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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-08
(45)【発行日】2024-05-16
(54)【発明の名称】表示制御装置、及び表示制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   G09G 5/00 20060101AFI20240509BHJP
   G06F 3/04842 20220101ALI20240509BHJP
   G06F 3/0346 20130101ALI20240509BHJP
   A63F 13/25 20140101ALI20240509BHJP
【FI】
G09G5/00 510V
G06F3/04842
G06F3/0346 421
G09G5/00 550C
G09G5/00 555D
G09G5/00 530D
A63F13/25
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020145384
(22)【出願日】2020-08-31
(65)【公開番号】P2022040595
(43)【公開日】2022-03-11
【審査請求日】2023-04-28
(73)【特許権者】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 景
(72)【発明者】
【氏名】志田 来夢
(72)【発明者】
【氏名】安田 明生
(72)【発明者】
【氏名】橋口 聡明
【審査官】塚本 丈二
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2013/0187835(US,A1)
【文献】特開平03-269716(JP,A)
【文献】特開2015-227919(JP,A)
【文献】特開平09-313737(JP,A)
【文献】国際公開第2009/008161(WO,A1)
【文献】特開2015-158859(JP,A)
【文献】特開2018-014078(JP,A)
【文献】特開2009-140253(JP,A)
【文献】国際公開第2014/162824(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09G 5/00-5/42
G06F 3/0346
G06F 3/04842
A63F 13/25
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示画面内の複数の領域ごとに赤外線を受光する第1の表示装置において、第2の表示装置に固定された赤外線照射部から照射される赤外線を受光した場合、受光した領域に紐付いている映像情報を取得する映像情報取得部と、
取得した映像情報を第2の表示装置に、無線通信で送信する無線通信部と、
前記表示画面内の特定の領域において、所定数を超える、複数の第2の表示装置にそれぞれ固定された複数の赤外線照射部から照射される赤外線を受光した場合、前記特定の領域における表示態様を変更する表示制御部と、
を備える、表示制御装置。
【請求項2】
表示画面内の複数の領域ごとに赤外線を受光する第1の表示装置において、第2の表示装置に固定された赤外線照射部から照射される赤外線を受光した場合、受光した領域に紐付いている映像情報を取得する映像情報取得部と、
取得した映像情報を第2の表示装置に、無線通信で送信する無線通信部と、
前記表示画面内の特定の領域において、所定数を超える、複数の第2の表示装置にそれぞれ固定された複数の赤外線照射部から照射される赤外線を受光した場合、前記無線通信部は、前記特定の領域に紐付いている映像情報を、前記特定の領域を赤外線で指し示していない第2の表示装置に送信する、表示制御装置。
【請求項3】
特定の第2の表示装置に固定された赤外線照射部から照射された赤外線が、前記表示画面内の特定の領域を指し示している状態から、所定値以上、移動したとき、前記無線通信部は、前記特定の第2の表示装置に表示中の映像を画面から消去する指示信号を送信する、請求項1または2に記載の表示制御装置。
【請求項4】
表示画面内の複数の領域ごとに赤外線を受光する第1の表示装置において、第2の表示装置に固定された赤外線照射部から照射される赤外線を受光した場合、受光した領域に紐付いている映像情報を取得する処理と、
取得した映像情報を第2の表示装置に、無線通信で送信させる処理と、
