(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-08
(45)【発行日】2024-05-16
(54)【発明の名称】潤滑剤塗布装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 21/00 20060101AFI20240509BHJP
【FI】
G03G21/00 318
(21)【出願番号】P 2020134272
(22)【出願日】2020-08-07
【審査請求日】2023-05-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】波多野 北斗
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 渉
(72)【発明者】
【氏名】高谷 俊一
【審査官】中澤 俊彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-253173(JP,A)
【文献】特開2013-077033(JP,A)
【文献】特開2014-006383(JP,A)
【文献】特開2012-155094(JP,A)
【文献】特開2008-090221(JP,A)
【文献】特開2010-217304(JP,A)
【文献】特開2011-123361(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
潤滑剤を固形化した固形潤滑剤を保持する潤滑剤保持機構と、
前記固形潤滑剤に当接するように配設され前記固形潤滑剤から削り取った潤滑剤を像担持体に塗布する潤滑剤塗布部材と、
を備える潤滑剤塗布装置であって、
前記潤滑剤保持機構は、装置本体に対して着脱可能に構成されており、
自装置内において飛散した粉体を貯留する粉体貯留部と、
前記潤滑剤保持機構を装置本体から取り外す際に形成される開口部を介して前記粉体貯留部が装置外部と接続することを遮断する遮蔽部材と、
を備え
、
前記潤滑剤保持機構が装置本体に装着されている際は、当該潤滑剤保持機構によって前記開口部が塞がれている、
ことを特徴とする潤滑剤塗布装置。
【請求項2】
前記遮蔽部材は、前記開口部を介した前記粉体貯留部と装置外部との接続が遮断されない非遮蔽状態と、当該接続が遮断される遮蔽状態と、に切替可能に構成されており、
前記潤滑剤保持機構を装置本体から取り外す際に、前記遮蔽部材を前記非遮蔽状態から前記遮蔽状態に切り替えることで、前記開口部を介した前記粉体貯留部と装置外部との接続を遮断する、
ことを特徴とする請求項
1に記載の潤滑剤塗布装置。
【請求項3】
前記遮蔽部材は、前記潤滑剤保持機構に対して前記像担持体の移動方向における上流側と下流側とにそれぞれ設けられ、
前記遮蔽状態は、前記上流側に設けられた前記遮蔽部材の先端を前記潤滑剤塗布部材に対して前記像担持体の移動方向における上流側の当該像担持体に当接させ、且つ、前記下流側の前記遮蔽部材の先端を前記潤滑剤塗布部材に対して前記像担持体の移動方向における下流側の当該像担持体に当接させた状態である、
ことを特徴とする請求項
2に記載の潤滑剤塗布装置。
【請求項4】
前記遮蔽部材は、当該遮蔽部材の先端に可撓性部材が設けられている、
ことを特徴とする請求項
3に記載の潤滑剤塗布装置。
【請求項5】
前記遮蔽部材を前記非遮蔽状態と前記遮蔽状態とのうちのいずれかの状態に切り替えるための操作部を備える、
ことを特徴とする請求項
2~
4のいずれか一項に記載の潤滑剤塗布装置。
【請求項6】
前記操作部を所望の位置で維持するための維持手段を更に備える、
ことを特徴とする請求項
5に記載の潤滑剤塗布装置。
【請求項7】
前記遮蔽部材は、シート状部材である、
ことを特徴とする請求項1~
6のいずれか一項に記載の潤滑剤塗布装置。
【請求項8】
前記潤滑剤保持機構は、前記固形潤滑剤と、当該固形潤滑剤を潤滑剤塗布部材に押し付けるための押圧バネと、枠体と、を備える、
ことを特徴とする請求項1~
7のいずれか一項に記載の潤滑剤塗布装置。
【請求項9】
前記潤滑剤塗布部材は、斜毛処理が施されたブラシである、
ことを特徴とする請求項1~
8のいずれか一項に記載の潤滑剤塗布装置。
【請求項10】
前記潤滑剤塗布部材は、発泡体である、
ことを特徴とする請求項1~
8のいずれか一項に記載の潤滑剤塗布装置。
【請求項11】
記録媒体上にトナー画像を転写する画像形成部と、
請求項1~
10のいずれか一項に記載の潤滑剤塗布装置と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、潤滑剤塗布装置及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置においては、帯電した感光体に対して、画像データに基づくレーザー光を照射(露光)することにより静電潜像を形成し、静電潜像が形成された感光体にトナーを供給することにより、静電潜像を可視化してトナー像を形成している。このトナー像は、直接又は間接的に用紙に転写され、加熱、加圧して定着させることにより用紙に画像が形成される。
【0003】
トナー像を転写した後の感光体表面には未転写のトナー等が残留するため、これらが次の画像形成に悪影響を与えないように、感光体表面はクリーニングされる。感光体表面をクリーニングする手法としては、ゴム等の弾性体からなるクリーニングブレードを感光体表面に摺擦させて、未転写トナー等の付着物を除去するものが一般的に知られている。
しかしながら、クリーニングブレードは、感光体との摺擦を続けると、経時で摩耗し、欠けや変形等が起因してクリーニング性能が低下するという問題がある。
そこで、画像形成装置においては、感光体とクリーニングブレードとの間に働く摩擦抵抗を低減して、クリーニングブレードの摩耗等の不具合を解消するために、潤滑作用を有する潤滑剤を感光体表面に塗布する潤滑剤塗布装置が実用化されている。
【0004】
