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特許7484478電子部品の検査装置及び電子部品の検査方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-08
(45)【発行日】2024-05-16
(54)【発明の名称】電子部品の検査装置及び電子部品の検査方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/95 20060101AFI20240509BHJP
【FI】
G01N21/95 Z
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020105843
(22)【出願日】2020-06-19
(65)【公開番号】P2022000617
(43)【公開日】2022-01-04
【審査請求日】2023-06-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000107804
【氏名又は名称】スミダコーポレーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137589
【弁理士】
【氏名又は名称】右田 俊介
(72)【発明者】
【氏名】玄馬 大地
(72)【発明者】
【氏名】森田 淳司
【審査官】横尾 雅一
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-160057(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第00425722(EP,A1)
【文献】特開2006-093248(JP,A)
【文献】特開2010-239086(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/84 - G01N 21/958
G01B 11/00 - G01B 11/30
H05K 3/30
H05K 13/00 - H05K 13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品本体と端子とを有する電子部品が保持される保持部と、
前記保持部に保持されている前記電子部品の少なくとも前記端子に対し、前記電子部品の実装面と反対の側の背面から光を照射する光照射部と、
前記光照射部によって光が照射されている前記電子部品を、前記実装面の側から撮像する撮像部と、
前記撮像部によって撮像された前記電子部品の画像に基づいて、前記電子部品の検査に係る処理を制御する制御部と、を備え
前記光照射部は、前記電子部品に照射光を照射する光源と、当該光源により照射された照射光を前記背面の側から反射する反射部と、を含み、
前記電子部品の端子は、前記部品本体から延出するリード端子であって、
前記リード端子の一部と前記部品本体の一部が互いに離間して、かつ重なり合う重なり領域を有し、
前記反射部は、前記部品本体と前記リード端子との重なり領域に挿入される反射板である、電子部品の検査装置。
【請求項2】
前記反射板が前記実装面に対して傾く角度を変更する角度変更部をさらに備え、前記角度変更部は、前記電子部品の撮像時の前記反射板の前記実装面に対する角度が、前記電子部品を移動させる時の前記角度より大きくなるように変更する、請求項に記載の電子部品の検査装置。
【請求項3】
前記反射板を前記電子部品に近づける、または遠ざける反射板移動部をさらに備え、前記反射板移動部は、前記反射板を、前記電子部品の撮像時よりも前記電子部品を移動させる時に前記電子部品から遠ざかるように移動する、請求項に記載の電子部品の検査装置。
【請求項4】
前記反射部は、前記実装面の側から見て前記電子部品と重ならない範囲に固定される、請求項1から3のいずれか一項に記載の電子部品の検査装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記電子部品の画像に基づいて少なくとも前記端子の輪郭形状を検出し、検出された前記輪郭形状により検査対象となる被検査点を設定する、請求項1からのいずれか一項に記載の電子部品の検査装置。
【請求項6】
部品本体と前記部品本体から延出するリード端子とを有する電子部品の少なくとも前記リード端子に対し、前記電子部品の実装面と反対の側の背面から光を照射する光照射工程と、
前記光が照射されている前記電子部品を、前記実装面の側から撮像する撮像工程と、
撮像された前記電子部品の画像に基づいて、前記電子部品の検査に係る処理を制御する制御工程と、を含み、
前記リード端子の一部と前記部品本体の一部とが互いに離間して、かつ前記実装面の側から見て互いに重なり合う重なり領域が形成されており、
