(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-08
(45)【発行日】2024-05-16
(54)【発明の名称】貨幣取扱装置
(51)【国際特許分類】
G07D 11/245 20190101AFI20240509BHJP
G07D 11/25 20190101ALI20240509BHJP
G07D 11/16 20190101ALI20240509BHJP
【FI】
G07D11/245
G07D11/25
G07D11/16
(21)【出願番号】P 2020129668
(22)【出願日】2020-07-30
【審査請求日】2023-05-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100174104
【氏名又は名称】奥田 康一
(72)【発明者】
【氏名】金子 みちほ
【審査官】山本 裕太
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-151626(JP,A)
【文献】国際公開第2020/105338(WO,A1)
【文献】特開2020-077335(JP,A)
【文献】特開2011-070591(JP,A)
【文献】特開平09-171578(JP,A)
【文献】特開平01-282695(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07D 11/245
G07D 11/25
G07D 11/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
貨幣が入金される入金部と、
前記貨幣を鑑別して計数する鑑別部と、
前記貨幣を金種別に収納する金種別貨幣収納部と、
装置に対し着脱可能に設けられ、入金された貨幣を収納し、又は収納された貨幣を繰り出すカセットと、
前記金種別貨幣収納部へ補充すべき貨幣が収納された前記カセットが前記装置に装着されると、該カセットから前記貨幣を繰り出して前記金種別貨幣収納部へ収納する補充処理を制御する制御部と、
を有し、
前記制御部は、前記カセットから前記金種別貨幣収納部に前記貨幣を収納することができない場合、該カセット内に前記貨幣を収納した状態で前記補充処理を完了させるよう制御
し、また前記金種別貨幣収納部から繰出可能な前記貨幣の数量又は金額を表す有高を、当該金種別貨幣収納部に実際に収納されている前記貨幣の数量又は金額と、前記カセットに収納されている前記貨幣の数量又は金額との合計値とするよう制御する
ことを特徴とする貨幣取扱装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記カセットから前記金種別貨幣収納部に前記貨幣を収納することができない場合、前記金種別貨幣収納部における空容量に相当する数量の前記貨幣を前記カセットから繰り出させて前記金種別貨幣収納部に収納させ、残りの前記貨幣を当該カセット内に収納した状態で前記補充処理を完了させるよう制御する
ことを特徴とする請求項1に記載の貨幣取扱装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記補充処理の他に、前記入金部から入金された金額の合計金額と前記金種別貨幣収納部に予め収納されていた準備金の金額との差分を基に売上金を算出する精算処理を制御し、
当該精算処理を行うときに、前記カセットに前記貨幣が収納されており、且つ前記金種別貨幣収納部に空容量がある場合、当該空容量に相当する数量の前記貨幣を前記カセットから繰り出させて前記金種別貨幣収納部に収納させる移動処理を制御する
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の貨幣取扱装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記カセットを前記装置から取り外す前に行われる、前記金種別貨幣収納部から前記貨幣を繰り出させて前記カセットに収納する回収準備処理を制御し、
当該回収準備処理を開始するときに、前記カセットに前記貨幣が収納されていた場合、当該カセットに収納可能な数量の範囲内で前記貨幣を前記金種別貨幣収納部から繰り出させて当該カセットに収納させるよう制御する
ことを特徴とする請求項1乃至請求項
3の何れかに記載の貨幣取扱装置。
【請求項5】
貨幣が入金される入金部と、
前記貨幣を鑑別して計数する鑑別部と、
前記貨幣を金種別に収納する金種別貨幣収納部と、
装置に対し着脱可能に設けられ、入金された貨幣を収納し、又は収納された貨幣を繰り出すカセットと、
前記金種別貨幣収納部へ補充すべき貨幣が収納された前記カセットが前記装置に装着されると、該カセットから前記貨幣を繰り出して前記金種別貨幣収納部へ収納する補充処理を制御する制御部と、
情報を通知する通知部
と
を有し、
前記制御部は、前記カセットから前記金種別貨幣収納部に前記貨幣を収納することができない場合、該カセット内に前記貨幣を収納した状態で前記補充処理を完了させるよう制御し、また前記補充処理において前記金種別貨幣収納部に収納させた前記貨幣の数と、前記カセット内に残された前記貨幣の数との合計数を、前記通知部により通知させる
ことを特徴
とする貨幣取扱装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は貨幣取扱装置に関し、例えば貨幣(すなわち硬貨及び紙幣)を取り扱い種々の処理を行う貨幣取扱装置に適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
従来、比較的大規模の小売店(例えばスーパーマーケット等)では、顧客が精算処理を行う複数の精算所にそれぞれレジスターが設置される他、バックヤードと呼ばれる従業員のみが出入りする場所に、紙幣及び硬貨を取り扱う貨幣取扱装置が設置される場合がある。
【0003】
この貨幣取扱装置としては、例えば紙幣を処理する紙幣処理装置と、硬貨を処理する硬貨処理装置と、従業員等(以下、使用者と呼ぶ)の操作指示を受け付けて全体を統括管理する統括管理装置とを有するものがある。
【0004】
このうち紙幣処理装置は、例えば紙幣が投入され、また紙幣を排出する入出金部、紙幣を搬送する搬送部、紙幣の金種や真偽等を鑑別する鑑別部、並びに紙幣を収納する収納庫等を有している。この紙幣処理装置は、統括管理装置の制御に基づき、例えば各レジスターから回収された売上金の紙幣を入金して収納する入金処理や、各レジスターの釣銭として用意すべき紙幣の出金処理、或いは収納している紙幣を確認及び計数する精算処理等を行うことができる。また硬貨処理装置は、紙幣処理装置と対応した構成となっており、統括管理装置の制御に基づき、例えば硬貨の入金処理や出金処理、或いは精算処理等を行うことができる。
【0005】
ところで貨幣取扱装置は、各収納庫に収納可能な紙幣や硬貨の枚数に上限があるため、定期的に回収する必要がある。また貨幣取扱装置は、比較的少額の紙幣や硬貨を釣銭として用意するため、定期的に補充する必要がある。そこで紙幣処理装置では、装置本体に対して着脱可能であり紙幣を収納可能なカセットが設けられている。また貨幣取扱装置が設置された小売店では、所定の警送会社の警送員により、貨幣の補充及び回収並びに運送を行う業務(以下これを警送サービスと呼ぶ)が行われている。
【0006】
例えば貨幣取扱装置は、各レジスターから回収された売上金の貨幣が入金されると、これを計数した上で収納庫に収納しておく。また貨幣取扱装置は、小売店の従業員等の操作により回収準備処理の指示を受け付けると、収納庫に収納している貨幣をカセットに移動させる。その後、警送会社の警送員は、空のカセットを小売店に持参し、貨幣取扱装置から取り外したカセットと空のカセットとを交換し、取り外したカセットを持ち帰ることにより紙幣を回収する(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、上述した警送サービスでは、警送員が空のカセットに加えて釣銭用の貨幣を持参する場合がある。この場合、警送員は、釣銭用の貨幣となる現金を持ち運び、貨幣取扱装置において所定の釣銭補充処理を行う。このとき紙幣処理装置は、釣銭用の紙幣が警送員により入出金部から投入されることになる。
【0009】
しかしながらこの場合、紙幣処理装置は、警送員に現金を取り扱わせることに伴い、セキュリティを確保するために、厳密な手順に従った操作を行わせることや、入念な確認作業等が必要となり、作業が繁雑になる、という問題があった。
