(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-08
(45)【発行日】2024-05-16
(54)【発明の名称】インターホンシステム及びその来訪者認証方法
(51)【国際特許分類】
H04M 9/00 20060101AFI20240509BHJP
【FI】
H04M9/00 D
(21)【出願番号】P 2020155246
(22)【出願日】2020-09-16
【審査請求日】2023-04-28
(73)【特許権者】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】松浦 裕卓
【審査官】吉村 伊佐雄
(56)【参考文献】
【文献】再公表特許第2016/079860(JP,A1)
【文献】特開2015-162750(JP,A)
【文献】特開2000-113133(JP,A)
【文献】特開2009-030307(JP,A)
【文献】特開2003-132290(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0198287(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47G29/00-29/30
G08B23/00-31/00
H04M9/00-9/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
集合住宅の集合玄関に設置された集合玄関機と、
前記集合住宅の居所に設置された宅内機と、
前記集合玄関機にネットワークを介して接続された認証装置と、
を備え、
前記集合玄関機は、
配達員が所持するICタグに書き込まれた固有情報を読み取る読み取り部と、
前記読み取り部によって読み取られた前記固有情報が、前記配達員に割り当てられた固有情報であるか否かの問い合わせを前記認証装置に対して行う問い合わせ部と、
前記認証装置による認証結果に基づいて、所定の情報を前記宅内機に通知する通知部と、
を有し、
前記認証装置は、
前記固有情報を所定の周期で更新して発行する発行部と、
前記発行部によって発行された前記固有情報を前記ICタグに書き込む書き込み部と、
前記集合玄関機から問い合わせを受けた前記固有情報についての認証を行う認証部と、
を有し、
前記集合玄関機の前記問い合わせ部には、前記認証装置に対して前記問い合わせを行うことができる問い合わせ可能期間の設定が可能である、
インターホンシステム。
【請求項2】
前記集合玄関機は、前記宅内機から前記問い合わせ可能期間の情報を受信することにより、前記問い合わせ部に問い合わせ可能期間が設定される、
請求項1に記載のインターホンシステム。
【請求項3】
前記集合玄関機は、前記認証装置から前記問い合わせ可能期間の情報を受信することにより、前記問い合わせ部に問い合わせ可能期間が設定される、
請求項1に記載のインターホンシステム。
【請求項4】
前記固有情報は、認証コードを含み、
前記集合玄関機は、
前記認証コードの入力が可能に構成された入力部をさらに有し、
前記集合玄関機は、前記読み取り部によって読み取られた前記固有情報に、前記入力部に入力された前記認証コードが含まれる場合に、前記読み取り部によって読み取られた前記固有情報が、前記配達員に割り当てられた固有情報であるか否かの問い合わせを前記認証装置に対して行う、
請求項1~3の何れか一項に記載のインターホンシステム。
【請求項5】
インターホンシステムの来訪者認証方法であって、
前記インターホンシステムは、
集合住宅の集合玄関に設置された集合玄関機と、
前記集合住宅の居所に設置された宅内機と、
前記集合玄関機にネットワークを介して接続された認証装置と、
を備え、
来訪者の固有の固有情報が記憶されたICタグの前記固有情報を前記集合玄関機が読み取って前記認証装置に送信するステップと、
前記固有情報が前記来訪者に割り当てられた固有情報であるか否かを前記認証装置が判定してその結果を前記集合玄関機に送信するステップと、
前記認証装置による判定結果に基づいた所定の情報を前記集合玄関機が前記宅内機に通知するステップと、
を含み、
前記集合玄関機から前記認証装置への前記固有情報の送信可能期間が設定可能であることを特徴とする、
