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特許7484593情報処理装置、答案用紙解析方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-08
(45)【発行日】2024-05-16
(54)【発明の名称】情報処理装置、答案用紙解析方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06V 30/412 20220101AFI20240509BHJP
   G06V 30/14 20220101ALI20240509BHJP
【FI】
G06V30/412
G06V30/14
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2020148049
(22)【出願日】2020-09-03
(65)【公開番号】P2022042598
(43)【公開日】2022-03-15
【審査請求日】2023-06-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000925
【氏名又は名称】弁理士法人信友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】則武 和輝
(72)【発明者】
【氏名】内野 智史
(72)【発明者】
【氏名】白石 潤
【審査官】伊知地 和之
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-003647(JP,A)
【文献】特開2018-206115(JP,A)
【文献】特開2016-212284(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06V 30/00 - 30/12
G06V 30/14 - 30/168
G06V 30/18 - 30/222
G06V 30/224
G06V 30/226 - 30/32
G06V 30/40 - 30/416
G06V 30/42 - 30/424
CSDB(日本国特許庁)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の設問の設問記号及び前記設問に対する解答としての手書き文字列を含む答案用紙のスキャンデータから前記設問記号を抽出して識別し、前記設問記号の識別結果及び前記設問記号の位置に関する情報を含む設問記号情報を取得する設問記号情報取得部と、
前記答案用紙のスキャンデータから前記手書き文字列を抽出して識別し、前記手書き文字列の識別結果及び前記手書き文字列の位置に関する情報を含む手書き文字列情報を取得する手書き文字列情報取得部と、
前記設問記号情報及び前記手書き文字列情報を用いて、前記設問記号と前記手書き文字列とを紐づけてペアを生成し、他の前記ペアにおける紐づけ情報を参照して前記ペアの紐づけを確定する紐づけ処理部と、を備える
情報処理装置。
【請求項2】
前記紐づけ情報には、前記設問記号に対する前記手書き文字列の距離の情報、前記設問記号に対する前記手書き文字列の角度の情報、及び、前記答案用紙における前記手書き文字列の座標の情報のうち、少なくとも一つが含まれる
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記紐づけ処理部は、前記手書き文字列に対応付けられた前記設問記号が複数存在する場合、他の前記ペアとの比較において、前記紐づけ情報としての前記距離がより長い方の前記ペア、前記紐づけ情報としての前記角度がより大きい方の前記ペア、又は、前記紐づけ情報としての前記座標がより離れている方のペアを、前記解答が未記入のペアであると判定し、該ペアにおける前記設問記号と前記手書き文字列との紐づけを外す
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記紐づけ処理部は、前記紐づけ情報の値が外れ値となる前記ペアを、前記解答が未記入のペアであると判定し、該ペアにおける前記設問記号と前記手書き文字列との紐づけを外す
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記紐づけ処理部は、各ペアの前記紐づけ情報に基づいて算出された標準偏差が所定の閾値以上である前記ペアの前記紐づけ情報を、前記外れ値であると判定する
請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記紐づけ処理部は、前記設問記号情報取得部が抽出した前記設問記号の数と、前記手書き文字列情報取得部が抽出した前記手書き文字列の数とに基づいて、前記解答の未記入数を推定し、前記閾値を、前記未記入数を満たす値に自動調整する
請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記紐づけ処理部は、前記閾値の近辺の値の前記紐づけ情報を有する前記ペアに関して、紐づけの信頼度が低いペアである旨を、報知部を介してユーザーに通知する
請求項6に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記紐づけ処理部は、推定した前記解答の未記入数の情報を参照して、前記ペアを生成する
請求項6又は7に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記紐づけ処理部は、同一の前記答案用紙におけるすべての前記ペアの前記紐づけ情報を用いて、前記標準偏差を算出する
請求項6に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記紐づけ処理部は、複数の前記答案用紙における同一の設問の前記紐づけ情報を用いて、前記標準偏差を算出する
請求項6に記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記紐づけ処理部は、他の前記答案用紙における前記解答の未記入と比較して前記解答の未記入数が多い前記答案用紙における前記紐づけ情報を、前記標準偏差の算出対象から外す
請求項6に記載の情報処理装置。
【請求項12】
前記紐づけ処理部は、前記解答の未記入数が多い前記答案用紙が多数存在する場合、前記答案用紙又は前記設問における不備が存在する可能性がある旨を、報知部を介してユーザーに通知する
請求項6~11のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項13】
前記紐づけ処理部は、前記設問記号の位置と、該設問記号に対する解答の位置とが固定的に設定された模範解答用紙における、同一の設問の前記紐づけ情報を参照して前記ペアの紐づけを確定し、
前記模範解答用紙における前記同一の設問の前記紐づけ情報との比較において、前記紐づけ情報としての前記距離がより長い方の前記ペア、前記紐づけ情報としての前記角度がより大きい方の前記ペア、又は、前記紐づけ情報としての前記座標がより離れている方のペアを前記解答が未記入のペアであると判定し、該ペアにおける前記設問記号と前記手書き文字列との紐づけを外す
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項14】
複数の設問の設問記号及び前記設問に対する解答としての手書き文字列を含む答案用紙のスキャンデータから前記設問記号を抽出して識別し、前記設問記号の識別結果及び前記設問記号の位置に関する情報を含む設問記号情報を取得する手順と、
前記答案用紙のスキャンデータから前記手書き文字列を抽出して識別し、前記手書き文字列の識別結果及び前記手書き文字列の位置に関する情報を含む手書き文字列情報を取得する手順と、
前記設問記号情報及び前記手書き文字列情報を用いて、前記設問記号と前記手書き文字列とを紐づけてペアを生成し、他の前記ペアにおける紐づけ情報を参照して前記ペアの紐づけを確定する手順と、を含む
答案用紙解析方法。
【請求項15】
複数の設問の設問記号及び前記設問に対する解答としての手書き文字列を含む答案用紙のスキャンデータから前記設問記号を抽出して識別し、前記設問記号の識別結果及び前記設問記号の位置に関する情報を含む設問記号情報を取得する手順と、
前記答案用紙のスキャンデータから前記手書き文字列を抽出して識別し、前記手書き文字列の識別結果及び前記手書き文字列の位置に関する情報を含む手書き文字列情報を取得する手順と、
前記設問記号情報及び前記手書き文字列情報を用いて、前記設問記号と前記手書き文字列とを紐づけてペアを生成し、他の前記ペアにおける紐づけ情報を参照して前記ペアの紐づけを確定する手順と、をコンピュータに実行させる