前記表示画面内の特定の領域において、所定数を超える、複数の第2の表示装置にそれぞれ固定された複数の赤外線照射部から照射される赤外線を受光した場合、前記特定の領域における表示態様を変更する処理と、
をコンピュータに実行させる、表示制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置の表示制御装置、及び表示制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、eスポーツの人気が上昇している。eスポーツでは、複数のプレイヤがチームを組んで、チーム同士で戦うチーム戦の人気が高い。eスポーツの会場には、大画面モニタ(例えば、特許文献1参照)が設置される。また、会場内に複数のモニタが設置されることが多い。例えば、中央の大画面モニタにゲーム世界の全体マップが表示され、その他の複数のモニタに、各ゲームプレイヤの操作画面が表示されてもよい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平8-76289号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
会場が広く、大画面モニタや複数のモニタが設置されている場合、観戦者はゲームの展開を目で追いきれずに、盛り上がっているシーンを見逃してしまうことがあった。
【0005】
本実施形態はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、ユーザの視聴をサポートする技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本実施形態のある態様の表示制御装置は、表示画面内の複数の領域ごとに赤外線を受光する第1の表示装置において、第2の表示装置に固定された赤外線照射部から照射される赤外線を受光した場合、受光した領域に紐付いている映像情報を取得する映像情報取得部と、取得した映像情報を第2の表示装置に、無線通信で送信する無線通信部と、前記表示画面内の特定の領域において、所定数を超える、複数の第2の表示装置にそれぞれ固定された複数の赤外線照射部から照射される赤外線を受光した場合、前記特定の領域における表示態様を変更する表示制御部と、を備える。
【0007】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本実施形態の表現を方法、装置、システム、記録媒体、コンピュータプログラムなどの間で変換したものもまた、本実施形態の態様として有効である。
【発明の効果】
【0008】
本実施形態によれば、ユーザの視聴をサポートすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】透過式の眼鏡型表示装置の一例を示す正面図である。
図2】eスポーツ会場内においてゲーム画面を表示する複数の表示装置の設置例を示す図である。
図3】メイン表示装置の赤外線受光部の一例を説明するための図である。
図4】本発明の実施の形態に係る観戦システムの全体構成を示す図である。
図5】制御装置と眼鏡型表示装置の構成例を示す図である。
図6】眼鏡型表示装置の表示部に表示される、ゲームプレイヤAのプロフィール情報の一例を示す図である。
図7】眼鏡型表示装置の表示部に表示される、フィールドスポットAの俯瞰映像の一例を示す図である。
図8】メイン表示装置に表示されるマップの表示態様が変更された例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施の形態は、eスポーツ会場で使用されるゲーム観戦システムに関する。当該ゲーム観戦システムでは、観戦者は、ヘッドマウントディスプレイ等である透過式の眼鏡型表示装置(第2の表示装置)を装着してゲームを観戦する。透過式の眼鏡型表示装置は、会場運営者から観戦者に貸与される。会場内で使用される全ての透過式の眼鏡型表示装置10には、それぞれユニークな識別情報(例えば、シリアルナンバー)が割り当てられている。
【0011】
図1は、透過式の眼鏡型表示装置10の一例を示す正面図である。図1に示す眼鏡型表示装置10は、度なしレンズ10R、10Lが入った一般的な眼鏡をベースに作成されたものである。右側のフレームに、映像や音声を受信するための処理部11が取り付けられている。装着者から見て、右のレンズ10Rの外側の右下に小型の表示部12が取り付けられている。表示部12はアームを介して処理部11と接続されており、処理部11から供給される映像を表示する。表示部12には例えば、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、マイクロLEDディスプレイを使用することができる。