かかる潤滑剤塗布装置にあっては、潤滑剤は消耗品であり、潤滑剤を消耗するごとに新しい潤滑剤と交換しなければならないため手間がかかるという問題がある。そこで、このような問題を解消することを目的として、例えば、潤滑剤成形物の交換をツールフリーで短時間に行うことができる潤滑剤カートリッジが開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1に開示されている潤滑剤カートリッジでは、当該潤滑剤カートリッジを交換する際に、潤滑剤塗布装置内に堆積されている廃潤滑剤が装置外部へ漏れてしまうという問題がある。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたもので、潤滑剤ユニットを交換する際に、潤滑剤塗布装置内に堆積されている廃潤滑剤が装置外部へ漏れてしまうことを抑制することができる潤滑剤塗布装置及び画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、
潤滑剤を固形化した固形潤滑剤を保持する潤滑剤保持機構と、
前記固形潤滑剤に当接するように配設され前記固形潤滑剤から削り取った潤滑剤を像担持体に塗布する潤滑剤塗布部材と、
を備える潤滑剤塗布装置であって、
前記潤滑剤保持機構は、装置本体に対して着脱可能に構成されており、
自装置内において飛散した粉体を貯留する粉体貯留部と、
前記潤滑剤保持機構を装置本体から取り外す際に形成される開口部を介して前記粉体貯留部が装置外部と接続することを遮断する遮蔽部材と、
を備え、
前記潤滑剤保持機構が装置本体に装着されている際は、当該潤滑剤保持機構によって前記開口部が塞がれている、
ことを特徴とする。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の潤滑剤塗布装置において、
前記遮蔽部材は、前記開口部を介した前記粉体貯留部と装置外部との接続が遮断されない非遮蔽状態と、当該接続が遮断される遮蔽状態と、に切替可能に構成されており、
前記潤滑剤保持機構を装置本体から取り外す際に、前記遮蔽部材を前記非遮蔽状態から前記遮蔽状態に切り替えることで、前記開口部を介した前記粉体貯留部と装置外部との接続を遮断する、
ことを特徴とする。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の潤滑剤塗布装置において、
前記遮蔽部材は、前記潤滑剤保持機構に対して前記像担持体の移動方向における上流側と下流側とにそれぞれ設けられ、
前記遮蔽状態は、前記上流側に設けられた前記遮蔽部材の先端を前記潤滑剤塗布部材に対して前記像担持体の移動方向における上流側の当該像担持体に当接させ、且つ、前記下流側の前記遮蔽部材の先端を前記潤滑剤塗布部材に対して前記像担持体の移動方向における下流側の当該像担持体に当接させた状態である、
ことを特徴とする。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の潤滑剤塗布装置において、
前記遮蔽部材は、当該遮蔽部材の先端に可撓性部材が設けられている、
ことを特徴とする。
【0013】
請求項5に記載の発明は、請求項2~4のいずれか一項に記載の潤滑剤塗布装置において、
前記遮蔽部材を前記非遮蔽状態と前記遮蔽状態とのうちのいずれかの状態に切り替えるための操作部を備える、
ことを特徴とする。
【0014】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の潤滑剤塗布装置において、
前記操作部を所望の位置で維持するための維持手段を更に備える、
ことを特徴とする。
【0015】
請求項7に記載の発明は、請求項1~6のいずれか一項に記載の潤滑剤塗布装置において、
前記遮蔽部材は、シート状部材である、
ことを特徴とする。
【0016】
請求項8に記載の発明は、請求項1~7のいずれか一項に記載の潤滑剤塗布装置において、
前記潤滑剤保持機構は、前記固形潤滑剤と、当該固形潤滑剤を潤滑剤塗布部材に押し付けるための押圧バネと、枠体と、を備える、
ことを特徴とする。
【0017】
請求項9に記載の発明は、請求項1~8のいずれか一項に記載の潤滑剤塗布装置において、
前記潤滑剤塗布部材は、斜毛処理が施されたブラシである、
ことを特徴とする。
【0018】
請求項10に記載の発明は、請求項1~8のいずれか一項に記載の潤滑剤塗布装置において、
前記潤滑剤塗布部材は、発泡体である、
ことを特徴とする。
【0019】
請求項11に記載の発明は、
記録媒体上にトナー画像を転写する画像形成部と、
請求項1~10のいずれか一項に記載の潤滑剤塗布装置と、
を備えることを特徴とする画像形成装置である。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、潤滑剤ユニットを交換する際に、潤滑剤塗布装置内に堆積されている廃潤滑剤が装置外部へ漏れてしまうことを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本実施の形態における画像形成装置の制御構成を示す機能ブロック図である。
【
図2】
図1の画像形成装置の要部構成を示す概略図である。
【
図3】画像形成ユニットの構成を示す概略図である。
【
図6】上流側遮蔽ユニットの構成を示す概略図である。
【
図7】上流側遮蔽ユニットを構成する遮蔽部材、操作部及び先端部材の部分を示す断面図である。
【
図8】潤滑剤ユニットの取り外し方法を示す図であって、(a)はクリーニング部に装着された状態の潤滑剤ユニットを示す概略図であり、(b)はクリーニング部から取り外された状態の潤滑剤ユニットを示す概略図である。
【
図9】上流側遮蔽ユニットの操作部の操作手順を示す図であって、(a)は遮蔽部材を非遮蔽状態から遮蔽状態に切り替える際に当該操作部の端部に設けられているクランプを緩めたときの状態を示す図であり、(b)は遮蔽部材を遮蔽状態に切り替えた際に当該操作部の端部に設けられているクランプを締め付けたときの状態を示す図である。
【
図10】上流側遮蔽ユニットの遮蔽部材と下流側遮蔽ユニットの遮蔽部材とがそれぞれ遮蔽状態に切り替えられた際のクリーニング部を示す概略図である。
