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特許7484494印刷物発注支援システム、印刷物発注支援方法、および印刷物発注支援プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-08
(45)【発行日】2024-05-16
(54)【発明の名称】印刷物発注支援システム、印刷物発注支援方法、および印刷物発注支援プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/0601 20230101AFI20240509BHJP
【FI】
G06Q30/0601
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2020112290
(22)【出願日】2020-06-30
(65)【公開番号】P2022011266
(43)【公開日】2022-01-17
【審査請求日】2023-05-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000925
【氏名又は名称】弁理士法人信友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 慎也
(72)【発明者】
【氏名】山村 晃
【審査官】星野 裕
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-069046(JP,A)
【文献】特開2006-228058(JP,A)
【文献】特開2001-312630(JP,A)
【文献】特開2003-050933(JP,A)
【文献】特開2020-009012(JP,A)
【文献】特開2018-025918(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷物の発注情報を入力する入力部と、
前記印刷物の発注に関する実績情報を表示する表示部と、
印刷物の発注毎に、前記印刷物を発注した顧客に関する顧客情報と、前記印刷物の用途情報と、前記印刷物の商材情報とを関連付けた情報を前記実績情報として蓄積したデータベースと、
前記入力部から入力された発注情報に基づいて、前記データベースの中から前記発注情報と関連する実績情報を抽出する情報抽出部と、
前記情報抽出部で抽出した実績情報を、前記表示部に出力する出力処理部とを備え、
前記実績情報は、発注についての満足度情報を有する
印刷物発注支援システム。
【請求項2】
前記情報抽出部は、前記入力部から入力された発注情報の中の少なくとも一部の情報を含む実績情報を前記データベースの中から抽出する
請求項1に記載の印刷物発注支援システム。
【請求項3】
前記出力処理部は、前記情報抽出部で抽出した実績情報の中から予め設定された情報を前記表示部に出力する
請求項1または2に記載の印刷物発注支援システム。
【請求項4】
前記出力処理部は、前記情報抽出部で抽出した実績情報の中から予め設定された情報を、予め設定された順に前記表示部に出力する
請求項1~3のうちの何れか1項に記載の印刷物発注支援システム。
【請求項5】
前記情報抽出部は、前記データベースの中から1つまたは複数の前記実績情報を抽出する
請求項1~4のうちの何れか1項に記載の印刷物発注支援システム。
【請求項6】
前記実績情報は、前記商材情報として、前記印刷物の形態に関する情報と、前記印刷物の形態の各仕様に関する情報とを有する
請求項1~5のうちの何れか1項に記載の印刷物発注支援システム。
【請求項7】
前記情報抽出部は、前記データベースの中から、前記入力部から入力された顧客情報および印刷物の用途情報の少なくとも一方が一致する実績情報を抽出し、
前記出力処理部は、前記情報抽出部で抽出した実績情報の中から、印刷物の商材情報を前記表示部に出力する
請求項1~6のうちの何れか1項に記載の印刷物発注支援システム。
【請求項8】
前記実績情報は、発注に際しての協議手順に関する情報を有する
請求項1~7のうちの何れか1項に記載の印刷物発注支援システム。
【請求項9】
前記情報抽出部は、前記抽出した実績情報の中から、さらに前記満足度情報を参照して満足度が高い実績情報を抽出する
請求項に記載の印刷物発注支援システム。
【請求項10】
前記出力処理部は、前記抽出した実績情報の中から、さらに前記満足度情報を参照して満足度が高い順に前記実績情報を前記表示部に出力する
請求項に記載の印刷物発注支援システム。
【請求項11】
