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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-08
(45)【発行日】2024-05-16
(54)【発明の名称】ホースクリップ
(51)【国際特許分類】
   F16L 33/02 20060101AFI20240509BHJP
   F16L 33/08 20060101ALI20240509BHJP
【FI】
F16L33/02
F16L33/08
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020091819
(22)【出願日】2020-05-27
(65)【公開番号】P2021188636
(43)【公開日】2021-12-13
【審査請求日】2023-03-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000002082
【氏名又は名称】スズキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001380
【氏名又は名称】弁理士法人東京国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】村松 仁
(72)【発明者】
【氏名】大川 歩
【審査官】渡邉 聡
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/142226(WO,A1)
【文献】特開平01-122679(JP,A)
【文献】特表2002-525542(JP,A)
【文献】特公昭37-009637(JP,B1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0347737(US,A1)
【文献】米国特許第3477106(US,A)
【文献】米国特許第3407448(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 33/02
F16L 33/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属製のパイプがホースに挿入されて接続される前記ホースとの接続部における前記ホース側を締め付けるホースクリップであって、
前記接続部の前記ホース側を締め付けるバンド部と、このバンド部に連結された押え部とを有し、
前記押え部が、母材に、前記パイプよりも腐食し易い金属を用いたメッキ処理または塗装処理を施して構成され、且つ前記パイプに、このパイプの径方向に接触するよう構成されたことを特徴とするホースクリップ。
【請求項2】
前記バンド部は、パイプよりも腐食し易い金属を備えて構成されたことを特徴とする請求項1に記載のホースクリップ。
【請求項3】
前記バンド部がパイプとホースとの接続部における前記ホース側を締め付けることにより、押え部が前記パイプに接触するよう構成されたことを特徴とする請求項1または2に記載のホースクリップ。
【請求項4】
前記押え部は、パイプの複数箇所に接触するように複数設けられたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のホースクリップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属製のパイプがホースに挿入されて接続される接続部のホース側を締め付けるホースクリップに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、アルミニウム合金製チューブとゴムホース等の可撓性ホースとの接続部を含むその接続部近傍の上記チューブの外周面に、非金属材料からなる被覆部が設けられることで、アルミニウム合金製チューブにガルバニック腐食が生じないようにする技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平11-101390号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、特許文献1に記載の技術では、アルミニウム合金製チューブの外周面に被覆部が設けられることで部品点数が増加してしまう。また、アルミニウム合金製チューブは、被覆部を備えた専用品を準備する必要がある。
【0005】