前記光照射工程で、前記部品本体と前記リード端子との重なり領域のうち部品本体と端子との間の高さに反射板を挿入し、前記電子部品に照射光を照射する光源により照射された前記照射光を前記反射板により前記背面の側から反射させて反射光とし、前記反射光を前記背面から前記リード端子に対して照射する、電子部品の検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品の検査装置及び電子部品の検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子部品の製造現場において、製造された電子部品を出荷前に検査することが行われている。電子部品を検査する装置の公知例としては、例えば、特許文献1に記載の外観検査装置がある。特許文献1には、2次元画像用照明と、2次元画像用照明により照らされた対象物の二次元画像を撮像するカメラと、対象物にレーザ光を照射するレーザ投光部と、対象物からの反射レーザを受光して対象物の高さ変位量を検出するレーザースポット受光位置検出素子とを一体的に組み合わせ、二次元画像と三次元の高さ情報とを一度に取得することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平10-288508号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、電子部品の検査には、実装不良の検査がある。実装不良の判定には、電子部品を実装した場合の傾き(平坦度)が使われる。電子部品の平坦度を検出するには、電子部品の本体から延出する端子の高さを測定することが行われる。このとき、端子の高さをより高い精度で測定することにより、実装不良の判定の精度を高めることができる。
端子の高さは、端子をカメラで撮像し、撮像によって得られる画像に基づいて行われる。このため、端子高さの検出にあたり、特許文献1に記載の外観検査装置を適用し、二次元画像を見ながら高さ情報像を得ることが考えられる。
しかしながら、電子部品の本体の下面から延出する端子高さを検出する場合においては、鮮明な画像を得るために端子の実装面の側から光を照射すると、端子表面のエッジ部分で照射光が散乱し、画像においてエッジが不鮮明になることがある。このような場合、端子における検査対象となる位置(被検査位置)を特定することが困難になり、平坦度の判定の精度が低下する恐れがある。
本発明は、このような点に鑑みてなされたものであり、電子部品の端子上の被検査位置を正確に特定することができる電子部品の検査装置及び検査方法に関する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の電子部品の検査装置は、部品本体と端子とを有する電子部品が保持される保持部と、前記保持部に保持されている前記電子部品の少なくとも前記端子に対し、前記電子部品の実装面と反対の側の背面から光を照射する光照射部と、前記光照射部によって光が照射されている前記電子部品を、前記実装面の側から撮像する撮像部と、前記撮像部によって撮像された前記電子部品の画像に基づいて、前記電子部品の検査に係る処理を制御する制御部と、を備え、前記光照射部は、前記電子部品に照射光を照射する光源と、当該光源により照射された照射光を前記背面の側から反射する反射部と、を含み、前記電子部品の端子は、前記部品本体から延出するリード端子であって、前記リード端子の一部と前記部品本体の一部が互いに離間して、かつ重なり合う重なり領域を有し、前記反射部は、前記部品本体と前記リード端子との重なり領域に挿入される反射板である。
【0006】
本発明の電子部品の検査方法は、部品本体と前記部品本体から延出するリード端子とを有する電子部品の少なくとも前記リード端子に対し、前記電子部品の実装面と反対の側の背面から光を照射する光照射工程と、前記光が照射されている前記電子部品を、前記実装面の側から撮像する撮像工程と、撮像された前記電子部品の画像に基づいて、前記電子部品の検査に係る処理を制御する制御工程と、を含み、前記リード端子の一部と前記部品本体の一部とが互いに離間して、かつ前記実装面の側から見て互いに重なり合う重なり領域が形成されており、前記光照射工程で、前記部品本体と前記リード端子との重なり領域のうち部品本体と端子との間の高さに反射板を挿入し、前記電子部品に照射光を照射する光源により照射された前記照射光を前記反射板により前記背面の側から反射させて反射光とし、前記反射光を前記背面から前記リード端子に対して照射する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の電子部品の検査装置及び電子部品の検査方法は、電子部品の端子上の被検査位置を正確に特定することができる電子部品の検査装置及び検査方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の電子部品の検査装置の検査対象となる電子部品を示す斜視図である。
