IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 井関農機株式会社の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-08
(45)【発行日】2024-05-16
(54)【発明の名称】コンバイン
(51)【国際特許分類】
   A01D 63/04 20060101AFI20240509BHJP
【FI】
A01D63/04
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020131648
(22)【出願日】2020-08-03
(65)【公開番号】P2022028323
(43)【公開日】2022-02-16
【審査請求日】2023-04-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003834
【氏名又は名称】弁理士法人新大阪国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100092794
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 正道
(74)【代理人】
【氏名又は名称】特許業務法人新大阪国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】北川 智志
(72)【発明者】
【氏名】飯泉 清
(72)【発明者】
【氏名】石賀 和平
(72)【発明者】
【氏名】南 智弘
(72)【発明者】
【氏名】喜安 一春
【審査官】大澤 元成
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-147317(JP,A)
【文献】特開2001-269031(JP,A)
【文献】特開2004-097142(JP,A)
【文献】実開平05-070237(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01D 63/00-65/08
A01D 57/00-57/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行機体(1)の前部に分草体(7)を備えた刈取部(4)を設けたコンバインにおいて、前記刈取部(4)の機枠(8d)に前記分草体(7)の前部が上下回動自在に装着し、
前記分草体(7)を前記機枠(8d)に回動支点(7g)にて回動自在に設けると共に、前記分草体(7)の前部が下方に回動するように付勢するスプリング(7k)を設け、前記機枠(8d)に、前記分草体(7)が上方に回動した際に接当する回動規制部(7n)を設け、該回動規制部(7n)の前記分草体(7)への接当位置を調節自在にしたことを特徴とするコンバイン。
【請求項2】
前記分草体(7)の後部底面を後方上方に向かう傾斜面(7q)にし、前記機枠(8d)の前部底面を前方上方に向かう傾斜面(8h)にし、前記回動支点(7g)下方に前記分草体(7)後部と前記機枠(8d)前部とで側面視三角形状の凹部を形成し、前記回動支点(7g)を通る垂線に対する前記機枠(8d)前部底面の傾斜面(8h)の角度(α)を、前記回動支点(7g)を通る垂線に対する、下方に回動した状態における前記分草体(7)後部底面の傾斜面(7q)の角度(β)よりも大きく構成したことを特徴とする請求項に記載のコンバイン。
【請求項3】
前記分草体(7)の上部に、後端部が前記機枠(8d)の前部上方まで至るカバー体(7r)またはガイド体を設けたことを特徴とする請求項1に記載のコンバイン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行機体の前方に装備した刈取部に分草体(分草杆)を備えたコンバインに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の全稈投入型の汎用コンバインの分草体(分草杆)の構造としては、プラットホーム前部の左右両端部にボルトにて固定して装着した構成であった。(特許文献1参照。)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-124161号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
東南アジアでは、圃場への進入路(農道)が整備されておらず、進入路と圃場とは大きな段差(高低差)がある。従って、圃場の出入りや圃場間移動等で、コンバインは、大きな段差を通過することとなる。その際に、コンバインは、大きく前傾姿勢となり、機体前端部にある分草体(分草杆)が地面に突っ込み、分草体や分草体を装着しているプラットホームが破損する恐れがある。また、圃場内でも整備が進んでおらず岩石等の障害物が圃場表面に突出している場合、同様に分草体や分草体を装着しているプラットホームが破損する恐れがある。また、日本においても、トラックにコンバインを積んで移送し、トラックからコンバインを降ろす際に、トラックの荷台が高くてコンバインを降ろすアユミが短い場合には、コンバインがアユミを通って荷台から地面に降りる際、コンバインは、大きく前傾姿勢となり、機体前端部にある分草体が地面に突っ込み、分草体や分草体を装着しているプラットホームが破損する恐れがある。
