(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-08
(45)【発行日】2024-05-16
(54)【発明の名称】運転支援装置
(51)【国際特許分類】
B60W 50/08 20200101AFI20240509BHJP
B60W 50/14 20200101ALI20240509BHJP
B60W 30/10 20060101ALI20240509BHJP
B60W 40/06 20120101ALI20240509BHJP
G08G 1/09 20060101ALI20240509BHJP
【FI】
B60W50/08
B60W50/14
B60W30/10
B60W40/06
G08G1/09 D
(21)【出願番号】P 2020149703
(22)【出願日】2020-09-07
【審査請求日】2023-03-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000003137
【氏名又は名称】マツダ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山本 勇気
(72)【発明者】
【氏名】立畑 哲也
(72)【発明者】
【氏名】大村 博志
(72)【発明者】
【氏名】大橋 知幸
(72)【発明者】
【氏名】福井 聡一郎
(72)【発明者】
【氏名】平井 浩司
【審査官】竹村 秀康
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-185225(JP,A)
【文献】国際公開第2018/168595(WO,A1)
【文献】特開2018-198022(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 10/00-10/30
B60W 30/00-60/00
G08G 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗員の操作によらずに車速を変更可能な車両の運転支援装置であって、
前記車両が走行する道路上の制限速度であって、前記車両の走行が予測される走行予定領域における制限速度である予定制限速度を取得する制限速度取得部と、
前記予定制限速度を、目標車速として設定する車速設定部と、
前記車両に搭載され、該車両の乗員に情報を通知する通知部と、
前記通知部による通知を制御する通知制御部と、を備え、
前記通知部は、
前記予定制限速度が、前記車両が現在走行する領域における制限速度である現制限速度と異なるときに、前記予定制限速度を通知する第1通知と、
前記予定制限速度が前記現制限速度と異なるときに、前記車速設定部が目標車速を当該予定制限速度に設定する前に、前記車速設定部が目標車速を当該予定制限速度に設定することを予告する第2通知と、
前記予定制限速度が前記現制限速度と異なるときに、前記車速設定部が目標車速を前記予定制限速度に設定したことを通知する第3通知と、
を通知可能に構成されて
おり、
前記通知部は、前記第2通知を、前記第1通知と比較して目立つように強調して通知するように構成されており、
前記通知部は、前記第3通知を、前記第1通知と比較して前記予定制限速度が目立ちかつ第2通知よりも前記予定制限速度が目立たないように強調して通知するように構成されていることを特徴とする運転支援装置。
【請求項2】
請求項
1に記載の運転支援装置において、
前記車速設定部は、前記予定制限速度が前記現制限速度と異なるときに、前記走行予定領域よりも手前の位置であって、目標車速を前記予定制限速度に設定する位置である目標車速設定位置を設定するように構成され、
前記通知制御部は、現在の車速と所定時間とから算出される所定距離だけ前記目標車速設定位置よりも手前の位置を、前記第2通知を開始する予告開始位置として設定するように構成されていることを特徴とする運転支援装置。
【請求項3】
請求項
1又は2に記載の運転支援装置において、
前記第1通知は、前記現制限速度と前記予定制限速度とを同時に表示する通知であり、
前記第2通知は、前記予定制限速度を前記現制限速度よりも目立つように強調して表示する通知であることを特徴とする運転支援装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ここに開示された技術は、乗員の操作によらずに車速を変更可能な車両の運転支援装置に関する技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
従来より、乗員の操作によらずに車速を変更するクルーズコントロールシステムが知られている。クルーズコントロールシステムには、車両が備えるカメラで取得した標識から制限速度を取得したり、ナビゲーションシステムを用いて車両が走行予定の領域における制限速度を取得したりして、該制限速度に基づいて車速を変更するものがある。
【0003】
