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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-08
(45)【発行日】2024-05-16
(54)【発明の名称】駆動装置
(51)【国際特許分類】
   F16H 63/34 20060101AFI20240509BHJP
   H02K 9/19 20060101ALI20240509BHJP
   F16H 57/04 20100101ALI20240509BHJP
   B60T 1/06 20060101ALI20240509BHJP
【FI】
F16H63/34
H02K9/19 A
F16H57/04 J
B60T1/06 G
H02K9/19 B
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020136250
(22)【出願日】2020-08-12
(65)【公開番号】P2022032456
(43)【公開日】2022-02-25
【審査請求日】2023-05-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000232302
【氏名又は名称】ニデック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100188673
【弁理士】
【氏名又は名称】成田 友紀
(74)【代理人】
【識別番号】100179833
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 将尚
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(72)【発明者】
【氏名】中松 修平
(72)【発明者】
【氏名】水上 晋介
(72)【発明者】
【氏名】田村 翼
(72)【発明者】
【氏名】麻生 啓介
【審査官】木原 裕二
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-118264(JP,A)
【文献】特開2016-176501(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0076687(US,A1)
【文献】特開2018-027003(JP,A)
【文献】特表2019-528406(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 63/34
H02K 9/19
F16H 57/04
B60T 1/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸方向に沿って延びるモータシャフトを有するモータと、
前記モータシャフトの軸方向一方側で接続される伝達機構と、
前記伝達機構の駆動を制限するロック機構と、
前記モータ、前記伝達機構、および前記ロック機構を収容するハウジングと、
前記ハウジング内に貯留されるオイルと、
前記オイルを循環させる油路と、を備え、
前記ハウジングは、
前記モータを収納するモータ室と、
前記伝達機構および前記ロック機構を収容するギヤ室と、
前記モータ室と前記ギヤ室との間に設けられた隔壁と、を有し、
前記油路は、
当該油路中の前記オイルを圧送するポンプと、
前記オイルを前記モータに供給する第1供給流路と、
前記オイルを前記ロック機構に供給する第2供給流路と、を有し、
前記第1供給流路は、
前記隔壁の内部を壁面に沿って延びる壁内流路と、
前記壁内流路から軸方向他方側に延び、前記モータに前記オイルを供給するモータ供給流路と、を有し、
前記第2供給流路は、少なくとも前記伝達機構を径方向外側から囲む前記ギヤ室の壁部の内側面よりも径方向内側に配置されるとともに、前記壁内流路から前記隔壁を貫通するように軸方向一方側に延びて前記ギヤ室内に向かって開口し、
前記モータ供給流路は、前記モータを径方向外側から囲む前記モータ室の壁部の内側面よりも径方向内側に配置される、
駆動装置。
【請求項2】
前記ポンプは、前記第1供給流路中に設けられ、
前記第2供給流路は、前記ポンプの下流側にて、前記第1給流路から分岐して延びる、
請求項1に記載の駆動装置。
【請求項3】
前記ロック機構は、前記モータのロータに接続されるモータドライブシャフトの回転を
制限する、
請求項1または2に記載の駆動装置。
【請求項4】
前記ポンプは、前記駆動装置の下部に設けられており、
前記壁内流路は、
前記ポンプ側から前記モータの上側まで延びる第1経路と、
前記第1経路と前記モータ供給流路とに繋がる第2経路と、を有し、
前記第2供給流路は、前記第2経路に繋がる、
請求項1から3の何れか一項に記載の駆動装置。
【請求項5】
前記ロック機構は、
前記伝達機構の回転シャフトの外周面に設けられるロックギヤと、
前記ロックギヤの上側に位置し前記ロックギヤの歯部に上側から噛み合う噛合部と、
前記噛合部の上側に位置し前記噛合部を上下に駆動させる駆動部と、を有する、
請求項1~の何れか一項に記載の駆動装置。
【請求項6】
前記第2供給流路の開口は、前記ロックギヤより上側に位置する、
請求項に記載の駆動装置。
【請求項7】
前記第2供給流路の開口方向から見て、前記第2供給流路の開口と前記駆動部と、が軸方向に重なる、
請求項に記載の駆動装置。
【請求項8】
前記ポンプは、電動ポンプである、