【0005】
本発明の目的は、走行機体の前方に装備した刈取部に分草体(分草杆)を備えたコンバインにおいて、分草体が破損することを適切に防止できるコンバインを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の本発明は、
走行機体(1)の前部に分草体(7)を備えた刈取部(4)を設けたコンバインにおいて、前記刈取部(4)の機枠(8d)に前記分草体(7)の前部が上下回動自在に装着し、
前記分草体(7)を前記機枠(8d)に回動支点(7g)にて回動自在に設けると共に、前記分草体(7)の前部が下方に回動するように付勢するスプリング(7k)を設け、前記機枠(8d)に、前記分草体(7)が上方に回動した際に接当する回動規制部(7n)を設け、該回動規制部(7n)の前記分草体(7)への接当位置を調節自在にしたことを特徴とするコンバインである。
第2の本発明は、
前記分草体(7)の後部底面を後方上方に向かう傾斜面(7q)にし、前記機枠(8d)の前部底面を前方上方に向かう傾斜面(8h)にし、前記回動支点(7g)下方に前記分草体(7)後部と前記機枠(8d)前部とで側面視三角形状の凹部を形成し、前記回動支点(7g)を通る垂線に対する前記機枠(8d)前部底面の傾斜面(8h)の角度(α)を、前記回動支点(7g)を通る垂線に対する、下方に回動した状態における前記分草体(7)後部底面の傾斜面(7q)の角度(β)よりも大きく構成したことを特徴とする第1の本発明のコンバインである。
第3の本発明は、
前記分草体(7)の上部に、後端部が前記機枠(8d)の前部上方まで至るカバー体(7r)またはガイド体を設けたことを特徴とする第1の本発明のコンバインである。
本発明に関連する第1の発明は、走行機体1の前部に分草体7を備えた刈取部4を設けたコンバインにおいて、刈取部4の機枠8dに分草体7の前部が上下回動自在に装着したコンバインである。
【0007】
本発明に関連する第1の発明によれば、コンバインが大きく前傾姿勢となって機体前部にある分草体7が地面に過大な力で当接すると、分草体7は上方に回動し、分草体7や機枠8dの破損を防止することができる。また、圃場内の岩石等の障害物が圃場表面に突出している場合でも、同様に、機体前部にある分草体7が障害物に衝突すると、分草体7は上方に回
動し、分草体7や機枠8dの破損を防止することができる。
【0008】
本発明に関連する第2の発明は、分草体7を機枠8dに回動支点7gにて回動自在に設けると共に、分草体7前部が下方に回動するように付勢するスプリング7kを設け、機枠8dに分草体7が上方に回動した際に当接する回動規制部7nを設け、該回動規制部7nの分草体7への当接位置を調節自在にした本発明に関連する第1の発明のコンバインである。
【0009】
本発明に関連する第2の発明によれば、本発明に関連する第1の発明の作用効果に加えて、分草体7が上方回動した際に、回動規制部7nが分草体7に当接する位置を調節することにより、分草体7の最上動回動位置が調節できる。
【0010】
本発明に関連する第3の発明は、分草体7の下部を機枠8dに回動支点7gにて動自在に設け、分草体7の上部に後方に向けてガイドピン7fを設け、該ガイドピン7fにカラー7jを装着し、該カラー7jの外周に圧縮スプリング7kを挿通し、ガイドピン7f後端を機枠8dのガイドピン挿通孔8fに挿通して構成し、、ガイドピン7f後端部に、分草体(7)が下方に回動した際ガイドピン挿通孔8fからガイドピン7fが抜けるのを規制する止め具7l、7mを設けた本発明に関連する第1の発明のコンバインである。
【0011】
本発明に関連する第3の発明によれば、本発明に関連する第1の発明の作用効果に加えて、分草体7が上動回動した際に、ガイドピン7fに装着したカラー7jの両端が分草体7と機枠8dとに当接して、それ以上に分草体7が上動回動することを規制する。そして、分草体7の最上動回動位置を変更する場合には、長さの異なるカラー7jに付け替えるだけで、簡潔な構成で容易に分草体7の最上動回動位置を変更することができる。
【0012】
本発明に関連する第4の発明は、分草体7の後部底面を後方上方に向かう傾斜面7qにし、機枠8dの前部底面を前方上方に向かう傾斜面8hにし、回動支点7g下方に分草体7後部と機枠8d前部とで側面視三角形状の凹部を形成し、回動支点7gを通る垂線に対する機枠8d前部底面の傾斜面8hの角度αを、回動支点7gを通る垂線に対する、下方に回動した状態における分草体7後部底面の傾斜面7qの角度βよりも大きく構成した本発明に関連する第2または3の発明のコンバインである。
【0013】
本発明に関連する第4の発明によれば、本発明に関連する第2または3の発明の作用効果に加えて、分草体7の上下回動を許容する凹部を形成したものでありながら、機枠8d前部底面の傾斜面8hは緩傾斜となり、該傾斜面8hに穀稈が引っ掛かることを軽減させることができる。
【0014】
本発明に関連する第5の発明は、分草体7の上部に後端部が機枠8dの前部上方まで至るカバー体7rまたはガイド体を設けた本発明に関連する第1~4の何れかの発明のコンバインである。
【0015】
