(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-08
(45)【発行日】2024-05-16
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 15/08 20060101AFI20240509BHJP
G03G 15/00 20060101ALI20240509BHJP
【FI】
G03G15/08 343
G03G15/00 550
G03G15/08 380
(21)【出願番号】P 2020121618
(22)【出願日】2020-07-15
【審査請求日】2023-06-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100167302
【氏名又は名称】種村 一幸
(74)【代理人】
【識別番号】100135817
【氏名又は名称】華山 浩伸
(72)【発明者】
【氏名】大橋 広章
【審査官】金田 理香
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-187671(JP,A)
【文献】特開2010-286655(JP,A)
【文献】特開2008-224877(JP,A)
【文献】特開2018-60076(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G13/00
13/08
13/095
15/00
15/08
15/095
21/00
21/04
21/10-21/12
21/16-21/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め定められた第1装着位置でトナー容器を着脱可能に支持する第1装着部を有するトナー補給部と、
予め定められた第2装着位置で前記トナー容器を着脱可能に支持する第2装着部を有する廃トナー回収部と、を備え、
前記トナー容器は、
前記トナー容器の種別に対応する前記第1装着部と係合して前記第1装着部の前記第1装着位置に前記トナー容器を位置決めするための位置決め部材と、
前記トナー容器の種別に対応する位置に設けられ、前記第1装着部に対して択一的な装着を可能とする互換キーと、を有し、
前記第1装着部は、
前記トナー容器の前記位置決め部材と係合して前記トナー容器を前記第1装着位置に位置決めする第1係合部を有し、
前記第2装着部は、
前記トナー容器の前記位置決め部材と係合して前記トナー容器を前記第2装着位置に位置決めする第2係合部を有し、
前記第1係合部及び前記位置決め部材は、前記第1装着部に対応する種別の前記トナー容器が択一的に装着可能な形状に形成されており、
前記第2係合部は、複数種別の前記トナー容器のいずれに対しても前記位置決め部材が係合可能な形状に形成されている、画像形成装置。
【請求項2】
前記第1装着部及び前記第2装着部は、いずれも、予め定められた装着位置へ向けて挿入される前記トナー容器を支持可能に構成されており、
前記位置決め部材は、前記トナー容器における挿入方向の先端部から前記挿入方向へ向けて突出する突出部材であり、
前記第1係合部及び前記第2係合部は、前記位置決め部材を挿通可能な筒状部材である、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記第2係合部は、所定の内径を有する円筒形状に形成されており、
前記位置決め部材は、非円柱形状に形成されており、その最大半径部分の外周部は前記第2係合部の内周面に摺接する、請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記位置決め部材の前記最大半径部分の外周部は前記第2係合部の内周面に摺接可能な円弧形状に形成されている、請求項3に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装着互換性を有するトナー容器を着脱可能に支持する装着部を備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置には現像装置が搭載されている。現像装置の内部にはトナーを含む現像剤が収容されている。画像形成装置は、トナー容器が装着される容器装着部を有しており、前記トナー容器が前記容器装着部に装着されると、前記トナー容器から前記現像装置にトナーが補給可能となる。現像装置は、感光体ドラム上に形成された静電潜像を前記現像剤に含まれるトナーによって現像する。感光体ドラムに現像されたトナー像は、印刷用紙に転写される。また、カラー画像形成装置においては、複数の感光体ドラムから転写ベルトに各色のトナー像が転写され、その後、転写ベルトから印刷用紙にトナー像が転写される。印刷用紙に転写されたトナー像は、定着装置によって印刷用紙に定着される。
【0003】
トナー像が転写された後の感光体ドラムや転写ベルトなどの像担持体上には、印刷用紙に転写されなかったトナーが残存している場合がある。そのため、従来、像担持体上の残存するトナーを除去して廃トナーとして回収する廃トナー回収装置が知られている。この種の廃トナー回収装置は、除去された廃トナーを収容する廃トナー容器を備える。従来、現像装置に補給するためのトナー補給容器の空き容器を廃トナー容器に兼用することが可能な画像形成装置が知られている。
【0004】
また、従来の画像形成装置に装着されるトナー補給用のトナー容器は、その種別に応じた位置に一つ又は複数の互換キーを備えている場合がある(特許文献1参照)。前記互換キーは、特定の装着部に対して、当該装着部に対応する種別のトナー容器だけを装着可能とする、いわゆる非互換構造を実現する部材である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
トナー容器の種別の分類数が多ければ多いほど、多数の前記互換キーが必要とされる。近年、トナー容器の種別は、トナーの色によって分類されるだけでなく、例えば、使用環境や使用される国(仕向け地)ごとに、トナーの材質や収容量、色味などの仕様が異なっており、トナー容器の種別の細分化が進み、トナー容器の種別が増加する傾向にある。しかしながら、トナー容器における前記互換キーの設置数には限界があり、トナー容器の種別に対して前記互換キーが不足する場合がある。また、前記互換キーをむやみに増加させると、トナー補給容器の空き容器を廃トナー容器として廃トナー回収装置に装着することができなくなるおそれがある。
