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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-08
(45)【発行日】2024-05-16
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/12 20060101AFI20240509BHJP
   G03G 21/16 20060101ALI20240509BHJP
【FI】
G03G21/12
G03G21/16 119
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020090819
(22)【出願日】2020-05-25
(65)【公開番号】P2021189203
(43)【公開日】2021-12-13
【審査請求日】2023-04-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100167302
【弁理士】
【氏名又は名称】種村 一幸
(74)【代理人】
【識別番号】100135817
【弁理士】
【氏名又は名称】華山 浩伸
(74)【代理人】
【識別番号】100141298
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 文典
(74)【代理人】
【識別番号】100187492
【弁理士】
【氏名又は名称】新保 元啓
(72)【発明者】
【氏名】安藤 賢志
【審査官】藏田 敦之
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-246341(JP,A)
【文献】特開2005-208661(JP,A)
【文献】特開2008-134395(JP,A)
【文献】特開2011-085757(JP,A)
【文献】特開平06-317955(JP,A)
【文献】特開2004-054097(JP,A)
【文献】特開2015-225109(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/12
G03G 21/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部を介して装置本体に着脱可能に装着され、トナーにより画像を形成する画像形成部から排出される廃トナーを回収する廃トナー容器と、前記開口部の端縁部に、所定方向に延びる軸線回りに回動可能に支持され、該軸線回りに回動することで、前記開口部を閉塞する閉位置と該開口部を開放する開放位置との間で移動可能な開閉カバーと、
前記開閉カバーと前記装置本体との間に介在し、前記廃トナー容器が前記装置本体に装着されていない状態で、前記開閉カバーが前記閉位置に移動した場合に、該開閉カバーを前記開放位置側に駆動する開放駆動部と、を備えた画像形成装置であって、
前記廃トナー容器は被係合部を有しており、
前記開閉カバーは、前記被係合部に係合可能な係合部を有していて、前記装置本体に前記廃トナー容器が装着されている場合には、前記閉位置において前記係合部と前記廃トナー容器の前記被係合部とが係合することで前記閉位置に保持されるように構成されており、
前記軸線は、上下方向に延びており、
前記開閉カバーは、前記閉位置では所定の上昇位置に位置し、上記開放位置では所定の下降位置に位置するように、上記軸線に沿って上下方向に移動可能になるように上記端縁部に支持され、
前記開放駆動部は、前記開閉カバーが前記閉位置にある状態で水平方向の開閉カバー側から装置本体側に向かって上側に傾斜するように該開閉カバーに設けられたカバー側傾斜面と、前記開閉カバーが前記閉位置にある状態で前記カバー側傾斜面に対向して当接するように前記装置本体に設けられた本体側傾斜面とを有し、前記廃トナー容器が前記装置本体に装着されていない状態で、前記開閉カバーが前記閉位置に移動した場合には、該開閉カバーの自重により前記カバー側傾斜面が前記本体側傾斜面に沿って斜め下側に滑り落ちることで、前記開閉カバーを前記開放位置側に駆動するように構成されている、画像形成装置。
【請求項2】
請求項1記載の画像形成装置において、
