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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-08
(45)【発行日】2024-05-16
(54)【発明の名称】液体噴射ヘッド、および、液体噴射装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/14 20060101AFI20240509BHJP
   B41J 2/18 20060101ALI20240509BHJP
   B41J 2/155 20060101ALI20240509BHJP
   B41J 2/145 20060101ALI20240509BHJP
   B41J 2/175 20060101ALI20240509BHJP
【FI】
B41J2/14 603
B41J2/14 607
B41J2/18
B41J2/14 605
B41J2/155
B41J2/145
B41J2/14 501
B41J2/175 501
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2020126523
(22)【出願日】2020-07-27
(65)【公開番号】P2022023528
(43)【公開日】2022-02-08
【審査請求日】2023-06-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003177
【氏名又は名称】弁理士法人旺知国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】村上 健太郎
【審査官】小宮山 文男
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-199040(JP,A)
【文献】国際公開第2016/117707(WO,A1)
【文献】特開2020-168732(JP,A)
【文献】特開2016-104530(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を第1方向へ噴射する複数のノズルが前記第1方向に直交する第2方向に並んで構成されたノズル列と、
前記複数のノズルの夫々と連通する複数の個別流路と、
前記第2方向に延在するとともに前記複数の個別流路と連通し、前記複数の個別流路に液体を供給する供給側共通液室と、
前記第2方向に延在するとともに前記複数の個別流路と連通し、前記複数の個別流路から排出された液体が流れる排出側共通液室と、
前記供給側共通液室と、前記排出側共通液室と、を接続する第1バイパス流路と、
前記供給側共通液室と、前記排出側共通液室と、を接続する第2バイパス流路と、
前記第2方向において前記第1バイパス流路と前記第2バイパス流路との間で、前記供給側共通液室と連通する導入流路と、
を備え、
前記第1バイパス流路は、前記供給側共通液室から前記第1方向とは反対方向である第3方向に延在する第1垂直部分を有し、
前記第2バイパス流路は、前記供給側共通液室から前記第3方向に延在する第2垂直部分を有し、
前記第1垂直部分は、最も前記第2方向に配置された前記個別流路よりも前記第2方向とは反対方向の第4方向に位置し、
前記第2垂直部分は、最も前記第4方向に配置された前記個別流路よりも前記第2方向に位置する、
液体噴射ヘッド。
【請求項2】
前記第1垂直部分は、前記第2方向に垂直な面に平行に、前記供給側共通液室を4つの領域に均等に分割した場合に、最も前記第2方向に位置する領域に位置し、
前記第2垂直部分は、前記第2方向に垂直な面に平行に、前記供給側共通液室を前記4つの領域に均等に分割した場合に、最も前記第4方向に位置する領域に位置する、
請求項1に記載の液体噴射ヘッド。
【請求項3】
前記第1垂直部分は、前記第2方向に垂直な面に平行に、前記供給側共通液室を8つの領域に均等に分割した場合に、最も前記第2方向に位置する領域に位置し、
前記第2垂直部分は、前記第2方向に垂直な面に平行に、前記供給側共通液室を前記8つの領域に均等に分割した場合に、最も前記第4方向に位置する領域に位置する、
請求項2に記載の液体噴射ヘッド。
【請求項4】
前記第2方向において前記第1バイパス流路と前記第2バイパス流路との間で、前記排出側共通液室と連通する導出流路を備え、
前記第1バイパス流路は、前記排出側共通液室から前記第3方向に延在する第3垂直部分を有し、
前記第2バイパス流路は、前記排出側共通液室から前記第3方向に延在する第4垂直部分を有し、
前記第3垂直部分は、最も前記第2方向に配置された前記個別流路よりも前記第4方向に位置し、
前記第4垂直部分は、最も前記第4方向に配置された前記個別流路よりも前記第2方向に位置する、
請求項1から3のいずれか1項に記載の液体噴射ヘッド。
【請求項5】
前記供給側共通液室は、前記導入流路から前記第1垂直部分までに位置する第1領域と、前記第1垂直部分よりも前記第2方向に位置する第2領域と、を有し、
前記第2領域の前記第3方向の面は、前記第1領域の前記第3方向の面に対して、前記第1方向に配置される、
請求項1から4までのいずれか1項に記載の液体噴射ヘッド。
【請求項6】
前記第2領域には、前記第1領域の前記第1方向における最大寸法の半分以下の前記第1方向における寸法を有する部分を有する、
請求項5に記載の液体噴射ヘッド。
【請求項7】
請求項1から6までのいずれか1項に記載の液体噴射ヘッドと、
前記液体噴射ヘッドを保持し、前記第1方向に直交する第5方向および前記第5方向とは反対方向に前記液体噴射ヘッドを往復移動させる移動機構と、を備え、
前記第2方向は、前記第5方向と交差する方向である、
液体噴射装置。
【請求項8】
請求項1から6までのいずれか1項に記載の液体噴射ヘッドを備え、
前記液体噴射ヘッドは、前記第1方向に直交する第5方向に長尺なラインヘッドを構成し、
前記第2方向は、前記第5方向と交差する方向である、
液体噴射装置。
【請求項9】
前記液体噴射ヘッドは、前記複数のノズルを有するノズル面を備え、
前記ノズル面は、前記第5方向に沿う軸の半径方向に対して直交し、且つ、水平面に対して傾斜する、
請求項7または8に記載の液体噴射装置。
【請求項10】
請求項1から6までのいずれか1項に記載の液体噴射ヘッドによって構成され、前記第1方向と直交する第5方向に長尺な第1ラインヘッドと、
請求項1から6までのいずれか1項に記載の液体噴射ヘッドによって構成され、前記第5方向に長尺な第2ラインヘッドであって、重力方向に見て、前記第5方向に直交する第6方向に配置された第2ラインヘッドと、
媒体を搬送する搬送機構と、
を備え、
前記第1ラインヘッドは、前記第1ラインヘッドの第1ノズル面の前記第6方向の端部が、前記第1ノズル面の前記第6方向とは反対方向である第7方向の端部に対して前記重力方向とは反対方向に位置するように、傾斜して配置され、
前記第2ラインヘッドは、前記第2ラインヘッドの第2ノズル面の前記第6方向の端部が、前記第2ノズル面の前記第7方向の端部に対して前記重力方向に位置するように、傾斜して配置される、
液体噴射装置。
【請求項11】
水平面に対する前記第1ノズル面の傾斜角と、前記水平面に対する前記第2ノズル面の傾斜角とが等しい、
請求項10に記載の液体噴射装置。
【請求項12】
請求項1から6までのいずれか1項に記載の液体噴射ヘッドを備える液体噴射装置。
【請求項13】
前記液体噴射ヘッド内に供給された液体を循環させる循環機構を備える、
請求項7から12までのいずれか1項に記載の液体噴射装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体噴射ヘッド、および、液体噴射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、インクジェット方式のプリンターに代表されるように、インク等の液体を噴射する液体噴射ヘッドを有する液体噴射装置が知られている。例えば、特許文献1には、供給側共通液室および排出側共通液室の長手方向の端部に、供給側共通液室と排出側共通液室とを接続するバイパス流路を有する液体噴射装置が開示されている。特許文献2には、用紙を回転搬送するドラムの周囲に4本のラインヘッドを配置した構成の液体噴射装置が開示されている。特許文献2に開示された液体噴射装置の4本のラインヘッドのノズル面は、水平面に対して傾斜して配置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-144430号公報
【文献】特開2011-79170号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した特許文献1に記載の液体噴射装置のノズル面が、特許文献2に記載されたラインヘッドのように、水平面に対して傾斜して配置された場合、供給側共通液室および排出側共通液室におけるバイパス流路への連通孔付近において、液体の淀みが発生し、気泡が滞留する問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以上の問題を解決するために、本発明の好適な態様に係る液体噴射ヘッドの一態様は、液体を第1方向へ噴射する複数のノズルが前記第1方向に直交する第2方向に並んで構成されたノズル列と、前記複数のノズルの夫々と連通する複数の個別流路と、前記第2方向に延在するとともに前記複数の個別流路と連通し、前記複数の個別流路に液体を供給する供給側共通液室と、前記第2方向に延在するとともに前記複数の個別流路と連通し、前記複数の個別流路から排出された液体が流れる排出側共通液室と、前記供給側共通液室と、前記排出側共通液室と、を接続する第1バイパス流路と、前記供給側共通液室と、前記排出側共通液室と、を接続する第2バイパス流路と、前記第2方向において前記第1バイパス流路と前記第2バイパス流路との間で、前記供給側共通液室と連通する導入流路と、を備え、前記第1バイパス流路は、前記供給側共通液室から前記第1方向とは反対方向である第3方向に延在する第1垂直部分を有し、前記第2バイパス流路は、前記供給側共通液室から前記第3方向に延在する第2垂直部分を有し、前記第1垂直部分は、最も前記第2方向に配置された前記個別流路よりも前記第2方向とは反対方向の第4方向に位置し、前記第2垂直部分は、最も前記第4方向に配置された前記個別流路よりも前記第2方向に位置する。
【0006】
本発明の好適な態様に係る液体噴射装置の一態様は、上記に記載の液体噴射ヘッドと、前記液体噴射ヘッドを保持し、前記第1方向に直交する第5方向および前記第5方向とは反対方向に前記液体噴射ヘッドを往復移動させる移動機構と、を備え、前記第2方向は、前記第5方向と交差する方向である。
【0007】
本発明の好適な態様に係る液体噴射装置の一態様は、上記に記載の液体噴射ヘッドを備え、前記液体噴射ヘッドは、前記第1方向に直交する第5方向に長尺なラインヘッドを構成し、前記第2方向は、前記第5方向と交差する方向である。
【0008】
本発明の好適な態様に係る液体噴射装置の一態様は、上記に液体噴射ヘッドによって構成され、前記第1方向と直交する第5方向に長尺な第1ラインヘッドと、上記に記載の液体噴射ヘッドによって構成され、前記第5方向に長尺な第2ラインヘッドであって、重力方向に見て、前記第5方向に直交する第6方向に配置された第2ラインヘッドと、媒体を搬送する搬送機構と、を備え、前記第1ラインヘッドは、前記第1ラインヘッドの第1ノズル面の前記第6方向の端部が、前記第1ノズル面の前記第6方向とは反対方向である第7方向の端部に対して前記重力方向とは反対方向に位置するように、傾斜して配置され、前記第2ラインヘッドは、前記第2ラインヘッドの第2ノズル面の前記第6方向の端部が、前記第2ノズル面の前記第7方向の端部に対して前記重力方向に位置するように、傾斜して配置される。
【0009】
本発明の好適な態様に係る液体噴射装置の一態様は、上記に記載の液体噴射ヘッドを備える。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1実施形態に係る液体噴射装置100の一例を示す説明図。
図2】ヘッドモジュール3の斜視図。
図3図2に示す液体噴射ヘッド30の分解斜視図。
図4】Z2方向に見た流路構造体34の平面図。
図5】Z2方向に見た配線基板35の平面図。
図6】Z2方向に見た流路分配部37の平面図。
図7】ヘッドユニット38_1の分解斜視図。
図8図7におけるVIII-VIII線の断面図。
図9】ヘッドユニット38_1をZ2方向に見た平面図。
図10図7におけるIX-IX線の断面図。
図11】V2端部領域MN1a付近を拡大した図。
図12】配線部材388の平面図および側面図。
図13】流路構造体34および流路分配部37によって形成される流路の概略を示す図。
図14】流路構造体34内に形成される流路を示す図。
図15】流路分配部37に形成される流路の斜視図。
図16】流路分配部37に形成される流路の平面図。
図17】第1流路部材Du1の斜視図。
図18】第1実施例においてノズル面FNが傾斜した場合を示す図。
図19】本実施形態においてノズル面FNが傾斜した場合の供給側共通液室MN1を示す図。
図20】第2実施例においてノズル面FNが傾斜した場合の供給側共通液室MN1を示す図。
図21】本実施形態においてノズル面FNが傾斜した場合の排出側共通液室MN2を示す図。
図22】第2実施形態に係る液体噴射装置100Aの一例を示す説明図。
図23】第3実施形態における液体噴射装置100Bの概略図。
図24】第1変形例においてヘッドユニット38DをZ2方向に見た平面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照して説明する。ただし、各図において、各部の寸法および縮尺は、実際のものと適宜に異ならせてある。また、以下に述べる実施形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの形態に限られるものではない。
【0012】
1.第1実施形態
以下、第1実施形態に係る液体噴射装置100を説明する。
【0013】
1.1.液体噴射装置100の概要
図1は、第1実施形態に係る液体噴射装置100の一例を示す説明図である。本実施形態に係る液体噴射装置100は、液体の一例であるインクを液滴として媒体PPに噴射するインクジェット方式の印刷装置である。本実施形態の液体噴射装置100は、インクを噴射する複数のノズルNが媒体PPの幅方向での全範囲にわたり分布する、いわゆるライン方式の印刷装置である。媒体PPは、例えば印刷用紙であるが、樹脂フィルムまたは布帛等の任意の印刷対象が媒体PPとして利用され得る。
【0014】
図1に例示される通り、液体噴射装置100は、インクを貯留する液体容器93を備える。液体容器93としては、例えば、液体噴射装置100に着脱可能なカートリッジ、可撓性のフィルムで形成された袋状のインクパック、または、インクを補充可能なインクタンク等を採用することができる。液体容器93には、色彩が相違する複数種のインクが貯留される。
【0015】
本実施形態の液体容器93は、図示しないが、第1液体容器と第2液体容器とを含む。第1液体容器には、第1インクが貯留される。第2液体容器には、第1インクと異なる種類の第2インクが貯留される。例えば、第1インクおよび第2インクは、互いに異なる色のインクである。なお、第1インクと第2インクとが同じ種類のインクであってもよい。
【0016】
図1に例示される通り、液体噴射装置100は、複数の液体噴射ヘッド30を有するヘッドモジュール3と、制御装置90と、搬送機構92と循環機構94と、を備える。
制御装置90は、例えば、CPUまたはFPGA等の処理回路と、半導体メモリー等の記憶回路とを含み、液体噴射装置100の各要素を制御する。ここで、CPUとは、Central Processing Unitの略称であり、FPGAとは、Field Programmable Gate Arrayの略称である。
【0017】
搬送機構92は、制御装置90による制御のもとで、媒体PPをY1方向に搬送する。なお、以下では、Y1方向と、Y1方向とは反対の方向であるY2方向とを、Y軸方向と総称する。
【0018】
ヘッドモジュール3は、制御装置90による制御のもと、液体容器93から供給されるインクを、Z2方向に噴射する。Z2方向は、Y1方向に直交する方向である。以下では、Z2方向と、Z2方向とは反対の方向であるZ1方向とを、Z軸方向と総称する場合がある。図2を用いて、ヘッドモジュール3を説明する。
【0019】
1.2.ヘッドモジュール3
図2は、ヘッドモジュール3の斜視図である。ヘッドモジュール3は、複数の液体噴射ヘッド30と、複数の液体噴射ヘッド30を保持するヘッド固定基板13とを具備する。複数の液体噴射ヘッド30は、搬送方向であるY1方向に直交する方向であるX1方向およびX2方向に並設されてヘッド固定基板13に固定されている。X2方向は、X1方向とは反対方向である。以下では、X1方向と、X2方向とを、X軸方向と総称する場合がある。ヘッドモジュール3は、X軸方向における媒体PPの全範囲にわたり複数のノズルNが分布するように配置される複数の液体噴射ヘッド30を有するラインヘッドである。つまり、複数の液体噴射ヘッド30は、X軸方向に長尺なラインヘッドを構成する。複数の液体噴射ヘッド30からのインクの噴射が搬送機構92による媒体PPの搬送に並行して行われることにより、媒体PPの表面にインクによる画像が形成される。なお、ヘッドモジュール3は、X軸方向における媒体PPの全範囲にわたり複数のノズルNが分布するように配置される単体の液体噴射ヘッド30のみで構成されたX軸の延びる方向に長尺なラインヘッドであってもよい。ヘッド固定基板13は、液体噴射ヘッド30を取り付けるための複数の取付孔15を有する。液体噴射ヘッド30は、取付孔15に挿通された状態でヘッド固定基板13に支持される。
【0020】
説明を図1に戻す。図1に示すXYZ座標系は、ヘッドモジュール3を基準とした座標を示すローカル座標系である。ヘッドモジュール3の姿勢が変化すると、X軸方向の向き、Y軸方向の向き、およびZ軸方向の向きが変化する。
【0021】
搬送機構92は、媒体PPをヘッドモジュール3に対して、Y軸方向に搬送する。図1に示す例では、液体容器93が循環機構94を介してヘッドモジュール3に接続される。循環機構94は、複数の液体噴射ヘッド30の夫々にインクを供給するとともに、複数の液体噴射ヘッド30の夫々から排出されるインクを液体噴射ヘッド30への再供給のために回収する機構である。循環機構94は、例えば、インクを貯留するサブタンクと、サブタンクから液体噴射ヘッド30にインクを供給するための流路と、液体噴射ヘッド30からインクをサブタンクに回収するための流路と、インクを適宜に流動させるためのポンプと、を有する。循環機構94の動作により、インクの粘度上昇を抑えたり、インク内の気泡の滞留を低減したりすることができる。
【0022】
