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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-08
(45)【発行日】2024-05-16
(54)【発明の名称】光学フィルター、及び電子機器
(51)【国際特許分類】
   G02B 26/00 20060101AFI20240509BHJP
【FI】
G02B26/00
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020156505
(22)【出願日】2020-09-17
(65)【公開番号】P2022050102
(43)【公開日】2022-03-30
【審査請求日】2023-06-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000637
【氏名又は名称】弁理士法人樹之下知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】中村 友亮
【審査官】鈴木 俊光
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-108370(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0236525(US,A1)
【文献】特開2015-018280(JP,A)
【文献】特開2013-083685(JP,A)
【文献】特開2015-206901(JP,A)
【文献】特開2020-056983(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 26/00
G01J 3/26
G02B 5/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一ギャップを介して対向する一対の第一反射膜、及び、一対の前記第一反射膜の間隔を変更する第一ギャップ変更部を含む第一フィルターと、
第二ギャップを介して対向する一対の第二反射膜、及び、一対の前記第二反射膜の間隔を変更する第二ギャップ変更部を含み、一対の前記第一反射膜を透過した光の光路上に一対の前記第二反射膜が配置される第二フィルターと、を備え、
前記第一反射膜及び前記第二反射膜は、それぞれ、複数の光学体を積層することで構成され、
前記第一反射膜の前記光学体は、所定の設計中心波長を中心とした光を反射する反射特性を有し、当該設計中心波長が前記第一反射膜を構成する各前記光学体でそれぞれ異なり、
前記第二反射膜の前記光学体は、所定の設計中心波長を中心とした光を反射する反射特性を有し、当該設計中心波長が前記第二反射膜を構成する各前記光学体でそれぞれ異な
ことを特徴とする光学フィルター。
【請求項2】
請求項1に記載の光学フィルターにおいて、
前記第一反射膜及び前記第二反射膜を構成する前記光学体は、高屈折層と、前記高屈折層よりも屈折率が小さい低屈折層とが交互に積層された積層体により構成され、前記高屈折層の光学膜厚、及び、前記低屈折層の光学膜厚が、前記光学体毎に設定された前記設計中心波長に基づいた膜厚である
ことを特徴とする光学フィルター。
【請求項3】
請求項2に記載の光学フィルターにおいて、
隣り合う一対の前記積層体を接続する接続層をさらに備え、
前記接続層の光学膜厚は、当該接続層を挟む一対の前記積層体の前記設計中心波長の平均に基づいた膜厚である
ことを特徴とする光学フィルター。
【請求項4】
請求項1に記載の光学フィルターにおいて、
前記第一反射膜及び前記第二反射膜は、高屈折率を有する高屈折層により構成される前記光学体と、前記高屈折層よりも屈折率が低い低屈折層により構成される前記光学体とが、交互に積層されることで構成される
ことを特徴とする光学フィルター。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の光学フィルターにおいて、
前記第一反射膜を構成する各前記光学体の前記設計中心波長と、前記第二反射膜を構成する各前記光学体の前記設計中心波長とは、それぞれ異なる
ことを特徴とする光学フィルター。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の光学フィルターにおいて、
前記第一反射膜を構成する前記光学体の前記設計中心波長は、前記第一ギャップに近づくにしたがって短くなり、
前記第二反射膜を構成する前記光学体の前記設計中心波長は、前記第二ギャップに近づくにしたがって短くなる
ことを特徴とする光学フィルター。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の光学フィルターと、
前記第一ギャップ変更部及び前記第二ギャップ変更部を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記第一フィルターを透過する複数のピーク波長のうちの1つである第一ピーク波長が、所望の目標波長を中心とした目標波長域内に含まれるように、前記第一ギャップ変更部を制御し、
前記第二フィルターを透過する複数のピーク波長のうちの1つである第二ピーク波長が、前記目標波長域内に含まれ、かつ、前記第一フィルターを透過する前記第一ピーク波長以外のピーク波長と、前記第二フィルターを透過する前記第二ピーク波長以外のピーク波長と、が異なる波長となるように、前記第二ギャップ変更部を制御する
ことを特徴とする電子機器。
【請求項8】
請求項7に記載の電子機器において、
前記制御部は、前記第一ピーク波長と前記第二ピーク波長との差が、10nm以下となるように、前記第一ギャップ変更部及び前記第二ギャップ変更部を制御する
ことを特徴とする電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学フィルター、及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ファブリーペロー型の光学フィルター(波長可変干渉フィルター)が知られている(例えば特許文献1参照)。
特許文献1に記載の波長可変干渉フィルターは、固定基板に設けられた固定ミラーと、可動基板に設けられた可動ミラーとを、ギャップを介して対向して配置したフィルターである。この波長可変干渉フィルターでは、静電アクチュエーターによって、固定ミラーと可動ミラーとの間のギャップ寸法が可変となり、ギャップ寸法を変更することで、波長可変干渉フィルターを透過する光が変化する。
また、特許文献1の波長可変干渉フィルターでは、固定ミラー及び可動ミラーとして、誘電体多層膜を用いたもの、金属合金膜を用いたもの、金属膜を用いたものが例示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-112750号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1のような光学フィルターや、当該光学フィルターを備える測定装置等の電子機器では、測定が可能となる測定波長域の広域化と、分光測定精度の高精度化とを両立できない、との課題がある。つまり、特許文献1のような光学フィルターにおいて、固定ミラー及び可動ミラーとして誘電体多層膜を用いる場合、高い波長分解能で目標波長の光を透過できるが、分光可能な測定波長域が狭くなるとの課題がある。一方、固定ミラー及び可動ミラーとして金属合金膜や金属膜を用いると、可視光域から赤外域に亘る広い波長域に対して分光可能となるが、誘電体多層膜に比べて波長分解能が低く、分光測定精度が低下する、との課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の第一態様の光学フィルターは、第一ギャップを介して対向する一対の第一反射膜、及び、一対の前記第一反射膜の間隔を変更する第一ギャップ変更部を含む第一フィルターと、第二ギャップを介して対向する一対の第二反射膜、及び、一対の前記第二反射膜の間隔を変更する第二ギャップ変更部を含み、一対の前記第一反射膜を透過した光の光路上に一対の前記第二反射膜が配置される第二フィルターと、を備え、前記第一反射膜及び前記第二反射膜は、それぞれ、複数の光学体を積層することで構成され、前記光学体は、所定の設計中心波長を中心とした光を反射する反射特性を有し、当該設計中心波長が各前記光学体でそれぞれ異なる。
【0006】
本開示の第二態様の電子機器は、第一態様の光学フィルターと、前記第一ギャップ変更部及び第二ギャップ変更部を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記第一フィルターを透過する複数のピーク波長のうちの1つである第一ピーク波長が、所望の目標波長を中心とした目標波長域内に含まれるように、前記第一ギャップ変更部を制御し、前記第二フィルターを透過する複数のピーク波長のうちの1つである第二ピーク波長が、前記目標波長域内に含まれ、かつ、前記第一フィルターを透過する前記第一ピーク波長以外のピーク波長と、前記第二フィルターを透過する前記第二ピーク波長以外のピーク波長と、が異なる波長となるように、前記第二ギャップ変更部を制御する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第一実施形態の分光測定装置の概略構成を示す図。
図2】第一実施形態の第一フィルターの概略構成を模式的に示す断面図。
図3】第一実施形態の第一フィルターの反射膜構成の概略を示す断面図。
図4】第一実施形態の第二フィルターの概略構成を模式的に示す断面図。
図5】第一実施形態の第二フィルターの反射膜構成の概略を示す断面図。
図6】第一実施形態の分光測定装置の分光測定方法を示すフローチャート。