本発明に関連する第5の発明によれば、本発明に関連する第1~4の何れかの発明の作用効果に加えて、カバー体7rが、分草体7と機枠8dとの隙間の上方を塞ぐので、刈取穀稈が該隙間に引っ掛かることを防止できる。また、ガイド体を設けた場合は、ガイド体が刈取穀稈を分草体7上部から機枠8d上部に案内するので、分草体7と機枠8dとの隙間に刈取穀稈が引っ掛かることを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施の形態にかかるコンバインの全体左側面図である。
図2】同コンバインの全体平面図である。
図3】同コンバインの要部の拡大側面図である。
図4】同要部の拡大分解斜視図である。
図5】同要部の拡大平面図である。
図6】本発明の別実施形態(1)の要部拡大斜視図である。
図7】本発明の別実施形態(2)の要部拡大斜視図である。
図8】本発明の別実施形態(3)の要部拡大図である。
図9】本発明の別実施形態(4)の要部拡大側面図である。
図10】本発明の別実施形態(5)の要部拡大斜視図である。
図11】本発明の別実施形態(6)の要部拡大平面図である。
図12】本発明の別実施形態(6)の要部拡大側面図である。
図13】本発明の別実施形態(6)の変形例を示す要部拡大平面図である。
図14】本発明の別実施形態(7)の要部拡大側面図である。
図15】本発明の別実施形態(8)の要部拡大側面図である。
図16】本発明の別実施形態(9)の要部拡大側面図である。
図17】本発明の別実施形態(10)の要部拡大平面図である。
図18】本発明の別実施形態(11)の要部拡大側面図である。
図19】本発明の別実施形態(12)の要部拡大斜視図である。
図20】本発明の別実施形態(13)の要部拡大分解斜視図である。
図21】本発明の別実施形態(14)の要部拡大斜視図である。
図22】本発明の別実施形態(14)の変形例を示す要部拡大斜視図である。
図23】本発明の別実施形態(14)の変形例を示す要部拡大平面図である。
図24】本発明の別実施形態(15)の要部拡大平面図である。
図25】本発明の別実施形態(15)の要部拡大側面図である。
図26】本発明の別実施形態(16)の要部拡大斜視図である。
図27】本発明の別実施形態(16)の要部拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明を全稈投入型の汎用コンバインに適用した例を図面に基づいて説明する。
【0018】
(コンバインの全体構成)
汎用コンバインは、稲や麦などを収穫するものであって、走行機体としての機体フレーム1と、機体を支持する左右一対のクローラ式の走行装置2と、機体フレーム1の前部に上下揺動可能に支持されたエレベータ3と、エレベータ3の前端に連結された刈取部4と、機体フレーム1の左側に配設された脱穀装置5と、脱穀装置5の右横側に配設されたグレンタンクと、エレベータ3及び脱穀装置5の右側かつグレンタンクの前側に配設された運転部6とを備えている。
【0019】
刈取部4は、左右一対の分草体7と、プラットホーム8と、収穫物掻き込み用の回転リール9と、プラットホーム8の前端において左右の分草体7に亘って配設されたバリカン型の切断装置10と、プラットホーム8の上に配設され、左右方向向きの軸芯回りに回転するオーガ11とを備えている。
【0020】
機体フレーム1とエレベータ3との間に油圧シリンダを配備し、エレベータ3が左右方向の軸芯回りに脱穀装置5に対して上下に揺動操作可能にもうけられている。エレベータ3が上下揺動操作されると、刈取部4は、プラットホーム8が地面近くに下降した作業状態と、プラットホーム8が地面から高く上昇した非作業状態とになる。
【0021】
回転リール9は、刈取部4に対して揺動軸芯P回りに上下揺動可能に支持されたリールアーム12に回転自在に支持され、該リールアーム12に支持される回転体13に常に下方を向くように支持され、植立穀稈を掻き込む複数のタイン14を備えている。
【0022】
刈取部4を下降させた作業状態で、コンバインを前進走行させると、植立穀稈が分草体7によって刈取り対象と非刈取り対象とに分草され、回転リール9の回転駆動によって刈取り対象の植立穀稈がプラットホーム8に掻き込まれながらバリカン型の切断装置10で刈取られる。プラットホーム8に掻き込まれた刈取穀稈は、オーガ11によってエレベータ3の前方に横送りされ、さらにエレベータ3に掻き込まれる。刈取穀稈はエレベータ3によって後方に搬送され、刈取穀稈の株元から穂先までの全体が脱穀装置5に投入される。
【0023】
脱穀装置5は、投入された刈取穀稈を回転する扱胴によって脱穀処理する。脱穀処理された穀粒は、グレンタンクに送られて一旦貯留され、随時、排出用オーガ15にてグレンタンクから排出される。
【0024】
(オーガ)
オーガ11は、エレベータ3前部の右側部分と左側部分に螺旋である左右スパイラ16,16を備え、エレベータ3の前方まで刈取穀稈を横送りし、掻き込み杆17によってエレベータ3前部内に掻き込む。
【0025】
(エレベータ)
エレベータ3は、矩形筒形状の前端開口と後端開口とを有するエレベータケース体30と、エレベータケース体30に内装され刈取穀稈を後方の脱穀装置5に搬送するコンベヤとを備えている。
【0026】
(分草体)
