(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-08
(45)【発行日】2024-05-16
(54)【発明の名称】放射線画像処理装置、放射線画像処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
A61B 6/46 20240101AFI20240509BHJP
A61B 6/00 20240101ALI20240509BHJP
【FI】
A61B6/46 506Z
A61B6/00 520R
A61B6/00 550Z
(21)【出願番号】P 2020129796
(22)【出願日】2020-07-31
【審査請求日】2023-06-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】種田 敦
【審査官】佐野 浩樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-268154(JP,A)
【文献】国際公開第2014/192504(WO,A1)
【文献】特開2004-180259(JP,A)
【文献】特開2012-020115(JP,A)
【文献】特開2020-036694(JP,A)
【文献】特開2013-198603(JP,A)
【文献】特開2019-005073(JP,A)
【文献】特表2004-500211(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0223771(US,A1)
【文献】特開2020-089611(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 6/00 - 6/58 、
G06T 1/00 - 1/40 、 3/00 - 7/90 、
G06V10/00 -20/90 、30/418、40/16 、
40/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射線画像撮影装置で撮影された動画像データを取得する取得手段と、
前記動画像データに基づく動画像を表示手段に表示させる表示制御手段と、
前記動画像データのうち外部装置に出力する出力画像範囲を指定する指定手段と、
前記出力画像範囲の前記動画像データ
のみに対して画像処理を実行する画像処理手段と、
前記画像処理手段により画像処理された前記動画像データ
のみを前記外部装置に出力する出力制御手段と、
を備えることを特徴とする放射線画像処理装置。
【請求項2】
前記指定手段は、出力開始フレームと出力終了フレームの間で前記出力画像範囲を指定することを特徴とする請求項1記載の放射線画像処理装置。
【請求項3】
前記指定手段は、フレーム単位の画像におけるトリミング範囲を指定することで前記出力画像範囲を指定することを特徴とする請求項1記載の放射線画像処理装置。
【請求項4】
前記指定手段は、フレーム単位の画像におけるトリミング範囲を指定することで前記出力画像範囲を指定し、
前記画像処理手段は、トリミング処理を含む前記画像処理を実行することを特徴とする請求項3記載の放射線画像処理装置。
【請求項5】
前記指定手段は、前記動画像データから写損範囲を自動で識別し、写損範囲を除いた範囲を前記出力画像範囲として指定することを特徴とする請求項1記載の放射線画像処理装置。
【請求項6】
前記指定手段は、撮影したフレームレートより低いフレームレートになるように前記動画像データを間引いて前記出力画像範囲を指定することを特徴とする請求項1記載の放射線画像処理装置。
【請求項7】
撮影条件に応じて前記指定手段による出力画像範囲の指定の可否を決定する第1決定手段を備えることを特徴とする請求項1記載の放射線画像処理装置。
【請求項8】
前記画像処理手段による画像処理済みか否かに応じて前記指定手段による出力画像範囲の指定の可否を決定する第2決定手段を備えることを特徴とする請求項1記載の放射線画像処理装置。
【請求項9】
前記画像処理手段は、前記出力画像範囲の前記動画像データに対して動画形式で圧縮した圧縮画像データを生成することを特徴とする請求項1記載の放射線画像処理装置。
【請求項10】
前記表示制御手段は、前記指定手段で指定された出力画像範囲の画像フレーム数と撮影した総画像フレーム数との画像フレーム情報を前記表示手段に表示させることを特徴とする請求項1記載の放射線画像処理装置。
【請求項11】
前記表示制御手段は、前記指定手段で指定された前記出力画像範囲内で前記動画像データに基づく動画を再生することを特徴とする請求項1記載の放射線画像処理装置。
【請求項12】
放射線画像撮影装置で撮影された動画像データを取得する工程と、
前記動画像データに基づく動画像を表示手段に表示させる工程と、
前記動画像データのうち外部装置に出力する出力画像範囲を指定する工程と、
