(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-08
(45)【発行日】2024-05-16
(54)【発明の名称】外装カバー
(51)【国際特許分類】
G03G 21/16 20060101AFI20240509BHJP
B41J 29/13 20060101ALI20240509BHJP
H04N 1/00 20060101ALI20240509BHJP
【FI】
G03G21/16 133
B41J29/13
H04N1/00 519
(21)【出願番号】P 2020090831
(22)【出願日】2020-05-25
【審査請求日】2023-04-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100167302
【氏名又は名称】種村 一幸
(74)【代理人】
【識別番号】100135817
【氏名又は名称】華山 浩伸
(74)【代理人】
【識別番号】100141298
【氏名又は名称】今村 文典
(74)【代理人】
【識別番号】100187492
【氏名又は名称】新保 元啓
(72)【発明者】
【氏名】日比野 梨紗
(72)【発明者】
【氏名】角田 昌之
【審査官】鳥居 祐樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-140753(JP,A)
【文献】特開平10-184622(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/16
B41J 29/13
H04N 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置とその側方に配置されるオプション装置との間の隙間に配置されて該画像形成装置と該オプション装置とを連結する連結機構の外装カバーであって、
当該外装カバーは、前記隙間における前記オプション装置と前記画像形成装置との対向方向に直交する装置前後方向に沿って延びるとともに前記連結機構の上側を覆う上側辺部と、前記連結機構における前記装置前後方向の端部を覆う側辺部とを有していて、同じ形状の複数のカバー部材を組み合わせて構成されている、外装カバー。
【請求項2】
請求項1記載の外装カバーにおいて、
それぞれの前記カバー部材における所定方向の一側端部には一側組付部が設けられ、他側端部には他側組付部が設けられており、
前記複数のカバー部材のうち任意の二つのカバー部材は、一方のカバー部材の前記一側組付部と、他方のカバー部材の前記他側組付部とを互いに組付けることで連結可能であり、
前記一方のカバー部材の前記一側組付部と、前記他方のカバー部材の前記他側組付部とは、該二つのカバー部材を、それぞれの前記所定方向を一致させて一直線状に連結する直線組付状態と、該二つのカバー部材をそれぞれの前記所定方向が直交するように連結する直交組付状態とに組替え可能に構成されている、外装カバー。
【請求項3】
請求項2に記載の外装カバーにおいて、
前記一側組付部と前記他側組付部とは、該両組付部のいずれか一方に設けられた位置決め突部を、他方に設けられた位置決め孔に係合させて該両組付部を螺子で固定することにより前記直線組付状態となり、該両組付部のいずれか一方に設けられた係合フックを他方に設けられた引掛部に引っ掛けることで前記直交組付状態になるように構成されている、外装カバー。
【請求項4】
請求項3記載の外装カバーにおいて、
前記位置決め突部及び前記係合フックは、前記他側組付部に設けられ、
前記位置決め孔及び前記引掛部は、前記一側組付部に設けられており、
それぞれの前記カバー部材の表裏方向の表側面は、前記所定方向に延びる意匠面とされ、
前記一側組付部は、前記カバー部材の表側面に対して裏面側に凹むとともに前記所定方向の一側に開放する凹部を有し、該凹部が、前記カバー部材の表裏方向に対して垂直に形成された座面と、該座面における前記所定方向の他側端縁から起立する側面とを有し、前記座面には、前記直線組付状態において、前記他側組付部に設けられた前記位置決め突部に係合する前記位置決め孔と、前記直線組付状態において前記係合フックを逃がす逃げ孔とが形成され、前記側面には、前記直交組付状態において、前記他側組付部に設けられた前記係合フックが引っ掛かる前記引掛部としての係合孔とが形成されている、外装カバー。
【請求項5】
請求項4記載の外装カバーにおいて、
前記他側組付部は、前記直線組付状態において、前記一側組付部の前記座面に当接する当接面を有し、
前記他側組付部の前記当接面には、前記位置決め突部と前記係合フックとが突設されている、外装カバー。
【請求項6】
請求項5記載の外装カバーにおいて、
前記他側組付部の前記当接面には螺子孔が形成され、
前記一側組付部の前記座面には、前記直線組付状態において前記螺子孔に対応する位置
に貫通孔が形成され、
前記一側組付部と前記他側組付部とは、前記直線組付状態において前記貫通孔に挿通された螺子を前記螺子孔に螺合させることで互いに固定される、外装カバー。
【請求項7】
請求項2乃至6のいずれか一項に記載の外装カバーにおいて、
前記一側組付部は嵌合形状部を有し、前記他側組付部は、該嵌合形状部と嵌合可能な被嵌合形状部を有し、
前記一方のカバー部材の嵌合形状部を、前記他方のカバー部材の被嵌合形状部に嵌合させない限り、前記一方のカバー部材の前記一側組付部と該他方のカバー部材の前記他側組付部とを前記直線組付状態で組付けできないように構成されている、外装カバー。
【請求項8】
請求項2乃至7のいずれか一項に記載の外装カバーにおいて、
それぞれの前記カバー部材の表裏方向の表側面は、前記所定方向に延びる意匠面とされ、
前記任意の二つのカバー部材は、前記一方のカバー部材の前記一側組付部と前記他方のカバー部材の前記他側組付部とを前記直線組付状態で組付けた場合に、該両カバー部材の意匠面が段差無く略面一に繋がるように形成されている、外装カバー。
【請求項9】
請求項2乃至8のいずれか一項に記載の外装カバーにおいて、
前記任意の二つのカバー部材は、前記一方のカバー部材の一側組付部と前記他方のカバー部材の他側組付部とを前記直交組付状態で組付けた場合に、該両カバー部材の意匠面が段差無く略面一に繋がるように形成されている、外装カバー。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれか一項に記載の外装カバーであって、
前記オプション装置は、前記画像形成装置から供給される印刷済みのシートに後処理を施す後処理機構を内部に収容する筐体を有していて、該筐体が前記連結機構を介して画像形成装置に連結可能に構成され、
前記筐体には、前記後処理後のシートを前記対向方向のオプション装置側から画像形成装置側に向かって排出する排出機構と、該排出機構が排出したシートを受け止める排出トレイ部とが設けられ、
前記複数のカバー部材は、前記外装カバーとして組立てたときに、前記上側辺部の上面における前記排出トレイ部側の縁部が、前記対向方向の前記オプション装置側から前記画像形成装置側に向かって上側に傾斜するか又は前記排出トレイ部のシート排出方向の下流側端部に段差無く繋がることで、前記排出トレイ部上に排出されるシートの移動を阻害しないように形成されている、外装カバー。
【請求項11】
請求項10に記載の外装カバーであって、