図7】第一実施形態における第一フィルターの分光特性、第二フィルターの分光特性、及び光学フィルターを透過する光の透過特性の一例を示す図。
図8】第一実施形態における第一フィルターの分光特性、第二フィルターの分光特性、及び光学フィルターを透過する光の透過特性の一例を示す図。
図9】第一実施形態における第一フィルターの分光特性、第二フィルターの分光特性、及び光学フィルターを透過する光の透過特性の一例を示す図。
図10】第一実施形態における第一フィルターの分光特性、第二フィルターの分光特性、及び光学フィルターを透過する光の透過特性の一例を示す図。
図11】第一ピーク波長及び第二ピーク波長の差と、光学フィルター10を透過する目標波長の光との関係を示す図。
図12】第二実施形態の第一可動反射膜及び第一固定反射膜の膜構成を示す断面図。
図13】第二実施形態の第二可動反射膜及び第二固定反射膜の膜構成を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[第一実施形態]
以下、第一実施形態について説明する。
図1は、第一実施形態の分光測定装置1の概略構成を示す図である。
[分光測定装置1の全体構成]
分光測定装置1は、測定対象から入射される測定光を分光して、測定対象の分光スペクトルや色度等を測定する電子機器である。この分光測定装置1は、図1に示すように、光学フィルター10と、受光部40と、制御部50とを備えて構成されている。
また、光学フィルター10は、図1に示すように、第一フィルター20と、第二フィルター30とを備えている。
【0009】
[第一フィルター20の構成]
図2は、第一フィルター20の概略構成を模式的に示す断面図である。
第一フィルター20は、ファブリーペロー型の波長可変干渉フィルターであり、透光性の第一可動基板21と、透光性の第一固定基板22とを備える。第一可動基板21及び第一固定基板22は、受光部40の光軸Oに沿って配置されている。
第一可動基板21には、一対の第一反射膜の一方である第一可動反射膜23が設けられ、第一固定基板22には、一対の第一反射膜の他方である第一固定反射膜24が設けられている。また、第一フィルター20は、第一可動反射膜23と第一固定反射膜24との間の寸法を変更する第一ギャップ変更部としての第一アクチュエーター25を備えている。この第一アクチュエーター25は、第一可動基板21に設けられる第一電極251と、第一固定基板22に設けられる第二電極252により構成された静電アクチュエーターである。
【0010】
第一可動基板21は、測定光が入射する第一面21Aと、第一固定基板22に対向する第二面21Bとを有する。第一可動基板21は、第一面21Aがエッチング処理されることで、略環状の凹溝であるダイアフラム部212が形成されている。また、このダイアフラム部212に囲われる領域は、可動部211を構成する。当該可動部211は、ダイアフラム部212により、第一可動基板21から第一固定基板22に向かう方向に移動可能に保持される。
そして、この可動部211の第二面21Bに、第一可動反射膜23が設けられている。なお、第一可動反射膜23の詳細な構成については後述する。
【0011】
また、第一可動反射膜23の第一ギャップG1側には、透明電極である第一検出電極261が設けられている。透明電極は、例えばIGOやITOなどを用いることができる。
さらに、第一可動基板21の第二面21Bには、第一可動反射膜23を囲うように、第一電極251が配置されている。第一電極251は、可動部211に設けられていてもよく、ダイアフラム部212に設けられていてもよい。本実施形態では、第一電極251が、可動部211に設けられる構成を例示する。
第一可動基板21のダイアフラム部212の外側は、ダイアフラム部212よりも光軸Oに沿った厚みが大きい外周部213を構成する。この外周部213は、図示略の接合部材を介して第一固定基板22に接合される。
【0012】
第一固定基板22は、第一可動基板21に対向する第三面22Aと、第二フィルター30に対向する第四面22Bとを備える。
第一固定基板22は、第三面22Aがエッチング処理等によって加工されることで、可動部211に対向するミラー台221と、ミラー台221の外側に設けられる溝部222と、溝部222の外側に設けられる基台部223とが形成されている。
【0013】
ミラー台221は、第一可動反射膜23に対して第一ギャップG1を介して対向する第一固定反射膜24が設けられる部位である。
また、第一固定反射膜24の第一ギャップG1側には、透明電極である第二検出電極262が設けられている。この第二検出電極262は、第一ギャップG1を介して、第一検出電極261に対向し、第一検出電極261とともに、第一容量検出部26を構成する。つまり、本実施形態では、第一検出電極261及び第二検出電極262で保持される電荷が変化することで、第一ギャップG1の寸法を検出することが可能となる。
【0014】
溝部222は、第一電極251に対向して設けられる部位であり、第一電極251に対向して配置される第二電極252が配置される。第二電極252は、上述のように、第一電極251とともに第一アクチュエーター25を構成し、第一電極251及び第二電極252の間の駆動電圧が印加されることで、静電引力によって可動部211を第一固定基板22側に変位させる。
【0015】
基台部223は、接合部材を介して第一可動基板21の外周部213に接合される部位である。
なお、図示は省略するが、第一フィルター20には、第一アクチュエーター25の第一電極251及び第二電極252のそれぞれに電気接続された駆動端子と、第一検出電極261及び第二検出電極262のそれぞれに電気接続された検出端子とが設けられている。これらの端子が制御部50に接続され、制御部50の制御によって、第一アクチュエーター25への駆動電圧の印加や、容量検出部を用いた第一ギャップG1の寸法の検出が実施される。
なお、本実施形態では、第一アクチュエーター25として、静電アクチュエーターを例示するが、これに限定されない。第一アクチュエーター25として、第一可動基板21及び第一固定基板22の間に圧電素子を配置し、圧電素子に電圧を印加することで、第一可動基板21及び第一固定基板22の間の寸法、つまり、第一可動反射膜23及び第一固定反射膜24の間の第一ギャップG1が変更される構成などとしてもよい。
【0016】
[第一可動反射膜23及び第一固定反射膜24の構成]
図3は、第一実施形態の第一フィルター20における第一可動反射膜23及び第一固定反射膜24の概略構成を示す図である。
第一可動反射膜23は、第一可動基板21から第一ギャップG1に向かって複数の積層体(光学体)が積層されることで構成されている。また、第一固定反射膜24も、第一可動反射膜23と同様の構成を有し、第一固定基板22から第一ギャップG1に向かって複数の積層体(光学体)が積層されることで構成されている。
図3に示す例では、複数の積層体として、第一積層体61、第二積層体62、及び第三積層体63を備えている。第一積層体61は、第一可動基板21または第一固定基板22に積層される積層体である。第三積層体63は、第一可動反射膜23及び第一固定反射膜24において、第一ギャップG1に最も近い位置に配置される積層体である。第二積層体62は、第一積層体61及び第三積層体63の間に配置される積層体である。
なお、図3の例では、上記のように、第一可動反射膜23及び第一固定反射膜24が3つの積層体を備えて構成される例を示すが、4つ以上の積層体を備える構成や、2つの積層体を備える構成などとしてもよい。
【0017】
これらの積層体は、それぞれ、高屈折層と、低屈折層と、を交互に積層することで構成された誘電体多層膜であり、所定の設計中心波長を中心とした光反射特性を有している。例えば、第一積層体61は、第一可動基板21または第一固定基板22から、第一高屈折層61H、第一低屈折層61L、第一高屈折層61Hの順に交互に積層されている。同様に、第二積層体62は、第一積層体61側から、第二高屈折層62H、第二低屈折層62L、第二高屈折層62Hの順に交互に積層され、第三積層体63は、第二積層体62側から、第三高屈折層63H、第三低屈折層63L、第三高屈折層63Hの順に交互に積層されている。
以降の説明にあたり、第一高屈折層61Hの屈折率をn1H、第一高屈折層61Hの厚みをd1H、第一低屈折層61Lの屈折率をn1L、第一低屈折層61Lの厚みをd1Lとする。第二高屈折層62Hの屈折率をn2H、第二高屈折層62Hの厚みをd2H、第二低屈折層62Lの屈折率をn2L、第二低屈折層62Lの厚みをd2Lとする。第三高屈折層63Hの屈折率をn3H、第三高屈折層63Hの厚みをd3H、第三低屈折層63Lの屈折率をn3L、第三低屈折層63Lの厚みをd3Lとする。
【0018】
第一積層体61は、第一設計中心波長λを中心とした光を反射する誘電体多層膜である。つまり、第一積層体61における第一高屈折層61H及び第一低屈折層61Lの光学膜厚(第一光学膜厚)は同じ光学膜厚を有する。具体的には、第一高屈折層61H及び第一低屈折層61Lは、n1H×d1H=n1L×d1L=λ/4を満たす第一光学膜厚を有する。
第二積層体62は、第二設計中心波長λを中心とした光を反射する誘電体多層膜である。つまり、第二積層体62における第二高屈折層62H及び第二低屈折層62Lの光学膜厚(第二光学膜厚)は同じ光学膜厚を有する。具体的には、第二高屈折層62H及び第二低屈折層62Lは、n2H×d2H=n2L×d2L=λ/4を満たす第二光学膜厚を有する。ここで、第二設計中心波長λは、λ>λの関係を満たす。
同様に、第三積層体63は、第三設計中心波長λを中心とした光を反射する誘電体多層膜である。つまり、第三積層体63における第三高屈折層63H及び第三低屈折層63Lの光学膜厚(第三光学膜厚)は同じ光学膜厚を有する。具体的には、第三高屈折層63H及び第三低屈折層63Lは、n3H×d3H=n3L×d3L=λ/4を満たす第三光学膜厚を有する。ここで、第三設計中心波長λは、λ>λ>λの関係を満たす。