前記カバー側傾斜面は、前記開閉カバーを前記開放位置から前記閉位置に移動させる過程で、前記本体側傾斜面に摺接しながら該本体側傾斜面に沿って上昇することで、前記開閉カバーの前記係合部を、前記装置本体に装着された前記廃トナー容器の前記被係合部に向けてガイドするように構成されている、画像形成装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の画像形成装置において、
前記画像形成部に供給する用紙が収容される給紙カセットを備え、
前記給紙カセットは、前記画像形成部に用紙を供給可能な装着位置から前記装置本体の外側に引出し可能に構成され、
前記開閉カバーの外側面は、該開閉カバーが閉位置にある状態で、前記装着位置にある前記給紙カセットの引出し方向の手前側面に連続的に繋がって前記装置本体の外装面の一部を構成するように形成されている、画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、開口部を介して装置本体に着脱可能に装着され、トナーにより画像を形成する画像形成部から排出される廃トナーを回収する廃トナー容器を備えた画像形成装置が知られている。廃トナー容器は、例えば特許文献1に示すように、画像形成装置本体の側面に形成された開口部を通じて着脱される。開口部の端縁部には、上下方向に延びる軸線回りに回動可能な開閉カバーが取付けられている。開閉カバーは、開口部を閉塞する閉位置と該開口部を開放する開放位置との間で移動可能になっている。ユーザーは、開閉カバーを開くことで、前記装置本体に装着された廃トナー容器にアクセスしてその交換作業を行えるようになっている。前記開閉カバーにはフック部が設けられており、フック部は、該開閉カバーを閉位置に移動させたときに装置本体側に設けられた係止部に係止される。
【0003】
この種の画像形成装置として、装置本体に装着された廃トナー容器を検知するための検知センサーを備え、この検知センサーにより廃トナー容器が検知されない場合に、画像形成装置の操作パネルの表示部にエラー表示を行う装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2014-215370号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、従来の画像形成装置では、装置本体に廃トナー容器が装着されているか否かに拘わらず、開閉カバーを閉じると(閉位置に移動させると)、開閉カバーのフック部が装置本体に形成された係止部に係止される。フック部が係止部に係止されると、ユーザーが意図しない限り、開閉カバーが開くことはない。このため、廃トナー容器を装置本体に装着し忘れた場合に、表示部のエラー表示だけが廃トナー容器の装着忘れに気付く唯一の手段となる。このため、例えばユーザーが廃トナー容器を装着し忘れたまま、画像形成装置から離れて自身の操作端末に戻って画像形成装置に印刷指令を行う場合に、ユーザーは表示部のエラー表示を視認することができないので、廃トナー容器の未装着状態が放置されることとなる。
【0006】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ユーザーが、装置本体への廃トナー容器の装着忘れに容易に気付くことができる画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る画像形成装置は、開口部を介して装置本体に着脱可能に装着され、トナーにより画像を形成する画像形成部から排出される廃トナーを回収する廃トナー容器と、前記開口部の端縁部に、所定方向に延びる軸線回りに回動可能に支持され、該軸線回りに回動することで、前記開口部を閉塞する閉位置と該開口部を開放する開放位置との間で移動可能な開閉カバーと、を備えている。
そして、前記廃トナー容器は被係合部を有しており、前記開閉カバーは、前記被係合部に係合可能な係合部を有していて、前記装置本体に前記廃トナー容器が装着されている場合には、前記閉位置において前記係合部と前記廃トナー容器の前記被係合部とが係合することで前記閉位置に保持されるように構成されている。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ユーザーが、装置本体への廃トナー容器の装着忘れに容易に気付くことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施形態における画像形成装置の内部構造を示す概略図である。
図2図2は、画像形成装置を前側から見た正面図であって、開閉カバーが閉位置にある状態を示す図である。
