(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-08
(45)【発行日】2024-05-16
(54)【発明の名称】放射線画像撮影装置、放射線画像撮影システム、制御装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
A61B 6/00 20240101AFI20240509BHJP
【FI】
A61B6/00 530A
A61B6/00 520M
(21)【出願番号】P 2020095827
(22)【出願日】2020-06-02
【審査請求日】2023-03-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】澤口 冬威
【審査官】佐々木 創太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-093946(JP,A)
【文献】特開2019-144142(JP,A)
【文献】特開2015-173450(JP,A)
【文献】特開2019-166107(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0374295(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 6/00-6/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像の各画素に対応して二次元状に配列され、電荷を発生させる複数の放射線検出素子を有し、前記複数の放射線検出素子がそれぞれ発生させた電荷に基づいて各画素の信号値を読み出して画像を生成する放射線画像撮影装置であって、
前記画像を1枚ずつ生成させる静止画撮影モード、所定の時間間隔で前記電荷の蓄積動作及び読出し動作を繰り返すことで前記画像を連続的に生成させる連続撮影モード
のいずれかを設定する設定手段と、
バッテリー残量及びメモリー残量の少なくともいずれかに基づいて、前記設定手段により設定された撮影モードが実施可能であるか否かを判断する撮影モード判断手段と、
前記撮影モード判断手段により実施可能と判断された撮影モードに応じた撮影動作を実施する制御手段と、
放射線の曝射の有無を検知する検知手段と、
前記検知手段が放射線の曝射を検知する前のタイミングで取得された1つ以上の画像を、オフセット補正に用いるオフセット画像として記憶する補正情報記憶手段と、
を備えることを特徴とする放射線画像撮影装置。
【請求項2】
前記検知手段が放射線の曝射を検知した後のタイミングで取得された画像を、撮影画像として記憶する撮影画像記憶手段と、
前記撮影画像記憶手段に記憶された前記撮影画像に対して、前記補正情報記憶手段に記憶された前記オフセット画像を用いてオフセット補正を実施する画像補正手段と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載の放射線画像撮影装置。
【請求項3】
前記補正情報記憶手段は、出力変動情報をさらに記憶し、
前記画像補正手段は、前記補正情報記憶手段に記憶された前記出力変動情報を用いて前記撮影画像に対して補正を実施することを特徴とする請求項2に記載の放射線画像撮影装置。
【請求項4】
前記検知手段は、放射線の曝射の終了をも検知するものであり、
前記検知手段が放射線の曝射終了を検知する前のタイミングで取得された画像を、撮影画像とすることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の放射線画像撮影装置。
【請求項5】
撮影に関する動作状態を報知する第1の報知手段をさらに備えていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の放射線画像撮影装置。
【請求項6】
前記第1の報知手段は、表示手段、音声出力手段、振動発生手段のうちの少なくともいずれかを含むことを特徴とする請求項5に記載の放射線画像撮影装置。
【請求項7】
前記撮影モード判断手段による判断結果を報知する第2の報知手段をさらに備えることを特徴とする請求項
1に記載の放射線画像撮影装置。
【請求項8】
前記第2の報知手段は、表示手段、音声出力手段、振動発生手段のうちの少なくともいずれかを含むことを特徴とする請求項
7に記載の放射線画像撮影装置。
【請求項9】
画像の各画素に対応して二次元状に配列され、電荷を発生させる複数の放射線検出素子を有し、前記複数の放射線検出素子がそれぞれ発生させた電荷に基づいて各画素の信号値を読み出して画像を生成する放射線画像撮影装置と、コンソールと、を備える放射線画像撮影システムであり、
前記画像を1枚ずつ生成させる静止画撮影モード、所定の時間間隔で前記電荷の蓄積動作及び読出し動作を繰り返すことで前記画像を連続的に生成させる連続撮影モード
のいずれかを設定する設定手段と、
バッテリー残量及びメモリー残量の少なくともいずれかに基づいて、前記設定手段により設定された撮影モードが実施可能であるか否かを判断する撮影モード判断手段と、
前記撮影モード判断手段により実施可能と判断された撮影モードに応じた撮影動作を実施する制御手段と、
放射線の曝射の有無を検知する検知手段と、
前記検知手段が放射線の曝射を検知する前のタイミングで取得された1つ以上の画像を、オフセット補正に用いるオフセット画像として記憶する補正情報記憶手段と、
前記検知手段が放射線の曝射を検知した後のタイミングで取得された画像を、撮影画像として記憶する撮影画像記憶手段と、
前記撮影画像記憶手段に記憶された前記撮影画像に対して、前記補正情報記憶手段に記憶された前記オフセット画像を用いてオフセット補正を実施する画像補正手段と、
を備えることを特徴とする放射線画像撮影システム。
【請求項10】
撮影に関する動作状態を報知する第1の報知手段をさらに備えていることを特徴とする請求項
9に記載の放射線画像撮影システム。
【請求項11】
前記第1の報知手段は、表示手段、音声出力手段、振動発生手段のうちの少なくともいずれかを含むことを特徴とする請求項
10に記載の放射線画像撮影システム。
【請求項12】
前記撮影モード判断手段による判断結果を報知する第2の報知手段をさらに備えることを特徴とする請求項
9に記載の放射線画像撮影システム。
【請求項13】
前記第2の報知手段は、表示手段、音声出力手段、振動発生手段のうちの少なくともいずれかを含むことを特徴とする請求項
12に記載の放射線画像撮影システム。
【請求項14】
画像の各画素に対応して二次元状に配列され、電荷を発生させる複数の放射線検出素子を備え、前記複数の放射線検出素子がそれぞれ発生させた電荷に基づいて各画素の信号値を読み出して画像を生成する放射線画像撮影装置と、コンソールと、前記放射線画像撮影装置に向けて放射線を照射する放射線発生装置と、を備える放射線画像撮影システムであり、
前記画像を1枚ずつ生成させる静止画撮影モード、所定の時間間隔で前記電荷の蓄積動作及び読出し動作を繰り返すことで前記画像を連続的に生成させる連続撮影モード
のいずれかを設定する設定手段と、
バッテリー残量及びメモリー残量の少なくともいずれかに基づいて、前記設定手段により設定された撮影モードが実施可能であるか否かを判断する撮影モード判断手段と、
前記撮影モード判断手段により実施可能と判断された撮影モードに応じた撮影動作を実施する制御手段と、
放射線の曝射の有無を検知する検知手段と、
前記検知手段が放射線の曝射を検知する前のタイミングで取得された1つ以上の画像を、オフセット補正に用いるオフセット画像として記憶する補正情報記憶手段と、
前記検知手段が放射線の曝射を検知した後のタイミングで取得された画像を、撮影画像として記憶する撮影画像記憶手段と、
前記撮影画像記憶手段に記憶された前記撮影画像に対して、前記補正情報記憶手段に記憶された前記オフセット画像を用いてオフセット補正を実施する画像補正手段と、
を備えることを特徴とする放射線画像撮影システム。
【請求項15】
放射線画像撮影装置を用いて取得された画像を保存する画像記憶手段と、
前記放射線画像撮影装置に対する放射線の照射が開始された、放射線の曝射開始の検知情報を保持する検知情報記憶手段と、
前記検知情報記憶手段に記憶された前記検知情報に基づいて前記画像が放射線の曝射を検知する前のタイミングで取得されたオフセット画像であるか、放射線の曝射を検知した後のタイミングで取得された撮影画像であるかを判別する判別手段と、
前記撮影画像に対して、前記オフセット画像を用いてオフセット補正を実施する画像補正手段と、
前記画像を1枚ずつ生成させる静止画撮影モード、所定の時間間隔で電荷の蓄積動作及び読出し動作を繰り返すことで前記画像を連続的に生成させる連続撮影モード
のいずれも設定できる場合に、バッテリー残量及びメモリー残量の少なくともいずれかに基づいて、設定された撮影モードが実施可能であるか否かを判断する撮影モード判断手段と、
を備えることを特徴とする制御装置。
【請求項16】
コンピューターに、
放射線画像撮影装置を用いて取得された画像を保存する画像記憶機能と、
前記放射線画像撮影装置に対する放射線の照射が開始された、放射線の曝射開始の検知情報を保持する検知情報記憶機能と、
前記検知情報記憶機能により記憶された前記検知情報に基づいて前記画像が放射線の曝射を検知する前のタイミングで取得されたオフセット画像であるか、放射線の曝射を検知した後のタイミングで取得された撮影画像であるかを判別する判別機能と、
前記撮影画像に対して、前記オフセット画像を用いてオフセット補正を実施する画像補正機能と、
前記画像を1枚ずつ生成させる静止画撮影モード、所定の時間間隔で電荷の蓄積動作及び読出し動作を繰り返すことで前記画像を連続的に生成させる連続撮影モード
のいずれも設定できる場合に、バッテリー残量及びメモリー残量の少なくともいずれかに基づいて、設定された撮影モードが実施可能であるか否かを判断する撮影モード判断機能と、
を実現させることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線画像撮影装置、放射線画像撮影システム、制御装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
