すことなく、容易に通気路を形成することができる。
【0036】
また、通気孔18には、一対の通気溝72と、通気溝76との複数の通気路が接続されている。これによって、一対の通気溝72と、通気溝76のいずれかに水や塵などが入った場合であっても、他の通気溝によって、筐体12の通気性が維持される。さらに、一対の通気溝72と、通気溝76のいずれかに水が入り込んだ場合、他の通気溝が水抜きとして機能する。
【0037】
上述の通り、照明器具1は、長手方向に直交する方向に位置する側面が上下に位置するように設置面に固定される。
すなわち、各開口部74、78は、設置状態における器具本体10の上下方向に対して直交する方向(交差する方向)に向かって開口する。
【0038】
ここで、トンネルでは、トンネル壁面を洗浄するための高圧洗浄水が道路側から放水される。このため、高圧洗浄水は、照明器具1の下方から放水される。
これによって、本実施形態の照明器具1では、各開口部74、78は、設置状態における器具本体10の上下方向に対して直交する方向に向かって開口しているため、下方から放水される高圧洗浄水が当該開口部74、78に入り込むことが抑制される。さらに、上方から垂れ落ちた水滴が各開口部74、78に入り込むことが抑制される。
【0039】
以上説明したように、本実施形態によれば、通気孔18が形成された器具本体10を有する照明器具1は、通気孔18を覆う防水通気膜34と、器具本体10に固定される取付板50(押さえ部材)と器具本体10とに挟み込まれるパッキン60とを備えている。そして、パッキン60には、防水通気膜34を通して器具本体10の内部の気体を外部に通気させる一対の通気溝72と、通気溝76とが設けられている構成とした。
これによれば、通気孔18と防水通気膜34とは、パッキン60に覆われながら、貫通孔70と、一対の通気溝72と、通気溝76とによって、外部に連通されている。
このため、筐体12は、通気孔18と、貫通孔70と、一対の通気溝72と、通気溝76とを介して筐体12の内部に空気が出入りすることが可能となり、照明器具1は、より確実に防水性と通気性とを維持することができる。
【0040】
また、本実施形態によれば、照明器具1が取付板50(押さえ部材)に取り付けられた状態において、一対の通気溝72と、通気溝76とが連通する開口部74、78は、器具本体10の上下方向に対して直交する方向に開口する構成とした。
これによれば、下方から放水される高圧洗浄水や、上方から垂れ落ちた水滴が当該開口部74、78に入り込むことが抑制される。このため、照明器具1は、通気性を確保しつつ、防水性を向上させることができる。
【0041】
また、本実施形態によれば、パッキン60の器具本体10側に位置する第一面60Aには、一対の通気溝72が設けられ、パッキン60の取付板50側に位置する第二面60Bには、第一面60Aと第二面60Bとを繋げる貫通孔70に連通する通気溝76が形成されている構成とした。
これによって、一対の通気溝72と、通気溝76のいずれかに水や塵などが入った場合であっても、他の通気溝72、76によって、筐体12の通気性が維持される。
【0042】
次に本発明の変形例について説明する。
図5は、本発明の変形例に係る照明器具200の正面図である。
図6は、器具本体110と、器具本体210との連結構造を示す分解斜視図である。
図5において、
図1と同一部分には同一の符号を付して説明を省略する。
本変形例の照明器具200は、
図5に示すように、器具本体110と、器具本体210とを備えたトンネル照明器具であり、当該器具本体110は、
図6に示すように、長手方向に位置する一方の側面である連結端面113で器具本体210と連結されている。
【0043】
照明器具100の器具本体110は、上述した実施形態の照明器具1と略同一の構成を有している。この器具本体110は、筐体112を備えている。この筐体112は、筐体12と略同一の形状であり、この筐体112の内部には、照明器具1と同様の光源が納められ、透明板材である前面カバー120がはめ込まれた開口部114から光を放出する。
当該筐体112には、通気孔18に替えて、他の筐体212に接する側面である連結端面113に一対の通気孔118が設けられている。
通気孔118は、連結端面113の略中央から所定の間隔を空けて2つが設けられている。これらの通気孔118は、いずれも防水通気膜34によって覆われている。
【0044】
照明器具100の器具本体210は、他方の器具本体110の筐体112よりも長手方向の長さ寸法が短い筐体212を備えている。
この筐体212の前面には、開口部214が設けられている。当該開口部214は、容易に開閉可能な前面カバー220によって閉塞されている。筐体212の内部には、外部からの給電線を固定する端子台や定期交換が必要なバッテリが収められている。
【0045】
器具本体110と、器具本体210とは、筐体112、212の長手方向に位置し、隣り合って配置された各側面である連結端面同士がパッキン160を挟み込んだ状態で連結されている。
図6に示すように、パッキン160は、パッキン60と同様に、略矩形の平板状に形成され、弾性変形可能な樹脂材で形成されている。以下、パッキン160が有する一対の平面の内、筐体112の連結端面113に接する平面を第一面160Aとし、筐体212の側面に接する平面を第二面160Bとする。