請求項1~の何れか一項に記載の駆動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年における環境対応車両として、モータユニットを駆動源とする電気自動車、ハイブリッド自動車等が普及し始めている。このようなモータユニットとして、パーキングロック装置を備えるものが知られる。特許文献1には、パーキングギヤと、パーキングギヤの溝に噛み合ってパーキングギヤの回転を阻止するロックアームと、を備えるロック機構が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-190299号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来構造のロック機構は、オイル溜りのオイルに浸かるように配置される。これによりロック機構は、オイルが十分に供給された状態が保たれ、ロック状態と解除状態との円滑な移行を実現する。このため、従来構造のロック機構は、オイルに浸けるために収容空間内の下部領域に配置する必要があった。
【0005】
上記事情に鑑み、本発明は、ロック機構に十分なオイルを供給でき、しかもロック機構の配置の自由度を高めることができる駆動装置を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のモータユニットの一つの態様は、軸方向に沿って延びるモータシャフトを有するモータと、前記モータシャフトの軸方向一方側で接続される伝達機構と、前記伝達機構の駆動を制限するロック機構と、前記モータ、前記伝達機構、および前記ロック機構を収容するハウジングと、前記ハウジング内に貯留されるオイルと、前記オイルを循環させる油路と、を備える。前記ハウジングは、前記モータを収納するモータ室と、前記伝達機構および前記ロック機構を収容するギヤ室と、前記モータ室と前記ギヤ室との間に設けられた隔壁と、を有する。前記油路は、当該油路中の前記オイルを圧送するポンプと、前記オイルを前記モータに供給する第1供給流路と、前記オイルを前記ロック機構に供給する第2供給流路と、を有する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一つの態様によれば、ロック機構に十分なオイルを供給でき、ロック機構の配置の自由度を高めることができる駆動装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、一実施形態のモータユニット(駆動装置)を模式的に示す概念図である。
図2図2は、一実施形態のロック機構およびハウジングの斜視図である。
図3図3は、一実施形態のロック機構およびハウジングの正面図である。
図4図4は、変形例1のモータユニットの概念構成図である。
図5図5は、変形例2のモータユニットの概念構成図である。
図6図6は、変形例3のモータユニットの概念構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下の説明では、本実施形態のモータユニット1が水平な路面上に位置する図示しない車両に搭載された場合の位置関係を基に、鉛直方向を規定して説明する。また、図面においては、適宜3次元直交座標系としてXYZ座標系を示す。XYZ座標系において、Z軸方向は、鉛直方向である。+Z側は、鉛直方向上側であり、-Z側は、鉛直方向下側である。本実施形態では、鉛直方向上側を単に「上側」と呼び、鉛直方向下側を単に「下側」と呼ぶ。X軸方向は、Z軸方向と直交する方向であって、モータユニット1が搭載される車両の前後方向である。本実施形態において、+X側は、車両の前側であり、-X側は、車両の後側である。Y軸方向は、X軸方向とZ軸方向との両方と直交する方向であって、車両の左右方向、すなわち車幅方向である。本実施形態において、+Y側は、車両の左側であり、-Y側は、車両の右側である。Y軸方向は、後述するモータ軸線J1の軸方向に相当する。前後方向および左右方向は、鉛直方向と直交する水平方向である。本実施形態において、+Y側は、軸方向一方側に相当し、-Y側は、軸方向他方側に相当する。
【0010】
各図に適宜示すモータ軸線J1は、Y軸方向、すなわち車両の左右方向に延びる。本実施形態では、特に断りのない限り、モータ軸線J1に平行な方向を単に「軸方向」と呼び、モータ軸線J1を中心とする径方向を単に「径方向」と呼び、モータ軸線J1を中心とする周方向、すなわち、モータ軸線J1の軸回りを単に「周方向」と呼ぶ。本実施形態において、軸方向一方側(+Y側)は、軸方向のうち、後述するハウジング6のモータ収容部61からギヤ収容部62へ向かう方向である。軸方向他方側(-Y側)は、軸方向のうち、ギヤ収容部62からモータ収容部61へ向かう方向である。なお、本実施形態において、「平行な方向」は略平行な方向を含み、「直交する方向」は略直交する方向を含む。
【0011】
図1は、モータユニット(駆動装置)1を模式的に示す概念図である。本実施形態のモータユニット1は、ハイブリッド自動車(HEV)、プラグインハイブリッド自動車(PHV)、電気自動車(EV)等、モータを動力源とする車両に搭載され、その動力源として使用される。
【0012】
モータユニット1は、モータ2と、減速装置4および差動装置5を含むギヤ部(伝達機構)3と、ロック機構80と、ハウジング6と、オイルOと、油路90と、を備える。油路90は、第1の油路91と第2の油路(油路)92とを含む。
【0013】
