(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-08
(45)【発行日】2024-05-16
(54)【発明の名称】回転電機
(51)【国際特許分類】
H02K 1/276 20220101AFI20240509BHJP
H02K 21/14 20060101ALI20240509BHJP
【FI】
H02K1/276
H02K21/14 M
(21)【出願番号】P 2020102541
(22)【出願日】2020-06-12
【審査請求日】2023-05-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000232302
【氏名又は名称】ニデック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100188673
【氏名又は名称】成田 友紀
(74)【代理人】
【識別番号】100179833
【氏名又は名称】松本 将尚
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【氏名又は名称】古都 智
(72)【発明者】
【氏名】菅谷 篤司
【審査官】佐藤 彰洋
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-148597(JP,A)
【文献】国際公開第2014/136258(WO,A1)
【文献】特開2000-134891(JP,A)
【文献】特開2013-162557(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 1/27
H02K 21/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心軸を中心として回転可能なロータと、
前記ロータの径方向外側に位置するステータと、
を備え、
前記ロータは、
複数の収容穴を有するロータコアと、
前記複数の収容穴の内部にそれぞれ収容された複数のマグネットと、
を有し、
前記ステータは、
前記ロータコアを囲む環状のコアバック、および前記コアバックから径方向内側に延び周方向に間隔を空けて並んで配置された複数のティースを有するステータコアと、
前記ステータコアに取り付けられた複数のコイルと、
を有し、
前記複数のマグネットは、
周方向に互いに間隔を空けて配置され、軸方向に見て径方向内側から径方向外側に向かうに従って互いに周方向に離れる方向に延びる一対の第1マグネットと、
前記一対の第1マグネットの径方向内端部よりも径方向外側において前記一対の第1マグネット同士の間の周方向位置に配置され、軸方向に見て径方向と直交する方向に延びる第2マグネットと、
を含み、
前記ロータコアは、
軸方向に見て、各前記第1マグネットが延びる方向において各前記第1マグネットのそれぞれを挟んで一対ずつ配置された第1フラックスバリア部と、
軸方向に見て、前記第2マグネットが延びる方向において前記第2マグネットを挟んで配置された一対の第2フラックスバリア部と、
前記一対の第1マグネットの一方を挟んで配置された一対の前記第1フラックスバリア部のうち径方向外側に位置する第1フラックスバリア部と前記一対の第2フラックスバリア部の一方との周方向の間、および前記一対の第1マグネットの他方を挟んで配置された一対の前記第1フラックスバリア部のうち径方向外側に位置する第1フラックスバリア部と前記一対の第2フラックスバリア部の他方との周方向の間の少なくとも一方に配置された第3フラックスバリア部と、
を有し、
前記第2マグネットの周方向中心が或る1つの前記ティースの周方向中心と同じ周方向位置に配置された或る状態において、前記第3フラックスバリア部は、他の1つの前記ティースの径方向内側に位置
し、
前記或る状態において、前記第1マグネットを挟んで配置された一対の前記第1フラックスバリア部のうち径方向外側に位置する第1フラックスバリア部は、前記他の1つのティースのうち前記第2マグネットの周方向中心から遠い側の部分の径方向内側に位置し、かつ、前記第3フラックスバリア部は、前記他の1つのティースのうち前記第2マグネットの周方向中心に近い側の部分の径方向内側に位置する、回転電機。
【請求項2】
前記第3フラックスバリア部は、前記一対の第1マグネットの一方を挟んで配置された一対の前記第1フラックスバリア部のうち径方向外側に位置する第1フラックスバリア部と前記一対の第2フラックスバリア部の一方との周方向の間、および前記一対の第1マグネットの他方を挟んで配置された一対の前記第1フラックスバリア部のうち径方向外側に位置する第1フラックスバリア部と前記一対の第2フラックスバリア部の他方との周方向の間の両方に設けられている、請求項1に記載の回転電機。
【請求項3】
前記他の1つのティースは、周方向において前記或る1つのティースの2つ隣に配置されたティースである、請求項1または2に記載の回転電機。
【請求項4】
前記或る状態において、前記或る1つのティースと前記他の1つのティースとの周方向の間に隣り合って配置されたティースの少なくとも一部は、前記第2マグネットの径方向外側に位置する、請求項3に記載の回転電機。
【請求項5】
前記ロータコアは、前記ロータコアの外周面から径方向内側に窪む凹部を有し、
前記或る状態において、前記凹部は、前記他の1つのティースの周方向中心よりも前記第2マグネットの周方向中心から周方向に離れる側に配置される、請求項
1から4のいずれか一項に記載の回転電機。
【請求項6】
前記或る状態において、前記凹部の少なくとも一部は、前記他の1つのティースの径方向内側に位置する、請求項
5に記載の回転電機。
【請求項7】
前記凹部は、前記一対の第1フラックスバリア部のうち径方向外側に位置する第1フラックスバリア部の径方向外側に位置する、請求項
5または
6に記載の回転電機。
【請求項8】
前記第3フラックスバリア部の周方向の寸法は、0.6mm以上、2.1mm以下である、請求項1から
7のいずれか一項に記載の回転電機。
【請求項9】
三相交流式の回転電機であって、
極数をNとしたとき、スロット数がN×6となる、請求項1から
8のいずれか一項に記載の回転電機。
【請求項10】
前記コイルは、分布巻き、かつ、全節巻きされている、請求項1から
9のいずれか一項に記載の回転電機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転電機に関する。
【背景技術】
【0002】
ロータコアとロータコアに設けられた穴に配置された永久磁石とを備える回転電機が知られている。例えば、特許文献1には、3つの永久磁石が∇形状に配置された回転電機が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような回転電機においては、トルクリップルのさらなる低減が求められていた。本発明は、上記事情に鑑みて、トルクリップルを低減できる構造を有する回転電機を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の回転電機の一つの態様は、中心軸を中心として回転可能なロータと、前記ロータの径方向外側に位置するステータと、を備える。前記ロータは、複数の収容穴を有するロータコアと、前記複数の収容穴の内部にそれぞれ収容された複数のマグネットと、を有する。前記ステータは、前記ロータコアを囲む環状のコアバック、および前記コアバックから径方向内側に延び周方向に間隔を空けて並んで配置された複数のティースを有するステータコアと、前記ステータコアに取り付けられた複数のコイルと、を有する。前記複数のマグネットは、周方向に互いに間隔を空けて配置され、軸方向に見て径方向内側から径方向外側に向かうに従って互いに周方向に離れる方向に延びる一対の第1マグネットと、前記一対の第1マグネットの径方向内端部よりも径方向外側において前記一対の第1マグネット同士の間の周方向位置に配置され、軸方向に見て径方向と直交する方向に延びる第2マグネットと、を含む。前記ロータコアは、軸方向に見て、各前記第1マグネットが延びる方向において各前記第1マグネットのそれぞれを挟んで一対ずつ配置された第1フラックスバリア部と、軸方向に見て、前記第2マグネットが延びる方向において前記第2マグネットを挟んで配置された一対の第2フラックスバリア部と、前記一対の第1マグネットの一方を挟んで配置された一対の前記第1フラックスバリア部のうち径方向外側に位置する第1フラックスバリア部と前記一対の第2フラックスバリア部の一方との周方向の間、および前記一対の第1マグネットの他方を挟んで配置された一対の前記第1フラックスバリア部のうち径方向外側に位置する第1フラックスバリア部と前記一対の第2フラックスバリア部の他方との周方向の間の少なくとも一方に配置された第3フラックスバリア部と、を有する。前記第2マグネットの周方向中心が或る1つの前記ティースの周方向中心と同じ周方向位置に配置された或る状態において、前記第3フラックスバリア部は、他の1つの前記ティースの径方向内側に位置する。
