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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-08
(45)【発行日】2024-05-16
(54)【発明の名称】印刷装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/01 20060101AFI20240509BHJP
【FI】
B41J2/01 305
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020076241
(22)【出願日】2020-04-22
(65)【公開番号】P2021171972
(43)【公開日】2021-11-01
【審査請求日】2023-03-29
(73)【特許権者】
【識別番号】723005698
【氏名又は名称】船井電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100148460
【弁理士】
【氏名又は名称】小俣 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100168125
【弁理士】
【氏名又は名称】三藤 誠司
(72)【発明者】
【氏名】酒井 啓貴
(72)【発明者】
【氏名】井村 義彦
【審査官】長田 守夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-193639(JP,A)
【文献】米国特許第7765927(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物に印刷を施すための印刷装置であって、
側方に開口部を有し、上下方向に並んで配置された複数の係合部を有するベース部と、
前記対象物を支持するための支持部材であって、前記複数の係合部のうち前記対象物の厚みに応じた係合部に前記開口部側から横方向にスライド可能に係合され、前記ベース部から引き出される引き出し位置と、前記ベース部に収納される収納位置との間を、前記開口部を通してスライド可能な支持部材と、
前記収納位置にある前記支持部材の上方に配置され、前記支持部材に支持された前記対象物の上面に向けてインクを吐出するヘッド部と、を備え
前記支持部材が前記複数の係合部のうち前記対象物の厚みに応じた前記係合部に係合されることにより、前記対象物の前記上面から前記ヘッド部までの距離であるプリントギャップが所定の距離に調節される
印刷装置。
【請求項2】
前記ベース部は、
第1の側面を有する第1の壁部と、
前記第1の側面に対向して配置された第2の側面を有する第2の壁部と、を含み、
前記第1の壁部と前記第2の壁部との間には、前記開口部と連通し、且つ、前記収納位置にある前記支持部材を配置するための空間が形成され、
前記複数の係合部は、
前記第1の壁部の前記第1の側面に形成された複数の第1のスリットであって、各々が前記横方向に延び、前記上下方向に並んで配置された複数の第1のスリットと、
前記第2の壁部の前記第2の側面に形成された複数の第2のスリットであって、各々が前記横方向に延び、前記複数の第1のスリットにそれぞれ対向して配置された複数の第2のスリットと、を含む
請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
前記第1の壁部には、前記複数の第1のスリットの各々の位置を示す第1の目盛りが設けられ、
前記第2の壁部には、前記複数の第2のスリットの各々の位置を示す第2の目盛りが設けられている
請求項2に記載の印刷装置。
【請求項4】
前記第1の目盛りは、前記第1の壁部の前記第1の側面に設けられ、
前記第2の目盛りは、前記第2の壁部の前記第2の側面に設けられている
請求項3に記載の印刷装置。
【請求項5】
前記複数の第1のスリットの各々の前記開口部側における端部は、前記上下方向に沿って階段状にずれて配置されており、
前記第1の目盛りは、前記複数の第1のスリットの各々の前記端部に設けられ、
前記複数の第2のスリットの各々の前記開口部側における端部は、前記上下方向に沿って階段状にずれて配置されており、
前記第2の目盛りは、前記複数の第2のスリットの各々の前記端部に設けられている
請求項3に記載の印刷装置。
【請求項6】
前記ベース部は、さらに、前記空間に対して前記開口部と反対側に配置された第3の側面を有する第3の壁部を含み、
前記支持部材は、前記引き出し位置から前記収納位置に向けてスライドすることにより、前記第3の壁部の前記第3の側面とで前記対象物をその厚み方向に挟持可能であり、
前記第1の壁部の上面には、前記第1の目盛りに対応する第3の目盛りが設けられ、