左右一対の分草体7は、図3図4に示すように、各々、平面視で先端が尖った三角形状の一対の上下板7aと側面視で先端が尖った一対の左右側板7bと後板7cとで形成され、プラットホーム8前端の左右両側部に装着されており、左右側板7bの内側の側板7bで圃場の刈取穀稈を刈取部4内方に案内し、左右側板7bの外側の側板7bで圃場の未刈穀稈を刈取部4外方に案内して、分草する。
【0027】
そして、左右一対の分草体7をプラットホーム8前端の左右両側部への装着する構成は、次のとおりである。
【0028】
左右側板7bの各後端部には、後方に向けて延長部7dを設け、該延長部7dに各々貫通孔7eを設けている。また、左右方向の面を構成する後板7cには、後方に向けて突出するガイドピン7fの基部を溶接固定している。
【0029】
一方、プラットホーム8前端の左右両側部には各々、一対の左右側板8aと一対の上下板8bと前板8cとで構成される機枠としての分草体装着部8dを形成し、左右側板8aの下部には回動支点孔8eを設け、前板8cの上部にはガイドピン挿通孔8fを設けている。
【0030】
また、分草体7後部の左右幅w1は、プラットホーム8の分草体装着部8dの左右幅w2よりも幅広に構成している(w1>w2)(図5参照)。
【0031】
そして、分草体7をプラットホーム8前端の分草体装着部8dに装着するには、分草体7の左右側板7bの各延長部7dをプラットホーム8前端の分草体装着部8dに被せるようにして、各延長部7dの貫通孔7eと分草体装着部8dの左右側板8aの回動支点孔8eとを位置合わせし、回動支点としての回動支点ピン7gを機体内側から貫通孔7e及び回動支点孔8eを挿通して、貫通した回動支点ピン7gの外端部に座金7hを嵌めて止め輪7iにて抜け止めをする。
【0032】
従って、分草体7後部の左右幅w1をプラットホーム8の分草体装着部8dの左右幅w2よりも幅広に構成し、分草体7の左右側板7bの各延長部7dをプラットホーム8前端の分草体装着部8dに被せるようにして装着しているので、刈取穀稈は、分草体7にて分草された後、機体外側方とプラットホーム8内方側にスムースに案内されて、分草体装着部8dに引っ掛かることが防止される。
【0033】
また、分草体7の左右側板7bの各後端部に後方に向けて延長部7dを設けて、回動支点ピン7gを機体内側から貫通孔7e及び回動支点孔8eを挿通して、プラットホーム8の分草体装着部8dに対して回動させる構成としているので、結果的に装着部の最も弱い延長部7dが分草体7側にあることとなり、分草体7が衝撃を受け延長部7dが破損した場合、分草体7を分草体装着部8dから取り外して、容易に補修することができる。更に、ガイドピン7fも分草体7に設けているので、ガイドピン7fが破損した場合も、同様に、分草体7を分草体装着部8dから取り外して、容易に補修することができる。
【0034】
また、回動支点ピン7gを機体内側から貫通孔7e及び回動支点孔8eを挿通して止めているので、プラットホーム8前端内方には、回動支点ピン7gの頭しかなく(回動支点ピン7gを抜け止めする座金7hや止め輪7iは、機体外方にある)、刈取穀稈の引っ掛かりを軽減してスムースにプラットホーム8内方に案内することができる。
【0035】
また、分草体7の後板7cに設けたガイドピン7fに円筒形状のカラー7jを外嵌し、更に、カラー7jの外周にスプリングとしての圧縮スプリング7kを挿通した後に、ガイドピン7f後端を分草体装着部8dの前板8cのガイドピン挿通孔8fに挿通し、さらに前板8c内部に貫通したガイドピン7f後端部に止め具としての座金7lをはめて止め輪7mにて抜け止めする。
【0036】
従って、分草体7は、回動支点ピン7gを回動支点として前部が上下回動自在に支持されており、ガイドピン7fの外周に装着された圧縮スプリング7kの付勢力にて分草体7の前部が下方回動する方向に付勢され、座金7lが分草体装着部8dの前板8c内面に当接することで、分草体7の最下動回動位置を規制できる。また、分草体7の最下動回動位置を規制する座金7lを分草体装着部8d内部に配置しているので、簡潔な構成で最下動回動位置を規制できると共に、刈取穀稈に触れることがなくて引っ掛かりによる穀稈の移送を阻害しない。
【0037】
また、分草体装着部8dの上板8bに分草体7が上方回動した際の回動規制部としての回動規制プレート7nを設けている。該回動規制プレート7nは、2つの前後方向に長い長孔7oを設け、上板8bに設けた2つの螺子孔8gに該2つの長孔7oを位置合わせして、ボルト7pにて固定している。従って、ボルト7pを緩めて、回動規制プレート7nの前後位置を調節して、再度、ボルト7pを締め付けて固定することにより、分草体7が上方回動した際に、回動規制プレート7nの前端が分草体7の後板7cに当接することにより、分草体7の最上動回動位置が調節できる。
【0038】
また、分草体7の左右側板7bの後部下辺は、後方上方に向かう傾斜面7qとし、分草体装着部8dの左右側板8aの前部下辺は、前方上方に向かう傾斜面8hとしており、回動支点ピン7g下方に分草体7後部と分草体装着部8d前部とで側面視三角形状の凹部を形成し、分草体7が回動支点ピン7gを回動支点として上下回動できるように構成している。そして、回動支点ピン7gを通る垂線に対する傾斜面8hの角度αは、回動支点ピン7gを通る垂線に対する傾斜面7qの角度βよりも大きくなるように形成している(α>β)。従って、分草体7の上下回動を許容する凹部を形成したものでありながら、分草体装着部8dの左右側板8aの前部下辺の傾斜面8hは緩傾斜となり、傾斜面8hに穀稈が引っ掛かることを軽減させることができる。