【0012】
左側のフレームに赤外線照射部13が固定されている。赤外線照射部13は赤外線LEDを備える。赤外線LEDは、装着者がレンズ10R、10Lを介して前方を正視する際の視線と略平行に、赤外線レーザを照射する。即ち、赤外線照射部13から照射される赤外線レーザは、装着者の視線方向を表しており、例えば装着者が右を向くと、赤外線レーザの照射方向も右方向に変化する。
【0013】
赤外線照射部13から照射される赤外線レーザには、各眼鏡型表示装置10の識別情報が埋め込まれている。赤外線照射部13は例えば、IrDA(Infrared Data Association)や家電メーカの赤外線リモコンで採用されている赤外線通信規格に準拠して、フレーム内のデータ領域に、自己が固定されている眼鏡型表示装置10の識別情報を示すパルスを埋め込んだ赤外線を照射する。
【0014】
図1には示していないが、眼鏡型表示装置10は音声出力部を備える。音声出力部は処理部11に取り付けられたスピーカであってもよいし、音声信号を出力する音声出力端子(例えば、3.5mmジャック)であってもよい。後者の場合、音声出力端子にイヤホンやヘッドホンの端子を挿入して使用する。イヤホンやヘッドホンは、会場運営者から貸与されたものであってもよいし、観戦者が持参したものであってもよい。
【0015】
図2は、eスポーツ会場内においてゲーム画面を表示する複数の表示装置20の設置例を示す図である。複数の表示装置20には例えば、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、マイクロLEDディスプレイを使用することができる。会場のステージの中央に、大画面のメイン表示装置20M(第1の表示装置)が設置される。図2に示す例では、メイン表示装置20Mは、ゲーム世界の全体マップを表示する専用モニタとして使用されている。
【0016】
会場内にメイン表示装置20Mと別に、複数のサブ表示装置20a-20cが設置される。なお、サブ表示装置20a-20cの数は3に限るものではない。複数のサブ表示装置20a-20cはそれぞれ、スピーカ21a-21cを備える。複数のサブ表示装置20a-20cは、ゲームプレイヤの操作画面などを表示する。各スピーカ21a-21cは、ゲームの操作音、ゲームの効果音、ゲーム内のBGMなどを音声出力する。複数のサブ表示装置20a-20cを設置することにより、観戦者は、複数のゲームプレイヤの操作画面を同時に視聴することができる。
【0017】
複数のサブ表示装置20a-20cはそれぞれ、赤外線受光部22a-22cを備える。赤外線受光部22a-22cは、眼鏡型表示装置10に固定された赤外線照射部13から照射された赤外線を受光するためのセンサである。赤外線受光部22a-22cは、例えば赤外線カメラであってもよい。それぞれの赤外線受光部22a-22cの画角は、それぞれのサブ表示装置20a-20cの表示領域に対応する画角に設定される。即ち、それぞれのサブ表示装置20a-20cの表示領域に照射された赤外線だけを受光するように設定される。例えば、サブ表示装置20a-20cの表示領域に対応した狭角レンズを使用した赤外線カメラが設置される。
【0018】
図3は、メイン表示装置20Mの赤外線受光部の一例を説明するための図である。図3に示す例は、メイン表示装置20Mの赤外線受光部を、表示装置内に埋め込む例である。メイン表示装置20Mは、画素ごとに受光素子(例えば、フォトダイオード)を有する。積層方向において、受光素子より上部に、カラーフィルタCfが設置される。図3に示すカラーフィルタCfは、通常のベイヤ配列を構成する2つのGフィルタの一方を、IRフィルタに置き換えたフィルタである。IRフィルタは可視光を遮断し、赤外線を透過する。IRフィルタの下部に受光素子が設置され、受光素子は赤外線を受光する。
【0019】
Rフィルタ、Gフィルタ、Bフィルタの下部には光源が設置される。液晶ディスプレイが使用される場合、液晶層を介して、光源としてのバックライトが設置される。受光素子は液晶層より上部に設置される。
【0020】
有機ELディスプレイが使用される場合、光源として有機EL(OLED)が使用される。マイクロLEDディスプレイが使用される場合、光源としてマイクロLEDが使用される。なお、3原色のLEDが使用される場合、カラーフィルタCfを省略することが可能である。IRフィルタが省略される場合、赤外線の波長域にのみ感度を持つ赤外線受光素子が使用される。
【0021】