照射された放射線の線量に応じて放射線検出素子で電荷を発生させ、発生した電荷を画像データとして読み出す放射線画像撮影装置が種々開発されている。
また放射線画像撮影装置によって生体の動きを捉えた画像(動画像)を取得することも可能となっている。
【0003】
放射線画像撮影装置は、パネル状の可搬型に構成することができるため、撮影室内で特定の放射線発生装置と対応付けて使用される場合だけでなく、ポータブルタイプの放射線発生装置と組み合わせて、健診車で使用されたり、ベッド等に横臥した状態の患者を撮影するのに用いられる等、各種の場面での使用が想定される。このため、放射線画像撮影装置と放射線発生装置とが同期をとれないことも起こり得る。また同期をとれる構成を有していても、通信不良等により上手く同期できない場合も生じ得る。
【0004】
この点、特許文献1には、制御部が、放射線発生装置が発生する複数の放射線パルスの立ち上がりの検出が可能か否かを判定し、その判定結果に基づいて、放射線画像撮影装置(特許文献1において「FPD」)の動作モードを、放射線パルスの立ち上がりと立ち下がりを検出して、検出したタイミングに電荷の蓄積動作のタイミングを同期させるパルス照射対応モード、放射線パルスの立ち上がりと立ち下がりを検出することなく、所定の時間間隔で電荷の蓄積動作を実行する連続照射対応モードに適宜設定する技術が開示されている。
【0005】
また、特許文献2には、静止画を撮影する静止画モードと動画を撮影する動画モードの他に、静止画撮影と動画撮影とを区別せずに撮影を行う連続撮影モードを有し、静止画撮影を行うか動画撮影を行うかの指示がない場合には、連続撮影モードで撮影を行って、フレームごとの画像データの読出し処理を可能とし、静止画撮影、動画撮影のいずれにも対応できるようにする技術が開示されている。
【0006】
ところで、放射線画像撮影装置においては、放射線が照射されない状態でも、放射線検出素子の熱による熱励起等により各放射線検出素子内で暗電荷が発生し、放射線検出素子内に蓄積される電荷にこの暗電荷によるオフセット分が含まれる。このため、高画質の放射線画像を取得するために、通常、放射線を照射せずに暗電荷によるオフセット分のデータ(以下「オフセット画像」という。)を各放射線検出素子から読み出すオフセット画像取得処理が、放射線の照射により発生した電荷を各放射線検出素子に蓄積して読み出すことにより放射線画像(これを「撮影画像」ともいう。)を取得する放射線画像取得処理の前又は後に行われる。そして、放射線画像取得処理により取得した放射線画像(撮影画像)からオフセット画像を差し引くことで、放射線画像(撮影画像)から暗電荷によるオフセット分を除去するオフセット補正が行われる。
【0007】
例えば特許文献3には、複数のオフセット画像(複数回のオフセット出力)を平均化したものを予め記憶部に記憶させておき、このオフセット画像(オフセット出力値)をオフセット補正に用いることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2017-018705号公報
【文献】国際公開第2017/013896号公報
【文献】特開2005-287773号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、適切なオフセット補正を行うためには、できるだけ放射線画像(撮影画像)の撮影(本撮影)を行う直前、すなわち放射線発生装置の曝射開始直前のタイミング等で取得されたオフセット画像を用いることが好ましい。
特許文献3に記載されているように、予め保存しておいたオフセット画像を用いる場合には、放射線画像(撮影画像)について適切なオフセット補正を行うことができず、撮影画像の画質が低下するおそれがある。
【0010】
また、特許文献1、2に記載されているような放射線画像撮影装置と放射線発生装置とが同期して動作できないケースでは、曝射開始のタイミングが不明であるため、曝射直前のフレームを判別することができず、適切なオフセット画像を取得することが困難である。この点、特許文献1、2ではオフセット画像を取得してオフセット補正を行うことについて言及されていない。
【0011】
本発明の課題は、放射線画像撮影装置と放射線発生装置とが同期することができない場合でも省コストで高画質な撮影を行うことが可能な放射線画像撮影装置、放射線画像撮影システム、制御装置及びプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明の放射線画像撮影装置は、
画像の各画素に対応して二次元状に配列され、電荷を発生させる複数の放射線検出素子を有し、前記複数の放射線検出素子がそれぞれ発生させた電荷に基づいて各画素の信号値を読み出して画像を生成する放射線画像撮影装置であって、
前記画像を1枚ずつ生成させる静止画撮影モード、所定の時間間隔で前記電荷の蓄積動作及び読出し動作を繰り返すことで前記画像を連続的に生成させる連続撮影モードのいずれかを設定する設定手段と、
バッテリー残量及びメモリー残量の少なくともいずれかに基づいて、前記設定手段により設定された撮影モードが実施可能であるか否かを判断する撮影モード判断手段と、
前記撮影モード判断手段により実施可能と判断された撮影モードに応じた撮影動作を実施する制御手段と、
放射線の曝射の有無を検知する検知手段と、
前記検知手段が放射線の曝射を検知する前のタイミングで取得された1つ以上の画像を、オフセット補正に用いるオフセット画像として記憶する補正情報記憶手段と、
を備えることを特徴とする。
【0013】
また、請求項9に記載の放射線画像撮影システムは、
画像の各画素に対応して二次元状に配列され、電荷を発生させる複数の放射線検出素子を有し、前記複数の放射線検出素子がそれぞれ発生させた電荷に基づいて各画素の信号値を読み出して画像を生成する放射線画像撮影装置と、コンソールと、を備える放射線画像撮影システムであり、
前記画像を1枚ずつ生成させる静止画撮影モード、所定の時間間隔で前記電荷の蓄積動作及び読出し動作を繰り返すことで前記画像を連続的に生成させる連続撮影モードのいずれかを設定する設定手段と、
バッテリー残量及びメモリー残量の少なくともいずれかに基づいて、前記設定手段により設定された撮影モードが実施可能であるか否かを判断する撮影モード判断手段と、
前記撮影モード判断手段により実施可能と判断された撮影モードに応じた撮影動作を実施する制御手段と、
放射線の曝射の有無を検知する検知手段と、
前記検知手段が放射線の曝射を検知する前のタイミングで取得された1つ以上の画像を、オフセット補正に用いるオフセット画像として記憶する補正情報記憶手段と、
前記検知手段が放射線の曝射を検知した後のタイミングで取得された画像を、撮影画像として記憶する撮影画像記憶手段と、
前記撮影画像記憶手段に記憶された前記撮影画像に対して、前記補正情報記憶手段に記憶された前記オフセット画像を用いてオフセット補正を実施する画像補正手段と、
を備えることを特徴とする。
【0014】
また、請求項14に記載の放射線画像撮影システムは、
画像の各画素に対応して二次元状に配列され、電荷を発生させる複数の放射線検出素子を備え、前記複数の放射線検出素子がそれぞれ発生させた電荷に基づいて各画素の信号値を読み出して画像を生成する放射線画像撮影装置と、コンソールと、前記放射線画像撮影装置に向けて放射線を照射する放射線発生装置と、を備える放射線画像撮影システムであり、
前記画像を1枚ずつ生成させる静止画撮影モード、所定の時間間隔で前記電荷の蓄積動作及び読出し動作を繰り返すことで前記画像を連続的に生成させる連続撮影モードのいずれかを設定する設定手段と、
バッテリー残量及びメモリー残量の少なくともいずれかに基づいて、前記設定手段により設定された撮影モードが実施可能であるか否かを判断する撮影モード判断手段と、
前記撮影モード判断手段により実施可能と判断された撮影モードに応じた撮影動作を実施する制御手段と、
放射線の曝射の有無を検知する検知手段と、
前記検知手段が放射線の曝射を検知する前のタイミングで取得された1つ以上の画像を、オフセット補正に用いるオフセット画像として記憶する補正情報記憶手段と、
前記検知手段が放射線の曝射を検知した後のタイミングで取得された画像を、撮影画像として記憶する撮影画像記憶手段と、
前記撮影画像記憶手段に記憶された前記撮影画像に対して、前記補正情報記憶手段に記憶された前記オフセット画像を用いてオフセット補正を実施する画像補正手段と、
を備えることを特徴とする。
【0015】
また、請求項15に記載の制御装置は、
放射線画像撮影装置を用いて取得された画像を保存する画像記憶手段と、
前記放射線画像撮影装置に対する放射線の照射が開始された、放射線の曝射開始の検知情報を保持する検知情報記憶手段と、
前記検知情報記憶手段に記憶された前記検知情報に基づいて前記画像が放射線の曝射を検知する前のタイミングで取得されたオフセット画像であるか、放射線の曝射を検知した後のタイミングで取得された撮影画像であるかを判別する判別手段と、
前記撮影画像に対して、前記オフセット画像を用いてオフセット補正を実施する画像補正手段と、
前記画像を1枚ずつ生成させる静止画撮影モード、所定の時間間隔で電荷の蓄積動作及び読出し動作を繰り返すことで前記画像を連続的に生成させる連続撮影モードのいずれも設定できる場合に、バッテリー残量及びメモリー残量の少なくともいずれかに基づいて、設定された撮影モードが実施可能であるか否かを判断する撮影モード判断手段と、
を備えることを特徴とする。
【0016】
また、請求項16に記載のプログラムは、
コンピューターに、
放射線画像撮影装置を用いて取得された画像を保存する画像記憶機能と、
前記放射線画像撮影装置に対する放射線の照射が開始された、放射線の曝射開始の検知情報を保持する検知情報記憶機能と、
前記検知情報記憶機能により記憶された前記検知情報に基づいて前記画像が放射線の曝射を検知する前のタイミングで取得されたオフセット画像であるか、放射線の曝射を検知した後のタイミングで取得された撮影画像であるかを判別する判別機能と、