【発明の効果】
【0006】
本発明の一つの態様によれば、回転電機においてトルクリップルを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、本実施形態の回転電機を示す断面図である。
【
図2】
図2は、本実施形態の回転電機の一部を示す断面図であって、
図1におけるII-II断面図である。
【
図3】
図3は、本実施形態のロータの磁極部およびステータコアの一部を示す断面図である。
【
図4】
図4は、本実施形態のロータとステータとの間に流れる磁束の48次成分の一例を示す図である。
【
図5】
図5は、本実施形態のロータとステータとの間に流れる磁束の24次成分の一例を示す図である。
【
図6】
図6は、実施例のシミュレーション結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
各図に適宜示すZ軸方向は、正の側を「上側」とし、負の側を「下側」とする上下方向である。各図に適宜示す中心軸Jは、Z軸方向と平行であり、上下方向に延びる仮想線である。以下の説明においては、中心軸Jの軸方向、すなわち上下方向と平行な方向を単に「軸方向」と呼び、中心軸Jを中心とする径方向を単に「径方向」と呼び、中心軸Jを中心とする周方向を単に「周方向」と呼ぶ。各図に適宜示す矢印θは、周方向を示している。矢印θは、上側から見て中心軸Jを中心として時計回りの向きを向いている。以下の説明では、或る対象を基準として周方向のうち矢印θが向かう側、すなわち上側から見て時計回りに進む側を「周方向一方側」と呼び、或る対象を基準として周方向のうち矢印θが向かう側と逆側、すなわち上側から見て反時計回りに進む側を「周方向他方側」と呼ぶ。
【0009】
なお、上下方向、上側、および下側とは、単に各部の配置関係等を説明するための名称であり、実際の配置関係等は、これらの名称で示される配置関係等以外の配置関係等であってもよい。
【0010】
図1に示すように、本実施形態の回転電機1は、インナーロータ型の回転電機である。本実施形態において回転電機1は、三相交流式の回転電機である。回転電機1は、例えば、三相交流の電源が供給されることで駆動される三相モータである。回転電機1は、ハウジング2と、ロータ10と、ステータ60と、ベアリングホルダ4と、ベアリング5a,5bと、を備える。
【0011】
ハウジング2は、ロータ10、ステータ60、ベアリングホルダ4、およびベアリング5a,5bを内部に収容している。ハウジング2の底部は、ベアリング5bを保持している。ベアリングホルダ4は、ベアリング5aを保持している。ベアリング5a,5bは、例えば、ボールベアリングである。
【0012】
ステータ60は、ロータ10の径方向外側に位置する。ステータ60は、ステータコア61と、インシュレータ64と、複数のコイル65と、を有する。ステータコア61は、コアバック62と、複数のティース63と、を有する。コアバック62は、後述するロータコア20の径方向外側に位置する。
図2に示すように、コアバック62は、ロータコア20を囲む環状である。コアバック62は、例えば、中心軸Jを中心とする円環状である。
【0013】
複数のティース63は、コアバック62から径方向内側に延びている。複数のティース63は、周方向に間隔を空けて並んで配置されている。複数のティース63は、例えば、周方向に沿って一周に亘って等間隔に配置されている。ティース63は、例えば、48個設けられている。つまり、回転電機1のスロット数は、例えば、48である。
図3に示すように、複数のティース63は、基部63aと、アンブレラ部63bと、をそれぞれ有する。
【0014】
基部63aは、コアバック62から径方向内側に延びている。基部63aの周方向の寸法は、例えば、径方向の全体に亘って同じである。なお、基部63aの周方向の寸法は、例えば、径方向内側に向かうに従って小さくなっていてもよい。
【0015】
アンブレラ部63bは、基部63aの径方向内側の端部に設けられている。アンブレラ部63bは、基部63aよりも周方向の両側に突出している。アンブレラ部63bの周方向の寸法は、基部63aの径方向内側の端部における周方向の寸法よりも大きい。アンブレラ部63bの径方向内側の面は、周方向に沿った曲面である。アンブレラ部63bの径方向内側の面は、軸方向に見て、中心軸Jを中心とする円弧状に延びている。アンブレラ部63bの径方向内側の面は、後述するロータコア20の外周面と径方向に隙間を介して対向している。周方向に隣り合うティース63同士において、アンブレラ部63b同士は、周方向に隙間を介して並んで配置されている。
【0016】
複数のコイル65は、ステータコア61に取り付けられている。
図1に示すように、複数のコイル65は、例えば、インシュレータ64を介してティース63に取り付けられている。本実施形態においてコイル65は、分布巻きされている。つまり、各コイル65は、複数のティース63に跨って巻き回されている。本実施形態においてコイル65は、全節巻きされている。つまり、コイル65が差し込まれるステータ60のスロット同士の周方向ピッチが、ステータ60に三相交流電源が供給された際に生じる磁極の周方向ピッチと等しい。回転電機1の極数は、例えば、8である。つまり、回転電機1は、例えば、8極48スロットの回転電機である。このように、本実施形態の回転電機1においては、極数をNとしたとき、スロット数がN×6となる。なお、
図3から
図5においては、コイル65の図示を省略している。
図2から
図5においては、インシュレータ64の図示を省略している。
【0017】
ロータ10は、中心軸Jを中心として回転可能である。
図2に示すように、ロータ10は、シャフト11と、ロータコア20と、複数のマグネット40と、を有する。シャフト11は、中心軸Jを中心として軸方向に延びる円柱状である。
図1に示すように、シャフト11は、ベアリング5a,5bによって中心軸J回りに回転可能に支持されている。
【0018】
ロータコア20は、磁性体である。ロータコア20は、シャフト11の外周面に固定されている。ロータコア20は、ロータコア20を軸方向に貫通する貫通孔21を有する。
図2に示すように、貫通孔21は、軸方向に見て、中心軸Jを中心とする円形状である。貫通孔21には、シャフト11が通されている。シャフト11は、例えば圧入等により、貫通孔21内に固定されている。図示は省略するが、ロータコア20は、例えば、複数の電磁鋼板が軸方向に積層されて構成されている。
【0019】
ロータコア20は、複数の収容穴30を有する。複数の収容穴30は、例えば、ロータコア20を軸方向に貫通している。複数の収容穴30の内部には、複数のマグネット40がそれぞれ収容されている。収容穴30内におけるマグネット40の固定方法は、特に限定されない。複数の収容穴30は、一対の第1収容穴31a,31bと、第2収容穴32と、を含む。
【0020】
複数のマグネット40の種類は、特に限定されない。マグネット40は、例えば、ネオジム磁石であってもよいし、フェライト磁石であってもよい。複数のマグネット40は、一対の第1マグネット41a,41bと、第2マグネット42と、を含む。
【0021】
本実施形態において一対の第1収容穴31a,31bと一対の第1マグネット41a,41bと第2収容穴32と第2マグネット42とは、周方向に間隔を空けて複数ずつ設けられている。一対の第1収容穴31a,31bと一対の第1マグネット41a,41bと第2収容穴32と第2マグネット42とは、例えば、8つずつ設けられている。
【0022】
ロータ10は、一対の第1収容穴31a,31bと一対の第1マグネット41a,41bと第2収容穴32と第2マグネット42とを1つずつ含む磁極部70を複数有する。磁極部70は、例えば、8つ設けられている。複数の磁極部70は、例えば、周方向に沿って一周に亘って等間隔に配置されている。複数の磁極部70は、ロータコア20の外周面における磁極がN極の磁極部70Nと、ロータコア20の外周面における磁極がS極の磁極部70Sと、を複数ずつ含む。磁極部70Nと磁極部70Sとは、例えば、4つずつ設けられている。4つの磁極部70Nと4つの磁極部70Sとは、周方向に沿って交互に配置されている。各磁極部70の構成は、ロータコア20の外周面の磁極が異なる点および周方向位置が異なる点を除いて、同様の構成である。
【0023】
