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  • 特許-画像形成装置及びフラッシング制御方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-08
(45)【発行日】2024-05-16
(54)【発明の名称】画像形成装置及びフラッシング制御方法
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/165 20060101AFI20240509BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20240509BHJP
   B41J 2/21 20060101ALI20240509BHJP
【FI】
B41J2/165 209
B41J2/01 451
B41J2/21
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020085882
(22)【出願日】2020-05-15
(65)【公開番号】P2021178487
(43)【公開日】2021-11-18
【審査請求日】2023-04-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003443
【氏名又は名称】弁理士法人TNKアジア国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100129997
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 米藏
(72)【発明者】
【氏名】小辻 拓矢
(72)【発明者】
【氏名】横田 洋志
(72)【発明者】
【氏名】田中 敏彦
(72)【発明者】
【氏名】里見 星輝
【審査官】佐藤 孝幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-205475(JP,A)
【文献】特開2015-116718(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0076813(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/165
B41J 2/01
B41J 2/21
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体に対して複数の異なる色のインクを吐出して文字や画像を形成する記録ヘッドと、
前記記録ヘッドに対して、前記インクを強制吐出させるフラッシングを実行させる制御部と、
複数の異なる前記フラッシング用のドットパターンを記憶する記憶部と、
前記記録ヘッドにより前記記録媒体に形成される前記画像の領域を検出する画像領域検出部と、
前記制御部による制御で前記画像の領域に対して前記ドットパターンに従って前記インクが強制吐出された場合における、当該画像の領域に吐出される当該ドットパターンのドットの数である重なりドット数を前記複数のドットパターンそれぞれについてカウントする重なりドットカウント部と、
前記重なりドット数に応じて、前記複数の異なる色の各色のフラッシング時に用いるドットパターンを決定するドットパターン決定部と、
を備え
前記ドットパターン決定部は、前記重なりドット数が最も少ないドットパターンを、前記記録ヘッドが吐出する複数の異なる色のうち最も明度の低い色のインクのフラッシング時に用いるドットパターンとして決定する画像形成装置。
【請求項2】
前記ドットパターン決定部は、前記重なりドット数が二番目に少ないドットパターンを、前記画像の領域に最も使用されている色の反対色に相当する色のインクのフラッシング時に用いるドットパターンとして決定する請求項に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記ドットパターン決定部は、前記重なりドット数が最も多いドットパターンを、前記画像の領域に最も使用されている色と同系色のインクのフラッシング時に用いるドットパターンとして決定する請求項1又は請求項に記載の画像形成装置。
【請求項4】
記録媒体に対して複数の異なる色のインクを吐出して文字や画像を形成する記録ヘッドと、
前記記録ヘッドに対して、前記インクを強制吐出させるフラッシングを実行させる制御部と、
複数の異なる前記フラッシング用のドットパターンを記憶する記憶部と、
前記記録ヘッドにより前記記録媒体に形成される前記画像の領域を検出する画像領域検出部と、
前記制御部による制御で前記画像の領域に対して前記ドットパターンに従って前記インクが強制吐出された場合における、当該画像の領域に吐出される当該ドットパターンのドットの数である重なりドット数を前記複数のドットパターンそれぞれについてカウントする重なりドットカウント部と、
