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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-08
(45)【発行日】2024-05-16
(54)【発明の名称】クレーン走行支援装置
(51)【国際特許分類】
   B66C 23/88 20060101AFI20240509BHJP
   B66C 13/00 20060101ALI20240509BHJP
   B60W 30/06 20060101ALI20240509BHJP
   B60T 7/12 20060101ALI20240509BHJP
【FI】
B66C23/88 D
B66C13/00 D
B60W30/06
B60T7/12 C
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020095713
(22)【出願日】2020-06-01
(65)【公開番号】P2021187636
(43)【公開日】2021-12-13
【審査請求日】2023-03-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000148759
【氏名又は名称】株式会社タダノ
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【弁護士】
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】津田 和彰
【審査官】中田 誠二郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-238077(JP,A)
【文献】特開2018-083550(JP,A)
【文献】特開2018-095359(JP,A)
【文献】特開2019-167220(JP,A)
【文献】特開平11-126109(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66C 13/00-15/06;
23/00-23/94
B60W 30/06
B60T 7/12
B66F 9/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
クレーンの走行時に使用する、物体を検知する物体検知手段と、
前記物体との距離を検知する距離検知手段と、
作業現場と非作業現場とに切り替え可能な場所切替スイッチと、
前記場所切替スイッチの入力に基づいて、前記クレーンのいる場所を判断する場所判断部と、
前記物体検知手段が前記物体を検知した際に、前記距離検知手段が検知した検知情報と、前記場所判断部が判断した判断情報と、に基づいて、前記クレーンが前記物体から所定の距離離れた位置で停止するように制御する停止制御部と、を備え、
前記停止制御部は、前記場所判断部が前記非作業現場と判断した場合より、前記場所判断部が前記作業現場と判断した場合の方を、前記物体に近づいた位置で停止するように制御することを特徴とする、クレーン走行支援装置。
【請求項2】
クレーンの走行時に使用する、物体を検知する物体検知手段と、
前記物体との距離を検知する距離検知手段と、
作業現場と非作業現場とに切り替え可能な場所切替スイッチと、
前記場所切替スイッチの入力に基づいて、前記クレーンのいる場所を判断する場所判断部と、
前記物体検知手段が前記物体を検知した際に、前記距離検知手段が検知した検知情報と、前記場所判断部が判断した判断情報と、に基づいて、前記クレーンが前記物体から所定の距離離れた位置で停止するように制御する停止制御部と
人物を検知する人物検知手段と、を備え、
前記停止制御部は、前記場所判断部が前記作業現場と判断した場合、前記人物検知手段が人物を検知したときだけ、前記クレーンを停止するように制御することを特徴とする、クレーン走行支援装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クレーン走行支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車には、衝突被害軽減ブレーキを搭載することが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1には、障害物に自車両が衝突する前に自車両を停車させるように自動的に自車両のブレーキ手段を作動させる自動ブレーキシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-083550号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、クレーンにおいては、一般公道や作業現場を走行することがある。作業現場において、一般公道と同じように、衝突被害軽減ブレーキを機能させてしまうと、クレーンが物体から遠く離れた作業性の悪い位置に停止してしまう、という問題ある。
