IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 京セラドキュメントソリューションズ株式会社の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-08
(45)【発行日】2024-05-16
(54)【発明の名称】インクジェット記録装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/01 20060101AFI20240509BHJP
   B41J 2/165 20060101ALI20240509BHJP
   B65H 9/00 20060101ALI20240509BHJP
   B65H 9/14 20060101ALI20240509BHJP
   B41J 11/02 20060101ALI20240509BHJP
   B41J 11/42 20060101ALI20240509BHJP
【FI】
B41J2/01 305
B41J2/01 451
B41J2/01 401
B41J2/165 207
B65H9/00 B
B65H9/14
B41J11/02
B41J11/42
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020069237
(22)【出願日】2020-04-07
(65)【公開番号】P2021165012
(43)【公開日】2021-10-14
【審査請求日】2023-03-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山下 敬佑
【審査官】岩本 太一
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-121217(JP,A)
【文献】特開2011-213095(JP,A)
【文献】特開2011-121226(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0038727(US,A1)
【文献】特開2005-119284(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01- 2/215
11/00-11/70
B65H 9/00- 9/20
13/00-15/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクを吐出する複数のノズルを有する記録ヘッドと、
記録媒体を前記記録ヘッドと対向する位置に搬送するとともに、前記記録媒体への画像形成に寄与するタイミングとは異なるタイミングで前記インクを吐出するフラッシングを前記記録ヘッドが実行したときに、前記インクを通過させる開口部を、前記記録媒体の搬送方向に複数有する無端状の搬送ベルトと、
前記記録媒体を前記搬送ベルト上に供給するレジストローラー対と、
前記レジストローラー対よりも前記記録媒体の供給方向の上流側に位置して前記記録媒体を検知する第1検知センサーと、
前記搬送ベルトの前記開口部の位置を検知する第2検知センサーと、
前記記録ヘッドおよび前記レジストローラー対を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記第1検知センサーによる前記記録媒体の後端の検知結果と、前記第2検知センサーによる前記開口部の検知結果とに基づいて、前記レジストローラー対によって前記搬送ベルトに供給される前記記録媒体が、前記搬送ベルトの走行によって移動する前記開口部と重なって前記搬送ベルトに載置されるか否かを判断し、その判断結果に基づいて、前記記録ヘッドによるフラッシングの実行を制御するとともに、前記レジストローラー対による後続の記録媒体の前記搬送ベルトへの供給を制御し、
前記開口部を第1開口部としたとき、
前記制御部は、前記第1検知センサーによって後端が検知された先行の記録媒体が、前記搬送ベルトの走行によって移動する前記第1開口部と重なって前記搬送ベルトに載置されると判断した場合、前記搬送ベルトの走行によって前記第1開口部と対向するタイミングでの前記記録ヘッドによる前記フラッシングの実行を停止させるとともに、前記第1開口部の検知後に前記第2検知センサーによって検知され、前記搬送ベルトの走行によって移動する他の開口部である第2開口部の上流側に前記後続の記録媒体が載置されるように、前記レジストローラー対によって前記後続の記録媒体を前記搬送ベルトに供給させ、前記搬送ベルトの走行によって前記第2開口部と対向するタイミングで前記記録ヘッドに前記フラッシングを実行させ、
前記制御部は、前記先行の記録媒体が前記第1開口部と重ならずに前記搬送ベルトに載置されると判断した場合、前記後続の記録媒体の先端が前記レジストローラー対に到達した時点での前記第1開口部の位置に基づいて、前記後続の記録媒体を、前記第1開口部および前記第2開口部のどちらの上流側に載置させるかを判断し、その判断結果に基づくタイミングで、前記レジストローラー対によって前記後続の記録媒体を前記搬送ベルトに供給させるとともに、前記第1開口部および前記第2開口部のうち、前記搬送ベルトに載置された前記後続の記録媒体に最も近い開口部と対向するタイミングで前記記録ヘッドに前記フラッシングを実行させることを特徴とすインクジェット記録装置。
【請求項2】
インクを吐出する複数のノズルを有する記録ヘッドと、
記録媒体を前記記録ヘッドと対向する位置に搬送するとともに、前記記録媒体への画像形成に寄与するタイミングとは異なるタイミングで前記インクを吐出するフラッシングを前記記録ヘッドが実行したときに、前記インクを通過させる開口部を、前記記録媒体の搬送方向に複数有する無端状の搬送ベルトと、
前記記録媒体を前記搬送ベルト上に供給するレジストローラー対と、
前記レジストローラー対よりも前記記録媒体の供給方向の上流側に位置して前記記録媒体を検知する第1検知センサーと、
前記搬送ベルトの前記開口部の位置を検知する第2検知センサーと、
前記記録ヘッドおよび前記レジストローラー対を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記第1検知センサーによる前記記録媒体の後端の検知結果と、前記第2検知センサーによる前記開口部の検知結果とに基づいて、前記レジストローラー対によって前記搬送ベルトに供給される前記記録媒体が、前記搬送ベルトの走行によって移動する前記開口部と重なって前記搬送ベルトに載置されるか否かを判断し、その判断結果に基づいて、前記記録ヘッドによるフラッシングの実行を制御するとともに、前記レジストローラー対による後続の記録媒体の前記搬送ベルトへの供給を制御し、
前記開口部を第1開口部としたとき、
前記制御部は、前記第1検知センサーによって後端が検知された先行の記録媒体が、前記搬送ベルトの走行によって移動する前記第1開口部と重なって前記搬送ベルトに載置されると判断した場合、前記搬送ベルトの走行によって前記第1開口部と対向するタイミングでの前記記録ヘッドによる前記フラッシングの実行を停止させるとともに、前記第1開口部の検知後に前記第2検知センサーによって検知され、前記搬送ベルトの走行によって移動する他の開口部である第2開口部の上流側に前記後続の記録媒体が載置されるように、前記レジストローラー対によって前記後続の記録媒体を前記搬送ベルトに供給させ、前記搬送ベルトの走行によって前記第2開口部と対向するタイミングで前記記録ヘッドに前記フラッシングを実行させ、
前記レジストローラー対によって前記搬送ベルトに向かって供給される前記記録媒体が前記搬送ベルトと合流する地点を合流位置とし、前記レジストローラー対から前記合流位置までの前記記録媒体の搬送距離をA(mm)とし、前記第1検知センサーの検知位置から前記合流位置までの前記記録媒体の搬送距離をB(mm)とし、前記第2検知センサーの検知位置から前記合流位置までの、前記搬送ベルトの走行による前記第1開口部または前記第2開口部の移動距離をC(mm)として、A<B<C、またはA<C<Bである場合において、
前記制御部は、前記第1検知センサーによって前記先行の記録媒体の後端が既に検知されており、前記第2検知センサーによって前記第1開口部を検知した時点で、前記第1検知センサーによる前記後続の記録媒体の先端検知に基づいて、前記レジストローラー対に前記後続の記録媒体の先端が到達していると判断したとき、前記第1開口部が前記搬送ベルトの走行によって(C-A)の距離を移動した後に、前記レジストローラー対によって前記後続の記録媒体を前記搬送ベルトに供給させるとともに、前記搬送ベルトの走行によって前記第1開口部と対向するタイミングで前記記録ヘッドに前記フラッシングを実行させることを特徴とすインクジェット記録装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記第1検知センサーによって前記先行の記録媒体の後端が既に検知されており、前記第1検知センサーによる前記後続の記録媒体の先端検知に基づいて、前記レジストローラー対に前記後続の記録媒体の先端が到達していないと判断した場合において、その後、前記レジストローラー対に前記後続の記録媒体の先端が到達した時点での、前記第2検知センサーによる検知位置からの前記搬送ベルトの走行による前記第1開口部の移動量が(C-A)以下である場合には、前記移動量が(C-A)を超えてから、前記レジストローラー対によって前記後続の記録媒体を前記搬送ベルトに供給させるとともに、前記第1開口部が前記記録ヘッドと対向するタイミングで前記記録ヘッドにフラッシングを実行させることを特徴とする請求項に記載のインクジェット記録装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記第1検知センサーによって前記先行の記録媒体の後端が既に検知されており、前記第1検知センサーによる前記後続の記録媒体の先端検知に基づいて、前記レジストローラー対に前記後続の記録媒体の先端が到達していないと判断した場合において、その後、前記レジストローラー対に前記後続の記録媒体の先端が到達した時点での、前記第2検知センサーによる検知位置からの前記搬送ベルトの走行による前記第1開口部の移動量が(C-A)を超えている場合には、前記第2検知センサーによって前記第2開口部が検知されてから、前記第2開口部が前記搬送ベルトの走行によって(C-A)の距離を移動するまで、前記レジストローラー対による前記後続の記録媒体の供給を停止させ、前記第2開口部が(C-A)の距離を移動した後に、前記レジストローラー対によって前記後続の記録媒体を前記搬送ベルトに供給させるとともに、前記第2開口部が前記記録ヘッドと対向するタイミングで前記記録ヘッドにフラッシングを実行させることを特徴とする請求項またはに記載のインクジェット記録装置。