前記外装カバーは、前記連結機構における前記装置前後方向の端部を覆う側辺部として、前記連結機構における前記装置前後方向の前側端部を覆う前側辺部と、後側端部を覆う後側辺部とを有しており、
前記オプション装置の前記筐体における前記装置前後方向の前側の壁面には開閉扉が設けられ、
前記開閉扉は、前記画像形成装置側とは反対側の端縁部が上下方向に延びる軸線回りに回動可能になるように前記筐体に支持され、
前記複数のカバー部材は、前記外装カバーとして組立てたときに、前記前側辺部における前記開閉扉側の端縁部が、上側から見て、前記装置前後方向の後側から前側に向かって画像形成装置側に傾斜するように形成されている、外装カバー。
【請求項12】
請求項1乃至11のいずれか一項に記載の外装カバーにおいて、
前記複数のカバー部材はそれぞれ型成形により製造される成型品である、外装カバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外装カバーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、画像形成装置本体には、給紙装置や後処理装置等のオプション装置が外付けされる場合がある。給紙装置は、大容量の用紙を収容して画像形成装置本体に給紙する。後処理装置は、画像形成装置本体から排出された印刷済みの用紙に後処理(パチング、孔空け等)を施す。
【0003】
前記オプション装置は、例えば特許文献1に示すように、画像形成装置本体の側面に連結機構を介して着脱可能に連結される。この連結機構は、画像形成装置における後処理装置の装着面に取付けられた連結用帯板部を有している。連結用帯板部は高さ方向に直交する方向にスライド可能になるように画像形成装置に支持されている。そして、画像形成装置の側面に後処理装置を対向させた状態でこの連結用帯板部をスライドさせると、連結用帯板部に形成された差込み部が、後処理装置から突設する柱の係合凹部に係合するようになっている。この種の画像形成装置では、外観意匠を向上させるべく連結機構を外装カバーにより覆う構成が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、オプション装置の連結機構の形状及び配置等は、オプション装置の機能や機種によって異なる。このため、通常は、画像形成装置に外付けするオプション装置の種類に応じて、形状が異なる複数種類の外装カバーを用意する必要がある。オプション装置が少量生産機種である場合には、用意すべき外装カバーの数も少量になる。このような少量の外装カバーを製造するために例えば樹脂材料等による型成形を行った場合、金型の制作コストが回収することができない。このため、従来は、少量生産機種の外装カバーについては、型成形を行わずに、他機種の外装カバーを流用したり板金部材を使用したりしていた。しかし、他機種の外装カバーの流用や板金部材の使用は、外装カバーの外観意匠(外観のデザイン性)の低下を招くという問題があった。
【0006】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、画像形成装置とその側方に配置されるオプション装置とを連結する連結機構の外装カバーを、外観意匠の低下を招くことなく安価に製造することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の外装カバーは、画像形成装置とその側方に配置されるオプション装置との間の隙間に配置されて該画像形成装置と該オプション装置とを連結する連結機構を覆うカバーである。
【0008】
前記外装カバーは、前記隙間における前記オプション装置と前記画像形成装置との対向方向に直交する装置前後方向に沿って延びるとともに前記連結機構の上側を覆う上側辺部と、前記連結機構における前記装置前後方向の端部を覆う側辺部とを有していて、同じ形状の複数のカバー部材を組み合わせて構成されている。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、画像形成装置とその側方に配置されるオプション装置とを連結する連結機構の外装カバーを、外観意匠の低下を招くことなく安価に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、実施形態の外装カバーにより覆われた連結機構と、該連結機構を介して連結された画像形成装置及び後処理装置(オプション装置)を含む画像形成システムの概略構成図である。
【
図2】
図2は、画像形成システムの外観斜視図である。
【
図3】
図3は、画像形成装置本体部の前側面を拡大して示す拡大斜視図である。
【
図4】
図4は、後処理装置と、該後処理装置に取付けられた連結機構を覆う外装カバーとを示す外観斜視図である。
【
図5】
図5は、後処理装置と、該後処理装置に連結された連結機構とを示す外観斜視図である。
【
図6】
図6は、後処理装置に連結された連結機構を示す外観斜視図である。
【
図7】
図7は、画像形成装置本体部の左側面を示す斜視図である。
【
図8】
図8は、画像形成装置本体部の左側面における被連結部材の周辺を拡大して示す拡大斜視図である。
【
図9】
図9は、連結機構における連結部材と被連結部材との連結状態を示す水平断面図である。
【
図11】
図11は、カバー部材を示す表裏方向の裏側から見た側面図である。
【
図12】
図12は、カバー部材を示す表裏方向の表側から見た側面図である。
【
図14】
図14は、カバー部材の延設方向の一側端部を拡大して示す拡大斜視図である。
【
図16】
図16は、一方のカバー部材の一側端部に形成された一側組付部と、他方のカバー部材の他側端部に形成された他側組付部とを拡大して示す、表裏方向の表側から見た側面図である。
【
図17】
図17は、一方のカバー部材の一側端部に形成された一側組付部と、他方のカバー部材の他側端部に形成された他側組付部とを拡大して示す拡大斜視図である。
【
図18】
図18は、一側組付部と他側組付部とを直線組付状態で組付けることで二つのカバー部材が一直線状に連結された状態を示す、表裏方向の表側から見た側面図である。
【
図19】
図19は、
図18における一側組付部と他側組付部との組付け状態を示す、表裏方向の裏側から見た斜視図である。
【
図20】
図20は、外装カバーを幅方向の中央位置で切断したカットモデルであって、外装カバーの上側半部を拡大して示す図である。
【
図21】
図21は、
図20における外装カバーの上側且つ前側の角部を拡大して示す拡大図である。
【
図22】
図22は、外装カバーの第一固定箇所を拡大して示す拡大斜視図である。
【
図23】
図23は、外装カバーの第二固定箇所を拡大して示す拡大斜視図である。
【
図24】
図24は、外装カバーの第三固定箇所を拡大して示す拡大斜視図である。
【
図25】
図25は、後処理装置の排出トレイ部と外装カバーの上端部とを拡大して示す前側から見た側面図である。
【
図26】
図26は、後処理装置及び画像形成装置及び外装カバーの上端部のみを拡大して示す前側から見た側面であって、原稿自動送り装置の開閉カバーが開放位置にある状態を示す図である。
【
図27】
図27は、後処理装置及び画像形成装置及び外装カバーの前端部のみを拡大して示す平面図である。
【
図28】
図28は、後処理装置及び画像形成装置を後方斜め左側から見た斜視図である。
【
図29】