【
図11】潤滑剤ユニットが取り外された状態のクリーニング部を示す概略図である。
【
図12】上流側遮蔽ユニットの遮蔽部材と下流側遮蔽ユニットの遮蔽部材とがそれぞれ遮蔽状態に切り替えられた際のクリーニング部の他の例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。ただし、発明の範囲は、図示例に限定されない。
【0023】
先ず、本実施の形態における画像形成装置100の全体構成について説明する。
図1は、画像形成装置100の制御構成を示す機能ブロック図である。
図2は、画像形成装置100の要部構成を示す概略図である。なお、
図2においては、共通する構成要素は同一の符号で示している。
【0024】
図1、
図2に示すように、画像形成装置100は、例えば、給紙部10と、画像形成部Gと、定着部40と、操作表示部50と、制御部60と、記憶部70と、を備える。
【0025】
給紙部10は、複数のトレイ(図示省略)を備え、各トレイには、異なるサイズの用紙Pが収容されている。各トレイに収容された用紙Pは、所定の搬送経路を通過して画像形成部Gに搬送される。
【0026】
画像形成部Gは、例えば、外部装置から送信された画像形成ジョブに基づいて、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、及びブラック(K)の各有色トナーによる画像を用紙に形成する。なお、画像形成部Gは、用紙にモノクロの画像形成を行う構成としてもよい。
【0027】
定着部40は、画像形成部Gによりトナー像が形成された用紙を加熱及び加圧して用紙にトナー像を定着する。
【0028】
操作表示部50は、表示画面上に各種情報の表示を行う表示部、及びユーザーによる各種指示の入力に使用される操作部を備えている。
【0029】
制御部60は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)等により構成される。制御部60のCPUは、記憶部70に記憶されているシステムプログラムや処理プログラム等の各種プログラムを読み出してRAMに展開し、展開されたプログラムに従って、画像形成処理などの各種処理を実行する。
【0030】
記憶部70は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)や半導体の不揮発性メモリー等で構成されている。
記憶部70には、制御部60で実行されるシステムプログラムや処理プログラムを始めとする各種プログラム、これらのプログラムの実行に必要なデータが記憶されている。例えば、記憶部70には、画像形成処理の実行に必要な設定情報が記憶されている。
【0031】
次に、画像形成部Gの詳細な構成について説明する。
画像形成部Gは、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、及びブラック(K)の各有色トナーによる画像を用紙に形成するための画像形成ユニット20Y、20M、20C、20Kと、中間転写体26と、2次転写ローラー27と、等を備えている。
画像形成ユニット20Y、20M、20C、20Kは、同様の構成を有するため、以下、画像形成ユニット20Yにより画像形成ユニットの構成を説明する。
【0032】
図3は、画像形成ユニット20Yの構成を示す概略図である。
図3に示すように、画像形成ユニット20Yは、
図3の矢印B方向に回転駆動される像担持体であるドラム状の感光体21と、感光体21の表面を一様に帯電させる帯電部22と、帯電部22により帯電された感光体21の表面を露光して静電潜像を形成する露光部23と、露光部23により形成された静電潜像を、トナーを含む現像剤を用いて可視像化する現像部24と、感光体21上に形成されたトナー像を転写領域において中間転写体26に転写する一次転写部25と、転写領域を通過した感光体21上のトナーを除去するクリーニング部30と、を備えている。このクリーニング部30は、感光体21とともに、感光体ユニットを構成している。
【0033】
帯電部22は、帯電チャージャを用い感光体21の表面を一定の電位に帯電する。
露光部23は、例えば半導体レーザーで構成され、感光体21に対して各色成分の画像に対応するレーザー光を照射する。感光体21の表面には、周囲との電位差により各色成分の静電潜像が形成される。
【0034】
現像部24は、各色成分の現像剤を収容しており、感光体21の表面に各色成分のトナーを付着させることにより静電潜像を可視化してトナー像を形成する。
具体的に、現像部24は、感光体21と現像領域を介して対向するよう配置された現像スリーブ24aを備えている。この現像スリーブ24aには、例えば、帯電部22の帯電極性と同極性の直流現像電圧、または交流電圧に帯電部22の帯電極性と同極性の直流電圧が重畳された現像バイアスが印加され、これにより、露光部23によって形成された静電潜像にトナーを付着させる反転現像が行われる。
【0035】
ここで、本実施の形態において用いられる現像剤は、トナーと該トナーを帯電するためのキャリアを含んでいる。
トナーとしては、特に限定されず、一般に使用されている公知のトナーを使用することができ、バインダー樹脂中に、着色剤や、必要に応じて荷電制御剤や離型剤等を含有させ、外添剤を処理させたものを使用できる。外添剤はシリカやチタニアといった微粒子の金属酸化物が使用され、大きさは30nmといった小粒径のものから、100nmといった比較的大きな粒径のものを使用できる。トナー粒径としては、例えば、3~15μm程度が好ましいが、これに限定されるものではない。
キャリアとしては、特に限定されず、一般に使用されている公知のキャリアを使用することができ、バインダー型キャリアやコート型キャリアなどが使用できる。キャリア粒径としては、例えば、15~100μm程度が好ましいが、これに限定されるものではない。
【0036】