前記支持部材の上面には、前記対象物が前記支持部材と前記第3の壁部の前記第3の側面とで挟持された際に、前記対象物の厚みに応じた前記第3の目盛りの一部を指し示すための目印が設けられている
請求項3~5のいずれか1項に記載の印刷装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象物に印刷を施すための印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット方式により対象物に印刷を施すための印刷装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。この種の印刷装置は、対象物を載置するための載置台と、載置台上に載置された対象物に向けてインクを吐出するヘッド部と、載置台をヘッド部に対して上昇又は下降させるための昇降機構とを備えている。
【0003】
ユーザは、昇降機構に設けられたハンドルを手動で回転させて載置台を上昇又は下降させることにより、対象物の印刷面からヘッド部までの距離が最適な距離となるように、対象物の高さ位置を調節する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】実用新案登録第3220536号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した従来の印刷装置では、昇降機構の構成が大掛かりになるという課題が生じる。
【0006】
本発明は、上述した課題を解決しようとするものであり、その目的は、簡易な構成で、対象物の高さ位置を精度良く調節することができる印刷装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る印刷装置は、対象物に印刷を施すための印刷装置であって、側方に開口部を有し、上下方向に並んで配置された複数の係合部を有するベース部と、前記対象物を支持するための支持部材であって、前記複数の係合部のうちいずれかの係合部に前記開口部側から横方向にスライド可能に係合され、前記ベース部から引き出される引き出し位置と、前記ベース部に収納される収納位置との間を、前記開口部を通してスライド可能な支持部材と、前記収納位置にある前記支持部材の上方に配置され、前記支持部材に支持された前記対象物に向けてインクを吐出するヘッド部と、を備える。
【0008】
本態様によれば、支持部材は、複数の係合部のうちいずれかの係合部に横方向にスライド可能に係合される。これにより、ユーザは、支持部材を、複数の係合部のうち対象物の厚みに応じた係合部に係合させればよいので、簡易な構成で、対象物の高さ位置を精度良く調節することができる。
【0009】
例えば、本発明の一態様に係る印刷装置において、前記ベース部は、第1の側面を有する第1の壁部と、前記第1の側面に対向して配置された第2の側面を有する第2の壁部と、を含み、前記第1の壁部と前記第2の壁部との間には、前記開口部と連通し、且つ、前記収納位置にある前記支持部材を配置するための空間が形成され、前記複数の係合部は、前記第1の壁部の前記第1の側面に形成された複数の第1のスリットであって、各々が前記横方向に延び、前記上下方向に並んで配置された複数の第1のスリットと、前記第2の壁部の前記第2の側面に形成された複数の第2のスリットであって、各々が前記横方向に延び、前記複数の第1のスリットにそれぞれ対向して配置された複数の第2のスリットと、を含むように構成してもよい。
【0010】
本態様によれば、支持部材を第1のスリット及び第2のスリットの各々に安定して係合させることができる。
【0011】
例えば、本発明の一態様に係る印刷装置において、前記第1の壁部には、前記複数の第1のスリットの各々の位置を示す第1の目盛りが設けられ、前記第2の壁部には、前記複数の第2のスリットの各々の位置を示す第2の目盛りが設けられているように構成してもよい。
【0012】
本態様によれば、ユーザは、第1の目盛り及び第2の目盛りを目視で確認しながら、支持部材を、同じ高さ位置の第1のスリット及び第2のスリットの各々に正確に係合させることができる。
【0013】
例えば、本発明の一態様に係る印刷装置において、前記第1の目盛りは、前記第1の壁部の前記第1の側面に設けられ、前記第2の目盛りは、前記第2の壁部の前記第2の側面に設けられているように構成してもよい。
【0014】
本態様によれば、ベース部を側方から見た場合における、第1の目盛り及び第2の目盛りの視認性を高めることができる。
【0015】
例えば、本発明の一態様に係る印刷装置において、前記複数の第1のスリットの各々の前記開口部側における端部は、前記上下方向に沿って階段状にずれて配置されており、前記第1の目盛りは、前記複数の第1のスリットの各々の前記端部に設けられ、前記複数の第2のスリットの各々の前記開口部側における端部は、前記上下方向に沿って階段状にずれて配置されており、前記第2の目盛りは、前記複数の第2のスリットの各々の前記端部に設けられているように構成してもよい。
