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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-08
(45)【発行日】2024-05-16
(54)【発明の名称】液体収容容器
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/175 20060101AFI20240509BHJP
【FI】
B41J2/175 169
B41J2/175 141
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2020067240
(22)【出願日】2020-04-03
(65)【公開番号】P2021160321
(43)【公開日】2021-10-11
【審査請求日】2023-03-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】深澤 教幸
(72)【発明者】
【氏名】川手 寛之
(72)【発明者】
【氏名】石澤 卓
(72)【発明者】
【氏名】長島 巧
【審査官】高松 大治
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-256069(JP,A)
【文献】特開2007-253538(JP,A)
【文献】特開平05-016377(JP,A)
【文献】特開2004-358840(JP,A)
【文献】特開2004-074797(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0038863(US,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2006-0119272(KR,A)
【文献】特開2012-035526(JP,A)
【文献】特開2009-255312(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体収容容器であって、
液体を収容した袋部と、
使用済みの前記袋部を交換して前記液体収容容器を再構成する際に再使用される一対の部材と、
前記袋部を囲む外殻と、を備え、
前記一対の部材は、1以上のカシメピンによって相互に固定されており、
前記外殻は、前記一対の部材を相互に固定している前記カシメピンが外部から視認されることができる孔を備える、液体収容容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、液体収容容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、インク袋を収容したインクカートリッジであって、インク袋を交換し、インク袋を収容するケースと蓋とを再利用するインクカートリッジが存在する。特許文献1の技術においては、蓋は、蓋に設けられた一対の角と、ケースに設けられた一対の穴部との嵌合、ならびに蓋に設けられた一対の爪と、ケースに設けられた一対の凹部とのスナップフィットにより、ケースに固定される。さらに、コーション文を印刷したラベルが、切欠き部の面から蓋の上面にかけて貼付される。蓋を外すときには、ケースの切欠き部に治具を入れこじることにより、蓋をケースから外すことが可能である。
【0003】
このような構成とすることにより、蓋をケースに超音波溶着する場合とは異なり、内部のインク袋を交換し、インクカートリッジのケースと蓋を再使用して、インクカートリッジを再生することができる。また、ラベルがケースと蓋の稜線に貼付されているので、インクカートリッジが振動・落下することによる蓋の外れを防止できる。さらに、ラベルが切欠き部を隠すように貼付されているため、ユーザーが故意に蓋を開けることを防止することが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平5-16377号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に記載されたインクカートリッジにおいては、以下のような問題がある。すなわち、インクカートリッジの表面に貼付されたラベルが、温度変化を経ることによりインクカートリッジの表面に固着し、容易に剥がせなくなり、蓋をケースから外す際の作業者の負荷が増大することがある。また、インクカートリッジの表面に固着したラベルを剥がすために工具を使用すると、インクカートリッジのケースおよび蓋に傷をつけてしまい、ケースと蓋の再使用を妨げることがある。さらに、蓋に設けられた爪が、熱履歴のために、十分な弾性を維持できず、蓋をケースから外す際に、破損することがある。その結果、蓋の再使用が妨げられる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一形態によれば、液体収容容器が提供される。この液体収容容器は、液体を収容した袋部と、使用済みの前記袋部を交換して前記液体収容容器を再構成する際に再使用される一対の部材と、を備える。前記一対の部材は、1以上のカシメピンによって相互に固定されている。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1実施形態の液体収容容器100aを示す斜視図である。
図2】第1実施形態の液体収容容器100aを示す分解斜視図である。
図3】液体収容容器100aの平面図である。
図4図3のIV-IV断面図である。
図5】第2実施形態の液体収容容器100bを示す斜視図である。
図6】第2実施形態の液体収容容器100bを示す分解斜視図である。
図7】液体収容容器100bの平面図である。
図8】液体収容容器100bの側面図である。
図9図7のIX-IX断面図である。
図10】第3実施形態の液体収容容器100cを示す斜視図である。
図11】第3実施形態の液体収容容器100cを示す分解斜視図である。
図12】液体収容容器100cの正面図である。
図13】液体収容容器100cの平面図である。
図14図13のIX-IX断面図である。
図15】液体収容容器100cに組み込まれる前の固定部材120cおよび袋部110を示す斜視図である。
図16】カシメピンCP10c,CP40cの先端が変形された後の固定部材120cおよび袋部110を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
A.第1実施形態:
図1は、第1実施形態の液体収容容器100aを示す斜視図である。図2は、第1実施形態の液体収容容器100aを示す分解斜視図である。液体収容容器100aは、液体を収容している。液体収容容器100aは、液体消費装置に装着されて、収容している液体を液体消費装置に供給する。
【0009】
図1において、互いに直交するX軸方向、Y軸方向、およびZ軸方向を表す矢印が示される。Y軸方向は液体収容容器100aの長手方向に相当する。Y軸方向は、液体収容容器100aが液体消費装置に装着される際の挿入方向に相当する。X軸方向は、液体収容容器100aの幅方向に相当する。Z軸方向は液体収容容器100aの高さ方向に相当する。他の図に示されたX軸、Y軸、Z軸は、図1に示されたX軸、Y軸、Z軸に対応する。
