IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ コニカミノルタ株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-画像形成装置 図1
  • 特許-画像形成装置 図2
  • 特許-画像形成装置 図3
  • 特許-画像形成装置 図4
  • 特許-画像形成装置 図5
  • 特許-画像形成装置 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-08
(45)【発行日】2024-05-16
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/12 20060101AFI20240509BHJP
【FI】
G03G21/12
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020073950
(22)【出願日】2020-04-17
(65)【公開番号】P2020190719
(43)【公開日】2020-11-26
【審査請求日】2023-02-16
(31)【優先権主張番号】P 2019092829
(32)【優先日】2019-05-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001900
【氏名又は名称】弁理士法人 ナカジマ知的財産綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】板垣 洋一
(72)【発明者】
【氏名】谷本 博史
(72)【発明者】
【氏名】曽田 耕司
(72)【発明者】
【氏名】河田 仁美
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 悠太
【審査官】飯野 修司
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-219621(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中間転写ベルト上にトナー画像を1次転写し、2次転写位置で転写シートに前記トナー画像を2次転写して作像する単一色の画像形成装置であって、
単一色のトナー画像を像担持体上に形成し、中間転写ベルト上に転写する画像形成部と、
前記像担持体上に残留する廃トナーを掻き落とす第1クリーニング部材と、前記中間転写ベルト上の残留トナーを掻き落とす第2クリーニング部材と、
前記中間転写ベルトの走行方向に沿って長い箱型であり、前記第1クリーニング部材で掻き落とされた廃トナーが流入する第1流入口と、前記第2クリーニング部材で掻き落とされた廃トナーが流入する第2流入口を有した廃トナー回収容器と、
前記廃トナー回収容器における廃トナーの満杯状態を検出する満杯検出手段と、
を備え、前記満杯検出手段は、第1流入口直下と第2流入口直下の中間位置よりも、第2流入口直下側に設けられており、上端に開口部を有する底付きの筒状体である廃トナー堆積室を含み、
前記廃トナー堆積室は、上端の開口部が前記廃トナー回収容器内に位置し、底部が前記廃トナー回収容器に設けられた孔から外に突出しており、
前記廃トナー回収容器は、その長手方向に廃トナーを搬送するスクリューを備え、
前記スクリューは、前記長手方向に沿った軸体と、前記軸体に設けられ、前記第1流入口から流入した廃トナーを、前記廃トナー堆積室の上端の開口部の前記長手方向における設置位置に向けて搬送する第1螺旋羽根と、前記軸体に設けられ、前記第2流入口から流入した廃トナーを、前記廃トナー堆積室の上端の開口部の前記長手方向における前記設置位置に向けて搬送する第2螺旋羽根と、前記第1螺旋羽根と前記第2螺旋羽根の間の前記軸体に設けられたパドルと、を備え、
前記パドルと前記廃トナー堆積室とは、前記長手方向において同じ位置に存する
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記満杯検出手段は、第1流入口を通じて内部に流入する廃トナー流入量と第2流入口を通じて内部に流入する廃トナー流入量との比率に応じて、第1の流入口直下から満杯検出器までの距離と、第2流入口直下から満杯検出器までの距離の比率が定められている
ことを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記廃トナー回収容器は、中間転写ベルトの下方に配され、第1流入口は容器上面の1端に近い位置、第2流入口は容器上面の他端に近い位置に設けられている