【0007】
本発明は、トナー容器における既存の互換キーを増加させることなく、トナー容器の複数の種別に対応する非互換構造の識別数を増加させるとともに、使用済みのトナー容器を廃トナー回収装置に容易に装着することが可能な画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一の局面に係る画像形成装置は、予め定められた第1装着位置でトナー容器を着脱可能に支持する第1装着部を有するトナー補給部と、予め定められた第2装着位置で前記トナー容器を着脱可能に支持する第2装着部を有する廃トナー回収部と、を備える。
前記トナー容器は、前記トナー容器の種別に対応する前記第1装着部と係合して前記第1装着部の前記第1位置に前記トナー容器を位置決めするための位置決め部材と、前記トナー容器の種別に対応する位置に設けられ、前記第1装着部に対して択一的な装着を可能とする互換キーと、を有する。前記第1装着部は、前記トナー容器の前記位置決め部材と係合して前記トナー容器を前記第1装着位置に位置決めする第1係合部を有する。前記第2装着部は、前記トナー容器の前記位置決め部材と係合して前記トナー容器を前記第2装着位置に位置決めする第2係合部を有する。
前記第1係合部及び前記位置決め部材は、前記第1装着部に対応する種別の前記トナー容器が択一的に装着可能な形状に形成されている。前記第2係合部は、複数種別の前記トナー容器のいずれに対しても前記位置決め部材が係合可能な形状に形成されている。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、トナー容器における既存の互換キーを増加させることなく、トナー容器の複数の種別に対応する非互換構造の識別数を増加させるとともに、使用済みのトナー容器を廃トナー回収装置に容易に装着することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に係る画像形成装置の構成を示す図である。
【
図2】
図2は、画像形成装置が備えるトナー補給装置の斜視図である。
【
図3】
図3は、トナー補給装置に着脱可能なトナー容器の斜視図である。
【
図4】
図4は、トナー容器の連結部材の拡大斜視図である。
【
図5】
図5は、トナー容器の挿入方向の先端部の断面図である。
【
図6】
図6は、トナー容器の連結部材の正面図である。
【
図7】
図7は、トナー補給装置が備える連結支持部の構成を示す図である。
【
図8】
図8は、画像形成装置が備えるト廃トナー回収装置の斜視図である。
【
図9】
図9は、廃トナー回収装置の被連結部を示す斜視図である。
【
図10】
図10は、被連結部が備える突出ボスの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係る画像形成装置10について説明する。以下の説明では、画像形成装置10が設置された状態を基準として定めた上下方向D1、前後方向D2、及び左右方向D3を用いる場合がある。
【0012】
[画像形成装置]
画像形成装置10は、少なくとも印刷機能を備えた装置であり、例えば、カラープリンターである。画像形成装置10は、トナーを含む現像剤を用いて、シート部材である印刷用紙に画像を印刷する。画像形成装置10の具体例は、例えばプリンターや複写機、ファクシミリ、又は、これらの各機能を備えた複合機である。また、画像形成装置10は、カラー画像を形成可能なものであるが、トナー容器41を用いるものであれば、モノクロの画像を形成可能に構成されたものであってもよい。
【0013】
図1に示すように、画像形成装置10は、いわゆるタンデム方式のカラー画像形成装置である。画像形成装置10は、複数の画像形成部1~4と、中間転写ユニット5と、露光装置14と、二次転写装置15と、定着装置16と、トナー補給装置40(本発明のトナー補給部の一例)と、ベルトクリーニング装置6と、廃トナー回収装置110(本発明の廃トナー回収部の一例)と、タッチパネルや液晶表示部などを有する操作表示部9と、制御部8と、給紙トレイ17と、排紙トレイ18とを備えている。これらの構成要素は、画像形成装置10の外部フレーム(不図示)や内部フレームなどを構成する筐体11に取り付けられている。
【0014】
画像形成部1~4は、並設された複数の感光体ドラム21それぞれに色の異なるトナー像を所謂電子写真方式によって形成する。前記トナー像は、走行中(移動中)の中間転写ベルト5Aに順次重ね合わさるように転写される。
図1に示される例では、中間転写ベルト5Aの移動方向(矢印D10方向)の下流側から順に、黒色用の画像形成部1、イエロー用の画像形成部2、シアン用の画像形成部3、及びマゼンタ用の画像形成部4がその順番で一列に配置されている。
【0015】
画像形成部1~4それぞれは、中間転写ベルト5Aの下側に設けられている。画像形成部1~4それぞれは、トナー像を担持する感光体ドラム21、帯電装置22、現像装置23、一次転写装置24等を備えている。感光体ドラム21の表面は帯電装置22によって帯電され、帯電された感光体ドラム21の表面が露光装置14によって露光走査される。これにより、感光体ドラム21の表面に静電潜像が形成される。現像装置23は、前記静電潜像をトナーによって現像する。そして、一次転写装置24によって、感光体ドラム21上のトナー像が中間転写ベルト5Aに転写される。
【0016】
中間転写ユニット5は、中間転写ベルト5Aと、駆動ローラー7Aと、従動ローラー7Bとを有する。中間転写ベルト5Aは、複数色(本実施形態では4色)のトナー像からなるトナー像を担持する。中間転写ベルト5Aは、駆動ローラー7A及び従動ローラー7Bによって回転駆動可能に支持されることにより、その表面が各感光体ドラム21の表面に接しながら移動可能となる。中間転写ベルト5Aが回転駆動されると、下側のベルト部が感光体ドラム21と一次転写装置24との間を通過する。その際に、複数の感光体ドラム21に担持された各色のトナー像が重ね合わさるように順に中間転写ベルト5Aに転写される。
【0017】
中間転写ユニット5の上方にトナー補給装置40が設けられている。トナー補給装置40は、黒、シアン、イエロー、マゼンタの各色に対応する4つのトナー容器41が装着される容器装着部42を有している。容器装着部42は、トナー容器41を着脱可能に構成されている。トナー補給装置40の構成については後述する。