図3に示すように、磁極部70において、一対の第1収容穴31a,31bは、周方向に互いに間隔を空けて配置されている。第1収容穴31aは、例えば、第1収容穴31bの周方向一方側(+θ側)に位置する。第1収容穴31a,31bは、例えば、軸方向に見て、径方向に対して斜めに傾いた方向に略直線状に延びている。一対の第1収容穴31a,31bは、軸方向に見て径方向内側から径方向外側に向かうに従って互いに周方向に離れる方向に延びている。つまり、第1収容穴31aと第1収容穴31bとの間の周方向の距離は、径方向内側から径方向外側に向かうに従って大きくなっている。第1収容穴31aは、例えば、径方向内側から径方向外側に向かうに従って、周方向一方側に位置する。第1収容穴31bは、例えば、径方向内側から径方向外側に向かうに従って、周方向他方側(-θ側)に位置する。第1収容穴31a,31bの径方向外側の端部は、ロータコア20の径方向外周縁部に位置する。
【0024】
第1収容穴31aと第1収容穴31bとは、例えば、軸方向に見て、
図3に示す磁極中心線IL1を周方向に挟んで配置されている。磁極中心線IL1は、磁極部70の周方向中心と中心軸Jとを通り、径方向に延びる仮想線である。第1収容穴31aと第1収容穴31bとは、例えば、軸方向に見て、磁極中心線IL1に対して線対称に配置されている。以下、磁極中心線IL1に対して線対称である点を除いて第1収容穴31aと同様の構成については、第1収容穴31bについての説明を省略する場合がある。
【0025】
第1収容穴31aは、第1直線部31cと、内端部31dと、外端部31eと、を有する。第1直線部31cは、軸方向に見て、第1収容穴31aが延びる方向に直線状に延びている。第1直線部31cは、例えば、軸方向に見て長方形状である。内端部31dは、第1直線部31cの径方向内側の端部に繋がっている。内端部31dは、第1収容穴31aの径方向内側の端部である。外端部31eは、第1直線部31cの径方向外側の端部に繋がっている。外端部31eは、第1収容穴31aの径方向外側の端部である。第1収容穴31bは、第1直線部31fと、内端部31gと、外端部31hと、を有する。
【0026】
第2収容穴32は、一対の第1収容穴31a,31bの径方向外側の端部同士の周方向の間に位置する。つまり、本実施形態において第2収容穴32は、外端部31eと外端部31hとの周方向の間に位置する。第2収容穴32は、例えば、軸方向に見て、径方向と直交する方向に略直線状に延びている。第2収容穴32は、例えば、軸方向に見て、磁極中心線IL1と直交する方向に延びている。一対の第1収容穴31a,31bと第2収容穴32とは、例えば、軸方向に見て、∇形状に沿って配置されている。
【0027】
なお、本明細書において「或る対象が或る方向と直交する方向に延びる」とは、或る対象が、或る方向と厳密に直交する方向に延びる場合に加えて、或る対象が、或る方向と略直交する方向に延びる場合も含む。「或る方向と略直交する方向」とは、例えば、製造時の公差等によって、或る方向と厳密に直交する方向に対して数度[°]程度の範囲内で傾いた方向を含む。
【0028】
軸方向に見て、第2収容穴32の周方向の中心には、例えば、磁極中心線IL1が通っている。つまり、第2収容穴32の周方向中心の周方向位置は、例えば、磁極部70の周方向中心の周方向位置と一致している。第2収容穴32の軸方向に見た形状は、例えば、磁極中心線IL1に対して線対称な形状である。第2収容穴32は、ロータコア20の径方向外周縁部に位置する。
【0029】
第2収容穴32は、第2直線部32aと、一端部32bと、他端部32cと、を有する。第2直線部32aは、軸方向に見て、第2収容穴32が延びる方向に直線状に延びている。第2直線部32aは、例えば、軸方向に見て長方形状である。一端部32bは、第2直線部32aの周方向一方側(+θ側)の端部に繋がっている。一端部32bは、第2収容穴32の周方向一方側の端部である。一端部32bは、第1収容穴31aにおける外端部31eの周方向他方側(-θ側)に間隔を空けて配置されている。他端部32cは、第2直線部32aの周方向他方側(-θ側)の端部に繋がっている。他端部32cは、第2収容穴32の周方向他方側の端部である。他端部32cは、第1収容穴31bにおける外端部31hの周方向一方側に間隔を空けて配置されている。
【0030】
一対の第1マグネット41a,41bは、一対の第1収容穴31a,31bの内部にそれぞれ収容されている。第1マグネット41aは、第1収容穴31aの内部に収容されている。第1マグネット41bは、第1収容穴31bの内部に収容されている。一対の第1マグネット41a,41bは、例えば、軸方向に見て長方形状である。図示は省略するが、第1マグネット41a,41bは、例えば、直方体状である。図示は省略するが、第1マグネット41a,41bは、例えば、第1収容穴31a,31b内の軸方向の全体に亘って設けられている。一対の第1マグネット41a,41bは、周方向に互いに間隔を空けて配置されている。第1マグネット41aは、例えば、第1マグネット41bの周方向一方側(+θ側)に位置する。
【0031】
第1マグネット41aは、軸方向に見て第1収容穴31aに沿って延びている。第1マグネット41bは、軸方向に見て第1収容穴31bに沿って延びている。第1マグネット41a,41bは、例えば、軸方向に見て、径方向に対して斜めに傾いた方向に略直線状に延びている。一対の第1マグネット41a,41bは、軸方向に見て径方向内側から径方向外側に向かうに従って互いに周方向に離れる方向に延びている。つまり、第1マグネット41aと第1マグネット41bとの間の周方向の距離は、径方向内側から径方向外側に向かうに従って大きくなっている。
【0032】
第1マグネット41aは、例えば、径方向内側から径方向外側に向かうに従って、周方向一方側(+θ側)に位置する。第1マグネット41bは、例えば、径方向内側から径方向外側に向かうに従って、周方向他方側(-θ側)に位置する。第1マグネット41aと第1マグネット41bとは、例えば、軸方向に見て、磁極中心線IL1を周方向に挟んで配置されている。第1マグネット41aと第1マグネット41bとは、例えば、軸方向に見て、磁極中心線IL1に対して線対称に配置されている。以下、磁極中心線IL1に対して線対称である点を除いて第1マグネット41aと同様の構成については、第1マグネット41bについての説明を省略する場合がある。
【0033】
第1マグネット41aは、第1収容穴31a内に嵌め合わされている。より詳細には、第1マグネット41aは、第1直線部31c内に嵌め合わされている。第1マグネット41aの側面のうち、第1直線部31cが延びる方向と直交する方向における両側面は、例えば、第1直線部31cの内側面とそれぞれ接触している。軸方向に見て第1直線部31cが延びる方向において、第1マグネット41aの長さは、例えば、第1直線部31cの長さと同じである。
【0034】
軸方向に見て、第1マグネット41aの延伸方向の両端部は、第1収容穴31aの延伸方向の両端部からそれぞれ離れて配置されている。軸方向に見て、第1マグネット41aが延びる方向において第1マグネット41aの両側には、内端部31dと外端部31eとがそれぞれ隣接して配置されている。ここで、本実施形態において内端部31dは、第1フラックスバリア部51aを構成している。外端部31eは、第1フラックスバリア部51bを構成している。つまり、ロータコア20は、軸方向に見て、第1マグネット41aが延びる方向において第1マグネット41aを挟んで配置された一対の第1フラックスバリア部51a,51bを有する。ロータコア20は、軸方向に見て、第1マグネット41bが延びる方向において第1マグネット41bを挟んで配置された一対の第1フラックスバリア部51c,51dを有する。
【0035】
このように、ロータコア20は、軸方向に見て、各第1マグネット41a,41bが延びる方向において各第1マグネット41a,41bのそれぞれを挟んで一対ずつ配置された第1フラックスバリア部51a,51b,51c,51dを有する。第1フラックスバリア部51a,51b,51c,51d、後述する第2フラックスバリア部52a,52b、および後述する第3フラックスバリア部53a,53bは、磁束の流れを抑制できる部分である。すなわち、各フラックスバリア部には、磁束が通りにくい。各フラックスバリア部は、磁束の流れを抑制できるならば、特に限定されず、空隙部を含んでもよいし、樹脂部等の非磁性部を含んでもよい。
【0036】
第2マグネット42は、第2収容穴32の内部に収容されている。第2マグネット42は、一対の第1マグネット41a,41bの径方向内端部よりも径方向外側において一対の第1マグネット41a,41b同士の間の周方向位置に配置されている。第2マグネット42は、軸方向に見て第2収容穴32に沿って延びている。第2マグネット42は、軸方向に見て径方向と直交する方向に延びている。一対の第1マグネット41a,41bと第2マグネット42とは、例えば、軸方向に見て、∇形状に沿って配置されている。
【0037】
なお、本明細書において「第2マグネットが一対の第1マグネット同士の間の周方向位置に配置されている」とは、第2マグネットの周方向位置が一対の第1マグネット同士の間の周方向位置に含まれていればよく、第1マグネットに対する第2マグネットの径方向位置は特に限定されない。