現像部24により感光体21上に形成されたトナー像は、一次転写部25との間で形成される転写領域に運ばれる。転写領域では一次転写部25にトナーと逆極性の電圧が印加されており、感光体21上のトナー像は中間転写体26上に転写される。
【0037】
転写領域で中間転写体26上に転写されずに感光体21上に残ったトナーはクリーニング部30に搬送され、クリーニング部30により回収される。
また、クリーニング部30により表面のトナーが回収された感光体21は、再び帯電部22により帯電され、次の静電潜像が形成されトナー像を形成することを繰り返す。
【0038】
中間転写体26は無端状ベルトで構成され、
図3の矢印A方向に一定速度で走行する。
中間転写体26に各色トナー像が順次重ねられて(1次転写されて)形成された中間トナー像は、中間転写体26が2次転写ローラー27によって用紙Pに圧接されることで用紙Pに2次転写される。この後、用紙Pは、定着部40に搬送される。
【0039】
図4は、クリーニング部30の構成を示す概略図である。
図4に示すように、クリーニング部30は、クリーニングブレード31と、クリーニングブレード31の略下側に設けられた回収スクリュー32と、クリーニングブレード31に対して感光体21の回転方向における下流側に設けられた塗布ローラー(潤滑剤塗布部材)33と、塗布ローラー33に対して潤滑剤を供給するための潤滑剤保持機構としての潤滑剤ユニット34と、遮蔽ユニット35と、ガイド部材36と、塗布ローラー33に対して感光体21の回転方向における下流側に設けられた固定化ブレード37と、を備えている。
このクリーニング部30は、制御部60とともに、潤滑剤塗布装置を構成している。
【0040】
クリーニングブレード31は、例えば、ポリウレタンゴムなどの弾性体を平板状に加工したものであって、その先端が感光体21に摺擦するように設置され、感光体21の表面に残留する未転写のトナー等の付着物を掻き取って除去するものである。
【0041】
回収スクリュー32は、一方向に回転しており、クリーニングブレード31で掻き取られて落下したトナーを、図示しない廃トナーボックスまで搬送する。
【0042】
塗布ローラー33は、感光体21にその先端部が接触可能な位置に配置されたロール状のブラシ部材である。また、塗布ローラー33には、斜毛処理が施されている。塗布ローラー33は、制御部60の制御により、感光体21の回転方向に対して逆方向のカウンター回転、又は感光体21の回転方向に対して順方向のウィズ回転を行う。
【0043】
図5は、潤滑剤ユニット34の構成を示す概略図である。
図5に示すように、潤滑剤ユニット34は、潤滑剤棒341と、支持板金342と、ホルダー343と、押圧バネ344と、収納ケース345と、を備えている。
【0044】
潤滑剤棒341は、例えば、ステアリン酸亜鉛等の金属石鹸の粉体の潤滑剤を溶融整形して固形化したものである。潤滑剤棒341は、塗布ローラー33の先端部が接触可能な位置に配置され、塗布ローラー33の回転によって先端部から削り取られる。削り取られた潤滑剤はそのまま感光体21まで搬送されて感光体21表面に供給される。一方、削り取られた潤滑剤のうち感光体21表面に供給されなかった潤滑剤や、後述する固定化ブレード37によって堰き止められた潤滑剤等の廃潤滑剤は、クリーニング部30の筐体内の底面に堆積されることとなる。以下、塗布ローラー33及び潤滑剤ユニット34に対して感光体21の回転方向における上流側において廃潤滑剤が堆積される領域を上流側粉体貯留部ST1と称し、当該感光体21の回転方向における下流側において廃潤滑剤が堆積される領域を下流側粉体貯留部ST2と称す(
図4参照)。
【0045】
支持板金342は、潤滑剤棒341を支持するための板金である。
【0046】
ホルダー343は、後述する押圧バネ344を支持するための部材である。ホルダー343は、支持板金342の裏面(潤滑剤棒341を支持する面と反対の面)側であって、当該支持板金342の長手方向の両端部にそれぞれ設けられている。また、ホルダー343は、後述するガイド溝345aと対向する側面に位置決め用の突起343aが設けられている。
【0047】
押圧バネ344は、潤滑剤棒341を塗布ローラー33へ押し当てるための圧縮バネであって、各ホルダー343の裏面側に設けられている。
【0048】
収納ケース345は、一体化された上述の潤滑剤棒341、支持板金342、ホルダー343及び押圧バネ344を収納するためのケースである。収納ケース345は、上面が開口した平面視矩形状のケースである。また、収納ケース345は、短手側の内側側面のそれぞれに、上述した突起343aが上下方向に摺動するようにするためのガイド溝345aが設けられている。
【0049】
収納ケース345に潤滑剤棒341、支持板金342、ホルダー343及び押圧バネ344が収納された状態において、当該潤滑剤棒341の少なくとも上部が当該収納ケース345の上面より上方に突出して塗布ローラー33の先端部と当接するようになっている。塗布ローラー33の回転によって潤滑剤棒341から潤滑剤が削り取られると、当該潤滑剤棒341の容積が減少し、これに伴い押圧バネ344が伸びることで潤滑剤棒341が迫り上がるようになっている。
【0050】
また、収納ケース345は、
図8(a)及び
図8(b)に示すように、当該収納ケース345を構成する底板345bがケース内において上下方向(突起343aが摺動する方向)に移動可能に設けられている。また、収納ケース345は、当該収納ケース345を構成する長手側の各側板345cの下部に挿通孔345c1が形成されている。挿通孔345c1は、底板345bに設けられている係止爪345b1を挿通させるための孔である。
【0051】
図8(a)に示すように、潤滑剤ユニット34がクリーニング部30に装着されている際は、収納ケース345を構成する底板345bの係止爪345b1が側板345cの挿通孔345c1を介して遮蔽ユニット35を構成する収納ケース354(後述)の内側側面に形成されている凹部354aに係止された状態となっている。
一方、