ことを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記像担持体上のトナー画像は、前記像担持体上に形成された静電潜像が、現像部の現像剤によって現像されることで形成され、
前記廃トナー回収容器は、前記現像部から排出される廃トナーが流入する第3流入口を有する
ことを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記満杯検出手段は、第1流入口および第3流入口を通じて内部に流入する廃トナー流入量と第2流入口を通じて内部に流入する廃トナー流入量との比率に応じて、第1の流入口直下から満杯検出器までの距離と、第2流入口直下から満杯検出器までの距離の比率が定められている
ことを特徴とする請求項4記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記廃トナー堆積室には、前記廃トナー回収容器の外に突出している部分に透光性の窓が設けられており、
前記満杯検出手段は、前記廃トナー堆積室の上端の開口部から前記廃トナー堆積室内に入った廃トナーを前記透光性の窓を介して検出する光学センサーである
ことを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関し、主として中間転写ベルト上に複数色のトナー画像を重ね合わせて1次転写し、2次転写位置で転写シートに前記重ね合わせたトナー画像を2次転写して作像するタンデム型カラー複合機をミニマルデザインして構成された、単一色のトナー画像を形成する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上記のようにタンデム型カラー複合機をミニマルデザインして構成する単一色の画像形成装置は、中間転写ベルトを用いているので、搬送性能を向上することが出来るし、画像形成ユニットからの1次転写位置と、シートが通過する2次転写位置とが分離されているので、ジャム等の発生が起こりにくい、更に廃トナー回収容器が大きく、長期間回収容器の交換が不要といった利点があり、最近、普及しつつある。
【0003】
ところが、ミニマルデザインされた画像形成装置は、端的に言えば、複数の画像形成ユニットを1の色のものを除き、取り去った構成にすぎない為、廃トナーは一の画像形成ユニットの像担持体から掻き落とした廃トナーと、中間転写ベルトから掻き落とした廃トナーの2つしか無く、しかも回収容器への廃トナーの流入箇所が少ないため、流入口直下の回収容器部分に廃トナーが堆積しているに過ぎず、回収容器内における廃トナー積載量のバランスが悪い。
【0004】
このため、従来のカラー複合機で用いていた満杯検出器で廃トナーの満杯を検出すると、流入量の最も多い箇所での満杯を検出することとなり、他の部分ではまだ空きがあるにも拘らず、満杯と検出されてしまい、回収容器交換時期を誤ってしまうことになる。
【0005】
先行技術文献は、廃トナーの満杯を検出するセンサーの設置位置として、カラー複写機用の回収容器に適した構成を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2003-066802号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、先行技術のカラー複写機の回収容器は、廃トナーの流入口が容器幅方向略全長に亘って開設された長孔であり、4色の廃トナーが長孔の流入口の全域を使って流入する構成である。
【0008】
これに対して、タンデム型カラー複写機をミニマルデザインした単一色の画像形成装置は、黒の廃トナーを回収容器の幅方向2か所から容器内へ投入する構成である。
【0009】
このため、先行技術のカラー複写機では、回収容器内において、廃トナーの堆積状態は略容器全域に亘ってフラットな頂部を有する台形型となるのに対し、ミニマルデザインした単一色の画像形成装置では、廃トナーの堆積状態は、2か所の流入口直下が頂部となった双頭型となる。
【0010】
そのため、先行技術における廃トナーの満杯を検出するセンサーの設置位置は、ミニマルデザインした単一色の画像形成装置においては参考にならないと言え、独自の観点で廃トナー満杯検出センサーの設置位置を決定する必要がある。
【0011】