図1に例示される通り、液体噴射ヘッド30には、制御装置90から、液体噴射ヘッド30を駆動するための駆動信号Comと、液体噴射ヘッド30を制御するための制御信号SIと、が供給される。そして、液体噴射ヘッド30は、制御信号SIによる制御のもとで駆動信号Comにより駆動され、液体噴射ヘッド30に設けられた複数のノズルNの一部または全部から、Z2方向にインクを噴射させる。なお、ノズルNについては、図7および図8において後述する。
【0023】
1.3.液体噴射ヘッド30
図3は、図2に示す液体噴射ヘッド30の分解斜視図である。図3に示すように、液体噴射ヘッド30は、筐体31と、カバー基板32と、集合基板33と、流路構造体34と、配線基板35と、流路分配部37と、固定板39とを有する。さらに、液体噴射ヘッド30は、ヘッドユニット38_1、38_2、38_3、38_4、38_5、および、38_6を有する。ヘッドユニット38_1、38_2、38_3、38_4、38_5、および、ヘッドユニット38_6を区別しない場合、ヘッドユニット38と表記する。また、流路構造体34は、流路プレートSu1と、流路プレートSu2と、流路プレートSu3と、接続管341i1と、接続管341i2と、接続管341o1と、接続管341o2と、コネクター用孔343とを有する。流路分配部37は、第1流路部材Du1と、第2流路部材Du2と、接続管373i1と、接続管373i2と、接続管373o_1と、接続管373o_2と、接続管373o_3と、接続管373o_4と、接続管373o_5と、接続管373o_6と、を有する。以下の記載において、接続管373i1と、接続管373i2と、接続管373o_1と、接続管373o_2と、接続管373o_3と、接続管373o_4と、接続管373o_5と、接続管373o_6とを、接続管373と総称する。第1流路部材Du1は、「第1流路部材」の一例であり、第2流路部材Du2は、「第2流路部材」の一例である。
【0024】
筐体31は、流路構造体34と、配線基板35と、流路分配部37と、固定板39とを支持する。さらに、筐体31は、供給用孔311i1と、供給用孔311i2と、排出用孔312o1と、排出用孔312o2と、集合基板用孔313とを有する。供給用孔311i1には、接続管341i1が挿通され、嵌め合わされる。供給用孔311i2には、接続管341i2が挿通され、嵌め合わされる。排出用孔312o1には、接続管341o1が挿通され、嵌め合わされる。排出用孔312o2には、接続管341o2が挿通され、嵌め合わされる。集合基板用孔313には、集合基板33が挿通される。筐体31は、金属、または、樹脂によって構成される。または、筐体31は、樹脂の表面を金属膜で覆った部材で構成されてもよい。
【0025】
カバー基板32は、筐体31におけるZ1方向に延在する部分との間に、集合基板33を挟持する。集合基板33は、制御装置90から供給された駆動信号Comおよび制御信号SIをヘッドユニット38に伝送するための配線が形成された基板である。集合基板33は、XZ平面に平行に延在する板状の部材である。ここで、「平行」とは、完全に平行である場合の他に、設計上は平行であるが、例えば液体噴射ヘッド30の製造誤差に起因して発生する誤差を考慮すれば平行であると看做せる場合を含む概念である。
【0026】
流路構造体34は、循環機構94と複数のヘッドユニット38の夫々との間でインクを流すための流路が内部に設けられる構造体である。流路構造体34は、筐体31と配線基板35との間に配置される。流路構造体34に含まれる流路プレートSu1、流路プレートSu2、および、流路プレートSu3は、この順でZ1方向に積層される。流路プレートSu1、流路プレートSu2、および、流路プレートSu3は、接着剤等により互いに接合される。流路プレートSu1、流路プレートSu2、および、流路プレートSu3は、例えば、樹脂の射出成形により形成される。
【0027】
図4は、Z2方向に見た流路構造体34の平面図である。図4に例示するように、Z2方向に見た平面視で、流路構造体34の外形は、角を丸めた8角形である。以下、Z2方向に見た平面視を、単に、「平面視」と記載する。流路構造体34の具体的な形状として、流路構造体34は、辺He1と、辺He2と、辺He3と、辺He4と、辺He5と、辺He6と、辺He7と、辺He8とを有する。平面視において、流路構造体34の外形の形状は、流路構造体34の重心G34を中心に略点対称である。ここでいう重心とは、平面視したときに、対象となる形状において1次モーメントの総和がゼロになる点であり、矩形形状であれば対角線の交点である。
【0028】
辺He1は、X軸に平行な辺であり、辺He8および辺He2に隣り合っており、最もY2方向に位置する。辺He2は、Y軸方向に平行な辺であり、辺He1および辺He3に隣り合っており、最もX2方向に位置する。辺He3は、辺He2および辺He4に隣り合っており、V軸方向に平行な辺である。V軸方向は、V1方向およびV2方向の総称である。V1方向は、X1方向およびY1方向に交差する。より具体的には、V1方向は、X1方向を時計回り略56度回転した方向である。V2方向は、V1方向の反対方向である。辺He4は、辺He3および辺He5に隣り合っており、Y軸方向に平行な辺である。辺He5は、辺He4および辺He6に隣り合っており、X軸方向に平行な辺であり、最もY1方向に位置する。辺He6は、辺He5および辺He7に隣り合っており、Y軸方向に平行な辺であり、最もX1方向に位置する。辺He7は、辺He6および辺He8に隣り合っており、V軸方向に平行な辺である。辺He8は、辺He7および辺He1に隣り合っており、Y軸方向に平行な辺である。
【0029】
説明を図3に戻す。配線基板35は、液体噴射ヘッド30を制御装置90に電気的に接続するための実装部品である。配線基板35は、各種の制御信号および電源電圧をヘッドユニット38に伝送するための配線が形成された基板である。配線基板35は、XY平面に平行に延在する板状の部材であり、流路構造体34と流路分配部37との間に配置される。配線基板35は、リジッド基板である。図5を用いて、配線基板35を詳細に説明する。
【0030】
1.3.1.配線基板35
図5は、Z2方向に見た配線基板35の平面図である。配線基板35は、切り欠き部352_1と、開口部351_2、351_3、351_4、および、351_5と、切り欠き部352_6と、複数の端子353_1、複数の端子353_2、複数の端子353_3、複数の端子353_4、複数の端子353_5、および、複数の端子353_6と、コネクター355と、開口部357_1、357_3、357_4、および、357_6と、切り欠き部358_2および358_5とを有する。
【0031】
開口部351_2、351_3、351_4、および、351_5を区別しない場合、開口部351と表記する。同様に、切り欠き部352_1および352_6を区別しない場合、切り欠き部352と表記する。同様に、複数の端子353_1、複数の端子353_2、複数の端子353_3、複数の端子353_4、複数の端子353_5、および、複数の端子353_6を区別しない場合、端子353と表記する。同様に、開口部357_1、357_3、357_4、357_6を区別しない場合、開口部357と表記する。同様に、切り欠き部358_2、358_5を区別しない場合、切り欠き部358と表記する。なお、配線基板35は、切り欠き部352_1および352_6の一方または両方を有する替わりに、開口部351_2、351_3、351_4、351_5とは別の開口部351を有してもよい。同様に、配線基板35は、切り欠き部358_2および358_5の一方または両方を有する替わりに、開口部357_1、357_3、357_4、357_6とは別の開口部357を有してもよい。
【0032】
4つの開口部351の夫々は、V1方向に延在する。また、切り欠き部352_1のうち形成する一辺、および、切り欠き部352_6のうち形成する一辺は、V1方向に延在する。また、複数の端子353_1はV1方向に配列され、複数の端子353_2はV1方向に配列され、複数の端子353_3はV1方向に配列され、複数の端子353_4はV1方向に配列され、複数の端子353_5はV1方向に配列され、複数の端子353_6はV1方向に配列される。Z1方向およびV1方向に直交する2つの方向のうち、X1方向に近い方向を、W1方向と称する。また、Z1方向およびV1方向に直交する2つの方向のうち、X2方向に近い方向を、W2方向と称する。換言すれば、W1方向は、Z1方向およびV1方向に直交する2つの方向のうち、X1方向およびY2方向の成分を含む方向であり、W2方向は、Z1方向およびV1方向に直交する2つの方向のうち、X2方向およびY1方向の成分を含む方向である。さらに、W1方向とW2方向とを、W軸方向と総称する。
【0033】
開口部351_iには、後述のヘッドユニット38_iが有する配線部材388が挿通される。iは、2から5までの整数である。切り欠き部352_jのうちV1方向に延在する一辺と、ヘッドユニット38_jが有する配線部材388が嵌合する。jは、1および6である。複数の端子353_kには、ヘッドユニット38_kが有する配線部材388の入力端子部3882に設けられた複数の入力端子3886が接触する。kは、1から6までの整数である。なお、入力端子部3882および複数の入力端子3886については、図12で後述する。
【0034】
図5に例示するように、4つの開口部351および2つの切り欠き部352の配置は、千鳥状である。より具体的な6つの開口部351の配置は、以下の通りである。切り欠き部352_1のうちV1方向に延在する一辺、開口部351_2、開口部351_3、開口部351_4、開口部351_5、切り欠き部352_6のうちV1方向に延在する一辺は、W軸方向において、この順に配置されている。
【0035】
開口部357_iには、接続管373o_iが挿通される。iは、1、3、4、および6である。切り欠き部358_jには、接続管373o_jが嵌合する。jは、2および5である。切り欠き部358_2は、切り欠き部352_1に対してV1方向に位置する。開口部357_kは、開口部351_k-1に対してV1方向に位置する。kは、4および6である。開口部357_mは、開口部351_m+1に対してV2方向に位置する。mは、1および3である。切り欠き部358_5は、切り欠き部352_6に対してV2方向に位置する。
【0036】
1.3.2.流路分配部37
説明を図3に戻す。流路分配部37は、配線基板35と固定板39との間に配置され、固定板39に対して接着剤により固定される。このため、流路分配部37は、固定板39を補強する。流路分配部37は、例えば樹脂または金属で構成される。前述の補強の観点から、流路分配部37の厚さは、固定板39の厚さよりも厚いことが好ましい。
【0037】
図6は、Z2方向に見た流路分配部37の平面図である。流路分配部37に含まれる第1流路部材Du1、および、第2流路部材Du2は、この順でZ1方向に積層される。流路分配部37のZ1方向側の面には、8つの接続管373が設けられる。8つの接続管373は、第2流路部材Du2のZ1方向側の面からZ1方向へ突出する流路管である。
【0038】
流路分配部37は、Z軸方向に貫通する複数の開口部371_1、371_2、371_3、371_4、371_5、371_6を有する。複数の開口部371_1~371_6を区別しない場合、開口部371と表記する。6つの開口部371には、当該複数のヘッドユニット38の夫々が有する配線部材388が挿通される。6つの開口部371の夫々の配置も、配線基板35の開口部351と同様に千鳥状である。
【0039】
開口部371は、配線基板35の開口部351よりもV軸方向に長尺な開口である。具体的には、開口部371_1は、配線基板35の切り欠き部352_1に連通し、Z2方向に見た平面視で切り欠き部352_1のV1方向に延在する一辺よりもV2方向へ延在している。開口部371_2は、配線基板35の開口部351_2に連通し、平面視で開口部351_2よりもV1方向へ延在している。開口部371_3は、配線基板35の開口部351_3に連通し、平面視で開口部351_3よりもV2方向へ延在している。開口部371_4は、配線基板35の開口部351_4に連通し、平面視で開口部351_4よりもV1方向へ延在している。開口部371_5は、配線基板35の開口部351_5に連通し、平面視で開口部351_5よりもV2方向へ延在している。開口部371_6は、配線基板35の切り欠き部352_6に連通し、平面視で切り欠き部352_6のV1方向よりもV1方向へ延在している。
【0040】
接続管373i1は、流路分配部37におけるX1方向およびY2方向の隅に配置されている。接続管373i2は、流路分配部37におけるX2方向およびY1方向の隅に配置されている。接続管373o_nは、開口部371_n-1に対してV1方向に配置されている。nは、2、4、および、6である。接続管373o_pは、開口部371_p+1に対してV2方向に配置されている。pは、1、3、および、5である。
【0041】
接続管373i1は、流路構造体34のZ2方向の面に形成された排出口CE1に連通し、流路構造体34からインクを流路分配部37内へ導入する。同様に、接続管373i2は、流路構造体34のZ2方向の面に形成された排出口CE2に連通し、流路構造体34からインクを流路分配部37内へ導入する。そして、流路分配部37は、流路構造体34から供給されたインクを各ヘッドユニット38へ分配するための流路を有する。さらに、流路分配部37は、各ヘッドユニット38から排出されたインクが流れる流路を有する。接続管373o_1~373o_6は、流路構造体34のZ2方向の面に形成された導入口CI1_1、CI1_3、CI1_5、CI2_2、CI2_4、CI2_6のうちのいずれか1つに連通し、流路分配部37からインクに流路構造体34内へ導入する。排出口CE1、CE2、導入口CI1_1、CI1_3、CI1_5、CI2_2、CI2_4、CI2_6については、図13および図14で後述する。
【0042】
説明を図3に戻す。ヘッドユニット38は、M個のノズルNを有する。Mは、2以上の整数である。6つのヘッドユニット38の夫々の配置も、配線基板35の開口部351と同様に、千鳥状である。図7図8図9図10、および、図11を用いてヘッドユニット38_1を説明する。
【0043】
1.3.3.ヘッドユニット38
図7は、ヘッドユニット38_1の分解斜視図である。図8は、図7におけるVIII-VIII線の断面図である。VIII-VIII線は、導入口3851および導出口3852を通り、且つ、ノズルNを通る仮想的な線分である。なお、図8に示す図では、ヘッドユニット38_1の断面に加えて、固定板39の断面も示す。
【0044】
図7および図8に例示される通り、ヘッドユニット38_1は、ノズルプレート387と、コンプライアンス基板3861と、連通板382と、圧力室基板383と、振動板384と、ケース385と、配線部材388と、を備える。
【0045】
図7に例示される通り、ノズルプレート387は、V軸方向に長尺で、VW平面に平行に延在する板状の部材であり、M個のノズルNが形成される。ノズルプレート387は、例えば、エッチング等の半導体製造技術を利用してシリコンの単結晶基板を加工することで製造される。但し、ノズルプレート387の製造には公知の材料および製法が任意に採用され得る。また、ノズルNは、ノズルプレート387に設けられた貫通孔である。本実施形態では、一例として、ノズルプレート387において、M個のノズルNが、V軸方向に延在するノズル列Lnを形成するように設けられた場合を想定する。但し、ノズルプレート387が、M個のノズルNの一部がV軸方向に配設されて成るノズル列Lnを複数有する構成でも構わない。
【0046】
図7および図8に例示される通り、ノズルプレート387のZ1方向には、連通板382が設けられる。連通板382は、V軸方向に長尺で、VW平面に略平行に延在する板状の部材であり、インクの流路が形成される。
具体的には、連通板382には、1個の供給液室RA1と、1個の排出液室RA2とが形成される。このうち、供給液室RA1は、後述する供給液室RB1と連通し、V軸方向に延在するように設けられる。また、排出液室RA2は、後述する排出液室RB2と連通し、V軸方向に延在するように設けられる。なお、供給液室RA1は、V軸方向において複数に分割されていてもよく、また、排出液室RA2も同様に、V軸方向において複数に分割されていてもよい。以下、供給液室RA1および供給液室RB1により形成される共通液室を、「供給側共通液室MN1」と称する。同様に、排出液室RA2および排出液室RB2により形成される共通液室を、「排出側共通液室MN2」と称する。
【0047】
また、連通板382には、M個のノズルNと1対1に対応するM個のノズル流路RNと、M個のノズルNと1対1に対応するM個の連通流路RR1と、M個のノズルNと1対1に対応するM個の連通流路RR2と、M個のノズルNと1対1に対応するM個の連通流路RK1と、M個のノズルNと1対1に対応するM個の連通流路RK2と、M個のノズルNと1対1に対応するM個の連通流路RX1と、M個のノズルNと1対1に対応するM個の連通流路RX2と、が形成される。なお、連通板382には、M個のノズルNに共通に設けられた1個の連通流路RX1および連通流路RX2が形成されてもよい。この場合、連通流路RX1は、「供給側共通液室MN1」の一部を構成し、連通流路RX2は、「排出側共通液室MN2」の一部を構成する。また、M個のノズルNのうち一部のノズルNに対して共通に設けられた連通流路RX1が複数形成されていてもよいし、M個のノズルNのうち一部のノズルNに対して共通に設けられた連通流路RX2が複数形成されてもよい。
【0048】
図8に例示される通り、本実施形態において、連通流路RX1は、供給液室RA1と連通し、供給液室RA1から見てW2方向においてW軸方向に延在するように設けられる。また、連通流路RK1は、連通流路RX1と連通し、連通流路RX1から見てW2方向においてZ軸方向に延在するように設けられる。また、連通流路RR1は、連通流路RK1から見てW2方向においてZ軸方向に延在するように設けられる。
また、連通流路RX2は、排出液室RA2と連通し、排出液室RA2から見てW1方向においてW軸方向に延在するように設けられる。また、連通流路RK2は、連通流路RX2と連通し、連通流路RX2から見てW1方向においてZ軸方向に延在するように設けられる。また、連通流路RR2は、連通流路RK2から見てW1方向であって、連通流路RR1から見てW2方向において、Z軸方向に延在するように設けられる。
また、ノズル流路RNは、連通流路RR1および連通流路RR2を連通し、連通流路RR1から見てW2方向であって、連通流路RR2から見てW1方向において、W軸方向に延在するように設けられる。ノズル流路RNは、当該ノズル流路RNに対応するノズルNに連通する。
なお、連通板382は、例えば、半導体製造技術を利用してシリコンの単結晶基板を加工することで製造される。但し、連通板382の製造には公知の材料や製法が任意に採用され得る。
【0049】
