(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-08
(45)【発行日】2024-05-16
(54)【発明の名称】トイレ用案内装置
(51)【国際特許分類】
A47K 17/00 20060101AFI20240509BHJP
G06F 3/01 20060101ALI20240509BHJP
【FI】
A47K17/00
G06F3/01 510
(21)【出願番号】P 2020174761
(22)【出願日】2020-10-16
【審査請求日】2023-08-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000010087
【氏名又は名称】TOTO株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108062
【氏名又は名称】日向寺 雅彦
(74)【代理人】
【識別番号】100168332
【氏名又は名称】小崎 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100146592
【氏名又は名称】市川 浩
(74)【代理人】
【氏名又は名称】白井 達哲
(74)【代理人】
【識別番号】100172188
【氏名又は名称】内田 敬人
(74)【代理人】
【識別番号】100197538
【氏名又は名称】竹内 功
(74)【代理人】
【識別番号】100176751
【氏名又は名称】星野 耕平
(72)【発明者】
【氏名】井上 昭司
(72)【発明者】
【氏名】太田 祐史
(72)【発明者】
【氏名】井手 翔一
【審査官】七字 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-119105(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47K 13/00-17/02
E03D 9/00- 9/16
G06F 3/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トイレ室に設置され、前記トイレ室に関する情報を案内するトイレ用案内装置であって、
前記トイレ室に関する情報を複数の言語で出力する案内出力部と、
前記案内出力部から出力される言語を選択するための複数の操作部を有する言語選択部と、
前記案内出力部を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記案内出力部から前記トイレ室に関する情報が出力されている場合に、前記操作部が所定時間以内に複数回操作されたときには、前記案内出力部から出力されている言語での案内を継続させるとともに、前記操作部の複数回操作を無効にする無効制御を行うことを特徴とするトイレ用案内装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記操作部への複数回操作により最後に選択された言語が前記案内出力部から出力されている言語と同じ場合には、前記無効制御を行い、
前記操作部への複数回操作により最後に選択された言語が前記案内出力部から出力されている言語と異なる場合には、前記案内出力部から出力される言語を最後に選択された言語に設定することを特徴とする請求項1に記載のトイレ用案内装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記操作部への複数回操作により最後に操作された操作部とその前に操作された他の操作部とが隣接している場合には、前記無効制御を行い、
前記操作部への複数回操作により最後に操作された操作部とその前に操作された他の操作部とが隣接していない場合には、最後に操作された前記操作部の言語に設定することを特徴とする請求項1に記載のトイレ用案内装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記所定時間以内に同じ操作部が複数回操作されていない場合には、前記無効制御を行い、
前記所定時間以内に同じ操作部が複数回操作された場合には、前記所定時間の経過を待たずに前記操作部により選択された言語に設定することを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載のトイレ用案内装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の態様は、一般的にトイレ用案内装置に関する。
【背景技術】
【0002】
公共施設のトイレ室に設けられ、トイレ室内に設置された機器の配置や使用方法などのトイレ室に関する情報を音声で使用者に案内するトイレ用案内装置が知られている。公共施設のトイレ室は、多様な人が使用する。そのため、トイレ用案内装置は、なるべく多くの使用者が快適にトイレ室を使用できるように案内を行う必要がある。
【0003】
例えば、トイレ室に設置された言語選択用のリモコンを操作することにより、トイレ室の案内を選択された言語で行われるものが知られている(例えば、特許文献1、2)。これらにより、トイレ室の使用に不慣れな使用者にも、トイレ室を快適に使用させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-84616号公報
【文献】特開2018-97829号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
例えば、使用者が言語選択用のリモコンに誤って触れてしまい、トイレ室の案内言語が変更されてしまうことがある。このような場合に、使用者が再度元の言語に戻した場合には、トイレ室の案内がリセットされて、すでに認識したトイレ室の案内をもう一度確認しなければならない虞がある。このような言語の変更や案内は、使用者にとって意図しないものであり、使用者にわずらわしさを与える虞がある。
【0006】
本発明の態様は、かかる課題の認識に基づいてなされたものであり、使用者の誤操作を判断することにより使い勝手のよいトイレ用案内装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明は、トイレ室に設置され、前記トイレ室に関する情報を案内するトイレ用案内装置であって、前記トイレ室に関する情報を複数の言語で出力する案内出力部と、前記案内出力部から出力される言語を選択するための複数の操作部を有する言語選択部と、前記案内出力部を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記案内出力部から前記トイレ室に関する情報が出力されている場合に、前記操作部が所定時間以内に複数回操作されたときには、前記案内出力部から出力されている言語での案内を継続させるとともに、前記操作部の複数回操作を無効にする無効制御を行うことを特徴とするトイレ用案内装置である。