【0018】
二次転写装置15は、中間転写ベルト5Aに転写されたトナー像を給紙トレイ17から搬送されてきた印刷用紙に転写する。トナー像が転写された印刷用紙は、図示しない搬送部によって定着装置16に搬送される。定着装置16は、加熱ローラー16Aと加圧ローラー16Bとを有する。定着装置16は、トナー像が転写された印刷シートに対して熱と圧力を加えながら搬送する。これにより、トナー像が溶融して印刷シートに定着される。トナー像が定着された印刷シートは、更に下流側へ搬送されて、中間転写ユニット5の上方に配置されたトレイ状の排紙トレイ18に排出されて保持される。
【0019】
ベルトクリーニング装置6は、中間転写ベルト5Aの表面に残存した廃トナーを除去して回収し、回収した廃トナーを廃トナー回収装置110に搬送する。ベルトクリーニング装置6は、中間転写ユニット5の前方側に配置されている。ベルトクリーニング装置6は、クリーニング部材であるクリーニングローラー25、スクリュー部材26、及びトナーボックス27を備えている。クリーニングローラー25は、従動ローラー7Bと対向するように配置されており、その表面が中間転写ベルト5Aに接触している。クリーニングローラー25の前後方向D2の長さは、中間転写ベルト5Aとほぼ同じである。クリーニングローラー25は、トナーボックス27内で回転可能に支持されている。クリーニングローラー25の支軸に回転駆動力が入力されることによってクリーニングローラー25が回転する。
【0020】
クリーニングローラー25は、中間転写ベルト5Aに接触した状態で回転されることにより、二次転写装置15による転写後に中間転写ベルト5Aの表面に残留したトナーを取り除く。以下、クリーニングローラー25によって取り除かれたトナーを「廃トナー」と称する。前記廃トナーは、クリーニングローラー25の回転力、あるいは重力によってトナーボックス27に取り入れられて回収される。トナーボックス27に回収された廃トナーは、スクリュー部材26により搬送される。トナーボックス27の底面の後端部側に排出口(不図示)が形成されている。スクリュー部材26が回転されることにより、前記廃トナーがトナーボックス27内を前記排出口へ向けて搬送される。
【0021】
廃トナー回収装置110は、トナーボックス27の下方に設けられている。廃トナー回収装置110は、廃トナー容器111を着脱可能に構成されている。ベルトクリーニング装置6の前記排出口から廃トナーが排出されると、廃トナー回収装置110に装着された廃トナー容器111内に廃トナーが貯留される。つまり、中間転写ベルト5Aの表面に残留したトナーは、ベルトクリーニング装置6によって取り除かれた後に廃トナーとして廃トナー容器111に収容される。本実施形態では、廃トナー容器111として、トナー補給装置40で使用された空のトナー容器41を兼用することが可能である。なお、廃トナー回収装置110については後述する。
【0022】
[トナー補給装置]
以下、
図2乃至
図7を参照して、トナー補給装置40について説明する。
【0023】
図2に示すように、トナー補給装置40は、トナー容器41と、トナー容器41が装着される容器装着部42とにより構成されている。なお、
図2は、黒色用のトナー容器41だけが容器装着部42に装着された状態を示す。また、各図では、筐体11にトナー補給装置40が取り付けられた取付姿勢を基準にして、上下方向D1、前後方向D2、左右方向D3を定められている。また、各図では、トナー容器41の挿入方向が符号D21で示されており、取り外し方向が符号D22で示されている。
【0024】
トナー容器41は、現像装置23に補給するためのトナーを収容する。本実施形態では、黒、イエロー、シアン、マゼンタの各色に対応する4つのトナー容器41がトナー補給装置40に設けられている。なお、黒色用のトナー容器41は、他の色のトナー容器41に比べて外径が大きく形成されているが、この点を除き、全てのトナー容器41は同じ構成である。以下、特筆しない限り、黒色用のトナー容器41について説明する。
【0025】
トナー容器41は、容器装着部42及び後述の廃トナー回収装置110に着脱可能に構成されている。トナー容器41は、画像形成装置10の仕様に適合したものである。前記仕様は、例えば、使用環境や使用される国(仕向け地)ごとに異なるように設定されたトナーの材質やトナーの収容量、トナーの色味などである。本実施形態では、画像形成装置10の仕様に適合したトナー容器41だけが容器装着部42に装着することが可能であり、画像形成装置10の仕様に適合していないトナー容器(以下「不適合容器」と称する場合がある。)は、容器装着部42に装着することができないように構成されている。
【0026】
図3に示すように、トナー容器41は、前後方向D2に長い形状に形成されている。トナー容器41は、主として、容器本体52、ウォームホイール55、連結部材56を有する。
【0027】
容器本体52は、概ね円筒形状に形成されている。容器本体52の内部にトナーが収容されている。容器本体52は、一方側(後方側)の端部(先端部の一例)に、トナーの流出が可能な流出口51(
図5参照)を有している。流出口51は、トナー補給装置40に対するトナー容器41の挿入方向D21側(後方側)の端部に形成されている。内部に収容されたトナーは、流出口51から外部に流出可能である。なお、容器本体52の他方側(前方側)の端部は閉塞されており、したがって、容器本体52は、円筒状のボトル形状に形成されている。
【0028】
容器本体52は、例えばポリエチレンテレフタラート(PET樹脂)などの合成樹脂を材料として、ブロー成形法又はインジェクション成形法によって形成される。容器本体52の後方側(挿入方向D21側)の端部は、前記挿入方向D21へ向けて突出する小径円筒状のネック部57である。容器本体52のネック部57の端部に円形状の流出口51が設けられている。
【0029】
容器本体52は、容器本体52の内部のトナーを流出口51へ向けて搬送するトナー搬送部としての搬送リブ53を有する。搬送リブ53は、容器本体52の内面に形成されており、螺旋形状の山形状のリブである。搬送リブ53は容器本体52の内面から容器本体52の中心へ向けて突出している。この搬送リブ53は、容器本体52内のトナーを流出口51(