前記出力画像範囲の前記動画像データ
のみに対して画像処理を実行する工程と、
前記画像処理された前記動画像データ
のみを前記外部装置に出力する工程と、
を備えることを特徴とする放射線画像処理方法。
【請求項13】
放射線画像処理装置を、
放射線画像撮影装置で撮影された動画像データを取得する取得手段、
前記動画像データに基づく動画像を表示手段に表示させる表示制御手段、
前記動画像データのうち外部装置に出力する出力画像範囲を指定する指定手段、
前記出力画像範囲の前記動画像データ
のみに対して画像処理を実行する画像処理手段、
前記画像処理手段により画像処理された前記動画像データ
のみを前記外部装置に出力する出力制御手段、
として機能させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線画像処理装置、放射線画像処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
胸部動態の肺機能評価から、整形向けの腰椎、四肢の可動域確認において、静止画を連続して撮影することで動画を撮影する動態撮影という方法が使用されている。整形動態の場合は、撮影した画像のまま、可動域を動画で確認するため、PACSに直接保存し、Web参照で画像確認が行われている。
【0003】
この動態撮影では、静止画を連続して撮影するため、容量が大きくなる。具体的には、静止画では1撮影あたり数MB~数十MBの画像容量が動態になることで1撮影あたり数GBのデータ容量になる。
【0004】
従来は、時間短縮や操作者の負担軽減のため、撮影終了や検査終了のタイミングをトリガにして、検査中に発生した、予め指定した画像データ(例えば、収集した動画像のみ等)を自動的にメディアに記録したり、画像サーバへ送信したりする機能を備えている。
【0005】
しかし、予め指定した画像データを自動的に外部記録処理する場合、操作者が不要と判断する画像データまで自動的に処理されてしまう。例えば、撮影開始直後に造影剤注入によるカテーテルの撥ねによって、関心部位の造影ができない場合には、直ちに撮影を中断することになる。このような撮影中断画像データはメディア記録しないと判断される場合があるが、自動処理によってメディア記録されてしまう。特にCD-Rメディアの場合は、一旦記録するとデータ削除できないので、無駄なデータが記録され続けてしまう。
【0006】
このような課題を解決するために、撮影された画像を所定の基準で抽出し、外部記録用一時保管画像メモリに保存し、使用者が必要な画像を選定し、その後、画像の記録を行うことで、不要な画像が記録されることを防ぐという発明がなされている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1の先行技術では、ユーザーが必要な画像を選定する前に、外部出力用の画像に画像処理がなされており、画像処理の負荷が低減されていないという問題があった。
【0009】
したがって、本願発明の目的は、放射線画像撮影装置で撮影された動画像データについて、より効率的に外部装置に出力することができる放射線画像処理装置、放射線画像処理方法及びプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記の課題を解決するために、本発明の放射線画像処理装置は、
放射線画像撮影装置で撮影された動画像データを取得する取得手段と、
前記動画像データに基づく動画像を表示手段に表示させる表示制御手段と、
前記動画像データのうち外部装置に出力する出力画像範囲を指定する指定手段と、
前記出力画像範囲の前記動画像データのみに対して画像処理を実行する画像処理手段と、
前記画像処理手段により画像処理された前記動画像データのみを前記外部装置に出力する出力制御手段と、
を備えることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の放射線画像処理方法は、
放射線画像撮影装置で撮影された動画像データを取得する工程と、
前記動画像データに基づく動画像を表示手段に表示させる工程と、
前記動画像データのうち外部装置に出力する出力画像範囲を指定する工程と、
前記出力画像範囲の前記動画像データのみに対して画像処理を実行する工程と、
前記画像処理された前記動画像データのみを前記外部装置に出力する工程と、
を備えることを特徴とする。
【0012】
また、本発明のプログラムは、
放射線画像処理装置を、
放射線画像撮影装置で撮影された動画像データを取得する取得手段、
前記動画像データに基づく動画像を表示手段に表示させる表示制御手段、
前記動画像データのうち外部装置に出力する出力画像範囲を指定する指定手段、
前記出力画像範囲の前記動画像データのみに対して画像処理を実行する画像処理手段、