【0008】
このトイレ用案内装置によれば、操作部が複数回操作された場合は、操作部が複数回操作される前に案内出力部から出力していた案内を継続する。これにより、例えば操作部への誤操作により、別の言語の操作部を操作してしまった場合でも、現在出力されている案内を継続させることができる。そのため、使用者は、言語の案内を再び最初から確認する必要がなく、使い勝手を向上させることができる。
【0009】
第2の発明は、第1の発明において、前記制御部は、前記操作部への複数回操作により最後に選択された言語が前記案内出力部から出力されている言語と同じ場合には、前記無効制御を行い、前記操作部への複数回操作により最後に選択された言語が前記案内出力部から出力されている言語と異なる場合には、前記案内出力部から出力される言語を最後に選択された言語に設定することを特徴とするトイレ用案内装置である。
【0010】
このトイレ用案内装置によれば、操作部を間違えて複数回操作した場合でも、トイレ室の案内を適切に行うことができる。すなわち、操作部が複数回操作された場合には、最後に操作された操作部が使用者が望む言語である可能性が高く、それ以外の操作部への操作は間違いである可能性が高い。従って、最後に選択された言語が現在出力されている言語と同じか異なるかを判断することで、使用者が求める言語で適切に案内を行うことができる。
【0011】
第3の発明は、第1の発明において、前記制御部は、前記操作部への複数回操作により最後に操作された操作部とその前に操作された他の操作部とが隣接している場合には、前記無効制御を行い、前記操作部への複数回操作により最後に操作された操作部とその前に操作された他の操作部とが隣接していない場合には、最後に操作された前記操作部の言語に設定することを特徴とするトイレ用案内装置である。
【0012】
このトイレ用案内装置によれば、使用者が操作部に意図せずに触れてしまった場合でも、トイレ室の案内を適切に行うことができる。すなわち、隣接する操作部が操作された場合は、使用者が意図せず操作部に触れてしまった場合が考えられる。このような場合は、使用者の意図しない言語の設定を無効にして、現在出力されている案内を継続させる。一方、隣接しない操作部が操作された場合は、使用者が意図して操作部を操作した可能性が高い。このような場合は、最後に操作された操作部の言語で案内を出力する。そのため、使用者が求める言語の案内に適切に切り換えることができ、トイレ室の使い勝手を向上することができる。
【0013】
第4の発明は、第1~第3のいずれか1つの発明において、前記制御部は、前記所定時間以内に同じ操作部が複数回操作されていない場合には、前記無効制御を行い、前記所定時間以内に同じ操作部が複数回操作された場合には、前記所定時間の経過を待たずに前記操作部により選択された言語に設定することを特徴とするトイレ用案内装置である。
【0014】
このトイレ用案内装置によれば、使用者の意図した操作を早期に認識することで、使い勝手を向上することができる。すなわち、同じ操作部が複数回操作された場合は、使用者の意図した操作である可能性が高い。このような場合は、所定時間の経過を待たずに、トイレ室の案内を複数回操作された操作部の言語に設定する。そのため、使用者が求める言語の案内に迅速に切り換えることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の態様によれば、使用者の誤操作を判断することにより使い勝手のよいトイレ用案内装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】第1実施形態に係るトイレ用案内装置が設置されたトイレ室を示す斜視図である。
【
図2】トイレ用案内装置の通信系を示すブロック図である。
【
図3】
図1中のトイレ室に設置された端末を示す正面図である。
【
図4】
図2中の制御部で行われる制御処理を示す流れ図である。
【
図5】第2実施形態に係るトイレ用案内装置の制御処理を示す流れ図である。
【
図6】第3実施形態に係るトイレ用案内装置の制御処理を示す流れ図である。
【
図7】第4実施形態に係るトイレ用案内装置の制御処理を示す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
図1は、第1実施形態に係るトイレ用案内装置が設置されたトイレ室を示す斜視図である。
図2は、トイレ用案内装置の通信系を示すブロック図である。
図1、
図2に示すように、トイレ用案内装置10は、トイレ室TRに設置して使用される。トイレ用案内装置10は、トイレ室TRに関する情報を音声で案内する。なお、トイレ用案内装置10は、トイレ室TRに関する情報を画像や映像で案内してもよい。これにより、外国人や視覚障がい者の方など、トイレ室TRの使い方が分からずに不安な方にも、安心してトイレ室TRを使用させることができる。
【0018】
トイレ室TRは、例えば公共施設のトイレ室である。トイレ室TRは、多目的トイレや多機能トイレなどの独立した1つの部屋である。トイレ室TRは、パーティションなどで仕切られた状態で1つの部屋に並べて設けられる、いわゆるトイレブースでもよい。
【0019】
トイレ室TRには、トイレ用案内装置10の他に、例えば大便器12、手洗器16、18、ベビーチェア20、小便器22、および汚物流しユニット24などの機器が設置されている。また、図示しないハンドドライヤーやベビーシートなどの機器が設けられていてもよい。
【0020】
但し、トイレ室TRに設置される機器は、これらに限ることなく、任意の機器でよい。これらの機器は、例えばトイレ室TRの壁側に設けられたライニング30に並べて配置される。ライニング30は、キャビネットやケーシングなどと呼ばれる場合もある。トイレ室TRは、ライニング30が設けられていない壁側に、トイレ室TRの出入口2を有する。出入口2には、例えば、開閉式のドア4が設けられる。
【0021】
大便器12は、下方に向けて窪んだボウル部を有する便器本体13と、便器本体13の上に取り付けられた便座装置14と、を備えている。便器本体13は、ボウル部において使用者Uの尿や便などの排泄物を受ける。すなわち、大便器12は、洋式腰掛大便器である。
【0022】
便座装置14は、便座14aを有する。便座装置14の上方には、例えば便座14aに着座した使用者Uの背中を受ける背もたれ15が設けられる。便座装置14は、便器本体13に対して一体的に取り付けてもよいし、便器本体13に対して着脱可能に取り付けてもよい。
【0023】
便座装置14は、例えば便座14aに着座した使用者Uの「おしり」などの洗浄を実現する身体洗浄機能部などを有する。便座装置14は、例えば、衛生洗浄装置である。便座装置14は、便座14aの着座面を温める暖房機能を有する暖房便座装置などでもよい。また、大便器12は、必ずしも便座装置14を備えていなくてもよい。便座14aは、例えば、便器本体13の上に直接的に取り付けられた通常便座でもよい。