図7および図8に例示される通り、連通板382のZ1方向には、圧力室基板383が設けられる。圧力室基板383は、V軸方向に長尺で、VW平面に略平行に延在する板状の部材であり、インクの流路が形成される。
具体的には、圧力室基板383には、M個のノズルNと1対1に対応するM個の圧力室CB1と、M個のノズルNと1対1に対応するM個の圧力室CB2と、が形成される。以下では、圧力室CB1および圧力室CB2を、圧力室CBと総称する。圧力室CB1は、連通流路RK1および連通流路RR1を連通し、Z軸方向に見た場合に、連通流路RK1のW1方向の端部と、連通流路RR1のW2方向の端部とを結び、W軸方向に延在するように設けられる。また、圧力室CB2は、連通流路RK2および連通流路RR2を連通し、Z軸方向に見た場合に、連通流路RK2のW2方向の端部と、連通流路RR2のW1方向の端部とを結び、W軸方向に延在するように設けられる。なお、1つのノズルNに対応して設けられる圧力室CBの数は1つでもよく、換言すれば、1つのノズルNに対して圧力室CB1および圧力室CB2のうちいずれか一方が設けられている構成でも構わない。
なお、圧力室基板383は、例えば、半導体製造技術を利用してシリコンの単結晶基板を加工することで製造される。但し、圧力室基板383の製造には公知の材料や製法が任意に採用され得る。
【0050】
なお、以下では、供給側共通液室MN1、ノズルN、および、排出側共通液室MN2を連通するインクの流路を、「個別流路RJ」と称し、供給側共通液室MN1および排出側共通液室MN2を接続し、ノズルNには連通しないインクの流路を、「バイパス流路BP」と称する。
【0051】
図9は、ヘッドユニット38_1をZ2方向に見た平面図である。図9に示す図は、バイパス流路BPと配線部材388との位置関係を示すため、配線部材388を一点鎖線で示す。図10は、図7におけるIX-IX線の断面図である。IX-IX線は、W1方向かつV2方向に設けられたバイパス口3853aと、導入口3851と、W1方向かつV1方向に設けられたバイパス口3853cとを通る仮想的な線分である。図10に示す図では、ヘッドユニット38_1の断面に加えて、流路分配部37および固定板39の断面も示す。
【0052】
図9に例示される通り、供給側共通液室MN1および排出側共通液室MN2は、M個のノズルNと1対1に対応するM個の個別流路RJにより連通される。各個別流路RJは、上述のとおり、供給側共通液室MN1に連通する連通流路RX1と、連通流路RX1に連通する連通流路RK1と、連通流路RK1に連通する圧力室CB1と、圧力室CB1に連通する連通流路RR1と、連通流路RR1に連通するノズル流路RNと、ノズル流路RNに連通する連通流路RR2と、連通流路RR2に連通する圧力室CB2と、圧力室CB2に連通する連通流路RK2と、連通流路RK2および排出側共通液室MN2を連通する連通流路RX2と、を含む。
【0053】
図9および図10に例示される通り、供給側共通液室MN1および排出側共通液室MN2は、第1バイパス流路BP1、および、第2バイパス流路BP2により接続される。第1バイパス流路BP1、および、第2バイパス流路BP2を、バイパス流路BPと総称する。さらに、ヘッドユニット38_kに対応する第1バイパス流路BP1を、第1バイパス流路BP1_kと称することがある。同様に、ヘッドユニット38_kに対応する第2バイパス流路BP2を、第2バイパス流路BP2_kと称することがある。kは、1から6までの整数である。
【0054】
図9に例示される通り、第1バイパス流路BP1は、供給側垂直部分BP1VSと、バイパス水平部分BP1Hと、排出側垂直部分BP1VDとを有する。供給側垂直部分BP1VSは、Z軸方向に延在し、Z2方向の端部で供給側共通液室MN1に連通し、Z1方向の端部でバイパス水平部分BP1Hに連通する。なお、供給側垂直部分BP1VSは、「第1垂直部分」の一例である。バイパス水平部分BP1H は、「第1部分」の一例である。
【0055】
図10に例示される通り、供給側垂直部分BP1VSは、第1流路部材Du1と、ケース385とによって画定される。供給側垂直部分BP1VSは、垂直部分BP1VSaと、垂直部分BP1VSbと、垂直部分BP1VScとを有する。垂直部分BP1VSaと、垂直部分BP1VSbとは、第1流路部材Du1によって画定される。垂直部分BP1VScは、ケース385によって画定される。図10に例示される通り、垂直部分BP1VSaの断面積は、垂直部分BP1VSbの断面積より小さい。垂直部分BP1VSbの断面積と垂直部分BP1VScの断面積とは、略一致する。流路の断面積とは、流路の延在方向に交差する平面、典型的には直交する平面で切断した切断面の面積である。流路の断面積が小さくなることに応じて、流路抵抗が大きくなる。従って、垂直部分BP1VSaと垂直部分BP1VSbとの平均の単位長さの流路抵抗は、垂直部分BP1VScの平均の単位長さの流路抵抗より大きい。また、供給側垂直部分BP1VS、およびBP2VSの単位長さの平均の流路抵抗は、バイパス水平部分BP1Hの単位長さの平均の流路抵抗と比較して大きい。
【0056】
バイパス水平部分BP1Hは、VW平面に略平行に位置する。バイパス水平部分BP1Hは、直線部BP1Haと、屈曲部BP1Hbと、直線部BP1Hcと、屈曲部BP1Hdと、直線部BP1Heとを有する。屈曲部BP1Hbおよび屈曲部BP1Hdは、配線部材388を迂回するように屈曲する。直線部BP1Haは、V軸方向に延在し、V1方向の端部で供給側垂直部分BP1VSに連通し、V2方向の端部で屈曲部BP1Hbに連通する。屈曲部BP1Hbは、Wa2方向に向けて凸となるように90度屈曲し、V1方向の端部で直線部BP1Haに連通し、W2方向の端部で直線部BP1Hcに連通する。Wa2方向は、W1方向を45度反時計回りに回転した方向である。Wa2方向と、Wa2方向とは反対方向であるWa1方向とを、Wa軸方向と総称する。直線部BP1Hcは、W軸方向に延在し、W1方向の端部で屈曲部BP1Hbに連通し、W2方向の端部で屈曲部BP1Hdに連通する。屈曲部BP1Hdは、Va2方向に向けて凸となるように90度屈曲し、W1方向の端部で直線部BP1Hcに連通し、V1方向の端部で直線部BP1Heに連通する。Va2方向は、V2方向を45度反時計回りに回転した方向である。Va2方向と、Va2方向とは反対方向であるVa1方向とを、Va軸方向と総称する。直線部BP1Heは、V軸方向に延在し、V2方向の端部で屈曲部BP1Hdに連通し、V1方向の端部で排出側垂直部分BP1VDに連通する。
【0057】
排出側垂直部分BP1VDは、Z軸方向に延在し、Z2方向の端部で排出側共通液室MN2に連通し、Z1方向の端部で直線部BP1Heに連通する。図には例示していないが、排出側垂直部分BP1VDは、供給側垂直部分BP1VSと同様に、第1流路部材Du1とケース385とによって画定される。排出側垂直部分BP1VDは、第1流路部材Du1によって画定される部分と、ケース385によって画定される部分とを有する。排出側垂直部分BP1VDのうち第1流路部材Du1によって画定される部分には、供給側垂直部分BP1VSと同様に、断面積が変化する箇所がある。排出側垂直部分BP1VDのZ1方向の端部における断面積は、Z2方向の端部における断面積より小さい。
【0058】
図9に例示される通り、第2バイパス流路BP2は、供給側垂直部分BP2VSと、バイパス水平部分BP2Hと、排出側垂直部分BP2VDとを有する。供給側垂直部分BP2VSは、Z軸方向に延在し、Z2方向の端部で供給側共通液室MN1に連通し、Z1方向の端部でバイパス水平部分BP2Hに連通する。
【0059】
供給側垂直部分BP2VSは、「第2垂直部分」の一例である。バイパス水平部分BP2Hは、「第1部分」の一例である。また、バイパス水平部分BP1Hとバイパス水平部分BP2Hとを、バイパス水平部分BPHと総称する。また、ヘッドユニット38_kに対応するバイパス水平部分BP1Hとバイパス水平部分BP2Hとを、夫々、バイパス水平部分BP1H_k、バイパス水平部分BP2H_kと称する場合がある。kは、1から6までの整数である。
【0060】
図10に例示される通り、供給側垂直部分BP2VSは、第1流路部材Du1と、ケース385とによって画定される。供給側垂直部分BP2VSは、垂直部分BP2VSaと、垂直部分BP2VSbと、垂直部分BP2VScとを有する。垂直部分BP2VSaと、垂直部分BP2VSbとは、第1流路部材Du1によって画定される。垂直部分BP2VScは、ケース385によって画定される。図10に例示される通り、垂直部分BP2VSaの断面積は、垂直部分BP2VSbの断面積より小さい。垂直部分BP2VSbの断面積と垂直部分BP2VScの断面積とは、略一致する。
【0061】
バイパス水平部分BP2Hは、VW平面に略平行に位置する。バイパス水平部分BP2Hは、直線部BP2Haと、屈曲部BP2Hbと、直線部BP2Hcと、屈曲部BP2Hdと、直線部BP2Heとを有する。直線部BP2Haは、V軸方向に延在し、V2方向の端部で供給側垂直部分BP2VSに連通し、V1方向の端部で屈曲部BP2Hbに連通する。屈曲部BP2Hbは、Va1方向に向けて凸となるように90度屈曲し、V2方向の端部で直線部BP2Haに連通し、W2方向の端部で直線部BP2Hcに連通する。直線部BP2Hcは、W軸方向に延在し、W1方向の端部で屈曲部BP2Hbに連通し、W2方向の端部で屈曲部BP2Hdに連通する。屈曲部BP2Hdは、Wa1方向に向けて凸となるように90度屈曲し、W1方向の端部で直線部BP2Hcに連通し、V2方向の端部で直線部BP2Heに連通する。直線部BP2Heは、V軸方向に延在し、V1方向の端部で屈曲部BP2Hdに連通し、V2方向の端部で排出側垂直部分BP2VDに連通する。
【0062】
さらに、図10に例示される通り、バイパス水平部分BP2Hは、平面視において、ケース385と重ならない部分BP2H1を有する。一方、バイパス水平部分BP1Hの全部は、平面視において、ケース385と重なる。
【0063】
また、図10に例示される通り、垂直部分BP1VSaおよび垂直部分BP1VSbのZ1方向の合計の長さLdは、垂直部分BP1VScのZ1方向の長さLcよりも長い。同様に、垂直部分BP2VSaおよび垂直部分BP2VSbのZ1方向の合計の長さLdは、垂直部分BP2VScのZ1方向の長さLcよりも長い。
【0064】
図示しないが、供給側垂直部分BP1VSおよび供給側垂直部分BP2VSと同様に、排出側垂直部分BP1VDの第1流路部材Du1が画定する部分のZ1方向の長さは、排出側垂直部分BP1VDのケース385が画定する部分のZ1方向の長さよりも長く、排出側垂直部分BP2VDの第1流路部材Du1が画定する部分のZ1方向の長さは、排出側垂直部分BP2VDのケース385が画定する部分のZ1方向の長さよりも長い。
【0065】
図9および図10に例示されるように、供給側共通液室MN1は、導入流路SPVに連通する。導入流路SPVは、V軸方向において第1バイパス流路BP1と第2バイパス流路BP2との間で、供給側共通液室MN1と連通する。同様に、排出側共通液室MN2は、導出流路DSVに連通する。導出流路DSVは、V軸方向において第1バイパス流路BP1と第2バイパス流路BP2との間で、排出側共通液室MN2と連通する。導入流路SPVは、平面視において、供給側共通液室MN1のV1方向の端部とV2方向の端部との中点に位置する。同様に、導出流路DSVは、平面視において、排出側共通液室MN2のV1方向の端部とV2方向の端部との中点に位置する。すなわち、V軸方向において、供給側共通液室MN1のV1方向の端部から導入流路SPVまでの距離と、導入流路SPVから供給側共通液室MN1のV2方向の端部までの距離とは、同一であり、ともに距離D1である。同様に、V軸方向において、排出側共通液室MN2のV1方向の端部から導出流路DSVまでの距離と、導出流路DSVから排出側共通液室MN2のV2方向の端部までの距離とは、同一であり、ともに距離D1である。
【0066】
以下、ヘッドユニット38_kに対応する導入流路SPVを、導入流路SPV_kと称することがある。同様に、ヘッドユニット38_kに対応する導出流路DSVを、導出流路DSV_kと称することがある。
【0067】
図10に例示される通り、供給側共通液室MN1のV2方向の端部から供給側垂直部分BP1VSのV2方向の側面までにおいて、V軸上の位置がV2方向に近づくことに応じて、供給側共通液室MN1におけるZ軸方向の長さが単調に減少する。また、供給側共通液室MN1のV1方向の端部から供給側垂直部分BP2VSのV1方向の側面までにおいて、V軸上の位置がV1方向に近づくことに応じて、Z軸方向の長さが単調に減少する。図示していないが、排出側共通液室MN2のV2方向の端部から排出側垂直部分BP1VDのV2方向の側面までにおいて、V軸上の位置がV2方向に近づくことに応じて、排出側共通液室MN2におけるZ軸方向の長さが単調に減少する。また排出側共通液室MN2のV1方向の端部から排出側垂直部分BP2VDのV1方向の側面までにおいて、V軸上の位置がV1方向に近づくことに応じて、Z軸方向の長さが単調に減少する。
【0068】
図10に例示される通り、供給側共通液室MN1は、V2端部領域MN1aと、V2連通領域MN1bと、分配領域MN1cと、V1連通領域MN1dと、V1端部領域MN1eとを有する。なお、V2端部領域MN1aは、「第2領域」の一例である。V2連通領域MN1bは、「第1領域」の一例である。
【0069】
V2端部領域MN1aは、供給側共通液室MN1のうち、供給側垂直部分BP1VSよりもV2方向に位置する領域である。供給側垂直部分BP1VSよりもV2方向に位置するとは、より詳細には、供給側垂直部分BP1VSの壁面にV2方向で接するWZ平面よりもV2方向に位置することを意味する。すなわち、V2端部領域MN1aは、供給側共通液室MN1を供給側垂直部分BP1VSの壁面にV2方向で接するWZ平面によって分割した2つの領域のうち、V2方向に位置する領域である。
【0070】
V2連通領域MN1bは、供給側共通液室MN1のうち、導入流路SPVから供給側垂直部分BP1VSまでに位置する領域である。導入流路SPVから供給側垂直部分BP1VSまでに位置するとは、より詳細には、導入流路SPVの壁面にV2方向で接するWZ平面よりもV2方向に位置し、且つ、供給側垂直部分BP1VSの壁面にV2方向で接するWZ平面よりもV1方向に位置することを意味する。すなわち、V2連通領域MN1bは、供給側共通液室MN1を導入流路SPVの壁面にV2方向で接するWZ平面によって分割した2つの領域のうちV2方向に位置する領域と、供給側共通液室MN1を供給側垂直部分BP1VSの壁面にV2方向で接するWZ平面によって分割した2つの領域のうち、V1方向に位置する領域と、が重なる領域である。
【0071】
分配領域MN1cは、供給側共通液室MN1のうち、導入流路SPVの壁面にV2方向で接するWZ平面よりもV1方向に位置し、且つ、導入流路SPVの壁面にV1方向で接するWZ平面よりもV2方向に位置する領域である。
【0072】
V1連通領域MN1dは、供給側共通液室MN1のうち、導入流路SPVから供給側垂直部分BP2VSまでに位置する領域である。導入流路SPVから供給側垂直部分BP2VSまでに位置するとは、より詳細には、導入流路SPVの壁面にV1方向で接するWZ平面よりもV1方向に位置し、供給側垂直部分BP2VSの壁面にV1方向で接するWZ平面よりもV2方向に位置することを意味する。すなわち、V1連通領域MN1dは、供給側共通液室MN1を導入流路SPVの壁面にV1方向で接するWZ平面によって分割した2つの領域のうちV1方向に位置する領域と、供給側共通液室MN1を供給側垂直部分BP2VSの壁面にV1方向で接するWZ平面によって分割した2つの領域のうち、V2方向に位置する領域と、が重なる領域である。
【0073】
V1端部領域MN1eは、供給側共通液室MN1のうち、供給側垂直部分BP2VSよりもV1方向に位置する領域である。供給側垂直部分BP2VSよりもV1方向に位置するとは、より詳細には、供給側垂直部分BP2VSの壁面にV1方向で接するWZ平面よりもV1方向に位置することを意味する。すなわち、V1端部領域MN1eは、供給側共通液室MN1を供給側垂直部分BP1VSの壁面にV1方向で接するWZ平面によって分割した2つの領域のうち、V1方向に位置する領域である。図11を用いて、V2端部領域MN1aについて説明する。
【0074】
図11は、V2端部領域MN1a付近を拡大した図である。図11に示す図は、ノズル面FNが水平面SFに対して60度傾斜した状態におけるV2端部領域MN1a付近を示す。ヘッドモジュール3が傾斜して使用される場合、ノズル面FNの傾斜角度は、0度よりも大きく90度以下となる。図11に例示する通り、V2端部領域MN1aの面MN1aSは、V2連通領域MN1bの面MN1bSに対して、Z2方向に配置される。ここで、面MN1aSは、V2端部領域MN1aのZ1方向の面である。Z1方向の面とは、面の法線方向がZ1方向である場合に加えて、面の法線方向をZ軸方向とV軸方向とW軸方向とに分解した場合に、分解したV軸方向がV1方向である場合を含む。なお、図11では、破線でノズルプレート387を図示し、固定板39およびコンプライアンス基板3861の支持板3861bの図示を省略している。
【0075】
図11に例示される通り、供給側垂直部分BP1VSのZ2方向の端部の位置は、V2連通領域MN1bのZ1方向の面の位置と一致する。
【0076】
図11に例示される通り、V2端部領域MN1aのZ1方向の面は、ケース385が有する面と、連通板382が有する面とにより構成される。V2端部領域MN1aにおけるケース385が有するZ1方向の面は、テーパー面である。V2端部領域MN1aにおける連通板382が有するZ1方向の面は、VW平面に平行である。V2端部領域MN1aにおけるケース385が有するZ1方向の面のV2方向の端部は、V2端部領域MN1aにおける連通板382が有するZ1方向の面のV1方向の端部よりZ1方向に位置する。V2端部領域MN1aには、V2連通領域MN1bのZ軸方向における最大寸法の半分以下のZ軸方向における寸法を有する部分を有する。図11の例では、V軸方向において、供給側垂直部分BP1VSの壁面におけるV2方向の位置と、V2端部領域MN1aのV2方向の端部の位置との中間に位置するV2端部領域MN1aのZ軸方向における寸法MN1aCは、V2連通領域MN1bのZ軸方向における最大寸法の半分以下である。なお、Z軸方向における寸法は、Z軸方向における長さである。
V1端部領域MN1eの形状は、W2方向に見た平面視において、導入流路SPVの中心を軸として、V2端部領域MN1aの形状と略線対称の関係にある。具体的には、V1端部領域MN1eのZ1方向の面は、ケース385が有する面と、連通板382が有する面とにより構成される。V1端部領域MN1eにおけるケース385が有するZ1方向の面は、テーパー面である。V1端部領域MN1eにおける連通板382が有するZ1方向の面は、VW平面に平行である。V1端部領域MN1eにおけるケース385が有するZ1方向の面のV1方向の端部は、V1端部領域MN1eにおける連通板382が有するZ1方向の面のV2方向の端部よりZ1方向に位置する。