【0006】
そこで、本発明は、クレーンのいる場所に応じて、走行中のクレーンを、物体から適切な距離離れた位置に停止させることができるクレーン走行支援装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、本発明の第1のクレーン走行支援装置は、クレーンの走行時に使用する、物体を検知する物体検知手段と、前記物体との距離を検知する距離検知手段と、作業現場と非作業現場とに切り替え可能な場所切替スイッチと、前記場所切替スイッチの入力に基づいて、前記クレーンのいる場所を判断する場所判断部と、前記物体検知手段が前記物体を検知した際に、前記距離検知手段が検知した検知情報と、前記場所判断部が判断した判断情報と、に基づいて、前記クレーンが前記物体から所定の距離離れた位置で停止するように制御する停止制御部と、を備え、前記停止制御部は、前記場所判断部が前記非作業現場と判断した場合より、前記場所判断部が前記作業現場と判断した場合の方を、前記物体に近づいた位置で停止するように制御することを特徴とする。
前記目的を達成するために、本発明の第2のクレーン走行支援装置は、クレーンの走行時に使用する、物体を検知する物体検知手段と、前記物体との距離を検知する距離検知手段と、作業現場と非作業現場とに切り替え可能な場所切替スイッチと、前記場所切替スイッチの入力に基づいて、前記クレーンのいる場所を判断する場所判断部と、前記物体検知手段が前記物体を検知した際に、前記距離検知手段が検知した検知情報と、前記場所判断部が判断した判断情報と、に基づいて、前記クレーンが前記物体から所定の距離離れた位置で停止するように制御する停止制御部と、人物を検知する人物検知手段と、を備え、前記停止制御部は、前記場所判断部が前記作業現場と判断した場合、前記人物検知手段が人物を検知したときだけ、前記クレーンを停止するように制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
このように構成された本発明のクレーン走行支援装置は、クレーンのいる場所に応じて、走行中のクレーンを、物体から適切な距離離れた位置に停止させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施例1のクレーンを示す側面図である。
図2】実施例1のクレーンを示す平面図である。
図3】実施例1のクレーン走行支援装置の機能構成を示すブロック図である。
図4】実施例1のクレーンが非作業現場を走行している場合のクレーン走行支援装置を説明する図である。
図5】実施例1のクレーンが作業現場を走行している場合のクレーン走行支援装置を説明する図である。
図6】実施例1の制御部による処理の流れを示すフローチャートである。
図7】実施例2のクレーンが非作業現場を走行している場合のクレーン走行支援装置を説明する図である。
図8】実施例2の制御部による処理の流れを示すフローチャートである。
図9】実施例3の制御部による処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明によるクレーン走行支援装置を実現する実施形態を、図面に示す実施例1~実施例3に基づいて説明する。
【実施例1】
【0011】
実施例1におけるクレーンは、クレーンとしてのラフテレーンクレーン(以下、単にクレーンという)に適用される。
【0012】
[クレーンの構成]
図1は、実施例1のクレーンを示す側面図である。図2は、実施例1のクレーンを示す平面図である。以下、実施例1のクレーンの構成を説明する。なお、クレーンの前後方向を前後方向Dとする。
【0013】
図1及び図2に示すように、クレーン1は、車体10と、旋回体20と、ブーム30とを備える。
【0014】
車体10は、アウトリガー11と、道路や作業現場を自走するための走行装置等を備える。
【0015】
アウトリガー11は、作業時に、水平方向及び垂直方向に張り出し、車体10全体を持ち上げて、姿勢を安定させる。
【0016】
旋回体20は、車体10の上方に設けられ、車体10に対して、鉛直軸C1回りに回転可能となっている。旋回体20は、キャビン21を備える。キャビン21は、クレーン1の進行方向を向いて、ブーム30の右側に設けられている。なお、キャビン21は、クレーン1の進行方向を向いて、ブーム30の左側に設けられてもよい。
【0017】
キャビン21は、車体10の走行を制御するための操作部(例えば、ステアリング、シフトレバー、アクセルペダル、及びブレーキペダル等)を有する。また、キャビン21は、旋回体20やブーム30やウィンチ24等を操作する操作部を有する。キャビン21に搭乗した運転者Mは、操作部を操作して、旋回体20を旋回させ、ブーム30を起伏及び伸縮させ、ウィンチ24を回転させて作業を行う。
