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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-08
(45)【発行日】2024-05-16
(54)【発明の名称】照明制御装置
(51)【国際特許分類】
   H05B 47/18 20200101AFI20240509BHJP
【FI】
H05B47/18
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020165564
(22)【出願日】2020-09-30
(65)【公開番号】P2022057353
(43)【公開日】2022-04-11
【審査請求日】2023-05-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000003757
【氏名又は名称】東芝ライテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】杉田 真一
【審査官】安食 泰秀
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-175582(JP,A)
【文献】特開2014-120351(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0187335(US,A1)
【文献】特開2004-336169(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 47/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
照明機器が接続されるバトンの機器接続位置を示す第1の識別情報と、所定の対象を基準としたバトンの位置を示す第2の識別情報と、を含み、第1の会場に設置される他の照明制御装置において保存された第1の設定情報を取得する取得部と;
前記取得部により取得された前記第1の設定情報に含まれている前記第1の識別情報及び前記第2の識別情報を用いて前記第1の会場とは異なる第2の会場の前記バトンの位置を示す前記第2の識別情報の設定を行い、前記第1の識別情報および前記第2の識別情報に基づいて前記第2の会場のバトンに接続されることにより、自装置と通信可能に接続された照明機器から取得する情報であって、当該照明機器に記憶されている制御アドレス情報である第2の設定情報を用いて、前記第2の会場のバトンに接続される照明機器の設定を行う設定部と;
を具備することを特徴とする照明制御装置。
【請求項2】
前記所定の対象は、前記照明機器の設置が行われる前記第1の会場の施設内に設けられた物体である
ことを特徴とする請求項1に記載の照明制御装置。
【請求項3】
前記所定の対象は、前記照明機器により照明演出が行われる領域である
ことを特徴とする請求項1に記載の照明制御装置。
【請求項4】
前記第1及び第2の設定情報は、機種が異なる他の照明制御装置でも利用可能な共通のデータ形式で保存される
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか1つに記載の照明制御装置。
【請求項5】
前記第1の設定情報は、前記データ形式の変更に伴って更新されるバージョン情報を含み、
前記設定部は、
自装置が保存する前記第1の設定情報の前記バージョン情報よりも、前記取得部により取得された前第1の設定情報の前記バージョン情報が新しい場合、前記取得部により取得された前記第1の設定情報を利用しない
ことを特徴とする請求項4に記載の照明制御装置。
【請求項6】
前記設定部は、
自装置が保存する前記第1の設定情報のバージョン情報よりも、前記取得部により取得された前記第1の設定情報の前記バージョン情報が古い場合、自装置が保存する前記第1の設定情報と前記取得部により取得された前記第1の設定情報との差分を読み込んで利用する
ことを特徴とする請求項5に記載の照明制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、照明制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スタジオや劇場等では、複数の照明機器により照明演出がなされている。そして、各照明機器側に設定される制御アドレスを用いて、照明制御装置が各照明機器の照度や照明する光の色彩等を遠隔制御する照明制御システムが導入されている。