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、答案用紙解析方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、答案用紙をスキャナー等で読み取り、該読み取りにより得られたスキャンデータを解析することにより、答案を自動で採点する技術が知られている。自動採点では、まず、設問と、その解答としての手書きで記載された文字列との紐づけを行う必要がある。設問と解答とを紐づける方法には、例えば、人が答案用紙を見て紐づけを行う方法や、予め用意した答案用紙のテンプレート等を参照して解答欄の座標位置を特定することにより、設問と解答とを紐づける方法などがある。
【0003】
特許文献1には、ペア作成手段が、文字認識処理を行って得られたテキストデータである証明書データから、項目名と、項目名に対応する個人データとを関連付け、特定した項目名から一番近い位置にある語や、特定した項目に続く語を、個人データとして項目名に対応付けることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-101327号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の技術を用いて答案の自動採点を行う場合、未記入の解答が存在すると、設問とその解答との紐づけに誤りが生じる可能性がある。例えば、解答が未記入である設問と、その設問からの距離が一番近い解答とが誤って紐づけられてしまうこと等が起こり得る。
【0006】
本発明はこのような状況に鑑みて成されたものであり、未記入の解答が存在する場合における、設問とその解答との誤った紐づけを防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した目的のうち少なくとも一つを実現するために、本発明の一側面を反映した情報処理装置は、複数の設問の設問記号及び設問に対する解答としての手書き文字列を含む答案用紙のスキャンデータから設問記号を抽出して識別し、設問記号の識別結果及び設問記号の位置に関する情報を含む設問記号情報を取得する設問記号情報取得部と、答案用紙のスキャンデータから手書き文字列を抽出して識別し、手書き文字列の識別結果及び手書き文字列の位置に関する情報を含む手書き文字列情報を取得する手書き文字列情報取得部と、設問記号情報及び手書き文字列情報を用いて、設問記号と手書き文字列とを紐づけてペアを生成し、他のペアにおける紐づけ情報を参照してペアの紐づけを確定する紐づけ処理部と、を備える。
【0008】
また、上述した目的のうち少なくとも一つを実現するために、本発明の一側面を反映した答案用紙解析方法は、複数の設問の設問記号及び設問に対する解答としての手書き文字列を含む答案用紙のスキャンデータから設問記号を抽出して識別し、設問記号の識別結果及び設問記号の位置に関する情報を含む設問記号情報を取得する手順と、答案用紙のスキャンデータから手書き文字列を抽出して識別し、手書き文字列の識別結果及び手書き文字列の位置に関する情報を含む手書き文字列情報を取得する手順と、設問記号情報及び手書き文字列情報を用いて、設問記号と手書き文字列とを紐づけてペアを生成し、他のペアにおける紐づけ情報を参照して、ペアの紐づけを確定する手順と、を含む。
【0009】
さらに、上述した目的のうち少なくとも一つを実現するために、本発明の一側面を反映したプログラムは、複数の設問の設問記号及び設問に対する解答としての手書き文字列を含む答案用紙のスキャンデータから設問記号を抽出して識別し、設問記号の識別結果及び設問記号の位置に関する情報を含む設問記号情報を取得する手順と、答案用紙のスキャンデータから手書き文字列を抽出して識別し、手書き文字列の識別結果及び手書き文字列の位置に関する情報を含む手書き文字列情報を取得する手順と、設問記号情報及び手書き文字列情報を用いて、設問記号と手書き文字列とを紐づけてペアを生成し、他のペアにおける紐づけ情報を参照してペアの紐づけを確定する手順と、をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0010】
本発明では、紐づけ処理部が、他のペアにおける紐づけ情報を参照して、設問記号と手書き文字列とを紐づけてペアを確定する。それゆえ、本発明によれば、未記入の解答が存在する場合における、設問とその解答との誤った紐づけを防止することができる。上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施の形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態に係る自動採点システムの構成例を示す図である。
図2】本発明の一実施形態の実施例1に係る紐づけ処理部による紐づけ処理の概要の例を示す図である。
図3】本発明の一実施形態の実施例1に係る情報処理装置による判定方法1-1を用いた答案用紙解析方法の手順の例を示すフローチャートである。
図4】本発明の一実施形態の実施例1に係る情報処理装置による判定方法1-2を用いた答案用紙解析方法の手順の例を示すフローチャートである。
図5】本発明の一実施形態の実施例1に係る情報処理装置による判定方法1-3を用いた答案用紙解析方法の手順の例を示すフローチャートである。
図6】本発明の一実施形態の実施例1に係る情報処理装置による判定方法1-4を用いた答案用紙解析方法の手順の例を示すフローチャートである。
図7】本発明の一実施形態の実施例2に係る、紐づけ距離が長いペアを有する答案用紙を含む、複数の答案用紙の例を示す図である。
図8】本発明の一実施形態の実施例2に係る、紐づけ距離が長いペアを有する答案用紙を含む、複数の答案用紙の例を示す図である。
図9】本発明の一実施形態の実施例2に係る、紐づけ角度が大きいペアを有する答案用紙を含む、複数の答案用紙の例を示す図である。
図10】本発明の一実施形態の実施例2に係る、紐づけ角度が大きいペアを有する答案用紙を含む、複数の答案用紙の例を示す図である。
図11】本発明の一実施形態の実施例2に係る情報処理装置による判定方法2-1~判定方法2-3に共通する答案用紙解析方法の手順の例を示すフローチャートである。
図12】本発明の一実施形態の実施例2に係る情報処理装置による判定方法2-1を用いた答案用紙解析方法の手順の例を示すフローチャートである。
図13】本発明の一実施形態の実施例2に係る情報処理装置による判定方法2-2を用いた答案用紙解析方法の手順の例を示すフローチャートである。
図14】本発明の一実施形態の実施例2に係る情報処理装置による判定方法2-3を用いた答案用紙解析方法の手順の例を示すフローチャートである。
図15】本発明の一実施形態の実施例3に係る情報処理装置による判定方法3-1を用いた答案用紙解析方法の手順の例を示すフローチャートである。
図16】本発明の一実施形態の実施例3に係る情報処理装置による判定方法3-2を用いた答案用紙解析方法の手順の例を示すフローチャートである。
図17】本発明の一実施形態の実施例3に係る情報処理装置による判定方法3-3を用いた答案用紙解析方法の手順の例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための形態について、添付図面を参照して説明する。本明細書及び図面において、実質的に同一の機能又は構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複する説明を省略する。
【0013】
<自動採点システムの構成>
まず、図1を参照して、本実施の形態に係る自動採点システムの構成例を説明する。図1は、自動採点システム100の構成例を示す図である。
【0014】
図1に示すように、自動採点システム100は、画像形成装置1と、情報処理装置2と、を含む。画像形成装置1と情報処理装置2とは、LAN(Local Area Network)等よりなるネットワークを介して接続される。
【0015】
画像形成装置1は、例えば、コピー機能、プリンター機能、スキャナー機能等を有するMFP(Multi-Functional Peripherals)で構成される。画像形成装置1は、不図示のプリンタコントローラー等から送信されたジョブに含まれる画像データに基づいて用紙に画像形成を行い、該画像が形成された用紙を印刷物として出力する。また、画像形成装置1は、答案用紙等の用紙を読み取ってスキャン画像を得、該スキャン画像を情報処理装置2に送信する機能も有する。
【0016】
情報処理装置2は、例えばPC(Personal Computer)等で構成される。情報処理装置2は、画像形成装置1から送信されたスキャンデータを解析して、設問の記号及び設問に対する解答を抽出するとともに、抽出した解答の自動採点を行う。
【0017】
[画像形成装置の構成]
画像形成装置1は、制御部10、記憶部11、通信I/F(Interface)部12、画像処理部13、画像形成部14、画像読取部15及び操作表示部16等を含む。