【0010】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、現金の補充や回収におけるセキュリティを確保しながら作業性を向上し得る貨幣取扱装置を提案しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
かかる課題を解決するため本発明の貨幣取扱装置においては、貨幣が入金される入金部と、貨幣を鑑別して計数する鑑別部と、貨幣を金種別に収納する金種別貨幣収納部と、装置に対し着脱可能に設けられ、入金された貨幣を収納し、又は収納された貨幣を繰り出すカセットと、金種別貨幣収納部へ補充すべき貨幣が収納されたカセットが装置に装着されると、該カセットから貨幣を繰り出して金種別貨幣収納部へ収納する補充処理を制御する制御部とを設け、制御部により、カセットから金種別貨幣収納部に貨幣を収納することができない場合、該カセット内に貨幣を収納した状態で補充処理を完了させるよう制御し、また金種別貨幣収納部から繰出可能な貨幣の数量又は金額を表す有高を、当該金種別貨幣収納部に実際に収納されている貨幣の数量又は金額と、カセットに収納されている貨幣の数量又は金額との合計値とするよう制御するようにした。
また本発明の貨幣取扱装置においては、貨幣が入金される入金部と、貨幣を鑑別して計数する鑑別部と、貨幣を金種別に収納する金種別貨幣収納部と、装置に対し着脱可能に設けられ、入金された貨幣を収納し、又は収納された貨幣を繰り出すカセットと、金種別貨幣収納部へ補充すべき貨幣が収納されたカセットが装置に装着されると、該カセットから貨幣を繰り出して金種別貨幣収納部へ収納する補充処理を制御する制御部と、情報を通知する通知部とを有し、制御部は、カセットから金種別貨幣収納部に貨幣を収納することができない場合、該カセット内に貨幣を収納した状態で補充処理を完了させるよう制御し、また補充処理において金種別貨幣収納部に収納させた貨幣の数と、カセット内に残された貨幣の数との合計数を、通知部により通知させるようにした。
【0012】
本発明は、装置から貨幣を回収し、また貨幣を補充する際に、回収すべき貨幣が移動されたカセットと、補充すべき貨幣が事前に収納され警送員等により持参されたカセットとが交換された後、該カセットから金種別貨幣収納庫へ貨幣を移動させることにより、警送員に当該該貨幣を直接取り扱わせること無く、回収及び補充を行うことができる。また本発明は、仮にカセットから金種別貨幣収納庫へ全ての貨幣を補充し得なかったとしても、当該貨幣の一部をカセットに収納した状態のまま補充処理を完了できるので、残留した貨幣を回収する等の当該貨幣を直接取り扱う作業を警送員に行わせる必要も無い。さらに本発明は、金種別貨幣収納部に収納されている貨幣の数量又は金額と、カセットに収納した貨幣の数量又は金額との合計値を有高とするため、あたかもカセットを金種別貨幣収納部の一部として貨幣に関する処理を行うことができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、現金の補充や回収におけるセキュリティを確保しながら作業性を向上し得る貨幣取扱装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】貨幣取扱装置の全体構成を示す略線的斜視図である。
【
図2】貨幣取扱装置の内部構成を示す略線図である。
【
図3】統括制御部の機能ブロック構成を示すブロック図である。
【
図4】第1の実施の形態による紙幣処理装置における紙幣の移動の様子を示す略線図である。
【
図5】第1の実施の形態による売上回収処理手順を示すフローチャートである。
【
図7】第1の実施の形態による補充結果通知画面を示す略線図である。
【
図9】第2の実施の形態による紙幣処理装置における紙幣の移動の様子を示す略線図である。
【
図10】第2の実施の形態による売上回収処理手順を示すフローチャートである。
【
図11】第2の実施の形態による補充結果通知画面を示す略線図である。
【
図12】精算時補充処理手順を示すフローチャートである。
【
図13】回収準備処理手順を示すフローチャートである。
【
図14】回収準備結果通知画面を示す略線図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、発明を実施するための形態(以下実施の形態とする)について、図面を用いて説明する。
【0016】
[1.第1の実施の形態]
[1-1.貨幣取扱装置の全体構成及び各部の回路構成]
図1に示すように、第1の実施の形態による貨幣取扱装置1は、全体として概ね直方体状に形成されており、大きく分けて統括管理装置2、硬貨処理装置3及び紙幣処理装置4により構成されている。この貨幣取扱装置1は、例えば金融機関の店舗における職員等が職務を行う区画や大型の商店における事務所内等、一般の顧客が立ち入らないような場所に設置されており、金融機関の職員や商店の従業員等、又は警送会社の警送員(以下これらを使用者と呼ぶ)に使用されることが想定されている。
【0017】
以下では、貨幣取扱装置1のうち使用者が対峙する側を前側とし、その反対を後側とし、当該前側に対峙した使用者から見て左及び右をそれぞれ左側及び右側とし、さらに上側及び下側を定義して説明する。
【0018】
貨幣取扱装置1は、左側に直方体状の硬貨処理装置3が設けられ、その右側に該硬貨処理装置3と上下方向及び前後方向の長さが同等でなる直方体状の紙幣処理装置4が設けられ、さらに該紙幣処理装置4の上側に統括管理装置2が設けられている。
【0019】
統括管理装置2は、レシート印刷部6、表示操作パネル7、テンキー8及びカード読取部9等を有している。この統括管理装置2は、その内部の構成を
図2に模式的に示すように、統括制御部21により全体を統括的に制御している。統括制御部21は、図示しないCPU(Central Processing Unit)を中心に構成されており、図示しないROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等を有している。
【0020】
この統括制御部21は、CPUによってROMや記憶部22等から所定のプログラムを読み出して実行することにより、硬貨及び紙幣に関する種々の処理を制御する。また統括制御部21は、図示しない接続ケーブルにより、硬貨処理装置3の硬貨制御部31及び紙幣処理装置4の紙幣制御部41と相互に接続されており、種々の情報を送受信するようになっている。記憶部22は、例えばハードディスクドライブやフラッシュメモリ等のような不揮発性の記憶媒体を有しており、各種プログラムや各種設定値等のような種々の情報を記憶する。
【0021】
通知部としてのレシート印刷部6は、例えば一般的なサーマルプリンタと類似した構成となっており、感熱紙がロール状に回巻されたロール紙を保持するホルダや、このロール紙から引き出された感熱紙を搬送する搬送機構、及び熱によりこの感熱紙に文字や図形等を印刷するサーマルヘッド等を有している。
【0022】
通知部としての表示操作パネル7は、例えば液晶パネルや有機EL(Electro Luminescence)パネル等の表示機能を有する表示パネルの表面にタッチセンサが組み合わされた、いわゆるタッチパネルとして構成されている。この表示操作パネル7は、統括制御部21の制御に基づき種々の表示画面を表示する他、使用者のタッチ操作を受け付けて該統括制御部21に通知する。テンキー8は、複数の物理キーの組合せとして構成されており、数字の「0」~「9」や所定の記号を入力するためのキー、並びに「確認」キー及び「取消」キー等が設けられている。このテンキー8は、使用者による押下操作を受け付けて統括制御部21に通知する。
【0023】
カード読取部9は、所定の使用者カード(図示せず)から磁気情報を読み取る部分である。この使用者カードには、例えば小売店の一般従業員、管理者、及び警送会社の警送員等、貨幣取扱装置1を使用する各使用者に予め配布されており、使用者ごとに操作可能な範囲が予め設定されている。
【0024】
硬貨処理装置3は、
図2に示したように、筐体30の内部に硬貨制御部31、硬貨投入部32、硬貨鑑別部33、硬貨一時保留部34、硬貨収納庫35、硬貨出金箱36、硬貨回収庫37及び硬貨返却庫38を有している。筐体30は、中空の直方体状に構成されており、その前側部分が開閉可能な前扉30Fとなっている。
【0025】
硬貨制御部31は、統括制御部21と同様、図示しないCPU、ROM及びRAM等を有しており、硬貨処理装置3内を制御する。この硬貨制御部31は、CPUによってROM等から各種プログラムを読み出して実行することにより、硬貨に関する種々の処理を実行する。
【0026】