第一設計中心波長λ、第二設計中心波長λ、及び第三設計中心波長λは、分光測定装置1による測定対象となる波長域(以降、測定波長域と称する)に応じて設定される。例えば、可視光域から近赤外広域までを測定波長域(400nm~1000nm)とする場合の一例として、λ=950nm、λ=600nm、λ=400nmに設定される。なお、第一設計中心波長λと第二設計中心波長λとの波長間隔が、第二設計中心波長λと第三設計中心波長λとの波長間隔より大きくなる例を示すが、これに限定されない。例えば、第一設計中心波長λと第二設計中心波長λとの波長間隔と、第二設計中心波長λと第三設計中心波長λとの波長間隔とを等間隔にしてもよい。詳細は後述するが、本実施形態の第一フィルター20は、測定波長域に複数のピーク波長を含む光を透過させる。第一設計中心波長λと第二設計中心波長λとの波長間隔と、第二設計中心波長λと第三設計中心波長λとの波長間隔は、これらのピーク波長の間隔が略均一となるように設定されていればよい。
【0019】
また、第一積層体61と第二積層体62とは、透光性の第一接続層67Aを介して接続され、第二積層体62と第三積層体63とは、透光性の第二接続層67Bを介して接続されている。
第一接続層67Aは、屈折率n7a、膜厚d7aを有し、第一接続層67Aの光学膜厚は、第一設計中心波長と第二設計中心波長の平均に基づいた光学膜厚となる。つまり、第一接続層67Aの設計中心波長をλ7aとすると、当該設計中心波長λ7aは、λ7a=(λ+λ)/2であり、n7a×d7a=λ7a/4を満たしている。
第二接続層67Bは、屈折率n7b、膜厚d7bを有し、第二接続層67Bの光学膜厚は、第二設計中心波長と第三設計中心波長の平均に基づいた光学膜厚となる。つまり、第二接続層67Bの設計中心波長をλ7bとすると、当該設計中心波長λ7bは、λ7b=(λ+λ)/2であり、n7b×d7b=λ7b/4を満たしている。
【0020】
具体的な例を挙げて、さらに説明すると、本実施形態では、第一可動反射膜23及び第一固定反射膜24において、第一高屈折層61H、第二高屈折層62H、及び第三高屈折層63Hは、同一素材により構成されている。また、第一低屈折層61L、第二低屈折層62L、及び第三低屈折層63Lは、同一素材により構成されている。
また、本実施形態では、第一積層体61の最も第二積層体62側に配置される層は第一高屈折層61Hであり、第二積層体62の最も第一積層体61側に配置される層は第二高屈折層62Hである。同様に、第二積層体62の最も第三積層体63側に配置される層は第二高屈折層62Hであり、第三積層体63の最も第二積層体62側に配置される層は第三高屈折層63Hである。この場合、第一接続層67A及び第二接続層67Bとして、低屈折層を用いることが好ましく、例えば第一低屈折層61L、第二低屈折層62L、及び第三低屈折層63Lと同じ素材を用いることができる。
この場合、n1H=n2H=n3H、かつ、n1L=n2L=n3L=n7a=n7bとなるので、各層の厚みのみにより、各積層体61,62,63及び接続層67A,67Bの光学膜厚を設定することができる。
なお、第一可動反射膜23上に設けられる第一検出電極261や、第一固定反射膜24上に設けられる第二検出電極262の光学膜厚は、各積層体61,62,63を構成する各層の光学膜厚に対して十分に小さい。例えば、本実施形態では、第一検出電極261及び第二検出電極262をIGOにより構成し、例えば、光学膜厚を20nmとして、約10nmの膜厚となるように形成する。
【0021】
[第二フィルター30の構成]
図4は、第二フィルター30の概略構成を模式的に示す断面図である。
第二フィルター30は、ファブリーペロー型の波長可変干渉フィルターであり、第一フィルター20と略同様の構成を有する。すなわち、第二フィルター30は、透光性の第二可動基板31と、透光性の第二固定基板32とを備える。これらの第二可動基板31及び第二固定基板32は、受光部40の光軸Oに沿って配置されている。
第二可動基板31には、一対の第二反射膜のうちの一方である第二可動反射膜33が設けられ、第二固定基板32には、一対の第二反射膜のうちの他方である第二固定反射膜34が設けられている。また、第二フィルター30は、第二可動反射膜33と第二固定反射膜34との間の寸法を変更する第二ギャップ変更部としての第二アクチュエーター35を備えている。この第二アクチュエーター35は、第一アクチュエーター25と同様、静電アクチュエーターにより構成され、第二可動基板31に設けられる第三電極351と、第二固定基板32に設けられる第四電極352を備えている。
【0022】
第二可動基板31は、受光部40に向かう側の第五面31Aと、第二固定基板32に対向する第六面31Bとを有する。第二可動基板31は、第一可動基板21と略同様の構成を有する。つまり、第二可動基板31は、第五面31Aがエッチング処理されることで、略環状の凹溝である第二ダイアフラム部312と、第二ダイアフラム部312により囲われる第二可動部311とが形成されている。また、第二可動部311の第六面31Bに、第二可動反射膜33が設けられている。この第二可動反射膜33は、第一可動反射膜23や第一固定反射膜24と同様、複数の積層体(光学体)が積層されることで構成されている。
また、第二可動基板31の第六面31Bには、第二可動反射膜33を囲うように、第二アクチュエーター35を構成する第三電極351が配置されている。
第二可動基板31の第二ダイアフラム部312の外側は、第二ダイアフラム部312よりも光軸Oに沿った厚みが大きい第二外周部313が構成され、図示略の接合部材を介して第二固定基板32に接合されている。
【0023】
第二固定基板32は、第二可動基板31に対向する第七面32Aと、第一フィルター20に対向する第八面32Bとを備える。
第二固定基板32は、第七面32Aがエッチング処理等によって加工されることで、第一固定基板22と同様、第二ミラー台321と、第二溝部322と、第二基台部323とが形成されている。
第二ミラー台321は、第二可動反射膜33に対して第二ギャップG2を介して対向する第二固定反射膜34が設けられる部位である。第二固定反射膜34は、第二可動反射膜33、第一可動反射膜23、及び第一固定反射膜24と同様、複数の積層体(光学体)が積層されることで構成されている。
第二固定反射膜34の第二ギャップG2側には、透明電極である第四検出電極362が設けられている。この第四検出電極362は、第二ギャップG2を介して、第三検出電極361に対向し、第三検出電極361とともに、第二容量検出部36を構成する。つまり、本実施形態では、第三検出電極361及び第四検出電極362で保持される電荷が変化することで、第二ギャップG2の寸法を検出することが可能となる。
【0024】
第二溝部322は、第三電極351に対向して設けられ、第四電極352が配置される。第四電極352は、上述のように、第三電極351とともに第二アクチュエーター35を構成し、第二可動部311を第二固定基板32側に変位させる。
【0025】
第二基台部323は、接合部材を介して第二可動基板31の第二外周部313に接合される部位である。
なお、図示は省略するが、第二フィルター30には、第一フィルター20と同様に、第二アクチュエーター35の第三電極351及び第四電極352のそれぞれに電気接続された駆動端子と、第三検出電極361及び第四検出電極362のそれぞれに電気接続された検出端子とが設けられている。これらの端子が制御部50に接続され、制御部50の制御によって、第二アクチュエーター35への駆動電圧の印加や、第二容量検出部36を用いた第二ギャップG2の寸法の検出が実施される。
【0026】
なお、図1に示す例では、第一フィルター20及び第二フィルター30を区別するために、第一固定基板22と、第二固定基板32とが、隙間を開けて配置されているが、第一固定基板22の第四面22Bと、第二固定基板32の第八面32Bとが透光性の接合部材によって接合されていてもよい。
また、第一固定基板22と第二固定基板32とが同一構成であってもよい。つまり、第一固定基板22と第二固定基板32とが1つの基板により構成され、当該基板のうち第一可動基板21に対向する面に、ミラー台221や溝部222が設けられ、当該基板のうち第二可動基板31に対向する面に、第二ミラー台321や第二溝部322が設けられる構成としてもよい。
【0027】
また、本実施形態では、図1に示すように、第一可動基板21の第一面21Aから光が入射し、第一フィルター20を透過した光が、第一固定基板22の第四面22Bから第二固定基板32の第八面32Bに入射し、第二フィルター30を透過した光が、第二可動基板31の第五面31Aから受光部40に向かうとしたが、第一フィルター20及び第二フィルター30の配置はこれに限定されない。例えば、第一フィルター20の第四面22Bから光が入射し、第一フィルター20を透過した光が第一可動基板21の第一面21Aから第二フィルター30に入射してもよい。また、第二フィルター30においても、第一フィルター20からの光が、第五面31Aから入射し、第二フィルター30を透過した光が、第八面32Bから受光部40に向かう構成としてもよい。
【0028】
[第二可動反射膜33及び第二固定反射膜34の構成]
図5は、第一実施形態の第二フィルター30における第二可動反射膜33及び第二固定反射膜34の概略構成を示す図である。
上述したように、第二可動反射膜33、及び第二固定反射膜34は、第一可動反射膜23及び第一固定反射膜24と略同様の構成を有する。
すなわち、第二可動反射膜33は、第二可動基板31から第二ギャップG2に向かって複数の積層体(光学体)が積層されることで構成されている。また、第二固定反射膜34は、第二固定基板32から第二ギャップG2に向かって複数の積層体(光学体)が積層されることで構成されている。
