(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-08
(45)【発行日】2024-05-16
(54)【発明の名称】画像読取装置及び該画像読取装置を備えた画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03B 27/62 20060101AFI20240509BHJP
G03G 21/16 20060101ALI20240509BHJP
G03G 15/00 20060101ALI20240509BHJP
H04N 1/00 20060101ALI20240509BHJP
F16C 11/04 20060101ALI20240509BHJP
F16C 11/10 20060101ALI20240509BHJP
【FI】
G03B27/62
G03G21/16 161
G03G15/00 107
H04N1/00 519
F16C11/04 F
F16C11/10 Z
(21)【出願番号】P 2020140778
(22)【出願日】2020-08-24
【審査請求日】2023-07-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100167302
【氏名又は名称】種村 一幸
(74)【代理人】
【識別番号】100135817
【氏名又は名称】華山 浩伸
(74)【代理人】
【識別番号】100141298
【氏名又は名称】今村 文典
(74)【代理人】
【識別番号】100187492
【氏名又は名称】新保 元啓
(72)【発明者】
【氏名】小川 直純
【審査官】田中 秀直
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-156642(JP,A)
【文献】特開2011-227495(JP,A)
【文献】実開昭54-091246(JP,U)
【文献】特開2011-075859(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0218229(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 27/62
G03G 21/16
G03G 15/00
H04N 1/00
F16C 11/04
F16C 11/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿が載置されるコンタクトガラスを上面に有し、画像形成装置の本体フレームの上側に配置されるスキャナー筐体と、
前記スキャナー筐体の上面を開閉可能に覆う原稿押さえ部材と、
前記原稿押さえ部材を回動可能に支持するヒンジ機構と、
前記ヒンジ機構が上端部に固定された脚部と、
前記スキャナー筐体に形成され、上側に開放して前記脚部が挿入される挿入孔部と、
前記挿入孔部の内側に装着された補強筒とを備え、
前記スキャナー筐体は、上側に開放する第一筐体部と、該第一筐体部の上側を覆うとともに前記コンタクトガラスが装着される第二筐体部とを有し、
前記補強筒は、上下方向において前記第一筐体部と前記第二筐体部とに挟まれて上下方向に移動不能に保持されている、画像読取装置。
【請求項2】
請求項1記載の画像読取装置において、
前記第一筐体部及び第二筐体部はそれぞれ、前記補強筒に外嵌して該補強筒の水平方向の位置を規制するとともに前記挿入孔部の壁面を形成する筒状壁を有している、画像読取装置。
【請求項3】
請求項2記載の画像読取装置において、
前記第一筐体部及び第二筐体部にそれぞれ形成された前記筒状壁は、内側面に、上下方向に延びる突条部を有していて、該突条部によって前記補強筒の水平方向の位置を規制するように構成されている、画像読取装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の画像読取装置において、
前記補強筒は、上下方向の全体に亘って延びる欠損部を有している、画像読取装置。
【請求項5】
請求項4記載の画像読取装置において、
前記脚部が挿入される前記挿入孔部は、前記ヒンジ機構のヒンジ軸に直交する装置前後方向において、前記コンタクトガラスよりも装置後側に位置しており、