【0018】
キャビン21は、作業現場と非作業現場とに切り替え可能な場所切替スイッチ43と、警報装置45とを備える。作業現場は、建設現場等のクレーン1がクレーン作業を行う場所である。非作業現場は、一般公道等のクレーン1がクレーン作業等を行わない場所である。運転者Mは、周囲の状況からクレーン1のいる場所を判断して、場所切替スイッチ43を操作して、作業現場と非作業現場との切り替えを行う。
【0019】
警報装置45は、ランプとすることができる。警報装置45は、音声を出力するブザーとすることもできる。
【0020】
ブーム30は、基端側の基端ブーム31と、中間ブーム32と、先端側の先端ブーム33と、を備える。中間ブーム32と先端ブーム33は、順次、基端ブーム31の内部に格納される入れ子式になっている。
【0021】
基端ブーム31は、旋回体20に設けられた起伏シリンダ(不図示)に支持される。起伏シリンダが伸縮することで、ブーム30は起伏し、伸縮シリンダ(不図示)が伸縮することによって、ブーム30が伸縮する。
【0022】
先端ブーム33の先端に設けられたブームヘッド33aには、シーブ34が配置されている。旋回体20に設けられたウィンチ24には、吊り荷用のワイヤロープ35が巻かれている。ワイヤロープ35は、ウィンチ24からシーブ34までブーム30に沿って配置される。シーブ34に掛け回されたワイヤロープ35は、シーブ34から鉛直方向の下方に吊り下げられる。ワイヤロープ35の最下部には、フック36が設けられている。
【0023】
フック36には、荷物が吊られる。ウィンチ24によってワイヤロープ35が繰り出されることで、フック36が降下し、ワイヤロープ35が巻き上げられることで、フック36が上昇する。
【0024】
車体10の前側の先端には、物体検知手段41としての距離センサが、前方を向いた姿勢で設けられる。物体検知手段41としての距離センサは、例えば、ミリ波レーダや、超音波センサや、LiDAR(Light Detection and Ranging)等にすることができる。物体検知手段41は、クレーン1の走行時に、クレーン1の進行方向の前方の物体を検知する。物体としては、自動車や、自転車や、人物や、建設物や、工事現場に置かれている建設資材等があげられる。物体は、静止している静止体であっても、移動している移動体であってもよい。
【0025】
この距離センサは、距離検知手段42としても機能する。距離検知手段42は、物体とクレーン1との距離を検知する。
【0026】
旋回体20には、人物検知手段44としてのカメラ等が、前方を向いた姿勢で設けられる。人物検知手段44は、撮影したカメラ画像に基づいて、例えば、画像認識によって、人物を検知する。
【0027】
このように構成されたクレーン1は、ウィンチ24によるワイヤロープ35の繰り出し・巻き上げ、ブーム30の起伏及び伸縮、並びに旋回体20の旋回により、フック36に吊られた荷物を所定の位置に移動させる。
【0028】
[クレーン走行支援装置の機能構成]
図3は、実施例1のクレーン走行支援装置の機能構成を示すブロック図である。図4は、実施例1のクレーン1が非作業現場を走行している場合のクレーン走行支援装置を説明する図である。図5は、実施例1のクレーン1が作業現場を走行している場合のクレーン走行支援装置を説明する図である。以下、実施例1のクレーン走行支援装置の機能構成を説明する。
【0029】
図3に示すように、クレーン走行支援装置1Aは、物体検知手段41が検知した情報と、距離検知手段42が検知した情報と、場所切替スイッチ43に入力された情報と、人物検知手段44が検知した情報とが、制御部50に入力され、制御部50で制御された情報が制動装置60に出力される。
【0030】
物体検知手段41は、クレーン1の走行時に使用され、クレーン1の進行方向の前方の物体を検知する。物体検知手段41が検知した情報は、制御部50に入力される。
【0031】
距離検知手段42は、クレーン1の走行時に使用され、物体検知手段41が検知した物体と、クレーン1との距離を検知する。物体検知手段41は、距離検知手段42を兼ねる距離センサとすることができる。距離検知手段42が検知した情報は、制御部50に入力される。
【0032】
場所切替スイッチ43に対する入力によって、作業現場と非作業現場とを切り替える。場所切替スイッチ43に入力された情報は、制御部50に入力される。
【0033】
人物検知手段44は、撮影したカメラ画像に基づいて、例えば、画像認識によって、人物を検知する。人物検知手段44が検知した情報は、制御部50に入力される。
【0034】
制御部50は、場所判断部51と、停止制御部52とを備える。
【0035】