例えば、特許文献1には、アクチュエータと通信可能に接続され、車両を自動走行させるように構成された車両制御部と、車両制御部による車両の自動走行中に、車両外部から得られる情報に基づき、予め設定された走行条件に比べて制限速度が低く設定された規制箇所の存在を検出すると、車両制御部を介してアクチュエータに減速指令を出力するよう構成された速度規制検出部と、速度規制検出部にて規制箇所が検出された場合に、車両が規制箇所に進入する旨を乗員に通知するよう情報提示部に信号を出力する通知信号出力部と、を備えた、車両の自動運転制御装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1のものでは、制限速度を変更すべき領域に車両が侵入する前に、車両の乗員にその旨を通知するため、乗員が制限速度を変更すべき領域が存在することを事前に認識できる利点がある。
【0006】
しかし、特許文献1のものでは、1つの通知を行うだけであるため、車両が減速前であるのか減速中であるのかといった車両の現在の状態について、乗員が認識しにくい。自動運転による運転支援では、乗員の安心感の向上させることは重要である。このため、乗員が現在の車両状況を理解しやすくするという観点からは改良の余地がある。
【0007】
ここに開示された技術は、斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするとこは、乗員の操作によらずに車速を変更可能な車両において、乗員が車両の状況を出来る限り容易に理解できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために、ここに開示された技術では、乗員の操作によらずに車速を変更可能な車両の運転支援装置を対象として、前記車両が走行する道路上の制限速度であって、前記車両の走行が予測される走行予定領域における制限速度である予定制限速度を取得する制限速度取得部と、前記予定制限速度を、目標車速として設定する車速設定部と、前記車両に搭載され、該車両の乗員に情報を通知する通知部と、前記通知部による通知を制御する通知制御部と、を備え、前記通知部は、前記予定制限速度が、前記車両が現在走行する領域における制限速度である現制限速度と異なるときに、前記予定制限速度を通知する第1通知と、前記予定制限速度が前記現制限速度と異なるときに、前記車速設定部が目標車速を当該予定制限速度に設定する前に、前記車速設定部が目標車速を当該予定制限速度に設定することを予告する第2通知と、を通知可能に構成されている、というものとした。
【0009】
この構成によると、乗員は、第1通知により、走行予定領域では制限速度が変更になることを認識することができると同時に、現在は車速が変更されていないことを認識することができる。また、乗員は、第2通知により、走行予定領域が近づいて車速が変更され始めることを認識することができる。これにより、乗員は、走行予定領域に向かう車両が現在どの状況にあるかを理解することができる。したがって、乗員が車両の状況を容易に理解することができる。
【0010】
前記運転支援装置において、前記通知部は、前記第2通知を、前記第1通知と比較して目立つように強調して通知するように構成されている、という構成でもよい。
【0011】
すなわち、第2通知は、車両の状況が変更されることを予告するのであるため、第1通知と比較して、乗員に通知する重要度が高い。このため、第2通知を第1通知よりも目立つようにすることで、乗員が車両の状況をより容易に理解することができる。
【0012】
前記運転支援装置において、前記通知部は、前記予定制限速度が前記現制限速度と異なるときに、前記車速設定部が目標車速を前記予定制限速度に設定したことを通知する第3通知を更に通知可能に構成されている、という構成でもよい。
【0013】
この構成によると、乗員は、目標速度が予定制限速度に設定されて、車両が減速状態であることを理解することができる。したがって、乗員が車両の状況をより容易に理解することができる。
【0014】
前記運転支援装置において、前記車速設定部は、前記予定制限速度が前記現制限速度と異なるときに、前記走行予定領域よりも手前の位置であって、目標車速を前記予定制限速度に設定する位置である目標車速設定位置を設定するように構成され、前記通知制御部は、現在の車速と所定時間とから算出される所定距離だけ前記目標車速設定位置よりも手前の位置を、前記第2通知を開始する予告開始位置として設定するように構成されている、という構成でもよい。
【0015】
この構成によると、第2通知を開始してから車両が加速又は減速状態に入るまでの時間を適切に確保することができる。これにより、乗員が第2通知を見逃すのを抑制することができる。結果として、乗員が車両の状況をより容易に理解することができるようになる。
【0016】
前記運転支援装置において、前記第1通知は、前記現制限速度と前記予定制限速度とを同時に表示する通知であり、前記第2通知は、前記予定制限速度を前記現制限速度よりも目立つように強調して表示する通知である、という構成でもよい。