図5参照)側へ搬送する役割を担う。
【0030】
図4に示すように、容器本体52の流出口51側には、駆動伝達部としてのウォームホイール55が装着されている。ウォームホイール55は、容器本体52に固定されている。ウォームホイール55は、搬送リブ53によるトナーの搬送動作に必要とする回転駆動力を容器本体52に付与する。ウォームホイール55は、その周面にギヤ54が形成された環状の部材である。ウォームホイール55は、ネック部57に嵌め入れられて、その外周面に固定されている。ウォームホイール55は、モータなどの駆動源から回転駆動力を受けて、トナー容器41に矢印D11の回転駆動力を伝達する。
【0031】
容器本体52において、ウォームホイール55よりも前記挿入方向D21側(後方側)に連結部材56が設けられている。連結部材56は、流出口51を覆うものであり、容器本体52の前記挿入方向D21側の端部に取り付けられている。連結部材56は、樹脂成型品であり、熱可塑性を有する合成樹脂を射出成形などによって形成されたものである。
【0032】
連結部材56は、容器本体52に取り付けられた状態で、ネック部57(
図5参照)が挿入される円筒形状の収容フレーム58を有する。ネック部57が収容フレーム58に挿入されることにより、収容フレーム58の内部に流出口51が配置される。これにより、流出口51が収容フレーム58によって覆われる。収容フレーム58は、ネック部57を周方向に回動可能に支持している。このため、収容フレーム58にネック部57が挿入された状態で、容器本体52が周方向に回動可能である。
【0033】
トナー容器41が容器装着部42(
図2参照)に装着されると、連結部材56が備える後述の連結部80(
図3参照)と、容器装着部42が備える後述の被連結部90(
図7参照)とが係合し、トナー容器41が容器装着部42に装着される。連結部80が被連結部90に係合することによって、連結部材56は、トナー容器41の周方向への回動が規制される。トナー容器41が容器装着部42に装着された状態で、連結部材56は前記周方向に回転できなくなるが、容器本体52は容器装着部42内において前記周方向に回動可能に支持される。
【0034】
トナー容器41が容器装着部42に装着された状態で、ウォームホイール55に回転駆動力が伝達されると、容器本体52は、その回転駆動力によって矢印D11(
図3参照)に示す回転方向へ回転する。つまり、トナー容器41は、現像装置23にトナーを供給可能な状態で、その長手方向を回転中心として回転する。このようにトナー容器41の容器本体52が回転することによって、搬送リブ53により押されつつトナーが流出口51側(後方側)へ搬送される。
【0035】
連結部材56は、トナー排出口74(
図5参照)を有する。トナー排出口74は、容器本体52に収容されたトナーを外側へ排出するためのものであり、連結部材56の外周壁に設けられている。トナー排出口74は、
図5において、連結部材56の下側に設けられている。具体的に、トナー排出口74は、連結部材56の外周壁を貫通する矩形状の貫通孔である。
図5に示すように、連結部材56の内部には、流出口51とトナー排出口74との間にトナー流通路75が形成されている。トナー容器41がトナー排出口74を下側にして容器装着部42(
図2参照)に装着されると、容器本体52の流出口51からトナー流通路75に移動したトナーは、トナー流通路75を通って下方へ案内されて、トナー排出口74に達する。そして、トナー排出口74が開放されている場合、トナーはトナー排出口74から下方外側へ排出される。これにより、トナーが現像装置23に補給される。一方、トナー排出口74がシャッター部材76によって閉塞されている場合、トナーは排出されず、トナー流通路75がトナーで満たされた状態となる。
【0036】
図5に示すように、連結部材56に開閉部材としてのスライド式のシャッター部材76が設けられている。シャッター部材76は、プレート形状の部材であり、容器本体52の長手方向(前後方向D2)へスライド可能に連結部材56に支持されている。シャッター部材76は、容器装着部42に対するトナー容器41の位置に応じて、トナー排出口74を開閉する。
図5では、シャッター部材76が前方側へ移動してトナー排出口74を開放した状態が示されている。シャッター部材76は、トナー容器41が容器装着部42に装着されると、その装着動作に伴いトナー排出口74を開放する開放位置へ移動されて、トナー排出口74が開放される。また、トナー容器41が容器装着部42から取り外されると、その取り外し動作に伴いシャッター部材76は前記開放位置から後方へ移動してトナー排出口74を閉塞する位置(閉塞位置)まで移動されて、トナー排出口74が閉塞される。なお、容器装着部42には、図示しないコイルバネなどの付勢部材が設けられており、前記開放位置から前記閉塞位置までのシャッター部材76の移動は、トナー容器41の取り外し動作にともない前記付勢部材がその付勢力によってシャッター部材76を相対的に後方へ移動させることにより行われる。
【0037】
図4に示すように、連結部材56は、収容フレーム58よりも前記挿入方向D21側に、内部が空洞の円筒状の基部59を有する。この基部59に、後述の連結部80が一体に形成されている。基部59の前記挿入方向D21側の端面59A(
図5参照)には、端面59Aから突出するアーチ状のガイド壁61が設けられている。ガイド壁61は、端面59Aの下端部の中央に設けられている。このガイド壁61によって囲まれた孔60は、後述の収容部44(本発明の第1装着部の一例、
図2参照)にトナー容器41が装着されたときに、容器装着部42が備えるコイルバネ(不図示)が挿通される部分である。
【0038】
また、端面59Aの中央に突起88(本発明の位置決め部材の一例)が一体に形成されている。突起88は、収容部44にトナー容器41が装着されたときに、容器装着部42に定められた装着位置(第1装着位置)にトナー容器41を位置決めするための部材である。なお、前記装着位置は、トナー排出口74から排出されるトナーが現像装置23の補給口に供給可能な位置である。
【0039】
突起88は、端面59Aから前記挿入方向D21へ向けて突出する突出部材である。突起88は、収容部44にトナー容器41が装着されたときに、容器装着部42の連結支持部45に設けられた突出ボス94(