図29は、後処理装置及び画像形成装置及び外装カバーの後端部のみを拡大して示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではない。
【0012】
《実施形態》
図1は、本実施形態における外装カバーUにより覆われた連結機構500と、該連結機構500を介して連結された画像形成装置1及び後処理装置400(オプション装置の一例)を含む画像形成システムMを示している。以下の説明において、特に断らない限り、「前側」、「後側」は、画像形成装置1の前側、後側を意味し、「左側」「右側」は、画像形成装置1を前側から見たときの左側、右側を意味する。
【0013】
[画像形成装置1の構成]
前記画像形成装置1は、胴内排紙型の複写機であって、画像形成装置本体部100とスキャナー筐体部200と連結筐体部150とを有している。
【0014】
スキャナー筐体部200は、画像形成装置本体部100よりも上側に配置されている。画像形成装置本体部100とスキャナー筐体部200とは連結筐体部150を介して連結されている。
【0015】
画像形成装置本体部100とスキャナー筐体部200との間には胴内排紙空間Eが形成されている。連結筐体部150は、画像形成装置本体部100の後端部に連結された後側連結筐体部(図示省略)と画像形成装置本体部100の右側端部に連結された右側連結筐体部150aとを有している。右側連結筐体部150aにおける胴内排紙空間Eに臨む立壁部155には、上側排出口151と下側排出口152とが上下に並んで形成されている。胴内排紙空間Eには中継搬送装置300が着脱可能になっている。中継搬送装置300は、下側排出口152から排出される画像形成後のシートSを後処理装置400へと搬送する。
【0016】
前記スキャナー筐体部200の上面にはコンタクトガラス200aが装着されている。コンタクトガラス200aの上面は、原稿カバー202によって開閉可能に覆われている。原稿カバー202の上面には原稿自動送り装置30が一体的に取付けられている。スキャナー筐体部200内には、後述する固定方式又はシートスルー方式により原稿シートGの画像を光学的に読取る読取ユニット201が収容されている。読取ユニット201は、原稿画像を光電変換により読取るCISセンサーを有していて左右方向に往復移動可能に構成されている。
【0017】
原稿自動送り装置30は、スキャナー筐体部200の後端部に一対のヒンジ機構を介して回動自在に支持されている。原稿自動送り装置30は、シートスルー方式による画像読取時にはコンタクトガラス200a上の原稿読取位置Rに原稿シートGを供給する。
【0018】
具体的には、原稿自動送り装置30は、原稿給紙トレイ31と、原稿給紙トレイ31の下側に設けられた原稿排紙トレイ32と、該原稿給紙トレイ31から原稿排紙トレイ32に至るU字状の原稿搬送路33と、原稿搬送路33に沿って原稿シートGを搬送する複数の搬送ローラー対34(原稿搬送機構の一例)と、複数の搬送ローラー対34を収容するケーシング35とを有している。ケーシング35には、その上壁面から後処理装置400側の壁面に至るジャム処理用の開口部35b(
図2参照)が形成されている。この開口部35bは、開閉カバー35aにより開閉可能に閉塞されている。開閉カバー35aは、後処理装置400側の端縁部が、前後方向に延びる軸線36(後述する
図26参照)を支点に回動可能になるようにケーシング35に支持されている。開閉カバー35aは、開口部35bを閉塞する閉位置と、該閉位置から前記軸線36回りに上側に所定角度回転した最大開放位置との間で変位可能に構成されている。
【0019】
原稿自動送り装置30は、シートスルー方式による画像読取時には、原稿給紙トレイ31にセットされた原稿シートGを、原稿搬送路33に沿って配置された複数の搬送ローラー対34によって一枚ずつ下流側に送り出して前記原稿読取位置Rを通過させた後、原稿排紙トレイ32に排出する。前記シートスルー方式では、原稿読取位置Rの直下に読取ユニット201を位置させて、原稿読取位置Rを通過する原稿シートGの画像を読取ユニット201に読取る。
【0020】
一方、シート固定方式による読取り時には、原稿自動送り装置30をその後端部のヒンジ機構を支点に上側に回動させて開位置に位置させる。そして、コンタクトガラス200aの上面に原稿シートGをセットし、その後、原稿自動送り装置30を閉位置に戻して原稿シートGをコンタクトガラス200aの上面に固定する。この状態で、読取ユニット201を左右方向に移動させて原稿シートGからの反射光を該読取ユニット201に搭載されたCISセンサーにより光電変換することで原稿画像データを生成する。
【0021】
[画像形成装置本体部100の構成]
前記画像形成装置本体部100は略直方体状に形成されており、その下面には移動用のキャスター102が取付けられている。画像形成装置本体部100内には画像形成部20が収容されている。画像形成装置本体部100内における画像形成部20の上側には定着部40が設けられ、画像形成部20の左斜め下側には、給紙部10が上下二段に亘って配置されている。各給紙部10は、シートSが収容される給紙カセット10aと、該給紙カセット10a内のシートSを取り出して該カセット外に送り出すためのピックアップローラー10bとを有している。給紙カセット10aよりカセット外に送り出されたシートSは、搬送ローラー対11を介して画像形成部20に供給される。また、画像形成装置本体部100内における二つの給紙部10の下側には、大容量給紙カセット15が左右に並んで配置されている。大容量給紙カセット15内のシートSは、不図示のピックアップローラーによりカセット外に取り出されて画像形成部20に供給される。
【0022】
画像形成部20は、感光ドラム21、帯電器23、露光装置25、現像装置27、及び転写器29を有している。画像形成部20では、先ず、帯電器23によって感光ドラム21の周面を帯電させ、次いで、露光装置25によって感光ドラム21の表面に原稿画像データ(読取ユニット201により生成された原稿画像の画像データ)に基づくレーザー光を照射することで静電潜像を形成し、形成した静電潜像を現像装置27によって現像することでトナー像を形成し、その後、転写器29によって給紙部10から供給されるシートSに対して前記トナー像を転写すると共に該転写後のシートSを定着部40に供給する。尚、図中の符号24は、感光ドラム21の表面に残った残トナーを除去するクリーニング部である。
【0023】
前記定着部40では、画像形成部20より供給されるシートSを定着ローラー40a及び加圧ローラー40b間で加圧及び加熱することにより、当該シートSにトナー像を定着させる。そして、定着部40にてトナー像が定着されたシートSは、両ローラー40a,40bにより上方に搬送される。シートSが搬送される搬送路は、定着部40の上側において第一搬送路T1と第二搬送路T2とに分岐しており、定着ローラー40a及び加圧ローラー40bより送り出されたシートSはこの第一搬送路T1又は第二搬送路T2に供給される。
【0024】
第一搬送路T1は、定着部40から上側に向かって左側に湾曲して前記下側排出口152に接続されている。下側排出口152の下流側端部には第一排出ローラー対12(排出機構の一例)が設けられている。第二搬送路T2は、定着部40から上側に向かって延びた後に左側に屈曲して前記上側排出口151に接続されている。上側排出口151の下流側端部には第二排出ローラー対13が設けられている。前記第二搬送路T2にはさらに、シートSに両面印刷を行う際に該シートSをスイッチバックさせて画像形成部20に再供給するための両面印刷用搬送路T3が接続されている。