前記重なりドット数に応じて、前記複数の異なる色の各色のフラッシング時に用いるドットパターンを決定するドットパターン決定部と、を備え、
前記ドットパターン決定部は、前記重なりドット数が最も多いドットパターンを、前記画像の領域に最も使用されている色と同系色のインクのフラッシング時に用いるドットパターンとして決定する画像形成装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記ドットパターン決定部が前記重なりドット数の最も多いドットパターンを割り当てたインクの強制吐出回数を本来の回数よりも予め定められた回数だけ少なくしてフラッシングを実行させる請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記画像の領域に最も使用されている色についての前記記録ヘッドによるインク吐出を、本来の吐出回数よりも上記重なりドット数分だけ少なくする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項7】
記録媒体に対して複数の異なる色のインクを吐出して文字や画像を印刷する記録ヘッドと、
前記記録ヘッドに対して、前記インクを強制吐出させるフラッシングを実行させる制御部と、
複数の異なる前記フラッシング用のドットパターンを記憶する記憶部と、
を備えた画像形成装置のフラッシング制御方法であって、
前記記録ヘッドにより前記記録媒体に形成される前記画像の領域を検出する画像領域検出ステップと、
前記制御部による制御で前記画像の領域に前記ドットパターンに従って前記インクが強制吐出された場合、当該画像の領域に吐出される当該ドットパターンのドットの数である重なりドット数を前記複数のドットパターンそれぞれについてカウントする重なりドットカウントステップと、
前記重なりドット数に応じて、前記複数の異なる色の各色のフラッシング時に使用するドットパターンを決定するドットパターン決定ステップと、を含み、
前記ドットパターン決定ステップでは、前記重なりドット数が最も少ないドットパターンを、前記記録ヘッドが吐出する複数の異なる色のうち最も明度の低い色のインクのフラッシング時に用いるドットパターンとして決定する、フラッシング制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクを吐出して用紙に印刷を行う画像形成装置及びフラッシング制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
インクを吐出して印刷を行うインクジェット方式の画像形成装置において、インクが乾燥等の理由でノズルの吐出口で固まる(インク詰まり)と、インクが正常に吐出されず画像が正しく印刷されないおそれがあった。そこで、印刷時に記録ヘッドに対して当該画像とは関係ないインク吐出を強制的に行わせるフラッシングを実行させることで、インク詰まりを防ぐ方法が一般的に用いられている。
【0003】
特許文献1には、ノズルの稼働状態に応じてインク液面であるメニスカスを微振動させることによってインク粘度の増大を防止し、インク滴の飛翔の安定化を図ることを目的とした技術が記載されている。
【0004】
特許文献2には、後から着弾したインクの滲みを抑制することができる処理液を記録媒体に塗布することで、フラッシングによって形成されるドットが目立たないようにする技術について記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】2000-037867号公報
【文献】2011-046068号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1は、フラッシングドットが画像の上に形成されることによって画質が低下することについての対策は記載されていない。また、特許文献2に記載の技術の場合、処理液を用いない画像形成装置については適応できない。
【0007】
本発明は、フラッシングドットによる画質低下を低減する画像形成装置及びフラッシング制御方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明における画像形成装置は、記録媒体に対して複数の異なる色のインクを吐出して文字や画像を形成する記録ヘッドと、前記記録ヘッドに対して、前記インクを強制吐出させるフラッシングを実行させる制御部と、複数の異なる前記フラッシング用のドットパターンを記憶する記憶部と、前記記録ヘッドにより前記記録媒体に形成される前記画像の領域を検出する画像領域検出部と、前記制御部による制御で前記画像の領域に対して前記ドットパターンに従って前記インクが強制吐出された場合における、当該画像の領域に吐出される当該ドットパターンのドットの数である重なりドット数を前記複数のドットパターンそれぞれについてカウントする重なりドットカウント部と、前記重なりドット数に応じて、前記複数の異なる色の各色のフラッシング時に用いるドットパターンを決定するドットパターン決定部と、を備える。