前記撮影画像に対して、前記オフセット画像を用いてオフセット補正を実施する画像補正機能と、
前記画像を1枚ずつ生成させる静止画撮影モード、所定の時間間隔で電荷の蓄積動作及び読出し動作を繰り返すことで前記画像を連続的に生成させる連続撮影モードのいずれも設定できる場合に、バッテリー残量及びメモリー残量の少なくともいずれかに基づいて、設定された撮影モードが実施可能であるか否かを判断する撮影モード判断機能と、
を実現させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、放射線画像撮影装置と放射線発生装置とが同期することができない場合でも省コストで高画質な撮影を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本実施形態における放射線画像撮影システムの全体構成を模式的に示す要部構成図である。
【
図2】放射線画像撮影装置の等価回路を表すブロック図である。
【
図3】本実施形態における放射線画像撮影方法の全体的な手順を示すフローチャートである。
【
図4】
図3における連続撮影モードの処理手順を示すフローチャートである。
【
図5】本実施形態における連続撮影モードの放射線照射のタイミングと画像取得のタイミングとの関係を模式的に示す説明図である。
【
図6】曝射開始が読出し動作中に検知された場合を模式的に示す説明図である。
【
図7】曝射開始が読出し動作中に検知された場合の画像の取り扱いを模式的に示す説明図である。
【
図8】曝射開始が電荷蓄積中に検知された場合を模式的に示す説明図である。
【
図9】曝射終了検知の手順の一例を示すフローチャートである。
【
図10】曝射終了が読出し動作中に検知された場合を模式的に示す説明図である。
【
図11】曝射終了が電荷蓄積中に検知された場合を模式的に示す説明図である。
【
図12】時間軸方向の放射線出力強度の変化の例を示すグラフである。
【
図13】出力変動補正の手順の一例を示すフローチャートである。
【
図14】
図3における静止画撮影モードの処理手順を示すフローチャートである。
【
図15】通信可能な放射線発生装置と連携して連続撮影モードでの撮影を行う場合の処理手順を示すフローチャートである。
【
図16】通信可能な放射線発生装置と連携してパルス撮影モードでの撮影を行う場合の処理手順を示すフローチャートである。
【
図17】通信可能な放射線発生装置と連携して静止画撮影モードでの撮影を行う場合の処理手順を示すフローチャートである。
【
図18】本実施形態の一変形例におけるコンソールの要部構成を示す要部ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、
図1から
図17を参照して、本発明にかかる放射線画像撮影装置、放射線画像撮影システム、制御装置及びプログラムの一実施形態について説明する。
ただし、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の技術的範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
【0020】
[放射線画像撮影システムの構成]
初めに、本実施形態に係る放射線画像撮影システム100の概略構成について説明する。
図1は放射線画像撮影システム100の全体構成を模式的に示す要部構成図である。
【0021】
本実施形態の放射線画像撮影システム100は、
図1に示すように、放射線画像撮影装置1の他、コンソール50と、放射線発生装置60と、を備えている。
放射線画像撮影装置1とコンソール50とは、各種の通信ネットワークを介した無線方式、又は有線方式にて互いに通信可能となっている。
本実施形態では、放射線画像(以下において「撮影画像」ともいう。)の取得から、この撮影画像に対する補正までを、放射線画像撮影装置1単体で行うことができる場合の例について説明する。
【0022】
なお、放射線画像撮影システム100は、放射線画像撮影装置1とコンソール50とで構成され、システム外の放射線発生装置と組み合わせて用いられてもよし、図示しない病院情報システム(Hospital Information System:HIS)や、放射線科情報システム(Radiology Information System:RIS)、画像保存通信システム(Picture Archiving and Communication System:PACS)、画像解析装置等と接続することが可能となっていてもよい。
【0023】
〔放射線発生装置〕
放射線発生装置60は、図示を省略するが、照射指示スイッチが操作されたことに基づいて、予め設定された放射線照射条件(管電圧や管電流、照射時間(mAs値)等)に応じた電圧を印加するジェネレーター、ジェネレーターから電圧が印加されると印加された電圧に応じた線量の放射線(例えばX線)を生成する放射線源61等を備えている。
放射線発生装置60は、
図1に示すように、被写体Mを介して放射線画像撮影装置1と対峙するように配置され、撮影する放射線画像(静止画像・動態画像)に応じた態様で放射線を発生させ、放射線画像撮影装置1に対して照射するようになっている。
【0024】
なお、本実施形態では一般的な静止画の撮影の他、動画の撮影も可能となっており、放射線発生装置60はこれに対応するものが用いられる。
動画撮影を実施する場合、放射線をパルス照射する手法もあるが、パルス照射に対応できる放射線発生装置は撮影を行う施設に広く用意されているものではなく、またパルス照射が可能であってもパルスの出力にばらつきが生じる場合もある。きれいに揃ったパルスを出力することのできる装置は高価であり、放射線発生装置60がこうした装置に限定されると、柔軟に動画撮影を行うことができない。
【0025】
そこで本実施形態では、パルス照射に対応できる装置に限定せず、撮影時間(放射線の照射時間)の設定をおよそ1秒以上で設定できるものであれば放射線発生装置60として適用することができる。すなわち、一般的な静止画撮影用の放射線発生装置であっても撮影時間の設定をおよそ1秒以上で設定すれば、これを連続照射と見ることで動画撮影を行うことが可能となる。
また、放射線発生装置60は、図示しない撮影室内に据え付けられたものであってもよいし、放射線画像撮影装置1やコンソール60等と共にいわゆる健診車等に搭載されて移動可能に構成されたもの等、ポータブルタイプであってもよい。
【0026】
〔コンソール〕
コンソール60は、他のシステム(HISやRIS等)から取得した撮影オーダー情報やユーザーによる操作に基づいて、各種撮影条件(管電圧や管電流、照射時間(mAs値)、フレームレート、被写体の体格、グリッドの有無等)を放射線発生装置60や放射線画像撮影装置1に設定したり、放射線画像撮影装置1で生成される画像に所定の画像処理を施したりするためのものであり、PCや専用の装置等で構成されている。
【0027】
〔放射線画像撮影装置〕
放射線画像撮影装置1は、例えば
図1に示すように、筐体を備えてパネル状に構成され、支持台1aのホルダ等に装填されて用いられる。
なお、放射線画像撮影装置1の構成は特に限定されない。例えば放射線画像撮影装置1は支持台1a等と一体的に形成されていてもよいし、可搬型に構成され、各種の支持台のホルダに対して着脱可能となっていてもよい。また、ホルダ等に装填せずに、単体の状態で、例えば被写体である患者の身体にあてがったり、ベッド上に横臥している患者とベッドとの間に差し込んで撮影に用いるものであってもよい。
【0028】
放射線画像撮影装置1は、画像の各画素に対応して二次元状に配列され、電荷を発生させる複数の放射線検出素子7(
図2参照)を有し、複数の放射線検出素子7がそれぞれ発生させた電荷に基づいて各画素の信号値を読み出して画像を生成するものである。
放射線画像撮影装置1は、前述の放射線発生装置60から放射線が照射されると、受けた放射線に応じた電荷を複数の放射線検出素子7に発生させ、これらの電荷に基づいて各画素の信号値を読み出すことにより放射線画像(撮影画像)を生成する。
また、放射線画像撮影装置1においては、放射線が照射されない状態でも、放射線検出素子7の熱による熱励起等により各放射線検出素子7内で電荷(暗電荷)が発生する。放射線を照射しない状態で放射線検出素子7内に蓄積される暗電荷を各放射線検出素子7から読み出すことで得られるデータは、後述するオフセット補正に用いられるオフセット分のデータ(以下「オフセット画像」という。)となる。
【0029】
ここで、
図2を参照しつつ、本実施形態の放射線画像撮影装置1の具体的な構成について説明する。
放射線画像撮影装置1は、
図2に示すように、複数の放射線検出素子7が二次元状(マトリクス状)に配列された検出部Pを備えている。そして、各放射線検出素子7には、バイアス線9が接続されており、バイアス線9やそれらの結線10を介してバイアス電源14から逆バイアス電圧が印加される。
【0030】
また、各放射線検出素子7には、スイッチ素子としてTFT(Thin Film Transistor)8が接続されており、TFT8は信号線6に接続されている。そして、各放射線検出素子7では、図示しない被写体Mを介して照射された放射線の線量に応じた電荷が各放射線検出素子7内でそれぞれ発生するようになっている。
【0031】
また、走査駆動手段15では、配線15cを介して電源回路15aから供給されたオン電圧とオフ電圧がゲートドライバー15bで切り替えられて走査線5の各ラインL1~Lxに印加される。そして、各TFT8は、走査線5を介してオフ電圧が印加されるとオフ状態になり、放射線検出素子7と信号線6との導通を遮断して、電荷を放射線検出素子7内に蓄積させる。また、走査線5を介してオン電圧が印加されるとオン状態になり、放射線検出素子7内に蓄積された電荷を信号線6に放出させる。
【0032】
各信号線6は、読み出しIC16内の各読み出し回路17にそれぞれ接続されている。そして、信号値Dの読み出し処理の際には、ゲートドライバー15bから走査線5の各ラインL1~Lxにオン電圧が順次印加される。そして、TFT8がオン状態になると、放射線検出素子7から電荷がTFT8や信号線6を介して読み出し回路17に流れ込み、増幅回路18で、流れ込んだ電荷の量に応じた電圧値が出力される。