本発明の目的は、上述の事情を考慮してなされたものであり、ホースに挿入されて接続される金属製のパイプにおけるホースとの接続部の腐食を防止できるホースクリップを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るホースクリップは、金属製のパイプがホースに挿入されて接続される前記ホースとの接続部における前記ホース側を締め付けるホースクリップであって、前記接続部の前記ホース側を締め付けるバンド部と、このバンド部に連結された押え部とを有し、前記押え部が、母材に、前記パイプよりも腐食し易い金属を用いたメッキ処理または塗装処理を施して構成され、且つ前記パイプに、このパイプの径方向に接触するよう構成されたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、バンド部に連結されてパイプよりも腐食し易い金属を備えて構成された押え部に犠牲防食の効果が生じ、これにより、パイプとホースとの接続部のパイプ側に生ずるガルバニック腐食や隙間腐食を防止できる。また、腐食による部品交換をパイプ以外のホースクリップで行うことができる。更に、ホースクリップは腐食の程度を外部から目視で確認できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明に係るホースクリップの第1実施形態が適用されたパイプとホースとの接続部を示す断面図。
図2図1のホースクリップを示す斜視図。
図3図1及び図2のホースクリップにおける押え部が単数の場合を示す斜視図。
図4】本発明に係るホースクリップの第2実施形態を示す斜視図。
図5図4のホースクリップにおける押え部が単数の場合を示す斜視図。
図6】本発明に係るホースクリップの第3実施形態を示す斜視図。
図7図6のホースクリップが適用されたパイプとホースとの接続部を示す断面図。
図8】本発明に係るホースクリップの第4実施形態が適用されたパイプとホースとの接続部を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための実施形態を図面に基づき説明する。
[A]第1実施形態(図1図5
図1は、本発明に係るホースクリップの第1実施形態が適用されたパイプとホースとの接続部を示す断面図である。また、図2は、図1のホースクリップを示す斜視図である。ホースクリップ10は、例えば、自動車用のラジエータやトランスミッションにおける金属製のパイプ1とゴムまたは樹脂製のホース2との接続部3を締め付けて固定する。このホースクリップ10は、パイプ1がホース2に挿入されることで接続されるパイプ1とホース2との接続部3におけるホース2側を、外側から締め付けるものである。
【0010】
ここで、パイプ1は、アルミニウム展伸材などのように汎用的に用いられるアルミニウム合金である。このアルミニウム合金としては、例えばAl-Mn系、Al-Si系またはAl-Zn-Mg系などの合金が特に用いられる。
【0011】
ホースクリップ10は、パイプ1とホース2との接続部3におけるホース2側を締め付けるバンド部11と、このバンド部11に連結された押え部12と、を有して構成される。
【0012】
バンド部11は、板材をリング状に湾曲させ、両端部を互いに交差させて形成され、両先端部が屈曲した屈曲部13を備える。屈曲部13を互いに接近させる方向の力Fがこの屈曲部13に付与されることで、バンド部11が拡径し、上記力Fを解除することでバンド部11が縮径する。バンド部11の拡径状態で、このバンド部11内に挿通されたパイプ1とホース2との接続部3がバンド部11に対して軸方向に移動可能となり、また縮径されたバンド部11により、パイプ1とホース2との接続部3が締め付けられる。
【0013】
押え部12は複数本、例えば2本設けられ、一方の押え部12Aがバンド部11の一方の先端部に一体に連結される。他方の押え部12Bは、一方の押え部12Aと例えば対向する位置でバンド部11に一体に連結される。これらの押え部12A及び12Bは、バンド部11の半径方向中心向きに延びる。そして、これらの押え部12A及び12Bは、バンド部11が縮径してパイプ1とホース2との接続部3におけるホース2側を締め付ける際に、この締め付けによりパイプ1の外周面に接触する。
【0014】