硬貨投入部32は、使用者により硬貨が投入されると、これを1枚ずつに分離して硬貨鑑別部33へ順次送り出す。硬貨鑑別部33は、硬貨の真偽、金種及び正損等の鑑別を行い、得られた鑑別結果を硬貨制御部31へ通知すると共に、当該硬貨を金種別(例えば500円、100円、50円、10円、5円及び1円の6種類)に振り分けて硬貨一時保留部34に引き渡す。このとき硬貨制御部31は、当該硬貨の引渡先を決定する。
【0027】
硬貨一時保留部34は、複数(例えば6箇所)の一時収納空間を形成しており、受け取った硬貨を一時的に金種別に収納し、硬貨制御部31の制御に基づき、収納すべき硬貨を硬貨収納庫35に引き渡す一方、使用者に返却すべき硬貨を硬貨返却庫38に引き渡す。硬貨収納庫35は、複数(例えば6箇所)の収納空間を形成しており、金種別に硬貨を収納する。また硬貨収納庫35は、図示しない硬貨繰出機構を有しており、硬貨制御部31の制御に基づき、指示された金種及び枚数の硬貨を繰り出して硬貨出金箱36又は硬貨回収庫37に引き渡す。
【0028】
硬貨出金箱36は、複数(例えば6箇所)の収納空間を形成しており、硬貨収納庫35から繰り出された硬貨を金種別に収納する。この硬貨出金箱36は、筐体30から引き出されると、金種別に収納している硬貨を使用者に取り出させることができる。硬貨回収庫37は、1箇所の比較的大きな収納空間を形成しており、硬貨収納庫35から繰り出された硬貨を、各金種を混在させた状態で収納する。この硬貨回収庫37は、筐体30から引き出されると、収納している硬貨を使用者に取り出させることができる。硬貨返却庫38は、硬貨を収納する空間を形成しており、硬貨一時保留部34から引き渡される硬貨を収納する。この硬貨返却庫38は、筐体30から引き出されると、収納している硬貨を使用者に取り出させることができる。
【0029】
紙幣処理装置4は、
図2に示したように、筐体40の内部に紙幣制御部41、紙幣入出金部42、紙幣搬送部43、紙幣鑑別部44、紙幣一時保留部45、紙幣収納庫46A、46B及び46C(以下、まとめて紙幣収納庫46と呼ぶ)、リジェクト庫47、紙幣カセット48及び着脱検出部49を有している。
【0030】
筐体40は、筐体30と同様、中空の直方体状に構成されており、その前側部分が開閉可能な前扉40Fとなっている。また筐体40には、前扉40Fの開閉を検知する開閉センサ(図示せず)が設けられている。この開閉センサは、得られた検知結果を紙幣制御部41に通知する。
【0031】
紙幣制御部41は、統括制御部21及び硬貨制御部31と同様、図示しないCPU、ROM及びRAM等を有しており、紙幣処理装置4内を制御する。この紙幣制御部41は、CPUによってROM等から各種プログラムを読み出して実行することにより、紙幣に関する種々の処理を実行する。
【0032】
紙幣入出金部42は、紙幣を収容する収容器や該収容器を開放又は閉塞するシャッタ等を有しており、使用者により収容器に紙幣が投入されると、シャッタを閉塞し該紙幣を1枚ずつに分離して紙幣搬送部43へ順次送り出す。また紙幣入出金部42は、紙幣搬送部43により紙幣が搬送されてくると、これを収容器内に集積しシャッタを開放して使用者に取り出させる。紙幣搬送部43は、紙幣制御部41の制御に基づき、紙幣を各部へ搬送する。
【0033】
紙幣鑑別部44は、紙幣の真偽、金種(例えば千円紙幣、五千円紙幣及び一万円紙幣の3種類)及び正損等、並びに再利用の可否等について鑑別を行い、得られた鑑別結果を紙幣制御部41へ通知すると共に、当該紙幣を紙幣搬送部43により紙幣一時保留部45等へ搬送させる。このとき紙幣制御部41は、鑑別した紙幣の金種ごとの枚数や合計金額を集計する。紙幣一時保留部45は、紙幣制御部41の制御に基づき、紙幣を一時的に収納し、また1枚ずつ繰り出す。
【0034】
紙幣収納庫46(46A~46C)は、予めそれぞれに金種が割り当てられており、紙幣鑑別部44において再利用が可能と鑑別された紙幣が紙幣搬送部43により搬送されてくると、これを収納する。また紙幣収納庫46は、紙幣制御部41の制御に基づき、収納している紙幣を1枚ずつ繰り出して紙幣搬送部43により搬送させる。
【0035】
リジェクト庫47は、紙幣収納庫46と一部類似した構成となっており、紙幣鑑別部44において再利用すべきで無いと鑑別された紙幣(いわゆるリジェクト紙幣)が紙幣搬送部43により搬送されてくると、これを収納する。
【0036】
紙幣カセット48は、紙幣収納庫46と類似した構成となっており、紙幣搬送部43により搬送されてきた紙幣を内部に収納し、また収納されている紙幣を1枚ずつ繰り出して紙幣搬送部43に引き渡すことができる。さらに紙幣カセット48は、筐体40に対して着脱し得るように構成されている。
【0037】
因みに紙幣収納庫46、リジェクト庫47及び紙幣カセット48は、それぞれ内部に所定のセンサ(図示せず)が設けられており、それぞれの内部に1枚以上の紙幣が収納されているか否かを検出し、得られた検出結果を紙幣制御部41に通知するようになっている。
【0038】
着脱検出部49は、筐体40に対し紙幣カセット48が装着されているか否かを検出し、得られた検出結果を紙幣制御部41に通知する。これにより紙幣制御部41は、紙幣カセット48が装着されているか否かを認識でき、これに応じた処理を行うことができる。
【0039】
ところで統括管理装置2の統括制御部21は、電源が投入されると、ROMや記憶部22から各種プログラム等を読み出して実行することにより、所定のオペレーションシステムや初期化プログラム等を適宜実行する。これにより統括制御部21は、硬貨処理装置3の硬貨制御部31及び紙幣処理装置4の紙幣制御部41と連携し、
図3に示すような複数の機能ブロックを形成する。
【0040】
具体的に統括制御部21は、状態管理部51、紙幣管理部52、計数処理部53、紙幣移動処理部54、表示処理部55、操作処理部56及びレシート処理部57を形成する。
【0041】
このうち状態管理部51は、貨幣取扱装置1全体の動作状態や各部の状態、例えば紙幣カセット48の着脱状態や前扉40Fの開閉状態等を管理する。紙幣管理部52は、紙幣一時保留部45や各紙幣収納庫46、及び紙幣カセット48等における収納可能な紙幣の種類や、その時点でそれぞれ収納されている紙幣の金種や枚数等を管理する。計数処理部53は、紙幣の計数に関する処理を行う。因みに、これらの機能ブロックにおいてそれぞれ管理及び使用される情報は、統括制御部21内のRAMや記憶部22等に適宜記憶される。
【0042】
紙幣移動処理部54は、紙幣処理装置4の内部における紙幣の移動に関する処理を行う。表示処理部55は、表示操作パネル7に表示する画像等に関する処理を行う。操作処理部56は、使用者による表示操作パネル7及びテンキー8を介した操作入力を受け付ける。レシート処理部57は、レシート印刷部6により印刷処理を行わせる。
【0043】
[1-2.売上回収処理]
次に、売上回収処理について説明する。小売店では、例えば1日の営業時間が終了した後等のタイミングで、各レジスターから売上金が回収され、貨幣取扱装置1に入金される。また小売店では、例えば1週間に1回等のタイミングで、警送会社の警送員によって売上金が回収されると共に釣銭準備金(以下、これを準備金とも呼ぶ)が補充されるようになっている。
【0044】
これに先立ち、紙幣処理装置4では、まず小売店の従業員等により回収準備処理が実行される。この回収準備処理は、例えば
図4(A)及び(B)に模式図を示すように、紙幣処理装置4内において、回収すべき紙幣(例えば一万円札)を紙幣収納庫46から紙幣カセット48へ移動させる処理である。
【0045】
具体的に紙幣処理装置4は、まず
図4(A)に示すように、釣銭として使用しないために優先して回収すべき金種の紙幣(例えば一万円札)を紙幣カセット48へ移動させ、続いて
図4(B)に示すように、他の金種の紙幣(例えば五千円札の一部)を紙幣カセット48へ移動させる。すなわち紙幣処理装置4は、釣銭として使用する紙幣(例えば五千円札の一部及び千円札)を紙幣収納庫46に残し、これ以外の紙幣を紙幣カセット48へ移動させる。以下、この状態の紙幣カセット48を回収紙幣カセット48Cと呼ぶ。また、状態管理部51(
図3)により、回収準備処理が完了したことを表す回収準備完了情報が設定及び記憶される。
【0046】
その後、貨幣取扱装置1では、警送会社の警送員による操作に基づき、売上回収処理が実行される。この売上回収処理のうち、紙幣処理装置4に関する部分では、
図4(C)に示すように、まず警送員が交換用の紙幣カセット48を持参する(以下これを持参紙幣カセット48Bと呼ぶ)。続いて売上回収処理では、
図4(D)に示すように、紙幣処理装置4の筐体40から回収紙幣カセット48Cが取り外されると共に、該筐体40に持参紙幣カセット48Bが装着される。
【0047】
さらに本実施の形態では、
図4(C)に示したように、持参紙幣カセット48Bに、釣銭準備金の紙幣が予め収納されている。このため売上回収処理では、筐体40に持参紙幣カセット48Bが装着された後に、
