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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-08
(45)【発行日】2024-05-16
(54)【発明の名称】シート後処理装置及び画像形成システム
(51)【国際特許分類】
   B65H 31/26 20060101AFI20240509BHJP
【FI】
B65H31/26
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020101743
(22)【出願日】2020-06-11
(65)【公開番号】P2021195203
(43)【公開日】2021-12-27
【審査請求日】2023-05-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】能宗 輝光
【審査官】大山 広人
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-157729(JP,A)
【文献】特開2018-184301(JP,A)
【文献】特開2007-269488(JP,A)
【文献】特開2019-127356(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 31/00-31/40
B65H 37/00-37/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートが積載される処理トレイと、
前記処理トレイに対してシート排出方向の下流側に配置されたシート排出口と、
前記シート排出口に配置され、前記処理トレイ上のシートを排出方向に排出する排出ローラー対と、
前記処理トレイの上面に沿ってシート排出方向と直交するシート幅方向に往復移動可能に配置され、前記処理トレイ上のシートの側端縁に接触して前記シート幅方向の位置を揃える一対のカーソル部材と、
前記シート排出口から前記シート排出方向の上流側に退避した退避位置と前記シート排出口よりも前記シート排出方向の下流側に突出して上面に前記シート排出口から排出されるシートが接触する突出位置との間で変位する一対の支持部材と、
前記カーソル部材の移動に応じて前記支持部材を前記突出位置または前記退避位置に変位させる連動機構と、
を備え、
前記連動機構は、前記処理トレイに前記シート幅方向に往復移動可能に配置され、一対の前記カーソル部材の移動に応じてそれぞれ前記カーソル部材に対して連結または連結解除される一対の連結部材を備え、
一対の前記連結部材それぞれは、前記カーソル部材に連結された状態で前記支持部材に接触して前記支持部材を前記突出位置に変位させ、前記カーソル部材から連結解除された状態で前記支持部材から離間して前記支持部材を前記退避位置に変位させることを特徴とするシート後処理装置。
【請求項2】
前記連結部材は、前記カーソル部材が前記シート幅方向の中央部へ移動することで前記カーソル部材に連結され、前記カーソル部材が前記シート幅方向の外側の第1位置へ移動することで前記支持部材に接触して前記支持部材を前記突出位置に変位させ、前記カーソル部材が前記シート幅方向の前記第1位置より外側の第2位置へ移動することで前記カーソル部材から連結解除されて前記シート幅方向の中央部に移動し、前記支持部材から離間して前記支持部材を前記退避位置に変位させることを特徴とする請求項1に記載のシート後処理装置。
【請求項3】
前記第1位置は、シートが前記処理トレイに搬送される場合に前記カーソル部材が配置されるシートの受入位置であることを特徴とする請求項2に記載のシート後処理装置。
【請求項4】
前記カーソル部材の移動を制御する制御部を備え、
前記制御部は、シートを前記処理トレイに搬送する場合に、シートの排出方向の先端部が前記シート排出口を通過した後にシートをスイッチバックさせて前記処理トレイに搬送させ、
複数枚のシートで構成されるシート束の1枚目のシートを搬送する場合に、前記支持部材を前記突出位置に変位させるように前記カーソル部材を移動させ、2枚目以降のシートを前記処理トレイに搬送する場合に、前記支持部材を前記退避位置に変位させるように前記カーソル部材を移動させることを特徴とする請求項1に記載のシート後処理装置。
【請求項5】
前記連動機構は、
前記連結部材を前記シート幅方向の中央部に向けて付勢する第1付勢部材と、
前記支持部材を前記退避位置に向けて付勢する第2付勢部材と、
前記カーソル部材に設けられた連結片と、
前記連結部材に設けられ、揺動することで前記連結片に対して連結または連結解除されるフックと、
前記処理トレイの前記シート幅方向の外側に設けられ、前記カーソル部材が前記シート幅方向の前記第2位置へ移動することで、前記フックを前記連結片に対して連結解除させる連結解除片と、
を備えることを特徴とする請求項2に記載のシート後処理装置。
【請求項6】
前記カーソル部材の移動を制御する制御部を備え、
前記制御部は、前記処理トレイに搬送されるシートの態様に基づき、前記カーソル部材を用いて前記連動機構を作動させ、前記支持部材を前記突出位置に変位させることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載のシート後処理装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記処理トレイに搬送されるシートが、前記シート幅方向から見てZ字形状に折り曲げられたシートである場合に、前記支持部材を前記突出位置に変位させることを特徴とする請求項4に記載のシート後処理装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記処理トレイに搬送されるシートが、前記処理トレイの前記シート排出方向の長さよりも長いサイズのシートである場合に、前記支持部材を前記突出位置に変位させることを特徴とする請求項4に記載のシート後処理装置。
【請求項9】
請求項1~請求項6のいずれかに記載のシート後処理装置と、
前記シート後処理装置に連結され、シートに画像を形成するとともに画像形成後のシートを前記シート後処理装置に搬送する画像形成装置と、