図7参照、本発明の第1係合部の一例)の孔96に係合される。具体的には、突起88は、孔96に挿入される。これにより、突起88と突出ボス94との係合によって、収容部44に定められた装着位置にトナー容器41が位置決めされる。なお、収容部44にトナー容器41が装着されたときに前記コイルバネが圧縮されつつ孔60に挿通されるため、前記コイルバネのバネ力によってトナー容器41が外れないように、不図示のロック機構によって、収容部44における前記装着位置でトナー容器41はロックされる。
【0040】
本実施形態では、各色のトナー容器41それぞれの突起88、及び突起88が挿入可能な後述の突出ボス94は、画像形成装置10の各収容部44それぞれに対応するトナー容器41が択一的に装着可能な形状に形成されている。各色のトナー容器41それぞれの突起88は、画像形成装置10に装着可能なトナー容器41に固有の形状に形成されている。また、突起88が挿入可能な後述の突出ボス94の孔96は、画像形成装置10に固有の形状に形成されている。
【0041】
図6に示すように、突起88は、略三角柱形状(非円柱形状)に形成されている。ここで、
図6は、トナー容器41Aの連結部材56の正面図である。具体的には、突起88は、正三角柱の各角部88A(本発明の最大半径部分の一例)が突起88の中心線を中心とする半径R1の円弧形状に形成された柱状部材である。また、この突起88に対応する突出ボス94は、突起88が挿入可能なように、断面が略三角形状の孔96(
図7参照)を有する。このため、本実施形態の画像形成装置10に、他の種別の画像形成装置に装着可能な他の種別のトナー容器が挿入されても、他のトナー容器の突起の形状が突出ボス94の孔96の形状に対応していないため、前記他のトナー容器は本実施形態の画像形成装置10のいずれの収容部44にも装着することができない。
【0042】
図2に示すように、容器装着部42は、第1装着部としての4つの収容部44(44A~44D)を有する収容ケース43と、収容ケース43の後背面に取り付けられた連結支持部45とを備える。なお、
図2では、連結支持部45は二点鎖線で示されている。
【0043】
収容ケース43の各収容部44は、予め定められた色のトナー容器41を着脱可能に支持する。最も右端の収容部44Aは、黒色に対応するトナー容器41が収容される。
図2では、黒色用のトナー容器41が収容部44に挿入された状態が示されている。本実施形態では、容器装着部42は、各収容部44において、トナー容器41を横置きにされた状態、つまり、水平状態で支持する。
【0044】
連結支持部45は、収容部44に挿入されるトナー容器41の連結部80と連結してトナー容器41の後方端部を固定するとともに、収容部44に定められた装着位置でトナー容器41を支持する。連結支持部45は、収容ケース43とは別部材として構成されており、収容ケース43や筐体11内の内部フレームに取り付けられている。連結支持部45に、4つの収容部44に対応する4つの被連結部90が設けられている。なお、容器装着部42は、連結支持部45と収容ケース43とが一体に構成されたものであってもよい。
【0045】
本実施形態では、画像形成装置10に不適合なトナーを有する前記不適合容器が装着できないように構成されている。ここで、不適合なトナーとは、例えば、画像形成装置10の仕様に適合していないトナーである。画像形成装置10が、使用環境や使用国(仕向け地)ごとにトナーの材質やトナーの収容量が異なる仕様である場合、その仕様に適合するトナー以外のトナーが用いられると、画質低下をもたらしたり、画像形成部が故障する場合がある。また、同系色のトナーであっても、使用国によって色味を異ならせている場合があり、この場合には、ユーザーが期待する色味の画像を実現することができなくなる。このため、本実施形態の画像形成装置10は、その仕様に適合するトナー容器41だけが、当該トナー容器41に対応する収容部44に装着可能に構成されている。言い換えると、各収容部44は、装着互換性を有するトナー容器41を択一的に装着可能とするものである。このため、トナー容器41の前記挿入方向D21の先端部に連結部80が設けられており、また、連結支持部45に被連結部90が設けられている。
【0046】
トナー容器41が収容部44に挿入されて、トナー容器41の連結部80が被連結部90に係合した場合に、トナー容器41の装着が許容される。一方、被連結部90にトナー容器41の連結部80が係合できない場合は、トナー容器41の装着が禁止される。このように被連結部90と連結部80とによる装着互換性を実現する構造は、一般に、非互換構造と称されている。
【0047】
以下、連結部80の構成について説明する。
【0048】
図4に示すように、連結部80は、連結部材56の基部59の端面59A(
図5参照)に設けられている。ここで、
図4は、黒色に対応する収容部44に挿入される黒色用のトナー容器41の先端部を示す。以下、説明の便宜上、黒色のトナー容器41をトナー容器41Aと表記し、それに設けられた連結部80を連結部80Aと表記する。
【0049】
トナー容器41Aの前記挿入方向D21の先端部に連結部80Aが設けられている。黒色のトナー容器41Aに限られず、イエロー、シアン、マゼンタの各色に対応する各トナー容器41にも連結部80が設けられている。各色それぞれの連結部80は、同じ形状に形成されており、かつ、画像形成装置10の種別に固有の形状に形成されている。以下、各色に対応する連結部80を代表して、
図4を用いて黒色に対応する連結部80Aについて説明する。
【0050】
図4に示すように、連結部80Aは、トナー容器41Aの連結部材56に一体に設けられている。連結部材56は、上述したように、内部が空洞の筒状の基部59を有している。連結部80Aは、その基部59の端面59Aに設けられている。連結部80Aは、連結部材56の成形時に一体に形成される。
【0051】
連結部80Aは、4つの互換キー81(本発明の互換キーの一例)を有する。4つの互換キー81それぞれは、黒色に対応する被連結部90Aに係合可能な位置に設けられている。互換キー81は、端面59Aから前記挿入方向D21側(つまり被連結部90A側)へ突出する突出部材であり、先端が扁平な形状に形成されている。互換キー81は、電気を通さない絶縁体で構成されている。4つの互換キー81は、トナー容器41Aが容器装着部42の収容部44Aに装着された装着状態で被連結部90が備える干渉キー99(
