(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-08
(45)【発行日】2024-05-16
(54)【発明の名称】医療診断支援システム、医療診断支援プログラム、および、医療診断支援方法
(51)【国際特許分類】
G16H 50/20 20180101AFI20240509BHJP
【FI】
G16H50/20
(21)【出願番号】P 2020093855
(22)【出願日】2020-05-29
【審査請求日】2022-12-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】松本 洋日
【審査官】吉田 誠
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-310632(JP,A)
【文献】特開2019-121390(JP,A)
【文献】特開平08-173404(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0206949(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00 - 80/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象者の生活習慣情報
及び前記対象者のX線画像情報を取得する取得部と、
罹患前の、生活習慣情報及びX線画像情報を入力データとし、発症後の、生活習慣情報、X線画像情報、並びに肺野濃度変化量、肺野形状変形量、及び心臓変形量の少なくとも1つとした画像処理パラメータを出力データとして学習済みの識別器を用いて、前記取得部により取得された前記対象者の生活習慣情報
及びX線画像情報から、
前記画像処理パラメータを決定し、前記対象者の将来の肺機能を推定する推定部と、
前記推定部により推定された結果
として、前記決定した画像処理パラメータを用いて、前記対象者のX線画像情報が示すX線画像を変形したX線画像を出力部に出力させる制御部と、
を備える医療診断支援システム。
【請求項2】
現在までの喫煙情報及びスパイロメータによる測定結果を含む、対象者の生活習慣情報を取得する取得部と、
罹患前の生活習慣情報を入力データとし、発症後の、生活習慣情報、並びに肺野濃度変化量、肺野形状変形量、及び心臓変形量の少なくとも1つとした画像処理パラメータを出力データとして学習済みの識別器を用いて、前記取得部により取得された前記対象者の生活習慣情報から、
前記画像処理パラメータを決定し、前記対象者の将来の肺機能を推定する推定部と、
前記推定部により推定された結果
として、前記決定した画像処理パラメータを用いて、前記対象者のスパイログラフを変形したスパイログラフを出力部に出力させる制御部と、
を備える医療診断支援システム。
【請求項3】
現在までの喫煙情報及びスパイロメータによる測定結果を含む、対象者の生活習慣情報を取得する取得部と、
罹患前の生活習慣情報を入力データとし、発症後の、生活習慣情報、並びに肺野濃度変化量、肺野形状変形量、及び心臓変形量の少なくとも1つとした画像処理パラメータを出力データとして学習済みの識別器を用いて、前記取得部により取得された前記対象者の生活習慣情報から、
前記画像処理パラメータを決定し、前記対象者の将来の肺機能を推定する推定部と、
前記推定部により推定された結果
として、前記決定した画像処理パラメータを用いて、前記対象者の診断基準図におけるプロットの移動を出力部に出力させる制御部と、
を備える医療診断支援システム。
【請求項4】
現在までの喫煙情報及びスパイロメータによる測定結果を含む、対象者の生活習慣情報を取得する取得部と、
罹患前の生活習慣情報を入力データとし、発症後の、生活習慣情報、並びに肺野濃度変化量、肺野形状変形量、及び心臓変形量の少なくとも1つとした画像処理パラメータを出力データとして学習済みの識別器を用いて、前記取得部により取得された前記対象者の生活習慣情報から、
前記画像処理パラメータを決定し、前記対象者の将来の肺機能を推定する推定部と、
前記推定部により推定された結果
として、前記決定した画像処理パラメータを用いて、前記対象者の将来のフローカーブを出力部に出力させる制御部と、
を備える医療診断支援システム。
【請求項5】
医療診断支援システムのコンピュータに、
対象者の生活習慣情報
及び前記対象者のX線画像情報を取得する取得手順、
罹患前の、生活習慣情報及びX線画像情報を入力データとし、発症後の、生活習慣情報、X線画像情報、並びに肺野濃度変化量、肺野形状変形量、及び心臓変形量の少なくとも1つとした画像処理パラメータを出力データとして学習済みの識別器を用いて、前記取得手順により取得された前記対象者の生活習慣情報
及びX線画像情報から、
前記画像処理パラメータを決定し、前記対象者の将来の肺機能を推定する推定手順、
前記推定手順により推定された結果
として、前記決定した画像処理パラメータを用いて、前記対象者のX線画像情報が示すX線画像を変形したX線画像を出力部に出力させる制御手順、
を実行させるための医療診断支援プログラム。
【請求項6】
医療診断支援システムのコンピュータに、
現在までの喫煙情報及びスパイロメータによる測定結果を含む、対象者の生活習慣情報を取得する取得手順、