図3に示すメイン表示装置20Mの赤外線受光部は、眼鏡型表示装置10に固定された赤外線照射部13から照射された赤外線を受光した表示画面内の検出点を、座標情報でピンポイントに特定することができる。詳細は後述するが、メイン表示装置M20は、赤外線照射部13から照射された赤外線が指し示す表示画面内の位置を特定する必要がある。図3に示すように表示領域を構成する各画素に、赤外線を受光する受光素子を設置する方法は、表示画面内に照射される赤外線の位置を最も高精度に検出できる方法である。
【0022】
なお、メイン表示装置20Mの赤外線受光部として、表示領域内に複数の小型の赤外線カメラを埋め込んでおいてもよい。また、表示領域の周囲のフレームに複数の赤外線カメラを設置してもよい。複数の赤外線カメラの画角が重複しないように、かつ表示画面を網羅的に撮像できるように複数の赤外線カメラを設置することにより、表示画面内に照射される赤外線の大凡の位置を検出することができる。
【0023】
図4は、本発明の実施の形態に係る観戦システム1の全体構成を示す図である。観戦システム1は、メイン表示装置20M、複数のサブ表示装置20a-20d、複数のゲーム端末装置40a-40d、制御装置30、及び複数の眼鏡型表示装置10を備える。
【0024】
制御装置30は、ゲームの進行を管理するサーバで構成される。当該サーバとして、運営者により会場内に設置されたサーバを使用してもよいし、データセンタに設置されたクラウドサーバを使用してもよい。
【0025】
複数のゲーム端末装置40a-40dは、会場内の複数のゲームプレイヤA-Dがそれぞれ使用する、ゲーム操作用の端末装置である。複数のゲーム端末装置40a-40dはそれぞれ制御装置30と有線で接続される。ゲーム端末装置40は、制御装置30からゲームの映像情報と音声情報を受信し、受信した映像情報と音声情報に基づき、ゲームの映像を表示し、ゲームの音声を出力する。ゲーム端末装置40は、ゲームプレイヤの操作に基づく操作信号を制御装置30に送信する。
【0026】
メイン表示装置20M及び複数のサブ表示装置20a-20dはそれぞれ、制御装置30と有線で接続される。メイン表示装置20Mは制御装置30から、ゲーム世界の全体マップの映像情報を受信して表示する。メイン表示装置20Mは、制御装置30に赤外線の受光情報を送信する。
【0027】
複数のサブ表示装置20a-20dは制御装置30から、複数のゲーム端末装置40a-40dにそれぞれ送信されているゲームの映像情報と音声情報に同期した映像情報と音声情報をそれぞれ受信する。複数のサブ表示装置20a-20dはそれぞれ受信した映像情報と音声情報に基づき、ゲームの映像を表示し、ゲームの音声を出力する。複数のサブ表示装置20a-20dはそれぞれ、制御装置30に赤外線の受光情報を送信する。
【0028】
複数の眼鏡型表示装置10と制御装置30はそれぞれ、近距離無線通信で接続される。近距離無線通信として、Wi-Fi(登録商標)やBluetooth(登録商標)を使用することができる。以下、本実施の形態ではWi-Fiを使用することを想定する。
【0029】
図5は、制御装置30と眼鏡型表示装置10の構成例を示す図である。制御装置30は、処理部31、記憶部32、及び無線通信部33を備える。処理部31は、ゲーム実行部311、映像情報取得部312、音声情報取得部313、受光情報取得部314、受光情報解析部315、及び表示制御部316を含む。
【0030】
処理部31の機能はハードウェア資源とソフトウェア資源の協働、又はハードウェア資源のみにより実現できる。ハードウェア資源として、CPU、GPU、ROM、RAM、ASIC、FPGA、その他のLSIを利用できる。ソフトウェア資源としてオペレーティングシステム、ミドルウェア、アプリケーション等のプログラムを利用できる。
【0031】
記憶部32は、不揮発性の記録媒体(例えば、SSD、HDD)を有し、記録媒体内に、映像情報保持部321、音声情報保持部322、プロフィール情報保持部323、及び接続先情報保持部324を構築している。
【0032】
映像情報保持部321は、ゲームで使用される映像情報を保持する。音声情報保持部322は、ゲームで使用される音声情報を保持する。プロフィール情報保持部323は、ゲームプレイヤA-Dのプロフィール情報を保持する。接続先情報保持部324は、会場内で使用される全ての眼鏡型表示装置10について、赤外線に埋め込まれる識別情報と、無線通信で使用される接続先情報を紐付けて保持する。例えば、Wi-Fiが使用される場合、接続先情報として、各眼鏡型表示装置10のプライベートIPアドレス及びMACアドレスが保持される。