図5に示す例では、複数の積層体として、第四積層体64、第五積層体65、及び第六積層体66を備えている。第四積層体64は、第二可動基板31または第二固定基板32に積層される積層体である。第六積層体66は、第二可動反射膜33及び第二固定反射膜34において、第二ギャップG2に最も近い位置に配置される積層体である。第五積層体65は、第四積層体64及び第六積層体66の間に配置される積層体である。
なお、図5の例では、上記のように、第二可動反射膜33及び第二固定反射膜34が3つの積層体を備えて構成される例を示すが、4つ以上の積層体を備える構成や、2つの積層体を備える構成などとしてもよい。
【0029】
これらの積層体は、第一可動反射膜23や第一固定反射膜24と同様、それぞれ、高屈折層と、低屈折層と、を交互に積層することで構成されている。例えば、第四積層体64は、第二可動基板31または第二固定基板32から、第四高屈折層64H、第四低屈折層64L、第四高屈折層64Hの順に交互に積層されている。第五積層体65は、第四積層体64側から、第五高屈折層65H、第五低屈折層65L、第五高屈折層65Hの順に交互に積層され、第六積層体66は、第五積層体65側から、第六高屈折層66H、第六低屈折層66L、第六高屈折層66Hの順に交互に積層されている。
以降の説明にあたり、第四高屈折層64Hの屈折率をn4H、第四高屈折層64Hの厚みをd4H、第四低屈折層64Lの屈折率をn4L、第四低屈折層64Lの厚みをd4Lとする。第五高屈折層65Hの屈折率をn5H、第五高屈折層65Hの厚みをd5H、第五低屈折層65Lの屈折率をn5L、第五低屈折層65Lの厚みをd5Lとする。第六高屈折層66Hの屈折率をn6H、第六高屈折層66Hの厚みをd6H、第六低屈折層66Lの屈折率をn6L、第六低屈折層66Lの厚みをd6Lとする。
【0030】
ここで、第四積層体64は、第四設計中心波長λを中心とした光を反射する誘電体多層膜である。つまり、第四積層体64における第四高屈折層64H及び第四低屈折層64Lの光学膜厚(第四光学膜厚)は同じ光学膜厚を有する。具体的には、第四高屈折層64H及び第四低屈折層64Lは、n4H×d4H=n4L×d4L=λ/4を満たす第四光学膜厚を有する。ここで、第四設計中心波長λは、第一設計中心波長λ、第二設計中心波長λ、第三設計中心波長λとは異なる波長となる(λ≠λ,λ≠λ,λ≠λ)。
第五積層体65は、第五設計中心波長λを中心とした光を反射する誘電体多層膜である。つまり、第五積層体65における第五高屈折層65H及び第五低屈折層65Lの光学膜厚(第五光学膜厚)は同じ光学膜厚を有する。具体的には、第五高屈折層65H及び第五低屈折層65Lは、n5H×d5H=n5L×d5L=λ/4を満たす第五光学膜厚を有する。ここで、第五設計中心波長λは、λ≠λ,λ≠λ,λ≠λ、かつ、λ>λの関係を満たす。
同様に、第六積層体66は、第六設計中心波長λを中心とした光を反射する誘電体多層膜である。つまり、第六積層体66における第六高屈折層66H及び第六低屈折層66Lの光学膜厚(第六光学膜厚)は同じ光学膜厚を有する。具体的には、第六高屈折層66H及び第六低屈折層66Lは、n6H×d6H=n6L×d6L=λ/4を満たす第六光学膜厚を有する。ここで、第六設計中心波長λは、λ≠λ,λ≠λ,λ≠λ、かつ、λ>λ>λの関係を満たす。
第四設計中心波長λ、第五設計中心波長λ、及び第六設計中心波長λは、第一設計中心波長λ、第二設計中心波長λ、及び第三設計中心波長λと同様に、分光測定装置1による測定対象となる波長域(以降、測定波長域と称する)に応じて設定される。例えば、可視光域から近赤外広域までを対象波長域(400nm~1000nm)とする場合の一例として、λ=850nm、λ=500nm、λ=350nmに設定される。
なお、第四設計中心波長λと第五設計中心波長λとの波長間隔が、第五設計中心波長λと第六設計中心波長λとの波長間隔より大きくなる例を示すが、これに限定されない。例えば、第五設計中心波長λと第六設計中心波長λとの波長間隔と、第五設計中心波長λと第六設計中心波長λとの波長間隔とを等間隔にしてもよい。
【0031】
また、第一フィルター20において、第一設計中心波長λと第二設計中心波長λとの波長間隔が、第二設計中心波長λと第三設計中心波長λとの波長間隔より大きい場合に、第二フィルター30において、第四設計中心波長λと第五設計中心波長λとの波長間隔が、第五設計中心波長λと第六設計中心波長λとの波長間隔よりも小さくなるように設定してもよい。或いは、第一フィルター20において、第一設計中心波長λと第二設計中心波長λとの波長間隔が、第二設計中心波長λと第三設計中心波長λとの波長間隔より小さい場合に、第二フィルター30において、第四設計中心波長λと第五設計中心波長λとの波長間隔が、第五設計中心波長λと第六設計中心波長λとの波長間隔よりも大きくなるように設定してもよい。
【0032】
また、第四積層体64と第五積層体65とは、透光性の第三接続層68Aを介して接続され、第五積層体65と第六積層体66とは、透光性の第四接続層68Bを介して接続されている。
第三接続層68Aは、屈折率n8a、膜厚d8aを有し、第三接続層68Aの光学膜厚は、第四設計中心波長λと第五設計中心波長λの平均に基づいた光学膜厚となる。つまり、第三接続層68Aの設計中心波長をλ8aとすると、当該設計中心波長λ8aは、λ8a=(λ+λ)/2であり、n8a×d8a=λ8a/4を満たしている。
第四接続層68Bは、屈折率n8b、膜厚d8bを有し、第四接続層68Bの光学膜厚は、第五設計中心波長λと第六設計中心波長λの平均に基づいた光学膜厚となる。つまり、第四接続層68Bの設計中心波長をλ8bとすると、当該設計中心波長λ8bは、λ8b=(λ+λ)/2であり、n8b×d8b=λ8b/4を満たしている。
【0033】
具体的な例を挙げて、さらに説明すると、本実施形態では、第二可動反射膜33及び第二固定反射膜34において、第四高屈折層64H、第五高屈折層65H、及び第六高屈折層66Hは、同一素材により構成されている。また、第四低屈折層64L、第五低屈折層65L、及び第六低屈折層66Lは、同一素材により構成されている。
また、本実施形態では、第四積層体64の最も第五積層体65側に配置される層は第四高屈折層64Hであり、第五積層体65の最も第四積層体64側に配置される層は第五高屈折層65Hである。同様に、第五積層体65の最も第六積層体66側に配置される層は第五高屈折層65Hであり、第六積層体66の最も第五積層体65側に配置される層は第六高屈折層66Hである。この場合、第三接続層68A及び第四接続層68Bとして、低屈折層を用いることが好ましく、例えば第四低屈折層64L、第五低屈折層65L、及び第六低屈折層66Lと同一の素材を用いることができる。
この場合、n4H=n5H=n6H、かつ、n4L=n5L=n6L=n8a=n8bとなるので、各層の厚みのみにより、各積層体64,65,66及び接続層68A,68Bの光学膜厚を設定することができる。
なお、第二可動反射膜33上に設けられる第三検出電極361や、第二固定反射膜34上に設けられる第四検出電極362の光学膜厚は、各積層体64,65,66を構成する各層の光学膜厚に対して十分に小さい。例えば、本実施形態では、第三検出電極361及び第四検出電極362をIGOにより構成し、例えば、光学膜厚を20nmとして、約10nmの膜厚となるように形成する。
【0034】
[受光部40の構成]
受光部40は、光学フィルター10を透過した光を受光するセンサーである。受光部40としては、例えば、CCDやCMOS等のイメージセンサーを用いることができる。受光部40は、光学フィルター10を透過した光を受光すると、受光量に応じた受光信号を制御部50に出力する。
【0035】
[制御部50の構成]
制御部50は、図1に示すように、フィルター駆動回路51、受光制御回路52、分光測定部53等を備えて構成されている。
フィルター駆動回路51は、光学フィルター10の駆動を制御する回路である。フィルター駆動回路51は、光学フィルター10を設置する回路基板に設けられていてもよく、当該回路基板とは別体として設けられてもよい。
【0036】
このフィルター駆動回路51は、第一駆動回路511、第二駆動回路512、第一容量検出回路513、第二容量検出回路514、メモリー515、及びマイコン516を備える。
第一駆動回路511は、マイコン516の制御に基づいて、第一フィルター20の第一アクチュエーター25に第一駆動電圧を印加する回路である。
第二駆動回路512は、マイコン516の制御に基づいて、第二フィルター30の第二アクチュエーター35に第二駆動電圧を印加する回路である。
第一容量検出回路513は、第一フィルター20の第一容量検出部26で保持される電荷に応じた検出信号を受信する。当該検出信号は、第一ギャップG1の寸法に応じて変化する信号である。第一容量検出回路513は、当該検出信号を第一駆動回路511に出力する。
第二容量検出回路514は、第一容量検出回路513と同様であり、第二フィルター30の第二容量検出部36で保持される電荷に応じた検出信号を受信し、当該検出信号を第二駆動回路512に出力する。
そして、第一駆動回路511は、第一容量検出回路513で検出された第一ギャップG1の寸法に応じて、第一アクチュエーター25への印加電圧をフィードバック制御する。同様に、第二駆動回路512は、第二容量検出回路514で検出された第二ギャップG2の寸法に応じて、第二アクチュエーター35への印加電圧をフィードバック制御する。
なお、第一フィルター20及び第二フィルター30を透過する光の波長、光学フィルター10を透過する光の波長、及び光学フィルター10の制御方法についての説明は、後述する。
【0037】