【0017】
この構成によると、乗員は、現制限速度と予定制限速度とを同時に理解することができるとともに、車両がどのタイミングで、どの程度加減速するのかを理解することができる。この結果、乗員が車両の状況をより容易に理解することができるようになる。
【発明の効果】
【0018】
以上説明したように、ここに開示された技術によると、通知部が、車両の状態に応じて異なる種類の通知を行うことができるため、乗員が車両の状況をより容易に理解することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】例示的な実施形態1に係る運転支援装置の構成を示すブロック図である。
【
図2】通知部による通知を例示する図であって、(a)は現在値通知を示し、(b)は取得通知を示し、(c)は予告通知を示し、(d)は設定通知を示す。
【
図3】通知部による各通知のタイミングを示す模式図である。
【
図4】VCMにより実行される通知設定処理を示すフローチャートの一部である。
【
図5】VCMにより実行される通知設定処理を示すフローチャートの残部である。
【
図6】実施形態2に係るVCMにより実行される車速変更処理を示すフローチャートの一部である。
【
図7】実施形態2に係るVCMにより実行される車速変更処理を示すフローチャートの残部である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、例示的な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0021】
(実施形態1)
図1は、実施形態1に係る運転支援装置の構成を示す。この車両(ここでは、自動車)は、動力機構1と、該動力機構1と前輪6との間の動力伝達経路上に介設された変速機2と、各前輪6及び各後輪(図示省略)をそれぞれ制動するブレーキ装置10とを備えている。動力機構1は、例えば、内燃機関や電動モータである。
【0022】
動力機構1の出力軸は、変速機2の入力軸と連結されており、動力機構1の出力軸及び変速機2の入力軸が車幅方向に延びている。変速機2からの動力は差動装置4に伝達され、この差動装置4に伝達された動力が、左右のドライブシャフト5を介して、左右の前輪6(左側の前輪は省略)をそれぞれ駆動するようになっている。
【0023】
ブレーキ装置10は、後述するPCM(Powertrain Control Module)60によって制御される油圧制御弁(図示省略)の作動によって油圧が供給されることで作動して、各前輪6及び各後輪をそれぞれ制動する。前記油圧制御弁とブレーキ装置10との間にはDSC(Dynamic Stability Control)装置9が設けられている、DSC装置9は、各前輪6及び各後輪に与えられる制動力を調整する。
【0024】
車両には、該車両全体を統括して制御するVCM(Vehicle Control Module)50が設けられている。このVCM50は、周知のマイクロコンピュータをベースとするコントローラであって、プログラムを実行する中央演算処理装置(CPU)と、例えばRAMやROMにより構成されてプログラム及びデータを格納するメモリと、電気信号の入出力をする入出力(I/O)バスと、を備えている。
【0025】
VCM50には、車両に設けられかつ該車両の外部環境を撮影する複数のカメラ41からの信号と、車両の位置や地図情報を有するナビシステム42からの信号と、車両の車速を検出する車速センサ43からの信号と、車両に入力されるG(加速度)を検出するGセンサ44とが入力されるようになっている。VCM50は、上記入力された信号に基づいて、ヘッドアップディスプレイやメーターなどの表示部61、スピーカ62、PCM60に制御信号を出力する。PCM60は、VCM50からの信号に基づいて、動力機構1、変速機2、及びブレーキ装置10の作動を制御する。
【0026】
本実施形態1では、VCM50は、乗員の操作によらずに自動で車速を変更するオートクルーズコントロール(以下、Adaptive Cruise Controlを省略してACCという)を実行可能に構成されている。本実施形態1におけるACC制御は、車両が走行する道路上の制限速度を取得して、該制限速度を目標速度として設定して、該目標速度になるように動力機構1、変速機2、及びブレーキ装置10を作動させる制御である。ACC制御では、車両の走行が予測される走行予定領域FR、すなわち車両の進行方向の前側に位置する領域における制限速度(以下、予定制限速度FVという)を取得する。ACC制御では、走行予定領域FRに進入するまでの間に、車両の車速が予定制限速度FVになるように、動力機構1等を制御する。予定制限速度FVは、例えば、カメラ41により車両の進行方向の前側に位置する標識を撮影したり、ナビシステム42により地図情報や交通情報を取得したりすることで取得される。カメラ41及びナビシステム42は、制限速度取得部の一例である。