上記では、単一色の画像形成装置として、タンデム型カラー複合機をミニマルデザインした画像形成装置を例にしたが、これに限られない。例えば、最初から単一色の画像形成装置として設計された画像形成装置においても、上記同様の問題が生じ得る。
【0012】
そこで、本発明は、大容量の廃トナー収納部を有した単一色の画像形成装置を提供することを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために本発明は、中間転写ベルト上にトナー画像を1次転写し、2次転写位置で転写シートに前記トナー画像を2次転写して作像する単一色の画像形成装置であって、単一色のトナー画像を像担持体上に形成し、中間転写ベルト上に転写する画像形成部と、前記像担持体上に残留する廃トナーを掻き落とす第1クリーニング部材と、前記中間転写ベルト上の残留トナーを掻き落とす第2クリーニング部材と、前記中間転写ベルトの走行方向に沿って長い箱型であり、前記第1クリーニング部材で掻き落とされた廃トナーが流入する第1流入口と、前記第2クリーニング部材で掻き落とされた廃トナーが流入する第2流入口を有した廃トナー回収容器と、前記廃トナー回収容器における廃トナーの満杯状態を検出する満杯検出手段と、備え、前記満杯検出手段は、第1流入口直下と第2流入口直下の中間位置よりも、第2流入口側に設けられており、上端に開口部を有する底付きの筒状体である廃トナー堆積室を含み、前記廃トナー堆積室は、上端の開口部が前記廃トナー回収容器内に位置し、底部が前記廃トナー回収容器に設けられた孔から外に突出しており、前記廃トナー回収容器は、その長手方向に廃トナーを搬送するスクリューを備え、前記スクリューは、前記長手方向に沿った軸体と、前記軸体に設けられ、前記第1流入口から流入した廃トナーを、前記廃トナー堆積室の上端の開口部の前記長手方向における設置位置に向けて搬送する第1螺旋羽根と、前記軸体に設けられ、前記第2流入口から流入した廃トナーを、前記廃トナー堆積室の上端の開口部の前記長手方向における前記設置位置に向けて搬送する第2螺旋羽根と、前記第1螺旋羽根と前記第2螺旋羽根の間の前記軸体に設けられたパドルと、を備え、前記パドルと前記廃トナー堆積室とは、前記長手方向において同じ位置に存することを特徴とする。
【0014】
また、前記満杯検出手段は、第1流入口を通じて内部に流入する廃トナー流入量と第2流入口を通じて内部に流入する廃トナー流入量との比率に応じて、第1の流入口直下から満杯検出器までの距離と、第2流入口直下から満杯検出器までの距離の比率が定められている構成とすることが出来る。
【0015】
また、前記廃トナー回収容器は、中間転写ベルトの下方に配され、第1流入口は容器上面の1端に近い位置、第2流入口は容器上面の他端に近い位置に設けられている構成とすることが出来る。
【0016】
また、前記像担持体上のトナー画像は、前記像担持体上に形成された静電潜像が、現像部の現像剤によって現像されることで形成され、前記廃トナー回収容器は、前記現像部から排出される廃トナーが流入する第3流入口を有する構成とすることが出来る。
【0017】
さらに、前記満杯検出手段は、第1流入口および第3流入口を通じて内部に流入する廃トナー流入量と第2流入口を通じて内部に流入する廃トナー流入量との比率に応じて、第1の流入口直下から満杯検出器までの距離と、第2流入口直下から満杯検出器までの距離の比率が定められている構成とすることが出来る。
【0018】
また、前記廃トナー堆積室には、前記廃トナー回収容器の外に突出している部分に透光性の窓が設けられており、前記満杯検出手段は、前記廃トナー堆積室の上端の開口部から前記廃トナー堆積室内に入った廃トナーを前記透光性の窓を介して検出する光学センサーである構成とすることが出来る。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、カラー画像形成装置からミニマルデザインされた単一色の画像形成装置において、満杯検出の精度を高めることが出来る。
特に、前記満杯検出手段が、第1流入口を通じて内部に流入する廃トナー流入量と第2流入口を通じて内部に流入する廃トナー流入量との比率に応じて、第1の流入口直下から満杯検出器までの距離と、第2流入口直下から満杯検出器までの距離の比率を定めていると、最も、廃トナー堆積量の少ない箇所において満杯検出をすることができ、検出結果は、回収容器全体における満杯状態に一致することとなり、簡易な構成で精度の高い検出が可能となり、回収容器を合理的なタイミングで交換できるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】実施の形態1に係るプリンターの構成を示す図である。