【0018】
制御部10は、CPU101、RAM(Random Access Memory)102及びROM(Read Only Memory)103等を含む。
【0019】
CPU101は、ROM103に記憶されているシステムプログラムや画像形成処理プログラムなどの各種処理プログラムを読み出してRAM102に展開し、展開したプログラムに従って画像形成装置1の各部の動作を制御する。
【0020】
RAM102は、CPU101により実行される各種プログラム及びこれらプログラムに係るデータを一時的に記憶するワークエリアを形成し、印刷ジョブのキュー、各種動作の設定等を記憶する。
【0021】
ROM103は、半導体メモリ等の不揮発性メモリ等により構成され、画像形成装置1に対応するシステムプログラム、及び、該システムプログラム上で実行可能な画像形成処理プログラム等を記憶する。これらのプログラムは、コンピュータが読取り可能なプログラムコードの形態で格納され、CPU101は、当該プログラムコードに従った動作を逐次実行する。
【0022】
記憶部11は、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)などにより構成され、不図示のプリンタコントローラーから送信された原稿画像、画像処理部13によってRIP処理が施された印刷用画像、画像読取部15が読み取って得たスキャンデータ等を記憶する。
【0023】
通信I/F部12は、情報処理装置2との間で行われる各種信号や各種データなどの送受信動作を制御する。例えば、通信I/F部12は、画像読取部15が答案用紙を読み取って得たスキャンデータを、ネットワークを介して情報処理装置2に送信する動作を制御する。
【0024】
画像処理部13は、不図示のプリンタコントローラー送信された原稿画像にRIP処理を施すことにより、原稿画像を印刷用画像に変換する。そして、画像処理部13は、操作表示部16を介してユーザーより入力された印刷設定の内容に基づいて、印刷用画像に各種画像処理を施す。
【0025】
画像形成部14は、画像処理部13によって生成された印刷用画像を用紙に形成(印刷)する。具体的には、画像形成部14は、画像に応じたレーザ光を帯電された感光体ドラム(図示略)に照射して静電潜像を形成する。そして、画像形成部14は、感光体ドラム上に形成された静電潜像を、1次転写及び2次転写を経て用紙上に形成した後に、用紙上に形成された印刷画像を定着部(図示略)によって定着させる。
【0026】
なお、本実施形態では、画像形成装置1の画像形成の方式が電子写真方式である例を挙げたが、本発明はこれに限定されない。画像形成装置1の画像形成方式は、インクジェット方式等の他の方式であってもよい。
【0027】
画像読取部15は、用紙の搬送方向における画像形成部14の下流に配置され、印刷画像が形成された用紙を光学的に読み取り、スキャン画像を生成する。画像読取部15は、CCD(Charge Coupled Devices)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor Image Sensor)等で構成される撮像素子と、該撮像素子の動作を制御する走査制御(いずれも図示略)等を備える。
【0028】
操作表示部16は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)や、有機EL(Electro Luminescence)などで構成される表示装置と、タッチパッド等の位置入力装置とを組み合わせたタッチパネルで構成される。なお、表示装置と入力装置とは別々に構成されてもよい。
【0029】
[情報処理装置の構成]
情報処理装置2は、通信I/F部21、制御部22、記憶部23、設問記号情報取得部24、手書き文字列情報取得部25、紐づけ処理部26、自動採点部27、表示部28及び操作入力部29等を含む。
【0030】
通信I/F部21は、画像形成装置1との間で行われる各種信号や各種データなどの送受信動作を制御する。例えば、通信I/F部21は、画像形成装置1から送信されたスキャンデータを受信する動作を制御する。
【0031】
制御部22は、CPU221、RAM222及びROM223を含む。CPU221は、ROM223に記憶されているシステムプログラムや答案用紙解析プログラム、自動採点プログラムなどの各種処理プログラムを読み出してRAM222に展開し、展開したプログラムに従って情報処理装置2の各部の動作を制御する。
【0032】
RAM222は、CPU221により実行される各種プログラム及びこれらプログラムに係るデータを一時的に記憶するワークエリアを形成し、各種動作の設定等を記憶する。
【0033】
ROM223は、半導体メモリ等の不揮発性メモリ等により構成され、情報処理装置2に対応するシステムプログラム、及び、該システムプログラム上で実行可能な答案用紙解析プログラム、自動採点プログラム等を記憶する。これらのプログラムは、コンピュータが読取り可能なプログラムコードの形態で格納され、CPU221は、当該プログラムコードに従った動作を逐次実行する。
【0034】
記憶部23は、HDDやSSDなどにより構成される。記憶部23には、画像形成装置1から送信されたスキャンデータや自動採点部27によって自動採点が行われた答案用紙のデータ等が記憶される。
【0035】
設問記号情報取得部24は、答案用紙のスキャンデータを解析することにより、答案用紙に含まれる設問の記号(以下、「設問記号」と称する)を抽出し、該設問記号を識別するとともに、設問記号情報を取得する。
【0036】
設問記号情報には、設問記号の識別結果、及び、設問記号の位置に関する情報が含まれる。設問記号の識別結果には、例えば、抽出箇所が設問記号であること、及び、設問記号を示すテキスト(数字、アルファベット、カナ)等が含まれる。設問記号の位置に関する情報には、例えば、答案用紙における設問記号の座標の情報等が含まれる。なお、座標は、設問記号を起点とした座標であってもよい。
【0037】
手書き文字列情報取得部25は、答案用紙のスキャンデータを解析することにより、答案用紙に含まれる手書き文字を抽出し、該手書き文字を識別するとともに、手書き文字情報を取得する。手書き文字情報には、手書き文字の識別結果、及び、手書き文字の位置に関する情報が含まれる。手書き文字の識別結果には、例えば、手書き文字によって示されるテキスト(数字、アルファベット、カナ、記号)等が含まれる。手書き文字の位置に関する情報には、例えば、答案用紙における手書き文字の座標の情報等が含まれる。
【0038】
紐づけ処理部26は、まず、設問記号情報及び手書き文字列情報を用いて、設問の記号と設問に対する解答としての手書き文字列とを紐づけてペアを生成する。このとき、紐づけ処理部26は、各ペアにおいて紐づけ情報を生成する。紐づけ情報には、設問の記号から手書き文字列までの距離の情報、設問の記号に対する手書き文字列の角度の情報、答案用紙における手書き文字列の座標の情報等がある。そして、ペアの生成後、紐づけ処理部26は、他のペアにおける紐づけ情報を参照してペアの紐づけを確定する。
【0039】
「他のペア」には、例えば、同一の答案用紙における他の設問記号におけるペア、同一の設問記号の他の答案用紙におけるペア、同一の設問記号の模範解答用紙におけるペア等がある。模範解答用紙は、正解の解答が記載された答案用紙であり、模範解答用紙においては、設問の記号の位置と該設問の記号に対する解答の位置とが、固定的に設定されている。
【0040】
以下では、同一の答案用紙における他の設問記号におけるペアの情報を用いた答案用紙解析手法を「実施例1」として説明し、同一の設問記号の他の答案用紙におけるペアの情報を用いた答案用紙解析手法を「実施例2」として説明する。また、同一の設問記号の模範解答用紙におけるペアの情報を用いた答案用紙解析手法を「実施例3」として説明する。
【0041】
自動採点部27は、紐づけ処理部26で設問記号に対応付けられた、手書き文字による解答を自動で採点する。具体的には、自動採点部27は、設問記号と対応付けられた解答が、予め用意された正解の解答と一致するか否かを判定する。
【0042】
表示部28(報知部の一例)は、例えば、LCDや有機ELなどで構成される表示装置である。操作入力部29は、マウスやキーボードなどで構成される入力装置である。
【0043】
<実施例1>
[答案用紙解析処理の概要]
次に、図2を参照して、実施例1に係る情報処理装置2による答案用紙解析方法の概要について説明する。図2は、紐づけ処理部26による紐づけ処理の概要の例を示す図である。
【0044】
上述したように、実施例1では、紐づけ処理部26は、同一の答案用紙における他の設問記号におけるペアの紐づけ情報を参照して、ペアの紐づけを確定する。具体的には、紐づけ処理部26は、以下に示す4つの判定方法のうちのいずれか一つ以上の判定方法を用いて、ペアの紐づけを確定する。