【0027】
VCM50は、ACC制御を行うために、車両の目標車速を設定する車速設定部51を有する。車速設定部51は、カメラ41等が取得した予定制限速度FVを目標車速として設定する。車速設定部51は、予定制限速度FVが、車両が現在走行する領域における制限速度である現制限速度PVと同じであるときには、現在の車速が維持されるようにPCM60に制御信号を出力する。車速設定部51は、予定制限速度FVが現制限速度PVと異なるときには、予定制限速度FVを目標車速に設定して、走行予定領域FRに進入するまでの間に車速が予定制限速度FVになるようにPCM60に制御信号を出力する。
【0028】
車速設定部51は、予定制限速度FVが現制限速度PVと異なるときには、走行予定領域FRよりも手前の位置であって、予定制限速度FVを目標車速に設定する位置(以下、目標車速設定位置という)、すなわち加減速を開始する位置を算出する。まず、車速設定部51は、ナビシステム42からの情報に基づいて、走行予定領域FRの位置と車両の位置とを取得する。次に、車速設定部51は、所定の減速度(加速度)で現在の車速から予定制限速度FVまで減速(加速)するまでに必要な距離を算出する。具体的には、所定の減速度(加速度)で現在の車速から予定制限速度FVに減速(加速)するまでに必要な時間を算出し、算出した時間と現在の車速とに基づいて減速(加速)に必要な距離を算出する。そして、車速設定部51は、走行予定領域FRの開始位置から算出した距離だけ手前の位置を前記目標車速設定位置に設定する。所定の減速度(加速度)は、例えば、0.15G~0.2G程度である。
【0029】
VCM50は、ACC制御に関連して車両の状態を通知するための通知制御部52を有する。通知制御部52は、通知部としての表示部61やスピーカ62に制御信号を送信して、車両の乗員(特にドライバー)に前記車両の状態を通知する。
【0030】
表示部61及びスピーカ62は、車両がACC制御を実行中であるときに、車両を自動的に加減速する際に、該車両の状態に関する通知を通知可能に構成されている。本実施形態1では、表示部61及びスピーカ62は、現制限速度PVを示す現在値通知と、カメラ41等が取得した予定制限速度FVが現制限速度PVと異なるときに、予定制限速度FVを通知する取得通知(第1通知)と、予定制限速度FVが現制限速度PVと異なるときに、車速設定部51が目標車速を当該予定制限速度FVに設定する前に、車速設定部51が目標車速を当該予定制限速度FVに設定することを予告する予告通知(第2通知)と、予定制限速度FVが現制限速度PVと異なるときに、車速設定部51が目標車速を予定制限速度FVに設定したことを通知する設定通知(第3通知)と、を通知可能に構成されている。
【0031】
表示部61は、前記現在値通知に関する現在値表示61aと、前記取得通知に関する取得表示61b(第1通知)と、前記予告通知に関する予告表示61c(第2通知)と、前記設定通知に関する設定表示61d(第3通知)と、を表示可能に構成されている。また、表示部61は、現在の車速を各表示61a~61dと同時に表示するように構成されている。
【0032】
図2は、表示部61が表示する現在値表示61a、取得表示61b、予告表示61c、及び設定表示61dのそれぞれの一例を示す。
図2(a)は現在値表示61aであり、
図2(b)は取得表示61bであり、
図2(c)は予告表示61cであり、
図2(d)は設定表示61dである。
図2では、現制限速度PVが時速100kmであり、走行予定領域FRにおける予定制限速度FVが現制限速度PVよりも低い時速80kmである場合をそれぞれ例示している。
【0033】
現在値表示61aでは、表示部61は、現制限速度PVである時速100kmを表示する。このときの表示は、例えば、
図2(a)に示すように最高速度を示す標識を模した表示である。現在値表示61aは、車両が走行予定領域FRに進入したときには、予定制限速度FVである時速80kmを表示する。
【0034】
取得表示61bでは、表示部61は、現制限速度PVである時速100kmと予定制限速度FVである時速80kmとを同時に表示する。予定制限速度FVの表示も、現制限速度PVの表示と同様に、最高速度を示す標識を模した表示である。このとき、表示部61は、予定制限速度FVを、現制限速度PVよりも小さく表示する。
【0035】
予告表示61cでは、表示部61は、現制限速度PVと予定制限速度FVとを同時に表示するとともに、該予定制限速度FVを該現制限速度PVよりも目立つように強調して表示する。具体的には、
図2(c)に示すように、予定制限速度FVの表示に点滅する枠を表示する。これにより、予告表示61cは、取得表示61bと比較して目立つ表示となる。
【0036】
設定表示61dでは、表示部61は、現制限速度PVと予定制限速度FVとを同時に表示するとともに、予告表示61cとは異なる態様で、該予定制限速度FVを該現制限速度PVよりも目立つように強調して表示する。詳しくは、設定表示61dでは、表示部61は、取得表示61bよりは予定制限速度FVが目立つが、予告表示61cよりは予定制限速度FVが目立たないように表示する。具体的には、