【0009】
また、本発明におけるフラッシング制御方法は、記録媒体に対して複数の異なる色のインクを吐出して文字や画像を印刷する記録ヘッドと、前記記録ヘッドに対して、前記インクを強制吐出させるフラッシングを実行させる制御部と、複数の異なる前記フラッシング用のドットパターンを記憶する記憶部と、を備えた画像形成装置のフラッシング制御方法であって、前記記録ヘッドにより前記記録媒体に形成される前記画像の領域を検出する画像領域検出ステップと、前記制御部による制御で前記画像の領域に前記ドットパターンに従って前記インクが強制吐出された場合、当該画像の領域に吐出される当該ドットパターンのドットの数である重なりドット数を前記複数のドットパターンそれぞれについてカウントする重なりドットカウントステップと、前記重なりドット数に応じて、前記複数の異なる色の各色のフラッシング時に使用するドットパターンを決定するドットパターン決定ステップと、を含む。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、各色のフラッシングに使用するドットパターンを固定にせず、画像の領域における重なりドット数に応じて各色のドットパターンを選択することで、印刷された画像に吐出されるフラッシングドットによる滲みを少なくすることができる。
【0011】
例えば、重なりドット数の最も少ないパターンを、最も明度の低いインク、すなわち黒のインクのフラッシングパターンとすることで、画像の上に強制吐出される黒のインクのフラッシングドットが少なくなるため、黒のインクの滲みによる画質低下を低減することができる。更に、二番目に重なりドット数が少ないパターンを、画像に多く使われている色の反対色とすることで、上記と同様に滲みによる画質低下を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】画像形成装置を示した正面断面図である。
図2】画像形成装置の主要内部構成を示す機能ブロック図である。
図3】ドットパターン記憶部が記憶するドットパターンの一例を示した図である。
図4】全てのドットパターンを重ね合わせたときの図である。
図5】ドットパターン制御処理の流れを説明するためのフローチャートである。
図6】画像の一例を示した図である。
図7】画像領域の範囲について示した図である。
図8】画像に全てのドットパターンを重ね合わせたときの図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態に係る画像形成装置及びフラッシング制御方法について図面を参照して説明する。図1は、本発明の第一の実施の形態における画像形成装置を示した正面断面図である。画像形成装置1は、コピー機、プリンターまたはファクシミリ機等の単一の機能を持つ画像形成装置、もしくはコピー機能、プリンター機能、スキャナー機能及びファクシミリ機能等の複数の機能を備えた複合機であってもよい。
【0014】
画像形成装置1は、装置本体11に、操作部4、画像読取部5、画像形成部12及び給紙トレイ14等を備える。操作部4は、例えばメニューを呼び出すメニューキー、各種動作や設定の確定操作を行う決定キー、スタートキー等を備えている。表示部41は、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)や有機EL(OLED:Organic Light-Emitting Diode)ディスプレイ等であり、ユーザーに対してメッセージや操作画面等を表示する。
【0015】
画像形成装置1が原稿読取動作を行う場合、画像読取部5がプラテンガラス161に載置された原稿の画像を例えば光学的に読み取り、画像データを取得する。画像読取部5は、光照射部及びCCD(Charge Coupled Device)センサー等を有する読取部163を有する。
【0016】
画像形成装置1が印刷動作を行う場合、画像読取部5が取得した画像データや外部装置から送信された画像データ等に基づいて、画像形成部12が給紙トレイ14から給紙される用紙Pにインクを吐出して印刷を行う。給紙トレイ14の上方には、給紙ローラー141が設けられており、給紙ローラー141によって給紙トレイ14に収容された用紙Pが搬送路191に向けて搬送される。
【0017】
画像形成部12は、用紙Pに画像や文字を印刷するものであり、駆動ローラー125A、従動ローラー125B、吸着ローラー126、テンションローラー127、搬送ベルト128、記録ヘッド121及びインクタンク122等を備える。
【0018】
搬送ベルト128は、無端状のベルトであり、駆動ローラー125A、従動ローラー125B及びテンションローラー127に架け渡されている。駆動ローラー125Aは、モーター(不図示)により反時計回りに回転駆動されるローラーであり、駆動ローラー125Aが回転駆動されることで、搬送ベルト128が反時計回り(図中矢印の方向)に走行すると共に、従動ローラー125B及びテンションローラー127が反時計回りに従動的に回転する。