【0010】
液体収容容器100aは、袋部110と、固定部材120aと、第1ケース130aと、第2ケース140aと、蓋部150aと、を備える。第1ケース130a、第2ケース140a、および蓋部150aは、液体収容容器100aの外殻100Saを構成する(図1参照)。外殻100Saは、袋部110を囲む。より具体的には、外殻100Saは、袋部110を収容する略直方体のケースである。外殻100Saは、使用済みの袋部110および固定部材120aを交換して液体収容容器100aを再構成する際に、再使用される。
【0011】
袋部110は、液体を収容している(図2参照)。袋部110は、可撓性を有するシートで構成されている。袋部110内に収容されている液体が外部に供給され、袋部110内の液体の量が減少するにつれて、袋部110は収縮する。その際、袋部110は、主としてZ軸方向に、収縮する。
【0012】
固定部材120aは、袋部110を、外殻100Saに固定するための部材である(図2参照)。袋部110は、固定部材120aに取り付けられている。固定部材120aは、袋部110内と連通している液体流路を備える。液体流路は、袋部110内の液体を、液体収容容器100aの外部に供給する。図1および図2において、液体流路は、Y軸方向に沿って設けられている。図1および図2において、固定部材120aにおける液体流路の開口は、長方形のフィルムによって封止されている。
【0013】
第1ケース130aは、第1壁131aと、第2壁132aと、第3壁133aと、第4壁134aと、を備える(図2参照)。第1壁131aと、第2壁132aと、第3壁133aと、第4壁134aとは、それぞれ略長方形の平板状の部位である。なお、本明細書において「壁」は、平板状の部位であって、段差、溝、屈曲部、傾斜面、穴、スリットなどを有し得る。
【0014】
第1壁131aは、図1および図2においてXY平面に平行に配されている、略長方形の平板状の部位である。第2壁132aは、第1壁131aの一つの長辺から第1壁131aに対して垂直な方向にのびる平板状の部位である。第3壁133aは、第1壁131aの他の一つの長辺から第1壁131aに対して垂直な方向にのびる平板状の部位である。第2壁132aと第3壁133aは、向かい合っている。第4壁134aは、第1壁131aの一つの短辺から第1壁131aに対して垂直な方向にのびる平板状の部位である。第4壁134aの一つの短辺は、第2壁132aの一つの短辺と接続されている。第4壁134aの他の一つの短辺は、第3壁133aの一つの短辺と接続されている。
【0015】
第1ケース130aにおいて、第1壁131aと、第2壁132aと、第3壁133aと、第4壁134aとに囲まれた略直方体の空間に、袋部110の一部が収容される(図2参照)。
【0016】
第1壁131aは、6個の孔CPH10a~CPH60aを有している(図2参照)。孔CPH10a~CPH60aは、第1壁131aの二つの短辺のうち第4壁134aと接続されていない短辺に沿って、その順に配されている。孔CPH10a~CPH60aは、図2において、X軸方向に沿って配されている。
【0017】
第2ケース140aは、第1壁141aと、第2壁142aと、第3壁143aと、第4壁144aと、を備える(図2参照)。第1壁141aは、6個の孔CPH10aB~CPH60aBを有している。図1および図2において、第5壁155aおよび孔CPH10aB~CPH30aBは、表されていない。
【0018】
液体収容容器100aが構成された状態において、第2ケース140aは、XY平面に平行な平面に関して、第1ケース130aとほぼ対称の形状を有する。第2ケース140aにおいて、第1壁141aと、第2壁142aと、第3壁143aと、第4壁144aとに囲まれた略直方体の空間に、袋部110の他の一部が収容される(図2参照)。
【0019】
蓋部150aは、第1壁151aと、第2壁152aと、第3壁153aと、第4壁154aと、第5壁155aと、を備える(図2参照)。第1壁151aと、第2壁152aと、第3壁153aと、第4壁154aと、第5壁155aとは、それぞれ略長方形の平板状の部位である。
【0020】
第1壁151aは、図1および図2においてZX平面に平行に配されている、略長方形の平板状の部位である。第2壁152aは、第1壁151aの一つの短辺から第1壁151aに対して垂直な方向にのびる平板状の部位である。第3壁153aは、第1壁151aの他の一つの短辺から第1壁151aに対して垂直な方向にのびる平板状の部位である。第2壁152aと第3壁153aは、向かい合っている。
【0021】
第4壁154aは、第1壁151aの一つの長辺から第1壁151aに対して垂直な方向にのびる平板状の部位である。第5壁155aは、第1壁151aの他の一つの長辺から第1壁151aに対して垂直な方向にのびる平板状の部位である。第4壁154aと第5壁155aは、向かい合っている。
【0022】
第4壁154aの一つの短辺は、第2壁152aの一つの短辺と接続されている。第4壁154aの他の一つの短辺は、第3壁153aの一つの短辺と接続されている。第5壁155aの一つの短辺は、第2壁152aの他の一つの短辺と接続されている。第5壁155aの他の一つの短辺は、第3壁153aの他の一つの短辺と接続されている。
【0023】
蓋部150aにおいて、第1壁151aと、第2壁152aと、第3壁153aと、第4壁154aと、第5壁155aとに囲まれた略直方体の空間に、袋部110のさらに他の一部と、固定部材120aと、が収容される(図2参照)。
【0024】
第1壁151aは、孔156aを有している。孔156aは、第1壁151aの略中央に配されている。孔156aは、第1壁151aに垂直な方向に、第1壁151aを貫通している。固定部材120aの一部が孔156a内に配された状態で、固定部材120aは、第1壁151aに固定される。その結果、袋部110は、外殻100Saに固定される。固定部材120aの液体流路は、孔156a内を通って、外部と連通する(図1参照)。固定部材120aの液体流路の端部は、図1において、長方形のフィルムによって封止されている。
【0025】
第4壁154aは、6個の突部CP10a~CP60aを有している。突部CP10a~CP60aは、第4壁154aの二つの長辺のうち第1壁151aと接続されていない長辺に沿って、その順に配されている。突部CP10a~CP60aは、図2において、X軸方向に沿って、配されている。突部CP10a~CP60aは、第4壁154aに垂直な方向に突出している。突部CP10a~CP60aは、図2において、Z軸正方向に突出している。
【0026】
突部CP10a~CP60aは、カシメピンとして機能する。本明細書において、「カシメピン」とは、相互に固定されるべき一対の部材に適用され、先端を変形されることにより、その一対の部材を固定することができる部材をいう。突部CP10a~CP60aの機能については、後に説明する。