【0033】
ゲーム実行部311は、ゲームプログラムと、複数のゲーム端末装置40a-40dから送信されてくる操作信号に基づきゲームを実行する。映像情報取得部312は、映像情報保持部321から、各ゲーム端末装置40a-40dのゲームの進行に応じた映像情報をそれぞれ取得する。音声情報取得部313は、音声情報保持部322から、各ゲーム端末装置40a-40dのゲームの進行に応じた音声情報をそれぞれ取得する。
【0034】
映像情報取得部312及び音声情報取得部313は、ゲームプレイヤAが使用しているゲーム端末装置40aに、ゲームプレイヤAのゲームの進行に応じた映像情報と音声情報を送信する。映像情報取得部312及び音声情報取得部313は、ゲーム端末装置40aの操作画面を表示するサブ表示装置20aに、同じ映像情報と音声情報を送信する。映像情報取得部312及び音声情報取得部313は、他のゲーム端末装置40b-40d及び他のサブ表示装置20b-20dに、それぞれゲームプレイヤB-Dのゲームの進行に応じた映像情報と音声情報を送信する。
【0035】
映像情報取得部312は、映像情報保持部321からゲームの全体マップの映像情報を取得して、メイン表示装置20Mに送信する。
【0036】
受光情報取得部314は、メイン表示装置20Mと複数のサブ表示装置20a-20dからそれぞれ受光情報を取得する。例えば、メイン表示装置20Mと複数のサブ表示装置20a-20dにおいて60Hzで撮像している場合、毎秒60フレームの赤外線画像を取得する。
【0037】
受光情報解析部315は、取得された赤外線画像に含まれる赤外線の検出点の時系列データをもとに、当該検出点に照射している眼鏡型表示装置10の識別情報を読み取る。一枚のフレーム内に複数の検出点が存在する場合、各検出点に照射している眼鏡型表示装置10の識別情報をそれぞれ特定する。受光情報解析部315は、各フレーム内において検出された赤外線の検出点の数をカウントする。
【0038】
受光情報解析部315は、メイン表示装置20Mから取得された赤外線画像に含まれる赤外線の検出点について、検出点の座標情報を特定する。サブ表示装置20a-20dから取得された赤外線画像に含まれる赤外線の検出点については、座標情報の特定は必須ではない。
【0039】
表示制御部316は、映像情報保持部321から取得された映像情報の一部の表示態様を変更することができる。具体例は後述する。
【0040】
無線通信部33は、複数の眼鏡型表示装置10のそれぞれと無線通信するための無線通信処理を実行する。Wi-Fiが使用される場合、制御装置30の無線通信部33は、Wi-Fiルータとして機能する。
【0041】
眼鏡型表示装置10は、処理部11、表示部12、赤外線照射部13、音声出力部14、無線通信部15、及び操作部16を備える。処理部11の機能は、ハードウェア資源とソフトウェア資源の協働、又はハードウェア資源のみにより実現できる。ハードウェア資源として、CPU、GPU、ROM、RAM、ASIC、FPGA、その他のLSIを利用できる。ソフトウェア資源としてオペレーティングシステム、ミドルウェア、アプリケーション等のプログラムを利用できる。無線通信部33は、制御装置30と無線通信するための無線通信処理を実行する。無線通信部33は、制御装置30のIPアドレスとMACアドレスを保持している。操作部16は、装着者の操作を受け付けて処理部11に出力する。
【0042】
以下、制御装置30による具体的な制御例を説明する。まず、音声に関する制御を、図2を参照しながら説明する。眼鏡型表示装置10を装着しているユーザが、サブ表示装置20aに表示されているゲームプレイヤAの操作画面に興味を持ち、サブ表示装置20aを見ている状況を考える。
【0043】
受光情報取得部314は、第1サブ表示装置20aの赤外線受光部22から赤外線画像を取得する。受光情報解析部315は、取得された赤外線画像に含まれる赤外線の検出点の時系列データから、第1サブ表示装置20aを見ているユーザが装着している眼鏡型表示装置10の識別情報を特定する。
【0044】
特定の眼鏡型表示装置10から照射された赤外線が、第1サブ表示装置20aの赤外線画像において一定時間(例えば、1秒、5秒、10秒)以上継続して検出されると、処理部31の接続先情報取得部(不図示)は、接続先情報保持部324を参照して、当該眼鏡型表示装置10の識別情報に紐付いている接続先情報を取得し、無線通信部33に渡す。音声情報取得部313は、ゲームプレイヤAの第1ゲーム端末装置40aに送信されている音声情報を無線通信部33に渡す。無線通信部33は当該接続先情報により特定される眼鏡型表示装置10に、当該音声情報を送信する。