図2】(a)は図1に示す電子部品の下面図、(b)は上面図である。
図3】第一実施形態の電子部品の検査装置の上面図である。
図4】第一実施形態の電子部品の検査装置を説明するための模式図である。
図5】撮像された端子の画像を説明するための模式図である。
図6】第二実施形態の電子部品の検査装置を説明するための図であって、(a)は電子部品の移動時の反射板を示し、(b)は電子部品の撮像時の反射板を示している。
図7】第二実施形態の変形例1を説明するための図であって、(a)は撮像中の反射板の位置を示し、(b)は撮影終了後に撮像領域から遠ざかった反射板の位置を示している。
図8】第二実施形態の変形例2の電子部品の検査装置を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[概要]
本発明の実施形態の説明に先立って、本発明の第一実施形態、第二実施形態(以下、両者を総称して「本実施形態」とも記す)の概要について説明する。図1は、本実施形態の電子部品検査装置の検査対象となる電子部品1を示す斜視図であって、電子部品1を実装面を向く側の面から見た図である。なお、本明細書でいう「実装面」は、電子部品1が実装されることを想定した仮想的な実装面である。
図2(a)、図2(b)は、電子部品1の上面及び下面(以下、「端子面」とも記す)を示す図であって、図2(a)は電子部品1の下面図、図2(b)は電子部品1の上面図である。電子部品1は、部品本体10と、端子11、12と、によって構成されている。なお、部品本体10から延出する端子111、122は、からげ端子である。
【0010】
部品本体10は、外周にコイル15が巻回される巻回部(図示せず)を有するボビン(図示せず)と、ボビンを収容するベース部16と、端子11、12を収容して一部露出させる外脚部17と、を有している。端子11、12は、いずれもコイル15の巻線端部(図示せず)が接続されて図示しない実装基板に実装される実装端子である。複数の端子11、12は、並列してベース部16に保持されている。
本発明では、電子部品1を実装した場合に実装面の反対側の面を「背面」と記す。つまり、本実施形態でいう背面は、実装面を基準にして定められる。背面は、電子部品1の上面の側と同一である。
【0011】
端子11、12は、部品本体10から互いに反対の方向に向かって延出するリード端子である。本実施形態では、便宜上ベース部16の図中左方に向かって延出する端子を端子11、右方に向かって延出する端子を端子12と記す。ただし、本実施形態は、リード端子を検査することに限定されず、部品本体10と端子11、12の一部とが重なる重なり領域を有する電子部品であればどのような電子部品にも適用することができる。
【0012】
(第一実施形態)
第一実施形態の電子部品検査装置では、電子部品1に対して背面から光を照射し、背面の画像を撮像する。そして、撮像した二次元の画像から端子11、12上の輪郭形状を検出し、輪郭から判定される端子11、12のエッジを基準にして端子11、12上の位置(座標)を検出する。そして、検出された位置に予め設定されている被検査点を対応つける処理を実行する。
上記処理において、端子11、12の背面に照射された照射光は、部品本体10に遮られて端子11、12に届かない場合がある。第一実施形態は、この点を解消するため、端子11、12と部品本体10とが重なる領域に反射板を挿入し、照射光を反射させて端子11、12のエッジ部分が鮮明な画像(以下、「逆光画像」と記す)を撮像するものである。
【0013】
[電子部品の検査装置]
以下、本発明の第一実施形態を図面を使って説明する。図面は、第一実施形態の検査装置の構成、配置、機能を説明するために電子部品の検査装置の一例を示すものであり、その具体的な形状等を限定するものではない。図面において同一の部材には同一の符号を付し、その説明を一部略す場合がある。
図3は、第一実施形態の電子部品の検査装置(以下、単に「検査装置」とも記す)を説明するための図であって、検査装置100の上面図である。検査装置100には保持部20があって、保持部20は電子部品1を保持して固定している。図3は、検査装置100を電子部品1の実装面の側から見た図である。
【0014】