【0016】
本態様によれば、ベース部を上方から見た場合における、第1の目盛り及び第2の目盛りの視認性を高めることができる。
【0017】
例えば、本発明の一態様に係る印刷装置において、前記ベース部は、さらに、前記空間に対して前記開口部と反対側に配置された第3の側面を有する第3の壁部を含み、前記支持部材は、前記引き出し位置から前記収納位置に向けてスライドすることにより、前記第3の壁部の前記第3の側面とで前記対象物をその厚み方向に挟持可能であり、前記第1の壁部の上面には、前記第1の目盛りに対応する第3の目盛りが設けられ、前記支持部材の上面には、前記対象物が前記支持部材と前記第3の壁部の前記第3の側面とで挟持された際に、前記対象物の厚みに応じた前記第3の目盛りの一部を指し示すための目印が設けられているように構成してもよい。
【0018】
本態様によれば、対象物が支持部材と第3の壁部の第3の側面とで挟持された際に、支持部材の目印は、対象物の厚みに応じた第3の目盛りの一部を指し示す。これにより、ユーザは、支持部材の目印により指し示された第3の目盛りの一部に対応する、第1の目盛りの一部及び第2の目盛りの一部にそれぞれ対応する第1のスリット及び第2のスリットに支持部材を係合させればよく、対象物の高さ位置を容易に調節することができる。。
【発明の効果】
【0019】
本発明の一態様に係る印刷装置によれば、簡易な構成で、対象物の高さ位置を精度良く調節することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】実施の形態1に係る印刷装置の外観を示す斜視図である。
図2】実施の形態1に係るベース部を示す上面図である。
図3】実施の形態1に係るベース部を示す正面図である。
図4図3のIV-IV線要部断面図である。
図5図3のV-V線要部断面図である。
図6】支持部材と第3の壁部とで対象物を挟持した状態での、実施の形態1に係るベース部を示す上面図である。
図7】対象物を支持部材の上面に載置した状態での、実施の形態1に係るベース部を示す上面図である。
図8図7のVIII-VIII線要部断面図である。
図9】支持部材と第3の壁部とで対象物を挟持した状態での、実施の形態2に係るベース部を示す上面図である。
図10】対象物を支持部材の上面に載置させた状態での、実施の形態2に係るベース部の第1の壁部を示す側面図である。
図11】実施の形態3に係るベース部を示す上面図である。
図12】実施の形態3に係るベース部の第1の壁部を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0022】
(実施の形態1)
[1-1.印刷装置の全体構成]
まず、図1を参照しながら、実施の形態1に係る印刷装置2の全体構成について説明する。図1は、実施の形態1に係る印刷装置2の外観を示す斜視図である。なお、図1において、印刷装置2の幅方向(左右方向)をX軸方向、印刷装置2の奥行き方向(前後方向)をY軸方向、印刷装置2の高さ方向(上下方向)をZ軸方向として説明する。
【0023】
図1に示すように、印刷装置2は、筐体4と、ベース部6と、支持部材8と、ヘッド部10とを備えている。本実施の形態では、印刷装置2は、食品である対象物12に図柄の印刷を施すための、いわゆるフードプリンタである。なお、対象物12は、例えばクッキー又は食パン等の、様々な厚みを有する食品である。また、図柄とは、例えば図形、絵柄、模様及び色彩等を含む概念である。
【0024】
筐体4は、例えば箱形状に形成されている。筐体4の前面4aには、ベース部6を挿通するための矩形状の開口部14が形成されている。筐体4の天面4bには、印刷装置2を操作するためのスイッチユニット16が配置されている。
【0025】
ベース部6は、支持部材8を開口部28(後述する)側から前後方向(Y軸方向)(横方向の一例)にスライド可能に支持するためのトレイベースである。ベース部6は、筐体4の内部に配置されており、図1に示すように、筐体4の開口部14を通して手前側(Y軸のマイナス側)に筐体4の外部に引き出し可能である。ベース部6の構成については、後で詳述する。
【0026】
支持部材8は、対象物12を載置するためのインサートプレートであり、矩形状の薄板状に形成されている。支持部材8の厚みは、例えば約1mm~2mmである。支持部材8は、ベース部6に支持されており、後述するようにベース部6に対して前後方向にスライド可能である。
【0027】