前記画像処理手段により画像処理された前記動画像データのみを前記外部装置に出力する出力制御手段、
として機能させる。
【発明の効果】
【0013】
本発明により、放射線画像撮影装置で撮影された動画像データについて、より効率的に外部装置に出力することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の一実施の形態に係る放射線画像処理装置を適用したX線撮影システム構成を示す図である。
【
図2】放射線画像処理装置における出力画像を生成するフローを示す図である。
【
図3】表示部に表示される表示内容を示す図である。
【
図4】写損フラグ及びトリミング範囲を表示した表示部を示す図である。
【
図5】出力しない範囲を指定した表示部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0016】
図1は、本発明の一実施の形態に係るX線撮影システム1の主要な構成を示す。
図1に示すように、X線撮影システム1は、被写体にX線を照射するX線照射部20を備えたX線発生装置10と、被写体に照射されたX線を検出して放射線画像(撮影画像)を生成するFPD(フラットパネルディテクター)30と、FPD30から出力された放射線画像を加工して表示するコンソール50と、を備える。
【0017】
X線発生装置10は、図示しない公知のX線管(真空管)をX線照射部20として備え、かかるX線管に電圧を印加する電源部、電源部を制御する制御部等を備える。ここで、電源部は、X線管の陰極に設けられたフィラメントを加熱するフィラメント電源、X線管の陽極表面にあるターゲットに衝突させる電子を加速させるための高圧電源を備える。X線発生装置10は、フィラメント電源および高圧電源の電源を制御することによって、X線管から出力されるX線を制御する。
【0018】
FPD30は、X線発生装置10のX線照射部20から被写体Sの患部に照射されたX線を検出し、該検出された放射線を電子画像(X線撮影画像、以下、単に撮影画像という。)として出力する装置であり、放射線画像撮影装置として機能する。図示しないが、FPD30は、複数の放射線検出素子がn×mの二次元状に配列されたセンサーパネルを備え、かかるセンサーパネルによって、被写体Sの患部に照射されたX線が検出される。また、FPD30は、検出されたX線を電気信号に変換する変換部、変換された電気信号をデジタル化するA/D変換部、デジタル化された信号を撮影画像としてコンソール50(表示用のコンピューター)に出力する出力部、などを備える。この例では、FPD30のセンサーパネルは、X線照射部20からX線が照射される方向に対して略直交する向きに配置される。
【0019】
本実施の形態において、コンソール50は、X線発生装置10、FPD30および撮影台40とは別の部屋に設置されており、放射線画像撮影の制御及び得られた放射線画像データに関する画像処理等を行う。コンソール50は、本発明の放射線画像処理装置としての機能を有する。コンソール50は、
図1に示すように、制御部51、入力部52、記憶部53、表示部54、操作部55、画像処理部56、通信部57等を有する。
【0020】
制御部51は、入力部52を通してFPD30から撮影画像データを取得する取得手段、表示部54に表示させる内容を制御する表示制御手段、出力画像範囲を指定する、操作部55からの操作信号を受け取り、記憶部53に保持された画像データの内、出力画像範囲を指定する指定手段、通信部57を通じて外部装置60に撮影画像データを出力する出力制御手段として機能する。操作者による出力画像範囲指定方法については、後述する。
制御部51は、演算/制御装置としてのCPU(Central Processing Unit)、主記憶装置としてのROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等を備える(いずれも図示略)。ROMには、基本プログラムや基本的な設定データが記憶される。CPUは、ROM又は記憶部53から処理内容に応じたプログラムを読み出してRAMに展開し、展開したプログラムを実行することにより、FPD30等の動作を集中制御する。
【0021】
入力部52は、FPD30から出力された撮影画像データをコンソール50に入力するインターフェースである。
入力部52は、FPD30に有線または無線で接続され、コンソール50への撮影画像データの入力を行う。入力部52には、NFC(Near Field Communication)やBluetooth(登録商標)等の近距離無線通信用の通信インターフェースを適用することもできる。
【0022】
記憶部53は、入力部52を通じて制御部51が取得した、FPD30から取得した撮影画像データ全てを、保持する。つまり、本発明では、撮影画像データを絞り込んだ上で、FPD30から取得し、保持するということはしない。また、出力画像範囲外の撮影画像データも保持する。