【請求項5】
前記制御部は、A<B<Cであるときに、前記第1検知センサーによって前記先行の記録媒体の後端が検知されていないと判断した場合において、その後、前記第1検知センサーによって前記先行の記録媒体の後端を検知した時点での、前記第2検知センサーによる検知位置からの前記搬送ベルトの走行による前記第1開口部の移動量が(C-B)未満である場合には、前記第1開口部の上流側に前記後続の記録媒体が載置されるように、前記レジストローラー対によって前記後続の記録媒体を前記搬送ベルトに供給させるとともに、前記第1開口部が前記記録ヘッドと対向するタイミングで前記記録ヘッドにフラッシングを実行させることを特徴とする請求項からのいずれかに記載のインクジェット記録装置。
【請求項6】
前記制御部は、A<B<Cであるときに、前記第1検知センサーによって前記先行の記録媒体の後端が検知されていないと判断した場合において、その後、前記第1検知センサーによって前記先行の記録媒体の後端を検知した時点での、前記第2検知センサーによる検知位置からの前記搬送ベルトの走行による前記第1開口部の移動量が(C-B)以上である場合には、前記第1開口部が前記記録ヘッドと対向するタイミングでの前記記録ヘッドによるフラッシングの実行を停止させるとともに、前記第2開口部の上流側に前記後続の記録媒体が載置されるように、前記レジストローラー対によって前記後続の記録媒体を前記搬送ベルトに供給させ、前記搬送ベルトの走行によって前記第2開口部と対向するタイミングで前記記録ヘッドに前記フラッシングを実行させることを特徴とする請求項からのいずれかに記載のインクジェット記録装置。
【請求項7】
前記制御部は、A<C<Bであるときに、前記第2検知センサーによって前記第1開口部が検知された時点において、前記第1検知センサーによって前記先行の記録媒体の後端が検知されていないと判断した場合、前記第1開口部が前記記録ヘッドと対向するタイミングでの前記記録ヘッドによるフラッシングの実行を停止させるとともに、前記第2開口部の上流側に前記後続の記録媒体が載置されるように、前記レジストローラー対によって前記後続の記録媒体を前記搬送ベルトに供給させ、前記搬送ベルトの走行によって前記第2開口部と対向するタイミングで前記記録ヘッドに前記フラッシングを実行させることを特徴とする請求項からのいずれかに記載のインクジェット記録装置。
【請求項8】
前記搬送ベルトは、前記搬送ベルトにおける前記記録媒体の搬送方向とは垂直なベルト幅方向に前記開口部を並べた開口部列を有する開口部群を、前記搬送方向の複数箇所に有しており、
前記開口部群は、前記搬送ベルトの1周期において、前記搬送方向に不定期に位置することを特徴とする請求項1からのいずれかに記載のインクジェット記録装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクを記録媒体に吐出して画像を記録するインクジェット記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、インクジェットプリンターなどのインクジェット記録装置において、インクの乾燥によるノズルの目詰まりを低減または予防するため、定期的にノズルからインクを吐き出すフラッシング(空吐出)が行われている。例えば特許文献1のインクジェット記録装置では、記録媒体を搬送する搬送ベルトに開口部を設け、搬送ベルトの走行によって開口部が記録ヘッドと対向する位置にきたときに、記録ヘッドのノズルからインクを吐出して開口部を通過させるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011-213095号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、インク吐出によって画像が形成される用紙は、通常、搬送ベルトにおいて上記の開口部と搬送方向にずれた位置に供給され、載置される。これにより、上記の開口部を利用してフラッシングを行うことができる。
【0005】
しかし、何らかの原因で、搬送ベルトにおいてフラッシングに利用する開口部(以下、「フラッシング用の開口部」とも称する)と重なって用紙が載置される場合がある。上記原因としては、用紙のスリップや、用紙サイズの設定の間違いなどが考えられる。例えば、用紙の搬送途中で、用紙が搬送ローラー等でスリップすると、用紙の搬送ベルトへの供給が遅れ、その結果、用紙が搬送ベルトのフラッシング用の開口部と重なって載置される場合がある。また、印刷する用紙サイズが設定されたサイズよりも大きいと(搬送方向に長いと)、用紙の後端がフラッシング用の開口部を塞いでしまう場合がある。用紙サイズの自動検知による誤判定(例えばセンチ/インチの設定間違いによる)や、手差しトレイによる用紙の給紙も、印刷する用紙サイズが設定されたサイズと異なる要因となり得る。
【0006】
搬送ベルトにおいてフラッシング用の開口部に重なって用紙が載置された場合、上記開口部と対向するタイミングで記録ヘッドにフラッシングを実行させると、上記開口部と重なって載置された用紙に、画像形成に寄与するインクとは異なるインクが付着する。その結果、用紙がインクで汚れるだけでなく、用紙に形成された画像の画質が低下する。したがって、上記フラッシングの実行を停止させる必要がある。その反面、後続の用紙に対して良質なインクを吐出して画像形成を良好に行うためには、後続の用紙に対して画像形成を行う前にフラッシングを行って、乾燥によって粘度の増大したインクを強制的に吐き捨てておくことが必要である。
【0007】
したがって、先行の用紙が何らかの原因によって搬送ベルトの開口部と重なって供給された場合でも、フラッシングによる先行の用紙の画像の画質低下を回避するとともに、後続の用紙への画像形成を良好に行うことができるように、フラッシングの実行および後続の用紙の搬送ベルトへの供給を制御することが望ましい。しかし、このような制御については、特許文献1では一切検討されていない。
【0008】
本発明は、上記問題点に鑑み、先行の記録媒体が何らかの原因で搬送ベルトの開口部と重なって供給された場合でも、先行の記録媒体に記録された画像の画質低下を回避するとともに、後続の記録媒体への画像形成前にフラッシングを行う機会を確保して、後続の記録媒体への画像形成を良好に行うことができるインクジェット記録装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の一側面に係るインクジェット記録装置は、インクを吐出する複数のノズルを有する記録ヘッドと、記録媒体を前記記録ヘッドと対向する位置に搬送するとともに、前記記録媒体への画像形成に寄与するタイミングとは異なるタイミングで前記インクを吐出するフラッシングを前記記録ヘッドが実行したときに、前記インクを通過させる開口部を、前記記録媒体の搬送方向に複数有する無端状の搬送ベルトと、前記記録媒体を前記搬送ベルト上に供給するレジストローラー対と、前記レジストローラー対よりも前記記録媒体の供給方向の上流側に位置して前記記録媒体を検知する第1検知センサーと、前記搬送ベルトの前記開口部の位置を検知する第2検知センサーと、前記記録ヘッドおよび前記レジストローラー対を制御する制御部と、を備える。前記制御部は、前記第1検知センサーによる前記記録媒体の後端の検知結果と、前記第2検知センサーによる前記開口部の検知結果とに基づいて、前記レジストローラー対によって前記搬送ベルトに供給される前記記録媒体が、前記搬送ベルトの走行によって移動する前記開口部と重なって前記搬送ベルトに載置されるか否かを判断し、その判断結果に基づいて、前記記録ヘッドによるフラッシングの実行を制御するとともに、前記レジストローラー対による後続の記録媒体の前記搬送ベルトへの供給を制御する。
【発明の効果】
【0010】
先行の記録媒体が何らかの原因で搬送ベルトの開口部と重なって供給された場合でも、フラッシングの実行および後続の用紙の搬送ベルトへの供給を適切に制御することにより、先行の記録媒体における記録画像の画質低下を回避できるとともに、後続の記録媒体への画像形成前にフラッシングを行う機会を確保して、後続の記録媒体への画像形成を良好に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態に係るインクジェット記録装置としてのプリンターの概略の構成を示す説明図である。
図2】上記プリンターが備える記録部の平面図である。
図3】上記プリンターの給紙カセットから第1搬送ユニットを介して第2搬送ユニットに至る用紙の搬送経路の周辺の構成を模式的に示す説明図である。
図4】上記プリンターの主要部のハードウェア構成を示すブロック図である。
図5】上記第1搬送ユニットが有する第1搬送ベルトの一構成例を示す平面図である。
図6図5の第1搬送ベルトを用いたときの、フラッシング用の開口部群のパターンの一例と、上記パターンに応じて上記第1搬送ベルト上に配置される用紙とを模式的に示す説明図である。
図7】上記パターンの他の例と、上記パターンに応じて上記第1搬送ベルト上に配置される用紙とを模式的に示す説明図である。
図8】上記パターンのさらに他の例と、上記パターンに応じて上記第1搬送ベルト上に配置される用紙とを模式的に示す説明図である。
図9】上記パターンのさらに他の例と、上記パターンに応じて上記第1搬送ベルト上に配置される用紙とを模式的に示す説明図である。
図10】上記第1搬送ベルトに複数の用紙を順に供給する際に、2枚目以降の用紙に搬送遅れが生じたときの、上記第1搬送ベルト上での各用紙の載置位置を模式的に示す説明図である。
図11】上記第1搬送ベルトに設定サイズよりも搬送方向に長い用紙が供給されて載置された状態を模式的に示す説明図である。
図12】上記第1搬送ベルト上に載置された先行の用紙が、フラッシングに用いる開口部群と重なる場合に、後続の用紙の載置位置の一例を模式的に示す説明図である。
図13】上記第1搬送ベルト上に載置された先行の用紙が、フラッシングに用いる開口部群と重なる場合に、後続の用紙の載置位置の他の例を模式的に示す説明図である。
図14】上記プリンターにおけるレジストローラー対、レジストセンサーおよびベルトセンサーの位置関係の一例を模式的に示す説明図である。