図2】廃トナー収容容器の外観を示す図であり、(a)は、廃トナー収容容器を正面から見た斜視図、(b)は、廃トナー収容容器を背面から見た斜視図である。
図3】廃トナー収容容器を図2(a)のC-C線矢視で切断した分解斜視図である。
図4】(a)は、廃トナー収容容器の正面図であり、正面板を透視して、廃トナー収容容器の内部を示しており(b)は、廃トナー収容容器を図4(a)のG-G線で切断した矢視断面図である。
図5】(a)は、廃トナー検出センサーの概略構成を示す斜視図であり、(b)は、廃トナー収容容器が装置本体に装着されたときの様子を示す斜視図である。
図6】廃トナー収容容器内の廃トナーの流れを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明に係る廃トナー収容容器と画像形成装置の実施の形態を、電子写真方式によるモノクロのプリンター(以下、「プリンター」という。)に適用した場合を例にして説明する。
【0023】
<実施の形態1>
(1)プリンターの構成
図1は、プリンター1の構成を示す概略正面図である。
【0024】
同図では、プリンター1を正面側から見たときの左右方向をX軸方向、上下方向をY軸方向で示している。なお、X軸とY軸の双方に直交する奥行方向を以下、Z軸方向という場合がある。
【0025】
同図に示すように、プリンター1は、画像形成部3、中間転写部4、給送部5、定着部6、制御部7、操作パネル8および廃トナー収容容器9などを備えている。
【0026】
プリンター1は、ネットワーク(例えば、LAN)に接続され、外部の端末装置(不図示)からプリントジョブの実行指示を受け付けると、その指示に基づいてブラック色のトナー像を形成し、形成したトナー像を記録用のシートへ転写してブラック色のモノクロ画像を形成する。以下、ブラック色をK色という。
【0027】
画像形成部3は、作像部3Kと露光部10を有する。
【0028】
作像部3Kは、矢印Aで示す方向に回転する感光体ドラム31と、その周囲に配設された帯電部32、現像部33、および感光体ドラム31を清掃するためのクリーナー34などを有しており、感光体ドラム31上にK色のトナー像を作像する。ここでは、感光体ドラム31を像担持体として用いる構成としたが、これに限られず、例えば感光体ベルトなどを用いることもできる。
【0029】
中間転写部4は、作像部3Kよりも上に配置される中間転写ベルト41に加えて、駆動ローラー42、従動ローラー43、一次転写ローラー44、二次転写ローラー45、クリーナー47などを有している。
【0030】
中間転写ベルト41は、駆動ローラー42と従動ローラー43と一次転写ローラー44に張架されて矢印Bで示す方向に周回駆動される。
【0031】
一次転写ローラー44は、中間転写ベルト41を介して感光体ドラム31に対向配置されている。二次転写ローラー45は、中間転写ベルト41を介して駆動ローラー42に対向配置されている。
【0032】
露光部10は、作像部3Kよりも下に配置され、制御部7からの駆動信号によりK色の画像形成のための光ビームLを発光素子から発し、帯電部32により帯電された感光体ドラム31を照射して露光走査する。この露光走査により、感光体ドラム31上に静電潜像が形成される。
【0033】
感光体ドラム31上に形成された静電潜像は、現像部33の現像剤により現像されることにより、K色のトナー像が感光体ドラム31上に形成される。
【0034】
ここでは、現像方式として、現像剤を収容しているハウジング33aの補給口から、トナーを含む補給用の現像剤を少量ずつ補給しつつ、その補給により過剰となった現像剤の一部をハウジング33aの排出口からハウジングの外に排出させる、いわゆるトリクル現像方式が採用されている。
【0035】
このトリクル現像方式では、ハウジング33a内に劣化した現像剤が残り続けることが少なく、現像剤の劣化を抑制して高画質化を実現することができる。トリクル現像方式において、ハウジング33aの排出口から排出された現像剤(キャリアやトナーなど)は、画像形成に用いられない不要な廃トナーとして廃トナー収容容器9に送られる。廃トナー収容容器9の構成については、後述する。
【0036】
感光体ドラム31上に形成されたK色のトナー像は、一次転写ローラー44により中間転写ベルト41に一次転写される。この一次転写の際に、感光体ドラム31上のトナー像のうち、中間転写ベルト41に転写されずに感光体ドラム31上に残ってしまった残留トナーは、感光体ドラム31の回転によりクリーナー34まで搬送され、クリーナー34により感光体ドラム31上から掻き取られ、廃トナーとして廃トナー収容容器9に送られる。廃トナー収容容器9の構成については、後述する。