これにより、出力画像範囲指定を誤った場合に、範囲指定し直すことが可能である。
記憶部53は、例えばHDD(Hard Disk Drive)、又はSSD(Solid State Drive)等の補助記憶装置である。記憶部53は、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)等の光ディスク、MO(Magneto-Optical disk)等の光磁気ディスクを駆動して情報を読み書きするディスクドライブであってもよい。また例えば、記憶部53は、USBメモリ、SDカード等のメモリカードであってもよい。
【0023】
また、撮影画像データの保持場所を、検査実施中は制御部51のRAMとし、検査終了後は記憶部53とすることも可能である。
これにより、検査実施中は素早い撮影画像データの読み込みが可能となり、検査終了後は電源を落とした後も撮影画像データを保持することが可能となる。
【0024】
また、制御部51は、記憶部53の空き容量や、記憶部53に保持された撮影画像データの保持期間によって、撮影画像データを削除することも可能である。
これにより、コンソール50を、システム最適化可能である。
【0025】
表示部54は、例えば液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)を備え、非図示のCPUの制御の下、撮影画像を含む種々の画像を表示する。
【0026】
操作部55は、カーソルキー、数字入力キー、及び各種機能キー等を有するキーボードと、マウス等のポインティングデバイスで構成される。操作部55は、キー操作やマウス操作により入力された操作信号を受け付け、制御部51に出力する。
【0027】
なお、表示部54及び操作部55は、例えば、タッチパネル付の液晶ディスプレイのように一体的に構成されてもよい。
【0028】
画像処理部56は、制御部51によって範囲指定された画像データに対して、外部記録にあたり画像処理を行う。
したがって、操作者が診断に必要と判断した範囲のみに絞って画像処理を適用することで、システム負荷を軽減することが可能になる。
例えば外部記録する際の画像処理の中には画像のスムージング処理があり、1枚の画像処理に0.1秒かかったとすると、100枚で10秒かかることになる。操作者が診断に必要と判断した範囲に絞り込むことによって、例えば50枚に減らすことができれば、5秒の短縮につながり、システム負荷を軽減することが可能となる。
【0029】
また、画像処理部56は、指定した範囲を動画形式で圧縮した画像を生成すること等が可能である。画像データをDICOM形式ではなく、一般の動画形式(mp4等)で出力することが可能である。したがって、カンファレンス等で利用することができる。形式を変えて出力できることによって、あらゆる用途で必要な範囲の画像確認が可能となる。
【0030】
また、画像処理部56は、制御部51で指定した画像に対しては表示用画像と異なる画像処理を適用し出力する。これにより、複数フレームのある負荷のかかる処理を実行する場合、表示用画像に対しては軽い処理を行うことで即時性を確保できる。
【0031】
通信部57は、外部装置60に有線または無線で接続され、外部装置60への撮影画像データの出力を行う。例えば、有線/無線LAN等のネットワークに接続された装置との間で、DICOM規格に従って各種情報の送受信を行う。通信部57には、NFC(Near Field Communication)やBluetooth(登録商標)等の近距離無線通信用の通信インターフェースを適用することもできる。
【0032】
外部装置60は、例えば、画像保存通信システム(PACS:Picture Archiving and Communication Systems)、病院情報システム(HIS:Hospital Information Systems)、放射線科情報システム(RIS:Radiology Information Systems)等である。外部に存在する大容量メモリを備えた画像サーバやCD-Rなどの外部記録メディアにX線画像を永久に保管することができる。
【0033】
<出力画像生成処理>
図2のフローチャートを参照して、被写体Sの撮影後にコンソール50の制御部51が行う出力画像生成処理の流れについて説明する。
【0034】
ステップS101において、制御部51は、X線照射部20から被写体SにX線が照射されFPD30によって撮影画像データが生成されると、入力部52を通じて、FPD30から被写体Sの撮影画像データを取得する。
【0035】
ステップS102において、制御部51は、取得した撮影画像データを記憶部53に格納し、表示部54の撮影画像表示部5411(
図3、
図4、
図5)に撮影画像データに基づく撮影画像を表示させる。
また、制御部51は、表示部54に、