図7参照)に干渉しない位置に形成されている。
【0052】
本実施形態では、
図6に示すように、互換キー81の配置可能な位置として、突起88の中心点を中心とする円の円周上に位置P1~P8が定められている。位置P1~P8は、各トナー容器41それぞれの連結部80において同じ位置に定められており、突起88の中心点を基準にして等角度間隔を隔てて前記円の円周上に定められている。つまり、位置P1~P8は、連結部80Aにおいて前記円周上に沿って配置されている。
図6に示される例では、端面59Aにおいて、ガイド壁61からCW方向(時計回転方向)に隣接して位置P1が定められており、その位置P1から前記CW方向へ等角度間隔を隔てて位置P2~P8が定められている。
図6に示すように、位置P1~P8は、突起88の中心を通る鉛直線を基準に左右対象となるように定められている。トナー容器41Aにおいて、4つの互換キー81は、位置P1~P8のうち、位置P1,P3,P5,P7に設けられている。言い換えると、4つの互換キー81は、連結部80Aの端面59Aにおいて前記円の円周方向に沿って配置されている。
【0053】
以下、連結支持部45及び被連結部90(90A~90D)の構成について説明する。
【0054】
図7に示すように、連結支持部45は、収容ケース43の後背面に装着可能なフレーム91を有する。ここで、
図7は、トナー補給装置40が備える連結支持部45の構成、及び被連結部90Aの詳細を示す図である。
図7において、被連結部90Aの部分拡大図は斜視図として示されている。
【0055】
フレーム91は、左右方向D3に長い形状に形成されている。フレーム91の前方側の取付面92に4つの被連結部90(90A~90D)と、3つの駆動伝達部93(93A~93C)と、送風ファン95とが取り付けられている。
【0056】
4つの被連結部90は、フレーム91の長手方向に一直線上に並んで配置されている。最も右端の被連結部90Aは、黒色用のトナー容器41Aと連結される。被連結部90Aの左側に配置された被連結部90B,90C,90Dは、それぞれ、イエロー、シアン、マゼンタの各色に対応するトナー容器41と連結される。
【0057】
駆動伝達部93は、筐体11内のモータなどの駆動源から回転駆動力を受けて、トナー容器41のギヤ54に回転駆動力を伝達する。各駆動伝達部93は、取付面92から垂直に突出する筒状の支持部(不図示)に回転可能に支持されたギヤ98を有している。
【0058】
駆動伝達部93Aは、被連結部90Aの近傍に設けられており、収容部44Aに黒色用のトナー容器41が装着された状態で、ギヤ98がギヤ54に連結される。駆動伝達部93Bは、被連結部90Bの近傍に設けられており、収容部44Bにトナー容器41が装着された状態で、ギヤ98がギヤ54に連結される。また、駆動伝達部93Cは、被連結部90Cと被連結部90Dとの間に設けられており、収容部44C及び収容部44Dそれぞれにトナー容器41が装着された状態で、それぞれのギヤ98が各トナー容器41のギヤ54に連結される。
【0059】
4つの被連結部90(90A~90D)それぞれは、同じ形状に形成されており、同じ構成を有している。そのため、以下においては、各色に対応する各被連結部90を代表して、黒色に対応する被連結部90Aについて説明する。
【0060】
図7の拡大図に示すように、被連結部90Aは、4つの干渉キー99と、突出ボス94とを有する。
【0061】
被連結部90Aの中央に突出ボス94が設けられている。突出ボス94は、収容部44にトナー容器41が装着されたときに、突起88と係合して、トナー容器41を容器装着部42に定められた装着位置(第1装着位置)に位置決めするための部材である。突出ボス94は、被連結部90Aのベース板97からトナー容器41A側(前方)へ突出する筒状の部材である。突出ボス94の先端面の中央に孔96が形成されている。孔96は、連結部材56の端面59Aに設けられた位置決め用の突起88が挿入される部分である。
【0062】
本実施形態では、各色に対応する被連結部90それぞれの突出ボス94は、画像形成装置10に固有の形状に形成されている。具体的には、上述した三角柱形状の突起88が挿入可能なように、孔96は、断面が略三角形状に形成されている。詳細には、孔96の断面形状が、正三角形の各角が突出ボス94の中心線を中心とする半径R2の円弧形状に形成された形状である。このため、本実施形態の画像形成装置10に、他の種別の画像形成装置に装着可能な他の種別のトナー容器(画像形成装置10に適合しない不適合容器)が挿入されても、他のトナー容器の突起の形状が突出ボス94の孔96の形状に対応していないため、前記他のトナー容器は本実施形態の画像形成装置10のいずれの収容部44にも装着することができない。つまり、このような他のトナー容器は、収容部44Aに対して装着互換性を有しない。ここで、前記半径R2は、突起88が挿入可能なように、前記半径R1よりも若干大きい寸法である。
【0063】
例えば、他の種別のトナー容器の突起が本実施形態の突起88と概ね同サイズであり、かつ、三角柱形状以外の多角柱形状、円柱形状、楕円柱形状などの形状に形成されたものである場合、他の種別のトナー容器の突起は、孔96に挿入することができず、前記他のトナー容器(不適合容器)はいずれの収容部44にも装着することができない。なお、他の種別のトナー容器の突起は、その中心から外周面までの最大半径は、前記半径R1とされている。
【0064】
4つの干渉キー99は、被連結部90Aにおいて予め定められた位置に設けられている。各干渉キー99は、取付面92からトナー容器41A側(前方)へ突出する棒状の突出部材である。
【0065】
4つの干渉キー99の位置は、突出ボス94を中心とする円の円周上に定められており、詳細には、トナー容器41が収容部44に装着される場合に、互換キー81と干渉しない位置に設けられている。言い換えると、4つの干渉キー99は、被連結部90Aの取付面92において、他の種別のトナー容器が挿入された場合に、他の種別のトナー容器が備える突起に当接する位置に配置されている。これにより、被連結部90Aに対応する装着互換性を有するトナー容器41Aが収容部44Aに挿入されると、互換キー81が干渉キー99を有しない位置に配置されるため、干渉キー99によってトナー容器41Aの装着が阻害されることなく、トナー容器41Aが収容部44Aに装着される。