【0019】
テンションローラー127は、搬送ベルト128のテンション状態を保つローラーであり、吸着ローラー126は、搬送ベルト128を帯電させることで用紙Pを搬送ベルト128に静電的に吸着させるものである。
【0020】
記録ヘッド121は、異なる4色(黒、シアン、マゼンタ及びイエロー)のインク滴を用紙Pに向かって吐出することで画像や文字を形成する。インクタンク122には、各色のインクが充填されている。印刷が施された用紙Pは、排出路192に搬送され、排出トレイ151に排出される。
【0021】
図2は、画像形成装置1の主要内部構成を示す機能ブロック図である。尚、図1を用いて説明した構成要素については同じ符号を付し、説明を省略する。画像形成装置1は、制御ユニット100、操作部4、画像読取部5、画像形成部12及び記憶部7を備える。
【0022】
制御ユニット100は、プロセッサー、RAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)等から構成される。プロセッサーは、CPU(Central Processing Unit)、MPU、又はASIC等である。この制御ユニット100は、プロセッサーがROM等に記憶された制御プログラムを実行することにより、制御部91、画像領域検出部92、重なりドットカウント部93及びドットパターン決定部94として機能する。尚、制御ユニット100の上記各部は、制御プログラムに基づく動作によらず、それぞれハード回路により構成されてもよい。
【0023】
制御部91は、画像形成装置1の全体的な動作制御を司ると共に、記録ヘッド121に対してフラッシングの制御を行う。画像領域検出部92は、画像形成部12が印刷する画像データの中から写真やイラスト、図等である画像の領域(画像領域)の範囲を検出する。
【0024】
重なりドットカウント部93は、画像領域検出部92が検出した画像領域と、インクのフラッシングに用いるドットパターンを重ね合わせたときに、画像領域と重なるドットの数である重なりドット数をカウントする。
【0025】
ドットパターン決定部94は、重なりドットカウント部93がカウントした重なりドット数に基づいて、各色のインクのフラッシング用ドットパターンを決定する。
【0026】
記憶部7は、画像形成装置1の動作に必要なデータやプログラムを記憶するものであり、ドットパターン記憶部71を有する。
【0027】
図3は、ドットパターン記憶部71が記憶するドットパターンの一例を示した図である。本実施の形態では、ドットパターン記憶部71が4つの異なる種類のドットパターン71a、71b、71c及び71dを記憶するものとして説明する。
【0028】
ドットパターン71a、71b、71c及び71dは、ドットが均一に配置されており、ドットパターン71a、71b、71c及び71dのドットは互いに重なり合うことはない。図4は、ドットパターン71a、71b、71c及び71dを重ね合わせたときの図、つまり、実際に画像形成部12がフラッシングを行ったときに吐出されるインク滴の位置を示した図である。
【0029】
次に、ドットパターン制御処理の流れを説明する。図5は、ドットパターン制御処理の流れを示すフローチャートである。図6は、画像の一例を示した図である。図7は、画像領域検出部92が抽出する画像領域の範囲について示した図である。図8は、画像81にドットパターン71a、71b、71c及び71dを重ね合わせたときの図である。
【0030】
まず、画像領域検出部92は、画像形成部12が印刷する画像データの中から画像領域の範囲を検出する。(S11)。例えば図6に示す画像81の場合、画像領域検出部92は、バナナの画像領域を抽出し、抽出した画像領域の範囲(座標等)を取得する。画像領域検出部92は、図7に示すように、太線で示した画像領域810の範囲を抽出する。
【0031】
そして、重なりドットカウント部93は、画像領域810にドットパターン71a、71b、71c及び71dを重ね合わせた場合に、画像領域810と重なることになるドットの数(重なりドット数)をカウントする(S12)。図8に例を示すように、重なりドットカウント部93は、画像領域810と重なっているドットの数をパターン毎にカウントする。
【0032】
図8の場合、画像領域810との重なりドット数は、ドットパターン71aのドットが2個、ドットパターン71bのドットが4個、ドットパターン71cのドットが6個、ドットパターン71dのドットが0個である。
【0033】