【0045】
眼鏡型表示装置10の無線通信部15は、制御装置30から音声情報を受信すると処理部11に渡す。処理部11は、受信した音声情報を音声出力部14に出力し、音声出力部14はゲームプレイヤAの操作画面の音声を出力する。その際、眼鏡型表示装置10の表示部12に、ゲームプレイヤAのプロフィール情報を表示させてもよい。
【0046】
特定の眼鏡型表示装置10から照射された赤外線が、第1サブ表示装置20aの赤外線画像において一定時間以上継続して検出されると、処理部31のプロフィール情報取得部(不図示)は、プロフィール情報保持部323から、ゲームプレイヤAのプロフィール情報を取得し、無線通信部33に渡す。無線通信部33は上記接続先情報により特定される眼鏡型表示装置10に、上記音声情報とともに、ゲームプレイヤAのプロフィール情報を送信する。
【0047】
眼鏡型表示装置10の無線通信部15は、制御装置30からプロフィール情報を受信すると処理部11に渡す。処理部11は、受信したプロフィール情報を表示部12に表示させる。
【0048】
図6は、眼鏡型表示装置10の表示部12に表示される、ゲームプレイヤAのプロフィール情報の一例を示す図である。ユーザは、第1サブ表示装置20aに表示されたゲームプレイヤAの操作画面と、右のレンズ10Rの右下に表示されるゲームプレイヤAのプロフィール情報を同時に見ることができる。なお、ゲームプレイヤAのプロフィール情報に加えて、ゲームプレイヤAの成績情報やアカウント情報が表示されてもよい。
【0049】
同様に、眼鏡型表示装置10を装着しているユーザが、第2サブ表示装置20bに表示されているゲームプレイヤBの操作画面を一定時間以上、継続して見ている場合は、音声出力部14からゲームプレイヤBの操作画面の音声が出力され、表示部12にゲームプレイヤBのプロフィール情報が表示される。同様に、第3サブ表示装置20cに表示されているゲームプレイヤCの操作画面を一定時間以上、継続して見ている場合は、音声出力部14からゲームプレイヤCの操作画面の音声が出力され、表示部12にゲームプレイヤCのプロフィール情報が表示される。
【0050】
図2に示すように、メイン表示装置20Mにはゲーム世界の全体マップが表示される。ゲーム世界のマップには、複数のゲームフィールドのスポットが登録されている。図2に示す例では、スポットAが東京フィールドであり、スポットBが北海道フィールドである。ゲームプレイヤAは東京フィールドでプレイしており、ゲームプレイヤCは北海道フィールドでプレイしている。
【0051】
映像情報保持部321は、ゲーム世界のマップの複数のフィールドスポットの位置に対応する、メイン表示装置20Mの表示画面内の複数の検出点領域の座標情報と、各検出点領域に対応するフィールドスポットの俯瞰映像情報を紐付けて保持する。
【0052】
受光情報取得部314は、メイン表示装置20Mの赤外線受光部から赤外線画像を取得する。受光情報解析部315は、取得された赤外線画像に含まれる赤外線の検出点が、複数のフィールドスポットに対応する複数の検出点領域のいずれかに含まれるか否か判定する。特定の検出点領域に含まれる場合、受光情報解析部315は、取得された赤外線画像に含まれる赤外線の検出点の時系列データから、当該特定の検出点領域を見ているユーザが装着している眼鏡型表示装置10の識別情報を特定する。
【0053】
特定の眼鏡型表示装置10から照射された赤外線が、メイン表示装置20Mの特定の検出点領域において一定時間以上継続して検出されると、処理部31の接続先情報取得部(不図示)は、接続先情報保持部324を参照して、当該眼鏡型表示装置10の識別情報に紐付いている接続先情報を取得し、無線通信部33に渡す。映像情報取得部312は、映像情報保持部321を参照して、当該検出点領域に紐付いている俯瞰映像情報を取得する。無線通信部33は当該接続先情報により特定される眼鏡型表示装置10に、当該俯瞰映像情報を送信する。
【0054】
眼鏡型表示装置10の無線通信部15は、制御装置30から俯瞰映像情報を受信すると処理部11に渡す。処理部11は、受信した俯瞰映像声情報を表示部12に出力し、表示部12は、眼鏡型表示装置10を装着しているユーザが見ているフィールドスポットの俯瞰映像を表示する。
【0055】
図7は、眼鏡型表示装置10の表示部12に表示される、フィールドスポットAの俯瞰映像の一例を示す図である。ユーザは、右のレンズ10Rの右下に表示されるフィールドスポットAの俯瞰映像を確認することにより、フィールドスポットAの映像が表示されているサブ表示装置20aに視線を移動させるか否かを判断することができる。