前記データベースは、前記印刷物の各仕様に対応する材料の在庫情報および作業時間情報を含む工程情報を保持する
請求項1~10のうちの何れか1項に記載の印刷物発注支援システム。
【請求項12】
前記入力部から入力された印刷物の各仕様と、前記データベースに保持された前記工程情報とに基づいて、前記入力部から各仕様が入力された印刷物の納期を算出する納期算出部を備えた
請求項11に記載の印刷物発注支援システム。
【請求項13】
印刷物の商材形態の各仕様に対応する材料の在庫情報および作業時間情報を含む工程情報を管理する工程管理装置と、
前記入力部から入力された印刷物の各仕様と、前記工程管理装置で管理された前記工程情報とに基づいて、前記入力部から各仕様が入力された印刷物の納期を算出する納期算出部とを備えた
請求項1~10のうちの何れか1項に記載の印刷物発注支援システム。
【請求項14】
前記入力部は音声データを入力するためのマイクであり、
さらに音声データをテキストデータに変換するための自然言語処理部を備えている
請求項1~13のうちの何れか1項に記載の印刷物発注支援システム。
【請求項15】
データベースが、印刷物の発注毎に、前記印刷物を発注した顧客に関する顧客情報と、前記印刷物の用途情報と、前記印刷物の商材情報と、発注についての満足度情報とを関連付けた情報を実績情報として蓄積し、
情報抽出部が、入力部から入力された発注情報に基づいて、前記データベースの中から前記発注情報と関連する実績情報を抽出し、
出力処理部が、前記情報抽出部で抽出した実績情報を、表示部に出力する
印刷物発注支援方法。
【請求項16】
データベースに対して、印刷物の発注毎に、前記印刷物を発注した顧客に関する顧客情報と、前記印刷物の用途情報と、前記印刷物の商材情報と、発注についての満足度情報とを関連付けた情報を実績情報として蓄積させ、
情報抽出部に対して、入力部から入力された発注情報に基づいて、前記データベースの中から前記発注情報と関連する実績情報を抽出させ、
出力処理部に対して、前記情報抽出部で抽出した実績情報を、表示部に出力させる
印刷物発注支援プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷物発注支援システム、印刷物発注支援方法、および印刷物発注支援プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
印刷物の発注を支援するための技術として、下記特許文献1に開示の技術がある。この特許文献1には、「発注者端末10は、インターネットなどのネットワーク(図示略)を介して入力支援システム1にアクセスし、入力支援システム1が提供するWebページなどによる入力画面を介して印刷物の仕様などを入力する。発注者端末10による入力は、自然言語による通常の文章でよい。…まず、発注者端末10によりアクセスされると、発注印刷物が選択された段階で、RBMSサーバ5が仕様設定ルールを適用して仕様入力画面を生成し、仕様の入力を促す。以後、必要最低限の入力を行なえば、発注作業が完了する。」と記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2003-50933号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
以上の特許文献1に記載の技術では、仕様入力画面の生成により、発注印刷物の仕様の選択が促されるものの、選択には仕様に関する知識が要求される。このため、発注者である顧客のニーズや用途に合致する仕様で印刷物を発注するためには、相当の労力を要していた。
【0005】
そこで本発明は、顧客のニーズや用途に合致する印刷物の仕様を提案することが可能で、これにより印刷物の発注作業を容易とすることができる印刷物発注支援システム、印刷物発注支援方法、および印刷物発注支援プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このような目的を達成するための本発明は、印刷物の発注情報を入力する入力部と、前記印刷物の発注に関する実績情報を表示する表示部と、印刷物の発注毎に、前記印刷物を発注した顧客に関する顧客情報と、前記印刷物の用途情報と、前記印刷物の商材情報とを関連付けた情報を前記実績情報として蓄積したデータベースと、前記入力部から入力された発注情報に基づいて、前記データベースの中から前記発注情報と関連する実績情報を抽出する情報抽出部と、前記情報抽出部で抽出した実績情報を、前記表示部に出力する出力処理部とを備えた印刷物発注支援システムである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、顧客のニーズや用途に合致する印刷物の仕様を提案することが可能で、これにより印刷物の発注作業を容易とすることができる印刷物発注支援システム、印刷物発注支援方法、および印刷物発注支援プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1実施形態の印刷物発注支援システムの全体構成図である。