罹患前の生活習慣情報を入力データとし、発症後の、生活習慣情報、並びに肺野濃度変化量、肺野形状変形量、及び心臓変形量の少なくとも1つとした画像処理パラメータを出力データとして学習済みの識別器を用いて、前記取得手順により取得された前記対象者の生活習慣情報から、
前記画像処理パラメータを決定し、前記対象者の将来の肺機能を推定する推定手順、
前記推定手順により推定された結果
として、前記決定した画像処理パラメータを用いて、前記対象者のスパイログラフを変形したスパイログラフを出力部に出力させる制御手順、
を実行させるための医療診断支援プログラム。
【請求項7】
医療診断支援システムのコンピュータに、
現在までの喫煙情報及びスパイロメータによる測定結果を含む、対象者の生活習慣情報を取得する取得手順、
罹患前の生活習慣情報を入力データとし、発症後の、生活習慣情報、並びに肺野濃度変化量、肺野形状変形量、及び心臓変形量の少なくとも1つとした画像処理パラメータを出力データとして学習済みの識別器を用いて、前記取得手順により取得された前記対象者の生活習慣情報から、
前記画像処理パラメータを決定し、前記対象者の将来の肺機能を推定する推定手順、
前記推定手順により推定された結果
として、前記決定した画像処理パラメータを用いて、前記対象者の診断基準図におけるプロットの移動を出力部に出力させる制御手順、
を実行させるための医療診断支援プログラム。
【請求項8】
医療診断支援システムのコンピュータに、
現在までの喫煙情報及びスパイロメータによる測定結果を含む、対象者の生活習慣情報を取得する取得手順、
罹患前の生活習慣情報を入力データとし、発症後の、生活習慣情報、並びに肺野濃度変化量、肺野形状変形量、及び心臓変形量の少なくとも1つとした画像処理パラメータを出力データとして学習済みの識別器を用いて、前記取得手順により取得された前記対象者の生活習慣情報から、
前記画像処理パラメータを決定し、前記対象者の将来の肺機能を推定する推定手順、
前記推定手順により推定された結果
として、前記決定した画像処理パラメータを用いて、前記対象者の将来のフローカーブを出力部に出力させる制御手順、
を実行させるための医療診断支援プログラム。
【請求項9】
医療診断支援システムが、
対象者の生活習慣情報
及び前記対象者のX線画像情報を取得する取得ステップ、
罹患前の、生活習慣情報及びX線画像情報を入力データとし、発症後の、生活習慣情報、X線画像情報、並びに肺野濃度変化量、肺野形状変形量、及び心臓変形量の少なくとも1つとした画像処理パラメータを出力データとして学習済みの識別器を用いて、前記取得ステップにより取得された前記対象者の生活習慣情報
及びX線画像情報から、
前記画像処理パラメータを決定し、前記対象者の将来の肺機能を推定する推定ステップ、
前記推定ステップにより推定された結果
として、前記決定した画像処理パラメータを用いて、前記対象者のX線画像情報が示すX線画像を変形したX線画像を出力部に出力させる制御ステップ、
を実行することを特徴とする医療診断支援方法。
【請求項10】
医療診断支援システムが、
現在までの喫煙情報及びスパイロメータによる測定結果を含む、対象者の生活習慣情報を取得する取得ステップ、
罹患前の生活習慣情報を入力データとし、発症後の、生活習慣情報、並びに肺野濃度変化量、肺野形状変形量、及び心臓変形量の少なくとも1つとした画像処理パラメータを出力データとして学習済みの識別器を用いて、前記取得ステップにより取得された前記対象者の生活習慣情報から、
前記画像処理パラメータを決定し、前記対象者の将来の肺機能を推定する推定ステップ、
前記推定ステップにより推定された結果
として、前記決定した画像処理パラメータを用いて、前記対象者のスパイログラフを変形したスパイログラフを出力部に出力させる制御ステップ、
を実行することを特徴とする医療診断支援方法。
【請求項11】
医療診断支援システムが、
現在までの喫煙情報及びスパイロメータによる測定結果を含む、対象者の生活習慣情報を取得する取得ステップ、
罹患前の生活習慣情報を入力データとし、発症後の、生活習慣情報、並びに肺野濃度変化量、肺野形状変形量、及び心臓変形量の少なくとも1つとした画像処理パラメータを出力データとして学習済みの識別器を用いて、前記取得ステップにより取得された前記対象者の生活習慣情報から、
前記画像処理パラメータを決定し、前記対象者の将来の肺機能を推定する推定ステップ、
前記推定ステップにより推定された結果
として、前記決定した画像処理パラメータを用いて、前記対象者の診断基準図におけるプロットの移動を出力部に出力させる制御ステップ、
を実行することを特徴とする医療診断支援方法。
【請求項12】
医療診断支援システムが、
現在までの喫煙情報及びスパイロメータによる測定結果を含む、対象者の生活習慣情報を取得する取得ステップ、
罹患前の生活習慣情報を入力データとし、発症後の、生活習慣情報、並びに肺野濃度変化量、肺野形状変形量、及び心臓変形量の少なくとも1つとした画像処理パラメータを出力データとして学習済みの識別器を用いて、前記取得ステップにより取得された前記対象者の生活習慣情報から、
前記画像処理パラメータを決定し、前記対象者の将来の肺機能を推定する推定ステップ、
前記推定ステップにより推定された結果
として、前記決定した画像処理パラメータを用いて、前記対象者の将来のフローカーブを出力部に出力させる制御ステップ、
