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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-08
(45)【発行日】2024-05-16
(54)【発明の名称】点灯装置および照明装置
(51)【国際特許分類】
   H05B 45/00 20220101AFI20240509BHJP
   H05B 45/385 20200101ALI20240509BHJP
   H05B 45/355 20200101ALI20240509BHJP
【FI】
H05B45/00
H05B45/385
H05B45/355
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2020107285
(22)【出願日】2020-06-22
(65)【公開番号】P2022002197
(43)【公開日】2022-01-06
【審査請求日】2023-01-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】390014546
【氏名又は名称】三菱電機照明株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082175
【弁理士】
【氏名又は名称】高田 守
(74)【代理人】
【識別番号】100106150
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100148057
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 淑己
(72)【発明者】
【氏名】相場 明穂
(72)【発明者】
【氏名】平本 雄也
(72)【発明者】
【氏名】阿野 康則
【審査官】土谷 秀人
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-119151(JP,A)
【文献】特開2012-253973(JP,A)
【文献】特開2004-334476(JP,A)
【文献】特開2013-226012(JP,A)
【文献】特開2019-164921(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0076227(US,A1)
【文献】特開2007-173061(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 39/00 - 39/10
H05B 45/00 - 45/58
H05B 47/00 - 47/29
H01M 10/42 - 10/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリと、
外部電源から電力を供給され、前記バッテリを充電する常時電源回路と、
前記外部電源の停電時または疑似停電時に、前記バッテリから電力を供給され光源を点灯させる非常電源回路と、
御部と、
を備え、
前記制御部は、前記停電または前記疑似停電を検出すると、前記バッテリの温度が予め定められた低温閾値よりも低い場合に、前記バッテリの温度が前記低温閾値以上の場合よりも、前記非常電源回路から前記光源に供給される電力を低く制御し、
前記バッテリの温度が前記低温閾値よりも低い場合に前記非常電源回路から前記光源に供給される電力は、高温時の環境下での点灯条件で保証された最低光量以上となるように設定されることを特徴とする点灯装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記バッテリの温度が前記低温閾値よりも低い場合、前記非常電源回路から前記光源への電力供給の開始後の第1期間は、前記非常電源回路から前記光源に供給する電力を第1電力に制御し、前記第1期間の経過後の第2期間は前記非常電源回路から前記光源に供給する電力を前記第1電力よりも大きい第2電力に制御することを特徴とする請求項1に記載の点灯装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記非常電源回路から前記光源に供給される電力を前記第1電力に設定した状態で、前記バッテリの温度が前記低温閾値以上となると、前記非常電源回路から前記光源に供給される電力を前記第2電力に切り替えることを特徴とする請求項2に記載の点灯装置。
【請求項4】
バッテリと、
外部電源から電力を供給され、前記バッテリを充電する常時電源回路と、
前記外部電源の停電時または疑似停電時に、前記バッテリから電力を供給され光源を点灯させる非常電源回路と、
前記バッテリに発生する電圧に基づき、前記バッテリが正常状態か異常状態かを判別する制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記停電または前記疑似停電を検出すると、前記バッテリの温度が予め定められた低温閾値よりも低い場合に、前記バッテリの温度が前記低温閾値以上の場合よりも、前記非常電源回路から前記光源に供給される電力を低く制御し、
前記バッテリの温度が前記低温閾値よりも低い場合、前記非常電源回路から前記光源への電力供給の開始後の第1期間は、前記非常電源回路から前記光源に供給する電力を第1電力に制御し、前記第1期間の経過後の第2期間は前記非常電源回路から前記光源に供給する電力を前記第1電力よりも大きい第2電力に制御し、
前記非常電源回路から前記光源への電力供給の開始からの経過時間をカウントし、予め定められた前記第1期間が経過すると、前記非常電源回路から前記光源に供給される電力を前記第1電力から前記第2電力に切り替えることを特徴とする点灯装置。