ハウジング6は、モータ2、ギヤ部3、およびロック機構80を収容する。ハウジング6は、モータ2を収容するモータ収容部(モータ室)61と、ギヤ部3およびロック機構80を収容するギヤ収容部(ギヤ室)62と、モータ収容部61とギヤ収容部62との間に設けられる隔壁61cと、を有する。ギヤ収容部62は、モータ収容部61の軸方向一方側(+Y側)に位置する。
【0014】
モータ収容部61は、モータ2の下側に位置する底部61sを有する。同様に、ギヤ収容部62は、ギヤ部3の下側に位置する底部62sを有する。モータ収容部61の底部61sは、ギヤ収容部62の底部62sより上側に位置する。
【0015】
隔壁61cは、モータ収容部61とギヤ収容部62とを区画する。隔壁61cは、モータ軸線J1と直交する平面に沿って延びる。隔壁61cには、隔壁開口68が設けられる。隔壁開口68は、モータ収容部61の内部とギヤ収容部62の内部とを繋ぐ。
【0016】
ハウジング6内には、オイルOが貯留される。また、オイルOは、油路90内を循環する。すなわち、油路90は、オイルOを循環させる。オイルOは、モータ2の冷却用の冷媒として機能するのみならず、ギヤ部3の潤滑用としても機能する。オイルOとしては、潤滑油および冷却油の機能を奏するために、比較的粘度の低いオートマチックトランスミッション用潤滑油(ATF:Automatic Transmission Fluid)と同等のオイルを用いることが好ましい。
【0017】
ギヤ収容部62の内部空間の下部領域には、オイルOが溜るオイル溜りPが設けられる。オイル溜りPのオイルOは、油路90によってモータ収容部61の内部に送られる。モータ収容部61の内部に送られたオイルOは、モータ収容部61の内部の下部領域に滴下された後に隔壁開口68を介してギヤ収容部62に移動し、オイル溜りPに戻る。
【0018】
モータ2は、ロータ20と、ステータ30と、を備える。本実施形態においてモータ2は、インナーロータ型のモータである。ロータ20は、水平方向に延びるモータ軸線J1を中心として回転可能する。ロータ20は、シャフト(モータシャフト、モータドライブシャフト、回転シャフト)21と、ロータ本体24と、を有する。すなわち、モータ2は、シャフト21を有する。図示は省略するが、ロータ本体24は、ロータコアと、ロータコアに固定されるロータマグネットと、を有する。ロータ20のトルクは、ギヤ部3に伝達される。
【0019】
シャフト21は、モータ軸線J1を中心として軸方向に沿って延びる。シャフト21は、モータ軸線J1を中心として回転する。シャフト21は、内部に中空部22が設けられた中空シャフトである。シャフト21には、連通孔23が設けられる。連通孔23は、径方向に延びて中空部22とシャフト21の外部とを繋ぐ。
【0020】
シャフト21は、ハウジング6のモータ収容部61とギヤ収容部62とに跨って延びる。シャフト21の左側の端部は、ギヤ収容部62の内部に突出する。シャフト21の左側の端部には、ギヤ部3の後述する第1のギヤ41が固定される。
【0021】
ステータ30は、ロータ20と径方向に隙間をあけて対向する。ステータ30は、ロータ20の径方向外側に位置する。ステータ30の外周面は、ハウジング6の内周面と対向する。ステータ30は、ステータコア32と、ステータコア32に装着されるコイル31と、を有する。ステータコア32は、モータ収容部61の内側面に固定される。コイル31は、図示しないインシュレータを介してステータコア32の各ティース部にそれぞれ装着される。
【0022】
ギヤ部3は、ハウジング6のギヤ収容部62に収容される。ギヤ部3は、モータ2に接続される。より詳細には、ギヤ部3は、シャフト21の軸方向一方側で接続される。ギヤ部3は、減速装置4と、差動装置5と、を有する。モータ2から出力されるトルクは、減速装置4を介して差動装置5に伝達される。
【0023】
減速装置4は、モータ2に接続される。減速装置4は、モータ2の回転速度を減じて、モータ2から出力されるトルクを減速比に応じて増大させる。減速装置4は、モータ2から出力されるトルクを差動装置5へ伝達する。減速装置4は、第1のギヤ41と、第2のギヤ42と、第3のギヤ43と、中間シャフト45と、を有する。
【0024】
第1のギヤ41は、シャフト21の左側の端部における外周面に固定される。第1のギヤ41は、シャフト21とともに、モータ軸線J1を中心に回転する。中間シャフト45は、モータ軸線J1と平行な中間軸線J2に沿って延びる。中間シャフト45は、中間軸線J2を中心として回転する。第2のギヤ42および第3のギヤ43は、中間シャフト45の外周面に、軸方向に互いに間隔をあけて固定される。第2のギヤ42と第3のギヤ43とは、中間シャフト45を介して互いに接続される。第2のギヤ42および第3のギヤ43は、中間軸線J2を中心として回転する。第2のギヤ42は、第1のギヤ41に噛み合う。第3のギヤ43は、差動装置5の後述するリングギヤ51と噛み合う。
【0025】
モータ2から出力されるトルクは、シャフト21、第1のギヤ41、第2のギヤ42、中間シャフト45および第3のギヤ43をこの順に介して差動装置5のリングギヤ51へ伝達される。各ギヤのギヤ比およびギヤの個数等は、必要とされる減速比に応じて適宜変更可能である。本実施形態において減速装置4は、各ギヤの軸芯が平行に配置される平行軸歯車タイプの減速機である。
【0026】