そして、ドットパターン決定部94は、最も重なりドット数の少ないパターンを記録ヘッド121が有する色のうち最も明度の低い色のインクのフラッシングパターンとする(S13)。つまり、ドットパターン決定部94は、最も重なりドット数の少ないドットパターン71dを黒のフラッシングパターンとする。これにより、画像領域810に形成される黒のフラッシングドットを少なくすることができ、滲み等による画質低下を低減することができる。
【0034】
そして、ドットパターン決定部94は、重なりドット数が二番目に少ないドットパターンを、画像領域810内で最も使用されている色の反対色に相当する色を、ステップS13で決定された黒を除いた三色の中から選択し、その色のインクのフラッシングパターンとする(S14)。
【0035】
反対色とは、色相環で反対に位置する色のことである。本実施の形態の場合、イエロー及びマゼンタの反対色はシアン、シアンの反対色はマゼンタとする。図8の場合、画像領域810内で最も使われている色をイエローとした場合、イエローの画像の上にシアンのフラッシングドットが形成されると、滲み等が目立ってしまい、画質低下に繋がってしまう。
【0036】
そこで、ドットパターン決定部94は、その反対色であるシアンのフラッシングパターンを2番目に重なりドット数の少ないドットパターン71aとする。
【0037】
更に、ドットパターン決定部94は、重なりドット数が最も多いドットパターンを、画像領域検出部92が検出した画像に最も使用されている色と同系の色をステップS13及びステップS14で決定された黒及びシアンを除いた二色の中から選択し、その色のインクのフラッシングパターンとする(S15)。
【0038】
同系色とは、色相環で隣り合う色や近い位置にある色のことである。図8の場合、画像領域810内で最も使われている色がイエローであるため、ドットパターン決定部94は同系色であるイエローのフラッシングパターンをドットパターン71cとする。
【0039】
続いて、ドットパターン決定部94は、色が決まっていないドットパターンを残った色のフラッシングパターンとする(S16)。上記では、黒がドットパターン71d、シアンがドットパターン71a、イエローがドットパターン71cであるため、マゼンタのフラッシングパターンをドットパターン71bとする。
【0040】
そして、制御部91は、重なりドット数の最も多いドットパターン割り当てられたインクの吐出の回数を調整する(S17)。例えば、上記では、重なりドット数の最も多いドットパターンであるドットパターン71cに割り当てられたインクはイエローである。画像領域810ではイエローが多く用いられていることから、印刷時のイエローの吐出回数は多くなるため、フラッシングによる強制吐出の回数が減っても、ノズルの吐出口でインク詰まりが発生する可能性は低くなる。或いは、フラッシングによる強制吐出でイエローのインクを吐出するため、画像領域810で用いるイエローのインクの吐出量を、強制吐出でのインク吐出量分だけ減らしても、形成する画像に与える影響は少ない。
【0041】
そこで、制御部91は、ドットパターン決定部94が重なりドット数の最も多いドットパターン割り当てたインクの強制吐出回数を本来の回数よりも予め定められた回数だけ少なくしてフラッシングを実行させる。又は、制御部91は、上記画像領域に最も使用されている色についての画像形成部12によるインク吐出を、本来の吐出回数よりも上記重なりドット数分だけ少なくする。これにより、インクの消費量を極力減らす。
【0042】
例えば、制御部91は、S17において、(1)画像領域810におけるイエローの強制吐出を行わず、イエローの強制吐出回数を本来の強制吐出回数よりも上記重なりドット数分だけ少なくする、或いは、(2) 画像領域810におけるイエローの吐出を、イエローの強制吐出と重なるドットについては行わず、画像領域810におけるイエローの吐出量を、本来の吐出回数よりも上記重なりドット数分だけ少なくする、という調整を行う。
【0043】
以上、説明したように、画像領域810に対する重なりドット回数が最も少ないパターンを、最も明度の低いインク、すなわち黒のインクのフラッシングパターンとすることで、画像の上に強制吐出された黒のインクの滲みによる画質低下を低減することができる。更に、二番目に重なりドット回数が少ないパターンを、画像領域810に使われている色の反対色とすることで、上記と同様に滲みによる画質低下を低減することができる。
【0044】
更に、重なりドット回数が最も多いパターンを、画像領域810に最も使われている色とすることで強制吐出によるドットが目立ちにくくなり、更に、その色のインクの強制吐出の回数を減らすことで、インクの消費量を少しでも減らすことができる。
【符号の説明】
【0045】
1 画像形成装置
12 画像形成部
4 操作部
41 表示部
5 画像読取部
7 記憶部
71 ドットパターン記憶部
100 制御ユニット
91 制御部
92 画像領域検出部
93 重なりドットカウント部
94 ドットパターン決定部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8