【0045】
判定方法1-1:紐づけ情報としての、設問記号と手書き文字列との距離(以下、「紐づけ距離」とも称する)の値が外れ値となるペアを、解答が未記入のペアであると判定する。
判定方法1-2:手書き文字列に対応付けられた設問記号が複数存在する場合、紐づけ距離がより長い方のペアを、解答が未記入のペアであると判定する。
判定方法1-3:紐づけ情報としての、設問記号と手書き文字列との角度(以下、「紐づけ角度」とも称する)の値が外れ値となるペアを、解答が未記入のペアであると判定する。
判定方法1-4:手書き文字列に対応付けられた設問記号が複数存在する場合、紐づけ角度がより大きい方のペアを、解答が未記入のペアであると判定する。
【0046】
紐づけ距離又は紐づけ角度が「外れ値」であるか否かは、例えば、各ペアにおいて紐づけ距離又は紐づけ角度の標準偏差σに基づいて判定することができる。より詳細には、紐づけ処理部26は、標準偏差が所定の閾値nσ(第1閾値の一例)以上であるペアを、紐づけ距離又は紐づけ角度が「外れ値」であるペアと判定する。閾値nσにおける“n”は、外れ値算出用の変数である。“n”には、例えば“1”以上の値を設定することができるが、“1”未満の値が設定されてもよい。
【0047】
なお、“n”の値は事前に設定しておいてもよいが、答案用紙における解答の未記入数(以下、「解答未記入数」と称する)に応じて最適化されるハイパーパラメータとしてもよい。つまり、紐づけ処理部26は、“n”の値を、解答未記入数を満たす値に自動的に調整してもよい。
【0048】
図2に、設問番号(設問記号の一例)「1」~「6」のそれぞれに対して、解答としての手書き文字列が記入された状態の答案用紙を示す。図2において、設問番号と手書き文字列との紐づけは、点線又は一点鎖線によって示される。
【0049】
図2に示す例では、設問番号「1」に対して“coffee”及び“watch”の2つの手書き文字列が対応付けられており、設問番号「2」に対しては“coffee”の手書き文字列が対応付けられている。設問番号「3」に対しては、“watch”の手書き文字列が対応付けられており、設問番号「4」に対しては、“leg”の手書き文字列が対応付けられており、設問番号「5」に対しては、“environment”の手書き文字列が対応付けられている。設問番号「6」に対しては、“ancle”の手書き文字列が対応付けられている。
【0050】
設問番号「1」と“coffee”との対応付けは、設問番号に対する解答の対応付けが、設問番号の順に従って行われた場合に成立する。つまり、紐づけ処理部26が、設問番号「1」に対応する解答を、「1」の解答欄、「2」の解答欄…の順に検索した場合に成立する。一方、設問番号「1」と“watch”との対応付けは、紐づけ処理部26が、設問番号「1」からの距離が一番近い解答を選択することにより成立する。
【0051】
そして、例えば、設問番号「1」の解答として“coffee”の手書き文字列が対応付けられている場合、設問番号1と“coffee”との距離(紐づけ距離)は、他の設問番号及びその解答間における距離よりも長くなる。この場合、設問番号1と“coffee”との紐づけ距離は「外れ値」となる。したがって、このような対応付けが行われている場合、紐づけ処理部26は、上述した「判定方法1-1」を用いることにより、未記入の解答を特定することができる。つまり、紐づけ処理部26は、紐づけ距離が外れ値となっている“coffee”と設問番号「1」とのペアを、解答が未記入のペアと判定する。
【0052】
また、設問番号「1」の解答として“coffee”の手書き文字列が対応付けられている場合、紐づけ処理部26は、「判定方法2」を用いることによっても、未記入の解答を特定することができる。つまり、紐づけ処理部26は、紐づけが重複している設問番号「1」及び手書き文字列“coffee”のペアと、設問番号「2」及び手書き文字列“watch”のペアとを比較し、紐づけ距離が長い方のペア、すなわち、設問番号「1」と解答“coffee”のペアを、解答が未記入のペアと判定する。
【0053】
一方、設問番号「1」と“watch”とが対応付けられている場合、設問番号1と手書き文字列の“watch”とが成す角度(sin2θ)は、他の設問番号とその解答が成す角度よりも大きくなる。この場合、設問番号1と“watch”とが成す角度は「外れ値」となる。したがって、このような対応付けが行われている場合、紐づけ処理部26は、「判定方法1-3」を用いることにより、未記入の解答を特定することができる。つまり、紐づけ処理部26は、紐づけ角度が外れ値となっている手書き文字列“watch”及び設問番号「1」のペアを、解答が未記入のペアと判定する。
【0054】
また、設問番号「1」と“watch”とが対応付けられている場合、紐づけ処理部26は、「判定方法1-4」を用いることによっても、未記入の解答を特定することができる。つまり、紐づけ処理部26は、紐づけが重複している設問番号「1」及び手書き文字列“coffee”のペアと、設問番号「2」及び手書き文字列“watch”のペアとを比較し、紐づけ角度が大きい方のペア、すなわち、設問番号「1」及び手書き文字列“coffee”のペアを、解答が未記入のペアと判定する。
【0055】
[判定方法1-1を用いた答案用紙解析方法]
次に、図3を参照して、情報処理装置2による判定方法1-1を用いた答案用紙解析方法について説明する。図3は、情報処理装置2による判定方法1-1を用いた答案用紙解析方法の手順の例を示すフローチャートである。
【0056】
まず、情報処理装置2の設問記号情報取得部24(図1参照)は、画像形成装置1から送信された答案用紙のスキャンデータより、設問記号情報を取得する(ステップS1)。設問記号情報には、設問記号の識別結果、及び、答案用紙における識別記号の座標の情報が含まれる。次いで、手書き文字列情報取得部25は、同じくスキャンデータより手書き文字列情報を取得する(ステップS2)。手書き文字列情報には、手書き文字列の識別結果、及び、答案用紙における手書き文字列の座標の情報が含まれる。
【0057】
次いで、紐づけ処理部26は、設問記号と手書き文字列との紐づけ処理を行う(ステップS3)。そして、紐づけ処理部26は、ステップS3で紐付けられた設問記号番号と手書き文字列とのペアを生成する(ステップS4)。次いで、紐づけ処理部26は、すべての設問記号に対する紐づけ処理は終了したか否かを判定する(ステップS5)。
【0058】
ステップS5で、すべての設問記号に対する紐づけ処理は終了していないと判定された場合(ステップS5がNO判定の場合)、紐づけ処理部26は、ステップS3に戻って処理を行う。一方、ステップS5で、すべての設問記号に対する紐づけ処理は終了したと判定された場合(ステップS5がYES判定の場合)、紐づけ処理部26は、ステップS1で抽出された設問記号の数、及び、ステップS2で抽出された手書き文字列の数に基づいて、解答未記入数Mを算出する(ステップS6)。
【0059】
次いで、紐づけ処理部26は、ステップS4で生成した各ペアにおける紐づけ情報として、紐づけ距離を算出する(ステップS7)。紐づけ距離は、設問記号から、解答としての手書き文字列までの距離である。設問記号から手書き文字列までの距離としては、設問番号の右端の位置から、手書き文字列として抽出された四角形の領域の左隅の位置までの距離、又は、手書き文字列として抽出された四角形の領域の中心点までの距離等を測定することができる。
【0060】
次いで、紐づけ処理部26は、各ペアにおける紐づけ距離の標準偏差σを算出する(ステップS8)。次いで、紐づけ処理部26は、外れ値算出用の変数“n”の値を、解答未記入数Mを満たす値に自動調整する(ステップS9)。次いで、紐づけ処理部26は、紐づけ距離が“nσ”以上のペアを、解答未記入のペアと判定する(ステップS10)。
【0061】
次いで、紐づけ処理部26は、紐づけ距離が“nσ”付近であるペアを、紐づけの信頼度が低いペアとして、表示部28を介してユーザーに通知する(ステップS11)。紐づけの信頼度が低いペアは、ノイズ等の影響により生成されうる。なお、ステップS11で行う通知は、画像形成装置1の操作表示部16や、情報処理装置2又は画像形成装置1に接続された不図示の端末装置の表示装置等の画面を介して行われてもよく、不図示のスピーカー等を介して音声によって行われてもよい。
【0062】
次いで、紐づけ処理部26は、ステップS10で解答未記入と判定されたペアにおける、設問記号と手書き文字列(解答)との紐づけを外す(ステップS12)。ステップS12の処理後、情報処理装置2による判定方法1-1を用いた答案用紙解析方法は終了する。
【0063】