図3に示すような再生ボタン541、倍速ボタン542、軸543、現在点544、開始点545、終了点546、繰り返しボタン547等も併せて表示させる。
【0036】
ステップS103において、制御部51は、出力画像範囲指定可否を決定する。出力画像範囲指定可の場合(ステップS103:YES)、ステップS104に進み、出力画像範囲指定不可の場合(ステップS103:NO)、ステップS105に進む。
コンソール50の出力画像範囲指定可否設定方法については、後述する。
【0037】
ステップS104において、操作者が操作部55を用い、出力画像の範囲を指定する。操作者により出力画像の範囲が指定された場合、制御部51は、出力画像範囲を指定する。操作者により指定されない場合、ステップS104を繰り返す。
操作者による出力画像範囲指定方法については、後述する。
【0038】
ステップS105において、画像処理部56は、外部記録にあたり、ステップS104において制御部51で指定された出力画像範囲の撮影画像データに対して出力先の外部装置60の要求に応じた画像処理を加える。
【0039】
ステップS106において、制御部51は、通信部57を介して、ステップS105において画像処理された撮影画像データを外部装置60に出力する。
【0040】
本発明では、ステップS104において操作者が診断に必要と判断した範囲のみに絞った後に、ステップS105において出力画像処理を適用することで、システム負荷を軽減し、効率的な画像出力が可能になる。
【0041】
<出力画像範囲指定可否設定方法>
操作者は、操作部55を用い、出力先に応じて出力画像範囲指定の可否を設定することが可能である。具体的には、外部装置60が解析装置か画像保管装置かによって、出力画像範囲指定の可否を設定することが可能である。つまり、すべての画像を用い解析する画像解析や、必要な範囲に絞り込んだ画像を用いて直接診断などの場合があり、外部装置60の種類によって出力画像範囲指定の可否を設定することが可能であるため、出力先によるユーザーの混乱を回避できる。要するに、解析装置には全量の画像データを出力(画像データを絞ることができない)、一方で、保管装置には画像データを絞って出力ということを事前に設定可能である。
また、操作者は、操作部55を用い、送信元のネットワークの接続状態(有線/無線、電波状況)に応じて出力画像範囲指定の可否を設定することが可能である。つまり、送信元のネットワークの接続状態が無線の場合は、画像データの転送時間を考慮して、出力画像範囲指定可能のみ設定でき、一方で、送信元のネットワークの接続状態が有線の場合は、出力画像範囲指定可能/不可能両方設定できるということである。
そして、制御部51は、ステップS103において、かかる設定に基づき、出力画像範囲の指定の可否を決定する。
【0042】
また、操作者は、操作部55を用い、撮影条件に応じて出力画像範囲指定の可否を設定することが可能である。これにより、操作者は撮影条件に応じて混乱、間違いなく出力画像範囲指定可能となる。具体的には、胸部画像の場合は出力画像範囲を画像全体、一方、整形画像の場合は出力画像範囲を画像の一部分と設定することが可能である。
そして、制御部51は、ステップS103において、かかる設定に基づき、出力画像範囲の指定の可否を決定する。よって、制御部51は、第1決定手段として機能する。
【0043】
操作者は、操作部55を用い、画像処理適用済みか画像処理適用前の画像かに応じて出力画像範囲指定の可否を設定することが可能である。これにより、ユーザーは画像処理状況に応じて混乱、間違いなく出力画像範囲指定可能である。具体的には、ユーザーが視覚的に確認するようなデータには画像処理が適用されており、一方で、解析に用いるデータには画像処理を適用せず、撮影された画像がそのまま使用されている。画像処理適用済みの画像に対しては出力画像範囲指定不可能と設定し、画像処理適用済みでない画像に対しては出力画像範囲指定可能と設定できるということである。
そして、制御部51は、ステップS103において、かかる設定に基づき、出力画像範囲の指定の可否を決定する。よって、制御部51は、第2決定手段として機能する。
【0044】
<出力画像範囲指定方法>
図3に、操作者が出力画像の範囲を指定する際(ステップS104)の、表示部54に表示される画面の具体例を示す。
再生ボタン541は、押下されることにより、撮影画像を再生するボタンである。連続撮影された撮影画像を再生すると動態画像が撮影画像表示部5411に表示される。
倍速ボタン542は、再生ボタン541が押下され画像再生が行われている前提のもと、押下されると、その画像再生速度を倍速にするボタンである。
【0045】
軸543上の現在点544における画像フレームが撮影画像表示部5411に表示される。現在点544を選択し、スライドさせることで、動態画像における任意の画像フレームを表示させることができる。