【0003】
このような照明制御システムでは、照明演出の変更等に応じて、複数のポートに接続される複数の照明機器の種類や配置などの対応関係を変更する仕込み作業が行われる。仕込み作業において、ユーザは、各照明機器に対して照度や光の色彩ごとに制御アドレスを設定し、照明制御装置と照明機器との通信を制御する伝送装置に照明機器を接続する。照明機器の接続後、ユーザは、照明制御装置が有する調光用フェーダなどの操作部と各照明機器に設定した制御アドレスとの対応を設定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2014-120351号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、照明制御装置に保存された制御アドレスなどの仕込みデータを、種類が異なる照明制御装置間で相互に利用することが難しいという問題がある。これは、照明制御装置に保存されるデータが、機種に依存したデータ形式で保存される点に主たる原因がある。
【0006】
そこで、本開示では、照明制御装置の保存データを異なる機種間での相互に利用可能とする照明制御装置を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態の一例に係る照明制御装置は、取得部と、設定部とを具備する。取得部は、照明機器が接続されるバトンの機器接続位置を示す第1の識別情報と、所定の対象を基準としたバトンの位置を示す第2の識別情報と、を含み、他の装置において保存された設定情報を取得する。設定部は、取得部により取得された第1の識別情報及び第2の識別情報、及び自装置と通信可能に接続された照明機器から取得する第2の設定情報を用いて、バトンに接続される照明機器の設定を行う。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態に係る照明システムを示す図である。
図2図2は、実施形態に係る設定情報の相互利用例を示す図である。
図3図3は、実施形態に係る照明制御装置の構成例を示すブロック図である。
図4図4は、実施形態に係るデータ管理情報の概要を示す図である。
図5図5は、実施形態に係るバトンレイアウトデータの概要を示す図である。
図6図6は、実施形態に係る機器レイアウトデータの概要を示す図である。
図7図7は、実施形態に係る照明制御装置100の処理手順例を示すフローチャートである。
図8図8は、変形例に係る機器レイアウトデータの概要を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に説明する実施形態及び変形例に係る照明制御装置100は、取得部151と、設定部152とを具備する。取得部151は、照明機器が接続されるバトンの機器接続位置を示す第1の識別情報と、所定の対象を基準としたバトンの位置を示す第2の識別情報と、を含み、他の装置において保存された第1の設定情報を取得する。設定部152は、取得部151により取得された第1の識別情報及び第2の識別情報、及び自装置と通信可能に接続された照明機器から取得する第2の設定情報を用いて、バトンに接続される照明機器の設定を行う。
【0010】
また、以下に説明する実施形態及び変形例に係る照明制御装置100において、所定の対象は、照明機器の設置が行われる施設内に設けられた物体である。
【0011】
また、以下に説明する実施形態及び変形例に係る照明制御装置100において、所定の対象は、照明機器により照明演出が行われる領域である。
【0012】
また、以下に説明する実施形態及び変形例に係る照明制御装置100において、第1及び第2の設定情報は、機種が異なる他の照明制御装置でも利用可能な共通のデータ形式で保存される。
【0013】
また、以下に説明する実施形態及び変形例に係る照明制御装置100において、設定情報は、データ形式の変更の有無を示すバージョン情報を含む。設定部152は、自装置が保存する設定情報のバージョン情報よりも、取得部151が取得した他の装置の設定情報のバージョン情報が新しい場合、他の装置の設定情報を利用しない。
【0014】
また、以下に説明する実施形態及び変形例に係る照明制御装置100において、設定部152は、自装置が保存する第1の設定情報のバージョン情報よりも、取得部151により取得された他の装置の第1の設定情報のバージョン情報が古い場合、自装置が保存する第1の設定情報と他の装置が保存する第1の設定情報との差分を読み込んで利用する。