図2】第1実施形態の印刷物発注支援システムが保持するデータベースを示す図である。
図3】第1実施形態の印刷物発注支援プログラムが実施する印刷物発注支援方法のフローチャートである。
図4】第2実施形態の印刷物発注支援システムが保持するデータベースを示す図である。
図5】第3実施形態の印刷物発注支援システムが保持するデータベースを示す図である。
図6】第4実施形態の印刷物発注支援システムの全体構成図である。
図7】第4実施形態の印刷物発注支援システムが保持するデータベースを示す図である。
図8】第4実施形態の印刷物発注支援プログラムが実施する印刷物発注支援方法のフローチャートである。
図9】第5実施形態の印刷物発注支援システムの全体構成図である。
図10】第5実施形態の印刷物発注支援プログラムが実施する印刷物発注支援方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を適用した各実施の形態を、図面に基づいて詳細に説明する。
【0010】
≪第1実施形態≫
図1は、第1実施形態の印刷物発注支援システム1の全体構成図である。この図に示す印刷物発注支援システム1は、端末装置10を利用した印刷物の発注業務を支援するためのシステムであって、例えば端末装置10と、情報処理装置20によって構成される。これらは以下のようなものである。
【0011】
<端末装置10>
端末装置10は、例えば印刷会社の営業担当者が、印刷物の発注に際して用いる営業用端末であることとする。端末装置10は、これに限定されることはなく、例えば印刷通販において利用される端末装置であってもよい。このような端末装置10は、パーソナルコンピューターやタブレット端末であって、表示部11と、入力部12と、ここでの図示を省略したネットワークインターフェースを備え、情報処理装置20との間で情報の送受信を実施する。
【0012】
表示部11は、印刷物の発注に関する実績情報を表示する。実績情報については後述する。入力部12は、印刷物の発注情報を入力するためのものであり、表示部11に設けたタッチパネルや操作ボタンであってもよい。また入力部12は、マイクであってもよい。この場合、端末装置10は、マイクによって入力された音声データをテキストデータに変換するための自然言語処理部を備えていることとする。
【0013】
なお、図示した例においては、端末装置10を1つのみ示したが、端末装置10は複数であってもよい。
【0014】
<情報処理装置20>
情報処理装置20は、端末装置10からの情報に基づいて、端末装置10に対して情報を提供するためのサーバー装置であって、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、およびROM(Read Only Memory)やHDD(hard disk drive)のような不揮発性の記憶部、さらにはネットワークインターフェースを備えている。このような情報処理装置20は、印刷物の発注業務を支援するための印刷物発注支援プログラムを不揮発性の記憶部に保存し、保存された印刷物発注支援プログラムに基づく処理を実行することにより、端末装置10に対して発注業務の支援のための情報を提供する。なお、このような情報処理装置20は、端末装置10の一部を構成するものであってもよい。
【0015】
図に示すように、情報処理装置20は、情報処理部21と、データベース保持部22とを備える。情報処理部21は、情報抽出部21aと出力処理部21bとを備える。これらは、次のようである。
【0016】
[情報抽出部21a]
情報抽出部21aは、端末装置10から送信された情報に基づいて、データベース保持部22に保持されたデータベースの中から必要な情報を抽出する。情報抽出部21aが抽出する情報は、端末装置10から送信された情報の少なくとも一部を含むこととする。この情報抽出部21aによる処理の手順は、以降の印刷物発注支援方法において詳細に説明する。
【0017】
[出力処理部21b]