図3図3は、画像形成装置を前側から見た正面図であって、開閉カバーが開放位置にある状態を示す図である。
図4図4は、廃トナー容器を示す側面図である。
図5図5は、開閉カバーを示す前側から見た正面図である。
図6図6は、開閉カバーを開放位置に位置させた状態で、廃トナー容器が装着された装着空間を前側から見た正面図である。
図7図7は、廃トナー容器が装着された状態における図2のVII―VII線断面図である。
図8図8は、開閉カバーを開放位置に位置させた状態で、装置本体における廃トナー容器が装着された部分を右側から見た側面図である。
図9図9は、開閉カバーを閉位置に位置させた状態で、装置本体における廃トナー容器が装着された部分を右側から見た側面図である。
図10図10は、開放駆動部である開閉カバー側の傾斜面及び装置本体側の傾斜面の作用を説明するための説明図である。
図11図11は、変形例を示す図9相当図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではない。
【0011】
《実施形態》
[全体構成]
図1は、本実施形態における画像形成装置1を示す概略図である。尚、以下の説明において、特に断らない限り、前側、後側は、画像形成装置1の前側、後側(図1の左側、右側)を意味し、左側、右側は、画像形成装置1を前側から見たときの左側、右側を意味するものとする。
【0012】
画像形成装置1は、図1に示すように、箱状の装置本体2と、手差し給紙部6と、カセット給紙部7と、画像形成部8と、定着部9と、排紙部10とを備えている。装置本体2の上面における前方右側の隅部には、ユーザーが画像形成装置1に対して各種設定や指令を行うための操作パネル100が設けられている。操作パネル100は、ユーザーが指で操作可能なプッシュボタンやテンキー等の操作部(図示省略)と、各種情報を表示する表示部101とを有している。ユーザーは、この操作部を操作するか又は画像形成装置1にLAN接続された外部端末を操作することにより画像形成装置1に画像データの印刷指令を行うことができる。
【0013】
画像形成装置1は、操作パネル100又は外部端末から印刷指令を受信した場合には、装置本体2内の搬送路Lに沿って用紙を搬送しながら、画像データに基づいて用紙に画像を形成するように構成されている。
【0014】
手差し給紙部6は、装置本体2の1つの側部に開閉可能に設けられた手差しトレイ4と、装置本体2の内部に回転可能に設けられた手差し用の給紙ローラー5とを有している。
【0015】
カセット給紙部7は、装置本体2の底部に設けられている。カセット給紙部7は、互いに重ねられた複数の用紙を収容する給紙カセット11と、給紙カセット11内の用紙を1枚ずつ取り出すピックローラ12と、取り出された用紙を1枚ずつ分離して搬送路Lへと送り出すフィードローラ13及びリタードローラ14とを備えている。給紙カセット11は、前後方向に長い偏平な矩形箱状に形成されていて上側全体が開放している。給紙カセット11は、画像形成部8に用紙を供給可能な装着位置(図1の位置)から装置本体2の前側(外側の一例)に引出し可能に構成されている。給紙カセット11の前側壁には樹脂製の化粧カバー11aが固定されている。ユーザーは、この化粧カバー11aの下端に指を掛けて、給紙カセット11を化粧カバー11aと共に前側に引出すことで、給紙カセット11内に用紙をセットすることできる。
【0016】
画像形成部8は、装置本体2内におけるカセット給紙部7の上方に設けられている。画像形成部8は、装置本体2内に回転可能に設けられた像担持体である感光体ドラム16を備えている。感光体ドラム16の周囲には、12時の位置を基準として、帯電器17と現像部18と転写ローラー19とクリーニング部20とが反時計回り方向にこの順に配置されている。感光体ドラム16の上側には、光走査装置30と、トナーコンテナ21とが設けられている。そして、画像形成部8は、手差し給紙部6又はカセット給紙部7から供給された用紙に画像を形成するようになっている。尚、搬送路Lには、送り出された用紙を、一時的に待機させた後に所定のタイミングで画像形成部8に供給する一対のレジストローラ15が設けられている。
【0017】
定着部9は、画像形成部8の側方に配置されている。定着部9は、互いに圧接されて回転する定着ローラー22及び加圧ローラー23を備えている。そうして、定着部9は、画像形成部8で用紙に転写されたトナー像を当該用紙に定着させるように構成されている。
【0018】