開始点545は、動態画像の再生範囲の開始点である。開始点545を選択すると、その点での画像フレームが、撮影画像表示部5411に表示される。
終了点546は、動態画像の再生範囲の終了点である。終了点546を選択すると、その点での画像フレームが、撮影画像表示部5411に表示される。
再生範囲(開始点545から終了点546はまで)は、再生されない範囲よりも、濃い色等で示される。
ここで、開始点545及び終了点546の初期位置は、例えば、撮影時間が決まっているプロトロルに従って決定される。具体的には、プロトコルにおいて撮影時間が5分と決定されている場合に、実際の撮影時間が10分の場合、開始点545は0分時点に、終了点546は5分時点に初期設定される。
【0046】
繰り返しボタン547は、動態画像の再生範囲の画像フレームを繰り返し再生させるボタンである。
【0047】
また、表示部54には、撮影時間や選択されている点(現在点544、開始点545、終了点546)における時間、さらに、指定した範囲の画像容量や、送信元のネットワークの接続状態(有線/無線、電波状況)や、指定した範囲の画像フレーム数と撮影した総画像フレーム数等が表示される。
ここで、コンソール50(送信元)のネットワークの接続状態(有線/無線、電波状況)によって、指定した範囲の画像フレーム数の上限を設定してもよい。例えば、回診車等で院内システム(外部装置60)と無線環境で接続されている状況において、通信強度が弱い場合、総撮影数100枚の画像のうち80枚を上限とすることができる。
【0048】
操作者は、ステップS104において、
図3に示す表示部54において、軸543上の開始点545および終了点546をスライド移動し、動態画像の出力画像範囲を指定する。
【0049】
以下に、出力画像範囲指定方法の具体例を示す。
【0050】
操作者は、操作部55を用い、出力開始フレームと出力終了フレームを指定し、出力する範囲を指定可能である。操作者は、表示部54を確認し、出力開始/終了したいフレームの箇所で、開始点545/終了点546を設定する。これにより、操作者が画像確認し判断した範囲を任意に指定でき、診断に必要な範囲のみ出力可能となる。
【0051】
操作者は、操作部55を用い、撮影時間で出力する範囲を指定可能である。開始点545/終了点546を移動させることにより、開始点の時間/終了点の時間が変化し、所望する開始点の時間/終了点の時間のところで開始点545/終了点546の移動を停止させることで撮影時間に沿って出力画像範囲の指定が可能となる。
また、「現在点の時間」と「終了点の時間」に直接時間を入力してもよい。
【0052】
操作者は、操作部55を用い、予め設定された出力可能な画像容量に応じて出力画像範囲を指定可能(例:3GBまで)である。予め設定された画像容量を超えた場合は、表示部54にエラーメッセージ等を表示する。または、予め設定された画像容量以上に、開始点545または終了点546をスライド移動不可とする。
【0053】
操作者は、操作部55を用い、送信元のネットワークの接続状態(有線/無線、電波状況)に応じて出力可能な範囲を指定可能である。これにより、無線などのネットワーク環境で転送速度が低い場合にも、画像保管装置へスムーズに画像転送を行うことができる。転送速度が低い場合、予め設定された画像容量を超えた場合は、画面表示部にエラーメッセージを表示する。または、転送速度の違い(例えば、有線と無線)によってモード切り替え(例 モード1:画像容量1GBまで、モード2:画像容量3GBまで)を行い、上限画像容量を切り替える方法も使用できる。
【0054】
操作者は、操作部55を用い、撮影した画像から自動で識別された写損範囲を除いた範囲で出力可能な範囲を指定可能である。これにより、操作者の判断漏れを無くし、スムーズに出力画像範囲の指定が可能となる。写損範囲の自動識別は、コンソール50の画像解析によって行う。例えば、胸部撮影であれば、撮影画像から肺が欠けているとき等の場合に、制御部51は、その撮影画像を写損画像として自動で識別することができる。また、撮影画像が不明瞭の場合にも、制御部51は、その撮影画像を写損画像として自動で識別することができる。
ここで、写損を自動識別した場合に、複数の時点で写損を識別した場合は、出力可能な範囲を指定不可能としてもよい。例えば、10秒の撮影の中に、3秒と7秒時点にそれぞれに写損を自動識別した場合は、出力画像範囲の指定を不可能とする。なぜなら、複数時点で識別した場合は、画像範囲を絞り込んでも正常な画像が足りず、診断に使えない場合があるためである。その場合、出力範囲を絞り込めない旨のメッセージを表示してもよい。
【0055】
操作者は、操作部55を用い、自動で識別された写損範囲を除かず、範囲を指定する際に
図4に示す写損フラグ548をもとに、範囲指定することが可能である。これにより、スムーズに範囲指定可能となる。例えば、