【0066】
一方、被連結部90Aに対応しない装着非互換のトナー容器41Aが収容部44Aに挿入されると、互換キー81が干渉キー99と当接し、干渉キー99によってトナー容器41Aの装着が阻害される。したがって、仮に、位置P1,P3,P5,P7のいずれか一つに互換キー81を有する他の種別のトナー容器が収容部44Aに挿入された場合は、互換キー81の先端が何れかの干渉キー99の先端に当接する。このため、前記他のトナー容器は、それ以上挿入できなくなり、収容部44Aにおいて前記他のトナー容器の装着が拒まれる。つまり、このような他のトナー容器は、収容部44Aに対して装着互換性を有しない。
【0067】
また、干渉キー99によって干渉はされないとしても、突出ボス94の孔96の形状に適合しない突起88を有する他の種別のトナー容器が収容部44Aに挿入された場合も、突起88が孔96に挿入されず、突起88の先端が突出ボス94の先端に当接する。したがって、この場合であっても、前記他のトナー容器は、それ以上挿入されなくなり、収容部44Aにおいて前記他のトナー容器の装着が拒まれる。つまり、この場合でも、前記他のトナー容器は、収容部44Aに対して装着互換性を有しない。
【0068】
本実施形態では、収容部44Aに装着されたトナー容器41が空になった場合に、その空のトナー容器41(以下「空き容器41」という。)が廃トナー回収装置110に用いられる。
【0069】
[廃トナー回収装置]
以下、
図8及び
図9を参照して、廃トナー回収装置110について説明する。なお、
図8及び
図9では、筐体11に廃トナー回収装置110が取り付けられた取付姿勢を基準にして、鉛直方向を上下方向D1とし、筐体11に対する廃トナー容器111の着脱方向(挿抜方向)を前後方向D2とし、廃トナー回収装置110の前面から見て水平方向を左右方向D3としている。
【0070】
[廃トナー回収装置]
図8に示すように、廃トナー回収装置110は、廃トナー容器111と、廃トナー容器111が装着される容器装着部112とにより構成されている。ここで、
図8は、廃トナー回収装置110に廃トナー容器111が装着された状態が示されている。
【0071】
廃トナー容器111は、トナー補給装置40に装着可能なトナー容器41と同じ形状である。本実施形態では、廃トナー容器111は、トナー補給装置40で全てのトナーが使用された後の使用済みの空のトナー容器(空き容器)41である。具体的には、収容部44Aに装着されていたトナー容器41であって、トナーが消費されて空の状態にされた空き容器41を収容部44Aから取り外したものである。収容部44Aから取り外された状態の空き容器41は、廃トナー回収装置110に装着可能である。以下、廃トナー容器111は、トナー容器41と同じ構成であるため、同符号を付し示すことによりその構成の説明を省略する。
【0072】
廃トナー容器111は、トナー排出口74を上側に向けた状態で容器装着部112に装着される。つまり、廃トナー容器111は、容器装着部42にトナー容器41が装着される場合の姿勢に対して上下反転された姿勢で容器装着部112に装着される。容器装着部112は、収容部114(本発明の第2装着部の一例)を有する。収容部114に、トナー補給装置40の収容部44Aに装着されていた空き容器41が廃トナー容器111として装着される。本実施形態では、収容部114は、廃トナー容器111を着脱可能に支持する。
【0073】
廃トナー容器111が容器装着部112の収容部114に定められた装着位置(第2装着位置)に装着された状態で、ギヤ54にモータ等の駆動源の回転駆動力が伝達される。このときにギヤ54には、トナー容器41の前記第1回転方向(矢印D11参照)とは反対の第2回転方向(矢印D12参照)の回転駆動力が伝達される。なお、前記装着位置は、ベルトクリーニング装置6から下方へ排出された廃トナーをトナー排出口74で受けることが可能な位置である。
【0074】
前記回転駆動力がギヤ54に伝達されると、廃トナー容器111は、矢印D12に示す前記第2回転方向へ回転する。つまり、廃トナー容器111は、容器装着部112の収容部114に装着されると、廃トナーをトナー排出口74に流入可能な状態で、前記第1回転方向とは反対の前記第2回転方向(矢印D12参照)へ回転される。これにより、廃トナー容器111内に収容された廃トナーは、搬送リブ53により押されつつ流出口51から遠ざかる方向(前方側)へ搬送される。
【0075】
容器装着部112は、廃トナー容器111を着脱可能に構成されている。容器装着部112の収容部114に廃トナー容器111が装着された状態で、容器装着部112は、ベルトクリーニング装置6から排出された廃トナーをトナー排出口74から廃トナー容器111の内部に案内することができる。廃トナー容器111は、収容部114から取り外すことができ、また、必要に応じて廃トナー容器111を収容部114に装着することができる。具体的には、廃トナー容器111が廃トナーで満杯又は予め定められた規定量(満杯量)以上の量になると、廃トナー容器111はユーザーによって取り外される。そして、空の廃トナー容器111がユーザーによって取り付けられる。
【0076】
図9は、廃トナー容器111の連結部80が係合される被連結部115を示す斜視図である。
図9に示すように、被連結部115は、収容部114の後方(挿入方向D21)の奥部の奥壁113に設けられている。
【0077】
被連結部115は、収容部114に挿入される廃トナー容器111の連結部80と連結して廃トナー容器111の後方端部を固定するとともに、収容部114に定められた装着位置で廃トナー容器111を位置決めするための部材である。
【0078】
廃トナー容器111が容器装着部112の収容部114に装着されると、連結部材56が備える連結部80と、被連結部115とが係合し、廃トナー容器111が容器装着部112に装着される。連結部80が被連結部115に係合することによって、連結部材56は、廃トナー容器111の周方向への回動が規制される。廃トナー容器111が容器装着部112の収容部114に装着された状態で、連結部材56は前記周方向に回転できなくなるが、容器本体52は収容部114内において前記周方向に回動可能に支持される。