【0038】
第2マグネット42の軸方向に見た形状は、例えば、磁極中心線IL1に対して線対称な形状である。第2マグネット42は、例えば、軸方向に見て長方形状である。図示は省略するが、第2マグネット42は、例えば、直方体状である。図示は省略するが、第2マグネット42は、例えば、第2収容穴32内の軸方向の全体に亘って設けられている。第2マグネット42の径方向内側部分は、例えば、一対の第1マグネット41a,41bの径方向外端部同士の周方向の間に位置する。第2マグネット42の径方向外側部分は、例えば、一対の第1マグネット41a,41bよりも径方向外側に位置する。
【0039】
第2マグネット42は、第2収容穴32内に嵌め合わされている。より詳細には、第2マグネット42は、第2直線部32a内に嵌め合わされている。第2マグネット42の側面のうち、第2直線部32aが延びる方向と直交する径方向における両側面は、例えば、第2直線部32aの内側面とそれぞれ接触している。軸方向に見て第2直線部32aが延びる方向において、第2マグネット42の長さは、例えば、第2直線部32aの長さと同じである。
【0040】
軸方向に見て、第2マグネット42の延伸方向の両端部は、第2収容穴32の延伸方向の両端部からそれぞれ離れて配置されている。軸方向に見て、第2マグネット42が延びる方向において第2マグネット42の両側には、一端部32bと他端部32cとがそれぞれ隣接して配置されている。ここで、本実施形態において一端部32bは、第2フラックスバリア部52aを構成している。他端部32cは、第2フラックスバリア部52bを構成している。つまり、ロータコア20は、軸方向に見て、第2マグネット42が延びる方向において第2マグネット42挟んで配置された一対の第2フラックスバリア部52a,52bを有する。一対の第2フラックスバリア部52a,52bおよび第2マグネット42は、第1マグネット41aを挟む一対の第1フラックスバリア部51a,51bのうち径方向外側に位置する第1フラックスバリア部51bと、第1マグネット41bを挟む一対の第1フラックスバリア部51c,51dのうち径方向外側に位置する第1フラックスバリア部51dとの周方向の間に位置する。
【0041】
第1マグネット41aの磁極は、軸方向に見て第1マグネット41aが延びる方向と直交する方向に沿って配置されている。第1マグネット41bの磁極は、軸方向に見て第1マグネット41bが延びる方向と直交する方向に沿って配置されている。第2マグネット42の磁極は、径方向に沿って配置されている。
【0042】
第1マグネット41aの磁極のうち径方向外側に位置する磁極と第1マグネット41bの磁極のうち径方向外側に位置する磁極と第2マグネット42の磁極のうち径方向外側に位置する磁極とは、互いに同じである。第1マグネット41aの磁極のうち径方向内側に位置する磁極と第1マグネット41bの磁極のうち径方向内側に位置する磁極と第2マグネット42の磁極のうち径方向内側に位置する磁極とは、互いに同じである。
【0043】
磁極部70Nにおいて、第1マグネット41aの磁極のうち径方向外側に位置する磁極と第1マグネット41bの磁極のうち径方向外側に位置する磁極と第2マグネット42の磁極のうち径方向外側に位置する磁極とは、例えば、N極である。磁極部70Nにおいて、第1マグネット41aの磁極のうち径方向内側に位置する磁極と第1マグネット41bの磁極のうち径方向内側に位置する磁極と第2マグネット42の磁極のうち径方向内側に位置する磁極とは、例えば、S極である。
【0044】
図示は省略するが、磁極部70Sにおいては、磁極部70Nに対して、各マグネット40の磁極が反転して配置されている。つまり、磁極部70Sにおいて、第1マグネット41aの磁極のうち径方向外側に位置する磁極と第1マグネット41bの磁極のうち径方向外側に位置する磁極と第2マグネット42の磁極のうち径方向外側に位置する磁極とは、例えば、S極である。磁極部70Sにおいて、第1マグネット41aの磁極のうち径方向内側に位置する磁極と第1マグネット41bの磁極のうち径方向内側に位置する磁極と第2マグネット42の磁極のうち径方向内側に位置する磁極とは、例えば、N極である。
【0045】
ロータコア20は、一対の第3フラックスバリア部53a,53bを有する。一対の第3フラックスバリア部53a,53bは、磁極部70ごとに設けられている。各磁極部70において、第3フラックスバリア部53aと第3フラックスバリア部53bとは、例えば、軸方向に見て、磁極中心線IL1に対して線対称に配置されている。以下、磁極中心線IL1に対して線対称である点を除いて第3フラックスバリア部53aと同様の構成については、第3フラックスバリア部53bについての説明を省略する場合がある。第3フラックスバリア部53a,53bは、例えば、ロータコア20を軸方向に貫通する孔によって作られた空隙部である。第3フラックスバリア部53a,53bは、例えば、軸方向に見て、円形状である。
【0046】
第3フラックスバリア部53aは、一対の第1マグネット41a,41bの一方の第1マグネット41aを挟んで配置された一対の第1フラックスバリア部51a,51bのうち径方向外側に位置する第1フラックスバリア部51bと一対の第2フラックスバリア部52a,52bの一方の第2フラックスバリア部52aとの周方向の間に配置されている。第3フラックスバリア部53aは、例えば、第1フラックスバリア部51bと第2フラックスバリア部52aとの周方向の間の中央部に位置する。
【0047】
第3フラックスバリア部53bは、一対の第1マグネット41a,41bの他方の第1マグネット41bを挟んで配置された一対の第1フラックスバリア部51c,51dのうち径方向外側に位置する第1フラックスバリア部51dと一対の第2フラックスバリア部52a,52bの他方の第2フラックスバリア部52bとの周方向の間に配置されている。第3フラックスバリア部53bは、例えば、第1フラックスバリア部51dと第2フラックスバリア部52bとの周方向の間の中央部に位置する。
【0048】
第3フラックスバリア部53a,53bは、軸方向に見て、第2マグネット42が延びる方向の延長線上に位置する。第3フラックスバリア部53a,53bは、軸方向に見て、第2マグネット42の径方向内縁の周方向両端部を通る仮想曲線IL6と第2マグネット42の径方向外縁の周方向両端部を通る仮想曲線IL7との間に位置する。仮想曲線IL6は、軸方向に見て、第2マグネット42の径方向内縁の周方向両端部を通り、中心軸Jを中心とする円弧状に延びる仮想線である。仮想曲線IL7は、軸方向に見て、第2マグネット42の径方向外縁の周方向両端部を通り、中心軸Jを中心とする円弧状に延びる仮想線である。
【0049】
第3フラックスバリア部53a,53bは、例えば、第2マグネット42の径方向外縁よりも径方向内側に位置する。第3フラックスバリア部53a,53bは、例えば、第2マグネット42の径方向内縁よりも径方向外側に位置する。第3フラックスバリア部53a,53bは、例えば、一対の第1マグネット41a,41bよりも径方向外側に位置する。
【0050】
本実施形態において第3フラックスバリア部53a,53bの周方向の寸法Wは、第1フラックスバリア部51a,51b,51c,51dの周方向の寸法および第2フラックスバリア部52a,52bの周方向の寸法よりも小さい。本実施形態において第3フラックスバリア部53a,53bの周方向の寸法Wは、円形状の第3フラックスバリア部53a,53bの直径である。第3フラックスバリア部53a,53bの周方向の寸法Wは、例えば、第1フラックスバリア部51a,51b,51c,51dの周方向の寸法の半分および第2フラックスバリア部52a,52bの周方向の寸法の半分よりも小さい。第3フラックスバリア部53a,53bの周方向の寸法Wは、例えば、2.4mm以下である。第3フラックスバリア部53a,53bの周方向の寸法Wは、例えば、0.6mm以上、2.1mm以下であることが好ましい。これは、トルクリップルを好適に低減できるためである。
【0051】
本実施形態においてロータコア20の半径rに対する第3フラックスバリア部53a,53bの周方向の寸法Wの比は、0.041以下である。ロータコア20の半径rに対する第3フラックスバリア部53a,53bの周方向の寸法Wの比は、0.010以上、0.035以下であることが好ましい。これは、トルクリップルを好適に低減できるためである。
【0052】
本実施形態において第1フラックスバリア部51bと第2フラックスバリア部52aとの周方向の間の距離L1に対する第3フラックスバリア部53aの比は、例えば、0.27以下である。