出力処理部21bは、情報抽出部21aで抽出した実績情報を、端末装置10に出力する。特にこの出力処理部21bは、情報抽出部21aで抽出した実績情報の中から予め設定された情報を端末装置10に出力する。この出力処理部21bによる処理の手順は、以降の印刷物発注支援方法において詳細に説明する。
【0018】
[データベース保持部22]
データベース保持部22は、印刷物の発注業務を支援するために必要な情報として、過去のける印刷物の発注に関する実績情報をデータベースとして保持する。このデータベース保持部22が保持するデータベース内の情報は、端末装置10、または他のシステムから入力された情報であることとする。
【0019】
図2は、第1実施形態の印刷物発注支援システムが保持するデータベースDB1を説明する図である。この図に示すデータベースDB1は、過去の発注に関する様々な情報を発注毎の実績情報として関連付けして蓄積したものであって、図示した一例においては、1つの発注に関する実績情報を1行に格納した構成となっている。各実績情報は、基本情報(1)と詳細情報(2)とで構成されている。これらの各情報は次のようである。
【0020】
基本情報(1)は、印刷物の発注業務に際し、予め決まっている項目に関する情報であって、顧客情報(11)および用途情報(12)、さらに印刷物の形態情報(13)を含んでいてもよい。このうち顧客情報(11)は、印刷物を発注した顧客に関する情報であって、例えば顧客が属するカテゴリー、部署、年代などであり、他の情報を含んでいてもよい。
【0021】
用途情報(12)は、例えば印刷物の利用目的、印刷物を配布するまたは提示するエンドユーザーや場所、さらにはここでの図示を省略した利用期間、利用時期など印刷物の利用に関する情報である。印刷物の形態情報(13)は、商材情報の一部であって、パンフレット、ポスター、チラシ、さらには貼り紙、シール等、印刷物の形態に関する情報である。また形態情報(13)は、印刷物の品質要求に関する情報を含んでもよい。品質要求に関する情報とは、例えば、高級、要求無し、一般的、丈夫、きれい、やわらかい、目立つなどである。
【0022】
また詳細情報(2)は、印刷物の発注に際して設定された詳細な項目に関する情報であって、ここでは各形態の印刷物の仕様情報(21)である。仕様情報(21)は、商材情報の一部であって、例えば印刷物の形態がパンフレットであれば、カテゴリーが冊子であて、製本種別、綴じ方向、ページ数、さらには紙種などに関する情報である。
【0023】
<印刷物発注支援方法>
図3は、第1実施形態の印刷物発注支援プログラムが実施する印刷物発注支援方法のフローチャートである。このフローチャートは、図1を用いて説明した印刷物発注支援システム1の情報処理装置20が有する印刷物発注支援プログラムによって実施される印刷物発注支援方法の手順を示している。以下、図3のフローチャートに従い、図1および図2を参照して第1実施形態に係る印刷物発注支援方法を説明する。
【0024】
[ステップS101]
ステップS101において、情報抽出部21aは、端末装置10から基本情報(1)を取得したか否かの判断を実施する。この際、情報抽出部21aは、端末装置10の入力部12から入力された発注情報を受信した場合に、受信した発注情報が、基本情報(1)のうちの少なくとも顧客情報(11)の何れかと用途情報(12)のうちの利用目的とを含む場合に、基本情報(1)を取得した(YES)と判断し、次のステップS102に進む。情報抽出部21aは、基本情報(1)を取得した(YES)と判断されるまで、判断を繰り返す。なお、情報抽出部21aは、受信した情報に、基本情報(1)として必要な情報が含まれていない場合には、端末装置10に対して必要な情報の入力を促す警告を送信してもよい。
【0025】
[ステップS102]
ステップS102において、情報抽出部21aは、データベース保持部22に保持されたデータベースDB1を参照し、入力部12から入力された発注情報と関連する実績情報を抽出する。ここで、入力部12から入力された発注情報は、ステップS101で取得した基本情報(1)である。
【0026】
この際、情報抽出部21aは、例えばデータベースDB1の中から、ステップS101で取得した基本情報(1)に含まれる顧客情報(11)の何れか、および用途情報(12)の何れかのうち少なくとも一方が一致する実績情報を抽出する。
【0027】