【0025】
胴内排紙空間Eから中継搬送装置300を取外した状態(図示省略)では、前記下側排出口152から排出されたシートSがシートトレイ101に排出される。尚、上側排出口151は、シートSのスイッチバック搬送時等に使用される。一方、胴内排紙空間Eに中継搬送装置300を装着した状態(
図1に示す状態)では、下側排出口152から排出された画像形成後のシートSは、中継搬送装置300内の中継搬送路T4に供給される。
【0026】
中継搬送装置300は、胴内排紙空間Eの底壁部であるシートトレイ101上に装着される。中継搬送装置300は、全体視が略直方体状の本体ケース部303を有している。本体ケース部303の右側壁には、上側排出口151に連通するシート搬入口301が形成され、左側壁には後処理装置400の搬入口401cに連通するシート排出口302が形成されている。中継搬送装置300内には前記中継搬送路T4が設けられている。中継搬送路T4は、4つの搬送ローラー対304により形成されていて、シート搬入口301からシート排出口302に向かって略水平に延びている。中継搬送装置300の上面には、上側排出口151から排出されるシートSを受け止める排紙トレイ部305が形成されている。
【0027】
[画像形成装置本体部100の前面部の構成]
図2及び
図3に示すように、画像形成装置本体部100の下部には、前記二つの給紙カセット10aと二つの大容量給紙カセット15とが前側に引出し可能に収容されている。画像形成装置本体部100の前側面における二つの給紙カセット10aよりも上側の部分は前カバー103により覆われている。前カバー103は、前側から見て横長の矩形状をなしており、前カバー103の左右方向の両端部にはそれぞれ凹状の取手部103a(
図2及び
図3では一方のみを示す)が形成されている。前カバー103は、画像形成装置本体部100に対して着脱自在に装着されている。ユーザーは、取手部103aに指を掛けて前カバー103を取外すことで、各種のメンテナンス作業(例えば、図示しないトナーコンテナの交換作業)を行うことができる。
【0028】
[後処理装置400の構成]
後処理装置400は、画像形成装置本体部100の左側面に後述する連結機構500を介して着脱可能に連結されている。後処理装置400は、画像形成装置本体部100にて画像形成処理が施されたシートS(印刷済みのシート)に対して後処理を行う装置である。この後処理の一例として、例えばステープラー処理、ソート処理、及び中折り処理等が挙げられる。
【0029】
具体的には、後処理装置400は、
図1に示すように、上下方向に長い筐体401を有している。筐体401の下面には、移動用のキャスター402が取付けられている。筐体401の内部の下方には、前記後処理を行うための後処理機構403が収容されている。筐体401の右側面には、画像形成装置1から供給される印刷済みのシートSを受入れるシート搬入口401cが形成されている。筐体401の上面部の左側端部には、上側に突出する直方体状の排出ハウジング部401aが形成されている。排出ハウジング部401aの右側面には、第一排出口401dが形成されている。筐体401の上面における排出ハウジング部401aの右側に隣接する部分は、シートSが積載される排出トレイ部401bとされている。
【0030】
筐体401の左側面における前記シート搬入口401cに対向する部分には第二排出口401eが形成されている。筐体401内には、シート搬入口401cから後処理機構403に至る導入搬送路H0と、後処理機構403から第一排出口401dに至る第一排出搬送路H1と、後処理機構403から第二排出口401eに至る第二排出搬送路H2とが設けられている。各搬送路H0,H1,H2はそれぞれ、複数のローラー対によって形成されている。
図1では、これらの複数のローラー対のうち、シート搬入口401cに対向して配置された搬入ローラー対406と、第一排出口401dに対向して配置された第一排出ローラー対407(排出機構の一例)と、第二排出口401eに対向して配置された第二排出ローラー対408とを図示して、その他のローラー対については図示を省略している。第一排出ローラー対407は、前記排出ハウジング部401a内に収容されていて、シートSを第一排出口401dから
図1のX1方向に排出する。X1方向は、後処理装置400と画像形成装置1との対向方向における後処理装置400側から画像形成装置1側に向かう方向である。
【0031】
前記後処理機構403による後処理後のシートSの搬送路は、後処理装置400の制御部によって制御される。具体的には、該制御部は、画像形成装置1からの指令を基に、筐体401内に設けられた不図示の搬送路切替片の位置を切替えることで、後処理後のシートSの搬送路を第一排出搬送路H1と第二排出搬送路H2とのいずれか一方に選択的に切替える。第一排出搬送路H1は、後処理後のシートSを第一排出口401dから排出トレイ部401bに排出する際に使用される。一方、第二排出搬送路H2は、後処理後のシートSを筐体401の左側に装着される他の後処理装置(図示省略)に搬送する場合や、他の後処理装置を装着しない場合には第二排出口401eの下方に排出トレイを装着して、搬送方向において比較的に長い大サイズのシートSを排出する場合に使用される。
【0032】
[連結機構500の構成]
図4~
図9を参照して連結機構500の構成を説明する。連結機構500は、後処理装置400の右側面に取付けられた連結部材510と、画像形成装置本体部100の左側面に取付けられた被連結部材520(
図7参照)とを有している。連結部材510は、
図4に示すように、外装カバーUよりも右側に露出して画像形成装置1の被連結部材520に連結される。
【0033】
図5及び
図6に示すように、連結部材510は、鉛直に配置された矩形状の鉛直板部511の上端部に前後方向にスライド可能に支持されている。
【0034】
鉛直板部511の前後方向の両端部はそれぞれ、上下方向に延びる前側縦フレーム512及び後側縦フレーム513に固定されている。前側縦フレーム512及び後側縦フレーム513は、後処理装置400における筐体401の右側面に螺子等により固定されている。前側縦フレーム512及び後側縦フレーム513の上部は、ステー514により互いに連結されている。前側縦フレーム512及び後側縦フレーム513の上部におけるステー514の上側には、中継搬送装置300のシート排出口302から後処理装置400の搬入口401cにシートSをガイドする導入ガイド板515が設けられている。導入ガイド板515は、シート排出口302側がハ字形状に広くなる隙間を介して対向する一対の板金部材である。
【0035】
鉛直板部511の上端部には、左右方向(厚さ方向)に貫通する位置決め孔511aが形成されている。この位置決め孔511aには、画像形成装置1の被連結部材520に突設された位置決めピン522が嵌合する。
【0036】