図15図14の構成において、上記レジストローラー対および上記レジストセンサーと、先行の用紙および後続の用紙と、上記第1搬送ベルトの開口部との位置関係の一例を模式的に示す説明図である。
図16】上記位置関係の他の例を模式的に示す説明図である。
図17】上記位置関係のさらに他の例を模式的に示す説明図である。
図18】上記位置関係のさらに他の例を模式的に示す説明図である。
図19】上記位置関係のさらに他の例を模式的に示す説明図である。
図20】上記位置関係のさらに他の例を模式的に示す説明図である。
図21】上記位置関係のさらに他の例を模式的に示す説明図である。
図22】上記プリンターにおけるレジストローラー対、レジストセンサーおよびベルトセンサーの位置関係の他の例を模式的に示す説明図である。
図23図22の構成において、上記レジストローラー対および上記レジストセンサーと、先行の用紙および後続の用紙と、上記第1搬送ベルトの開口部との位置関係の一例を模式的に示す説明図である。
図24】上記位置関係の他の例を模式的に示す説明図である。
図25】上記位置関係のさらに他の例を模式的に示す説明図である。
図26】上記位置関係のさらに他の例を模式的に示す説明図である。
図27】上記位置関係のさらに他の例を模式的に示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
〔1.インクジェット記録装置の構成〕
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。図1は、本発明の実施形態に係るインクジェット記録装置としてのプリンター100の概略の構成を示す説明図である。プリンター100は、用紙収容部である給紙カセット2を備えている。給紙カセット2は、プリンター本体1の内部下方に配置されている。給紙カセット2の内部には、記録媒体の一例である用紙Pが収容されている。
【0013】
給紙カセット2の用紙搬送方向下流側、すなわち図1における給紙カセット2の右側の上方には給紙装置3が配置されている。この給紙装置3により、用紙Pは図1において給紙カセット2の右上方に向け、1枚ずつ分離されて送り出される。
【0014】
プリンター100は、その内部に第1用紙搬送路4aを備えている。第1用紙搬送路4aは、給紙カセット2に対してその給紙方向である右上方に位置する。給紙カセット2から送り出された用紙Pは、第1用紙搬送路4aにより、プリンター本体1の側面に沿って垂直上方に搬送される。
【0015】
用紙搬送方向において第1用紙搬送路4aの下流端には、レジストローラー対13が設けられている。さらに、レジストローラー対13の用紙搬送方向下流側直近には、第1搬送ユニット5および記録部9が配置されている。給紙カセット2から送り出された用紙Pは、第1用紙搬送路4aを通ってレジストローラー対13に到達する。レジストローラー対13は、用紙Pの斜め送りを矯正しつつ、記録部9が実行するインク吐出動作とのタイミングを計り、第1搬送ユニット5に向かって用紙Pを送り出す。
【0016】
第1搬送ユニット5に送り出された用紙Pは、第1搬送ベルト8によって記録部9(特に後述する記録ヘッド17a~17c)との対向位置に搬送される。記録部9から用紙Pにインクが吐出されることにより、用紙P上に画像が記録される。このとき、記録部9におけるインクの吐出は、プリンター100の内部の制御部110によって制御される。制御部110は、例えばCPU(Central Processing Unit)によって構成され、必要な演算を行う演算部および時間を計時する計時部としての機能も有する。
【0017】
用紙搬送方向において、第1搬送ユニット5の下流側(図1の左側)には、第2搬送ユニット12が配置されている。記録部9によって画像が記録された用紙Pは、第2搬送ユニット12へ送られる。用紙Pの表面に吐出されたインクは、第2搬送ユニット12を通過する間に乾燥される。
【0018】
用紙搬送方向において、第2搬送ユニット12の下流側であってプリンター本体1の左側面近傍には、デカーラー部14が設けられている。第2搬送ユニット12によってインクが乾燥された用紙Pは、デカーラー部14へ送られて、用紙Pに生じたカールが矯正される。
【0019】
用紙搬送方向において、デカーラー部14の下流側(図1の上方)には、第2用紙搬送路4bが設けられている。デカーラー部14を通過した用紙Pは、両面記録を行わない場合、第2用紙搬送路4bを通り、プリンター100の左側面外部に設けられた用紙排出トレイ15に排出される。
【0020】
プリンター本体1の上部であって記録部9および第2搬送ユニット12の上方には、両面記録を行うための反転搬送路16が設けられている。両面記録を行う場合、用紙Pの一方の面(第1面)への記録が終了して第2搬送ユニット12およびデカーラー部14を通過した用紙Pは、第2用紙搬送路4bを通って反転搬送路16へ送られる。
【0021】
反転搬送路16へ送られた用紙Pは、続いて用紙Pの他方の面(第2面)への記録のために搬送方向が切り替えられる。そして、用紙Pは、プリンター本体1の上部を通過して右側に向かって送られ、レジストローラー対13を経て第2面を上向きにした状態で再び第1搬送ユニット5へ送られる。第1搬送ユニット5では、記録部9との対向位置に用紙Pが搬送され、記録部9からのインク吐出によって第2面に画像が記録される。両面記録後の用紙Pは、第2搬送ユニット12、デカーラー部14、第2用紙搬送路4bを順に介して用紙排出トレイ15に排出される。
【0022】
また、第2搬送ユニット12の下方には、メンテナンスユニット19およびキャップユニット20が配置されている。メンテナンスユニット19は、パージを実行する際に記録部9の下方に水平移動し、記録ヘッドのインク吐出口から押出されたインクを拭き取り、拭き取られたインクを回収する。なお、パージとは、インク吐出口内の増粘インク、異物、気泡を排出するために、記録ヘッドのインク吐出口からインクを強制的に押し出す動作を言う。キャップユニット20は、記録ヘッドのインク吐出面をキャッピングする際に記録部9の下方に水平移動し、さらに上方に移動して記録ヘッドの下面に装着される。
【0023】
図2は、記録部9の平面図である。記録部9は、ヘッドハウジング10と、ラインヘッド11Y、11M、11C、11Kとを備えている。ラインヘッド11Y~11Kは、駆動ローラー6a、従動ローラー6b、他のローラー7aおよび7bを含む複数のローラーに張架された無端状の第1搬送ベルト8の搬送面に対して、所定の間隔(例えば1mm)が形成される高さでヘッドハウジング10に保持される。駆動ローラー6aの駆動は、制御部110によって制御される。
【0024】
ラインヘッド11Y~11Kは、複数(ここでは3個)の記録ヘッド17a~17cをそれぞれ有している。記録ヘッド17a~17cは、用紙搬送方向(矢印A方向)と直交する用紙幅方向(矢印BB’方向)に沿って千鳥状に配列されている。記録ヘッド17a~17cは、複数のインク吐出口18(ノズル)を有している。各インク吐出口18は、記録ヘッドの幅方向、つまり、用紙幅方向(矢印BB’方向)に等間隔で並んで配置されている。ラインヘッド11Y~11Kからは、記録ヘッド17a~17cのインク吐出口18を介して、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色のインクが、第1搬送ベルト8で搬送される用紙Pに向かってそれぞれ吐出される。
【0025】
図3は、給紙カセット2から第1搬送ユニット5を介して第2搬送ユニット12に至る用紙Pの搬送経路の周辺の構成を模式的に示している。また、図4は、プリンター100の主要部のハードウェア構成を示すブロック図である。プリンター100は、上記の構成に加えて、レジストセンサー21と、第1用紙センサー22と、第2用紙センサー23と、ベルトセンサー24および25と、をさらに備えている。
【0026】
レジストセンサー21は、用紙カセット2から給紙装置3によって搬送され、レジストローラー対13に送られる用紙Pを検知する。このレジストセンサー21は、レジストローラー対13よりも用紙Pの供給方向の上流側に位置して用紙Pを検知する第1検知センサーである。制御部110は、レジストセンサー21での検知結果に基づき、レジストローラー対13の回転開始タイミングを制御することができる。例えば、制御部110は、レジストセンサー21での検知結果に基づき、レジストローラー対13によるスキュー(斜行)補正後の用紙Pの第1搬送ベルト8への供給タイミングを制御することができる。
【0027】
第1用紙センサー22は、レジストローラー対13から第1搬送ベルト8に送られる用紙Pの幅方向の位置を検知するセンサーである。制御部110は、第1用紙センサー22での検知結果に基づき、ラインヘッド11Y~11Kの記録ヘッド17a~17cの各インク吐出口18のうち、用紙Pの幅に対応するインク吐出口18からインクを吐出させて用紙Pに画像を記録することができる。
【0028】
第2用紙センサー23は、レジストローラー対13によって第1搬送ベルト8に供給された用紙Pの通過を検知するセンサーである。つまり、第2用紙センサー23は、第1搬送ベルト8で搬送される用紙Pの搬送方向の位置を検知する。第2用紙センサー23は、用紙搬送方向において記録部9の上流側で第1用紙センサー22の下流側に位置している。制御部110は、第2用紙センサー23での検知結果に基づき、第1搬送ベルト8によってラインヘッド11Y~11K(記録ヘッド17a~17c)と対向する位置に到達する用紙Pに対するインクの吐出タイミングを制御することができる。
【0029】
ベルトセンサー24および25は、第1搬送ベルト8に設けられた、後述する複数の開口部群82または開口部80(図5参照)の位置を検知する第2検知センサーである。つまり、ベルトセンサー24および25は、第1搬送ベルト8の走行による開口部群82の少なくともいずれかの通過を検知する。ベルトセンサー24は、用紙搬送方向(第1搬送ベルト8の走行方向)において記録部9の下流側に位置している。ベルトセンサー25は、第1搬送ベルト8を張架する従動ローラー6bよりも用紙搬送方向の上流側に位置している。したがって、ベルトセンサー25は、従動ローラー6bと他のローラー7bとの間に位置していてもよいし、ローラー7aとローラー7bとの間に位置していてもよい。従動ローラー6bは、記録部9に対して第1搬送ベルト8の走行方向の上流側に位置している。なお、ベルトセンサー24は、第2用紙センサー23と同等の機能を兼ね備えている。制御部110は、ベルトセンサー24または25での検知結果に基づき、第1搬送ベルト8に対して所定のタイミングで用紙Pを供給するように、レジストローラー対13を制御することができる。