【0033】
相関二重サンプリング回路(
図2では「CDS」と記載されている。)19は、増幅回路18から出力された電圧値をアナログ値の信号値Dとして読み出して出力し、出力された信号値Dはアナログマルチプレクサー21を介してA/D変換器20に順次送信され、A/D変換器20でデジタル値の信号値Dに順次変換されて記憶手段23に順次保存されるようになっている。
なお、熱励起等により各放射線検出素子7内で電荷(暗電荷)が発生した場合にも同様の処理により信号値が読み出される。
【0034】
制御手段22は、図示しないCPU(Central Processing Unit)やROM(Read OnlyMemory)、RAM(Random Access Memory)、入出力インターフェース等がバスに接続されたコンピューターや、FPGA(Field Programmable Gate Array)等で構成されている。専用の制御回路で構成されていてもよい。
【0035】
本実施形態では、放射線画像撮影装置1の制御手段22が、少なくとも連続撮影モードに対応した撮影動作を実施する制御手段として機能する。連続撮影モードでは、所定の時間間隔で電荷の蓄積動作及び読出し動作を繰り返すことで画像を連続的に生成させる。
この他、制御手段22は、放射線発生装置60による放射線の曝射の有無を検知する検知手段、撮影画像に対してオフセット画像を用いたオフセット補正等を実施する画像補正手段として機能する。
さらに、本実施形態では制御手段22は、連続撮影モードの他に、画像を1枚ずつ生成させる静止画撮影モードを実施可能となっており、制御手段22は、各種の条件に照らして実施可能な撮影モードを判断する撮影モード判断手段等としても機能する。実施可能な撮影モードを判断する際の各種条件としては、例えば内蔵電源24のバッテリー残量や記憶手段23のメモリー残量がある。
【0036】
なお、制御手段22によって考慮される条件はこれに限定されない。例えば、所定のライセンスが付与されなければ放射線画像撮影装置1で連続撮影を行うことが許可されない等の取り決めがある場合に、撮影を行う施設が当該ライセンスを取得していない(制御手段22がライセンス情報を確認できない)場合には、制御手段22が静止画撮影モードのみ実施可能(連続撮影モードの実施不可)であると判断してもよい。また、連続撮影モードの場合には、連続照射の放射線を受ける分ラグが残りやすい。このため、撮影間隔が所定の間隔よりも短い場合には、制御手段22がまだ次の連続撮影を行うことができないと判断してもよい。さらに、最終的に画像データを放射線画像撮影装置1からコンソール50等の外部装置に送信するような場合であれば、制御手段22が通信状態を判断し、連続撮影モードにより得られる比較的容量の大きな画像データを送信可能な状態であるか否かに基づいて連続撮影モードの実施の可否を判断してもよい。
なお、本実施形態における制御手段22のこれら各機能については後に詳述する。
【0037】
また、制御手段22は、上記のように、バイアス電源14から各放射線検出素子7への逆バイアス電圧の印加を制御したり、走査駆動手段15や読み出し回路17等の動作を制御して、各放射線検出素子7からの信号値Dの読み出し処理を行わせ、読み出された信号値Dを記憶手段23に保存したり、或いは、保存された信号値Dを、通信部30を介して外部に転送する等、放射線画像撮影装置1の各部の制御を行うようになっている。
【0038】
また、制御手段22は、放射線画像撮影装置1の電源のオン/オフを制御することができるようになっている。制御手段22には、放射線画像撮影装置1の電源がオフの状態でも内蔵電源24から供給される非常に小さい電力で駆動する図示しないマイコンが含まれており、制御手段22は、放射線画像撮影装置1の電源がオフの状態でも放射線画像撮影装置1の電源のオフからオンへの切り替えを制御することができるように構成される。
【0039】
また、制御手段22には、SRAM(Static RAM)やSDRAM(Synchronous DRAM)、NAND型フラッシュメモリー等で構成される記憶手段23が接続されている。
本実施形態の記憶手段23は、検知手段としての制御手段22が放射線の曝射を検知する前のタイミングで取得された画像をオフセット補正に用いるオフセット画像として記憶する補正情報記憶手段、検知手段としての制御手段22が放射線の曝射を検知した後のタイミングで取得された画像を、撮影画像として記憶する撮影画像記憶手段として機能する。
その他記憶手段23は、検知手段としての制御手段22が放射線の曝射の有無を検知する場合には、放射線発生装置6による放射線画像撮影装置1に対する放射線の照射が開始された、放射線の曝射開始の検知情報を保持する検知情報記憶手段等としても機能する。
記憶手段23に記憶される事項は、ここに例示したものに限定されない。これらのうちの一部が記憶されてもよいし、これら以外の事項が記憶されてもよい。
【0040】
さらに、制御手段22には、リチウムイオンキャパシター等で構成される内蔵電源(バッテリー)24が接続されている。さらに、制御手段22には、アンテナ29やコネクター27を介して外部と無線方式や有線方式で通信を行うための通信部30が接続されている。
【0041】
本実施形態の制御手段22には、この他、操作手段31、報知手段32等が接続されている。なお、操作手段31、報知手段32を設けることは必須の構成ではない。
操作手段31は、例えば電源スイッチや、撮影モードを選択・設定する設定手段としてのモード設定スイッチ等の各種のスイッチで構成される。
なお操作手段31は、放射線画像撮影装置1の筐体の表面や側面等に設けられた釦や切り替えスイッチ等であってもよいし、タッチパネルが構成された表示部等を備える場合には、タッチパネルであってもよい。
設定手段としての操作手段31は、連続撮影モード、静止画撮影モードのいずれかの撮影モードを設定可能であり、設定手段としての操作手段31によっていずれかの撮影モードが設定されると、制御手段22は、設定手段により設定された撮影モードに応じた撮影動作を実施する。
【0042】
報知手段32は、例えば表示手段や、スピーカー等を備える音声出力手段、振動モーター等を備える振動発生手段等で構成される。報知手段32は少なくとも1種類設けられていればよく、複数種類の組み合わせであってもよい。
報知手段32として表示手段を設ける場合には、例えば図示しないLCD(Liquid Crystal Display)やCRT(Cathode Ray Tube)等の画像を表示するモニターで構成表示部やインジケーター、ランプ等を筐体の表面や側面等に設ける。
【0043】
本実施形態の報知手段32は、撮影に関する動作状態を報知する第1の報知手段、撮影モード判断手段としても制御手段22による判断結果を報知する第2の報知手段としての機能を有する。なお、第1の報知手段と第2の報知手段とは同じものであってもよいし、別々に設けられていてもよい。例えば第1の報知手段としてのランプやインジケーター、第2の報知手段としてのランプやインジケーターをそれぞれ別個に備えてもよい。また、第1の報知手段をランプやインジケーターで構成し、第2の報知手段をLCDやCRT等を備える表示部で構成してもよい。
【0044】
撮影に関する動作状態とは、例えば撮影準備中、撮影中、データ(例えば撮影画像のデータ等)の転送中等の各状態であり、放射線画像撮影装置1がどのような状態にあるかを表示やランプの点灯等によりユーザーに報知する。
撮影モードの判断結果とは、例えば、静止画撮影モード・動画撮影モードとも実施可能、静止画撮影モードのみ可能、いずれの撮影モードも実施不可等の判断結果であり、実施可能な撮影モード等を表示等によりユーザーに報知する。
なお、実施することのできない撮影モードがある場合には、実施できない理由(例えばバッテリー残量不足、メモリー残量不足等)を合わせて報知手段32により報知(例えば表示部に表示)させてもよい。実施できない理由等は一見してユーザーに理解されるように、分かりやすいアイコン等で示されることが好ましい。
【0045】
[放射線画像撮影装置の動作]
次に、本実施形態における放射線画像撮影装置1(放射線画像撮影装置1を含む放射線画像撮影システム100)の動作について説明する。
【0046】
まず、
図3に示すように、設定手段としての操作手段31が操作されることで、放射線画像撮影装置1により連続撮影モード、静止画撮影モードのいずれかの撮影モードであるかが設定される(ステップS1)。
制御手段22は、設定された撮影モードが連続撮影モードか否かを判断する(ステップS2)。連続撮影モードが設定された場合(ステップS2;YES)には、バッテリー残量等の諸条件に照らして、設定された撮影モード(すなわち、連続撮影モード)を実施することが可能であるか否かを判断する(ステップS3)。
【0047】
連続撮影モードが実施可能であると判断される場合(ステップS3;YES)には、制御手段22は、各部を制御して連続撮影モードによる撮影動作を実施する(ステップS4)。
他方、連続撮影モードが実施不可能であると判断される場合(ステップS3;NO)には、制御手段22は、連続撮影モードが実施不可能である旨やその理由を、第2の報知手段としての報知手段32によりユーザーに報知する(ステップS5)。
【0048】
一方、連続撮影モードが設定されていない場合(すなわち、静止画撮影モードが設定された場合、ステップS2;NO)にも、同様にバッテリー残量等の諸条件に照らして、設定された撮影モード(すなわち、静止画撮影モード)を実施することが可能であるか否かを判断する(ステップS6)。静止画撮影モードが実施可能であると判断される場合(ステップS6;YES)には、制御手段22は、各部を制御して静止画撮影モードによる撮影動作を実施する(ステップS7)。
他方、静止画撮影モードが実施不可能であると判断される場合(ステップS6;NO)には、制御手段22は、静止画撮影モードが実施不可能である旨やその理由を、第2の報知手段としての報知手段32によりユーザーに報知する(ステップS8)。