差動装置5は、減速装置4を介してモータ2に接続される。差動装置5は、モータ2から出力されるトルクを車両の車輪に伝達するための装置である。差動装置5は、車両の旋回時に、左右の車輪の速度差を吸収しつつ、左右両輪の車軸55に同トルクを伝える。このように、本実施形態においてギヤ部3は、減速装置4および差動装置5を介して、車両の車軸55にモータ2のトルクを伝達する。差動装置5は、リングギヤ51と、図示しないギヤハウジングと、図示しない一対のピニオンギヤと、図示しないピニオンシャフトと、図示しない一対のサイドギヤと、を有する。リングギヤ51は、モータ軸線J1と平行な差動軸線J3を中心として回転する。リングギヤ51には、モータ2から出力されるトルクが減速装置4を介して伝えられる。
【0027】
ロック機構80は、ギヤ部3の駆動を制限する。ロック機構80は、ロック状態と解除状態の間を移行可能である。ロック機構80は、ロック状態においてギヤ部3をロックし、モータユニット1が搭載される車両の移動を抑制する。一方で、ロック機構80は、解除状態においてギヤ部3の駆動を制限しない。
【0028】
図2は、ロック機構80およびハウジング6の一部を示す斜視図である。ロック機構80は、ロックギヤ81と、ロックアーム82と、支持シャフト86と、駆動部87と、を有する。なお、図2において、分かり易さのため、駆動部87を二点差鎖線で示す。図2において、ロック機構80は、解除状態である。
【0029】
ロックギヤ81は、伝達機構のシャフト21の外周面に設けられる。本実施形態のロックギヤ81は、モータ軸線J1を中心とする円環状であり、シャフト21の外周面に嵌合される。ロックギヤ81は、軸方向において、第1のギヤ41と隔壁61cとの間に配置される。ロックギヤ81の外周には、周方向に沿って並ぶ複数の歯部81bが設けられる。歯部81bは、径方向外側に突出する。
【0030】
支持シャフト86は、モータ軸線J1と平行に延びる。支持シャフト86は、ロックアーム82を回転可能に支持する。支持シャフト86には巻きバネ86bが装着される。巻きバネ86bは、ロックアーム82に対して、先端側を上側に退避させる方向の弾性力を加える。
【0031】
ロックアーム82は、ロックギヤ81の上側に配置される。ロックアーム82は、支持シャフト86に支持される基端部82bと、基端部82bから車両前後方向に沿って延びるアーム本体83と、アーム本体83の先端に位置する噛合部84および連結部85と、を有する。噛合部84は、アーム本体83に対し下側に配置される。一方で、連結部85は、アーム本体83に対し上側に配置される。ロックアーム82は、連結部85において、駆動部87に連結される。
【0032】
噛合部84は、ロックギヤ81の上側に位置する。噛合部84は、アーム本体83から下側に突出する。噛合部84は、ロックギヤ81の外周面に上側から対向する。ロックアーム82が、支持シャフト86回りを回転することで、噛合部84は、上下方向に移動する。ロック状態のロック機構80において、噛合部84は、ロックギヤ81の歯部81b同士の間に嵌る。すなわち、ロック機構80は、ロックギヤ81の歯部81bに上側から噛み合う噛合部84を有する。解除状態のロック機構80において、噛合部84は、ロックギヤ81から退避する。
【0033】
駆動部87は、噛合部84の上側に位置する。駆動部87は、ロックアーム82を上下に駆動させる。これにより、駆動部87は、噛合部84を上下に駆動させる。
【0034】
本実施形態の駆動部87は、電気により駆動する。すなわち、本実施形態のロック機構80は、電動化されている。これにより、運転者の操作性が向上する。
なお、ロック機構80は、シフトバイワイヤシステムを用いた電動式に変えて、手動式としてもよい。すなわち、運転者が、パーキングレバーに接続されたワイヤーを機械的に引っ張ることによって、噛合部84を駆動させてもよい。
【0035】
駆動部87は、駆動シャフト88と、アクチュエータ89と、を有する。駆動シャフト88は、上下方向に延びる駆動部軸線J4を中心として上下方向に延びる。駆動シャフト88は、上端部においてアクチュエータ89に連結され、下端部においてロックアーム82の連結部85に連結される。
【0036】
アクチュエータ89は、駆動シャフト88を駆動部軸線J4に沿って上下に駆動させる。本実施形態のアクチュエータ89は、例えば、ソレノイドアクチュエータである。なお、本実施形態では、アクチュエータ89が、駆動シャフト88を駆動部軸線J4に沿って直動運動させる場合について説明したが、他の運動をさせるものであってもよい。
【0037】
本実施形態によれば、ロック機構80がシャフト21に取り付けられる。モータ2の動力は、シャフト21からギヤ部3の各ギヤで徐々に減速されて出力される。このため、シャフト21、中間シャフト45、および車軸55が伝達するトルクは、この順に大きくなる。すなわち、伝達トルクは、シャフト21において最も小さい。このため、ロック機構80をシャフト21に取り付けることで、ロック機構80が回転を規制するトルクを小さくすることができる。これにより、ロック機構80の小型化を図ることができる。また、ロック機構80をシャフト21に取り付けることで、ロック機構80を軸方向から見て、モータ2と重ねて配置できる。これにより、モータユニット1の軸方向への投影面積を小さくして、モータユニット1の小型化を図ることができる。なお、これらの効果は、ロック機構80によって回転を制限されるシャフトが、モータ2のロータ20に接続されロータ20とともにモータ軸線J1周りを回転するシャフトであれば得ることができる。
【0038】
本実施形態のロック機構80によれば、駆動部87、噛合部84およびロックギヤ81は、上下方向に並んで配置される。このため、ロック機構80が車両前後方向において小型化され、さらにモータユニット1の車両前後方向の寸法の肥大化が抑制される。
【0039】