第一実施形態の検査装置100は、電子部品1が撮像される撮像領域Aを挟むように設けられる一対の反射板21、22を備えている。撮像領域Aは、図4に示すカメラ25によって撮像される領域である。電子部品1は、撮像される際に端子面が撮像領域Aの範囲と一致するように保持、固定される。反射板21、22は、撮像領域Aの左右に一つずつ配置されていて、各々が部品本体10と端子11または端子12とが重なる領域に差し込まれるように配置されている。反射板21、22は、電子部品1が実装される際の仮想的な実装面に対して先端がわずかに下がり方向に傾いている。反射板の傾きに関しては、図4等により後述する。
【0015】
なお、反射板21、22には長孔102が形成されていて、長孔102に挿通されるボルト101によって図示しない基台に固定されている。電子部品1は、撮像領域Aにロボットアーム等により載置されるものであってもよいし、ベルトコンベア等によって順次撮像領域Aに移動して、撮像終了後に撮像領域Aから離れるものであってもよい。
保持部20は、端子11、12を中空で保持し、端子11、12よりも下方から照射される照射光が電子部品1の少なくとも端子11、12に照射される。
【0016】
図4は、第一実施形態の検査装置を説明するための模式図である。図4に示すように、検査装置は、端子11、12を有する電子部品1を所定の位置に保持する保持部20と、保持部20に保持されている電子部品1の少なくとも端子11、12に対し、背面から反射光Lrを照射する光照射部と、を備えている。第一実施形態では、光照射部が光源31、32及び反射板21、22によって構成されている。光源31、32から照射された照射光Lのうちの一部は、反射板21、22によって反射され、背面から端子11、12に反射光Lrとして照射される。
また、図4に示す構成は、光源31、32及び反射板21、22によって照射光L及び反射光Lrが照射されている状態の電子部品1を撮像する撮像部であるカメラ25と、カメラ25によって撮像された電子部品1の画像に基づいて、電子部品1の検査に係る処理を制御する制御部5と、を備えている。反射光Lrは、カメラ25から見た場合、端子11、12を撮像するにあたっての逆光となる。
【0017】
なお、図4に示す例では、光源31、32及びカメラ25を電子部品1の下側に配置しているが、第一実施形態はこのような構成に限定されるものではない。第一実施形態は、電子部品1の端子面を上に向け、光源31、32及びカメラ25を電子部品1の上に設けて端子面を撮像するものであってもよい。
【0018】
第一実施形態では、照射光Lを電子部品1の端子面に照射することによって端子面が明るくなり、端子11、12の鮮明な画像を得ることができる。ただし、このような場合、端子のエッジ部分では光の散乱が起きてエッジの輪郭が画像から判別し難くなることがある。また、照射光Lが部品本体10によって遮られて端子11、12と部品本体10とが重なる領域が画像から視認し難くなることがある。本発明の発明者らは、端子11、12上の複数の点の高さを測定することを想定していて、端子11、12の高さの測定位置決めの十分な精度が得られない恐れがある。
【0019】
上記の点を解消するため、第一実施形態では、前述のように、光照射部を、電子部品に照射光Lを照射する光源31、32と、この光源31、32により照射された照射光Lを端子11、12に向けて反射する反射部である反射板21、22とによって構成している。光源31、32としては、例えば、ランプやLED(Light Emitting Diode)等の任意の光源を用いることが可能である。反射板21、22は、光の反射率が高い部材であることが好ましく。例えば、アルミニウムやステンレス鋼といった金属であってもよい。端子11、12に向けて照射された照射光Lの一部は、反射板21、22によって反射光Lrとなり、端子11、12の背面から照射される。
【0020】
前述したように、第一実施形態では、電子部品1が部品本体10から延出するリード端子を有している。リード端子の一部と部品本体10の一部は、互いに離間して、かつ重なり合う重なり領域を有している。反射板21、22は、この重なり領域に挿入される。つまり、端子11、12は、各々部品本体10から下方に向かって突出し、さらに部品本体10の外側に向かって延出している。図4に示す例では、端子11、12の下方に向かって突出する部分と、外側に向かって延出する部分の一部とが部品本体10との重なり領域になっている。
【0021】
図4に示す例では、反射板21、22が端子11、12の下方に向かって突出する部分と、外側に向かって延出する部分の一部との間に反射板21、22がそれぞれ挿入されている。このとき、反射板21、22は、電子部品1の実装面に向かって下方に傾くように設定されている。ただし、端子11、12の角度はこのような構成に限定されず、実装面に対して略平行であってもよいし、実装面に対して上方に傾くように設定してもよい。反射板21、22の角度は、部品本体10と端子11、12との間の間隔や奥行き、さらには検査点の位置等に応じて反射光量が所望の位置において高まるように適宜決定される。