【請求項5】
前記バッテリの温度が前記低温閾値よりも低い場合に前記非常電源回路から前記光源に供給される電力は、前記点灯装置の使用温度範囲で前記光源の明るさの規格を満たすように設定されることを特徴とする請求項に記載の点灯装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記バッテリが異常状態であると判別すると、前記非常電源回路を停止させることを特徴とする請求項1から5の何れか1項に記載の点灯装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記バッテリが異常状態であると判別すると、前記バッテリの異常を外部に報知することを特徴とする請求項1から6の何れか1項に記載の点灯装置。
【請求項8】
前記制御部は、
前記バッテリに発生する電圧に基づき、前記バッテリが正常状態か異常状態かを判別する電圧判別部と、
前記停電または前記疑似停電を検出する停電検出部と、
前記バッテリの温度が前記低温閾値よりも低いか否かを判別する温度判別部と、
前記バッテリの温度が前記低温閾値よりも低い場合に、前記バッテリの温度が前記低温閾値以上の場合よりも、前記非常電源回路から前記光源に供給される電力を低く制御する電力制御部と、
を備えることを特徴とする請求項1から7の何れか1項に記載の点灯装置。
【請求項9】
バッテリと、
外部電源から電力を供給され、前記バッテリを充電する常時電源回路と、
前記外部電源の停電時または疑似停電時に、前記バッテリから電力を供給され光源を点灯させる非常電源回路と、
前記停電時または前記疑似停電時に、前記バッテリに発生する電圧が予め定められた基準を満たす場合に前記バッテリが正常状態であると判別する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記バッテリの温度が予め定められた低温閾値以上のとき、前記バッテリに発生する電圧と予め定められた閾値とを比較して前記バッテリが前記正常状態か異常状態かを判別し、前記バッテリの温度が前記低温閾値よりも低いとき、前記閾値による前記バッテリが前記正常状態か前記異常状態かの判別を行わないことで、前記バッテリの温度が前記低温閾値よりも低い場合に、前記バッテリの温度が前記低温閾値以上の場合よりも、前記バッテリを前記正常状態であると判別するための前記基準を緩和することを特徴とする点灯装置
【請求項10】
前記制御部は、前記バッテリの温度が前記低温閾値よりも低い場合、前記非常電源回路から前記光源への電力供給の開始後の第1期間は、前記第1期間の経過後の第2期間に比べて前記基準を緩和することを特徴とする請求項9に記載の点灯装置。
【請求項11】
前記制御部は、前記バッテリが異常状態であると判別すると、前記非常電源回路を停止させることを特徴とする請求項9または10に記載の点灯装置。
【請求項12】
前記制御部は、前記バッテリが異常状態であると判別すると、前記バッテリの異常を外部に報知することを特徴とする請求項9から1の何れか1項に記載の点灯装置。
【請求項13】
前記制御部は、
前記バッテリに発生する電圧が前記基準を満たす場合に前記バッテリが前記正常状態であると判別する電圧判別部と、
前記停電または前記疑似停電を検出する停電検出部と、
前記バッテリの温度が前記低温閾値よりも低いか否かを判別する温度判別部と、
前記バッテリの温度が前記低温閾値よりも低い場合に、前記バッテリの温度が前記低温閾値以上の場合よりも、前記バッテリを前記正常状態であると判別するための前記基準を緩和する基準設定部と、
を備えることを特徴とする請求項9から1の何れか1項に記載の点灯装置。
【請求項14】
請求項1から1の何れか1項に記載の点灯装置と、
前記光源と、
を備えることを特徴とする照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、点灯装置および照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、LEDからなるLED光源部と、非常用電源と、外部電源の異常時に非常用電源からの電力供給によりLEDを定電流制御で点灯させる非常用点灯回路とを備える非常用照明装置が開示されている。この非常用照明器具では、非常用電源からの電源供給によるLEDの点灯時に、LED光源部から照射された光の床面照度が常温雰囲気中で1.5lx以上に設定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第4683286号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
バッテリの内部抵抗は、高温時よりも低温時に増加することがある。よって、低温から高温まで同一の電力を光源に供給すると、高温時に比べて低温時でバッテリの電圧降下が大きくなる場合がある。このため、バッテリの両端電圧を検出してバッテリの残存エネルギーを検出する場合に、低温時においてバッテリが正常であるにも関わらず、電圧降下の影響でバッテリが異常状態であると誤検出されるおそれがある。
【0005】
本開示は、上述の課題を解決するためになされたもので、バッテリが異常状態であると誤検出されることを抑制できる点灯装置および照明装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の開示に係る点灯装置は、バッテリと、外部電源から電力を供給され、該バッテリを充電する常時電源回路と、該外部電源の停電時または疑似停電時に、該バッテリから電力を供給され光源を点灯させる非常電源回路と、該バッテリに発生する電圧に基づき、該バッテリが正常状態か異常状態かを判別する制御部と、を備え、該制御部は、該停電または該疑似停電を検出すると、該バッテリの温度が予め定められた低温閾値よりも低い場合に、該バッテリの温度が該低温閾値以上の場合よりも、該非常電源回路から該光源に供給される電力を低く制御し、該バッテリの温度が該低温閾値よりも低い場合に該非常電源回路から該光源に供給される電力は、高温時の環境下での点灯条件で保証された最低光量以上となるように設定される。