図2(d)に示すように、予定制限速度FVの表示に点灯状態の枠を表示する。尚、
図2では明確ではないが、予告表示61cとは異なる色の枠を表示してもよい。
【0037】
スピーカ62は、前記予告通知において、表示部61が予告表示61cを表示するときに「目標車速を時速Xkmに設定します」というように音声による案内を通知可能に構成されている。スピーカ62による音声も予告通知を構成する。一方で、本実施形態1では、スピーカ62は、前記現在値通知、前記取得通知、及び前記設定通知では、特に音声による通知を行わない。これにより、前記予告通知は、前記現在値通知、前記取得通知、及び前記設定通知と比較して目立つように強調された通知になる。
【0038】
通知制御部52は、前記取得通知、前記予告通知、及び前記設定通知をそれぞれ予め設定されたタイミングで通知するように、表示部61及びスピーカ62に制御信号を送信する。具体的には、通知制御部52は、カメラ41等が走行予定領域FRの予定制限速度FVを取得したタイミングで、前記取得通知をするように表示部61に制御信号を送信する。通知制御部52は、車両が、車速設定部51が設定する前記目標車速設定位置に基づいて設定される予告開始位置に到達したタイミングで、前記予告通知をするように表示部61及びスピーカ62に制御信号を送信する。前記予告開始位置については後述する。通知制御部52は、車両が前記目標車速設定位置に到達したタイミングで、前記設定通知をするように表示部61に制御信号を送信する。尚、通知制御部52は、前記設定通知の後、車速が予定制限速度FVになったときには、車速が予定制限速度FVになったことを乗員に通知するようにスピーカ52に制御信号を送信してもよい。このときの通知は、音声案内でもブザー音でもよい。
【0039】
通知制御部52は、カメラ41等が走行予定領域FRの予定制限速度FVを取得した時点で車両が前記予告開始位置を通過していたときには、前記取得通知を行うことなく前記予告通知を行うように、表示部61及びスピーカ62に制御信号を送信する。また、通知制御部52は、カメラ41等が走行予定領域FRの予定制限速度FVを取得した時点で車両が前記目標車速設定位置を通過していたときには、前記取得通知及び前記予告通知を行うことなく前記設定通知を行うように、表示部61及びスピーカ62に制御信号を送信する。
【0040】
通知設定部52は、現在の車速と所定時間とから算出される所定距離だけ前記目標車速設定位置よりも手前の位置を、前記予告開始位置として設定する。通知設定部52は、カメラ41等が予定制限速度FVを取得しかつ該予定制限速度FVが現制限速度PVと異なるときに、前記所定距離を算出して、前記予定開始位置を設定する。所定時間は、車両の乗員が前記予告通知を認識して、車両の加減速を予測できる時間、すなわち、人間の平均的な反応速度よりも大きい時間に設定されており、具体的には1秒程度に設定されている。所定距離は、例えば以下のような式で表される。
所定距離 = 現在の車速 × 所定時間
【0041】
次に、
図3を参照しながら、各通知の変遷について説明する。
図3では、現制限速度PVが時速100kmであり、走行予定領域FRにおける予定制限速度FVが現制限速度PVよりも低い時速80kmである場合を例示している。
【0042】
まず、予定制限速度FVを取得する前の状態では、前記現在値通知がされており、表示部61には現制限速度PVのみを示す現在値表示61aが表示されている。次に、カメラ41等が予定制限速度FVを取得すると、前記取得通知がされる。このとき、表示部61の表示が取得表示61bに切り換えられて、表示部61には現制限速度PVと予定制限速度FVとが表示される。また、カメラ41等が予定制限速度FVを取得したときには、車速設定部51が前記目標車速設定位置を算出し、通知制限部52が該目標車速設定位置に基づいて前記予告開始位置を算出する。次いで、車両が前記予告開始位置を通過すると、前記予告通知がされる。表示部61の表示は、取得表示61bから予告表示61cに切り換えられて、予定制限速度FVを示す部分には点滅する枠が表示される。また、スピーカ62により音声案内がされる。そして、車両が前記目標車速設定位置を通過すると、前記設定通知がされる。表示部61の表示は、予告表示61cから設定表示61dに切り換えられて、予定制限速度FVを示す部分には点灯する枠が表示される。その後、車両が走行予定領域FRに進入すると、再度、前記現在値通知がされる。表示部61の表示は、設定表示61dから現在値表示61aに切り換えられて、表示部61には予定制限速度FVであった時速80kmが現制限速度PVとして表示される。
【0043】
以上のように、車両の状態に応じて段階的に通知の態様を変更することで、車両の乗員は、ACC制御において車両が自動的に加減速される場合であっても、該車両の状態を適切に認識することができる。