油路90は、ハウジング6内を通り、オイルOを循環させる。油路90は、オイル溜りPからオイルOをギヤ部3およびモータ2に供給し、再びオイル溜りPに導くオイルOの経路である。油路90は、モータ収容部61の内部とギヤ収容部62の内部とに跨って設けられる。
【0040】
なお、本明細書において「油路」とは、オイルの経路を意味する。「油路」とは、定常的に一方向に向かうオイルの流動を作る「流路」のみならず、オイルを一時的に滞留させる経路およびオイルが滴り落ちる経路をも含む概念である。オイルを一時的に滞留させる経路とは、例えば、オイルを貯留するリザーバ等を含む。
【0041】
油路90は、第1の油路91と、第2の油路92と、を有する。第1の油路91および第2の油路92は、それぞれハウジング6の内部でオイルOを循環させる。
【0042】
まず、第1の油路91と第2の油路92との共通部分について説明する。第1の油路91および第2の油路92は、ともにオイル溜りPからオイルOをモータ2に供給して、再びオイル溜りPに回収する経路である。第1の油路91および第2の油路92において、オイルOは、モータ2から滴下して、モータ収容部61内の下部領域に溜る。モータ収容部61内の下部領域に溜ったオイルOは、隔壁開口68を介して、ギヤ収容部62内の下部領域(すなわち、オイル溜りP)に移動する。すなわち、第1の油路91および第2の油路92は、オイルOをモータ収容部61内の下部領域からギヤ収容部62内の下部領域に移動させる経路を含む。
【0043】
第1の油路91は、かき上げ経路91uと、シャフト供給経路91dと、シャフト内経路91tと、ロータ内経路91qと、を有する。また、第1の油路91の経路中には、リザーバ93が設けられる。リザーバ93は、ギヤ収容部62内に設けられる。
【0044】
かき上げ経路91uは、差動装置5のリングギヤ51の回転によってオイル溜りPからオイルOをかき上げて、リザーバ93でオイルOを受ける経路である。リザーバ93は、上側に開口する。リザーバ93は、リングギヤ51がかき上げたオイルOを受ける。また、モータ2の駆動直後などオイル溜りPの液面Sが高い場合等には、リザーバ93は、リングギヤ51に加えて第2のギヤ42および第3のギヤ43によってかき上げられたオイルOも受ける。
【0045】
かき上げ経路91uにおいて、リングギヤ51によってかき上げられたオイルOは、ギヤ部3の各ギヤに供給されてギヤの歯面に行き渡る。本実施形態によれば、油路90は、ギヤ収容部62の内部を通過する。これにより、オイルOを、モータ2の冷却用として使用するのみならず、ギヤ部3の各ギヤおよび各ベアリングの潤滑に使用することができる。
【0046】
シャフト供給経路91dは、リザーバ93からシャフト21の中空部22にオイルOを誘導する経路である。シャフト内経路91tは、シャフト21の中空部22内をオイルOが通過する経路である。ロータ内経路91qは、シャフト21の連通孔23からロータ本体24の内部を通過して、ステータ30に飛散するオイルOの経路である。
【0047】
シャフト内経路91tにおいて、ロータ20の内部のオイルOには、ロータ20の回転に伴い遠心力が作用する。これにより、オイルOは、ロータ20から径方向外側に連続的に飛散する。また、オイルOの飛散に伴い、ロータ20内部の経路が負圧となり、リザーバ93に溜るオイルOがロータ20の内部に吸引され、ロータ20内部の経路にオイルOが満たされる。ステータ30に到達したオイルOは、ステータ30から熱を奪う。
【0048】
第2の油路92においてオイルOは、オイル溜りPから引き上げられてステータ30とロック機構80とに供給される。第2の油路92は、ポンプ96と、クーラー97と、第1供給流路11と、第2供給流路12と、を有する。第1供給流路11は、オイルOをモータ2に供給する。モータ2に供給されたオイルOは、モータ2を冷却する。一方で、第2供給流路12は、オイルOをロック機構80に供給する。ロック機構80に供給されたオイルOは、ロック機構80の潤滑性を高める。
【0049】
ここで、第1供給流路11および第2供給流路12は、一方向に一定の流れでオイルOが流れる「流路」である。このため、第1供給流路11および第2供給流路12は、ギヤによってかき上げられて対象部位に供給されるような経路を含まない概念である。
【0050】
第1供給流路11中には、ポンプ96、クーラー97および供給管10が設けられる。第1供給流路11は、第1の流路11uと、第2の流路11dと、第3の流路11tと、第4の流路(壁内流路)11qと、供給管内流路(モータ供給流路)11cと、噴出孔11sと、を有する。
【0051】
第1の流路11u、第2の流路11d、第3の流路11t、および第4の流路11qは、ハウジング6の壁内に設けられる。第1の流路11uは、オイル溜りPとポンプ96とを繋ぐ。第2の流路11dは、ポンプ96とクーラー97とを繋ぐ。第3の流路11tは、クーラー97と第4の流路11qとを繋ぐ。第3の流路11tは、であってモータ2を径方向外側から囲むモータ収容部61の壁部に設けられる。
【0052】
第4の流路11qは、隔壁61cの内部を壁面に沿って延びる。第4の流路11qは、供給管10に繋がる。つまり第4の流路11qは、第3の流路11tと供給管10とを繋ぐ。第4の流路11qの具体的な構成については、後段で詳細に説明する。
【0053】
供給管内流路11cは、モータ2に上側からオイルOを供給する。供給管内流路11cは、供給管10の内部のオイルOの流路である。供給管内流路11cは、第4の流路11qから軸方向他方側に延びる。図1において図示を省略するが、本実施形態の第2の油路92には、並列して延びる2本の供給管10が設けられる。したがって、第1供給流路11は、2つの供給管内流路11cを有する。