【0049】
なお、何れかの撮影モードが設定された場合には、報知手段32は、撮影に関する動作状態を報知する第1の報知手段として、設定された撮影モードにおける現時点での動作状態をユーザーに報知してもよい。
動作状態とは、例えば撮影準備中である、撮影可能状態である、撮影中である、画像データの転送中である等の各状態である。ここで撮影準備中とは、例えば連続曝射モード時にオフセット画像を16枚取得するとの設定なっている場合、オフセット画像を取得する間は本撮影(撮影画像を取得する放射線を照射しての撮影)を行うことができず、この時間が撮影準備中となる。
動作状態の報知の仕方は特に限定されないが、例えば、オフセット画像を取得するために撮影準備中である場合には、所定枚数のオフセット画像が取得されるにしたがいインジケーターの点灯部分の色が変わったり、点滅状況が変化したりしてもよい。
なお、第1の報知手段は、第2の報知手段と同じものであってもよいし、それぞれ別に設けられてもよい。
動作状態を報知することで、例えば撮影準備中に誤って曝射してしまうような誤撮影等を防止することができる。
【0050】
図4は、連続撮影モードが実施される場合の手順を示すフローチャートであり、
図5は、放射線発生装置からの放射線の出力と放射線画像撮影装置の駆動との関係を説明する説明図である。
連続撮影モードが実施される場合には、
図4に示すように、撮影前の準備動作が行われる(ステップS11)。具体的には、準備動作として、放射線画像撮影装置1では、放射線検出素子7で構成された検出部Pにおいて、電荷の蓄積と、蓄積された電荷に基づく信号値の読出し動作とが繰り返される。そして、読み出された信号値(画像信号値)が画像として取得される(ステップS12)。
【0051】
図5に示すように、放射線の曝射前に蓄積され読出された信号値のデータは、暗電荷の情報であるオフセット画像である。
制御手段22は、曝射開始が検知されたか否かを随時判断し(ステップS13)、曝射開始が検知されるまで(ステップS13;NO)は、随時オフセット画像を最新の取得画像に更新して、補正情報記憶手段としての記憶手段23に記憶させるとともに(ステップS14)、ステップS12に戻って処理を繰り返す。
本実施形態では、制御手段22が、曝射開始(すなわち
図5における、放射線出力がOFFからONになるタイミング)を検知することで、曝射開始前に取得された画像をオフセット画像とし、曝射開始以降に取得された画像を撮影画像と判別する。
【0052】
なお、曝射開始を検知する手法は、どのような手法を用いても構わない。
例えば放射線画像撮影装置1の内外に放射線を検出する放射線センサー(X線センサー)を搭載しておき、この放射線センサーの出力をみて判断してもよい。また、連続撮影を行う場合、画像信号値自体は曝射開始前から読み出しているため、読出された画像信号値(画素値)を用いても判断してもよい。画像信号値(画素値)を用いる場合は、例えばある閾値の信号値を設定しておき、これを超える画像信号値(画素値)が読み出されたときに曝射が開始されたと判断する。
このように、制御手段22が放射線の曝射開始のタイミングを検知することにより、どこまでが曝射開始前の画像(オフセット画像)で、どこからが放射線画像(撮影画像)であるかを正しく判別することができる。このため、放射線画像撮影装置1と放射線発生装置60とが同期・連携することができない場合でも、撮影(放射線を照射しての本撮影)を行うごとに、撮影画像が取得されたタイミングにできるだけ近いタイミングで取得されたオフセット画像を取得することができ、オフセット補正の精度が改善されて撮影画像の画質が向上する。
【0053】
なお、曝射開始後のタイミングでオフセット画像を取得することも可能ではあるが、この場合、すでに曝射された放射線による画像の残光のようなラグ成分がオフセット画像に含まれてしまう。このような曝射の影響を受けたオフセット画像を用いて補正を行うと、補正の精度が悪化する。このため、曝射開始前の本撮影直前にオフセット画像を取得することが好ましい。
【0054】
なお、オフセット画像を記憶する先は放射線画像撮影装置1内の記憶手段23であってもよいし、放射線画像撮影装置1外に設けられた各種記憶手段であってもよい。例えばコンソール50等に送信して、送信先で記憶されるようにしてもよい。
また、オフセット補正に用いるオフセット画像は1枚でもいいし、複数枚用いてもよい。
例えば、
図5に示すように、曝射開始検知前に取得された画像が複数ある場合、このうち最も曝射開始のタイミングに近い1枚を選択してオフセット画像としてもよいし、複数の画像(
図5の例では、曝射開始検知前に3セットの蓄積、読出しによって3枚の画像が取得される。)をオフセット画像として用いてもよい。
複数の画像を用いる場合には、例えば当該画像を平均することでオフセット画像を生成する。また、平均する場合に限定されず、画素ごとに中央値をとったり、最頻値を算出したり、加重平均を用いて複数の画像から1枚のオフセット画像を生成してもよい。
このように複数の画像を用いた場合には、ランダムなノイズを除去することができるため、固定パターンノイズを精度よく抽出することができ、オフセット補正の精度が向上する。
【0055】
ここで、放射線の曝射開始が検知されたタイミングと、曝射開始前後の境界にかかる画像の取り扱いについて、
図6及び
図7を参照しつつ、詳説する。
図5に示す例のように、電荷の蓄積動作と読出し動作とのセットの丁度境界で曝射開始が検知された場合には、曝射開始前に蓄積、読出しが行われた画像はオフセット画像とし、曝射開始後に蓄積、読出しが行われた画像は撮影画像として扱えばよい。しかし、曝射開始は、このように丁度セットの境界で検知されるとは限らない。
検知のタイミングとしては、電荷の蓄積動作中である場合、読出し動作中である場合が想定される。
【0056】
図6は、曝射開始が検知されたタイミングが、放射線画像撮影装置1における信号値の読出し動作中であった場合を模式的に示す図である。
この場合、曝射開始前に蓄積、読出しが行われた画像(暗画像)はオフセット画像とし、曝射開始後に蓄積、読出しが行われた画像は撮影画像として扱えばよいが、曝射開始が検知されたときに読出し動作中であった画像の取り扱いが問題となる。
図6に示す例では、4セット目の蓄積、読出しにおける、読出し動作中に曝射開始が検知された場合には、当該読出し中の画像は、破棄してもよいし、撮影画像として用いることができる場合には撮影画像として記憶してもよい。
【0057】
例えばパネルの、画像の上端から順次画像信号値を読出していく動作をする場合、読出し中に曝射が開始されると、曝射が開始されるまでの間に既に読み出されてしまった行は未露光の画像(暗画像)となり、曝射が開始されてから読み出された行は、露光された画像となって、1フレームの中に未露光領域と露光領域とが混在することとなる。
このような場合、当該画像を破棄してもよい。
このような画像を撮影画像として用いる場合には、例えば撮影画像として用いることのできる露光領域と次の画像とをつなぎ合わせて1枚の画像として用いることが考えられる。
【0058】
すなわち、例えば
図7に示すように、あるフレーム画像Nのn行目の画像信号値を読み出しているときに曝射開始が検知された場合には、当該画像のn行目から最終行目までの画像をフレーム画像Nの画像として保存しておき、次のフレーム画像N+1の画像信号値が読み出されたときに、フレーム画像Nのn行目から最終行目までの画像をフレーム画像N+1の1行目からn-1行目までの画像と結合して1枚の撮影画像を構成する。
この場合は、以降のフレームについてn行目が読出しの1行目となるように読出しの開始位置がずれた状態となる。
【0059】
なお、n行目の画像信号値を読み出しているときに曝射開始が検知された場合には、n+1行目から最終行目までの画像を次のフレーム画像の1行目からn行目までの画像と結合して1枚の撮影画像を構成してもよい。
また、あるフレーム画像Nのn(又はn+1)行目から最終行目までの画像を次のフレーム画像N+1のn(又はn+1)行目から最終行目までの画像と平均化して、フレーム画像N+1とし、以降のフレームについては、読出し開始位置をずらさずに、1行目から読み出すようにしてもよい。
【0060】
これに対して、
図8は、曝射開始が検知されたタイミングが、放射線画像撮影装置1における電荷の蓄積中であった場合を模式的に示す図である。
蓄積中に曝射開始が検知された場合、蓄積の序盤で検知した場合には信号値が高く読み出され、蓄積の終盤で検知した場合は信号値がかなり低く出る。
そこで、このような画像を破棄するか否かは、例えば当該画像の信号値によって判断する。すなわち、例えば読み出された画像信号値に対して所定の閾値を設けておき、当該閾値を超えた場合には有効な撮影画像として記憶し、画像信号値が閾値を下回って低い場合には破棄する。このような画像は、信号値が低くても曝射成分が乗っているためにオフセット画像として用いることができず、撮影画像として扱うに値する場合以外は破棄することとなる。
【0061】
なお、ここまで
図5に示すように蓄積と読出しとを交互に行い、画像を取得する場合について説明したが、例えば30fps等の高フレームレートで撮影を行うに場合は、蓄積の時間を設けなくてもよい。すなわち、読出し動作では、検出部Pの上の行から順に1行ずつ読み出していくが、読み出しが行われていない行はスイッチが閉じた状態となっている。ある行の読出しが行われている間、スイッチが閉じている他の行では蓄積が行われているのと実質的に同様である。このため、別途すべてのスイッチを閉じる蓄積時間を設けなくても、行ごとに見れば蓄積と読出しとを繰り返していることとなる。蓄積時間を別途設けないこととすれば、処理時間を短くできるその分、フレームレートを上げることが可能となる。
【0062】
なお、本実施形態では、曝射開始前にオフセット画像を取得するとその都度オフセット画像を最新のものに更新して保存する場合を例示したが、オフセット画像はこれに限定されない。
例えば、記憶手段23のメモリー容量上限まで全て保存しておき、撮影動作の終了後等に検知結果等から曝射開始のタイミングをみて、オフセット補正に用いるオフセット画像を後から決定してもよい。