メモリー515は、光学フィルター10から透過させる光の目標波長と、当該目標波長に対応する第一ギャップG1の目標値(第一目標値)と、当該目標波長に対応する第二ギャップG2の目標値(第二目標値)とを記録した駆動テーブルが記録されている。また、メモリー515には、各目標値に対応する初期駆動電圧が記録されていてもよい。
【0038】
マイコン516は、分光測定部53から測定開始の指令を受信すると、目標波長を設定し、第一駆動回路511及び第二駆動回路512を制御して、分光測定を実施させる。分光測定部53からの測定開始の指令としては、所定の波長間隔で、所定波長域に対する各波長に対する分光測定を実施する旨の指令の他、単一の目標波長に対する測定指令等が含まれる。
【0039】
受光制御回路52は、受光部40から出力された受光信号をサンプリングするサンプリング回路、受光信号を増幅する増幅回路、受光信号をデジタル信号に変換するA/D変換回路などを備えている。受光制御回路52は、これらの各回路により受光信号を信号処理し、信号処理された受光信号を分光測定部53に入力する。
【0040】
分光測定部53は、例えばユーザーの操作に基づいて、フィルター駆動回路51及び受光制御回路52に分光測定の開始を指令する。そして、受光制御回路52から入力された受光信号に基づいて、測定対象に対する分光測定を実施する。
なお、本実施形態では、制御部50に、分光測定部53が含まれる構成を例示するが、例えば、分光測定装置1とは別体に、分光測定部53が設けられていてもよい。この場合、例えば、分光測定装置1と通信可能に接続されるパーソナルコンピューターやタブレット端末等のコンピューターを分光測定部53として機能させることができる。
【0041】
[分光測定装置1の分光測定方法]
次に、本実施形態の分光測定装置1を用いた分光測定方法、及び、光学フィルター10の第一フィルター20及び第二フィルター30の光学特性について説明する。
図6は、本実施形態の分光測定装置1における分光測定方法を示すフローチャートである。
本実施形態の分光測定装置1では、例えばユーザーにより、分光測定処理を実施する旨の操作信号が分光測定部53に入力されると、分光測定部53から、フィルター駆動回路51及び受光制御回路52に、分光測定を指令する指令信号が出力される。
ここでは、一例として、特定の1つの波長を目標波長として分光測定処理を実施する旨の指令信号が出力された場合を例示する。
【0042】
フィルター駆動回路51において、マイコン516は、分光測定部53から指令信号を受信すると(ステップS1)、メモリー515の駆動データから、目標波長に対応する第一目標値、及び第二目標値を読み出す(ステップS2)。
そして、マイコン516は、第一駆動回路511に、第一目標値に基づいた駆動を指令する駆動指令を出力し、第二駆動回路512に、第二目標値に基づいた駆動を指令する駆動指令を出力する(ステップS3)。
【0043】
これにより、第一駆動回路511は、第一容量検出回路513から入力される第一ギャップG1が、第一目標値に応じた寸法となるように、第一アクチュエーター25を制御する。また、第二駆動回路512は、第二容量検出回路514から入力される第二ギャップG2が、第二目標値に応じた寸法となるように、第二アクチュエーター35を制御する。
【0044】
ここで、本実施形態の光学フィルター10の光学特性について説明する。
図7から図10は、本実施形態における第一フィルター20の分光特性、第二フィルター30の分光特性、及び光学フィルター10を透過する光の透過特性を示す図である。図7は、光学フィルター10から700nmの光が透過するように、第一ギャップG1及び第二ギャップG2を制御した図である。図8は、光学フィルター10から600nmの光が透過するように、第一ギャップG1及び第二ギャップG2を制御した図である。図9は、光学フィルター10から500nmの光が透過するように、第一ギャップG1及び第二ギャップG2を制御した図である。図10は、光学フィルター10から400nmの光が透過するように、第一ギャップG1及び第二ギャップG2を制御した図である。
本実施形態における第一フィルター20では、第一積層体61、第二積層体62及び第三積層体63が順に積層されることで構成された第一可動反射膜23及び第一固定反射膜24を有する。このような第一フィルター20では、1つの設計中心波長に基づいて高屈折層と低屈折層の層厚が設計された誘電体多層膜を用いた通常の波長可変干渉フィルターと比べて、広い測定波長域を持つ。つまり、誘電体多層膜を用いた通常の波長可変干渉フィルターでは、測定波長域が100nm~200nm程度の狭帯域となり、当該帯域外では、分光特性が得られず、高い透過率で光を透過してしまう。これに対して、本実施形態の第一フィルター20では、図7図10に示すように、可視光域から近赤外域の約600nmに亘る広い測定波長域内に対して、分光特性を有する。
同様に、第二フィルター30も、第四積層体64、第五積層体65、及び第六積層体66が順に積層されることで構成された第二可動反射膜33及び第二固定反射膜34を有する。これにより、第一フィルター20と同様、可視光域から近赤外域の約600nmに亘る広い測定波長域内に対して、分光特性を有する。
【0045】
また、このような第一フィルター20及び第二フィルター30は、それぞれ、測定波長域内に、光の透過率が所定値以上(例えば50%以上)となる、複数のピーク波長が含まれる。各ピーク波長における透過光の半値幅は、反射膜として金属膜や金属合金膜を用いたファブリーペローエタロンよりも狭く、高い波長分解能でピーク波長を中心とした波長を出力することができる。これらのピーク波長は、ギャップG1,G2の寸法を小さくすると、全体的に短波長側にシフトし、ギャップG1,G2の寸法を大きくすると、全体的に長波長側にシフトする。
【0046】
本実施形態では、第一フィルター20を透過する複数のピーク波長の1つ(第一ピーク波長)と、第二フィルター30を透過する複数のピーク波長のうちの1つ(第二ピーク波長)と、が目標波長となるように、第一ギャップG1及び第二ギャップG2を設定する。
ここで、第一フィルター20の第一積層体61、第二積層体62及び第三積層体63の設計中心波長と、第二フィルター30の第四積層体64、第五積層体65及び第六積層体66の設計中心波長とは、それぞれ異なる。このため、第一フィルター20での各ピーク波長の波長間隔と、第二フィルター30の各ピーク波長の波長間隔とは、それぞれ異なる間隔になる。したがって、第一フィルター20の第一ピーク波長を目標波長に設定し、第二フィルター30の第二ピーク波長を目標波長に設定した場合、その他のピーク波長は互いに重なり合わない。
【0047】
例えば、図7に示す例では、第一フィルター20において長波長側から1つ目のピーク波長を第一ピーク波長として、目標波長である700nmとなるように第一ギャップG1を制御し、第二フィルター30において長波長側から1つ目のピーク波長を第二ピーク波長として、目標波長である700nmとなるように第二ギャップG2を制御する。この場合、図7に示すように、700nm以外のピーク波長は、第一フィルター20及び第二フィルター30において、それぞれ異なる波長となり、第一フィルター20及び第二フィルター30を透過する700nmをピーク波長とした光が光学フィルター10を透過する。
また、その他の波長においても同様であり、光学フィルター10から600nmの光を透過させる場合では、例えば、図8のように、第一フィルター20において長波長側から2つ目のピーク波長を第一ピーク波長、第二フィルター30において長波長側から3つ目のピーク波長を第二ピーク波長として、それぞれ、目標波長である600nmとなるように制御する。光学フィルター10から500nmの光を透過させる場合では、例えば図9のように、第一フィルター20において長波長側から4つ目のピーク波長を第一ピーク波長とし、第二フィルター30において長波長側から5つ目のピーク波長を第二ピーク波長として、それぞれ、目標波長である500nmとなるように制御する。光学フィルター10から400nmの光を透過させる場合では、例えば図10のように、第一フィルター20において長波長側から5つ目のピーク波長を第一ピーク波長とし、第二フィルター30において長波長側から6つ目のピーク波長を第二ピーク波長として、それぞれ、目標波長である400nmとなるように制御する。
つまり、メモリー515に、各目標波長と、目標波長に対する第一アクチュエーター25を制御するための第一目標値と、目標波長に対する第二アクチュエーター35を制御するための第二目標値とを記録しておく。この第一目標値及び第二目標値は、第一ピーク波長及び第二ピーク波長を目標波長とした場合に、第一フィルター20を透過する第一ピーク波長以外のピーク波長と、第二フィルター30を透過する第二ピーク波長以外のピーク波長とが異なる波長となる目標値である。そして、マイコン516が、目標波長に対する第一目標値及び第二目標値を読み出し、第一駆動回路511及び第二駆動回路512に出力することで、上記図7から図10に示すように、目標波長の光を光学フィルター10から透過させることができる。
【0048】
図11は、第一ピーク波長及び第二ピーク波長の差と、光学フィルター10を透過する目標波長の光との関係を示す図である。
図11の例では、目標波長が400nmである場合の例であり、第一ピーク波長を400nmとし、第二ピーク波長を400nmからずらした場合の光学フィルター10を透過する光の透過率を示している。
図11に示すように、第一ピーク波長と第二ピーク波長との差の絶対値が10nmを超えると、光学フィルター10を透過する光の透過率が10%を下回るため、分光測定装置1での目標波長の光の測定精度が低下する。
一方、第一ピーク波長と第二ピーク波長との差の絶対値を10nm以下にすることで、10%以上の透過率で光学フィルター10から目標波長の光を透過させることができる。つまり、ステップS3において、第一駆動回路511及び第二駆動回路512は、目標波長を中心とした±5nmの目標波長域内に、第一ピーク波長及び第二ピーク波長が含まれるように、第一フィルター20の第一アクチュエーター25及び第二フィルター30の第二アクチュエーター35を制御することが好ましい。