インターホンシステムの来訪者認証方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インターホンシステム及びその来訪者認証方法に関し、例えば、防犯性能を向上させるのに適したインターホンシステム及びその来訪者認証方法に関する。
【背景技術】
【0002】
インターホンシステムには、防犯性能を向上させることが求められている。インターホンシステムに関する技術は、例えば特許文献1に開示されている。特許文献1に開示されたインターホンシステムは、配達員を特定可能な配達員特定情報が記録された記録媒体と、玄関子機と、居室親機と、宅配業者サーバと、を備え、配達員特定情報を用いた配達員の照会が行われた後、電子訪問票が居室親機の表示部に表示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の構成では、記録媒体に記録された配達員特定情報が更新されないままであると考えられ、その場合、例えば当該記録媒体を不正に取得した第三者が配達員になりすまして集合住宅の居所内に侵入できる可能性が高まってしまう。つまり、特許文献1の構成では、依然として防犯性能について課題が残されている。
【0005】
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、防犯性能を向上させるのに適したインターホンシステム及びその来訪者認証方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本実施形態の一態様にかかるインターホンシステムは、集合住宅の集合玄関に設置された集合玄関機と、前記集合住宅の居所に設置された宅内機と、前記集合玄関機にネットワークを介して接続された認証装置と、を備え、前記集合玄関機は、配達員が所持するICタグに書き込まれた固有情報を読み取る読み取り部と、前記読み取り部によって読み取られた前記固有情報が、前記配達員に割り当てられた固有情報であるか否かの問い合わせを前記認証装置に対して行う問い合わせ部と、前記認証装置による認証結果に基づいて、所定の情報を前記宅内機に通知する通知部と、を有し、前記認証装置は、前記固有情報を所定の周期で更新して発行する発行部と、前記発行部によって発行された前記固有情報を前記ICタグに書き込む書き込み部と、前記集合玄関機から問い合わせを受けた前記固有情報についての認証を行う認証部と、を有し、前記集合玄関機の前記問い合わせ部には、前記認証装置に対して前記問い合わせを行うことができる問い合わせ可能期間の設定が可能である。
【発明の効果】
【0007】
本実施形態によれば、防犯性能を向上させるのに適したインターホンシステム及びその来訪者認証方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施の形態1にかかるインターホンシステムの構成例を示すブロック図である。
【
図2】
図1に示すインターホンシステムに設けられた認証装置の構成例を示すブロック図である。
【
図3】
図2に示す認証装置による固有情報付与処理の流れを示すフローチャートである。
【
図4】
図2に示す認証装置による認証処理の流れを示すフローチャートである。
【
図5】
図1に示すインターホンシステムに設けられた集合玄関機の構成例を示すブロック図である。
【
図6】
図5に示す集合玄関機による処理の流れを示すフローチャートである。
【
図7】
図5に示す集合玄関機による処理の流れの続きを示すフローチャートである。
【
図8】
図1に示すインターホンシステムに設けられた宅内機の構成例を示すブロック図である。
【
図9】
図8に示す宅内機による処理の流れを示すフローチャートである。
【
図10】実施の形態1にかかるインターホンシステム1の認証処理機能のハードウェア構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下では、本発明を適用した具体的な実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。各図面において、同一要素には同一の符号が付されており、説明の明確化のため、必要に応じて重複説明は省略する。
【0010】
<実施の形態1>
