(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-08
(45)【発行日】2024-05-16
(54)【発明の名称】画像生成装置、画像生成方法、画像生成プログラム、及び、画像形成システム
(51)【国際特許分類】
G06T 11/80 20060101AFI20240509BHJP
D06H 1/04 20060101ALI20240509BHJP
A41H 3/00 20060101ALI20240509BHJP
G06F 30/10 20200101ALI20240509BHJP
【FI】
G06T11/80 D
D06H1/04
A41H3/00 D
A41H3/00 C
G06F30/10 100
(21)【出願番号】P 2020149356
(22)【出願日】2020-09-04
【審査請求日】2023-06-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000925
【氏名又は名称】弁理士法人信友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉村 俊彦
(72)【発明者】
【氏名】金谷 信明
【審査官】岡本 俊威
(56)【参考文献】
【文献】特開昭63-120166(JP,A)
【文献】特開2000-8216(JP,A)
【文献】特開平8-144117(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 11/80
D06H 1/00 - 1/04
A41H 3/00 - 3/08
G06F 30/00 - 30/398
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
縫い合わされる複数のパーツにまたがる絵柄を有する複数の絵柄付きパーツの情報を含むパーツデータ、及び、各パーツの記録材上におけるマーキング位置の情報を含むマーキングデータを有する記憶部と、
前記複数の絵柄付きパーツのうち一方の絵柄付きパーツを基準として基準データを生成し、前記基準データ及び前記マーキングデータに応じて、他方の絵柄付きパーツを移動させることで絵柄付きマーキングデータを生成するデータ生成部と、
を備える画像生成装置。
【請求項2】
前記データ生成部は、前記他方の絵柄付きパーツを前記マーキングデータに対応して二次元移動及び回転移動させることで絵柄付きマーキングデータを生成する
請求項1に記載の画像生成装置。
【請求項3】
前記データ生成部は、縫い合わされる絵柄付きパーツ間の縫い合わせ線の両端を頂点として前記頂点間を結んだ線に対して直角に交わる二等分線を基準線とし、前記基準線と各パーツの外形線との交点を基準点とし、前記基準線と前記一方の絵柄付きパーツの地の目線とが為す角度を基準角度として、基準データを生成する
請求項1に記載の画像生成装置。
【請求項4】
縫い合わされる複数のパーツにまたがる絵柄を有する複数の絵柄付きパーツの情報を含むパーツデータ、及び、各パーツの記録材上におけるマーキング位置の情報を含むマーキングデータを有する記憶部と、前記絵柄付きパーツ及び前記マーキングデータの情報に基づいて絵柄付きマーキングデータを生成するデータ生成部と、を備えた画像生成装置における画像生成方法において、
前記データ生成部は、前記複数の絵柄付きパーツのうち一方の絵柄付きパーツを基準として基準データを生成し、前記基準データ及び前記マーキングデータに応じて、他方の絵柄付きパーツを移動させることで絵柄付きマーキングデータを生成する
画像生成方法。
【請求項5】
絵柄付きパーツの情報を含むパーツデータに基づいて、画像を生成する画像生成装置で実行させる画像生成プログラムであって、
縫い合わされる複数のパーツにまたがる絵柄を有する複数の絵柄付きパーツの情報を含むパーツデータ、及び、各パーツの記録材上におけるマーキング位置の情報を含むマーキングデータを取得する手順と、
前記複数の絵柄付きパーツのうち一方の絵柄付きパーツを基準として基準データを生成し、前記基準データ及び前記マーキングデータに応じて、他方の絵柄付きパーツを移動させることで絵柄付きマーキングデータを生成する手順と、を前記画像生成装置に実行させるための
画像生成プログラム。
【請求項6】
縫い合わされる複数のパーツにまたがる絵柄を有する複数の絵柄付きパーツの情報を含むパーツデータ、及び、各パーツの記録材上におけるマーキング位置の情報を含むマーキングデータを有する記憶部と、前記複数の絵柄付きパーツのうち一方の絵柄付きパーツを基準として基準データを生成し、前記基準データ及び前記マーキングデータに応じて、他方の絵柄付きパーツを移動させることで絵柄付きマーキングデータを生成するデータ生成部と、を備える画像生成装置と、