【0079】
被連結部115は、突出ボス116(本発明の第2係合部の一例)を有する。突出ボス116は、収容部114に廃トナー容器111が装着されたときに、突起88と係合して、収容部114に定められた装着位置に廃トナー容器111を位置決めする。突出ボス116は、被連結部115の中央に設けられている。突出ボス116は、収容部114の奥壁113から前方へ突出する筒状の部材である。突出ボス116の先端面の中央に孔117が形成されている。孔117は、廃トナー容器111の連結部材56の端面59Aに設けられた位置決め用の突起88が挿入される部分である。
【0080】
本実施形態では、被連結部115の突出ボス116は、画像形成装置10の仕様に適合する廃トナー容器111のみならず、画像形成装置10の仕様に適合していない廃トナー容器であっても、連結部材56が有する他の形状の突起が位置決め可能に係合する形状に形成されている。つまり、突出ボス116は、廃トナー容器111の突起88が挿入可能であり、かつ、画像形成装置10の仕様に適合していない他のトナー容器の突起が挿入可能な形状に形成されている。
【0081】
図10は、突出ボス116の断面図である。
図10に示すように、突出ボス116の孔117は、廃トナー容器111の突起88(
図10の破線参照)、及び他の廃トナー容器が備える円柱形状の突起(
図19の点線参照)が挿入可能なように形成されている。具体的には、孔117の内壁に、突起88の3つの角部88Aに対応する3つの角部117Aと、各角部117Aの間をつなぐ3つの円弧部117Bとが形成されている。円弧部117Bは、他の廃トナー容器が備える前記円柱形上の突起の外周面に対応している。このため、突出ボス116の孔117には、画像形成装置10に適合するトナー容器41の突起88のみならず、他の種別のトナー容器(画像形成装置10に適合しない不適合容器)が有する他の形状(本実施例では円柱形状)の突起であっても、位置決め可能に挿入される。
【0082】
本実施形態では、突出ボス116の孔117に突起88が挿入されると、突起88の各角部88Aの円弧形状の部分が孔117の内壁の角部117Aに係合して、孔117の深さ方向に突起88が案内される。これにより、突出ボス116と突起88との係合による位置決め精度が良好となる。また、他の種別のトナー容器が有する円柱形状の突起が孔117に挿入されると、当該突起の外周面が孔117の内壁の円弧部117Bに係合して、孔117の深さ方向に当該突起が案内される。これにより、突出ボス116と当該突起との係合による位置決め精度が良好となる。
【0083】
上述したように、本実施形態の画像形成装置10において、突起88及び突出ボス94は、各収容部44に対応する種別のトナー容器41が択一的に装着可能な形状に形成されており、突出ボス116は、トナー容器41が空になった廃トナー容器111(空き容器41)のみならず、他の種別のトナー容器の空き容器41であっても、突起88が係合可能な形状に形成されている。そのため、既存の互換キー81及び干渉キー99と、突起88及び突出ボス94とを組み合わせることによって、既存の互換キー81などを増加させることなく、トナー容器41の複数の種別に対応する非互換構造の識別数を増加させることができる。また、使用済みのトナー容器41(空き容器41)を廃トナー容器111として廃トナー回収装置110に装着する場合、いずれの種別の空き容器41であっても廃トナー回収装置110に装着することが可能である。そのため、廃トナー回収装置110における突出ボス116は、各種別の空き容器41ごとに対応する形状とする必要がなく、各種別の空き容器41に共通して用いられる。
【0084】
なお、上述の実施形態では、孔117の内壁に角部117A及び円弧部117Bを有する突出ボス116を例示したが、本発明はこの構成に限られない。例えば、突出ボス116は、突起88が挿入可能なように、断面形状が前記半径R2の円形状に形成されたものであってもよい。つまり、突出ボス116は、半径R2の円孔を有する筒状部材である。このため、突出ボス116には、画像形成装置10に適合するトナー容器41の突起88のみならず、他の種別のトナー容器(画像形成装置10に適合しない不適合容器)が有する他の形状の突起であっても、位置決め可能に挿入される。この場合、突出ボス116の孔117に突起88が挿入されると、突起88の各角部88Aの円弧形状の部分が孔117の内周面に摺接する。これにより、突出ボス116と突起88との係合による位置決め精度が良好となる。また、他の種別のトナー容器が有する他の形状形状(例えば五角柱形状、円柱形状)の突起が孔117に挿入されると、当該突起の外周面が孔117の内壁に摺接して、孔117の深さ方向に当該突起が案内される。これにより、突出ボス116と当該突起との係合による位置決め精度が良好となる。
【0085】
また、上述の実施形態では、突起88及び突出ボス94が、画像形成装置10の各収容部44それぞれに対応するトナー容器41が択一的に装着可能な形状に形成された例について説明したが、本発明はこの構成に限られない。例えば、黒色用のトナー容器41Aが収容部44Aだけに装着可能に構成されている場合、本発明は、突起88及び突出ボス94は、画像形成装置10の収容部44Aに対応するトナー容器41Aが択一的に装着可能な形状に形成されたものであってもよい。
【0086】
また、上述の実施形態では、各角部88Aが円弧形状に形成された三角柱状の突起88を例示したが、突起88は、角部88Aが円弧形状に形成されたものに限られず、三角柱形状などの非円形状に形成されたものであってもよい。また、突起88は、奇数個の角部を有する多角形状の柱状部材のものであってもよい。
【符号の説明】
【0087】
10 :画像形成装置
40 :トナー補給装置
41,41A:トナー容器(空き容器)
42 :容器装着部
43 :収容ケース
44 :収容部
45 :連結支持部
51 :流出口
52 :容器本体
53 :搬送リブ
56 :連結部材
74 :トナー排出口
80,80A:連結部
88 :突起
90 :被連結部
94 :突出ボス
96 :孔
99 :干渉キー
110 :廃トナー回収装置
111 :廃トナー容器
112 :容器装着部
115 :被連結部
116 :突出ボス
117 :孔
117A :角部
117B :円弧部