を実行することを特徴とする医療診断支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療診断支援システム、医療診断支援プログラム、および、医療診断支援方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、医療支援に関する技術開発が盛んにおこなわれている。例えば、特許文献1には、対象者の生活習慣情報と各種検査データを、当該生活習慣に由来する公知の各種検査データと比較して、当該生活習慣を継続した場合の将来の検査データを予測する装置について開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1は、主に、メタボリックシンドロームに対する健康指導について開示するにとどまり、喘息やCOPD(Chronic Obstructive Pulmonary Disease)などの肺機能の疾患に対する医療診断支援について開示していない。対象者の肺機能に対する医療診断支援については改善の余地が残されている。
【0005】
上記事情に鑑みて、本発明では、対象者の肺機能に対する医療診断の支援を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の上記の目的は、下記の手段によって達成される。
【0007】
(1):対象者の生活習慣情報及び前記対象者のX線画像情報を取得する取得部と、罹患前の、生活習慣情報及びX線画像情報を入力データとし、発症後の、生活習慣情報、X線画像情報、並びに肺野濃度変化量、肺野形状変形量、及び心臓変形量の少なくとも1つとした画像処理パラメータを出力データとして学習済みの識別器を用いて、前記取得部により取得された前記対象者の生活習慣情報及びX線画像情報から、前記画像処理パラメータを決定し、前記対象者の将来の肺機能を推定する推定部と、前記推定部により推定された結果として、前記決定した画像処理パラメータを用いて、前記対象者のX線画像情報が示すX線画像を変形したX線画像を出力部に出力させる制御部と、を備える医療診断支援システム。
【0008】
(2):現在までの喫煙情報及びスパイロメータによる測定結果を含む、対象者の生活習慣情報を取得する取得部と、罹患前の生活習慣情報を入力データとし、発症後の、生活習慣情報、並びに肺野濃度変化量、肺野形状変形量、及び心臓変形量の少なくとも1つとした画像処理パラメータを出力データとして学習済みの識別器を用いて、前記取得部により取得された前記対象者の生活習慣情報から、前記画像処理パラメータを決定し、前記対象者の将来の肺機能を推定する推定部と、前記推定部により推定された結果として、前記決定した画像処理パラメータを用いて、前記対象者のスパイログラフを変形したスパイログラフを出力部に出力させる制御部と、を備える医療診断支援システム。
【0009】
(3):現在までの喫煙情報及びスパイロメータによる測定結果を含む、対象者の生活習慣情報を取得する取得部と、罹患前の生活習慣情報を入力データとし、発症後の、生活習慣情報、並びに肺野濃度変化量、肺野形状変形量、及び心臓変形量の少なくとも1つとした画像処理パラメータを出力データとして学習済みの識別器を用いて、前記取得部により取得された前記対象者の生活習慣情報から、前記画像処理パラメータを決定し、前記対象者の将来の肺機能を推定する推定部と、前記推定部により推定された結果として、前記決定した画像処理パラメータを用いて、前記対象者の診断基準図におけるプロットの移動を出力部に出力させる制御部と、を備える医療診断支援システム。
【0010】
(4):現在までの喫煙情報及びスパイロメータによる測定結果を含む、対象者の生活習慣情報を取得する取得部と、罹患前の生活習慣情報を入力データとし、発症後の、生活習慣情報、並びに肺野濃度変化量、肺野形状変形量、及び心臓変形量の少なくとも1つとした画像処理パラメータを出力データとして学習済みの識別器を用いて、前記取得部により取得された前記対象者の生活習慣情報から、前記画像処理パラメータを決定し、前記対象者の将来の肺機能を推定する推定部と、前記推定部により推定された結果として、前記決定した画像処理パラメータを用いて、前記対象者の将来のフローカーブを出力部に出力させる制御部と、を備える医療診断支援システム。
【0011】
(5):医療診断支援システムのコンピュータに、対象者の生活習慣情報及び前記対象者のX線画像情報を取得する取得手順、罹患前の、生活習慣情報及びX線画像情報を入力データとし、発症後の、生活習慣情報、X線画像情報、並びに肺野濃度変化量、肺野形状変形量、及び心臓変形量の少なくとも1つとした画像処理パラメータを出力データとして学習済みの識別器を用いて、前記取得手順により取得された前記対象者の生活習慣情報及びX線画像情報から、前記画像処理パラメータを決定し、前記対象者の将来の肺機能を推定する推定手順、前記推定手順により推定された結果として、前記決定した画像処理パラメータを用いて、前記対象者のX線画像情報が示すX線画像を変形したX線画像を出力部に出力させる制御手順、を実行させるための医療診断支援プログラム。
【0012】