を備えることを特徴とする画像形成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置のシート後処理装置と、シート後処理装置を備えた画像形成システムと、に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成後のシートにステープル処理や穿孔処理などの後処理を施す後処理機構を備えたシート後処理装置が知られている。シート後処理装置は、後処理が施されるシートが積載される処理トレイと、処理トレイに対してシート排出方向の下流側に配置されたシート排出口と、を備える。
【0003】
シート後処理装置では、シートを処理トレイに搬送する動作の途中で一時的に、処理トレイよりも大きいサイズのシートが広範囲にわたってシート排出口の外側に垂れ下がったり、Z字形状に折り曲げられたシートのZ字形状部分がシート排出口の外側に出てしまったりすることがあった。これにより、シートの一部がシート排出口に引っ掛かり、シートを処理トレイの所定位置まで搬送することができないという不具合が生じていた。このような不具合を解消したシート後処理装置の例が、特許文献1、2に開示されている。
【0004】
特許文献1に開示された従来のシート後処理装置は、支持トレイ(処理トレイ)上のシートの側端縁に接触してシートを幅方向に整合する一対のガイド部材と、排出口のシート排出方向の下流側に突出してシートの下面を支持する一対のアームと、を備える。一対のアームは、一対のガイド部材と常時連動している。これにより、ガイド部材をシート幅方向の外側に移動させることでアームを支持位置に変位させることができ、ガイド部材をシート幅方向の内側(中央側)に移動させることでアームを退避位置に変位させることができる。
【0005】
特許文献2に開示された従来のシート処理装置は、処理トレイよりもシート排出方向の下流側に突出させることが可能なガイド部材を有する後端アシストと、後端アシストを移動させる後端アシストモータと、を備える。このシート処理装置は、後端アシストモータを駆動させることで、ガイド部材が処理トレイ内に収まるホームポジションと、ガイド部材が処理トレイのシート排出方向の下流側に突出する進出位置との間で、後端アシストを移動させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開平11-157729号公報
【文献】特開2007-269488号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記一方の従来技術では、シートの下面を支持するアームがシートを幅方向に整合するガイド部材と常時連動しているので、アームを変位させることなく、ガイド部材のみを移動させることができないことに課題があった。また、上記他方の従来技術では、シートの下面を支持するガイド部材を変位させるために、専用の駆動源としてモーターが必要であることに課題があった。
【0008】
本発明は、上記の点に鑑みなされたものであり、専用の駆動源が不要であり、必要に応じて任意のタイミングで処理トレイのシート排出方向の下流側においてシートを支持することが可能なシート後処理装置及び画像形成システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するため、本発明のシート後処理装置は、処理トレイと、シート排出口と、排出ローラー対と、一対のカーソル部材と、一対の支持部材と、連動機構と、を備える。処理トレイは、シートが積載される。シート排出口は、処理トレイに対してシート排出方向の下流側に配置される。排出ローラー対は、シート排出口に配置され、処理トレイ上のシートを排出方向に排出する。一対のカーソル部材は、処理トレイの上面に沿ってシート排出方向と直交するシート幅方向に往復移動可能に配置され、処理トレイ上のシートの側端縁に接触してシート幅方向の位置を揃える。一対の支持部材は、シート排出口からシート排出方向の上流側に退避した退避位置とシート排出口よりもシート排出方向の下流側に突出して上面にシート排出口から排出されるシートが接触する突出位置との間で変位する。連動機構は、カーソル部材の移動に応じて支持部材を突出位置または退避位置に変位させる。連動機構は、一対の連結部材を備える。一対の連結部材は、処理トレイにシート幅方向に往復移動可能に配置され、一対のカーソル部材の移動に応じてそれぞれカーソル部材に対して連結または連結解除される。一対の連結部材それぞれは、カーソル部材に連結された状態で支持部材に接触して支持部材を突出位置に変位させ、カーソル部材から連結解除された状態で支持部材から離間して支持部材を退避位置に変位させる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の構成によれば、連結部材をカーソル部材に対して連結または連結解除させることで、カーソル部材の移動に応じて支持部材を突出位置または退避位置に変位させることができる。連結部材をカーソル部材に連結させなければ、カーソル部材を支持部材に対して独立して移動させることができる。また、支持部材は、カーソル部材の移動に応じて変位させることができるので、専用の駆動源が不要である。したがって、専用の駆動源が不要であり、必要に応じて任意のタイミングで処理トレイのシート排出方向の下流側においてシートを支持することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態の画像形成システムの概略構成を示す断面正面図である。
図2図1のシート後処理装置の処理トレイ周辺を示す部分断面正面図である。
図3図2のシート後処理装置の処理トレイの斜視図である。
図4図3の処理トレイの内部を示す斜視図である。
図5図3の処理トレイの斜視図であって、カーソル部材をシート幅方向の中央部へ移動させた状態を示す斜視図である。
図6図5の処理トレイの内部を示す斜視図である。
図7図6の処理トレイの内部の要部を示す部分拡大斜視図である。
図8図7の処理トレイの内部の支持部材及び連結部材の配置を示す平面図である。
図9図3の処理トレイの斜視図であって、カーソル部材をシート幅方向の外側へ移動させることで支持部材を突出位置に変位させた状態を示す図である。
図10図9の処理トレイの内部を示す斜視図である。
図11図10の処理トレイの内部の支持部材及び連結部材の配置を示す平面図である。
図12図3の処理トレイの裏面側を示す斜視図であって、カーソル部材をシート幅方向の外側へ連結部材との連結の解除位置まで移動させた状態を示す図である。
図13図12の処理トレイの裏面側の要部を示す部分拡大斜視図である。
図14図13の処理トレイの内部の支持部材及び連結部材の配置を示す平面図である。
図15図2の処理トレイ周辺を示す部分断面正面図であって、処理トレイにZ字形状に折り曲げられたシートが搬送された状態を示す図である。