【0037】
感光体ドラム31上に形成されたK色のトナー像は、一次転写ローラー44により中間転写ベルト41に一次転写される。この一次転写の際に、感光体ドラム31上のトナー像のうち、中間転写ベルト41に転写されずに感光体ドラム31上に残ってしまった残留トナーは、感光体ドラム31の回転によりクリーナー34まで搬送され、クリーナー34により感光体ドラム31上から除去され、廃トナーとして廃トナー収容容器9に送られる。
【0038】
給送部5は、記録用のシートSを収容する給紙カセット51と、給紙カセット51内のシートSを搬送路53上に1枚ずつ繰り出す繰り出しローラー52と、繰り出されたシートを二次転写ローラー45が中間転写ベルト41に接している二次転写位置46に送り出すタイミングをとってシートSを搬送するタイミングローラー54などを備えている。
【0039】
タイミングローラー54は、中間転写ベルト41上に転写されたK色トナー像が二次転写位置46に搬送されるタイミングに合わせて、シートSを二次転写位置46に搬送する。そして、シートSが二次転写位置46を通過する際に、二次転写ローラー45により中間転写ベルト41上のK色トナー像がシートS上に二次転写される。
【0040】
この二次転写の際に、中間転写ベルト41上のトナー像のうち、シートSに転写されずに中間転写ベルト41上に残ってしまった残留トナーは、中間転写ベルト41の周回走行によりクリーナー47まで搬送され、クリーナー47により中間転写ベルト41上から掻き取られ、廃トナーとして廃トナー収容容器9に送られる。
【0041】
二次転写位置46でK色トナー像が二次転写されたシートSは、定着部6に搬送される。定着部6は、二次転写位置46よりも上に配置され、二次転写ローラー45により搬送されて来るシートS上のK色トナー像(未定着画像)を加熱、加圧により熱定着する。定着部6を通過したシートSは、排出ローラー55により機外に排出され、排紙トレイ56に収容される。
【0042】
廃トナー収容容器9は、現像部33やクリーナー34、47から排出された廃トナーを収容する容器であり、装置筐体(本体)2に着脱可能に装着されている。本実施の形態では、装置本体2の内部であり、プリンター1の高さ方向に中間転写ベルト41よりも下で給紙カセット51よりも上の位置であって、プリンター1の装置前後方向において画像形成部3や中間転写部4よりも装置正面側に廃トナー収容容器9の装着スペース(不図示)が設けられ、その装着スペースに装着されている。
【0043】
廃トナー収容容器9が装着されると、現像部33、クリーナー34、47のそれぞれごとに設けられたパイプ(不図示)の先が廃トナー収容容器9の廃トナー受入口(後述)に挿入された状態になり、排出された廃トナーがそのパイプ内を通って廃トナー収容容器9の内部に送り込まれる。
【0044】
装置正面側には、開閉自在なカバー部材(不図示)が設けられており、ユーザーがそのカバー部材を開閉することにより、装置正面側から廃トナー収容容器9を交換できるようになっている。
【0045】
廃トナー収容容器9には、後述のように透光性の窓を有する廃トナー堆積室80(図3)が設けられ、廃トナー収容容器9が装置本体2に装着された状態で、装置本体2側に設けられた光学式の廃トナー検出センサー11の検出光を廃トナー堆積室80の窓に照射して、その窓を透過する光量を検出することにより、廃トナー収容容器9が廃トナーで一杯であるか否かの検出が行われる。
【0046】
操作パネル8は、装置本体2の上面の装置正面側の位置に配されており、ユーザーからの各種ジョブの実行指示を受け付けるキーや、実行すべきジョブの選択指示を受け付ける選択キーなどを有する。また、操作パネル8には、制御部7からの指示に基づく各種ジョブに関する画面や廃トナーで一杯になった廃トナー収容容器9の交換をユーザーに促す警告メッセージなどを表示するディスプレイ8aも備えられている。
【0047】