排紙部10は、定着部9の上方に設けられている。排紙部10は、排紙トレイ3と、排紙トレイ3へ用紙を搬送するための排紙ローラー対24と、排紙ローラー対24へ用紙を案内する複数の搬送ガイドリブ25とを備えている。排紙トレイ3は、装置本体2の上部に凹状に形成されている。
【0019】
画像形成装置1が画像データを受信すると、画像形成部8において、感光体ドラム16が回転駆動されると共に、帯電器17が感光体ドラム16の表面を帯電させる。そして、画像データに基づいて、レーザ光が光走査装置30から感光体ドラム16へ出射される。感光体ドラム16の表面には、レーザ光が照射されることによって静電潜像が形成される。感光体ドラム16の表面に形成された静電潜像は、現像部18で現像されることにより、トナー像として可視像となる。現像後に感光体ドラム16上に残ったトナーはクリーニング部20の摺動ローラー20aにより除去されてクリーニングケース内に回収される。回収されたトナーは、廃トナーとして不図示のトナー搬送管により廃トナー容器40へと搬送される。
【0020】
一方、感光体ドラム16の表面に形成された前記トナー像は、用紙が、転写ローラー19と感光体ドラム16との間を通過する際に、転写ローラー19に印可されるトナーと逆極性の転写バイアスにより転写ローラー19側に移動して用紙に転写される。トナー像が転写された用紙は、定着部9において定着ローラー22と加圧ローラー23とにより加熱及び加圧される。その結果、トナー像が用紙に定着する。
[廃トナー容器の収容構造]
【0021】
廃トナー容器40は、装置本体2における前側の左下部(手差しトレイ4の左側)に設けられている。図2及び図3に示すように、装置本体2の前側の左下部には、前側から見て上下方向に長い矩形状をなす開口部2a(図3参照)が形成されている。開口部2aは開閉カバー50により開閉可能に閉塞されている。装置本体2における開閉カバー50の後側(内側)には、後述する廃トナー容器40を収容する装着空間2b(図3参照)が形成されている。尚、図2及び図3における符号28は、画像形成装置1の電源スイッチである。
【0022】
装着空間2b内には、廃トナー容器40を検知する検知センサー(図示省略)が設けられている。この検知センサーは、装置本体2内に配置されたコントローラーに接続されている。コントローラーは、CPU,ROM及びRAMを有するマイクロコンピューターからなり、画像形成装置1の各部の動作制御を行う。コントローラーは、検知センサーからの廃トナー容器40の検知信号を受信していない状態で、操作パネル100又は外部端末から印刷開始指令を受信した場合には、操作パネル100に設けられた前記表示部101に、廃トナー容器40が未装着である旨のエラー表示を行う。
[廃トナー容器の構成]
【0023】
図4に示すように、廃トナー容器40は、厚さ方向(図4の紙面垂直方向)に偏平な中空容器であって、例えば合成樹脂等により構成されている。廃トナー容器40は、厚さ方向が画像形成装置1の左右方向に一致する状態で前記装着空間2b(図3参照)に着脱可能に装着される。以下の廃トナー容器40の説明に際して、前後左右はこの装着状態における前後左右を意味するものとする。
【0024】
図4に示すように、廃トナー容器40は、容器本体40aとトナー流入管40bと持手部40cとを有している。容器本体40aは、左右方向から見て下側ほど幅が広くなる台形状(図4参照)に形成され、正面視で縦長の略矩形状(図3参照)に形成されている。
【0025】
トナー流入管40bは、容器本体40aの上端面に一体成形されている。トナー流入管40bは、容器本体40aの上端面から上側に円筒状に突出している。トナー流入管40bの上端部には、折曲げ可能な可撓片を介して円板状のキャップ40f(後述する図8及び図9にのみ示す)が接続されている。キャップ40fは、トナー流入管40bの上端部に係脱することで、トナー流入管40bの上端開口を開閉可能に構成されている。廃トナー容器40は、このキャップ40fをトナー流入管40bの上端面から取外した状態で、トナー流入管40bの上端部をトナー搬送管(図示省略)に接続して装着空間2bに収容される。
【0026】
持手部40cは、図4に示すように、容器本体40aの左側面に一体成形されている。持手部40cは、側面視で略L字状に形成されている。詳しくは、持手部40cは、容器本体40aの上端部から水平方向の前側に向かって延びた後、鉛直方向の下側に屈曲して容器本体40aの下部に接続されている。ユーザーは、持手部40cのL字内側に指を入れて持手部40cを把持可能になっている。