バンド部11の他方の先端部には突起14が設けられる。この突起14は、バンド部11を拡径させるべく力Fによりバンド部11の屈曲部13を接近させる際に、押え部12Aをバンド部11の半径方向外方へ押し上げる。これにより、バンド部11の拡径状態でパイプ1とホース2との接続部3がバンド部11内を移動する際に、押え部12Aが接続部3に当接してこの接続部3の移動を妨げることを防止する。なお、押え部12は、図3に示すように、バンド部11の一方の先端部のみに設けられて、押え部12Aのみの単数であってもよい。
【0015】
上述のバンド部11及び押え部12を有するホースクリップ10では、バンド部11と押え部12は、アルミニウム合金製のパイプ1よりも腐食しやすい金属を備えて構成される。つまり、バンド部11と押え部12は、鉄やステンレスなどの鉄鋼材を母材として、パイプ1よりも腐食しやすい金属を用いたメッキ処理(例えば亜鉛メッキや亜鉛ニッケルメッキなど)または塗装処理(例えば亜鉛フレーク含有塗装など)にて構成される。
【0016】
なお、押え部12は、鉄鋼材に亜鉛などのメッキ処理または塗装処理を施さず、亜鉛または亜鉛ニッケル合金のみにて構成されもよい。また、バンド部11は、亜鉛等を用いたメッキ処理または塗装処理を施さず、鉄鋼材のままでもよい。
【0017】
特に、アルミニウム合金製のパイプ1に接触する押え部12が、パイプ1よりも腐食しやすい金属、例えば亜鉛または亜鉛ニッケル合金を備えて構成されたのは次の理由による。つまり、ホースクリップ10の押え部12がパイプ1に接触した状態では、この押え部12とパイプ1とが異種金属接触になる。このため、押え部12とパイプ1との接触箇所に水が付着することで、押え部12に犠牲防食の効果が生じ、パイプ1よりも押え部12が優先的に腐食する。これにより、パイプ1とホース2との接続部3に水が付着することでこの接続部3のパイプ1側に生ずるガルバニック腐食や隙間腐食を防止できるからである。
【0018】
以上のように構成されたことから、本第1実施形態によれば、次の効果(1)~(7)を奏する。
(1)ホースクリップ10のバンド部11に連結されてパイプ1よりも腐食しやすい金属、例えば亜鉛をメッキ処理により備えて構成された押え部12がパイプ1に接触した状態では、この押え部12とパイプ1とが異種金属接触になる。このため、パイプ1と押え部12との接触箇所に水が付着したときに押え部12に犠牲防食の効果が生ずる。この押え部12の犠牲防食によって、パイプ1とホース2との接続部3に水が付着したときに接続部3のパイプ1側に生ずるガルバニック腐食や隙間腐食を防止できる。
【0019】
(2)ホースクリップ10の押え部12が犠牲防食の効果を果たすことで、腐食による部品交換をパイプ1以外のホースクリップ10で行なうことができ、腐食による部品交換を低コスト化できる。
【0020】
(3)ホースクリップ10は腐食の程度を外部から目視できるので、車両点検時にホースクリップ10の交換が必要か否かを容易に判断できる。
【0021】
(4)ホースクリップ10のバンド部11が、パイプ1よりも腐食しやすい金属、例えば亜鉛をメッキ処理により備えて構成されたので、犠牲防食の効果を押え部12及びバンド部11にて生じさせることができる。これにより、犠牲防食の効果を更に高めることができる。
【0022】
(5)ホースクリップ10のバンド部11は、鉄鋼材を母材とし、この母材にパイプ1よりも腐食し易い亜鉛等の金属がメッキまたは塗装されて構成される。このため、膜厚がミクロンオーダーのメッキまたは塗装の皮膜が腐食しても、母材は腐食しないので、バンド部11の締付力を保持できる。しかも、バンド部11の内周面及び外周面にメッキまたは塗装の薄膜が施されるが、バンド部11の内周面がホース2に密着することで、この内周面のメッキまたは塗装の皮膜は腐食され難い。このことからも、バンド部11の締結力を保持できる。
【0023】
(6)ホースクリップ10のバンド部11が、パイプ1とホース2との接続部3のホース2側を締め付けることにより、ホースクリップ10の押え部12がパイプ1に接触するよう構成されている。このため、バンド部11が拡径してパイプ1とホース2との接続部3のホース2側を締め付けていないときに、押え部12はパイプ1に接触しないので、拡径状態のバンド部11内へのパイプ1とホース2との接続部3の組付を容易化できる。
【0024】
(7)ホースクリップ10の押え部12が複数設けられて、それぞれの押え部12がパイプ1に接触するので、1つの押え部12がパイプ1に非接触になったとしても他の押え部12がパイプ1に接触していれば、この他の押え部12がパイプ1に対して犠牲防食の効果を果たすことができる。