上述した判定方法1-1を用いた答案用紙分析方法では、紐づけ処理部26は、同一の答案用紙におけるすべての設問記号を対象として、紐づけ距離の標準偏差σを算出し、該標準偏差σが外れ値となる設問記号と手書き文字列とのペアを、解答未記入のペアであると判定する。したがって、ある設問記号に対する解答が未記入である場合であって、その設問番号の次の設問番号の解答が誤ってペアとして対応付けられてしまった場合等にも、標準偏差σとの比較によって、誤って対応付けられたペアにおける紐づけは解除される。それゆえ、実施例1の判定方法1-1を用いた答案用紙分析方法によれば、未記入の解答が存在する場合における、設問とその解答との誤った紐づけを防止することができる。
【0064】
なお、上述した例では、解答未記入数Mの算出を、紐づけ処理部26による紐づけ処理の後に行う例を挙げたが、本発明はこれに限定されない。紐づけ処理部26は、解答未記入数Mの算出を、設問記号情報取得部24による設問記号情報の取得、及び、手書き文字列情報取得部25による手書き文字列情報の取得後に行ってもよい。また、この場合、紐づけ処理部26は、解答未記入数Mの情報に基づいて、設問記号と手書き文字列とを紐づけてもよい。このような処理を行うことにより、解答未記入数Mよりも多い数のペアが生成されることを防ぐことができる。
【0065】
[判定方法1-2を用いた答案用紙解析方法]
次に、図4を参照して、情報処理装置2による判定方法1-2を用いた答案用紙解析方法について説明する。図4は、情報処理装置2による判定方法1-2を用いた答案用紙解析方法の手順の例を示すフローチャートである。判定方法1-2を用いた答案用紙解析方法では、紐づけ処理部26は、手書き文字列に対応付けられた設問記号が複数存在する場合、紐づけ距離がより長い方のペアを、解答が未記入のペアであると判定する。
【0066】
図4のステップS21~ステップS25までの処理は、図3のステップS1~ステップS5までの処理と同一であるため、ここではこれらの処理に関する説明は省略する。ステップS25で、すべての設問記号に対する紐づけ処理は終了したと判定された場合(ステップS25がYES判定の場合)、紐づけ処理部26は、各ペアにおける紐づけ距離を算出する(ステップS26)。次いで、紐づけ処理部26は、複数の手書き文字列と紐付けられた設問記号を抽出する(ステップS27)。
【0067】
次いで、紐づけ処理部26は、設問記号と紐付けられた複数の手書き文字列のうち、紐づけ距離が長い方の手書き文字列とのペアを、解答未記入のペアと判定する(ステップS28)。次いで、紐づけ処理部26は、ステップS10で解答未記入と判定されたペアにおける、設問記号と手書き文字列との紐づけを外す(ステップS29)。
【0068】
上述した実施例1の判定方法1-2を用いた答案用紙分析方法では、紐づけ処理部26は、各ペアにおける紐づけ距離を算出し、一つの設問記号に対して重複して紐付けられてしまった複数の手書き文字列のうち、紐づけ距離がより長い方の手書き文字列とのペアを、解答未記入のペアと判定する。したがって、一つの設問記号に対して誤って複数の手書き文字列が対応付けられてしまった場合にも、紐づけ距離に基づいて、誤って対応付けられたと想定される方のペアにおける紐づけが解除される。それゆえ、実施例1の判定方法1-2を用いた答案用紙分析方法によれば、未記入の解答が存在する場合における、設問とその解答との誤った紐づけを防止することができる。
【0069】
[判定方法1-3を用いた答案用紙解析方法]
次に、図5を参照して、情報処理装置2による判定方法1-3を用いた答案用紙解析方法について説明する。図5は、情報処理装置2による判定方法1-3を用いた答案用紙解析方法の手順の例を示すフローチャートである。判定方法1-3を用いた答案用紙解析方法では、情報処理装置2は、同一の設問記号の他のペアにおける紐づけ角度と比べて、紐づけ角度が大きい方のペアを、解答が未記入のペアであると判定する。
【0070】
図5のステップS31~ステップS36までの処理は、図3のステップS1~ステップS6までの処理と同一であるため、ここではこれらの処理に関する説明は省略する。ステップS36で、解答未記入数Mを算出した後、紐づけ処理部26は、同一の答案用紙の各ペアにおける紐づけ角度を算出する(ステップS37)。
【0071】
次いで、紐づけ処理部26は、各ペアにおける紐づけ角度の標準偏差σを算出する(ステップS38)。次いで、紐づけ処理部26は、外れ値算出用の変数“n”の値を、解答未記入数Mを満たす値に自動調整する(ステップS39)。次いで、紐づけ処理部26は、紐づけ角度が“nσ”以上のペアを、解答未記入のペアと判定する(ステップS40)。
【0072】
次いで、紐づけ処理部26は、紐づけ角度が“nσ”付近であるペアを、紐づけの信頼度が低いペアとして、表示部28等を介してユーザーに通知する(ステップS41)。次いで、紐づけ処理部26は、ステップS40で解答未記入と判定されたペアにおける、設問記号と手書き文字列との紐づけを外す(ステップS42)。
【0073】
上述した実施例1の判定方法1-3を用いた答案用紙分析方法では、紐づけ処理部26は、同一の答案用紙におけるすべての設問記号を対象として、紐づけ角度の標準偏差σを算出し、該標準偏差σが外れ値となる設問記号と手書き文字列とのペアを、解答未記入のペアであると判定する。したがって、ある設問記号に対する解答が未記入であり、その設問番号に上下又は斜め方向で一番近い位置にある設問番号の解答が誤ってペアとして対応付けられてしまった場合等にも、そのペアにおける紐づけは解除される。それゆえ、実施例1の判定方法1-3を用いた答案用紙分析方法によれば、未記入の解答が存在する場合における、設問とその解答との誤った紐づけを防止することができる。
【0074】
[判定方法1-4を用いた答案用紙解析方法]
次に、図6を参照して、情報処理装置2による判定方法1-4を用いた答案用紙解析方法について説明する。図6は、情報処理装置2による判定方法1-4を用いた答案用紙解析方法の手順の例を示すフローチャートである。判定方法1-4を用いた答案用紙解析方法では、紐づけ処理部26は、手書き文字列に対応付けられた設問記号が複数存在する場合、紐づけ角度がより大きい方のペアを、解答が未記入のペアであると判定する。
【0075】
図6のステップS51~ステップS55までの処理は、図3のステップS1~ステップS5までの処理と同一であるため、ここではこれらの処理に関する説明は省略する。ステップS55で、すべての設問記号に対する紐づけ処理は終了したと判定された場合(ステップS55がYES判定の場合)、紐づけ処理部26は、同一の答案用紙の各ペアにおける紐づけ角度を算出する(ステップS56)。次いで、紐づけ処理部26は、複数の手書き文字列と紐付けられた設問記号を抽出する(ステップS57)。
【0076】
次いで、紐づけ処理部26は、設問記号と手書き文字列との複数のペアのうち、紐づけ角度がより大きい方のペアを、解答未記入のペアと判定する(ステップS58)。次いで、紐づけ処理部26は、ステップS58で解答未記入と判定されたペアにおける、設問記号と手書き文字列との紐づけを外す(ステップS59)。
【0077】
上述した実施例1の判定方法1-4を用いた答案用紙分析方法では、紐づけ処理部26は、各ペアにおける紐づけ角度を算出し、設問記号と紐付けられた複数の手書き文字列のうち、紐づけ角度がより大きい方の手書き文字列とのペアを、解答未記入のペアと判定する。したがって、一つの設問記号に対して誤って複数の手書き文字列が対応付けられてしまった場合にも、紐づけ角度に基づいて、誤って対応付けられたと想定される方のペアにおける紐づけが解除される。それゆえ、実施例1の判定方法1-4を用いた答案用紙分析方法によれば、未記入の解答が存在する場合における、設問とその解答との誤った紐づけを防止することができる。
【0078】
<実施例2>
[答案用紙解析処理の概要]
次に、実施例2に係る情報処理装置2による答案用紙解析方法の概要について説明する。
【0079】
上述したように、実施例2では、紐づけ処理部26は、同一の設問記号の他の答案用紙におけるペアの情報を用いて、ペアの紐づけを確定する。具体的には、紐づけ処理部26は、以下に示す3つの判定方法のうちのいずれか一つ以上の判定方法を用いて、ペアの紐づけを確定する。
【0080】
判定方法2-1:同一の設問記号の他の答案用紙でのペアにおける紐づけ距離と比べて、紐づけ距離が大きく離れているペアは、解答が未記入のペアであると判定する。
判定方法2-2:同一の設問記号の他の答案用紙でのペアにおける紐づけ角度と比べて、紐づけ角度がより大きいペアは、解答が未記入のペアであると判定する。
判定方法2-3:同一の設問記号の他の答案用紙でのペアにおける手書き文字列の座標(以下、「紐づけ座標」とも称する)と比べて、座標が大きく異なるペア(座標が離れている量がより大きいペア)は、解答が未記入のペアであると判定する。
【0081】