【0044】
次に、本実施形態1に係るVCM50において実行される車速変更処理について、
図4及び
図5のフローチャートを参照しながら説明する。尚、本実施形態1では、VCM50は、所定の周期(例えば、0.1秒周期)で、
図4及び
図5に示すフローチャートを実行する。
【0045】
まず、ステップS1において、VCM50は、カメラ41等から各種情報を取得する。
【0046】
次に、ステップS2において、VCM50は、予定制限速度FVを取得したか否かについて判定する。VCM50は、カメラ41により走行予定領域FRに存在する標識を撮影したり、ナビシステム42により走行予定領域FRの制限速度情報を取得したりしたときに、予定制限速度FVが取得されたと判定する。VCM50は、予定制限速度FVを取得したYESのときには、ステップS3に進む一方、予定制限速度FVを取得していないNOのときにはステップS4に進む。
【0047】
前記ステップS3では、VCM50は、取得した予定制限速度FVが現制限速度PVとは異なるか否かについて判定する。VCM50は、取得した予定制限速度FVが現制限速度PVとは異なるYESのときには、ステップS101に進む一方、予定制限速度FVが現制限速度PVと同じであるNOのときには、ステップS4に進む。
【0048】
前記ステップS4では、VCM50は、現制限速度PVを目標車速に設定する。
【0049】
次のステップS5では、VCM50は、前記現在値通知を生成する。
【0050】
前記ステップS101~S111については
図5に示している。ステップS101では、VCM50は、予定制限速度FVを目標車速に設定済みであるか否かを判定する。VCM50は、予定制限速度FVを目標車速に設定済みであるYESのときには、ステップS102に進む一方、予定制限速度FVを目標車速に設定していないNOであるときには、ステップS103に進む。
【0051】
前記ステップS102では、VCM50は、前記設定通知を生成する。
【0052】
前記ステップS103では、VCM50は、前記目標車速設定位置を算出する。
【0053】
次のステップS104では、VCM50は、車両が目標車速設定位置を通過済みであるか否かについて判定する。VCM50は、ナビシステム42からの情報に基づいて車両が目標車速設定位置を通過済みであるか否かを判定する。VCM50は、車両が目標車速設定位置を通過済みであるYESのときには、ステップS105に進む一方、車両が目標車速設定位置を通過していないNOのときには、ステップS106に進む。
【0054】
前記ステップS105では、VCM50は、予定制限速度FVを目標車速に設定する。ステップS105の後は、前記ステップS102に進む。
【0055】
前記ステップS106では、VCM50は、前記予告開始位置を算出する。
【0056】
次のステップS107では、VCM50は、車両が予告開始位置を通過済みであるか否かについて判定する。VCM50は、ナビシステム42からの情報に基づいて車両が予告開始位置を通過済みであるか否かを判定する。VCM50は、車両が予告開始位置を通過済みであるYESのときには、ステップS108に進む一方、車両が予告開始位置を通過していないNOのときには、ステップS110に進む。
【0057】
前記ステップS108では、VCM50は、現制限速度PVを目標車速に設定する。
【0058】
次のステップS109では、VCM50は、前記予告通知を生成する。
【0059】
前記ステップS110では、VCM50は、現制限速度PVを目標車速に設定する。
【0060】
次のステップS111では、VCM50は、前記取得通知を生成する。
【0061】
図4に戻って、通知の生成が終了した後のステップS6では、前記ステップS5、S102、S109、及びS111で生成された通知を出力して、表示部61及びスピーカ62による通知を行う。ステップS6の後はリターンする。
【0062】
したがって、本実施形態1では、乗員の操作によらずに車速を変更可能な車両において、車両が走行する道路上の制限速度であって、車両の走行が予測される走行予定領域FRにおける制限速度である予定制限速度FVを取得する制限速度取得部(カメラ41及びナビシステム42)と、予定制限速度FVを目標車速として設定する車速設定部51と、車両に搭載され、該車両の乗員に情報を通知する通知部(表示部61及びスピーカ62)と、前記通知部による通知を制御する通知制御部52と、を備え、前記通知部は、予定制限速度FVが、車両が現在走行する領域における制限速度である現制限速度PVと異なるときに、予定制限速度FVを通知する取得通知と、予定制限速度FVが現制限速度PVと異なるときに、車速設定部51が目標車速を当該予定制限速度FVに設定する前に、車速設定部51が目標車速を当該予定制限速度FVに設定することを予告する予告通知と、を通知可能に構成されている。これにより、乗員は、前記取得通知により、走行予定領域FRでは制限速度が変更になることを認識することができると同時に、現在は車速が変更されていないことを認識することができる。また、乗員は、予告通知により、走行予定領域FRが近づいて車速が変更され始めることを認識することができる。これにより、乗員は、走行予定領域FRに向かう車両が現在どの状況にあるかを理解することができる。したがって、乗員が車両の状況を容易に理解することができる。