この際、情報抽出部21aは、例えばステップS101で取得した基本情報(1)に含まれる各情報と一致する情報の数が最も多い実績情報を抽出する。また、別の例として、情報抽出部21aは、データベースDB1の中から、ステップS101で取得した基本情報(1)のうち、例えば用途情報(12)が一致する実績情報を抽出してもよい。また、さらに別の例として上記の抽出を複数段階で組み合わせてもよい。この場合、例えば情報抽出部21aは、データベースDB1の中から、ステップS101で取得した基本情報(1)のうち用途情報(12)が一致する実績情報を抽出し、次に抽出した実績情報の中から一致する情報の数が最も多い実績情報を抽出してもよい。また情報抽出部21aは、ステップS101で取得した基本情報(1)が形態情報(13)を含む場合には、データベースDB1の中から形態情報(13)と用途情報(12)とが一致する実績情報を抽出してもよい。
【0028】
情報抽出部21aによる実績情報の抽出の手順は、上述した例に限定されることはなく、またデータベースDB1の中から複数の実績情報が抽出される構成であってもよい。このような実績情報の抽出の手順は、端末装置10からの入力によって予め設定されているか、または端末装置10からの入力によってその都度に設定されることとする。
【0029】
[ステップS103]
ステップS103において、出力処理部21bは、情報抽出部21aで抽出した実績情報を、端末装置10に送信する。この場合、出力処理部21bは、情報抽出部21aで抽出した実績情報のうち、予め設定された項目とその出力順からなる出力情報を作成し、作成した出力情報を端末装置10に送信する。予め設定された項目とその出力順とは、端末装置10からの入力によって予め設定されているか、または端末装置10からの入力によってその都度に設定されることとする。
【0030】
これにより、抽出した実績情報のうち、余分な情報は出力せず、端末装置10の操作者が必要とする情報のみによって出力情報を作成して端末装置10に出力する。例えば、出力処理部21bは、抽出した実績情報のうち、基本情報(1)に属する形態情報(13)と、詳細情報(2)に属する仕様情報(21)とからなる出力情報を作成し端末装置10に出力する。
【0031】
また情報抽出部21aが複数の実績情報を抽出した場合、出力処理部21bは、実績情報毎の出力情報を作成する。なお、出力処理部21bは、情報抽出部21aが抽出した実績情報をそのまま出力情報としてもよい。以上により、処理を終了させる。
【0032】
これにより、端末装置10は、情報処理装置20から送信された情報を、仕様情報(21)を、ステップS103で設定された出力順に表示部11に表示する。
【0033】
<第1実施形態の効果>
以上説明した第1実施形態によれば、印刷物の発注者である顧客や、印刷物の用途に関する情報に基づいて、過去の発注に関する実績情報を抽出し、印刷物の商材や仕様に関する情報を端末装置10に出力する構成である。このため、顧客のニーズや用途に合致した商材や仕様を、端末装置10への出力に基づいて、顧客に提案することが可能となる。したがって、印刷物の発注者である顧客と、発注を受ける受注者(例えば印刷会社の営業担当者)とのコミュニケーションロスの防止を図ることができ、また印刷物について特段の知識を必要とすることなく、顧客のニーズや用途に合致した商材や仕様を提案し、発注業務を行うことが可能となる。この結果、印刷物の発注業務のプロセスの効率化を図りつつ、顧客満足度の高い印刷物の受発注を実施することが可能になる。
【0034】
また情報抽出部21aによる実績情報の抽出の設定によっては、顧客が予め決めていた商材形態に対して、より好ましい商材形態、または新たな商材形態を提案することも可能である。
【0035】
≪第2実施形態≫
第2実施形態は、第1実施形態の変形例である。図4は、第2実施形態の印刷物発注支援システムが保持するデータベースDB2を示す図である。この図に示すデータベースDB2が、第1実施形態の印刷物発注支援システムが保持するデータベースDB1と異なるところは、詳細情報(2)が、仕様情報(21)とともに、協議手順情報(22)を含むところにある。ここで協議手順情報(22)とは、各実績情報で示される印刷物の発注に際し、協議によって検討した項目、および検討した順番である。
【0036】
このようなデータベースDB2を用いた場合においての印刷物発注支援方法は、第1実施形態において図3のフローチャートを用いて説明した手順と同様に実施される。この場合、図3のステップS103において、出力処理部21bは、情報抽出部21aで抽出した実績情報の中から、予め設定された項目として協議手順情報(22)を含む出力情報を作成し、端末装置10に送信する。
【0037】