図1は、実施の形態1にかかるインターホンシステム1の構成例を示すブロック図である。本実施の形態にかかるインターホンシステム1において、マンション等の集合住宅の集合玄関に設置された集合玄関機は、来訪した配達員(来訪者)が所持するICタグから読み出された固有情報が、配達に訪れる予定になっている配達員に割り当てられた固有情報であるか否かの問い合わせを、当該配達員が所属する事業所等に設置された認証装置に対して行う。ここで、認証装置は、発行する固有情報を所定の周期で更新するように構成されている。それにより、本実施の形態にかかるインターホンシステム1は、例えばICタグを不正に取得した第三者が配達員になりすまして集合住宅の居所内に侵入する等の危険性を抑制することができるため、防犯性能を向上させることができる。以下、具体的に説明する。
【0011】
図1に示すように、インターホンシステム1は、認証装置10と、集合玄関機20と、宅内機30と、ネットワーク40と、を備える。認証装置10及び集合玄関機20は、ネットワーク40を介して接続されている。
【0012】
認証装置10は、例えば荷物を配達する配達員が所属する事業所A内に設置されている。認証装置10は、各配達員が所持するICタグに固有の固有情報を発行して当該ICタグに書き込んだり、ネットワーク40を介して集合玄関機20から問い合わせを受けた固有情報についての認証を行ったりする。ここで、認証装置10は、発行する固有情報を所定の周期(例えば毎営業日の始業時)で更新するように構成されている。
【0013】
なお、認証装置10は、事業所A内に設置される場合に限られない。例えば、認証装置10は、事業所A外部に設置され、認証装置10と遠隔通信可能な端末が事業所A内に設置されていても良い。
【0014】
集合玄関機20は、マンション等の集合住宅Bの集合玄関(入口)に設置されている。集合玄関機20は、集合住宅Bの複数の居所(住居)のうち訪問者の訪問先の居所の住人を呼び出す機能に加えて、来訪した配達員が所持するICタグから読み出された固有情報が、配達に訪れる予定になっている配達員に割り当てられた固有情報であるか否かの問い合わせを認証装置10に対して行う。そして、集合玄関機20は、問い合わせの結果に基づき、所定の情報を、宅内機30に送信(通知)する。所定の情報は、配達員の来訪を知らせる情報であるが、認証の結果を含めて来訪の情報としても良いし、また、認証結果以外に配達員が所属する配送業者の情報を含めても良い。
【0015】
宅内機30は、屋内親機等とも称し、集合住宅Bの各居所に設置されている。本実施の形態では、集合住宅Bの複数の居所のそれぞれに設置された宅内機30のうち居所Cに設置された宅内機30について説明する。宅内機30と集合玄関機20とは、有線又は無線を介して通信可能に構成されている。
【0016】
宅内機30は、例えば、配達員が来訪した旨の情報を集合玄関機20から受け取って居所Cの住人等に通知したり、集合玄関機20において撮影された訪問者の映像を受け取ってモニタに表示させたり、集合玄関機20において収集された訪問者の音声を受け取ってスピーカから出力したりする。また、宅内機30は、居所Cの住人等の音声を収集して集合玄関機20に送信したりもする。
【0017】
さらに、宅内機30は、認証装置10による認証結果に基づいた所定の情報を集合玄関機20から受け取って、モニタに表示させたり、音声出力したりする機能も有する。それにより、宅内機30が設置された居所Cの住人等は、訪問者が本来配達に訪れる予定の配達員であるか否かを正確に把握することができる。
【0018】
ここで、本実施の形態にかかるインターホンシステム1では、認証装置10において発行される固有情報が所定の周期で更新されるため、例えばICタグを不正に取得した第三者が配達員になりすまして集合住宅Bの居所C内に侵入できる可能性が低くなり、その結果、防犯性能が向上する。
【0019】
続いて、各装置の詳細について説明する。
【0020】
(認証装置10の構成)
図2は、認証装置10の構成例を示すブロック図である。
図2に示すように、認証装置10は、ネットワーク接続部101と、制御部102と、認証部103と、発行部104と、記憶部105と、書き込み部106と、を備える。
【0021】
ネットワーク接続部101は、認証装置10とネットワーク40との間の接続を行う。それにより、認証装置10は、ネットワーク40に接続された他の装置(集合玄関機20等)と通信することが可能となる。制御部102は、認証装置10に設けられた各ブロックの全般的な制御を行う。
【0022】