【0030】
また、用紙の位置を複数のセンサー(第2用紙センサー23、ベルトセンサー24)で検知し、第1搬送ベルト8の開口部群82の位置を複数のセンサー(ベルトセンサー24および25)で検知することにより、検知した位置の誤差修正や異常の検知も可能となる。
【0031】
上述した第1用紙センサー22、第2用紙センサー23、ベルトセンサー24および25は、透過型または反射型の光学センサー、CISセンサー(Contact Image Sensor、密着型イメージセンサー)で構成されてもよい。また、第1搬送ベルト8の幅方向の端部に、開口部群82の位置に対応するマークを形成しておき、ベルトセンサー24および25が上記マークを検知することにより、開口部群82の位置を検知してもよい。
【0032】
その他、プリンター100は、第1搬送ベルト8の蛇行を検知する蛇行検知センサーを備え、その検知結果に基づいて第1搬送ベルト8の蛇行を修正する構成であってもよい。
【0033】
また、プリンター100は、操作パネル27と、記憶部28と、通信部29と、をさらに備えている。
【0034】
操作パネル27は、ユーザーによる各種の設定入力を受け付けるための操作部である。例えば、ユーザーは、操作パネル27を操作して、給紙カセット2にセットする用紙Pのサイズ、つまり、第1搬送ベルト8によって搬送する用紙Pのサイズの情報を入力することができる。
【0035】
記憶部28は、制御部110の動作プログラムを記憶するとともに、各種の情報を記憶するメモリであり、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、不揮発性メモリなどを含んで構成されている。操作パネル27によって設定された情報(例えば用紙Pのサイズの情報)は、記憶部28に記憶される。
【0036】
通信部29は、外部(例えばパーソナルコンピュータ(PC))との間で情報を送受信するための通信インターフェースである。例えば、ユーザーがPCを操作し、プリンター100に対して画像データとともに印刷コマンドを送信すると、上記の画像データおよび印刷コマンドが通信部29を介してプリンター100に入力される。プリンター100では、制御部110が上記画像データに基づいて記録ヘッド17a~17cを制御してインクを吐出させることにより、用紙Pに画像を記録することができる。
【0037】
また、図3に示すように、プリンター100は、第1搬送ベルト8の内周面側に、インク受け部31Y、31M、31C、31Kを有している。インク受け部31Y~31Kは、フラッシングを記録ヘッド17a~17cに実行させたときに、記録ヘッド17a~17cから吐出されて第1搬送ベルト8の開口部80を通過したインクを受けて回収する。したがって、インク受け部31Y~31Kは、ラインヘッド11Y~11Kの記録ヘッド17a~17cと、第1搬送ベルト8を介して対向する位置に設けられている。なお、インク受け部31Y~31Kで回収されたインクは、例えば廃インクタンクに送られて廃棄されるが、廃棄せずに再利用されてもよい。
【0038】
ここで、フラッシングとは、インクの乾燥によるインク吐出口18の目詰まりを低減または予防する目的で、用紙Pへの画像形成(画像記録)に寄与するタイミングとは異なるタイミングでインク吐出口18からインクを吐出することを言う。記録ヘッド17a~17cにおけるフラッシングの実行は、制御部110によって制御される。
【0039】
上述した第2搬送ユニット12は、第2搬送ベルト12aと、乾燥器12bとを有して構成されている。第2搬送ベルト12aは、2つの駆動ローラー12cおよび従動ローラー12dによって張架されている。第1搬送ユニット5によって搬送され、記録部9によるインク吐出によって画像が記録された用紙Pは、第2搬送ベルト12aによって搬送され、搬送中に乾燥器12bによって乾燥されて上述したデカーラー部14に搬送される。
【0040】
〔2.第1搬送ベルトの詳細〕
(2-1.第1搬送ベルトの一構成例)
次に、第1搬送ユニット5の第1搬送ベルト8の詳細について説明する。図5は、第1搬送ベルト8の一構成例を示す平面図である。本実施形態では、用紙Pを負圧吸引によって第1搬送ベルト8に吸着させて搬送する負圧吸引方式を採用している。このため、第1搬送ベルト8には、負圧吸引によって発生する吸引風を通過させる吸引孔8aが無数に設けられている。
【0041】
また、第1搬送ベルト8には、開口部群82も設けられている。開口部群82は、フラッシングのときに記録ヘッド17a~17cの各ノズル(インク吐出口18)から吐出されるインクを通過させる開口部80の集合である。1つの開口部80の開口面積は、1つの吸引孔8aの開口面積よりも大きい。第1搬送ベルト8は、開口部群82を用紙Pの搬送方向(A方向)に1周期で複数有しており、本実施形態は6個有している。なお、1周期とは、第1搬送ベルト8が1周する期間または距離を指す。また、各開口部群82を互いに区別するときは、6個の開口部群82を、A方向の下流側から、開口部群82A~82Fと称する。上記の吸引孔8aは、A方向において隣り合う開口部群82と開口部群82との間に位置している。すなわち、第1搬送ベルト8において、開口部群82と重複する領域(開口部80の周囲)には、吸引孔8aは形成されていない。
【0042】
開口部群82は、第1搬送ベルト8の1周期において、A方向に不定期に位置する。つまり、A方向において、隣り合う開口部群82と開口部群82との間隔は一定ではなく、変化している(上記間隔は少なくとも2種類存在する)。このとき、A方向に隣り合う2つの開口部群82の最大間隔(例えば図5の開口部群82Aと開口部群82Bとの間隔)は、印字可能な最小サイズ(例えばA4サイズ(横置き))の用紙Pが第1搬送ベルト8上に載置されたときの上記用紙PのA方向の長さよりも長い。
【0043】
上記の開口部群82は、開口部列81を有している。開口部列81は、A方向と直交するベルト幅方向(用紙幅方向、BB’方向)に複数の開口部80を並べて構成されている。1つの開口部群82は、開口部列81をA方向に少なくとも1列有しており、本実施形態では、開口部列81を2列有している。なお、2列の開口部列81を互いに区別するときは、一方を開口部列81aとし、他方を開口部列81bとする。
【0044】
1つの開口部群82において、いずれかの開口部列81(例えば開口部列81a)の開口部80は、他の開口部列81(例えば開口部列81b)の開口部80とBB’方向にずれて位置し、かつ、A方向に見て他の開口部列81(例えば開口部列81b)の開口部80の一部と重畳するように位置する。また、各開口部列81において、複数の開口部80は、BB’方向に等間隔で位置する。
【0045】
上記のように複数の開口部列81をA方向に並べて1つの開口部群82を形成していることにより、開口部群82のBB’方向の幅は、記録ヘッド17a~17cのBB’方向の幅よりも大きくなっている。したがって、開口部群82は、記録ヘッド17a~17cのBB’方向のインク吐出領域を全てカバーしており、フラッシング時に記録ヘッド17a~17cの全てのインク吐出口18から吐出されるインクは、開口部群82のいずれかの開口部80を通過する。
【0046】
(2-2.フラッシングのときに用いる開口部群のパターンについて)
本実施形態では、上記の第1搬送ベルト8を用いて用紙Pを搬送しながら、外部(例えばPC)から送信される画像データに基づいて、制御部110が記録ヘッド17a~17cを駆動することにより、用紙P上に画像を記録する。その際に、搬送される用紙Pと用紙Pとの間で記録ヘッド17a~17cにフラッシング(紙間フラッシング)を実行させることにより、インク吐出口18の目詰まりを低減または予防するようにしている。
【0047】
ここで、本実施形態では、制御部110は、第1搬送ベルト8の1周期において、フラッシングのときに用いる複数の開口部群82のA方向のパターン(組み合わせ)を、用いる用紙Pのサイズに応じて決定する。なお、用いる用紙Pのサイズは、制御部110が、記憶部28に記憶された情報(操作パネル27aによって入力された用紙Pのサイズ情報)に基づいて認識することができる。なお、開口部群82のパターンは、後述する用紙Pの載置パターンと文言上区別される。
【0048】
図6図9は、サイズの異なる用紙Pごとの開口部群82のパターンの一例をそれぞれ示している。例えば、用いる用紙PがA4サイズ(横置き)またはレターサイズ(横置き)である場合、制御部110は、図6で示す開口部群82のパターンを選択する。つまり、制御部110は、図5で示した6つの開口部群82の中から、フラッシングに用いる開口部群82として、開口部群82A、82C、82Fを選択する。用いる用紙PがA4サイズ(縦置き)またはレターサイズ(縦置き)である場合、制御部110は、図7で示すように、6つの開口部群82の中から、フラッシングに用いる開口部群82として、開口部群82A、82Dを選択する。用いる用紙PがA3サイズ、B4サイズまたはリーガルサイズ(いずれも縦置き)である場合、制御部110は、図8で示すように、6つの開口部群82の中から、フラッシングに用いる開口部群82として、開口部群82A、82B、82Eを選択する。用いる用紙Pが13インチ×19.2インチのサイズである場合、制御部110は、図9で示すように、6つの開口部群82の中から、フラッシングに用いる開口部群82として、開口部群82A、82Dを選択する。なお、各図面では、上記パターンに属する開口部群82の開口部80を、便宜的に黒塗りで示す。
【0049】
そして、制御部110は、第1搬送ベルト8の走行により、決定したパターンで位置する開口部群82が記録ヘッド17a~17cと対向するタイミングで、記録ヘッド17a~17cにフラッシングを実行させる。ここで、第1搬送ベルト8の走行速度(用紙搬送速度)、開口部群82A~82Eの間隔、第1搬送ベルト8に対する記録ヘッド17a~17cの位置は、全て既知である。このため、第1搬送ベルト8の走行によって基準となる開口部群82(例えば開口部群82A)が通過したことをベルトセンサー24または25)が検知すると、その検知時点から何秒後に開口部群82A~82Eが記録ヘッド17a~17cとの対向位置を通過するかがわかる。したがって、制御部110は、ベルトセンサー24または25の検知結果に基づき、上記で決定したパターンで位置する開口部群82が記録ヘッド17a~17cと対向するタイミングで、記録ヘッド17a~17cにフラッシングを実行させることができる。