図16図2の処理トレイ周辺を示す部分断面正面図であって、処理トレイに処理トレイよりも長いサイズのシートが搬送された状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態を図に基づき説明する。なお、本発明は以下の内容に限定されるものではない。
【0013】
図1は、実施形態の画像形成システム301の概略構成を示す断面正面図である。画像形成システム301は、図1に示すように、画像形成装置201と、シート後処理装置1と、を備える。
【0014】
画像形成装置201は、例えば印刷、スキャン(画像読取)、ファクシミリ送信等の機能を備えたモノクロ対応のいわゆる複合機である。なお、画像形成装置201は、例えば複写機、プリンター等の装置であって良く、カラー対応機であっても良い。
【0015】
画像形成装置201は、図1に示すように、その本体202の上面に原稿搬送部203が載置され、その下方の本体202の内部に画像読取部204を備える。原稿搬送部203に積載した原稿の画像が、或いは画像読取部204の上面のコンタクトガラス(不図示)上に載置した原稿の画像が、画像読取部204によって読み取られる。
【0016】
画像形成装置201は、さらにシート供給部205と、シート搬送部206と、露光部207と、画像形成部208と、転写部209と、定着部210と、シート排出部211と、本体制御部212と、を備える。
【0017】
シート供給部205は、印刷前の複数枚のシートSを収容し、印刷時にシートSを1枚ずつ分離して送り出す。シート搬送部206は、シート供給部205から送り出されたシートSを転写部209及び定着部210へと搬送し、さらに定着後のシートSをシート排出部211またはシート後処理装置1に振り分ける。露光部207は、画像データに基づき制御されたレーザー光を画像形成部208に向かって照射する。
【0018】
画像形成部208は、像担持体である感光体ドラム2081と、現像装置2082と、を備える。画像形成部208では、露光部207から照射されたレーザー光によって感光体ドラム2081の表面に原稿画像の静電潜像が形成される。現像装置2082は、感光体ドラム2081の表面の静電潜像にトナーを供給して現像し、トナー像を形成する。転写部209は、感光体ドラム2081の表面のトナー像をシートSに転写する。定着部210は、トナー像が転写されたシートSを加熱、加圧してトナー像をシートSに定着させる。
【0019】
トナー像が定着されて印刷が完了したシートSは、シート排出部211またはシート後処理装置1に搬送される。シート排出部211は、画像読取部204の下方に配置される。シート排出部211は、正面に開口を有し、正面側から印刷後のシート(印刷物)が取り出される。シート後処理装置1については後述する。
【0020】
本体制御部212は、CPU、画像処理部、記憶部、並びにその他の電子回路及び電子部品を含む(いずれも不図示)。CPUは、記憶部に記憶された制御用のプログラムやデータに基づき、画像形成装置201に設けられた各構成要素の動作を制御して画像形成装置201の機能に係る処理を行う。シート供給部205、シート搬送部206、露光部207、画像形成部208、転写部209及び定着部210それぞれは、本体制御部212から個別に指令を受け、連動してシートSへの印刷を行う。記憶部は、例えば不図示のプログラムROM(Read Only Memory)、データROMなどといった不揮発性の記憶装置と、RAM(Random Access Memory)のような揮発性の記憶装置との組み合わせで構成される。
【0021】
上記構成により、画像形成装置201は、シートSに画像を形成するとともに、画像形成後のシートSをシート後処理装置1に搬送する。
【0022】
シート後処理装置1は、画像形成装置201の側面に対して着脱可能に連結される。なお、シート後処理装置1は、複合機のほか、例えば複写機、プリンター等の装置にも同様に連結可能である。シート後処理装置1は、画像形成装置201において画像形成(印刷)が行われた後のシートSに対して後処理を施す。
【0023】
続いて、シート後処理装置1の構成について説明する。図2は、図1のシート後処理装置1の処理トレイ5周辺を示す部分断面正面図である。なお、シート後処理装置1に係る以下の説明では、図1及び図2における右側から左側に向かう方向を「シート排出方向」と呼び、図2以下において矢線Ddとして示した。また、シート排出方向と直交する「シート幅方向」は、図1及び図2の紙面に対して垂直な方向であって、図2以下において矢線Dwとして示した。
【0024】
シート後処理装置1は、図1及び図2に示すように、シート搬入口2と、シート排出路3と、中間ローラー対4と、処理トレイ5と、後処理部6と、シート排出口7と、排出ローラー対8と、排出トレイ9と、後処理制御部10と、を備える。
【0025】
シート搬入口2は、シート後処理装置1の、画像形成装置201と対向する側面に設けられ、開口する。画像形成装置201からシート後処理装置1に向けて搬送されたシートSは、シート搬入口2を通ってシート後処理装置1の内部に搬入される。
【0026】
シート排出路3は、シート搬入口2から処理トレイ5の上方まで、画像形成装置201から離れる方向(図1における左方向)に横方向に延びる。シート搬入口2は、シート排出路3のシート排出方向Ddの上流端に位置する。
【0027】
中間ローラー対4は、シート排出路3における後述する穿孔部61のシート排出方向Ddの下流側に配置される。中間ローラー対4の回転軸は、シート幅方向Dwに沿って延びる。中間ローラー対4は、シート幅方向Dwに沿って間隔を空けて複数設けられる。中間ローラー対4は、シート排出路3を搬送されるシートSを、さらにシート排出方向Ddの下流側に設けられるシート排出口7に向けて送り出す。
【0028】
処理トレイ5は、シート排出路3のシート排出方向Ddの下流部の下方に配置される。言い換えれば、処理トレイ5は、中間ローラー対4よりもシート排出方向Ddの下流側の直下に位置する。処理トレイ5のシート載置面5aは、シート排出方向Ddの下流側に向かうにつれて上昇する傾斜を有する。シート排出路3を通して処理トレイ5まで搬送された複数のシートSは、処理トレイ5に積載され、後処理が実施される。
【0029】
後処理部6は、シート排出路3を搬送されるシートSに対して所定の後処理を施す。後処理部6は、穿孔部61と、ステープル部62と、を含む。
【0030】