図8(b)に示すように、潤滑剤ユニット34をクリーニング部30から取り外す際は、収納ケース345の底板345bを下方から上方へ押し係止爪345b1と凹部354aとの係止状態を解除することで、潤滑剤ユニット34をクリーニング部30から引き出すことが可能となる。
【0052】
遮蔽ユニット35は、上流側粉体貯留部ST1や下流側粉体貯留部ST2に堆積された廃潤滑剤がクリーニング部30の外部に漏れ出たり塗布ローラー33に付着してしまうことを抑制するためのものである。具体的には、遮蔽ユニット35は、
図4に示すように、感光体21の回転方向における上流側に設けられた上流側遮蔽ユニット35Aと、下流側に設けられた下流側遮蔽ユニット35Bと、で構成されている。なお、上流側遮蔽ユニット35Aと下流側遮蔽ユニット35Bは、互いに潤滑剤ユニット34の中心軸を対称軸として対称的に設けられており、構成に関しては互いに同様の構成を有するため、以下、上流側遮蔽ユニット35Aの構成を代表して説明する。
【0053】
図6は、上流側遮蔽ユニット35Aの構成を示す概略図である。
図6に示すように、上流側遮蔽ユニット35Aは、遮蔽部材351と、操作部352と、先端部材353と、収納ケース354と、を備えている。
【0054】
遮蔽部材351は、例えば、ウレタンシート等のシート状部材で形成されている。また、遮蔽部材351は、塗布ローラー33や潤滑剤棒341よりも幅広に形成されている。
なお、遮蔽部材は、可撓性とシール性とを兼ね備えた部材であればよく、シート状部材に限定されるものではない。
【0055】
操作部352は、遮蔽部材351の開閉動作(切替動作)を行う際に用いられる操作部である。操作部352は、当該操作部352に貼り付けられた遮蔽部材351の先端における直線性を確保するため、例えば、金属部材(例えば、ステンレス鋼)や当該金属部材と同等の強度を有する樹脂部材等で形成されることが好ましい。
【0056】
操作部352は、後述する収納ケース354の長手方向の幅よりも長い棒状の部材で形成されおり、
図7に示すように、その断面が鉤状に形成されている。そして、この操作部352の側面には、遮蔽部材351の先端部が貼り付けられ、当該操作部352の上面(感光体21と当接する面)には、後述する先端部材353が貼り付けられている。なお、遮蔽部材351及び先端部材353は、例えば、両面テープによって操作部352に貼り付けられている。
【0057】
先端部材353は、可撓性を有する部材(例えば、ウレタンフォーム等)で形成されている。これは、操作部352の操作を介して遮蔽部材351が非遮蔽状態(後述)から遮断状態(後述)に切り替えられ、先端部材353が感光体21の表面に当接した際に、当該感光体21の表面を傷つけないようにするためである。
【0058】
収納ケース354は、遮蔽部材351を収納するためのケースである。また、収納ケース354は、
図8(a)及び
図8(b)に示すように、当該ケースの下部側面に凹部354aが下流側遮蔽ユニット35Bの収納ケース354に設けられている凹部354aと対向する位置に設けられている。凹部354aは、底板345bに形成されている係止爪345b1を係止させるためのものである。
【0059】
ガイド部材36は、遮蔽部材351の開閉動作(切替動作)をガイドするための部材である。具体的には、ガイド部材36は、上流側遮蔽ユニット35Aを構成する遮蔽部材351の開閉動作をガイドする上流側ガイド部材36Aと、下流側遮蔽ユニット35Bを構成する遮蔽部材351の開閉動作をガイドする下流側ガイド部材36Bと、で構成されている。なお、上流側ガイド部材36Aと下流側ガイド部材36Bは互いに形状が異なっているが、構成に関しては互いに同様の構成を有するため、以下、上流側ガイド部材36Aの構成を代表して説明する。
【0060】
上流側ガイド部材36Aは、柱状の部材であって上流側遮蔽ユニット35Aを構成する収納ケース354の縁(短手側の縁)上に立設されている。
図9(a)及び
図9(b)に示すように、上流側ガイド部材36Aの側面には、上流側遮蔽ユニット35Aを構成する遮蔽部材351の開閉動作(切替動作)を行う際に当該上流側遮蔽ユニット35Aを構成する操作部352の端部を摺動させる縦長のガイド孔361が形成されている。
【0061】
固定化ブレード37は、クリーニングブレード31と同様に、例えば、ポリウレタンゴムなどの弾性体を平板状に加工したものが用いられる。また、固定化ブレード37は、感光体21の表面を引きずることとなる方向に角度を成し、その先端が感光体21に摺擦するように設置されている。
この固定化ブレード37は、感光体21表面に供給された潤滑剤の粉を引き伸ばし、感光体21表面に成膜させて皮膜(潤滑剤層)を形成するためのものである。
なお、ステアリン酸亜鉛で形成された潤滑剤層は離型性が高く(純水接触角が高く)、摩擦係数が小さいことが特徴であるので、転写性およびクリーニング性がよく、また、感光体21の減耗も抑制されて長寿命化を図ることができる。
【0062】
次に、潤滑剤ユニット34を交換する際の作業手順について説明する。
【0063】
図4に示すように、潤滑剤ユニット34の交換当初においては、上流側遮蔽ユニット35Aの操作部352は、上流側ガイド部材36Aのガイド孔361下端の内周面に当接した状態、すなわち当該上流側遮蔽ユニット35Aの遮蔽部材351が収納ケース354に収納され、上流側粉体貯留部ST1とクリーニング部30の外部との接続が遮断されない非遮蔽状態にある。ただし、この潤滑剤ユニット34の交換当初においては、クリーニング部30に装着されている潤滑剤ユニット34自体によって当該潤滑剤ユニット34の取出口である開口部OP(
図11参照)が塞がれているため、上流側粉体貯留部ST1に堆積している廃潤滑剤がクリーニング部30の外部に漏れ出ないようになっている。また、このとき、上流側遮蔽ユニット35Aの操作部352は、当該操作部352の端部に設けられているクランプCLの締め付けによって上流側ガイド部材36Aに対して固定され非遮蔽状態が維持されるようになっている。つまり、上流側ガイド部材36Aは、クランプCLとともに、維持手段を構成している。