前記画像生成装置で生成された絵柄付きマーキングデータに基づいて、絵柄付きマーキング画像を、所望の記録材上に形成する画像形成装置と、
を備える画像形成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像生成装置、画像生成方法、画像生成プログラム、及び、画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
アパレルにおけるプリント生地の衣服の生産は、生地に、繰り返しのプリントパターンを印刷し、必要に応じて柄合わせが必要な個所に各パーツのパターンを配置することで裁断を行っていた。ところが、このような方法では、残布が多く発生してしまうという問題がある。
【0003】
これに対して、特許文献1では、複数の型片(パーツ)にまたがる絵柄を分割し、分割した絵柄を各型片に割り当てる型片編集装置の技術が開示されている。特許文献1では分割された絵柄が配置された各パーツを生地にプリントすることができる。
【0004】
また、特許文献2では、ネクタイやハンカチ等の製品としてのパーツを記録材上の最適な場所に配置して、各パーツを裁断した後の記録材の無駄を減らす技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平8-158132号公報
【文献】特開2017-201069号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1では、絵柄の分割方法については開示されているものの、各パーツの最適なマーキング位置については開示されておらず、生地に対してパーツを最適に配置することはできない。したがって、残布の削減を図ることができない。また、特許文献2の構成では、複数のパーツにまたがる絵柄については言及がなく、各パーツ間での柄合わせをどのように実施するかについては記載がない。
【0007】
そこで、本発明は完成絵柄が複数のパーツにまたがる場合においても、絵柄付きパーツを最適に配置し、残布の発生を抑制することができる画像生成装置、画像生成装置、画像生成方法、画像生成プログラム、及び、画像形成システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決し、本発明の目的を達成するため、本発明の画像生成装置は、記憶部と、データ生成部とを備える。記憶部は、縫い合わされる複数のパーツにまたがる絵柄を有する複数の絵柄付きパーツの情報を含むパーツデータ、及び、各パーツの記録材上におけるマーキング位置の情報を含むマーキングデータを有する。データ生成部は、複数の絵柄付きパーツのうち一方の絵柄付きパーツを基準として基準データを生成し、基準データ及びマーキングデータに応じて、他方の絵柄付きパーツを移動させることで絵柄付きマーキングデータを生成する。
【0009】
本発明の画像生成方法は、上記画像生成装置において、データ生成部は、複数の絵柄付きパーツのうち一方の絵柄付きパーツを基準として基準データを生成し、基準データ及び前記マーキングデータに応じて、他方の絵柄付きパーツを移動させることで絵柄付きマーキングデータを生成する。
【0010】
本発明の画像生成プログラムは、上記画像生成装置で実行させる画像生成プログラムであり、縫い合わされる複数のパーツにまたがる絵柄を有する複数の絵柄付きパーツの情報を含むパーツデータ、及び、各パーツの記録材上におけるマーキング位置の情報を含むマーキングデータを取得する手順と、複数の絵柄付きパーツのうち一方の絵柄付きパーツを基準として基準データを生成し、基準データ及び前記マーキングデータに応じて、他方の絵柄付きパーツを移動させることで絵柄付きマーキングデータを生成する手順と、を前記画像生成装置に実行させるためのプログラムである。
【0011】
画像形成システムは、上記画像生成装置と、画像生成装置で生成された絵柄付きマーキングデータに基づいて、絵柄付きマーキング画像を、所望の記録材上に形成する画像形成装置と、を備える。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、複数のパーツにまたがる絵柄を有するパーツを記録材上に配置した場合にも、残布の発生を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の一実施形態に係る画像生成装置で生成された画像を記録材に形成するための画像形成装置1の概略構成図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る画像形成装置1を上面から見た図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る画像形成システムの制御系を示すブロック図である。