【0027】
第5壁155aは、6個の突部CP10aB~CP60aBを有している。液体収容容器100aが構成された状態において、第5壁155aは、XY平面に平行な平面に関して、第4壁154aとほぼ対称の形状を有する。図1および図2において、第5壁155aおよび6個の突部CP10aB~CP60aBは、表されていない。
【0028】
液体収容容器100aを構成する際には、袋部110が取りつけられた固定部材120aと、第1ケース130a、第2ケース140a、および蓋部150aとが、用意される(図2参照)。固定部材120aが蓋部150aに取り付けられる。その後、蓋部150aおよび袋部110を挟んで、第1ケース130aと第2ケース140aとが組み合わされる。
【0029】
図3は、液体収容容器100aの平面図である。図4は、図3のIV-IV断面図である。第1ケース130aと第2ケース140aとが組み合わされる際には、蓋部150aの突部CP10a~CP60aは、それぞれ第1ケース130aの孔CPH10a~CPH60aに挿入される(図2図4参照)。そして、蓋部150aと第1ケース130aと第2ケース140aとが、液体収容容器100aを構成するために初めて使用される際には、突部CP10a~CP60aのうち、両端に位置する突部CP30aと突部CP60aの先端が変形される(図1図3および図4参照)。すなわち、突部CP30aと突部CP60aの先端は、それぞれ孔CPH30aと孔CPH60aを通過できない大きさに広げられる。その結果、第1ケース130aと蓋部150aは、カシメピンとしての突部CP30aと突部CP60aによって相互に固定される。
【0030】
同様に、蓋部150aの突部CP10aB~CP60aBは、それぞれ第2ケース140aの孔CPH10aB~CPH60aBに挿入される。そして、蓋部150aと第1ケース130aと第2ケース140aとが、液体収容容器100aを構成するために初めて使用される際には、突部CP10aB~CP60aBのうち、両端に位置する突部CP30aBと突部CP60aBの先端が変形される。すなわち、突部CP30aBと突部CP60aBの先端は、それぞれ孔CPH30aBと孔CPH60aBを通過できない大きさに広げられる。その結果、第2ケース140aと蓋部150aは、カシメピンとしての突部CP30aBと突部CP60aBによって相互に固定される。
【0031】
すなわち、液体収容容器100aにおいては、蓋部150aは、第1ケース130aと蓋部150aを相互に固定可能に構成されている6個の突部CP10a~CP60aを備える。蓋部150aは、さらに、第2ケース140aと蓋部150aを相互に固定可能に構成されている6個の突部CP10aB~CP60aBを備える。そして、完成品としての液体収容容器100aにおいては、第1ケース130aと蓋部150aは、6個の突部CP10a~CP60aのうちの2個の突部CP30a,CP60aによって相互に固定されている。第2ケース140aと蓋部150aは、6個の突部CP10aB~CP60aBのうちの2個の突部CP30aB,CP60aBによって相互に固定されている。
【0032】
袋部110内の液体が消費された後に、液体収容容器100aの固定部材120aと袋部110とが交換されて、液体収容容器100aが再構成される際には、以下の処理が行われる。すなわち、カシメピンとしての突部CP30a,CP60a,CP30aB,およびCP60aBの先端部が破壊され、第1ケース130a、第2ケース140a、および蓋部150aが、相互に分離される。そして、固定部材120aと袋部110が取り出され、新たな固定部材120aと袋部110とが、蓋部150aに取り付けられる。その後、蓋部150a、固定部材120aおよび袋部110を挟んで、第1ケース130aと第2ケース140aとが組み合わされる。
【0033】
その際、突部CP10a~CP60aのうち、突部CP20aと突部CP50aの先端が変形されて、それぞれ孔CPH20aと孔CPH50aを通過できない大きさに広げられる(図1図3および図4参照)。その結果、第1ケース130aと蓋部150aは、2回目の使用の際には、カシメピンとしての突部CP20aと突部CP50aによって相互に固定される。
【0034】
同様に、突部CP10aB~CP60aBのうち、突部CP20aBと突部CP50aBの先端が変形されて、それぞれ孔CPH20aBと孔CPH50aBを通過できない大きさに広げられる。その結果、第2ケース140aと蓋部150aは、2回目の使用の際には、カシメピンとしての突部CP20aBと突部CP50aBによって相互に固定される。
【0035】
交換後の袋部110内の液体が消費された後に、さらに液体収容容器100aの固定部材120aと袋部110とを交換して、液体収容容器100aを再構成する際にも、上記と同様の処理が行われる。ただし、突部CP10a~CP60aのうち、突部CP10aと突部CP40aの先端が変形されて、それぞれ孔CPH10aと孔CPH40aを通過できない大きさに広げられる(図1図3および図4参照)。その結果、第1ケース130aと蓋部150aは、3回目の使用の際には、カシメピンとしての突部CP10aと突部CP40aによって相互に固定される。
【0036】
同様に、突部CP10aB~CP60aBのうち、突部CP10aBと突部CP40aBの先端が変形されて、それぞれ孔CPH10aBと孔CPH40aBを通過できない大きさに広げられる。その結果、第2ケース140aと蓋部150aは、3回目の使用の際には、カシメピンとしての突部CP10aBと突部CP40aBによって相互に固定される。
【0037】
第1実施形態の構成により、後に液体収容容器100aの固定部材120aと袋部110とを交換して、液体収容容器100aを再構成する際に、液体収容容器100aが温度変化を経ていても、カシメピンとしての突部CP30a~CP60a,ならびに突部CP30aB~CP60aBを破壊することにより、容易に第1ケース130a、第2ケース140a、および蓋部150aを分離して、処理することができる。
【0038】
第1実施形態の構成により、第1ケース130aと第2ケース140aと蓋部150aとを再使用する際には、突部CP10a~CP60a,CP10aB~CP60aBのうち、それまでに使用されていない突部によって、第1ケース130aと蓋部150aならびに第2ケース140aと蓋部150aを固定することができる。このため、第1ケース130aと第2ケース140aと蓋部150aとを再使用する際に、最初の使用の際における第1ケース130aと第2ケース140aと蓋部150aとの固定の強度に対して、第1ケース130aと第2ケース140aと蓋部150aとの固定の強度が低下しないように、液体収容容器100aを再構成することができる。
【0039】
また、第1実施形態においては、それぞれの再使用における第1ケース130aと第2ケース140aと蓋部150aの使用の回数と、複数の突部CP10a~CP60a,CP10aB~CP60aBのうちそれぞれの再使用において使用される突部と、を対応づけられている。このため、完成品としての液体収容容器100aの構成から容易に、第1ケース130aと第2ケース140aと蓋部150aの使用回数を知ることができる。