メモリー容量に余裕があるような場合であれば、曝射開始前から終了までの画像をすべて記憶させておき、撮影終了後に、検知手段としての制御手段22によって検知された検知情報に基づいて、取得された画像を曝射開始のタイミングの前後でオフセット画像と撮影画像とに判別してもよい。
【0063】
図4に戻り、曝射開始が検知されると(ステップS13;YES)、制御手段22は、それ以降の画像を撮影画像として取得し(ステップS15)、これを撮影画像記憶手段としての記憶手段23に記憶させる(ステップS16)。
制御手段22は、曝射終了を検知したか否かを随時判断し(ステップS17)、曝射終了を検知するまで(ステップS17;NO)は、ステップS15に戻って撮影画像の取得処理を繰り返す。
他方、曝射が終了したと検知したとき(ステップS17;YES)は、曝射開始前に取得したオフセット画像を用いて、撮影画像についてオフセット補正を行う(ステップS18)。
【0064】
図9は、曝射終了の検知の手順を示すフローチャートである。
曝射開始を検知して以降は、
図9に示すように、制御手段22は、撮影画像取得し(ステップS21)、これを撮影画像記憶手段としての記憶手段23に記憶させる(ステップS22)。
そして、曝射開始を検知する場合と同様に、例えば読み出された画像の信号値(画素値)が予め定めた所定の閾値を下回ったときに曝射が終了したと判断する。
具体的には、取得した画像(画像の信号値)に対して何らかの評価値を算出する(ステップS23)。評価値は、例えば撮影画像の最大値、最小値、平均値、中央値、最頻値等の何らかの代表値であればよい。
そして、制御手段22は、この評価値が所定の閾値を下回ったか否かを判断する(ステップS24)。
なお、1フレーム分の画像データ(画像の信号値)から評価値を算出する手法以外にも、例えば1行分の画像信号値を読み出して評価値を算出し、これに基づいて曝射の終了を判断してもよい。また、放射線の出力を検出するセンサーを備える場合には、当該放射線センサーの出力等を用いて判断してもよい。
【0065】
画像の信号値が閾値を下回らない場合(ステップS24;NO)には、カウンターを「0」にリセットし(ステップS25)、ステップS21に戻って処理を繰り返す。
他方、画像の信号値が閾値を下回った場合(ステップS24;YES)には、曝射が終了している可能性があるため、制御手段22は、カウンターを「+1」する(ステップS26)。
なお、本実施形態では、放射線の照射が続いており、撮影を継続すべきにもかかわらず、何らかの要因(外乱影響)により一時的に信号値が下がった際に誤って撮影が終了されることを防止するため、信号値が一定期間連続して閾値を下回った場合に曝射終了と判断されるようにいわゆる不感時間を設けている。
そこで、制御手段22は、画像の信号値が閾値を下回ってカウンターが進められると、さらに当該カウンターが、予め定めた所定の不感時間を超えたか否かを判断する(ステップS27)。
【0066】
カウンターが、所定の不感時間を超えていない場合(ステップS27;NO)には、ステップS21に戻って処理を繰り返す。
他方、カウンターが、所定の不感時間を超えた場合(ステップS27;YES)、すなわち、画像の信号値が予め設定された期間、連続して閾値を下回った場合には、曝射が終了したと判断し(ステップS28)、不感時間中に取得された画像を削除(破棄)する(ステップS29)。
【0067】
なお、曝射の終了を検知することは必須ではなく、例えば曝射開始から所定時間が経過した場合に撮影を終了してもよい。
本実施形態のように、曝射の終了を検知して撮影を終了するとした場合には、放射線が照射されている間に取得された撮影画像を適切に判別することができ、撮影画像を記憶手段23等に記憶する場合や撮影画像のデータを外部装置に送信したりする場合には必要な画像だけ選別することができ、送信データ量やメモリー保存量が最適化される。
なお、曝射開始の検知においても終了検知の場合と同様に一定の不感時間を設けて、一定期間連続して閾値を上回った場合に曝射開始と判断されるようにしてもよい。
なお、画像信号値(画素値)の閾値や不感時間をどの程度とするかは、適宜設定される事項である。
【0068】
ここで、放射線の曝射終了が検知されたタイミングと、曝射終了前後の境界にかかる画像の取り扱いについて、
図10及び
図11を参照しつつ、詳説する。
図5に示す例のように、電荷の蓄積と読出しとのセットの丁度境界で曝射終了が検知された場合には、曝射終了が検知される前に蓄積、読出しが行われた画像を撮影画像とし、曝射終了後の画像は破棄すればよい。しかし、曝射終了は、曝射の開始時の場合と同様に、丁度セットの境界で検知されるとは限らない。
検知のタイミングとしては、電荷の蓄積動作中である場合(
図11に示す場合)、読出し動作中である場合(
図10に示す場合)が想定される。曝射終了が検知されたときに電荷が蓄積中であった場合、読出し動作中であった場合に、当該画像を破棄するか否か取り扱いが問題となり得る。
【0069】
この場合の取り扱いとしては、下記の4つのパターンが想定される。
まず、曝射開始が読出し動作時に検知され、かつ曝射終了検知も読出し動作時であった場合には、あるフレームのn行目の読出し時に曝射開始が検知され、m行目の読出し時に曝射終了が検知された場合、n>mである場合には、当該フレームは一部未露光の画像、欠けた画像になってしまうため、終了検知時に読出しを行っていた画像は破棄する。
またn≦mである場合、すなわち曝射開始のタイミングと終了のタイミングとが重複するようなタイミングである場合には、n行目までの読出し画像は記憶して、残りの部分は破棄する。
他方、曝射開始が電荷の蓄積時に検知され、曝射終了検知が読出し動作時であった場合には、単に数行分余りが出ているものであるため、終了検知時の画像は破棄する。
【0070】
次に、電荷の蓄積中に曝射終了が検知された場合には、曝射開始検知の場合と同様に、曝射終了が検知されたのが電荷蓄積のいかなるタイミングであったかによって信号値が大きく異なると考えられる。
このため、信号値の閾値を予め設けておき、閾値との関係において画像を破棄するか記憶するかを判定することが好ましい。
【0071】
なお、動画撮影の場合、撮影画像に対しては、オフセット補正の他、出力変動補正をかけてもよい。出力変動補正は、いわばフレーム方向(時間軸方向)のゲイン補正である。
図12に示すグラフは、横軸に時間を取り、縦軸に放射線の出力強度をとったものである。
放射線を連続的に照射して動画撮影を行う場合、
図12に示すように、放射線の照射中、その放射線出力強度が必ずしも一定にならない場合がある。これは放射線発生装置60の性能、特性等に依存するものである。
そこでこのような放射線出力強度のばらつきを解消するため、放射線の出力変動情報(線量変動情報)を補正情報記憶手段としての記憶手段23に保存しておき、それを使って画像補正手段としての制御手段22が撮影画像のデータを補正する。
【0072】
出力変動情報は、撮影中に、同時並行的に取得してもよいし、予め撮影に用いる放射線発生装置60が決まっている場合には、撮影前に被写体Mを配置せずに予備撮影を実施して、予め記憶しておいたものを利用してもよい。
出力変動情報は、画像信号を用いて取得してもよいし、その他、放射線画像撮影装置1に放射線センサーが搭載されている場合には、当該センサーの出力信号を用いてもよい。また、放射線画像撮影装置1外に別途放射線センサーを設置して、この出力信号を利用してもよい。さらに、これらいくつかの手法を組み合わせて取得してもよい。
なお、オフセット補正前に出力変動補正を行うと、出力変動補正によってオフセット補正前のノイズ分の信号値に影響を生じ、その後オフセット補正を行ったときにずれが生じてしまう。このため、出力変動補正を行う場合にはオフセット補正を行った後に実施することが好ましい。
【0073】
図13は、出力変動補正を行う場合の手順を示すフローチャートである。
出力変動補正を行う場合には、例えば
図13に示すように、まず撮影画像から素抜け領域(すなわち、被写体が存在しない領域)を特定する(ステップS31)。素抜け領域を特定する手法は、ユーザーが指定してもよいし、取得された撮影画像の特徴量から素抜け領域を判定してもよい。
そして、当該素抜けの信号値を、撮影した画像の全フレームで取得し(ステップS32)、この信号値を、全フレームでとった信号値の平均値をとることで正規化をかけ(ステップS33)、撮影画像の各フレームを当該正規化された信号値で除算をする(ステップS34)。
【0074】
なお、ここまで連続撮影モードによって動画撮影が行われた場合について説明したが、
図3等において示したように、本実施形態では、静止画撮影モードによって静止画を撮影することも可能となっている。
【0075】
図14は、本実施形態において静止画撮影モードが設定され、静止画を撮影する場合の手順を示すフローチャートである。
図14に示すように、静止画を撮影する場合には、撮影前の準備動作(ステップS41)を行った後、放射線画像撮影装置1における検出部PのTFTゲートを開けて信号値を出し、そのまま破棄する。すなわちTFTゲートの開閉を短時間に繰り返すリセット動作を行う(ステップS42)。
制御手段22は、放射線が曝射されたか否かを随時判断し(ステップS43)、曝射が検知されない場合(ステップS43;NO)には、ステップS42のリセット動作を繰り返す。
他方、曝射が検知された場合(ステップS43;YES)には、リセット動作を停止して電荷蓄積状態に移行し、所定時間蓄積した後に、信号値を読み出して撮影画像を取得する(ステップS44)。取得された撮影画像(静止画)は、撮影画像記憶手段としての記憶手段23に記憶される(ステップS45)。
なお、静止画撮影モードにおける電荷の蓄積動作は、所定時間でタイムアウトして終了されるようにしてもよいし、連続撮影モードと同様に曝射終了を検知するまで行ってもよい。
【0076】