【
図4】本発明の一実施形態の画像生成方法における基準生成処理及びプログラムの一例を示すフローチャートである。
【
図5】
図5Aは、右前身頃パーツaと、右袖パーツbのマーキングデータを示した図である。また、
図5Bは、右前身頃パーツaの絵柄付きパーツデータ24aである。また、
図5Cは、右袖パーツbの絵柄付きパーツデータ24bである。
【
図6】
図6D,Eは、本発明の一実施形態に係る基準生成処理における基準線、基準点及び基準角の生成方法を示した図である。
【
図7】本発明の一実施形態における絵柄付きマーキングデータの生成処理に係る画像生成方法及びプログラムを示すフローチャートである。
【
図8】
図8F,Gは、本発明の一実施形態に係る絵柄付きマーキングデータの生成処理を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態に係る画像生成装置、画像生成方法、画像生成プログラム、及び画像形成システムの一例を、図面を参照しながら説明する。なお、本発明は、以下の例に限定されるものではない。以下で説明する各図において、共通の部材には同一の符号を付している。
【0015】
<画像形成装置の構成>
図1は、本発明の一実施形態に係る画像生成装置で生成された画像を記録材に形成するための画像形成装置1の概略構成図である。また、
図2は、本実施形態に係る画像形成装置1を上面から見た図である。
図1及び
図2では、後述する画像形成システム100(
図3参照)を構成する画像形成装置1の主要な一部を図示し、その概要を説明する。
【0016】
本実施形態の画像形成装置1は、記録材の記録面にインクを吐出して、画像を記録するインクジェット記録装置で構成されている。以下の説明では、記録材の搬送方向について直交する方向について記録ヘッド8を備える画像形成部6を複数回往復し描画を行うスキャン方式の例について説明する。さらに、
図1に示す画像形成装置1では、記録材の一例として布帛Rを適用した例を用いて説明する。
【0017】
図1に示すように、本実施形態の画像形成装置1は、搬送部2と、画像形成部6とを備える。
【0018】
搬送部2は、例えば、駆動ローラ4と、従動ローラ3と、搬送ベルト5とを備える。駆動ローラ4及び従動ローラ3は、布帛Rの搬送方向に直交する方向(記録材の幅方向)に延在する円柱状の部材で構成されており、互いに所定の間隔を介して平行に配置されている。駆動ローラ4は、図示を省略する駆動モータによって回転駆動される。
【0019】
搬送ベルト5は、駆動ローラ4及び従動ローラ3に巻き架けられる無端状のベルトである。搬送部2では、駆動ローラ4が駆動モータによって回転駆動されることによって搬送ベルト5が駆動ローラ4と従動ローラ3との間を周回し、搬送ベルト5の上面に載置された布帛Rを搬送方向(
図1の矢印方向)に沿って搬送する。
【0020】
搬送ベルト5の上部には、後述するキャリッジ7が配置される。また、搬送ベルト5の上面部において、キャリッジ7よりも搬送方向の上流側には、押し付け部材14が配置されている。
【0021】
押し付け部材14は、ローラ状に形成されている。そして、押し付け部材14は、図示を省略する支持部により回転可能に支持されている。押し付け部材14はその軸方向を幅方向と平行にして配置される。また、押し付け部材14の軸方向の長さは、搬送ベルト5の幅方向の長さよりも長く設定されている。そのため、押し付け部材14は搬送ベルト5の幅方向の一端から他端にかけて延在している。そして、押し付け部材14は後述する送り出し部11よって搬送部2に搬送された布帛Rを搬送ベルト5の上面部に向けて押し付ける。
【0022】
搬送部2の搬送方向の上流側には、送り出し部11が配置されている。送り出し部11はローラ状に形成されており、図示を省略する支持部に回転可能に支持されている。そして、送り出し部11によって搬送部2に搬送された布帛Rを搬送ベルト5の上面部に向けて押し付ける。
【0023】
また、搬送部2の搬送方向の下流側には、巻き取り部12が配置されている。巻き取り部12は、キャリッジ7によって画像が形成された布帛Rを搬送ベルト5から離反させ、回収する。
【0024】