穿孔部61は、シート排出路3の、シート搬入口2から下流端までの間に配置される。シート後処理装置1は、穿孔部61を用いて、シート排出路3を搬送されるシートSに対して穿孔処理を施し、パンチ穴を形成することができる。
【0031】
ステープル部62は、処理トレイ5のシート排出方向Ddの上流側に配置される。シート後処理装置1は、ステープル部62を用いて、処理トレイ5に積載されたシートSの束に対してステープル処理(綴じ処理)を施し、シート束を綴じることができる。
【0032】
シート排出口7は、中間ローラー対4のシート排出方向Ddの下流側、且つ処理トレイ5のシート排出方向Ddの下流側に配置される。シート排出口7には、排出ローラー対8が配置される。処理トレイ5で後処理が完了したシートSは、シート排出口7を通して排出トレイ9に向けて排出される。
【0033】
排出ローラー対8は、シート排出口7に配置される。排出ローラー対8は、処理トレイ5上のシートSをシート排出方向Ddに排出する。また、排出ローラー対8は、シートSをシート排出口7から排出トレイ9に排出する。排出ローラー対8の回転軸は、シート幅方向Dwに沿って延びる。排出ローラー対8は、シート幅方向Dwに沿って間隔を空けて複数(例えば2つ)設けられる。排出ローラー対8は、一対の下側排出ローラー81及び上側排出ローラー82を含む。
【0034】
下側排出ローラー81は、排出ローラー駆動部(不図示)に連結され、シートSを排出トレイ9側に排出する正回転と、シートSを処理トレイ5側に送る逆回転とが可能である。上側排出ローラー82は、下側排出ローラー81に接触して従動回転する。
【0035】
上側排出ローラー82は、アーム部11に支持される。アーム部11は、シート排出方向Ddに沿って延び、シート排出方向Ddの下流端側の一端部において、上側排出ローラー82を回転可能に支持する。
【0036】
アーム部11は、シート排出方向Ddの上流端側の一端部において、シート幅方向Dwに沿って延びる回転軸111の軸線回りに回転可能に、シート後処理装置1に支持される。アーム部11は、アーム駆動部(不図示)に連結され、回転軸111の軸線回りに上側排出ローラー82を支持する一端部を自由端として上下方向に揺動される。
【0037】
アーム部11の揺動により、上側排出ローラー82は下側排出ローラー81に対して接触、離間する。一対の上側排出ローラー82及び下側排出ローラー81は、図1及び図2に示すように、互いの周面が接触することで、シート排出口7からシートSを排出するためのニップ部8Nを形成する。
【0038】
排出ローラー対8の正回転によってシート排出口7から排出されたシートSは、排出トレイ9に積載される。また、排出ローラー対8のニップ部8NでシートSを保持し、当該シートSの排出方向上流端が中間ローラー対4のニップ部4Nから離れた状態において、排出ローラー対8を逆回転すると、当該シートSは処理トレイ5に搬送される。すなわち、後処理制御部10は、シートSを処理トレイ5に搬送する場合に、シートSの排出方向Ddの先端部がシート排出口7を通過した後にシートSをスイッチバックさせて処理トレイ5に搬送する。
【0039】
排出トレイ9は、シート排出口7のシート排出方向Ddの下流側の下方に配置される。排出トレイ9のシート載置面9aは、シート排出方向Ddの下流側に向かうにつれて上昇する傾斜を有する。排出トレイ9のシート排出方向Ddの上流端は、シート排出口7の下方に位置する。排出トレイ9のシート排出方向Ddの上流側には、シート受け壁1aが設けられる。シート受け壁1aは、略垂直方向及びシート幅方向Dwに延びる。
【0040】
排出トレイ9は、トレイ駆動部(不図示)によって、略垂直に上下方向に移動することができる。排出トレイ9は、排出ローラー対8によってシート排出口7から排出されたシートSが積載される。排出トレイ9は、シート後処理装置1におけるシートSの最終的な排出場所の1つである。
【0041】
後処理制御部10は、CPU、画像処理部、記憶部、並びにその他の電子回路及び電子部品を含む(いずれも不図示)。後処理制御部10は、本体制御部212と通信可能に接続される。後処理制御部10は、本体制御部212から指令を受け、CPUを用いて記憶部に記憶された制御用のプログラムやデータに基づき、シート後処理装置1に設けられた各構成要素の動作を制御してシート後処理装置1の機能に係る処理を行う。シート排出路3、中間ローラー対4、処理トレイ5、後処理部6、排出ローラー対8、排出トレイ9それぞれは、後処理制御部10から個別に指令を受け、連動してシートSへの後処理を行う。なお、後処理制御部10は本発明の「制御部」の一例であって、「制御部」の機能を本体制御部212が有することにしても良い。
【0042】
続いて、処理トレイ5の詳細な構成について説明する。図3は、図2のシート後処理装置1の処理トレイ5の斜視図である。図4は、図3の処理トレイ5の内部を示す斜視図である。処理トレイ5は、図3及び図4に示すように、筐体部51と、一対のカーソル部材52と、カーソル駆動部53と、一対の支持部材54と、連動機構55と、を備える。
【0043】
筐体部51は、図3及び図4に示すように、略箱体であって、一対のカーソル部材52、カーソル駆動部53、一対の支持部材54及び連動機構55を保持する。筐体部51の上面は、シート載置面5aである。シート載置面5aは、シート排出方向Ddの下流側に向かうにつれて上昇する傾斜を有する。筐体部51は、上板部511と、下箱部512と、を含む。
【0044】
上板部511は、筐体部51の上部に配置され、シート排出方向Dd及びシート幅方向Dwに延びる。上板部511は、下箱部512の内部空間を覆う。上板部511の上面は、シート載置面5aである。上板部511は、開口部511aと、一対の切り欠き部511bと、を有する。
【0045】
開口部511aは、上板部511のシート排出方向Ddの略中央部に配置されてシート幅方向Dwに沿って延び、上板部511をシート載置面5aの法線方向に貫通する。一対の切り欠き部511bは、上板部511のシート排出方向Ddの下流端縁に配置され、シート排出方向Ddの上流側に向かって窪む。一対の切り欠き部511bのそれぞれは、処理トレイ5のシート幅方向Dwの中央部に対して左右それぞれに配置される。一対の切り欠き部511bそれぞれには、一対の支持部材54それぞれが配置される。
【0046】
下箱部512は、筐体部51の下部に配置され、シート排出方向Dd及びシート幅方向Dwに延びる。下箱部512は、上部が開口する略箱体であって、内部空間を有する。下箱部512の内部空間には、カーソル駆動部53及び連動機構55が配置される。