図4に示す距離L1は、円形の第3フラックスバリア部53aの中心における径方向位置での、第1フラックスバリア部51bと第2フラックスバリア部52aとの周方向の間の距離である。第1フラックスバリア部51bと第2フラックスバリア部52aとの周方向の間の距離L1に対する第3フラックスバリア部53aの比は、0.10以上、0.36以下であることが好ましい。これは、トルクリップルを好適に低減できるためである。第1フラックスバリア部51bと第2フラックスバリア部52aとの周方向の間の距離L1は、例えば、3.0mm以上、7.0mm以下である。
【0053】
ロータコア20の外周面と第3フラックスバリア部53aとの間の径方向の距離L2、およびロータコア20の外周面と第3フラックスバリア部53aの中心との距離L3は、例えば、第3フラックスバリア部53aの周方向の寸法Wよりも大きい。
図4に示す距離L2は、円形の第3フラックスバリア部53aの中心における周方向位置での、ロータコア20の外周面と第3フラックスバリア部53aとの間の径方向の距離である。距離L2および距離L3は、例えば、ロータコア20の外周面から第2マグネット42までの径方向の距離よりも大きい。距離L2は、例えば、0.7mm以上、4.2mm以下である。距離L3は、例えば、1.0mm以上、5.2mm以下である。距離L3は、2.6mm以上、3.4mm以下が好ましい。これは、トルクリップルを好適に低減しやすいためである。
【0054】
第2マグネット42の周方向中心が或る1つのティース63の周方向中心と同じ周方向位置に配置された或る状態において、第3フラックスバリア部53a,53bは、他の1つのティース63の径方向内側に位置する。言い換えれば、当該或る状態において、第3フラックスバリア部53a,53bは、他の1つのティース63と周方向位置が重なる。なお、本明細書において「或る対象が他の対象の径方向内側に位置する」とは、中心軸に対して或る対象が他の対称よりも径方向内側に位置することに加え、或る対象の少なくとも一部の周方向位置が、他の対象の少なくとも一部の周方向位置と同じであればよい。
図2から
図5は、当該或る状態の一例を示している。
図2から
図5において周方向中心が第2マグネット42の周方向中心と同じ周方向に位置に配置されたティース63を、ティース66Aと呼ぶ。つまり、
図2から
図5に示す或る状態において、ティース66Aが「或る1つのティース」に相当する。
図2から
図5に示す或る状態において、軸方向に見て、ティース66Aの周方向中心には、磁極中心線IL1が通る。
【0055】
図2から
図5に示す或る状態において、ティース66Aの周方向一方側(+θ側)に隣り合うティース63をティース66Bと呼ぶ。ティース66Aの周方向他方側(-θ側)に隣り合うティース63をティース66Cと呼ぶ。ティース66Bの周方向一方側に隣り合うティース63をティース66Dと呼ぶ。ティース66Cの周方向他方側に隣り合うティース63をティース66Eと呼ぶ。ティース66Dの周方向一方側に隣り合うティース63をティース66Fと呼ぶ。なお、以下の説明においては、
図2から
図5に示す或る状態を単に「或る状態」と呼ぶ。
【0056】
図3に示すように、或る状態において、第3フラックスバリア部53aは、ティース66Dの径方向内側に位置する。第3フラックスバリア部53bは、ティース66Eの径方向内側に位置する。つまり、或る状態において、ティース66D,66Eは、「他の1つのティース」に相当する。ここで、ティース66D,66Eのそれぞれは、周方向において、「或る1つのティース」に相当するティース66Aの2つ隣に配置されたティースである。つまり、本実施形態において「他の1つのティース」であるティース66D,66Eは、周方向において「或る1つのティース」の2つ隣に配置されたティース63である。
【0057】
本実施形態では、或る状態において、第3フラックスバリア部53aは、ティース66Dのうち第2マグネット42の周方向中心に近い側(-θ側)の部分の径方向内側に位置する。ティース66Dのうち第2マグネット42の周方向中心に近い側の部分とは、ティース66Dのうちティース中心線IL2よりも第2マグネット42の周方向中心に近い側の部分である。ティース中心線IL2は、ティース66Dの周方向中心と中心軸Jとを通り径方向に延びる仮想線である。或る状態において第3フラックスバリア部53aは、軸方向に見て、ティース中心線IL2と仮想線IL3との周方向の間に位置する。仮想線IL3は、軸方向に見て、ティース66Dのアンブレラ部63bにおける周方向他方側(-θ側)の端部と中心軸Jとを通り径方向に延びる仮想線である。
【0058】
本実施形態では、或る状態において、第3フラックスバリア部53bは、軸方向に見て、ティース中心線IL4と仮想線IL5との周方向の間に位置する。ティース中心線IL4は、ティース66Eの周方向中心と中心軸Jとを通り径方向に延びる仮想線である。仮想線IL5は、軸方向に見て、ティース66Eのアンブレラ部63bにおける周方向一方側(+θ側)の端部と中心軸Jとを通り径方向に延びる仮想線である。
【0059】
或る状態において、ティース66Bの少なくとも一部およびティース66Cの少なくとも一部は、第2マグネット42の径方向外側に位置する。ティース66Bは、ティース66Aとティース66Dとの周方向の間に隣り合って配置されたティース63である。ティース66Cは、ティース66Aとティース66Eとの周方向の間に隣り合って配置されたティース63である。つまり、或る状態において、「或る1つのティース」であるティース66Aと「他の1つのティース」であるティース66D,66Eとの周方向の間に隣り合って配置されたティース66B,66Cの少なくとも一部は、第2マグネット42の径方向外側に位置する。或る状態においては、例えば、ティース66Bの周方向他方側(-θ側)の部分およびティース66Cの周方向一方側(+θ側)の部分が第2マグネット42の径方向外側に位置する。
【0060】
或る状態において、第1マグネット41aを挟んで配置された一対の第1フラックスバリア部51a,51bのうち径方向外側に位置する第1フラックスバリア部51bは、ティース66Dのうち第2マグネット42の周方向中心から遠い側(+θ側)の部分の径方向内側に位置する。ティース66Dのうち第2マグネット42の周方向中心から遠い側の部分とは、ティース66Dのうちティース中心線IL2よりも第2マグネット42の周方向中心から遠い側の部分である。
【0061】
ロータコア20は、ロータコア20の外周面から径方向内側に窪む凹部22a,22bを有する。本実施形態において凹部22a,22bは、磁極部70ごとに一対ずつ設けられている。各磁極部70において、凹部22aと凹部22bとは、例えば、軸方向に見て、磁極中心線IL1に対して線対称に配置されている。以下、磁極中心線IL1に対して線対称である点を除いて凹部22aと同様の構成については、凹部22bについての説明を省略する場合がある。凹部22aは、例えば、第1フラックスバリア部51bの径方向外側に位置する。凹部22bは、例えば、第1フラックスバリア部51dの径方向外側に位置する。凹部22a,22bの軸方向に見た内縁は、例えば、径方向内側に凹となる略円弧状である。
【0062】
或る状態において、凹部22aは、ティース66Dの周方向中心よりも第2マグネットの周方向中心から周方向に離れる側(+θ側)に配置される。つまり、凹部22aは、ティース中心線IL2よりも周方向一方側(+θ側)に位置する。或る状態において、凹部22aの少なくとも一部は、ティース66Dの径方向内側に位置する。本実施形態では、或る状態において、凹部22aの周方向他方側(-θ側)の端部が、ティース66Dのアンブレラ部63bにおける周方向一方側(+θ側)の端部の径方向内側に位置する。
【0063】
本実施形態によれば、第3フラックスバリア部53a,53bが設けられることで、トルクリップルを低減できる。以下、詳細に説明する。
図4に示すように、ロータ10とステータ60との間を流れる磁束は、ティース63から放出されて、ロータコア20を通って再び同じティース63に戻る磁束を含む場合がある。
図4に示す磁束B48は、例えば、ロータ10とステータ60との間を流れる磁束の48次成分である。
【0064】
図4に示す磁束B48のうち磁束B48aは、例えば、ティース66Aの周方向中心から径方向内側に放出され、ロータコア20を通ってティース66Aのアンブレラ部63bにおける周方向一方側(+θ側)の端部に戻る磁束である。磁束B48aは、ロータコア20のうち第2マグネット42の径方向外側に位置する部分を通る。
【0065】
図4に示す磁束B48のうち磁束B48bは、例えば、ティース66Dの周方向中心から径方向内側に放出され、ロータコア20を通ってティース66Dのアンブレラ部63bにおける周方向他方側(-θ側)の端部に戻る磁束である。磁束B48bは、ロータコア20のうち、周方向位置が第1フラックスバリア部51bと第2フラックスバリア部52aとの間の周方向位置となる部分を通る。
【0066】
ここで、仮に第3フラックスバリア部53aが設けられていない場合、