【0024】
手洗器16、18は、大便器12や小便器22で用を足した使用者Uなどが手を洗うものである。ベビーチェア20は、大便器12の側方に設けられ、保護者が大便器12などを利用する際などに、一時的に乳幼児を座らせておけるようにするための椅子である。また、小便器22は、使用者Uの尿を受けるもので、ベビーチェア20の側方に設けられている。そして、汚物流しユニット24は、小便器22の側方に設けられ、オストメイトの方が排泄物などの汚物を処理するための器具である。
【0025】
ライニング30は、例えばL字状であり、矩形状のトイレ室TRの隣接する2つの壁面W1、W2に面して設置される。ライニング30は、例えば、壁面W1と同じ方向を向く第1側面30aと、第1側面30aと隣接して設けられ壁面W2と同じ方向を向く第2側面30bと、を有する。
【0026】
大便器12は、例えば、ライニング30の第2側面30bに寄せて第1側面30aに取り付けられる。この例において、大便器12は、いわゆる壁掛け式の大便器である。大便器12は、例えば、第1側面30aおよび第2側面30bに寄せて配置される床置き式の大便器などでもよい。
【0027】
ライニング30の第2側面30bには、呼出ボタン32、便器洗浄ボタン36などが設けられている。呼出ボタン32は、緊急時などに異常事態の発生を外部に連絡するための操作部である。便器洗浄ボタン36は、大便器12を洗浄するための操作部である。便器洗浄ボタン36を操作することにより、大便器12のボウル部に洗浄水が供給され、大便器12のボウル部が洗浄される。
【0028】
また、ライニング30の第2側面30bには、トイレットペーパーを保持するための紙巻器38(ペーパーホルダ)がさらに設けられている。紙巻器38は、例えば便器洗浄ボタン36の下方に配置されている。呼出ボタン32、便器洗浄ボタン36、および紙巻器38は、大便器12に着座した使用者Uの手が届く範囲に配置される。
【0029】
呼出ボタン32、便器洗浄ボタン36、および紙巻器38は、ライニング30の第2側面30bに限ることなく、例えばトイレ室TRの壁面W2などに取り付けてもよい。呼出ボタン32、便器洗浄ボタン36、および紙巻器38の取付位置は、大便器12に着座した使用者Uの手が届く任意の位置でよい。
【0030】
図1および
図2に示すように、トイレ用案内装置10は、音声出力部54と、制御部56と、を有する。音声出力部54と制御部56とは、本体部50に設けられている。また、トイレ用案内装置10は、言語選択部64と、表示部62とを有する。言語選択部64と表示部62とは、端末60に設けられている。
【0031】
センサ52は、トイレ室TRに入室した使用者Uの状態を検知する。センサ52は、使用者Uがトイレ室TRのどこにいるかを検知する人体検知センサ52aや、使用者Uが便座14aに着座したことを検知する着座検知センサ52bとなっている。
【0032】
人体検知センサ52aは、本体部50の内部に設けられ、使用者Uのトイレ室TRへの入室、使用者Uの大便器12の近傍への移動、および使用者Uのトイレ室TRからの退室などの使用者Uの特定の状態を検知する。なお、人体検知センサ52aの検知する使用者Uの状態は、上記に限ることなく、使用者Uの任意の状態でよい。
【0033】
人体検知センサ52aには、例えばマイクロ波センサを用いることができる。なお、人体検知センサ52aは、例えば赤外線投受光式の測距センサ、焦電センサなどを用いてもよい。人体検知センサ52aは、1つのセンサなどで構成してもよいし、複数のセンサなどを組み合わせて構成してもよい。人体検知センサ52aは、例えば使用者Uの複数の状態に対応した複数のセンサなどを有してもよい。人体検知センサ52aは、制御部56に接続され、使用者Uの検知情報を制御部56に送信する。
【0034】
着座検知センサ52bは、本体部50の内部に設けられ、使用者Uが大便器12に着座する直前において便座14aの上方に存在する人体や、便座14aに着座した使用者Uを検知する。これにより、着座検知センサ52bは、使用者Uの便座14aへの着座を表す着座情報を取得する。このような着座検知センサ52bとしては、例えば赤外線投受光式の測距センサを用いることができる。なお、着座検知センサ52bは、例えばマイクロ波センサ、焦電センサなどを用いてもよい。着座検知センサ52bは、制御部56に接続され、使用者Uの着座情報を制御部56に送信する。
【0035】
音声出力部54は、トイレ室TRに関する情報を複数の言語(例えば、日本語、英語、中国語、韓国語など)で出力する。音声出力部54は、音声によりトイレ室情報案内の出力を行う。音声出力部54は、例えばスピーカであり、本発明の案内出力部を構成している。音声出力部54は、制御部56と接続され、制御部56から送信される音声信号に基づき、特定の音声(例えば、日本語)をトイレ室TR内に出力する。
【0036】
このように、本体部50は、人体検知センサ52a、着座検知センサ52b、音声出力部54、および制御部56を有する。なお、人体検知センサ52a、着座検知センサ52b、音声出力部54、および制御部56は、それぞれ別個に設けられていてもよい。本体部50は、音声出力部54から音声を出力することにより、トイレ室TRに関する情報を音声で案内する。トイレ室TRに関する情報は、トイレ室TRの大便器12および手洗器16、18などの各機器の設置位置や各機器の使用方法である。
【0037】
音声出力部54は、複数の言語のうち使用者Uによって選択された言語に基づいてトイレ室TRに関する情報を出力する。すなわち、音声出力部54は、制御部56から送信された制御信号(言語信号)に基づいて、例えば日本語、英語、中国語、韓国語などでトイレ室情報案内を行う。これにより、トイレ室TRに不慣れな使用者Uや視覚障がい者の使用者Uにも、トイレ室TRを快適に使用させることができる。なお、音声出力部54から出力される言語はフランス語やイタリア語など他の言語が含まれていてもよい。
【0038】
本体部50は、例えば大便器12の近傍に設けられる。本体部50は、例えば大便器12と隣接するようにライニング30の第1側面30aに設けられる。これにより、音声による案内を便座14aに着座した使用者Uに聞き取り易くすることができる。但し、本体部50の取付位置は、上記に限ることなく、音声による案内を使用者Uに適切に聞かせることができる任意の位置でよい。
【0039】
制御部56は、音声出力部54を制御する。制御部56は、使用者Uにより選択された言語に基づいて、音声出力部54から出力される言語を決定する。また、制御部56は、通信部58を介して端末60に人体検知センサ52aや着座検知センサ52bの検知情報を送信する。制御部56は、人体検知センサ52aや着座検知センサ52bから送信される検知信号に基づいて、音声出力部54から出力される案内を決定する。