図4(E)に示すように、該持参紙幣カセット48B内の紙幣(例えば千円札)を紙幣収納庫46へ移動させる補充処理を行うようになっている。
【0048】
また硬貨処理装置3では、まず回収準備処理において、回収すべき硬貨が硬貨収納庫35(
図2)から繰り出されて硬貨回収庫37に収納される。その後、硬貨処理装置3では、売上回収処理において、警送員により硬貨回収庫37が引き抜かれ、内部の硬貨が取り出されて所定の袋に収納され、該硬貨回収庫37が再び装着される。
【0049】
以下では、この売上回収処理における詳細な処理手順について、
図5のフローチャートを参照しながら説明する。まず統括管理装置2の統括制御部21は、警送員により表示操作パネル7に対して所定の操作が行われると、記憶部22から売上回収プログラムを読み出して実行することにより、
図5の売上回収処理手順RT1を開始し、最初のステップSP1に移る。
【0050】
ステップSP1において統括制御部21は、表示処理部55(
図3)により、表示操作パネル7(
図1及び
図2)に対し、所定のカセット交換案内画面を表示し、次のステップSP2に移る。
【0051】
このカセット交換案内画面は、例えば貨幣取扱装置1全体を表す画像において筐体40の前扉40Fを開いた状態を示すと共に、具体的な作業手順を文章により説明したメッセージ等を表示することにより、使用者(すなわち警送員)に対し、該前扉40Fを開いて紙幣カセット48を交換するように促している。これに応じて警送員は、紙幣カセット48の交換作業として、前扉40Fを開き、売上金が収納された紙幣カセット48を筐体40から取り外し、持参した空の紙幣カセット48又は持参紙幣カセット48Bを該筐体40に装着し、再び前扉40Fを閉める。因みに硬貨処理装置3では、警送員により、筐体30から硬貨回収庫37が引き抜かれ、収納されていた硬貨が所定の袋に収納された後、該硬貨回収庫37が再び装着される。
【0052】
ステップSP2において統括制御部21は、紙幣カセット48を交換する作業(以下これをカセット交換作業と呼ぶ)が完了したか否かを判定する。具体的に統括制御部21は、状態管理部51(
図3)により、着脱検出部49(
図2)からの検出結果等を基に、前扉40Fが解放され、筐体40から紙幣カセット48(回収紙幣カセット48C)が一度取り外された後、新たな紙幣カセット48(持参紙幣カセット48B)が装着され、さらに前扉40Fが閉塞されたか否かを判定する。ここで否定結果が得られると、このことは使用者(警送員)が未だカセット交換作業の途中であることを表している。このとき統括制御部21は、このステップSP2を繰り返すことにより、該カセット交換作業の完了を待ち受ける。
【0053】
一方、ステップSP2において肯定結果が得られると、このことはカセット交換作業が完了したことを表している。このとき統括制御部21は、次のステップSP3に移る。ステップSP3において統括制御部21は、状態管理部51及び紙幣管理部52(
図3)により、交換後の紙幣カセット48(持参紙幣カセット48B)内に紙幣が収納されているか否かを判定する。ここで肯定結果が得られると、このことは紙幣カセット48内に紙幣が収納されているため、これを紙幣収納庫46に移動させる(すなわち紙幣を補充する)可能性があることを表している。このとき統括制御部21は、次のステップSP4に移る。
【0054】
ステップSP4において統括制御部21は、表示処理部55(
図3)により、
図6に示す紙幣補充確認画面D1を表示操作パネル7(
図1及び
図2)に表示させ、次のステップSP5に移る。この紙幣補充確認画面D1には、「紙幣の補充を実施しますか?」といった文章でなるメッセージM1と、肯定を意味する「はい」の文字が表示された肯定ボタンB1Aと、否定を意味する「いいえ」の文字が表示された否定ボタンB1Bとが表示されている。
【0055】
ステップSP5において統括制御部21は、紙幣を補充する指示があったか否か、具体的には紙幣補充確認画面D1(
図6)の肯定ボタンB1Aが押下操作されたか否かを判定する。ここで否定結果が得られると、このことは否定ボタンB1Bが押下操作されており、例えば警送員が回収紙幣カセット48Cを持参紙幣カセット48Bに交換する前に、誤って筐体40の前扉40Fを閉塞する等、カセットの交換作業が正常に行われていない可能性があることを表している。このとき統括制御部21は、再度ステップSP1に戻ることにより、一連の処理を繰り返す。
【0056】
一方、ステップSP5において肯定結果が得られると、このことは例えば警送員が回収紙幣カセット48Cを持参紙幣カセット48Bと正常に交換しており、該持参紙幣カセット48B内の紙幣を紙幣収納庫46に補充する(すなわち移動させる)意思を有することを表している。このとき統括制御部21は、次のステップSP6に移る。
【0057】
ステップSP6において統括制御部21は、紙幣移動処理部54(
図3)により、持参紙幣カセット48B内の紙幣(すなわち釣銭準備金等)を、当該紙幣の金種に応じた紙幣収納庫46に移動させることにより補充し(
図4(E))、次のステップSP7に移る。
【0058】
ステップSP7において統括制御部21は、表示処理部55(
図3)により、
図7に示す補充結果通知画面D2を表示操作パネル7(
図1及び
図2)に表示させ、次のステップSP8に移る。この補充結果通知画面D2には、紙幣の金種ごとに、補充した枚数(すなわち移動した枚数)が表示されている。
【0059】
一方、ステップSP3において否定結果が得られた場合、統括制御部21はステップSP6及びSP7の処理を行うこと無く、次のステップSP8に移る。
【0060】
ステップSP8において統括制御部21は、レシート処理部57(
図3)により、
図8に示すように、レシート印刷部6(
図1及び
図2)により貨幣の回収結果及び補充結果を用紙に印刷させてレシートRCを排出させ、次のステップSP9に移る。このレシートRCには、回収貨幣表示欄A1及び補充貨幣表示欄A2が設けられている。このうち回収貨幣表示欄A1には、貨幣の金種ごとに、回収された枚数が印刷されている。また補充貨幣表示欄A2には、補充結果通知画面D2(
図7)と同様、紙幣の金種ごとに、補充した枚数(すなわち移動した枚数)が印刷されている。なお、補充処理が行われなかった場合、レシートRCには貨幣の回収結果のみが印刷される。
【0061】
ステップSP9において統括制御部21は、状態管理部51(
図3)により、回収準備完了情報を未回収に更新した後、次のステップSP10に移って売上回収処理手順RT1を終了する。
【0062】
[1-3.効果等]
以上の構成において、第1の実施の形態による貨幣取扱装置1は、まず小売店の従業員等により回収準備処理が行われ、回収すべき紙幣が紙幣収納庫46から紙幣カセット48へ移動され、回収紙幣カセット48Cとなる(
図4(A)及び(B))。また、警送会社の警送員が警送サービスにおいて持参する持参紙幣カセット48Bには、予め釣銭準備金等の紙幣が収納される(
図4(C))。
【0063】
その後、貨幣取扱装置1は、警送員の操作指示により売上回収処理が行われ、回収紙幣カセット48Cが持参紙幣カセット48Bに交換されると(
図4(D))、該持参紙幣カセット48B内に収納されている釣銭準備金等の紙幣が紙幣収納庫46へ補充(すなわち移動)され、収納される(
図4(E))。
【0064】
このため貨幣取扱装置1は、警送員に現金を直接取り扱わせること無く、補充すべき釣銭準備金等の紙幣を、紙幣収納庫46内に収納することができる。これにより貨幣取扱装置1は、警送員に対し、現金を直接取り扱う場合のような、厳密な手順に従った操作や入念な確認作業等を行わせる必要が無く、各作業を円滑に行わせることができる。
【0065】
また貨幣取扱装置1は、従来であれば空の状態で警送員により持参されていた交換用の持参紙幣カセット48Bに、釣銭準備金等の紙幣を収納するようにした。このため貨幣取扱装置1は、釣銭準備金を収納し且つ警送員に運搬させるための専用の容器を別途用意する必要が無く、警送サービスにおいて持参の必要があり、且つ内部の空間が活用されていなかった持参紙幣カセット48Bを、有効に利用することができる。
【0066】
さらに貨幣取扱装置1は、持参紙幣カセット48Bから紙幣収納庫46に補充(すなわち移動)させた紙幣の金種や枚数等を、表示操作パネル7(
図1及び
図2)に補充結果通知画面D2(
図7)として表示させ、さらにレシート印刷部6(
図1及び
図2)によりレシートRC(
図8)として印刷させるようにした。
【0067】