図4において二点鎖線で示すように、ティース66Dからロータコア20内に放出された磁束B48bは、第1フラックスバリア部51bと第2フラックスバリア部52aとの周方向の間の部分を比較的大きく径方向内側まで回ってから、ティース66Dに戻る。
【0067】
一方、ティース66Aから放出された磁束B48aは、第2マグネット42が設けられていることにより、ロータコア20のうち第2マグネット42の径方向外側に位置する部分を比較的小さく回ってティース66Aに戻る。そのため、第3フラックスバリア部53aが設けられていない場合には、ティース66Aとロータコア20との間を流れる磁束B48aの流れとティース66Dとロータコア20との間を流れる磁束B48bの流れとが大きく異なりやすい。これにより、ティース66Aとロータコア20との間に働く磁力の変動幅とティース66Dとロータコア20との間に働く磁力の変動幅とがずれて、各ティース63とロータコア20との間で働く磁力にバラつきが生じやすい。したがって、トルクリップルが大きくなりやすい問題があった。
【0068】
これに対して、本実施形態によれば、第1フラックスバリア部51bと第2フラックスバリア部52aとの周方向の間に第3フラックスバリア部53aが設けられている。また、第2マグネット42の周方向中心が或る1つのティース66Aの周方向中心と同じ周方向位置に配置された或る状態において、第3フラックスバリア部53aは、他の1つのティース66Dの径方向内側に位置する。そのため、
図4において実線で示すように、ティース66Dからロータコア20に放出された磁束B48bがロータコア20内において径方向内側に大きく回ることを第3フラックスバリア部53aによって抑制できる。これにより、ティース66Dから放出された磁束B48bを、ロータコア20のうち第3フラックスバリア部53aよりも径方向外側に位置する部分を通して、ティース66Dに戻しやすくできる。したがって、ティース66Dとロータコア20との間を流れる磁束B48bの流れを、ティース66Aとロータコア20との間を流れる磁束B48aの流れと同様にしやすい。そのため、ティース66Aとロータコア20との間に働く磁力の変動幅とティース66Dとロータコア20との間に働く磁力の変動幅とがずれることを抑制でき、各ティース63とロータコア20との間で働く磁力にバラつきが生じることを抑制できる。これにより、トルクリップルを低減できる。
【0069】
また、本実施形態によれば、第1フラックスバリア部51dと第2フラックスバリア部52bとの周方向の間に第3フラックスバリア部53bが設けられている。また、第2マグネット42の周方向中心が或る1つのティース66Aの周方向中心と同じ周方向位置に配置された或る状態において、第3フラックスバリア部53bは、他の1つのティース66Eの径方向内側に位置する。そのため、上述したティース66Dとロータコア20との間を流れる磁束B48bと同様に、ティース66Eとロータコア20との間で流れる磁束の流れを、ティース66Aとロータコア20との間で流れる磁束B48aと同様にしやすい。これにより、各ティース63とロータコア20との間で働く磁力にバラつきが生じることをより抑制できる。したがって、周方向において磁束の流れのバラつきをより低減でき、トルクリップルをより低減できる。
【0070】
また、例えば、ロータ10とステータ60との間に流れる磁束が
図4に示すような48次成分の磁束B48を含む場合、ロータ10とステータ60との間に流れる磁束は、例えば、
図5に示すような24次成分の磁束B24も含む。磁束B24は、例えば、ロータコア20を介して、磁極部70の周方向中心の径方向外側に位置するティース66Aとティース66Aの周方向に隣り合うティース66B,66Cとの間で流れる。
図5では、磁束B24は、例えば、ティース66Aからロータコア20を通ってティース66Bに流れている。このような24次成分の磁束B24は、周方向においてティース66Aの2つ隣に配置されたティース66D,66Eには流れにくい。
【0071】
ここで、本実施形態によれば、或る状態において、第3フラックスバリア部53a,53bの径方向外側に位置するティース66D,66Eは、周方向において、ティース66Aの2つ隣に配置されたティース63である。そのため、或る状態において、ティース66D,66Eとロータコア20のうちティース66D,66Eの径方向内側に位置する部分とには、24次成分の磁束B24が流れにくい。これにより、第3フラックスバリア部53a,53bが設けられていても、24次成分の磁束B24の流れが阻害されにくい。したがって、第3フラックスバリア部53a,53bが設けられていても、24次成分の磁束B24に起因するトルクリップルが増大することを抑制できる。このように、本実施形態によれば、上述したように第3フラックスバリア部53a,53bによって48次成分の磁束B48に起因するトルクリップルを低減できる一方で、24次成分の磁束B24に起因するトルクリップルが増大することを抑制できる。したがって、より好適にトルクリップルを低減できる。
【0072】
また、本実施形態によれば、或る状態において、或る1つのティース66Aと他の1つのティース66D,66Eとの周方向の間に隣り合って配置されたティース66B,66Cの少なくとも一部は、第2マグネット42の径方向外側に位置する。或る状態においてティース66B,66Cの少なくとも一部が第2マグネット42の径方向外側に位置することで、第2マグネット42の磁束によって、24次成分の磁束B24がティース66Aからティース66B,66Cへと好適に流れやすくできる。そのため、24次成分の磁束B24が、ティース66Aの2つ隣に配置されたティース66D,66Eへとより流れにくくなる。これにより、或る状態において、24次成分の磁束B24が、ロータコア20のうち、ティース66D,66Eの径方向内側に位置する部分に、より流れにくくなる。したがって、第3フラックスバリア部53a,53bを設けても、24次成分の磁束B24の流れがより阻害されにくくできる。そのため、第3フラックスバリア部53a,53bを設けても、24次成分の磁束B24に起因するトルクリップルが増大することをより好適に抑制できる。
【0073】
また、本実施形態によれば、或る状態において、第1マグネット41aを挟んで配置された一対の第1フラックスバリア部51a,51bのうち径方向外側に位置する第1フラックスバリア部51bは、他の1つのティース66Dのうち第2マグネット42の周方向中心から遠い側(+θ側)の部分の径方向内側に位置する。そのため、ティース66Dから放出される48次成分の磁束B48は、第1フラックスバリア部51bによって遮られて、ティース66Dのうち第2マグネット42の周方向中心から遠い側の部分には戻りにくい。これにより、ティース66Dから放出される48次成分の磁束B48は、
図4に示す磁束B48bのように、ティース66Dのうち第2マグネット42の周方向中心に近い側(-θ側)の部分に戻りやすい。
【0074】
ここで、本実施形態では、或る状態において、第3フラックスバリア部53aは、ティース66Dのうち第2マグネット42の周方向中心に近い側(-θ側)の部分の径方向内側に位置する。そのため、ティース66Dから放出されてティース66Dのうち第2マグネット42の周方向中心に近い側(-θ側)の部分に戻る磁束B48bがロータコア20の内部を径方向内側に大きく回ることを、第3フラックスバリア部53aによって好適に抑制できる。これにより、ティース66Dとロータコア20との間に流れる磁束B48bを第3フラックスバリア部53aによって好適に整流できる。したがって、トルクリップルをより好適に低減できる。
【0075】
また、例えば、ロータコア20とステータ60との間を流れる48次成分の磁束B48は、例えば、
図4に示す磁束B48cも含む。磁束B48cは、ティース66Dからロータコア20を通って、ティース66Dに隣り合うティース66Fへと流れる磁束である。磁束B48cは、例えば、ティース66Dからロータコア20内に放出された後、ティース66Fのアンブレラ部63bにおける周方向他方側(-θ側)の端部に流れる。このような磁束B48cが多く流れると、48次成分の磁束B48の周方向バランスが崩れて、トルクリップルが大きくなりやすい。
【0076】
これに対して、本実施形態によれば、ロータコア20は、凹部22aを有する。或る状態において、凹部22aは、他の1つのティース66Dの周方向中心よりも第2マグネット42の周方向中心から周方向に離れる側(+θ側)に配置される。そのため、凹部22aによって、磁束B48cが流れる経路を狭くしやすい。これにより、磁束B48cが多く流れることを抑制でき、48次成分の磁束B48の周方向バランスが崩れることを抑制できる。したがって、トルクリップルをより低減できる。
【0077】