【0027】
前記容器本体40aの左側面における前側且つ下側の隅部には、左側から見て矩形状をなすとともに前側及び下側に開放する凹部40dが形成されている。
【0028】
すなわち、凹部40dは、前後方向に沿った第一鉛直面40gと左右方向に沿った第二鉛直面40hと両鉛直面40g,40hの上端縁に接続された矩形状の上面40iとで構成されている。第一鉛直面40gには、開閉カバー50に突設された係合フック50cと係合する被係合凹部40eが形成されている。本例では、被係合凹部40eは、第一鉛直面40gに対して半球面状に凹んで形成されている。
[開閉カバーの構成]
【0029】
次に、図5図7を参照して、開閉カバー50について説明する。ここで、図5は、開閉カバー50が閉位置にある状態で、装置本体2における開閉カバー50が装着された部分を前側から見た正面図であり、図6は、図5の状態から開閉カバー50を開放位置に移動させた状態を示す正面図であり、図7は、開閉カバー50が閉位置にある状態を示す水平断面図(図2のVII-VII線断面図)である。
【0030】
開閉カバー50は、合成樹脂製であり、開口部2aを閉塞した状態で装置本体2の外装面の一部を構成している。詳細には、開閉カバー50は、装着位置にある給紙カセット11の化粧カバー11a(図2参照)と、装置本体2の樹脂カバー29の一部である左側外装壁29aとを接続するように、平面視で略L字状に湾曲して形成されている(図1及び図7参照)。開閉カバー50の外側面は、該開閉カバー50が閉位置にある状態で、装着位置にある化粧カバー11aの前側面に連続的に繋がるように形成されている。尚、以下の開閉カバー50の説明において、前後左右は開閉カバー50が閉位置にある状態における前後左右を意味する。
【0031】
図6に示すように、開閉カバー50の閉位置における左側端縁部には、上下一対の回動軸51が設けられている。開閉カバー50は、この一対の回動軸51を介して開口部2aの左側端縁部に回動可能に取り付けられている。開閉カバー50は、一対の回動軸51の軸線(所定の軸線の一例)を中心として回動することにより、開口部2aを閉塞する閉位置と、該閉位置から前記軸線回りに装置本体外側(本例では前側)に所定角度(予め定めた最大角度)だけ回転した開放位置との間で移動可能に構成されている。
【0032】
開閉カバー50の閉位置における右側端部には、ユーザーが開閉カバー50を開閉操作する際に指を引っ掛けるための取手部50a(図5参照)が、正面から後側に向かって凹設されている。開閉カバー50の閉位置における右側端部の裏面には、廃トナー容器40の前記被係合凹部40eに係合する係合フック50cと、開閉カバー50を上下方向の所定位置にガイドするカバー側ガイド片50fとが突設されている。
【0033】
前記係合フック50cは、開閉カバー50の裏面における下端よりもやや上側に配置されている。係合フック50cは、可撓性板部50dと爪部50eとからなる。可撓性板部50dは、厚さ方向が水平方向を向く状態で開閉カバー50の裏面に対して垂直に接続されている。そして、可撓性板部50dは、開閉カバー50との接続部(基端部)を支点に水平方向に可撓可能になっている。爪部50eは、図7に示すように、開閉カバー50を閉位置に位置させた状態で可撓性板部50dの先端部の右側面から半球面状態に突設するように形成されている。そして、爪部50eは、開閉カバー50が閉位置に移動する際に廃トナー容器40の被係合凹部40eに係合する。
【0034】
前記カバー側ガイド片50fは、下面の高さが開閉カバー50の下端の高さに一致するように配置されている。カバー側ガイド片50fは、平面視で前記係合フック50cよりも扉回転半径方向の外側に配置されている。カバー側ガイド片50fは、開閉カバー50の裏面に対して垂直に突設され、カバー側ガイド片50fの先端面は傾斜面50gとされている。この傾斜面50gは、開閉カバー50が閉位置にある状態で前側から後側に向かって上側に傾斜するように形成されている。本例では、傾斜角度は一例として55°~60°に設定されているが、この角度範囲に限ったものではない。カバー側ガイド片50fの傾斜面50gは、開閉カバー50が閉位置に移行する際に、装置本体2に形成された後述の本体側ガイド片2eの傾斜面2fに楔状に当接する(図9参照)。カバー側ガイド片50fの傾斜面50gがカバー側傾斜面に相当し、本体側ガイド片2eの傾斜面2fが本体側傾斜面に相当する。