【0046】
パッキン160の長手方向における略中央部には、当該パッキン160の長手方向に沿って、互いに所定の間隔を空けて、一対の貫通孔170が設けられている。各貫通孔170は、第一面60Aと第二面60Bとを繋げるものであり、当該貫通孔70は、パッキン160が筐体112と筐体212とに挟み込まれたときに通気孔118に対応する位置に設けられている。
【0047】
パッキン160の第二面160Bには、一対の通気溝172が設けられている。各通気溝172は、第二面160B側が開放されており、各通気溝172の一方の端部は、一対の貫通孔70にそれぞれが接続されている。各通気溝172は、貫通孔170から、パッキン60の長手方向に直交する方向に沿って、前面カバー120、220側に向かって延びた後、当該前面カバー120、220側に位置する縁部で外部に開口している。
また、パッキン160には、当該パッキン160の長手方向に沿って、一対の貫通孔170の外側に配置された一対の挿通孔166が設けられている。
【0048】
上述の通り、パッキン60は、筐体212の長手方向に位置する側面と、筐体112の連結端面113とに挟み込まれている。このパッキン160は、防水通気膜34で覆われた各通気孔118を覆っている。これによって、防水通気膜34に直接水が接触することが抑制される。
【0049】
また、パッキン160には、各通気孔118に対応する箇所のそれぞれに貫通孔170が設けられ、各貫通孔170には、それぞれ通気溝172が接続されている。各通気孔118は、パッキン160に覆われながら、各貫通孔170と、一対の通気溝172とによって、外部に連通されている。これによって、筐体112は、各通気孔118と、各貫通孔170と、一対の通気溝172と、を介して筐体112の内部に空気が出入りすることが可能となり、照明器具100は、防水性を向上させつつ、通気性を確保することができる。
【0050】
次に本発明の他の変形例について説明する。
図7は、本発明の他の変形例に係る照明器具300の斜視図である。
本変形例の照明器具300は、道路脇に設けられた構造物に、道路を走行する車両の運転者の視線と略同じ設置高さで設置され、その設置位置から道路の路面を照明する、所謂低位置道路照明器具である。
照明器具300は、直方体状の器具本体310を備え、当該器具本体310の両端部が上記構造物に固定金具304によって固定される。両端の固定金具304は、器具本体310を傾動自在に支持している。
【0051】
器具本体310は、前面に開口部314が設けられた直方体形状の金属製の筐体312を備えている。開口部314は、筐体312の上面側でヒンジ結合された略矩形状の前面カバー320で閉塞される。前面カバー320は、ガラスや樹脂等の透明な材料で形成された矩形板材であり、防水パッキン332を挟んで筐体312に取り付けられる。
【0052】
この前面カバー320は、筐体312の上面に設けられた一対のヒンジ315によって回動可能となっており、開口部314は、前面カバー320によって開閉自在となっている。
筐体312の底面には、一対のパチン錠317が設けられている。一対のパチン錠317は、開口部314を閉塞した状態で前面カバー320を固定可能である。
【0053】
本変形例では、前面カバー320の裏面(筐体312の内側を向く面)に、その全面を覆う大きさの視界制御フィルム309が貼り付けられている。
視界制御フィルム309は、所定の周波数の光を拡散させるフィルムであり、本変形例の視界制御フィルム309は、上方に向かう透過光を拡散させる。
この視界制御フィルム309が前面カバー320に貼り付けられることによって、照明器具300から上方に照射される光が拡散光となるため、照明器具300は、車両の乗員まぶしさを押さえると同時に、拡散光によって遠くからでも乗員が視認しやすくなるという視線誘導効果を得ることが可能である。
【0054】
器具本体310の内部には、2つの光源ユニット328と、電源ボックス326と、電源端子台327とが収められている。
光源ユニット328は、出射して路面を照らす光源ユニットであり、LEDと、反射鏡とを備えている。光源ユニット328のLEDが発光すると、当該発光光は、反射鏡によって反射された後に、開口部314から出射して道路を照明する。すなわち、開口部314は、照明器具1の照射光の出射開口として機能する。
電源端子台327は、器具本体310の外から引き込まれた商用電源の電力線と、電源ボックス326の配線とを結線する端子台である。
【0055】
図8は、筐体312とパチン錠317との取付構造を示す分解斜視図である。
筐体312の底面には、筐体312の内部と外部とを連通させる通気孔318が設けられている。
図8に示すように、この通気孔318は、防水通気膜34によって、筐体312の外側面側を覆われている。
本変形例では、一対のパチン錠317の少なくとも1つが押さえ部材に相当する。
【0056】
この通気孔318は、一対のパチン錠317の一方が取り付けられる箇所に設けられている。また、筐体12の背面には、筐体12の長手方向に直交する方向に沿って、各通気孔18のそれぞれの両側に配置された一対の挿通孔319が設けられている。
【0057】