画像形成部6は、ガイドレール9と、キャリッジ7と、記録ヘッド8とを備える。ガイドレール9は布帛Rの搬送方向に直交する方向に延在する棒状部材で構成されている。そしてガイドレール9は、搬送ベルト5の布帛Rを載置する面に対向する上側において、搬送ベルト5の搬送面から所定の空間を介して配置されている。ガイドレール9は、後述するキャリッジ7を、搬送ベルト5の上面において、搬送ベルト5の搬送方向に直交する方向(以下、走査方向)に沿って移動可能に支持する。また、ガイドレール9は、搬送ベルト5の上面において、キャリッジ7を往復移動可能に支持する。
【0025】
キャリッジ7は、例えばシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、黒(K)のそれぞれのインクカートリッジを搭載した箱状の部材であり、図示を省略する駆動部により、ガイドレール9に移動可能に支持されている。記録ヘッド8は、キャリッジ7の搬送ベルト5に対向する面側に設けられており、キャリッジ7内部に搭載されたインクカートリッジのそれぞれのインクを搬送ベルト5側に吐出するノズル面8aを有する。
【0026】
本実施形態では、キャリッジ7がガイドレール9によって走査方向に沿って往復移動する間に、記録ヘッド8から所望のインクが吐出され、
図1の二点鎖線で示した布帛Rの画像形成領域S内に所望の画像が形成される。
【0027】
<画像形成システムの制御系の構成>
図3は、本実施形態の画像形成システム100の制御系を示すブロック図である。
図3に示すように、本実施形態の画像形成システム100は、外部記憶装置20と、外部装置30と、画像形成装置1とで構成されている。
【0028】
[外部記憶装置]
外部記憶装置20は、例えば、HDD(Hard Disc Drive)で構成されており、型紙情報21、プリント情報23が格納されている。外部記憶装置20は、パーソナルコンピューター等の端末に組み込まれたものでもよく、種々の形態が可能である。
【0029】
型紙情報21としては、マーキングデータ22を有している。マーキングデータ22は、布帛Rの画像形成領域S内に製品の型紙を構成する複数のパーツを最適に配置するためのデータである(
図5A参照)。マーキングデータ22は、各パーツの形状、地の目線の位置、縫い合わせ線の位置等の情報を含むデータである。
【0030】
プリント情報23としては、絵柄付きパーツデータ24を有している。絵柄付きパーツデータ24は、衣類の定型の情報及び各パーツに付される絵柄の情報を含むデータであり、本実施形態では、複数のパーツにまたがる絵柄を有するパーツの情報を、絵柄付きパーツデータ24として記憶している。ここで、複数のパーツにまたがる絵柄は、対象となる複数の絵柄付きパーツが縫い合わされたときに、1つの絵柄として完成する絵柄のことを指す。すなわち、縫い合わされるそれぞれの絵柄付きパーツには、絵柄の1部分が付される。
また、絵柄付きパーツデータ24は、衣類を構成する各パーツの外形情報、地の目方向情報、縫い合わせ線(仕上がり線)の位置等の情報を含むデータである。
【0031】
[外部装置]
外部装置30は、例えば、パーソナルコンピューターで構成されるものであり、画像生成装置31と表示操作装置40とを備える。
【0032】
〔画像生成装置〕
画像生成装置31は、記憶部33と、演算処理部32と、データ生成部34とを備える。
【0033】
記憶部33は、外部記憶装置20から取得した型紙情報21及びプリント情報23に加えて、後述するデータ生成部34で生成された絵柄付きマーキングデータ25を記憶する。
【0034】
演算処理部32は、図示を省略するが、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)で構成されている。演算処理部32では、各種制御用のプログラムや設定データを随時読み出して、当該プログラムを実行し、各種演算処理を行う。
【0035】
データ生成部34は、複数のパーツにまたがる絵柄を有する絵柄付きパーツデータ24から、基準線、基準点、基準角を算出すると共に、その基準線、基準点、基準角に基づいて絵柄付きマーキングデータ25を生成する。本実施形態における、絵柄付きマーキングデータ25の生成方法については、後で詳述する。
【0036】
〔表示操作装置〕
表示操作装置40は、表示部44と、操作部43とを備える。
【0037】
表示部44は、液晶ディスプレイや有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等で構成されている。表示部44は、例えば、記憶部33に記憶されている型紙情報21(マーキングデータ22)の画像を表示する画像表示部41としての機能、及び、マーキングデータ22のデータ情報を表示するデータ表示部42としての機能を有する。