第2の開示に係る点灯装置は、バッテリと、外部電源から電力を供給され、該バッテリを充電する常時電源回路と、該外部電源の停電時または疑似停電時に、該バッテリから電力を供給され光源を点灯させる非常電源回路と、該バッテリに発生する電圧に基づき、該バッテリが正常状態か異常状態かを判別する制御部と、を備え、該制御部は、該停電または該疑似停電を検出すると、該バッテリの温度が予め定められた低温閾値よりも低い場合に、該バッテリの温度が該低温閾値以上の場合よりも、該非常電源回路から該光源に供給される電力を低く制御し、該バッテリの温度が該低温閾値よりも低い場合、該非常電源回路から該光源への電力供給の開始後の第1期間は、該非常電源回路から該光源に供給する電力を第1電力に制御し、該第1期間の経過後の第2期間は該非常電源回路から該光源に供給する電力を該第1電力よりも大きい第2電力に制御し、該非常電源回路から該光源への電力供給の開始からの経過時間をカウントし、予め定められた該第1期間が経過すると、該非常電源回路から該光源に供給される電力を該第1電力から該第2電力に切り替える。
【0007】
の開示に係る点灯装置は、バッテリと、外部電源から電力を供給され、該バッテリを充電する常時電源回路と、該外部電源の停電時または疑似停電時に、該バッテリから電力を供給され光源を点灯させる非常電源回路と、該停電時または該疑似停電時に、該バッテリに発生する電圧が予め定められた基準を満たす場合に該バッテリが正常状態であると判別する制御部と、を備え、該制御部は、該バッテリの温度が予め定められた低温閾値以上のとき、該バッテリに発生する電圧と予め定められた閾値とを比較して該バッテリが該正常状態か異常状態かを判別し、該バッテリの温度が該低温閾値よりも低いとき、該閾値による該バッテリが該正常状態か該異常状態かの判別を行わないことで、該バッテリの温度が該低温閾値よりも低い場合に、該バッテリの温度が該低温閾値以上の場合よりも、該バッテリを該正常状態であると判別するための該基準を緩和する。
【発明の効果】
【0008】
第1の開示に係る点灯装置では、バッテリの温度が低温閾値よりも低い場合に、バッテリの温度が低温閾値以上の場合よりも、非常電源回路から光源に供給される電力が低く制御される。従って、バッテリの電圧降下を抑制でき、バッテリが異常状態であると誤検出されることを抑制できる。
【0009】
第2の開示に係る点灯装置は、バッテリの温度が低温閾値よりも低い場合に、バッテリの温度が低温閾値以上の場合よりも、バッテリを正常状態であると判別するための判別基準が緩和される。従って、バッテリが異常状態であると誤検出されることを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施の形態1に係る照明装置の回路ブロック図である。
図2】実施の形態1に係る制御部の機能ブロック図である。
図3】実施の形態1に係る制御部のハードウェア構成図である。
図4】実施の形態1に係る照明装置の動作を説明する図である。
図5】実施の形態1に係る制御部の動作を説明するフローチャートである。
図6】実施の形態2に係る制御部の機能ブロック図である。
図7】実施の形態2に係る照明装置の動作を説明する図である。
図8】実施の形態2に係る制御部の動作を説明するフローチャートである。
図9】実施の形態3に係る照明装置の動作を説明する図である。
図10】実施の形態3に係る制御部の動作を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
各実施の形態に係る点灯装置および照明装置について図面を参照して説明する。同じ又は対応する構成要素には同じ符号を付し、説明の繰り返しを省略する場合がある。
【0012】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る照明装置100の回路ブロック図である。照明装置100は例えば非常灯、誘導灯等の非常用照明器具である。照明装置100は、器具本体に保持されて設置される。照明装置100は、光源部6と点灯装置20を備える。点灯装置20は、ユニット10とバッテリ4を備える。
【0013】
光源部6は、非常時または常用時に明るさを確保するための光源を有する。光源は例えばLEDである。これにより、照明装置100の消費エネルギーを抑制できる。ユニット10は外部電源ACからの給電を受け、バッテリ4を充電する。外部電源ACは例えば商用電源である。バッテリ4は少なくとも正極配線、負極配線、バッテリ情報配線を含んだ接続部を備える。バッテリ4の接続部は、ユニット10に電気的に接続される。
【0014】
ユニット10は、ダイオードブリッジ1と、常時電源回路2と、充電回路3と、非常電源回路5と、停電検出回路8と、周囲温度検出回路9と、点検部50と、制御部7を備える。制御部7は例えばマイクロコンピュータである。
【0015】
ダイオードブリッジ1の出力は常時電源回路2に接続される。ダイオードブリッジ1の出力の低電位側は接地用端子に接続される。
【0016】