ヘッド部10は、筐体4の内部において、収納位置(後述する)にある支持部材8の上方(Z軸のプラス側)に配置されている。ヘッド部10は、支持部材8の上面8aに載置された対象物12に印刷を施す。ヘッド部10の印刷方式は、対象物12にミスト状のインクを吹き付けることにより印刷を施すインクジェット方式である。
【0028】
図示しないが、ヘッド部10は、インクタンクと、印刷ヘッドとを有している。インクタンクには、例えばCMYK(C:シアン、M:マゼンタ、Y:イエロー、K:ブラック)の4種類の食用のインクが充填されている。印刷ヘッドは、インクタンクからの各色のインクを下方(Z軸のマイナス側)に向けて吐出する。
【0029】
印刷の実行時には、ヘッド部10は、図示しない駆動機構によって、左右方向(X軸方向)に往復移動しながら、前後方向における一方側から他方側(例えばY軸のプラス側からマイナス側)に向けて移動する。この状態で、ヘッド部10の印刷ヘッドからのインクが、支持部材8の上面8aに載置された対象物12に向けて吹き付けられることにより、対象物12に印刷が施される。
【0030】
[1-2.ベース部の構成]
次に、図1図5を参照しながら、ベース部6の構成について詳細に説明する。図2は、実施の形態1に係るベース部6を示す上面図である。図3は、実施の形態1に係るベース部6を示す正面図である。図4は、図3のIV-IV線要部断面図である。図5は、図3のV-V線要部断面図である。
【0031】
図1図3に示すように、ベース部6は、基台部18と、第1の壁部20と、第2の壁部22と、第3の壁部24とを有している。
【0032】
基台部18は、矩形状の板状に形成されている。図1及び図2に示すように、第1の壁部20、第2の壁部22及び第3の壁部24は、基台部18の外周部から上方に向けて、上面視(XY平面視)でコの字状(略U字状)に立設するように配置されている。
【0033】
第1の壁部20、第2の壁部22及び第3の壁部24により囲まれた領域(すなわち、第1の壁部20と第2の壁部22との間の領域)には、収納位置にある支持部材8を配置するための空間26が形成されている。ベース部6の手前側における側方には、空間26と連通する開口部28が形成されている。
【0034】
第1の壁部20は、基台部18の左右方向における一端部(X軸のマイナス側における端部)から上方に立設するように配置されている。第1の壁部20の空間26側の面には、第1の側面20aが形成されている。
【0035】
第2の壁部22は、基台部18の左右方向における他端部(X軸のプラス側における端部)から上方に立設するように配置されている。第2の壁部22の空間26側の面には、第2の側面22aが形成されている。第1の壁部20の第1の側面20aと第2の壁部22の第2の側面22aとは、互いに対向して配置されている。
【0036】
第3の壁部24は、基台部18の前後方向における一端部(Y軸のプラス側における端部)から上方に立設するように配置されている。第3の壁部24の空間26側の面には、第3の側面24aが形成されている。第3の壁部24の第3の側面24aは、空間26に対してベース部6の開口部28と反対側に配置されている。
【0037】
図3及び図4に示すように、第1の壁部20の第1の側面20aには、複数の第1のスリット30a~30q(複数の係合部の一例)が形成されている。本実施の形態では、第1の壁部20の第1の側面20aには、例えば計17個の第1のスリット30a~30q(30a,30b,30c,30d,30e,30f,30g,30h,30i,30j,30k,30l,30m,30n,30o,30p,30q)が上からこの順に形成されている。複数の第1のスリット30a~30qの各々は、前後方向に直線状に延びており、上下方向(Z軸方向)に並んで配置されている。なお、複数の第1のスリット30a~30qの各々は、第1の壁部20の第1の側面20aから突出した長尺状の一対の突条32により形成されている。一対の突条32は、前後方向に直線状に延び、上下方向に間隔を置いて配置されている。図4に示すように、複数の第1のスリット30a~30qの各々の開口部28側における端部は、上下方向に沿って階段状にずれて配置されている。
【0038】
また、図4に示すように、第1の壁部20の第1の側面20aには、複数の第1のスリット30a~30qの各々の位置を示す第1の目盛り34が設けられている。なお、第1の目盛り34は、例えば刻印、印刷又はシールの貼り付け等により、第1の壁部20の第1の側面20aに設けられている。第1の目盛り34には、例えば「1」から「17」までの各奇数番号が上から順に等間隔に表示されている。第1の目盛り34の番号「1」は、最も上側の第1のスリット30aの近傍に設けられ、番号「17」は、最も下側の第1のスリット30qの近傍に設けられている。
【0039】