【0035】
図6に示すように、開閉カバー50の裏面にはさらに、上下方向に間隔を空けて並ぶ一対の水平リブ50bが突設されている。一対の水平リブ50bの端部にはそれぞれ前記回動軸51が立設されている。一対の回動軸51はそれぞれ、上下方向に間隔を空けて配置された一対の支持筒52の内側に嵌挿されている。下側の支持筒52は、装置本体2の左側外装壁29aに形成された支持台2cの上面に突設されている。上側の支持筒52は、前記左側外装壁29aに形成された支持板2dの下面に突設されている。
【0036】
そして、一対の回動軸51はそれぞれ、支持筒52に対してその軸線回りに回動可能に且つ軸線方向(上下方向)にスライド可能に支持されている。一対の回動軸51が上下方向にスライドすることで、開閉カバー50は、所定の上昇位置と下降位置との間で移動可能になっている。開閉カバー50が閉位置にある状態では、開閉カバー50は前記所定の下降位置に位置している。この下降位置では、開閉カバー50の裏面における下側の水平リブ50bが、下側の支持筒52の上端面に当接する(図6参照)。
【0037】
左側外装壁29aは樹脂カバー29の一部である。樹脂カバー29は、図6及び図7に示すように、前記左側外装壁29aと内側壁29cとコ字状壁29bと底壁29dとを有している。内側壁29cは、左側外装壁29aの右側に間隔を空けて配置されている。コ字状壁29bは、平面視で前側に開放するコ字状をなしていて、左側外装壁29aの後端部と内側壁29cの後端部とを連結している。左側外装壁29a、内側壁29c及びコ字状壁29bによって前記廃トナー容器40の装着空間2bが形成されている。前記底壁29dは、前後方向に延びる矩形板状をなしていて、装着空間2bに装着される廃トナー容器40の載置面を形成している。
【0038】
図6に示すように、前記底壁29dの前端面における内側壁29cの下側付近には、本体側ガイド片2eが突設されている。本体側ガイド片2eは、開閉カバー50が閉位置に移行する際に、開閉カバー50に設けられたカバー側ガイド片50fに当接して、開閉カバー50の係合フック50cを、廃トナー容器40における被係合凹部40eに向けてガイドする。
【0039】
詳しくは、本体側ガイド片2eは、前後方向に延びる断面矩形状の柱状体からなり、その突出側(前側)の端面は傾斜面2fとされている。傾斜面2fは、図8及び図9に示すように、前側に向かって下側に傾斜している。
【0040】
この傾斜面2fの傾斜角度は、カバー側ガイド片50fの傾斜面50gの傾斜角度と等しい。そうして、カバー側ガイド片50fの傾斜面50gと、本体側ガイド片2eの傾斜面2fとが当接した状態(開閉カバー50が閉位置にある状態)では、カバー側ガイド片と本体側ガイド片2eとは前後方向に一直線状に係合する。
【0041】
傾斜面2fの下端位置は、開閉カバー50が開放位置にある状態(つまり開閉カバー50が最も下がった位置にある状態。図8参照)において、カバー側ガイド片50fの傾斜面50gの上端位置よりも下側に位置している。これにより、開閉カバー50を閉位置に移行させる過程で、カバー側ガイド片50fの傾斜面50gが本体側ガイド片2eの傾斜面2fに確実に当接することとなる。
【0042】
図8及び図9を参照して、装着空間2bに廃トナー容器40が装着されている場合における、開閉カバー50の開放位置から閉位置への移行過程を具体的に説明する。
【0043】
図8は、廃トナー容器40を装着空間2bに装着した状態で、開閉カバー50を開放位置に位置させた状態を示す右側から見た側面図である。この状態では、係合フック50cは廃トナー容器40の被係合凹部40eから離間した位置にあり、開閉カバー50の裏面から右側(図8の紙面垂直方向の手前側)に突出している。また、カバー側ガイド片50fは、本体側ガイド片2eから離間した位置にあり、開閉カバー50の裏面から右側に突出している。
【0044】
図8の状態から、開閉カバー50を右側(図8の紙面垂直方向の手前側)に回動させて行くと、カバー側ガイド片50fの傾斜面50gが本体側ガイド片2eの傾斜面2fに当接する。そして、さらに開閉カバー50を回動させると、カバー側ガイド片50fの傾斜面50gが、本体側ガイド片2eの傾斜面2fに沿って後方斜め上側に移動する(図9参照)。これに伴い、開閉カバー50の係合フック50c(図7参照)が、廃トナー容器40の被係合凹部40eに向けてガイドされる。そして、開閉カバー50が閉位置に達したところで、係合フック50cの爪部50eが、廃トナー容器40の被係合凹部40eに係合する。この結果、開閉カバー50が閉位置に保持される。