場所判断部51は、場所切替スイッチ43に入力された情報に基づいて、クレーン1のいる場所が、作業現場であるか、非作業現場であるかを判断する。
【0036】
停止制御部52は、物体検知手段41が物体を検知した際に、距離検知手段42が検知した検知情報と、場所判断部51が判断した判断情報と、に基づいて、クレーン1が物体から所定の距離離れた位置で停止するように制御する指示を出す。
【0037】
すなわち、物体検知手段41が物体を検知した際に、距離検知手段42が検知した検知情報と、場所判断部51が判断した判断情報と、に基づいて、停止制御部52は、走行中のクレーン1が、クレーン1の進行方向の前方にある物体から所定の距離離れた位置に停止するように制御する指示を出す。
【0038】
停止制御部52は、場所判断部51が非作業現場と判断した場合より、場所判断部51が作業現場と判断した場合の方を、物体に近づいた位置で停止するように制御する指示を出す。
【0039】
具体的には、図4に示すように、非作業現場である一般公道をクレーン1が走行していたとする。運転者Mは、場所切替スイッチ43を操作して、非作業現場に設定すると、場所判断部51は、クレーン1がいる場所を非作業現場と判断する。この場合、物体検知手段41が物体Gであるトラックを検知すると、距離検知手段42が検知した物体Gとクレーン1との距離に基づいて、走行しているクレーン1を、物体Gの後端から走行しているクレーン1の前端までの距離が、距離L1(例えば、50cm)となる位置に停止させるように制動装置60を制御する。
【0040】
図5に示すように、作業現場である建設現場をクレーン1が走行していたとする。運転者Mは、場所切替スイッチ43を操作して、作業現場に設定すると、場所判断部51は、クレーン1がいる場所を作業現場と判断する。この場合、物体検知手段41が物体Gである建設物を検知すると、距離検知手段42が検知した物体Gとクレーン1との距離に基づいて、走行しているクレーン1を、物体Gの後端から走行しているクレーン1の前端までの距離が、距離L1より短い距離L2(例えば、5cm)となる位置に停止させるように制動装置60を制御する。
【0041】
停止制御部52により処理された処理情報は、制動装置60と警報装置45に出力される。
【0042】
制動装置60は、制御部50から出力された処理情報に基づいて、クレーン1の制動力を発生させる。すなわち、制動装置60は、制御部50から出力された処理情報に基づいて、走行しているクレーン1を停止させる。
【0043】
警報装置45は、制御部50から出力された処理情報に基づいて、警告情報を出力する。
【0044】
[制御部による処理]
図6は、実施例1の制御部50による処理の流れを示すフローチャートである。以下、実施例1のクレーン走行支援装置1Aの制御部50による処理の流れを説明する。
【0045】
クレーン1が走行中に、物体検知手段41が物体Gを検知すると、制御部50は、物体検知手段41からの物体検知情報を取得する(ステップS101)。
【0046】
次いで、制御部50は、物体Gとクレーン1との距離情報を取得する(ステップS102)。
【0047】
次いで、場所判断部51は、クレーン1のいる場所が非作業現場であるか作業現場であるかを判断する(ステップS103)。クレーン1のいる場所が非作業現場であると判断した場合(ステップS103でYES)、停止制御部52は、物体Gからのクレーン1までの距離を距離L1となる位置に停止するように制御する指示を制動装置60に与え(ステップS104)、制御部50による処理を終了する。なお、この場合、警報装置45が警告情報を出力してもよい。
【0048】
一方、クレーン1のいる場所が作業現場であると判断した場合(ステップS103でNO)、停止制御部52は、物体Gからのクレーン1までの距離を距離L2となる位置に停止するように制御する指示を制動装置60に与え(ステップS105)、制御部50による処理を終了する。なお、この場合、警報装置45が警告情報を出力してもよい。
【0049】
[クレーン走行支援装置の作用]
実施例1のクレーン走行支援装置1Aは、クレーン1の走行時に使用する、物体Gを検知する物体検知手段41と、物体Gとの距離を検知する距離検知手段42と、作業現場と非作業現場とに切り替え可能な場所切替スイッチ43と、場所切替スイッチ43の入力に基づいて、クレーン1のいる場所を判断する場所判断部51と、物体検知手段41が物体Gを検知した際に、距離検知手段42が検知した検知情報と、場所判断部51が判断した判断情報と、に基づいて、クレーン1が物体Gから所定の距離離れた位置で停止するように制御する停止制御部52と、を備える(図3)。
【0050】