発行部104は、所定の周期で更新(変更)され、且つ、各配達員が所持するICタグに固有の固有情報Xを発行する。固有情報Xが更新されるタイミングは、例えば、毎営業日の始業時などである。固有情報Xには、例えば、ICタグを保持する配達員の所属、社員番号、及び、識別情報Xiなどの配達員に固有の固定情報Xaと、所定の周期で更新される文字列の組み合わせである変化情報Xbと、が含まれている。なお、識別情報Xi(認証コード)は、例えば4桁の数字などで表される。
【0023】
書き込み部106は、所謂ICタグライタであって、発行部104によって発行された固有情報Xを対応するICタグに書き込む。また、発行部104によって発行された固有情報Xは、当該固有情報Xが書き込まれたICタグ(即ち、当該ICタグを所持する配達員)と関連付けられたうえで、記憶部105に記憶される。
【0024】
認証部103は、集合玄関機20からネットワーク40を介して問い合わせを受けた固有情報Xについての認証を行う。より具体的には、認証部103は、集合玄関機20を訪れた配達員が所持するICタグから読み出された固有情報Xが、記憶部105に記憶された複数の固有情報Xの何れかと一致するか否かの判定を行う。より好ましくは、認証部103は、集合玄関機20を訪れた配達員が所持するICタグから読み出された固有情報Xが、記憶部105に記憶された複数の固有情報Xのうち、配達に訪れる予定になっている配達員に割り当てられた固有情報Xと一致するか否かの判定を行う。
【0025】
ここで、発行部104は、既に説明したように、発行する固有情報Xを所定の周期で更新する。具体的には、発行部104は、発行する固有情報Xに含まれる変化情報Xbを所定の周期で更新する。それにより、更新前の固有情報Xが書き込まれたICタグでは認証部103による認証の成功が得られなくなるため、古いICタグ(例えば最終更新日が前日以前のICタグ)を不正に取得した第三者が配達員になりすまして集合住宅Bの居所C内に侵入する等の危険性は抑制される。
【0026】
(認証装置10による固有情報付与処理の流れを示すフローチャート)
図3は、認証装置10による固有情報付与処理の流れを示すフローチャートである。
【0027】
まず、発行部104は、固有情報Xの更新時刻(例えば毎営業日の始業時)になるまで待機する(ステップS101のNO)。固有情報Xの更新時刻になると(ステップS101のYES)、発行部104は、各配達員が所持するICタグに固有の固有情報Xを発行する(ステップS102)。なお、固有情報Xには、既に説明したように、配達員の識別情報Xi等を含む固定情報Xaと、所定の周期で更新される文字列の組み合わせである変化情報Xbと、が含まれている。
【0028】
その後、書き込み部106は、発行部104によって発行された固有情報Xを対応するICタグに書き込む(ステップS103)。また、発行部104によって発行された固有情報Xは、当該固有情報Xが書き込まれたICタグ(即ち、当該ICタグを所持する配達員)と関連付けられたうえで、記憶部105に記憶される(ステップS104)。
【0029】
また、
図3の例では、固有情報Xに含まれる配達員の識別情報Xiが、例えば、ネットワーク接続部101から、ネットワーク40を介して、配達員の携帯端末に送信されている(ステップS105)。携帯端末は、携帯電話端末、スマートフォン、又は、タブレット端末などである。
【0030】
(認証装置10による認証処理の流れを示すフローチャート)
図4は、認証装置10による認証処理の流れを示すフローチャートである。
【0031】
まず、認証部103は、集合玄関機20から送信された固有情報X(即ち、集合玄関機20を訪れた配達員が所持するICタグから読み出された固有情報X)を受信するまで待機する(ステップS106)。この待機は、固有情報Xを受信するまで継続される(ステップS107のNO)。
【0032】
その後、認証部103は、集合玄関機20から送信された固有情報Xを受信すると(ステップS107のYES)、受信した固有情報X(即ち、集合玄関機20から問い合わせを受けた固有情報X)についての認証を行う(ステップS108)。
【0033】