また、本実施形態によれば、或る状態において、凹部22aの少なくとも一部は、他の1つのティース66Dの径方向内側に位置する。そのため、凹部22aによって、ティース66Dから放出された磁束B48cが流れる経路を好適に狭くしやすい。これにより、磁束B48cが多く流れることをより抑制できる。したがって、トルクリップルをより低減できる。
【0078】
また、本実施形態によれば、凹部22aは、一対の第1フラックスバリア部51a,51bのうち径方向外側に位置する第1フラックスバリア部51bの径方向外側に位置する。そのため、凹部22aと第1フラックスバリア部51bとの径方向の間を好適に狭くできる。これにより、ティース66Dから放出された磁束B48cが流れる経路をより好適に狭くしやすい。したがって、磁束B48cが多く流れることをより抑制できる。そのため、トルクリップルをより低減できる。
【0079】
上述した凹部22aが設けられることによって得られる効果は、凹部22bによっても同様に得られる。本実施形態では、一対の凹部22a,22bが設けられることで、より好適にトルクリップルを低減できる。
【0080】
また、本実施形態によれば、第3フラックスバリア部53a,53bの周方向の寸法Wは、0.6mm以上、2.1mm以下である。第3フラックスバリア部53a,53bの周方向の寸法Wをこの範囲の数値とすることで、第3フラックスバリア部53a,53bによって、48次成分の磁束B48bを好適に整流できる。そのため、ティース66D,66Eとロータコア20との間で流れる磁束B48bの流れを、ティース66Aとロータコア20との間で流れる磁束B48aの流れと、より好適に同様にしやすい。これにより、周方向において磁束の流れのバラつきをより好適に低減でき、トルクリップルをより好適に低減できる。
【0081】
また、本実施形態によれば、回転電機1は、三相交流式の回転電機であって、極数をNとしたとき、スロット数がN×6となる。このような回転電機1においては、ロータ10とステータ60との間を流れる磁束が、上述した24次成分の磁束B24のようなN×3次の磁束成分、上述した48次成分の磁束B48のようなN×6次の磁束成分を含む。例えば、N=10の場合、すなわち回転電機1が10極60スロットの回転電機である場合、ロータ10とステータ60との間を流れる磁束は、10×3次、すなわち30次の磁束成分と、10×6次、すなわち60次の磁束成分を含む。このような場合、第3フラックスバリア部53a,53bを設けることで上述した48次成分の磁束B48の場合と同様にN×6次の磁束成分に起因するトルクリップルを低減でき、かつ、上述した24次成分の磁束B24の場合と同様にN×3次の磁束成分に起因するトルクリップルが増大することを抑制できる。そのため、第3フラックスバリア部53a,53bを設けることで、極数がNでスロット数がN×6の回転電機1において、上述したトルクリップルを低減できる効果を好適に得やすい。
【0082】
また、本実施形態によれば、コイル65は、分布巻き、かつ、全節巻きされている。このようにコイル65が巻かれた回転電機1においては、ロータ10とステータ60との間を流れる磁束が、上述した24次成分の磁束B24のようなN×3次の磁束成分、上述した48次成分の磁束B48のようなN×6次の磁束成分を含む。このような場合、第3フラックスバリア部53a,53bを設けることでN×6次の磁束成分に起因するトルクリップルを低減でき、かつ、N×3次の磁束成分に起因するトルクリップルが増大することを抑制できる。そのため、第3フラックスバリア部53a,53bを設けることで、極数がNでスロット数がN×6の回転電機1において、上述したトルクリップルを低減できる効果を好適に得やすい。
【0083】
本発明は上述の実施形態に限られず、本発明の技術的思想の範囲内において、他の構成を採用することもできる。上述した実施形態では、第3フラックスバリア部は、一対の第1マグネットの一方を挟んで配置された一対の第1フラックスバリア部のうち径方向外側に位置する第1フラックスバリア部と一対の第2フラックスバリア部の一方との周方向の間、および一対の第1マグネットの他方を挟んで配置された一対の第1フラックスバリア部のうち径方向外側に位置する第1フラックスバリア部と一対の第2フラックスバリア部の他方との周方向の間の両方に設けられている構成としたが、これに限られない。第3フラックスバリア部は、一対の第1マグネットの一方を挟んで配置された一対の第1フラックスバリア部のうち径方向外側に位置する第1フラックスバリア部と一対の第2フラックスバリア部の一方との周方向の間、および一対の第1マグネットの他方を挟んで配置された一対の第1フラックスバリア部のうち径方向外側に位置する第1フラックスバリア部と一対の第2フラックスバリア部の他方との周方向の間の少なくとも一方に配置されていればよい。つまり、上述した実施形態において、各磁極部70は、一対の第3フラックスバリア部53a,53bのうちいずれか一方のみを含む構成であってもよい。
【0084】
第3フラックスバリア部の形状は、特に限定されない。第3フラックスバリア部は、例えば、軸方向に見て、楕円形状であってもよいし、多角形状であってもよい。第3フラックスバリア部が穴によって構成される場合、穴は底部を有する穴であってもよい。第3フラックスバリア部は、ロータコアに設けられた穴内に樹脂等の非磁性体が配置されて構成されてもよい。第3フラックスバリア部が複数設けられる場合、複数の第3フラックスバリア部は、互いに形状が異なる第3フラックスバリア部を含んでもよい。第3フラックスバリア部が第1フラックスバリア部と第2フラックスバリア部との周方向の間に位置するならば、第3フラックスバリア部の径方向位置は特に限定されない。
【0085】
第3フラックスバリア部は、1つの第1フラックスバリア部と1つの第2フラックスバリア部との間に複数設けられていてもよい。例えば、上述した実施形態では、第1フラックスバリア部51bと第2フラックスバリア部52aとの周方向の間に、第3フラックスバリア部53aが複数設けられていてもよい。この場合、複数の第3フラックスバリア部53aは、径方向に並んで配置されてもよいし、周方向に並んで配置されてもよい。
【0086】
第2マグネットの周方向中心が或る1つのティースの周方向中心と同じ周方向位置に配置された或る状態において、第3フラックスバリア部は、或る1つのティースと異なる他の1つのティースであれば、いずれのティースの径方向内側に位置してもよい。或る状態において、第3フラックスバリア部は、周方向において或る1つのティースの1つ隣に配置されたティースの径方向内側に位置してもよいし、周方向において或る1つのティースの3つ以上隣に配置されたティースの径方向内側に位置してもよい。第3フラックスバリア部は、他の1つのティースにおけるいずれの部分の径方向内側に位置してもよい。
【0087】
ロータコアに設けられた凹部の形状は、特に限定されない。凹部の数は、特に限定されない。例えば、上述した実施形態の各磁極部70において、凹部22a,22bはいずれか一方のみが設けられていてもよいし、凹部22a,22bは3つ以上設けられていてもよい。凹部は、設けられていなくてもよい。
【0088】
本発明が適用される回転電機は、モータに限られず、発電機であってもよい。この場合、回転電機は、三相交流式の発電機であってもよい。回転電機の用途は、特に限定されない。回転電機は、例えば、車両に搭載されてもよいし、車両以外の機器に搭載されてもよい。回転電機の極数およびスロット数は、特に限定されない。回転電機においてコイルはどのような巻き方で構成されていてもよい。以上、本明細書において説明した構成は、相互に矛盾しない範囲内において、適宜組み合わせることができる。
【実施例】
【0089】
実施例1から実施例4と比較例とを用いてシミュレーションを行うことにより、本発明の有用性を検証した。実施例1から実施例4は、上述した実施形態の回転電機1と同様の構成とした。実施例1から実施例4において、第3フラックスバリア部を挟んで配置された第1フラックスバリア部と第2フラックスバリア部との間の周方向の距離L1は、5.81mmとした。実施例1から実施例4において、ロータコアの半径rは、59.2mmとした。
【0090】
実施例1において、ロータコアの外周面から第3フラックスバリア部の中心までの径方向の距離L3は、2.2mmとした。実施例2において、距離L3は、2.6mmとした。実施例3において、距離L3は、3.0mmとした。実施例4において、距離L3は、3.4mmとした。
【0091】
実施例1において、第3フラックスバリア部の中心の周方向位置は、当該第3フラックスバリア部が設けられる磁極部と当該磁極部の周方向に隣り合う磁極部との間の周方向中心に対する周方向角度が9.2°となる位置とした。以下、当該第3フラックスバリア部が設けられる磁極部と当該磁極部の周方向に隣り合う磁極部との間の周方向中心を「磁極部同士の間の周方向中心」と呼ぶ。実施例2において、第3フラックスバリア部の中心の周方向位置は、磁極部同士の間の周方向中心に対する周方向角度が9.0°となる位置とした。実施例3において、第3フラックスバリア部の中心の周方向位置は、磁極部同士の間の周方向中心に対する周方向角度が8.8°となる位置とした。実施例4において、第3フラックスバリア部の中心の周方向位置は、磁極部同士の間の周方向中心に対する周方向角度が8.6°となる位置とした。比較例は、実施例1から実施例4に対して第3フラックスバリア部が設けられていない点のみが異なる構成とした。