【0040】
本実施形態における第1ケース130aと蓋部150aとを「一対の部材」とも呼ぶ。第2ケース140aと蓋部150aとを「一対の部材」とも呼ぶ。突部CP30a~CP60a,ならびに突部CP30aB~CP60aBを、「カシメピン」とも呼ぶ。
【0041】
B.第2実施形態:
図5は、第2実施形態の液体収容容器100bを示す斜視図である。図6は、第2実施形態の液体収容容器100bを示す分解斜視図である。第2実施形態の液体収容容器100bの構成の多くの部分は、第1実施形態の液体収容容器100aの構成と共通である。以下では、液体収容容器100bの構成のうち、液体収容容器100aの構成とは異なっている点について、説明する。液体収容容器100bの構成のうち、以下で説明しない点は、液体収容容器100aの構成と同じである。液体収容容器100bの構成のうち、液体収容容器100aの構成と対応する構成については、液体収容容器100aの対応する構成に付した符号の末尾の「a」を「b」に置き換えた符号を付して、各図において示す。
【0042】
液体収容容器100bにおいて、第1ケース130bの第1壁131bは、6個の孔CPH10a~CPH60aに代えて、2個の孔CPH10b,CPH40bを有している。孔CPH10b,CPH40bは、第1壁131bの二つの短辺のうち第4壁134bと接続されていない長辺に沿って、配されている。孔CPH10b,CPH40bは、図6において、X軸方向に沿って配されている。孔CPH10b,CPH40bは、第1壁131bに垂直な方向に、第1壁131bを貫通している。孔CPH10b,CPH40bは、第1壁131bのうち外殻100Sbの表面を構成する側の開口の周辺に、ざぐりを有する。ざぐりは、カシメピンCP10b,CP40bのフランジを受け入れる。
【0043】
第1ケース130bの第2壁132bは、孔136bを有している(図5および図6参照)。孔136bは、第2壁132bの二つの長辺のうち第1壁131bと接続されている方の長辺に近い位置であって、第2壁132bの二つの短辺のうち第4壁134bと接続されていない方の短辺の近くの位置に設けられている。孔136bは、第2壁132bに垂直な方向に、第2壁132bを貫通している。孔136bの開口の形状は、長手方向が第2壁132bの二つの長辺と平行な、略長方形である。孔136bは、図6において、Y軸方向に沿って配されている。
【0044】
第1ケース130bの第3壁133bは、孔137bを有している(図6参照)。孔137bは、第3壁133bの二つの長辺のうち第1壁131bと接続されている方の長辺に近い位置であって、第3壁133bの二つの短辺のうち第4壁134bと接続されていない方の短辺の近くの位置に設けられている。孔137bは、第3壁133bに垂直な方向に、第3壁133bを貫通している。孔137bの開口の形状は、長手方向が第3壁133bの二つの長辺と平行な、略長方形である。孔137bは、図6において、Y軸方向に沿って配されている。
【0045】
液体収容容器100bが構成された状態において、第2ケース140bは、XY平面に平行な平面に関して、第1ケース130bとほぼ対称の形状を有する(図5および図6参照)。
【0046】
第2ケース140bの第1壁141bは、孔CPH10bB,CPH40bBを有している。液体収容容器100bが構成された状態において、孔CPH10bBは、XY平面に平行な平面に関して、第1ケース130bの孔CPH10bと対称な形状を有している。液体収容容器100bが構成された状態において、孔CPH40bBは、XY平面に平行な平面に関して、第1ケース130bの孔CPH40bと対称な形状を有している。
【0047】
第2ケース140bの第2壁142bは、孔148bを有している。液体収容容器100bが構成された状態において、孔148bは、XY平面に平行な平面に関して、第1ケース130bの孔136bと対称な形状を有している(図5および図6参照)。第2ケース140bの第3壁143bは、孔149bを有している。液体収容容器100bが構成された状態において、孔149bは、XY平面に平行な平面に関して、第1ケース130bの孔137bと対称な形状を有している。図5および図6において、第2ケース140bの第3壁143bおよび孔149bは、表されていない。
【0048】
液体収容容器100bにおいて、蓋部150bの第4壁154bは、6個の突部CP10a~CP60aに代えて、2個の孔CPH70b,CPH80bを有している(図6参照)。孔CPH70b,CPH80bは、第4壁154bの二つの長辺のうち第1壁151bと接続されていない長辺に沿って、配されている。孔CPH70b,CPH80bは、図6において、X軸方向に沿って配されている。孔CPH70b,CPH80bは、第4壁154bに垂直な方向に、第4壁154bを貫通している。
【0049】
第5壁155bは、XY平面に平行な平面に関して、第4壁154bとほぼ対称の形状を有する。蓋部150bの第5壁155bは、6個の突部CP10aB~CP60aBに代えて、2個の孔CPH70bB,CPH80bBを有している。孔CPH70bBは、XY平面に平行な平面に関して、第4壁154bの孔CPH70bと対称な形状を有している。孔CPH80bBは、XY平面に平行な平面に関して、第4壁154bの孔CPH80bと対称な形状を有している。図5および図6において、第5壁155bおよび2個の孔CPH70bB,CPH80bBは、表されていない。
【0050】
蓋部150bの第2壁152bは、孔156b,158bを有している(図6参照)。孔156b,158bは、第2壁152bの二つの短辺のうち第1壁151bと接続されていない短辺に沿って、その順に配されている。孔156b,158bは、図6において、Z軸方向に沿って配されている。孔156b,158bは、第2壁152bに垂直な方向に、第2壁152bを貫通している。孔156b,158bの開口の形状は、長手方向が第2壁152bの二つの長辺と平行な、略長方形である。孔156b,158bは、図6において、それぞれY軸方向に沿って配されている。
【0051】
第3壁153bは、YZ平面に平行な平面に関して、第2壁152bとほぼ対称の形状を有する。蓋部150bの第3壁153bは、孔157b,159bを有している。孔157bは、YZ平面に平行な平面に関して、第2壁152bの孔156bと対称な形状を有している。孔159bは、YZ平面に平行な平面に関して、第4壁154bの孔158bと対称な形状を有している。図5および図6において、第3壁153bおよび孔157b,159bは、表されていない。
【0052】
互いに組み合わされた第1ケース130bと第2ケース140bと蓋部150bとを、Z軸方向に沿って見たときに、第1ケース130bの孔CPH10bと、蓋部150bの孔CPH70bと、蓋部150bの孔CPH70bBと、第2ケース140bの孔CPH10bBとは、相互に重なる(図6参照)。