前記欠損部は、前記補強筒における装置後側の壁部に形成されている、画像読取装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載の画像読取装置を備えた画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像読取装置及び該画像読取装置を備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、複写機等の画像形成装置に搭載される画像読取装置として、原稿が載置されるコンタクトガラスを上面に有するスキャナー筐体と、スキャナー筐体内に収容され、コンタクトガラス上の原稿の画像を読取る画像読取部と、コンタクトガラス上の原稿を押さえるための原稿押さえ部材とを備えた装置が知られている。
【0003】
前記原稿押さえ部材の後端部には左右一対のヒンジ機構が取付けられている。ヒンジ機構は、静止金具と、静止金具に対してヒンジ軸を介して回動可能に支持された回動部とを有している。静止金具は、上下方向に延びる脚部の上端部に固定されている。
【0004】
前記脚部は、画像形成装置における本体フレームの上面に立設された補強筒に挿入されている。補強筒は、スキャナー筐体に形成された貫通孔内を上下方向に貫通している。(例えば、特許文献1参照)。このように補強筒を設けることで、スキャナー筐体における前記貫通孔の内壁面が脚部と直接、接して破損するのを防止している。この補強筒は、スキャナー筐体の位置決め部材としても兼用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、補強筒は位置決めピンと比べて寸法が大きいので形状精度を確保し難く、位置決め部材としての利用には適さない。
【0007】
そこで、本体フレームとスキャナー筐体との組付けに際して位置決めピンを使用することが考えられる。この場合、本体フレームに突設された補強筒は、位置決めピンによる位置決め機能を阻害しないように、スキャナー筐体の貫通孔に対して隙間を持って挿入される。
【0008】
しかし、この組付け構造を採用した場合、スキャナー筐体と本体フレームとを位置決めピンにより位置決めする作業に加えて、本体フレームに立設された補強筒にスキャナー筐体の貫通孔を挿通させる作業が必要になるので、組付け作業性が悪いという問題がある。
【0009】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、原稿押さえ部材を回動可能に支持するヒンジ機構と、ヒンジ機構が上端部に固定された脚部と、スキャナー筐体に形成され、前記脚部が挿入される挿入孔部と、挿入孔部の内側に設けられる補強筒とを備えた画像読取装置において、画像形成装置の本体フレームに対するスキャナー筐体の組付け作業性を向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一局面に係る画像読取装置は、 原稿が載置されるコンタクトガラスを上面に有し、画像形成装置の本体フレームの上側に配置されるスキャナー筐体と、前記スキャナー筐体の上面を開閉可能に覆う原稿押さえ部材と、前記原稿押さえ部材を回動可能に支持するヒンジ機構と、前記ヒンジ機構が上端部に固定された脚部と、前記スキャナー筐体に形成され、上側に開放して前記脚部が挿入される挿入孔部と、前記挿入孔部の内側に装着された補強筒とを備え、前記スキャナー筐体は、上側に開放する第一筐体部と、該第一筐体部の上側を覆うとともに前記コンタクトガラスが装着される第二筐体部とを有し、前記補強筒は、上下方向において前記第一筐体部と前記第二筐体部とに挟まれて上下方向に移動不能に保持されている。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、スキャナー筐体を第一筐体部と第一筐体部の上側に装着される第二筐体部とで構成し、この二つの筐体部により補強筒を挟んで上下方向に移動不能に保持するようにしたことで、本体フレームに対するスキャナー筐体の組付け作業性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、実施形態における画像読取装置を備えた画像形成装置を示す概略図である。
【
図3】
図3は、画像読取装置のスキャナー筐体とその後端部に取付けられた一対のヒンジ機構とを示す斜視図である。
【
図4】
図4は、スキャナー筐体における下側筐体部を示す上側から見た平面図である。
【
図5】
図5は、スキャナー筐体における上側筐体部を示す左斜め下側から見た斜視図である。
【
図6】
図6は、ヒンジ機構と該ヒンジ機構に接続された脚部とを示す側面図である。
【
図7】
図7は、スキャナー筐体の上側筐体部における脚部が挿入される挿入孔部及びその周辺を拡大して示す拡大斜視図である。
【
図9】