【0039】
また、分草体7の上板7aに後端部が分草体装着部8dの前部上方まで至るカバー体7rを設けている。なお、該カバー体7rの後部は、分草体7が上方回動しても分草体装着部8dの前部に当接しない高さ位置に設けられている。
【0040】
従って、該カバー体7rが、分草体7と分草体装着部8dとの隙間の上方を塞ぐので、刈取穀稈が該隙間に引っ掛かることを防止できる。
【0041】
また、カバー体7rに替えて、ガイド体としての縦板状のプレートを分草体7の上板7aの機体内方側に後端部が分草体装着部8dの前部上方まで至るように設けても、同様に、縦板状のプレートが刈取穀稈を分草体7上部から分草体装着部8d上部に案内するので、分草体7と分草体装着部8dとの隙間に刈取穀稈が引っ掛かることを防止できる。
【0042】
更に、分草体7の上板7aの後端部を上方に折り曲げて分草体装着部8dの前部上方まで至るように延設して上板7aに一体のカバー体を形成して、分草体7と分草体装着部8dとの隙間の上方を塞ぐようにしても良い。
【0043】
以上要するに、圃場の出入りや圃場間移動等で、汎用コンバインが大きな段差を通過する際に、汎用コンバインは、大きく前傾姿勢となるが、機体前端部にある分草体7が地面に過大な力で当接すると、分草体7は、回動支点ピン7gを回動支点として前部が圧縮スプリング7kの付勢力に抗して上方に回動し、分草体7やプラットホーム8の分草体装着部8dの破損を防止することができる。また、圃場内で整備が進んでおらず岩石等の障害物が圃場表面に突出している場合でも同様に、機体前端部にある分草体7が障害物に衝突すると、分草体7は、回動支点ピン7gを回動支点として前部が圧縮スプリング7kの付勢力に抗して上方に回動し、分草体7やプラットホーム8の分草体装着部8dの破損を防止することができる。更に、トラックに汎用コンバインを積んで移送し、トラックから汎用コンバインを降ろす際に、トラックの荷台が高くて汎用コンバインを降ろすアユミが短い場合には、汎用コンバインがアユミを通って荷台から地面に降りる際、汎用コンバインは、大きく前傾姿勢となり、機体前端部にある分草体7が地面に衝突するような事態が起こっても、分草体7は、回動支点ピン7gを回動支点として前部が圧縮スプリング7kの付勢力に抗して上方に回動し、分草体7やプラットホーム8の分草体装着部8dの破損を防止することができる。
【0044】
(別実施形態)
【0045】
(1)図6は、分草体装着部8dの回動支点ピン7g部分の他の実施形態を示す。
【0046】
先端に螺子孔を形成した回動支点ピン7gの基部を分草体装着部8dの側板8aの内面に溶接し、先端を他方の側板8aに向けて設ける。そして、該他方の側板7aの前部で回動支点ピン7gの先端に対応する部分に切り欠き8a’を設ける。そして、該切り欠き8a’を覆う固定プレート8iを設け、該固定プレート8iには回動支点ピン7g先端の螺子孔に螺合するボルト8jを挿通する孔8kを設け、更に、2つの固定ボルト8lで該固定プレート8iは他方の側板8aに固定される。
【0047】
従って、回動支点ピン7gの先端側から分草体7の左右側板7bの延長部7dの貫通孔7eを挿通した後に、固定プレート8iを2つの固定ボルト8lで他方の側板8aに固定し、ボルト8jを孔8kに挿通し回動支点ピン7g先端の螺子孔に螺合して固定する。このような構成にしても、分草体装着部8dの内方の出っ張りは、ボルト8jの頭のみであるから、刈取穀稈の引っ掛かりを軽減してスムースにプラットホーム8内方に案内することができる。
【0048】
(2)図7は、分草体7の最上動回動を規制する手段として、回動規制プレート7nに替えて、ガイドピン7fに外嵌するカラー7jを用いた例を示す。
【0049】
分草体7が上動回動した際に、ガイドピン7fに外嵌したカラー7jの両端が分草体7の後板7cと分草体装着部8dの前板8cとに当接して、それ以上に分草体7が上動回動することを規制する。そして、分草体7の最上動回動位置を変更する場合には、長さの異なるカラー7jに付け替えるだけで、容易に分草体7の最上動回動位置を変更することができ、その規制構成も回動規制プレート7nを省略できて簡潔である。
【0050】
(3)図8は、分草体7の最下動回動を規制する手段として、座金7lの分草体装着部8d前端の前板8c内面への当接による規制に替えて、分草体7の下板7aの後部端面を利用した例を示す。
【0051】
分草体7の下板7aの後部を後方上方に向けて傾斜した構成とし、その後端面7a’は、分草体7が最下動回動した際に、分草体装着部8dの前方上方に向かう傾斜面8hに当接する構成とする。従って、分草体7の下板7aを利用して簡潔な構成で分草体7の最下動回動を規制することができる。
【0052】
(4)図9は、側面視で分草体7とプラットホーム8(分草体装着部8d)の底面の上下位置関係を示す。
【0053】
(A)は、分草体7の底面がプラットホーム8(分草体装着部8d)の底面よりも寸法Aだけ低く設定した例を示し、分草体7の底面の方が低く設定しているので、プラットホーム8(分草体装着部8d)前面に穀稈の引っ掛かりを軽減させて良好な収穫作業が行える。