これにより貨幣取扱装置1は、持参紙幣カセット48B内に収納されているためにその金種や枚数等を確認させにくい状態であるものの、該持参紙幣カセット48Bから移動された釣銭準備金等の貨幣における金種や枚数等を警送員や従業員等に通知することができる。
【0068】
さらに貨幣取扱装置1は、回収紙幣カセット48Cが持参紙幣カセット48Bに交換された後、紙幣補充確認画面D1(
図6)を表示操作パネル7(
図1及び
図2)に表示し、警送員により紙幣を補充する指示を受け付けてから、持参紙幣カセット48B内の紙幣を紙幣収納庫46に補充(すなわち移動)させるようにした(
図5)。
【0069】
このため貨幣取扱装置1は、仮に警送員が回収紙幣カセット48Cを持参紙幣カセット48Bに交換する前に、誤って筐体40の前扉40Fを閉塞してしまった場合等に、誤って回収紙幣カセット48C内の紙幣(すなわち回収すべき紙幣)を紙幣収納庫46へ移動させてしまう、といった問題の発生を未然に防止できる。
【0070】
以上の構成によれば、第1の実施の形態による貨幣取扱装置1は、回収準備処理が行われて紙幣が回収紙幣カセット48Cに収納され、釣銭準備金等の紙幣が収納され警送員により持参された持参紙幣カセット48Bと交換されてから、該持参紙幣カセット48B内の紙幣が紙幣収納庫46へ補充される。これにより貨幣取扱装置1は、警送員に現金を直接取り扱わせること無く、補充すべき釣銭準備金等の紙幣を紙幣収納庫46内に収納できるため、現金を直接取り扱う場合のような煩雑な作業を警送員に強いること無く、各作業を円滑に行わせることができる。
【0071】
[2.第2の実施の形態]
第2の実施の形態による貨幣取扱装置201(
図1及び
図2)は、第1の実施の形態による貨幣取扱装置1と比較して、統括管理装置2に代わる統括管理装置202を有する点において相違するものの、他の点については同様に構成されている。統括管理装置202は、統括制御部21及び記憶部22に代わる統括制御部221及び記憶部222を有する点において相違するもの、他の点については同様に構成されている。
【0072】
統括制御部221は、第1の実施の形態による統括制御部21と同様、図示しないCPU、ROM及びRAM等を有しており、CPUによってROMや記憶部22等から所定のプログラムを読み出して実行することにより、硬貨及び紙幣に関する種々の処理を制御する。記憶部222は、第1の実施の形態による記憶部22と同様、不揮発性の記憶媒体を有しているものの、第1の実施の形態と一部異なるプログラムや各種情報を記憶している。
【0073】
また統括制御部221は、第1の実施の形態と同様、所定のオペレーションシステムや初期化プログラム等を適宜実行することにより、硬貨処理装置3の硬貨制御部31及び紙幣処理装置4の紙幣制御部41と連携し、
図3に示した複数の機能ブロックを形成する。
【0074】
[2-1.売上回収処理]
第2の実施の形態による貨幣取扱装置201では、第1の実施の形態と同様、回収準備処理(後に詳述する)が行われた後、売上回収処理が行われる。ただし貨幣取扱装置201は、
図4(A)~(E)と対応する
図9(A)~(E)に示すように、紙幣収納庫46内に収納されている紙幣の枚数が比較的多く、回収せずに釣銭準備金として該紙幣収納庫46内に比較的多くの紙幣を残しておく場合にも、適切な処理を行い得るようになっている。
【0075】
具体的に統括管理装置202の統括制御部221は、警送員により表示操作パネル7に対して所定の操作が行われると、記憶部222から売上回収プログラムを読み出して実行することにより、
図10の売上回収処理手順RT2を開始し、最初のステップSP21に移る。
【0076】
統括制御部221は、ステップSP21~SP25において、売上回収処理手順RT1(
図5)のステップSP1~SP5とそれぞれ同様の処理を実行し、次のステップSP26に移る。これにより紙幣処理装置4では、第1の実施の形態と同様に、紙幣収納庫46内に釣銭準備金として一部の紙幣を残しつつ紙幣カセット48に紙幣を収納し(
図9(A)、(B)及び(C))、回収紙幣カセット48Cと持参紙幣カセット48Bとが交換される(
図9(D))。
【0077】
ステップSP26において統括制御部221は、紙幣管理部52(
図3)により、紙幣カセット48に収納されている紙幣の枚数(以下これをカセット枚数と呼ぶ)と、紙幣収納庫46の空容量、すなわち収納可能な紙幣の枚数(以下これを収納庫空枚数と呼ぶ)とをそれぞれ確認し、次のステップSP27に移る。
【0078】
ステップSP27においてカセット枚数が収納庫空枚数以下であるか否か、すなわち紙幣カセット48に収納されている釣銭準備金等の紙幣の全てを、紙幣収納庫46に収納し得るか否かを判定する。
【0079】
ここで肯定結果が得られると、このことは
図4(E)に示した場合と同様に、紙幣カセット48に収納されている釣銭準備金等の全てを紙幣収納庫46に補充させ得ることを表している。このとき統括制御部221は、次のステップSP28に移る。ステップSP28において統括制御部221は、持参紙幣カセット48Bから紙幣収納庫46へ補充させる(すなわち移動させる)紙幣の枚数である補充枚数として、カセット枚数を設定し、次のステップSP30に移る。
【0080】
一方、ステップSP27において否定結果が得られると、このことは
図9(E)に示したように、持参紙幣カセット48Bに収納されている釣銭準備金等のうち、一部を紙幣収納庫46に補充させ得るものの、残りを持参紙幣カセット48Bに残留させる必要があることを表している。このとき統括制御部221は、次のステップSP29に移る。ステップSP29において統括制御部221は、カセット枚数よりも少ない収納庫空枚数を補充枚数に設定し、次のステップSP30に移る。
【0081】
ステップSP30において統括制御部221は、紙幣移動処理部54(
図3)により、紙幣補充処理として、持参紙幣カセット48Bから紙幣収納庫46へ、補充枚数の紙幣を移動(すなわち補充)させ、次のステップSP31に移る。
【0082】
統括制御部221は、ステップSP31~SP33において、売上回収処理手順RT1(
図5)のステップSP7~SP9とそれぞれ同様の処理を実行する。このうちステップSP31では、
図7と対応する
図11に示す補充結果通知画面D3が表示される。この補充結果通知画面D3には、補充結果通知画面D2(
図7)の表示内容と比較して、「カセット枚数」の欄が追加されており、紙幣カセット48内に収納されている紙幣の枚数が表示されている。また補充結果通知画面D3には、「補充後枚数」の欄に、紙幣収納庫46内及び紙幣カセット48内の紙幣の合計枚数が表示される。この「補充後枚数」の欄は、貨幣取扱装置201に収納されている紙幣の全枚数若しくは合計数、すなわちいわゆる有高であり、釣銭等として出金可能な紙幣の全枚数を表している。因みに
図11は、一例として、回収紙幣カセット48Cに収納せずに紙幣収納庫46に残っていた紙幣(
図9(C))のうち千円札が200枚であり、持参紙幣カセット48Bに収納されていた釣銭準備金が千円札400枚であり、そのうち200枚が紙幣収納庫46に移動(補充)された場合を表している。その後、統括制御部221は、次のステップSP34に移って売上回収処理手順RT2を終了する。
【0083】
[2-2.精算時補充処理]
次に、貨幣取扱装置201において精算処理が行われる際に併せて行われる精算時補充処理について説明する。まず精算処理は、貨幣取扱装置201に実際に収納されている貨幣の金種及び数量を確認する処理であり、例えば小売店における1日の営業が終了し、各レジスター等から売上金が回収され入金された後等のタイミングで、従業員の指示により、若しくは予め設定された時刻になると、実行される。
【0084】
次に精算時補充処理は、精算処理が行われる際に、紙幣カセット48内に紙幣が収納されており、且つ紙幣収納庫46内に空容量があれば、小売店の従業員等の指示を受けた上で、補充可能な紙幣を紙幣カセット48から紙幣収納庫46へ補充する(すなわち移動させる)処理である。
【0085】
具体的に統括管理装置202の統括制御部221は、従業員の指示により、若しくは予め設定された時刻になると、精算処理を行う。この精算処理では、例えば前回の精算処理が行われた後に紙幣処理装置4に入金された金額の合計値である入金金額と、予め収納されていた釣銭準備金との差額から、売上金を算出する。
【0086】
その後、統括制御部221は、記憶部222から精算時補充プログラムを読み出して実行することにより、
図12に示す精算時補充処理手順RT3を開始して最初のステップSP41に移る。
【0087】
ステップSP41において統括制御部221は、紙幣管理部52(