図9は、スキャナー筐体の上側筐体部に形成された上側筒状壁とその周辺部分を示す斜視図である。
【
図10】
図10は、スキャナー筐体の下側筐体部に形成された下側筒状壁と、下側筒状壁の内側に挿入された補強筒とを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではない。
【0014】
《実施形態》
[全体構成]
図1は、実施形態における画像読取装置2を備えた画像形成装置Xを示している。本実施形態では、この画像形成装置Xは、画像読取装置2により読取った原稿Pの画像データを印刷する複写機とされている。
【0015】
具体的には、画像形成装置Xは、画像形成装置本体1と、該画像形成装置本体1の上端面に固定された前記画像読取装置2とを有している。尚、
図1では、図を見易くするために画像読取装置2の高さ方向の寸法を実際よりも大きく描いている。以下の説明において、特に断らない限り、前側、後側は、画像形成装置Xの前側、後側(
図1の紙面垂直方向の手前側及び奥側)を意味し、左側、右側は、画像形成装置Xを前側から見たときの左側、右側を意味する。
【0016】
画像形成装置本体1は、画像形成部3と画像形成部3を内部に収容するハウジング4とを有している。ハウジング4の下端部には、印刷用の用紙を収容する給紙カセット30が引き出し可能に装着されている。
【0017】
画像形成部3は、感光体ドラム31、帯電装置32、現像装置33、トナーコンテナ34、転写ローラー35、除電装置36、定着ローラー37、及び加圧ローラー38を有している。画像形成装置本体1の側面には排紙トレイ39が装着されている。
【0018】
画像形成装置本体1では、前記給紙カセット30から供給される用紙に以下の手順で画像が形成される。具体的には、先ず帯電装置32によって前記感光体ドラム31が所定の電位に一様に帯電される。
【0019】
次に、不図示のレーザースキャナーユニット(LSU)により前記感光体ドラム31の表面に画像データに基づく光が照射される。これにより、感光体ドラム31の表面に静電潜像が形成される。そして、前記感光体ドラム31上の静電潜像は、前記現像装置33によってトナー像として現像される。
【0020】
現像装置33は、前記トナーコンテナ34から補給されるトナーによりこの現像処理を実行する。感光体ドラム31に形成されたトナー像は、前記転写ローラー35に印可された転写バイアスを受けて用紙に転写される。このトナー像の転写が完了した後は、感光体ドラム31の表面電位は、前記除電装置36により除電される。
【0021】
一方、用紙に転写されたトナー像は、用紙が前記定着ローラー37及び前記加圧ローラー38の間を通過する際に加熱及び加圧されて当該用紙に溶融定着する。
【0022】
[画像形成装置の本体フレームの構成]
図2に示すように、画像形成装置本体1のハウジング4は、金属製の本体フレーム5と、該本体フレーム5の前後左右の各側面に装着された板金カバー(図示省略)とを有している。本体フレーム5は、上下方向に間隔を空けて配置された下側矩形枠部5a及び上側矩形枠部5bと、上下方向に延びて該両枠部5a,5b同士を連結する4つの柱状部5c(図では2つの柱状部5cのみを示す)とを有している。そして、上側矩形枠部5bの上面に画像読取装置2が固定される。
【0023】
[画像読取装置の構成]
図1に戻って、前記画像読取装置2は、スキャナー筐体10、コンタクトガラス11、読取ユニット12、ミラー13,14、光学レンズ15,及びCCDセンサー16を備えている。
【0024】
図3に示すように、スキャナー筐体10は、平面視が矩形状をなす箱状体で構成されている。スキャナー筐体10は、その下面に一対の位置決めピン(図示省略)を有している。スキャナー筐体10は、該一対の位置決めピンを、本体フレーム5における上側矩形枠部5bの上面に突設された一対の位置決め孔(図示省略)に係合させることで位置決めされている。そして、スキャナー筐体10は、一対の位置決めピンにより位置決めされた状態で本体フレーム5にボルト等で固定されている。
【0025】
スキャナー筐体10は、下側筐体部101と上側筐体部102とで構成されている。下側筐体部101が第一筐体部に相当し、上側筐体部102が第二筐体部に相当する。下側筐体部101及び上側筐体部102は共に樹脂材料により型成形される。下側筐体部101は、
図3及び
図4に示すように、上側に開放する偏平な矩形箱状をなしている。下側筐体部101の後端部には、後述する一対の下側筒状壁101aが形成されている。
【0026】
上側筐体部102は、下側筐体部101に対して上側から装着される。具体的には、上側筐体部102は、