図7及び図8は、紐づけ距離が長いペアを有する答案用紙を含む、複数の答案用紙の例を示す図であり、図9及び図10は、紐づけ角度が大きいペアを有する答案用紙を含む、複数の答案用紙の例を示す図である。
【0082】
図7図10には、「1」~「6」の設問番号(設問番号の一例)と、それらに対する手書きによる解答が書き込まれた答案用紙の例を示す。
【0083】
図7Aには、解答者Aさんの答案用紙を示し、図7Bには、解答者Bさんの答案用紙を示す。図8Aには、解答者Cさんの答案用紙を示し、図8Bには、解答者Dさんの答案用紙を示す。解答者Aさん~解答者Dさんは、いずれも図示略とする。
【0084】
設問番号「1」に着目した場合、図7Aに示すAさんの答案用紙における紐づけ距離は“2cm”であるのに対して、図7Bに示すBさんの答案用紙における紐づけ距離は“8cm”である。図8Bに示すBさんの答案用紙においては、設問番号「1」の解答が未記入であり、設問番号「1」に続く設問番号「2」の解答である“coffee”が、設問「1」の解答として誤って紐付けられているためである。また、図8Aに示すCさんの答案用紙における紐づけ距離は“1.5cm”であり、図8Bに示すDさんの答案用紙における紐づけ距離は“1.6cm”である。
【0085】
この場合、紐づけ処理部26が上述した判定方法2-1を用いて判定を行うことにより、紐づけ距離が“8cm”である、Bさんの設問番号「1」と手書き文字列“coffee”とのペアが、解答が未記入のペアであると判定される。
【0086】
また、設問番号「1」との紐づけ距離が“8cm”である手書き文字列“coffee”の座標は、他のAさん、Cさん、Dさんの答案用紙の設問番号「1」と対応付けられた手書き文字列の“book”の座標と比較して、大きく異なると想定される。したがって、紐づけ処理部26が上述した判定方法2-3を用いて判定を行った場合にも、Bさんの設問番号「1」と手書き文字列“coffee”とのペアは、解答が未記入のペアであると判定される。
【0087】
図9Aには、図7Aと同じ解答者Aさんの答案用紙を示し、図9Bには、図7Bと同じ解答者Bさんの答案用紙を示す。図10Aには、図8Aと同じ解答者Cさんの答案用紙を示し、図10Bには、図8Bと同じ解答者Dさんの答案用紙を示す。
【0088】
設問番号「1」に着目した場合、図9Aに示すAさんの答案用紙における紐づけ角度は“1度”であるのに対して、図9Bに示すBさんの答案用紙における紐づけ角度は“-55度”である。Bさんの答案用紙においては、設問番号「1」の解答が未記入であり、設問番号「1」からの距離が一番近い設問番号「3」の解答である“watch”が、設問「1」の解答として誤って紐付けられているためである。また、図10Aに示すCさんの答案用紙における紐づけ角度は“0.5度”であり、図10Bに示すDさんの答案用紙における紐づけ角度は“0.7度”である。
【0089】
この場合、紐づけ処理部26が上述した判定方法2-2を用いて判定を行うと、紐づけ角度が“-55度”である、Bさんの設問番号「1」と手書き文字列“watch”とのペアが、解答が未記入のペアであると判定される。
【0090】
また、設問番号「1」との紐づけ角度が“-55度”である手書き文字列“watch”の座標は、他のAさん、Cさん、Dさんの答案用紙の設問番号「1」と対応付けられた手書き文字列の“book”の座標と比較して大きく異なると想定される。したがって、紐づけ処理部26が上述した判定方法2-3を用いて判定を行った場合にも、Bさんの設問番号「1」と手書き文字列“watch”とのペアは、解答が未記入のペアであると判定される。
【0091】
[判定方法2-1を用いた答案用紙解析方法]
次に、図11及び図12を参照して、情報処理装置2による判定方法2-1を用いた答案用紙解析方法について説明する。図11は、情報処理装置2による判定方法2-1~判定方法2-3に共通する答案用紙解析方法の手順の例を示すフローチャートである。図12は、情報処理装置2による判定方法2-1を用いた答案用紙解析方法の手順の例を示すフローチャートである。
【0092】
まず、情報処理装置2の設問記号情報取得部24(図1参照)は、画像形成装置1から送信された答案用紙のスキャンデータより、設問記号情報を取得する(ステップS61)。次いで、手書き文字列情報取得部25は、同じくスキャンデータより、手書き文字列情報を取得する(ステップS62)。次いで、紐づけ処理部26は、設問記号と手書き文字列との紐づけ処理を行う(ステップS63)。そして、紐づけ処理部26は、ステップS63で紐付けられた設問記号番号と手書き文字列とのペアを生成する(ステップS64)。次いで、紐づけ処理部26は、すべての設問記号に対する紐づけ処理は終了したか否かを判定する(ステップS65)。
【0093】
ステップS65で、すべての設問記号に対する紐づけ処理は終了していないと判定された場合(ステップS65がNO判定の場合)、紐づけ処理部26は、ステップS63に戻って処理を行う。一方、ステップS65で、すべての設問記号に対する紐づけ処理は終了したと判定された場合(ステップS65がYES判定の場合)、紐づけ処理部26は、ステップS61で抽出された設問記号の数と、ステップS62で抽出された手書き文字列の数とに基づいて、解答未記入数Mを算出する(ステップS66)。
【0094】
次いで、紐づけ処理部26は、すべての解答者における紐づけ処理は終了したか否かを判定する(ステップS67)。ステップS67で、すべての解答者における紐づけ処理は終了していないと判定された場合(ステップS67がNO判定の場合)、制御部22(図1参照)は、処理をステップS61に戻す。
【0095】
一方、ステップS67で、すべての解答者における紐づけ処理は終了したと判定された場合(ステップS67がYES判定の場合)、紐づけ処理部26は、他の解答者と比較して解答未記入数Mが多い解答者の情報を、以降の未記入解答判定処理から除外する(ステップS68)。未記入解答判定処理では、紐づけ処理部26は、判定の対象となる記号に対する解答が、未記入であるか否かを判定する。
【0096】
次いで、紐づけ処理部26は、未記入解答判定処理の対象の解答者の答案用紙の、対象の設問記号における紐づけ情報として、紐づけ距離を算出する(図12のステップS69)。次いで、紐づけ処理部26は、全解答者の紐づけ距離を用いて、対象の設問記号における標準偏差σを算出する(ステップS70)。次いで、紐づけ処理部26は、対象の設問記号において、外れ値算出用の変数“n”の値を、解答未記入数Mを満たす値に自動調整する(ステップS71)。次いで、紐づけ処理部26は、紐づけ距離が“nσ”以上のペアを、解答未記入のペアと判定する(ステップS72)。
【0097】
次いで、紐づけ処理部26は、ステップS72で解答未記入と判定されたペアにおける設問記号と手書き文字列との紐づけを外す(ステップS73)。次いで、紐づけ処理部26は、紐づけ距離が“nσ”付近であるペアを、紐づけの信頼度が低いペアとして、表示部28を介してユーザーに通知する(ステップS74)。次いで、紐づけ処理部26は、対象の解答者の答案用紙のすべての設問における未記入解答判定処理は終了したか否かを判定する(ステップS75)。
【0098】
ステップS75で、すべての設問における未記入解答判定処理は終了していないと判定された場合(ステップS75がNO判定の場合)、紐づけ処理部26は、ステップS71に戻って処理を行う。つまり、次の設問記号を対象として、解答未記入数Mの自動調整を行う。一方、ステップS75で、すべての設問における未記入解答判定処理は終了したと判定された場合(ステップS75がYES判定の場合)、すべての解答者に対する未記入解答判定処理は終了したか否かを判定する(ステップS76)。
【0099】
ステップS76で、すべての設問における未記入解答判定処理は終了していないと判定された場合(ステップS76がNO判定の場合)、紐づけ処理部26は、ステップS71に戻って処理を行う。つまり、次の解答者の答案用紙を対象として、解答未記入数Mの自動調整を行う。
【0100】
一方、ステップS76で、すべての設問における未記入解答判定処理は終了したと判定された場合(ステップS76がYES判定の場合)、紐づけ処理部26は、未記入と判定された解答数(以下、「未記入判定解答数」とも称する)が多い解答者が大勢存在するか否かを判定する(ステップS77)。解答者が大勢居るか否かの判定は、事前に設けておいた所定の閾値との比較等に基づいて行うことができる。
【0101】
ステップS77で、未記入判定解答数が多い解答者が大勢存在すると判定された場合(ステップS77がYES判定の場合)、紐づけ処理部26は、答案用紙又は設問内容に不備又は不具合がある可能性を、表示部28(図1参照)等を介してユーザーに通知する(ステップS78)。ステップS78の処理後、又は、ステップS77がNO判定の場合、情報処理装置2による判定方法2-1を用いた答案用紙解析方法は終了する。