図3)により、紙幣カセット48に紙幣が収納されているか否かを判定する。ここで肯定結果が得られると、このことは紙幣カセット48に釣銭準備金等の紙幣が収納されている可能性があることを表している。このとき統括制御部221は、紙幣カセット48に収納されている紙幣の枚数(以下これをカセット枚数と呼ぶ)を確認し、次のステップSP42に移る。
【0088】
ステップSP42において統括制御部221は、紙幣管理部52(
図3)により、紙幣収納庫46に空容量があり、紙幣を収納可能であるか否かを判定する。例えば統括制御部221は、まず紙幣収納庫46における金種ごとの空容量をそれぞれ確認すると共に、持参紙幣カセット48B内に収納されている紙幣の金種ごとの枚数を確認する。続いて統括制御部221は、金種ごとに、持参紙幣カセット48B内に収納されている紙幣の少なくとも一部を、当該金種の紙幣収納庫46に収納可能であるか否かを判定する。ここで肯定結果が得られると、このことは紙幣カセット48内の紙幣のうち少なくとも一部を、紙幣収納庫46に補充し得ることを表している。このとき統括制御部221は、紙幣収納庫46の空容量、すなわち収納可能な紙幣の枚数(以下これを収納庫空枚数と呼ぶ)を確認した上で、次のステップSP43に移る。
【0089】
ステップSP43において統括制御部221は、状態管理部51(
図3)により、回収準備完了情報等を基に、前回の精算処理後に回収準備処理(詳しくは後述する)が実行され、且つ紙幣カセット48が未交換であるか否かを判定する。ここで否定結果が得られると、このことは売上回収処理の直前では無いため、回収すべき紙幣が紙幣収納庫46から紙幣カセット48に移動された状態では無いこと、すなわち該紙幣カセット48に収納されている紙幣が釣銭準備金等であることを表している。このとき統括制御部221は、次のステップSP44に移る。
【0090】
ステップSP44において統括制御部221は、売上回収処理手順RT2(
図10)のステップSP27~SP29と同様の処理を行うことにより、紙幣カセット48から紙幣収納庫46へ補充する紙幣の枚数である補充枚数を設定し、次のステップSP45に移る。すなわち統括制御部221は、カセット枚数が収納庫空枚数以下であればカセット枚数を補充枚数とし、カセット枚数が収納庫空枚数よりも大きければ収納庫空枚数を補充枚数とする。
【0091】
ステップSP45において統括制御部221は、表示処理部55(
図3)により、紙幣補充確認画面D1(
図6)を表示操作パネル7(
図1及び
図2)に表示させ、次のステップSP46に移る。ステップSP46において統括制御部221は、操作処理部56(
図3)により、紙幣の補充指示を受け付けたか否か、具体的には肯定ボタンB1Aが押下されたか否かを判定する。ここで肯定結果が得られると、統括制御部221は次のステップSP47に移る。
【0092】
ステップSP47において統括制御部221は、紙幣移動処理部54(
図3)により、補充枚数の紙幣を紙幣カセット48から紙幣収納庫46へ補充(すなわち移動)させ、次のステップSP48に移る。ステップSP48において統括制御部221は、表示処理部55(
図3)により、補充結果通知画面D3(
図11)を表示操作パネル7(
図1及び
図2)に表示させ、補充された紙幣の枚数を通知し、次のステップSP49に移る。
【0093】
一方、ステップSP41において否定結果が得られると、このことは紙幣カセット48に紙幣が収納されていないため、該紙幣カセット48から紙幣収納庫46へ紙幣を補充する必要が無いことを表している。このとき統括制御部221は、次のステップSP49に移る。
【0094】
また、ステップSP42において否定結果が得られると、このことは紙幣収納庫46に空容量が無いため、紙幣カセット48内の紙幣を該紙幣収納庫46へ補充し得ないことを表している。このとき統括制御部221は、次のステップSP49に移る。
【0095】
さらに、ステップSP43において肯定結果が得られると、このことは、回収処理のために紙幣収納庫46から紙幣カセット48へ売上金等の紙幣が移動された状態であり、該紙幣カセット48に収納されている紙幣を移動させるべきで無いことを表している。このとき統括制御部221は、次のステップSP49に移る。
【0096】
さらに、ステップSP46において否定結果が得られると、このことは従業員が何らかの理由により紙幣カセット48内の紙幣(すなわち釣銭準備金等)を補充しない意思を有していることを表している。このとき統括制御部221は、次のステップSP49に移る。ステップSP49において、統括制御部221は、精算時補充処理手順RT3を終了する。
【0097】
[2-3.回収準備処理]
次に、貨幣取扱装置201の回収準備処理について説明する。第1の実施の形態において説明したように、本来の回収準備処理は、紙幣処理装置4内において、売上金に相当する金額分の紙幣を回収すべき紙幣として、紙幣収納庫46から紙幣カセット48へ全て移動させる処理である。しかしながら第2の実施の形態では、紙幣カセット48に紙幣(釣銭準備金等)が収納されている可能性がある。そこで貨幣取扱装置201では、紙幣カセット48の空容量、すなわち収納されている紙幣の枚数に応じた回収準備処理を行うようになっている。
【0098】
また貨幣取扱装置1は、回収準備処理において、配送金に相当する貨幣を取り扱うようになっている。この配送金は、例えば小売店において紙幣の金種ごとの枚数が偏った場合に、この偏りを修正する目的等のために配送される貨幣であり、例えば警送サービスにおいて警送員により持参紙幣カセット48Bに収納された状態で配送される。このとき貨幣取扱装置1は、両替と同様の考え方に基づき、配送金と同額の貨幣(以下これを配送金相当額と呼ぶ)を、売上金と共に、例えば回収紙幣カセット48Cに収納した状態で警送員に引き渡すことにより、小売店が保有する貨幣の合計金額を変化させないようになっている。
【0099】
具体的に統括管理装置202の統括制御部221は、小売店の従業員等により回収準備処理の指示を受け付けると、記憶部222から回収準備プログラムを読み出して実行することにより、
図13に示す回収準備処理手順RT4を開始し、最初のステップSP51に移る。
【0100】
ステップSP51において統括制御部221は、紙幣管理部52(
図3)により、紙幣収納庫46に収納されている紙幣の枚数(すなわち収納庫枚数)及び紙幣カセット48に収納されている紙幣の枚数(すなわちカセット枚数)をそれぞれ確認し、次のステップSP52に移る。因みに統括制御部221は、このとき紙幣カセット48の全容量、すなわち収納可能な紙幣の全枚数(以下これをカセット全枚数と呼ぶ)も確認する。
【0101】
ステップSP52において統括制御部221は、紙幣カセット48内に紙幣が収納されているか否か、すなわちカセット枚数が1枚以上であるか否かを判定する。ここで否定結果が得られると、このことは、紙幣収納庫46からカセット全枚数以下の紙幣を紙幣カセット48へ移動し得ることを表している。このとき統括制御部221は、次のステップSP53に移る。ステップSP53において統括制御部221は、この時点における紙幣カセット48の空容量、すなわち新たに収納可能な紙幣の枚数を表すカセット空枚数として、カセット全枚数を設定し、次のステップSP55に移る。
【0102】
一方、ステップSP52において肯定結果が得られると、このことは、カセット全枚数からカセット枚数を差し引いた枚数以下の紙幣を、紙幣収納庫46から紙幣カセット48へ移動し得ることを表している。このとき統括制御部221は、次のステップSP54に移る。ステップSP54において統括制御部221は、カセット全枚数からカセット枚数を減算した値をカセット空枚数に設定し、次のステップSP55に移る。
【0103】
ステップSP55において統括制御部221は、収納庫枚数に配送金相当額の紙幣の枚数(以下これを配送金相当枚数と呼ぶ)を加算することにより、仮移動枚数を算出し、次のステップSP56に移る。この仮移動枚数は、仮に紙幣カセット48の空枚数(空容量)が十分に大きい場合に、該紙幣カセット48に収納して警送員に回収させるべき紙幣の総数を表している。
【0104】
ステップSP56において統括制御部221は、カセット空枚数が仮移動枚数以上であるか否か、すなわち全ての仮移動枚数の紙幣を紙幣カセット48へ移動し得るか否かを判定する。ここで肯定結果が得られると、統括制御部221は次のステップSP57に移り、仮移動枚数を移動枚数に設定して、その次のステップSP59に移る。
【0105】
一方、ステップSP56において否定結果が得られると、このことは全ての仮移動枚数の紙幣を紙幣カセット48へ移動し得ないことを表している。このとき統括制御部221は、次のステップSP58に移り、カセット空枚数を移動枚数に設定して、その次のステップSP59に移る。