【0077】
説明を図7および図8に戻す。図7および図8に例示される通り、圧力室基板383のZ1方向には、振動板384が設けられる。振動板384は、V軸方向に長尺で、VW平面に略平行に延在する板状の部材であって、弾性的に振動可能な部材である。なお、振動板384は、圧力室基板383と同一の部材で形成されていてもよい。
【0078】
図7および図8に例示される通り、振動板384のZ1方向の面には、M個の圧力室CB1に1対1に対応するM個の圧電素子PZ1と、M個の圧力室CB2に1対1に対応するM個の圧電素子PZ2と、が設けられる。以下では、圧電素子PZ1および圧電素子PZ2を、圧電素子PZqと総称する。圧電素子PZqは、駆動信号Comの電位変化に応じて変形する受動素子である。
【0079】
図7および図8に例示される通り、振動板384のZ1方向の面には、配線部材388が実装される。図12を用いて配線部材388を説明する。
【0080】
図12は、配線部材388の平面図および側面図である。配線部材388は、可撓性の基材3880と、基材3880の配線形成面3887に形成された複数の配線とを含んで構成される。配線部材388は、例えば、COF基板(Chip on Film)やFPC基板(Flexible Printed Circuits)などであり、本実施形態では、COF基板を採用している。図12に例示する配線部材388は、配線部材388に何ら外力がかかっていない状態である。配線形成面3887には、配線基板35から供給された制御信号や電源電圧をヘッドユニット38に伝送するための配線が形成される。
【0081】
配線部材388は、出力端子部3881と入力端子部3882と中継部3883とを包含する。図8に例示される通り、出力端子部3881および入力端子部3882は、配線部材388の両端に位置する部分である。すなわち、配線部材388のうち、出力端子部3881と入力端子部3882との間に中継部3883が位置する。図8では、出力端子部3881および中継部3883の境界L1と、入力端子部3882および中継部3883の境界L2とが図示されている。
【0082】
図12に例示される通り、入力端子部3882の幅Wi2は、出力端子部3881の幅Wi1よりも小さい。さらに、幅Wi2は、幅Wi1の半分よりも大きい。
【0083】
さらに図7および図12に例示される通り、配線部材388は、配線部材388の全体の幅に対して、入力端子部3882が片側に寄っている形状である。具体的には、図12の例示では、入力端子部3882が右側に寄っている。より詳細には、配線部材388の上部から見た場合に、入力端子部3882の右端と、出力端子部3881の右端とは重なるが、入力端子部3882の左端は、出力端子部3881の左端と比較して、右側に位置する。
【0084】
図12に例示される通り、出力端子部3881の配線形成面3887には、各圧電素子PZqに電気的に接続される複数の出力端子3885が形成され、入力端子部3882の配線形成面3887には、配線基板35に電気的に接続される複数の入力端子3886が形成される。また、中継部3883には駆動回路3884が搭載される。駆動回路3884は、配線基板35から供給される制御信号SIおよび電源電圧を利用して各圧電素子PZqの駆動信号Comを生成する。駆動回路3884が生成した駆動信号Comは出力端子3885を介してヘッドユニット38に供給される。駆動回路3884は、制御信号SIによる制御のもとで、圧電素子PZqに対して、駆動信号Comを供給するか否かを切り替える電気回路である。駆動回路3884は、圧電素子PZqが有する上部電極に対して駆動信号Comを供給する。
【0085】
図7および図8に例示されるように、配線部材388は、中継部3883に対して出力端子部3881が境界L1で曲折され、中継部3883に対して入力端子部3882が境界L2で曲折される。図7および図8に例示されるように、配線部材388は、VZ平面に沿って略平行に延在する。より詳細には、配線部材388は、振動板384の法線に対して傾斜した状態で、振動板384から配線基板35に向かって延在する。
【0086】
図7および図8に例示される通り、連通板382のZ1方向には、ケース385が設けられる。ケース385は、V軸方向に長尺な部材であり、インクの流路が形成される。具体的には、ケース385には、1個の供給液室RB1と、1個の排出液室RB2とが形成される。このうち、供給液室RB1は、供給液室RA1と連通し、供給液室RA1から見てZ1方向において、V軸方向に延在するように設けられる。また、排出液室RB2は、排出液室RA2と連通し、排出液室RA2から見てZ1方向であって、供給液室RB1から見てW2方向において、V軸方向に延在するように設けられる。
【0087】
また、ケース385には、供給液室RB1と連通する導入口3851と、排出液室RB2と連通する導出口3852と、バイパス口3853aと、バイパス口3853bと、バイパス口3853cと、バイパス口3853dと、が設けられる。そして、供給液室RB1には、液体容器93から、導入口3851を介してインクが供給側共通液室MN1に供給される。供給側共通液室MN1に供給されたインクは、個別流路RJ、バイパス口3853aおよびバイパス口3853bを介した第1バイパス流路BP1、ならびに、バイパス口3853cおよびバイパス口3853dを介した第2バイパス流路BP2のうちいずれか一つの流路を介して、排出側共通液室MN2に貯留される。排出側共通液室MN2に貯留されたインクは、導出口3852を介して回収される。
【0088】
また、ケース385には、開口3850が設けられる。開口3850の内側には、圧力室基板383と、振動板384と、配線部材388とが設けられる。ケース385は、例えば、樹脂材料の射出成形により形成される。但し、ケース385の製造には公知の材料や製法が任意に採用され得る。
【0089】
説明を図3に戻す。図7図11では、ヘッドユニット38_1について説明したが、ヘッドユニット38_2~38_6の構成も、ヘッドユニット38_1の構成と同一である。ただし、ヘッドユニット38_1、38_3、および、38_5の配線部材388は、V1方向に入力端子部3882が寄っている向きに配置されている。一方、ヘッドユニット38_2、38_4、および、38_6の配線部材388は、V2方向に入力端子部3882が寄っている向きに配置されている。ヘッドユニット38_1~38_6の夫々の配線部材388は、全て同一の形状である。ヘッドユニット38_2、38_4、および、38_6の配線部材388は、ヘッドユニット38_1の配線部材388の向きを基準として、Z軸方向を軸として、180度回転した向きで配置されている。ヘッドユニット38_1の配線部材388とヘッドユニット38_2の配線部材388とは、互いが点対称となるように配置されている。ヘッドユニット38_3の配線部材388とヘッドユニット38_4の配線部材388とも、互いが点対称となるように配置されている。ヘッドユニット38_5の配線部材388とヘッドユニット38_6の配線部材388とも、互いが点対称となるように配置されている。
【0090】
固定板39は、コンプライアンス基板3861のZ2方向の面および第1流路部材Du1のZ2方向の面に接着される。すなわち、固定板39に設けられた6つの露出開口部391は、露出開口部391内でノズルプレート387のノズル面FNを露出する。ノズル面FNは、複数のノズルNが形成されるとともにノズルプレート387のZ2方向を向く面であり、Z2方向に垂直な面である。6つの露出開口部391の夫々の配置も、配線基板35の開口部351および切り欠き部352と同様に、千鳥状である。
【0091】
コンプライアンス基板3861は、図8に示すように、可撓膜3861aと支持板3861bとを有する。可撓膜3861aは、可撓性を有する部材であり、例えばPPS等の樹脂から成るフィルムを採用することができ、支持板3861bは、剛性を有する部材であり、例えばステンレス鋼を採用することができる。可撓膜3861aは、連通板382のZ2方向の面に固定されることで、連通板382の供給液室RA1、連通流路RX1、連通流路RK1、連通流路RK2、連通流路RX2および排出液室RA2を画定する開口をZ2方向側から覆う部材である。換言すれば、可撓膜3861aは、供給液室RA1、連通流路RX1、連通流路RK1、連通流路RK2、連通流路RX2および排出液室RA2を画定する部材である。支持板3861bは、可撓膜3861aのZ2方向の面に固定され、Z軸方向に見て、供給液室RA1、連通流路RX1、連通流路RK1、連通流路RK2、連通流路RX2および排出液室RA2と重なる位置に開口が形成されている。固定板39は、支持板3861bの開口をZ2方向から封止するようにして、支持板3861bに接着されている。可撓膜3861aのZ2方向の面と支持板3861bの開口と固定板39のZ1方向の面とで画定される空間は、不図示の大気連通路によって大気と連通しており、当該空間によって可撓膜3861aはZ1方向およびZ2方向に変形することで、ヘッドユニット38内に発生する圧力変動を吸収することができる。
【0092】
1.3.4.流路
流路構造体34および流路分配部37は、第1供給流路Si1と、第2供給流路Si2と、第1排出流路Do1と、第2排出流路Do2とが設けられる。以下では、第1供給流路Si1と第2供給流路Si2とを、供給流路Siと総称する。同様に、第1排出流路Do1と第2排出流路Do2とを、排出流路Doと総称する。供給流路Siは、インクを複数のヘッドユニット38の夫々の供給側共通液室MN1に供給する流路である。排出流路Doは、複数のヘッドユニット38の夫々の排出側共通液室MN2からインクを排出する流路である。
【0093】
図13は、流路構造体34および流路分配部37によって形成される流路の概略を示す図である。図13では、第1供給流路Si1と、第2供給流路Si2と、第1排出流路Do1と、第2排出流路Do2とを示す。図13に示す図において、紙面に対する垂直方向がZ軸方向である。ただし、図面の煩雑化を防ぐため、図13に示す図において、流路構造体34および流路分配部37によって形成される流路のうち、流路構造体34と流路分配部37との間に形成されており、かつ、Z軸方向に延在する流路は、右上45度の方向に延在するように表示してある。さらに、この流路の長さを、本来の縮尺より長くなるように表示することにより、図13に示す図において、流路構造体34および流路分配部37が互いに重ならないように表示してある。さらに、図13では、バイパス流路BPの表示を省略してある。さらに、図13では、第1供給流路Si1および第2供給流路Si2を一点鎖線で示し、第1排出流路Do1および第2排出流路Do2を破線で示す。
【0094】
第1供給流路Si1は、第1インクをヘッドユニット38_1、38_3、および、38_5に供給する流路である。第1供給流路Si1は、供給共通流路SCi1と、接続管373i1と、供給分配流路SDi1とを有する。第2供給流路Si2は、第2インクをヘッドユニット38_2、38_4、および、38_6に供給する流路である。第2供給流路Si2は、供給共通流路SCi2と、接続管373i2と、供給分配流路SDi2とを有する。
【0095】
第1排出流路Do1は、ヘッドユニット38_1、38_3、および、38_5から第1インクを排出する流路である。第1排出流路Do1は、排出合流流路DUo1と、接続管373o_1と、排出個別流路DSo1_1と、接続管373o_3と、排出個別流路DSo1_3と、接続管373o_5と、排出個別流路DSo1_5とを有する。
【0096】
第2排出流路Do2は、ヘッドユニット38_2、38_4、および、38_6から第2インクを排出する流路である。第2排出流路Do2は、排出合流流路DUo2と、接続管373o_2と、排出個別流路DSo2_2と、接続管373o_4と、排出個別流路DSo2_4と、接続管373o_6と、排出個別流路DSo2_6とを有する。
【0097】
供給共通流路SCi1と、供給共通流路SCi2と、排出合流流路DUo1と、排出合流流路DUo2とは、流路構造体34内に形成される。供給分配流路SDi1と、供給分配流路SDi2と、排出個別流路DSo1_1と、排出個別流路DSo1_3と、排出個別流路DSo1_5と、排出個別流路DSo2_2と、排出個別流路DSo2_4と、排出個別流路DSo2_6とは、流路分配部37内に形成される。
【0098】
流路構造体34および流路分配部37によって形成される流路のうち、流路構造体34内に形成される流路について、図14を用いて説明し、流路分配部37によって形成される流路について、図15図16、および図17を用いて説明する。
【0099】
図14は、流路構造体34内に形成される流路を示す図である。図14に示す図は、Z2方向に見た流路構造体34の平面図である。流路構造体34には、供給共通流路SCi1と、供給共通流路SCi2と、排出合流流路DUo1と、排出合流流路DUo2とが形成される。さらに、流路構造体34は、前述した接続管341i1、341i2、341o1、および、341o2に加えて、フィルターRF1と、フィルターRF2とを有する。以下、フィルターRF1とフィルターRF2とを、フィルターRFと総称する。
【0100】
接続管341i1、341i2、341o1、および、341o2は、流路プレートSu1のZ1方向を向く面に突出するように設けられる。接続管341i1は、流路プレートSu1に第1インクを供給するための流路を構成する管体である。また、接続管341i2は、流路プレートSu1に第2インクを供給するための流路を構成する管体である。一方、接続管341o1は、流路プレートSu1から第1インクを排出するための流路を構成する管体である。また、接続管341o2は、流路プレートSu1から第2インクを排出するための流路を構成する管体である。
【0101】
フィルターRFは、インクの通過を許容しつつ、インクに混入する異物等を捕捉する板状またはシート状の部材である。フィルターRFは、例えば、綾畳織または平畳織等の金属繊維で構成される。なお、フィルターRFは、金属繊維を用いる構成に限定されず、例えば、不織布等の樹脂繊維で構成されてもよい。フィルターRFは、典型的にはXY平面に対して平行となるように配置される。
【0102】
供給共通流路SCi1および供給共通流路SCi2は、流路構造体34の重心G34を中心に点対称となるように配置される。同様に、排出合流流路DUo1および排出合流流路DUo2は、流路構造体34の重心G34を中心に点対称となるように配置される。
【0103】
供給共通流路SCi1は、フィルターRF1を介して接続管341i1に連通する。さらに、供給共通流路SCi1は、Y軸方向に延在し、Y2方向の端部の近傍に排出口CE1を有する。さらに、供給共通流路SCi1の一部は、辺He8に沿うように配置される。排出口CE1は、接続管373i1に連通する。さらに、排出口CE1は、辺He1と辺He8とが交差する場合の頂点の近傍に位置する。
【0104】
供給共通流路SCi2は、フィルターRF2を介して接続管341i2に連通する。さらに、供給共通流路SCi2は、Y軸方向に延在し、Y1方向の端部の近傍に排出口CE2を有する。さらに、供給共通流路SCi2の一部は、辺He4に沿うように配置される。排出口CE2は、接続管373i2に連通する。さらに、排出口CE2は、辺He4と辺He5とが交差する場合の頂点の近傍に位置する。
【0105】
排出合流流路DUo1は、排出流路部分DP1_11と、排出流路部分DP1_12と、排出流路部分DP1_3と、排出流路部分DP1_51と、排出流路部分DP1_52と、排出流路部分DP1_Uとを有する。排出流路部分DP1_11は、Y軸方向に延在し、Y1方向の端部で排出流路部分DP1_12に連通し、Y2方向の端部の近傍に導入口CI1_1を有する。導入口CI1_1は、接続管373o_1に連通する。排出流路部分DP1_12は、X軸方向に延在し、X1方向の端部で排出流路部分DP1_11に連通し、X2方向の端部で排出流路部分DP1_Uに連通する。排出流路部分DP1_3は、Y軸方向に延在し、Y1方向の端部で排出流路部分DP1_Uに連通し、Y2方向の端部の近傍に導入口CI1_3を有する。導入口CI1_3は、接続管373o_3に連通する。排出流路部分DP1_51は、U軸方向に延在し、U1方向の端部で排出流路部分DP1_52に連通し、U2方向の端部の近傍に導入口CI1_5を有する。さらに、導入口CI1_5は、辺He2の近傍に設けられる。U軸方向は、U1方向とU2方向との総称である。U1方向は、X1方向を略45度時計回りに回転した方向である。U2方向は、U1方向の反対方向である。排出流路部分DP1_52は、X軸方向に延在し、X1方向の端部で排出流路部分DP1_Uに連通し、X2方向の端部で排出流路部分DP1_51に連通する。排出流路部分DP1_Uは、Z1方向の端部で接続管341o1に連通し、X1方向の端部で排出流路部分DP1_12に連通し、Y2方向の端部で排出流路部分DP1_3に連通し、X2方向の端部で排出流路部分DP1_52に連通する。排出流路部分DP1_Uは、排出流路部分DP1_12、排出流路部分DP1_3、および、排出流路部分DP1_52から流れたインクが合流する箇所である。合流したインクは、接続管341o2に流れる。
【0106】
排出合流流路DUo2は、排出流路部分DP2_21と、排出流路部分DP2_22と、排出流路部分DP2_4と、排出流路部分DP2_61と、排出流路部分DP2_62と、排出流路部分DP2_Uとを有する。排出流路部分DP2_21は、U軸方向に延在し、U1方向の端部の近傍に導入口CI2_2を有し、U2方向の端部で排出流路部分DP2_22に連通する。導入口CI2_2は、接続管373o_2に連通する。さらに、導入口CI2_2は、辺He6の近傍に設けられる。排出流路部分DP2_22は、X軸方向に延在し、X2方向の端部で排出流路部分DP2_Uに連通し、X1方向の端部で排出流路部分DP2_21に連通する。排出流路部分DP2_4は、Y軸方向に延在し、Y1方向の端部の近傍に導入口CI2_4を有し、Y2方向の端部で排出流路部分DP2_Uに連通する。導入口CI2_4は、接続管373o_4に連通する。排出流路部分DP2_61は、Y軸方向に延在し、Y1方向の端部の近傍に導入口CI2_6を有し、Y2方向の端部で排出流路部分DP2_62に連通する。導入口CI2_6は、接続管373o_6に連通する。排出流路部分DP2_62は、X軸方向に延在し、X1方向の端部で排出流路部分DP2_Uに連通し、X2方向の端部で排出流路部分DP2_61に連通する。排出流路部分DP2_Uは、Z1方向の端部で接続管341o2に連通し、X1方向の端部で排出流路部分DP2_22に連通し、Y1方向の端部で排出流路部分DP2_4に連通し、X2方向の端部で排出流路部分DP2_62に連通する。排出流路部分DP2_Uは、排出流路部分DP2_22、排出流路部分DP2_4、および、排出流路部分DP2_62から流れたインクが合流する箇所である。合流したインクは、接続管341o2に流れる。
【0107】