【0015】
<<実施形態>>
以下、図面を参照して、実施形態に係る照明制御装置について説明する。以下に説明する実施形態において、実質的に同一の部位である複数の部位を、同一の符号の後に異なる数字を付して区別する場合がある。例えば、実質的に同一部位である複数のバトン10やバトン20を、必要に応じてバトン10やバトン10、バトン20やバトン20などのように区別して説明する。また、バトン10やバトン10、バトン20やバトン20を特に区別する必要がない場合、単にバトン10やバトン20と総称する。
【0016】
以下に説明する実施形態において、実質的に同一の機能構成を有する複数の構成要素を、同一の符号の後に異なる数字を付して区別する場合もある。例えば、実質的に同一の機能構成を有する複数の照明機器50を、必要に応じて照明機器50や照明機器50、照明制御装置100-1や照明制御装置100-2などのように区別して説明する。また、実質的に同一の機能構成を有する照明機器50や照明機器50の各々を特に区別する必要がない場合、単に照明機器50として総称する。また、実質的に同一の機能構成を有する複数の照明制御装置100-1や照明制御装置100-2の各々を特に区別する必要がない場合、単に照明制御装置100として総称する。
【0017】
<照明システムの概要>
図1は、実施形態に係る照明システムを示す図である。実施形態に係る照明システム1は、A会場に設置される照明システム1Aと、B会場に設置される照明システム1Bとで構成される。A会場及びB会場は、スタジオや劇場などの照明演出が行われるステージ等を備えた場所である。
【0018】
A会場に設置される照明システム1Aは、複数のバトン10と、ノード30と、照明制御装置100-1とを備える。照明システム1Aにおいて、ノード30と照明制御装置100-1とは、例えば、LAN(Local Area Network)などの所定のネットワークに接続される。ノード30と照明制御装置100-1とは、所定のネットワークを介して、相互に通信できる。
【0019】
B会場に設置される照明システム1Bは、複数のバトン20と、ノード40と、照明制御装置100-2とを備える。照明システム1Bにおいて、ノード40と照明制御装置100-2とは、例えば、LAN(Local Area Network)などの所定のネットワークに接続される。ノード30と照明制御装置100-2とは、所定のネットワークを介して、相互に通信できる。
【0020】
ノード30やノード40は、例えばDMXノードやRDMノードと称され、照明機器と照明制御装置100との間の通信を中継する装置である。すなわち、ノード30は、所定の通信プロトコル、例えばDMX規格に従った通信プロトコルや、DMXを拡張したRDM規格に沿った通信方式により、照明機器と双方向通信が可能である。ノード30は、バトン10に備えられたポート11を介して照明機器と接続される。また、ノード40は、バトン20に備えられたポート21を介して照明機器と接続される。
【0021】
照明制御装置100は、各照明機器に対して制御を行う操作者による操作を受付ける。例えば、照明制御装置100は、調光操作卓あるいは調光卓と称される装置である。照明制御装置100-1は、操作者による操作等に応じて、各照明機器の調光等を制御する情報(信号)をノード30に送信する。また、照明制御装置100-2は、操作者による操作等に応じて、各照明機器の調光等を制御する情報(信号)をノード40に送信する。
【0022】
<照明制御装置の処理例>
照明制御装置100は、各照明機器の調光等を制御する情報(信号)に基づいて、照明演出等を行うための設定情報を保存する。設定情報の作成は、照明制御装置100の操作者により手動で実施される。照明制御装置100の操作者は、例えば、照明空間となるスタジオや劇場等の見取り図に対して、どのバトンのどの位置に、どの照明機器を設置するかといったことが記載された、いわゆる仕込み図面を参照しながら設定情報を作成する。
【0023】
設定情報には、パッチデータやシーンデータ、エフェクトデータなどが含まれる。また、設定情報には、各照明機器に対して割り付けたDMXアドレス(以下、「制御アドレス」と称する。)と、照明制御装置100に備えられた各フェーダとの対応関係が含まれる。また、設定情報には、同一のフェーダの操作により制御される照明機器のグループを示すCH(Channel)番号が含まれる。これにより、照明制御装置100の操作者は、各フェーダを操作することにより、各照明機器の調光等を制御する情報を送信できる。