これにより、複数の第1のスリット30a~30qにはそれぞれ、上から順に、「1」から「17」までの連続番号が割り当てられるようになる。例えば、最も上側の第1のスリット30aには番号「1」が割り当てられ、最も上側から2番目の第1のスリット30bには番号「2」が割り当てられ、最も上側から3番目の第1のスリット30cには番号「3」が割り当てられ、最も上側から4番目の第1のスリット30dには番号「4」が割り当てられる。同様に、例えば、最も下側から4番目の第1のスリット30nには番号「14」が割り当てられ、最も下側から3番目の第1のスリット30oには番号「15」が割り当てられ、最も下側から2番目の第1のスリット30pには番号「16」が割り当てられ、最も下側の第1のスリット30qには番号「17」が割り当てられる。なお、本実施の形態では、計17個の第1のスリット30a~30qを第1の壁部20の第1の側面20aに形成したが、これに限定されず、第1のスリットの数は適宜設定してよい。
【0040】
図3及び図5に示すように、第2の壁部22の第2の側面22aには、複数の第2のスリット36a~36q(複数の係合部の一例)が形成されている。本実施の形態では、第2の壁部22の第2の側面22aには、例えば計17個の第2のスリット36a~36q(36a,36b,36c,36d,36e,36f,36g,36h,36i,36j,36k,36l,36m,36n,36o,36p,36q)が上からこの順に形成されている。複数の第2のスリット36a~36qの各々は、前後方向に直線状に延びており、上下方向(Z軸方向)に並んで配置されている。図3に示すように、複数の第2のスリット36a~36qはそれぞれ、複数の第1のスリット30a~30qに対向して配置されている。なお、複数の第2のスリット36a~36qの各々は、第2の壁部22の第2の側面22aから突出した長尺状の一対の突条38により形成されている。一対の突条38は、前後方向に直線状に延び、上下方向に間隔を置いて配置されている。図5に示すように、複数の第2のスリット36a~36qの各々の開口部28側における端部は、上下方向に沿って階段状にずれて配置されている。なお、説明の都合上、図1では、複数の第2のスリット36a~36qの図示を省略してある。
【0041】
また、図5に示すように、第2の壁部22の第2の側面22aには、複数の第2のスリット36a~36qの各々の位置を示す第2の目盛り40が設けられている。なお、第2の目盛り40は、例えば刻印、印刷又はシールの貼り付け等により、第2の壁部22の第2の側面22aに設けられている。第2の目盛り40には、例えば「1」から「17」までの各奇数番号が上から順に等間隔に表示されている。第2の目盛り40の番号「1」は、最も上側の第2のスリット36aの近傍に設けられ、番号「17」は、最も下側の第2のスリット36qの近傍に設けられている。
【0042】
これにより、複数の第2のスリット36a~36qにはそれぞれ、上から順に、「1」から「17」までの連続番号が割り当てられるようになる。例えば、最も上側の第2のスリット36aには番号「1」が割り当てられ、最も上側から2番目の第2のスリット36bには番号「2」が割り当てられ、最も上側から3番目の第2のスリット36cには番号「3」が割り当てられ、最も上側から4番目の第2のスリット36dには番号「4」が割り当てられる。同様に、例えば、最も下側から4番目の第2のスリット36nには番号「14」が割り当てられ、最も下側から3番目の第2のスリット36oには番号「15」が割り当てられ、最も下側から2番目の第2のスリット36pには番号「16」が割り当てられ、最も下側の第2のスリット36qには番号「17」が割り当てられる。なお、本実施の形態では、計17個の第2のスリット36a~36qを第2の壁部22の第2の側面22aに形成したが、これに限定されず、第2のスリットの数は適宜設定してよい。
【0043】
また、図1及び図2に示すように、第1の壁部20の上面20bには、第1の目盛り34に対応する第3の目盛り42が設けられている。第3の目盛り42には、例えば前後方向に沿って等間隔に刻まれた計17本の目盛り線が表示されるとともに、「1」から「17」までの各奇数番号が奥側から手前側に向けて(すなわち、第3の壁部24側から開口部28側に向けて)等間隔に表示されている。これにより、第3の目盛り42の計17本の目盛り線にはそれぞれ、奥側から手前側に向けて順に、「1」から「17」までの連続番号が割り当てられるようになる。なお、第3の目盛り42の「1」から「17」までの各奇数番号の配置間隔は、第1の目盛り34の「1」から「17」までの各奇数番号の配置間隔と略同一である。すなわち、第3の目盛り42の計17本の目盛り線の配置間隔は、複数の第1のスリット30a~30qの配置間隔と略同一である。
【0044】