【0054】
(B)は、分草体7を最下動させても、プラットホーム8(分草体装着部8d)の底面が分草体7の底面よりも寸法Bだけ低く設定した例を示し、刈取部4を最下げにしても、ソリの作用をするプラットホーム8(分草体装着部8d)が先に地面に接地するので、分草体7の破損や変形を防止できる。
【0055】
(5)図10は、分草体7をプラットホーム8(分草体装着部8d)に工具を用いずに簡単に着脱できる例を示す。
【0056】
分草体7の後板7c上部に側面視でL字状のフック7sの基部を溶接固定し、後板7c下部にノブボルト7tのボルト部を挿通する孔7uを横方向に並列して設ける。一方、分草体装着部8dの前板8c上部には、前記L字状のフック7sを係合させる引っ掛け孔8mを設け、前板8c下部にノブボルト7tのボルト部が螺合するナット付き孔8nを設ける。
【0057】
従って、分草体7を分草体装着部8dに装着する場合には、先ず、分草体7のL字状のフック7sの先端部を分草体装着部8dの引っ掛け孔8mに挿入して引っ掛けて、分草体7の孔7uと分草体装着部8dのナット付き孔8nを位置合わせして、ノブボルト7tのノブ部を持ってノブボルト7tのボルト部を分草体7の後板7cの前方側から分草体7の孔7uを挿通して分草体装着部8dのナット付き孔8nに締め付けて固定する。逆に、分草体7を分草体装着部8dから外す場合には、ノブボルト7tのノブ部を持って締め付けを緩めてノブボルト7tを外し、分草体7のL字状のフック7sの先端部を分草体装着部8dの引っ掛け孔8mから外すと、分草体7を分草体装着部8dから外すことができる。よって、工具を用いずに分草体7をプラットホーム8(分草体装着部8d)に簡単に着脱できるので、例えば、分草体7を外さないと積載できないコンテナや輸送用トラックへの積載及び降ろして収穫作業状態にすることが容易に行える。また、簡単に分草体7の着脱がおこなえるので、修理作業も容易である。
【0058】
また、分草体7側に未刈穀稈を機体外側方に寄せるナローガイドNGを設ければ、分草体7を分草体装着部8dから外すとナローガイドNGも同時に外れて、更に、着脱の作業性が良い。
【0059】
なお、フック7sを側面視でZ字状にし、分草体7の後板7c上部にその基部が嵌まる横長の長孔を設けて、その長孔にZ字状のフック7sの基部を嵌め込み、後板7cの前側でフック7s基部を溶接固定すれば、後板7cのプラットホーム8(分草体装着部8d)側に溶接ビードがなくなり、分草体7とプラットホーム8(分草体装着部8d)との当接が適切に行えて組み立て精度が向上する。また、後板7cの上端部をZ字状に折り曲げ形成して、フック7sを後板7cに一体形成すれば、構成が簡素化し部品点数が減って安価な構成となる。また、フック7sを上下に複数個(例えば、2つ)設ければ、分草体7を分草体装着部8dに装着した際の強度が向上して、耐久性が向上する。また、フック7sを後板7c下部に設け、ノブボルト7tで後板7cの上部を固定するように上下反対の構成にしても良く、分草体7が地面等で押し上げられた際にフック7sが下側にあるので、該押し上げ力に対する強度が向上する。
【0060】
(6)図11図13は、分草体7の先端部に設けた丸棒にて形成された案内杆7vの構成に関するものである。
【0061】
分草体7は、側面視で三角形状の平板よりなる側板7bを機体内方側のみに設け、該側板7bの上下に平面視で三角形状の平板よりなる上下板7aを設け、先端部に丸棒にて形成された案内杆7vを設けた構成としている。そして、案内杆7vは機体進行方向と平行に設けている。なお、分草体7の機体内方にはプラットホーム8の前端に刈取穀稈を案内するガイドGが設けられている.
従って、案内杆7vは機体進行方向と平行に設けているので、刈幅に対して刈取穀稈の取り込み幅を大きく確保できるものでありながら、該案内杆7vが畦等に引っ掛かることが防止できて運転操作性が良い。また、側面視で三角形状の平板よりなる側板7bを機体内方側のみに設け、該側板7bの上下に平面視で三角形状の平板よりなる上下板7aを設け、先端部に丸棒にて形成された案内杆7vを設けた構成であるから、簡潔な構成で刈取穀稈が分草体7に引っ掛かることを低減し、搬送詰まり等を軽減し、基本性能を向上させることができる。
【0062】
図13は、機体右側の分草体7の案内杆7vを機体内方(左方向)に向けて傾斜させ、機体左側の分草体7の案内杆7vは機体進行方向と平行に設けている。従って、圃場にて周刈りする際に、機体右側の分草体7(案内杆7v)が畦に引っ掛かりにくくなり、運転操作性が良い。
【0063】
なお、機体左側の分草体7の案内杆7vも機体左方向に向けて傾斜させると、刈取穀稈の取り込み量を確保し易くなる。そして、機体右側の分草体7の案内杆7vを機体内方(左方向)に向けて傾斜させた角度よりも、機体左側の分草体7の案内杆7vを機体左方向に向けて傾斜させた角度を大きくすると、更に、刈取穀稈の取り込み量を確保し易くなる。
【0064】
(7)図14は、側板7bの前端部に切欠き7b’を設けて、該切欠き7b’を囲うように案内杆7vを側板7bの前端部に設けたものである。
【0065】