【0050】
また、制御部110は、決定したパターンで位置する開口部群82とはA方向にずれるように用紙Pの第1搬送ベルト8への供給を制御する。つまり、制御部110は、第1搬送ベルト8上で、上記パターンでA方向に並ぶ複数の開口部群82の間に、レジストローラー対13によって用紙Pを供給させる。
【0051】
例えば、用いる用紙PがA4サイズ(横置き)またはレターサイズ(横置き)である場合、制御部110は、図6で示すように、第1搬送ベルト8上で、開口部群82Aと開口部群82Cとの間に2枚の用紙Pが配置され、開口部群82Cと開口部群82Fとの間に2枚の用紙Pが配置され、開口部群82Fと(次の周期の)開口部群82Aとの間に1枚の用紙Pが配置されるように、レジストローラー対13を制御して所定の供給タイミングで用紙Pを第1搬送ベルト8に供給させる。このとき、制御部110は、第1搬送ベルト8上で、上記パターンで位置する開口部群82A、82C、82FからA方向(上流側、下流側の両方向を含む)に所定距離以上離れた位置に各用紙Pが配置されるように、レジストローラー対13を制御して用紙Pを第1搬送ベルト8に供給させる。なお、上記所定距離は、ここでは一例として10mmとしている。
【0052】
ここで、レジストローラー対13による用紙Pの供給タイミングは、制御部110がベルトセンサー24または25の検知結果に基づいて決定することができる。例えば、第1搬送ベルト8の走行によって基準となる開口部群82(例えば開口部群82A)が通過したことをベルトセンサー25が検知すると、制御部110はその検知時点から何秒後にレジストローラー対13によって用紙Pを第1搬送ベルト8に供給すれば、図6で示した各位置に用紙Pを配置できるかを判断することができる。したがって、制御部110は、ベルトセンサー25での検知結果に基づいて用紙Pの供給タイミングを決定し、決定した供給タイミングで用紙Pが供給されるようにレジストローラー対13を制御する。これにより、第1搬送ベルト8上で図6で示した各位置に、およそ等間隔で用紙Pを配置することができる。図6の例では、第1搬送ベルト8の1周期で用紙Pを5枚搬送することができ、用紙Pの1分あたりの印字枚数(生産性)として、150ipm(images per minute)を実現することができる。
【0053】
用いる用紙PがA4サイズ(縦置き)またはレターサイズ(縦置き)である場合、制御部110は、図7で示すように、第1搬送ベルト8上で、開口部群82Aと開口部群82Dとの間に2枚の用紙Pが配置され、開口部群82Dと(次の周期の)開口部群82Aとの間に2枚の用紙Pが配置されるように、レジストローラー対13を制御して所定の供給タイミングで用紙Pを第1搬送ベルト8に供給させる。図7の例では、第1搬送ベルト8の1周期で用紙Pを4枚搬送することができ、120ipmの生産性を実現することができる。
【0054】
用いる用紙PがA3サイズ、B4サイズまたはリーガルサイズ(いずれも縦置き)である場合、制御部110は、図8で示すように、第1搬送ベルト8上で、開口部群82Aと開口部群82Bとの間に1枚の用紙Pが配置され、開口部群82Bと開口部群82Eとの間に1枚の用紙Pが配置され、開口部群82Eと(次の周期の)開口部群82Aとの間に1枚の用紙Pが配置されるように、レジストローラー対13を制御して所定の供給タイミングで用紙Pを第1搬送ベルト8に供給させる。図8の例では、第1搬送ベルト8の1周期で用紙Pを3枚搬送することができ、90ipmの生産性を実現することができる。
【0055】
用いる用紙Pが13インチ×19.2インチのサイズである場合、制御部110は、図9で示すように、第1搬送ベルト8上で、開口部群82Aと開口部群82Dとの間に1枚の用紙Pが配置され、開口部群82Dと(次の周期の)開口部群82Aとの間に1枚の用紙Pが配置されるように、レジストローラー対13を制御して所定の供給タイミングで用紙Pを第1搬送ベルト8に供給させる。図9の例では、第1搬送ベルト8の1周期で用紙Pを2枚搬送することができ、60ipmの生産性を実現することができる。
【0056】
すなわち、図6図9で示したように、フラッシングに用いる開口部群82のパターンは、用いる用紙Pのサイズに応じて決まり、それによって、開口部群82とA方向にずれて位置する用紙Pの載置パターンが決まる。このことから、第1搬送ベルト8上に載置される用紙Pの載置パターンは、用いる用紙Pのサイズに応じて決まると言える。また、フラッシングのタイミングは、用紙Pのサイズ、生産性、開口群82(開口部80)のA方向の位置によって決まるとも言える。
【0057】
〔3.フラッシング制御および用紙の第1搬送ベルトへの供給制御の基本的な概念〕
通常は、図6図9で示したように用紙Pを第1搬送ベルト8に供給して載置することにより、用紙Pのサイズに応じて決まる開口部群82(開口部80)を利用してフラッシングを行うことができる。
【0058】
しかし、用紙Pの搬送途中で用紙Pにスリップ等が生じ、用紙Pの供給が遅れると、用紙Pが第1搬送ベルト8の開口部群82と重なって載置される場合がある。図10は、第1搬送ベルト8に用紙P1~P3(例えばA3サイズ)を順に供給する際に、2枚目以降の用紙P2およびP3に搬送遅れが生じたときの、第1搬送ベルト8上での用紙P1~P3の載置位置を模式的に示している。同図に示すように、第1搬送ベルト8上において、2枚目の用紙P2は、搬送遅れにより、フラッシングに利用する開口部群82Eと重なって載置されている。この場合、開口部群82Eと対向するタイミングで記録ヘッド17a~17cにフラッシングを実行させると、用紙P2にフラッシングのときに吐出されたインクが付着し、用紙P2に形成された画像の画質が低下するため、上記のフラッシングを停止させる必要がある。しかし、開口部群82Eを利用したフラッシングを停止させると、3枚目の用紙P3に対する画像形成前(2枚目の用紙P2と3枚目の用紙P3との間の紙間)ではフラッシングが行われないため、用紙P3に対する画像形成の前に、いずれかのインク吐出口18においてインクの乾燥による目詰まりが生じる可能性がある。その結果、用紙P3に対する画像形成を良好に行うことができない可能性がある。
【0059】
図11は、第1搬送ベルト8に、設定されたサイズ(例えばA3サイズ)よりも搬送方向に長い用紙P1が供給されて載置された状態を模式的に示している。同図に示すように、実際に第1搬送ベルト8に供給された用紙P1のサイズが、設定されたサイズ(例えばA3サイズ)よりも大きい場合、設定されたサイズに応じて決まるフラッシング用の開口部群82Bを用紙P1が塞いで載置されるため、用紙P1の画質低下を回避すべく、開口部群82Bを利用したフラッシングを停止させる必要がある。上記フラッシングを停止させると、後続の用紙に対する画像形成前に、いずれかのインク吐出口18においてインクの乾燥による目詰まりが生じて、後続の用紙に対する画像形成を良好に行うことができない可能性がある。
【0060】
そこで、本実施形態では、制御部110は、レジストセンサー21による用紙Pの後端の検知結果と、ベルトセンサー25による開口部群82(開口部80)の検知結果とに基づいて、レジストローラー対13によって第1搬送ベルト8に供給される上記用紙Pが、第1搬送ベルト8の走行によって移動するフラッシング用の開口部群82(開口部80)と重なって第1搬送ベルト8に載置されるか否かを判断する。なお、用紙Pの後端とは、用紙Pの搬送方向(A方向、供給方向)の上流側の端部とする。一方、用紙Pの先端とは、用紙Pの搬送方向の下流側の端部とする。
【0061】
そして、例えば図6図9で示したように、用紙Pがフラッシング用の開口部80と重なって第1搬送ベルト8に載置されない場合、つまり、フラッシング用の開口部80が先行の用紙Pの後端よりも後に(上流側に)に位置する場合には、制御部110は、上記開口部80を利用したフラッシングを記録ヘッド17a~17cに実行させるようにしている。用紙Pがフラッシング用の開口部80と重ならないため、上記開口部80を利用してフラッシングを行っても、フラッシング用のインクが用紙Pに付着することがなく、用紙Pの記録画像の画質が低下する事態を回避することができる。また、フラッシングを行うことにより、後続の用紙Pに対する画像形成においては、記録ヘッド17a~17cから良質のインクを吐出させることができ、画像形成を良好に行うことができる。なお、用紙Pがフラッシング用の開口部80と重なって第1搬送ベルト8に載置されない場合に、後続の用紙Pの第1搬送ベルト8への供給を遅らせるようにしてもよいが、その詳細については後述する(例えば後述の4-1-2b参照)。
【0062】
一方、用紙Pがフラッシング用の開口部80と重なって第1搬送ベルト8に載置される場合、つまり、フラッシング用の開口部80が先行の用紙Pの後端よりも前(下流側)に位置する場合には、制御部110は、上記開口部80を利用したフラッシングを停止させるとともに、レジストローラー対13を制御して、後続の用紙Pの第1搬送ベルト8への供給を遅らせるようにしている。
【0063】
例えば、図12は、搬送途中でのスリップ等により、用紙P2の第1搬送ベルト8への搬送が遅れて、用紙P2がフラッシングに用いる開口部群82Eと重なる場合に、後続の用紙P3~P5の第1搬送ベルト8への供給を遅らせた場合の載置位置を模式的に示している。同図の例では、第1搬送ベルト8の1周期目の開口部群82Fの後(上流側)に後続の用紙P3の先端が位置するように、ベルトセンサー25での開口部群82Fの検知結果に基づいてレジストローラー対13を制御して、後続の用紙P3を第1搬送ベルト8に供給させている。また、さらに後続の用紙P4およびP5についても、第1搬送ベルト8の2周期目の開口部群82Bおよび82Eの後に用紙P4およびP5の各先端が位置するように、ベルトセンサー25での開口部群82Bおよび82Eの各検知結果に基づいてレジストローラー対13を制御して、後続の用紙P4およびP5をそれぞれ第1搬送ベルト8に供給させている。
【0064】