【0064】
また、潤滑剤ユニット34の交換当初においては、下流側遮蔽ユニット35Bの操作部352も、下流側ガイド部材36Bのガイド孔361下端の内周面に当接した状態、すなわち当該下流側遮蔽ユニット35Bの遮蔽部材351が収納ケース354に収納され、下流側粉体貯留部ST2とクリーニング部30の外部との接続が遮断されない非遮蔽状態にある。ただし、この潤滑剤ユニット34の交換当初においては、クリーニング部30に装着されている潤滑剤ユニット34自体によって当該潤滑剤ユニット34の取出口である開口部OP(
図11参照)が塞がれているため、下流側粉体貯留部ST2に堆積している廃潤滑剤がクリーニング部30の外部に漏れ出ないようになっている。また、上流側遮蔽ユニット35Aの操作部352と同様、下流側遮蔽ユニット35Bの操作部352は、クランプCLの締め付けによって下流側ガイド部材36Bに対して固定され非遮蔽状態が維持されるようになっている。つまり、下流側ガイド部材36Bは、クランプCLとともに、維持手段を構成している。
【0065】
次いで、潤滑剤ユニット34を交換する際、先ず、
図9(a)に示すように、上流側遮蔽ユニット35Aの操作部352の端部に設けられているクランプCLを緩め、当該操作部352の上流側ガイド部材36Aに対する固定を解除する。また、下流側遮蔽ユニット35Bについても、当該下流側遮蔽ユニット35Bの操作部352の端部に設けられているクランプCLを緩め、当該操作部352の下流側ガイド部材36Bに対する固定を解除する。
【0066】
次いで、上流側遮蔽ユニット35Aの操作部352を上流側ガイド部材36Aのガイド孔361上端の内周面に当接するまで持ち上げることによって、当該上流側遮蔽ユニット35Aの遮蔽部材351を非遮蔽状態から遮蔽状態に切り替える。このとき、
図9(b)に示すように、上流側遮蔽ユニット35Aの操作部352の端部に設けられているクランプCLを締め付けることによって当該操作部352を上流側ガイド部材36Aに対して固定し遮蔽状態が維持されるようにする。また、下流側遮蔽ユニット35Bについても、当該下流側遮蔽ユニット35Bの操作部352を下流側ガイド部材36Bのガイド孔361上端の内周面に当接するまで持ち上げることによって、当該下流側遮蔽ユニット35Bの遮蔽部材351を非遮蔽状態から遮蔽状態に切り替える。そして、下流側遮蔽ユニット35Bの操作部352の端部に設けられているクランプCLを締め付けることによって当該操作部352を下流側ガイド部材36Bに対して固定し遮蔽状態が維持されるようにする。
【0067】
図10は、上流側遮蔽ユニット35Aの遮蔽部材351と下流側遮蔽ユニット35Bの遮蔽部材351とがそれぞれ遮蔽状態に切り替えられた際のクリーニング部30を示す概略図である。
図10に示すように、上流側遮蔽ユニット35Aの遮蔽部材351が遮蔽状態に切り替えられることによって、上流側粉体貯留部ST1とクリーニング部30の外部との接続が遮断されるとともに、上流側粉体貯留部ST1と塗布ローラー33との接続も遮断された状態となる。一方、下流側遮蔽ユニット35Bの遮蔽部材351が遮蔽状態に切り替えられることによって、下流側粉体貯留部ST2とクリーニング部30の外部との接続が遮断されるとともに、下流側粉体貯留部ST2と塗布ローラー33との接続も遮断された状態となる。
【0068】
次いで、潤滑剤ユニット34の取り出し作業を行い易くすることを目的として、
図11に示すように、クリーニング部30全体を90度傾ける。続けて、
図8(b)に示すように、潤滑剤ユニット34の底板345bを押して係止爪345b1と凹部354aとの係止状態を解除することで、潤滑剤ユニット34をクリーニング部30から取り外す。潤滑剤ユニット34を取り外す際は、上述のように上流側遮蔽ユニット35Aと下流側遮蔽ユニット35Bの各遮蔽部材351が遮蔽状態に切り替えられているため、上流側粉体貯留部ST1や下流側粉体貯留部ST2に堆積された廃潤滑剤がクリーニング部30の外部に漏れ出たり塗布ローラー33や潤滑剤ユニット34に付着してしまうことを抑制することができる。
【0069】
なお、本実施形態では、上流側遮蔽ユニット35Aと下流側遮蔽ユニット35Bの各遮蔽部材351が遮蔽状態に切り替えられた際に、当該各遮蔽部材351が感光体21の表面に当接する構成としているが、
図12に示すように、上流側遮蔽ユニット35Aと下流側遮蔽ユニット35Bの各遮蔽部材351が遮蔽状態に切り替えられた際に、例えば、当該各遮蔽部材351を塗布ローラー33の表面に当接させる構成としてもよい。かかる場合、上流側粉体貯留部ST1と塗布ローラー33との接続、並びに、下流側粉体貯留部ST2と塗布ローラー33との接続は遮断されないが、上流側粉体貯留部ST1とクリーニング部30の外部との接続、並びに、下流側粉体貯留部ST2とクリーニング部30の外部との接続は遮断されることとなる。
【実施例1】
【0070】
次に、潤滑剤ユニット34の取出時(交換時)の廃潤滑剤による汚れ具合の評価、廃潤滑剤のこぼれ試験、及び、廃潤滑剤のこぼれ試験後の画像評価の各結果を、表1を用いて説明する。
【0071】
<実施条件>
[感光体ユニット]
感光体径:Φ60mm
クリーニングブレード:ウレタンゴム(カウンター当接)、定荷重方式(バネ)20N/m
塗布部材1(実施例1、実施例4、比較例2):塗布ブラシ(Φ12mm、パイル長2.5mm、斜毛処理なし(直毛)、感光体への押込量1.2mm)
塗布部材2(実施例2、実施例5、比較例1、比較例3):塗布ブラシ(Φ12mm、パイル長2.5mm、斜毛処理あり、感光体への押込量1.2mm)
塗布部材3(実施例3、実施例6、比較例4):発泡ローラー(Φ12mm、感光体への押込量1.0mm)
固定化ブレード:ウレタンゴム(トレーリング当接)、定変位方式 10N/m
潤滑剤棒(潤滑剤ユニット):ステアリン酸亜鉛製、固形棒状
押圧バネ(潤滑剤ユニット):両端圧縮バネ 総圧4N
ホルダー(潤滑剤ユニット):POM製
収納ケース(潤滑剤ユニット):SUS製、板厚1.0mm
[遮蔽部材]