図15および図16は、流路分配部37に形成される流路の図である。図15に示す図は、流路分配部37内に形成される流路を示す斜視図である。図16に示す図は、流路分配部37内に形成される流路を示す平面図である。図15および図16では、さらに、ヘッドユニット38と、固定板39とを表示してある。さらに、図15では、図面の煩雑化を防ぐため、複数のバイパス流路BPのうち、一部のバイパス流路BPにのみ符号を付与してある。平面視において、流路分配部37および固定板39の外形は、流路構造体34の外形と略同一である。そこで、説明を簡略化するため、流路分配部37および固定板39の外形の8つ辺の夫々を、流路構造体34の外形が有する辺He1~辺He8の中から略同一の位置にある辺の符号と同一の符号を用いて説明する。
【0108】
図15に例示される通り、接続管373i1は、Z軸方向に延在し、Z1方向の端部で排出口CE1に連通し、Z2方向の端部で供給分配流路SDi1に連通する。図15に例示される通り、供給分配流路SDi1は、分配流路SPH1と、導入流路SPV_1と、導入流路SPV_3と、導入流路SPV_5とを有する。
【0109】
分配流路SPH1は、第1流路部材Du1と、第2流路部材Du2とによって形成される。さらに、分配流路SPH1は、ヘッドユニット38_1、38_3、38_5の夫々に対応する複数の供給側共通液室MN1に第1インクを分配して供給する。図16に例示される通り、分配流路SPH1は、分配流路部分SP1_11と、分配流路部分SP1_12と、分配流路部分SP1_31と、分配流路部分SP1_32と、分配流路部分SP1_51と、分配流路部分SP1_52と、分配流路部分SP1_53と、分配流路部分SP1_U1と、分配流路部分SP1_U2とを有する。
【0110】
分配流路部分SP1_11は、V軸方向に延在し、V1方向の端部で導入流路SPV_1に連通し、V2方向の端部で分配流路部分SP1_12に連通する。分配流路部分SP1_11は、辺He7の近傍に位置し、かつ、辺He7に沿って設けられる。導入流路SPV_1は、Z軸方向に延在し、Z1方向の端部で分配流路部分SP1_11に連通し、Z2方向の端部でヘッドユニット38_1の供給側共通液室MN1に連通する。分配流路部分SP1_12は、Y軸方向に延在し、Y1方向の端部で分配流路部分SP1_11に連通し、Y2方向の端部で分配流路部分SP1_U1に連通する。分配流路部分SP1_12は、辺He8の近傍に位置し、かつ、辺He8に沿って設けられる。
【0111】
分配流路部分SP1_31は、V軸方向に延在し、V1方向の端部で導入流路SPV_3に連通し、V2方向の端部で分配流路部分SP1_32に連通する。導入流路SPV_3は、Z軸方向に延在し、Z1方向の端部で分配流路部分SP1_31に連通し、Z2方向の端部でヘッドユニット38_3の供給側共通液室MN1に連通する。分配流路部分SP1_32は、Y軸方向に延在し、Y1方向の端部で分配流路部分SP1_31に連通し、Y2方向の端部で分配流路部分SP1_U2に連通する。
【0112】
分配流路部分SP1_51は、V軸方向に延在し、V1方向の端部で導入流路SPV_5に連通し、V2方向の端部で分配流路部分SP1_52に連通する。導入流路SPV_5は、Z軸方向に延在し、Z1方向の端部で分配流路部分SP1_51に連通し、Z2方向の端部でヘッドユニット38_5の供給側共通液室MN1に連通する。分配流路部分SP1_52は、V2方向に向けて凸となるように略124度屈曲し、V1方向の端部で分配流路部分SP1_51に連通し、X1方向の端部で分配流路部分SP1_53に連通する。分配流路部分SP1_53は、X軸方向に延在し、X2方向の端部で分配流路部分SP1_52に連通し、X1方向の端部で分配流路部分SP1_U2に連通する。分配流路部分SP1_53は、辺He1の近傍に配置される。
【0113】
分配流路部分SP1_U1は、Z1方向の端部で接続管373i1に連通し、Y1方向の端部で分配流路部分SP1_12に連通し、X2方向の端部で分配流路部分SP1_U2に連通する。分配流路部分SP1_U1は、接続管373i1から流れた第1インクが分配流路部分SP1_12および分配流路部分SP1_U2に分配される箇所である。分配流路部分SP1_U1は、辺He1と辺He8とが交差する場合の頂点の近傍に位置する。
【0114】
分配流路部分SP1_U2は、X軸方向に延在し、X1方向の端部で分配流路部分SP1_U1に連通し、X2方向の端部で分配流路部分SP1_32および分配流路部分SP1_53に連通する。分配流路部分SP1_U2のX2方向の端部は、分配流路部分SP1_U1から流れた第1インクが分配流路部分SP1_32および分配流路部分SP1_53に分配される箇所である。分配流路部分SP1_U2は、辺He1の近傍に位置し、かつ、辺He1に沿って設けられる。
【0115】
図15に例示される通り、接続管373i2は、Z軸方向に延在し、Z1方向の端部で排出口CE2に連通し、Z2方向の端部で供給分配流路SDi2に連通する。図15に例示される通り、供給分配流路SDi2は、分配流路SPH2と、導入流路SPV_2と、導入流路SPV_4と、導入流路SPV_6とを有する。
【0116】
分配流路SPH2は、ヘッドユニット38_2、38_4、38_6の夫々に対応する複数の供給側共通液室MN1に第2インクを分配して供給する。図16に例示される通り、分配流路SPH2は、分配流路部分SP2_21と、分配流路部分SP2_22と、分配流路部分SP2_23と、分配流路部分SP2_41と、分配流路部分SP2_42と、分配流路部分SP2_61と、分配流路部分SP2_62と、分配流路部分SP2_U1と、分配流路部分SP2_U2とを有する。
【0117】
分配流路部分SP2_21は、V軸方向に延在し、V2方向の端部で導入流路SPV_2に連通し、V1方向の端部で分配流路部分SP2_22に連通する。導入流路SPV_2は、Z軸方向に延在し、Z1方向の端部で分配流路部分SP2_21に連通し、Z2方向でヘッドユニット38_2の供給側共通液室MN1に連通する。分配流路部分SP2_22は、V1方向に向けて凸となるように略124度屈曲し、V2方向の端部で分配流路部分SP2_21に連通し、X2方向の端部で分配流路部分SP2_23に連通する。分配流路部分SP2_23は、X軸方向に延在し、X1方向の端部で分配流路部分SP2_22に連通し、X2方向の端部で分配流路部分SP2_U2に連通する。分配流路部分SP2_23は、辺He5の近傍に位置し、かつ、辺He5に沿って設けられる。
【0118】
分配流路部分SP2_41は、V軸方向に延在し、V2方向の端部で導入流路SPV_4に連通し、V1方向の端部で分配流路部分SP2_42に連通する。導入流路SPV_4は、Z軸方向に延在し、Z1方向の端部で分配流路部分SP2_41に連通し、Z2方向でヘッドユニット38_4の供給側共通液室MN1に連通する。分配流路部分SP2_42は、Y軸方向に延在し、Y2方向の端部で分配流路部分SP2_41に連通し、Y1方向の端部で分配流路部分SP2_U2に連通する。
【0119】
分配流路部分SP2_61は、V軸方向に延在し、V2方向の端部で導入流路SPV_6に連通し、V1方向の端部で分配流路部分SP2_62に連通する。分配流路部分SP2_61は、辺He3の近傍であり、かつ、辺He3に沿って設けられる。導入流路SPV_6は、Z軸方向に延在し、Z1方向の端部で分配流路部分SP2_61に連通し、Z2方向でヘッドユニット38_6の供給側共通液室MN1に連通する。分配流路部分SP2_62は、Y軸方向に延在し、Y2方向の端部で分配流路部分SP2_61に連通し、Y1方向の端部で分配流路部分SP2_U1に連通する。分配流路部分SP2_62は、辺He4の近傍であり、かつ、辺He4に沿って設けられる。
【0120】
分配流路部分SP2_U1は、Z1方向の端部で接続管373i2に連通し、Y2方向の端部で分配流路部分SP2_62に連通し、X1方向の端部で分配流路部分SP2_U2に連通する。分配流路部分SP2_U1は、接続管373i2から流れた第2インクが分配流路部分SP2_62および分配流路部分SP2_U2に分配される箇所である。分配流路部分SP1_U2は、辺He4と辺He5とが交差する場合の頂点の近傍に位置する。
【0121】
分配流路部分SP2_U2は、X軸方向に延在し、X2方向の端部で分配流路部分SP2_U1に連通し、X1方向の端部で分配流路部分SP2_42および分配流路部分SP2_23に連通する。分配流路部分SP2_U2のX1方向の端部は、分配流路部分SP2_U1から流れた第2インクが分配流路部分SP2_42および分配流路部分SP2_23に分配される箇所である。分配流路部分SP2_U2は、辺He5の近傍に位置し、かつ、辺He5に沿って設けられる。
【0122】
図15に例示される通り、排出個別流路DSo1_1は、排出水平流路DSH_1と、導出流路DSV_1とを有する。図16に例示される通り、排出水平流路DSH_1は、Y2方向に凸となるように略90度屈曲し、V1方向の端部で導出流路DSV_1に連通し、W2方向の端部で接続管373o_1に連通する。導出流路DSV_1は、Z軸方向に延在し、Z2方向の端部でヘッドユニット38_1の排出側共通液室MN2に連通し、Z1方向の端部で排出水平流路DSH_1に連通する。
【0123】
図15に例示される通り、排出個別流路DSo2_2は、排出水平流路DSH_2と、導出流路DSV_2とを有する。図16に例示される通り、排出水平流路DSH_2は、Y1方向に凸となるように略90度屈曲し、V2方向の端部で導出流路DSV_2に連通し、W1方向の端部で接続管373o_2に連通する。導出流路DSV_2は、Z軸方向に延在し、Z2方向の端部でヘッドユニット38_2の排出側共通液室MN2に連通し、Z1方向の端部で排出水平流路DSH_2に連通する。
【0124】
図15に例示される通り、排出個別流路DSo1_3は、排出水平流路DSH_3と、導出流路DSV_3とを有する。図16に例示される通り、排出水平流路DSH_3は、Y2方向に凸となるように略90度屈曲し、V1方向の端部で導出流路DSV_3に連通し、W2方向の端部で接続管373o_3に連通する。導出流路DSV_3は、Z軸方向に延在し、Z2方向の端部でヘッドユニット38_3の排出側共通液室MN2に連通し、Z1方向の端部で排出水平流路DSH_3に連通する。
【0125】
図15に例示される通り、排出個別流路DSo2_4は、排出水平流路DSH_4と、導出流路DSV_4とを有する。図16に例示される通り、排出水平流路DSH_4は、Y1方向に凸となるように略90度屈曲し、V2方向の端部で導出流路DSV_4に連通し、W1方向の端部で接続管373o_4に連通する。導出流路DSV_4は、Z軸方向に延在し、Z2方向の端部でヘッドユニット38_4の排出側共通液室MN2に連通し、Z1方向の端部で排出水平流路DSH_4に連通する。
【0126】
図15に例示される通り、排出個別流路DSo1_5は、排出水平流路DSH_5と、導出流路DSV_5とを有する。図16に例示される通り、排出水平流路DSH_5は、Y2方向に凸となるように略90度屈曲し、V1方向の端部で導出流路DSV_5に連通し、W2方向の端部で接続管373o_5に連通する。導出流路DSV_5は、Z軸方向に延在し、Z2方向の端部でヘッドユニット38_5の排出側共通液室MN2に連通し、Z1方向の端部で排出水平流路DSH_5に連通する。
【0127】
図15に例示される通り、排出個別流路DSo2_6は、排出水平流路DSH_6と、導出流路DSV_6とを有する。図16に例示される通り、排出水平流路DSH_6は、Y1方向に凸となるように略90度屈曲し、V2方向の端部で導出流路DSV_6に連通し、W1方向の端部で接続管373o_6に連通する。導出流路DSV_6は、Z軸方向に延在し、Z2方向の端部でヘッドユニット38_6の排出側共通液室MN2に連通し、Z1方向の端部で排出水平流路DSH_6に連通する。
【0128】
図16に例示される通り、バイパス水平部分BP1H_2、BP1H_4、BP1H_6、BP2H_1、BP2H_3およびBP2H_5の夫々は、平面視で、当該バイパス水平部分BPHの夫々に対応するヘッドユニット38のケース385と重ならない部分を有する。図16では、平面視において、当該バイパス水平部分BPHと重なるケース385の境界を破線で示す。また、バイパス水平部分BP1H_1、BP1H_3、BP1H_5、BP2H_2、BP2H_4およびBP2H_6の夫々は、平面視で、当該バイパス水平部分BPHの夫々に対応するヘッドユニット38のケース385と、全ての部分で重なる。
すなわち、ヘッドユニット38_kにおいて、バイパス水平部分BP1H_kおよびBP2H_kのうち、流路分配部37のY軸方向の外縁から遠い距離に位置するバイパス水平部分BPHは、平面視でヘッドユニット38_kのケース385と重ならない部分を有し、流路分配部37のY軸方向の外縁から近い距離に位置するバイパス水平部分BPHは、平面視でヘッドユニット38_kのケース385と全ての部分で重なる。kは、1から6までの整数である。
【0129】
図17は、第1流路部材Du1の斜視図である。図17に例示される通り、第1流路部材Du1のZ1方向の面には、分配流路SPH1と、分配流路SPH2と、排出水平流路DSH_1~DSH_6と、バイパス水平部分BP1H_1~BP1H_6と、バイパス水平部分BP2H_1~BP2H_6とを画定する溝が形成される。図示していないが、第2流路部材Du2のZ2方向の面には、分配流路SPH1と、分配流路SPH2と、排出水平流路DSH_1~DSH_6と、バイパス水平部分BP1H_1~BP1H_6と、バイパス水平部分BP2H_1~BP2H_6とを画定する溝が形成される。言い換えれば、分配流路SPH1と、分配流路SPH2と、排出水平流路DSH_1~DSH_6と、バイパス水平部分BP1H_1~BP1H_6と、バイパス水平部分BP2H_1~BP2H_6とは、第1流路部材Du1と第2流路部材Du2との間に形成される。なお、分配流路SPH1と、分配流路SPH2と、排出水平流路DSH_1~DSH_6と、バイパス水平部分BP1H_1~BP1H_6と、バイパス水平部分BP2H_1~BP2H_6とを画定する溝は、第1流路部材Du1および第2流路部材Du2のうちいずれか一方のみに形成されている構成でもよい。
【0130】
1.4.第1実施形態のまとめ
以上説明したように、液体噴射ヘッド30は、ノズル列Lnと、複数の個別流路RJと、供給側共通液室MN1と、排出側共通液室MN2と、第1バイパス流路BP1と、第2バイパス流路BP2と、導入流路SPVとを備える。ノズル列Lnは、インクをZ2方向へ噴射する複数のノズルNがZ2方向に直交するV2方向に並んで構成される。複数の個別流路RJは、複数のノズルNの夫々と連通する。供給側共通液室MN1は、Z2方向に延在するとともに複数の個別流路RJと連通し、複数の個別流路RJにインクを供給する。排出側共通液室MN2、V2方向に延在するとともに複数の個別流路RJと連通し、複数の個別流路RJから排出されたインクが流れる。第1バイパス流路BP1は、供給側共通液室MN1と、排出側共通液室MN2と、を接続する。第2バイパス流路BP2は、供給側共通液室MN1と、排出側共通液室MN2と、を接続する。導入流路SPVは、V2方向において第1バイパス流路BP1と第2バイパス流路BP2との間で、供給側共通液室MN1と連通する。第1バイパス流路BP1は、供給側共通液室MN1からZ2方向とは反対方向であるZ1方向に延在する供給側垂直部分BP1VSを有する。第2バイパス流路BP2は、供給側共通液室MN1からZ1方向に延在する供給側垂直部分BP2VSを有する。図9に例示される通り、供給側垂直部分BP1VSは、最もV2方向に配置された個別流路RJよりもV2方向とは反対方向のV1方向に位置する。供給側垂直部分BP2VSは、最もV1方向に配置された個別流路RJよりもV2方向に位置する。
換言すれば、供給側垂直部分BP1VSおよび供給側垂直部分BP2VSは、供給側共通液室MN1の長手方向の端部よりも内側に位置する。
なお、Z2方向は、「第1方向」の一例である。V2方向は、「第2方向」の一例である。Z1方向は、「第3方向」の一例である。供給側垂直部分BP1VSは、「第1垂直部分」の一例である。供給側垂直部分BP2VSは、「第2垂直部分」を有する。V1方向は、「第4方向」の一例である。ただし、第2方向は、V2方向に限らず、V1方向でもよい。第2方向がV2方向である場合、第4方向がV1方向に相当し、第1垂直部分が供給側垂直部分BP2VSに相当し、第2垂直部分が供給側垂直部分BP1VSに相当する。
【0131】
一般的には、バイパス流路BPは、インク内の気泡を回収するため、導入流路SPVから離れた位置に設けられることが好ましい。導入流路SPVから離れた位置にバイパス流路BPが設けられることにより、導入流路SPVから離れた箇所にもインクの流れが生じ、供給側共通液室MN1内の滞留した気泡を回収できるためである。しかしながら、供給側垂直部分BP1VSが最もV2方向に配置された個別流路RJよりもV2方向に配置される第1実施例において、ノズル面FNが水平面SFに対して傾斜している場合に、供給側垂直部分BP1VSの開口付近で気泡が滞留することがある。
【0132】
図18は、第1実施例においてノズル面FNが傾斜した場合を示す図である。図18に示す図は、前述の第1実施例において、ノズル面FNが水平面SFに対して60度傾斜した状態における供給側共通液室MN1のV2方向の端部を示す。図18、ならびに、後述する図19図20および図21に示す状態において、V2方向は、水平面SFに対して、重力方向とは反対方向に60度回転した方向であり、重力方向の反対方向の成分を有する。W軸方向は、水平面SFに対して平行である。なお、図18、ならびに、後述する図19図20および図21では、破線でノズルプレート387を図示し、また、固定板39およびコンプライアンス基板3861の支持板3861bの図示を省略している。また、図18、ならびに、後述する図19図20および図21では、最もV2方向に配置されたノズルNのみを図示している。
【0133】
図18に示す通り、最もV2方向に位置するノズルNは、供給側垂直部分BP1VSのV2方向の壁面よりもV1方向に位置する。そして、インクは、図18に示す矢印Ar1が示すように流れる。具体的には、供給側共通液室MN1内をV2方向に沿って流れるインクのうち、最もV2方向に位置するノズルNに連通する個別流路RJに流入するインクは、供給側垂直部分BP1VSのV2方向の壁面よりも手前(V1方向側)でZ2方向に流れを変え、供給側垂直部分BP1VSに流入するインクは、Z1方向に流れを変える。図18に示す領域Raでは、供給側共通液室MN1から供給側垂直部分BP1VSへの向かうインクの流れが弱いのでインクの流速が低下し、また、個別流路RJに流入するインクの流れが生じない領域であるため、インクの流れに淀みが発生する。また、ノズル面FNが水平面SFに対して傾斜した状態では、供給側共通液室MN1内に発生した気泡は浮力によって重力方向とは反対方向へ移動するため、領域Raで滞留しやすい。インクの噴射動作によって圧力室CBが負圧になると、供給側共通液室MN1からインクを引き込むが、インクを引き込むと、供給側共通液室MN1内に滞留した気泡も同時に引き込む恐れがある。気泡が個別流路RJに引き込まれた場合には、この気泡によって噴射異常が引き起こされる。