図3図5に示すように、支持部材8の左右方向における一端部(X軸のマイナス側における端部)は、複数の第1のスリット30a~30qのうち任意の第1のスリットに前後方向にスライド可能に係合され、且つ、支持部材8の左右方向における他端部(X軸のプラス側における端部)は、複数の第2のスリット36a~36qのうち当該任意の第1のスリットに対向する第2のスリットに前後方向にスライド可能に係合される。図3図5に示す例では、支持部材8は、第1のスリット30b及び第2のスリット36bの各々に前後方向にスライド可能に係合されている。これにより、図2に示すように、支持部材8は、ベース部6に収納される収納位置(図2において実線で示す位置)と、ベース部6から引き出される引き出し位置(図2において一点鎖線で示す位置)との間を、ベース部6の開口部28を通して前後方向にスライド可能である。
【0045】
また、図2に示すように、支持部材8の上面8aの第1の壁部20側における端部(X軸のマイナス側における端部)には、第3の目盛り42の計17本の目盛り線のいずれかを指し示すための目印44が設けられている。目印44は、例えば三角形等の図形で構成されている。なお、目印44は、例えば刻印、印刷又はシールの貼り付け等により、支持部材8の上面8aに設けられている。
【0046】
[1-3.印刷装置の使用方法]
次に、図6図8を参照しながら、印刷装置2の使用方法について説明する。図6は、支持部材8と第3の壁部24とで対象物12を挟持した状態での、実施の形態1に係るベース部6を示す上面図である。図7は、対象物12を支持部材8の上面8aに載置した状態での、実施の形態1に係るベース部6を示す上面図である。図8は、図7のVIII-VIII線要部断面図である。
【0047】
以下の説明では、印刷対象である対象物12は、例えば上面12a、下面12b及び側面12cを有する円柱形状であり、印刷面である上面12aに印刷が施されるものとする。
【0048】
まず、ユーザは、ベース部6を、筐体4の開口部14を通して手前側に筐体4の外部に引き出す。次に、ユーザは、支持部材8を、複数の第1のスリット30a~30qのうち任意の第1のスリット(例えば第1のスリット30k)に係合させ、且つ、複数の第2のスリット36a~36qのうち当該任意の第1のスリットに対向する第2のスリット(例えば第2のスリット36k)に係合させる。
【0049】
その後、図6に示すように、ユーザは、印刷対象である対象物12の上面12a(又は下面12b)が第3の壁部24の第3の側面24aに対向するように、対象物12を空間26に配置する。この状態から、ユーザは、支持部材8を引き出し位置から収納位置に向けてスライドさせることにより、支持部材8と第3の壁部24の第3の側面24aとで対象物12をその厚みD方向に挟持する。この時、ユーザは、支持部材8の上面8aに設けられた目印44が、第3の目盛り42の計17本の目盛り線のうちいずれを指し示しているかを確認する。図6に示す例では、目印44は、対象物12の厚みDに対応する、第3の目盛り42の番号「5」が割り当てられた目盛り線を指し示している。
【0050】
その後、ユーザは、対象物12をベース部6の空間26から取り出すとともに、支持部材8を引き出し位置に向けてスライドさせてベース部6から取り外す。ユーザは、ベース部6から取り外した支持部材8を、複数の第1のスリット30a~30qのうち、目印44により指し示された第3の目盛り42の番号「5」と同じ第1の目盛り34の番号「5」が割り当てられた第1のスリット30eに係合させ、且つ、複数の第2のスリット36a~36qのうち、目印44により指し示された第3の目盛り42の番号「5」と同じ第2の目盛り40の番号「5」が割り当てられた第2のスリット36eに係合させる。この状態から、ユーザは、支持部材8を引き出し位置から収納位置までスライドさせる。
【0051】
その後、図7に示すように、ユーザは、対象物12の上面12aが上向きになるように、対象物12を支持部材8の上面8aに載置させ、ベース部6を、開口部14を通して筐体4の内部に配置する。これにより、図8に示すように、対象物12の上面12aからヘッド部10までの距離G(以下、「プリントギャップ」という)を、最適な距離(例えば1mm~2mm)に調節することができる。
【0052】
なお、本実施の形態では、支持部材8と第3の壁部24の第3の側面24aとで対象物12を挟持したが、このステップを省略してもよい。この場合には、例えばユーザは、スマートフォン等の端末装置にインストールされた所定のアプリケーションを起動し、印刷対象となる対象物12に関する情報を入力する。これにより、端末装置には、複数の第1のスリット30a~30qのうちいずれの第1のスリットに支持部材8を係合させればよいかを示す番号(例えば「3」)が表示される。ユーザは、表示された番号と同じ第1の目盛り34及び第2の目盛り40の各番号にそれぞれ割り当てられた第1のスリット及び第2のスリット(例えば、第1のスリット30c及び第2のスリット36c)に支持部材8を係合させることにより、プリントギャップを最適な距離に調節することができる。