より具体的には、認証部103は、集合玄関機20から受け取った固有情報Xが、記憶部105に記憶された複数の固有情報Xの何れかと一致するか否かの判定を行う(ステップS108)。より好ましくは、認証部103は、集合玄関機20から受け取った固有情報Xが、記憶部105に記憶された複数の固有情報Xのうち、配達に訪れる予定になっている配達員に割り当てられた固有情報Xと一致するか否かの判定を行う。
【0034】
そして、認証部103は、認証結果を、ネットワーク40を介して集合玄関機20に送信する(ステップS109)。
【0035】
例えば、集合玄関機20から受け取った固有情報Xが、記憶部105に記憶された複数の固有情報Xの何れかと一致した場合、認証部103は、認証に成功した旨の情報を、ネットワーク40を介して集合玄関機20に送信する。それに対し、集合玄関機20から受け取った固有情報Xが、記憶部105に記憶された複数の固有情報Xの何れとも一致しない場合、認証部103は、認証に失敗した旨の情報を、ネットワーク40を介して集合玄関機20に送信する。
【0036】
(集合玄関機20の構成)
図5は、集合玄関機20の構成例を示すブロック図である。
図5に示すように、集合玄関機20は、ネットワーク接続部201と、通信部(通知部)202と、制御部203と、問い合わせ部204と、撮影部205と、操作部(入力部)206と、マイク207と、スピーカ208と、読み取り部209と、を備える。
【0037】
ネットワーク接続部201は、集合玄関機20とネットワーク40との間の接続を行う。それにより、集合玄関機20は、ネットワーク40に接続された他の装置(認証装置10等)と通信することが可能となる。制御部203は、集合玄関機20に設けられた各ブロックの全般的な制御を行う。
【0038】
撮影部205は、所謂カメラであって、例えば集合玄関機20の操作部206を操作した訪問者を撮影する。操作部206は、例えばテンキーやタッチパネルなどであって、訪問者の操作(ボタン操作、タッチ操作)によって外部からの情報(部屋番号、識別情報Xi)の入力が可能となっている。マイク207は、集合玄関機20の付近において訪問者が発した音声を収集する。
【0039】
通信部202は、例えば操作部206において入力された部屋番号の居所(本例では居所C)に設置された宅内機30の通信部301と、有線又は無線を介して通信を行う。例えば、通信部202は、居所Cに設置された宅内機30に対して、撮影部205によって撮影された訪問者の映像や、マイク207によって収集された訪問者の音声を送信する。また、通信部202は、宅内機30のマイク(後述するマイク304)によって収集された居所Cの住人等の音声を受信する。
【0040】
スピーカ208は、宅内機30のマイクによって収集された居所Cの住人等の音声を出力する。それにより、訪問者と居所Cの住人との間の通話が可能となる。
【0041】
読み取り部209は、所謂ICタグリーダであって、集合住宅Bの訪問者である配達員が集合玄関機20に接近した場合に、配達員が所持するICタグに書き込まれた固有情報Xを受信して読み取る。
【0042】
問い合わせ部204は、読み取り部209によって読み取られた固有情報Xが、配達に訪れる予定になっている配達員に割り当てられた固有情報であるか否かの問い合わせを、ネットワーク40を介して、認証装置10に対して行う。問い合わせの結果(認証装置10による認証結果)又はそれに応じた情報は、通信部202によって、宅内機30に送信される。
【0043】
なお、問い合わせ部204による問い合わせが可能な時間帯は、例えば、後述する宅内機30等によって設定可能であっても良い。この場合、問い合わせ部204は、設定された時間帯に配達員が来訪した場合にのみ、当該配達員が所持するICタグから読み出された固有情報Xが、配達に訪れる予定になっている配達員に割り当てられた固有情報であるか否かの問い合わせを行う。例えば、配達物の受取人である居所Cの住人は配送日時に関して日付や時間帯を指定できることが多く、この場合、居所Cの住人は配送員が訪れる時間帯を事前に把握している。そのため、居所Cの住人側の判断により、配達予定時間帯以外で問い合わせを不可とし、つまり、問い合わせ可能期間を設定し、配送予定時刻以外では認証部103による認証の成功を得られなくすることにより、第三者が配達員になりすまして集合住宅Bの居所C内に侵入する等の危険性を抑制することができる。
【0044】
(集合玄関機20による処理の流れを示すフローチャート)
図6及び