【0053】
互いに組み合わされた第1ケース130bと第2ケース140bと蓋部150bとを、Z軸方向に沿って見たときに、第1ケース130bの孔CPH40bと、蓋部150bの孔CPH80bと、蓋部150bの孔CPH80bBと、第2ケース140bの孔CPH40bBとは、相互に重なる(図6参照)。
【0054】
互いに組み合わされた第1ケース130bと第2ケース140bと蓋部150bとを、X軸負方向に沿って見たときに、第1ケース130bの孔136bと、蓋部150bの孔156bとは、相互に重なる(図6参照)。第2ケース140bの孔148bと、蓋部150bの孔158bとは、相互に重なる。
【0055】
同様に、互いに組み合わされた第1ケース130bと第2ケース140bと蓋部150bとを、X軸正方向に沿って見たときに、第1ケース130bの孔137bと、蓋部150bの孔157bとは、相互に重なる。第2ケース140bの孔149bと、蓋部150bの孔159bとは、相互に重なる。
【0056】
液体収容容器100bは、カシメピンCP10b,CP40bを備える。カシメピンCP10b,CP40bは、それぞれ一端にフランジを備える棒状の部材である。第1実施形態の突部CP10a~CP60a,CP10aB~CP60aBとは異なり、カシメピンCP10b,CP40bは、第1ケース130bおよび第2ケース140bとは別体の部材である。
【0057】
図7は、液体収容容器100bの平面図である。図8は、液体収容容器100bの側面図である。図9は、図7のIX-IX断面図である。
【0058】
第1ケース130bと第2ケース140bと蓋部150bが組み合わされる際には、互いに重なる第1ケース130bの孔CPH10bと、蓋部150bの孔CPH70bと、蓋部150bの孔CPH70bBと、第2ケース140bの孔CPH10bBとに、カシメピンCP10bが通される(図6および図7参照)。互いに重なる第1ケース130bの孔CPH40bと、蓋部150bの孔CPH80bと、蓋部150bの孔CPH80bBと、第2ケース140bの孔CPH40bBとに、カシメピンCP40bが通される(図9図6および図7参照)。このとき、カシメピンCP10b,CP40bと、外殻100Sb内に収容されている袋部110および固定部材120bとは、相互に干渉しない。
【0059】
その後、第2ケース140bの孔CPH10bBから突出しているカシメピンCP10bの先端が変形される。カシメピンCP10bの先端は、第2ケース140bの孔CPH10bBを通過できない大きさに広げられ、フランジが形成される。同様に、第2ケース140bの孔CPH40bBから突出しているカシメピンCP40bの先端が変形される。カシメピンCP40bの先端は、第2ケース140bの孔CPH40bBを通過できない大きさに広げられ、フランジが形成される(図9参照)。その結果、第1ケース130bと第2ケース140bと蓋部150bとは、カシメピンCP10b,CP40bによって相互に固定される。
【0060】
すなわち、完成品としての液体収容容器100bにおいては、第1ケース130bと第2ケース140bと蓋部150bとは、2個のカシメピンCP10b,CP40bによって相互に固定されている(図9図5および図7参照)。
【0061】
完成品としての液体収容容器100bにおいて、カシメピンCP40bは、第1ケース130bの孔136bおよび蓋部150bの孔156bを通して、外部から視認されることができる(図8および図6参照)。また、カシメピンCP40bは、第2ケース140bの孔148bおよび蓋部150bの孔158bを通して、外部から視認されることができる(図8および図6参照)。
【0062】
同様に、カシメピンCP10bは、第1ケース130bの孔137bおよび蓋部150bの孔157bを通して、外部から視認されることができる。また、カシメピンCP10bは、第2ケース140bの孔149bおよび蓋部150bの孔159bを通して、外部から視認されることができる。
【0063】
袋部110内の液体が消費された後に、液体収容容器100bの固定部材120bと袋部110とが交換されて、液体収容容器100bが再構成される際には、以下の処理が行われる。
【0064】
第1ケース130bの孔137bおよび蓋部150bの孔157bを通して、または第2ケース140bの孔149bおよび蓋部150bの孔159bを通して、切断工具が外殻100Sb内に挿入され、カシメピンCP10bが切断される。同様に、第1ケース130bの孔136bおよび蓋部150bの孔156bを通して、または第2ケース140bの孔148bおよび蓋部150bの孔158bを通して、切断工具が外殻100Sb内に挿入され、カシメピンCP40bが切断される(図8および図6参照)。そして、カシメピンCP10b,CP40bが外殻100Sbから除去され、第1ケース130b、第2ケース140b、および蓋部150bが、相互に分離される。
【0065】
第2実施形態の構成においては、外殻100Sbに設けられた孔を介して、外殻100Sbの外からカシメピンCP10b,CP40bを破壊することができる。このため、容易にカシメピンCP10b,CP40bを除去することができる。
【0066】
固定部材120bと袋部110が取り出され、新たな固定部材120bと袋部110とが、蓋部150bに取り付けられる。蓋部150b、固定部材120b、および袋部110を挟んで、第1ケース130bと第2ケース140bとが組み合わされる。
【0067】
互いに重なる第1ケース130bの孔CPH10bと、蓋部150bの孔CPH70bと、蓋部150bの孔CPH70bBと、第2ケース140bの孔CPH10bBとに、新たなカシメピンCP10bが通される(図6および図7参照)。互いに重なる第1ケース130bの孔CPH40bと、蓋部150bの孔CPH80bと、蓋部150bの孔CPH80bBと、第2ケース140bの孔CPH40bBとに、新たなカシメピンCP40bが通される(図9図6および図7参照)。カシメピンCP10bの先端は、第2ケース140bの孔CPH10bBを通過できない大きさに広げられ、フランジが形成される。同様に、カシメピンCP40bの先端は、第2ケース140bの孔CPH40bBを通過できない大きさに広げられ、フランジが形成される(図9参照)。その結果、第1ケース130bと第2ケース140bと蓋部150bとは、カシメピンCP10b,CP40bによって相互に固定される。
【0068】
第2実施形態の構成により、第1ケース130b、第2ケース140b、および蓋部150bを再使用する際には、新たなカシメピンCP10b,CP40bによって、第1ケース130b、第2ケース140b、および蓋部150bを固定することができる。このため、第1ケース130b、第2ケース140b、および蓋部150bを再使用する際に、最初の使用のときに対して固定の強度が低下しないように、液体収容容器100bを構成することができる。
【0069】
第2実施形態によれば、液体収容容器100bの再構成のためにそれまでにカシメピンCP10b,CP40bを破壊した回数に関係なく、第1ケース130b、第2ケース140b、および蓋部150bを再使用することができる。