【0102】
上述した実施例2の判定方法2-1を用いた答案用紙分析方法では、紐づけ処理部26は、複数の答案用紙におけるすべての設問記号を対象として、紐づけ距離の標準偏差σを算出し、該標準偏差σが外れ値となる設問記号と手書き文字列とのペアを、解答未記入のペアであると判定する。したがって、ある設問記号に対する解答が未記入であり、その設問番号の次の設問番号の解答が誤ってペアとして対応付けられてしまった場合にも、他の答案用紙の情報も参照して算出された標準偏差σとの比較によって、そのペアにおける紐づけは解除される。それゆえ、実施例2の判定方法2-1を用いた答案用紙分析方法によれば、未記入の解答が存在する場合における、設問とその解答との誤った紐づけを防止することができる。
【0103】
[判定方法2-2を用いた答案用紙解析方法]
次に、図13を参照して、情報処理装置2による判定方法2-2を用いた答案用紙解析方法について説明する。図13は、情報処理装置2による判定方法2-2を用いた答案用紙解析方法の手順の例を示すフローチャートである。判定方法2-2では、紐づけ処理部26は、同一の設問記号の他の答案用紙のペアにおける紐づけ角度と比べて、紐づけ角度が大きいペアを、解答が未記入のペアであると判定する。
【0104】
図13に示す処理は、図11のステップS68の処理、すなわち、解答未記入数Mが多い生徒の情報を未記入解答判定処理の対象から外す処理の後に行われる処理である。図11のステップS68の処理後、紐づけ処理部26は、未記入解答判定処理の対象の解答者の答案用紙の、対象の設問記号における紐づけ情報として、紐づけ角度を算出する(図13のステップS81)。
【0105】
次いで、紐づけ処理部26は、全解答者の紐づけ角度の情報を用いて、未記入解答判定処理の対象の設問記号における標準偏差σを算出する(ステップS82)。次いで、紐づけ処理部26は、対象の設問記号において、外れ値算出用の変数“n”の値を、解答未記入数Mを満たす値に自動調整する(ステップS83)。次いで、紐づけ処理部26は、紐づけ距離が“nσ”以上のペアを、解答未記入のペアと判定する(ステップS84)。
【0106】
次いで、紐づけ処理部26は、ステップS84で解答未記入と判定されたペアにおける設問記号と手書き文字列との紐づけを外す(ステップS85)。次いで、紐づけ処理部26は、紐づけ距離が“nσ”付近であるペアを、紐づけの信頼度が低いペアとして、表示部28等を介してユーザーに通知する(ステップS86)。
【0107】
ステップS87~ステップS90の処理は、図12のステップS74~ステップS77の処理と同一であるため、ここではこれらの処理の説明は省略する。
【0108】
上述した実施例2の判定方法2-2を用いた答案用紙分析方法では、紐づけ処理部26は、複数の答案用紙の設問記号を対象として、紐づけ角度の標準偏差σを算出し、該標準偏差σが外れ値となる設問記号と手書き文字列とのペアを、解答未記入のペアであると判定する。したがって、ある設問記号に対する解答が未記入であり、その設問番号に一番近い位置にある他の設問番号の解答が誤ってペアとして対応付けられてしまった場合にも、他の答案用紙の情報も参照して算出された標準偏差σとの比較によって、そのペアにおける紐づけは解除される。それゆえ、実施例2の判定方法2-2を用いた答案用紙分析方法によれば、未記入の解答が存在する場合における、設問とその解答との誤った紐づけを防止することができる。
【0109】
[判定方法2-3を用いた答案用紙解析方法]
次に、図14を参照して、情報処理装置2による判定方法2-3を用いた答案用紙解析方法について説明する。図14は、情報処理装置2による判定方法2-3を用いた答案用紙解析方法の手順の例を示すフローチャートである。判定方法2-3では、紐づけ処理部26は、同一の設問記号の他の答案用紙のペアにおける紐づけ座標と比べて、座標が大きく異なるペアは、解答が未記入のペアであると判定する。
【0110】
図14に示す処理は、図11のステップS68の処理、すなわち、解答未記入数Mが多い生徒の情報を未記入解答判定処理の対象から外す処理の後に行われる処理である。図11のステップS68の処理後、紐づけ処理部26は、未記入解答判定処理の対象の解答者の答案用紙の、対象の設問記号における紐づけ情報として、手書き文字列の座標(紐づけ座標)を取得する(ステップS91)。
【0111】
次いで、紐づけ処理部26は、全解答者の紐づけ座標の情報を用いて、対象の設問記号における紐づけ座標の標準偏差σを算出する(ステップS92)。次いで、紐づけ処理部26は、対象の設問記号において、外れ値算出用の変数“n”の値を、解答未記入数Mを満たす値に自動調整する(ステップS93)。次いで、紐づけ処理部26は、紐づけ座標が“nσ”以上であるペアを、解答未記入のペアと判定する(ステップS94)。
【0112】
次いで、紐づけ処理部26は、ステップS94で解答未記入と判定されたペアにおける設問記号と手書き文字列との紐づけを外す(ステップS95)。次いで、紐づけ処理部26は、紐づけ座標が“nσ”付近であるペアを、紐づけの信頼度が低いペアとして、表示部28等を介してユーザーに通知する(ステップS96)。
【0113】
ステップS97~ステップS100の処理は、図12のステップS74~ステップS77の処理と同一であるため、ここではこれらの処理の説明は省略する。
【0114】
上述した実施例2の判定方法2-3を用いた答案用紙分析方法では、紐づけ処理部26は、複数の答案用紙における設問記号を対象として、各ペアの紐づけ座標の標準偏差σを算出し、該標準偏差σが外れ値となる設問記号と手書き文字列とのペアを、解答未記入のペアであると判定する。したがって、ある設問記号に対する解答が未記入であり、他の設問番号の解答が誤ってペアとして対応付けられてしまった場合にも、他の答案用紙の情報も参照して算出された標準偏差σとの比較によって、そのペアにおける紐づけは解除される。それゆえ、実施例2の判定方法2-3を用いた答案用紙分析方法によれば、未記入の解答が存在する場合における、設問とその解答との誤った紐づけを防止することができる。
【0115】
<実施例3>
[答案用紙解析処理の概要]
次に、実施例3に係る情報処理装置2による答案用紙解析方法の概要について説明する。上述したように、実施例3では、紐づけ処理部26は、同一の設問記号の模範解答におけるペアの情報を用いて、ペアの紐づけを確定する。具体的には、紐づけ処理部26は、以下に示す3つの判定方法のうちのいずれか一つ以上の判定方法を用いて、ペアの紐づけを確定する。
【0116】
判定方法3-1:同一の設問記号の模範答案用紙のペアにおける紐づけ距離と比べて、紐づけ距離が大きく離れているペアは、解答が未記入のペアであると判定する。
判定方法3-2:同一の設問記号の模範答案用紙のペアにおける紐づけ角度と比べて、紐づけ角度が大きいペアは、解答が未記入のペアであると判定する。
判定方法3-3:同一の設問記号の模範答案用紙のペアにおける紐づけ座標と比べて、座標が大きく異なるペアは、解答が未記入のペアであると判定する。
【0117】
[判定方法3-1を用いた答案用紙解析方法]
次に、図15を参照して、情報処理装置2による判定方法3-1を用いた答案用紙解析方法について説明する。図15は、情報処理装置2による判定方法3-1を用いた答案用紙解析方法の手順の例を示すフローチャートである。
【0118】
まず、情報処理装置2の設問記号情報取得部24(図1参照)は、画像形成装置1から送信された答案用紙のスキャンデータより設問記号情報を取得する(ステップS101)。次いで、手書き文字列情報取得部25は、同じくスキャンデータより手書き文字列情報を取得する(ステップS102)。次いで、紐づけ処理部26は、模範解答用紙における設問記号と手書き文字列との紐づけ処理を行う(ステップS103)。そして、紐づけ処理部26は、ステップS103で紐付けられた設問記号番号と手書き文字列とのペアを生成する(ステップS104)。次いで、紐づけ処理部26は、模範解答用紙のすべての設問記号に対する紐づけ処理は終了したか否かを判定する(ステップS105)。
【0119】
ステップS105で、すべての設問記号に対する紐づけ処理は終了していないと判定された場合(ステップS105がNO判定の場合)、紐づけ処理部26は、ステップS103に戻って処理を行う。一方、ステップS105で、すべての設問記号に対する紐づけ処理は終了したと判定された場合(ステップS105がYES判定の場合)、答案用紙における設問記号と手書き文字列との紐づけ処理を行う(ステップS106)。そして、紐づけ処理部26は、ステップS106で紐付けられた設問記号番号と手書き文字列とのペアを生成する(ステップS107)。次いで、紐づけ処理部26は、答案用紙のすべての設問記号に対する紐づけ処理は終了したか否かを判定する(ステップS108)。
【0120】