【0106】
ステップSP59において統括制御部221は、紙幣移動処理部54(
図3)により、移動枚数の紙幣を紙幣収納庫46から紙幣カセット48へ移動させ、次のステップSP60に移る。ステップSP60において統括制御部221は、表示処理部55(
図3)により、
図14に示す回収準備結果通知画面D4を表示操作パネル7(
図1及び
図2)に表示させ、次のステップSP61に移る。この回収準備結果通知画面D4には、移動後の段階における紙幣収納庫46内及び紙幣カセット48の枚数、並びに移動した紙幣の枚数が、金種ごとにそれぞれ表示されている。
【0107】
ステップSP61において統括制御部221は、状態管理部51(
図3)により、回収準備を完了したことを表す回収準備完了情報を設定して記憶部222に記憶させた後、次のステップSP62に移って回収準備処理手順RT4を終了する。
【0108】
[2-4.効果等]
以上の構成において、第2の実施の形態による貨幣取扱装置201は、第1の実施の形態と同様、まず小売店の従業員等により回収準備処理が行われ、回収すべき紙幣が紙幣収納庫46から紙幣カセット48へ移動され、回収紙幣カセット48Cとなる(
図9(A)、(B)及び(C))。このとき貨幣取扱装置201は、紙幣カセット48に収納しきれない紙幣を紙幣収納庫46に残留させる。また第1の実施の形態と同様に、警送会社の警送員が警送サービスにおいて持参する持参紙幣カセット48Bには、予め釣銭準備金等の紙幣が収納される(
図9(C))。
【0109】
その後、貨幣取扱装置201は、第1の実施の形態と同様、警送員の操作指示により売上回収処理が行われ、回収紙幣カセット48Cが持参紙幣カセット48Bに交換されると(
図9(D))、該持参紙幣カセット48B内に収納されている釣銭準備金等の紙幣が紙幣収納庫46へ補充され、収納される(
図9(E))。
【0110】
このため貨幣取扱装置201は、第1の実施の形態と同様、警送員に現金を直接取り扱わせること無く、補充すべき釣銭準備金等の紙幣を、紙幣収納庫46内に収納することができる。これにより貨幣取扱装置201は、やはり第1の実施の形態と同様、警送員に対し、現金を直接取り扱う場合のような、厳密な手順に従った操作や入念な確認作業等を行わせる必要が無く、各作業を円滑に行わせることができる。
【0111】
特に貨幣取扱装置201は、売上回収処理手順RT2(
図10)において、カセット枚数が収納庫空枚数よりも多い場合、補充可能な紙幣のみを紙幣収納庫46へ補充(すなわち移動)させ、その残りを紙幣カセット48に残留させるようにした。このため貨幣取扱装置201は、紙幣収納庫46に入りきらない釣銭準備金等の貨幣(すなわち現金)を、警送員に直接取り扱わせること無く、貨幣取扱装置201内に収納させたまま、回収処理を正常に完了させることができる。
【0112】
また貨幣取扱装置201は、その後の精算処理が行われる際に、精算時補充処理手順RT3(
図12)により、紙幣カセット48内に紙幣が収納されており、且つ紙幣収納庫46に新たな紙幣を収納可能である場合に、該紙幣を紙幣カセット48から紙幣収納庫46へ補充するようにした。このため貨幣取扱装置201は、例えば警送サービスが行われる周期が1週間のように比較的長い場合、紙幣収納庫46内の釣銭準備金が不足したとしても、紙幣カセット48から補充することができる。すなわち貨幣取扱装置201は、紙幣カセット48を、あたかも紙幣収納庫46の一部として使用することにより、該紙幣収納庫46の容量よりも多くの紙幣を釣銭準備金として収納しておくことができ、この場合にも警送員や従業員等に現金を直接取り扱わせる必要が無い。
【0113】
これを換言すれば、貨幣取扱装置201は、紙幣収納庫46に収納されている紙幣の金額及び紙幣カセット48に収納されている紙幣の金額の合計値を、該貨幣取扱装置201の内部に収納されており取扱可能な紙幣の合計金額、いわゆる有高とすることができる。
【0114】
その一方で貨幣取扱装置201は、精算時補充処理手順RT3(
図12)において、紙幣カセット48内に紙幣が収納されており、且つ紙幣収納庫46に新たな紙幣を収納可能であったとしても、回収準備処理が実行され且つ紙幣カセット48が未交換であった場合には、紙幣カセット48内の紙幣を移動させないようにした。このため貨幣取扱装置201は、回収処理に先立って回収準備処理が行われた後に、回収すべき紙幣(すなわち売上金等)を誤って紙幣収納庫46へ移動させること、すなわち不必要に戻してしまうことを、未然に回避できる。
【0115】
さらに貨幣取扱装置201は、回収準備処理手順RT4(
図13)において、紙幣カセット48に紙幣が収納されていた場合、該紙幣の存在によるカセット空枚数の減少分に応じた枚数のみ、紙幣を紙幣収納庫46から該紙幣カセット48へ移動させるようにした。これにより貨幣取扱装置201は、紙幣カセット48に過大な枚数の紙幣を収納しようとしてエラーを発生させることを未然に回避できる。
【0116】
その他の点においても、第2の実施の形態による貨幣取扱装置201は、第1の実施の形態による貨幣取扱装置1と同様の作用効果を奏し得る。
【0117】
以上の構成によれば、第2の実施の形態による貨幣取扱装置201は、回収準備処理が行われて紙幣が回収紙幣カセット48Cに収納され、釣銭準備金等の紙幣が収納され警送員により持参された持参紙幣カセット48Bと交換されてから、該持参紙幣カセット48B内の紙幣のうち補充可能な分のみを、紙幣収納庫46へ補充する。その後、貨幣取扱装置201は、精算処理等のタイミングにおいて、紙幣カセット48に紙幣があり、且つ紙幣収納庫46に新たな紙幣を収納可能であれば、当該紙幣を補充する。これにより貨幣取扱装置201は、警送員に現金を直接取り扱わせること無く、釣銭準備金等の紙幣を紙幣収納庫46内に収納でき、且つ追加的に補充できるため、現金を直接取り扱う場合のような煩雑な作業を警送員に強いること無く、各作業を円滑に行わせることができる。
【0118】
[3.他の実施の形態]
なお上述した第1の実施の形態においては、紙幣処理装置4の筐体40に対し着脱可能な紙幣カセット48を設け、回収処理において警送員に紙幣カセット48を交換させる一方、硬貨処理装置3において硬貨回収庫37に収納された硬貨を警送員に取り出させる場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば硬貨処理装置3の筐体30に対して着脱可能な硬貨カセットを設け、回収処理において警送員に当該硬貨カセットを交換させても良い。またこの場合、補充結果通知画面D2(
図7)に硬貨の金種ごとの枚数を表示させても良い。第2の実施の形態についても同様である。
【0119】
また上述した第1の実施の形態においては、売上回収処理手順RT1(
図5)において、補充結果通知画面D2(
図7)を表示操作パネル7に表示し、またレシートRC(
図8)に補充結果を印刷することにより、補充結果を使用者(従業員や警送員等)に通知する場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば補充結果通知画面D2の表示及びレシートRCへの印刷のうち何れか一方のみとしても良く、或いは例えば補充結果を表す電子メールの送信や、ウェブページによる表示等、他の種々の手法により補充結果を利用者に通知しても良い。第2の実施の形態についても同様であり、さらには精算時補充処理手順RT3(
図12)の補充結果通知画面D3(
図11)や回収準備処理手順RT4(
図13)の回収準備結果通知画面D4(
図14)等についても同様である。
【0120】
さらに上述した第1の実施の形態においては、1枚のレシートRC(
図8)に回収貨幣表示欄A1及び補充貨幣表示欄A2をまとめて印刷する場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば回収貨幣表示欄A1のみを印刷した回収レシートと、補充貨幣表示欄A2のみを印刷した補充レシートとを別個に発行しても良い。第2の実施の形態についても同様である。
【0121】
さらに上述した第1の実施の形態においては、売上回収処理手順RT1(
図5)のステップSP4及びSP5において、紙幣補充確認画面D1(
図6)を表示し、使用者から紙幣を補充する指示を受け付けたときのみ、紙幣を補充する(移動させる)場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えばステップSP4及びSP5を省略し、交換された紙幣カセット48に紙幣が収納されていれば、自動的に補充処理を開始するようにしても良い。第2の実施の形態についても同様であり、さらには精算時補充処理手順RT3(
図12)のステップSP45及びSP46についても同様である。