【0045】
このように、装着空間2bに廃トナー容器40が装着されている場合には、爪部50eと被係合凹部40eとの係合により開閉カバー50を閉位置に保持することができるが、装着空間2bに廃トナー容器40が装着されていない場合には、開閉カバー50を閉位置に移動させたとしても、開閉カバー50は閉位置に保持されず開放側に戻される。
【0046】
すなわち、図10(a)に示すように、装着空間2bに廃トナー容器40が装着されていない状態で開閉カバー50を閉位置に位置させたとしても、開閉カバー50の係合フック50cに係合する相手側の被係合部が存在しないので、開閉カバー50は閉位置に拘束されずフリーの状態となる。このため、カバー側ガイド片50fの傾斜面50gが、開閉カバー50の自重により本体側ガイド片2eの傾斜面2fに沿って滑り落ちる。図10(b)~図10(d)は、この滑り落ちる過程を時系列で示した概略図である。開閉カバー50は、カバー側ガイド片50fの傾斜面50gが、本体側ガイド片2eの傾斜面2fに沿って前方斜め下側に移動するのに伴い、回動軸51を支点に開放側に回動する。開閉カバー50の最終的な開放量は、回動軸51と支持筒52との間の摺動抵抗の大きさによって決まるが、人(ユーザー)の目で見たときに開閉カバー50が開いていると認識できる程度の大きさであることが好ましい。そうして、前記カバー側ガイド片50fの傾斜面50gと本体側ガイド片2eの傾斜面2fとが開放駆動部200として機能する。
【0047】
[本実施形態の作用効果]
以上説明したように、本実施形態の画像形成装置1では、廃トナー容器40は被係合凹部40eを有している。開閉カバー50は、被係合凹部40eに係合可能な係合フック50cを有していて、装置本体2に廃トナー容器40が装着されている場合には、前記閉位置において係合フック50cと廃トナー容器40の被係合凹部40eとが係合することで該閉位置に保持されるように構成されている。
【0048】
この構成によれば、装置本体2に廃トナー容器40を装着している場合には、開閉カバー50を閉じたときに、係合フック50cが廃トナー容器40の被係合凹部40eに係合する。この係合時には、係合音が発生したり係合した感触が手に伝わったりする。したがって、ユーザーは、この係合音や手の感触が得られた場合には、廃トナー容器40が装置本体2に装着されていると認識することができる。一方、装置本体2に廃トナー容器40が装着されていない場合には、ユーザーは、開閉カバー50を閉じた際に上記係合音や手の感触が得られないので、廃トナー容器40が装置本体2に装着されていないと気付くことができる。
【0049】
また、本実施形態では、画像形成装置1は、開閉カバー50と装置本体2との間に介在し、廃トナー容器40が装置本体2に装着されていない状態で、開閉カバー50が前記閉位置に移動した場合に、開閉カバー50を開放位置側に駆動する開放駆動部200を備えている。
【0050】
具体的には、開放駆動部200は、前記開閉カバー50が閉位置にある状態で水平方向の開閉カバー50側から装置本体2側に向かって上側に傾斜するように該開閉カバー50に設けられた傾斜面50g(図9参照)と、開閉カバー50が閉位置にある状態で該傾斜面50gに対向して当接するように装置本体2に設けられた傾斜面2fとを有している。
【0051】
そして、開放駆動部200は、廃トナー容器40が装置本体2に装着されていない状態で、開閉カバー50が閉位置に移動した場合に、開閉カバー50の自重により開閉カバー50側の傾斜面50gが装置本体2側の傾斜面2fに沿って斜め下側に滑り落ちることで、開閉カバー50を前記開放位置側に駆動するように構成されている。
【0052】
したがって、廃トナー容器40が装置本体2にされていない状態で開閉カバー50を閉じても、開閉カバー50は、閉位置に保持されず、開放駆動部200の作用により直ぐに開いてしまう。したがって、ユーザーは開閉カバー50が開いている状態を見て、廃トナー容器40の装着忘れに気付くことができる。
【0053】
特に、ユーザーが、画像形成装置1の操作パネル100を直接操作するのではなく、例えば画像形成装置1から離れた端末装置からLAN接続等により画像形成装置1を操作する場合には、画像形成装置1の表示部101に表示されたエラー内容を視認することができない。このような場合であっても、ユーザーは開閉カバー50が開いている状態を見て、廃トナー容器40の装着忘れに気付くことができる。