曝射を検知する手法は、連続撮影の場合と同様どのような手法を用いてもよく、例えば、放射線画像撮影装置1の内部又は外部に放射線を検知する放射線センサーを設けて、制御手段22が放射線センサーの出力を見ることで検知してもよい。また、静止画撮影モードにおいては、例えば読み出される信号値から検知したり、リーク信号を用いる等、特開2009-219538号公報や国際公開第2011/135917号、国際公開第2011/152093号等に記載の各種方法によって検知することが可能である。
このようにして曝射を検知することで、放射線画像撮影装置1が放射線発生装置60と同期(通信)することができない場合でも、放射線が曝射された瞬間にリセット動作を繰り返している状態から、電荷蓄積状態に移行して静止画を撮影することが可能となる。
【0077】
また、曝射の後にオフセット画像を取得し(ステップS46)、これを補正情報記憶手段としての記憶手段23に記憶させる(ステップS47)。
そして、オフセット画像を用いて撮影画像に対してオフセット補正を実施する(ステップS48)。
なお、オフセット画像を取得するタイミングは曝射の後に限らず、曝射前でも構わないが、静止画撮影の場合には、連続撮影を行う場合と比較して曝射の時間が極めて短く、1回の撮影での放射線量が少ないため、曝射後にオフセット画像を取得してもオフセット画像に乗るラグ成分を無視することができる。
【0078】
なお、ここまでは放射線画像撮影装置1が同期(通信)することができない放射線発生装置60と組み合わされて使用される場合について説明したが、本実施形態では1つの放射線画像撮影装置1が、各種の放射線発生装置60と組み合わされて使用されることが想定されており、互いに同期(通信)することができる放射線発生装置60と組み合わせて使用することも可能である。なお、放射線発生装置60と放射線画像撮影装置1とが直接通信する場合に限定されず、例えば、コンソール50等を介して放射線発生装置60と放射線画像撮影装置1とが同期をとることが可能に構成される場合でもよい。
このように、通信可能な放射線発生装置60と組み合わせて放射線画像撮影装置1による撮影を行う場合には、放射線画像撮影装置1と放射線発生装置60、又は放射線画像撮影装置1及び放射線発生装置60と、これらいずれとも通信を行うコンソール50とで構成される放射線画像撮影システムにより、放射線画像撮影装置1と放射線発生装置60とが連携して放射線画像の撮影を実施する。
【0079】
図15は、放射線画像撮影装置が互いに同期(通信)することができる放射線発生装置と組み合わせて使用される場合の連続撮影モードの手順を示すフローチャートである。
図15に示すように、この場合には、撮影前の準備動作(ステップS51)を行った後、オフセット画像を取得し(ステップS52)、オフセット画像を随時新しく取得したものに更新して記憶手段23に記憶させる(ステップS53)。
制御手段22は、随時外部から放射線の照射開始のレディー信号を受信したか否かを判断し(ステップS54)、照射開始の信号を受信しない場合(ステップS54;NO)には、ステップS52に戻ってオフセット画像の取得を繰り返す。
他方、照射開始の信号を受信した場合(ステップS54;YES)には、放射線の照射を許可して(ステップS55)、この時点を照射開始のタイミングと判断し、これ以降に取得された画像を撮影画像として取得し(ステップS56)、記憶手段23に保存する(ステップS57)。
【0080】
制御手段22は、放射線の照射が終了したか否かを随時判断し(ステップS58)、照射が終了していない場合(ステップS58;NO)には、ステップS56に戻って撮影画像の取得を繰り返す。他方、照射が終了した場合(ステップS58;YES)には、撮影画像の取得を終了し、オフセット画像を用いて撮影画像に対しオフセット補正を行う(ステップS59)。
なお、オフセット補正を行うタイミングはこれに限定されず、放射線の照射終了の判定前でもよい。
【0081】
また、放射線画像撮影装置1が同期(通信)可能な放射線発生装置60と組み合わされて使用される場合には、連続撮影モード、静止画撮影モードの他、パルス撮影モードを選択することができてもよい。この場合には、撮影モードを設定する設定手段である操作手段31は、連続撮影モード、静止画撮影モードの他、パルス撮影モードを設定できるように構成される。
パルス撮影モードでは放射線を照射する側(放射線発生装置60)と受ける側(放射線画像撮影装置1)とに、それぞれ同期信号のパルスを生成するパルス生成部(図示せず)を設け、このパルス生成部から放射線発生装置60及び放射線画像撮影装置1に同期パルスを送信する。
この場合には、放射線画像撮影装置1及び放射線発生装置60は、この同期パルスに同期して電荷の蓄積・読出しを実施したり、放射線の照射を行ったりすることにより動画を撮影する。
なお、放射線画像撮影装置1が放射線発生装置60とは通信できるがパルス生成部とは通信できないような場合には、連続撮影モードに切り替えて撮影を行う。
【0082】
図16は、パルス撮影モードで撮影を行う場合の手順を示すフローチャートである。
図16に示すように、この場合は、撮影前の準備動作(ステップS61)を行った後、オフセット画像を取得し(ステップS62)、オフセット画像を随時新しく取得したものに更新して記憶手段23に記憶させる(ステップS63)。
制御手段22は、随時外部から放射線の照射開始のレディー信号(同期パルス)を受信したか否かを判断し(ステップS64)、照射開始の信号を受信しない場合(ステップS64;NO)には、ステップS62に戻ってオフセット画像の取得を繰り返す。
他方、照射開始の信号を受信した場合(ステップS66;YES)には、放射線の照射を許可して(ステップS65)、この時点を照射開始のタイミングと判断し、これ以降に取得された画像を撮影画像として取得し(ステップS66)、記憶手段23に保存する(ステップS67)。
【0083】
制御手段22は、放射線の照射が終了したか否かを随時判断し(ステップS68)、照射が終了していない場合(ステップS68;NO)には、ステップS65に戻って放射線の照射を許可したまま、撮影画像の取得を繰り返す。他方、照射が終了した場合(ステップS68;YES)には、撮影画像の取得を終了し、オフセット画像を用いて撮影画像に対しオフセット補正を行う(ステップS69)。
なお、連続撮影モードの場合と同様に、オフセット補正を行うタイミングは放射線の照射終了の判定前でもよい。
【0084】
また、放射線画像撮影装置1が同期(通信)可能な放射線発生装置60と組み合わされて使用される場合に、静止画撮影モードでの撮影を行う場合には、例えば
図17に示す手順で撮影が行われる。
すなわちこの場合には、
図14に示した場合と同様に、撮影前の準備動作(ステップS71)を行った後、リセット動作を行う(ステップS72)。
制御手段22は、随時外部から放射線の照射開始のレディー信号を受信したか否かを判断し(ステップS73)、照射開始の信号を受信しない場合(ステップS73;NO)には、ステップS72のリセット動作を繰り返す。
他方、照射開始の信号を受信した場合(ステップS73;YES)には、リセット動作を停止して電荷蓄積状態に移行し、所定時間蓄積した後に、信号値を読み出して撮影画像を取得する(ステップS74)。取得された撮影画像(静止画)は、撮影画像記憶手段としての記憶手段23に記憶される(ステップS75)。
また、曝射の後にオフセット画像を取得し(ステップS76)、これを補正情報記憶手段としての記憶手段23に記憶させる(ステップS77)。
そして、オフセット画像を用いて撮影画像に対してオフセット補正を実施する(ステップS78)。
【0085】
このように、本実施形態の放射線画像撮影装置1及びこれを含む放射線画像撮影システム100では、放射線画像撮影装置1が同期(通信)可能な放射線発生装置60と組み合わされて使用される場合はもちろん、通信することができない放射線発生装置60と組み合わされて使用される場合にも、放射線の曝射タイミングを適切に検知し、本撮影開始の直前等、撮影画像に近い状態でオフセット画像を取得することができる。
また、連続撮影、静止画撮影等各種の撮影に対応することができ、広く放射線画像撮影装置1を活用することができる。
【0086】
[効果]
以上説明したように、本実施形態における放射線画像撮影装置1は、画像の各画素に対応して二次元状に配列され、電荷を発生させる複数の放射線検出素子を有し、複数の放射線検出素子がそれぞれ発生させた電荷に基づいて各画素の信号値を読み出して画像を生成する放射線画像撮影装置1であって、所定の時間間隔で電荷の蓄積動作及び読出し動作を繰り返すことで画像を連続的に生成させる連続撮影モードを実施可能であり、放射線の曝射の有無を検知する検知手段として機能する制御手段22と、検知手段としての制御手段22が放射線の曝射を検知する前のタイミングで取得された1つ以上の画像を、オフセット補正に用いるオフセット画像として記憶する補正情報記憶手段としての記憶手段23と、を備える。
これにより、放射線画像撮影装置1を、同期(通信)することのできない放射線発生装置60と組み合わせて使用する場合にも、放射線の曝射のタイミングを正確にとらえ、曝射開始前に取得された画像をオフセット画像として取得することができる。
このため、放射線画像撮影装置1の使用環境に関わらず、撮影された画像に適切なオフセット補正を施すことが可能となる。
【0087】
また本実施形態では、検知手段としての制御手段22が放射線の曝射を検知した後のタイミングで取得された画像を撮影画像として記憶する撮影画像記憶手段としての記憶手段23と、記憶手段23に記憶された撮影画像に対して、オフセット画像を用いてオフセット補正を実施する画像補正手段としての制御手段22と、を備える。
このため、適切なタイミングで取得されたオフセット画像を用いて、撮影画像に対してオフセット補正を行うことができる。
【0088】
また本実施形態では、補正情報記憶手段としての記憶手段23に、出力変動情報が記憶され、画像補正手段としての制御手段22は、出力変動情報を用いて撮影画像に対して出力変動補正を実施してもよい。
この場合には、放射線発生装置60の出力にばらつきがある場合でも良好な撮影画像を得ることができる。
【0089】
また本実施形態では、検知手段が放射線の曝射の終了をも検知してもよく、この場合は検知手段が放射線の曝射終了を検知する前のタイミングで取得された画像を、撮影画像とする。