【0134】
図19は、本実施形態においてノズル面FNが傾斜した場合の供給側共通液室MN1を示す図である。図19に示す図は、本実施形態において、ノズル面FNが水平面SFに対して60度傾斜した状態における供給側共通液室MN1のV2方向の端部を示す。
【0135】
インクは、図19に示す矢印Ar2が示すように流れる。具体的には、供給側共通液室MN1内をV2方向に沿って流れるインクのうち、最もV2方向に配置されたノズルNに連通する個別流路RJに流れるインクは、供給側垂直部分BP1VSのV2方向の壁面よりもさらにV2方向に流れ、供給側垂直部分BP1VSに流れるインクは、Z1方向に流れる。すなわち、供給側共通液室MN1のV2方向の端部へ向かって、V2方向へのインクの流れが発生するため、供給側共通液室MN1のV2方向の端部におけるインクの淀みの発生を低減できる。
【0136】
さらに、本実施形態では、V2端部領域MN1aのZ1方向の面がテーパー面であることにより、V2端部領域MN1aのZ1方向の面がテーパー面でなくV軸方向に平行である第2実施例と比較して、インクの淀みの発生を低減できる。
【0137】
図20は、第2実施例においてノズル面FNが傾斜した場合の供給側共通液室MN1を示す図である。図20に示す図は、前述の第2実施例において、ノズル面FNが水平面SFに対して60度傾斜した状態における供給側共通液室MN1のV2方向の端部を示す。
【0138】
インクは、図20に示す矢印Ar3が示すように流れる。具体的には、供給側共通液室MN1内をV2方向に沿って流れるインクのうち、個別流路RJに流入するインクは、Z2方向に流れの向きを変え、供給側垂直部分BP1VSに流入するインクは、領域Rbよりも手前(V1方向側)でZ1方向に流れの向きを変える。第2実施例において、図20に示す領域Rbでは、供給側共通液室MN1内をV2方向に沿って流れるインクのうち、個別流路RJに流入するインクの流れ、および、供給側垂直部分BP1VSに流入するインクの流れが生じない領域であるため、淀みが発生しやすい。
【0139】
これに対し、本実施形態では、V2端部領域MN1aのZ1方向の面がテーパー面であるため、インクの流速が低下する箇所を有さなく、淀みの発生を低減できる。インクの流速の低下を抑制するために、V2端部領域MN1aのZ1方向の面と、供給側垂直部分BP1VSのV2の方向の面との角部がR形状に形成されている。
【0140】
また、本実施形態では、平面視において、導入流路SPVが供給側共通液室MN1のV1方向の端部とV2方向の端部との中点に位置し、導出流路DSVが排出側共通液室MN2のV1方向の端部とV2方向の端部との中点に位置する。言い換えれば、導入流路SPVから最も離れたノズルNまでのV軸方向の長さは、供給側共通液室MN1のV軸方向の長さの略半分であり、導出流路DSVから最も離れたノズルNまでのV軸方向の長さは、排出側共通液室MN2のV軸方向の長さの略半分である。一般的に、供給側共通液室MN1および排出側共通液室MN2が長くなると、抵抗が大きくなり、導入流路SPVおよび導出流路DSVから離れたノズルN付近の噴射時におけるインクの圧力変動が大きくなる。インクの圧力変動が大きくなる、換言すれば導入流路SPVおよび導出流路DSVから離れたノズルN付近のノズルN内のインクの圧力が低くなると、ノズルNから気泡が混入する場合がある。以上により、本実施形態において、導入流路SPVから最も離れたノズルNまでのV軸方向の長さが、導入流路SPVが供給側共通液室MN1の一方の端部にある態様における導入流路SPVから最も離れたノズルNまでのV軸方向の長さよりも短いため、導入流路SPVから最も離れたノズルN付近までの抵抗は小さくなり、インクの圧力変動を低減できる。
【0141】
また、供給側垂直部分BP1VSは、図10に例示される通り、V2方向に垂直な面に平行に、供給側共通液室MN1を、領域Re1、領域Re2、領域Re3、および、領域Re4という4つの領域に均等に分割した場合に、最もV2方向に位置する領域Re1に位置する。供給側垂直部分BP2VSは、V2方向に垂直な面に平行に、供給側共通液室MN1を前述の4つの領域に均等に分割した場合に、最もV1方向に位置する領域Re4に位置する。
前述したように、バイパス流路BPは、インク内の気泡を回収するため、導入流路SPVから離れた位置に設けられることが好ましい。供給側垂直部分BP1VSが領域Re1に位置するため、供給側共通液室MN1内のうち、領域Re1および領域Re2内に滞留した気泡を回収できる。さらに、供給側垂直部分BP1VSが、最もV2方向に配置された個別流路RJよりもV1方向に位置するため、最もV2方向に配置された個別流路RJに向かうインクの流れによって、供給側共通液室MN1のV2方向の端部におけるインクの淀みの発生を低減できる。
また、供給側垂直部分BP2VSが領域Re2に位置するため、供給側共通液室MN1内のうち、領域Re3および領域Re4内に滞留した気泡を回収できる。さらに、供給側垂直部分BP2VSが、最もV1方向に配置された個別流路RJよりもV2方向に位置するため、最もV1方向に配置された個別流路RJに向かうインクの流れによって、供給側共通液室MN1のV1方向の端部におけるインクの淀みの発生を低減できる。
【0142】
また、供給側垂直部分BP1VSは、図10に例示される通り、V2方向に垂直な面に平行に、供給側共通液室MN1を、領域Re11、領域Re12、領域Re21、領域Re22、領域Re31、領域Re32、領域Re41、および、領域Re42という8つの領域に均等に分割した場合に、最もV2方向に位置する領域Re11に位置する。供給側垂直部分BP2VSは、V2方向に垂直な面に平行に、供給側共通液室MN1を前述の8つの領域に均等に分割した場合に、最もV1方向に位置する領域Re42に位置する。
供給側垂直部分BP1VSが領域Re11に位置することにより、供給側垂直部分BP1VSが領域Re12に位置する態様と比較して、第1バイパス流路BP1は、領域Re12に滞留した気泡を回収できる。
また、供給側垂直部分BP2VSが領域Re42に位置することにより、供給側垂直部分BP2VSが領域Re41に位置する態様と比較して、第1バイパス流路BP1は、領域Re41に滞留した気泡を回収できる。
【0143】
なお、導入流路SPVは、供給側共通液室MN1のV1方向の端部とV2方向の端部との中点に対して少しずれていてもよく、導出流路DSVは、排出側共通液室MN2のV1方向の端部とV2方向の端部との中点に対して少しずれていてもよい。例えば、図10における領域R22および領域R31を含む領域内に導入流路SPVが配置されていればよい。導出流路DSVについても同様である。
【0144】
また、液体噴射ヘッド30は、V2方向において第1バイパス流路BP1と第2バイパス流路BP2との間で、排出側共通液室MN2と連通する導出流路DSVを備える。第1バイパス流路BP1は、排出側共通液室MN2からZ1方向に延在する排出側垂直部分BP1VDを有する。排出側垂直部分BP1VDは、「第3垂直部分」の一例である。第2バイパス流路BP2は、排出側共通液室MN2からZ1方向に延在する排出側垂直部分BP2VDを有する。排出側垂直部分BP2VDは、「第4垂直部分」の一例である。排出側垂直部分BP1VDは、最もV2方向に配置された個別流路RJよりもV1方向に位置する。排出側垂直部分BP2VDは、最もV1方向に配置された個別流路RJよりもV2方向に位置する。図21を用いて、排出側垂直部分BP1VDが最もV2方向に配置された個別流路RJよりもV1方向に位置する場合の効果を説明する。
【0145】
図21は、本実施形態においてノズル面FNが傾斜した場合の排出側共通液室MN2を示す図である。図21に示す図は、本実施形態において、ノズル面FNが水平面SFに対して60度傾斜した状態における排出側共通液室MN2のV2方向の端部を示す。図21の例では、V2方向は、水平面SFに対して反時計回りに60度回転した方向であり、重力方向の反対方向の成分を有する。
【0146】
排出側共通液室MN2内において、最もV2方向に配置されたノズルNに連通する個別流路RJ付近の気泡は、浮力によってV2方向に流れる。一方、インクは、図21に示す矢印Ar4が示すように流れる。より詳細には、排出側垂直部分BP1VD内をZ2方向に沿って流れたインクと、最もV2方向に配置された個別流路RJから、略V1方向に沿って流れたインクとが合流する。このように、本実施形態では、排出側垂直部分BP1VDが、最もV2方向に配置された個別流路RJよりもV1方向に位置するため、最もV2方向に配置された個別流路RJからのインクのV1方向の流れが発生する。前述したように、排出側共通液室MN2内の気泡は、浮力によってV2方向に流れようとするが、気泡のV2方向の流れと、インクのV1方向の流れとが相対するので、排出側共通液室MN2のV2方向の端部における気泡の滞留の発生を低減できる。
【0147】
また、供給側共通液室MN1は、導入流路SPVから供給側垂直部分BP1VSまでに位置するV2連通領域MN1bと、供給側垂直部分BP1VSよりもV2方向に位置するV2端部領域MN1aと、を有する。V2連通領域MN1bは、「第1領域」の一例である。V2端部領域MN1aは、「第2領域」の一例である。V2端部領域MN1aのZ1方向の面MN1aSは、V2連通領域MN1bのZ1方向の面MN1bSに対して、Z2方向に配置される。
面MN1aSが面MN1bSに対してZ2方向に配置されることにより、V2端部領域MN1a内のインクの流速は、V2端部領域MN1aの面MN1aSのZ軸方向の位置が面MN1bSと同一である態様におけるV2端部領域MN1a内のインクの流速と比較して大きくなる。V2端部領域MN1a内のインクの流速が大きくなることにより、V2端部領域MN1a内のインクの淀みの発生を低減できる。
【0148】
また、V2端部領域MN1aには、V2連通領域MN1bのZ軸方向における最大寸法の半分以下の寸法を有する部分を有する。一般的に、流路の断面積が小さくなることに応じて、流路内の液体の流速は大きくなる。従って、液体噴射ヘッド30は、V2端部領域MN1aに連通する個別流路RJの流速の低下を抑制できる。また、V2端部領域MN1aのZ1方向の壁面と、V2端部領域MN1aのZ2方向の壁面との距離が近づくことにより、気泡が滞留することが可能な空間をV2端部領域MN1aのZ1方向の壁面近傍に形成されることを抑制することができる。
【0149】
また、液体噴射装置100は、複数の液体噴射ヘッド30を備える。複数の液体噴射ヘッド30は、Z1方向に直交するX軸方向に長尺なラインヘッドを構成する。V2方向は、X1方向およびX2方向と交差する方向である。X1方向およびX2方向は、「第5方向」の例である。なお、1つの液体噴射ヘッド30が、X軸方向に長尺なラインヘッドを構成してもよい。
【0150】
ラインヘッドを水平面SFから傾斜した面に載置して使用する場合に、換言すれば、ノズル面FNがX軸方向に沿った直線を軸として回転した状態となる場合には、図19および図21に例示される通り、気泡の滞留を低減できる。
【0151】
また、液体噴射装置100は、液体噴射ヘッド30を備える。さらに、液体噴射装置100は、液体噴射ヘッド30内に供給されたインクを循環させる循環機構94を備える。循環機構94を備えることにより、インクに混入した気泡や沈降インクは循環するインクとともにサブタンクに戻されるので、ノズルNの目詰まりの発生が低減する。そのため、液体噴射ヘッド30の液交換や、クリーニングなどのメンテナンスが容易になる。
【0152】
また、液体噴射ヘッド30は、複数の基板がZ2方向に積層されて構成される。複数の基板とは、例えば、流路分配部37に含まれる第1流路部材Du1および第2流路部材Du2、ならびに、ヘッドユニット38に含まれるケース385および連通板382である。液体噴射ヘッド30は、複数の個別流路RJと、供給側共通液室MN1と、排出側共通液室MN2と、バイパス流路BPと、を備える。複数の個別流路RJは、インクをZ2方向へ噴射する複数のノズルNの夫々と連通する。供給側共通液室MN1は、Z1方向に交差する方向に延在するとともに複数の個別流路RJと連通し、複数の個別流路RJにインクを供給する。Z1方向に交差する方向は、典型的にはV1方向であるが、Z1方向に交差していればV1方向でなくてもよい。排出側共通液室MN2は、Z1方向に交差する方向に延在するとともに複数の個別流路RJと連通し、複数の個別流路RJから排出されたインクが流れる。供給側共通液室MN1の延在方向と排出側共通液室MN2の延在方向とは同一でもよいし、異なってもよい。複数の個別流路RJは、供給側共通液室MN1と排出側共通液室MN2とを接続する。供給側共通液室MN1および排出側共通液室MN2は、複数の基板のうち、同一層に形成される。同一層とは、Z軸方向に同一の位置であることを意味する。Z軸方向に同一の位置とは、Z軸方向の垂直方向に見て一部または全部が重なることを意味する。例えば、図8に例示される通り、Z軸方向に対して垂直方向であるW軸方向に見て、供給側共通液室MN1および排出側共通液室MN2は、互いに重なる。バイパス流路BPは、複数の基板のうち、供給側共通液室MN1および排出側共通液室MN2とは異なる層に形成されるバイパス水平部分BPHを有する。バイパス水平部分BPHは、「第1部分」の一例である。異なる層とは、Z軸方向に異なる位置であることを意味する。Z軸方向に異なる位置であるとは、Z軸方向の垂直方向に見て重ならないことを意味する。例えば、図10に例示される通り、バイパス水平部分BP1Hおよびバイパス水平部分BP2Hは、供給側共通液室MN1と、W2方向に見て互いに重ならない。
【0153】
バイパス水平部分BPHが供給側共通液室MN1および排出側共通液室MN2とは異なる層に形成されることにより、平面視において、バイパス水平部分BPHが、供給側共通液室MN1および排出側共通液室MN2の一部と重ねることができる。従って、第1実施形態は、バイパス水平部分BPHが供給側共通液室MN1および排出側共通液室MN2と同一層にある態様と比較して、W軸方向およびV軸方向に液体噴射ヘッド30を小型化できる。
【0154】
また、第1バイパス流路BP1は、供給側垂直部分BP1VSと、排出側垂直部分BP1VDとを有する。第2バイパス流路BP2は、供給側垂直部分BP2VSと、排出側垂直部分BP2VDとを有する。供給側垂直部分BP1VSおよび供給側垂直部分BP2VSは、「第2部分」の一例である。排出側垂直部分BP1VDおよび排出側垂直部分BP2VDは、「第3部分」の一例である。供給側垂直部分BP1VSおよび供給側垂直部分BP2VSは、供給側共通液室MN1とバイパス水平部分BPHの一端とを接続するとともに、供給側共通液室MN1からZ2方向とは反対方向であるZ1方向に延在する。排出側垂直部分BP1VDおよび排出側垂直部分BP2VDは、排出側共通液室MN2とバイパス水平部分BPHの他端とを接続するとともに、排出側共通液室MN2からZ1方向に延在する。
第1バイパス流路BP1は、供給側垂直部分BP1VSと、排出側垂直部分BP1VDとを有することにより、平面視において、バイパス水平部分BP1Hが、供給側共通液室MN1および排出側共通液室MN2の一部と重ねることができる。同様に、第2バイパス流路BP2は、供給側垂直部分BP2VSと、排出側垂直部分BP2VDとを有することにより、平面視において、バイパス水平部分BP2Hが、供給側共通液室MN1の一部および排出側共通液室MN2の一部と重ねることができる。
【0155】
供給側共通液室MN1へ液体を供給する供給流路Si、および、排出側共通液室MN2から排出された液体が流れる排出流路Doを備え、バイパス水平部分BPHと、供給流路Siの一部と、排出流路Doの一部とは、複数の基板のうち、同一層に形成される。より詳細には、バイパス水平部分BPHと、供給流路Siの一部である分配流路SPH1および分配流路SPH2と、排出流路Doの一部である排出水平流路DSH_1~DSH_6とは、同一層に形成される。
バイパス水平部分BPHと、分配流路SPH1および分配流路SPH2と、排出水平流路DSH_1~DSH_6とが同一層に形成されることにより、バイパス水平部分BPHと、分配流路SPH1および分配流路SPH2と、排出水平流路DSH_1~DSH_6とを、第1流路部材Du1および第2流路部材Du2という同一の部材によって形成できる。従って、本実施形態は、バイパス水平部分BPHと、分配流路SPH1および分配流路SPH2と、排出水平流路DSH_1~DSH_6とのうちのいずれかの流路と、このいずれかの流路以外の残余の流路とが異なる層である態様と比較して、液体噴射ヘッド30の部品点数を削減できる。
【0156】
また、複数のノズルNは、Z2方向と直交するV2方向に並ぶことでノズル列Lnを構成する。供給側共通液室MN1および排出側共通液室MN2は、V2方向に延在する。液体噴射ヘッド30は、Z2方向に見た平面視で供給側共通液室MN1と排出側共通液室MN2との間に配置される配線部材388を備える。配線部材388は、図10に例示される通り、平面視で、複数のノズルNのうち最もV2方向に配置されたノズルNに対してV2方向に位置する部分を有する。さらに、配線部材388は、図10に例示される通り、平面視で、複数のノズルNのうち最もV1方向に配置されたノズルNに対してV1方向に位置する部分を有する。バイパス水平部分BP1Hは、配線部材388を迂回するように屈曲する屈曲部BP1Hbおよび屈曲部BP1Hdを有する。同様に、バイパス水平部分BP2Hは、配線部材388を迂回するように屈曲する屈曲部BP2Hbおよび屈曲部BP2Hdを有する。
以上のように、配線部材388は、複数のノズルNのうち最もV2方向に配置されたノズルNに対してV2方向に位置する部分を有し、かつ、複数のノズルNのうち最もV1方向に配置されたノズルNに対してV1方向に位置する部分を有する。すなわち、配線部材388のV軸方向における長さは、複数のノズルNのうち最もV2方向に配置されたノズルNから最もV1方向に配置されたノズルNまでの長さより長い。配線部材388のV軸方向における長さが長くなる理由は、配線部材388が、中央に複数のノズルNの夫々に対応する複数の配線に加えて、複数のノズルNの全てに共有する配線を有するためである。従って、第1バイパス流路BP1は、平面視において、バイパス口3853aおよびバイパス口3853bを最短の直線で接続することはできない。同様に、第2バイパス流路BP2は、平面視において、バイパス口3853aおよびバイパス口3853dを最短の直線で接続することはできない。しかしながら、本実施形態では、バイパス水平部分BP1Hが屈曲部BP1Hbおよび屈曲部BP1Hdを有し、バイパス水平部分BP2Hが屈曲部BP2Hbおよび屈曲部BP2Hdを有するため、配線部材388に対してバイパス水平部分BP1Hおよびバイパス水平部分BP2HをZ軸方向にずらす必要が無いため、Z軸方向に液体噴射ヘッド30を小型化することができる。