【0122】
さらに上述した第1の実施の形態においては、売上回収処理手順RT1(
図5)のステップSP5において、紙幣補充確認画面D1(
図6)の否定ボタンB1Bが押下操作された場合、ステップSP1に戻るように制御する場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば紙幣補充確認画面D1に「補充せずに完了」と表示された3番目のボタンを設け、このボタンが押下操作された場合にステップSP8に移り、紙幣補充処理を省略するようにしても良い。第2の実施の形態についても同様である。
【0123】
さらに上述した第1の実施の形態においては、紙幣カセット48の着脱を検出する着脱検出部49から得られる検出結果を基に、統括制御部21の状態管理部51によって該紙幣カセット48の着脱を検出する場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば各紙幣カセット48に一意の識別符号を割り当てると共に、該識別符号を読み取る読取部を設け、該読取部により読み取った識別符号が変化した場合に、紙幣カセット48が交換されたと判定するようにしても良い。さらにこの場合、読み取った識別符号が変化した場合、紙幣カセット48が正常に交換されたものと判定して、自動的に補充処理を開始するようにしても良い。第2の実施の形態についても同様である。
【0124】
さらに上述した第2の実施の形態においては、売上回収処理手順RT2(
図10)のステップSP27~SP30において、カセット枚数が収納庫空枚数よりも多い場合、該収納庫空枚数を補充枚数として補充処理を行う場合について述べた(
図9(E))。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば紙幣が入金される可能性を考慮し、収納庫空枚数よりも少ない数を補充枚数としても良く、さらには収納庫空枚数が所定枚数よりも少ない場合に補充処理を省略するようにしても良い。
【0125】
さらに上述した第2の実施の形態においては、貨幣取扱装置201において、紙幣カセット48に収納されている紙幣を紙幣収納庫46へ補充した上で、出金処理等において該紙幣収納庫46から紙幣を繰り出して出金する場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば紙幣収納庫46が空になった一方で紙幣カセット48に紙幣が残っていた場合、出金処理等において該紙幣カセット48から紙幣を直接繰り出すようにしても良い。
【0126】
さらに上述した第2の実施の形態においては、貨幣取扱装置201において、従業員の指示により、若しくは予め設定された時刻に、精算処理を行うと共に精算時補充処理手順RT3(
図12)を実行する場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば紙幣収納庫46内に収納されている紙幣が所定枚数未満となった際に、自動的に紙幣カセット48から紙幣収納庫46へ紙幣を補充するようにしても良い。
【0127】
さらに上述した第2の実施の形態においては、補充結果通知画面D3(
図11)における「補充後枚数」の欄に、紙幣収納庫46内及び紙幣カセット48内の紙幣の合計枚数を表示する場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば「補充後枚数」の欄に、紙幣収納庫46内の紙幣の枚数のみを表示させるようにしても良い。
【0128】
さらに上述した第2の実施の形態においては、回収準備処理手順RT4(
図13)において、紙幣カセット48内に紙幣が収納されていた場合、カセット全枚数からカセット枚数を減算した値をカセット空枚数に設定して該カセット空枚数以下の紙幣を該紙幣カセット48へ移動させる場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば紙幣カセット48内に収納されていた紙幣の一部又は全部を紙幣一時保留部45等へ一時的に移動させ、減少した紙幣の枚数をカセット枚数としても良い。この場合、売上回収処理の終了後に、紙幣一時保留部45の紙幣を紙幣カセット48又は紙幣収納庫46へ移動させれば良い。
【0129】
さらに上述した第2の実施の形態においては、警送サービスにおいて配送金が配送される場合に、回収準備処理手順RT4(
図13)において、配送金相当枚数を加算して仮移動枚数を算出する場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば警送サービスにおいて配送金が配送されない場合や、配送金相当額を別途警送員に引き渡す場合等に、配送金相当額を加算せずに仮移動枚数を算出しても良い。
【0130】
さらに上述した第1の実施の形態においては、売上回収処理手順RT1(
図5)において、紙幣カセット48から紙幣収納庫46へ紙幣を補充する場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば貨幣取扱装置1に棒金(所定枚数の同一金種の硬貨を、互いの板面同士を対向させるようにして積み重ねた状態で包装した状態の硬貨)を取り扱う棒金処理装置を接続しておき、売上回収処理手順RT1において該棒金処理装置に棒金も補充するようにしても良い。第2の実施の形態についても同様である。
【0131】
さらに上述した第1の実施の形態においては、紙幣処理装置4が日本国において発行されている3種類の紙幣を取り扱う場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、紙幣処理装置4が設置される国や地域において発行されている紙幣の金種の数等に応じて、2以下や4以上の金種の紙幣を取り扱うようにしても良い。硬貨処理装置3についても同様であり、第2の実施の形態についても同様である。
【0132】
さらに上述した第1の実施の形態においては、統括制御部21が各種プログラムを実行し、
図3に示した各機能ブロックをソフトウェアにより構成する場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば
図3に示した各機能ブロックの一部又は全部を、ハードウェアにより構成しても良い。第2の実施の形態についても同様である。
【0133】
さらに上述した第1の実施の形態においては、記憶部22に予め記憶された売上回収プログラム等の各種プログラムを統括制御部21が実行する場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば統括管理装置2が所定のサーバ装置(図示せず)から所定のネットワーク(図示せず)を介して各種プログラムを取得し、或いはいわゆるUSB(Universal Serial Bus)メモリ(図示せず)のような情報記憶媒体を介して各種プログラムを取得し、これを実行しても良い。第2の実施の形態についても同様である。
【0134】
さらに本発明は、上述した各実施の形態及び他の実施の形態に限定されるものではない。すなわち本発明は、上述した各実施の形態と上述した他の実施の形態の一部又は全部を任意に組み合わせた実施の形態や、一部を抽出した実施の形態にもその適用範囲が及ぶものである。
【0135】
さらに上述した実施の形態においては、入金部としての紙幣入出金部42と、鑑別部としての紙幣鑑別部44と、金種別貨幣収納部としての紙幣収納庫46と、カセットとしての紙幣カセット48と、制御部としての統括制御部21とによって貨幣取扱装置としての貨幣取扱装置1を構成する場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、その他種々の構成でなる入金部と、鑑別部と、金種別貨幣収納部と、カセットと、制御部とによって貨幣取扱装置を構成しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0136】
本発明は、例えば紙幣及び硬貨を取り扱う貨幣取扱装置で利用できる。
【符号の説明】
【0137】
1、201……貨幣取扱装置、2、202……統括管理装置、3……硬貨処理装置、4……紙幣処理装置、6……レシート印刷部、7……表示操作パネル、21、221……統括制御部、22、222……記憶部、30……筐体、31……硬貨制御部、35……硬貨収納庫、37……硬貨回収庫、40……筐体、41……紙幣制御部、42……紙幣入出金部、43……紙幣搬送部、44……紙幣鑑別部、46……紙幣収納庫、48……紙幣カセット、49……着脱検出部、51……状態管理部、52……紙幣管理部、53……計数処理部、54……紙幣移動処理部、55……表示処理部、56……操作処理部、57……レシート処理部。