図5に示すように、下側筐体部101の上側の略全体を覆う矩形板部102aと、矩形板部102aの後端縁から垂下する鉛直板部102bと、鉛直板部102bの下端縁から後側に突出する突出板部102cとを有している。
【0027】
矩形板部102aには、コンタクトガラス11が装着されている。コンタクトガラス11は、固定読取り方式で使用される第一コンタクトガラス11Aと、シートスルー方式で使用される第二コンタクトガラス11Bとを含んでいる。第一コンタクトガラス11Aは、矩形板部102aの左側端部を除く大半の部分に設けられている。第二コンタクトガラス11Bは、矩形板部102aの左側端部に設けられている。
【0028】
図1に示すように、前記読取ユニット12は、スキャナー筐体10内に収容されている。読取ユニット12は、固定読取り方式による原稿画像の読取り時には、LED光源121より第一コンタクトガラス11A上の原稿Pに向けて光を照射しながら副走査方向(
図1の左右方向)に移動すると共に、原稿Pからの反射光をミラー122により水平方向に反射する。前記ミラー13,14は、ミラー122からの反射光をCCDセンサー16へと導く。CCDセンサー16は、受光した光を光電変換して原稿画像の画像データを生成する。生成された画像データは、不図示のデータ記憶部に記憶される。そうして、前記画像読取装置2は、第一コンタクトガラス11上に載置された前記原稿Pの画像(原稿画像)を光学的に読取ってその画像データを生成する。尚、CCDセンサー16を廃止して読取ユニット12にCISセンサーを搭載するようにしてもよい。
【0029】
[原稿カバー及び原稿自動送り装置]
前記スキャナー筐体10の上面は、原稿押さえ部材としての原稿カバー20(
図1参照)により開閉可能に覆われている。原稿カバー20の上面側には、原稿自動送り装置25(いわゆるADF)が装備されている。
【0030】
原稿自動送り装置25は、シートスルー方式による原稿画像の読取り時に、前記第二コンタクトガラス11Bの上面に原稿Pを供給して通過させる。具体的には、原稿自動送り装置25は、原稿給紙トレイ26と、原稿給紙トレイ26の下側に設けられた原稿排紙トレイ27と、該原稿給紙トレイ26から原稿排紙トレイ27に至るU字状の原稿搬送路28とを有している。原稿自動送り装置25は、原稿給紙トレイ26上の原稿Pを、原稿搬送路28に沿って配置された複数の搬送ローラー対29によって一枚ずつ下流側に送り出して、第二コンタクトガラス11B上に設定された原稿読取り位置11aを通過させた後、原稿排紙トレイ27に排出する。
【0031】
読取ユニット12は、シートスルー方式による原稿画像の読取り時には、前記第二コンタクトガラス11Bの直下に設定された待機位置で静止する。そして、読取ユニット12は、原稿読取り位置11aを通過する原稿の画像に向けてLED光源121より光を照射するとともにその反射光をミラー122により水平方向に反射する。ミラー122にて反射された光は、ミラー13及びミラー14により折り返されてCCDセンサー16に導かれる。CCDセンサー16では、受光した光を光電変換して原稿画像の画像データを生成する。生成された画像データは、不図示のデータ記憶部に記憶される。
【0032】
次に、スキャナー筐体10に対する原稿カバー20の取付け構造を説明する。
図2に示すように、原稿カバー20は、左右方向に間隔を空けて並ぶ一対のヒンジ機構50を介してスキャナー筐体10に取付けられている。左右のヒンジ機構50の構成は同じであるため、以下では右側のヒンジ機構50についてのみ説明を行う。
【0033】
図6に示すように、ヒンジ機構50は、静止部51と、左右方向に延びるヒンジ軸52と、静止部51に対してヒンジ軸52を介して回動可能に連結された回動部53とを有している。静止部51の下面には、上下方向に延びる脚部60が接続されている。
【0034】
静止部51は、ベース板51aと、ベース板51aから起立してヒンジ軸52の両端を支持する一対の対向板51bとを有している。一対の対向板51bには、ヒンジ軸52の他に後述する固定軸51cが両端支持されている。
【0035】
回動部53は、板金部材を略直方体状に折り曲げて形成されていて、その長手方向の一端部がヒンジ軸52により回動可能に支持されている。この回動部53は原稿カバー20の後端部にボルト等で固定される。原稿カバー20は、回動部53と共にヒンジ軸52を支点に上下に回動することでコンタクトガラス11の上面を開閉可能に覆っている。
【0036】