また、光源31、32は、反射板21、22に照射光があたり、端子11、12の背面の所望の位置に照射される反射光Lrの量が大きくなるように、その位置や間隔が決定される。
【0022】
カメラ25は、電子部品1の下方から端子11、12を含む範囲を撮像する。図5は、撮像された端子12の画像を説明するための模式図である。画像では、反射板22によって反射された反射光Lrが端子12の背面からから照射され、端子12の周囲が明るく、端子12自身が暗く表される。このような画像においては、端子12と背景との境界における輝度変化が大きくなり、端子12のエッジ部分が鮮明に表れる。
【0023】
制御部5は、カメラ25によって撮像された画像のデータ(画像データ)を入力する。制御部5は、電子部品1の画像に基づいて少なくとも端子11、12の輪郭形状を検出する。前述したように、カメラ25によって撮像された画像は、端子11、12と背景との輝度が大きく変化しており、端子11、12の輪郭形状を検出しやすい逆光画像になっている。第一実施形態では、制御部5によって検出された輪郭形状により検査対象となる被検査点p1~p8(図5)が設定される。
【0024】
輪郭形状の検出は、例えば、公知の画像処理のエッジ検出によって行うことができる。第一実施形態では、エッジ検出の全てを制御部5が行ってもよいし、一部が検査装置を操作する操作者によって行われるようにしてもよい。このような場合、例えば、制御部5が端子11、12のエッジを検出し、操作者に向けて表示するものであってもよい。そして、操作者が制御部5によって検出されたエッジを調整、あるいは補正するための情報を図示しない入力部により制御部5に入力するものであってもよい。
【0025】
被検査点の設定は、例えば、予め設定されている条件にしたがって制御部5が自動的に行ってもよい。このような処理は、例えば、図5に示すように、画像において端子12のエッジ上にある被検査点p0を原点とし、原点からx方向、y方向にそれぞれ所定の数離れた画素を被検査点p1~p8の候補に設定するものであってもよい。また、制御部5は、設定された被検査点p1~p8の候補から予め定められた被検査点の数や配置にしたがって被検査点の候補の少なくとも一部を被検査点に決定してもよい。
また、このような処理においても、一部を操作者が行うものであってもよい。操作者が行う処理としては、例えば、被検査点の微調整や選択が考えられる。
【0026】
(電子部品の検査方法)
以上説明したように、第一実施形態の検査装置では、部品本体10と端子11、12とを有する電子部品1の少なくとも端子11、12に対し、電子部品1の背面から反射光Lrを照射する工程と、反射光Lrが照射されている状態の電子部品を撮像する工程と、撮像された電子部品の画像に基づいて、電子部品の検査に係る処理を制御する工程と、を含んでいる。
上記のうち、電子部品1に照射光L及び反射光Lrを照射する工程は、電子部品1を保持することによって固定して行われる。電子部品1を保持部に保持させる工程は、例えば、ロボットアーム等の装置によって行うものであってもよいし、操作者が手動で行うものであってもよい。
【0027】
照射光Lの照射は、例えば、制御部5によって行ってもよいし、不図示の機械的な構成を制御する装置によって行ってもよい。ただし、照射光Lの照射を制御部5によって行うことにより、第一実施形態は、照射光Lの照射タイミングと画像データの取得タイミングとを同期させる処理を容易に行うことができる。また、照射光Lの照射は、操作者が手動でレーザ光の光源である光源31、32のスイッチをオンすることによって行ってもよい。照射光L及び反射光Lrが照射されている電子部品1を撮像する工程は、制御部5がカメラ25に対して撮像のタイミングを通知する制御信号を出力することによって行うことができる。ただし、撮像は、操作者がカメラ25を操作して行うものであってもよい。
【0028】
画像に基づく電子部品の検査に係る処理の制御は、制御部5によって行われるものであってもよいし、上記のように、一部を操作者が行うものであってもよい。電子部品の検査に係る処理は、検査位置の設定に限定されるものではない。他の処理としては、例えば、端子11、12の平面方向の形状の歪みやばらつきを検査することが考えられる。
また、第一実施形態では、以上の処理の後、続いてカメラ25から端子11、12までの距離を測定するようにしてもよい。高さの測定は、例えば、TOF(Time Of Flight)方式を使って3Dカメラにより行うことができる。被検査点の設定から高さの測定を一連の処理として行う場合、カメラ25に3Dカメラを用いることが好ましい。