【0047】
一対のカーソル部材52は、図3に示すように、処理トレイ5の上面であるシート載置面5aに配置される。一対のカーソル部材52のそれぞれは、処理トレイ5のシート幅方向Dwの中央部に対して左右それぞれに配置される。カーソル部材52は、カーソル駆動部53に接続される。カーソル部材52は、整合部521と、接続部522と、を有する。
【0048】
整合部521は、筐体部51のシート載置面5aよりも上側に配置される。整合部521は、処理トレイ5上のシートSの下面及び側端縁に接触する。整合部521は、側壁部521aを有する。
【0049】
側壁部521aは、整合部521のシート幅方向Dwの外側に配置される。側壁部521aは、上下方向及びシート排出方向Ddに延びる。側壁部521aは、処理トレイ5上のシートSの側端縁に接触する。すなわち、一対のカーソル部材52は、処理トレイ5上のシートSの側端縁に接触し、シートSのシート幅方向Dwの位置を揃える。
【0050】
接続部522は、整合部521の下方であって、筐体部51の上板部511の裏側に配置される。接続部522は、開口部511aを通して整合部521に接続される。また、接続部522は、カーソル駆動部53の後述するベルト532に固定される。カーソル駆動部53が駆動することで、一対のカーソル部材52は、シート幅方向Dwに往復移動可能である。
【0051】
図5は、図3の処理トレイ5の斜視図であって、カーソル部材52をシート幅方向Dwの中央部へ移動させた状態を示す斜視図である。図6は、図5の処理トレイ5の内部を示す斜視図である。図7は、図6の処理トレイ5の内部の要部を示す部分拡大斜視図である。図8は、図7の処理トレイ5の内部の支持部材54及び連結部材551の配置を示す平面図である。なお、図7は、一方(図中の左側)のカーソル部材52の整合部521を取り外した状態を示した。
【0052】
カーソル駆動部53は、図4図5図6及び図7に示すように、筐体部51の内部及び下箱部512側に配置される。カーソル駆動部53は、一対のカーソル部材52それぞれに対して個別に設けられる。2つのカーソル駆動部53はそれぞれ、ガイド部材531と、ベルト532と、一対のプーリー533と、駆動モーター534(図12参照)と、を含む。
【0053】
ガイド部材531は、シート幅方向Dwに延びる棒状である。ガイド部材531は、カーソル部材52の接続部522をシート幅方向Dwに貫通する。接続部522は、ガイド部材531の延伸方向、すなわちシート幅方向Dwに往復移動可能である。
【0054】
ベルト532は、ガイド部材531と平行に、シート幅方向Dwに沿ってオーバル形状に構成された無端状のベルトである。ベルト532は、一対のプーリー533に巻き掛けられ、支持される。ベルト532は、一対のプーリー533によって回転され、カーソル部材52の接続部522をガイド部材531に沿ってシート幅方向Dwに往復移動させる。
【0055】
一対のプーリー533のそれぞれは、シート幅方向Dwに並置される。プーリー533は、シート載置面5aの法線方向に延びる回転軸線回りに回転可能に筐体部51に取り付けられる。一対のプーリー533のうち一方は、駆動モーター534に接続され、駆動モーター534から回転力を得る。これにより、一対のプーリー533は、巻き掛けられた無端状のベルト532を回転させる。
【0056】
駆動モーター534は、筐体部51の下箱部512の外側(下側)に配置される(図12参照)。駆動モーター534は、一対のプーリー533のうち一方に接続され、当該プーリー533を回転させる。駆動モーター534を駆動させると、プーリー533を介してベルト532が回転され、カーソル部材52の接続部522はガイド部材531に沿ってシート幅方向Dwに移動する。すなわち、カーソル駆動部53は、駆動モーター534を駆動することで、一対のカーソル部材52をシート幅方向Dwに往復移動可能である。
【0057】
一対の支持部材54は、図3図4図5及び図6に示すように、筐体部51のシート排出方向Ddの下流部に配置される。一対の支持部材54のそれぞれは、処理トレイ5のシート幅方向Dwの中央部に対して左右それぞれに配置される。一対の支持部材54は、シート排出口7からシート排出方向Ddの上流側に退避した退避位置(図3及び図4参照)と、シート排出口7よりもシート排出方向Ddの下流側に突出して上面にシート排出口7から排出されるシートSが接触する突出位置(図9及び図10参照)と、の間で変位する。一対の支持部材54のそれぞれは、支持部541と、リンク部542と、を含む。
【0058】
支持部541は、支持部材54のシート排出方向Ddの下流部に配置される。支持部541は、筐体部51の、シート排出方向Ddに沿って延びるガイド部(不図示)に支持され、シート排出方向Ddに往復移動可能である。支持部材54が退避位置にある状態で、支持部541は、シート排出口7からシート排出方向Ddの上流側に退避する(図3参照)。支持部材54が突出位置にある状態で、支持部541は、シート排出口7よりもシート排出方向Ddの下流側に突出する(図9参照)。
【0059】
支持部541は、上面にシート排出口7から排出されるシートSが接触する。支持部541は、リンク部542が接続される溝部541aを有する。溝部541aは、シート幅方向Dwに延びる。溝部541aには、リンク部542が接続される。
【0060】
リンク部542は、支持部材54のシート排出方向Ddの上流部に配置される。リンク部542は、ガイド部材531のシート排出方向Ddの下流側に隣接して配置される。リンク部542は、シート載置面5aの法線方向に延びる回転軸線542a回りに回転可能に筐体部51に取り付けられる。リンク部542は、接触部542bと、接続ピン542cと、を有する。
【0061】
接触部542bは、回転軸線542aよりもシート排出方向Ddの上流側であって、ガイド部材531に隣接する。接触部542bは、連動機構55の後述する連結部材551の接触面551aに接触する。接触部542bに連結部材551が接触すると、リンク部542は、回転軸線542a回りに回転する。
【0062】
接続ピン542cは、シート載置面5aの法線方向に延びる軸形状であって、回転軸線542aから径方向に離隔して配置される。接続ピン542cは、支持部541の溝部541aに挿入される。接続ピン542cは、溝部541a内においてシート幅方向Dwに移動可能である。リンク部542が回転すると、支持部541は、接続ピン542c及び溝部541aを介してシート排出方向Ddに往復移動する。すなわち、支持部材54の支持部541及びリンク部542は、スライダ・クランク機構として構成される。