【0054】
また、本実施形態では、開閉カバー50側の傾斜面50gは、開閉カバー50を開放位置から閉位置に移動させる過程で、装置本体2側の傾斜面2fに摺接しながら該傾斜面2fに沿って斜め上側に移動し、開閉カバー50の係合フック50cを、廃トナー容器40の被係合凹部40eに向けてガイドするように構成されている。
【0055】
この構成によれば、開閉カバー50を閉じる際に、係合フック50cを廃トナー容器40の被係合凹部40eに確実に係合させることができる。また、本実施形態では、開閉カバー50の外側面は、該開閉カバー50が閉位置にある状態で、前記装着位置にある給紙カセット11の引出し方向の手前側面に連続的に繋がって装置本体2の外装面の一部を構成している。これによれば、開閉カバー50が閉位置にある状態から少しでも開き側に駆動されると、開閉カバー50と装置本体2の外装面との連続性が損なわれることとなるので、ユーザーは開閉カバー50が開いていることに容易に気付くことができる。延いては、ユーザーは開閉カバー50が開いている状態を見て、廃トナー容器40の装着忘れに容易に気付くことができる
《変形例》
【0056】
図11は、前記実施形態の変形例を示す図9相当図である。この変形例では、開放駆動部200の構成が前記実施形態とは異なる。尚、図9と同じ構成要素には同じ符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0057】
すなわち、本変形例では、開放駆動部200は、装置本体2と開閉カバー50との間に介在して、開閉カバー50が閉位置にあるときに開閉カバー50を開放側に付勢する圧縮コイルバネ201(付勢バネの一例)により構成されている。この圧縮コイルバネ201は、開閉カバー50に固定されていてもよいし、装置本体2に固定されていてもよい。
【0058】
この構成によれば、前記実施形態のようにカバー側ガイド片50fの傾斜面50gが、本体側ガイド片2eの傾斜面2fを滑り落ちる力を利用して開閉カバー50を開放駆動する場合に比べて、開閉カバー50をより一層強い力で確実に開放側に駆動することができる。したがって、開放駆動部200による開閉カバー50の開放量を増加させることができる。よって、ユーザーが画像形成装置1から離れた位置にいても、開閉カバー50が開放していることに確実に気付くことができ、延いては、廃トナー容器40の装着忘れに確実に気付くことができる。
【0059】
尚、本変形例では、付勢バネとして圧縮コイルバネを使用するようにしているが、これに限ったものではなく、例えば、開閉カバー50の回動軸51回りに装着した捻りバネを使用するようにしてもよい。これによれば、付勢バネが、装置本体2や開閉カバー50から突出することがないので、廃トナー容器40の脱着作業時に付勢バネが邪魔になることもない。
【0060】
《他の実施形態》
前記実施形態及び変形例では、開閉カバー50は、上下方向(所定方向の一例)に延びる軸線回りに回動することで開口部2aを開閉するように構成されているが、これに限ったものではない。開閉カバー50は、例えば水平方向に延びる軸線回りに回動することで開口部2aを開閉するように構成されていてもよい。
【0061】
前記実施形態及び変形例では、画像形成装置1の一例としてプリンターを挙げて説明したが、これに限ったものではなく、画像形成装置1は、複写機、複合機(MFP)、又はファクシミリー等であってもよい。
【0062】
本発明は前記実施形態及び変形例の任意の組み合わせを含む。
【産業上の利用可能性】
【0063】
以上説明したように、本発明は、画像形成装置に有用であり、特に、プリンター、ファクシミリー、複写機又は複合機(MFP)等に適用する場合に有用である。
【符号の説明】
【0064】
1 :画像形成装置
2 :装置本体
2a :開口部
2f :傾斜面(本体側傾斜面、開放駆動部)
2g :傾斜面
8 :画像形成部
40 :廃トナー容器
40e :被係合凹部(被係合部)
50 :開閉カバー
50c :係合フック(係合部)
50g :傾斜面(カバー側傾斜面、開放駆動部)
200 :開放駆動部
201 :圧縮コイルバネ(開放駆動部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11