上記のように、先行の用紙P2と重なる開口部群82Eの開口部80(第1開口部)を利用したフラッシングを停止させることにより、フラッシングによって吐出されるインクの付着によって先行の用紙P2の記録画像の画質が低下する事態を回避することができる。また、レジストローラー対13を制御して、後続の用紙P3~P5の第1搬送ベルト8への供給を遅らせることにより、第1搬送ベルト8上で第2開口部としての他の開口部80(例えば開口部群82F、82Bおよび82Eの開口部80)の後に(上流側に)、後続の用紙P3~P5を載置することができる。なお、第2開口部とは、ベルトセンサー25によって第1開口部よりも後に検知される開口部80とする。これにより、後続の用紙P3~P5への画像形成前に、上記他の開口部80を利用してフラッシングを行うことが可能となり、その後の後続の用紙P3~P5に対する画像形成を良好に行うことができる。結果として、印刷される全ての用紙P1~P5について画像品質を統一することが可能になる。
【0065】
つまり、先行の用紙Pが何らかの原因で第1搬送ベルト8の開口部80と重なって載置される場合でも、記録ヘッド17a~17cによるフラッシングの実行およびレジストローラー対13による後続の用紙Pの第1搬送ベルトへの供給を適切に制御することにより、先行の用紙Pの記録画像の画質低下を回避できるとともに、後続の用紙Pへの画像形成前にフラッシングを行う機会を必ず確保して、後続の用紙Pへの画像形成を良好に行うことができる。
【0066】
また、先行の用紙Pとフラッシング用の開口部80とが重なる場合でも、フラッシングを実行することができないからとって後続の用紙P3~P5に対する画像形成を終了させる必要がなく、後続の用紙P3~P5に対する画像形成を継続して行って、生産性を確保することができる。さらに、他の開口部80の後に用紙P3~P5の先端がそれぞれ位置するように、レジストローラー対13によって用紙P3~P5の供給を制御することにより、用紙P3~P5の供給を遅らせることによる生産性の低下を最小限に抑えることができる。
【0067】
特に、制御部110は、先行の用紙P2がフラッシング用の開口部群82Eの開口部80(第1開口部)と重なって第1搬送ベルト8に載置されると判断した場合、第1搬送ベルト8の走行によって上記開口部80と対向するタイミングでの記録ヘッド17a~17cによるフラッシングの実行を停止させるとともに、第1開口部の検知後にベルトセンサー25によって検知され、第1搬送ベルト8の走行によって移動する他の開口部群82Fの開口部80(第2開口部)の上流側に後続の用紙P3が載置されるように、レジストローラー対13によって後続の用紙P3を第1搬送ベルト8に供給させる。そして、第1搬送ベルト8の走行によって第2開口部と対向するタイミングで記録ヘッド17a~17cにフラッシングを実行させる。
【0068】
先行の用紙P2と重なる開口部80を利用したフラッシングを停止させることにより、フラッシングによって用紙P2の記録画像の画質が低下する事態を回避することができる。また、後続の用紙P3への画像形成前に、第2開口部を利用してフラッシングを行う機会が確保されるため、上記フラッシングを実行して、後続の用紙P3に対する画像形成を良好に行うことができる。
【0069】
図13は、設定されたサイズ(例えばA3サイズ)よりも搬送方向に長い用紙P1が、設定サイズに応じた開口部群82Bの開口部80を塞ぐように第1搬送ベルト8に載置されるときに、後続の用紙P2およびP3の第1搬送ベルト8への供給を遅らせた場合の載置状態を模式的に示している。同図の例では、第1搬送ベルト8の1周期目の開口部群82Eの後(上流側)に後続の用紙P2の先端が位置するように、ベルトセンサー25での開口部群82Eの検知結果に基づいてレジストローラー対13を制御して、後続の用紙P2を第1搬送ベルト8に供給させている。また、第1搬送ベルト8の2周期目の開口部群82Bの後に後続の用紙P3の先端が位置するように、ベルトセンサー25での開口部群82Bの検知結果に基づいてレジストローラー対13を制御して、後続の用紙P3を第1搬送ベルト8に供給させている。
【0070】
このように、設定サイズよりも大きい用紙P1が第1搬送ベルト8に載置され、設定サイズのフラッシングに用いる開口部群82Bの開口部80(第1開口部)が用紙P1で塞がれる場合でも、上記のように後続の用紙P2およびP3の供給を制御することにより、先行の用紙P1の記録画像の画質低下を回避できるとともに、後続の用紙P2およびP3への画像形成前に、他の開口部群82Eおよび82Bの開口部80(第2開口部)を利用してフラッシングを行って、後続の用紙P2およびP3への画像形成を良好に行うことができるなど、上記と同様の効果を得ることができる。
【0071】
〔4.フラッシングおよび用紙の供給の具体的な制御〕
以下、記録ヘッド17a~17cのフラッシングおよび用紙Pの第1搬送ベルト8への供給についての具体的な制御について説明する。なお、ここでは、レジストローラー対13よりも用紙Pの供給方向の上流側に位置して用紙Pを検知する第1検知センサーが、レジストセンサー21である場合について説明するが、第1検知センサーは、給紙装置3とレジストローラー対13との間に配置されて用紙Pを検知するセンサーであればよく、上記のレジストセンサー21には限定されない。
【0072】
また、以下では、ベルトセンサー25によって検知される第1搬送ベルト8の異なる開口部群82の開口部80のうち、先に検知される開口部80を第1開口部80aとも称し、後に検知される開口部80を第2開口部80bとも称する。したがって、第1搬送ベルト8において、第2開口部80bは第1開口部80aよりもベルト走行方向の上流側に位置する。なお、第2開口部80bは、第1開口部80aの上流側に最初に位置する開口部80であってもよいし、2番目以降に位置する開口部80であってもよい。
【0073】
(4-1.A<B<Cである場合)
図14は、レジストローラー対13、レジストセンサー21およびベルトセンサー25の位置関係の一例を模式的に示している。なお、以下での説明の便宜上、レジストローラー対13によって第1搬送ベルト8に向かって供給される用紙Pが、第1搬送ベルト8と合流する地点を合流位置Q(星マークで図示)とする。そして、レジストローラー対13から合流位置Qまでの用紙Pの搬送距離をA(mm)とし、レジストセンサー21の検知位置から合流位置Qまでの用紙Pの搬送距離をB(mm)とし、ベルトセンサー25の検知位置から合流位置Qまでの第1搬送ベルト8の走行距離、つまり、上記検知位置から合流位置Qまでの第1搬送ベルト8の走行による開口部80(第1開口部80aまたは第2開口部80b)の移動距離をC(mm)とし、これらはいずれも既知であるとする。また、第1搬送ベルト8の走行速度も既知であり、上記走行速度は給紙装置3からレジストローラー対13を介して第1搬送ベルト8に供給される用紙Pの供給速度と等しいとする。
【0074】
同図に示すように、レジストローラー対13、レジストセンサー21およびベルトセンサー25がA<B<Cの関係となるように配置されている場合のフラッシング制御および用紙Pの供給制御は、以下の3つに場合分けされる。
【0075】
(4-1-1.先行用紙の後端検知、レジストローラー対に後続用紙の先端到達)
図15は、レジストセンサー21が既に先行の用紙Paの後端を検知しており、ベルトセンサー25がフラッシング用の第1開口部80aを検知した時点で、レジストローラー対13に後続の用紙Pbの先端が到達している状態を模式的に示している。なお、レジストローラー対13は停止しているとする。上記のように、搬送距離AおよびBが既知であることから、レジストセンサー21からレジストローラー対13までの用紙Pbの搬送距離は求まる。給紙装置3等による用紙Pbの搬送速度も既知であることから、制御部110は、レジストセンサー21が用紙Pbの先端を検知してから何秒後に、用紙Pbの先端がレジストローラー対13に到達するかを判断することができる。
【0076】
そこで、制御部110は、レジストセンサー21によって先行の用紙Paの後端が既に検知されており、ベルトセンサー25がフラッシング用の第1開口部80aを検知した時点で、レジストセンサー21による後続の用紙Pbの先端検知に基づいてレジストローラー対13に後続の用紙Pbの先端が到達していると判断したとき、第1開口部80aが第1搬送ベルト8の走行によって(C-A)の距離を移動した後に、レジストローラー対13によって後続の用紙Pbを第1搬送ベルト8に供給させるとともに(2次給紙開始)、第1搬送ベルト8の走行によって第1開口部80aと対向するタイミングで記録ヘッド17a~17cにフラッシングを実行させる。
【0077】
上記のタイミングで後続の用紙Pbを第1搬送ベルト8に供給すると、第1搬送ベルト8の走行により、第1搬送ベルト8のフラッシング用の第1開口部80aを、先行の用紙Paと後続の用紙Pbとの間に位置させることができる。したがって、第1開口部80aを利用してフラッシングを行うことにより、先行の用紙Paにはフラッシングのときに吐出されるインクが付着しないため、先行の用紙Paの記録画像の画質低下を回避することができる。また、後続の用紙Pbへの画像形成前に、第1開口部80aを利用してフラッシングを行うことにより、後続の用紙Pbに対する画像形成を良好に行うことができる。
【0078】
(4-1-2.先行用紙の後端検知、レジストローラー対に後続用紙の先端未到達)
図16は、レジストセンサー21が既に先行の用紙Paの後端を検知しており、ベルトセンサー25がフラッシング用の第1開口部80aを検知した時点で、レジストローラー対13に後続の用紙Pbの先端が到達していない状態を模式的に示している。レジストセンサー21が後続の用紙Pbの先端を検知してからt秒後に、後続の用紙Pbの先端がレジストローラー対13に到達するとした場合、制御部110は、レジストセンサー21が後続の用紙Pbの先端を検知してからt秒未満では、後続の用紙Pbの先端がレジストローラー対13に到達していないと判断することができる。この場合のフラッシング制御および後続の用紙Pbの第1搬送ベルト8への供給制御は、さらに以下の2つに場合分けされる。
【0079】
(4-1-2a.後続用紙の先端がレジストローラー対に到達したときに、開口部の移動量Dが(C-A)以下である場合)
図17は、後続の用紙Pbの先端がレジストローラー対13に到達したときに、ベルトセンサー25によって検知されたフラッシング用の第1開口部80aの、第1搬送ベルト8の走行による移動量Dが(C-A)以下である状態を模式的に示している。
【0080】