【0040】
そのために、制御部56は、使用者Uの状態に対応する複数の情報群が複数の言語ごとに記憶された記憶部56aを有する。記憶部56aには、音声出力部54から出力される複数の案内文が使用者Uの状態に対応して格納されている。記憶部56aには、各言語(例えば英語、中国語、韓国語)による情報群が格納されている。
【0041】
使用者Uの状態は、例えば入室案内(第1情報群)、接近案内(第2情報群)、着座案内(第3情報群)、および離座案内(第4情報群)などに分類されている。情報群の分類は、これに限らず、使用者Uの状態に対応した他の情報群が含まれていてもよい。第1情報群は、使用者Uがトイレ室TRに入室後に最初に音声出力部54から出力される情報群となっている。一方、第2~第4情報群は、第1情報群よりも後に音声出力部54から出力される情報群となっている。
【0042】
入室案内は、トイレ室TRに入室した使用者Uに有用な案内であり、例えば音声ガイドを始めることや大便器12の配置情報となっている。この例では、人体検知センサ52aが使用者Uの入室を検知した場合に、任意の言語(例えば、日本語)による入室案内が自動で音声出力部54および表示部62から出力される。なお、英語や中国語などの他の言語で入室案内がなされてもよい。
【0043】
接近案内は、大便器12に接近している使用者Uに有用な案内であり、例えば大便器12を洗浄するための便器洗浄ボタン36の位置などとなっている。接近案内は、人体検知センサ52aが大便器12に接近する使用者Uを検知した場合に音声出力部54および表示部62から出力される。
【0044】
着座案内は、大便器12に着座した使用者Uに有用な案内であり、例えば便器洗浄に関する説明、局部洗浄に関する説明、および緊急時などに操作される呼出ボタン32の説明などとなっている。着座案内は、着座検知センサ52bが使用者Uを検知した場合に音声出力部54および表示部62から出力される。
【0045】
離座案内は、大便器12から離座した使用者Uに有用な案内であり、例えば大便器12の説明や手洗器16、18の説明などとなっている。離座案内は、着座検知センサ52bが使用者Uの検知状態から非検知状態になった場合に音声出力部54および表示部62から出力される。
【0046】
図3は、
図1中のトイレ室に設置された端末を示す正面図である。
端末60は、例えば大便器12の側方の壁面W2に設けられている。端末60は、例えばタブレット端末であり、表示部62、言語選択部64、機能操作部65、および通信部66を有している。端末60は、例えば便座14aに着座した使用者Uが表示部62を見易く、かつ便座14aに着座した使用者Uが言語選択部64を操作し易い位置に配置される。
【0047】
但し、端末60の取付位置は、これに限ることなく、便座14aに着座した使用者Uが表示部62を見易く、かつ便座14aに着座した使用者Uが操作し易い任意の位置でよい。また、言語選択部64は、表示部62と別個に形成され、例えばライニング30の第2側面30bなどに設けてもよい。
【0048】
表示部62は、画像や映像の表示を行う。
図3に示すように、表示部62には、例えば
便器洗浄を行うときの便器洗浄ボタン36の位置などが表示される。また、表示部62は、本発明の案内出力部を構成するもので、各言語の案内文による文字表示を行う。
図3では、「流すボタンは、ペーパーの上の丸いボタンです」という案内文Gが表示されている。表示部62は、例えば複数の静止画像を切り換えて表示してもよい。表示部62は、記憶部(図示せず)に、画像や映像、および案内文Gが格納されている。表示部62には、例えば液晶ディスプレイや有機ELディスプレイなどの周知の表示装置が用いられる。
【0049】
表示部62は、通信部66、58を介して本体部50の制御部56と通信を行う。表示部62は、制御部56から出力された制御信号を通信部58、66を介して受け、制御部56から送信された制御信号に基づき、動画像や静止画像およびトイレ室TRの案内文を画面に表示する。
【0050】
このように、端末60は、表示部62を有する。端末60は、表示部62に画像や案内文を表示することにより、トイレ室TRに関する情報を案内する。このように、トイレ用案内装置10は、トイレ室TRに関する情報を音声で案内するとともに、画像や文字でも案内する。すなわち、トイレ用案内装置10は、音声出力部54から出力される音声言語と、表示部62で表示される文字とが同じ内容になっている。
【0051】
これにより、トイレ室TRに関する情報をより確実に使用者Uに伝えることができる。例えば、耳の不自由な使用者Uなどに対しても、表示部62によりトイレ室TRに関する情報を伝えることができる。従って、より多様な使用者Uにトイレ室TRを快適に使用させることができる。
【0052】
言語選択部64は、音声出力部54や表示部62などの案内出力部から出力される言語を選択するための複数の操作部を有している。この操作部は、例えばタッチパネルや押しボタン式のスイッチとなっており、使用者Uにより操作されるものである。
図3に示すように、言語選択部64は、例えば日本語を選択するための第1操作部64a、英語を選択するための第2操作部64b、中国語を選択するための第3操作部64c、韓国語を選択するための第4操作部64d、およびトイレ室TRの案内を停止させる停止操作部64eを有している。なお、選択可能な言語は、これらに限ることなく任意の言語でよい。また、選択可能な言語の数は、4つに限ることなく任意の数でよい。
【0053】
言語選択部64は、例えば現在選択されている言語のスイッチが点灯や点滅することにより認識できるようになっている。例えば、現在出力されている案内言語が日本語であるならば、第1操作部64aが点灯や点滅する。また、言語選択部64は、使用者Uが第1~第4操作部64a~64dおよび停止操作部64eを操作した(触れた)ことがわかるようになっていてもよい。
【0054】
機能操作部65は、トイレ室TRや大便器12に設けられている種々の機能を開始するためのものである。
図3に示すように、機能操作部65は、例えばおしり洗浄用の第1操作スイッチ65a、ビデ洗浄用の第2操作スイッチ65b、擬音を発生させる第3操作スイッチ65c、および局部洗浄用のノズルを洗浄するための第4操作スイッチ65dを有している。なお、機能操作部65のスイッチの数は、4つに限ることなく任意の数でよい。また、他の機能のスイッチを有していてもよい。また、機能操作部65も言語選択部64と同様に、例えば現在選択されているスイッチが点灯や点滅することにより認識できるようになっていてもよい。
【0055】