(6):医療診断支援システムのコンピュータに、現在までの喫煙情報及びスパイロメータによる測定結果を含む、対象者の生活習慣情報を取得する取得手順、罹患前の生活習慣情報を入力データとし、発症後の、生活習慣情報、並びに肺野濃度変化量、肺野形状変形量、及び心臓変形量の少なくとも1つとした画像処理パラメータを出力データとして学習済みの識別器を用いて、前記取得手順により取得された前記対象者の生活習慣情報から、前記画像処理パラメータを決定し、前記対象者の将来の肺機能を推定する推定手順、前記推定手順により推定された結果として、前記決定した画像処理パラメータを用いて、前記対象者のスパイログラフを変形したスパイログラフを出力部に出力させる制御手順、を実行させるための医療診断支援プログラム。
【0013】
(7):医療診断支援システムのコンピュータに、現在までの喫煙情報及びスパイロメータによる測定結果を含む、対象者の生活習慣情報を取得する取得手順、罹患前の生活習慣情報を入力データとし、発症後の、生活習慣情報、並びに肺野濃度変化量、肺野形状変形量、及び心臓変形量の少なくとも1つとした画像処理パラメータを出力データとして学習済みの識別器を用いて、前記取得手順により取得された前記対象者の生活習慣情報から、前記画像処理パラメータを決定し、前記対象者の将来の肺機能を推定する推定手順、前記推定手順により推定された結果として、前記決定した画像処理パラメータを用いて、前記対象者の診断基準図におけるプロットの移動を出力部に出力させる制御手順、を実行させるための医療診断支援プログラム。
【0014】
(8):医療診断支援システムのコンピュータに、現在までの喫煙情報及びスパイロメータによる測定結果を含む、対象者の生活習慣情報を取得する取得手順、罹患前の生活習慣情報を入力データとし、発症後の、生活習慣情報、並びに肺野濃度変化量、肺野形状変形量、及び心臓変形量の少なくとも1つとした画像処理パラメータを出力データとして学習済みの識別器を用いて、前記取得手順により取得された前記対象者の生活習慣情報から、前記画像処理パラメータを決定し、前記対象者の将来の肺機能を推定する推定手順、前記推定手順により推定された結果として、前記決定した画像処理パラメータを用いて、前記対象者の将来のフローカーブを出力部に出力させる制御手順、を実行させるための医療診断支援プログラム。
【0015】
(9):医療診断支援システムが、対象者の生活習慣情報及び前記対象者のX線画像情報を取得する取得ステップ、罹患前の、生活習慣情報及びX線画像情報を入力データとし、発症後の、生活習慣情報、X線画像情報、並びに肺野濃度変化量、肺野形状変形量、及び心臓変形量の少なくとも1つとした画像処理パラメータを出力データとして学習済みの識別器を用いて、前記取得ステップにより取得された前記対象者の生活習慣情報及びX線画像情報から、前記画像処理パラメータを決定し、前記対象者の将来の肺機能を推定する推定ステップ、前記推定ステップにより推定された結果として、前記決定した画像処理パラメータを用いて、前記対象者のX線画像情報が示すX線画像を変形したX線画像を出力部に出力させる制御ステップ、を実行することを特徴とする医療診断支援方法。
【0016】
(10):医療診断支援システムが、現在までの喫煙情報及びスパイロメータによる測定結果を含む、対象者の生活習慣情報を取得する取得ステップ、罹患前の生活習慣情報を入力データとし、発症後の、生活習慣情報、並びに肺野濃度変化量、肺野形状変形量、及び心臓変形量の少なくとも1つとした画像処理パラメータを出力データとして学習済みの識別器を用いて、前記取得ステップにより取得された前記対象者の生活習慣情報から、前記画像処理パラメータを決定し、前記対象者の将来の肺機能を推定する推定ステップ、前記推定ステップにより推定された結果として、前記決定した画像処理パラメータを用いて、前記対象者のスパイログラフを変形したスパイログラフを出力部に出力させる制御ステップ、を実行することを特徴とする医療診断支援方法。
【0017】
(11):医療診断支援システムが、現在までの喫煙情報及びスパイロメータによる測定結果を含む、対象者の生活習慣情報を取得する取得ステップ、罹患前の生活習慣情報を入力データとし、発症後の、生活習慣情報、並びに肺野濃度変化量、肺野形状変形量、及び心臓変形量の少なくとも1つとした画像処理パラメータを出力データとして学習済みの識別器を用いて、前記取得ステップにより取得された前記対象者の生活習慣情報から、前記画像処理パラメータを決定し、前記対象者の将来の肺機能を推定する推定ステップ、前記推定ステップにより推定された結果として、前記決定した画像処理パラメータを用いて、前記対象者の診断基準図におけるプロットの移動を出力部に出力させる制御ステップ、を実行することを特徴とする医療診断支援方法。
【0018】
(12):医療診断支援システムが、現在までの喫煙情報及びスパイロメータによる測定結果を含む、対象者の生活習慣情報を取得する取得ステップ、罹患前の生活習慣情報を入力データとし、発症後の、生活習慣情報、並びに肺野濃度変化量、肺野形状変形量、及び心臓変形量の少なくとも1つとした画像処理パラメータを出力データとして学習済みの識別器を用いて、前記取得ステップにより取得された前記対象者の生活習慣情報から、前記画像処理パラメータを決定し、前記対象者の将来の肺機能を推定する推定ステップ、前記推定ステップにより推定された結果として、前記決定した画像処理パラメータを用いて、前記対象者の将来のフローカーブを出力部に出力させる制御ステップ、を実行することを特徴とする医療診断支援方法。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、対象者の肺機能に対する医療診断の支援を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本実施形態の医療診断支援システムの機能構成図の例である。