【0024】
また、設定情報には、照明機器が接続されるバトンの機器接続位置を示す第1の識別情報(後述する「機器レイアウトデータ」)と、所定の対象を基準としたバトンの位置を示す第2の識別情報(後述する「バトンレイアウトデータ」)とが含まれている。
【0025】
第1の識別情報は、例えば、照明機器を接続するために、バトンが備えているポートの情報に該当する。また、第2の識別情報は、スタジオや劇場等の照明空間におけるバトンの位置を示す情報である。所定の基準として、例えば、照明機器が接続される照明機器の設置が行われる施設内に設けられた物体を採用でき、スタジオや劇場等に備えられている客席の位置や通路の位置などが例示される。また、所定の基準は、照明機器により照明演出が行われる領域であってもよく、照明演出が行われるステージの領域等が例示される。
【0026】
前述の設定情報は、機種が異なる他の照明制御装置100(以下、「他の装置」と称する。)でも利用可能な共通のデータ形式で保存される。これにより、照明制御装置間での設定情報の相互利用が容易となる。
【0027】
以下、図2を用いて、照明制御装置における設定情報の相互利用例について説明する。図2は、実施形態に係る設定情報の相互利用例を示す図である。以下では、A会場で利用された照明機器をB会場に持ち込んで利用する場合、B会場に設置されている照明制御装置100-2において、A会場に設置されている照明制御装置100-1の設定情報を利用する例について説明する。
【0028】
図2に示すように、A会場には計4台のバトン10が設けられている。そして、A会場における照明演出に合計3台の照明機器50が利用されている。
【0029】
また、照明制御装置100-1は、照明制御装置100-1の操作者により、A会場の照明演出のために作成された設定情報を保存する。図2に示すように、照明制御装置1001-が保存する設定情報は、バトンレイアウトデータと機器レイアウトデータとを含んでいる。
【0030】
バトンレイアウトデータは、A会場に設置されているバトン10に対して個別に割り振られている各バトンに固有のバトンIDと、バトン情報とを対応付けて構成されている。バトン情報は、所定の対象を基準としたバトンの位置を示す情報である。図2では、バトン10の位置を示す位置情報として、A会場の客席を基準とした情報が割り振られている例を示している。すなわち、A会場の客席から1列目のバトン10に対して位置情報:「0-1」が割り振られ、2列目~4列目のバトン10~10に対して、位置情報:「0-2」、位置情報:「0-3」、位置情報:「0-4」がそれぞれ割り振られている。
【0031】
バトンの位置を示す位置情報は、B会場に設置されているバトン20に対しても、A会場と同一の対象を所定の基準として割り振られている。すなわち、B会場の客席から1列目のバトン20に対して位置情報:「0-1」が割り振られ、2列目~4列目のバトン20~20に対して、位置情報:「0-2」、位置情報:「0-3」、位置情報:「0-4」がそれぞれ割り振られている。このように、所定の対象を基準としたバトンの位置を示す位置情報を利用することにより、会場がどこであっても、照明機器が設置されているバトンの位置を簡易に特定できる。なお、バトン情報が含むバトンの位置を示す情報は、各会場に設けられる物体などを所定の基準とする情報であるので、所定の基準には、各会場に共通に設けられる物体等を採用することが望ましい。
【0032】
また、図2に示すように、照明制御装置100-1が保存する設定情報に含まれる機器レイアウトデータは、照明機器に対して個別に割り振られている各照明機器に固有の機器IDと、バトンIDとを対応付けて構成されている。なお、バトンレイアウトデータは、バトンが有するポートに対して個別に割り振られている各ポートに固有のポートIDを含んでもよい。図2に示す例では、バトン10が有するポートP11(ポートID:PT111)に照明機器50が接続され、バトン10が有するポートP11(ポートID:PT113)に照明機器50が接続され、バトン10が有するポートP12(ポートID:PT122)に照明機器50が接続されている。
【0033】