このため、曝射終了後の画像を撮影画像として保存してしまうことを防止でき、メモリー容量を抑えることができる。また、撮影画像のデータを外部装置に送信するような場合でも無駄な画像が撮影画像として送信されることが避けられるため、データ転送量を抑えることもできる。
【0090】
また本実施形態では、撮影に関する動作状態を報知する第1の報知手段として表示部等で構成される報知手段32をさらに備えている。
これにより、ユーザーが放射線画像撮影装置1の動作状態を知ることができ、誤操作等を防止することができる。
【0091】
また本実施形態では、第1の報知手段、第2の報知手段として機能する報知手段32は、表示手段、音声出力手段、振動発生手段のうちの少なくともいずれかを含む。
これにより、ユーザーは放射線画像撮影装置1の状態や実施可能な撮影の種類等を容易に知ることができる。
【0092】
また本実施形態では、制御手段22は、連続撮影モードの他に、画像を1枚ずつ生成させる静止画撮影モードをも実施可能である。
これにより、1つの放射線画像撮影装置1により多様な撮影画像を取得することができる。
【0093】
また本実施形態では、連続撮影モード、静止画撮影モードのいずれかを設定する設定手段としての操作手段31をさらに備え、制御手段22は、設定手段により設定された撮影モードに応じた撮影動作を実施する。
これにより、1つの放射線画像撮影装置1により多様な撮影を行うことが可能であり、各種の撮影画像を取得することができる。
【0094】
また本実施形態では、制御手段22が、バッテリー残量及びメモリー残量の少なくともいずれかに基づいて実施可能な撮影モードを判断する撮影モード判断手段として機能し、
その判断結果を第2の報知手段としての報知手段32によって報知する。
このため、ユーザーは現状において選択可能な撮影モードを容易に知ることができる。
【0095】
[変形例]
なお、以上本発明の実施形態について説明したが、本発明は、かかる実施形態に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲で、種々変形が可能であることは言うまでもない。
【0096】
例えば、本実施形態では、放射線画像撮影システム100内の放射線画像撮影装置1の制御手段22が放射線画像撮影装置1による画像取得のための基本動作を制御する他、放射線発生装置60による放射線の曝射の有無を検知する検知手段、撮影画像に対してオフセット画像を用いたオフセット補正等を実施する画像補正手段、実施可能な撮影モードを判断する撮影モード判断手段等としても機能し、放射線画像撮影装置1単体で、撮影画像の取得から各種の補正処理までを行うことができる場合を例示したが、放射線発生装置60による放射線の曝射の有無を検知する検知手段、撮影画像に対してオフセット画像を用いたオフセット補正等を実施する画像補正手段、実施可能な撮影モードを判断する撮影モード判断手段等としても機能をコンソール50が備えてもよい。
【0097】
コンソール50が放射線画像撮影装置1の制御手段22に代えて各種処理を行う制御装置として機能する場合には、コンソール50は、放射線画像撮影装置1を用いて取得された画像を記憶する画像記憶手段と、放射線画像撮影装置1に対する放射線の照射が開始された、放射線の曝射開始の検知情報を保持する検知情報記憶手段と、検知情報記憶手段に記憶された検知情報に基づいて画像が放射線の曝射を検知する前のタイミングで取得されたオフセット画像であるか、放射線の曝射を検知した後のタイミングで取得された撮影画像であるかを判別する判別手段と、撮影画像に対してオフセット画像を用いてオフセット補正を実施する画像補正手段と、を備える。
この場合の具体的な構成例について
図18を参照しつつ説明する。
【0098】
図18は、コンソール50の要部構成を示す要部ブロック図である。
図18に示すように、コンソール50は、制御部51、記憶部52、操作部53、表示部54、通信部55を備えて構成され、各部はバスにより接続されている。
【0099】
制御部51は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)等により構成される制御装置である。制御部51のCPUは、操作部53の操作に応じて、記憶部52に記憶されているシステムプログラムや各種処理プログラムを読み出してRAM内に展開し、展開されたプログラムに従って各種処理を実行する。
【0100】
記憶部52は、不揮発性の半導体メモリーやハードディスク等により構成される。記憶部52は、制御部51で実行される各種プログラムやプログラムにより処理の実行に必要なパラメーター、或いは処理結果等のデータを記憶する。各種プログラムは、読取可能なプログラムコードの形態で格納され、制御部51は、当該プログラムコードに従った動作を逐次実行する。
また記憶部52は、例えば、前述の放射線画像撮影装置1の記憶手段23に代えて、又は記憶手段23とともに、オフセット画像や出力変動情報等を記憶する補正情報記憶手段、撮影画像を保存する撮影画像記憶手段等として機能する。また記憶部52は、放射線発生装置6による放射線画像撮影装置1に対する放射線の照射が開始された、放射線の曝射開始の検知情報を保持する検知情報記憶手段等としても機能してもよい。撮影画像やオフセット画像は放射線画像撮影装置1から適宜送信される。また、出力変動情報、検知情報等は放射線画像撮影装置1から送信されてもよいし、他の外部装置で取得されコンソール50に送られたものを記憶してもよい。
【0101】
操作部53は、カーソルキー、数字入力キー、及び各種機能キー等を備えたキーボードと、マウス等のポインティングデバイスを備えて構成され、キーボードに対するキー操作やマウス操作により入力された指示信号を制御部51に出力する。また、操作部53は、表示部54の表示画面にタッチパネルを備えてもよく、この場合、タッチパネルを介して入力された指示信号を制御部51に出力する。
操作部53は、放射線画像撮影装置1により実施される撮影の撮影モードを切り替え、いずれかの撮影モードを設定する設定手段として機能してもよい。
【0102】
表示部54は、LCDやCRT等のモニターにより構成され、制御部51から入力される表示信号の指示に従って、操作部53からの入力指示やデータ等を表示する。
表示部54は、撮影に関する動作状態を報知する第1の報知手段、実施可能な撮影モードや実施できない撮影モードがある場合に実施できない理由等をユーザーに報知する第2の報知手段として機能してもよい。
このような報知手段を備えることにより、ユーザーが放射線画像撮影装置1の動作状態や実施可能な撮影モード等を知ることができ、誤操作等を防止することができる。
なお、報知手段がコンソール50に設けられる場合、報知手段として機能するのは表示部54に限定されない。ランプやインジケーター等を報知手段として設けてもよいし、スピーカー等の音声出力手段を設けてもよい。
第1の報知手段と第2の報知手段とは同じものであってもよいし、別個に設けられていてもよい。報知手段として表示部54やスピーカー等複数の手段を備え、表示や音声等複数の手法の組み合わせによってユーザーに報知してもよい。
また、コンソール50に報知手段が設けられる場合、放射線画像撮影装置1には報知手段を設けなくてもよい。また、放射線画像撮影装置1、コンソール50ともに報知手段を備え、適宜組み合わせてユーザーに各種情報を報知してもよい。
【0103】
通信部55は、LANアダプターやモデムやTA(Terminal Adapter)等を備え、通信ネットワークNTに接続された各装置との間のデータ送受信を制御する。
【0104】
コンソール50をこのように制御手段、制御装置として機能する構成とし場合には、放射線画像撮影装置1において画像が取得されるとこれがコンソール50に転送され、転送された画像は画像記憶手段といての記憶部52に記憶される。
また、コンソール50は放射線画像撮影装置1に対する放射線の照射が開始された、放射線の曝射開始の検知情報を取得して検知情報記憶手段としての記憶部52に保持する。
そして、検知情報記憶手段である記憶部52に記憶された検知情報に基づいて、画像が放射線の曝射を検知する前のタイミングで取得されたオフセット画像であるか、放射線の曝射を検知した後のタイミングで取得された撮影画像であるかを制御部51が判別手段として判別し、画像補正手段として、オフセット画像を用いて撮影画像に対するオフセット補正を実施する。なお、出力変動補正等の各種補正に関する情報も取得して、これらの補正をコンソール50で行ってもよい。
【0105】
このように、コンソール50において撮影画像であるかオフセット画像であるかの判別や各種画像の補正処理等を行う場合には、放射線画像撮影装置1の制御手段22の負担を軽減することができる。また、画像データ等を適宜コンソール50に転送することで、放射線画像撮影装置1の記憶手段23のメモリー容量も軽くて済み、メモリー容量を気にせずに撮影を行うことができる。また、コンソール50の記憶部52の容量は記憶手段23のメモリー容量と比較して大きいため、メモリー容量に余裕があり、連続撮影によって得られた画像をすべてコンソールに転送してから、画像が撮影画像であるかオフセット画像であるかの判別や撮影画像についての補正等を、必要に応じて後から行うことも可能となる。
なお、放射線画像撮影装置1の制御手段22とコンソール50とが役割を分担して各種処理を行ってもよい。この場合にも放射線画像撮影装置1の制御手段22や記憶手段23等の負荷を軽減して、円滑な撮影を行うことができる。
【0106】
その他、放射線画像撮影装置1、放射線画像撮影システム100を構成する各部の細部構成及び細部動作に関しても、本発明の趣旨を逸脱することのない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0107】
1 放射線画像撮影装置
22 制御手段
23 記憶手段
31 操作手段
32 報知手段
50 コンソール
51 制御部
52 記憶部
53 操作部
54 表示部
60 放射線発生装置
100 放射線画像撮影システム