【0025】
[B]第2実施形態(図4図5
図4は、本発明に係るホースクリップの第2実施形態を示す斜視図である。この第2実施形態において第1実施形態と同様な部分については、第1実施形態と同一の符号を付すことにより説明を簡略化し、または省略する。
【0026】
本第2実施形態のホースクリップ20が第1実施形態と異なる点はバンド部21の構成である。つまり、バンド部21は、バンド部本体22及びベルト23を備える。ベルト23は、バンド部本体22から延び、先端部をバンド部本体22に差し込むことでリング状に湾曲される。このベルト23の少なくとも先端部側には複数の切込み24がベルト23の長手方向に形成され、これらの切込み24が、バンド部本体22の図示しないウォームギアに噛み合う。
【0027】
バンド部本体22のウォームギアをレンチまたはドライバ等により回転させることで、ベルト23が拡径または縮径される。ベルト23の拡径時に、パイプ1とホース2との接続部3がバンド部21(バンド部本体22及びベルト23)内に挿通され、ベルト23の縮径時に、バンド部21(バンド部本体22及びベルト23)が、パイプ1とホース2との接続部3におけるホース2側を締め付ける。
【0028】
このホースクリップ20においても、図4に示すようにバンド部21に複数の押え部12が設けられ、また、図5に示すようにバンド部21に単数の押え部12が設けられる。例えば、図4では、バンド部21のバンド部本体22に押え部12Aが、ベルト23に押え部12Bがそれぞれ連結され、図5ではバンド部21のバンド部本体22に押え部12Aが連結される。
【0029】
上述のバンド部21と押え部12は、共に鉄鋼材の母材に、パイプ1よりも腐食し易い金属(例えば亜鉛または亜鉛ニッケル合金など)がメッキ処理または塗装処理されて構成される。なお、押え部12は、鉄鋼材に亜鉛などのメッキ処理または塗装処理が施されず、亜鉛または亜鉛ニッケル合金のみにて構成されてもよい。また、バンド部21は、亜鉛等を用いたメッキ処理または塗装処理が施されず、鉄鋼材のままであってもよい。
【0030】
以上ように構成されたことから、本第2実施形態においても、第1実施形態の効果(1)~(7)と同様な効果を奏する。
【0031】
[C]第3実施形態(図6図7
図6は、本発明に係るホースクリップの第3実施形態を示す斜視図である。この第3実施形態において第1実施形態と同様な部分については、第1実施形態と同一の符号を付すことにより説明を簡略化し、または省略する。
【0032】
本第3実施形態のホースクリップ30が第1実施形態と異なる点は、シート状の押え部32がバンド部11と別体または一体に設けられ、図7に示すように、パイプ1とホース2との接続部3がバンド部11内に挿入されて、バンド部11の締め付けによりホースクリップ30と組みつけられる際に、バンド部11と接続部3との間に配置されたシート状の押え部32がペンチ等で押し曲げられて、この押え部32の先端部がパイプ1に接触するよう構成された点である。上記押え部32は、1枚に限らず、複数枚設けられてもよい。
【0033】
このホースクリップ30においても、バンド部11と押え部32は、共に鉄鋼材の母材に、パイプ1よりも腐食し易い金属(例えば亜鉛または亜鉛ニッケル合金など)がメッキ処理または塗装処理されて構成される。なお、シート状の押え部32は、鉄鋼材に亜鉛などのメッキ処理または塗装処理が施されず、亜鉛または亜鉛ニッケル合金のみにて構成されてもよい。また、この場合も、バンド部11は、亜鉛等を用いたメッキ処理または塗装処理が施されず、鉄鋼材のままであってもよい。
【0034】
以上ように構成されたことから、本第3実施形態においても、第1実施形態の効果(1)~(5)及び(7)と同様な効果を奏するほか、次の効果(8)を奏する。
【0035】
(8)パイプ1とホース2との接続部3がバンド部11内に挿入されて組み付けられる際には、シート状の押え部32が未だ押し曲げられていないので、パイプ1とホース2との接続部3をバンド部11内でスムーズに移動させることができる。このため、パイプ1とホース2との接続部3のバンド部11への組付を容易化できる。
【0036】
[D]第4実施形態(図8
図8は、本発明に係るホースクリップの第4実施形態が適用されたパイプとホースとの接続部を示す断面図である。この第4実施形態において第1実施形態と同様な部分については、第1実施形態と同一の符号を付すことにより説明を簡略化し、または省略する。