そして、測定された距離を演算処理等して電子部品1を実装した場合の平坦度を検出し、電子部品1が良品であるか、不良品であるかを判定することが可能になる。
【0029】
以上説明した第一実施形態によれば、端子11、12の背面に反射光Lrが照射されるので、エッジが鮮明な逆光画像を撮像することができる。また、逆光画像に基づいて被検査点を設定しているので、被検査点の設定の精度を高めるとともに、後の平坦度検出の精度をも高めることができる。このような第一実施形態の電子部品の検査装置及び電子部品の検査方法は、電子部品の端子上の被検査位置を正確に特定することができる。
【0030】
(第二実施形態)
次に、本発明の第二実施形態を説明する。第二実施形態の検査装置は、第一実施形態の反射板21、22が先端下がりの角度に固定されていたのに対し、電子部品1の移動時と撮像時とで角度が異なる点で第一実施形態と相違する。
図6(a)、図6(b)は、第二実施形態の検査装置を説明するための図であって、いずれも電子部品1の端子11の側の一部を示す模式図である。図6(a)は、電子部品1の移動時の反射板21を示し、図6(b)は、電子部品1の撮像時の反射板21を示している。
【0031】
前述したように、カメラ25は、複数の電子部品1を連続して撮像することができる。第二実施形態の検査装置は、反射板21、22が実装面に対して傾く角度を変更する角度変更部をさらに備え、角度変更部は、撮像領域Aにおける電子部品の撮像時の反射板の実装面に対する角度が、電子部品を撮像領域Aから移動させる時の実装面に対する角度より大きくなるように変更する。
第二実施形態では、制御部5が角度変更部として機能するものとする。このようにすれば、第二実施形態は、電子部品1の移動や撮像開始に伴う反射板21、22の角度変更のタイミングを容易に判定することが可能になる。なお、電子部品1の移動や撮像領域Aに達したタイミングは、予め設定されている電子部品1の移動や撮像にかかる時間をクロック数等によってカウントして検出するものであってもよい。また、このタイミングは、撮像領域Aを挟んで例えば発光部と受光部とを有する光センサを設けておき、光センサがオフになったタイミングで電子部品1が撮像領域Aに達したことを検出するようにしてもよい。
【0032】
このようにすることにより、第二実施形態は、電子部品1の撮像が終了して移動する際に反射板21、22が部品本体10と端子11との重なり領域で占める範囲を小さくすることができて、電子部品1が移動する際に反射板21と接触することを防ぐことができる。また、撮像中には反射板21、22を部品本体10と端子11との間で傾けて、反射板21、22が端子11、12上に反射光Lrを効率的に集めることを可能にしている。
【0033】
反射板21、22の上記動作は、例えば、反射板21、22の傾きを変化させるためのステッピングモータ等の図示しない駆動部を設け、この駆動部のドライバに制御部5が駆動を指示する制御信号を出力することによって実現することができる。制御部5は、先行部品の画像データ取得後、反射板21、22の傾きを変更する駆動部に反射板21、22の傾きを小さくするように指示する制御信号を出力する。そして、後続部品が撮像領域Aに到達したことを検知し、ドライバに対して反射板21、22の傾きを大きくするように指示する制御信号を出力する。制御信号の出力後、制御部5は、カメラ25に対して撮像開始を指示すると共に、画像データを取得する。
【0034】
このような第二実施形態によれば、電子部品1の移動時に電子部品1と反射板21、22とが接触し、一連の処理が中断されることを防ぐことができる。この点は、電子部品の検査時の処理効率の低下を防ぐとともに、検査中に電子部品1の端子11、12が歪む等の可能性を低減することができる。
ただし、第二実施形態は、電子部品1の移動中に端子11、12と反射板21、22との接触を回避する構成として、上記のように反射板21、22の傾きを変更することに限定されるものではない。以下、端子11、12と反射板21、22との接触を回避する第二実施形態の変形例1、変形例2を説明する。
【0035】
(変形例1)
図7(a)、図7(b)は、第二実施形態の変形例1を説明するための図である。変形例1の検査装置は、反射板21、22を電子部品1に近づける、または遠ざける反射板移動部をさらに備え、反射板移動部は、反射板21、22を、電子部品1の撮像時よりも電子部品1を移動させる時に電子部品から遠ざかるように移動する。変形例1の検査装置では、制御部5が反射板移動部として機能する。制御部5は、電子部品1の撮像中に反射板21、22を電子部品1に近づけて、電子部品1の撮像終了後に反射板21、22が電子部品1から遠ざかるように移動させる。図7(a)は、撮像中の反射板21の位置を示し、図7(b)は、撮影終了後に電子部品1から遠ざかった反射板21の位置を示している。