これにより、クレーン1が作業現場にいる場合と、クレーン1が非作業現場にいる場合とで、進行方向に物体Gがある際のクレーン1の停止位置を異ならせることができる。そのため、クレーン1が作業現場にいるときは、作業性を確保できる物体Gからの距離を確保して、走行しているクレーン1を停止させることができる。一方、クレーン1が非作業現場にいるときは、安全性を確保できる物体Gからの距離を確保して、走行しているクレーン1を停止させることができる。
【0051】
その結果、クレーン1のいる場所に応じて、走行中のクレーン1を、物体Gから適切な距離離れた位置に停止させることができる。
【0052】
実施例1のクレーン走行支援装置1Aにおいて、停止制御部52は、場所判断部51が非作業現場と判断した場合より、場所判断部51が作業現場と判断した場合の方を、物体Gに近づいた位置で停止するように制御する(図4及び図5)。
【0053】
これにより、クレーン1が非作業現場にいる場合、周囲の物体Gに当たらないように安全な距離を確保した位置に、クレーン1を停止させることができる。一方、クレーン1が作業現場にいる場合、物体Gの近くまでクレーン1を寄せた、作業性を確保した位置に、クレーン1を停止させることができる。そのため、クレーン1のいる場所に応じて、走行中のクレーン1を、物体Gから適切な距離離れた位置に停止させることができる。
【実施例2】
【0054】
実施例2のクレーン走行支援装置は、制御部による処理が異なる点で、実施例1のクレーン走行支援装置と相違する。
【0055】
[クレーン走行支援装置の機能構成]
図7は、実施例2のクレーンが非作業現場を走行している場合のクレーン走行支援装置を説明する図である。以下、実施例2のクレーン走行支援装置の機能構成を説明する。なお、上記実施例で説明した内容と同一乃至均等な部分の説明については、同一の用語又は同一の符号を用いて説明する。
【0056】
図7に示すように、場所判断部51は、クレーン1がいる場所を作業現場と判断した場合、実施例2のクレーン走行支援装置1Aの停止制御部52は、人物検知手段44が人物Nを検知したときだけ、クレーン1を停止するように制御する指示を出す。
【0057】
場所判断部51は、クレーン1がいる場所を作業現場と判断した場合、停止制御部52は、人物検知手段44が人物Nを検知していないときは、走行しているクレーン1を停止するように制御する指示を出さない。すなわち、場所判断部51は、クレーン1がいる場所を作業現場と判断した場合、停止制御部52は、人物検知手段44が人物Nを検知していないときは、走行しているクレーン1を停止させる制御の指示を出さない。
【0058】
場所判断部51は、クレーン1がいる場所を非作業現場と判断した場合、停止制御部52は、実施例1と同様の指示を出す。
【0059】
[制御部による処理]
図8は、実施例2の制御部50による処理の流れを示すフローチャートである。以下、実施例2のクレーン走行支援装置1Aの制御部50による処理の流れを説明する。
【0060】
クレーン1が走行中に、物体検知手段41が物体Gを検知すると、制御部50は、物体検知手段41が検知した物体検知情報を取得する(ステップS201)。
【0061】
次いで、制御部50は、物体Gとクレーン1との距離情報を取得する(ステップS202)。
【0062】
次いで、場所判断部51は、クレーン1のいる場所が非作業現場であるか作業現場であるかを判断する(ステップS203)。クレーン1のいる場所が非作業現場であると判断した場合(ステップS203でYES)、停止制御部52は、物体Gからのクレーン1までの距離を距離L1となる位置に停止するように制御する指示を制動装置60に与え(ステップS204)、制御部50による処理を終了する。なお、この場合、警報装置45が警告情報を出力してもよい。
【0063】
一方、クレーン1のいる場所が作業現場であると判断した場合(ステップS203でNO)、停止制御部52は、制御部50は、人物を検知したか否かを判断する(ステップS205)。
【0064】
人物を検知したと判断した場合(ステップS205でYES)、停止制御部52は、クレーン1を停止させる指示を制動装置60に与え(ステップS206)、制御部50による処理を終了する。なお、この場合、警報装置45が警告情報を出力してもよい。
【0065】
一方、人物を検知していないと判断した場合(ステップS205でNO)、制御部50による処理を終了する。なお、この場合、警報装置45が警告情報を出力してもよい。
【0066】
[クレーン走行支援装置の作用]
以下、実施例2のクレーン走行支援装置1Aの作用を説明する。
【0067】
実施例2のクレーン走行支援装置1Aは、人物を検知する人物検知手段44を備え、場所判断部51が作業現場と判断した場合、停止制御部52は、人物検知手段44が人物を検知したときだけ、クレーン1を停止するように制御する(図8)。
【0068】