【0056】
受光情報解析部315は、取得された赤外線画像に複数の赤外線照射部13から照射される赤外線の検出点が含まれる場合、複数の検出点領域のそれぞれにおいて、赤外線の検出点の数が所定数を超えているか否かを判定する。赤外線の検出点の数が所定数を超えている検出点領域が存在する場合、表示制御部316は、メイン表示装置20Mに表示されている当該検出点領域に対応するフィールドスポットの表示態様を、より目立つ表示態様に変更する。
【0057】
図8は、メイン表示装置20Mに表示されるマップの表示態様が変更された例を示す図である。スポットA(東京フィールド)を見ているユーザが所定数を超えると、表示制御部316は、スポットAをホットスポットとして表示態様を変更する。例えば、スポットAを見ているユーザが所定数以下の状態では、表示制御部316はスポットAを黄色で表示し、スポットAを見ているユーザが所定数を超えると、スポットAを赤色で表示する。
【0058】
赤外線の検出点の数が所定数を超えている検出点領域が存在する場合、映像情報取得部312は、映像情報保持部321を参照して、当該検出点領域に紐付いている俯瞰映像情報を取得し、無線通信部33は、会場内の全ての眼鏡型表示装置10に、当該俯瞰映像情報を同報送信してもよい。この場合、当該検出点領域を赤外線で指し示していない眼鏡型表示装置10にも、当該検出点領域に紐付いている俯瞰映像情報が送信されることになる。
【0059】
眼鏡型表示装置10の操作部16には、様々な操作ボタンを搭載することができる。例えば、表示部12に表示される映像のオン/オフを設定する映像表示ボタンが搭載されてもよい。ユーザは映像表示ボタンをオフに設定することにより、表示部12に映像が表示されないようにすることができる。
【0060】
また、操作部16に映像固定ボタンが搭載されてもよい。ユーザは映像固定ボタンをオンに設定することにより、表示部12に表示される映像を固定することができる。
【0061】
また、操作部16に音声固定ボタンが搭載されてもよい。例えば、ゲームプレイヤAの操作画面の音声を聴きながら、ゲームプレイヤBの操作画面の映像を見たい場合、眼鏡型表示装置10の音声出力部14から出力される音声を、第1サブ表示装置20aの第1スピーカ21aに出力されている音声に固定する。これにより、第2サブ表示装置20bを見ても、第2スピーカ21bに出力されている音声に自動的に切り替わることがなくなる。また、第1サブ表示装置20aの視聴中において、何らかの事情で視点が第1サブ表示装置20aから意図せずに外れてしまった場合に、別のスピーカの音声に切り替わってしまうことを防止することができる。
【0062】
また、操作部16にホットスポット表示ボタンが搭載されてもよい。ユーザはホットスポット表示ボタンをオンに設定することにより、自動的にホットスポットの俯瞰映像が表示部12に表示されるようにすることができる。反対に、ユーザはホットスポット表示ボタンをオフに設定することにより、ホットスポットの俯瞰映像が表示部12に自動的に表示されないようにすることができる。
【0063】
また、操作部16に、音声や映像が切り替わる条件となる一定時間(注視時間を示す)を設定するボタンが搭載されてもよい。例えば、1秒、5秒、10秒の中から選択する仕様でもよい。ユーザは、視線を切り替えてから、音声や映像が切り替わるまでの感度を調整することができる。
【0064】
また、操作部16に実況音声ミュートボタンが搭載されてもよい。制御装置30から、ゲームの音声情報に加えて実況の音声情報が重畳的に送信されてくることがある。ユーザは実況音声ミュートボタンをオンに設定することにより、実況の音声を消すことができる。
【0065】
眼鏡型表示装置10に、加速度センサ(不図示)が搭載されてもよい。加速度センサの値が所定値以上変化すると、処理部11は表示部12に表示されている映像を消去する。この場合、ユーザは首を一定以上、動かすことにより、表示部12に表示されている映像を消すことができる。
【0066】
また、ユーザは視線を一定以上、動かすことにより、表示部12に表示されている映像を消すこともできる。受光情報解析部315は、メイン表示装置20M及び複数のサブ表示装置20a-20dから取得される赤外線画像に含まれる赤外線の検出点の時系列データから、いずれかの表示装置20を見ているユーザが装着している眼鏡型表示装置10の識別情報を特定する。
【0067】