【0053】
[1-4.効果]
上述したように、本実施の形態では、支持部材8を、複数の第1のスリット30a~30qのうち任意の第1のスリットに係合させ、且つ、複数の第2のスリット36a~36qのうち当該任意の第1のスリットに対向する第2のスリットに係合させることにより、プリントギャップを調節することができる。その結果、様々な厚みDを有する対象物12に印刷を施す場合であっても、簡易な構成で、上下方向における対象物12の上面12aの高さ位置を精度良く調節することができる。
【0054】
(実施の形態2)
[2-1.ベース部の構成]
図9及び図10を参照しながら、実施の形態2に係るベース部6Aの構成について説明する。図9は、支持部材8と第3の壁部24とで対象物12を挟持した状態での、実施の形態2に係るベース部6Aを示す上面図である。図10は、対象物12を支持部材8の上面8aに載置させた状態での、実施の形態2に係るベース部6Aの第1の壁部20を示す側面図である。なお、以下に示す各実施の形態において、上記実施の形態1の構成要素と同一の構成要素には同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0055】
図9に示すように、実施の形態3に係るベース部6Aでは、第3の目盛り42Aの構成が上記実施の形態1と異なっている。具体的には、第3の目盛り42Aには、複数の目盛り線が前後方向に沿って1mm刻みで、0mm~50mmの範囲で刻まれた寸法目盛りが表示されている。第3の目盛り42Aは、支持部材8と第3の壁部24の第3の側面24aとで挟持された対象物12の厚みDを測定するための寸法目盛りである。なお、支持部材8が収納位置にある状態(すなわち、対象物12が支持部材8と第3の壁部24の第3の側面24aとで挟持されていない状態)では、支持部材8の上面8aに設けられた目印44は、第3の目盛り42Aの寸法「0mm」の目盛り線を指し示す。
【0056】
また、図10に示すように、実施の形態3に係るベース部6Aでは、第1の目盛り34Aの構成が上記実施の形態1と異なっている。具体的には、第1の目盛り34Aには、第3の目盛り42Aと同様に、複数の目盛り線が上下方向に沿って1mm刻みで、0mm~50mmの範囲で刻まれた寸法目盛りが表示されている。
【0057】
また、図示しないが、実施の形態3に係るベース部6Aでは、第2の目盛りの構成が上記実施の形態1と異なっている。具体的には、第2の目盛りには、第3の目盛り42Aと同様に、複数の目盛り線が上下方向に沿って1mm刻みで、0mm~50mmの範囲で刻まれた寸法目盛りが表示されている。
【0058】
[2-2.印刷装置の使用方法]
次に、図9及び図10を参照しながら、実施の形態2に係る印刷装置の使用方法について説明する。
【0059】
上記実施の形態1と同様に、ユーザは、支持部材8を引き出し位置から収納位置に向けてスライドさせることにより、支持部材8と第3の壁部24の第3の側面24aとで対象物12をその厚みD方向に挟持する。この時、本実施の形態では、ユーザは、支持部材8の上面8aに設けられた目印44が、第3の目盛り42Aの「0mm」~「50mm」のうちいずれの寸法の目盛り線を指し示しているかを確認する。図9に示す例では、目印44は、第3の目盛り42の寸法「10mm(1cm)」の目盛り線を指し示している。これは、対象物12の厚みDが10mmであることを示している。
【0060】
その後、上記実施の形態1と同様に、ユーザは、対象物12をベース部6Aの空間26から取り出すとともに、支持部材8を引き出し位置に向けてスライドさせてベース部6Aから取り外す。次に、本実施の形態では、ユーザは、ベース部6Aから取り外した支持部材8を、複数の第1のスリット30a~30qのうち第3の目盛り42の寸法「10mm」と同じ第1の目盛り34Aの寸法「10mm」に対応する第1のスリット30dに係合させ、且つ、複数の第2のスリット36a~36qのうち第3の目盛り42の寸法「10mm」と同じ第2の目盛りの寸法「10mm」に対応する第2のスリット36d(図5参照)に係合させ、引き出し位置から収納位置までスライドさせる。
【0061】
[2-3.効果]
本実施の形態においても、上記実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
【0062】
(実施の形態3)
[3-1.ベース部の構成]
図11及び図12を参照しながら、実施の形態3に係るベース部6Bの構成について説明する。図11は、実施の形態3に係るベース部6Bを示す上面図である。図12は、実施の形態3に係るベース部6Bの第1の壁部20を示す側面図である。