常時電源回路2は、外部電源ACからの交流電力を直流電力に変換する。常時電源回路2は絶縁形フライバック回路から構成される。常時電源回路2は、常用時に外部電源ACから電力を供給され、バッテリ4を充電する。制御IC21は常時電源回路2を制御する。ここで常用時とは、外部電源ACが停電状態または疑似停電状態ではない通常の状態を示す。また、疑似停電状態とは、例えば点検のために外部電源ACが遮断された状態が模擬された状態である。
【0017】
常時電源回路2において、外部電源ACの全波とスイッチングによるリップルを軽減するために、ダイオードブリッジ1の出力と並列にコンデンサ22が接続される。コンデンサ22の正極には、トランス23の一次側の一端が接続される。
【0018】
トランス23の一次側の他端には、スイッチング素子24の第1端子が直列に接続される。スイッチング素子24の第2端子はコンデンサ22の負極に接続される。スイッチング素子24の制御端子には、制御IC21に接続される。制御端子は、第1、第2端子間をスイッチングするための端子である。
【0019】
スイッチング素子24は、例えばMOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)である。スイッチング素子24がMOSFETの場合、第1端子はドレイン端子、第2端子はソース端子、制御端子はゲート端子である。スイッチング素子24において第1端子がトランス23、第2端子が接地用端子、制御端子が制御IC21に接続される。
【0020】
制御IC21は例えばPFC(Power Factor Correction)ドライバである。制御IC21はスイッチング素子24を駆動させる。コンデンサ22と並列に、抵抗25、コンデンサ26の直列回路が接続される。抵抗25、コンデンサ26の接続点は、制御IC21に接続される。制御IC21の電源は、コンデンサ22から抵抗25を介して供給される。
【0021】
制御IC21には抵抗を介してフォトカプラ27が接続される。フォトカプラ27は、トランス23の二次側の情報を制御IC21に入力するために設けられる。
【0022】
常時電源回路2は疑似停電検出回路28を備える。疑似停電検出回路28は、疑似停電状態を検出し、疑似停電状態になったときに制御IC21を停止させる。
【0023】
トランス23の二次側のフライバック巻き線の一端には、ダイオード29のアノードが接続される。ダイオード29はトランス23の二次側に直列接続され、出力側に安定した電圧を伝達するために設けられる。ダイオード29のカソードには、電解コンデンサ30の正極が接続される。電解コンデンサ30の負極は接地用端子に接続される。
【0024】
常時電源回路2の接地用の経路において、トランス23の一次側と二次側はコンデンサ31によって、絶縁されている。
【0025】
常時電源回路2は出力電圧検出回路を備える。出力電圧検出回路は、直列に接続されたフォトカプラ27とツェナーダイオード32から構成される。出力電圧検出回路は、電解コンデンサ30と並列に接続される。常時電源回路2の出力電圧は、フォトカプラ27のVFとツェナーダイオード32のツェナー電圧との和になる。フォトカプラ27の一次側は、制御IC21に接続される。制御IC21は、フォトカプラ27に流れる電流を制御する。制御IC21は、フォトカプラ27に流れる電流に応じて、スイッチング素子24のオン時間を制御する。これにより、常時電源回路2の定電圧フィードバックが実現する。
【0026】
充電回路3はバッテリ4を充電する。充電回路3は、トランス23のフライバック巻きとバッテリ4の間に接続されている。トランス23のフライバック巻きには、スイッチング素子35の第1端子が接続される。スイッチング素子35の第2端子には抵抗37の一端が接続される。抵抗37の他端にはバッテリ4の正極が接続される。抵抗37はバッテリ4と直列に接続される。バッテリ4の負極は接地用端子に接続される。つまり、常時電源回路2の出力端には、スイッチング素子35、抵抗37、バッテリ4が直列に接続される。
【0027】
スイッチング素子35は例えばトランジスタである。スイッチング素子35がトランジスタの場合、第1端子はコレクタであり、第2端子はエミッタであり、制御端子はベースである。制御端子は第1、第2端子間をスイッチングするための端子である。
【0028】
スイッチング素子35の制御端子にはツェナーダイオード36のカソードが接続される。ツェナーダイオード36のアノードはバッテリ4の正極に接続される。これにより、スイッチング素子35は能動領域で動作を行う。また、抵抗37には、ツェナーダイオード36のツェナー電圧からスイッチング素子35の制御端子と第2端子間の電圧を引いた電圧が印可される。これにより、バッテリ4の充電電流は定電流でフィードバック制御される。つまり、バッテリ4は定電流で充電される。
【0029】
非常電源回路5は、昇圧型スイッチング回路で構成されている。非常電源回路5は、外部電源ACの停電時または疑似停電時等の非常時に、バッテリ4から電力を供給されて、バッテリ4の出力電圧を昇圧して光源部6を点灯させる。非常電源回路5は、バッテリ4の出力電圧を降圧しても良い。
【0030】
非常電源回路5の入力端にはコンデンサ51が並列に接続される。コンデンサ51の正極には、バッテリ4の正極とコイル52の一端が接続される。コンデンサ51の負極は接地用端子に接続される。コイル52の他端は、ダイオード53のアノードに接続される。ダイオード53のカソードはコンデンサ54の正極に接続される。コンデンサ54の負極はコンデンサ51の負極に接続される。つまり、コンデンサ51と並列に、コイル52、ダイオード53、コンデンサ54の順で接続された直列回路が接続されている。また、コンデンサ54の正極には、光源部6のアノード側が接続される。
【0031】