【
図2】本実施形態の処理のフローチャートの例である。
【
図3】具体例1における対象者のX線画像の例であり、左側が現在のX線画像、右側が将来のX線画像である。
【
図4】具体例2におけるスパイログラフの例である。
【
図7】医療診断支援システムの機能を実現するコンピュータの一例を示すハードウェア構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、添付した図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。なお、図面の説明において、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0022】
[構成]
本実施形態の医療診断支援システムは、対象者の肺機能に関する医療診断を支援するコンピュータである。
図1に示すように、本実施形態の医療診断支援システム1は、取得部11と、推定部12と、出力部13と、制御部14と、対象者DB21と、識別器22を備えている。「DB」は「データベース」の略である。
【0023】
取得部11は、対象者に関する各種情報を取得する。対象者に関する各種情報は、例えば、(A)対象者の生活習慣情報、(B)対象者に対するX線診断装置のX線画像情報(例:胸部のX線画像)または診断結果(例:肺野濃度変化量、肺野形状変形量、心臓変形量)、(C)各種モダリティ(例:CT(Computed Tomography)、MRI(Magnetic Resonance Imaging)、超音波診断装置)の画像情報または診断結果、(D)対象者の身体情報とすることができるが、これらに限定されない。
【0024】
対象者の生活習慣情報は、例えば、対象者の喫煙に関する情報(例:1日の喫煙本数、喫煙歴)、スパイロメータによる測定結果、食事や運動に関する情報とすることができるが、これらに限定されない。また、対象者の身体情報は、例えば、対象者の年齢、性別、身長、体重とすることができるが、これらに限定されない。また、対象者の生活習慣情報は、対象者の身体情報に基づく情報としてもよい。対象者に関する各種情報は、対象者DB21に格納され得る。
【0025】
推定部12は、取得部11が取得した情報から、対象者の将来の肺機能を推定する。推定部12は、例えば、学習済みの識別器22を用いて推定することができる。
【0026】
出力部13は、推定部12により推定された結果(推定結果)を出力する。出力部13が出力する推定結果は、例えば、スパイログラフ、診断基準図、フローカーブ(フローボリューム曲線)、所定の画像であるが、これらに限定されない。また、出力部13は、スパイログラフ、診断基準図、フローカーブ、所定の画像の一つ以上を出力することができる。出力部13が出力した結果は、対象者DB21に格納され得る。
【0027】
制御部14は、医療診断支援システム1が実行する各種処理を制御する。例えば、制御部14は、推定部12により推定された結果を出力部13に出力させることができる。
【0028】
対象者DB21は、医療診断の支援に用いる各種の情報を格納する。対象者DB21は、取得部11が取得した情報、および、出力部13が出力した推定結果を、対象者ごとに格納する。なお、対象者DB21は、医療診断支援システム1の外部に設けられ、医療診断支援システム1が必要に応じて外部の対象者DB21から情報を取得してもよい。
【0029】
識別器22は、所定の入力データおよび所定の出力データを用いて所定の機械学習により作成された学習済みの学習モデルである。機械学習は、例えば、ディープランニング、ニューラルネットワーク、サポートベクターマシンとすることができるが、これらに限定されない。
【0030】
例えば、入力データを、COPD患者のCOPD罹患前の生活習慣情報とし、出力データを、同じCOPD患者のCOPD発症後のスパイロメータによる測定結果とし、機械学習によって識別器22を作成することができる。また、より一般化して、入力データを、同性、同年代、同身長の健康者の生活習慣情報とし、出力データを、同性、同年代、同身長のCOPD患者のスパイロメータによる測定結果とし、機械学習によって識別器22を作成することができる。
【0031】
また、例えば、入力データを、COPD患者のCOPD罹患前の生活習慣情報、および、COPD罹患前のX線画像情報とし、出力データを、同じCOPD患者のCOPD発症後のX線画像情報とし、機械学習によって識別器22を作成することができる。また、より一般化して、入力データを、同性、同年代、同身長の健康者の生活習慣情報、および、同性、同年代、同身長の健康者のX線画像情報とし、出力データを、同性、同年代、同身長のCOPD患者のX線画像情報とし、機械学習によって識別器22を作成することができる。
【0032】