【0038】
操作部43は、キーボード及びマウスで構成されてもよく、また、画像表示部41やデータ表示部42と一体に構成されたタッチパネルで構成されるものであってもよい。本実施形態では、操作部43からの指示に基づいて、画像生成装置31における絵柄付きマーキングデータ25の生成が為される。例えば、表示部44では、画像表示部41に表示された複数の絵柄付きパーツデータ24から、所望の絵柄付きパーツデータ24を選択し、その選択した絵柄付きパーツデータ24に対して、絵柄付きマーキングデータ25を生成するための指示を出すことができる。
【0039】
[画像形成装置]
画像形成装置1は、図示を省略する通信部により外部装置30と接続されている。画像形成装置1では、外部装置30から送信されてくる信号に基づいて、布帛Rに画像を印刷する。画像形成装置1は、制御部54、画像形成部6、搬送部2、裁断部59、入力部61、出力部62を備える。
【0040】
〔制御部〕
制御部54は、演算処理部55及び記憶部56で構成されており、画像形成装置の全体動作を統括制御する。演算処理部55は、図示を省略するが、CPU、ROM、RAMで構成されている。演算処理部55では、各種制御用のプログラムや設定データを随時読み出して、当該プログラムを実行し、各種演算処理を行う。
【0041】
制御部54は、バスライン64を介して、画像形成部6、搬送部2、裁断部59、入力部61、出力部62に電気的に接続されている。
【0042】
記憶部56は、図示を省略するが、HDD(Hard Disk Drive)や、HDDと併用されるDRAM(Dynamic Random Access Memory)で構成されている。記憶部56には、図示を省略する通信部を介して外部装置30から入力された画像データや画像データの記録動作に係る操作設定を含むジョブデータ等が記憶される。
【0043】
〔画像形成部〕
画像形成部6は、キャリッジ駆動部52と、ヘッド駆動部53とを備える。キャリッジ駆動部52は、
図1に示したように、キャリッジ7を搬送ベルト5の上面において、走査方向に沿って移動させる。また、ヘッド駆動部53により、キャリッジ7内部に搭載されたインクカートリッジのインクを布帛Rに吐出して布帛R上に型紙を構成する複数のパーツの裁断線となるマーキング画像を記録する。
【0044】
〔搬送部〕
搬送部2は、ベルト駆動部58を備える。ベルト駆動部58により搬送ベルト5の上面に載置された布帛Rを搬送方向に沿って搬送する。
【0045】
〔裁断部〕
裁断部59は、カッター駆動部60を備える。カッター駆動部60により、布帛R上に形成された型紙(パーツ)を裁断する。
【0046】
〔入力部〕
入力部61は、例えば、物理キーや、表示部63と一体に形成されたタッチパネルで構成されている。ユーザーは、必要に応じて、入力部61から各種入力を行う。入力部61から入力された入力信号は、制御部54に出力される。
【0047】
〔出力部〕
出力部62は、例えば、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイで構成された表示部63で構成されており、表示部63において、各種設定や、情報を表示する。入力部61が出力部62に重ねて配置されたタッチパネルである場合には、表示部63に入力部61に係る操作画面を表示する。
【0048】
〈画像生成方法、プログラム〉
本実施形態における絵柄付きマーキングデータ25を生成するためのプログラムは、外部装置30において、操作部43からの操作によって実行される。以下に、本実施形態の画像形成システム100における画像生成方法及び画像生成プログラムの一例を説明する。
【0049】
図4は、本実施形態の画像生成方法における基準生成処理及びプログラムの一例を示すフローチャートである。
図5Aは、右前身頃パーツaと、右袖パーツbのマーキングデータ22を示した図である。また、
図5Bは、右前身頃パーツaの絵柄付きパーツデータ24aである。また、
図5Cは、右袖パーツbの絵柄付きパーツデータ24bである。以下の説明では、右前身頃パーツaの絵柄付きパーツデータ24aを絵柄付き右前身頃パーツ24aとし、右袖パーツbの絵柄付きパーツデータ24bを絵柄付き右袖パーツ24bとする。また、
図6D,Eは、本実施形態の基準生成処理における基準線、基準点、基準角の生成方法を示した図である。
【0050】
本実施形態では、絵柄付き右前身頃パーツ24aには、絵柄80(