実施例1~実施例6では、遮蔽部材として、ポリウレタンシート(0.07mm厚)を用い、先端部材として、発泡ウレタン(2mm角)を用いた。比較例1では、遮蔽部材無しとした。比較例2~比較例4では、遮蔽部材として、潤滑剤ユニットの収納ケース上面の開口を塞ぐ蓋(樹脂製)を用いた(上記特許文献1参照)。
[遮蔽態様]
実施例1~実施例3では、遮蔽部材によって開口部OPと塗布部材を遮蔽する態様、すなわち当該遮蔽部材を感光体21の表面に当接させる態様とした(
図10参照)。実施例4~実施例6では、遮蔽部材によって開口部OPを遮蔽する態様、すなわち当該遮蔽部材を塗布部材の表面に当接させる態様とした(
図12参照)。比較例2~比較例4では、遮蔽部材(蓋)によって潤滑剤ユニットの収納ケース上面の開口を塞ぐ態様とした。
【0072】
<評価方法>
[廃潤滑剤による汚れの評価]
コニカミノルタ製 bizhub PRESS 1070改造機にて印字率10%の文字/パッチ混在チャートを10000枚出力した後に潤滑剤ユニットを取り出し、その際の開口部OP近傍での廃潤滑剤による汚れ具合を評価した。
評価の基準として、廃潤滑剤による汚れが無い場合を「〇」、廃潤滑剤による汚れ(1mm2以上)があるが、作業者への当該廃潤滑剤の付着が無い場合を「△」、廃潤滑剤による汚れ(1mm2以上)があり、且つ、作業者への当該廃潤滑剤の付着がある場合を「×」とした。
【0073】
[廃潤滑剤のこぼれ試験]
廃潤滑剤のこぼれ試験は、JIS Z0202(包装貨物 落下試験方法)を簡易化した方法で実施した。
具体的には、先ず、潤滑剤交換時期にある感光体ユニット(感光体とクリーニング部によるユニット)を用意する。ここで、実施例1~6、並びに、比較例2~4については、それぞれの遮蔽態様によって遮蔽部材を遮蔽状態にする。
次いで、感光体ユニットを透明ポリ袋で覆い、発泡体が充填された直方体の段ボール箱に当該感光体ユニットを収納する。ここで、透明ポリ袋は、感光体ユニットを覆った後、密封状態とする。また、発泡体は、透明ポリ袋で覆われた感光体ユニットと段ボール箱とが互いに接触しないようにこれらの間に敷き詰める。また、透明ポリ袋で覆われた感光体ユニットを段ボール箱に収納する際は、開口部OPが当該段ボール箱の側面側に向くようにして収納する。
次いで、感光体ユニットを収納した段ボール箱の底面を下にして、5cmの高さ位置から落下させる。
次いで、落下させた段ボール箱を開封し、透明ポリ袋上で潤滑剤ユニットをクリーニング部から取り外した後、当該透明ポリ袋全面の色を目視で確認する。
評価の基準として、廃潤滑剤のこぼれが発生していない場合を「〇」、廃潤滑剤のこぼれが発生している場合を「×」とした。
【0074】
[廃潤滑剤のこぼれ試験後の画像評価]
上述した廃潤滑剤のこぼれ試験の後、新品の潤滑剤ユニットを取り付け、コニカミノルタ製 bizhub PRESS 1070改造機にてハーフトーン画像(A3サイズ)を出力する。そして、出力された画像全域を目視で確認し、FDスジ及び微小スジの有無を確認する。ここで、FDスジとは、通紙方向全域に亘って発生するスジをいう。微小スジとは通紙方法において部分的に発生するスジをいう。
評価の基準として、FDスジと微小スジ(1個/cm2未満)のいずれも発生していない場合を「◎」、FDスジは発生していないが、微小スジ(1個/cm2未満)が発生している場合を「○」、FDスジが発生している場合を「×」とした。
【0075】
【0076】
表Iに示す結果のとおり、廃潤滑剤による汚れの評価において、実施例1~実施例6では、廃潤滑剤による汚れは無かった。また、廃潤滑剤のこぼれ試験において、実施例1~実施例6では、廃潤滑剤のこぼれは発生しなかった。また、廃潤滑剤のこぼれ試験後の画像評価において、実施例1~実施例4では、FDスジと微小スジのいずれも発生せず、実施例5及び実施例6では、微小スジは発生したが、FDスジは発生しなかった。
【0077】
一方、廃潤滑剤による汚れの評価において、比較例1では、廃潤滑剤による汚れが確認されるとともに、作業者への当該廃潤滑剤の付着が確認された。また、比較例2~比較例4では、作業者への廃潤滑剤の付着は無かったものの廃潤滑剤による汚れが確認された。また、廃潤滑剤のこぼれ試験において、比較例1~比較例4では、廃潤滑剤のこぼれが発生した。また、廃潤滑剤のこぼれ試験後の画像評価において、比較例1、比較例3及び比較例4では、FDスジが発生し、比較例2では、微小スジは発生したが、FDスジは発生しなかった。
【0078】
以上のように、本実施形態に係る画像形成装置100のクリーニング部30は、潤滑剤を固形化した潤滑剤棒(固形潤滑剤)341を保持する潤滑剤ユニット(潤滑剤保持機構)34と、潤滑剤棒341に当接するように配設され潤滑剤棒341から削り取った潤滑剤を感光体(像担持体)21に塗布する塗布ローラー(潤滑剤塗布部材)33と、を備え、潤滑剤ユニット34は、クリーニング部30本体に対して着脱可能とし、上流側粉体貯留部ST1及び下流側粉体貯留部ST2によって、クリーニング部30内において飛散した廃潤滑剤(粉体)を貯留し、遮蔽部材351によって、潤滑剤ユニット34をクリーニング部30から取り外す際に形成される開口部OPを介して上流側粉体貯留部ST1及び下流側粉体貯留部ST2がクリーニング部30の外部と接続することを遮断する。
したがって、クリーニング部30によれば、遮蔽部材351によって、開口部OPを介して上流側粉体貯留部ST1及び下流側粉体貯留部ST2がクリーニング部30の外部と接続することを遮断することができるので、潤滑剤ユニット34を交換する際に、クリーニング部30内に堆積されている廃潤滑剤がクリーニング部30の外部へ漏れてしまうことを抑制することができる。
【0079】
また、本実施形態に係る画像形成装置100のクリーニング部30によれば、潤滑剤ユニット34がクリーニング部30本体に装着されている際は、当該潤滑剤ユニット34によって開口部OPが塞がれているので、クリーニング部30内に堆積されている廃潤滑剤がクリーニング部30の外部へ漏れてしまうことを抑制することができる。