情報抽出部21aが複数の実績情報を抽出した場合、出力処理部21bは、実績情報毎の出力情報を作成すること、情報抽出部21aが抽出した実績情報をそのまま出力情報としてもよいことは、第1実施形態と同様である。
【0038】
<第2実施形態の効果>
以上説明した第2実施形態によれば、端末装置10への出力情報が、実績としての協議手順情報(22)を含むことにより、印刷物の発注業務に際して過去の協議の手順を参照することができる。このため、第1実施形態の効果に加え、発注業務においての協議を円滑に進めることが可能となる。
【0039】
≪第3実施形態≫
第3実施形態は、第1実施形態の別の変形例である。図5は、第3実施形態の印刷物発注支援システムが保持するデータベースDB3を示す図である。この図に示すデータベースDB3が、第1実施形態の印刷物発注支援システムが保持するデータベースDB1と異なるところは、詳細情報(2)が、仕様情報(21)とともに、満足度情報(23)を含むところにある。
【0040】
ここで満足度情報(23)とは、各実績情報で示される印刷物の発注作業、および出来上がった印刷物に対しての顧客の満足度を示す情報である。このような満足度情報(23)は、例えば手戻り回数、聞き直し回数、協議時間、クレーム数、クレーム内容、NPS(登録商標:ネットプロモータースコア)、および発注リピート、およびこれらを数値化したスコアである。これらの満足度情報(23)は、各実績情報に示す印刷物の発注の際、および印刷物のできあがり後に入力された情報である。満足度情報(23)は、顧客からのアンケート情報などを用いてもよい。
【0041】
このようなデータベースDB3を用いた場合においての印刷物発注支援方法は、第1実施形態において図3のフローチャートを用いて説明した手順と同様に実施される。この場合、図3のステップS102において、情報抽出部21aは、抽出した実績情報の中から、さらに満足度情報(23)を参照して、満足度情報(23)の中の特定の情報に基づいて、特定の実績情報を抽出してもよい。例えば、情報抽出部21aは、抽出した実績情報の中から、満足度のスコアが高い実績情報を抽出するようにしてもよい。
【0042】
また、図3のステップS103において、出力処理部21bは、情報抽出部21aで抽出した実績情報の中から、予め設定された項目として満足度情報(23)を含む出力情報を作成してもよい。この際、出力処理部21bは、抽出した実績情報の中から、さらに満足度情報(23)を参照し、満足度のスコアが高い順に、抽出した実績情報を表示部11に出力してもよい。
【0043】
情報抽出部21aが複数の実績情報を抽出した場合、出力処理部21bは、実績情報毎の出力情報を作成すること、情報抽出部21aが抽出した実績情報をそのまま出力情報としてもよいことは、第1実施形態と同様である。
【0044】
<第3実施形態の効果>
以上説明した第3実施形態によれば、端末装置10への出力情報が、実績としての満足度情報(23)を含むことにより、第1実施形態の効果に加え、顧客の満足度が高いと予測される仕様を提案することができるため、円滑に発注業務を進めることが可能となる。
【0045】
なお、本第3実施形態は、第2実施形態と組み合わせることも可能であり、組み合わせることにより第2実施形態の効果を得ることもできる。またデータベースDB1~DB3の詳細情報(2)は、以上の第2実施形態および第3実施形態で説明した情報の他に、実績情報毎の納期、価格、仕上がり品質などの情報を有し、実績情報を抽出する際にはこれらの情報も抽出し、出力する構成であってもよい。
【0046】
またさらにデータベースDB1~DB3の詳細情報(2)は、各実績情報に印刷物の価格に関する情報を含んでいてもよく、これにより印刷物の発注に際し、価格を参考にして印刷物の形態や仕様を決めることができる。
【0047】
≪第4実施形態≫
図6は、第4実施形態の印刷物発注支援システム4の全体構成図である。この図に示す印刷物発注支援システム4が、第1実施形態の印刷物発注支援システム1と異なるところは、情報処理装置20’の情報処理部21’が納期算出部21cを備えているところにある。納期算出部21cによる納期算出の手順は、以降の印刷物発注支援方法において詳細に説明する。
【0048】
また図7は、第4実施形態の印刷物発注支援システム4が保持するデータベースDB4を示す図である。この図に示すデータベースDB4が、第1実施形態の印刷物発注支援システムが保持するデータベースDB1と異なるところは、詳細情報(2)が、各実績情報として、仕様情報(21)とともに、工程情報(24)を含むところにある。ここで工程情報(24)とは、仕様毎の工程に関する情報であり、各仕様においての工程手順、担当者スキル、設備の混雑状況、材料の在庫状況、作業時間などであり、この他にも作業者のシフト情報を含んでいてもよい。また各実績情報として、発注毎に1つの納期情報を含んでいてもよい。