図6D参照)の部分柄80aが形成され、絵柄付き右袖パーツ24bに絵柄80の部分柄80bが形成されている場合を例に説明する。本実施形態では、部分柄80a及び部分柄80bは各パーツが縫い合わさることで1つの絵柄80を完成させる、すなわち完成絵柄80とすることができる。
【0051】
基準生成処理においては、まず、データ生成部34が、記憶部33のプリント情報23から絵柄付きパーツデータ24を読み込むと共に、型紙情報21からマーキングデータ22を読み込む(ステップS1)。すなわち、マーキングデータ22として、
図5Aに示すデータを読み込むと共に、絵柄付きパーツデータ24として、
図5B及び
図5Cに示すデータを読み込む。ここで、絵柄付きパーツデータ24は、
図5B及び
図5Cに示すようにパーツ毎の情報として記憶されていてもよく、また、
図6Dに示すように、完成品の柄合わせ情報(パーツ間にまたがる絵柄と、対象パーツの位置関係が分かるような情報)として保持されていてもよい。
【0052】
次に、データ生成部34は、対象パーツ(本実施形態では、絵柄付き右前身頃パーツ24aと絵柄付き右袖パーツ24b)の外形線を検出する(ステップS2)。
【0053】
次に、データ生成部34は、絵柄付き右前身頃パーツ24aと絵柄付き右袖パーツ24bとの間のつなぎ線(縫い合わせ線)を検出する(ステップS3)。
図6Dは、本実施形態における絵柄付き右前身頃パーツ24aと絵柄付き右袖パーツ24bとを互いの縫い合わせ線に合わせて配置した図である。本実施形態では、太線Iで示した部分が縫い合わせ線となる。
図6Dでは、説明を分かりやすくするために、縫い合わせ線を外形線と同じ位置に配置しているが、実際には、縫い合わせ線は、外形線よりも内側にある場合もある。また、本実施形態では、
図6Dに示すように、互いのパーツを縫い合わせ線に合わせて配置した時に絵柄80が1つの絵柄として完成するように構成されている。
【0054】
次に、データ生成部34は、縫い合わせ線の両端の頂点90,91を結ぶ直線に対して、直角に交わる垂直二等分線を基準線92(
図6E参照)として算出する(ステップS4)。また、データ生成部34、基準線92と縫い合わせ線との交点を基準点99として算出する。
【0055】
次に、データ生成部34は、基準線92と経の地の目線93とが為す角度を基準角α1(
図6E参照)として算出する(ステップS5)。本実施形態では、絵柄付き右前身頃パーツ24aにおける経の地の目線93を基準として基準角α1を求める例とした。そして、基準線92、基準点99、及び、基準角α1の算出により、基準生成処理が終了する。なお、ここで生成された基準データは、図示を省略するが、画像生成装置31の記憶部33に記憶される。
【0056】
そして、本実施形態では、この基準データを用いて絵柄付きマーキングデータ25が生成される。以下に、絵柄付きマーキングデータ25の生成処理について説明する。
図7は、本実施形態における絵柄付きマーキングデータ25の生成処理に係る画像生成方法及びプログラムを示すフローチャートである。また、
図8F,Dは、本実施形態に係る絵柄付きマーキングデータ25の生成処理を示した図である。
【0057】
まず、データ生成部34は、記憶部33の型紙情報21からマーキングデータ22を取得すると共に(ステップS11)、プリント情報23から絵柄付きパーツデータ24を取得する(ステップS12)。
【0058】
次に、データ生成部34は、絵柄が2つのパーツにまたがっているか否かを判定する(ステップS13)。ステップS13において、「NO」と判定された場合、すなわち、絵柄が2つのパーツにまたがっていないと判定された場合には、絵柄付きマーキングデータ25の生成処理は終了する。
【0059】
一方、ステップS13において、「YES」と判定された場合、すなわち、絵柄が2つのパーツにまたがっていると判定された場合には、データ生成部34は、基準生成処理を行う(ステップS14)。この基準生成処理は、
図4で示した基準生成処理である。この基準生成処理により、基準線、基準点、及び、基準角を算出する。
【0060】
次に、データ生成部34は、基準線、基準点及び基準角を用いて、マーキングデータ22に対応して絵柄付きパーツを二次元平行移動及び回転移動させて絵柄付きマーキングデータ25を生成する(ステップS15)。
【0061】
図8F,Gを用いて、絵柄付き右袖パーツ24bを
図5Aに示したマーキングデータ22に対応して位置決めする例を説明する。まず、絵柄付き右袖パーツ24bにおける基準点99が、マーキングデータ22の右袖パーツbにおける基準点99に相当する座標位置に重なるように、絵柄付き右袖パーツを2次元方向に移動する(