【0036】
反射板21、22の上記動作は、例えば、反射板21、22を電子部品1から遠ざける、または電子部品1に近づけるためのステッピングモータ等の図示しない駆動部を設け、この駆動部のドライバに制御部5が駆動を指示する制御信号を出力することによって実現することができる。制御部5は、先行部品の画像データ取得後、反射板21、22の駆動部に反射板21、22を図7(a)に示す位置から図7(b)に示す位置まで遠ざけるように指示する制御信号を出力する。
駆動部は、制御信号にしたがって反射板21の先端の位置M0を、位置M1まで遠ざける。この結果、変形例1では、反射板21が位置M0から距離ΔM分後退することになる。
【0037】
さらに、第二実施形態は、電子部品1と反射板21、22との接触を回避するものとして、反射板21、22を駆動するものに限定されるものではない。
図8は、第二実施形態の変形例2の検査装置を説明するための図である。変形例2では、反射部である反射板21、22が、実装面の側から見て電子部品1と重ならない範囲に固定されている。図8においては、電子部品と重なる領域をI、重ならない領域をOとして示す。
【0038】
変形例2では、反射板21、22の先端が領域Oの範囲内で固定されている。このようにすれば、反射板21、22を固定しても反射板21、22は電子部品1に接触せず、電子部品の検査中に装置を停止する、あるいは電子部品1の端子11、12が損なわれるといった不具合が生じる可能性を低減することができる。
【0039】
上記実施形態は、以下の技術思想を包含するものである。
(1)部品本体と端子とを有する電子部品が保持される保持部と、前記保持部に保持されている前記電子部品の少なくとも前記端子に対し、前記電子部品の実装面と反対の側の背面から光を照射する光照射部と、前記光照射部によって光が照射されている前記電子部品を、前記実装面の側から撮像する撮像部と、前記撮像部によって撮像された前記電子部品の画像に基づいて、前記電子部品の検査に係る処理を制御する制御部と、を備える、電子部品の検査装置。
(2)前記光照射部は、前記電子部品に照射光を照射する光源と、当該光源により照射された照射光を前記背面の側から反射する反射部と、を含む、(1)の電子部品の検査装置。
(3)前記電子部品の端子は、前記部品本体から延出するリード端子であって、前記リード端子の一部と前記部品本体の一部が互いに離間して、かつ重なり合う重なり領域を有し、
前記反射部は、前記部品本体と前記リード端子との重なり領域に挿入される反射板である、(2)の電子部品の検査装置。
(4)前記反射板が前記実装面に対して傾く角度を変更する角度変更部をさらに備え、前記角度変更部は、前記電子部品の撮像時の前記反射板の前記実装面に対する角度が、前記電子部品を移動させる時の前記角度より大きくなるように変更する、(3)の電子部品の検査装置。
(5)前記反射板を前記電子部品に近づける、または遠ざける反射板移動部をさらに備え、前記反射板移動部は、前記反射板を、前記電子部品の撮像時よりも前記電子部品を移動させる時に前記電子部品から遠ざかるように移動する、(3)の電子部品の検査装置。
(6)前記反射部は、前記実装面の側から見て前記電子部品と重ならない範囲に固定される、(2)の電子部品の検査装置。
(7)前記制御部は、前記電子部品の画像に基づいて少なくとも前記端子の輪郭形状を検出し、検出された前記輪郭形状により検査対象となる被検査点を設定する、(1)から(6)のいずれか一つの電子部品の検査装置。
(8)部品本体と端子とを有する電子部品の少なくとも前記端子に対し、前記電子部品の実装面と反対の側の背面から光を照射する光照射工程と、前記光が照射されている前記電子部品を、前記実装面の側から撮像する撮像工程と、撮像された前記電子部品の画像に基づいて、前記電子部品の検査に係る処理を制御する制御工程と、を含む、電子部品の検査方法。
【符号の説明】
【0040】
1・・・電子部品
5・・・制御部
10・・・部品本体
11・・・端子
11、12・・・端子
12・・・端子
11、12・・・端子
15・・・コイル
16・・・ベース部
17・・・外脚部
21、22・・・反射板
25・・・カメラ
31、32・・・光源
100・・・載置部
101・・・ボルト
102・・・長孔
103・・・凹部
111、122・・・端子
A・・・撮像領域
I・・・領域
L・・・照射光
Lr・・・反射光
M0・・・位置
M1・・・位置
O・・・領域
p0~p8・・・被検査点
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8