制御部110は、レジストセンサー21によって先行の用紙Paの後端が既に検知されており、レジストセンサー21による後続の用紙Pbの先端検知に基づいて、レジストローラー対13に後続の用紙Pbの先端が到達していないと判断した場合において、その後、図17に示すように、レジストローラー対13に後続の用紙Pbの先端が到達した時点での、ベルトセンサー25による検知位置からの第1搬送ベルト8の走行による第1開口部80aの移動量Dが(C-A)以下である場合には、以下の制御を行う。すなわち、制御部110は、第1搬送ベルト8の走行によって第1開口部80aの移動量Dが(C-A)を超えるまで、レジストローラー対13による後続の用紙Pbの供給を停止させ、移動量Dが(C-A)を超えてから、レジストローラー対13によって後続の用紙Pbを第1搬送ベルト8に供給させるとともに、第1開口部80aが記録ヘッド17a~17cと対向するタイミングで、記録ヘッド17a~17cにフラッシングを実行させる。なお、上記の移動量Dは、第1搬送ベルト8の走行速度と、ベルトセンサー25が第1開口部80aを検知してから、後続の用紙Pbがレジストローラー対13に到達するまでの経過時間との積で求まる。
【0081】
このような後続の用紙Pbの供給制御では、第1搬送ベルト8の走行によってフラッシング用の第1開口部80aが合流地点Qを過ぎてから、第1搬送ベルト8に後続の用紙Pbを合流させて載置させることができる。これにより、後続の用紙Pbに対する画像形成の前に、第1開口部80aを利用してフラッシングを行って、後続の用紙Pbに対する画像形成を良好に行うことができる。
【0082】
(4-1-2b.後続用紙の先端がレジストローラー対に到達したときに、開口部の移動量Dが(C-A)を超えている場合)
図18は、後続の用紙Pbの先端がレジストローラー対13に到達したときに、ベルトセンサー25によって検知されたフラッシング用の第1開口部80aの、第1搬送ベルト8の走行による移動量Dが(C-A)を超えている状態を模式的に示している。
【0083】
制御部110は、レジストセンサー21によって先行の用紙Paの後端が既に検知されており、レジストセンサー21による後続の用紙Pbの先端検知に基づいて、レジストローラー対13に後続の用紙Pbの先端が到達していないと判断した場合において、その後、図18に示すように、レジストローラー対13に後続の用紙Pbの先端が到達した時点での、ベルトセンサー25による検知位置からの第1搬送ベルト8の走行による第1開口部80aの移動量Dが(C-A)を超えている場合には、以下の制御を行う。すなわち、制御部110は、ベルトセンサー25によって他の開口部群82の第2開口部80bが検知されてから、第2開口部80bが第1搬送ベルト8の走行によって(C-A)の距離を移動するまで、レジストローラー対13による後続の用紙Pbの供給を停止させ、上記移動量が(C-A)を超えた後に、レジストローラー対13によって後続の用紙Pbを第1搬送ベルト8に供給させるとともに、第2開口部80bが記録ヘッド17a~17cと対向するタイミングで記録ヘッド17a~17cにフラッシングを実行させる。
【0084】
例えば後続の用紙Pbの先端がレジストローラー対13に到達した時点で、ベルトセンサー25によって検知されたフラッシング用の第1開口部80aの、第1搬送ベルト8の走行による移動量Dが(C-A)を超えている場合、第1開口部80aが合流位置Qの近くに位置することも考えられる。このような場合に、レジストローラー対13による後続の用紙Pbの第1搬送ベルト8への給紙(2次給紙)を開始すると、第1搬送ベルト8において第1開口部80aと後続の用紙Pbとの間隔が開きすぎているため、第1開口部80aを利用してフラッシングを行っても、次の後続の用紙Pbへの画像形成までの期間でインク吐出口18内のインクの乾燥が進み、フラッシングによる効果が低減することが懸念される。
【0085】
最初に検知された第1開口部80aの移動量Dが(C-A)を超えている場合には、第2開口部80bがベルトセンサー25によって検知されてから第1搬送ベルト8の走行によって(C-A)の距離を移動した後に、レジストローラー対13によって後続の用紙Pbを第1搬送ベルト8に供給させることにより、第1搬送ベルト8において第2開口部80bの上流側の直後に後続の用紙Pbを載置することが可能となる。これにより、後続の用紙Pbに対する画像形成の直前で、第2開口部80bを利用してフラッシングを行って、後続の用紙Pbに対する画像形成を良好に行うことができる。また、第1搬送ベルト8において第2開口部80bと後続の用紙Pbとの間隔を狭めることにより、開口部80と用紙Pとの間隔をどの用紙Pについても一定にして、開口部80を利用するフラッシングのタイミングと用紙Pに対する画像形成のタイミングとを一定に保つことが容易となる。その結果、記録ヘッド17a~17cに対するインクの吐出制御が容易となる。
【0086】
上記した4-1-2aおよび4-1-2bでの制御部110の制御をまとめると、以下のように表現することができる。すなわち、制御部110は、先行の用紙Paが第1開口部80aと重ならずに(搬送方向にずれて)第1搬送ベルト8に載置されると判断した場合、後続の用紙Pbの先端がレジストローラー対13に到達した時点での第1開口部80aの位置に基づいて(第1開口部80aの移動量Dが(C-A)以下であるか否かに基づいて)、後続の用紙Pbを、第1開口部80aおよび第2開口部80bのどちらの上流側に載置させるかを判断し、その判断結果に基づくタイミングで、レジストローラー対13によって後続の用紙Pbを第1搬送ベルト8に供給させるとともに、第1開口部80aおよび第2開口部80bのうち、第1搬送ベルト8に載置された後続の用紙Pbに最も近い開口部80と対向するタイミングで記録ヘッド17a~17cにフラッシングを実行させる。後続の用紙Pbに対する画像形成の直前で、第1開口部80aまたは第2開口部80bを利用してフラッシングを行うことができるため、フラッシングの効果を最大限に持続した状態で、後続の用紙Pbに対する画像形成を良好に行うことができる。
【0087】
(4-1-3.先行用紙の後端未検知)
図19は、ベルトセンサー25が開口部80を検知した時点で、レジストセンサー21が先行の用紙Paの後端を検知していない状態を模式的に示している。この場合のフラッシング制御は、さらに以下の2つに場合分けされる。
【0088】
(4-1-3a.先行用紙の後端がレジストセンサーに到達したときに、開口部の移動量Eが(C-B)未満である場合)
図20は、先行の用紙Paの後端がレジストセンサー21に到達したときに、ベルトセンサー25によって検知されたフラッシング用の第1開口部80aの、第1搬送ベルト8の走行による移動量Eが(C-B)未満である状態を模式的に示している。
【0089】
制御部110は、レジストセンサー21によって先行の用紙Paの後端が検知されていないと判断した場合において、その後、レジストセンサー21によって先行の用紙Paの後端を検知した時点での、ベルトセンサー25による検知位置からの第1開口部80aの第1搬送ベルト8の走行による移動量Eが(C-B)未満である場合には、第1開口部80aの上流側に後続の用紙Pbが載置されるように、レジストローラー対13によって後続の用紙Pbを第1搬送ベルト8に供給させるとともに、第1開口部80aが記録ヘッド17a~17cと対向するタイミングで記録ヘッド17a~17cにフラッシングを実行させる。なお、上記の移動量Eは、第1搬送ベルト8の走行速度と、ベルトセンサー25が第1開口部80aを検知してから、先行の用紙Paの後端がレジストセンサー21によって検知されるまでの時間との積で求まる。
【0090】
この場合、レジストセンサー21による後端検知後に先行の用紙Paが距離Bだけ移動しても、第1開口部80aは先行の用紙Paに追い付かず、このため、第1搬送ベルト8上で先行の用紙Paは第1開口部80aと重なって載置されない。したがって、第1開口部80aを利用して記録ヘッド17a~17cにフラッシングを実行させることにより、先行の用紙Paの記録画像の画質低下を回避することができる。また、後続の用紙Pbに対する画像形成前に、第1開口部80aを利用してフラッシングが実行されるため、後続の用紙Pbに対する画像形成を良好に行うことができる。
【0091】
(4-1-3b.先行用紙の後端がレジストセンサーに到達したときに、開口部の移動量Eが(C-B)以上である場合)
図21は、先行の用紙Paの後端がレジストセンサー21に到達したときに、ベルトセンサー25によって検知されたフラッシング用の第1開口部80aの、第1搬送ベルト8の走行による移動量Eが(C-B)以上である状態を模式的に示している。
【0092】
制御部110は、レジストセンサー21によって先行の用紙Paの後端が検知されていないと判断した場合において、その後、レジストセンサー21によって先行の用紙Paの後端を検知した時点での、ベルトセンサー25による検知位置からの第1開口部80aの第1搬送ベルト8の走行による移動量Eが(C-B)以上である場合には、第1開口部80aが記録ヘッド17a~17cと対向するタイミングでの記録ヘッド17a~17cによるフラッシングの実行を停止させる。そして、制御部110は、ベルトセンサー25によって検知される第2開口部80bの上流側に後続の用紙Pbが載置されるように、レジストローラー対13によって後続の用紙Pbを第1搬送ベルト8に供給させ、第1搬送ベルト8の走行によって第2開口部80bと対向するタイミングで記録ヘッド17a~17cにフラッシングを実行させる。
【0093】
上記の条件では、走行する第1搬送ベルト8に先行の用紙Paが合流したときに、先行の用紙Paは第1開口部80aと重なって載置される。このため、第1開口部80aを利用した記録ヘッド17a~17cのフラッシングを停止させることにより、先行の用紙Paの記録画像の画質低下を回避することができる。また、後続の用紙Pbに対する画像形成前に、第2開口部80bを利用してフラッシングが実行されるため、後続の用紙Pbに対する画像形成を良好に行うことができる。
【0094】
(4-2.A<C<Bである場合)
図22は、レジストローラー対13、レジストセンサー21およびベルトセンサー25の位置関係の他の例を模式的に示している。同図に示すように、レジストローラー対13、レジストセンサー21およびベルトセンサー25がA<C<Bの関係となるように配置されている場合のフラッシング制御および用紙Pの供給制御は、以下の3つに場合分けされる。
【0095】
(4-2-1.先行用紙の後端検知、レジストローラー対に後続用紙の先端到達)