図2に示すバトンレイアウトデータ及び機器レイアウトデータにより、客席から1列目に位置するバトン10(バトンID:AB01)に照明機器50(機器ID:SK51)及び照明機器50(機器ID:SK52)が接続されていることや、客席から2列目に位置するバトン10(バトンID:AB02)に照明機器50(機器ID:SK53)が接続されていることが把握される。
【0034】
そして、A会場で利用した3台の照明機器50をB会場に持ち込んで利用する場合、照明制御装置100-2は、照明制御装置100―1において設定情報として保存されているバトンレイアウトデータ及び機器レイアウトデータを取得する。バトンレイアウトデータ及び機器レイアウトデータは、任意の方法で取得でき、例えば、照明制御装置100-1の設定情報が保存されるクラウドサーバや可搬型の補助記憶装置から取得できる。可搬型の補助記憶装置としては、USB(Universal Serial Bus)フラッシュドライブやメモリカード、ハードディスクドライブなどを利用できる。
【0035】
照明制御装置100-2は、照明制御装置100-1から取得したバトンレイアウトデータ及び機器レイアウトデータを用いて、機器レイアウトデータを設定する。例えば、照明制御装置100-2は、A会場において照明機器50の設置されているときの位置関係を利用して、機器レイアウトデータを設定する。すなわち、照明制御装置100-2は、図2に示すように、照明機器50(SK51)及び照明機器50(SK52)の位置情報をB会場の客席から1列目のバトン20(バトンID:BB01)に設定し、照明機器50(SK53)の設置位置をB会場の客席から2列目のバトン20(バトンID:BB02)に設定する。
【0036】
機器レイアウトデータの設定後、B会場に持ち込まれた照明機器50は、照明制御装置100-1から取得したバトンレイアウトデータ及び機器レイアウトデータに基づいて設置される。すなわち、照明機器50は、A会場と同様の位置関係で設置される。
【0037】
照明機器の接続後、照明制御装置100-2は、バトン20に接続されることで自装置と通信可能に接続された照明機器50から設定情報を取得し、取得した設定情報を用いて、照明機器50の設定を行う。ここで、照明機器50に保存された設定情報を第2の設定情報といい、例えば、照明制御装置100-2は、照明機器50から取得する制御アドレスやCH番号を、バトン20に接続された照明機器50の制御アドレスやCH番号としてそのまま利用する。
【0038】
実施形態に係る照明制御装置100は、照明機器が接続されるバトンの機器接続位置を示す機器レイアウトデータと、所定の対象を基準としたバトンの位置を示すバトンレイアウトデータとを含む設定情報を取得する。また、照明制御装置100は、取得した設定情報を用いて、バトン(バトン10又はバトン20)に接続される照明機器の設定を実行する。このようにして、照明制御装置100は、照明制御装置の保存データを異なる機種間での相互に利用できる。
【0039】
<照明制御装置の構成例>
以下、図3を用いて、実施形態に係る照明制御装置100の構成例について説明する。図3は、実施形態に係る照明制御装置の構成例を示すブロック図である。
【0040】
図3に示すように、照明制御装置100は、入力部110と、表示部120と、通信部130と、記憶部140と、制御部150とを有する。
【0041】
入力部110は、照明制御装置100の操作者の操作入力を受け付ける。入力部110は、例えば、キーボードやマウス、タッチパネル等の入力装置により実現される。入力部110が受け付ける操作入力には、他の装置から設定情報を取得するための操作入力や、照明機器の制御アドレス及びCH番号を設定するための操作入力などがある。
【0042】
表示部120は、照明制御装置100により実行される照明機器の制御に関する各種情報等を表示する。表示部120は、例えば、液晶モニタや液晶ディスプレイ等の表示装置により実現される。
【0043】
通信部130は、ノード30等との間で情報を送受信する。通信部130は、ノード30等との間の通信を制御する機能を有し、例えば、NIC(Network Interface Card)等の通信装置により実現される。また、通信部130は、設定情報を保存するクラウドサーバと通信できる。
【0044】
記憶部140は、制御部150により実現される制御を実現するためのプログラム等を記憶する。記憶部140は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)等の半導体メモリ素子、または、ハードディスク、光ディスク等の記憶装置によって実現される。
【0045】