図4に示すように、操作者は写損のフレームはどれか一目でわかるように示し、開始点545/終了点546を設定することができる。また、写損フレームを除いて、出力することも可能である。
ここで、写損フラグ548は、選択可能である。写損フラグ548を選択すると、そのフラグ時点での画像フレームが、撮影画像表示部5411に表示される。また、写損フラグ548のフレーム情報(例えば、写損フラグのフレーム番号)が表示部54に表示される。これにより、操作者は写損フラグのフレーム情報を定量的に認識でき、写損のフレームを誤認識しにくくなる。
【0056】
操作者は、操作部55を用い、指定した出力画像範囲で、撮影したフレームレートより低いフレームレートになるように撮影画像を間引いて出力可能な範囲を指定することが可能である。具体的には、
図3に示す表示部54に表示された「フレームレート」に数値を入力すると、入力された数値のフレームレートとなるように撮影画像を間引く。これにより、画像保管装置や解析装置への画像保存枚数が抑えられ、システム負荷を軽減することが可能となる。
ここで、送信元のネットワークの接続状態(有線/無線、電波状況)に応じて、制御部51により、自動でフレームレートが指定されるよう設定してもよい。例えば、無線環境で接続されている場合は、有線環境より低いフレームレートを設定する。
【0057】
操作者は、操作部55を用い、
図4に示すように、指定した出力画像範囲および/または指定したフレームにおいて、単フレームごとの画像自体のトリミング範囲5412を指定することで出力可能な範囲を指定することが可能である。これにより、時間軸方向に加え空間軸方向のトリミング範囲5412が指定可能となり、診断に必要な範囲のみ指定可能となり、画像保管装置や解析装置への画像保存容量が抑えられ、システム負荷を軽減することが可能となる。
【0058】
操作者は、操作部55を用い、
図3に示す表示部54に表示された画像フレーム数情報(出力画像範囲フレーム数と総画像フレーム数)をもとに、範囲指定することが可能である。これにより、出力する範囲(枚数)が定量的に分かるため、誤った範囲を指定することを防止できる。
【0059】
操作者は、操作部55を用い、外部装置60(例えば、解析システム)からフィードバックされた範囲で、出力画像範囲を指定することが可能である。つまり、外部装置60から通信部57を介して制御部51が取得した過去の出力画像範囲を現在の出力画像範囲に適用し、制御部51がその出力画像範囲を指定することが可能である。これにより、外部装置60で診断に使っている範囲(例えば、前回撮影時に時間軸及び空間軸方向でトリミングした範囲など)をフィードバックすることで、有効な範囲を指定可能になる。
【0060】
操作者は、操作部55を用い、
図5に示すように、出力しない範囲(薄色の箇所)を指定することが可能である。これにより、あらゆるユーザーの使い勝手に対応可能となる。
また、
図5に示すように、切り取りボタン5410を用い、出力しない範囲を切り取り可能である。元に戻すボタン549で、切り取り操作を元に戻すことが可能である。
【0061】
上述した指定方法は、いずれか一つ、または複数で使用することができる。例えば、複数で使用する例としては、写損範囲を除き、さらに間引く等が挙げられる。
【0062】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、本発明の範囲は、上述の実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲とその均等の範囲を含む。
【0063】
本発明は、システム負荷を軽減して外部装置に効率的に動画像データを出力することを目的としているが、システム負荷が高くない状況では、出力範囲指定した画像データ出力後に、撮影した全画像データを改めて出力してもよい。例えば、出力範囲指定後にシステム(CPU)の負荷状況を監視し、一定の低い負荷状況で全画像データを出力することが挙げられる。また、例えば、出力範囲指定画像データ出力後、一定時間後に全画像データを出力すること等が挙げられる。
【符号の説明】
【0064】
1 X線撮影システム
10 X線発生装置
20 X線照射部
30 FPD(放射線画像撮影装置)
50 コンソール(放射線画像処理装置)
51 制御部(取得手段、表示制御手段、指定手段、出力制御手段、第1決定手段、第2決定手段)
52 入力部
53 記憶部
54 表示部(表示手段)
55 操作部(指定手段)
56 画像処理部(画像処理手段)
57 通信部
541 再生ボタン
542 倍速ボタン
543 軸
544 現在点
545 開始点
546 終了点
547 繰り返しボタン
548 写損フラグ
549 元に戻すボタン
5410 切り取りボタン
5411 撮影画像表示部
5412 トリミング範囲