各パチン錠317は、いずれもパッキン360を介して筐体312の底面に取り付けられる。パッキン360は、略矩形の平板状に形成されており、当該パッキン360は、弾性変形可能な樹脂材で形成されている。以下、パッキン360が有する一対の平面の内、筐体12の背面に接する面を第一面360Aとし、パチン錠317に接する面を第二面360Bとする。
【0058】
各パチン錠317の内、通気孔318が設けられた箇所に取り付けられるパッキン360は、長手方向における略中央部に貫通孔370が設けられている。貫通孔370は、第一面360Aと第二面360Bとを繋げるものであり、当該貫通孔370は、パッキン360が筐体12と取付板50とに挟み込まれたときに通気孔318に対応する位置に設けられている。
【0059】
パッキン360の第二面360Bには、一対の通気溝372が設けられている。各通気溝372は、第二面360B側が開放されており、各通気溝372の一方の端部は、いずれも貫通孔370に接続されている。各通気溝372は、貫通孔370から、パッキン360の長手方向に直交する方向に沿って、それぞれが逆方向に延びた後、パッキン360の長手方向に沿って延びる縁部に開口している。
【0060】
パッキン360には、当該パッキン360の長手方向に沿って、貫通孔370の両側に配置された一対の挿通孔366が設けられている。また、第二面360Bには、各挿通孔366から突出する挿通管368が設けられている。各挿通管368は、内周面が各挿通孔366に連続している管状に形成されている。
また、各パチン錠317は、筐体312に対向する面に一対の挿通部342が設けられている。
【0061】
器具本体310に各パチン錠317を取り付けるときには、各挿通孔366と、各挿通孔319とに各挿通部342をそれぞれ挿通する。これによって、筐体312に各パチン錠317が取り付けられる。
【0062】
上述の通り、筐体312と一方のパチン錠317との間には、パッキン360が挟み込まれている。このパッキン360は、防水通気膜34で覆われた通気孔318を覆っている。これによって、防水通気膜34に直接水が接触することが抑制される。このため、当該防水通気膜34の脱落や劣化が抑制され、照明器具1の防水性(水密性)を向上させつつ、より確実に維持できる。
【0063】
上述の通り、パッキン360には、通気孔318に対応する箇所に貫通孔370が設けられている。そして、この貫通孔370には、一対の通気溝372が接続されている。すなわち、通気孔318は、パッキン360に覆われながら、貫通孔370と、一対の通気溝372によって、外部に連通されている。
これによって、筐体312は、通気孔318と、貫通孔370と、一対の通気溝372とを介して筐体312の内部に空気が出入りすることが可能となっている。このため、照明器具300は、防水性を向上させつつ、通気性を確保することができる。
【0064】
上述した実施形態は、本発明の一態様を例示したものであって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で任意に変形、及び応用が可能である。
【0065】
上述した実施形態では、通気溝72、76、172、372は、いずれも設置箇所に設置された照明器具1、100、300の上下方向に交差する方向に配置されているとした。しかしながらこれに限らず、照明器具1、100、300に設けられる通気溝は、設置箇所に設置された照明器具1、100、300の上下方向に沿って下方に向かって延びるように設けられていてもよい。
これによって、照明器具1、100、300の上方から流れ落ちてきた雨滴や水滴が当該通気溝に入り込むことが抑制される。
【0066】
上述した実施形態では、パッキン60の第一面60Aには、一対の通気溝72が設けられ、第二面60Bには、通気溝76が設けられている構成とした。しかしながらこれに限らず、パッキン60の第一面60A、及び第二面60Bのいずれか一面のみに通気溝が設けられていてもよい。
【0067】
上述した実施形態では、通気溝72、76は、筐体12の背面と、取付板50(押さえ部材)とによって、開放されている上面全体が閉塞されているとしたが、これに限らず、通気溝72、76は、開放されている上面の一部のみが閉塞されている構成であってもよい。
【0068】
上述した実施形態では、パッキン60、160、360には、いずれも、通気孔18、118、318に対応した貫通孔70、170、370が設けられているとした。しかしながらこれに限らず、各パッキン60、160、360には、複数種類の照明器具に適用可能なように、複数の貫通孔が設けられていてもよい。
【0069】
上述した実施形態では、照明器具の一例として、トンネル照明器具である照明器具1、100、低位置照明器具である照明器具300を挙げたが、これに限らず、投光器や、道路灯等の任意の照明器具に本発明を適用可能である。
【符号の説明】
【0070】
1、200、300 照明器具
10、110、310 器具本体
18、118、318 通気孔(通気口)
34 防水通気膜
50 取付板(押さえ部材)
56 取付面
60、160、360 パッキン
60A、160A、360A 第一面(第一の面)
60B、160B、360B 第二面(第二の面)
70、170、370 貫通孔
72、76、172、372 通気溝(通気路)
74、78 開口部