【0063】
図11の(a)及び(b)並びに図12に示すように、実施の形態3に係るベース部6Bでは、第1の目盛り34Bの構成が上記実施の形態1と異なっている。具体的には、第1の目盛り34Bは、複数の第1のスリット30a~30qの各々の開口部28側における端部に設けられている。
【0064】
例えば、第1のスリット30aを構成する一対の突条32のうち、上側の突条32よりも開口部28側に突出した下側の突条32の上面には、第1の目盛り34Bの番号「1」が設けられている。同様に、第1のスリット30c,30e,30g,30i,30k,30m,30o,30qの各々を構成する一対の突条32のうち、上側の突条32よりも開口部28側に突出した下側の突条32の上面にはそれぞれ、第1の目盛り34Bの番号「3」、「5」、「7」、「9」、「11」、「13」、「15」及び「17」が設けられている。これにより、図11の(b)に示すように、ベース部6Aを上面視した場合に、第1の目盛り34Bの各番号が見えるようになる。
【0065】
また、図11の(a)及び(b)に示すように、実施の形態3に係るベース部6Bでは、第2の目盛り40Bの構成が上記実施の形態1と異なっている。具体的には、第2の目盛り40Bは、第1の目盛り34Bと同様に、複数の第2のスリット36a~36qの各々の開口部28側における端部に設けられている。
【0066】
例えば、第2のスリット36aを構成する一対の突条38(図5参照)のうち、上側の突条38よりも開口部28側に突出した下側の突条38の上面には、第2の目盛り40Bの番号「1」が設けられている。同様に、第2のスリット36c,36e,36g,36i,36k,36m,36o,36qの各々を構成する一対の突条38のうち、上側の突条38よりも開口部28側に突出した下側の突条38の上面にはそれぞれ、第2の目盛り40Bの番号「3」、「5」、「7」、「9」、「11」、「13」、「15」及び「17」が設けられている。これにより、図11の(c)に示すように、ベース部6Bを上面視した場合に、第2の目盛り40Bの各番号が見えるようになる。
【0067】
[3-2.効果]
本実施の形態においても、上記実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
【0068】
(変形例)
以上、本発明の実施の形態1~3に係る印刷装置について説明したが、本発明は、これらの上記各実施の形態に限定されるものではない。例えば、上記各実施の形態をそれぞれ組み合わせてもよい。
【0069】
上記各実施の形態では、第1の目盛り34(34A)及び第3の目盛り42(42A)には番号が表示されるように構成したが、これに限定されず、例えば文字、記号、図形又は色等が表示されるように構成してもよい。
【0070】
上記各実施の形態では、複数の係合部を複数の第1のスリット30a~30q及び第2のスリット36a~36qで構成したが、このようなスリットに代えて、例えば前後方向に間隔を置いて配置された複数の突起で構成してもよい。
【0071】
上記各実施の形態では、対象物12が食品である場合について説明したが、これに限定されず、例えばプラモデル(登録商標)と呼ばれる組み立て模型における、組み立て対象となるパーツであってもよい。この場合には、支持部材は、対象物である複数のパーツを支持するランナー(枠体)を構成する。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明に係る印刷装置は、例えばクッキー又は食パン等の食品に印刷を施すためのフードプリンタとして適用することができる。
【符号の説明】
【0073】
2 印刷装置
4 筐体
4a 前面
4b 天面
6,6A,6B ベース部
8 支持部材
8a,12a,20b 上面
10 ヘッド部
12 対象物
12b 下面
12c 側面
14,28 開口部
16 スイッチユニット
18 基台部
20 第1の壁部
20a 第1の側面
22 第2の壁部
22a 第2の側面
24 第3の壁部
24a 第3の側面
26 空間
30a,30b,30c,30d,30e,30f,30g,30h,30i,30j,30k,30l,30m,30n,30o,30p,30q 第1のスリット
32,38 突条
34,34A,34B 第1の目盛り
36a,36b,36c,36d,36e,36f,36g,36h,36i,36j,36k,36l,36m,36n,36o,36p,36q 第2のスリット
40,40B 第2の目盛り
42,42A 第3の目盛り
44 目印
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12