回動部53の端板53aと、静止部51に設けられた前記固定軸51cとの間には、原稿カバー20の開放角度を任意の角度に保持可能な保持機構54が設けられている。保持機構54は、一端が前記端板53aの内側面に当接するように配置された圧縮コイルスプリング54aと、圧縮コイルスプリング54aの他端部を保持するとともに固定軸51cに当接するリテーナ54bとを有している。そして、保持機構54は、回動部53の開放角度が所定の中立角度を越えると、回動部53に対して開方向(
図6の反時計回り方向)の付勢力を付与して原稿カバー20の自重による回転力とをバランスさせる。これにより、原稿カバー20が任意の開放角度に保持される。一方、保持機構54は、回動部53の開放角度が所定の中立角度以下になると、回動部53に対して閉方向(
図6の時計回り方向)の付勢力を付与して原稿カバー20を全閉位置まで付勢する。
【0037】
静止部51の下面には、前記脚部60が接続されている。脚部60は、後側に開放する断面コ字状の柱状部材からなる。本例では、脚部60と前記静止部51とは、共通の一つの金属板を折り曲げて形成されているが、これに限ったものではなく、例えば脚部60と静止部51とをボルトで締結するようにしてもよい。
【0038】
前記脚部60は、
図7に示すように、スキャナー筐体10の後端部に形成された挿入孔部10Aに補強筒70を介して挿入される。挿入孔部10Aは、左右一対で構成されており、
図7では左側の挿入孔部10Aのみを示している。脚部60は、この挿入孔部10A内にて上下方向にスライド可能になっている。これにより、ユーザーは、原稿カバー20を脚部60と共に手で持ち上げて上下にスライドさせることができる。このように原稿カバー20を上下させることで、原稿Pの厚みの大小に対応可能になっている。
【0039】
[挿入孔部の構成]
図8に示すように、前記挿入孔部10Aは、矩形状の上側開口102dと、上側筒状壁102eと、下側筒状壁101aとで構成されている。
【0040】
上側開口102dは、
図7にも示すように、上側筐体部102における矩形板部102aの後端部に形成されている。
【0041】
上側筒状壁102eは、
図8及び
図9に示すように、平面視で上側開口102dを囲む矩形状に形成されていて、上側筐体部102における矩形板部102aの下面から下側に突出している。
【0042】
具体的には、上側筒状壁102eは、上側筐体部102の鉛直板部102bと、鉛直板部102bの前側面に接続されたコ字状リブ壁102f(
図9参照)とで構成されている。上側筒状壁102eの内側面には、補強筒70(
図8参照)の上端部が挿入される。
【0043】
図9に示すように、上側筒状壁102eの内側面には、左右一対の前側突条部102gと、左右一対の後側突条部102hと、一つの左側突条部102iと、一つの右側突条部102jとが突設されている。各突条部102g~102jは、上側筒状壁102eの高さ方向(上下方向)の全体亘って延設されている。各突条部102g~102jの突出側(筒内側)の端面は、補強筒70の位置を規制する規制面として機能する。また、各突条部102g~102jの突出側の端面の下端部は、補強筒70を挿入し易いにように面取りされている。
【0044】
上側筒状壁102eの外側面は、上側筐体部102の上壁に形成された複数の縦リブ102kに接続されており、これにより、上側筒状壁102eの内外方向(厚さ方向)の剛性を高めている。
【0045】
矩形板部102aにおける上側筐体部102よりも内側の部分は、上側開口102dを囲む矩形枠状の平坦面102mを構成している。この平坦面102mは、補強筒70の上端面に対向するように形成されている。平坦面102mによって、補強筒70の上側への移動が規制されている(
図8参照)。平坦面102mは、補強筒70の上端面に対して当接していることが好ましいが、平坦面102mと補強筒70の上端面との間に隙間が存在していてもよい。
【0046】
図8及び
図10に示すように、前記下側筒状壁101aは、平面視で矩形状をなしていて、下側筐体部101の底壁から上側に起立している。下側筒状壁101aの内側には、補強筒70の下端部から中間部に至る部分(上端部よりも下側の部分)が挿入される。
【0047】
下側筒状壁101aの内側面には、
図11に示すように、左右方向に等間隔に並ぶ三つの前側突条部101dと、左右一対の後側突条部101eと、左右一対の左側突条部101fと、左右一対の右側突条部101gとが突設されている。各突条部101d~101gは、下側筒状壁101aの高さ方向(上下方向)の全体亘って延設されている。各突条部101d~101gの突出側(筒内側)の端面は、補強筒70の位置を規制する規制面として機能する。また、各突条部101d~101gの突出側の端面の上端部は、補強筒70を挿入し易いにように面取りされている。