また、機械学習の出力データを、X線画像情報に代えて、または、X線画像情報に加えて画像処理パラメータとしてもよい。画僧処理パラメータは、例えば、肺野濃度変化量、肺野形状変形量、心臓変形量とすることができるが、これらに限定されない。出力部13は、出力データとしての肺野濃度変化量、肺野形状変形量、心臓変形量に基づく画像処理によって、現在のX線画像から将来のX線画像を生成することができる。
【0033】
[処理]
次に、
図2を参照して、医療診断支援システム1が実行する処理について説明する。
【0034】
まず、取得部11が、対象者の生活習慣情報を取得する(ステップS1)。次に、推定部12が、学習済みの識別器22を用いて、取得部11が取得した生活習慣情報を入力として、対象者の将来の肺機能を推定する(ステップS2)。最後に、出力部13が、推定部12によって推定された結果を出力する(ステップS3)。出力部13の出力は、所望の態様で実現することができる。
【0035】
図2の処理によれば、対象者の生活習慣情報を維持した場合における将来の肺機能の推定結果を対象者に明示することができる。
【0036】
[具体例1]
例えば、取得部11は、現在健康な対象者の生活習慣情報として、現在までの喫煙情報、および、スパイロメータによる測定結果のうち少なくともいずれかを取得するとともに、当該対象者のX線画像を取得したとする。現在健康な対象者のX線画像は、
図3の左側に示す通りであったとする。
【0037】
推定部12は、学習済みの識別器22を用いて、取得部11が取得した生活習慣情報および現在のX線画像から、対象者の将来の肺機能を推定する。出力部13は、推定結果として、対象者の将来のX線画像を出力することができる。換言すれば、推定部12が、識別器22の入力となる生活習慣情報および現在のX線画像から、画像処理パラメータを決定し、出力部13が、決定した画像処理パラメータを用いてX線画像を変形して出力する。対象者の将来のX線画像は、
図3の右側に示す通りであったとする。
【0038】
また、「将来」の具体的タイミングは適宜設定することができ、推定部12に入力する時間パラメータとして指定することができる(以下の具体例2~4でも同様)。例えば、医療診断支援システム1を操作するユーザ(例:医師)からの入力により、取得部11が当該時間パラメータを取得することができる。
【0039】
図3右側のX線画像によれば、
図3左側のX線画像と比較して、肺の画像部分が黒くなっている、肺の画像部分が上下に引き伸ばされている(白抜き矢印参照)、心臓の画像部分が細くなっている(左右幅が減少している)(斜線矢印参照)、といったCOPDの特徴を捉えることができる。よって、当該対象者が現在の生活習慣を継続すると将来COPDに罹る可能性があることを当該対象者にわかりやすく伝えることができる。その結果、現在の生活習慣を改善するように注意喚起することができ、対象者の肺機能に対する医療診断支援を実現することができる。
【0040】
[具体例2]
例えば、取得部11は、現在健康な対象者の生活習慣情報として、現在までの喫煙情報、および、スパイロメータによる測定結果を取得したとする。現在健康な対象者のスパイログラフは、
図4の曲線41に示す通りであったとする。なお、スパイログラフは、肺活量(努力性肺活量ともいう。FVC:Forced Vital Capacity)、および、1秒量(FEV
1.0)を求めることができる(FEVは、forced expiratory volumeの略)。
【0041】
推定部12は、学習済みの識別器22を用いて、取得部11が取得した生活習慣情報から、対象者の将来の肺機能を推定する。出力部13は、推定結果として、対象者の将来のスパイログラフを出力することができる。換言すれば、推定部12が、識別器22の入力となる生活習慣情報から、画像処理パラメータを決定し、出力部13が、決定した画像処理パラメータを用いてスパイログラフを変形して出力する。対象者の将来のスパイログラフは、
図4の曲線42であったとする。
【0042】
また、出力部13は、サンプルとして、将来の対象者の年齢、身長、性別に対する予測肺活量を示すスパイログラフを出力することができる。予測肺活量のスパイログラフは、
図4の曲線43であったとする。曲線43の出力の際、年齢は、推定部12に入力する時間パラメータ分シフトさせ、身長および性別はそのままにすることが好ましい。
【0043】
図4の曲線42によれば、曲線41と比較して、最大吸気量が減少する(極大ピークが下方にシフトする。白抜き矢印参照。)、1秒量が減少する(最大吸気のタイミングから1秒後の肺活量の値が上方にシフトする。斜線矢印参照。)、といった特徴を捉えることができる。よって、当該対象者が現在の生活習慣を継続すると将来、肺機能低下に陥る可能性があることを当該対象者にわかりやすく伝えることができる。その結果、現在の生活習慣を改善するように注意喚起することができ、対象者の肺機能に対する医療診断支援を実現することができる。
【0044】
また、曲線42の全体が、曲線43の下方にある。よって、当該対象者が現在の生活習慣を継続すると将来、肺機能低下に陥る可能性があることを当該対象者により客観的に伝えることができる。その結果、現在の生活習慣を改善するように注意喚起することができ、対象者の肺機能に対する医療診断支援を実現することができる。
【0045】
[具体例3]