コイル52とダイオード53の接続点と接地用端子との間には、スイッチング素子55が接続されている。スイッチング素子55の第1端子は、ダイオード53のアノードに接続される。スイッチング素子55の第2端子はコンデンサ54の負極に接続される。スイッチング素子の制御端子は制御部7に接続される。スイッチング素子55は例えばMOSFETである。
【0032】
非常電源回路5は出力電圧検出回路を備える。出力電圧検出回路は、直列に接続された抵抗56と抵抗57から構成される。出力電圧検出回路はコンデンサ54と並列に接続される。抵抗56と抵抗57の分圧値は、制御部7に入力される。これにより、制御部7は非常電源回路5の出力電圧を検出する。
【0033】
非常電源回路5は出力電流検出回路を備える。出力電流検出回路は、光源部6のカソード側に接続された抵抗58を備える。抵抗58に発生した電圧は、制御部7に入力される。これにより、制御部7は非常電源回路5の出力電流を検出する。
【0034】
制御部7は、出力電圧検出回路で検出した電圧と出力電流検出回路で検出した電流に基づき、非常電源回路5の出力電流の目標値を設定する。これにより、制御部7は、非常電源回路5を定電力フィードバック制御する。つまり、制御部7は光源部6の消費電力を一定に制御する。
【0035】
制御部7には、停電検出回路8と、周囲温度検出回路9が接続される。停電検出回路8は、トランス23の二次側のフライバック巻き線の一端からの信号を検出して、外部電源ACが停電状態または疑似停電状態であるか否かを監視する。
【0036】
周囲温度検出回路9は、バッテリ4の温度を検出して、制御部7にバッテリ4の温度情報を送信する。周囲温度検出回路9が検出する温度は、バッテリ4の周囲の温度またはバッテリ4の表面温度であっても良い。周囲温度検出回路9が検出する温度は、バッテリ4の内部抵抗に関連する温度であれば良い。
【0037】
点検部50は、バッテリ4の両端電圧を検出する。点検部50は、直列に接続された抵抗59と抵抗60から構成される。点検部50はコンデンサ51と並列に接続される。抵抗59と抵抗60の分圧値は、制御部7に入力される。これにより、制御部7はバッテリ4の両端電圧を検出する。
【0038】
図2は、実施の形態1に係る制御部7の機能ブロック図である。制御部7は、電圧判別部7a、停電検出部7b、温度判別部7c、電力制御部7d、カウント部7e、報知部7f、記憶部7gを備える。制御部7には他の機能が追加されても良く、機能の一部が削除されても良い。
【0039】
電圧判別部7aは、バッテリ4に発生する電圧に基づき、バッテリ4が正常状態か異常状態かを判別する。電圧判別部7aは、抵抗59と抵抗60の分圧値を用いて、バッテリ4に発生する電圧と予め定められた閾値とを比較して、バッテリ4が異常状態であることを判別する。ここで、本実施の形態では閾値として、後述するように第1閾値と第2閾値が設定されている。電圧判別部7aは、バッテリ4が異常状態であると判別すると、非常電源回路5を停止させる。
【0040】
停電検出部7bは、停電検出回路8からの信号に基づき、停電または疑似停電を検出する。停電検出回路8が停電状態または疑似停電状態を検出すると、停電検出部7bは非常電源回路5を動作させる。温度判別部7cは、周囲温度検出回路9からの温度情報に基づき、バッテリ4の温度が予め定められた低温閾値よりも低いか否かを判別する。
【0041】
電力制御部7dは、バッテリ4の温度情報、バッテリ4の両端電圧等に基づき、非常電源回路5から光源部6に供給される電力を制御する。電力制御部7dは、スイッチング素子55のオンオフを制御して、光源部6に供給される電力を制御する。電力制御部7dは、温度判別部7cの判別結果に基づき、バッテリ4の温度が低温閾値よりも低い場合に、バッテリ4の温度が低温閾値以上の場合よりも、非常電源回路5から光源部6に供給される電力を低く制御する。以下では、非常電源回路5から光源部6に供給される電力を光源電力と呼ぶことがある。
【0042】
カウント部7eは、制御部7で実施される制御で用いられる時刻のカウントを行う。報知部7fは、電圧判別部7aでバッテリ4が異常状態であると判別された場合に、バッテリ4の異常を外部に報知する。報知は、例えば光源の点滅または音声で実施される。記憶部7gには、制御部7で実施される制御で用いられるプログラム、データ等が記憶されている。
【0043】
図3は、実施の形態1に係る制御部7のハードウェア構成図である。制御部7は各種の演算を行うCPU(Central Processing Unit)71と、メモリ72と、タイマ73を備える。電圧判別部7a、停電検出部7b、温度判別部7c、電力制御部7d、カウント部7e、報知部7f、記憶部7gの機能は、例えばCPU71と、メモリ72と、タイマ73によって実現される。例えば、記憶部7gの機能はメモリ72で実現される。また、カウント部7eの機能はタイマ73で実現される。
【0044】
CPU71は、メモリ72に格納されるプログラムを実行する制御装置である。CPU71は中央処理装置、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、プロセッサ、DSPとも呼ばれる。CPU71はメモリ72またはタイマ73を内蔵していても良い。
【0045】
制御部7の機能は、ソフトウェア、ファームウェア、またはソフトウェアとファームウェアとの組み合わせにより実現される。ソフトウェアおよびファームウェアはプログラムとして記述され、メモリ72に格納される。CPU71は、メモリ72に記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、各部の機能を実現する。
【0046】