【0048】
下側筒状壁101aの外側面は、下側筐体部101の底壁に立設された複数の縦リブ101cに接続されており、これにより、下側筒状壁101aの内外方向(厚さ方向)の剛性を高めている。
【0049】
図8に示すように、下側筐体部101の底壁における下側筒状壁101aよりも内側の部分には、矩形状の開口部101bと、該開口部101bを囲む矩形枠状の平坦面101hとが設けられている。
【0050】
この平坦面101hは、補強筒70の下端面に対向するように形成されている。そして、平坦面101hによって、補強筒70の下側への移動が規制されている(
図8参照)。平坦面101hは、補強筒70の下端面に当接していることが好ましいが、該下端面との間に隙間を有していてもよい。
【0051】
また、前記開口部101bは必ずしも必要ではないが、本例の如く、開口部101bを設けることで、脚部60の挿入時に開口部101bからの空気の排出を促して、脚部60の挿入抵抗を低減することができる。
【0052】
[補強筒70の構成]
次に、
図8及び
図10を参照して補強筒70の構成を説明する。補強筒70は、挿入孔部10Aの内側に装着されている。補強筒70は、原稿カバー20の開閉時等に、挿入孔部10Aの内壁面が脚部60に押されて破損するのを防止する機能を有している。
【0053】
すなわち、原稿カバー20の開閉時等に、原稿カバー20が傾斜状態(
図6の二点鎖線参照)になると、脚部60が原稿カバー20と共に前側に倒れようとする。この結果、挿入孔部10Aの内壁(特に後側の内壁)が脚部60により押されて破損する虞がある。
【0054】
これに対して、本例では、挿入孔部10Aの内側に補強筒70を装着するようにしている。補強筒70は、例えば鉄やアルミ等の金属材料により構成されていて、一枚の板金部材を折曲げて形成されている。具体的には、補強筒70は、
図10に示すように、前側壁70aと後側壁70bと左側壁70cと右側壁70dとを有する四角筒状に形成されている。補強筒70における後側壁70bの左右方向の中央部には、上下方向の全体に亘って帯状の欠損部70eが形成されている。
【0055】
補強筒70を挿入孔部10Aに装着する際には、先ず、
図10に示すように、補強筒70を、下側筐体部101に設けられた下側筒状壁101aに差し込む。そして、上側筐体部102に形成された上側筒状壁102e(
図9参照)を補強筒70の上端部に嵌合させるように、上側筐体部102を下側筐体部101に装着する。これにより、補強筒70が、
図8に示すように、上側筐体部102の平坦面102mと下側筐体部101の平坦面101hとに挟まれて上下方向に移動不能に保持される。
【0056】
そうして、下側筐体部101と上側筐体部102と補強筒70とを互いに組付けることでスキャナー筐体10の組立てが完了する。作業者は、組立てが完了したスキャナー筐体10を、本体フレーム5(
図2参照)の上側矩形枠部5bの上面に組付ける。このとき、スキャナー筐体10の下面から突出する位置決めピン(図示省略)を、本体フレーム5の上面に形成された位置決め孔に係合させてスキャナー筐体10の位置決めを行った後、スキャナー筐体10を本体フレーム5にボルトで固定する。スキャナー筐体10の固定が完了した後は、原稿カバー20の左右のヒンジ機構50に固定された脚部60(
図6及び
図8参照)を、スキャナー筐体10の後端部に設けられた一対の挿入孔部10Aに挿入する。これにより、スキャナー筐体10に対する原稿カバー20の組付けが完了する。
【0057】
[本実施形態の作用効果]
以上説明したように、本実施形態の画像読取装置2では、スキャナー筐体10は、上側に開放する下側筐体部101と、下側筐体部101の上側を覆うとともに第一コンタクトガラス11Aが装着される上側筐体部102とを有している。スキャナー筐体10は、ヒンジ機構50に接続された脚部60が挿入される挿入孔部10Aを有しており、挿入孔部10Aの内側には補強筒70が装着されている。この補強筒70は、上下方向において下側筐体部101と上側筐体部102とに挟まれて上下方向に移動不能に保持されている。
【0058】
この構成によれば、補強筒70をスキャナー筐体10の挿入孔部10Aに予め装着した状態で、スキャナー筐体10を本体フレーム5に組付けることができる。よって、従来のように、本体フレーム5の上面に補強筒を突設して、スキャナー筐体10に形成した貫通孔を該補強筒に外挿する場合に比べて、本体フレーム5に対するスキャナー筐体10の組付け作業を容易に行うことができる。