【0037】
本第4実施形態のホースクリップ40が第1実施形態と異なる点は、パイプ1とホース2との接続部3のホース2側を締め付ける第1ホースクリップ41と、パイプ1を締め付ける第2ホースクリップ42とを有し、これらの第1ホースクリップ41及び第2ホースクリップ42が、押え部12を具備しないバンド部11のみの同一構造で、1本の導線43、またはバックアップのために複数本の導線43により接続された点である。
【0038】
第1ホースクリップ41と第2ホースクリップ42のそれぞれのバンド部11は、共に鉄鋼材の母材に、パイプ1よりも腐食し易い金属(例えば亜鉛または亜鉛ニッケル合金など)がメッキ処理または塗装処理されて構成される。この場合、第1ホースクリップ41の締結力を確保すべく第2ホースクリップ42を優先的に腐食させてもよい。つまり、第2ホースクリップ42のバンド部11を第1ホースクリップ41のバンド部11よりも腐食し易くするために、第2ホースクリップ42のバンド部11を亜鉛で、第1ホースクリップ41のバンド部11を亜鉛ニッケル合金でそれぞれメッキ処理もしくは塗装処理してもよい。
【0039】
同様に、第2ホースクリップ42のバンド部11を第1ホースクリップ41のバンド部11よりも腐食し易くするために、第2ホースクリップ42のバンド部11をニッケル濃度の低い亜鉛ニッケル合金で、第1ホースクリップ41のバンド部11をニッケル濃度の高い亜鉛ニッケル合金で、それぞれメッキ処理または塗装処理してもよい。
【0040】
但し、第1ホースクリップ41のバンド部11は、亜鉛等を用いたメッキ処理または塗装処理が施されず、鉄鋼材のみで構成されてもよい。また、第1ホースクリップ41と第2ホースクリップ42とを導線43で接続しなくてもよい。これらの場合には、第2ホースクリップ42のみがパイプ1に対して犠牲防食の効果を果たすことになる。
【0041】
以上ように構成されたことから、本第4実施形態によれば、第1実施形態の効果(2)及び(3)と同様な効果を奏するほか、次の効果(9)~(11)を奏する。
【0042】
(9)ホースクリップ40の第2ホースクリップ42が、パイプ1に接触し、且つパイプ1よりも腐食し易い金属である例えば亜鉛をメッキ処理または塗装処理して構成されたので、第2ホースクリップ42とパイプ1との接触が異種金属接触になる。このため、第2ホースクリップ42とパイプ1との接触箇所に水が付着したときに第2ホースクリップに犠牲防食の効果が生じて、パイプ1とホース2との接続部3に水が付着したときに生ずる接続部3のパイプ1側のガルバニック腐食や隙間腐食を防止できる。
【0043】
(10)ホースクリップ40の第1ホースクリップ41が、パイプ1よりも腐食し易い金属、例えば亜鉛をメッキ処理または塗装処理して構成され、更に、この第1ホースクリップ41と第2ホースクリップ42とが導線43により接続されたので、犠牲防食の効果を第2ホースクリップ42及び第1ホースクリップ41にて生じさせることができる。これにより、犠牲防食の効果を更に高めることができる。
【0044】
(11)ホースクリップ40の第1ホースクリップ41は、鉄鋼材を母材とし、この母材に、パイプ1よりも腐食し易い亜鉛等の金属がメッキ処理または塗装処理されて構成される。このため、膜厚がミクロンオーダーのメッキまたは塗装の皮膜が腐食しても母材は腐食しないので、パイプ1とホース2との接続部3を締め付ける第1ホースクリップ41の締付力を保持できる。第1ホースクリップ41にメッキ処理または塗装処理が施されず、鉄鋼材のみにより構成される場合にも、当然に第1ホースクリップ41の締付力を保持できる。
【0045】
以上、本発明の実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができ、また、それらの置き換えや変更は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0046】
1…パイプ、2…ホース、3…接続部、10…ホースクリップ、11…バンド部、12、12A、12B…押え部、14…突起、20…ホースクリップ、21…バンド部、22…バンド部本体、23…ベルト、24…切込み、30…ホースクリップ、32…押え部、40…ホースクリップ、41…第1ホースクリップ、42…第2ホースクリップ、43…導線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8