図7は、集合玄関機20による処理の流れを示すフローチャートである。なお、本例では、配達予定時間帯が7/15の12:00~18:00に設定されている場合について説明する。
【0045】
まず、集合玄関機20は、配達予定時間帯になるまで待機する(ステップS201のNO)。配達予定時間帯になると(ステップS201のYES)、集合玄関機20は、読み取り部209による固有情報Xの受信を待ち受ける(ステップS202)。この待ち受けは、固有情報Xを受信するまで継続される(ステップS203のNO)。
【0046】
その後、読み取り部209は、集合玄関機20に接近した配達員の所持するICタグに書き込まれた固有情報Xを受信すると(ステップS203のYES)、当該固有情報Xの読み取りを行う(ステップS204)。
【0047】
その後、問い合わせ部204は、配達員による操作部206の操作を待ち受ける(ステップS205)。この待ち受けは、配達員によって操作部206の操作が行われるまで継続される(ステップS206のNO)。なお、このときの配達員による操作部206の操作とは、例えば、配達員が居所Cの住人を呼び出すために当該居所Cの部屋番号を入力する操作のことである。
【0048】
配達員による操作部206の操作が開始されると(ステップS206のYES)、問い合わせ部204は、読み取り部209によって読み取られた固有情報X(即ち、配達員が所持するICタグから読み出された固有情報X)が、配達に訪れる予定になっている配達員に対して割り当てられた固有情報Xであるか否かの問い合わせを、ネットワーク40を介して、認証装置10に対して行う(ステップS207のNO→ステップS215)。なお、操作が開始されるタイミングとは、例えば操作部206において入力される4桁の部屋番号のうち1つ目の桁の番号が入力されたタイミングのことである。
【0049】
その後、集合玄関機20は、問い合わせの結果(認証装置10による認証結果)を待ち受ける(ステップS216)。この待ち受けは、問い合わせの結果を受信するまで継続される(ステップS217のNO)。
【0050】
その後、集合玄関機20は、問い合わせの結果(認証装置10による認証結果)を受信すると(ステップS217のYES)、認証結果又はそれに応じた情報を、通信部202を介して、宅内機30に送信する(ステップS218)。
【0051】
例えば、認証結果とは、認証が成功したか否かを示す情報である。認証結果に応じた情報とは、認証が失敗したことに応じた警告情報などである。このような情報が、通信部202を介して、宅内機30に送信される。
【0052】
なお、読み取り部209によって複数の固有情報が読み取られた場合(ステップS207のYES)、集合玄関機20は、主たる配達員を特定するために、例えばスピーカ208等を用いて、主たる配達員に対して識別情報Xiの入力を促す(ステップS208)。この催促は、操作部206の操作によって識別情報Xiが入力されるまで繰り返される(ステップS209のNO)。
【0053】
ここで、
図3のステップS105の処理で説明したように、主たる配達員の携帯端末には識別情報Xiが送信されている。そのため、主たる配達員は識別情報Xiを知っているはずである。
【0054】
主たる配達員による操作部206の操作によって識別情報Xiが入力されると(ステップS209のYES)、問い合わせ部204は、読み取り部209によって読み取られた複数の固有情報Xのうち、操作部206において入力された識別情報Xiを含む固有情報Xを選択して、認証装置10に対して問い合わせを行う(ステップS210→ステップS211のYES→ステップS215)。
【0055】
その後、集合玄関機20は、問い合わせの結果(認証装置10による認証結果)を待ち受ける(ステップS216)。この待ち受けは、問い合わせの結果を受信するまで継続される(ステップS217のNO)。
【0056】
その後、集合玄関機20は、問い合わせの結果(認証装置10による認証結果)を受信すると(ステップS217のYES)、認証結果又はそれに応じた情報を、通信部202を介して、宅内機30に送信する(ステップS218)。
【0057】