【0059】
また、前記構成によれば、補強筒70をスキャナー筐体10に固定するためにボルトや接着剤を使用する必要がないので、スキャナー筐体10に対する補強筒70の固定構造を簡素化することができる。また、補強筒70は、下側筐体部101と上側筐体部102とによって上下両側から挟まれて移動不能に保持されているので、原稿カバー20を上下させた際に、補強筒70が脚部60に引きずられて上下の位置ズレを生じることもない。
【0060】
また、本実施形態では、下側筐体部101及び上側筐体部102はそれぞれ、補強筒70に外嵌して該補強筒70の水平方向の位置を規制する上側筒状壁102e及び下側筒状壁101aを有している。
【0061】
この構成によれば、上側筒状壁102e及び下側筒状壁101aが補強筒70に外嵌することにより補強筒70の水平方向の位置決めがなされる。よって、補強筒70の水平方向の位置ずれを防止することができる。
【0062】
また、本実施形態では、各筒状壁101a,102eの内側面には、前記補強筒70の水平方向の位置を規制するべく、上下方向に延びる突条部101d~101g及び突条部102g~102jが形成されている。
【0063】
この構成によれば、筒状壁101a,102eの内側面の面精度が悪くても、突条部101d~101g及び突条部102g~102jの形状精度を高くしておけば、補強筒70の水平方向の位置決めを精度良く行うことができる。よって、筒状壁101a,102eの内側面全体の面精度を向上させる必要がないので各筐体部101,102の成型コストを低減することができる。
【0064】
また、本実施形態では、補強筒70は、上下方向の全体に亘って延びる欠損部70eを有している。
【0065】
この構成によれば、脚部60から補強筒70に押圧力が作用した場合に、補強筒70が欠損部70eを挟んでその両側にやや広がるように変形する。これにより、脚部60から補強筒70に作用する押圧力を逃がして補強筒70の破損を防止することができる。
【0066】
ここで、脚部60から補強筒70に作用する押圧力は、上述したように、原稿カバー20が自重により脚部60と共に前側に傾こうとするために発生する。したがって、
図6の白抜き矢印で示すように、補強筒70の後側壁70bに対して特に大きな押圧力が作用する。
【0067】
そこで、本実施形態では、前記欠損部70eを補強筒70の後側壁70bに形成するようにしている。このように、補強筒70のうち脚部60からの押圧力が最大となる箇所に欠損部70eを形成するようにしたことで、押圧力が作用した際の補強筒70の変形を促進して、補強筒70の破損をより一層確実に防止することができる。
【0068】
(他の実施形態)
前記実施形態では、原稿カバー20の上面に原稿自動送り装置25が装備されている例を説明したが、これに限ったものではなく、原稿自動送り装置25を廃止してもよい。
【0069】
前記実施形態では、補強筒70が矩形筒状である例を説明したが、これに限ったものではなく、補強筒70は、例えば円筒状等など如何なる形状であってもよい。
【0070】
前記実施形態では、補強筒70に欠損部70eを設けるようにしているが、これに限ったものではなく、欠損部70eを廃止して補強筒70を閉環状に形成してもよい。
【0071】
前記実施形態では、画像形成装置Xの一例として複写機を挙げて説明したが、これに限ったものではない。画像形成装置Xは、例えば、プリンター、ファクシミリ-、又は複合機(MFP)等であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0072】
以上説明したように、本発明は、画像読取装置及び該画像読取装置を備えた画像形成装置について有用である。
【符号の説明】
【0073】
P :原稿
X :画像形成装置
2 :画像読取装置
5 :本体フレーム
10 :スキャナー筐体
10A :挿入孔部
11A :第一コンタクトガラス(コンタクトガラス)
50 :ヒンジ機構
52 :ヒンジ軸
60 :脚部
70 :補強筒
70b :後側壁(補強筒の装置後側の壁部)
70e :欠損部
101a :下側筒状壁(筒状壁)
101d :前側突条部
101e :後側突条部
101f :左側突条部
101g :右側突条部
102e :上側筒状壁(筒状壁)
102g :前側突条部
102h :後側突条部
102i :左側突条部
102j :右側突条部