【0063】
また、本実施形態1において、前記通知部は、前記予告通知を、前記取得通知と比較して目立つように強調して通知するように構成されている。これにより、乗員に通知する重要度が高い前記予告通知を前記取得通知よりも乗員に認識されやすくすることができる。この結果、乗員が車両の状況をより容易に理解することができる。
【0064】
特に、本実施形態1において、前記取得通知は、前記現制限速度PVと前記予定制限速度FVとを同時に表示する通知であり、前記予告通知は、予定制限速度FVを現制限速度PVよりも目立つように強調して表示する通知である。これにより、乗員は、現制限速度PVと予定制限速度FVとを同時に理解することができるとともに、車両がどのタイミングで、どの程度加減速するのかを理解することができる。この結果、乗員が車両の状況をより容易に理解することができるようになる。
【0065】
また、本実施形態1において、前記通知部は、予定制限速度FVが現制限速度PVと異なるときに、車速設定部51が目標車速を予定制限速度FVに設定したことを通知する設定通知を更に通知可能に構成されている。これにより、乗員は、目標速度が予定制限速度FVに設定されて、車両が減速状態であることを理解することができる。これにより、乗員が車両の状況をより容易に理解することができる。
【0066】
また、本実施形態1において、車速設定部51は、予定制限速度FVが現制限速度PVと異なるときに、走行予定領域FRよりも手前の位置であって、目標車速を予定制限速度FVに設定する位置である目標車速設定位置を設定するように構成され、通知制御部52は、現在の車速と所定時間とから算出される所定距離だけ前記目標車速設定位置よりも手前の位置を、前記予告通知を開始する予告開始位置として設定するように構成されている。これにより、前記予告通知を開始してから車両が加速又は減速状態に入るまでの時間を適切に確保することができるため、乗員が前記予告通知を見逃すのを抑制することができる。結果として、乗員が車両の状況をより容易に理解することができるようになる。
【0067】
(実施形態2)
以下、実施形態2について、図面を参照しながら詳細に説明する。尚、以下の説明において前記実施形態1と共通の部分については、同じ符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0068】
本実施形態2では、各通知に関するシステム及びそれに伴うVCM50で実行されるフローチャートが前記実施形態1とは異なる。具体的には、前記実施形態1では、VCM50が車両の位置に応じて、適切な通知を選択して通知を行っていた。一方で、本実施形態2では、VCM50は、予定制限速度FVが取得されたときには前記取得通知を行い、車両の位置に応じて、該取得通知に情報を付加して、前記予告通知や前記設定通知を行うようにしている。具体的に表示部61の表示を例にとると、VCM50は、予定制限速度FVが取得された時点で取得表示61bを行う。そして、車両が前記予告開始位置を通過した時点で、取得表示61bにおける予定制限速度FVを示す部分に点滅する枠を表示する。さらに、車両が前記予告開始位置を通過したときには、取得表示61bにおける予定制限速度FVを示す部分に点灯する枠を表示する。
【0069】
本実施形態2に係るVCM50において実行される車速変更処理について、
図6及び
図7のフローチャートを参照しながら説明する。尚、本実施形態2では、VCM50は、所定の周期(例えば、0.1秒周期)で、
図6及び
図7に示すフローチャートを実行する。
【0070】
まず、ステップS201において、VCM50は、カメラ41等から各種情報を取得する。
【0071】
次に、ステップS202において、VCM50は、予定制限速度FVを取得したか否かについて判定する。VCM50は、カメラ41により走行予定領域FRに存在する標識を撮影したり、ナビシステム42により走行予定領域FRの制限速度情報を取得したりしたときに、予定制限速度FVが取得されたと判定する。VCM50は、予定制限速度FVを取得したYESのときには、ステップS203に進む一方、予定制限速度FVを取得していないNOのときにはステップS207に進む。
【0072】
前記ステップS203では、VCM50は、取得した予定制限速度FVが現制限速度PVとは異なるか否かについて判定する。VCM50は、取得した予定制限速度FVが現制限速度PVとは異なるYESのときには、ステップS204に進む一方、予定制限速度FVが現制限速度PVと同じであるNOのときには、ステップS207に進む。