図3に示すように、記憶部140は、データ管理情報記憶部141と、パッチデータ記憶部142と、シーンデータ記憶部143と、エフェクトデータ記憶部144と、バトンレイアウトデータ記憶部145と、機器レイアウトデータ記憶部146とを有し、第1の設定情報としての設定情報を記憶する。上述したように、第1の設定情報は照明制御装置100に記憶された設定情報であり、第2の設定情報は照明機器に記憶された設定情報となる。つまり、第1の設定情報には第2の設定情報が含まれていてもよい。
【0046】
図4は、実施形態に係るデータ管理情報の概要を示す図である。図4に示すように、データ管理情報は、照明演出のための設定情報に含まれる各データのバージョン番号と、保存先相対パスとを対応付けて構成される。バージョン番号は、照明制御装置100の機能追加や不具合修正などに伴う、各データのデータ形式の変更に伴って更新される。保存先相対パスは、各データのファイルの保存先を示す情報である。
【0047】
パッチデータ記憶部142は、パッチデータのファイルを記憶する。シーンデータ記憶部143と、シーンデータのファイルを記憶する。エフェクトデータ記憶部144は、エフェクトデータのファイルを記憶する。パッチデータや、シーンデータや、エフェクトデータは、照明機器ごとの照度や色彩、照明機器を移動させるムービングなどの照明演出に対応した調光を実行するための制御データであり、照明機器に対して個別に割り振られている各照明機器に固有の制御アドレスに対応付けられる。
【0048】
バトンレイアウトデータ記憶部145は、所定の対象を基準としたバトンの位置を示す第2の識別情報として機能するバトンレイアウトデータを記憶する。図5は、実施形態に係るバトンレイアウトデータの概要を示す図である。図5は、例えば、図2に対応するバトンレイアウトデータを示している。
【0049】
図5に示すように、バトンレイアウトデータは、バトン20に対して個別に割り振られている各バトンに固有のバトンIDと、バトン情報とを対応付けて構成される。バトン情報には、位置情報と保有ポート数の情報とが含まれる。位置情報は、所定の対象を基準としたバトンの位置を示す情報であり、バトンの位置ごとに固有の識別情報(例えば、「0-1」など)が個別に割り振られている。所定の対象として、例えば、照明機器の設置が行われる施設内に設けられた物体を採用できる。採用される物体として、スタジオや劇場等に備えられている客席の位置や通路の位置などが例示される。また、所定の対象は、照明機器により照明演出が行われる領域であってもよく、照明演出が行われるステージの領域等が例示される。保有ポート数は、各バトンが照明機器の機器接続位置として備えるポートの数に対応する。
【0050】
機器レイアウトデータ記憶部146は、照明機器が接続されるバトンの機器接続位置を示す第1の識別情報として機能する機器レイアウトデータを記憶する。図6は、実施形態に係る機器レイアウトデータの概要を示す図である。図6は、例えば、図2に対応する機器レイアウトデータを示している。
【0051】
図6に示すように、機器レイアウトデータは、照明機器に対して個別に割り振られている各照明機器に固有の識別情報である機器IDと、接続バトン情報とを対応付けて構成される。接続バトン情報は、照明機器が接続されるバトンに割り振られたバトンID(例えば、「AB01」など)に対応する。接続ポートIDは、照明機器が接続されるポートに対して個別に割り振られている各ポートに固有のポートID(例えば、「PT101」など)に対応する。
【0052】
図3に戻り、制御部150は、照明制御装置100の各種処理を実行する。制御部150は、プロセッサやメモリを備えた制御回路により実現できる。制御部150が有する各機能部は、例えば、プロセッサによって内部メモリから読み込まれたプログラムに記述された命令が、内部メモリを作業領域として実行されることにより実現される。プロセッサが内部メモリから読み込むプログラムには、OS(Operating System)やアプリケーションプログラムが含まれる。また、制御部150が有する各機能部は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field-Programmable Gate Array)等の集積回路により実現されてもよい。
【0053】
図3に示すように、制御部150は、取得部151と、設定部152とを有する。なお、図3は、制御部150が有する機能部を例示するものであり、図3に示す例には特に限定される必要はない。