なお、読み取り部209によって読み取られた複数の固有情報Xのうち、操作部206において入力された識別情報Xiを含む固有情報Xが存在しない場合(ステップS211のNO)、集合玄関機20は、例えばスピーカ208等を用いて、配達員に対して入力ミスの可能性がある旨を通知し、再び識別情報Xiの入力を促す(ステップS212のNO→ステップS213)。識別情報Xiの入力ミスが所定回数に達すると(ステップS212のYES)、集合玄関機20は、例えばスピーカ208等を用いて、配達員に対して配達不可である旨を通知する(ステップS214)。
【0058】
なお、識別情報Xiは、操作部206を操作することによって入力される場合に限られず、マイクを介して音声入力されても良い。
【0059】
(宅内機30の構成例)
図8は、宅内機30の構成例を示すブロック図である。
図8に示すように、宅内機30は、通信部301と、制御部302と、表示部303と、マイク304と、スピーカ305と、操作部306と、を備える。
【0060】
制御部302は、宅内機30に設けられた各ブロックの全般的な制御を行う。
【0061】
操作部306は、宅内機30の各種機能を実行するための操作を受け付ける。
【0062】
マイク304は、宅内機30の付近で居所Cの住人等が発した音声を収集する。
【0063】
通信部301は、集合玄関機20の通信部202と有線又は無線を介して通信を行う。例えば、通信部301は、マイク304によって収集された音声を集合玄関機20に送信する。また、通信部301は、集合玄関機20の撮影部205によって撮影された訪問者の映像や、集合玄関機20のマイク207によって収集された訪問者の音声を受信する。さらに、通信部301は、認証装置10による認証結果を、集合玄関機20経由で受信する。
【0064】
スピーカ305は、集合玄関機20のマイク207によって収集された訪問者の音声を出力する。
【0065】
表示部303は、集合玄関機20の撮影部205によって撮影された訪問者の映像を表示させる。また、表示部303は、集合玄関機20経由で受信された認証装置10による認証結果に基づいた情報を表示させる。なお、集合玄関機20経由で受信された認証装置10による認証結果に基づいた情報は、スピーカ305によって音声出力されても良い。
【0066】
制御部302は、集合玄関機20の問い合わせ部204による問い合わせが可能な時間帯を設定する。つまり集合玄関機20が認証装置10に固有情報を送信可とする期間を設定する。この場合、居所Cの住人等が、あらかじめメール等で送られた配達時間帯の情報に基づいて、操作部306を操作して問い合わせが可能な時間を入力することにより集合玄関機20に問い合わせ可能時間帯の情報を送信し、問い合わせ可能時間帯の設定を行う。或いは、宅内機30は、住人が所持する携帯端末と近距離無線通信可能に構成され、当該携帯端末を操作することによって上述の時間帯を設定可能に構成されても良い。或いは、携帯端末に送信された配達予定メールに記載されたリンク先にアクセスすることによって、事業所経由で認証装置10から集合玄関機20に問い合わせ可能時間帯の情報を送信し、集合玄関機20の問い合わせ可能時間帯が設定されてもよい。
【0067】
(宅内機30による処理の流れを示すフローチャート)
図9は、宅内機30による処理の流れを示すフローチャートである。
【0068】
まず、宅内機30は、集合玄関機20からの呼び出しを待ち受ける(ステップS301)。この待ち受けは、集合玄関機20からの呼び出しがあるまで継続される(ステップS302のNO)。
【0069】
集合玄関機20からの呼び出しがあると(ステップS302のYES)、表示部303は、集合玄関機20の撮影部205によって撮影された訪問者の映像を表示させるとともに、集合玄関機20経由で受信された認証装置10による認証結果又はそれに応じた情報を表示させる(ステップS303)。
【0070】
ここで、認証結果とは、認証が成功したか否かを示す情報である。認証結果に応じた情報とは、認証が失敗したことに応じた警告情報などである。表示部303は、このような情報を表示させる。それにより、宅内機30が設置された居所Cの住人は、訪問者が本来配達に訪れる予定の配達員であるか否かを正確に把握することができる。
【0071】
このように、本実施の形態にかかるインターホンシステム1において、マンション等の集合住宅の集合玄関に設置された集合玄関機は、来訪した配達員が所持するICタグから読み出された固有情報が、配達に訪れる予定になっている配達員に割り当てられた固有情報であるか否かの問い合わせを、当該配達員が所属する事業所等に設置された認証装置に対して行う。ここで、認証装置は、発行する固有情報を所定の周期で更新するように構成されている。それにより、本実施の形態にかかるインターホンシステム1は、例えばICタグを不正に取得した第三者が配達員になりすまして集合住宅の居所内に侵入する等の危険性を抑制することができるため、防犯性能を向上させることができる。