案内杆7vと側板7bの前端部との間には、側板7bの前端部に切欠き7b’を設けたことにより、空間部が形成されるので、機体前進中に分草体7が障害物に衝突した場合、案内杆7vに衝突時の衝撃を受けさせて、案内杆7vが破損するようになる。よって、補修する箇所を案内杆7vのみとすることができ、補修工数や経費を抑えることができる。また、空間部の存在により、分草体7の軽量化も図れる。更に、工場生産時の塗装過程で、該空間部を吊り下げ部として利用することができて、生産性も良い。
【0066】
(8)図15は、分草体7の下板7aとプラットホーム8(分草体装着部8d)の底面とで、側面視において凹み角度θを形成したものである。
【0067】
分草体7の下板7aとプラットホーム8(分草体装着部8d)の底面とで、側面視において凹み角度θを形成しているので、分草体7は、刈取穀稈をスムースに引き上げ気味に後方に案内し、回転リール9で倒伏穀稈を掻込み易くなり、刈残しを減らして収穫性能を向上させることができる。
【0068】
(9)図16は、分草体7の下板7aとプラットホーム8(分草体装着部8d)の底面とで、側面視において凸角度γを形成したものである。
【0069】
分草体7の下板7aとプラットホーム8(分草体装着部8d)の底面とで、側面視において凸角度γを形成しているので、倒伏して水に浸かっているような穀稈は、あえて回転リール9で掻込まないようになる。これは、水に浸かってしまった穀稈を刈り取って脱穀装置5に入れると、詰まって選別不良の要因となり、選別性能が悪化して良好な収穫作業の阻害となるので、あえて刈残して、収穫性能を維持させることができる。
【0070】
(10)図17は、分草体7の機体内方に設けたプラットホーム8の前端に刈取穀稈を案内するガイドGの先端を回転リール9の外端のタイン14よりも機体内方まで延ばしたものである。
【0071】
ガイドGは、回転リール9の外端のタイン14よりも機体内方まで延ばしているので、刈取穀稈はスムースに回転リール9にて掻込まれて、穀稈や藁のたまりをなくし、搬送詰まりを防止することができる。
【0072】
(11)図18は、分草体7の上板7a上面に側面視で三角形状のガイド体7wを垂直方向に設けたものである。
【0073】
分草体7の上板7a上面に側面視で三角形状のガイド体7wを垂直方向に設け、プラットホーム8の分草体装着部8d上方位置(回転リール9の上下作動用油圧シリンダー9a前方近傍)まで延設している。そして、ガイド体7wの上端位置は、回転リール9のリールアーム12を最も下げた位置のリールアーム12底面と略同じ高さにしている。従って、簡潔な構成で、分草体7の分草性能が向上すると共に、回転リール9の上下作動用油圧シリンダー9aへ刈取穀稈が引っ掛かるのを防止することができる。
【0074】
(12)図19は、分草体7を下板7aと後板7cと丸棒にて形成された案内杆7vとで構成したものである。
【0075】
案内杆7vの下端部を下板7aの前端に溶接固定して、上端部を二股状の上部案内杆7v’・7v’’にして後方に延設し後板7c左右上部に溶接固定する。そして、右側の上部案内杆7v’’(未刈穀稈側)は、後板7c右上部溶接固定位置から更に後方に延設し、回転リール9の上下作動用油圧シリンダー9aの機体内方側を通過した状態に設ける。また、案内杆7vの前部U字状部は、平板7xで閉塞する。
【0076】
従って、接地する部分は下板7aで構成するが、分草主要部は丸棒にて形成された案内杆7vで構成したので、構成が簡素化して軽量且つ安価であり、更に、案内杆7v部分は解放された空間となっているので、藁屑等の溜まりを軽減させることができる。また、右側の上部案内杆7v’’は、後板7c右上部溶接固定位置から更に後方に延設し、回転リール9の上下作動用油圧シリンダー9aの機体内方側を通過した状態に設けているので、分草性能が向上すると共に、回転リール9の上下作動用油圧シリンダー9aに未刈穀稈が引っ掛かるのを防止でき、収穫性能が向上する。
【0077】
(13)図20は、分草体7を平面視V字状に折り曲げて先端が尖った後板7cと丸棒にて形成された案内杆7vと先端装着板7yにボルトにて装着した先端分草部7Z(7Z’)で構成したものである。
【0078】
平面視V字状に折り曲げて先端が尖った後板7cに丸棒にて形成された上下案内杆7vの後部を溶接固定し、該上下案内杆7vの前部に先端装着板7yを溶接固定している。先端装着板7yには、倒伏穀稈用の先が尖って低い位置に先端がある山形三角板7Zをボルトにて着脱自在に装着するか、湿田用の垂直状板の前部に丸棒を溶接した分草杆7Z’ をボルトにて着脱自在に装着する。
【0079】
従って、後板7cは、平面視V字状に折り曲げて先端が尖った形状をしているので、刈取穀稈が引っ掛かるのを防止できると共に、強度も向上する。また、分草体7は、後板7cと丸棒にて形成された上下案内杆7vと先端装着板7yと先端分草部7Z(7Z’)とで構成されているので、構成が簡素で安価であり軽量化も図れる。また、丸棒にて形成された上下案内杆7vであるから、内部は空間となっているので、藁屑等の溜まりを軽減させ、藁屑や泥土がプラットホーム8内に入るのを軽減させて、搬送詰まりの軽減や脱穀装置5の選別向上が図れる。また、先端装着板7yには、倒伏穀稈用の先が尖って低い位置に先端がある山形三角板7Zをボルトにて着脱自在に装着するか、湿田用の垂直状板の前部に丸棒を溶接した分草杆7Z’ をボルトにて着脱自在に装着するものであるから、作物条件や圃場条件に応じた仕様にすることができて作物適応性が向上する。更に、着脱自在であるから、補修作業も容易で補修経費の削減が図れる。