例えば、取得部11は、現在健康な対象者の生活習慣情報として、現在までの喫煙情報、および、スパイロメータによる測定結果を取得したとする。現在健康な対象者の肺機能状態は、
図5の診断基準図のプロット51に示す通りであったとする。
【0046】
なお、診断基準表は、横軸を%肺活量とし、縦軸を1秒率としたマトリクスである。%肺活量は、予測肺活量に対する実測肺活量(つまり、FVC)の比である(
図5では%表示)。また、1秒率は、実測肺活量に対する1秒量の比である(
図5では%表示)。%肺活量が80%~100%の範囲内にあり、かつ、1秒率が70%~100%の範囲内にあるときは、肺機能は正常である(
図5の「正常」)。また、%肺活量が80%~100%の範囲内にあり、かつ、1秒率が70%以下にあるときは、閉塞性喚起障害にある(
図5の「閉塞性」)。また、%肺活量が80%以下にあり、かつ、1秒率が70%~100%の範囲内にあるときは、拘束性喚起障害にある(
図5の「拘束性」)。また、%肺活量が80%以下にあり、かつ、1秒率が70%以下にあるときは、閉塞性喚起障害および拘束性喚起障害を併せ持つ混合性喚起障害にある(
図5の「混合性」)。
【0047】
推定部12は、学習済みの識別器22を用いて、取得部11が取得した生活習慣情報から、対象者の将来の肺機能を推定する。出力部13は、推定結果として、対象者の将来の診断基準表を出力することができる。換言すれば、推定部12が、識別器22の入力となる生活習慣情報から、画像処理パラメータを決定し、出力部13が、決定した画像処理パラメータを用いて将来の肺機能を示すプロットを付した診断基準表を出力する。対象者の将来の肺機能を示すプロットは、
図5のプロット52であったとする。
【0048】
図5よれば、「正常」の領域内にあるプロット51から、「閉塞性」の領域内にあるプロット52に、肺機能状態が遷移したことを捉えることができる。よって、当該対象者が現在の生活習慣を継続すると将来、閉塞性喚起障害に陥る可能性があることを当該対象者にわかりやすく伝えることができる。その結果、現在の生活習慣を改善するように注意喚起することができ、対象者の肺機能に対する医療診断支援を実現することができる。
【0049】
また、出力部13は、
図5の診断基準表を用いて、対象者の肺機能状態の遷移を連続的に見せることができる。具体的には、推定部12将来の肺機能を推定するときに用いる時間パラメータの値を連続的に増大させ、出力部13は、より将来の肺機能状態をプロットの移動として表示することができる。
図5では、「閉塞性」の領域内にあるプロット52から、「混合性」の領域内にあるプロット53に移動し、肺機能状態が閉塞性喚起障害から混合性喚起障害に遷移したことを示している。よって、当該対象者が現在の生活習慣を継続するとさらに先の将来、混合性喚起障害に陥る可能性があることを当該対象者にわかりやすく伝えることができる。その結果、現在の生活習慣を改善するように注意喚起することができ、対象者の肺機能に対する医療診断支援を実現することができる。
【0050】
[具体例4]
例えば、取得部11は、現在健康な対象者の生活習慣情報として、現在までの喫煙情報、および、スパイロメータによる測定結果を取得したとする。現在健康な対象者の肺機能状態は、
図6のフローカーブの曲線61(正常)に示す通りであったとする。
【0051】
なお、
図6は、閉塞性喚起障害に見られるフローカーブである。横軸は、呼吸の気量(L)(肺気量と同義)であり、縦軸は、気速(L/秒)である。閉塞性喚起障害は、末梢気道が閉塞することで息が吐きづらくなる疾患である。息が吐きづらくなることで気速が低下するため、カーブが下降するときに下に凸になる特徴がある。軽度障害(曲線62)では、気量は低下しないが、カーブが下降するときに下に凸になる特徴がある。中度障害(曲線63)では、気量が低下するとともに、カーブが下降するときに下に凸になる特徴がある。重度障害(曲線64)になると、気量も気速も大幅に低下し、重症のCOPD患者に多くみられる特徴となる。
【0052】
推定部12は、学習済みの識別器22を用いて、取得部11が取得した生活習慣情報から、対象者の将来の肺機能を推定する。出力部13は、推定結果として、対象者の将来のフローカーブを出力することができる。換言すれば、推定部12が、識別器22の入力となる生活習慣情報から、画像処理パラメータを決定し、出力部13が、決定した画像処理パラメータを用いて将来の肺機能を示すフローカーブを出力する。対象者の将来の肺機能を示すフローカーブは、
図6の曲線65であったとする。
【0053】
図6によれば、対象者のフローカーブが「正常」から「軽度障害」に近づいたことを捉えることができる。また、曲線65は、カーブの下降時に若干下に凸になっている。よって、当該対象者が現在の生活習慣を継続すると将来、閉塞性喚起障害に陥る可能性があることを当該対象者にわかりやすく伝えることができる。その結果、現在の生活習慣を改善するように注意喚起することができ、対象者の肺機能に対する医療診断支援を実現することができる。
【0054】
<ハードウェア構成>
また、上述してきた医療診断支援システム1は、例えば
図7に示すようなハードウェア構成で示されるコンピュータzによって実現される。コンピュータzは、CPU1z、RAM2z、ROM3z、HDD4z、通信I/F(インターフェイス)5z、入出力I/F6z、およびメディアI/F7zを有する。