より好ましくは、第一駆動回路511及び第二駆動回路512は、第一ピーク波長と第二ピーク波長との差の絶対値が5nm以下となるように、第一アクチュエーター25及び第二アクチュエーター35を制御する。この場合、図11に示すように、30%以上の透過率で目標波長の光を透過させることが可能となる。
したがって、本実施形態では、第一駆動回路511及び第二駆動回路512は、上述のように、第一ギャップG1及び第二ギャップG2が目標波長に対応する寸法となり、かつ、第一ギャップG1に基づく第一ピーク波長と、第二ギャップG2に基づく第二ピーク波長との差の絶対値が10nm以下となるように、より好ましくは、5nm以下となるように、フィードバック制御を行う。この際、第一駆動回路511が、第一容量検出回路513の検出信号に加え、第二容量検出回路514からの検出信号を参照するようにしてもよく、第二駆動回路512が、第二容量検出回路514の検出信号に加え、第一容量検出回路513からの検出信号を参照するようにしてもよい。また、第一駆動回路511及び第二駆動回路512が、第一容量検出回路513及び第二容量検出回路514のそれぞれの検出信号を参照してもよい。
【0049】
図6に戻り、ステップS3の後、分光測定部53は、受光制御回路52から出力される受光信号を受信し(ステップS4)、受信信号の信号値に基づいて、測定対象の目標波長に対する光特性値を演算する(ステップS5)。例えば、分光測定部53は、測定対象の目標波長に対する光量や反射率等を演算する。なお、本実施形態では、1波長に対する分光測定のみを例示したが、例えば、測定波長域内の所定間隔となる各波長に対する分光スペクトルを算出する場合も、上記ステップS1~ステップS5を繰り返し実施すればよい。
【0050】
[本実施形態の作用効果]
本実施形態の光学フィルター10は、第一フィルター20と第二フィルター30とを備える。第一フィルター20は、第一ギャップG1を介して対向する第一可動反射膜23及び第一固定反射膜24と、第一可動反射膜23及び第一固定反射膜24の間隔を変更する第一アクチュエーター25を含む。第二フィルター30は、第二ギャップG2を介して対向する第二可動反射膜33及び第二固定反射膜34と、第二可動反射膜33及び第二固定反射膜34の間隔を変更する第二アクチュエーター35を含み、第一フィルター20を透過した光の光路上に配置される。そして、第一可動反射膜23、第一固定反射膜24、第二可動反射膜33、及び第二固定反射膜34は、それぞれ、複数の積層体(光学体)を積層することで構成されており、各積層体は、所定の設計中心波長を中心とした光を反射する反射特性を有し、当該設計中心波長が各積層体でそれぞれ異なる。
【0051】
このような第一フィルター20では、第一ギャップG1の寸法に応じた複数のピーク波長の光を透過させることができ、かつ、当該ピーク波長が、可視光域から近赤外域に亘る広い測定波長域に現れる。第二フィルター30も、第一フィルター20と同様、第二ギャップG2の寸法に応じた複数のピーク波長の光を透過させることができ、かつ、当該ピーク波長が、可視光域から近赤外域に亘る広い測定波長域に現れる。また、第二可動反射膜33及び第二固定反射膜34を構成する各積層体は、第一可動反射膜23及び第一固定反射膜24を構成する各積層体とは、設計中心波長が異なるので、第二ギャップG2を第一ギャップG1と同じ寸法にした場合でも、各ピーク波長が第一フィルター20の各ピーク波長とは異なる波長となる。
本実施形態の光学フィルター10では、第一フィルター20の複数のピーク波長の1つが目標波長となるように第一ギャップG1を調整し、第二フィルター30の複数のピーク波長の1つが目標波長となるように第二ギャップG2を調整する。これにより、第一フィルター20と第二フィルター30とでの目標波長以外のピーク波長が重なり合わず、これらのピーク波長の光は光学フィルター10を透過しない。つまり、目標波長を中心とした光のみが光学フィルター10から透過されることになる。
また、本実施形態では、第一フィルター20及び第二フィルター30の分光特性において、各ピーク波長での半値幅は、金属膜を反射膜としたファブリーペローエタロンに比べて十分に小さく、波長分解能が非常に高い。したがって、光学フィルター10から、高い分解能で、目標波長の光を透過させることができる。
以上のように、本実施形態の光学フィルター10は、広い測定波長域から、所望の目標波長の光を高精度に分光させて透過させることができる。
【0052】
本実施形態では、第一可動反射膜23、第一固定反射膜24、第二可動反射膜33、及び第二固定反射膜34を構成する各光学体は、それぞれ、高屈折層と低屈折層とが交互に積層された積層体であり、高屈折層の光学膜厚、及び、低屈折層の光学膜厚が、積層体毎に設定された設計中心波長に基づいた膜厚である。
これにより、図7から図10に示すように、広い測定波長域に対して、複数のピーク波長が均等に表れる分光特性の第一フィルター20及び第二フィルター30を構成することができる。
【0053】
本実施形態では、第一可動反射膜23、第一固定反射膜24、第二可動反射膜33、及び第二固定反射膜34は、それぞれ、隣り合う一対の積層体を接続する接続層をさらに備える。例えば、第一積層体61と第二積層体62とは、第一接続層67Aにより接続され、第一接続層67Aは、第一積層体61の第一設計中心波長λと、第二積層体62の第二設計中心波長λとの平均に基づいて設定された光学膜厚を有する。
これにより、各積層体の間の設計中心波長の差を、接続層により均すことができ、複数のピーク波長が略均等に位置する分光特性が得られる。
【0054】
本実施形態では、第一フィルター20の第一可動反射膜23及び第一固定反射膜24を構成する各積層体の設計中心波長と、第二フィルター30の第二可動反射膜33及び第二固定反射膜34を構成する各積層体の設計中心波長とは、それぞれ異なる。
これにより、第一フィルター20を透過する光のピーク波長と、第二フィルター30を透過する光のピーク波長がそれぞれ異なる波長となる。したがって、第一フィルター20の複数のピーク波長のうちの1つと、第二フィルター30の複数のピーク波長の1つとが目標波長となるように、第一ギャップG1及び第二ギャップG2を変更すると、目標波長の光以外のピーク波長は透過されず、目標波長を中心とした狭帯域の光のみを透過させることができる。
【0055】
本実施形態では、第一可動反射膜23及び第一固定反射膜24を構成する各積層体61,62,63の設計中心波長λ,λ,λは、第一ギャップG1に近づくにしたがって短くなる。第二可動反射膜33及び第二固定反射膜34を構成する各積層体64,65,66の設計中心波長λ,λ,λは、第二ギャップG2に近づくにしたがって短くなる。
これにより、第一フィルター20を透過する光のピーク波長が、測定波長域内で略均一に現れ、第二フィルター30を透過する光のピーク波長が、測定波長域内で略均一に現れるようになる。
つまり、ギャップに向かうに従って、設計中心波長が長くなるように積層体を積層した波長可変干渉フィルターを比較例として説明すると、比較例の波長可変干渉フィルターの分光特性は、長波長側でのピーク波長における半値幅が大きくなり、かつ、隣り合うピーク波長の間の波長域で光の透過率が高くなる。よって、このような波長可変干渉フィルターでは、本実施形態に比べて、長波長側での分光精度が悪化する。
また、比較例の波長可変干渉フィルターでは、複数のピーク波長の波長間隔が大きくなり、反射膜間のギャップを変更しても分光できない波長が生じるおそれがある。なお、ギャップの可変距離を拡大することで、ピーク波長のシフト量を増大させることもできるが、この場合、波長可変干渉フィルターの大型化を招き、かつ、可動部の傾斜や撓みが生じやすくなることで、分光精度も悪化する。
さらに、比較例の波長可変干渉フィルターでは、短波長側での複数のピーク波長の間隔が、本実施形態に比べて短くなる。このため、目標波長以外のピーク波長で、第二フィルター30のピーク波長と重なり合う波長が生じるおそれがあり、光学フィルター10から複数のピーク波長の光が透過されるおそれがある。
これに対して、本実施形態では、測定波長域内において、略均一に複数のピーク波長が現れるので、上記のような問題が生じにくく、高分解能、かつ高精度に、目標波長の光を光学フィルター10から透過させることができる。
【0056】
本実施形態の分光測定装置1は、光学フィルター10と、第一アクチュエーター25及び第二アクチュエーター35を制御する制御部50と、を備える。そして、制御部50は、第一フィルター20を透過する複数のピーク波長のうちの1つである第一ピーク波長が、所望の目標波長を中心とした目標波長域内に含まれるように、第一アクチュエーター25を制御する。さらに、制御部50は、第二フィルター30を透過する複数のピーク波長のうちの1つである第二ピーク波長が、目標波長域内に含まれ、かつ、第一フィルター20を透過する第一ピーク波長以外のピーク波長と、第二フィルター30を透過する第二ピーク波長以外のピーク波長とが異なる波長となるように、第二アクチュエーター35を制御する。
これにより、第一フィルター20及び第二フィルター30を透過した目標波長の光を、高い波長分解能で透過させることができ、かつ、可視光域から近赤外域に亘る広い測定波長域内で、目標波長を選択することができる。
【0057】
そして、本実施形態の分光測定装置1では、制御部50は、第一ピーク波長と第二ピーク波長との差が、10nm以下となるように、第一アクチュエーター25及び第二アクチュエーター35を制御する。