【0063】
連動機構55は、図4図6及び図7に示すように、筐体部51の内部に配置される。連動機構55は、連結部材551と、第1付勢部材552(図10参照)と、第2付勢部材553と、連結片554と、フック555と、連結解除片556と、を備える。
【0064】
連結部材551は、一対のカーソル部材52それぞれに対して個別に設けられる。すなわち、連動機構55は、一対の連結部材551を備える。連結部材551は、カーソル駆動部53のガイド部材531がシート幅方向Dwに貫通している。連結部材551は、同様にガイド部材531が貫通するカーソル部材52の接続部522よりもシート幅方向Dwの中央側に配置される。連結部材551は、ガイド部材531の延伸方向、すなわちシート幅方向Dwに往復移動可能である。
【0065】
連結部材551は、図7及び図8に示すように、接触面551aを備える。接触面551aは、連結部材551のシート排出方向Ddの下流端縁に配置され、シート幅方向Dw及びシート載置面5aの法線方向に延びる。連結部材551がシート幅方向Dwの外側に向かって移動して支持部材54に接近すると、シート幅方向Dwの後述する第1位置P1において、接触面551aは、支持部材54の接触部542bに接触する。
【0066】
第1付勢部材552は、例えばバネなどの弾性部材で構成され、連結部材551と筐体部51との間に接続される。第1付勢部材552は、連結部材551をシート幅方向Dwの中央部に向けて付勢する。
【0067】
第2付勢部材553は、例えばバネなどの弾性部材で構成され、支持部材54と筐体部51との間に接続される。第2付勢部材553は、支持部材54を退避位置に向けて付勢する。
【0068】
連結片554は、図7に示すように、カーソル部材52の接続部522に設けられる。連結片554は、接続部522の上端部に配置され、処理トレイ5の下側(裏側)に向かって突出する。連結片554は、シート幅方向Dwに延びる平板形状に形成されている。
【0069】
フック555は、図4及び図7に示すように、連結部材551に設けられる。フック555は、連結部材551の上端部に配置され、シート幅方向Dwの外側に向かって、すなわちカーソル部材52の接続部522に向かって突出する片持ち梁形状に形成されている。フック555は、シート排出方向Ddに関して、接続部522に設けられた連結片554と略同じ位置に配置される。
【0070】
フック555は、自由端であるシート幅方向Dwの先端部555aが略シート排出方向Ddに揺動する。フック555は、凹部555bを有する。
【0071】
凹部555bは、フック555の先端部555aよりもシート幅方向Dwの中央側であって、先端部555aに対して根元側に配置される。凹部555bは、フック555のシート排出方向Ddの下流端縁から上流側に向かって窪む。
【0072】
フック555と接続部522とが接近し、先端部555aに連結片554が接触することで、フック555は、シート排出方向Ddの上流側に向かって弾性変形し、湾曲する。さらにフック555と接続部522とが接近すると、連結片554は、フック555の先端部555aを越え、凹部555b内に収まる。
【0073】
フック555と接続部522とが離れる場合、先端部555aに連結片554が接触することで、フック555は、シート排出方向Ddの上流側に向かって弾性変形し、湾曲する。さらにフック555と接続部522とが離れると、連結片554は、フック555の先端部555aを越え、凹部555bから離脱する。
【0074】
このようにして、フック555は、揺動することで連結片554に対して連結または連結解除される。詳細に言えば、フック555は、連結片554に接触するときに揺動して連結片554に連結され、連結片554から離間するときに揺動して連結片554に対して連結解除される。
【0075】
連結解除片556は、図4及び図6に示すように、筐体部51のシート幅方向Dwの外側に設けられる。連結解除片556は、筐体部51の下箱部512の内面に配置され、処理トレイ5の上側(表側)に向かって突出する。連結解除片556は、シート排出方向Ddに延びる平板形状に形成されている。
【0076】
連結解除片556には、シート幅方向Dwの中央側から外側に向かって移動する連結部材551が接触する。これにより、連結解除片556は、シート幅方向Dwの後述する第2位置P2よりも外側への連結部材551の移動を阻止する。
【0077】
支持部材54は、使用しない場合、退避位置に変位している(図3及び図4参照)。このとき、一対の連結部材551は、第1付勢部材552によって付勢され、図4に示すように、処理トレイ5のシート幅方向Dwの中央部に位置する。
【0078】
カーソル部材52は、処理トレイ5のシート幅方向Dwの中央部に移動しなければ、連結部材551が連結されることはない。すなわち、支持部材54を退避させて使用しない状態において、カーソル部材52は、処理トレイ5のシート幅方向Dwの中央部よりも外側の任意の位置で、シートSの位置を揃えることができる。
【0079】
支持部材54を使用する場合、図5に示すように、まず一対のカーソル部材52を処理トレイ5のシート幅方向Dwの中央部に移動させる。これにより、図6及び図7に示すように、一対の連結部材551それぞれは、一対のカーソル部材52それぞれに連結される。このとき、フック555は、連結片554に接触して揺動し、連結片554を凹部555bに収容して連結片554に連結する。
【0080】
図9は、図3の処理トレイ5の斜視図であって、カーソル部材52をシート幅方向Dwの外側へ移動させることで支持部材54を突出位置に変位させた状態を示す図である。図10は、図9の処理トレイ5の内部を示す斜視図である。図11は、図10の処理トレイ5の内部の支持部材54及び連結部材551の配置を示す平面図である。図12は、図3の処理トレイ5の裏面側を示す斜視図であって、カーソル部材52をシート幅方向Dwの外側へ連結部材551との連結の解除位置(第2位置P2)まで移動させた状態を示す図である。図13は、図12の処理トレイ5の裏面側の要部を示す部分拡大斜視図である。図14は、図13の処理トレイ5の内部の支持部材54及び連結部材551の配置を示す平面図である。
【0081】