【0049】
図7においては1つの仕様に対応する1つの工程情報(24)のみを示したが、データベースDB4は、各仕様に対応する工程情報(24)を有する。このような工程情報(24)は、例えばここでの図示を省略した外部装置から定期的に入力され、更新される情報である。また各実績情報として、発注毎に1つの納期情報を含む場合、この納期情報は更新された工程情報(24)に基づいて、納期算出部21cが算出した値であることとする。
【0050】
<印刷物発注支援方法>
図8は、第4実施形態の印刷物発注支援プログラムが実施する印刷物発注支援方法のフローチャートである。このフローチャートは、図6を用いて説明した印刷物発注支援システム4の情報処理装置20’が有する印刷物発注支援プログラムによって実施される印刷物発注支援方法の手順を示している。以下、図8のフローチャートに従い、図6および図7を参照して第4実施形態に係る印刷物発注支援方法を説明する。
【0051】
[ステップS401]
ステップS401において、情報抽出部21aは、端末装置10から印刷物の仕様に関する情報を取得したか否かの判断を実施する。情報抽出部21aは、端末装置10から情報を受信した場合に、受信した情報が、発注対象となる印刷物の形態情報と、その形態の印刷物を構成する全ての仕様情報を含む場合に、仕様に関する情報を取得した(YES)と判断し、次のステップS402に進む。なお、この様な情報は、例えば顧客との協議によって発注対象となる印刷物の形態と仕様とが設定された場合に、操作者(例えば印刷会社の営業担当者)が、端末装置10から入力した情報であることとする。
【0052】
情報抽出部21aは、仕様に関する情報を取得した(YES)と判断されるまで、判断を繰り返す。なお、情報抽出部21aは、受信した仕様に関する情報に不足がある場合には、端末装置10に対して、不足している情報の入力を促す警告を送信してもよい。
【0053】
[ステップS402]
ステップS402において、情報抽出部21aは、データベース保持部22に保持されたデータベースDB4を参照し、ステップS401で取得した全ての仕様に適合する工程情報(24)を抽出し、さらに抽出した工程情報(24)が含む作業日数を抽出する。
【0054】
[ステップS403]
ステップS403において、納期算出部21cは、ステップS402で抽出した全ての作業日数を合計して納期を算出する。
【0055】
[ステップS404]
ステップS404において、出力処理部21bは、納期算出部21cが算出した納期を、端末装置10に送信する。この場合、出力処理部21bは、ステップS403で算出した納期とともに、ステップS402で抽出した工程情報(24)からなる出力情報を作成し、作成した出力情報を端末装置10に送信してもよい。以上により、処理を終了させる。
【0056】
これにより、端末装置10は、情報処理装置20’から送信された納期、さらには工程情報を表示部11に表示する。
【0057】
<第4実施形態の効果>
以上説明した第4実施形態によれば、端末装置10の操作者(例えば印刷会社の営業担当者)は、印刷物の作製現場への確認によらず、設定した印刷物の仕様に関する納期を知ることができ、発注業務の効率化を図ることができる。なお、本第4実施形態は、第2実施形態および第3実施形態と組み合わせることも可能であり、組み合わせることにより第2実施形態および第3実施形態の効果を得ることもできる。
【0058】
なお、以上の第4実施形態で示したデータベースDB4を有する場合、印刷物発注支援方法として、第1実施形態において図3のフローチャートを用いて説明した手順と同様の手順も実施される。この場合、ステップS102において、情報抽出部21aは、工程情報(24)を含む実績情報を抽出する。またステップS103において、出力処理部21bは、情報抽出部21aで抽出した実績情報の中から、予め設定された項目として工程情報(24)を含む出力情報を作成してもよい。
【0059】
また、以上の第4実施形態においては、データベースDB4の詳細情報(2)が、各実績情報として、仕様情報(21)とともに、工程情報(24)を含むこととした。しかしながら、工程情報(24)は、仕様毎の工程に関する情報として保持されていればよく、実績情報に含まれていなくてもよい。この場合、図3のフローチャートに示すステップS102において、情報抽出部21aは、工程情報(24)を含まない実績情報を抽出することになる。