【0070】
第2実施形態においては、カシメピンCP10b,CP40bは、液体収容容器100bの再構成の際に交換されるため、第1ケース130b、第2ケース140b、および蓋部150bの分解に際して変形および破壊されてよい。一方、第1ケース130b、第2ケース140b、および蓋部150bは、液体収容容器100bの再構成の際に再利用されるため、分解に際して変形されないことが好ましい。このように、第2実施形態においては、カシメピンCP10b,CP40bと、第1ケース130b、第2ケース140b、および蓋部150bとの役割分担が明確である。このため、カシメピンCP10b,CP40bと第1ケース130b、第2ケース140b、および蓋部150bとの係合部分の設計が容易である。
【0071】
本実施形態における第1ケース130bと蓋部150bとを「一対の部材」とも呼ぶ。第2ケース140bと蓋部150bとを「一対の部材」とも呼ぶ。
【0072】
C.第3実施形態:
図10は、第3実施形態の液体収容容器100cを示す斜視図である。図11は、第3実施形態の液体収容容器100cを示す分解斜視図である。第3実施形態の液体収容容器100cの構成の多くの部分は、第2実施形態の液体収容容器100bの構成と共通である。以下では、液体収容容器100cの構成のうち、液体収容容器100bの構成とは異なっている点について、説明する。液体収容容器100cの構成のうち、以下で説明しない点は、液体収容容器100bの構成と同じである。液体収容容器100cの構成のうち、液体収容容器100bの構成と対応する構成については、液体収容容器100bの対応する構成に付した符号の末尾の「b」を「c」に置き換えた符号を付して、各図において示す。
【0073】
液体収容容器100cの第1ケース130cは、第1壁131cと、第2壁132cと、第3壁133cと、第4壁134cと、に加えて、第5壁135cを備える。第5壁135cは、ZX平面に平行な略長方形の平板状の部位である。第5壁135cは、第1壁131cの一つの短辺から第1壁131cに対して垂直な方向にのびる平板状の部位である。第5壁135cと第4壁134cは、向かい合っている。第5壁135cの一つの短辺は、第2壁132cの一つの短辺と接続されている。第5壁135cの他の一つの短辺は、第3壁133cの一つの短辺と接続されている。第5壁135cは、第2壁132c、第3壁133c、および第4壁134cに比べて、厚く構成されている。
【0074】
第1ケース130cの第5壁135cは、2個の孔CPH10c,CPH40cを有している。孔CPH10c,CPH40cは、第5壁135cを、第5壁135cの二つの短辺と平行な方向に貫通する貫通孔である。孔CPH10c,CPH40cは、図11において、第5壁135cをZ軸方向に貫通する。孔CPH10c,CPH40cは、図11において、X軸方向に沿って配されている。孔CPH10c,CPH40cの一端は、第1壁131cのうち外殻100Scの表面を構成する側の面と同一の面に開口している。孔CPH10c,CPH40cは、その開口の周辺に、ざぐりを有する(図11参照)。ざぐりは、カシメピンCP10c,CP40cのフランジを受け入れる。
【0075】
第5壁135cは、さらに、孔138cを有している。孔138cは、第5壁135cを、第5壁135cに垂直な方向に貫通する貫通孔である。孔138cは、第5壁135cの二つの長辺のうち第1壁131cと接続されている方の長辺に近い位置に設けられている。孔138cの開口の形状は、長手方向が第5壁135cの二つの長辺と平行な、略長方形である。孔138cは、図10および図11において、X軸方向に沿って配されている。孔138cは、X軸方向について、孔CPH10c,CPH40cが設けられている位置を含む範囲に設けられている。その結果、第5壁135c内において、孔CPH10c,CPH40cと、孔138cとは、交差する。
【0076】
第5壁135cは、さらに、凹部139cを有している。凹部139cは、第5壁135cの二つの長辺のうち第1壁131cと接続されていない方の長辺の略中央に配されている。凹部139cは、第5壁135cを、第5壁135cに垂直な方向に貫通する溝部である。凹部139cは、半円形の凹面形状を有する。
【0077】
第2ケース140cは、第1壁141cと、第2壁142cと、第3壁143cと、第4壁144cと、に加えて、第5壁145cを備える(図11参照)。第5壁145cは、孔CPH10cB,CPH40cB、孔148cおよび凹部149cを有している。液体収容容器100cが構成された状態において、第2ケース140cは、XY平面に平行な平面に関して、第1ケース130cとほぼ対称の形状を有する。
【0078】
液体収容容器100cが構成された状態において、第2ケース140cのCPH10cB,CPH40cBは、XY平面に平行な平面に関して、第1ケース130cの孔CPH10c,CPH40cと対称な形状を有している。液体収容容器100cが構成された状態において、第2ケース140cの孔148cは、XY平面に平行な平面に関して、第1ケース130cの孔138cと対称な形状を有している。
【0079】
互いに組み合わされた第1ケース130cと第2ケース140cとを、Z軸方向に沿って見たときに、第1ケース130cの孔CPH10cと、第2ケース140cの孔CPH10cBとは、相互に重なる(図11参照)。互いに組み合わされた第1ケース130cと第2ケース140cとを、Z軸方向に沿って見たときに、第1ケース130cの孔CPH40cと、第2ケース140cの孔CPH40cBとは、相互に重なる。
【0080】
液体収容容器100cが構成された状態において、第2ケース140cの凹部149cは、XY平面に平行な平面に関して、第1ケース130cの凹部139cと対称な形状を有している。
【0081】
液体収容容器100cが構成された状態において、第1ケース130cの第5壁135cの凹部139cと、第2ケース140cの第5壁145cの凹部149cとは、外殻100Scを貫通する穴を形成する。固定部材120cの一部がその穴内に配された状態で、固定部材120cは、第1ケース130cおよび第2ケース140cに固定される。その結果、袋部110は、外殻100Scに固定される。固定部材120cの液体流路は、その穴内を通って、外部と連通する(図10参照)。固定部材120cの液体流路の端部は、図10において、長方形のフィルムによって封止されている。
【0082】
固定部材120cは、2個のカシメピンCP10c,CP40cを有している(図11参照)。カシメピンCP10c,CP40cは、固定部材120cにおいて袋部110内と連通している液体流路の方向に対して垂直な方向にのびている、棒状の部材である。カシメピンCP10c,CP40cは、図11において、Z軸正方向とZ軸負方向の両方にのびている。カシメピンCP10c,CP40cは、液体流路の両側に配される。
【0083】
図12は、液体収容容器100cの正面図である。図13は、液体収容容器100cの平面図である。図14は、図13のXIV-XIV断面図である。