なお、プリンター1は、中間転写ベルト41と露光部10の間であり、作像部3K以外の部分39が空間になっている。このような空間39を有するのは、プリンター1がカラープリンターからモノクロプリンターにいわゆるマイナーチェンジ(ミニマルデザイン)により構成されたことによる。具体的には、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色のトナー像形成用の各作像部が配置されたタンデム型のカラープリンターに対して、イエロー、マゼンタ、シアン色用の各作像部を取り除き、ブラック色用の作像部3Kのみによるブラック色のモノクロプリンターに変更したものをプリンター1としている。これにより元々、イエロー、マゼンタ、シアンの各作像部が配置されていた部分が空間39になっている。また、モノクロプリンター1は、上記のようにタンデム型のカラープリンターからモノクロプリンターにミニマルデザインしたものに限られず、最初からモノクロプリンターとして設計されたものであってもよい。
【0048】
廃トナー収容容器9は、カラープリンターで用いられていたものと同じものがそのまま用いられている。従って、ブラック色の1色だけのモノクロのプリンター1に対しては廃トナーの収容空間(容量)の大きさが十分にあることになる。
【0049】
(2)廃トナー収容容器の構成
図2図4を用いて廃トナー収容容器9の構成を説明する。
【0050】
図2(a)は、廃トナー収容容器9を正面から見た斜視図であり、図2(b)は、廃トナー収容容器9を背面から見た斜視図である。なお、どちらも、プリンター1に装着されたときの装着姿勢を示している。図3は、廃トナー収容容器9を図2(a)のC-C線矢視で切断した分解斜視図である。
【0051】
図2(a)、(b)に示すように、廃トナー収容容器9は、容器本体90、廃トナー受入口92d、92e、92f、廃トナー堆積室80、搬送スクリュー97(図4(a))等を備えている。
【0052】
容器本体90は、ABS等の樹脂製であり、左右方向(X軸方向)に長尺な箱形状をしており、正面板91、背面板92、上面板93、底面板96(図3)、左側面板94(図3)、右側面板95によって形成されている。図3に示すように、正面板91と上面板93の対向する縁部91j、93jには、凸状の突起91kと凹状の溝93kが設けられており、正面板91と上面板93は、この突起91kと溝93kとの凹凸嵌合によって接続され、接着剤等で固定されている。なお、正面板91と左側面板94、右側面板95、および底面板96の対向する縁部についても、突起と溝が設けられており、上記と同じ方法で固定されている。この容器本体90の内部の空洞が、廃トナーが収容される収容空間100となっている。
【0053】
図2(b)に戻って、背面板92の上半分には、左端から右端に掛けて黒色の廃トナー受け入れ口92d、92e、シアン色の廃トナー受け入れ口92g、92h、マゼンタ色の廃トナー受け入れ口92i、92j、イエロー色の廃トナー受け入れ口92k、92l及び廃トナー受け入れ口92fがこの順に形成されている。このうち、シアン、マゼンタ、イエローの3色の廃トナー受け入れ口は栓で閉じられている。
【0054】
栓で閉じられていない廃トナー受入口92d、92e、92fには、それぞれ作像部3Kのクリーナー34、現像部33、クリーナー47から排出された廃トナーがパイプ(不図示)を介して搬送される。廃トナー受入口92d、92e、92fに搬送された廃トナーは、廃トナー受入口92d、92e、92fから落下して廃トナー収容容器9内に収容される。
【0055】
また、背面板92のうち、廃トナー受入口92eと廃トナー受入口92fとの間の下部には、廃トナー収容容器9内に収容された廃トナーが一杯になったことを検出するための廃トナー堆積室80が設けられている。より正確にいうと、廃トナー堆積室80の設置位置は、次のように定めている。
【0056】
即ち、作像部3Kのクリーナー34、現像部33から排出された廃トナーが廃トナー受入口92d、92eから落下して回収容器右端に単位時間当たりに堆積するピーク高さH1(図6)と、クリーナー47から排出された廃トナーが廃トナー受入口92fから落下して回収容器左端に単位時間あたりに堆積するピーク高さH2との比に応じた位置に設けられる。
【0057】
回収容器右端側に堆積する廃トナーのピーク高さH1の位置と、回収容器左端側に堆積する廃トナーのピーク高さH2の位置との水平距離をL、それぞれの廃トナーピーク高さ位置から廃トナー堆積室80までの距離をL1、L2(L1+L2=L)とすると、
H1/H2 = L1/L2
L2=L-L1であるから、
H1/H2 =L1/(L―L1)
L1について求めると、
L1= L/(1+H2/H1)
となる。つまり、廃トナー堆積室80は、回収容器右端側のピーク高さH1位置からL1の距離の所に設置すればよいことが分かる。このように設置することにより、廃トナー堆積室80は、中間位置(=L/2)よりも、廃トナー受入口92f側に設けられる。