【0060】
≪第5実施形態≫
第5実施形態は、第4実施形態の変形例である。図9は、第5実施形態の印刷物発注支援システム5の全体構成図である。この図に示す第5実施形態の印刷物発注支援システム5が、第4実施形態の印刷物発注支援システム4と異なるところは、工程管理装置30を備えたところにある。他の構成は、第4実施形態の印刷物発注支援システム4と同様であることとする。
【0061】
工程管理装置30は、印刷会社における設備、材料、および担当者を管理する装置であって、先の第4実施形態で説明した工程情報(24)を管理するサーバー装置である。この工程管理装置30は、工程情報(24)を格納したデータベースを保持する。この工程管理装置30は、情報処理装置20’との間で情報の送受信を行い、情報処理装置20’に対して必要な情報を提供する。このような工程管理装置30による情報を提供の手順は、次の印刷物発注支援方法において詳細に説明する。
【0062】
<印刷物発注支援方法>
図10は、第5実施形態の印刷物発注支援プログラムが実施する印刷物発注支援方法のフローチャートであって、第5実施形態に係る印刷物発注支援プログラムが実施する印刷物発注支援方法の手順を示している。以下、図10のフローチャートに従い、図9を参照して第5実施形態に係る印刷物発注支援方法を説明する。
【0063】
[ステップS501]
ステップS501において、情報抽出部21aは、端末装置10から商材仕様に関する情報を取得したか否かの判断を実施する。このステップS501は、第4実施形態のステップS401と同様に実施される。
【0064】
すなわち、情報抽出部21aは、端末装置10から情報を受信した場合に、受信した情報が、発注対象となる印刷物の形態情報と、その形態の印刷物を構成する全ての仕様情報を含む場合に、仕様に関する情報を取得した(YES)と判断し、次のステップS402に進む。なお、この様な情報は、例えば顧客との協議によって発注対象となる印刷物の形態と仕様とが設定された場合に、操作者(例えば印刷会社の営業担当者)が、端末装置10から入力した情報であることとする。
【0065】
情報抽出部21aは、仕様に関する情報を取得した(YES)と判断されるまで、判断を繰り返す。なお、情報抽出部21aは、受信した仕様に関する情報に不足がある場合には、端末装置10に対して、不足している情報の入力を促す警告を送信してもよい。
【0066】
[ステップS502]
ステップS502において、情報抽出部21aは、工程管理装置30のデータベース保持部22に保持されたデータベースを参照し、ステップS501で取得した全ての仕様に適合する工程情報(24)を抽出し、さらに抽出した工程情報(24)が含む作業日数を抽出する。
[ステップS503]
ステップS503において、納期算出部21cは、ステップS502で抽出した全ての作業日数を合計して納期を算出する。
【0067】
[ステップS504]
ステップS504において、出力処理部21bは、納期算出部21cが算出した納期を、端末装置10に送信する。この場合、出力処理部21bは、ステップS503で算出した納期とともに、ステップS502で抽出した工程情報(24)からなる出力情報を作成し、作成した出力情報を端末装置10に送信してもよい。以上により、処理を終了させる。
【0068】
これにより、端末装置10は、工程管理装置30のデータベースから抽出され情報処理装置20’から送信された納期、さらには工程情報を表示部11に表示する。
【0069】
<第5実施形態の効果>
以上説明した第5実施形態によれば、端末装置10の操作者(例えば印刷会社の営業担当者)は、印刷物の生産現場への確認によらず、設定した商材と仕様に関する納期を、即時的に知ることができ、発注業務の効率化を図ることができる。
【0070】
なお、本第5実施形態は、第2実施形態および第3実施形態と組み合わせることも可能であり、組み合わせることにより第2実施形態および第3実施形態の効果を得ることもできる。
【符号の説明】
【0071】
1,4,5…印刷物発注支援システム
10…端末装置
11…表示部
12…入力部
20,20’…情報処理装置
21a…情報抽出部
21b…出力処理部
21c…納期算出部
30…工程管理装置
DB1,DB2,DB3,DB4…データベース
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10