例えばメモリ72には、停電または疑似停電を検出すると、バッテリ4の温度が低温閾値よりも低い場合に、バッテリ4の温度が低温閾値以上の場合よりも、光源電力を低く制御するプログラムが格納される。これらのプログラムは、電圧判別部7a、停電検出部7b、温度判別部7c、電力制御部7d、カウント部7e、報知部7f、記憶部7gにおける手順または方法をコンピュータに実行させるものであるともいえる。
【0047】
ここで、メモリ72は、RAM、ROM、フラッシュメモリ、EPROM、EEPROM等の不揮発性または揮発性の半導体メモリ、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスク、DVD等であっても良い。RAMはRandom Access Memoryの略称である。ROMはRead Only Memoryの略称である。EPROMはErasable Programmable Read Only Memoryの略称である。EEPROMはElectrically Erasable Programmable Read-Only Memoryの略称である。
【0048】
また、CPU71は、専用のハードウェアであっても良い。この場合、CPU71は、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサであっても良い。また、CPU71は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)またはFPGA(Field-Programmable Gate Array)であっても良い。さらに、CPU71は、これらを組み合わせたものであっても良い。
【0049】
また、制御部7の複数の機能それぞれを、別個の制御装置で実現しても良い。また、複数の機能をまとめて1つの制御装置で実現してもよい。
【0050】
また、制御部7の各機能について、一部を専用のハードウェアで実現し、一部をソフトウェアまたはファームウェアで実現するようにしてもよい。このように、制御部7では、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはこれらの組み合わせによって、上述の各機能を実現することができる。
【0051】
図4は、実施の形態1に係る照明装置100の動作を説明する図である。図5は、実施の形態1に係る制御部7の動作を説明するフローチャートである。ステップS1として、制御部7は停電または疑似停電を検出したとする。これにより、制御部7は非常電源回路5の動作を開始させる。
【0052】
また、制御部7は、ステップS2としてバッテリ4の温度が低温閾値よりも低いか否かを判別する。以下では、バッテリ4の温度が低温閾値よりも低い状態を低温状態と呼ぶことがある。制御部7は、バッテリ4が低温状態ではない場合、ステップS3として定常のLED出力W1で光源の点灯を開始させる。
【0053】
制御部7は、バッテリ4が低温状態である場合、ステップS4として減電力のLED出力W2で光源の点灯を開始させる。ここで、W1>W2である。これにより、図4に示されるようにバッテリ4の放電が開始される。図4において、実線は低温状態における本実施の形態の波形を示し、破線は低温状態における比較例の波形を示す。比較例では、低温状態であってもLED出力が低く制御されない点が本実施の形態と異なる。
【0054】
本実施の形態では、バッテリ電圧の異常を判別するための閾値として第1閾値と第2閾値が設定されている。第1閾値はバッテリ4の寿命を判別するための閾値である。カウント部7eは、バッテリ電圧が放電開始から第1閾値となるまでの時間をカウントする。電圧判別部7aは、バッテリ電圧が放電開始から第1閾値となるまでの時間が予め定められた規定時間よりも短い場合、バッテリ4が異常状態であると判別する。また、第2閾値は、過放電を判別するための閾値である。電圧判別部7aは、バッテリ電圧が第2閾値よりも低い場合、バッテリ4が異常状態であると判別する。第1閾値と第2閾値は一方のみが設定されていても良い。
【0055】
バッテリ4は、一般に温度が低いほど内部抵抗が上昇する。また、図4に示されるように、放電開始直後にバッテリ電圧は大きく低下する。このとき、比較例に示されるように、低温時にバッテリ4の電圧降下が大きくなり、バッテリ4が正常であるにも関わらず、バッテリ電圧が第1閾値よりも低くなるおそれがある。このとき、バッテリ4が正常であるにも関わらず、バッテリ4の寿命が誤検出されるおそれがある。また、バッテリ4の過放電が誤検出されるおそれがある。
【0056】
これに対し、本実施の形態の制御部7は、停電または疑似停電を検出すると、バッテリ4の温度が低温閾値よりも低い場合に、バッテリ4の温度が低温閾値以上の場合よりも、光源電力を低く制御する。これにより、バッテリ電圧の低下を抑制できる。つまり、バッテリ電圧が第1閾値に到達するまでの期間の誤検出を抑制できる。また、バッテリ4の過放電の誤検出を抑制できる。従って、バッテリ4が異常状態であると誤検出されることを抑制できる。
【0057】
また、バッテリ4の温度が低温閾値よりも低い場合に、非常電源回路5から光源部6に供給される電力W2は、点灯装置20の使用温度範囲で光源部6の明るさの規格を満たすように設定される。ここで、使用温度範囲は、例えば点灯装置20、光源部6または照明装置100が使用されることが想定される予め定められた温度範囲である。
【0058】