ステップS106で、答案用紙におけるすべての設問記号に対する紐づけ処理は終了していないと判定された場合(ステップS108がNO判定の場合)、紐づけ処理部26は、ステップS106に戻って処理を行う。一方、ステップS108で、答案用紙におけるすべての設問記号に対する紐づけ処理は終了したと判定された場合(ステップS106がYES判定の場合)、紐づけ処理部26は、ステップS101で抽出された設問記号の数と、ステップS102で抽出された手書き文字列の数とに基づいて、解答未記入数Mを算出する(ステップS109)。
【0121】
次いで、紐づけ処理部26は、外れ値算出用の変数“n”の値を、解答未記入数Mを満たす値に自動調整する(ステップS110)。次いで、紐づけ処理部26は、模範解答用紙及び答案用紙の両方において各ペアの紐づけ距離を算出する(ステップS111)。次いで、紐づけ処理部26は、答案用紙において、模範解答用紙における紐づけ距離との差が“n”倍以上となるペアを、解答未記入のペアと判定する(ステップS112)。次いで、紐づけ処理部26は、紐づけ距離が“n”倍付近であるペアを、紐づけの信頼度が低いペアとして、表示部28等を介してユーザーに通知する(ステップS113)。ステップS113の処理後、情報処理装置2による判定方法3-1を用いた答案用紙解析方法は終了する。
【0122】
上述した実施例3の判定方法3-1を用いた答案用紙分析方法では、紐づけ処理部26は、各ペアにおける紐づけ距離を算出し、同一の設問の模範解答用紙におけるペアの紐づけ距離との差が大きいペアを、解答未記入のペアと判定する。したがって、ある設問記号に対する解答が未記入であり、その設問番号の次の設問番号の解答が誤ってペアとして対応付けられてしまった場合等にも、模範解答用紙における紐づけ距離との比較に基づいて、誤って対応付けられたと想定される方のペアにおける紐づけが解除される。それゆえ、実施例3の判定方法3-1を用いた答案用紙分析方法によれば、未記入の解答が存在する場合における、設問とその解答との誤った紐づけを防止することができる。
【0123】
[判定方法3-2を用いた答案用紙解析方法]
次に、図16を参照して、情報処理装置2による判定方法3-2を用いた答案用紙解析方法について説明する。図16は、情報処理装置2による判定方法3-2を用いた答案用紙解析方法の手順の例を示すフローチャートである。判定方法3-2では、紐づけ処理部26は、同一の設問記号の他の答案用紙のペアにおける紐づけ角度と比べて、紐づけ角度が大きいペアを、解答が未記入のペアであると判定する。
【0124】
図16のステップS121~ステップS130までの処理は、図15のステップS101~ステップS110までの処理と同一であるため、ここではこれらの処理についての説明は省略する。
【0125】
ステップS130で、外れ値算出用の変数“n”の値を、解答未記入数Mを満たす値に自動調整した後、紐づけ処理部26は、模範解答用紙及び答案用紙の両方において各ペアの紐づけ角度を算出する(ステップS131)。次いで、紐づけ処理部26は、答案用紙において、模範解答用紙における紐づけ角度との差が“n”倍以上となるペアを、解答未記入のペアと判定する(ステップS132)。次いで、紐づけ処理部26は、ステップS132で解答未記入と判定されたペアにおける設問記号と手書き文字列との紐づけを外す(ステップS133)。ステップS133の処理後、情報処理装置2による判定方法3-2を用いた答案用紙解析方法は終了する。
【0126】
上述した実施例3の判定方法3-2を用いた答案用紙分析方法では、紐づけ処理部26は、各ペアにおける紐づけ角度を算出し、同一の設問の模範解答用紙におけるペアの紐づけ角度との差が大きいペアを、解答未記入のペアと判定する。したがって、ある設問記号に対する解答が未記入であり、その設問番号に上下又は斜め方向で一番近い位置にある設問番号の解答が誤ってペアとして対応付けられてしまった場合等にも、模範解答用紙における紐づけ角度との比較に基づいて、誤って対応付けられたと想定される方のペアにおける紐づけが解除される。それゆえ、実施例3の判定方法3-2を用いた答案用紙分析方法によれば、未記入の解答が存在する場合における、設問とその解答との誤った紐づけを防止することができる。
【0127】
[判定方法3-3を用いた答案用紙解析方法]
次に、図17を参照して、情報処理装置2による判定方法3-3を用いた答案用紙解析方法について説明する。図17は、情報処理装置2による判定方法3-3を用いた答案用紙解析方法の手順の例を示すフローチャートである。判定方法3-3では、紐づけ処理部26は、同一の設問記号の他の答案用紙のペアにおける紐づけ座標と比べて、座標が大きいペアを、解答が未記入のペアであると判定する。
【0128】
図17のステップS141~ステップS150までの処理は、図15のステップS101~ステップS110までの処理と同一であるため、ここではこれらの処理についての説明は省略する。
【0129】
ステップS150で、外れ値算出用の変数“n”の値を、解答未記入数Mを満たす値に自動調整した後、紐づけ処理部26は、模範解答用紙及び答案用紙の両方において各ペアの紐づけ座標を算出する(ステップS151)。次いで、紐づけ処理部26は、模範解答用紙における紐づけ座標との差が“n”倍以上のペアを、解答未記入のペアと判定する(ステップS152)。次いで、紐づけ処理部26は、ステップS152で解答未記入と判定されたペアにおける設問記号と手書き文字列との紐づけを外す(ステップS153)。ステップS153の処理後、情報処理装置2による判定方法3-3を用いた答案用紙解析方法は終了する。
【0130】
上述した実施例3の判定方法3-3を用いた答案用紙分析方法では、紐づけ処理部26は、各ペアにおける手書き文字列の座標を取得し、同一の設問の模範解答用紙におけるペアの手書き文字列の座標との値が大きく異なるペアを、解答未記入のペアと判定する。したがって、一つの設問記号に対して誤って複数の手書き文字列が対応付けられてしまった場合にも、模範解答用紙における手書き文字列の座標との比較に基づいて、誤って対応付けられたと想定される方のペアにおける紐づけが解除される。それゆえ、実施例3の判定方法3-3を用いた答案用紙分析方法によれば、未記入の解答が存在する場合における、設問とその解答との誤った紐づけを防止することができる。
【0131】
なお、上述した実施例3では、紐づけ処理部26は、模範解答用紙及び答案用紙の両方を対象にして、設問記号と手書き文字列との紐づけを行う例を挙げたが、本発明はこれに限定されない。模範解答用紙における設問記号と手書き文字列との紐づけは事前に行っておき、紐づけ情報を記憶部23等に記憶させておいてもよい。
【0132】
<変形例>
なお、本発明は上述した実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した本発明の要旨を逸脱しない限りその他種々の応用例、変形例を取り得ることは勿論である。
【0133】
例えば、上述した実施形態では、本発明の情報処理装置を、ネットワークを介して画像形成装置1に接続される情報処理装置2に適用した例を挙げたが、本発明はこれに限定されない。本発明の情報処理装置は、クラウド上に設けられたサーバー等に適用されてもよい。もしくは、本発明の情報処理装置は、例えば、画像形成装置や、画像形成装置に接続される後処理装置(図示略)等に適用されてもよい。
【0134】
また、上述した実施形態では、画像形成装置1内に画像読取部15が設けられる例を挙げたが、本発明はこれに限定されない。画像読取部15は、画像形成装置1とは別に設けられる画像読取装置や、情報処理装置2に接続された画像読取装置などに適用されてもよい。
【0135】
また、例えば、上述した各実施の形態は本発明を分かりやすく説明するために装置(画像形成装置、情報処理装置)、システム(答案用紙解析システム)の構成を詳細かつ具体的に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されない。また、図1に実線で示した制御線又は情報線は、説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
【符号の説明】
【0136】
1…画像形成装置、2…情報処理装置、15…画像読取部、16…操作表示部、21…通信I/F部、22…制御部、24…設問記号情報取得部、25…手書き文字列情報取得部、26…紐づけ処理部、28…表示部、29…操作入力部、100…自動採点システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
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図10
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