これにより、作業現場において、クレーン1の周辺に人物がいる場合は、クレーン1を自動で停止させることができる。一方、作業現場において、クレーン1の周辺に人物がいない場合は、クレーン1を自動で停止させないようにすることができる。そのため、作業現場において、クレーン1の周辺に人物がいる場合は、安全性を確保することができ、クレーン1の周辺に人物がいない場合は、クレーン1の作業性を確保することができる。
【0069】
なお、他の構成及び作用効果については、上記実施例と略同様であるので説明を省略する。
【実施例3】
【0070】
実施例3のクレーン走行支援装置は、制御部による処理が異なる点で、上記実施例のクレーン走行支援装置と相違する。
【0071】
[クレーン走行支援装置の機能構成]
以下、実施例3のクレーン走行支援装置の機能構成を説明する。なお、上記実施例で説明した内容と同一乃至均等 な部分の説明については、同一の用語又は同一の符号を用いて説明する。
【0072】
実施例3のクレーン走行支援装置1Aの停止制御部52は、場所判断部51がクレーン1のいる場所を作業現場と判断した場合、走行しているクレーン1を停止させない。
【0073】
停止制御部52は、場所判断部51がクレーン1のいる場所を非作業現場と判断した場合、実施例1と同様に、走行しているクレーン1を停止させる。
【0074】
[制御部による処理]
図9は、実施例3の制御部による処理の流れを示すフローチャートである。以下、実施例3のクレーン走行支援装置1Aの制御部による処理の流れを説明する。
【0075】
クレーン1が走行中に、物体検知手段41が物体Gを検知すると、制御部50は、物体検知手段41が検知した物体検知情報を取得する(ステップS301)。
【0076】
次いで、制御部50は、物体Gとクレーン1との距離情報を取得する(ステップS302)。
【0077】
次いで、場所判断部51は、クレーン1のいる場所が非作業現場であるか作業現場であるかを判断する(ステップS303)。クレーン1のいる場所が非作業現場であると判断した場合(ステップS303でYES)、停止制御部52は、物体Gからのクレーン1までの距離を距離L1となる位置に停止するように制御する指示を制動装置60に与え(ステップS304)、制御部50による処理を終了する。なお、この場合、警報装置45が警告情報を出力してもよい。
【0078】
一方、クレーン1のいる場所が作業現場であると判断した場合(ステップS303でNO)、制御部50による処理を終了する。なお、この場合、警報装置45が警告情報を出力してもよい。
【0079】
[クレーン走行支援装置の作用]
以下、実施例3のクレーン走行支援装置1Aの作用を説明する。
【0080】
実施例3のクレーン走行支援装置1Aは、停止制御部52は、場所判断部51が作業現場と判断した場合、クレーン1を停止させない(図9)。
【0081】
これにより、クレーン1が作業現場にいる場合、クレーン1を自動で停止させないことができる。そのため、クレーン1の作業性を向上させることができる。
【0082】
なお、他の構成及び作用効果については、上記実施例と略同様であるので説明を省略する。
【0083】
以上、本発明のクレーン走行支援装置を実施例1~実施例3に基づき説明してきた。しかし、具体的な構成については、これらの実施例に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や、追加や、各実施例の組み合わせ等は許容される。
【0084】
実施例1~実施例3では、物体検知手段41としての距離センサが、距離検知手段42の機能を兼ねる例を示した。しかし、物体検知手段41と、距離検知手段42とを別々に設けてもよい。また、物体検知手段41と、距離検知手段42と、人物検知手段44の機能を兼ねるセンサを設けてもよい。
【0085】
実施例1~実施例3では、専用の場所切替スイッチ43を設ける例を示した。しかし、場所切替スイッチは、専用のスイッチに限定されない。例えば、場所切替スイッチは、人物検知手段44により得られた画像に基づいて、画像認識技術(AI)を利用して、クレーン1のいる場所が、作業現場であるか、非作業現場であるかを自動的に判断するようにしてもよい。
【0086】
実施例1~実施例3では、本発明のクレーン走行支援装置を、クレーンが前進して走行する場合に適用する例を示した。しかし、本発明のクレーン走行支援装置は、クレーンが後退して走行する場合にも適用することができる。
【0087】
実施例1~実施例3では、本発明をラフテレーンクレーン1に適用する例を示した。しかし、本発明は、走行可能なクレーンに適用することができる。
【符号の説明】
【0088】
1 クレーン
1A クレーン走行支援装置
41 物体検知手段
42 距離検知手段
43 場所切替スイッチ
44 人物検知手段
51 場所判断部
52 停止制御部
G 物体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9