図23は、レジストセンサー21が既に先行の用紙Paの後端を検知しており、ベルトセンサー25がフラッシング用の第1開口部80aを検知した時点で、レジストローラー対13に後続の用紙Pbの先端が到達している状態を模式的に示している。なお、レジストローラー対13は停止しているとする。この場合、制御部110は、第1開口部80aが第1搬送ベルト8の走行によって(C-A)の距離を移動した後に、レジストローラー対13によって後続の用紙Pbを第1搬送ベルト8に供給させるとともに(2次給紙開始)、第1搬送ベルト8の走行によって第1開口部80aと対向するタイミングで記録ヘッド17a~17cにフラッシングを実行させる。
【0096】
上記のタイミングで後続の用紙Pbを第1搬送ベルト8に供給すると、第1搬送ベルト8の走行により、第1搬送ベルト8のフラッシング用の第1開口部80aを、先行の用紙Paと後続の用紙Pbとの間に位置させることができる。したがって、第1開口部80aを利用してフラッシングを行うことにより、先行の用紙Paにはフラッシングのときに吐出されるインクが付着しないため、先行の用紙Paの記録画像の画質低下を回避することができる。また、後続の用紙Pbへの画像形成前に、第1開口部80aを利用してフラッシングを行うことにより、後続の用紙Pbに対する画像形成を良好に行うことができる。
【0097】
(4-2-2.先行用紙の後端検知、レジストローラー対に後続用紙の先端未到達)
図24は、レジストセンサー21が既に先行の用紙Paの後端を検知しており、ベルトセンサー25がフラッシング用の第1開口部80aを検知した時点で、レジストローラー対13に後続の用紙Pbの先端が到達していない状態を模式的に示している。この場合のフラッシング制御および後続の用紙Pbの第1搬送ベルト8への供給制御は、さらに以下の2つに場合分けされる。
【0098】
(4-2-2a.後続用紙の先端がレジストローラー対に到達したときに、開口部の移動量Dが(C-A)以下である場合)
図25は、後続の用紙Pbの先端がレジストローラー対13に到達したときに、ベルトセンサー25によって検知されたフラッシング用の第1開口部80aの、第1搬送ベルト8の走行による移動量Dが(C-A)以下である状態を模式的に示している。
【0099】
制御部110は、レジストセンサー21によって先行の用紙Paの後端が既に検知されており、レジストセンサー21による後続の用紙Pbの先端検知に基づいて、レジストローラー対13に後続の用紙Pbの先端が到達していないと判断した場合において、その後、図25に示すように、レジストローラー対13に後続の用紙Pbの先端が到達した時点での、ベルトセンサー25による検知位置からの第1搬送ベルト8の走行による第1開口部80aの移動量Dが(C-A)以下である場合には、以下の制御を行う。すなわち、制御部110は、第1搬送ベルト8の走行によって第1開口部80aの移動量Dが(C-A)を超えるまで、レジストローラー対13による後続の用紙Pbの供給を停止させ、移動量Dが(C-A)を超えてから、レジストローラー対13によって後続の用紙Pbを第1搬送ベルト8に供給させるとともに、第1開口部80aが記録ヘッド17a~17cと対向するタイミングで、記録ヘッド17a~17cにフラッシングを実行させる。
【0100】
このような後続の用紙Pbの供給制御では、第1搬送ベルト8の走行によってフラッシング用の第1開口部80aが合流地点Qを過ぎてから、第1搬送ベルト8に後続の用紙Pbを合流させて載置させることができる。これにより、後続の用紙Pbに対する画像形成の前に、第1開口部80aを利用してフラッシングを行って、後続の用紙Pbに対する画像形成を良好に行うことができる。
【0101】
(4-2-2b.後続用紙の先端がレジストローラー対に到達したときに、開口部の移動量Dが(C-A)を超えている場合)
図26は、後続の用紙Pbの先端がレジストローラー対13に到達したときに、ベルトセンサー25によって検知されたフラッシング用の第1開口部80aの、第1搬送ベルト8の走行による移動量Dが(C-A)を超えている状態を模式的に示している。
【0102】
制御部110は、レジストセンサー21によって先行の用紙Paの後端が既に検知されており、レジストセンサー21による後続の用紙Pbの先端検知に基づいて、レジストローラー対13に後続の用紙Pbの先端が到達していないと判断した場合において、その後、図26に示すように、レジストローラー対13に後続の用紙Pbの先端が到達した時点での、ベルトセンサー25による検知位置からの第1搬送ベルト8の走行による第1開口部80aの移動量Dが(C-A)を超えている場合には、以下の制御を行う。すなわち、制御部110は、ベルトセンサー25によって他の開口部群82の第2開口部80bが検知されてから、第2開口部80bが第1搬送ベルト8の走行によって(C-A)の距離を移動するまで、レジストローラー対13による後続の用紙Pbの供給を停止させ、上記移動量が(C-A)を超えた後に、レジストローラー対13によって後続の用紙Pbを第1搬送ベルト8に供給させるとともに、第2開口部80bが記録ヘッド17a~17cと対向するタイミングで記録ヘッド17a~17cにフラッシングを実行させる。
【0103】
最初にベルトセンサー25によって検知された第1開口部80aが第1搬送ベルト8の走行によって合流位置Qの近くに位置する場合、レジストローラー対13による後続の用紙Pbの第1搬送ベルト8への給紙(2次給紙)を開始すると、第1搬送ベルト8において第1開口部80aと後続の用紙Pbとの間隔が開きすぎているため、第1開口部80aを利用してフラッシングを行っても、次の後続の用紙Pbへの画像形成までの期間でインク吐出口18内のインクの乾燥が進み、フラッシングによる効果が低減することが懸念される。
【0104】
第1開口部80aの移動量Dが(C-A)を超えている場合には、第2開口部80bがベルトセンサー25によって検知されてから第1搬送ベルト8の走行によって(C-A)の距離を移動した後に、レジストローラー対13によって後続の用紙Pbを第1搬送ベルト8に供給させることにより、第1搬送ベルト8において第2開口部80bの直後に後続の用紙Pbを載置することが可能となる。これにより、後続の用紙Pbに対する画像形成の直前で、第2開口部80bを利用してフラッシングを行って、後続の用紙Pbに対する画像形成を良好に行うことができる。また、第1搬送ベルト8において第2開口部80bと後続の用紙Pbとの間隔を狭めることにより、開口部80と用紙Pとの間隔をどの用紙Pについても一定にして、開口部80を利用するフラッシングのタイミングと用紙Pに対する画像形成のタイミングとを一定に保つことが容易となる。その結果、記録ヘッド17a~17cに対するインクの吐出制御が容易となる。
【0105】
(4-2-3.先行用紙の後端未検知)
図27は、ベルトセンサー25が第1開口部80aを検知した時点で、レジストセンサー21が先行の用紙Paの後端を検知していない状態を模式的に示している。この場合、制御部110は、第1開口部80aが記録ヘッド17a~17cと対向するタイミングでの記録ヘッド17a~17cによるフラッシングの実行を停止させるとともに、第2開口部80bの上流側に後続の用紙Pbが載置されるように、(例えばベルトセンサー25が第2開口部80bを検知してから第2開口部80bが(C-A)の距離を移動した後に)レジストローラー対13によって後続の用紙Pbを第1搬送ベルト8に供給させ、第1搬送ベルト8の走行によって第2開口部80bと対向するタイミングで記録ヘッド17a~17cにフラッシングを実行させる。
【0106】
ベルトセンサー25が第1開口部80aを検知した時点で、レジストセンサー21が先行の用紙Paの後端を検知していない場合、第1搬送ベルト8において先行の用紙Paは第1開口部80aと重なって載置される(第1開口部80aが合流位置Qを抜けきっていない)。このため、第1開口部80aを利用した記録ヘッド17a~17cのフラッシングを停止させることにより、先行の用紙Paの記録画像の画質低下を回避することができる。また、後続の用紙Pbに対する画像形成前に、第2開口部80bを利用してフラッシングが実行されるため、後続の用紙Pbに対する画像形成を良好に行うことができる。
【0107】
〔5.その他〕
本実施形態では、開口部群82が搬送方向に不定期に位置する第1搬送ベルト8を用いている。このような第1搬送ベルト8を用いる場合、用紙Pのサイズに応じたパターンで位置する開口部群82に対して用紙Pを搬送方向にずれるように載置して、用紙Pに対する画像形成を行うとともに、上記開口部群82を利用してフラッシングを行うことができる。しかし、先行の用紙Paが、スリップ等による搬送遅れによって、上記パターンで位置する開口部群82(開口部80)と重なって位置すると、先行の用紙Paと後続の用紙Pbとの間に、フラッシングに用いる他の開口部80を露出させることが困難となり、後続の用紙Pbに対する画像形成前にフラッシングの機会を確保することが困難となる。したがって、後続の用紙Pbに対する画像形成前にフラッシングの機会を確保することができる本実施形態の制御は、開口部群82が搬送方向に不定期に位置する構成の第1搬送ベルト8を用いた場合に特に有効となる。
【0108】
なお、第1搬送ベルト8は、上記のように、開口部群82が搬送方向に不定期に位置する構成には限定されない。例えば、第1搬送ベルト8は、開口部群82が搬送方向に等間隔で位置する構成であってもよい。
【0109】
以上では、用紙Pを負圧吸引によって第1搬送ベルト8に吸着させて搬送する場合について説明したが、第1搬送ベルト8を帯電させ、用紙Pを第1搬送ベルト8に静電吸着させて搬送するようにしてもよい(静電吸着方式)。
【0110】
以上では、インクジェット記録装置として、4色のインクを用いてカラーの画像を記録するカラープリンターを用いた例について説明したが、ブラックのインクを用いてモノクロの画像を記録するモノクロプリンターを用いた場合でも、本実施形態で述べた用紙Pの供給制御を適用することは可能である。
【産業上の利用可能性】
【0111】
本発明は、インクを記録媒体に吐出して画像を記録するインクジェット記録装置に利用可能である。
【符号の説明】
【0112】
8 第1搬送ベルト(搬送ベルト)
13 レジストローラー対
17a~17c 記録ヘッド
18 インク吐出口(ノズル)
21 レジストセンサー(第1検知センサー)
25 ベルトセンサー(第2検知センサー)
80 開口部
80a 第1開口部
80b 第2開口部
81、81a、81b 開口部列
82 開口部群
100 プリンター(インクジェット記録装置)
110 制御部
P、P1~P5、Pa、Pb 用紙(記録媒体)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27