【0080】
(14)図21図23は、分草体7を下板7aと後板7cと下板7aに垂直に設けた平板7αと平板7αに設けた丸棒よりなる案内杆7vで構成したものである。
【0081】
下板7aに垂直に平板7αの下部を溶接固定し、下板7aと平板7αの後部にプラットホーム8(分草体装着部8d)に取り付ける為の後板7cを溶接固定する。そして、平板7αの外周に沿わせて丸棒よりなる案内杆7vを溶接固定する。従って、軽量で構成が簡素化された安価な分草体7を得ることができる。
【0082】
図22は、丸棒よりなる案内杆7vの前部を上方に湾曲させて後方に向けて延設させ、リールタインの周回軌跡と略同一ラインに配置したものであり、特に、長稈の作物の収穫時に分草性能が向上する。
【0083】
図23は、丸棒よりなる案内杆7vの前部を上方に湾曲させて後方に向けて延設させ、機体進行方向に対して外側方に傾斜させて設けたものであり、該外側方への折り曲げ部にて穀稈をナローガイドNGに適切に引き継ぎ、長稈の作物の分草性能が向上する。
【0084】
(15)図24図25は、分草体7を平面視で前が尖った三角形状の上下板7aと三角形状の平板7βと後板7cと案内杆7vとで構成したものである。
【0085】
機体進行方向と平行な平板7β一側面に平面視で前が尖った三角形状の下板7aを地面と略平行になるように配置し、且つ、平板7βの同じ側面に平面視で前が尖った三角形状の上板7aを側面視で平板7βの中央部に前傾状態で配置し、両者の前端が当接する状態で溶接固定する。そして、上下板7aの後部に後板7cを溶接固定する。また、平板7βの前部に案内杆7vを外周に沿って溶接固定する。この時、案内杆7v下部後端は、上下板7a前端が当接する部分に位置する状態で溶接固定する。
【0086】
従って、平板7βの後部側面に上下板7aと後板7cと平板7βとで三角柱状の立体構造体が形成されるので、分草体7の強度が簡潔な構成で向上し、且つ、分草性能が良く、藁屑等の溜まりが軽減される。また、案内杆7vを設けた前部が平板7βの最も壊れやすい構成となっているので、障害物に衝突した場合に前部のみが破損し、修復が容易である。また、案内杆7vの上部の長さL1よりも下部の長さL2を長くしているので、分草性能が向上し、且つ、該下部が長いので、運転部6から分草体7の下部の視認性が良くて、機体の運転操作性が良い。なお、分草体7の機体内方には、プラットホーム8の前端に刈取穀稈を案内するガイドGを設けているが、該ガイドGの前端を上下板7aと後板7cと平板7βとで形成される三角柱状の立体構造体内に配置すると、簡潔な構成で、該ガイドG前端に穀稈や藁屑等の引っ掛かりを防止できる。
【0087】
なお、上下板7aのうち、上板7a若しくは下板7aを省略しても、上記と略同等の作用効果を奏する。
【0088】
(16)図26図27は、分草体7に設けた未刈穀稈を機体外側方に寄せるナローガイドNGの後端部に後部ガイドRNGを着脱自在に設けたものである。
【0089】
ナローガイドNGの後端と後部ガイドRNGの前端とに着脱部NGTを設け、長稈の収穫作業時には、該着脱部NGTをボルトにて固定し、ナローガイドNGと後部ガイドRNGとでガイド長さを長くする。従って、長稈であっても(特に、長稈が倒伏している場合)、未刈稈と既刈稈とを適切に分離させて、穀稈の引き抜きや詰まりを軽減させることができる。
【0090】
そして、ナローガイドNGの強度は、後部ガイドRNGの強度よりも強くし、例えば、ナローガイドNGの外径を後部ガイドRNGの外径よりも大きくしている。従って、ナローガイドNGに後部ガイドRNGを装着した作業時に、該ガイドNG・RNGが障害物に衝突した場合、弱い後部ガイドRNGが変形若しくは破損するので、後部ガイドRNGを外して容易に補修することができる。
【0091】
また、エレベータ3のエレベータケース体30側壁に後部ガイドRNGを収納できる収納部RNGSを設けており、後部ガイドRNGを持ちないときには、後部ガイドRNGを該収納部RNGSに収納してボルトで固定しておけば、後部ガイドRNGの使用及び不使用時の切り替えが圃場(現場)で容易に行える。
【産業上の利用可能性】
【0092】
本発明は、走行機体の前方に装備した刈取部に分草体(分草杆)を備えた全稈投入型の汎用コンバインや自脱コンバインに適用できる。
【符号の説明】
【0093】
1 走行機体
4 刈取部
7 分草体
7f ガイドピン
7g 回動支点(回動支点ピン)
7j カラー
7k スプリング(圧縮スプリング)
7l 止め具(座金)
7m 止め具(止め輪)
7n 回動規制部(回動規制プレート)
7q 分草体7後部底面の後方上方に向かう傾斜面
8d 機枠(分草体装着部)
8f ガイドピン挿通孔
8h 機枠(分草体装着部)8d前部底面の前方上方に向かう傾斜面
α 回動支点(回動支点ピン)7gを通る垂線に対する機枠(分草体装着部)8d前部底面の傾斜面8hの角度
β 回動支点(回動支点ピン)7gを通る垂線に対する分草体7後部底面の傾斜面7qの角度
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27