【0073】
前記ステップS204では、VCM50は、現制限速度PVを目標車速に設定する。
【0074】
次のステップS205では、VCM50は、前記取得通知を生成する。
【0075】
次のステップS206では、VCM50は、前記取得通知を出力する。ステップS206の後、VCM50は、ステップS301に進む。
【0076】
一方、前記ステップS207では、VCM50は、現制限速度PVを目標車速に設定する。
【0077】
次のステップS208では、VCM50は、前記現在値通知を生成する。
【0078】
次のステップS209では、VCM50は、前記現在値通知を出力する。VCM50は、ステップS209の後はリターンする。
【0079】
前記ステップS301~S311については
図7に示している。ステップS301では、VCM50は、予定制限速度FVを目標車速に設定済みであるか否かを判定する。VCM50は、予定制限速度FVを目標車速に設定済みであるYESのときには、ステップS302に進む一方、予定制限速度FVを目標車速に設定していないNOであるときには、ステップS304に進む。
【0080】
前記ステップS302では、VCM50は、前記設定通知に関する情報を生成する。
【0081】
次のステップS303では、VCM50は、前記取得通知に前記設定通知に関する情報を付加する。VCM50は、ステップS303の後はリターンする。
【0082】
前記ステップS304では、VCM50は、前記目標車速設定位置を算出する。
【0083】
前記ステップS305では、VCM50は、車両が目標車速設定位置を通過済みであるか否かについて判定する。VCM50は、ナビシステム42からの情報に基づいて車両が目標車速設定位置を通過済みであるか否かを判定する。VCM50は、車両が目標車速設定位置を通過済みであるYESのときには、ステップS306に進む一方、車両が目標車速設定位置を通過していないNOのときには、ステップS307に進む。
【0084】
前記ステップS306では、VCM50は、予定制限速度FVを目標車速に設定する。ステップS306の後は、前記ステップS302に進む。
【0085】
前記ステップS307では、VCM50は、前記予告開始位置を算出する。
【0086】
次のステップS308では、VCM50は、車両が予告開始位置を通過済みであるか否かについて判定する。VCM50は、ナビシステム42からの情報に基づいて車両が予告開始位置を通過済みであるか否かを判定する。VCM50は、車両が予告開始位置を通過済みであるYESのときには、ステップS309に進む一方、車両が予告開始位置を通過していないNOのときには、リターンする。
【0087】
前記ステップS309では、VCM50は、現制限速度PVを目標車速に設定する。
【0088】
次のステップS310では、VCM50は、前記予告通知に関する情報を生成する。
【0089】
そして、ステップS311において、VCM50は、前記取得通知に前記予告通知に関する情報を付加する。VCM50は、ステップS311の後はリターンする。
【0090】
したがって、本実施形態2の構成でも、乗員は、段階的に通知される各通知により、走行予定領域FRに向かう車両が現在どの状況にあるかを理解することができる。したがって、乗員が車両の状況を容易に理解することができる。
【0091】
(その他の実施形態)
ここに開示された技術は、前述の実施形態に限られるものではなく、請求の範囲の主旨を逸脱しない範囲で代用が可能である。
【0092】
例えば、前述の実施形態1及び2では、予告表示61cにおいて、予定制限速度FVを示す部分に点滅する枠を示すようにしたが、例えば、現制限速度PVを示す部分と予定制限速度FVを示す部分との間に、予定制限速度FVから現制限速度PVに向かう矢印を点滅させてもよい。このとき、設定表示61dでは、該矢印を点灯させる形態が考えられる。
【0093】
また、前述の実施形態1及び2では、ACC制御において目標車速を変更する場合について説明した。これに限らず、本実施形態1及び2に係る運転支援装置は、車両の自動運転において目標車速を変更する場合にも適用可能である。
【0094】
前述の実施形態は単なる例示に過ぎず、本開示の範囲を限定的に解釈してはならない。本開示の範囲は請求の範囲によって定義され、請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本開示の範囲内のものである。
【産業上の利用可能性】
【0095】
ここに開示された技術は、乗員の操作によらずに車速を変更可能な車両の運転支援装置として有用である。
【符号の説明】
【0096】
41 カメラ(制限速度取得部)
42 ナビシステム
51 車速設定部
52 通知制御部
61 表示部(通知部)
61b 取得表示(第1通知)
61c 予告表示(第2通知)
61d 設定表示(第3通知)
62 スピーカ(通知部)
FR 走行予定領域
FV 予定制限速度
PV 現制限速度