連結部材510は、一枚の板金を折曲げて形成されていて、前後方向に延設されている。連結部材510の上端部には、コ字状に折曲げられて鉛直板部511の上端部に摺動可能に係合する係合スライド部510aが形成されている。連結部材510における鉛直板部511の右側面に対向する板部には、前後方向に間隔を空けて並ぶ一対の矩形開口部510bと、各矩形開口部510bの前側に位置する一対の長孔510eとが形成されている。各長孔510eは前後方向の延びるスリット孔からなり、連結部材510は、一対の長孔510eに挿通された螺子518によって鉛直板部511に前後方向に移動可能に取付けられている。前記一対の矩形開口部510bの上端縁には、右側に突出する突出板部510dが接続されている。また、各矩形開口部510bの前側端縁には、右側に突出する係合片510cが接続されている
【0037】
図7及び
図8に示すように、被連結部材520は、一枚の板金を折り曲げて形成されていて、前後方向に延設されている。被連結部材520は、対角方向に離間した二つの螺子521によって画像形成装置本体部100の左側面に固定されている。被連結部材520における画像形成装置本体部100の左側面に対向する板部には、左側に向かって水平に突出する一対の突出板部520aが折曲げ形成されている。各突出板部520aには前後方向に延びるとともに前側に開放するスリット状の溝部520bが形成されている。
【0038】
図9は、後処理装置400に取付けられた連結部材510と、画像形成装置本体部100に取付けられた被連結部材520とが連結された状態を示す水平断面図である。後処理装置400を画像形成装置本体部100に取付ける際には、被連結部材520における一対の突出板部520aが、連結解除位置に移動された前記連結部材510の一対の矩形開口部510bに対して
図6の矢印Cで示す方向に挿入される。そして、この状態から連結部材510を後側にスライドさせて所定の連結位置まで移動させる。
【0039】
この連結状態では、連結部材510における一対の矩形開口部510bの前側端縁に形成された係合片510cが、被連結部材520における一対の突出板部520aの溝部520bに係合している。この状態から連結部材510を前側にスライドさせて所定の連結解除位置まで移動させると、一対の係合片510cが各溝部520bの外側に移動して、連結部材510と被連結部材520との連結が解除される。連結部材510を連結解除位置から後側にスライドさせて連結位置に戻すと、連結部材510と被連結部材520とが連結される。この連結部材510のスライド操作は、ユーザーが手動で行えばよい。連結部材510と被連結部材520とを連結させた後、連結部材510の係合固定部510fを、前側縦フレーム512のコ字状フレーム部512aに前側から係合させて螺子517(
図6参照)で固定すればよい。これにより、連結部材510が意図せず前側に動いて連結部材510と被連結部材520との連結が意図せず解除されるのを防止することができる。
【0040】
[前側縦フレーム512及び後側縦フレーム513の構成]
図6に示すように、前側縦フレーム512は、左側に開放する断面コ字状のコ字状フレーム部512aと、コ字状フレーム部512aの後端縁に連結されて上下方向に延びる平板フレーム部512bとを有している。平板フレーム部512bの上端部には左右方向に長い矩形固定板部512cが形成されている。矩形固定板部512cには厚さ方向に貫通する螺子孔512dが形成されている。螺子孔512dは、後述するように外装カバーUの固定用に使用される。
【0041】
後側縦フレーム513は、前側縦フレーム512の平板フレーム部512bに対向する平板状をなしている。
図5に示すように、後側縦フレーム513の上端部には、前側に向かって水平に突出する折曲固定板部513dが形成されている。折曲固定板部513dには、上下方向に貫通する螺子孔513eが形成されている。螺子孔513eは、後述する外装カバーUの固定用に使用される。後側縦フレーム513の下端部には、前側に向かって水平に突出する水平板部513aと、水平板部513aの前側端縁に接続された鉛直板部513bとが形成されている。鉛直板部513bには厚さ方向に貫通する螺子孔513cが形成されている。この螺子孔513cは、後述するように外装カバーUの固定用に使用される。
【0042】
[外装カバーUの詳細構成]
次に、
図10~
図21を参照して、前記外装カバーUの構成を説明する。外装カバーUは、互いに同じ形状の複数(本実施形態では四つ)のカバー部材600を組合わせて構成されている。各図では、複数のカバー部材600の組合わせ構造を理解し易いように、それぞれのカバー部材600の一側端部に「A」の文字を表記し、他側端部に「B」の文字を表記している。
【0043】
外装カバーUは、上側辺部u1、前側辺部u2、及び後側辺部u3により構成されている。上側辺部u1は、画像形成装置1の前後方向(装置前後方向)に水平に延びて連結機構500の上側を覆うように配置されている。前側辺部u2は、上側辺部u1の前側端部から下側に延びて連結機構500の前側を覆うように配置されている。後側辺部u3は、上側辺部u1の後側端部から下側に延びて連結機構500の後側を覆うように配置されている。連結機構500の後側は、画像形成装置1の前側に立つユーザーから見て死角になるため前側に比べて隠す必要性が少ない。そこで、外装カバーUの後側辺部u3を、一つのカバー部材600のみで構成することで、二つのカバー部材600を直線配置した前側辺部u2に比べて長さが短くなるようにしている。
【0044】
図11及び
図12に示すように、カバー部材600は、所定方向(
図11及び
図12の上下方向)に延びる樹脂製部材からなる。カバー部材600は、金型内に樹脂を射出して固化させた型成形品からなる。尚、カバー部材600は、樹脂材料に限ったものではなく、金属材料で形成されていてもよい。また、カバー部材600の成形方法は、必ずしも型成形に限らず、例えば板金部材の折曲げ加工やプレス成形等を採用してもよい。
【0045】
カバー部材600は、前記所定方向に延びる延設壁601を有している。延設壁601の表側面(意匠面)601aは、
図12及び
図13に示すように、矩形板の平坦面部601bと、該平坦面部601bの幅方向の一端縁に滑らかに接続された傾斜面部601cとを有している。延設壁601の一端縁には、カバー部材600の裏面側に突出する平板状の側壁602(
図11参照)が接続されている。側壁602の延設方向の中間部には略矩形状の切欠部602a(
図10参照)が形成されている。延設壁601の裏面と側壁602の内面とは、カバー部材600の延設方向に間隔を空けて並ぶ複数のリブ606(
図11参照)を介して連結されている。
【0046】
カバー部材600の延設方向の一側端部には一側組付部K1が形成され、他側端部には他側組付部K2が形成されている。二つのカバー部材600は、一方のカバー部材600の一側組付部K1を他方のカバー部材600の他側組付部K2に係合させることで連結される。本実施形態では、一方のカバー部材600の一側組付部K1と、他方のカバー部材600の他側組付部K2は、直線組付状態と直交組付状態とに選択的に組替え可能に構成されている。直線組付状態では、二つのカバー部材600は互いの延設方向を一致させて一直線状に連結される(後述する
図18参照)。一方、直交組付状態では、二つのカバー部材600は互いの延設方向が直交してL字状に連結される(後述する
図21参照)。このように、二つのカバー部材600を直線組付状態と直交組付状態とに組替え可能に構成することで、外装カバーUの形状を、