【0092】
実施例1から実施例4および比較例のそれぞれにおいて、48次のトルクリップルをシミュレーションにより求めた。48次のトルクリップルとは、48次成分の磁束に起因して生じるトルクリップルである。実施例1から実施例4については、第3フラックスバリア部の周方向の寸法Wを変化させた際のそれぞれにおいて、48次のトルクリップルを求めた。これらのシミュレーション結果を、
図6に示す。
図6では、実施例1の結果を実線TR1で示し、実施例2の結果を破線TR2で示し、実施例3の結果を一点鎖線TR3で示し、実施例4の結果を二点鎖線TR4で示している。
【0093】
図6において、横軸は第3フラックスバリア部の周方向の寸法W[mm]を示し、縦軸は比較例において得られた48次のトルクリップルに対する各実施例において得られた48次のトルクリップルの比TRを示す。比TRが1.0よりも小さい場合、各実施例において得られた48次のトルクリップルが、比較例において得られた48次のトルクリップルより小さいことを示す。比較例には第3フラックスバリア部が設けられていないため、比較例において得られた48次のトルクリップルは、第3フラックスバリア部の周方向の寸法Wによらず一定である。
【0094】
図6において実線TR1で示すように、実施例1において、寸法Wが0.6mm以上、1.5mm以下の範囲でトルクリップルの比TRを1.0よりも小さくできることが確かめられた。
図6において破線TR2で示すように、実施例2において、寸法Wが0.6mm以上、2.0mm以下の範囲でトルクリップルの比TRを1.0よりも小さくできることが確かめられた。
図6において一点鎖線TR3で示すように、実施例3において、寸法Wが0.6mm以上、2.2mm以下の範囲でトルクリップルの比TRを1.0よりも小さくできることが確かめられた。
図6において二点鎖線TR4で示すように、実施例4において、寸法Wが0.8mm以上、2.4mm以下の範囲でトルクリップルの比TRを1.0よりも小さくできることが確かめられた。これにより、第3フラックスバリア部を設けることで、トルクリップルを低減できることが確かめられた。
【0095】
また、実施例1から実施例4のそれぞれにおいて、トルクリップルの比TRが極小値を持つことが確かめられた。これにより、第3フラックスバリア部の周方向の寸法Wによってトルクリップルが極小値を持つことが確かめられた。したがって、第3フラックスバリア部の周方向の寸法Wを、トルクリップルが極小値となる値、またはその値に近い値にすることで、より好適にトルクリップルを低減できることが確かめられた。
【0096】
実施例1では、例えば、第3フラックスバリア部の周方向の寸法Wが約0.9mmの場合に、トルクリップルの比TRが極小値となる。実施例1では、第3フラックスバリア部の周方向の寸法Wを、比TRが極小値となる0.9mmを挟んだ0.6mm以上、1.1mm以下の範囲内とすることで、トルクリップルを好適に低減できることが確かめられた。実施例1において第3フラックスバリア部の周方向の寸法Wが0.6mm以上、1.1mm以下の範囲内では、トルクリップルの比TRは、0.5以下となっている。つまり、実施例1において第3フラックスバリア部の周方向の寸法Wが0.6mm以上、1.1mm以下の範囲内では、比較例に比べてトルクリップルを半分以下に好適に低減できることが確かめられた。
【0097】
実施例2では、例えば、第3フラックスバリア部の周方向の寸法Wが約1.35mmの場合に、トルクリップルの比TRが極小値となる。実施例2では、第3フラックスバリア部の周方向の寸法Wを、比TRが極小値となる約1.35mmを挟んだ1.0mm以上、1.7mm以下の範囲内とすることで、トルクリップルを好適に低減できることが確かめられた。実施例2において第3フラックスバリア部の周方向の寸法Wが1.0mm以上、1.7mm以下の範囲内では、トルクリップルの比TRは、0.5以下となっている。つまり、実施例2において第3フラックスバリア部の周方向の寸法Wが1.0mm以上、1.7mm以下の範囲内では、比較例に比べてトルクリップルを半分以下に好適に低減できることが確かめられた。
【0098】
実施例3では、例えば、第3フラックスバリア部の周方向の寸法Wが約1.55mmの場合に、トルクリップルの比TRが極小値となる。実施例3では、第3フラックスバリア部の周方向の寸法Wを、比TRが極小値となる約1.55mmを挟んだ1.2mm以上、1.8mm以下の範囲内とすることで、トルクリップルを好適に低減できることが確かめられた。実施例3において第3フラックスバリア部の周方向の寸法Wが1.2mm以上、1.8mm以下の範囲内では、トルクリップルの比TRは、0.5以下となっている。つまり、実施例3において第3フラックスバリア部の周方向の寸法Wが1.2mm以上、1.8mm以下の範囲内では、比較例に比べてトルクリップルを半分以下に好適に低減できることが確かめられた。
【0099】
実施例4では、例えば、第3フラックスバリア部の周方向の寸法Wが約1.8mmの場合に、トルクリップルの比TRが極小値となる。実施例4では、第3フラックスバリア部の周方向の寸法Wを、比TRが極小値となる約1.8mmを挟んだ1.4mm以上、2.1mm以下の範囲内とすることで、トルクリップルを好適に低減できることが確かめられた。実施例4において第3フラックスバリア部の周方向の寸法Wが1.4mm以上、2.1mm以下の範囲内では、トルクリップルの比TRは、0.5以下となっている。つまり、実施例4において第3フラックスバリア部の周方向の寸法Wが1.4mm以上、2.1mm以下の範囲内では、比較例に比べてトルクリップルを半分以下に好適に低減できることが確かめられた。実施例4におけるトルクリップルの比TRの極小値は、実施例1から実施例3におけるトルクリップルの比TRの極小値よりも小さい。
【0100】
実施例1から実施例4の結果から、第3フラックスバリア部の周方向の寸法Wが、0.6mm以上、2.1mm以下程度の範囲内においては、第3フラックスバリア部の中心の径方向位置を調整することで、トルクリップルを好適に低減しやすいことが確かめられた。第3フラックスバリア部の周方向の寸法Wが0.6mm以上、2.1mm以下の場合、ロータコアの半径rに対する第3フラックスバリア部の周方向の寸法Wの比は、0.010以上、0.035以下である。第3フラックスバリア部の周方向の寸法Wが0.6mm以上、2.1mm以下の場合、第1フラックスバリア部と第2フラックスバリア部との間の周方向の距離L1に対する第3フラックスバリア部の周方向の寸法Wの比は、0.10以上、0.36以下である。これらより、各値に対する寸法Wの比を、これらの範囲とすることで、トルクリップルを好適に低減できることが確かめられた。
【0101】
実施例1から実施例4の結果から、トルクリップルの比TRが極小値を取る場合の第3フラックスバリア部の周方向の寸法Wは、ロータコアの外周面から第3フラックスバリア部の中心までの径方向の距離L3が大きくなるに従って、大きくなることが確かめられた。つまり、距離L3を調整することで、トルクリップルを好適に低減できる第3フラックスバリア部の周方向の寸法Wの範囲を調整できることが確かめられた。
【0102】
実施例2、実施例3、および実施例4においては、第3フラックスバリア部の周方向の寸法Wが、1.38mm以上、1.7mm以下の場合に、トルクリップルの比TRが0.5以下となることが確かめられた。実施例2、実施例3、および実施例4においては、ロータコアの外周面から第3フラックスバリア部の中心までの径方向の距離L3は、2.6mm以上、3.4mm以下である。つまり、ロータコアの外周面から第3フラックスバリア部の中心までの径方向の距離L3が2.6mm以上、3.4mm以下で、かつ、第3フラックスバリア部の周方向の寸法Wが1.38mm以上、1.7mm以下の場合に、好適にトルクリップルを低減できることが確かめられた。以上により、本発明の有用性が確かめられた。
【符号の説明】
【0103】
1…回転電機、10…ロータ、20…ロータコア、22a,22b…凹部、30…収容穴、40…マグネット、41a,41b…第1マグネット、42…第2マグネット、51a,51b,51c,51d…第1フラックスバリア部、52a,52b…第2フラックスバリア部、53a,53b…第3フラックスバリア部、60…ステータ、61…ステータコア、62…コアバック、63,66A,66B,66C,66D,66E,66F…ティース、65…コイル、J…中心軸