通信部66は、本体部50の通信部58と通信を行う。通信部58および通信部66は、双方向に通信を行い、各種の情報を互いに送受する。なお、本体部50と端末60との間の通信は、無線でもよいし、有線でもよい。端末60は、使用者Uによる言語選択部64の操作に応じた操作情報を通信部66から本体部50の通信部58を介して制御部56に送信する。また、端末60は、使用者Uによる機能操作部65の操作に応じた操作情報を通信部66から便座装置14に送信する。
【0056】
制御部56は、言語選択部64の操作により入力された操作情報を基に、選択された言語を識別する。そして、制御部56は、選択された言語を識別した後、選択された言語の音声を音声出力部54から出力する。また、端末60は、音声出力部54から出力される音声に追従して表示部62に案内文を表示させる。これにより、トイレ用案内装置10は、トイレ室TRに関する情報を選択された言語で出力する。従って、多様な言語の使用者Uに対してトイレ室TRに関する情報を伝え、トイレ室TRを快適に使用させることができる。
【0057】
本実施形態によるトイレ用案内装置10は、上述の如き構成を有するもので、次にトイレ用案内装置10の作動について説明する。
【0058】
例えば、使用者Uが言語選択部64や機能操作部65を操作しようとした場合に、誤って現在出力されている言語とは異なる言語の選択スイッチ(第1~第4操作部64a~64d)に触れてしまうことがある。一例を挙げると、日本語の案内が出力されているときに、誤って英語を選択する第2操作部64bに触れてしまい、再度日本語を選択する第1操作部64aを操作する場合が考えられる。このような場合に、既に出力された日本語による案内がリセットされて、もう一度最初から日本語の案内が出力されることは、使用者Uにとってわずらわしい案内となる虞がある。
【0059】
そこで、本実施形態では、制御部56は、案内出力部(音声出力部54よび表示部62)からトイレ室TRに関する情報が出力されている場合に、操作部(第1操作部64a~第4操作部64d)が所定時間以内に複数回操作されたときには、案内出力部から出力されている言語での案内を継続させるとともに、操作部の複数回操作を無効にする無効制御を行う。なお、操作部の複数回操作を無効にするとは、操作部の複数回操作が行われたときに出力されていた案内が終了した後も、複数回操作に基づく言語での案内出力が行われないことを指す。
【0060】
これにより、例えば第1~第4操作部64a~64dへの誤操作により、別の言語の操作部を操作してしまった場合でも、現在出力されている案内を継続させることができる。そのため、使用者は、言語の案内を再び最初から聞いたり、見たりする必要がなく、使い勝手を向上させることができる。
【0061】
次に、言語選択部64が複数回操作された場合の制御処理を
図4を参照して説明する。
図4は、
図2中の制御部で行われる制御処理を示す流れ図である。
図4に示す制御処理は、制御部56の記憶部56aに格納されている。この制御処理は、所定の周期で繰り返し実行される。また、各ステップを「S」と示し、例えば「ステップ1」を「S1」で示している。
【0062】
まず、S1では、案内中か否かを判定する。すなわち、制御部56は、トイレ室TRの案内がいずれかの言語によりなされているか否かを判定する。この案内は、使用者Uが選択した言語によりなされている場合に限らず、例えば人体検知センサ52aにより入室が検知されたことでいずれかの言語が自動で出力される場合も含んでいる。また、案内中とは、案内(音声)が出力されていない待機状態である場合も含む。具体的には、例えば使用者の状態(センサの検知)に応じていずれかの言語による案内を行う場合に、所定の状態の案内が終了して、次の状態の案内が開始されるまでの待機状態も案内中に含まれる。すなわち、案内中とは、自動もしくは使用者の操作によって、案内の言語が設定されている状態である。そして、S1で「YES」、すなわち案内中であると判定された場合には、S2に進む。一方、S1で「NO」、すなわち案内中でないと判定された場合には、案内がなされるかを監視する。
【0063】
S2では、操作部(第1操作部64a~第4操作部64d)の操作があるか否かを判定する。S2で「YES」、すなわち第1操作部64a~第4操作部64dのいずれかが操作されたと判定された場合には、S3に進む。一方、S2で「NO」、すなわち第1操作部64a~第4操作部64dが操作されていないと判定された場合には、S1に戻る。
【0064】
S3では、選択言語L1を記憶する。すなわち、制御部56は、S2で操作された操作部に対応する言語を記憶部56aに記憶させる。例えば、第2操作部64bが操作されたならば、選択言語L1を英語として記憶部56aに記憶させる。
【0065】
次のS4では、タイマをスタートさせる。すなわち、制御部56は、第1~第4操作部64a~64dの操作がなされた時からタイマをカウントする。このタイマは、選択言語L1を有効にするための所定時間(待機時間)を計測するものである。すなわち、制御部56は、最初に操作部への操作がなされた時に所定時間内での1回目の言語選択操作がなされたことを認識する。
【0066】
次のS5では、操作部(第1操作部64a~第4操作部64d)の操作があるか否かを判定する。すなわち、制御部56は、タイマカウント中に第1操作部64a~第4操作部64dのいずれかが操作されたか否かを判定する。そして、S5で「YES」、すなわち第1操作部64a~第4操作部64dのいずれかが操作されたと判定された場合には、S6に進む。一方、S5で「NO」、すなわち第1操作部64a~第4操作部64dが操作されていないと判定された場合には、S7に進む。
【0067】
S6では、選択言語Ln(n=2,3,4・・・)を記憶する。すなわち、制御部56は、S5で操作された操作部に対応する言語を記憶部56aに記憶させる。例えば、2回目に第3操作部64cが操作されたならば、選択言語L2を中国語として記憶部56aに記憶させる。
【0068】
S7では、タイマが所定時間を経過したか否かを判定する。すなわち、制御部56は、S4で開始されたタイマカウントがあらかじめ定められた所定時間を経過したか否かを判定する。この所定時間は、トイレ室TRの円滑な案内や使用者Uの利便性などを考慮して、実験、シミュレーションにより設定され、数秒程度(例えば、1~2秒程度)に設定されている。所定時間は、制御部56の記憶部56aに記憶されている。
【0069】
そして、S7で「YES」、すなわちタイマが所定時間を経過していると判定した場合には、S8に進む。一方、S7で「NO」、すなわちタイマが所定時間を経過していないと判定した場合には、S5に戻り、操作部の操作を監視する。
【0070】