【0072】
(インターホンシステム1の認証処理機能のハードウェア構成)
なお、インターホンシステム1によって実現される認証処理機能は、汎用的なコンピュータシステムにより実現可能である。以下、
図10を用いて簡単に説明する。
【0073】
図10は、認証処理機能のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。コンピュータ500は、例えば、制御装置であるCPU(Central Processing Unit)501と、RAM(Random Access Memory)502と、ROM(Read Only Memory)503と、を備える。コンピュータ500は、さらに、外部とのインターフェースであるIF(Inter Face)504と、不揮発性記憶装置の一例であるHDD(Hard Disk Drive)505と、を備える。さらに、コンピュータ500は、その他図示しない構成として、キーボードやマウス等の入力装置やディスプレイ等の表示装置を備えていても良い。
【0074】
HDD505には、OS(Operating System)(不図示)と、認証処理プログラム506と、が記憶されている。認証処理プログラム506は、本実施の形態に係る認証処理が実装されたコンピュータプログラムである。
【0075】
CPU501は、コンピュータ500における各種処理、RAM502,ROM503,IF504及びHDD505へのアクセス等を制御する。コンピュータ500は、CPU501がHDD505に記憶されたOS、認証処理プログラム506を読み込み、実行する。これにより、コンピュータ500は、本実施の形態にかかるインターホンシステム1の認証処理機能を実現する。
【0076】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は既に述べた実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能であることはいうまでもない。
【0077】
上述の実施の形態では、本発明をハードウェアの構成として説明したが、本発明は、これに限定されるものではない。本発明は、任意の処理を、CPU(Central Processing Unit)にコンピュータプログラムを実行させることにより実現することも可能である。 また、上述したプログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば光磁気ディスク)、CD-ROM(Read Only Memory)CD-R、CD-R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(Random Access Memory))を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【0078】
以上、実施の形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記によって限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【符号の説明】
【0079】
1 インターホンシステム
10 認証装置
20 集合玄関機
30 宅内機
40 ネットワーク
101 ネットワーク接続部
102 制御部
103 認証部
104 発行部
105 記憶部
106 書き込み部
201 ネットワーク接続部
202 通信部
203 制御部
204 問い合わせ部
205 撮影部
206 操作部
207 マイク
208 スピーカ
209 読み取り部
301 通信部
302 制御部
303 表示部
304 マイク
305 スピーカ
306 操作部
500 コンピュータ
501 CPU
502 RAM
503 ROM
504 IF
505 HDD
506 認証処理プログラム
A 事業所
B 集合住宅
C 居所
X 固有情報
Xa 固定情報
Xb 変化情報
Xi 識別情報