図10に示す形状に限らず様々な形状に変更することができる。
【0047】
[一側組付部K1の構成]
図11~
図15を参照して、一側組付部K1の構成を説明する。一側組付部K1は、カバー部材600の表側面601aに対して裏面側に凹む凹部604を有している。凹部604は、カバー部材600の延設方向の一側(
図12の上側)及び幅方向の側壁602側(
図12の右側)に開放している。
【0048】
凹部604は、座面604a及び側面604bとで形成されている。座面604aは、カバー部材600の表裏方向(
図12の紙面垂直方向)に垂直な平坦面からなる。側面604bは、座面604aにおけるカバー部材600の延設方向の他側の端縁から起立している。座面604aの裏面側の周縁部には、側壁602に連結されたコ字状壁605(
図11等参照)が立設されている。
【0049】
座面604aには、カバー部材600の幅方向に並ぶ一対の位置決め孔604c,604dが形成されている。座面604aにおける一対の位置決め孔604c,604dの間には貫通孔604eが形成されている。また、座面604aには、カバー幅方向に長い矩形状の逃げ孔604fが形成されている。逃げ孔604fは、一対の位置決め孔604c,604dよりも前記延設方向の一側に位置している。
【0050】
側面604bは、
図14及び
図15に示すように、カバー幅方向に沿って延びる平坦面部604jと、平坦面部604jのカバー幅方向の一側端縁に所定角度で滑らかに接続された傾斜面部604kとを有している。側面604bは、カバー表裏方向から見て、略への字状に形成されている。この側面604bは嵌合形状部として機能する。
【0051】
凹部604の側面604bには、
図15に示すように、カバー幅方向に長い矩形状の被係合孔604gと、一対の位置決め孔604h,604iとが形成されている。一対の位置決め孔604h,604iは、被係合孔604gよりもカバー表裏方向の表側に位置している。
【0052】
[他側組付部K2の構成]
次に、
図11~
図13、
図16及び
図17を参照して、他側組付部K2の構成を説明する。他側組付部K2は、
図11に示すように、延設壁601におけるカバー延設方向の他側端縁から裏面側に突出する端部壁603と、端部壁603の突出側端部の内面及び側壁602の内面に接続された矩形板状の座板部610(後述する
図21も参照)とを有している。この座板部610における延設壁601側とは反対側の面が、直線組付け状態において前記座面604aに当接する当接面610aを構成している。
【0053】
座板部610には、カバー幅方向に並ぶ一対の位置決め突部611,612が突設されている。一対の位置決め突部611,612は共に円柱状に形成されている。座板部610における一対の位置決め突部611,612の間には螺子孔613が形成されている。座板部610の当接面610aには、カバー表裏方向の裏側(
図11の紙面手前側)に突出する係合フック614が突設されている。係合フック614は、螺子孔613よりもカバー延設方向の一側に位置している。係合フック614は、カバー延設方向(
図11の上下方向)に可撓可能な突出板の先端部に係合爪を形成してなる。
【0054】
端部壁603は、
図12、
図13、
図16及び
図17に示すように、カバー幅方向に沿って延びる平坦面部603bと、該平坦面部603bにおけるカバー幅方向の一側端縁に所定角度で滑らかに接続された傾斜面部603cとを有している。この端部壁603は、前記一側組付部K1における凹部604の側面604b(嵌合形状部)に嵌合可能な被嵌合形状部として機能する。
【0055】
[直線組付状態の説明]
図16及び
図17に示すように、二つのカバー部材600を用意し、一方のカバー部材600の一側組付部K1における凹部側面604bと他方のカバー部材600における他側組付部K2の端部壁603とを嵌合させることで、一側組付部K1と他側組付部K2とが直線組付状態となる。これにより、二つのカバー部材600が、
図18に示すように一直線状に連結される。直線組付状態では、
図19に示すように、一側組付部K1の一対の位置決め孔604c,604dに、他側組付部K2の一対の位置決め突部611,612がそれぞれ係合する。これにより、二つのカバー部材600が互いに位置決めされる。この状態で、一側組付部K1の貫通孔604eに螺子650を挿通して他側組付部K2の螺子孔613(
図11参照)に螺合させることで、二つのカバー部材600が分離不能に固定される。直接組付状態では、後述する直交組付状態において使用する他側組付部K2の係合フック614は、一側組付部K1に設けられた逃げ孔604fに遊びを持って貫通する。
【0056】
[直交組付状態の説明]
次に、
図20及び
図21を基に、一側組付部K1と他側組付部K2との直交組付状態について説明する。
図20は、外装カバーUを左右方向の中央位置で切断したカットモデルである。この図に示すように、一側組付部K1と他側組付部K2との直交組付状態による組付けは、例えば外装カバーUの上側の前後の角部に適用される。
【0057】
図21は、
図20のカットモデルにおける前側の角部を拡大して示す拡大図である。この図の例に示すように、直交組付状態では、上下方向に延びるカバー部材600(一方のカバー部材の一例)における一側組付部K1の凹部側面604bに、左右方向に延びるカバー部材600(他方のカバー部材の一例)における他側組付部K2の当接面610aを当接させることで、二つのカバー部材600を直交させる。
【0058】
そして、他側組付部K2の係合フック614を、一側組付部K1における凹部側面604bの被係合孔604gに係合させる。これにより係合フック614の爪部が被係合孔604g(引掛部の一例)の縁部に引っ掛かるので、二つのカバー部材600が直交状態で固定される。尚、直交組付状態においては、図示していないが、他側組付部K2の当接面610aに突設された一対の位置決め突部611,612(
図11参照)が、一側組付部K1の凹部側面604bに形成された一対の位置決め孔604h,604i(
図15参照)にそれぞれ係合する。これにより、二つのカバー部材600が互いに位置決めされる。
【0059】
[外装カバーUの固定構造]
外装カバーUは、
図4に示すように、連結機構500に対して、第一固定箇所F1と第二固定箇所F2と第三固定箇所F3との三箇所で固定されている。
【0060】
図22は、第一固定箇所F1を示す拡大斜視図である。第一固定箇所F1では、外装カバーUの上側辺部u1を構成するカバー部材600の後端部を、後側縦フレーム513の上端部に固定している。具体的には、該カバー部材600の後端部に位置する一側組付部K1の座面604aに形成された貫通孔604eに螺子651を挿通し、挿通した螺子651を、後側縦フレーム513の上端部に形成された折曲固定板部513d(
図5参照)の螺子孔513eに螺合している。
【0061】
図23は、第二固定箇所F2を示す斜視図である。第二固定箇所F2では、外装カバーUの前側辺部u2を構成する上側のカバー部材600の上端部を、前側縦フレーム512の上端部に固定している。具体的には、該カバー部材600の上端部に位置する一側組付部K1の貫通孔604eに螺子652を挿通して、該螺子652を、前側縦フレーム512の上端部に形成された矩形固定板部512cの螺子孔512dに螺合している。
【0062】