図8F)。
【0062】
その後、マーキングデータ22の右袖パーツbにおける基準線92と経の地の目線93との角度α2と基準角α1との差分だけ、絵柄付き右袖パーツ24bを、基準点99を回転軸として回転させる(
図8G)。
図8F、及び
図8Gに示した絵柄付き右袖パーツ24bの移動は、ユーザーによる操作部43からの操作に基づいて行われてもよく、また、基準データに基づいて自動的に行われる構成であってもよい。どちらの場合においても、マーキングデータ22内における右袖パーツbの座標群に、絵柄付き右袖パーツ24bを重ね合わせるように移動させることで、絵柄付きマーキングデータ25が生成される。以上のようにして絵柄付き右袖パーツ24bを二次元移動、回転移動させることで、絵柄付きマーキングデータ25を生成することができる。
【0063】
なお、本実施形態では、絵柄付き右前身頃パーツ24aを基準として絵柄付き右袖パーツ24bを移動させる例としたが、この限りではない。例えば、
図4のステップS5において、経の地の目線93を絵柄付き右袖パーツ24bに設定した場合には、絵柄付き右前身頃パーツ24aを移動させることで絵柄付きマーキングデータ25を生成することができる。本実施形態において生成された絵柄付きマーキングデータ25は、記憶部33に格納される。
【0064】
以上のようにして、本実施形態の画像生成装置31では、絵柄付きパーツデータ24及びマーキングデータ22に基づいて、絵柄付きマーキングデータ25を生成することができる。そして、画像生成装置31で生成された絵柄付きマーキングデータ25は、図示を省略する通信部を介して、画像形成装置1側に送信され、画像形成装置1の制御部54の記憶部56に格納される。
【0065】
本実施形態では、上述した画像生成プログラムで生成された絵柄付きマーキングデータ25に基づいて、画像形成装置1の画像形成部6により、布帛Rに各パーツのマーキング画像(各パーツの外形線)が形成されると共に、各パーツに分割された絵柄の画像が形成される。
【0066】
本実施形態によれば、複数のパーツにまたがる絵柄を有する製品(衣服)を生成する場合にも、絵柄のつながりを維持しつつ絵柄付きパーツを布帛R上に最適に配置するための絵柄付きマーキングデータ25を生成することができる。これにより、パーツを裁断した後の残布を低減することができる。そして、本実施形態によれば、絵柄のつながりが維持された状態で布帛R上に絵柄付きマーキング画像を形成することができるため、各パーツを縫い合わせた完成品において2つのパーツにまたがる絵柄のデザインが損なわれることがない。この結果、複数のパーツにまたがる絵柄であっても自由にデザインが可能であるため、デザインの可能性を広げることができる。
【0067】
図4を用いて説明した画像生成プログラムは、ユーザーが外部装置30において、所望の型紙情報21を選択し、その選択された型紙情報21について行われる構成であってもよく、画像生成装置31の記憶部33に型紙情報21及びプリント情報23が格納された際に自動的に行われてもよい。
【0068】
また、本実施形態では、画像生成装置31が外部装置30で構成される例としたが、画像形成装置1と一体に組み込まれる構成としてもよい。その場合には、画像形成装置1の入力部61からの入力操作によって、上述した画像生成処理が為される。
【0069】
上述した実施形態は、本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。例えば、実施形態の構成の一部を他の構成に置き換えることが可能であり、また、実施形態の構成について他の構成を加えることも可能である。また、実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【符号の説明】
【0070】
1…画像形成装置、2…搬送部、3…従動ローラ、4…駆動ローラ、5…搬送ベルト、6…画像形成部、7…キャリッジ、8…記録ヘッド、9…ガイドレール、11…送り出し部、12…巻き取り部、20…外部記憶装置、21…型紙情報、22…マーキングデータ、23…プリント情報、24…絵柄付きパーツデータ、24a…絵柄付き右前身頃パーツ、24b…絵柄付き右袖パーツ、25…絵柄付きマーキングデータ、30…外部装置、31…画像生成装置、32…演算処理部、33…記憶部、34…データ生成部、40…表示操作装置、41…画像表示部、42…データ表示部、43…操作部、44…表示部、80…絵柄、80a…部分柄、80b…部分柄、90…頂点、92…基準線、93…地の目線、99…基準点、100…画像形成システム