一対の連結部材551それぞれが個別に連結された一対のカーソル部材52それぞれを処理トレイ5のシート幅方向Dwの外側の第1位置P1に移動させると、図10及び図11に示すように、一対の連結部材551それぞれは、一対の支持部材54それぞれの接触部542bに接触する。これにより、図9及び図10に示すように、リンク部542が回転して支持部541がシート排出方向Ddの下流側に移動し、一対の支持部材54は突出位置に変位する。すなわち、一対の連結部材551それぞれは、支持部材54に接触して支持部材54を突出位置に変位させる。
【0082】
さらに、一対の連結部材551それぞれが個別に連結された一対のカーソル部材52それぞれを処理トレイ5のシート幅方向Dwの第1位置P1より外側の第2位置P2に移動させると(図14参照)、図12及び図13に示すように、一対の連結部材551それぞれは連結解除片556に接触する。これにより、一対の連結部材551それぞれは、シート幅方向Dwの第2位置P2よりも外側への移動が阻止され、一対のカーソル部材52それぞれから連結解除される。このとき、フック555は、揺動することで連結片554を凹部555bから離脱させ、連結片554に対して連結解除される。すなわち、連結解除片556は、カーソル部材52がシート幅方向Dwの第2位置P2へ移動することで、フック555を連結片554に対して連結解除させる。
【0083】
一対の連結部材551は、第1付勢部材552によって付勢されているため、一対のカーソル部材52から連結解除されると、図4に示すように、シート幅方向Dwの中央部に移動する。これにより、図3及び図4に示すように、一対の連結部材551それぞれは、支持部材54から離間して支持部材54を退避位置に変位させる。
【0084】
上記のように、連動機構55は、カーソル部材52の移動に応じて、支持部材54を突出位置または退避位置に変位させる。連動機構55は、処理トレイ5にシート幅方向Dwに往復移動可能に配置された一対の連結部材551を備える。一対の連結部材551は、一対のカーソル部材52の移動に応じて、それぞれカーソル部材52に対して連結または連結解除される。そして、一対の連結部材551それぞれは、カーソル部材52に連結された状態で支持部材54に接触して支持部材54を突出位置に変位させ、カーソル部材52から連結解除された状態で支持部材54から離間して支持部材54を退避位置に変位させる。
【0085】
この構成によれば、連結部材551をカーソル部材52に対して連結または連結解除させることで、カーソル部材52の移動に応じて支持部材54を突出位置または退避位置に変位させることができる。連結部材551をカーソル部材52に連結させなければ、カーソル部材52を支持部材54に対して独立して移動させることができる。また、支持部材54は、カーソル部材52の移動に応じて変位させることができるので、専用の駆動源が不要である。したがって、専用の駆動源が不要であり、必要に応じて任意のタイミングで処理トレイ5のシート排出方向Ddの下流側においてシートSを支持することが可能である。
【0086】
また、上記のように、連結部材551は、カーソル部材52がシート幅方向Dwの中央部へ移動することでカーソル部材52に連結され、カーソル部材52がシート幅方向Dwの外側の第1位置P1へ移動することで支持部材54に接触して支持部材54を突出位置に変位させる。また、連結部材551は、カーソル部材52がシート幅方向Dwの第1位置P1より外側の第2位置P2へ移動することでカーソル部材52から連結解除されてシート幅方向Dwの中央部に移動し、支持部材54から離間して支持部材54を退避位置に変位させる。
【0087】
この構成によれば、カーソル部材52をシート幅方向Dwの中央部あるいは外側の第2位置P2へ移動させることで、カーソル部材52に対して連結部材551を着脱させることが可能である。すなわち、カーソル部材52の移動のみによって、必要に応じて、支持部材54を突出位置または退避位置に変位させることができる。
【0088】
なお、第1位置P1は、シートSが処理トレイ5に搬送される場合にカーソル部材52が配置されるシートSの受入位置である。この構成によれば、シートSが処理トレイ5に搬送される場合に、支持部材54を突出位置に変位させることができる。
【0089】
また、連動機構55は、上記構成の、連結部材551と、第1付勢部材552と、第2付勢部材553と、連結片554と、フック555と、連結解除片556と、を備える。この構成によれば、カーソル部材52がシート幅方向Dwの中央部へ移動したときに、連結部材551をカーソル部材52に容易に連結させることができる。さらに、カーソル部材52がシート幅方向Dwの外側の第2位置P2へ移動したときに、連結部材551をカーソル部材52から容易に連結解除させることができる。
【0090】
後処理制御部10は、カーソル駆動部53の駆動モーター534に制御信号を送信することで、カーソル部材52の移動を制御する。そして、後処理制御部10は、処理トレイ5に搬送されるシートSの態様に基づき、カーソル部材52を用いて連動機構55を作動させ、支持部材54を突出位置に変位させる。この構成によれば、シート排出口7の箇所まで搬送されたシートSを、排出ローラー対8を逆回転させることで処理トレイ5まで搬送する場合に、シートSの一部がシート排出口7に引っ掛かることを抑制することが可能である。なお、後処理制御部10は、シートSの態様に係る情報を本体制御部212から予め受信する。
【0091】
図15は、図2の処理トレイ5周辺を示す部分断面正面図であって、処理トレイ5にZ字形状に折り曲げられたシートSが搬送された状態を示す図である。例えば、後処理制御部10は、処理トレイ5に搬送されるシートSが、シート幅方向Dwから見てZ字形状に折り曲げられたシートSである場合に、支持部材54を突出位置に変位させる。この構成によれば、シートSのZ字形状部分がシート排出口7に引っ掛かることを抑制することが可能である。
【0092】
図16は、図2の処理トレイ5周辺を示す部分断面正面図であって、処理トレイ5に処理トレイ5よりも長いサイズのシートSが搬送された状態を示す図である。例えば、後処理制御部10は、処理トレイ5に搬送されるシートSが、処理トレイ5のシート排出方向Ddの長さよりも長いサイズのシートSである場合に、支持部材54を突出位置に変位させる。この構成によれば、シートSが広範囲にわたってシート排出口7の外側に垂れ下がり、シート排出口7に引っ掛かることを抑制することが可能である。
【0093】
ここで、Z字形状に折り曲げられたシートS、または処理トレイ5よりも長いサイズのシートSを、少なくとも1枚目に含む複数枚のシートSで構成されるシート束ごとに処理トレイ5で後処理を行う場合の、シートSの処理トレイ5への搬送に係る実施例について説明する。