図24は、第三固定箇所F3を示す斜視図である。第三固定箇所F3では、外装カバーUの後側辺部u3を構成するカバー部材600の下端部を、後側縦フレーム513の下端部に固定している。具体的には、該カバー部材600の下端部に位置する一側組付部K1の貫通孔604eに螺子653を挿通して、該螺子653を、後側縦フレーム513の下端部に形成された鉛直板部513bの螺子孔513c(
図5参照)に螺合している。
【0063】
[画像形成装置1及び後処理装置400に対する外装カバーUの位置関係]
図25に示すように、外装カバーUの上面は、後処理装置400の排出トレイ部401bの延長部として機能する。排出トレイ部401bは、左側から右側に向かって上側に傾斜する傾斜面部401fと、傾斜面部401fの上端縁から右側に水平に延びる平坦面部401gとを有している。外装カバーUの上面は、上側辺部u1を構成するカバー部材600の表側面601a、より詳しくは傾斜面部601c及び平坦面部601bにより構成されている。
この傾斜面部601cは、左側から右側に向かって上側に略45°で傾斜している。傾斜面部601cの下端縁は、排出トレイ部401bの平坦面部401gよりも下側に位置し、傾斜面部601cの上端縁は、排出トレイ部401bの平坦面部401gよりも上側に位置している。
図25の例では、排出トレイ部401bの平坦面部401gの高さ位置は、上側辺部u1を構成するカバー部材600の傾斜面部601cの上下方向中央の高さ位置に一致している。そして、該カバー部材600の傾斜面部601cは、排出トレイ部401bに排出されるシートSの先端を右斜め上側に向かうようにガイドして平坦面部601b上に到達させるように形成されている。したがって、
図25に示すように、第一排出口401dから排出されたシートSは、外装カバーUによってシートの移動が阻害されることなく、排出トレイ部401bと外装カバーUの上面とに跨がって積載される。尚、本実施形態のように、排出トレイ部401bと外装カバーUの上面との間に段差(三角柱状の凹部)を有する構成に限らず、排出トレイ部401bと外装カバーの上面とを連続的に繋げて面一にしてもよい。
【0064】
図26に示すように、外装カバーUの左右方向の幅寸法Wは、開閉カバー35aを最大開放位置に変位させた状態における左側への突出量Zよりも大きい。左側への突出量Zとは即ち、画像形成装置本体部100の左側面(被連結部材520の取付面)に対する開閉カバー35aの後処理装置400側への突出量である。
【0065】
図27に示すように、後処理装置400の前側面には開閉扉404が設けられている。開閉扉404は、閉状態において後側に開放する矩形ケース状に形成されている。開閉扉404は、閉状態においてその右側端縁の上端部に凹状の取手部404aを有している。開閉扉404の左側の端縁は、上下方向に延びる軸線405回りに回動可能になるように筐体401に支持されている。ユーザーは、取手部404aに指を掛けて開閉扉404を軸線405回り前側に開放することで、後処理装置400の内部にアクセスして各種メンテナンス作業を行うことができる。そして、外装カバーUの前側辺部u2における開閉扉404側の端縁部は、後側から前側に向かって画像形成装置1側に傾斜する傾斜面とされている。この傾斜面は、外装カバーUの上側辺部u1を構成するカバー部材600の端部壁603の傾斜面部603cと、前側辺部u2を構成する各カバー部材600の表側面601aの傾斜面部601c(
図25参照)とからなる。
【0066】
また、
図27に示すように、外装カバーUの前側辺部u2を構成するカバー部材600は、画像形成装置本体部100の前カバー103に形成された取手部103aよりも後側に位置している。
【0067】
図28及び
図29に示すように、画像形成装置1の左側面の後端部には、矩形状の通気口100aが形成されている。通気口100aは、不図示の送風ファンによって画像形成装置本体部100内に取込まれた冷却空気を外部に排出するための排気口とされている。
【0068】
そして、外装カバーUの後側辺部u3を構成するカバー部材600は、
図29に示すように、前記通気口100aよりも前側に配置されている。尚、通気口100aは、排気用に限ったものではなく吸気用であってもよい。
【0069】
[本実施形態の作用効果]
以上説明したように、本実施形態では、外装カバーUは、画像形成装置1と後処理装置400との対向方向に直交する装置前後方向に沿って延びるとともに前記連結機構500の上側を覆う上側辺部u1と、連結機構500における装置前後方向の端部を覆う前側辺部u2及び後側辺部u3を有している。そして、外装カバーUは、同じ形状の複数のカバー部材600を組み合わせて構成されている。
【0070】
この構成によれば、外装カバーUは、同じ形状の複数のカバー部材600を組み合わせて構成されているので、例えば、使用するカバー部材600の数を増減したりカバー部材600の配置を変更したりすることで、外装カバーUの形状を容易に変更することができる。よって、様々な機種の後処理装置400に対して、外装カバーUを専用設計することなくカバー部材600の増減や配置変更により対応することができる。この結果、後処理装置400用の外装カバーUを、既存品を流用しなくても適切な形状に形成することができる。よって、流用品を使用することに起因する外装カバーUの外観意匠の低下を防止することができる。
【0071】
また、本実施形態では、任意の二つのカバー部材600は、一方のカバー部材600の一側組付部K1と、他方のカバー部材600の他側組付部K2とを互いに組付けることで連結可能であり、一方のカバー部材600の一側組付部K1と、他方のカバー部材600の他側組付部K2とは、二つのカバー部材600を、それぞれの延設方向を一致させて一直線状に連結する直線組付状態と、該二つのカバー部材600をそれぞれの延設方向が直交するように連結する直交組付状態とに組替え可能に構成されている。
【0072】
この構成によれば、同じ形状のカバー部材600を組合わせて様々な形状の外装カバーを形成することができる。したがって、画像形成装置1に装着される後処理装置400の種類に応じて外装カバーを専用設計する必要がない。よって、外装カバーUの製造コストを低減することができる。特に、後処理装置400が少量生産機種である場合に、外装カバーUを専用設計する必要がないので、外装カバーUをその生産量に見合ったコストで製造することができる。また、少量生産機種の外装カバーUについて、既存品の流用等で対応したり板金部材を使用したりする必要がなくなるので、外観意匠(外観のデザイン性)を向上させることができる。
【0073】
また、本実施形態では、カバー部材600は型成形により製造される成型品とされている。
【0074】
この構成によれば、カバー部材600を板金部材等により構成する場合に比べて外観意匠を向上させることができる。また、カバー部材600を成形するための金型が一つあればよいので、後処理装置400の種類に応じて異なる形状の外装カバーUが必要になったとしても金型を新規に製作する必要がない。よって、金型の製造コストを可及的に低減することができる。
【0075】