【0054】
取得部151は、照明機器が接続されるバトンの機器接続位置を示す第1の識別情報として機能する機器レイアウトデータと、所定の対象を基準としたバトンの位置を示す第2の識別情報として機能するバトンレイアウトデータと、を含み、他の装置において保存された設定情報を取得する。設定情報には、前述のバトンレイアウトデータ及び機器レイアウトデータの他、データ管理情報や、パッチデータや、シーンデータや、エフェクトデータが含まれる。設定情報は、任意の方法で取得でき、例えば、他の装置の設定情報が保存されるクラウドサーバや可搬型の補助記憶装置から取得できる。可搬型の補助記憶装置としては、USBフラッシュドライブやメモリカード、ハードディスクドライブなどを利用できる。
【0055】
設定部152は、取得部151により取得された第1の識別情報及び第2の識別情報、及び自装置と通信可能に接続された照明機器から取得する第2の設定情報を用いて、バトンに接続される照明機器の設定を行う。
【0056】
具体的には、設定部152は、照明制御装置100-1から取得したバトンレイアウトデータ及び機器レイアウトデータを用いて、機器レイアウトデータを設定する。具体的には、設定部152は、設定情報の取得元である他の装置が設置されている他の会場において照明機器50の設置されているときの位置関係を利用して、自装置の機器レイアウトデータを設定する。
【0057】
また、設定部152は、照明機器が持ち出された会場(以下、「前会場」と称する。)と、照明機器が持ち込まれた会場(以下、「今会場」と称する。)とで、対応するバトンが保有するポート数が異なる場合がある。このような場合の機器レイアウトデータの設定方法の一例について説明する。前会場よりも、今会場において対応バトンの保有するポート数が多い場合、例えば、対応バトンに照明機器が接続されるように、自装置の機器レイアウトデータを設定する。一方、前会場よりも、今会場において対応バトンの保有するポート数が少ない場合、対応バトンに隣接するバトンに渡って照明機器が接続されるように、自装置の機器レイアウトデータを設定する。
【0058】
照明機器の接続後、設定部152は、バトンに接続された照明機器から設定情報を取得し、取得した設定情報を用いて、照明機器の設定を行う。例えば、設定部152は、照明機器から取得する制御アドレスやCH番号を、照明機器が持ち込まれた会場のバトンに接続された照明機器の制御アドレスやCH番号としてそのまま設定する。また、設定部152は、設定した制御アドレスやCH番号と、自装置が備える各フェーダとの対応関係を設定する。
【0059】
<照明制御装置における処理手順>
図7を用いて、照明制御装置100による処理手順について説明する。図7は、実施形態に係る照明制御装置100の処理手順例を示すフローチャートである。図7に示す処理手順は、制御部150により実行される。
【0060】
図7に示すように、取得部151は、他の装置において保存された設定情報を取得する(ステップS101)。
【0061】
設定部152は、ステップS101で取得された設定情報に含まれるレイアウトデータ(バトンレイアウトデータ及び機器レイアウトデータ)に基づいて、レイアウトデータを設定する(ステップS102)。
【0062】
設定部152は、ステップS102おいて設定された機器レイアウトデータに基づいて設置された照明機器から取得する設定情報(制御アドレスやCH番号など)を用いて、バトンに接続された照明機器の設定を実行する(ステップS103)。
【0063】
<<変形例>>
<機器レイアウトデータの変形例>
以下、機器レイアウトデータ記憶部146に記憶される機器レイアウトデータの変形例について説明する。図8は、変形例に係る機器レイアウトデータの概要を示す図である。
【0064】
上記の実施形態では、機器レイアウトデータ記憶部146が記憶する機器レイアウトデータは、各照明機器に対して個別に割り振られている機器IDと、接続バトン情報とを対応付けて構成される例を説明したが、この例には特に限定される必要はない。例えば、図8に示すように、接続バトン情報として、接続ポート位置情報を記憶してもよい。
【0065】