例えば、S5で3回目の操作がなされた場合には、S6で選択言語L3を記憶部56aに記憶させる。例えば、3回目に第1操作部64aが操作されたならば、選択言語L3を日本語として記憶部56aに記憶させる。すなわち、制御部56は、最初の操作部への操作から所定時間以内に選択された選択言語Lnを、順次記憶部56aに記憶させる。
【0071】
S8では、操作部への操作が複数回あったか否かを判定する。すなわち、制御部56は、記憶部56aに選択言語Lnが記憶されているかを確認することにより、操作部への操作が複数回あったか否かを判定する。換言すると、制御部56は、記憶部56aに選択言語L1のみが記憶されている場合には所定時間の間で操作部が1回しか操作されていないと判定できる。
【0072】
そして、S8で「NO」、すなわち操作部への操作が1回であると判定された場合には、S9に進む。一方、S8で「YES」、すなわち操作部への操作が複数回あると判定された場合には、S10に進む。
【0073】
S9では、案内を選択言語L1に設定する。すなわち、制御部56は、音声出力部54および表示部62から選択言語L1による案内を最初(例えば、入室直後になされる案内)から開始して、エンドとする。
【0074】
一例を挙げると、現在出力されている言語が日本語である場合に、選択言語L1が英語であるときには、トイレ室TRの案内を日本語から英語に変更して最初から開始する。また、例えば現在出力されている言語が日本語である場合に、選択言語L1が日本語であるときには、トイレ室TRの案内を日本語で最初から開始する。これにより、使用者Uは、希望する言語での案内を最初から確認することができる。
【0075】
S10では、記憶された選択言語L1,Lnを無効にして、現在出力されている案内を継続させる。すなわち、制御部56は、所定時間以内に操作部が複数回操作された場合にはその複数回の操作(全ての操作)を無効にして、エンドとする。すなわち、S8およびS10での制御は、本発明の態様による無効制御となっている。
【0076】
かくして、第1実施形態に係るトイレ用案内装置10によれば、例えば選択言語L1が使用者Uの意図しない操作部への操作(誤った操作)によるものであり、その誤った操作に気が付いて現在出力されている言語の操作部を操作した場合に、案内がリセットされて同じ言語での案内を最初から聞いたり、見たりしなければならないことを抑制できる。また、所定時間の間で操作部が複数回操作されても案内に変化が起こらないので、操作部を複数回操作するいたずらを抑制できる。
【0077】
なお、2回目に操作されることにより記憶部56aに記憶される選択言語L2により、所定時間内での操作部への複数回操作があることが確定するので、操作部への3回目以降の選択言語Ln(n=3,4・・・)は記憶しなくてもよい。また、制御部56は、選択言語Lnを記憶せずに、操作部への2回目の操作があったことを記憶部56aに記憶してもよい。
【0078】
次に、本発明の第2実施形態に係るトイレ用案内装置10について説明する。第2実施形態に係るトイレ用案内装置10は、所定時間以内に言語選択部64の第1~第4操作部64a~64dへの操作が複数回あった場合に、現在案内中の言語と最後に選択された言語とが同じときに現在出力されている言語を継続させるものである。なお、第2実施形態では、上述した第1実施形態と同一の構成要素に同一符合を付し、その説明を省略する。
【0079】
制御部56は、操作部(第1操作部64a~第4操作部64d)への複数回操作により最後に選択された言語が案内出力部(音声出力部54および表示部62)から出力されている言語と同じ場合には、無効制御を行う。一方、制御部56は、操作部への複数回操作により最後に選択された言語が案内出力部から出力されている言語と異なる場合には、案内出力部から出力される言語を最後に選択された言語に設定する。
【0080】
これにより、第1~第4操作部64a~64dを間違えて複数回操作した場合でも、トイレ室TRの案内を適切に行うことができる。すなわち、第1~第4操作部64a~64dが複数回操作された場合には、最後に操作された操作部が使用者Uが望む言語である可能性が高く、それ以外の操作部への操作は間違いである可能性が高い。従って、最後に選択された言語が現在出力されている言語と同じか異なるかを判断することで、使用者Uが求める言語で適切に案内を行うことができる。
【0081】
次に、言語選択部64が複数回操作された場合の制御処理を
図5を参照して説明する。
図5は、第2実施形態に係るトイレ用案内装置の制御処理を示す流れ図である。
図5に示す制御処理は、制御部56の記憶部56aに格納されている。この制御処理は、所定の周期で繰り返し実行される。
【0082】
図5中のS1~S9は、
図4中のS1~S9と同様の制御処理が行われる。そして、S11では、案内中の言語と最後に選択された言語とが同じか否かを判定する。すなわち、制御部56は、記憶部56aに最後に記憶された選択言語Lnが現在案内されている言語と同じか否かを判定する。
【0083】
そして、S11で「YES」、すなわち案内中の言語と最後に選択された言語とが同じであると判定された場合には、S12に進む。一方、S11で「NO」、すなわち案内中の言語と最後に選択された言語とが異なると判定された場合には、S13に進む。
【0084】
S12では、記憶された選択言語L1,Lnを無効にして、現在出力されている案内を継続させる。すなわち、制御部56は、所定時間以内に操作部が複数回操作されて、最後に選択された選択言語Lnが現在出力されている言語と同じ場合にはその複数回の操作(全ての操作)を無効にして、エンドとする。すなわち、S8、S11、およびS12での制御は、本発明の態様による無効制御となっている。
【0085】
これにより、例えば選択言語L1が使用者Uの意図しない操作部への操作(誤った操作)であり、その誤った操作に気が付いて現在出力されている言語の操作部を操作した場合に、案内がリセットされて同じ言語での案内を最初から聞いたり、見たりしなければならないことを抑制できる。
【0086】
S13では、案内を最後に選択された選択言語Lnに設定する。すなわち、制御部56は、所定時間以内に操作部が複数回操作されて、最後に選択された選択言語Lnが現在出力されている言語と異なる場合には現在出力されている言語を最後に選択された選択言語Lnに変更して、エンドとする。
【0087】
一例を挙げると、現在出力されている言語が日本語である場合に、最後に選択された選択言語Lnが英語であるときには、トイレ室TRの案内を日本語から英語に変更して最初から開始する。これにより、使用者Uは、トイレ室の案内を望む言語で最初から確認することができる。
【0088】
かくして、第2実施形態によるトイレ用案内装置10は、第1操作部64a~第4操作部64dを誤って操作してしまった場合などが考慮されるので、使い勝手を向上することができる。
【0089】