【0058】
なお、上記のL1の距離によらず、中間位置よりも廃トナー受入口92f側に近い位置であり、廃トナー堆積量が少なくなる位置を予め実験等により決定し、この位置に廃トナー堆積室80を設置してもよい。
【0059】
廃トナー堆積室80は、透光性を有する樹脂からなり、図3に示すように上端に開口部80aを有する底付の筒状体であり、背面板92にネジ留め等により固定されている。廃トナー堆積室80の底86は、背面板92の面92nに設けられた孔から容器本体90の外に突出しており、廃トナー堆積室80の右側面壁82、左側面壁83のうち、容器本体90の外に位置する部分が、容器本体90の外部から光学的に廃トナー堆積室80の廃トナーの堆積量を監視する透光性の窓となっている。
【0060】
収容空間100に収容される廃トナーの量が多くなり、堆積した廃トナー層の液面が開口部80aの高さを越えると、廃トナーは、開口部80aから落下して、廃トナー堆積室80内に入っていき、堆積する。廃トナー堆積室80に堆積した廃トナーは、右側面壁82、左側面壁83の容器本体90の外に位置する部分(窓)を介して廃トナー検出センサー11(図5)によって検出され、収容空間100内の廃トナーが一杯になったことが分かる。廃トナー検出センサー11の具体的な検出方法については後述する。
【0061】
図4(a)は、廃トナー収容容器9の正面図であり、正面板91を透視して、廃トナー収容容器9の内部を示している。
【0062】
同図に示すように、廃トナー堆積室80の手前側には、廃トナーを搬送する搬送スクリュー97が設けられている。搬送スクリュー97は、軸体97aの左右方向の中央付近にパドル97dが設けられ、パドル97dを挟んで右方と左方に螺旋羽根97b、97cが設けられてなる。
【0063】
パドル97dを設ける水平方向の位置は、廃トナー堆積室80と一致している。
【0064】
軸体97aの右側端部97eは、右側面板95から外部に突出されており、モーター(不図示)と連結されて矢印D方向に回転駆動される。螺旋羽根97bは、搬送スクリュー97が矢印D方向に回転したときに、廃トナーを矢印E方向に搬送するように螺旋の向きを定めてあり、螺旋羽根97cは、搬送スクリュー97が矢印D方向に回転したときに、廃トナーを矢印F方向に搬送するように螺旋の向きを定めてある。
【0065】
廃トナー受入口92d、92eは、収容空間100の右側に位置し、廃トナー受入口92fは、収容空間100の左側に位置しているので、廃トナー受入口92d、92eから落下した廃トナーは、底面96a上において、収容空間100の右側に堆積し、一方、廃トナー受入口92fから落下した廃トナーは、底面96a上において、収容空間100の左側に堆積する。収容空間100の左右に堆積した廃トナーは、搬送スクリュー97によって、上記した位置に設けられた廃トナー堆積室80に向けて搬送される。
【0066】
図4(b)は、廃トナー収容容器9を、図4(a)のG-G線で切断した矢視断面図である。
【0067】
廃トナー堆積室80の開口部80aの高さについては、高い方が、開口部80a内に入り込む収容空間100内の廃トナーの液面の高さが高くなるので、廃トナー堆積室80内に堆積した廃トナーを廃トナー検出センサー11が検出するときの、収容空間100における廃トナーの充填率が大きくなるので有利である。しかし、高くし過ぎると、収容空間100内に堆積した廃トナーの液面が、廃トナー受入口92d、92e、92fの高さにまで至り、パイプ(不図示)から搬送される廃トナーが廃トナー受入口92d、92e、92fにおいて詰まってしまうおそれがある。このため、設計により、廃トナー受入口92d、92e、92fにおいて、廃トナーの詰まりが生じない程度の高さに設定されている。
【0068】
(3)廃トナー検出センサーの構成
図5(a)は、廃トナー検出センサー11の概略構成を示す斜視図である。同図に示すように、廃トナー検出センサー11は、光透過型のセンサーであり、本体部12、発光部13、受光部14を有しており、取り付け板19を介して装置本体2のフレーム20に固定されている。
【0069】
発光部13と受光部14とは、空間15を介して対向配置されており、発光部13から受光部14に向けて発せられた検出光16(破線)が受光部14の受光面14aで受光されると、受光量に応じた信号を本体部12から制御部7に出力する。ここでは、受光量が多いほど信号の値が大きくなる関係を有している。