特定の眼鏡型表示装置10から照射された赤外線が、所定値以上、移動したとき、処理部31の接続先情報取得部(不図示)は、接続先情報保持部324を参照して、当該眼鏡型表示装置10の識別情報に紐付いている接続先情報を取得し、無線通信部33に渡す。無線通信部33は、特定の眼鏡型表示装置10に、表示部12に表示中の映像を消去するよう指示する指示信号を送信する。眼鏡型表示装置10の無線通信部15は、制御装置30から当該指示信号を受信すると処理部11に渡す。処理部11は、表示部12に表示中の映像を消去する。これによれば、ユーザは操作ボタンを押したり、首を傾けたりすることなく、簡便に表示部12に表示されている映像を消すことができる。
【0068】
以上説明したように本実施の形態によれば、複数のサブ表示装置20が設置されている会場内において、視聴したいサブ表示装置20の前に移動しなくても、視聴したいサブ表示装置20に視線を合わせるだけで、視聴したいサブ表示装置20の音声を聴くことができる。観戦者と、視聴したいサブ表示装置20が離れている場合でも、音の反響の影響を受けずに、視聴したいサブ表示装置20の音声をクリアに聴くことができる。会場内に多数の観戦者がいる場合でも、各観戦者は、視聴したいサブ表示装置20の音声をそれぞれクリアに聴くことができる。
【0069】
多くの観戦者が見ているフィールドスポットの表示態様を目立たたせることにより、また、当該フィールドスポットの俯瞰映像を眼鏡型表示装置10の表示部12に自動的に表示させることにより、観戦者は、盛り上がっているシーンを見逃してしまうことを防止することができる。
【0070】
また、特定のフィールドスポットを注視した場合、当該フィールドスポットの俯瞰映像を眼鏡型表示装置10の表示部12に自動的に表示させることができる。このように、様々な制御により、観戦者の視聴をサポートすることができる。
【0071】
以上、本発明を実施の形態をもとに説明した。この実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0072】
上述した実施の形態では、眼鏡型表示装置10の表示部12として、レンズ10Rの外側に設置された独立した小型のディスプレイを想定した。この点、レンズ10R、10L自体が映像表示機能を持つレンズディスプレイを使用してもよい。
【0073】
眼鏡型表示装置10の処理部11、音声出力部14、無線通信部15、及び操作部16は、スマートフォンと連携することにより実現されてもよい。観戦者は、会場運営者から貸与された眼鏡型表示装置10と、自身が所持するスマートフォンをUSBケーブル等で接続して使用する。この場合、眼鏡型表示装置10のコストを大幅に削減することができる。
【0074】
上述したホットスポットを検出して、メイン表示装置20M内のホットスポットの表示態様を目立つ表示態様に変更する処理、及び当該ホットスポットに紐付いている俯瞰映像情報を、会場内の全ての眼鏡型表示装置10に送信する処理のみを実行する場合、眼鏡型表示装置10に識別情報を割り当てる必要はない。この場合、眼鏡型表示装置10の赤外線照射部13は、赤外線に識別情報を埋め込む必要はない。制御装置30は、接続先情報保持部324を構築する必要はない。
【0075】
上述した実施の形態では、eスポーツ会場で使用される観戦システムを説明した。この点、大画面のモニタが設置されるイベントであれば、eスポーツ以外の観戦や鑑賞にも適用可能である。例えば、スポーツ(野球、サッカー、ラグビー、格闘技、プロレス等)の観戦、競馬、競輪、競艇、オートレースの観戦、コンサートの観戦、映画の鑑賞にも適用可能である。例えば、競技場に複数のカメラが設置されている場合、メイン表示装置20に表示されている競技場マップの、カメラ設置点を注視することにより、当該カメラで撮影されている映像を、眼鏡型表示装置10の表示部12に表示させることができる。
【符号の説明】
【0076】
1 観戦システム、 10 眼鏡型表示装置、 11 処理部、 12 表示部、 13 赤外線照射部、 14 音声出力部、 15 無線通信部、 16 操作部、 20 表示装置、 21 スピーカ、 22 赤外線受光部、 30 制御装置、 31 処理部、 311 ゲーム実行部、 312 映像情報取得部、 313 音声情報取得部、 314 受光情報取得部、 315 受光情報解析部、 316 表示制御部、 32 記憶部、 321 映像情報保持部、 322 音声情報保持部、 323 プロフィール情報保持部、 324 接続先情報保持部、 33 無線通信部、 40 ゲーム端末装置。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8