すなわち、第1~第4操作部64a~64dが複数回操作された場合には、最後に操作された操作部が使用者Uが望む言語である可能性が高く、それ以外の操作部への操作は間違いである可能性が高い。このような場合に、最後に選択された選択言語がLnが現在出力されている言語と同じときには、案内が最初(例えば、入室直後になされる案内)に戻ることなく継続されるので、使用者Uにわずらわしさを与えるのを抑制できる。一方、最後に選択された選択言語Lnが現在出力されている言語と異なるときには、案内を選択言語Lnに変更して最初(例えば、入室直後になされる案内)から出力することにより、使用者Uが求める言語で適切に案内を行うことができる。
【0090】
次に、本発明の第3実施形態に係るトイレ用案内装置10について説明する。第3実施形態に係るトイレ用案内装置10は、所定時間以内に言語選択部64の第1~第4操作部64a~64dへの操作が複数回あった場合に、最後に操作された操作部とその1回前に操作された操作部とが隣接した位置関係にあるときに、現在出力されている言語を継続させるものである。なお、第3実施形態では、上述した第1実施形態と同一の構成要素に同一符合を付し、その説明を省略する。
【0091】
制御部56は、操作部(第1操作部64a~第4操作部64d)への複数回操作により最後に操作された操作部とその前に操作された他の操作部とが隣接している場合には、無効制御を行う。一方、操作部(第1操作部64a~第4操作部64d)への複数回操作により最後に操作された操作部とその前に操作された他の操作部とが隣接していない場合には、最後に操作された操作部の言語に設定する。
【0092】
最後に操作された操作部に隣接した他の操作部とは、最後に操作された操作部の周囲に位置する操作部を意味する。
図3に示すように、端末60の第1~第4操作部64a~64dは、左右方向に一列に並んでいる。従って、第2操作部64bは、第1操作部64aと第3操作部64cに隣接しており、第3操作部64cは、第2操作部64bと第4操作部64cとに隣接していることになる。これに限らず、例えば言語選択部64の操作部が左右および上下方向に並んでいる場合には、最後に操作された操作部を基準として左右位置、上下位置、および斜め位置にある他の操作部が隣接した操作部となる。
【0093】
これにより、使用者Uが操作部に意図せずに触れてしまった場合でも、トイレ室TRの案内を適切に行うことができる。すなわち、隣接する操作部が操作された場合は、使用者が意図せず操作部に触れてしまった場合が考えられる。このような場合は、現在出力されている案内を継続させるため、使用者Uの意図しない言語の設定を抑制して使い勝手を向上することができる。一方、隣接しない操作部が操作された場合は、使用者Uが意図して操作部を操作した可能性が高い。このような場合は、最後に操作された操作部の言語で案内を出力する。そのため、使用者が求める言語の案内に適切に切り換えることができる。
【0094】
次に、言語選択部64が複数回操作された場合の制御処理を
図6を参照して説明する。
図6は、第3実施形態に係るトイレ用案内装置の制御処理を示す流れ図である。
図6に示す制御処理は、制御部56の記憶部56aに格納されている。この制御処理は、所定の周期で繰り返し実行される。また、記憶部56aには、言語選択部64の配置情報が格納されている。
【0095】
図6中のS1~S9は、
図4中のS1~S9と同様の制御処理が行われる。そして、S21では、最後に操作された操作部と1回前に操作された操作部とが隣接しているか否かを判定する。すなわち、制御部56は、記憶部56aに最後に記憶された選択言語Lnの操作部が、その1回前に記憶された選択言語Ln-1の操作部と隣接した位置関係にあるか否かを判定する。
【0096】
そして、S21で「YES」、すなわち最後に操作された操作部と1回前に操作された操作部とが隣接していると判定された場合には、S22に進む。一方、S21で「NO」、すなわち最後に操作された操作部と1回前に操作された操作部とが隣接していないと判定された場合には、S23に進む。
【0097】
S22では、記憶された選択言語L1,Lnを無効にして、現在出力されている案内を継続させる。すなわち、制御部56は、操作部が複数回操作されて、最後に操作された操作部がその1回前に操作された他の操作部と隣接している場合にはその複数回の操作(全ての操作)を無効にして、エンドとする。すなわち、S8、S21、およびS22での制御は、本発明の態様による無効制御となっている。
【0098】
かくして、第3実施形態に係るトイレ用案内装置10によれば、使用者が操作部に意図せずに触れてしまった場合でも、トイレ室TRの案内を適切に行うことができる。例えば、使用者Uが英語による案内を設定するために第2操作部64bを操作しようとしたときに、第1操作部64aや第3操作部64cを誤って操作してしまう虞がある。また、最初に第2操作部64bを操作した後に、第1操作部64aや第3操作部64cを誤って操作してしまう虞がある。このような場合には、使用者Uが望む言語が不明確であるので操作部への複数回の操作(全ての操作)を無効とする。
【0099】
一方、隣接しない操作部が操作された場合は、使用者Uが意図して操作部を操作した可能性が高い。このような場合は、最後に操作された操作部の言語で案内を最初から出力する。そのため、使用者Uが求める言語の案内に適切に切り換えることができる。
【0100】
次に、本発明の第4実施形態に係るトイレ用案内装置10について説明する。第4実施形態に係るトイレ用案内装置10は、言語選択部64の同じ操作部への操作が複数回あった場合に、所定時間の経過を待たずにその複数回操作された操作部の言語を設定する。なお、第4実施形態では、上述した第1実施形態と同一の構成要素に同一符合を付し、その説明を省略する。
【0101】
制御部56は、所定時間以内に同じ操作部が複数回操作されていない場合には、無効制御を行う。一方、制御部56は、所定時間以内に同じ操作部が複数回操作された場合には、所定時間の経過を待たずに操作部により選択された言語に設定する。
【0102】
これにより、使用者Uの意図した操作を早期に認識することで、使い勝手を向上することができる。すなわち、同じ操作部が操作された場合は、使用者Uの意図した操作である可能性が高い。このような場合は、所定時間の経過を待たずに、トイレ室TRの案内を複数回操作された操作部の言語に設定する。そのため、使用者Uが求める言語の案内に迅速に切り換えることができる。
【0103】
次に、言語選択部64が複数回操作された場合の制御処理を
図7を参照して説明する。
図7は、第4実施形態に係るトイレ用案内装置の制御処理を示す流れ図である。
図7に示す制御処理は、制御部56の記憶部56aに格納されている。この制御処理は、所定の周期で繰り返し実行される。また、記憶部56aには、同じ操作部が何回操作されたときにその言語に設定するかを決定する回数閾値が格納されている。