【0054】
供給管10は、軸方向に沿って延びるパイプ状である。供給管10は、モータ収容部61の内周面とステータ30の外周面との間に配置される。供給管10は、ステータ30の上側に位置する。供給管10の基端側(軸方向一方側)の端部は、隔壁61cに固定される。供給管10の先端側(軸方向他方側)の端部は、モータ収容部61の内周面に固定される。
【0055】
供給管10は、周壁を貫通する複数の噴出孔11sを有する。噴出孔11sは、供給管10の内外を連通させる。噴出孔11sは、供給管内流路11cを流れるオイルOを、モータ2に噴出する。複数の噴出孔11sは、互いに間隔をあけて軸方向に並ぶ。複数の噴出孔11sからそれぞれオイルOが噴出するため、オイルOは、広範囲にわたってモータ2を冷却する。
【0056】
ポンプ96は、第2の油路92中のオイルOを圧送する。本実施形態において、ポンプ96は、電気により駆動する電動ポンプである。ポンプ96は、モータユニット1の下部に設けられる。ポンプ96は、第1の流路11uを介してオイル溜りPからオイルOを吸い上げて、第2の流路11d、クーラー97、第3の流路11tを介し、第4の流路11qにオイルOを供給する。
【0057】
クーラー97には、第1の流路11uおよび第2の流路11dが接続される。第1の流路11uおよび第2の流路11dは、クーラー97の内部流路を介して繋がる。クーラー97には、ラジエーター(図示略)で冷却された冷却水を通過させる冷却水用配管98が接続される。クーラー97の内部を通過するオイルOは、冷却水用配管98を通過する冷却水との間で熱交換されて冷却される。なお、冷却水用配管98の経路中には、モータ2を制御するインバータ(図示略)が配置されていてもよい。この場合、冷却水用配管98を通過する冷却水は、オイルOに加えて、インバータを冷却する。
【0058】
第2供給流路12は、ポンプ96の下流側にて、第1供給流路11から分岐して延びる。第2供給流路12は、隔壁61cに設けられる。第2供給流路12は、第1供給流路11の第4の流路11qから隔壁61cを貫通するように軸方向一方側に延びる。第2供給流路12は、ギヤ収容部62内に向かって開口する。本実施形態によれば、隔壁61cを板厚方向に穿孔することで、容易に第2供給流路12を成形することができる。なお、本実施形態において、オイル溜りPからオイルOを吸い上げて、第2の流路11d、クーラー97、第2の油路92は、第3の流路11tを介し、第4の流路11qにオイルOを供給する。ここでは、第2の油路92において、第2の流路11d、クーラー97、第3の流路11t、第4の流路11qのうち、オイル溜りPに近い流路を上流側、オイル溜りPより遠い流路を下流側と定義する。
【0059】
図2に示すように、第2供給流路12の開口は、ロック機構80に対向する。第2供給流路12を流れるオイルOは、第2供給流路112を通りロック機構80に向かって噴射される。ロック機構80に噴射されたオイルOは、ロック機構80の表面を伝ってロック機構80の潤滑性を高めながら下側に滴下され、オイル溜りPに戻る。
【0060】
ロック機構80は、車両が駐車される場合に、運転者によってロック状態にされる。この状態で、車両が長期間放置されると、ロック機構80の各部材同士の接触部分の潤滑性が低下し、ロック機構80の解除が円滑に行われない虞がある。また、ロック機構80が解除されないと、ギヤ部3の各ギヤおよびシャフトが駆動しない。ロック機構80が解除されない限り、ギヤによるオイルOのかき上げが生じることがなくロック機構80にオイルOが供給されない。
【0061】
本実施形態によれば、ロック機構80は、モータ2およびギヤ部3の駆動に依存しない供給経路(第2の油路92)によってオイルOを供給される。このため、モータ2の駆動前に、ロック機構80の潤滑性を十分に高め、ロック機構80を円滑に動作させることができる。
【0062】
本実施形態によれば、オイルOは、第1供給流路11を経てモータ2に供給されモータ2を冷却する。さらに、オイルOは、第2供給流路12を経てロック機構80に供給されロック機構80の潤滑性を高める。すなわち、本実施形態によれば、第2の油路92を流れるオイルOが、モータ2の冷媒としても、ロック機構80の潤滑油としても利用される。
【0063】
本実施形態によれば、第2の油路92には、ロック機構80のためのオイルOの供給流路(第2供給流路12)が設けられる。このため、オイル溜りPに浸けることロック機構80の潤滑性を高める場合などと比較して、ロック機構80をギヤ収容部62の下部領域に配置する必要がなく、ロック機構80の配置の自由度が高まる。より具体的には、ロック機構80を、低トルクで回転するシャフト21に取り付けることができ、ロック機構80の小型化を図ることができる。
【0064】
本実施形態によれば、第2供給流路12は、ポンプ96の下流側にて、第1供給流路11から分岐して延びる。したがって、ポンプ96は、第1供給流路11および第2供給流路12内のオイルOを圧送する。本実施形態によれば、第2の油路92は、1つのポンプ96によって、モータ2とロック機構80とにオイルOを供給できる。
【0065】
図3は、ロック機構80およびハウジング6の正面図である。図3において、隔壁61cに設けられる第1供給流路11および第2供給流路12を破線で示す。また、図3において、分かり易さのため、駆動部87を二点差鎖線で示す。