一般にLEDの温度特性は、温度が低いほど発光効率が高まる。つまり、消費電力が一定の場合、光源部6は低温ほど明るく点灯する。本実施の形態の電力W2は、電力W2が供給されたときの光源部6の光量が、高温時においても照明装置100が保証する最低光量以上となるように設定される。これにより、非常用照明装置で特に重要となる常温から高温の温度範囲において、明るさを確保できる。図4に示される第1期間において、光源部6の明るさは破線で示される明るさの保証値以上に維持されている。
【0059】
放電期間の経過に伴い、バッテリ温度は上昇する。周囲温度検出回路9は、バッテリ4の低温状態が解除されたとき、バッテリ4が低温状態でないことを制御部7に伝達する。制御部7は、ステップS5としてバッテリ4が低温状態であるか否かを判別する。バッテリ4が低温状態ではない場合、制御部7はステップS6として定常のLED出力W1で光源を点灯させる。また、バッテリ4が低温状態である場合、制御部7はステップS7として減電力のLED出力W2を継続する。
【0060】
このように、制御部7は、光源電力を電力W2に設定した状態でバッテリ4の温度が低温閾値以上となると、光源電力を電力W1に切り替える。これにより制御部7は、バッテリ4の温度が低温閾値よりも低い場合、非常電源回路5から光源部6への電力供給の開始後の第1期間は、非常電源回路5から光源部6に供給する電力を電力W2に制御する。また、制御部7は、第1期間の経過後の第2期間は非常電源回路5から光源部6に供給する電力を電力W2よりも大きい電力W1に制御する。これにより、バッテリ電圧が大きく低下し易い第1期間において、バッテリ4が異常状態であると誤検出されることを抑制できる。
【0061】
バッテリ4の低温状態が解除されたあとバッテリ電圧が第2閾値まで低下すると、制御部7は過放電を検出し非常電源回路5を停止させる。これにより、バッテリ4の放電が終了し、光源部6は消灯する。また、消灯によりバッテリ温度は低下する。また、バッテリ電圧が第2閾値よりも低くなると、報知部7fはバッテリ4の異常を外部に報知する。
【0062】
非常用照明装置は、一般に不特定多数の人が集まる場所での火災、地震、その他の災害、事故等により生じる停電の場合に、その場にいる人が安全に避難できるように設置される。一般に非常用照明器具は、一般社団法人日本照明工業会が定める非常用照明器具技術基準(JIL5501:2017改正追補)等の基準に則り動作する必要がある。非常用照明器具は、例えば予備電源により非常時に30分間点灯を継続する必要がある。60分間定格の非常用照明器具では、予備電源により非常時に60分間点灯を継続する必要がある。また、非常用照明器具は、例えば必要箇所に直接照明により、床面において1lx以上の照度を維持する必要がある。
【0063】
本実施の形態では、このような非常用照明器具において、常温および特に高温で必要な明るさを確保しつつ、低温でバッテリ4が異常状態であると誤検出されことによる誤動作を抑制できる。これにより、製品の信頼性を向上できる。また、低温において光源部6が必要以上に明るくなることを抑制できる。従って、光源部6への電力供給を効率よく行うことができる。また、使用者に対して適した明るさを提供できる。
【0064】
本実施の形態では、光源部6は光源としてLEDを備えるものとした。これに限らず、光源はLED以外の発光素子であっても良い。また、図1では光源部6に2つの光源が示されているが、光源の数は限定されない。また、制御部7は非常電源回路5を定電力制御するものとした。これに限らず、バッテリ4の温度が低温閾値よりも低い場合に低温閾値以上の場合よりも、光源部6に供給される電力を低く制御できれば、制御部7は非常電源回路5を定電流または定電圧制御しても良い。
【0065】
これらの変形は、以下の実施の形態に係る点灯装置および照明装置について適宜応用することができる。なお、以下の実施の形態に係る点灯装置および照明装置については実施の形態1との共通点が多いので、実施の形態1との相違点を中心に説明する。
【0066】
実施の形態2.
図6は、実施の形態2に係る制御部207の機能ブロック図である。本実施の形態では、制御部207の機能が制御部7の機能と異なる。他の構成は、実施の形態1の構成と同様である。制御部207の電圧判別部207aは、バッテリ4に発生する電圧が予め定められた基準を満たす場合に、バッテリ4が正常状態であると判別する。また、制御部207はさらに基準設定部207hを備える。基準設定部207hは、バッテリ4の温度が低温閾値よりも低い場合に、バッテリ4の温度が低温閾値以上の場合よりも、バッテリ4を正常状態であると判別するための基準を緩和する。
【0067】
実施の形態1と同様に、制御部207は各種の演算を行うCPU71と、メモリ72と、タイマ73を備える。電圧判別部207a、停電検出部7b、温度判別部7c、電力制御部7d、カウント部7e、報知部7f、記憶部7g、基準設定部207hの機能は、例えばCPU71と、メモリ72と、タイマ73によって実現される。このときメモリ72には、例えばバッテリ4の温度が低温閾値よりも低い場合に、バッテリ4の温度が低温閾値以上の場合よりも、バッテリ4を正常状態であると判別するための基準を緩和するプログラムが格納される。
【0068】
実施の形態1と同様に、CPU71は専用のハードウェアであっても良い。また、制御部207の複数の機能それぞれを、別個の制御装置で実現しても良い。また、複数の機能をまとめて1つの制御装置で実現してもよい。また、制御部207の各機能について、一部を専用のハードウェアで実現し、一部をソフトウェアまたはファームウェアで実現するようにしてもよい。
【0069】