【0104】
図7中のS1~S10は、
図4中のS1~S10と同様の制御処理が行われる。そして、第4実施形態では、
図4中のS6とS7との間に、同じ操作部が操作されたかを監視するS31が設けられている。
【0105】
S31では、同じ選択言語が複数回記憶されたか否かを判定する。すなわち、制御部56は、第1操作部64a~第4操作部64dのうち、同じ操作部が複数回操作されたか否かを判定する。例えば、制御部56は、複数回(例えば、回数閾値=2回)同じ操作部が連続して操作されたか否かを監視する。なお、回数閾値は、3回以上でもよい。一例を挙げると、第2操作部64bが操作されることにより選択言語L1として英語が記憶された後に、もう一度第2操作部64bが操作されることにより選択言語L2として英語が記憶された場合である。
【0106】
そして、S31で「YES」、すなわち同じ選択言語が複数回記憶されたと判定された場合には、S32に進む。一方、S31で「NO」、すなわち同じ選択言語が複数回記憶されていないと判定された場合には、S7に進む。
【0107】
S32では、案内を複数回選択された選択言語に設定する。すなわち、制御部56は、同じ操作部が連続して複数回操作された場合には所定時間の経過を待たずに、選択された言語で案内を最初から開始させて、エンドとする。
【0108】
一方、S8で判定される操作部への操作が複数回あったか否かの判定で「YES」の場合は、同じ操作部が連続して複数回操作されてないことを意味する。このような場合には、操作部への最初の操作が使用者Uの意図しないもの(誤操作)である可能性が高い。従って、このような場合には、S10に進み、記憶された選択言語L1,Lnを無効にして、現在出力されている案内を継続させる。S8およびS10での制御は、本発明の態様による無効制御となっている。
【0109】
かくして、第4実施形態に係るトイレ用案内装置10によれば、使用者Uの意図した操作を早期に認識することで、使い勝手を向上することができる。すなわち、同じ操作部が操作された場合は、使用者Uの意図した操作である可能性が高い。このような場合は、所定時間の経過を待たずに、トイレ室TRの案内を複数回操作された操作部の言語に設定する。そのため、使用者Uが求める言語の案内に迅速に切り換えることができる。一方、操作部への複数回の操作が同じ操作部でない場合には、使用者Uの意図しない操作である可能性が高いので、現在出力されている案内を継続することで、案内が最初(入室直後になされる案内)に戻らず、利便性を向上できる。
【0110】
なお、上述した第4実施形態では、操作部への操作が連続してなされた場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば同じ操作部への操作は連続していなくてもよい。例えば、第1操作部64aが操作された後に第2操作部64bが操作されて、その後に第1操作部64aが操作された場合でもよい。
【0111】
また、上述した実施形態では、設定された案内言語を入室直後になされる最初の案内に戻した場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば人体検知センサ52aや着座検知センサ52bの検知による使用者Uの状態に対応した情報群の最初の案内文から開始してもよい。例えば、使用者Uが便座14aに着座している場合には、第3情報群の最初の案内文から設定された言語で開始してもよい。これにより、使用者Uに必要な案内が迅速になされるので、利便性を向上できる。
【0112】
また、上述した実施形態では、人体検知センサ52aや着座検知センサ52bが本体部50に設けられた場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば便座装置14に人体検知センサや着座検知センサを設けてもよい。便座装置14に着座検知センサ設ける場合、着座検知センサは、例えば便座14aの動きを検知する機械式のスイッチ、光学センサ、または磁気センサなどでもよいし、着座にともなう静電容量の変化を検知する静電容量センサなどでもよいし、着座にともなう圧力の変化を検知する圧電センサなどでもよい。
【0113】
また、上述した実施形態では、言語選択部64を大便器12の側方の壁面W2に設けた場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば言語選択部64をドア4の近傍や手洗器16、18の近傍などの他の場所に設けてもよく、トイレ室TRの複数個所に設けてもよい。
【0114】
また、上述した実施形態では、案内出力部を音声出力部54と表示部62とした場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば案内出力部は、音声出力部54と表示部62とのうちの少なくとも一方でよい。
【0115】
また、上述した実施形態では、制御部56が本体部50に設けられた場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば制御部56が端末60に設けられていてもよい。また、本体部50および端末60に接続される他の機器に制御部56が設けられていてもよい。
【0116】
以上、本発明の実施形態について説明した。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。前述の実施形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、トイレ用案内装置10などが備える各要素の形状、寸法、材質、配置、設置形態などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、前述した実施形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【符号の説明】
【0117】
2 出入口
4 ドア
10 トイレ用案内装置
12 大便器
13 便器本体
14 便座装置
14a 便座
15 背もたれ
16,18 手洗器
20 ベビーチェア
22 小便器
24 汚物流しユニット
30 ライニング
30a 第1側面
30b 第2側面
32 呼出ボタン
36 便器洗浄ボタン
38 紙巻器
50 本体部
52 センサ
52a 人体検知センサ
52b 着座検知センサ
54 音声出力部(案内出力部)
56 制御部
56a 記憶部
58 通信部
60 端末
62 表示部(案内出力部)
64 言語選択部
64a 第1操作部
64b 第2操作部
64c 第3操作部
64d 第4操作部
64e 停止操作部
65 機能操作部
65a 第1操作スイッチ
65b 第2操作スイッチ
65c 第3操作スイッチ
65d 第4操作スイッチ
66 通信部
TR トイレ室
U 使用者
W1,W2 壁面