【0094】
なお、処理トレイ5は、一対のカーソル部材52がシートSの側端縁の位置からシート幅方向Dwの例えば6mm外側の受入位置(第1位置P1)に移動した場合に、一対のカーソル部材52が連結部材551を介して一対の支持部材54に接触し、一対の支持部材54を突出位置に変位させる構成であるとする。また、処理トレイ5は、一対のカーソル部材52がシートSの側端縁の位置からシート幅方向Dwの例えば10mm外側の解除位置(第2位置P2)に移動した場合に、連結部材551が連結解除片556に接触してカーソル部材52から連結解除され、一対の支持部材54を退避位置に変位させる構成であるとする。
【0095】
Z字形状に折り曲げられたシートS、または処理トレイ5よりも長いサイズのシートSを、少なくとも1枚目に含むシート束の1部を処理トレイ5に受け入れる前に、後処理制御部10は、一対のカーソル部材52に連結部材551を連結させる。そして、後処理制御部10は、一対のカーソル部材52をシートSの側端縁の位置からシート幅方向Dw6mmの外側の受入位置(第1位置P1)に移動させ、一対の支持部材54を突出位置に変位させる。この状態で、後処理制御部10は、1枚目のシートSを処理トレイ5に搬送させる。
【0096】
1枚目のシートSが処理トレイ5に搬送されると、後処理制御部10は、一対のカーソル部材52をシート幅方向Dwの受入位置より内側の整合位置に移動させてシートSの側端縁に接触させ、シートSのシート幅方向Dwの位置を揃える。
【0097】
続いて、後処理制御部10は、一対のカーソル部材52をシートSの側端縁の位置からシート幅方向Dwの10mm外側の解除位置(第2位置P2)に移動させ、カーソル部材52から連結部材551を連結解除させ、一対の支持部材54を退避位置に変位させる。後処理制御部10は、一対のカーソル部材52を再び受入位置(第1位置P1)に移動させ、2枚目のシートSを処理トレイ5に搬送させる。
【0098】
2枚目のシートSが処理トレイ5に搬送されると、後処理制御部10は、一対のカーソル部材52をシート幅方向Dwの受入位置より内側の整合位置に移動させてシートSの側端縁に接触させ、シートSのシート幅方向Dwの位置を揃える。
【0099】
続いて、後処理制御部10は、一対のカーソル部材52をシートSの側端縁の位置からシート幅方向Dwの10mm外側に移動させる。3枚目以降、後処理制御部10は、一対のカーソル部材52をシートSの側端縁の位置からシート幅方向Dwの10mm外側に移動させてシートSを処理トレイ5に搬送させ、一対のカーソル部材52をシートSの側端縁に接触させてシートSのシート幅方向Dwの位置を揃えることを繰り返す。
【0100】
最終のシートSが処理トレイ5に搬送されてシート束が完成すると、後処理制御部10は、一対のカーソル部材52を整合位置からシート幅方向Dwの例えば2mm外側の排出位置に移動させ、排出ローラー対8によってシート束を排出トレイ9に排出させる。
【0101】
上記のように、後処理制御部10は、シートSを処理トレイ5に搬送する場合に、シートSの排出方向Ddの先端部がシート排出口7を通過した後にシートSをスイッチバックさせて処理トレイ5に搬送させる。そして、後処理制御部10は、複数枚のシートSで構成されるシート束の1枚目のシートSを搬送する場合に、支持部材54を突出位置に変位させるようにカーソル部材52を移動させ、2枚目以降のシートSを処理トレイ5に搬送する場合に、支持部材54を退避位置に変位させるようにカーソル部材52を移動させる。
【0102】
この構成によれば、処理トレイ5のシート排出方向Ddの下流側においてシートSを支持する必要があるシート束の1枚目のシートSに対して支持部材54を突出位置に変位させ、それ以外のシートSに対しては支持部材54を退避位置に変位させることができる。すなわち、必要に応じて、支持部材54を突出位置または退避位置に変位させることが可能である。
【0103】
なお、Z字形状に折り曲げられたシートS、または処理トレイ5よりも長いサイズのシートSを含まないシート束などのように、支持部材54の使用が不要である場合、支持部材54は退避位置で維持される。後処理制御部10は、一対のカーソル部材52を受入位置(第1位置P1)に移動させ、シートSを処理トレイ5に搬送させる。そして、後処理制御部10は、一対のカーソル部材52を整合位置に移動させ、シートSのシート幅方向Dwの位置を揃える。シートSの搬送、整合を繰り返してシート束が完成すると、後処理制御部10は、一対のカーソル部材52を排出位置に移動させ、シート束を排出トレイ9に排出させる。
【0104】
また、上記構成によれば、画像形成システム301は、上記構成のシート後処理装置1と、画像形成装置201と、を備えるので、画像形成システム301において、カーソル部材52の移動に応じて支持部材54を突出位置または退避位置に変位させることができる。そして、支持部材54は、専用の駆動源が不要である。したがって、画像形成システム301において、専用の駆動源が不要であり、必要に応じて任意のタイミングで処理トレイ5のシート排出方向Ddの下流側においてシートSを支持することが可能である。
【0105】
以上、本発明の実施形態につき説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えて実施することができる。
【0106】
例えば、上記実施形態では、画像形成システム301の画像形成装置201がモノクロ印刷用の画像形成装置であることとしたが、このような機種に限定されるわけではない。画像形成装置は、例えばカラー印刷用の画像形成装置であって良い。
【産業上の利用可能性】
【0107】
本発明は、画像形成装置のシート後処理装置、及びそのシート後処理装置を備えた画像形成システムにおいて利用可能である。
【符号の説明】
【0108】
1 シート後処理装置
5 処理トレイ
5a シート載置面
7 シート排出口
8 排出ローラー対
9 排出トレイ
10 後処理制御部(制御部)
52 カーソル部材
54 支持部材
55 連動機構
201 画像形成装置
301 画像形成システム
551 連結部材
552 第1付勢部材
553 第2付勢部材
554 連結片
555 フック
556 連結解除片
Dd シート排出方向
Dw シート幅方向
S シート
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16