本実施形態では、第一ピーク波長及び第二ピーク波長を目標波長とする場合に、両者が厳密に目標波長に一致していなくてもよく、少なくとも目標波長を中心とした所定の波長域である目標波長域内に含まれればよい。この際、第一ピーク波長と第二ピーク波長との差が、10nm以下となることで、光学フィルター10から目標波長の光を10%以上の透過率で透過させることができ、第一ピーク波長と第二ピーク波長との差を5nm以下にすることで、透過率を30%以上とすることができる。
【0058】
[第二実施形態]
次に、第二実施形態について説明する。
上記第一実施形態では、同一の設計中心波長に基づいて高屈折層と低屈折層とを交互に積層して積層体を構成し、かつ、設計中心波長が異なる複数の積層体を積層することで第一可動反射膜23、第一固定反射膜24、第二可動反射膜33、及び第二固定反射膜34を構成した。これに対して、第二実施形態では、設計中心波長が同一となる層により構成される積層体が設けられず、高屈折層及び低屈折層の各々において、設計中心波長が異なる点で上記第一実施形態と相違する。
なお、以降の説明にあたり、既に説明した事項については同符号を付し、その説明を省略または簡略化する。
本実施形態と、第一実施形態との相違点は、上述のように、第一可動反射膜23、第一固定反射膜24、第二可動反射膜33、及び第二固定反射膜34の膜構成であり、分光測定装置1の基本構成は第一実施形態と同じである。つまり、本実施形態の分光測定装置1も、第一実施形態と同様、第一フィルター20及び第二フィルター30を備えた光学フィルター10と、受光部40と、制御部50とを備えるものであり、これらの詳細な説明は省略する。
【0059】
図12は、本実施形態の第一可動反射膜23及び第一固定反射膜24の膜構成を示す断面図であり、図13は、本実施形態の第二可動反射膜33及び第二固定反射膜34の膜構成を示す断面図である。
本実施形態では、第一可動反射膜23、第一固定反射膜24、第二可動反射膜33、及び第二固定反射膜34は、複数の層71が積層された多層膜により構成されており、各層71のそれぞれが本開示の光学体を構成する。具体的には、各層71は、高屈折層71Hと、低屈折層71Lとを備え、これらの高屈折層71Hと低屈折層71Lとが交互に積層されることで構成されている。例えば、図12の例では、高屈折層71H,低屈折層71L、及び高屈折層71Hが基板上に順に積層され、図13の例では、高屈折層71H,低屈折層71L、及び高屈折層71Hが基板上に積層される。
なお、図12及び図13では、説明の簡略化のため、第一可動反射膜23、第一固定反射膜24、第二可動反射膜33、及び第二固定反射膜34が3層の誘電体多層膜により構成される例を示すが、より多くの層が積層されることで構成されていてもよい。また、基板上に、高屈折層、低屈折層、高屈折層の順に各層71が積層される例を示すが、例えば、低屈折層、高屈折層、低屈折層の順に積層される構成としてもよい。
【0060】
また、各層71は、それぞれ異なる設計中心波長に基づいた光学膜厚を有し、かつ、第一ギャップG1または第二ギャップG2に向かうにしたがって、当該光学膜厚が小さくなる。
例えば、本実施形態では、第一設計中心波長λを950nm、第二設計中心波長λを600nm、第三設計中心波長λを400nm、第四設計中心波長λを850nm、第五設計中心波長λを500nm、第六設計中心波長λを350nmとする。
第一可動反射膜23及び第一固定反射膜24の高屈折層71Hの層厚dH1、低屈折層71Lの層厚dL2、及び高屈折層71Hの層厚dH3は、高屈折層71H,71Hの屈折率をnとし、低屈折層71Lの屈折率をnとして、n×dH1=λ/4、n×dL2=λ/4、n×dH3=λ/4を満たす。
第二可動反射膜33及び第二固定反射膜34の高屈折層71Hの層厚dH4、低屈折層71Lの層厚dL5、及び高屈折層71Hの層厚dH6は、n×dH4=λ/4、n×dL5=λ/4、n×dH6=λ/4を満たす。
【0061】
このような第二実施形態の光学フィルター10においても、第一フィルター20及び第二フィルター30は、図7から図10に示すような分光特性を示し、広い測定波長域に対して、複数のピーク波長が現れる。したがって、第一実施形態と同様、第一フィルター20と第二フィルター30とを組み合わせることで、光学フィルター10から、可視光域から近赤外域までの広い測定波長域から目標波長の光のみを透過させることができる。
【0062】
[本実施形態の作用効果]
本実施形態の第一フィルター20は、第一実施形態と同様に、第一ギャップG1を介して対向する第一可動反射膜23及び第一固定反射膜24と、第一ギャップG1の寸法を変更する第一アクチュエーター25とを有する。そして、本実施形態の第一可動反射膜23、第一固定反射膜24、第二可動反射膜33、及び第二固定反射膜34は、高屈折率を有する高屈折層71Hと、高屈折層71Hよりも屈折率が低い低屈折層71Lとが交互に積層されることにより構成されている。
これにより、第一実施形態と同様に、第一フィルター20及び第二フィルター30は、第一ギャップG1及び第二ギャップG2の寸法に応じた複数のピーク波長の光を透過させることができ、かつ、当該複数のピーク波長が、例えば可視光域から近赤外域に亘る広い測定波長域に現れる。したがって、第一フィルター20から出力される複数のピーク波長の1つである第一ピーク波長と、第二フィルター30から出力される複数のピーク波長の1つである第二ピーク波長とを目標波長に設定することで、広い測定波長域から所望の目標波長の光を高精度に分光させて透過させることができる。
【0063】
[変形例]
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
【0064】
(変形例1)
第一実施形態では、光学体が積層体であり、第一可動反射膜23、第一固定反射膜24、第二可動反射膜33、及び第二固定反射膜34が、設計中心波長がそれぞれ異なる積層体を積層させて構成される例を示した。また、第二実施形態では、光学体が1層の誘電体の層71であり、第一可動反射膜23、第一固定反射膜24、第二可動反射膜33、及び第二固定反射膜34が、設計中心波長がそれぞれ異なる層71を積層させて構成される例を示した。
これに対して、第一フィルター20を構成する第一可動反射膜23及び第一固定反射膜24を積層体により構成し、第二フィルター30を構成する第二可動反射膜33及び第二固定反射膜34を誘電体の層71により構成してもよい。または、第一フィルター20を構成する第一可動反射膜23及び第一固定反射膜24を誘電体の層71により構成し、第二フィルター30を構成する第二可動反射膜33及び第二固定反射膜34を積層体により構成してもよい。
【0065】
(変形例2)
上記実施形態では、第一フィルター20の第一可動反射膜23及び第一固定反射膜24を構成する積層体または層71の設計中心波長と、第二フィルター30の第二可動反射膜33及び第二固定反射膜34を構成する積層体または層71の設計中心波長と、が異なる例を示した。
これに対して、第一可動反射膜23及び第一固定反射膜24を構成する積層体または層71の設計中心波長と、第二可動反射膜33及び第二固定反射膜34を構成する積層体または層71の設計中心波長とが同一であってもよい。例えば、第一可動反射膜23及び第一固定反射膜24が、設計中心波長が900nm、600nm、及び400nmの3つの積層体により構成され、第二可動反射膜33及び第二固定反射膜34が、設計中心波長が900nm、600nm、及び400nmの3つの積層体により構成されてもよい。
この場合では、制御部50は、目標波長に合わせ込むピーク波長を、第一フィルター20と第二フィルター30とで異ならせる。例えば、700nmの光を光学フィルター10から透過させる場合、制御部50は、第一フィルター20の透過特性における1つ目のピーク波長を第一ピーク波長とし、第二フィルター30の透過特性における2つ目のピーク波長を第二ピーク波長として、第一ピーク波長及び第二ピーク波長が目標波長である700nmとなるように、第一ギャップG1及び第二ギャップG2を調整する。これにより、第一フィルター20を透過する目標波長以外のピーク波長と、第二フィルター30を透過する目標波長以外のピーク波長とが、それぞれ異なる波長となり、上記実施形態と同様、光学フィルター10から目標波長を中心とした光のみを透過させることができる。
【0066】
(変形例3)
第一実施形態において、第一高屈折層61H、第二高屈折層62H、及び第三高屈折層63Hが同一素材により構成され、第一低屈折層61L、第二低屈折層62L、第三低屈折層63L、第一接続層67A、及び第二接続層67Bが同一素材により構成される例を示した。これに対して、第一高屈折層61H、第二高屈折層62H、及び第三高屈折層63Hが異なる素材により構成され、第一低屈折層61L、第二低屈折層62L、第三低屈折層63L、第一接続層67A、及び第二接続層67Bが異なる素材により構成されていてもよい。
また、第一積層体61を構成する2つの第一高屈折層61Hが異なる素材により構成されていてもよい。第二積層体62及び第三積層体63においても同様であり、2つの第二高屈折層62Hが異なる素材により構成されていてもよく、2つの第三高屈折層63Hが異なる素材により構成されていてもよい。
さらに、第一積層体61が2つの第一高屈折層61Hと、1つの第一低屈折層61Lとにより構成される例を示したが、例えば、第一低屈折層61Lが複数設けられていてもよい。この場合、各第一低屈折層61Lがそれぞれ異なる素材により構成されていてもよい。なお、第二積層体62及び第三積層体63においても同様である。
すなわち、第一積層体61、第二積層体62、及び第三積層体63が、高屈折層と、高屈折層よりも低い屈折率の低屈折層とが交互に積層される構成を有し、各層の光学膜厚が、積層体61,62,63毎に設定された設計中心波長(第一設計中心波長λ、第二設計中心波長λ、第三設計中心波長λ)の1/4となる膜厚に設定されていれば、積層体を構成する誘電体層の数や素材は特に限定されない。