【0157】
また、複数の基板は、供給側共通液室MN1の一部、および、排出側共通液室MN2の一部を画定するケース385を有する。供給側共通液室MN1に連通する複数のノズルNは、Z2方向と直交するV2方向に並ぶことでノズル列Lnを構成する。供給側共通液室MN1および排出側共通液室MN2は、V2方向に延在する。バイパス水平部分BP2Hは、図10および図16に例示される通り、Z2方向に見た平面視においてケース385と重ならない部分BP2H1を有する。一方、バイパス水平部分BP1Hの全部は、Z2方向に見た平面視においてケース385と重なる。このように、バイパス水平部分BPHは、平面視において、ケース385と全て重なってもよいし、ケース385と重ならない部分があってもよい。なお、バイパス水平部分BP1Hの全部がZ軸方向に見た平面視においてケース385と重なることで、流路分配部37を小型化することができる。
【0158】
また、複数の基板は、複数のケース385と、第1流路部材Du1と、を有する。複数のケース385の夫々は、供給側共通液室MN1の一部と、排出側共通液室MN2の一部と、供給側垂直部分BP1VSおよび供給側垂直部分BP2VSの一部と、を画定する。第1流路部材Du1は、複数のケース385の夫々に対応する複数のバイパス水平部分BPH、および、複数のケース385の夫々に対応する複数の供給側垂直部分BP1VSおよび供給側垂直部分BP2VSの一部を画定する。第1流路部材Du1によって画定される供給側垂直部分BP1VSの一部の単位長さあたりの平均の流路抵抗は、複数のケース385の夫々によって画定される供給側垂直部分BP1VSの一部の単位長さあたりの平均の流路抵抗よりも大きい。具体的には、供給側垂直部分BP1VSのうち、第1流路部材Du1によって画定される垂直部分BP1VSaが最も流路抵抗が大きい。従って、液体噴射ヘッド30の設計者は、流路抵抗が最も大きい垂直部分BP1VSaを画定する第1流路部材Du1を交換するだけで、第1バイパス流路BP1の流路抵抗を精度良く、且つ、容易に変更できる。設計者は、第1バイパス流路BP1の流路抵抗を精度良く、かつ容易に変更することにより、インクの圧力を精度良く、かつ容易に変更できる。
第1バイパス流路BP1の流路抵抗を容易に変更できる理由は、第1流路部材Du1を射出成形により形成する場合に、供給側垂直部分BP1VSの型であるピンの太さを変更することによって、供給側垂直部分BP1VSの断面積を容易に変更できるからである。また、供給側垂直部分BP1VSを穿孔により形成する場合であっても、穿孔に用いるドリルビットの太さを変更することによって、設計者は、供給側垂直部分BP1VSの断面積を容易に変更できる。
第1バイパス流路BP1の流路抵抗を精度良く変更できる理由について説明する。バイパス水平部分BP1Hの断面積を変更することにより、流路抵抗を変更することも可能ではある。しかしながら、バイパス水平部分BP1Hの流路抵抗を変更する場合、バイパス水平部分BP1HのV軸方向の幅と、W軸方向の幅と、Z軸方向の幅という3つの要素が影響し、バイパス水平部分BP1Hの流路抵抗を、設計者の希望する流路抵抗となるように精度良く製造することは困難である。一方、供給側垂直部分BP1VSの流路抵抗は、射出成形時に用いるピンの大きさ、または、穿孔に用いるドリルビットの大きさが影響するのみである。以上により、供給側垂直部分BP1VSの流路抵抗は、バイパス水平部分BP1Hの流路抵抗と比較して精度良く変更できる。
第2バイパス流路BP2についても第1バイパス流路BP1と同様に、液体噴射ヘッド30の設計者は、第2バイパス流路BP2の流路抵抗を精度良く、且つ、容易に変更できる。
また、第1バイパス流路BP1において、供給側垂直部分BP1VSおよび排出側垂直部分BP1VDの単位長さの平均の流路抵抗は、バイパス水平部分BP1Hの単位長さの平均の流路抵抗より大きい。一般的に、流路全体の流路抵抗は、流路抵抗が大きい部分の箇所に大きく依存する。従って、流路抵抗を精度良く、かつ容易に変更可能な供給側垂直部分BP1VSおよび排出側垂直部分BP1VDの流路抵抗を大きくすることにより、第1バイパス流路BP1の流路抵抗を精度良く、かつ容易に変更できる。第2バイパス流路BP2も第1バイパス流路BP1と同様に、供給側垂直部分BP2VSおよび排出側垂直部分BP2VDの単位長さの平均の流路抵抗は、バイパス水平部分BP2Hの単位長さの平均の流路抵抗より大きい。
【0159】
また、供給側垂直部分BP1VSおよび供給側垂直部分BP2VSにおける第1流路部材Du1のZ1方向の長さは、供給側垂直部分BP1VSおよび供給側垂直部分BP2VSにおけるケース385のZ1方向の長さよりも長い。供給側垂直部分BP1VSおよび供給側垂直部分BP2VSにおける第1流路部材Du1のZ1方向の長さは、垂直部分BP1VSaおよび垂直部分BP1VSbのZ1方向の合計の長さLdと同義である。また、供給側垂直部分BP1VSおよび供給側垂直部分BP2VSにおけるケース385のZ1方向の長さは、垂直部分BP2VScのZ1方向の長さLcと同義である。
長さLdが長さLcより長いことにより、長さLdが長さLcより短い態様と比較して、ヘッドユニット38のZ軸方向の長さを短くできる。さらに、本実施形態は、長さLdが長さLcより短い態様と比較して、第1流路部材Du1に形成されたバイパス流路BPの流路抵抗の最大値を大きくできる。すなわち、本実施形態は、長さLdが長さLcより短い態様と比較して、バイパス流路BPの流路抵抗の変更可能な範囲を大きくできる。
【0160】
複数の基板は、複数のケース385と、第1流路部材Du1と、第2流路部材Du2とを有する。複数のケース385の夫々は、供給側共通液室MN1の一部と、排出側共通液室MN2の一部と、バイパス流路BPの一部と、を画定する。第1流路部材Du1は、複数のケース385に対して、Z2方向とは反対方向であるZ1方向に積層される。第2流路部材Du2は、第1流路部材Du1に対して、Z1方向に積層される。液体噴射ヘッド30は、分配流路SPH1および分配流路SPH2を備える。分配流路SPH1および分配流路SPH2は、複数のケース385の夫々によって画定される複数の供給側共通液室MN1にインクを分配して供給する。図17に例示される通り、複数のケース385の夫々に対応する複数のバイパス水平部分BP1Hおよびバイパス水平部分BP2Hと、分配流路SPH1および分配流路SPH1とは、第1流路部材Du1と第2流路部材Du2との間に形成される。なお、ケース385に対応するバイパス水平部分BP1Hとバイパス水平部分BP2Hとは、ケース385のバイパス口3853に連通するバイパス流路BPに含まれるバイパス水平部分BP1Hとバイパス水平部分BP2Hとのことである。
本実施形態によれば、バイパス水平部分BP1Hとバイパス水平部分BP2Hと分配流路SPH1と分配流路SPH2とを同じ部材で構成できるので、バイパス水平部分BP1Hとバイパス水平部分BP2Hと分配流路SPH1と分配流路SPH2とのいずれかの流路が第1流路部材Du1と第2流路部材Du2との間以外に形成される態様と比較して、液体噴射ヘッド30の部品点数を削減できる。
【0161】
2.第2実施形態
第1実施形態における液体噴射装置100は、図1に例示したように、ヘッドモジュール3が固定されて媒体PPを搬送するだけで印刷を行う、所謂ライン型の液体噴射装置であるが、液体噴射装置の構成は上述したものに限定されない。第2実施形態における液体噴射装置100Aは、1つまたは複数の液体噴射ヘッド30をキャリッジ911に搭載して、当該1つまたは複数の液体噴射ヘッド30をX軸方向に沿って往復移動させるとともに、媒体PPを搬送して印刷を行う、所謂シリアル型の液体噴射装置である。以下、第2実施形態について説明する。
【0162】
図22は、第2実施形態に係る液体噴射装置100Aの一例を示す説明図である。液体噴射装置100Aは、制御装置90の替わりに制御装置90Aを備える点と、ヘッドモジュール3の替わりにヘッドモジュール3Aを備える点と、移動機構91を備える点で、液体噴射装置100と相違する。
【0163】
移動機構91は、制御装置90Aによる制御のもとで、液体噴射ヘッド30をX1方向とX2方向とに往復させる。図22に示す例では、移動機構91は、2つの液体噴射ヘッド30を保持する箱型のキャリッジ911と、キャリッジ911が固定される搬送ベルト912と、を有する。搬送ベルト912は、不図示の駆動源からの駆動力により、キャリッジ911をX1方向とX2方向とに往復させる。
【0164】
以上、第2実施形態における液体噴射装置100Aは、液体噴射ヘッド30と、移動機構91とを備える。移動機構91は、液体噴射ヘッド30を保持し、Z2方向に直交するX1方向およびX2方向に往復移動する。
液体噴射ヘッド30を水平面SFに対して傾斜して使用する場合に、換言すれば、ノズル面FNが水平面SFに対してX軸方向に沿った直線を軸として回転した状態となる場合には、V軸方向がX軸方向と交差する方向であるため、第1実施形態と同様に、インクの淀みの発生を低減できる。
【0165】
3.第3実施形態
第3実施形態における液体噴射装置100Bは、媒体PPを回転搬送するドラム921の周囲に、4つのヘッドモジュール3を配置した構成である。以下、第3実施形態について説明する。
【0166】
図23は、第3実施形態における液体噴射装置100Bの概略図である。液体噴射装置100Bは、搬送機構92に替えて搬送機構92Bを有するとともに、複数のヘッドモジュール3を有する以外は、液体噴射装置100と同様である。なお、図23では、制御装置90および循環機構94等の図示が省略される。
【0167】
図23では、図1等で用いたXYZ座標系に加えて、XYZ座標系とは異なるxyz座標系を用いて説明する。xyz座標系は、グローバル座標系である。xyz座標系は、x1方向と、y1方向と、z2方向とによって規定される。x1方向は、水平面SFに平行な任意の方向である。y1方向は、水平面SFに平行であり、かつ、x1方向に直交する。z2方向は、重力方向である。また、以降の説明では、x1方向の反対方向をx2方向と称する。さらに、x1方向とx2方向とを、x軸方向と総称する。y1方向の反対方向をy2方向と称する。y1方向とy2方向とを、y軸方向と総称する。z2方向の反対方向を、z1方向と称する。z1方向とz2方向とを、z軸方向と総称する。図23に示す図は、液体噴射装置100Bをx2方向に見た図である。第3実施形態におけるXYZ座標系は、ヘッドモジュール3ごとに存在する。
【0168】
図23に例示される通り、搬送機構92Bは、媒体PPを外周面に吸着させた状態で搬送するドラム921と、モーター等の駆動機構922とを有する。ドラム921は、x軸方向に平行な中心軸Axまわりに沿う外周面を有する円筒状または円柱状の部材である。ドラム921は、駆動機構922により中心軸Axまわりに回転駆動される。ドラム921の外周面は、不図示の帯電器により帯電される。この帯電による静電力によって、ドラム921の外周面に媒体PPが静電吸着される。
【0169】
なお、搬送機構92Bの構成は、図23に示す例に限定されず、例えば、ドラム921に替えてベルトを用いてもよいし、静電吸着に代えてエア吸着等を用いてもよい。また、搬送機構92Bは、前述の構成要素のほか、除電器等の構成要素を有してもよい。
【0170】
ドラム921の外周面には、ヘッドモジュール3_1、3_2、3_3および3_4の夫々が対向する。ヘッドモジュール3_1、3_2、3_3および3_4の夫々は、第1実施形態のヘッドモジュール3と同様に構成される。
【0171】
ただし、ヘッドモジュール3_1、3_2、3_3および3_4では、x軸方向に平行な軸まわりの姿勢が互いに異なる。また、ヘッドモジュール3_1、3_2、3_3および3_4に用いるインクの種類をヘッドモジュール3ごとに異なってもよい。例えば、ヘッドモジュール3_1、3_2、3_3および3_4に用いるインクの色をヘッドモジュール3ごとに異ならせる場合、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色のインクが用いられる。
【0172】
具体的に説明すると、ヘッドモジュール3_1、3_2、3_3および3_4は、この順でドラム921の外周面に沿って中心軸Axの円周方向CDに並ぶ。また、ヘッドモジュール3_1、3_2、3_3および3_4の夫々は、ヘッドモジュール3の長手方向であるX1方向に延在する回転軸を中心に回転させた位置に配置されることで、ノズル面FNが、ドラム921の中心軸Axの半径方向RDに直交し、且つ、水平面SFに対して傾斜する。
ただし、図23の例では、ヘッドモジュール3_1、3_2、3_3および3_4の夫々のノズル面FNは、水平面SFに対して傾斜したが、水平面SFに対して平行であってもよい。ノズル面FNが水平面SFに対して平行である場合、このノズル面FNを有するヘッドモジュール3のY軸方向は、y軸方向に平行であり、このヘッドモジュール3のZ軸方向は、z軸方向に平行である。
【0173】
ヘッドモジュール3_1、3_2、3_3、および、3_4のX軸方向は、x軸方向に平行である。従って、ヘッドモジュール3_1、3_2、3_3、および、3_4は、x軸方向に長尺なラインヘッドである。
【0174】
ヘッドモジュール3の位置関係について説明する。ヘッドモジュール3_4は、z軸方向に見た平面視において、ヘッドモジュール3_1に対してx軸方向に直交するy1方向に配置される。同様に、ヘッドモジュール3_3は、z軸方向に見た平面視において、ヘッドモジュール3_2に対してy1方向に配置される。
なお、ヘッドモジュール3_1およびヘッドモジュール3_2が、「第1ラインヘッド」の一例である。ヘッドモジュール3_1が「第1ラインヘッド」に相当する場合、ヘッドモジュール3_4が、「第2ラインヘッド」に相当する。ヘッドモジュール3_2が「第1ラインヘッド」に相当する場合、ヘッドモジュール3_3が、「第2ラインヘッド」に相当する。第3実施形態において、x1方向およびx2方向は、「第5方向」の一例である。y1方向は、「第6方向」の一例である。ただし、ノズル面FNが水平面SFに対して平行である場合、このノズル面FNを有するヘッドモジュール3のY1方向と、y1方向とは同一である。
【0175】
ヘッドモジュール3_1は、ヘッドモジュール3_1のノズル面FNのy1方向の端部が、ヘッドモジュール3_1のノズル面FNのy1方向とは反対方向であるy2方向の端部に対してz1方向に位置するように、傾斜して配置される。同様に、ヘッドモジュール3_2は、ヘッドモジュール3_2のノズル面FNのy1方向の端部が、ヘッドモジュール3_2のノズル面FNのy1方向とは反対方向であるy2方向の端部に対してz1方向に位置するように、傾斜して配置される。
なお、ヘッドモジュール3_1が「第1ラインヘッド」に相当する場合、ヘッドモジュール3_1のノズル面FNが、「第1ノズル面」に相当する。ヘッドモジュール3_2が「第1ラインヘッド」に相当する場合、ヘッドモジュール3_2のノズル面FNが、「第1ノズル面」に相当する。y2方向は、「第7方向」の一例である。
【0176】
ヘッドモジュール3_3は、ヘッドモジュール3_3のノズル面FNのy1方向の端部が、ヘッドモジュール3_3のノズル面FNのy2方向の端部に対してz2方向に位置するように、傾斜して配置される。同様に、ヘッドモジュール3_4は、ヘッドモジュール3_4のノズル面FNのy1方向の端部が、ヘッドモジュール3_4のノズル面FNのy2方向の端部に対してz2方向に位置するように、傾斜して配置される。
【0177】
また、ヘッドモジュール3_1のノズル面FNの水平面SFに対する傾斜角度θ1は、ヘッドモジュール3_4のノズル面FNの水平面SFに対する傾斜角度θ4に等しい。同様に、ヘッドモジュール3_2のノズル面FNの水平面SFに対する傾斜角度θ2は、ヘッドモジュール3_3のノズル面FNの水平面SFに対する傾斜角度θ3に等しい。ただし、傾斜角度θ2およびθ3の夫々は、前述の傾斜角度θ1またはθ4よりも小さい。
【0178】
以上の第3実施形態において、ヘッドモジュール3_1、3_2、3_3、および3_4内の液体噴射ヘッド30は、複数のノズルNを有するノズル面FNを備え、ノズル面FNは、x軸方向に沿う軸の半径方向RDに対して直交し、且つ、水平面SFに対して傾斜する。また、x軸方向は、V軸方向に対して交差する方向である。第3実施形態によれば、第1実施形態と同様に、供給側共通液室MN1および排出側共通液室MN2の重力方向の反対方向の端部におけるインクの淀みの発生を抑制でき、気泡の滞留を低減できる。
【0179】
ヘッドモジュール3_2とヘッドモジュール3_3、ヘッドモジュール3_1とヘッドモジュール3_4とのように、V1方向がz1方向の成分を含むように配置されたヘッドモジュールとV2方向がz1方向の成分を含むように配置されたヘッドモジュールとを含む液体噴射装置であっても、V1方向およびV2方向の双方の端部の近傍にバイパス流路BPが設けられるので、気排性を向上できる。V1方向がz1方向の成分を含むように配置されたヘッドモジュールとV2方向がz1方向の成分を含むように配置されたヘッドモジュールとを含む液体噴射装置は、中心軸Axに対する回転方向が逆である複数のヘッドモジュールを含むとも言える。
なお、上述の記載では、ヘッドモジュール3_1およびヘッドモジュール3_2が、「第1ラインヘッド」の一例であると記載したが、ヘッドモジュール3_3およびヘッドモジュール3_4が、「第1ラインヘッド」の一例でもよい。ヘッドモジュール3_3が「第1ラインヘッド」に相当する場合、ヘッドモジュール3_2が「第2ラインヘッド」に相当する。一方、ヘッドモジュール3_4が「第1ラインヘッド」に相当する場合、ヘッドモジュール3_1が「第2ラインヘッド」に相当する。「第6方向」には、y2方向が相当し、「第7方向」には、y1方向に相当する。
【0180】
また、上述したように、傾斜角度θ1は、傾斜角度θ4に等しい。従って、ヘッドモジュール3_1内の気泡の発生箇所と、ヘッドモジュール3_4内の発生箇所とは、傾斜角度θ1が傾斜角度θ4と異なる態様と比較すると、中心軸Axを通るxz平面を対称軸として線対称に近くなる可能性が高い。従って、ヘッドモジュール3_1とヘッドモジュール3_4とで、気泡の排出のための動作条件、換言すればメンテナンスの動作時間を同一に設定できる。より詳細には、ヘッドモジュール3_1内の気泡を排出するためのメンテナンスを実施する時刻と、ヘッドモジュール3_4内の気泡を排出するためのメンテナンスを実施する時刻とを同一時刻に設定できる。従って、第3実施形態によれば、気泡を排出するためのメンテナンスの設定を簡素化できる。
【0181】
4.変形例
以上に例示した形態は多様に変形され得る。前述の形態に適用され得る具体的な変形の態様を以下に例示する。以下の例示から任意に選択された2以上の態様は、相互に矛盾しない範囲で適宜に併合され得る。
【0182】
4.1.第1変形例