【0084】
第1ケース130cと第2ケース140cとが組み合わされる際には、互いに重なる第1ケース130cの孔CPH10cと、第2ケース140cの孔CPH10cBとに、固定部材120cのカシメピンCP10cが通される。互いに重なる第1ケース130cの孔CPH40cと、第2ケース140cの孔CPH40cBとに、固定部材120cのカシメピンCP40cが通される(図14および図11参照)。
【0085】
図15は、液体収容容器100cに組み込まれる前の固定部材120cおよび袋部110を示す斜視図である。図16は、液体収容容器100cに組み込まれて、カシメピンCP10c,CP40cの先端が変形された後の固定部材120cおよび袋部110を示す斜視図である。
カシメピンCP10cが第1ケース130cの孔CPH10cに通された後、孔CPH10cから突出しているカシメピンCP10cの先端が変形される。カシメピンCP10cの先端は、第2ケース140cの孔CPH10cBを通過できない大きさに広げられ、フランジが形成される(図14および図16参照)。
【0086】
同様に、第2ケース140cの孔CPH10cBから突出しているカシメピンCP10cの先端が変形される。第1ケース130cの孔CPH40cから突出しているカシメピンCP40cの先端が変形される。第2ケース140cの孔CPH40cBから突出しているカシメピンCP40cの先端が変形される。その結果、第1ケース130cと第2ケース140cとは、カシメピンCP10c,CP40cによって相互に固定される(図10図13および図14参照)。
【0087】
すなわち、完成品としての液体収容容器100cにおいては、第1ケース130cと第2ケース140cとは、固定部材120cのカシメピンCP10c,CP40cによって相互に固定されている(図14および図10参照)。
【0088】
完成品としての液体収容容器100cにおいて、カシメピンCP10c,CP40cは、第1ケース130cの孔138cおよび第2ケース140cの孔148cを通して、外部から視認されることができる(図12参照)。
【0089】
袋部110内の液体が消費された後に、液体収容容器100cの固定部材120cと袋部110とが交換されて、液体収容容器100cが再構成される際には、以下の処理が行われる。
【0090】
第1ケース130cの孔138cを通して、または第2ケース140cの孔148cを通して、切断工具が外殻100Sc内に挿入され、カシメピンCP10c,CP40cが切断される(図12参照)。そして、カシメピンCP10c,CP40cが外殻100Scから除去され、第1ケース130c、および第2ケース140cが、相互に分離される。
【0091】
第3実施形態の構成においては、外殻100Scに設けられた孔を介して、外殻100Scの外からカシメピンCP10c,CP40cを破壊することができる。このため、容易にカシメピンCP10c,CP40cを除去することができる。
【0092】
固定部材120cと袋部110が取り出され、新たな固定部材120cと袋部110とが、第1ケース130cまたは第2ケース140cに取り付けられる。固定部材120c、および袋部110を挟んで、第1ケース130cと第2ケース140cとが組み合わされる。
【0093】
互いに重なる第1ケース130cの孔CPH10cと、第2ケース140cの孔CPH10cBとに、新たな固定部材120cのカシメピンCP10cが通される。互いに重なる第1ケース130cの孔CPH40cと、第2ケース140cの孔CPH40cBとに、新たな固定部材120cのカシメピンCP40cが通される。以降の処理は、最初に液体収容容器100cが構成された際と同様である。
【0094】
第3実施例によれば、液体収容容器100cの再利用の際に、袋部110と、カシメピンCP10c,CP40cを備えた固定部材120cと、を交換することにより、容易に液体収容容器100cを再構成することができる。
【0095】
本実施形態における第1ケース130cと第2ケース140cとを「一対の部材」とも呼ぶ。
【0096】
D.他の実施形態:
D1.他の実施形態1:
(1)上記第1実施形態においては、蓋部150aがカシメピンとしての突部CP10a~CP60a,CP10aB~CP60aBを備える(図2図4参照)。しかし、カシメピンは、第1ケース130aが備えていてもよく、第2ケース140aが備えていてもよい。さらに、カシメピンは、相互に固定される蓋部150と第1ケース130aの両方が備えていてもよい。カシメピンは、相互に固定される蓋部150と第2ケース140aの両方が備えていてもよい。
【0097】
(2)上記第1実施形態においては、蓋部150aがカシメピンとしての6個の突部CP10a~CP60a,CP10aB~CP60aBを備える(図2図4参照)。上記第2実施形態においては、液体収容容器100bは、2個のカシメピンCP10b,CP40bを備える(図6および図9参照)。上記第3実施形態においては、固定部材120cが、2個のカシメピンCP10c,CP40cを備える(図11、ならびに図14図16参照)。しかし、液体収容容器は、1個のみのカシメピンを備える態様として構成することもでき、3個、4個、5個、7個、8個など、他の数のカシメピンを備える態様とすることもできる。
【0098】
(3)上記各実施形態においては、外殻100Sa~100Scは、袋部110を覆っている(図1図5および図10参照)。しかし、袋部の一部は、外殻に覆われずに露出していてもよい。すなわち、外殻は、袋部を囲む部材であればよい。
【0099】
D2.他の実施形態2:
上記実施形態においては、蓋部150aがカシメピンとしての突部CP10a~CP60a,CP10aB~CP60aBを備える(図2図4参照)。そして、第1ケース130aと蓋部150aは、6個の突部CP10a~CP60aのうちの2個の突部によって相互に固定されている(図1および図3参照)。第2ケース140aと蓋部150aは、6個の突部CP10aB~CP60aBのうちの2個の突部によって相互に固定されている。しかし、一対の部材は、一対の部材の一方または両方が備えるすべてのカシメピンで、相互に固定されていてもよい。
【0100】
D3.他の実施形態3:
上記第2実施形態においては、カシメピンCP10b,CP40bは、カシメピンCP10b,CP40bによって固定される第1ケース130bおよび第2ケース140bとは別体の部材である(図6参照)。しかし、カシメピンは、カシメピンによって固定される一対の部材の一方または他方と一体で構成されていてもよい(図2参照)。
【0101】
D4.他の実施形態4:
上記第3実施形態においては、固定部材120cは、2個のカシメピンCP10c,CP40cを有している(図11参照)。しかし、固定部材は、1個または3個以上のカシメピンを備えていてもよい。また、袋部と接続されている部材であって、固定部材ではない部材に、カシメピンが設けられていてもよい。
【0102】
D5.他の実施形態5:
上記第2実施形態において、カシメピンCP40bは、第1ケース130bの孔136bおよび蓋部150bの孔156bを通して、外部から視認されることができる(図8および図6参照)。また、カシメピンCP40bは、第2ケース140bの孔148bおよび蓋部150bの孔158bを通して、外部から視認されることができる(図8および図6参照)。上記第3実施形態において、カシメピンCP40bは、第1ケース130bの孔136bおよび蓋部150bの孔156bを通して、外部から視認されることができる(図8および図6参照)。また、カシメピンCP40bは、第2ケース140bの孔148bおよび蓋部150bの孔158bを通して、外部から視認されることができる(図8および図6参照)。
【0103】
しかし、外殻は、カシメピンが外部から視認されることができない孔であるが、その孔から特殊な工具を挿入することにより、外殻内のカシメピンを破壊することができる孔を備えることもできる。さらに、第1実施形態のように、外殻は、外殻内のカシメピンを破壊することができる孔を備えない態様とすることもできる。
【0104】
E.さらに他の形態:
本開示は、上述した実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の形態で実現することができる。例えば、本開示は、以下の形態によっても実現可能である。以下に記載した各形態中の技術的特徴に対応する上記実施形態中の技術的特徴は、本開示の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、本開示の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
【0105】
(1)本開示の一形態によれば、液体収容容器が提供される。この液体収容容器は、液体を収容した袋部と、使用済みの前記袋部を交換して前記液体収容容器を再構成する際に再使用される一対の部材と、を備える。前記一対の部材は、1以上のカシメピンによって相互に固定されている。
このような構成とすれば、液体収容容器が温度変化を経ていても、カシメピンを破壊することにより、容易に複数の部材を分離して、処理することができる。
【0106】
(2)上記形態の液体収容容器において、前記一対の部材の少なくとも一方は、前記一対の部材を相互に固定可能に構成されている複数の前記カシメピンを備え、前記一対の部材は、前記複数のカシメピンのうちの一部のカシメピンによって相互に固定されている、態様とすることもできる。
このような態様とすれば、一対の部材を再使用する際には、それまでに使用されていないカシメピンによって、一対の部材を固定することができる。このため、一対の部材を再使用する際に、最初の使用の際における一対の部材の固定の強度に対して、一対の部材の固定の強度が低下しないように、液体収容容器を再構成することができる。
また、それぞれの再使用における部材の使用の回数と、複数のカシメピンのうちそれぞれの再使用において使用されるカシメピンと、を対応づけることにより、液体収容容器の構成から容易に、一対の部材の使用回数を知ることができる。
【0107】
(3)上記形態の液体収容容器において、前記一対の部材と、前記カシメピンとは、別体の部材である、態様とすることもできる。
このような態様とすれば、一対の部材を再使用する際には、新たなカシメピンによって、一対の部材を固定することができる。このため、一対の部材を再使用する際に、最初の使用のときに対して一対の部材の固定の強度が低下しないように、液体収容容器を構成することができる。
また、液体収容容器の再構成のためにそれまでにカシメピンを破壊した回数に関係なく、一対の部材を再使用することができる。
さらに、上記の態様においては、液体収容容器の再構成の際に交換されるため、一対の部材の分解に際して変形および破壊されてよいカシメピンと、液体収容容器の再構成の際に交換されないため、分解に際して変形されないことが好ましい一対の部材と、の役割分担が明確である。このため、カシメピンと一対の部材との係合部分の設計が容易である。
【0108】
(4)上記形態の液体収容容器において、前記一対の部材は、前記袋部を囲む外殻の少なくとも一部を構成する部材であり、前記液体収容容器は、前記袋部を、前記外殻に固定するための固定部材を備え、前記固定部材は、前記カシメピンを備える、態様とすることもできる。
このような態様とすれば、液体収容容器の再利用の際に、袋部と、カシメピンを備えた固定部材と、を交換することにより、容易に液体収容容器を再構成することができる。
【0109】
(5)上記形態の液体収容容器において、前記袋部を囲む外殻を備え、前記外殻は、前記一対の部材を相互に固定している前記カシメピンが外部から視認されることができる孔を備える、態様とすることもできる。
このような態様とすれば、孔を介して、外殻の外からカシメピンを破壊することができる。このため、容易にカシメピンを除去することができる。
【0110】
本開示は、液体収容容器の種々の形態で実現することも可能である。例えば、液体収容容器の製造方法や、その制御方法を実現するコンピュータプログラム、そのコンピュータプログラムを記録した一時的でない記録媒体等の形態で実現することができる。
【符号の説明】
【0111】
100Sa…外殻、100Sb…外殻、100Sc…外殻、100a…液体収容容器、100b…液体収容容器、100c…液体収容容器、110…袋部、120a…固定部材、120b…固定部材、120c…固定部材、130a…第1ケース、130b…第1ケース、130c…第1ケース、131a…第1壁、131b…第1壁、131c…第1壁、132a…第2壁、132b…第2壁、132c…第2壁、133a…第3壁、133b…第3壁、133c…第3壁、134a…第4壁、134b…第4壁、134c…第4壁、135c…第5壁、136b…孔、137b…孔、138c…孔、139c…凹部、140a…第2ケース、140b…第2ケース、140c…第2ケース、141a…第1壁、141b…第1壁、141c…第1壁、142a…第2壁、142b…第2壁、142c…第2壁、143a…第3壁、143c…第3壁、144a…第4壁、144c…第4壁、145c…第5壁、148b…孔、148c…孔、149c…凹部、150a…蓋部、150b…蓋部、151a…第1壁、151b…第1壁、152a…第2壁、152b…第2壁、153a…第3壁、153b…第3壁、154a…第4壁、154b…第4壁、155a…第5壁、155b…第5壁、156a…孔、156b…孔、158b…孔、CP10a~CP60a…突部、CP10b,CP40b…カシメピン、CP10c,CP40c…カシメピン、CP60aB…突部、CPH10a~CPH60a…孔、CPH10b…孔、CPH10bB…孔、CPH10c…孔、CPH10cB…孔、CPH40aB~CPH60aB…孔、CPH40b…孔、CPH40bB…孔、CPH40c…孔、CPH40cB…孔、CPH70b…孔、CPH80b…孔、CPH80bB…孔
図1
図2
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図16