【0055】
CPU1zは、ROM3zまたはHDD4zに格納されたプログラムに基づいて動作し、各部(取得部11と、推定部12と、出力部13と、制御部14を含む)の制御を行う。ROM3zは、コンピュータzの起動時にCPU1zによって実行されるブートプログラムや、コンピュータzのハードウェアに依存するプログラム等を格納する。
【0056】
HDD4zは、CPU1zによって実行されるプログラム、および、かかるプログラムによって使用されるデータ等を格納する。通信I/F5zは、通信網9zを介して他の機器からデータを受信してCPU1zへ送り、CPU1zが生成したデータを通信網9zを介して他の機器へ送信する。
【0057】
CPU1zは、入出力I/F6zを介して、ディスプレイやプリンタ等の出力装置、および、キーボードやマウス等の入力装置を制御する。CPU1zは、入出力I/F6zを介して、入力装置からデータを取得する。また、CPU1zは、生成したデータを入出力I/F6zを介して出力装置へ出力する。
【0058】
メディアI/F7zは、記録媒体8zに格納されたプログラムまたはデータを読み取り、RAM2zを介してCPU1zに提供する。CPU1zは、かかるプログラムを、メディアI/F7zを介して記録媒体8zからRAM2z上にロードし、ロードしたプログラムを実行する。記録媒体8zは、例えばDVD(Digital Versatile Disc)、PD(Phase change rewritable Disk)等の光学記録媒体、MO(Magneto Optical disk)等の光磁気記録媒体、テープ媒体、磁気記録媒体、または半導体メモリ等である。
【0059】
例えば、コンピュータzが医療診断支援システム1として機能する場合、コンピュータzのCPU1zは、RAM2z上にロードされたプログラムを実行することにより、各部の機能を実現する。プログラム実行の際、HDD4zが格納するデータ等が使用される。コンピュータzのCPU1zは、これらのプログラムを記録媒体8zから読み取って実行するが、他の例として、他の装置から通信網9zを介してこれらのプログラムを取得してもよい。
【0060】
<まとめ>
本実施形態によれば、対象者の現在の生還習慣を継続した場合における将来の肺機能の推定結果を、対象者にわかりやすく(例えば、視覚的に)伝えることができ、現在の生活習慣を見直すように対象者に注意喚起することができる。したがって、対象者の肺機能に対する医療診断の支援を実現することができる。
特に、対象者のX線画像情報を入力したときの推定結果として、対象者の将来のX線画像を出力することができるため、将来の肺機能の推定結果を対象者によりわかりやすく伝えることができる。
また、生活習慣情報を、対象者の喫煙に関する情報、スパイロメータによる測定結果とすることで、喫煙に起因する肺機能の推定結果を対象者にわかりやすく伝えることができる。その結果、対象者に喫煙の習慣を見直すように注意喚起することができる。
また、スパイログラフ、診断基準図、フローカーブ、画像の一つ以上を出力することで、肺機能の推定結果を対象者にわかりやすく伝えることができる。
【0061】
<変形例>
(a):本実施形態では、対象者の現在の生活習慣情報を入力したときの将来の肺機能を推定した。しかし、例えば、現在の生活習慣情報とは異なる仮の生活習慣情報を入力したときの仮の将来の肺機能を推定部12で推定することができる。仮の生活習慣情報を試行錯誤して入力することで、疾患無しの、または、疾患が緩和される将来の肺機能を導出する生活習慣情報を追求することができる。その結果、対象者の生活習慣を、追求した生活習慣情報に係る生活習慣に切り替えるように、生活習慣の見直しのアドバイスをすることができる。
【0062】
(b):本実施形態では、疾患前の(健康者の)生活習慣情報を入力データとし、肺機能の患者の検査結果(スパイロメータによる測定結果、X線画像情報、画像処理パラメータ)を出力データとした、学習済みの識別器を用いて肺機能を推定した。しかし、例えば、肺機能の患者の検査結果を入力データとし、肺機能疾患から回復した(または緩和可能な)対象者の生活習慣情報を出力データとした、学習済みの他の識別器を用いて、肺機能疾患から回復可能な(または緩和可能な)生活習慣情報を推定することもできる。
【0063】
(c):本実施形態において、例えば、推定部12は、所定の類似画像を用いて、画像情報ではない対象者の生活習慣情報(例:数値で表現される各種検査データ群)から、対象者の将来の肺機能を示す所定の画像を出力することができる。例えば、所定の類似画像は、対象者と同性、同年代、同身長の一般者の画像情報とすることができるがこれに限定されない。
【0064】
(d):本実施形態の具体例4では、閉塞性喚起障害について説明した。しかし、具体例4の発明は、閉塞性喚起障害に限らず、例えば、拘束性喚起障害や、上気道障害についても適用できる。
【0065】
(e):本実施形態で説明した各種発明を、適宜組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0066】
1 医療診断支援システム
11 取得部
12 推定部
13 出力部
14 制御部
15 識別器
21 対象者DB
22 識別器