【0070】
制御部7は、廃トナー検出センサー11からの信号値の大きさから廃トナー収容容器9が廃トナーで一杯になったか否かを判断する。具体的には、廃トナー検出センサー11からの信号値の大きさが閾値以上であれば廃トナー収容容器9が廃トナーで一杯になっていないと判断し、閾値よりも小さくなると廃トナーで一杯になったと判断する。
【0071】
図5(b)は、廃トナー収容容器9が装置本体に装着されたときに、廃トナー収容容器9の廃トナー堆積室80が廃トナー検出センサー11の発光部13と受光部14との間の空間に入り込んでいる様子を示す斜視図である。
【0072】
廃トナー堆積室80は、透光性を有する樹脂からなるので、廃トナー検出センサー11の発光部13から発せられた検出光16が廃トナー堆積室80の右側面壁82、左側面壁83を透過することが可能である。
【0073】
廃トナー堆積室80の堆積空間K1に廃トナーが堆積していなければ、発光部13からの検出光16のほとんどが右側面壁82、左側面壁83を透過して受光部14で受光される。この時点では、廃トナー検出センサー11からの信号値の大きさが閾値以上になっている。
【0074】
一方で、堆積空間K1の廃トナーの堆積量が増えて、堆積された廃トナーの山の頂部の高さが発光部13から発せられる検出光16の高さ位置(一定位置)に至ると、発光部13からの検出光16がその廃トナーの山に遮られる。このようになると発光部13からの検出光16が左側面壁83を透過できなくなり、受光部14では検出光16のほとんどを受光できなくなる。この時点では、廃トナー検出センサー11からの信号値の大きさが閾値よりも低くなっており、制御部7により廃トナー収容容器9が廃トナーで一杯になったと判断される。
【0075】
制御部7は、廃トナー収容容器9が廃トナーで一杯になったことを判断すると、ディスプレイ8a(図1)に、廃トナー収容容器9の交換をユーザーに促す警告メッセージを表示させる。
【0076】
(4)廃トナー収容容器9内の廃トナーの流れ
図6は、廃トナー収容容器9内の廃トナーの流れを説明する図である。同図に示すように、廃トナー受入口92d、92e、92fから落下する廃トナーは、矢印D1、D2、D3方向に沿って落下し、収容空間100内に堆積したトナーTは、搬送スクリュー97の螺旋羽根97bによって、収容空間100の右側において矢印E方向に搬送され、一方、収容空間100の左側において矢印F方向に搬送される。搬送スクリュー97による搬送によって、収容容器9内において廃トナーのレベルはほぼ均一にならされるが、それでも、受入口92d、92e、92fのレベルが高く、搬送方向に進むにしたがってレベルは低下する。一番レベルが低いのは右方からの廃トナーと左方からの廃トナーの合流点である廃トナー堆積室80の位置である。従って、本実施例によれば、廃トナー堆積量の最も少ない箇所において、廃トナーの満杯検出を行っているので、収容容器内の満杯状態を正確に検出することが出来るのである。
【0077】
尚、図6中、92g~92lは、カラー複合機において用いられるイエロー色の廃トナーの受入口、マゼンタ色の廃トナーの受入口、シアン色の廃トナーの受入口である。本実施例では、モノクロ複合機として使っているので、これらの受入口は栓で塞いである。
【0078】
上記実施例では、単一色のトナーとして黒トナーを用いているが、黒トナーに代えて他の色を用いることが出来る。その場合、その色の廃トナーの回収容器への流入口の位置を考慮して、満杯検出器の設置位置を設ける必要がある。
また、上記実施例では、画像形成部からの廃トナーは、像担持体から掻き取った廃トナーと、トリクル現像器から排出される廃トナーとを回収容器に排出しているが、トリクル現像器以外の現像機を用いた画像形成部を用いることができ、その場合は、中間転写ベルトから掻き取った廃トナー以外は、像担持体から掻き取った廃トナーだけを回収容器に回収するようにすればよい。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明は、モノクロ複合機おける廃トナーを収容する廃トナー収容容器として利用できる。
【符号の説明】
【0080】
1 プリンター
9 廃トナー収容容器
80 廃トナー堆積室
82 右側面壁
83 左側面壁
90 容器本体
91 正面板
92 背面板
92d、92e、92f 廃トナー受入口
93 上面板
94 左側面板
95 右側面板
96 底面板
97 搬送スクリュー
図1
図2
図3
図4
図5
図6