図7は、実施の形態2に係る照明装置100の動作を説明する図である。図8は、実施の形態2に係る制御部207の動作を説明するフローチャートである。ステップS1、S2は実施の形態1のステップS1、S2と同様である。制御部7は、バッテリ4が低温状態ではない場合、ステップS203として第1閾値での異常判定を有効にして、定常のLED出力W1で光源の点灯を開始させる。このように、制御部207は、バッテリ4の温度が低温閾値以上のとき、バッテリ4に発生する電圧と予め定められた第1閾値とを比較してバッテリ4が正常状態か異常状態かを判別する。
【0070】
制御部7は、バッテリ4が低温状態である場合、ステップS204として第1閾値での異常判定を無効にして、定常のLED出力W1で光源の点灯を開始させる。これにより、図4に示されるようにバッテリ4の放電が開始される。このように、制御部207は、バッテリ4の温度が低温閾値よりも低いとき、第1閾値によるバッテリ4が正常状態か異常状態かの判別を行わない。これにより、バッテリ電圧が第1閾値に到達するまでの期間の誤検出を抑制できる。
【0071】
このため、低温環境下でバッテリ4の内部抵抗が上昇しても、バッテリ4の寿命が誤検出されることを抑制できる。従って、バッテリ4が異常状態であると誤検出されることを抑制できる。また、光源部6の消費電力は一定であるため、常温から特に高温において、予め定められた明るさを確保できる。
【0072】
放電期間の経過に伴い、バッテリ温度は上昇する。周囲温度検出回路9は、バッテリ4の低温状態が解除されたとき、バッテリ4が低温状態でないことを制御部7に伝達する。制御部7は、ステップS5としてバッテリ4が低温状態であるか否かを判別する。バッテリ4が低温状態ではない場合、制御部207はステップS206として、第1閾値での異常判定を有効にする。また、バッテリ4が低温状態である場合、制御部207はステップS207として第1閾値での異常判定が無効な状態を維持する。
【0073】
本実施の形態では、第1閾値が無効にされる例を示した。これに限らず、制御部207は、停電または疑似停電を検出すると、バッテリ4の温度が低温閾値よりも低い場合に、バッテリ4の温度が低温閾値以上の場合よりも、バッテリ4を正常状態であると判別するための基準を緩和すれば良い。これにより、低温状態でバッテリ4が異常状態であると誤検出されることを抑制できる。
【0074】
制御部207は、例えば低温状態で第1閾値および第2閾値を無効化しても良い。これにより、バッテリ4の寿命および過放電の誤検出を抑制できる。また、制御部207は、低温状態ではない場合に比べて低温状態で、第1閾値または第2閾値を低下させても良い。
【0075】
また、制御部207は、バッテリ4の温度が低温閾値よりも低い場合、非常電源回路5から光源部6への電力供給の開始後の第1期間は、第1期間の経過後の第2期間に比べてバッテリ4を正常状態であると判別するための基準を緩和する。これにより、バッテリ電圧が大きく低下し易い第1期間において、バッテリ4が異常状態であると誤検出されることを抑制できる。
【0076】
実施の形態3.
図9は、実施の形態3に係る照明装置100の動作を説明する図である。図10は、実施の形態3に係る制御部7の動作を説明するフローチャートである。本実施の形態では、光源電力を電力W2から電力W1に復帰させるトリガが実施の形態1と異なる。他の構成は、実施の形態1の構成と同じである。
【0077】
ステップS1~S4は実施の形態1と同様である。低温状態において、ステップS4により電力W2で光源部6の点灯が開始する。ステップS305として、図2に示されるカウント部7eは、非常電源回路5から光源部6への電力供給の開始からの経過時間をカウントする。ステップS6として電力制御部7dは、カウント部7eのカウント値に基づき予め定められた第1期間T1が経過すると、光源電力を電力W2から電力W1に切り替える。第1期間T1が経過していない場合、ステップS7として電力制御部7dは、光源電力を電力W2に維持する。
【0078】
本実施の形態においても、低温状態において光源電力が低く制御され、バッテリ電圧の低下を抑制できる。つまり、バッテリ4の寿命および過放電の誤検出を抑制できる。従って、バッテリ4が異常状態であると誤検出されることを抑制できる。
【0079】
放電に伴いバッテリ温度は上昇する。制御部7の記憶部7gには、例えば放電開始からバッテリ4の低温状態が解除されるまでの第1期間があらかじめ記憶されている。本実施の形態では、バッテリ4が低温状態から復帰したときには、定常のLED出力W1で電力供給を行うことができる。つまり、非常用照明装置として最適な電力供給を実現できる。
【0080】
なお、各実施の形態で説明した技術的特徴は適宜に組み合わせて用いてもよい。
【符号の説明】
【0081】
1 ダイオードブリッジ、2 常時電源回路、3 充電回路、4 バッテリ、5 非常電源回路、6 光源部、7 制御部、7a 電圧判別部、7b 停電検出部、7c 温度判別部、7d 電力制御部、7e カウント部、7f 報知部、7g 記憶部、8 停電検出回路、9 周囲温度検出回路、10 ユニット、20 点灯装置、21 制御IC、22 コンデンサ、23 トランス、24 スイッチング素子、25 抵抗、26 コンデンサ、27 フォトカプラ、28 疑似停電検出回路、29 ダイオード、30 電解コンデンサ、31 コンデンサ、32 ツェナーダイオード、35 スイッチング素子、36 ツェナーダイオード、37 抵抗、50 点検部、51 コンデンサ、52 コイル、53 ダイオード、54 コンデンサ、55 スイッチング素子、56、57、58、59、60 抵抗、72 メモリ、73 タイマ、100 照明装置、207 制御部、207a 電圧判別部、207h 基準設定部、AC 外部電源
図1
図2
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図10