【0066】
第2供給流路12は、ロック機構80の駆動シャフト88に向かって延びる。すなわち、第2供給流路12の開口方向から見て、第2供給流路12の開口は、駆動シャフト88に重なる。また、駆動シャフト88の下側には、ロックアーム82の噛合部84と、ロックギヤ81が配置される。このため、第2供給流路12の開口から噴射されたオイルOは、駆動シャフト88の表面を伝って、噛合部84およびロックギヤ81に供給される。
【0067】
本実施形態によれば、第2供給流路12の開口方向から見て、第2供給流路12の開口と駆動部87と、が重なる。これにより、オイルOは、駆動部87に供給されるのみならず、駆動部87の下側に位置する噛合部84およびロックギヤ81にも供給される。したがって、オイルOが、ロック機構80の様々な部位の潤滑性を高めることができる。特に、本実施形態において、駆動シャフト88は、上下方向に延びる。このため、駆動シャフト88の表面を伝ったオイルOは、駆動シャフト88の直下に位置する噛合部84に確実に供給される。このため、車両の傾きなどに依存せず、噛合部84とロックギヤ81との潤滑性を高めることができる。さらに、本実施形態によれば、第2供給流路12の開口が、ロックギヤ81より上側に位置するため、重力を利用してオイルOをロックギヤ81の広範囲に供給することができる。
【0068】
図3に示すように、第2供給流路12の第4の流路11qは、第1経路15と第2経路16とを有する。第1経路15は、第2経路16に対して上流側に配置される。第1経路15および第2経路16は、それぞれ直線状に延びる。第1経路15および第2経路16は、互いに繋がる。第1経路15および第2経路16は、それぞれ隔壁61cを壁面に沿って穿孔することで成形される。
【0069】
第1経路15は、ポンプ96側からモータ2の上側まで延びる。第2経路16は、水平方向に沿って延びる。第2経路16は、第1経路15と2つの供給管内流路11cとに繋がる。
【0070】
第2供給流路12は、2つの供給管内流路11cの接続部の間において、第2経路16に繋がる。2つの供給管内流路11cは、隔壁61cから軸方向他方側に延びる。一方で、第2供給流路12は、隔壁61cから軸方向一方側に延びる。
【0071】
本実施形態によれば、ポンプ96は、モータユニット1の下部に設けられる。また、第1経路15がポンプ96側からモータ2の上側に延び、さらに第2経路16が第1経路15から水平に延びる。2つの供給管内流路11cと第2経路16は、第2経路16に繋がる。これにより、オイルOを、モータ2およびロック機構80の上側から重量方向下側にオイルOを供給できる。
【0072】
次に、本実施形態の様々な変形例について、概念構成図を基に説明する。各変形例は、主に第2供給流路12の構成が異なる。なお、上述の実施形態と同一態様の構成要素については、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0073】
(変形例1)
図4は、変形例1のモータユニット(駆動装置)101の概念構成図である。
上述の実施形態と同様に、第2の油路192は、ポンプ96と、クーラー97と、オイルOをモータ2に供給する第1供給流路111と、オイルOをロック機構80に供給する第2供給流路112と、を有する。
【0074】
本変形例の第1供給流路111中には、ポンプ96、クーラー97および供給管10が設けられる。第1供給流路111は、第1の流路111uと、第2の流路111dと、第3の流路111tと、供給管内流路(モータ供給流路)111cと、噴出孔111sと、を有する。
【0075】
第1の流路111u、第2の流路111d、および第3の流路111tは、ハウジング6の外部を通過する。第1の流路111uは、オイル溜りPとポンプ96とを繋ぐ。第2の流路111dは、ポンプ96とクーラー97とを繋ぐ。第3の流路111tは、クーラー97と供給管内流路111cとを繋ぐ。第3の流路111tは、ハウジング6の軸方向他方側からハウジング6に接続される。
【0076】
モータ収容部61の内部であってモータ2の上側には、供給管10が配置される。供給管10の内部には、供給管内流路111cが設けられる。第3の流路111tは、供給管内流路111cに接続される。
【0077】
供給管内流路111cは、軸方向他方側から軸方向一方側に向かって流れるオイルOの流路である。供給管10には、複数の噴出孔111sを有する。噴出孔111sは、供給管内流路111cを流れるオイルOを、モータ2に噴出する。供給管10は、オイルOの下流側で、隔壁61cに接続される。隔壁61cには、第2供給流路112が設けられる。第2供給流路112は、隔壁61cを軸方向に貫通する。第2供給流路112の開口は、ロック機構80に対向する。第2供給流路112を流れるオイルOは、ギヤ収容部62内のロック機構80に向かって噴射される。
【0078】
本変形例によれば、第2供給流路112は、第1供給流路111の下流側の末端に接続される。また、本変形例によれば、第1供給流路111の一部は、ハウジング6の外部を通過する。第1供給流路111および第2供給流路112は、本変形例に示す構成であってもよい。
【0079】
(変形例2)
図5は、変形例2のモータユニット(駆動装置)201の概念構成図である。
上述の実施形態と同様に、第2の油路292は、ポンプ96と、クーラー97と、オイルOをモータ2に供給する第1供給流路211と、オイルOをロック機構80に供給する第2供給流路212と、を有する。
【0080】