なお、第二可動反射膜33及び第二固定反射膜34を構成する第四高屈折層64H、第五高屈折層65H、第六高屈折層66H、第四低屈折層64L、第五低屈折層65L、第六低屈折層66L、第三接続層68A、及び第四接続層68Bに関しても同様である。
【0067】
第二実施形態においても同様であり、高屈折層71Hと低屈折層71Lとが交互に積層される構成であれば、各高屈折層71Hを構成する素材や、各低屈折層71Lを構成する素材がそれぞれ異なっていてもよい。各層71の光学膜厚が、層71毎に設定された設計中心波長の1/4倍となるように、膜厚が設定されていればよい。
【0068】
(変形例4)
第一実施形態において、積層体の間を接続する接続層(第一接続層67A、第二接続層67B、第三接続層68A、第四接続層68B)を例示した。これに対して、接続層が設けられず、積層体上に直接積層体を積層する構成としてもよい。
【0069】
(変形例5)
上記第一実施形態において、光学フィルター10は、測定光の入射側に第一フィルター20が配置され、受光部40に対向して第二フィルター30が配置される構成を例示したが、これに限定されない。
例えば、光学フィルター10は、第二フィルター30が測定光の入射側に位置し、受光部40に対向して第一フィルター20が配置される構成としてもよい。
【0070】
(変形例6)
上記第一実施形態及び第二実施形態では、電子機器として、光学フィルター10を透過した光を受光部40で受光する分光測定装置1を例示したがこれに限定されない。例えば、電子機器は、光学フィルター10で分光した光を対象物に向かって照射する光源装置であってもよい。
【0071】
[本開示のまとめ]
本開示の第一態様の光学フィルターは、第一ギャップを介して対向する一対の第一反射膜、及び、一対の前記第一反射膜の間隔を変更する第一ギャップ変更部を含む第一フィルターと、第二ギャップを介して対向する一対の第二反射膜、及び、一対の前記第二反射膜の間隔を変更する第二ギャップ変更部を含み、一対の前記第一反射膜を透過した光の光路上に一対の前記第二反射膜が配置される第二フィルターと、を備え、前記第一反射膜及び前記第二反射膜は、それぞれ、複数の光学体を積層することで構成され、前記光学体は、所定の設計中心波長を中心とした光を反射する反射特性を有し、当該設計中心波長が各前記光学体でそれぞれ異なる。
【0072】
これにより、第一フィルターは、第一ギャップの寸法に応じた複数のピーク波長の光を透過させることができ、かつ、当該ピーク波長が、可視光域から近赤外域に亘る広い測定波長域に現れる。第二フィルターも同様に、第二ギャップの寸法に応じた複数のピーク波長の光を透過させることができ、かつ、当該ピーク波長が、可視光域から近赤外域に亘る広い測定波長域に現れる。また、第二反射膜を構成する各光学体は、第一反射膜を構成する各光学体とは、設計中心波長が異なるので、第一フィルターにおける各ピーク波長と第二フィルターにおけるピーク波長とはそれぞれ異なる波長となる。
したがって、第一フィルターの複数のピーク波長の1つが目標波長となるように第一ギャップを調整し、第二フィルターの複数のピーク波長の1つが目標波長となるように第二ギャップを調整する。これにより、第一フィルターと第二フィルターとでの目標波長以外のピーク波長が重なり合わないため、光学フィルターを透過せず、目標波長を中心とした光のみが光学フィルターを透過することになる。
また、本態様では、第一フィルター及び第二フィルターの分光特性において、各ピーク波長での半値幅は、金属膜を反射膜としたファブリーペローエタロンを用いる場合に比べて十分に小さく、波長分解能が非常に高い。したがって、光学フィルターから、高い分解能で、目標波長の光を透過させることができる。
以上のように、本態様の光学フィルターは、広い測定波長域から、所望の目標波長の光を高精度に分光させて透過させることができる。
【0073】
本態様の光学フィルターにおいて、前記第一反射膜及び前記第二反射膜を構成する前記光学体は、高屈折層と、前記高屈折層よりも屈折率が小さい低屈折層とが交互に積層された積層体により構成され、前記高屈折層の光学膜厚、及び、前記低屈折層の光学膜厚が、前記光学体毎に設定された前記設計中心波長に基づいた膜厚であることが好ましい。
このように光学体として積層体を用いることで、広い測定波長域に対して、複数のピーク波長が均等に表れる分光特性の第一フィルター及び第二フィルターを構成することができる。
【0074】
本態様の光学フィルターにおいて、隣り合う一対の前記積層体を接続する接続層をさらに備え、前記接続層の光学膜厚は、当該接続層を挟む一対の前記積層体の前記設計中心波長の平均に基づいた膜厚であることが好ましい。
これにより、各積層体の間の設計中心波長の差を、接続層により均すことができ、複数のピーク波長が略均等に位置する分光特性が得られる。
【0075】
本態様の光学フィルターにおいて、前記第一反射膜及び前記第二反射膜は、高屈折率を有する高屈折層により構成される前記光学体と、前記高屈折層よりも屈折率が低い低屈折層により構成される前記光学体とが、交互に積層されることで構成されてもよい。
これにより、上記態様と同様、第一フィルター及び第二フィルターは、第一ギャップ及び第二ギャップの寸法に応じた複数のピーク波長の光を透過させることができ、かつ、当該複数のピーク波長が、例えば可視光域から近赤外域に亘る広い測定波長域に現れる分光特性を得ることができる。
【0076】
本態様の光学フィルターにおいて、前記第一反射膜を構成する各前記光学体の前記設計中心波長と、前記第二反射膜を構成する各前記光学体の前記設計中心波長とは、それぞれ異なることが好ましい。
これにより、第一フィルターを透過する光のピーク波長と、第二フィルターを透過する光のピーク波長がそれぞれ異なる波長となる。したがって、第一フィルターの複数のピーク波長のうちの1つと、第二フィルターの複数のピーク波長の1つとが目標波長となるように、第一ギャップ及び第二ギャップを変更すると、目標波長の光以外のピーク波長は透過されず、目標波長を中心とした狭帯域の光のみを透過させることができる。
【0077】
本態様の光学フィルターにおいて、前記第一反射膜を構成する前記光学体の前記設計中心波長は、前記第一ギャップに近づくにしたがって短くなり、前記第二反射膜を構成する前記光学体の前記設計中心波長は、前記第二ギャップに近づくにしたがって短くなることが好ましい。
これにより、第一フィルターを透過する光のピーク波長が、測定波長域内で略均一に現れ、第二フィルターを透過する光のピーク波長が、測定波長域内で略均一に現れるようになり、広い測定波長域における所望の波長に光を光学フィルターから透過させることができる。
【0078】
本開示の第二態様の電子機器は、第一態様の光学フィルターと、前記第一ギャップ変更部及び前記第二ギャップ変更部を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記第一フィルターを透過する複数のピーク波長のうちの1つである第一ピーク波長が、所望の目標波長を中心とした目標波長域内に含まれるように、前記第一ギャップ変更部を制御し、前記第二フィルターを透過する複数のピーク波長のうちの1つである第二ピーク波長が、前記目標波長域内に含まれ、かつ、前記第一フィルターを透過する前記第一ピーク波長以外のピーク波長と、前記第二フィルターを透過する前記第二ピーク波長以外のピーク波長と、が異なる波長となるように、前記第二ギャップ変更部を制御する。
これにより、第一フィルター及び第二フィルターを透過した目標波長の光を、高い波長分解能で透過させることができ、かつ、可視光域から近赤外域に亘る広い測定波長域内で、目標波長を選択することができる。
【0079】
本態様の電子機器において、前記制御部は、前記第一ピーク波長と前記第二ピーク波長との差が、10nm以下となるように、前記第一ギャップ変更部及び前記第二ギャップ変更部を制御する。
このように、第一ピーク波長と第二ピーク波長との差が、10nm以下となることで、光学フィルター10から目標波長の光を10%以上の透過率で透過させることができる。
【符号の説明】
【0080】
1…分光測定装置(電子機器)、10…光学フィルター、20…第一フィルター、21…第一可動基板、21A…第一面、21B…第二面、22…第一固定基板、22A…第三面、22B…第四面、23…第一可動反射膜、24…第一固定反射膜、25…第一アクチュエーター、26…第一容量検出部、30…第二フィルター、31…第二可動基板、31A…第五面、31B…第六面、32…第二固定基板、32A…第七面、32B…第八面、33…第二可動反射膜、34…第二固定反射膜、35…第二アクチュエーター、36…第二容量検出部、40…受光部、50…制御部、51…フィルター駆動回路、52…受光制御回路、53…分光測定部、61…第一積層体(光学体)、61H…第一高屈折層、61L…第一低屈折層、62…第二積層体(光学体)、62H…第二高屈折層、62L…第二低屈折層、63…第三積層体(光学体)、63H…第三高屈折層、63L…第三低屈折層、64…第四積層体(光学体)、64H…第四高屈折層、64L…第四低屈折層、65…第五積層体(光学体)、65H…第五高屈折層、65L…第五低屈折層、66…第六積層体(光学体)、66H…第六高屈折層、66L…第六低屈折層、67A…第一接続層、67B…第二接続層、68A…第三接続層、68B…第四接続層、71…層(光学体)、71H…高屈折層(光学体)、71L(71L,71L)…低屈折層(光学体)、511…第一駆動回路、512…第二駆動回路、513…第一容量検出回路、514…第二容量検出回路、515…メモリー、516…マイコン、G1…第一ギャップ、G2…第二ギャップ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13