また、本実施形態では、一側組付部K1と他側組付部K2とは、両組付部K1,K2のいずれか一方(本例では他側組付部K2)に設けられた一対の位置決め突部611,612を、他方(本例では一側組付部K1)設けられた位置決め孔604c,604dに係合させて該組付部を互いに螺子650で固定することにより前記直線組付状態となり、該両組付部のいずれか一方(本例では他側組付部K2)に設けられた係合フック614を他方(本例では他側組付部K2)に設けられた被係合孔604gに引っ掛けることで前記直交組付状態になるように構成されている。
【0076】
この構成によれば、簡単な作業により、一側組付部K1及び他側組付部K2を直線組付状態と直交組付状態とに組替えることができる。尚、本例とは逆に、いずれか一方の組付部を一側組付部K1とし、他方の組付部を他側組付部K2としてもよい。
【0077】
また、本実施形態では、一対の位置決め突部611,612及び係合フック614は、他側組付部K2に設けられ(
図11参照)、位置決め孔604c,604d及び被係合孔604g(
図15参照)は、他側組付部K2に設けられている。各カバー部材600の表裏方向の表側面601aは、前記所定方向に延びる意匠面とされている。そして、一側組付部K1は、カバー部材600の表側面601aに対して裏面側に凹むとともに延設方向の一側に開放する凹部604を有している。凹部604は、カバー部材600の表裏方向に対して垂直に形成された座面604aと、該座面604aにおけるカバー延設方向の他側端縁から起立する凹部側面604bとを有している。座面604aには、前記直線組付状態において、他側組付部K2設けられた前記一対の位置決め突部611,612に係合する一対の位置決め孔604c,604dと、前記直線組付状態において係合フック614を逃がす逃げ孔604fとが形成されている。凹部側面604bには、前記直交組付状態において、他側組付部K2に設けられた係合フック614と係合する前記被係合孔604gが形成されている。
【0078】
この構成によれば、カバー部材600の表側面601aに形成した凹部604を利用して、直線組付状態で使用する一対の位置決め孔604c,604dと、直交組付状態で使用する被係合孔604gとを互いに異なる面に容易に形成することができる。
【0079】
本実施形態では、他側組付部K2は、直線組付状態において、一側組付部K1の座面604aに当接する当接面610aを有している。他側組付部K2の当接面610aには、前記一対の位置決め突部611,612と係合フック614とが突設されている。
【0080】
この構成によれば、突設形状を他側組付部K2に集約したので、一側組付部K1と他側組付部K2との組付け構造を簡素化することができる。
【0081】
また、本実施形態では、一側組付部K1と他側組付部K2とは、前記直線組付状態において一側組付部K1の貫通孔604eに挿通された螺子650を、他側組付部K2の螺子孔613に螺合させることで互いに固定される。
【0082】
この構成によれば、一側組付部K1と他側組付部K2とを螺子650により直線組付状態に確実に固定することができる。
【0083】
また、実施形態では、一方のカバー部材600の嵌合形状部である凹部側面604b(
図16及び
図17参照)と、他方のカバー部材600の被嵌合形状部である端部壁603とを嵌合させない限り、一側組付部K1と他側組付部K2とを前記直線組付状態で組付けできないように構成されている。これにより、二つのカバー部材600の誤組みを防止することができる。
【0084】
また、本実施形態では、カバー部材600の表側面601aは、カバー延設方向に延びる意匠面とされ、任意の二つのカバー部材600は、一側組付部K1と他側組付部K2とを直線組付状態で組付けた場合に、該両カバー部材600の意匠面が段差無く略面一に繋がるように形成されている。同様に、前記任意の二つのカバー部材600は、一側組付部K1と他側組付部K2とを直交組付状態で組付けた場合に、該両カバー部材600の意匠面が端部壁603(
図21参照)を介して段差無く略面一に繋がるように形成されている。この構成によれば、外装カバーUの外観意匠を可及的に向上させることができる。
【0085】
また、本実施形態では、複数のカバー部材600は、外装カバーUとして組立てたときに、上側辺部u1の上面における排出トレイ部401b側の縁部が、左右方向(対向方向)の後処理装置400側から画像形成装置1側に向かって上側に傾斜して、排出トレイ部401b上に排出されるシートSの移動を阻害しないように形成されている。
【0086】
これにより、排出トレイ部401bに排出されたシートSが外装カバーUと干渉して折れ曲がるのを防止することができる。また、外装カバーUの上面を排出トレイ部401bの延長部として兼用することができる。よって、シートSのサイズが大きい場合に、新たに排出トレイを追加したり、筐体401を大型化して排出トレイ部401bをシート排出方向に拡大したりする必要もない。
【0087】
また、本実施形態では、複数のカバー部材600は、前記外装カバーUとして組立てたときに、前側辺部u2における後処理装置400の開閉扉404側の端縁部が、上側から見て、後側から前側に向かって画像形成装置1側に傾斜するように形成されている。
【0088】
これによれば、開閉扉404の開閉操作時に外装カバーUの前側辺部u2が邪魔にならず、ユーザーは開閉扉404の開閉作業を容易に行うことができる。
【0089】
《他の実施形態》
前記実施形態では、外装カバーUは、連結機構500における装置前後方向の端部を覆う側辺部として前側辺部u2及び後側辺部u3を有しているが、これに限ったものではなく、前側辺部u2と後側辺部u3との一方のみを有していてもよい。一例として、前記側辺部を、連結機構500の前後方向の両側端部のうちユーザーに露出する度合が高い側(前記実施形態では前側であるが、画像形成装置1の配置レイアウトによっては後側の場合もあり得る)にのみ配置することが考えられる。
【0090】
前記実施形態では、画像形成装置1の側方に配置されるオプション装置の一例として後処理装置400を挙げて説明したが、これに限ったものではない。オプション装置の他の例として、例えば中継搬送装置、給紙装置、シートスタック装置等を採用することができる。
【0091】
前記実施形態では、画像形成装置1が複写機である例を説明したが、これに限ったものではない。画像形成装置1は、例えばプリンター、ファクシミリー、又は複合機(MFP)等であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0092】
以上説明したように、本発明は、後処理装置と画像形成装置とを連結する連結機構の外装カバーに有用であり、特に、画像形成装置がプリンター、ファクシミリー、複写機又は複合機(MFP)である場合に有用である。
【符号の説明】
【0093】
1 :画像形成装置
400 :後処理装置(オプション装置の一例)
401 :筐体
401b :排出トレイ部
403 :後処理機構
404 :開閉扉
500 :連結機構
600 :カバー部材
601a :表側面
604 :凹部
604a :座面
604b :側面
604c :位置決め孔
604d :位置決め孔
604e :貫通孔
604f :逃げ孔
604g :被係合孔(引掛部)
610a :当接面
611 :位置決め突部
612 :位置決め突部
613 :螺子孔
614 :係合フック
650 :螺子
K1 :一側組付部
K2 :他側組付部
S :シート
U :外装カバー
u1 :上側辺部
u2 :前側辺部(側辺部)
u3 :後側辺部(側辺部)