本変形例の第1供給流路211中には、ポンプ96、クーラー97および供給管210が設けられる。第1供給流路211は、第1の流路211uと、第2の流路211dと、第3の流路211tと、供給管内流路(モータ供給流路)211cと、噴出孔211sと、を有する。
【0081】
第1の流路211u、第2の流路211d、および第3の流路211tは、ハウジング6の外部を通過する。第1の流路211uは、オイル溜りPとポンプ96とを繋ぐ。第2の流路211dは、ポンプ96とクーラー97とを繋ぐ。第3の流路211tは、クーラー97と供給管内流路211cとを繋ぐ。第3の流路211tは、ハウジング6の軸方向一方側からハウジング6に接続される。
【0082】
ハウジング6の内部には、供給管210が配置される。供給管210は、軸方向に沿って延びる。供給管210は、隔壁61cを貫通する。供給管210は、モータ収容部61とギヤ収容部62とに跨って延びる。供給管210は、ギヤ収容部62およびモータ収容部61の内部であってロック機構80の上側およびモータ2の上側に配置される。供給管210の内部には、供給管内流路211cが設けられる。第3の流路211tは、供給管内流路211cに接続される。
【0083】
供給管内流路211cは、軸方向一方側から軸方向他方側に向かって流れるオイルOの流路である。供給管内流路211cは、ギヤ収容部62内の上部領域およびモータ収容部61内の上部領域を通過する。供給管内流路211cのうち、ギヤ収容部62を通過する領域には、第2供給流路212が開口する。一方で、供給管内流路211cのうち、ギヤ収容部62を通過する領域には、噴出孔211sが開口する。
【0084】
第2供給流路212の開口は、ロック機構80の直上に位置する。第2供給流路212の開口は、オイルOをロック機構80に向かって噴出させる。噴出孔211sは、供給管内流路211cを流れるオイルOを、モータ2に噴出する。
【0085】
本変形例によれば、ロック機構80にオイルOを供給する第2供給流路212は、供給管210に設けられる開口である。また、本変形例によれば、第1供給流路211の一部は、ハウジング6の外部を通過する。第1供給流路211および第2供給流路212は、本変形例に示す構成であってもよい。
【0086】
(変形例3)
図6は、変形例3のモータユニット(駆動装置)301の概念構成図である。
上述の実施形態と同様に、油路392は、ポンプ96と、クーラー97と、オイルOをモータ2に供給する第1供給流路311と、オイルOをロック機構80に供給する第2供給流路312と、を有する。
【0087】
本変形例の第1供給流路311中には、ポンプ96およびクーラー97が設けられる。第1供給流路311は、第1の流路311uと、第2の流路311dと、第3の流路311tと、第4の流路(壁内流路)311qと、シャフト内経路91tと、ロータ内経路91qと、を有する。
【0088】
第1の流路311u、第2の流路311d、第3の流路311t、および第4の流路311qは、は、ハウジング6の壁内に設けられる。第1の流路311uは、オイル溜りPとポンプ96とを繋ぐ。第2の流路311dは、ポンプ96とクーラー97とを繋ぐ。第3の流路311tは、クーラー97と第4の流路311qとを繋ぐ。第4の流路311qは、隔壁61cの内部を壁面に沿って延びる。第4の流路311qは、シャフト内経路91tに繋がる。シャフト内経路91tは、シャフト21の中空部22内をオイルOが通過する経路である。ロータ内経路91qは、シャフト21の連通孔23からロータ本体24の内部を通過して、ステータ30に飛散するオイルOの経路である。
【0089】
第2供給流路312は、ポンプ96の下流側にて、第1供給流路311から分岐して延びる。第2供給流路312は、隔壁61cに設けられる。第2供給流路312は、第1供給流路311の第4の流路311qから隔壁61cを貫通するように軸方向一方側に延びる。第2供給流路312は、ギヤ収容部62内に向かって開口する。第2供給流路312の開口は、ロック機構80に対向する。第2供給流路312を流れるオイルOは、ギヤ収容部62内のロック機構80に向かって噴射される。
【0090】
本変形例によれば、第1供給流路311は、モータ2をロータ20の内部から冷却する。また、第2供給流路312は、第1供給流路311から分岐する。第1供給流路311および第2供給流路312は、本変形例に示す構成であってもよい。
【0091】
その他、本発明の趣旨から逸脱しない範囲において、前述の実施形態、変形例およびなお書き等で説明した各構成(構成要素)を組み合わせてもよく、また、構成の付加、省略、置換、その他の変更が可能である。また本発明は、前述した実施形態等によって限定されず、特許請求の範囲によってのみ限定される。
【符号の説明】
【0092】
1,101,201,301…モータユニット(駆動装置)、2…モータ、3…ギヤ部(伝達機構)、6…ハウジング、11,111,211,311…第1供給流路、11c,111c,211c…供給管内流路(モータ供給流路)、11q,311q…第4の流路(壁内流路)、12,112,212,312…第2供給流路、15…第1経路、16…第2経路、20…ロータ、21…シャフト(モータシャフト、モータドライブシャフト、回転シャフト)、61…モータ収容部(モータ室)、61c…隔壁、62…ギヤ収容部(ギヤ室)、80…ロック機構、81…ロックギヤ、81b…歯部、84…噛合部、87…駆動部、92…第2の油路(油路)、96…ポンプ、392…油路、O…オイル
図1
図2
図3
図4
図5
図6