【0080】
また、本実施形態に係る画像形成装置100のクリーニング部30は、潤滑剤ユニット34をクリーニング部30本体から取り外す際に、遮蔽部材351を非遮蔽状態から遮蔽状態に切り替えることで、開口部OPを介した上流側粉体貯留部ST1及び下流側粉体貯留部ST2のそれぞれとクリーニング部30の外部との接続を遮断する。
したがって、クリーニング部30によれば、通常時は遮蔽部材351を非遮蔽状態としておくことで、塗布ローラー33による感光体21への潤滑剤の塗布を円滑に行うことができる。
【0081】
また、本実施形態に係る画像形成装置100のクリーニング部30は、遮蔽状態に切り替えられた際に、上流側遮蔽ユニット35Aの遮蔽部材351の先端を塗布ローラー33に対して感光体21の回転方向における上流側の当該感光体21に当接させ、且つ、下流側遮蔽ユニット35Bの遮蔽部材351の先端を塗布ローラー33に対して感光体21の回転方向における下流側の当該感光体21に当接させる。
したがって、クリーニング部30によれば、遮蔽状態に切り替えられた際に、上流側粉体貯留部ST1と塗布ローラー33との接続、並びに、下流側粉体貯留部ST2と塗布ローラー33との接続を遮断することができるので、潤滑剤ユニット34をクリーニング部30本体から取り外す際に、上流側粉体貯留部ST1や下流側粉体貯留部ST2に堆積された廃潤滑剤が塗布ローラー33に付着することを抑制することができる。この結果、塗布ローラー33のブラシ内部に廃潤滑剤が入り込むことによる外径変化を抑制することができるので、潤滑剤の塗布ムラに起因するスジノイズの発生を抑制することができる。
【0082】
また、本実施形態に係る画像形成装置100のクリーニング部30によれば、遮蔽部材351の先端に可撓性を有した先端部材353が設けられているので、遮蔽部材351が非遮蔽状態から遮断状態に切り替えられ、先端部材353が感光体21の表面に当接した際に、当該感光体21の表面を傷つけないようにすることができる。
【0083】
また、本実施形態に係る画像形成装置100のクリーニング部30によれば、操作部352を備えるので、遮蔽部材351を非遮蔽状態と遮蔽状態とのうちのいずれかの状態に切り替える切替動作を円滑に行うことができる。
【0084】
また、本実施形態に係る画像形成装置100のクリーニング部30によれば、操作部352を所望の位置で維持するための維持手段としてのガイド部材36及びクランプCLを更に備えるので、通常時は遮蔽部材351を非遮蔽状態とする一方で、潤滑剤ユニット34の交換時は遮蔽部材351を遮蔽状態とするといったように、当該遮蔽部材351を状況に応じて適切な状態で維持することができる。
【0085】
また、本実施形態に係る画像形成装置100のクリーニング部30によれば、遮蔽部材351は、シート状部材であり、折り曲げ自在であるので、クリーニング部30内部が入り組んでいる場合であっても、当該遮蔽部材351の切替動作を適切に行うことができる。
【0086】
また、本実施形態に係る画像形成装置100のクリーニング部30によれば、潤滑剤ユニット34は、潤滑剤棒341と、潤滑剤棒341を塗布ローラー33に押し付けるための押圧バネ344と、収納ケース345と、を備えるので、潤滑剤棒341が塗布ローラー33に押し当てられた状態を維持することができる。この結果、潤滑剤ユニット34の交換頻度を減らすことができる。
【0087】
以上、本発明に係る実施形態に基づいて具体的に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
例えば、上記実施形態において、塗布ローラー33は、斜毛処理を施したブラシローラーを用いたが、例えば、直毛のブラシローラーや、ローラー表面が発泡体で形成された発泡ローラーを用いてもよい。
【0088】
また、上記実施形態において、遮蔽部材351は、非遮蔽状態に切り替えられた際に、例えば、蛇腹状に折り畳まれた状態や巻取られた状態で収納ケース354に収納されるようにしてもよい。
【0089】
また、上記実施形態において、上流側ガイド部材36Aは、上流側遮蔽ユニット35Aを構成する収納ケース354の短手側の一方の縁上に立設するようにしたが、上流側ガイド部材36Aを当該収納ケース354の短手側の他方の縁上にも立設することによって、上流側遮蔽ユニット35Aの操作部352の両端部をそれぞれガイドするようにしてもよい。また、下流側ガイド部材36Bも同様に、下流側遮蔽ユニット35Bを構成する収納ケース354の短手側の他方の縁上に下流側ガイド部材36Bを立設することによって、下流側遮蔽ユニット35Bの操作部352の両端部をそれぞれガイドするようにしてもよい。
【0090】
また、上記実施形態では、像担持体としてドラム状の感光体21を例に挙げて説明を行っているが、当該像担持体として転写ベルトを用いるようにしてもよい。
その他、画像形成装置を構成する各装置の細部構成及び各装置の細部動作に関しても、本発明の趣旨を逸脱することのない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0091】
100 画像形成装置
10 給紙部
G 画像形成部
20Y、20M、20C、20K 画像形成ユニット
21 感光体(像担持体)
30 クリーニング部(潤滑剤塗布装置)
31 クリーニングブレード
32 回収スクリュー
33 塗布ローラー(潤滑剤塗布部材)
34 潤滑剤ユニット(潤滑剤保持機構)
341 潤滑剤棒
342 支持板金
343 ホルダー
344 押圧バネ
345 収納ケース
35 遮蔽ユニット
35A 上流側遮蔽ユニット
35B 下流側遮蔽ユニット
351 遮蔽部材
352 操作部
353 先端部材
354 収納ケース
36 ガイド部材
36A 上流側ガイド部材
36B 下流側ガイド部材
361 ガイド孔
37 固定化ブレード
40 定着部
50 操作表示部
60 制御部(潤滑剤塗布装置)
70 記憶部
OP 開口部
ST1 上流側粉体貯留部(粉体貯留部)
ST2 下流側粉体貯留部(粉体貯留部)