上述の各形態におけるバイパス水平部分BPHは、配線部材388を迂回するように屈曲したが、配線部材388のV軸方向における長さが、供給側垂直部分BP1VSから供給側垂直部分BP2VSまでの長さより短い場合、バイパス水平部分BPHは、屈曲しなくてもよい。
【0183】
図24は、第1変形例におけるヘッドユニット38DをZ2方向に見た平面図である。図24に示す図は、第1変形例における第1バイパス流路BP1Dと、第1変形例における第2バイパス流路BP2Dと、第1変形例における配線部材388Dとの位置関係を示すため、配線部材388Dを一点鎖線で示す。
【0184】
図24に例示される通り、第1バイパス流路BP1Dは、供給側垂直部分BP1VSと、バイパス水平部分BP1HDと、排出側垂直部分BP1VDとを有する。図24に例示される通り、V軸方向において、配線部材388DのV2方向の端部は、供給側垂直部分BP1VSのV1方向の端部および排出側垂直部分BP1VDのV1方向の端部よりV1方向に位置する。従って、バイパス水平部分BP1HDは、屈曲部を有さなくてよい。バイパス水平部分BP1HDは、W軸方向に延在し、W1方向の端部で供給側垂直部分BP1VSに連通し、W2方向の端部で排出側垂直部分BP1VDに連通する。
【0185】
図24に例示される通り、第2バイパス流路BP2Dは、供給側垂直部分BP2VSと、バイパス水平部分BP2HDと、排出側垂直部分BP2VDとを有する。図24に例示される通り、V軸方向において、配線部材388DのV1方向の端部は、供給側垂直部分BP2VSのV2方向の端部および排出側垂直部分BP2VDのV2方向の端部よりV2方向に位置する。従って、バイパス水平部分BP2HDは、屈曲部を有さなくてよい。バイパス水平部分BP2HDは、W軸方向に延在し、W1方向の端部で供給側垂直部分BP2VSに連通し、W2方向の端部で排出側垂直部分BP2VDに連通する。
【0186】
4.2.第2変形例
上述の各形態における供給流路Siは、バイパス水平部分BPHと同一層である分配流路SPH1および分配流路SPH2を含み、排出流路Doは、バイパス水平部分BPHと同一層である排出水平流路DSH_1~DSH_6を含んだが、これに限らない。例えば、供給流路Siおよび排出流路Doの一方が、バイパス水平部分BPHと同一層となる流路を有さなくてよい。換言すれば、バイパス水平部分BPHと、供給流路Siの一部および排出流路Doの一部とが、同一層に形成されてもよい。具体的には、以下に示す2つの態様がある。第1の態様は、供給流路Siが分配流路SPH1および分配流路SPH2を含み、排出流路Doは、第1流路部材Du1と第2流路部材Du2との間にVW平面に沿う流路を有さない態様である。第2の態様は、供給流路Siが、第1流路部材Du1と第2流路部材Du2との間にVW平面に沿う流路を有さず、排出流路Doが、排出水平流路DSH_1~DSH_6を有する態様である。
【0187】
第2変形例によれば、供給流路Siおよび排出流路Doが第1流路部材Du1と第2流路部材Du2との間にVW平面に沿う流路を有さない態様と比較して、バイパス水平部分BPHと、供給流路Siの一部および排出流路Doの一部の一方とを、同一の部材で構成することができるため、液体噴射ヘッド30の部品点数を削減できる。
【0188】
4.3.第3変形例
上述の第1実施形態、第2実施形態、第3実施形態、および、第1変形例において、流路分配部37内に、分配流路SPH1およびSPH2が形成され、流路構造体34内に、排出合流流路DUo1およびDUo2が形成されたが、これに限らない。第3変形例にかかる液体噴射ヘッド30は、流路構造体34内に、複数の供給側共通液室MN1にインクを分配して供給する分配流路を有し、流路分配部37内に、複数の排出側共通液室MN2から排出されたインクを合流させる合流流路を有する。
【0189】
即ち、第3変形例における液体噴射ヘッド30において、複数の基板は、複数のケース385と、第1流路部材Du1と、第2流路部材Du2とを有する。複数のケース385の夫々は、供給側共通液室MN1の一部と、排出側共通液室MN2の一部と、バイパス流路BPの一部と、を画定する。第1流路部材Du1は、複数のケース385に対して、Z1方向とは反対方向に積層される。第2流路部材Du2は、第1流路部材Du1に対して、Z1方向の反対方向に積層される。液体噴射ヘッド30は、複数のケース385の夫々によって画定される複数の排出側共通液室MN2から排出された液体を合流させる合流流路を備える。複数のケース385の各々に対応する複数の第1部分と、合流流路とは、第1流路部材Du1と第2流路部材Du2との間に形成される。
第3変形例によれば、バイパス水平部分BPHと、前述の合流流路とを同一の同じ部材で構成できるので、前述の合流流路が第1流路部材Du1と第2流路部材Du2との間以外に形成される態様と比較して、液体噴射ヘッド30の部品点数を削減できる。
【0190】
第1実施形態と第3変形例との相違点による第1実施形態の効果を説明する。一般的に、流路が合流すると流速が増加し、圧力損失も増加しやすい傾向がある。また、ノズルNへの圧力の影響を考慮すると、供給流路Siよりも排出流路Doにおいて圧力損失を低下させたいという事情がある。従って、第1実施形態は、供給流路Siにおいて、流路構造体34にインクを分配する第3変形例と比較すると、インクが合流している部分が長くなるため、流速が大きくなり気泡の排出性を向上できる。また、第1実施形態は、排出流路Doにおいて、流路分配部37にインクを合流させる合流流路を有する第3変形例と比較すると、インクが合流する部分が短いため、流路の抵抗が小さくなり、ノズルNの圧力変動を低減させることができる。
【0191】
4.4.第4変形例
上述の各態様において、ケース385は、供給側共通液室MN1の一部、排出側共通液室MN2の一部を画定するが、供給側共通液室MN1の全部を画定してもよいし、排出側共通液室MN2の全部を画定してもよい。
【0192】
4.5.第5変形例
上述の各態様では、供給側垂直部分BP1VSは、最もV2方向に配置された個別流路RJよりもV1方向に位置する。供給側垂直部分BP2VSは、最もV1方向に配置された個別流路RJよりもV2方向に位置するが、これに限らない。例えば、供給側垂直部分BP1VSが、最もV2方向に配置された個別流路RJよりもV2方向に位置し、供給側垂直部分BP2VSは、最もV1方向に配置された個別流路RJよりもV1方向に位置してもよい。例えば、図18に示す第1実施例は、供給側垂直部分BP1VSが、最もV2方向に配置された個別流路RJよりもV2方向に位置する態様である。
【0193】
第5変形例においても、バイパス水平部分BPHが供給側共通液室MN1および排出側共通液室MN2とは異なる層に形成されることにより、平面視において、バイパス水平部分BPHが、供給側共通液室MN1および排出側共通液室MN2の一部と重ねることができる。従って、第5変形例も、第1実施形態と同様に、W軸方向およびV軸方向に液体噴射ヘッド30を小型化できる。
【0194】
4.6.第6変形例
上述の各態様において、液体噴射ヘッド30は、インクを噴射するために圧力室CB内にエネルギーを発生させるエネルギー発生素子として、上述の各態様で用いた圧電素子の替わりに発熱素子を有してもよい。
【0195】
4.7.その他の変形例
上述の液体噴射装置100は、印刷に専用される機器のほか、ファクシミリ装置およびコピー機等の各種の機器に採用され得る。もっとも、本発明の液体噴射装置100の用途は印刷に限定されない。例えば、色材の溶液を噴射する液体噴射装置は、液晶表示装置のカラーフィルターを形成する製造装置として利用される。また、導電材料の溶液を噴射する液体噴射装置は、配線基板の配線および電極を形成する製造装置として利用される。
【0196】
5.付記
以上に例示した形態から、例えば以下の構成が把握される。
【0197】
好適な態様である態様1に係る液体噴射ヘッドは、液体を第1方向へ噴射する複数のノズルが前記第1方向に直交する第2方向に並んで構成されたノズル列と、前記複数のノズルの夫々と連通する複数の個別流路と、前記第2方向に延在するとともに前記複数の個別流路と連通し、前記複数の個別流路に液体を供給する供給側共通液室と、前記第2方向に延在するとともに前記複数の個別流路と連通し、前記複数の個別流路から排出された液体が流れる排出側共通液室と、前記供給側共通液室と、前記排出側共通液室と、を接続する第1バイパス流路と、前記供給側共通液室と、前記排出側共通液室と、を接続する第2バイパス流路と、前記第2方向において前記第1バイパス流路と前記第2バイパス流路との間で、前記供給側共通液室と連通する導入流路と、を備え、前記第1バイパス流路は、前記供給側共通液室から前記第1方向とは反対方向である第3方向に延在する第1垂直部分を有し、前記第2バイパス流路は、前記供給側共通液室から前記第3方向に延在する第2垂直部分を有し、前記第1垂直部分は、最も前記第2方向に配置された前記個別流路よりも前記第2方向とは反対方向の第4方向に位置し、前記第2垂直部分は、最も前記第4方向に配置された前記個別流路よりも前記第2方向に位置する。
態様1によれば、ノズル面が水平面に対して傾斜して配置された結果、第2方向が重力方向とは反対方向の成分を有する場合であっても、最も第2方向に配置された個別流路への液体の流れが発生するため、供給側共通液室の第2方向の端部における液体の淀みの発生を抑制でき、気泡の滞留を低減できる。同様に、ノズル面が水平面に対して傾斜して配置された結果、第4方向が重力方向とは反対方向の成分を有する場合であっても、最も第4方向に配置された個別流路への液体の流れが発生するため、供給側共通液室の第4方向の端部における液体の淀みの発生を抑制でき、気泡の滞留を低減できる。
【0198】
態様1の具体例である態様2において、前記第1垂直部分は、前記第2方向に垂直な面に平行に、前記供給側共通液室を4つの領域に均等に分割した場合に、最も前記第2方向に位置する領域に位置し、前記第2垂直部分は、前記第2方向に垂直な面に平行に、前記供給側共通液室を前記4つの領域に均等に分割した場合に、最も前記第4方向に位置する領域に位置する。
態様2によれば、第1垂直部分が、供給側共通液室を4つの領域に均等に分割した場合の最も第2方向に位置する領域に位置するため、供給側共通液室における導入流路と連通する部分から第1垂直部分までに滞留した気泡を回収できる。同様に、第2垂直部分が、供給側共通液室を4つの領域に均等に分割した場合の最も第4方向に位置する領域に位置するため、供給側共通液室における導入流路と連通する部分から第2垂直部分までに滞留した気泡を回収できる。
【0199】
態様2の具体例である態様3において、前記第1垂直部分は、前記第2方向に垂直な面に平行に、前記供給側共通液室を8つの領域に均等に分割した場合に、最も前記第2方向に位置する領域に位置し、前記第2垂直部分は、前記第2方向に垂直な面に平行に、前記供給側共通液室を前記8つの領域に均等に分割した場合に、最も前記第4方向に位置する領域に位置する。
態様3によれば、第1垂直部分が供給側共通液室を8つの領域に均等に分割した場合の最も第2方向に位置する領域に位置することにより、第2実施例と比較して、供給側共通液室における導入流路と連通する部分から第1垂直部分までに滞留した気泡を、より多く回収できる。同様に、第2垂直部分が供給側共通液室を8つの領域に均等に分割した場合の最も第4方向に位置する領域に位置することにより、第2実施例と比較して、供給側共通液室における導入流路と連通する部分から第2垂直部分までに滞留した気泡を、より多く回収できる。
【0200】
態様1から3までのいずれか1つの態様の具体例である態様4において、前記第2方向において前記第1バイパス流路と前記第2バイパス流路との間で、前記排出側共通液室と連通する導出流路を備え、前記第1バイパス流路は、前記排出側共通液室から前記第3方向に延在する第3垂直部分を有し、前記第2バイパス流路は、前記排出側共通液室から前記第3方向に延在する第4垂直部分を有し、前記第3垂直部分は、最も前記第2方向に配置された前記個別流路よりも前記第4方向に位置し、前記第4垂直部分は、最も前記第4方向に配置された前記個別流路よりも前記第2方向に位置する。
態様4によれば、ノズル面が水平面に対して傾斜して配置された結果、第2方向が重力方向とは反対方向の成分を有する場合であっても、気泡が第2方向に流れる流れと、液体の第4方向の流れとが相対するため、排出側共通液室の第2方向の端部における液体の淀みの発生を抑制でき、気泡の滞留を低減できる。同様に、ノズル面が水平面に対して傾斜して配置された結果、第4方向が重力方向とは反対方向の成分を有する場合であっても、気泡が第4方向に流れる流れと、液体の第2方向の流れとが相対するため、排出側共通液室の第4方向の端部における液体の淀みの発生を抑制でき、気泡の滞留を低減できる。
【0201】
態様1から4までのいずれか1つの態様の具体例である態様5において、前記供給側共通液室は、前記導入流路から前記第1垂直部分までに位置する第1領域と、前記第1垂直部分よりも前記第2方向に位置する第2領域と、を有し、前記第2領域の前記第3方向の面は、前記第1領域の前記第3方向の面に対して、前記第1方向に配置される。
態様5によれば、第2領域内の液体の流速は、第2領域の第3方向の面の位置が第1の領域の第3方向の面と同一位置である態様における第2領域内の液体の流速と比較して大きくなる。液体の流速が大きくなることにより、液体の淀みの発生を低減できる。
【0202】
態様5の具体例である態様6において、前記第2領域には、前記第1領域の前記第1方向における最大寸法の半分以下の前記第1方向における寸法を有する部分を有する。
一般的に、流体の断面積が小さくなることに応じて、流体の流速は大きくなる。従って、態様6によれば、第2領域に連通する個別流路の流速の低下を抑制できる。
【0203】
好適な態様である態様7に係る液体噴射装置は、態様1から6までのいずれか1項に記載の液体噴射ヘッドと、前記液体噴射ヘッドを保持し、前記第1方向に直交する第5方向および前記第5方向とは反対方向に前記液体噴射ヘッドを往復移動させる移動機構と、を備え、前記第2方向は、前記第5方向と交差する方向である。
態様7によれば、液体の淀みの発生を低減できる、シリアル型の液体噴射装置を提供できる。
【0204】
好適な態様である態様8に係る液体噴射装置は、態様1から6までのいずれか1項に記載の液体噴射ヘッドを備え、前記液体噴射ヘッドは、前記第1方向に直交する第5方向に長尺なラインヘッドを構成し、前記第2方向は、前記第5方向と交差する方向である。
態様8によれば、液体の淀みの発生を低減できる、ライン型の液体噴射装置を提供できる。
【0205】
態様7または8の具体例である態様9において、前記液体噴射ヘッドは、前記複数のノズルを有するノズル面を備え、前記ノズル面は、前記第5方向に沿う軸の半径方向に対して直交し、且つ、水平面に対して傾斜する。
態様9によれば、供給側共通液室および排出側共通液室の重力方向の反対方向の端部における液体の淀みの発生を抑制でき、気泡の滞留を低減できる。
【0206】
好適な態様である態様10に係る液体噴射装置は、態様1から6までのいずれか1項に記載の液体噴射ヘッドによって構成され、前記第1方向と直交する第5方向に長尺な第1ラインヘッドと、態様1から6までのいずれか1項に記載の液体噴射ヘッドによって構成され、前記第5方向に長尺な第2ラインヘッドであって、重力方向に見て、前記第5方向に直交する第6方向に配置された第2ラインヘッドと、媒体を搬送する搬送機構と、を備え、前記第1ラインヘッドは、前記第1ラインヘッドの第1ノズル面の前記第6方向の端部が、前記第1ノズル面の前記第6方向とは反対方向である第7方向の端部に対して前記重力方向とは反対方向に位置するように、傾斜して配置され、前記第2ラインヘッドは、前記第2ラインヘッドの第2ノズル面の前記第6方向の端部が、前記第2ノズル面の前記第7方向の端部に対して前記重力方向に位置するように、傾斜して配置される。
態様10によれば、第1ラインヘッドと第2ラインヘッドとは、傾斜角度が互いに異なるが、第1ラインヘッドと第2ラインヘッドとのいずれに対しても気泡の滞留を低減できるので、気排性を向上できる。
【0207】
態様10の具体例である態様11において、水平面に対する前記第1ノズル面の傾斜角と、前記水平面に対する前記第2ノズル面の傾斜角とが等しい。
態様11によれば、第1ラインヘッドと第2ラインヘッドとで、気泡の排出のための動作条件を同一に設定できるので、第1ラインヘッド内の気泡を排出するためのメンテナンスを実施する時刻と、第2ラインヘッド内の気泡を排出するためのメンテナンスを実施する時刻とを同一時刻に設定できる。従って、態様11によれば、気泡を排出するためのメンテナンスのスケジュール設定を簡素化できる。
【0208】
好適な態様である態様12に係る液体噴射装置は、態様1から6までのいずれか1つの態様に記載の液体噴射ヘッドを備える。
態様12によれば、気泡の滞留を抑制できる液体噴射装置を提供できる。
【0209】
態様7から12までのいずれか1つの態様の具体例である態様13において、前記液体噴射ヘッド内に供給された液体を循環させる循環機構と、を備える。
態様13によれば、液体に混入した気泡や塵埃は循環する液体とともに循環機構に戻されるので、ノズルの目詰まりの発生が低減する。そのため、液体噴射ヘッドの液交換およびクリーニングのメンテナンスが容易になる。
【符号の説明】
【0210】
3,3A…ヘッドモジュール、13…ヘッド固定基板、15…取付孔、30…液体噴射ヘッド、31…筐体、32…カバー基板、33…集合基板、34…流路構造体、35…配線基板、37…流路分配部、38,38D…ヘッドユニット、39…固定板、90…制御装置、91…移動機構、92,92B…搬送機構、93…液体容器、94…循環機構、100,100A,100B…液体噴射装置、382…連通板、383…圧力室基板、384…振動板、385…ケース、387…ノズルプレート、388,388D…配線部材、921…ドラム、922…駆動機構、3851…導入口、3852…導出口、3853…バイパス口、3861…コンプライアンス基板、Ax…中心軸、BP…バイパス流路、BP1,BP1D…第1バイパス流路、BPH,BP1H,BP1HD,BP2H,BP2HD…バイパス水平部分、BP1VD,BP2VD…排出側垂直部分、BP1VS,BP2VS…供給側垂直部分、BP2…バイパス流路、BP2,BP2D…第2バイパス流路、BP2H1…部分、CB…圧力室、CI1,CI2…導入口、DSH…排出水平流路、DSV…導出流路、Do…排出流路、FN…ノズル面、Ln…ノズル列、MN1…供給側共通液室、MN1a…V2端部領域、MN1aC…断面積、MN1aS…面、MN1b…V2連通領域、MN1bC…断面積、MN1bS…面、MN2…排出側共通液室、N…ノズル、PP…媒体、PZ…圧電素子、RJ…個別流路、SCi1,SCi2…供給共通流路、SDi1,SDi2…供給分配流路、SF…水平面、SPH1,SPH2…分配流路、SPV…導入流路、Si…供給流路、Si1,Si2…第1供給流路、θ1,θ2,θ3,θ4…傾斜角度。
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