接続ポート位置情報は、バトンが備えるポートの位置を示す情報である。接続ポート位置情報は、バトンレイアウトデータと同様に、所定の対象を基準とした接続ポートの位置を示す情報を採用できる。具体的には、照明機器が設置される会場の客席を基準とした情報を個別に割り振ることができる。例えば、上述した図2に示す例を用いて説明すると、客席から見て一番左にあるポート11に対して「L1」、左から2番目にあるポートに対して「L2」、左から3番目にあるポートに「L3」を割り振ることができる。これにより、照明機器が接続されたバトンの位置だけではなく、ポートの相対的な位置までを把握できる。
【0066】
<バージョン情報に基づく設定情報の利用(1)>
上記の実施形態において、設定部152は、自装置が保存する設定情報のデータ管理情報に記録されたバージョン情報よりも、取得部151により取得された他の装置の設定情報のデータ管理情報に記録されているバージョン情報が新しい場合、他の装置の設定情報を利用しないようにしてもよい。例えば、設定部152は、他の装置から取得した設定情報を使用しないように、データ管理情報に記録されている保存先相対パスを無効にする。
【0067】
これにより、他の装置から取得した設定情報により、不自然な照明演出が行われるなどの不都合を防止できる。
【0068】
<バージョン情報に基づく設定情報の利用(2)>
上記の実施形態において、設定部152は、自装置が保存する第1の設定情報のバージョン情報よりも、取得部151により取得された他の装置の設定情報のバージョン情報が古い場合、自装置が保存する設定情報と他の装置が保存する設定情報との差分を読み込んで利用してもよい。例えば、設定部152は、自装置が保存する設定情報と、他の装置から取得した設定情報との差分を抽出し、抽出した差分のデータファイルに対して、保存先相対パスを設定する。
【0069】
これにより、他の装置から取得した設定情報のうち、利用可能な情報を設定することにより、不自然な照明演出が行われるなどの不都合を防止しつつ、照明演出のための設定作業の負担をできるだけ軽減できる。
【0070】
<<その他>>
上記の実施形態及び変形例に係る照明制御装置100の処理機能を実現するための情報処理プログラムを、光ディスク、半導体メモリ、磁気テープ、フレキシブルディスク等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納して配布してもよい。このとき、例えば、照明制御装置100は、情報処理プログラムをコンピュータにインストールし、上述の処理を実行する。
【0071】
また、前述の情報処理プログラムをインターネット等のネットワーク上に配置されたクラウドストレージに格納しておき、コンピュータにダウンロード等できるようにしてもよい。また、上述の機能を、OS(Operating System)とアプリケーションソフトとの協働により実現してもよい。この場合には、OS以外の部分を媒体に格納して配布してもよいし、OS以外の部分をクラウドストレージに格納しておき、コンピュータにダウンロード等できるようにしてもよい。
【0072】
また、上記実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部又は一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部又は一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。例えば、各図に示した各種情報は、図示した情報に限られない。
【0073】
以上、本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施形態は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。また、この実施形態は、処理内容を矛盾させない範囲で適宜組み合わせることが可能である。
【0074】
また、本明細書に記載された効果はあくまで例示であって限定されるものでは無く、また他の効果があってもよい。
【符号の説明】
【0075】
1A、1B 照明システム
10、20 バトン
30、40 ノード
50 照明機器
100 照明制御装置
110 入力部
120 表示部
130 通信部
140 記憶部
141 データ管理情報記憶部
142 パッチデータ記憶部
143 シーンデータ記憶部
144 エフェクトデータ記憶部
145 バトンレイアウトデータ記憶部
146 機器レイアウトデータ記憶部
150 制御部
151 取得部
152 設定部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8